(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】モジュール式経皮弁構造体及び送達方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2019067757
(22)【出願日】2019-03-29
(62)【分割の表示】P 2017200243の分割
【原出願日】2010-01-13
【審査請求日】2019-04-24
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-18
(32)【優先日】2010-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511157424
【氏名又は名称】バルブ メディカル エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】VALVE MEDICAL LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(72)【発明者】
【氏名】リクター ヨラム
(72)【発明者】
【氏名】リクター ヤコブ
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】井上 哲男
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0016288(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能な支持構造体と弁モジュールとを含む複数のデバイスモジュールを備えた、モジュール式経皮人工弁デバイスであって、前記弁モジュールが、弁尖
リングを有する一個構成の弁構成要素であり、かつ平坦
化され、その後に
前記弁構成要素の基部から先端部まで、又は先端部から基部まで、前記弁構成要素の円周軸に沿って巻くことにより折り畳まれる送達構成を有し、
前記弁モジュールが、前記支持構造体から離間して送達され、かつ前記弁モジュールが、経皮送達デバイスからの展開時に前記支持構造体と組み合わされて、前記モジュール式経皮人工弁デバイスを展開した構成へと組み立てる、前記モジュール式経皮人工弁デバイス。
【請求項2】
ロッキング機構をさらに含む、請求項1に記載の弁デバイスであって、前記ロッキング機構が、展開時に支持構造体及び弁モジュールを互いにロックし、前記弁デバイスの展開した構成を形成する、前記弁デバイス。
【請求項3】
ロッキング機構が、
支持構造体及び弁モジュールと一体である、請求項
2に記載の弁デバイス。
【請求項4】
ロッキング機構が、
支持構造体及び弁モジュールと一体でない、請求項
2に記載の弁デバイス。
【請求項5】
ロッキング機構が、弁デバイスが組み立てられ展開された後にインターロックされる
第1及び第2のロッキング部材を含む、請求項
3に記載の弁デバイス。
【請求項6】
ロッキング機構が、インターロッキング曲線溝機構、締まり嵌め、摩擦ロッキング、一体型スナップ嵌め機構、又は相互連結幾何形状若しくはインターロッキング幾何形状の1つである、請求項
2に記載の弁デバイス。
【請求項7】
必要とする体内に人工弁デバイスを組み立てるためのシステムであって、経皮送達デバイスと前記送達デバイス内に含まれる請求項1~
6のいずれかに記載の弁デバイスとを含む、前記システム。
【請求項8】
臨時弁をさらに含み、前記臨時弁が、一個構成の構造又はマルチピース構造の1つを有し、特に前記臨時弁が、前記送達デバイスと同軸である、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
経皮送達デバイスが、プルワイヤ、又はプッシュロッド、又は自己組織化部材の1つをさらに含む、請求項
7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年1月12日に出願の米国仮特許出願第61/144,007号明細書の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、体内に移植するための人工弁デバイスと、その展開方法とに関する。特に、本発明は、多構成要素の、又はモジュール式の、経皮人工弁デバイス、すなわち、分解された状態で送達され、体内で組み立てることが可能な、したがって完全に組み立てられた経皮弁デバイスよりも送達直径を小さくできる人工弁に関する。また、本発明は、かかるモジュール式弁デバイスと、完全に組み立てられた経皮弁デバイスのための送達デバイスに比べて小さな直径を有する送達デバイスとを含むシステム、並びにこの小径送達デバイスシステムを利用してかかるモジュール式弁デバイスを送達及び展開する方法に関する。さらに、本発明は、ロッキング機構を利用してデバイスモジュール同士を共にロックすることを含む、モジュール式弁デバイスの組立方法に関する。
