IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イビデン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-プリント配線板およびその製造方法 図1
  • 特許-プリント配線板およびその製造方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】プリント配線板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20221129BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
H05K1/11 M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019045470
(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公開番号】P2020150094
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 敬介
【審査官】柴垣 宙央
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-74178(JP,A)
【文献】特開2013-219191(JP,A)
【文献】特開2006-339482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H05K 1/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製コア基板の開口内に電子部品を内蔵するプリント配線板であって、
前記電子部品は、該電子部品を貫通するスルーホール内に、該電子部品の両面上の導体回路を電気的に接続するスルーホール導体と、そのスルーホール導体の中心部を貫通する貫通孔とを有しており、
前記開口内の前記電子部品の周囲と前記貫通孔内とに、前記コア基板を構成する樹脂よりも溶融状態での流動性が高い樹脂が充填されている。
【請求項2】
樹脂製コア基板の開口内にガラス基板を内蔵するプリント配線板の製造方法において、
前記ガラス基板は、該ガラス基板を貫通するスルーホール内に、該ガラス基板の両面上の導体回路を電気的に接続するスルーホール導体と、そのスルーホール導体の中心部を貫通する貫通孔とを有しており、
前記開口内の前記ガラス基板の周囲と前記貫通孔内とに、前記コア基板を構成する樹脂の溶融状態よりも流動性が高い溶融樹脂を充填する。
【請求項3】
請求項2記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記溶融樹脂は、前記コア基板を構成する樹脂と別組成で、前記コア基板上に積層される層間絶縁層を構成する樹脂と同一組成のものである。
【請求項4】
請求項2または3記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記溶融樹脂の粘度は、100Pa・s~1,000Pa・sである。
【請求項5】
請求項2から4までの何れか1項記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記溶融樹脂は、印刷法もしくはフィルムラミネートによって前記開口内に充填される。
【請求項6】
請求項2から5までの何れか1項記載のプリント配線板の製造方法であって、
前記溶融樹脂は、中心粒径が0.1μm~15μmのフィラーを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製コア基板の開口内にICチップや回路基板等の電子部品を内蔵するプリント配線板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のプリント配線板の高密度化および低背化の要求に対して、樹脂でガラス基板を被覆するプリント基板のデザインが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなプリント配線板においては、樹脂製コア基板の開口内に電子部品を内蔵する場合があり、そのような電子部品は、該電子部品を貫通するスルーホール内に、該電子部品の両面上の導体回路を電気的に接続するスルーホール導体と、そのスルーホール導体の中心部を貫通する貫通孔とを有する場合がある。
【0004】
