(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】運行管理装置、運行管理方法及び運行管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
G08G1/123 A
(21)【出願番号】P 2019064630
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153040
【氏名又は名称】川井 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】松山 耕輔
(72)【発明者】
【氏名】梅村 幸生
(72)【発明者】
【氏名】南部 高志
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-167669(JP,A)
【文献】特開2018-018533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G06Q 10/00-10/10、30/00-30/08、
50/00-50/20、50/26-99/00
G08G 1/00-99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の所定の幹線乗降場を経由して車両が運行される幹線路線と、前記幹線路線の一の乗降場を少なくとも起点として一以上の支線乗降場を経由して車両が運行される少なくとも一つの支線路線とから構成される複合路線の運行を管理する運行管理装置であって、
車両の利用者であるユーザの目的地となる幹線乗降場である目的乗降場、前記目的乗降場への希望到着時刻、及びユーザの出発地を示す出発地情報を含む希望情報を取得する取得部と、
前記幹線路線を運行する幹線便の各幹線乗降場における発着時刻を少なくとも含む幹線運行情報を参照して、ユーザが乗車すべき幹線便を前記目的乗降場及び前記希望到着時刻に基づいてユーザごとに抽出し、前記抽出された幹線便に当該ユーザが乗車するための幹線乗降場である乗車場を前記出発地情報に基づいてユーザごとに抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された各ユーザが乗車すべき幹線便及び乗車場に基づいて、第1の乗車場において第1の幹線便に乗車するユーザを抽出するユーザ抽出部と、
前記第1の乗車場を起点及び終点として、抽出されたユーザのそれぞれの出発地の最寄りの支線乗降場を経由するルートを第1の支線ルートとして設定する支線ルート設定部と、
前記第1の支線ルートを運行する支線便の起点から終点に至るまでの第1の所用時間を算出し、各幹線便が支線路線への適用が可能な車両を含むか否かを示す情報を含む前記幹線運行情報を参照して、前記第1の幹線便の前記第1の乗車場における出発時刻から少なくとも前記第1の所用時間前の時刻以前に前記第1の乗車場に到着する幹線便のうち、前記支線路線に適用可能な車両を含む幹線便を第2の幹線便として抽出する幹線便抽出部と、
前記第2の幹線便に含まれる車両が、前記第1の支線ルートを、前記第1の幹線便の前記第1の乗車場における出発時刻までに前記第1の乗車場に帰着するように運行する支線便を第1の支線便として設定し、設定した前記第1の支線便に関する情報からなる支線便情報を生成する支線便設定部と、
前記第1の支線便に関する支線便情報を出力する出力部と、
を備える運行管理装置。
【請求項2】
前記抽出部は、前記目的乗降場に前記希望到着時刻までに到着する幹線便を、当該ユーザが乗車すべき幹線便として抽出する、
請求項1に記載の運行管理装置。
【請求項3】
前記抽出部は、前記ユーザの出発地情報に示される位置から最寄りの幹線乗降場を当該ユーザの前記乗車場として抽出する、
請求項1または2に記載の運行管理装置。
【請求項4】
前記支線路線に適用可能な車両は、前記幹線便が複数の車両による隊列走行により構成されている場合における複数の車両のうちの一部の車両、または、特定の属性を有する前記幹線便を構成する車両であり、
前記幹線運行情報は、各幹線便が隊列走行により構成されるか否かを示す情報、及び、構成する車両の属性を示す情報を、属性情報として含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の運行管理装置。
【請求項5】
複数の所定の幹線乗降場を経由して車両が運行される幹線路線と、前記幹線路線の一の乗降場を少なくとも起点として一以上の支線乗降場を経由して車両が運行される少なくとも一つの支線路線とから構成される複合路線の運行を管理する運行管理装置により実行される運行管理方法であって、
車両の利用者であるユーザの目的地となる幹線乗降場である目的乗降場、前記目的乗降場への希望到着時刻、及びユーザの出発地を示す出発地情報を含む希望情報を取得する取得ステップと、
前記幹線路線を運行する幹線便の各幹線乗降場における発着時刻を少なくとも含む幹線運行情報を参照して、ユーザが乗車すべき幹線便を前記目的乗降場及び前記希望到着時刻に基づいてユーザごとに抽出し、前記抽出された幹線便に当該ユーザが乗車するための幹線乗降場である乗車場を前記出発地情報に基づいてユーザごとに抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにおいて抽出された各ユーザが乗車すべき幹線便及び乗車場に基づいて、第1の乗車場において第1の幹線便に乗車するユーザを抽出するユーザ抽出ステップと、