【背景技術】
【0003】
人体には、例えば心臓弁、食道弁、胃弁、腸弁、及びリンパ系内の弁などの多様な天然弁がある。天然弁は、疾病及び経年等々の様々な理由により変質する可能性がある。機能不全を生じた弁は、最小限の圧力損失で単一方向への体液流を維持することができない。機能不全を生じた弁の一例は、狭窄症(すなわち弁の弁尖が完全には開かない)又は閉鎖不全(すなわち弁の弁尖が適切に閉じない)の可能性のある心臓弁である。弁が関係する器官の適切な機能を回復するためには、弁機能を回復させることが望ましい。例えば、心臓における適切な弁機能により、血流は、最小限の圧力損失で弁を介して単一方向へと維持され、それにより、血液循環及び血圧を維持することが可能となる。同様に、適切な食道弁機能により、酸性胃液分泌が食道の内層に炎症を生じさせることも永続的な損傷を与えることもなくなる。
【0004】
いくつかの経皮人工弁システムが説明されている。Andersen等(米国特許第5,411,552号明細書)に記載されている一例は、拡張性ステントと、展開前にこのステント上に設置される折畳み弁とを備える。この折畳み弁は、生体弁であってもよく、又は合成材料から作製されてもよい。Anderson人工弁は、弁-ステントプロテーゼをその最終サイズへと拡張させるために使用されるバルーンを備えるバルーンカテーテルを使用して、送達及び展開される。さらに、「Valve Prosthesis for Implantation in the Body」と題された米国特許第6,168,614号明細書(Andersen等)、及び「System and Method for Implanting Cardiac Valves」と題された米国特許第5,840,081号明細書(Andersen等)を参照されたい。
【0005】
Spenser等(米国特許第6,893,460号明細書)は、生体材料又は合成材料から作製される弁構造体とステントなどの支持構造体とを備える、別の人工弁デバイスを説明している。Spenser人工弁は、入口及び出口を有する導管からなり、この出口に折畳み可能壁部をもたらすように構成された柔軟材料から作製された、圧着可能(crimpable)なリーフ弁(leafed-valve)アセンブリである。この弁アセンブリは、展開前に支持ステントに取り付けられる。完成した弁デバイスは、バルーンカテーテル又は同様のデバイスなどの展開手段を使用して、体内管路内の標的位置にて展開される。
【0006】
人工弁の経皮移植は、標準的な外科処置よりも安全で安価であり、患者回復時間を短縮させることができる。しかし、現在の人造の経皮人工弁は、送達のために圧縮された場合でさえ極度にかさばるという欠点を有する。このかさばることに伴う問題は、さらに大きな直径を有する送達カテーテルが必要となることである。大型のカテーテルは、一般的には、経皮的処置には適さず、静脈切開処置並びに外科医及び/又は複雑且つ困難な穿孔縫合技術を要する。さらに、現在の弁デバイス及び送達システムがかさばること、及び直径が大きいことは、中を通してこれらのデバイスを送達する必要のある解剖学的構造と相俟って、体腔内への送達が、成功率、展開精度、及び合併症リスクから見て問題となる可能性がある。具体的には、送達の複雑さは、例えば、カテーテルが導入される大動脈弓及び/又は蛇行状腸骨動脈/大腿動脈の大きな自然の曲線など、体腔の形状により引き起こされ得る。さらに、かかる直径のカテーテルは、特にかさばる非可撓性デバイスが装填されたときには、より小さな直径のカテーテルよりも可撓性が減少する傾向があり、そのように装填されたカテーテルを細い血管及び特に湾曲した血管に通すように操作することにより、その血管壁に対して損傷を与える可能性が大幅に高まる。
【0007】