そしてこのように樹脂製コア基板の開口内に電子部品を内蔵する際には、その樹脂製コア基板の材料となる層間絶縁材を構成する樹脂をプレスにより加熱および加圧して溶融させ、その樹脂製コア基板の開口内の電子部品の周囲に流し込むことで、その樹脂製コア基板の開口内の電子部品の周囲を樹脂で充填して、電子部品をその開口内に固定するのが通常である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6148764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで近年のプリント配線板の小型化に伴い、従来はあらかじめスルーホール導体の貫通孔内に樹脂を充填した電子部品を樹脂製コア基板の開口内に内蔵するが、その貫通孔内に樹脂を充填する工程をプリント配線板の製造過程で行うにあたり、その開口内に内蔵する電子部品も小型化し、その電子部品のスルーホール導体の貫通孔も微細化しているため、樹脂製コア基板の材料となる層間絶縁材の樹脂をプレスにより加熱および加圧して樹脂製コア基板の開口内の電子部品の周囲に流し込む方法では、電子部品用開口と電子部品に設けられた貫通孔を同時に埋めるのは充填体積の比率からして困難となる。このため、スルーホール導体の貫通孔内まで樹脂を充填することはできず、その貫通孔内に空洞が残り、その空洞内の空気がスルーホール導体の腐食の原因となって、電子部品の両面上の導体回路の電気的接続の信頼性を低下させる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のプリント配線板は、樹脂製コア基板の開口内に電子部品を内蔵するプリント配線板であって、前記電子部品は、該電子部品を貫通するスルーホール内に、該電子部品の両面上の導体回路を電気的に接続するスルーホール導体と、そのスルーホール導体の中心部を貫通する貫通孔とを有しており、前記開口内の前記電子部品の周囲と前記貫通孔内とに、前記コア基板を構成する樹脂よりも溶融状態での流動性が高い樹脂が充填されている。
【0008】
この発明のプリント配線板の製造方法は、樹脂製コア基板の開口内に電子部品を内蔵するプリント配線板を製造するに際し、前記電子部品は、該電子部品を貫通するスルーホール内に、該電子部品の両面上の導体回路を電気的に接続するスルーホール導体と、そのスルーホール導体の中心部を貫通する貫通孔とを有しており、前記開口内の前記電子部品の周囲と前記貫通孔内とに、前記コア基板を構成する樹脂よりも流動性が高い溶融樹脂を充填する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、樹脂製コア基板の開口内の前記電子部品の周囲と前記貫通孔内とに、例えば低粘度や小径フィラーの含有等によって前記コア基板を構成する樹脂よりも溶融状態での流動性を高くされて小径や狭いキャビティに対応した樹脂が充填されているため、その貫通孔内に空洞が全く残らないので、電子部品の両面上の導体回路のスルーホール導体による電気的接続の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態のプリント配線板を示す断面図である。
図2】(a)~(g)は、図1に示される実施形態のプリント配線板の製造方法の各工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係るプリント配線板の実施形態について説明する。図面の説明において、同様の要素には同一符号を付し、重複説明は省略する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るプリント配線板を示す断面図であり、図2(a)~図2(g)は、図1に示される実施形態のプリント配線板の製造方法の各工程を示す断面図である。この実施形態のプリント配線板10は、コア基板12と、ビルドアップ層14とを具える。
【0013】
コア基板12は、例えばシリカやアルミナ等の無機フィラーを含有するエポキシ樹脂やBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂等の絶縁性樹脂組成物で構成されており、ガラスクロス等の補強材を含んでいる。コア基板12の表側の面であるF面12Fと、コア基板12の裏側の面であるB面12Bとにはそれぞれ、導体回路層22が形成されている。導体回路層22は、導電性金属、例えば銅で形成される。コア基板12には複数のスルーホール導体24が形成されている。スルーホール導体24は各々、導電性金属、例えば銅で形成され、コア基板12の表側の面であるF面12Fおよび裏側の面であるB面12B上の導体回路層22同士を電気的に接続している。
【0014】