前記第1の乗車場を起点及び終点として、抽出されたユーザのそれぞれの出発地の最寄りの支線乗降場を経由するルートを第1の支線ルートとして設定する支線ルート設定ステップと、
前記第1の支線ルートを運行する支線便の起点から終点に至るまでの第1の所用時間を算出し、各幹線便が支線路線への適用が可能な車両を含むか否かを示す情報を含む前記幹線運行情報を参照して、前記第1の幹線便の前記第1の乗車場における出発時刻から少なくとも前記第1の所用時間前の時刻以前に前記第1の乗車場に到着する幹線便のうち、前記支線路線に適用可能な車両を含む幹線便を第2の幹線便として抽出する幹線便抽出ステップと、
前記第2の幹線便に含まれる車両が、前記第1の支線ルートを、前記第1の幹線便の前記第1の乗車場における出発時刻までに前記第1の乗車場に帰着するように運行する支線便を第1の支線便として設定し、設定した前記第1の支線便に関する情報からなる支線便情報を生成する支線便設定ステップと、
前記第1の支線便に関する支線便情報を出力する出力ステップと、
を有する運行管理方法。
【請求項6】
コンピュータを、複数の所定の幹線乗降場を経由して車両が運行される幹線路線と、前記幹線路線の一の乗降場を少なくとも起点として一以上の支線乗降場を経由して車両が運行される少なくとも一つの支線路線とから構成される複合路線の運行を管理する運行管理装置として機能させるための運行管理プログラムであって、
前記コンピュータに、
車両の利用者であるユーザの目的地となる幹線乗降場である目的乗降場、前記目的乗降場への希望到着時刻、及びユーザの出発地を示す出発地情報を含む希望情報を取得する取得機能と、
前記幹線路線を運行する幹線便の各幹線乗降場における発着時刻を少なくとも含む幹線運行情報を参照して、ユーザが乗車すべき幹線便を前記目的乗降場及び前記希望到着時刻に基づいてユーザごとに抽出し、前記抽出された幹線便に当該ユーザが乗車するための幹線乗降場である乗車場を前記出発地情報に基づいてユーザごとに抽出する抽出機能と、
前記抽出機能により抽出された各ユーザが乗車すべき幹線便及び乗車場に基づいて、第1の乗車場において第1の幹線便に乗車するユーザを抽出するユーザ抽出機能と、
前記第1の乗車場を起点及び終点として、抽出されたユーザのそれぞれの出発地の最寄りの支線乗降場を経由するルートを第1の支線ルートとして設定する支線ルート設定機能と、
前記第1の支線ルートを運行する支線便の起点から終点に至るまでの第1の所用時間を算出し、各幹線便が支線路線への適用が可能な車両を含むか否かを示す情報を含む前記幹線運行情報を参照して、前記第1の幹線便の前記第1の乗車場における出発時刻から少なくとも前記第1の所用時間前の時刻以前に前記第1の乗車場に到着する幹線便のうち、前記支線路線に適用可能な車両を含む幹線便を第2の幹線便として抽出する幹線便抽出機能と、
前記第2の幹線便に含まれる車両が、前記第1の支線ルートを、前記第1の幹線便の前記第1の乗車場における出発時刻までに前記第1の乗車場に帰着するように運行する支線便を第1の支線便として設定し、設定した前記第1の支線便に関する情報からなる支線便情報を生成する支線便設定機能と、
前記第1の支線便に関する支線便情報を出力する出力機能と、
を実現させる運行管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行管理装置、運行管理方法及び運行管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人が移動するための交通システムとして、利用者の要求に応じて柔軟に移動手段を提供できるような、いわゆるオンデマンドのシステムに対する要請が高まっている。例えば、下記特許文献1には、オンデマンド車両の運行管理に関するシステムが記載されている。このシステムでは、出発地及び目的地を含む乗降に関する要求に応じた乗降地点が設定され、乗降地点を経由する運行経路が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザの要求に応じた乗降地点が設定されるような交通システムにおいては、ユーザの場所的及び時間的な要求は満たすことが可能である。しかしながら、移動手段を提供する運行事業者においては、限られた車両等のリソースをより一層効率的に活用することが求められている。
【0005】