現在の経皮弁デバイスを既存の生得的な解剖学的構造に対して正確に配置することは、特に大動脈弁の置換の場合にしばしば問題となる。過度に遠位方向に(すなわち大動脈の方向に)配置された人工弁は、冠状動脈の孔内への流れを遮断するか又は妨げるおそれがある。例えば、冠状動脈口の位置によっては、大動脈壁部に対して押し付けられた人工弁又は大型の天然弁尖のスカートが、孔を物理的に又は機能的に塞ぎ、冠状動脈流を妨げる場合がある。例えば、Piazza, N., et al., "Anatomy of the Aortic Valvar Complex and Its Implications for Transcatheter Implantation of the Aortic Valve,"CIRCULATION CARDIOVASCULAR INTERVENTIONS, 1:74-81 (2008); Webb, JG, et al., "Percutaneous aortic valve implantation retrograde from the femoral artery," CIRCULATION, 113:842-850 (2006)を参照されたい。この閉塞は、物理的なものであることも、機能的なものであることもある。すなわち、冠状動脈の孔は、物理的に開いていても、人工弁により生じた流れパターンの変化により、冠状動脈内への流れが部分的に損なわれる。過度に近位方向に(すなわち左心室の流出路の方向に)配置された人工弁が、僧帽弁の後方弁尖、房室結節、又はヒス束(伝導組織)の妨げとなるおそれがある。人工弁を経皮的に体内に設置される約30%の患者が、ペースメーカを要する。その理由は、この弁が、左脚に過度に近接した状態で、又は左脚上にある状態で、心室端部に配置され、電気伝導装置に対して圧力をかけるからである。例えば、Piazza, N., et al.,"Early and persistent intraventricular conduction abnormalities and requirements for pacemaking following percutaneous replacement of the aortic valve," JACC CARDIOVASCULAR INTERVENTIONS,1:310-316 (2008); Piazza, N., et al.,"Anatomy of the Aortic Valvar Complex and Its Implications for Transcatheter Implantation of the Aortic Valve,"CIRCULATION CARDIOVASCULAR INTERVENTIONS, 1:74-81 (2008)を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第5,411,552号明細書
【文献】米国特許第6,168,614号明細書
【文献】米国特許第5,840,081号明細書
【文献】米国特許第6,893,460号明細書
【非特許文献】
【0009】
【文献】Piazza, N., et al., "Anatomy of the Aortic Valvar Complex and Its Implications for Transcatheter Implantation of the Aortic Valve," Circulation Cardiovascular Interventions, 1:74-81 (2008)
【文献】Webb, JG, et al.,"Percutaneous aortic valve implantation retrograde from the femoralartery," Circulation, 113:842-850 (2006)
【文献】Piazza, N., et al.,"Early and persistent intraventricular conduction abnormalities and requirements for pacemaking following percutaneous replacement of the aortic valve," JACC Cardiovascular Interventions, 1:310-316 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、人造弁の送達を容易にし、また処置の安全性を高めることが求められている。事前組立てされた経皮弁デバイスよりも小さな送達直径を有し、体腔の壁部に対してさらなる損傷を引き起こすことなく血管を通して送達され得る弁デバイスが、極めて望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、多構成要素の又はモジュール式の、経皮弁デバイス及びシステム、並びに分解された状態で人工弁デバイスを送達し、体内においてモジュール式弁デバイスを組み立てる方法に関する。