コア基板12は、中央部に矩形の開口を画成する部品収容部26を有し、部品収容部26は、コア基板12をその厚み方向に貫通する貫通孔からなる。部品収容部26には、例えばICチップや回路基板を構成するガラス基板等の電子部品28が収容されている。電子部品28の表側の面であるF面28Fと、電子部品28の裏側の面であるB面28Bとにはそれぞれ、導体回路層30が形成されている。導体回路層30は、導電性金属、例えば銅で形成される。電子部品28は、その電子部品28をその厚み方向に貫通する例えば複数のスルーホールを有し、各スルーホールの内周面上には円筒状のスルーホール導体32が形成されている。スルーホール導体32は各々、導電性金属、例えば銅で形成され、電子部品28のF面28FおよびB面28B上の導体回路層30同士を電気的に接続している。各スルーホール導体32の中心部には微細な貫通孔34が形成されている。
【0015】
ビルドアップ層14は、コア基板12のF面12F上およびB面12B上にそれぞれ形成されている。ビルドアップ層14は、層間絶縁層36と導体回路層38とを交互に積層してなる。層間絶縁層36は、例えばシリカやアルミナ等の無機フィラーを含有するエポキシ樹脂やBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂等の樹脂組成物からなる。層間絶縁層36は、好ましくは、ガラスクロス等の補強材を含んでいる。導体回路層38は、導電性金属、例えば銅で形成される。
【0016】
部品収容部26内の電子部品28の周囲の隙間およびスルーホール導体32の貫通孔34内には、コア基板12を構成する絶縁性樹脂組成物とは別組成の、層間絶縁層36を構成する絶縁性樹脂組成物と同じ組成の絶縁性樹脂40が充填されて固化しており、この絶縁性樹脂40が、電子部品28を部品収容部26内の所定位置に固定するとともに、スルーホール導体32と空気との接触を遮ってスルーホール導体32の腐食を防止している。この絶縁性樹脂40は、好ましくは例えばシリカやアルミナ等の無機フィラーを含有する。
【0017】
コア基板12のF面12F上およびB面12B上のビルドアップ層14の導体回路層38は、コア基板12のF面12FおよびB面12B上の導体回路層22に、それらのビルドアップ層14の層間絶縁層36を貫通するバイアホール導体42を介してそれぞれ電気的に接続されている。F面12F上のビルドアップ層14の導体回路層38はまた、コア基板12の部品収容部26内の電子部品28のF面28F上の導体回路層30に、そのビルドアップ層14のバイアホール導体42を介して電気的に接続されている。バイアホール導体42は、導体回路層22、導体回路層30および導体回路層38と同じ導電性金属、例えば銅で形成することができる。
【0018】
この実施形態のプリント配線板10によれば、部品収容部26内に内蔵された電子部品28を例えばインターポーザとして、この実施形態のプリント配線板10上にフリップチップ実装される複数のICチップのピッチの異なる電極同士や、それらのICチップの電極とビルドアップ層14の導体回路層38の電極パッドとの間の電気的接続に使用することができる。また、部品収容部26内に内蔵された電子部品28の周囲とその電子部品28のスルーホール導体32の貫通孔34内とに充填された、コア基板12を構成する絶縁性樹脂組成物とは別組成の、層間絶縁層36を構成する絶縁性樹脂組成物と同じ絶縁性樹脂40が固化しているので、部品収容部26内で電子部品28を精度良く位置決め固定できるとともに、電子部品28の両面上の導体回路層30のスルーホール導体32による電気的接続の信頼性を向上させることができる。
【0019】
次に、本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態が、図2(a)~図2(g)を参照して説明される。図1で説明された要素と同様の要素には、同じ符号が付され、適宜説明が省略される。
【0020】
(1)先ず、図2(a)に示されるようなコア基板12の材料として、エポキシ樹脂又はBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂とガラスクロスなどの補強材とからなる絶縁性基材の表裏両面が銅箔でラミネートされたものが用意される。
【0021】
(2)次いで、その絶縁性基材の表面側から例えば炭酸ガスレーザの照射、もしくはメカニカルドリルでの孔加工が適用されて、スルーホール導体用貫通孔を形成するための孔が穿孔される。また、絶縁性基材の裏面側のうち前述した表面の孔の真裏となる位置に例えば炭酸ガスレーザの照射、もしくはメカニカルドリルでの孔加工が適用されて孔が穿孔され、それら表面および裏面の孔同士が繋がることで、スルーホール導体24用の貫通孔を有するコア基板12が形成される。また、そのコア基板12の中央部には、例えば炭酸ガスレーザの照射、もしくはメカニカルドリルでの孔加工により、矩形の開口を持つ貫通孔としての部品収容部26が形成される。
【0022】