そこで本発明は、運行事業者における車両等のリソースの効率的な活用を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る運行管理装置は、複数の所定の幹線乗降場を経由して車両が運行される幹線路線と、幹線路線の一の乗降場を少なくとも起点として一以上の支線乗降場を経由して車両が運行される少なくとも一つの支線路線とから構成される複合路線の運行を管理する運行管理装置であって、車両の利用者であるユーザの目的地となる幹線乗降場である目的乗降場、目的乗降場への希望到着時刻、及びユーザの出発地を示す出発地情報を含む希望情報を取得する取得部と、幹線路線を運行する幹線便の各幹線乗降場における発着時刻を少なくとも含む幹線運行情報を参照して、ユーザが乗車すべき幹線便を目的乗降場及び希望到着時刻に基づいてユーザごとに抽出し、抽出された幹線便に当該ユーザが乗車するための幹線乗降場である乗車場を出発地情報に基づいてユーザごとに抽出する抽出部と、抽出部により抽出された各ユーザが乗車すべき幹線便及び乗車場に基づいて、第1の乗車場において第1の幹線便に乗車するユーザを抽出するユーザ抽出部と、第1の乗車場を起点及び終点として、抽出されたユーザのそれぞれの出発地の最寄りの支線乗降場を経由するルートを第1の支線ルートとして設定する支線ルート設定部と、第1の支線ルートを運行する支線便の起点から終点に至るまでの第1の所用時間を算出し、各幹線便が支線路線への適用が可能な車両を含むか否かを示す情報を含む幹線運行情報を参照して、第1の幹線便の第1の乗車場における出発時刻から少なくとも第1の所用時間前の時刻以前に第1の乗車場に到着する幹線便のうち、支線路線に適用可能な車両を含む幹線便を第2の幹線便として抽出する幹線便抽出部と、第2の幹線便に含まれる車両が、第1の支線ルートを、第1の幹線便の第1の乗車場における出発時刻までに第1の乗車場に帰着するように運行する支線便を第1の支線便として設定し、設定した第1の支線便に関する情報からなる支線便情報を生成する支線便設定部と、第1の支線便に関する支線便情報を出力する出力部と、を備える。
【0007】
本発明の一形態に係る運行管理方法は、複数の所定の幹線乗降場を経由して車両が運行される幹線路線と、幹線路線の一の乗降場を少なくとも起点として一以上の支線乗降場を経由して車両が運行される少なくとも一つの支線路線とから構成される複合路線の運行を管理する運行管理装置により実行される運行管理方法であって、車両の利用者であるユーザの目的地となる幹線乗降場である目的乗降場、目的乗降場への希望到着時刻、及びユーザの出発地を示す出発地情報を含む希望情報を取得する取得ステップと、幹線路線を運行する幹線便の各幹線乗降場における発着時刻を少なくとも含む幹線運行情報を参照して、ユーザが乗車すべき幹線便を目的乗降場及び希望到着時刻に基づいてユーザごとに抽出し、抽出された幹線便に当該ユーザが乗車するための幹線乗降場である乗車場を出発地情報に基づいてユーザごとに抽出する抽出ステップと、抽出ステップにおいて抽出された各ユーザが乗車すべき幹線便及び乗車場に基づいて、第1の乗車場において第1の幹線便に乗車するユーザを抽出するユーザ抽出ステップと、第1の乗車場を起点及び終点として、抽出されたユーザのそれぞれの出発地の最寄りの支線乗降場を経由するルートを第1の支線ルートとして設定する支線ルート設定ステップと、第1の支線ルートを運行する支線便の起点から終点に至るまでの第1の所用時間を算出し、各幹線便が支線路線への適用が可能な車両を含むか否かを示す情報を含む幹線運行情報を参照して、第1の幹線便の第1の乗車場における出発時刻から少なくとも第1の所用時間前の時刻以前に第1の乗車場に到着する幹線便のうち、支線路線に適用可能な車両を含む幹線便を第2の幹線便として抽出する幹線便抽出ステップと、第2の幹線便に含まれる車両が、第1の支線ルートを、第1の幹線便の第1の乗車場における出発時刻までに第1の乗車場に帰着するように運行する支線便を第1の支線便として設定し、設定した第1の支線便に関する情報からなる支線便情報を生成する支線便設定ステップと、第1の支線便に関する支線便情報を出力する出力ステップと、を有する。
【0008】
本発明の一形態に係る運行管理プログラムは、コンピュータを、複数の所定の幹線乗降場を経由して車両が運行される幹線路線と、幹線路線の一の乗降場を少なくとも起点として一以上の支線乗降場を経由して車両が運行される少なくとも一つの支線路線とから構成される複合路線の運行を管理する運行管理装置として機能させるための運行管理プログラムであって、コンピュータに、車両の利用者であるユーザの目的地となる幹線乗降場である目的乗降場、目的乗降場への希望到着時刻、及びユーザの出発地を示す出発地情報を含む希望情報を取得する取得機能と、幹線路線を運行する幹線便の各幹線乗降場における発着時刻を少なくとも含む幹線運行情報を参照して、ユーザが乗車すべき幹線便を目的乗降場及び希望到着時刻に基づいてユーザごとに抽出し、抽出された幹線便に当該ユーザが乗車するための幹線乗降場である乗車場を出発地情報に基づいてユーザごとに抽出する抽出機能と、抽出機能により抽出された各ユーザが乗車すべき幹線便及び乗車場に基づいて、第1の乗車場において第1の幹線便に乗車するユーザを抽出するユーザ抽出機能と、第1の乗車場を起点及び終点として、抽出されたユーザのそれぞれの出発地の最寄りの支線乗降場を経由するルートを第1の支線ルートとして設定する支線ルート設定機能と、第1の支線ルートを運行する支線便の起点から終点に至るまでの第1の所用時間を算出し、各幹線便が支線路線への適用が可能な車両を含むか否かを示す情報を含む幹線運行情報を参照して、第1の幹線便の第1の乗車場における出発時刻から少なくとも第1の所用時間前の時刻以前に第1の乗車場に到着する幹線便のうち、支線路線に適用可能な車両を含む幹線便を第2の幹線便として抽出する幹線便抽出機能と、第2の幹線便に含まれる車両が、第1の支線ルートを、第1の幹線便の第1の乗車場における出発時刻までに第1の乗車場に帰着するように運行する支線便を第1の支線便として設定し、設定した第1の支線便に関する情報からなる支線便情報を生成する支線便設定機能と、第1の支線便に関する支線便情報を出力する出力機能と、を実現させる。