【0012】
本発明は、低侵襲性のモジュール式経皮人工弁デバイスと、かかるデバイスを含むシステムと、経皮弁送達の方法とを提供する。
【0013】
モジュール式人工弁デバイスは、送達のための複数のデバイスモジュールを備える。一実施形態においては、複数のデバイスモジュールは、弁モジュール及び支持構造体を含み、これらは、体内において組み立てられた弁デバイスへと組み合わされるように設計される。弁モジュールは、弁尖を有する弁デバイスの部分であり、組み立てられると、入口端部及び出口端部を有する導管を形成する。弁モジュール自体は、複数のデバイスモジュールを含んでよい。さらに、一実施形態においては、弁モジュールは、複数の弁セクションをさらに含んでもよく、これらの弁セクションは、インビボ組立てされて、弁アセンブリを形成することができる。次いで、弁アセンブリは、支持構造体と組み合わされて、組み立てられた弁デバイスとなり得る。別の実施形態においては、複数のデバイスモジュールが、展開され、弁アセンブリへと組み立てられ、支持構造体を用いずに移植され得る、複数の弁セクションを含んでもよい。代替として、例えば天然弁尖が疾患を被っている場合に、個々の弁セクションが移植されてもよい。
【0014】
本発明のシステムは、モジュール式人工弁デバイス及び体腔内の所望の位置に弁デバイスを送達するための送達デバイスを含む。さらに、このシステムは、支持構造体に対して弁モジュールを調節可能に連結するための、且つ/又は固定点に対して支持構造体を調節可能に連結するための構成を含んでもよい。本発明のシステムは、臨時弁をさらに含んでもよい。
【0015】
さらに、本発明は、弁を必要とする体腔までモジュール式弁デバイスを送達する方法と、体腔内においてモジュール式弁デバイスを組み立てる方法とに関する。様々な方法を使用して、体内における組立てのために所望の位置までデバイスモジュールを送達することができる。この方法は、カテーテルなどの送達デバイスにより、全体としてではなく分解された状態で(モジュールで)弁を経皮導入するステップを含む。これらのパーツは、支持構造体及び弁モジュールを含んでもよい。弁モジュールは、一個構成の弁構成要素であってもよく、又は複数のパーツを含む弁アセンブリであってもよい。デバイスモジュールは、移植部位にて順次組み立てられてもよく、又は移植部位とは異なる部位にて順次組み立てられて(次いで移植されて)もよい。デバイスモジュールは、特定の弁置換処置に適する任意の順序において、組み立てられ移植されてもよい。したがって、例えば、弁アセンブリのセクションが、例えば上行大動脈又は下行大動脈中など、遠隔部位にて組み立てられ、次いで標的部位まで送達されてもよく、次いでその位置で弁アセンブリが支持構造体に連結される。代替として、弁アセンブリは、遠隔部位にて支持構造体と組み合わされてもよく、次いで、組み立てられた弁デバイスが、標的部位に送達されてもよい。他の代替形態としては、弁デバイスが、標的部位において全面的に組み立てられてもよい。
【0016】
弁モジュールが、支持構造体に取り付けられてもよく、且つ/又は弁セクションが、ロッキング機構により合体されてもよい。本発明のロッキング機構は、デバイスモジュールの一部分であってもよく、つまり、ロッキング機構が、それらの全体として、デバイスモジュールの構造と一体であるか、又は体腔内への送達及び展開前に1又は2以上のデバイスモジュールに取り付けられる。代替として、本発明のロッキング機構は、デバイスモジュールと一体でなくてもよく、つまり、ロッキング機構の少なくとも一部が、モジュール式弁デバイスとは別の構造体であり、すなわちデバイスモジュール(又は複数のデバイスモジュール)の体内への送達及び展開後に1又は2以上のデバイスモジュールに対して適用されるか、又はロッキングプロセスにおいて若しくはロッキング後に弁デバイスから除去される。
【0017】