(3)次いで、無電解めっき処理が行われ、コア基板12の表側の面であるF面12Fおよび裏側の面であるB面12Bの銅箔上と貫通孔の内周面とに無電解めっき膜が形成される。そして銅箔上の無電解めっき膜上に、所定パターンのめっきレジストが形成され、そのめっきレジストは、部品収容部26を覆っているが、スルーホール導体用貫通孔は露出させている。
【0023】
(4)次いで、電解めっき処理が行われ、電解めっきがスルーホール導体用貫通孔内に充填されてスルーホール導体24が形成されて後に、銅箔上の無電解めっき膜のうちめっきレジストから露出している部分に電解めっき膜が形成される。その後、めっきレジストが剥離されるとともにめっきレジストの下方の無電解めっき膜及び銅箔が除去され、残された電解めっき膜と無電解めっき膜と銅箔とにより、コア基板12のF面12FおよびB面12B上に導体回路層22がそれぞれ形成される。コア基板12のF面12FおよびB面12B上の導体回路層22は、スルーホール導体24によって互いに電気的に接続されている。
【0024】
(5)しかる後、図2(a)に示されるように、例えば粘着性を有するフィルムからなるテープ44が、図では下向きとされている上記のコア基板12のB面12B側の導体回路層22上に、部品収容部26を塞ぐように張り付けられる。次いで、プリント配線板10の部品収容部26内に内蔵されるべき電子部品28が準備され、その電子部品28がマウンタ(図示せず)によって部品収容部26の所定位置に配置される。
【0025】
(6)電子部品28も、例えばコア基板12と同様にして、表側の面であるF面28Fおよび裏側の面であるB面28B上に導体回路層30とされる導体層がそれぞれ形成される。電子部品28のF面28FおよびB面28B上の導体層は、スルーホール導体32によって互いに電気的に接続されている。また、各スルーホール導体32の中心部には電子部品28のF面28F側からB面28B側まで貫通する微細な貫通孔34が形成されている。
【0026】
(7)次いで、このテープ44上のコア基板12とその部品収容部26内に配置された電子部品28とが、その部品収容部26のみを露出させる図示しない印刷用版を被せられてコア基板12のF面12Fを全体的に覆われ、その状態で次に、コア基板12を構成する絶縁性樹脂組成物とは別組成の、層間絶縁層36を構成する絶縁性樹脂組成物と同じ組成の溶融状態の絶縁性樹脂材料が例えば印刷塗布により選択的に部品収容部26内に供給されて、減圧により部品収容部26内の電子部品28の周囲およびスルーホール導体32の中心部の貫通孔34内に密に充填される。充填の際の減圧レベルを-5Pa~-10,000Paとするとともに、溶融樹脂の粘度を、コア基板12の絶縁性樹脂組成物の溶融状態よりも流動性が高い、100Pa・s~1,000Pa・sとすると、貫通孔34内への溶融樹脂の充填が確実に行われる。さらに、溶融樹脂が含有するフィラーは、コア基板12の絶縁性樹脂組成物が含有するフィラーより小径の、中心粒径が0.1μm~15μmのものであると、貫通孔34内への溶融樹脂の充填がより確実に行われる。
【0027】
(8)その後、部品収容部26内の電子部品28の周囲およびスルーホール導体32の中心部の貫通孔34内に充填された溶融樹脂が硬化し、図2(b)に示されるように、その硬化した絶縁性樹脂が、電子部品28を部品収容部26内の所定位置に精度良く位置決め固定するとともに、スルーホール導体32の中心部の貫通孔34の内周面と空気との接触を遮断する。
【0028】
(9)次いで、図2(c)に示されるように、コア基板12とその部品収容部26内に配置された電子部品28とからテープ44が剥離される。
【0029】
(10)次いで、図2(d)に示されるように、コア基板12のF面12F上およびB面12B上の導体回路層22と、電子部品28のF面28F上およびB面28B上の導体層とが例えばエッチングにより除去される。また、コア基板12のF面12FおよびB面12Bから突出する樹脂および電子部品28のF面28FおよびB面28Bから突出する樹脂が例えば切削や研削等により除去され、コア基板12のF面12Fおよび電子部品28のF面28Fは平坦かつ面一にされ、コア基板12のB面12Bおよび電子部品28のB面28Bも平坦かつ面一にされる。
【0030】
(11)次いで、図2(e)に示されるように、コア基板12のF面12F上およびB面12B上と、電子部品28のF面28F上およびB面28B上とに、電解めっきによる導体回路層の形成のためのシード層となる無電解めっき膜46が形成される。
【0031】