【0009】
上記の形態によれば、幹線路線と支線路線とから構成される車両の複合路線において、同一の支線便を利用させるユーザが、ユーザからの希望情報に基づいて、同一の幹線便に同一の幹線乗車場において乗車するユーザとして抽出される。そして、抽出されたユーザの位置情報に基づいて支線路線の支線ルートが設定されるので、設定された支線ルートに基づいて、支線ルートを運行する支線便の起点から終点に至るまでの所用時間が算出できる。これにより、利用する幹線便の幹線乗車場における出発時刻から所用時間前の時刻以前にその幹線乗車場に到着する幹線便を抽出できるので、抽出された幹線便の中から支線路線に適用可能な車両を含む幹線便を抽出できる。従って、抽出された幹線便の車両を適用して、設定された支線ルートを運行する支線便を設定することが可能となるので、運行事業者においては、車両リソースの効率的な活用が実現される。
【0010】
別の形態に係る運行管理装置では、抽出部は、目的乗降場に希望到着時刻までに到着する幹線便を、当該ユーザが乗車すべき幹線便として抽出することとしてもよい。
【0011】
上記の形態によれば、各ユーザが確実に目的地に到着できるような幹線便をユーザごとに抽出できる。
【0012】
別の形態に係る運行管理装置では、抽出部は、ユーザの出発地情報に示される位置から最寄りの幹線乗降場を当該ユーザの乗車場として抽出することとしてもよい。
【0013】
上記の形態によれば、各ユーザにとって適切な幹線乗降場をユーザごとに抽出することが可能となる。
【0014】
別の形態に係る運行管理装置では、支線路線に適用可能な車両は、幹線便が複数の車両による隊列走行により構成されている場合における複数の車両のうちの一部の車両、または、特定の属性を有する幹線便を構成する車両であり、幹線運行情報は、各幹線便が隊列走行により構成されるか否かを示す情報、及び、構成する車両の属性を示す情報を、属性情報として含むこととしてもよい。
【0015】
上記の形態によれば、幹線運行情報を参照することにより、各幹線便が隊列走行により構成されるか否か、及び、幹線便が支線便に適用可能な車両を含むか否かが判別されるので、支線便に適用可能な幹線便の容易な抽出が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面によれば、運行事業者における車両等のリソースの効率的な活用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る運行管理装置を含む運行管理システムの装置構成を示す図である。
【
図2】運行管理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】運行管理装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図4】幹線路線の構成の例を模式的に示す図である。
【
図5】支線路線の構成の例を模式的に示す図である。
【
図9】支線路線の支線乗降場間の所用時間情報を示す図である。
【
図10】運行管理装置において実施される運行管理方法の処理内容を示すフローチャートである。
【
図11】運行管理プログラムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る運行管理装置を含む運行管理システムの装置構成を示す図である。
図1に示される運行管理システム1は、運行管理装置10及び端末T1,T2,T3を含んで構成される。運行管理装置10は、車両が運行される幹線路線と、少なくとも一つの支線路線とから構成される複合路線の運行を管理する装置である。車両は、例えば、運行事業者により提供される路線バス等である。また、車両は、タクシーを含んでもよい。
【0020】
端末T1は、例えば、運行事業者における運行管理者の端末である。端末T2は、車両の利用者であるユーザの端末である。端末T3は、例えば、車両に搭載される端末である。運行管理装置10及び端末T1,T2,T3は、ネットワークNを介して互いに通信可能である。ネットワークNは、主として、無線ネットワークである。なお、端末T1,T2,T3の数量は、図示された数に限定されない。
【0021】
図2は、運行管理装置10の機能的構成を示すブロック図である。運行管理装置10は、例えば、サーバ等のコンピュータにより構成される。本実施形態の運行管理装置10は、
図2に示すように、機能的には、取得部11、抽出部12、ユーザ抽出部13、支線ルート設定部14、幹線便抽出部15、支線便設定部16及び出力部17を備える。
【0022】
また、運行管理装置10の各機能部は、幹線運行情報記憶部20及び支線運行情報記憶部30といった記憶手段にアクセス可能である。これらの記憶部は、運行管理装置10に備えられることとしてもよいし、運行管理装置10からのアクセスが可能に設けられた外部の記憶手段として構成されてもよい。
【0023】
図3は、運行管理装置10のハードウェア構成図である。運行管理装置10は、物理的には、