例えば、一実施形態においては、弁モジュールは、係合された場合に弁モジュールに支持構造体を結合するのに十分な半径方向力を支持構造体に対して加える、ロック可能タブのセットを含んでもよい。別の実施形態においては、支持構造体は、支持構造体に対して外方半径方向力を加えるように設計された弁モジュールの一部分に係合する、例えば溝内のリングなどの幾何学的係合構造体のセットを含んでもよい。さらに別の実施形態においては、弁モジュール及び支持構造体はそれぞれ、雌構成要素を有してもよく、雄構成要素を有するロッキングタブが、組み立てられた弁デバイス内に挿入され、組み立てられた弁デバイスの弁モジュール及び支持構造体の両方と対合して2つの構成要素を共に保持するように配置されてもよい。さらに別の実施形態においては、ピン又はリベットのセットが、支持構造体に対して弁モジュールを接合してもよい。他の一実施形態においては、組み立てられていない弁モジュールの縁部が、ジップロックタイプ留め具による縁部同士の一体的なロックを可能にするインターロッキング幾何形状を含んでもよい。ロッキング機構のいくつかの他の実施形態が、本明細書において説明されるように、又は当業者に容易に認識されるように、本発明の範囲内に含まれる。一体型ロッキング機構により、共にロックされることとなるデバイスモジュールの部分が、適切に位置決めされると自動係合することが可能となってもよい。
【0018】
さらに、デバイスモジュールが、摩擦力、又は磁力、締まり嵌め、若しくは静止嵌めなど他の積極的な配置力によって、定位置に固定されてもよい。プルワイヤ又はプッシュロッドを使用して、弁セクションの組立ての際に弁セクション同士を互いに対して位置決めして、弁アセンブリを形成してもよく、さらにデバイスモジュール同士を組み合わせて組み立てられた弁デバイスを形成する場合には、支持構造体内における弁モジュール(例えば弁アセンブリ)の位置決めを補助してもよい。さらに、プルワイヤは、送達の際にデバイスモジュールを繋ぐ役割を果たしてもよく、それによりモジュールは、縦列状態で送達及び展開され得る。
【0019】
さらに、モジュール式弁デバイスが移植部位にて組み立てられ配置される間に弁機能を維持するのを可能にする、弁送達のためのシステムと、臨時弁を用意することにより、経皮モジュール式弁デバイスを正確に組立て移植する間に弁機能を維持する方法とが提供される。一実施形態においては、臨時弁は、送達システムの一部であってもよく(例えば送達デバイスに取り付けられる)、送達デバイスが血管から抜き出される際に除去されてもよい。別の実施形態においては、臨時弁は、永久弁デバイスの支持構造体上に設置されてもよく、永久弁の弁モジュール(例えば弁尖下位構造体、弁アセンブリ、又は個々の弁セクションなど)の移植により、臨時弁尖が押しつぶされるか平坦化されてもよい。モジュール式人工弁を送達する方法は、臨時弁を展開する中間ステップを含んでもよい。本発明による臨時弁の使用は、モジュール式弁デバイスを送達する方法には不要であるが、経皮弁置換処置の安全性及び成果を向上させるように意図される。
【0020】
本発明により実現され得る利点には、本発明による経皮人工弁システムによって、送達のための弁のかさばりが低減され、送達デバイスの自由度が高まることが含まれる。さらに、この人工弁デバイスは、低侵襲性であり、この経皮送達方法により、外傷性損傷が低減され、処置の複雑さが最小限に抑えられ、それにより処置の安全性が高まり、前記システムを設置して経皮弁置換処置を実施する医療施設の数が増大する。永久人工弁の移植前に臨時弁を設置する1つの利点は、置換処置の際の制限のない逆流を防ぐことにより、経皮弁デバイスの組立て及び配置のための時間的制約が緩和されることである。臨時弁の使用により、オペレータに、モジュール式経皮弁デバイスを組み立て、注意深く及び正確に人工弁デバイスを位置決めし、弁置換処置の成果に悪影響を及ぼすことなく弁の位置を調節するための、幾分かの猶予時間が与えられる。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)複数のデバイスモジュールを備えるモジュール式人工弁デバイスであって、前記デバイスモジュールが、送達デバイスから展開した後で前記弁デバイスへと組み立てられるように設計される、弁デバイス。
(2)複数のデバイスモジュールが、支持構造体及び弁モジュールを含む、上記(1)に記載の弁デバイス。
(3)弁モジュールが、複数の弁セクションをさらに含む、上記(2)に記載の弁デバイス。