(12)次いで、図2(f)に示されるように、セミアディティブ法により、コア基板12のF面12F上およびB面12B上と、電子部品28のF面28F上およびB面28B上との無電解めっき膜46上にそれぞれ所定パターンのめっきレジストが形成され、次に、電解めっき処理が行われ、無電解めっき膜46のうちめっきレジストから露出している部分に電解めっき膜が形成される。その後、めっきレジストが剥離されるとともにめっきレジストの下方の無電解めっき膜が除去され、残された電解めっき膜と無電解めっき膜とにより、コア基板12のF面12FおよびB面12B上に導体回路層22がそれぞれ形成されるとともに、電子部品28のF面28F上およびB面28B上にも導体回路層30がそれぞれ形成される。
【0032】
(13)次いで、図2(g)に示されるように、図では上向きとされているコア基板12のF面12F側の導体回路層22上および電子部品28のF面28F側の導体回路層30上に、層間絶縁層36を形成するための、ガラスクロス等の補強材にエポキシ樹脂やBT樹脂等の絶縁性樹脂が含浸したBステージのプリプレグ48が積層され、そのプリプレグ48上に銅箔(図示せず)が積層され、その後、プリプレグ48とその上の銅箔とが加熱プレスされる。
【0033】
(14)次いで、上記と同様にして、図では下向きとされているコア基板12のB面12B側の導体回路層22上および電子部品28のB面28B側の導体回路層30上にも、層間絶縁層36を形成するための、ガラスクロス等の補強材にエポキシ樹脂やBT樹脂等の絶縁性樹脂が含浸したBステージのプリプレグ48が積層され、そのプリプレグ48上に銅箔(図示せず)が積層され、その後、プリプレグ48とその上の銅箔とが加熱プレスされる。なお、コア基板12のF面12F側およびB面12B側の少なくとも一方のプリプレグ48に替えて、ガラスクロス等の補強材無しの絶縁性樹脂材料を適用することも可能である。
【0034】
(15)このようにしてプリプレグ48の樹脂成分が加熱プレスにより固化されて、コア基板12のF面12Fおよび電子部品28のF面28F上に層間絶縁層36が形成されるとともにコア基板12のB面12B上および電子部品28のB面28B上にも層間絶縁層36が形成された後、それらの層間絶縁層36上の銅箔の上から所定の位置に例えば炭酸ガスレーザが照射され、銅箔および層間絶縁層36を貫くバイアホールが形成される。バイアホールは、導体回路層22および導体回路層30を部分的に露出させる。
【0035】
(16)次いで、それらの層間絶縁層36上の銅箔の上に、例えばフォトリソグラフィ法によって、上記バイアホールの位置に加えて導体回路層22および導体回路層30が形成される位置に開口を有するめっきレジストが形成される。
【0036】
(17)次いで、上記めっきレジストの開口およびバイアホールの内面上に、例えば無電解めっき処理により金属膜(図示せず)が形成される。金属膜は、スパッタリングや真空蒸着により形成されてもよい。この金属膜をシード層とした電解めっき処理により、バイアホール導体42および銅箔上のめっき膜が形成される。電解めっき処理は、好ましくは、電解銅めっき処理である。その後、めっきレジストは剥離により除去される。
【0037】
(18)次いで、表面にめっき膜が形成されていない銅箔の部分がエッチングにより除去される。これによりコア基板12のF面12FおよびB面12B上並びに電子部品28のF面28FおよびB面28B上の層間絶縁層36上に、銅箔およびめっき膜からなる導体回路層38が形成される。図1に示されるように、層間絶縁層36上の導体回路層38はバイアホール導体42によって、コア基板12のF面12FおよびB面12B上の導体回路層22に電気的に接続されるとともに、部品収容部26内の電子部品28のF面28F上の導体回路層30にも電気的に接続されている。
【0038】
本発明は、上記実施形態に限定されず、請求の範囲の記載から逸脱しない範囲で種々の変更、修正が可能である。例えば、図1に示される実施形態のプリント配線板および図2(a)~(g)に示される実施形態のプリント配線板の製造方法では、コア基板の表面および裏面上に、層間絶縁層を有する1層のビルドアップ層を具えているが、本発明のプリント配線板および本発明のプリント配線板の製造方法はこれに限られず、コア基板の表面および裏面の少なくとも一方の上に、各々層間絶縁層を有する2層以上のビルドアップ層を具えるものでも良い。
【符号の説明】
【0039】
10 プリント配線板
12 コア基板
12F 表側の面(F面)
12B 裏側の面(B面)
14 ビルドアップ層
22 導体回路層
24 スルーホール導体
26 部品収容部
28 電子部品
28F 表側の面(F面)
28B 裏側の面(B面)
30 導体回路層
32 スルーホール導体
34 貫通孔
36 層間絶縁層
38 導体回路層
40 絶縁性樹脂
42 バイアホール導体
44 テープ
46 無電解めっき膜
48 プリプレグ
図1
図2