図3に示すように、CPU101、RAM及びROMといったメモリにより構成される主記憶装置102、ハードディスク、半導体素子等で構成される補助記憶装置103、通信制御装置104などを含むコンピュータシステムとして構成されている。運行管理装置10は、入力デバイスであるキーボード、タッチパネル、マウス等の入力装置105及びディスプレイ等の出力装置106をさらに含むこととしてもよい。
【0024】
図2に示した各機能は、
図3に示すCPU101、主記憶装置102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信制御装置104等を動作させるとともに、主記憶装置102や補助記憶装置103におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。処理に必要なデータやデータベースは主記憶装置102や補助記憶装置103内に格納される。なお、端末T1,T2,T3も、
図3に示すようなハードウェア構成を有するコンピュータシステムとして構成される。なお、本実施形態では、各機能部11~17が、運行管理装置10に構成されることとしているが、複数のコンピュータに分散して構成されることとしてもよい。
【0025】
運行管理装置10の各機能部の説明に先立って、運行管理装置10が運行の管理を実施する車両の複合路線について説明する。複合路線は、幹線路線と少なくとも一つの支線路線とから構成される。幹線路線は、複数の所定の幹線乗降場を経由して車両が運行される路線である。
図4は、幹線路線の構成の例を模式的に示す図である。
図4に示される例では、幹線路線MLは、幹線乗降場A~F(sA~sF)を経由するルートにより構成される。各幹線乗降場A~Fはそれぞれ、駅、住宅地及び商業地等に隣接または近接するように設けられている。なお、幹線路線MLのルートは、
図4に示す例では環状に構成されているが、この例には限定されず、起点から終点までの片道のルートまたは往復するルート等により構成されてもよい。
【0026】
幹線路線では、例えば、予め設定された運行計画(ダイヤ)に基づく定期便が運行されることとしてもよい。定期便は、例えば、大型車両により運行されたり、複数の車両の隊列走行により運行されてもよい。また、幹線路線では、需要予測に応じて、臨時便が運行されることとしてもよい。臨時便に適用される車両は、特に限定されないが、例えば、定期便に用いられる車両よりも小型の車両であってもよい。
【0027】
支線路線は、幹線路線の一の乗降場を少なくとも起点として一以上の支線乗降場を経由して車両が運行される路線である。
図5は、支線路線の構成の例を模式的に示す図である。
図5に示される例では、支線路線BLは、幹線乗降場Cを起点及び終点とするルートにより構成される。支線路線BLでは、予め所定の支線乗降場a~k(sa~sk)が設定されており、これらの全ての支線乗降場を経由する最長ルートにより支線便が運行されてもよい。例えば、需要の増大が予測される時期及び時間帯においては、支線路線BLでは、この最長ルートを経由する支線便が定期便として運行されることとしてもよい。また、ユーザの要求に応じて、支線乗降場a~k(sa~sk)のうちの少なくとも一つの支線乗降場を経由するルートによる臨時便が運行されることとしてもよい。
【0028】
このような複合路線が構成されることにより、例えば、ある幹線乗降場を目的地とするユーザは、ユーザの所在位置の最寄りの支線乗降場から支線便に乗車して、当該支線便の終点の幹線乗降場において幹線便に乗り換えて、目的の幹線乗降場の至ることができる。さらに、幹線便に乗車することによりある幹線乗降場に至ったユーザは、その幹線乗降場を起点とする支線便に乗り換えることにより、その支線便の支線乗降場に至ることができる。
【0029】
再び
図2を参照して、運行管理装置10の各機能部を説明する。取得部11は、車両の利用者であるユーザの目的地となる幹線乗降場である目的乗降場、目的乗降場への希望到着時刻、及びユーザの出発地を示す出発地情報を含む希望情報を取得する。
図6は、希望情報の例を示す図である。
図6に示すように、希望情報は、ユーザを識別するユーザIDに関連付けられた目的乗降場、希望到着時刻及び出発地を含む。希望情報は、例えば、ユーザの端末T2において入力及び送信され、運行管理装置10により受信される。
【0030】
図6に示す例では、ユーザの目的地となる幹線乗降場が希望情報に含まれることとしているが、ユーザの目的地を示す位置情報及び施設情報等がユーザにより入力された場合には、それらの位置情報及び施設情報等に基づいて、最寄りの幹線乗降場が判定され、判定された幹線乗降場が目的乗降場として希望情報に含まれることとしてもよい。
【0031】
また、
図6に示す例では、ユーザの端末T2の位置情報が出発地情報として取得されることとしているが、位置情報に基づいて判定された支線乗降場が希望情報に含まれることとしてもよいし、ユーザにより支線乗降場が直接に指定入力されることとしてもよい。
【0032】
抽出部12は、幹線路線に関する幹線運行情報を参照して、ユーザが乗車すべき幹線便を目的乗降場及び希望到着時刻に基づいてユーザごとに抽出する。
【0033】
幹線運行情報は、幹線路線を運行する幹線便の各幹線乗降場における発着時刻を少なくとも含む情報である。
図7は、幹線運行情報の例を示す図である。
図7に示すように、幹線運航情報は、幹線便を識別する幹線便IDに関連付けられた幹線乗降場A~Fにおける発着時刻を含む。また、幹線運行情報は、各幹線便を構成する車両に関する車両情報をさらに含む。具体的には、車両情報は、各幹線便が隊列走行により構成されるか否かを示す隊列態様に関する情報、車両のサイズを示す情報、及び、定期便であるか臨時便であるかを示す属性情報を含む。後述されるように、車両情報が参照されることにより、幹線便が、支線路線に適用可能な車両を含むか否かが判定される。支線路線に適用可能な車両は、幹線便が複数の車両による隊列走行により構成されている場合における複数の車両のうちの一部の車両、または、特定の属性を有する幹線便を構成する車両である。ここで、支線路線に適用可能な車両が有すべき属性は、例えば、臨時便であることである。さらに、臨時便であり且つ乗客がいないことを、支線路線に適用可能な車両が有すべき属性としてもよい。
【0034】
具体的には、抽出部12は、目的乗降場に希望到着時刻までに到着する幹線便を、当該ユーザが乗車すべき幹線便として抽出する。例えば、
図6に示されるユーザ「U01」の目的乗降場は「D」であり、希望到着時刻は「8:00」であるので、抽出部12は、ユーザ「U01」が乗車すべき幹線便として、幹線乗降場Dに「7:55」に到着する幹線便「M3」を抽出する。なお、抽出部12は、希望到着時刻「8:00」以前に幹線乗降場Dに到着する幹線便「M2」、「M1」をさらに抽出してもよい。
【0035】
また、抽出部12は、抽出された幹線便に当該ユーザが乗車するための幹線乗降場である乗車場を出発地情報に基づいてユーザごとに抽出する。具体的には、抽出部12は、ユーザの出発地情報に示される位置から最寄りの幹線乗降場を当該ユーザの乗車場として抽出する。例えば、ユーザ「U01」の出発地(x01,y01)の最寄りの幹線乗降場が幹線乗降場Cである場合には、抽出部12は、幹線乗降場Cを、ユーザ「U01」が幹線便「M3」に乗車するための乗車場として抽出する。
【0036】
ユーザ抽出部13は、抽出部12により抽出された各ユーザが乗車すべき幹線便及び乗車場に基づいて、同一の乗車場において同一の幹線便に乗車するユーザを抽出する。これにより、同一の幹線便に同一の幹線乗車場から乗車するユーザのグループが形成される。
【0037】
支線ルート設定部14は、一の幹線乗降場を起点及び終点とする支線便の支線ルートを設定する。具体的には、支線ルート設定部14は、当該一の幹線乗降場を乗車場として同一の幹線便に乗車する複数のユーザのそれぞれに最寄りの支線乗降場を経由するルートを、支線ルートとして設定する。
【0038】
図8は、支線ルートの設定の例を示す図である。
図8に示す例では、幹線乗車場C(sC)を乗車場として同一の幹線便に乗車するユーザとして、ユーザU01,U03,U07,U08,U09が、ユーザ抽出部13により抽出されたこととする。ユーザU01,U03,U07,U08,U09の出発地はそれぞれ、位置p01,p03,p07,p08,p09により示される。これらの位置p01,p03,p07,p08,p09の最寄りの支線乗降場はそれぞれ、支線乗降場sa,sc,sf,si,skであるので、支線ルート設定部14は、幹線乗降場Cを起点及び終点として、支線乗降場sa,sc,sf,si,skを経由するルートを支線ルートbrとして設定する。
【0039】
幹線便抽出部15は、支線ルート設定部14により設定された支線ルートを運行する支線便の起点から終点に至るまでの所用時間を算出する。具体的には、幹線便抽出部15は、支線路線の所用時間情報を参照して、支線ルート設定部14により設定された支線ルートの情報に基づいて、その支線ルートの起点から終点に至るまでの所用時間を算出する。
【0040】
図9は支線路線の支線乗降場間の所用時間情報を示す図である。この所用時間情報は、支線運行情報記憶部30に記憶されていてもよい。
図9に示されるように、所用時間情報は、各支線乗降場間の所用時間(分)を含んでいる。
【0041】
具体的には、幹線便抽出部15は、幹線乗降場Cを起点及び終点として、支線乗降場sa,sc,sf,si,skを経由する支線ルートbrの所用時間として、幹線乗降場C-支線乗降場aの所用時間2分、支線乗降場a-支線乗降場cの所用時間5分、支線乗降場c-支線乗降場fの所用時間8分、支線乗降場f-支線乗降場iの所用時間5分、支線乗降場i-支線乗降場kの所用時間6分、及び、支線乗降場k-幹線乗降場Cの所用時間1分の和である27分を、幹線乗降場Cを起点及び終点として、支線乗降場sa,sc,sf,si,skを経由する支線ルートbrの所用時間として算出する。
【0042】
また、幹線便抽出部15は、幹線運行情報を参照して、ユーザ抽出部13により抽出されたユーザが乗車する幹線便の当該ユーザが乗車する乗車場における出発時刻から、少なくとも支線ルートbrの所用時間前の時刻以前に当該乗車場に到着する幹線便のうち、支線路線に適用可能な車両を含む幹線便を抽出する。
【0043】
例えば、幹線乗車場C(sC)を乗車場として幹線便「M3」に乗車するユーザU01,U03,U07,U08,U09がユーザ抽出部13により抽出された場合においては、これらのユーザが乗車する支線便のルートとして支線乗降場sa,sc,sf,si,skを経由する支線ルートbrが設定されるので、幹線便抽出部15は、幹線運行情報(
図7)を参照して、幹線便「M3」の幹線乗車場Cの出発時刻「7:47」から、支線ルートbrの所用時間27分前の時刻「7:20」以前に幹線乗車場Cに到着する幹線便「M2」,「M1」を抽出する。さらに、幹線便抽出部15は、これらの抽出された幹線便のうち、支線路線に適用可能な車両を含む幹線便である幹線便「M2」を抽出する。即ち、幹線便「M2」は、3台隊列により運行されるので、隊列を構成する車両のうちの一部の車両を支線便に適用できる。
【0044】
支線便設定部16は、幹線便抽出部15により抽出された幹線便に含まれる車両が、支線ルート設定部14により設定された支線ルートを、ユーザ抽出部13により抽出されたユーザが乗車する幹線便の、当該ユーザが乗車する乗車場における出発時刻までに当該乗車場に帰着するように運行する支線便を設定する。
【0045】
即ち、上記例示説明のように、幹線便抽出部15により幹線便「M2」が、支線路線に適用可能な車両を含む幹線便として抽出された場合には、支線便設定部16は、例えば、幹線便「M2」を構成する隊列の一部の車両が、支線ルートbrを、幹線便「M3」の幹線乗降場Cにおける出発時刻「7:47」までに幹線乗降場Cに帰着するように運行する支線便を臨時支線便として設定する。
【0046】
具体的には、支線便設定部16は、設定した臨時支線便に関して、適用される車両、支線ルート、支線ルートの始点、終点及び支線乗降場における発着時刻を含む支線便情報を生成する。このように臨時支線便が設定されると、幹線乗降場Cに到着した幹線便「M2」の隊列中の一部の車両が、隊列から離脱して、幹線乗降場Cを起点及び終点とする臨時支線便に適用されることとなる。また、臨時支線便に乗車しているユーザは、臨時支線便が幹線乗降場Cに帰着したときに、幹線便「M3」に乗り換えることにより、各々の目的地に向かうことができる。また、幹線乗降場Cに帰着した臨時支線便の車両を、幹線便「M3」において隊列を構成させることにより、ユーザの乗り換えが不要とされてもよい。
【0047】
支線便設定部16は、設定した臨時支線便の各支線乗降場における発着時刻を示す臨時支線便ダイヤを生成してもよい。例えば
図8に示した支線ルートbrの例では、支線便設定部16は、幹線便「M3」の幹線乗降場Cにおける出発時刻「7:47」にから所定の猶予時間前の時刻を、臨時支線便の幹線乗降場Cにおける帰着時刻に設定する。続いて、支線便設定部16は、幹線乗降場Cにおける帰着時刻から、支線乗降場kから幹線乗降場Cまでの所用時間(
図9の所用時間情報を参照)だけ溯った時刻を、支線乗降場kにおける発着時刻に設定する。続いて、支線便設定部16は、支線乗降場kにおける発着時刻から、支線乗降場iから支線乗降場kまでの所用時間だけ溯った時刻を、支線乗降場iにおける発着時刻に設定する。支線乗降場f,c,aにおける発着時刻及び幹線乗降場Cにおける出発時刻も同様に、
図9に例示した所用時間情報に基づいて設定される。
【0048】
出力部17は、支線便設定部16により生成された支線便情報を出力する。上述のとおり、支線便情報は、設定した臨時支線便に関して、適用される車両、支線ルート、臨時支線便ダイヤ(支線ルートの始点、終点及び支線乗降場における発着時刻)を含む。具体的には、出力部17は、例えば、ユーザ入力に基づく希望情報を送信した端末T2であって、臨時支線便に乗車するユーザの端末T2に支線便情報を送信する。これにより、各ユーザは、自身が乗車すべき臨時支線便の情報を認識できる。また、出力部17は、運行管理者の端末T1に支線便情報を送信する。また、出力部17は、車両の端末T3に支線便情報を送信する。特に、上記例示説明の場合では、支線便情報は、幹線便「M2」,「M3」の車両の端末T3に送信される。
【0049】
次に、
図10を参照して、本実施形態の運行管理装置10の動作について説明する。
図10は、運行管理装置10において実施される運行管理方法の処理内容を示すフローチャートである。
【0050】
ステップS1において、取得部11は、車両の利用者であるユーザの目的地となる幹線乗降場である目的乗降場、目的乗降場への希望到着時刻、及びユーザの出発地を示す出発地情報を含む希望情報を取得する。なお、このステップS1における希望情報の取得は、例えば、幹線便の一部車両を適用した支線便の出発時刻の所定時間(例えば、数分程度(2~3分)の時間)前の時刻を希望情報の受け付けの締め切りとして設定して、行われることとしてもよい。また、ステップS1における希望情報の取得及びステップS2以降の処理は所定の時間間隔で随時行われてもよい。
【0051】
ステップS2において、抽出部12は、幹線路線に関する幹線運行情報を参照して、ユーザが乗車すべき幹線便を目的乗降場及び希望到着時刻に基づいてユーザごとに抽出する。続くステップS3において、抽出部12は、抽出された幹線便に当該ユーザが乗車するための幹線乗降場である乗車場を出発地情報に基づいてユーザごとに抽出する。
【0052】
ステップS4において、ユーザ抽出部13は、ステップS2,S3において抽出部12により抽出された各ユーザが乗車すべき幹線便及び乗車場に基づいて、同一の乗車場において同一の幹線便に乗車するユーザを抽出する。これにより、同一の幹線便に同一の幹線乗降場から乗車するユーザのグループが形成される。
【0053】
ステップS5において、支線ルート設定部14は、当該一の幹線乗降場を乗車場として同一の幹線便に乗車する複数のユーザ、即ちステップS4においてグループ化されたユーザのそれぞれに最寄りの支線乗降場を経由するルートを、支線ルートとして設定する。
【0054】
ステップS6において、幹線便抽出部15は、ステップS5において支線ルート設定部14により設定された支線ルートを運行する支線便の起点から終点に至るまでの所用時間を算出する。
【0055】
ステップS7において、幹線便抽出部15は、幹線運行情報を参照して、ステップS4においてグループ化されたユーザが乗車する幹線便の当該ユーザが乗車する乗車場における出発時刻から、ステップS6において算出された所用時間前の時刻以前に当該乗車場に到着する幹線便を抽出し、抽出した幹線便を構成する車両に、支線路線に適用可能な車両があるか否かを判定する。支線路線に適用可能な車両があると判定された場合には、支線路線に適用可能な車両及びその車両により構成される幹線便の情報を抽出し、処理はステップS8に進む。一方、支線路線に適用可能な車両があると判定されなかった場合には、処理はステップS10に進む。
【0056】
ステップS8において、支線便設定部16は、ステップS7において幹線便抽出部15により抽出された幹線便に含まれる車両が、ステップS5において支線ルート設定部14により設定された支線ルートを運行するような支線便を設定し、設定した支線便に関する支線便情報を生成する。
【0057】
ステップS9において、出力部17は、支線便設定部16により生成された支線便情報を出力する。具体的には、出力部17は、端末T1,T2,T3等に支線便情報を送信する。
【0058】
ステップS10において、運行管理装置10は、取得されたユーザの希望情報に基づいて、全ての幹線便の全ての幹線乗降場についての、設定すべき支線便の設定が完了したか否かを判定する。設定すべき支線便の設定が完了したと判定された場合には運行管理処理が終了する。一方、設定すべき支線便の設定が完了したと判定されなかった場合には、処理はステップS4に戻る。
【0059】
次に、
図11を参照して、コンピュータを運行管理装置10として機能させるための運行管理プログラムを説明する。運行管理プログラムP1は、メインモジュールm10、取得モジュールm11、抽出モジュールm12、ユーザ抽出モジュールm13、支線ルート設定モジュールm14、幹線便抽出モジュールm15、支線便設定モジュールm16及び出力モジュールm17を含む。
【0060】
メインモジュールm10は、運行管理処理を統括的に制御する部分である。取得モジュールm11、抽出モジュールm12、ユーザ抽出モジュールm13、支線ルート設定モジュールm14、幹線便抽出モジュールm15、支線便設定モジュールm16及び出力モジュールm17を実行することにより、
図2に示される運行管理装置10の取得部11、抽出部12、ユーザ抽出部13、支線ルート設定部14、幹線便抽出部15、支線便設定部16及び出力部17のそれぞれの機能が実現される。
【0061】
運行管理プログラムP1は、例えば、磁気ディスクや光ディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体M1によって提供される。また、運行管理プログラムP1は、搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0062】
以上説明した本実施形態の運行管理装置10、運行管理方法及び運行管理プログラムP1によれば、幹線路線と支線路線とから構成される車両の複合路線において、同一の支線便を利用させるユーザが、ユーザからの希望情報に基づいて、同一の幹線便に同一の幹線乗車場において乗車するユーザとして抽出される。そして、抽出されたユーザの位置情報に基づいて支線路線の支線ルートが設定されるので、設定された支線ルートに基づいて、支線ルートを運行する支線便の起点から終点に至るまでの所用時間が算出できる。これにより、利用する幹線便の幹線乗車場における出発時刻から所用時間前の時刻以前にその幹線乗車場に到着する幹線便を抽出できるので、抽出された幹線便の中から支線路線に適用可能な車両を含む幹線便を抽出できる。従って、抽出された幹線便の車両を適用して、設定された支線ルートを運行する支線便を設定することが可能となるので、運行事業者においては、車両リソースの効率的な活用が実現される。
【0063】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…運行管理システム、10…運行管理装置、11…取得部、12…抽出部、13…ユーザ抽出部、14…支線ルート設定部、15…幹線便抽出部、16…支線便設定部、17…出力部、20…幹線運行情報記憶部、30…支線運行情報記憶部、M1…記憶媒体、m10…メインモジュール、m11…取得モジュール、m12…抽出モジュール、m13…ユーザ抽出モジュール、m14…支線ルート設定モジュール、m15…幹線便抽出モジュール、m16…支線便設定モジュール、m17…出力モジュール、P1…運行管理プログラム、T1,T2,T3…端末。