(4)複数のデバイスモジュールが、複数の弁セクションを含む、上記(1)に記載の弁デバイス。
(5)弁モジュールが、弁尖下位構造体である、上記(2)に記載の弁デバイス。
(6)弁モジュールが、弁尖-リングである、上記(2)に記載の弁デバイス。
(7)プルワイヤをさらに備える、上記(1)~(5)のいずれかに記載の弁デバイス。(8)ロッキング機構をさらに備える、上記(1)~(7)のいずれかに記載の弁デバイス。
(9)ロッキング機構が、複数のデバイスモジュールと一体である、上記(8)に記載の弁デバイス。
(10)ロッキング機構が、複数のデバイスモジュールと一体ではない、上記(8)に記載の弁デバイス。
(11)支持構造体が、ステントである、上記(2)に記載の弁デバイス。
(12)人工弁デバイスを必要としている体内において前記人工弁デバイスを組み立てるためのシステムであって、送達デバイス及び上記(1)~(6)のいずれかに記載の弁デバイスを含む、システム。
(13)臨時弁をさらに含む、上記(12)に記載のシステム。
(14)第1のチューブをさらに含む、上記(12)に記載のシステム。
(15)送達デバイスが、カテーテルである、上記(12)に記載のシステム。
(16)複数のデバイスモジュールを収容する送達デバイスを用意するステップと、
前記送達デバイスから前記デバイスモジュールを展開するステップと、
前記デバイスモジュールを組み立てて弁デバイスを形成するステップと
を含む、モジュール式弁デバイスを組み立てる方法。
(17)デバイスモジュールが、支持構造体及び複数の弁セクションを備え、展開するステップが、前記支持構造体を展開するステップと、次いで前記弁セクションを展開するステップとを含む、上記(16)に記載の方法。
(18)デバイスモジュールが、支持構造体及び複数の弁セクションを備え、組み立てるステップが、
前記弁セクションを組み立てて弁アセンブリを形成するステップと、
前記弁アセンブリ及び前記支持構造体を組み立てて弁デバイスを形成するステップと
を含む、上記(16)に記載の方法。
(19)デバイスモジュールが、ロッキング機構を備え、方法が、
前記ロッキング機構により前記モジュール同士を合体させるステップ
をさらに含む、上記(16)に記載の方法。
(20)送達デバイスが、複数のプルワイヤをさらに収容し、前記プルワイヤがそれぞれ、2つ以上のデバイスモジュールを連結し、組み立てるステップが、前記プルワイヤを使用して前記デバイスモジュールを組み立てるステップをさらに含む、上記(16)に記載の方法。
(21)デバイスモジュールが、支持構造体及び複数の弁セクションを備え、組み立てるステップが、
前記弁セクションを組み立てて弁アセンブリを形成するステップと、
前記弁アセンブリ及び前記支持構造体を組み立てて弁デバイスを形成するステップと
を含む、上記(16)に記載の方法。
(22)デバイスモジュールが、第1のロッキング機構及び第2のロッキング機構を備え、方法が、
前記第1のロッキング機構により弁セクション同士を合体させ、前記第2のロッキング機構により支持構造体に弁アセンブリを取り付けるステップ
をさらに含む、上記(21)に記載の方法。
(23)送達デバイスが、複数のプルワイヤをさらに収容し、前記複数のプルワイヤが、第1のプルワイヤ及び第2のプルワイヤを含み、組み立てるステップが、前記第1のプルワイヤを使用して弁セクションを組み立てて弁アセンブリを形成するステップと、前記第2のプルワイヤを使用して前記弁アセンブリ及び支持構造体を組み立てて弁デバイスを形成するステップとをさらに含む、上記(21)に記載の方法。
(24)人工弁デバイスを必要としている体腔まで前記人工弁デバイスを送達する方法であって、
送達デバイス及び弁デバイスを含むモジュール式弁システムを体腔内に導入するステップであって、前記弁デバイスが複数のデバイスモジュールを含むステップと、
前記送達デバイスから前記デバイスモジュールを展開するステップと、
前記デバイスモジュールを組み立てるステップと
を含む、方法。
(25)デバイスモジュールが、支持構造体及び複数の弁セクションを備え、展開するステップが、前記支持構造体を展開するステップと、次いで前記弁セクションを展開するステップとを含む、上記(24)に記載の方法。
(26)デバイスモジュールが、支持構造体及び複数の弁セクションを備え、組み立てるステップが、
前記弁セクションを組み合わせて弁アセンブリを形成するステップと、
前記弁アセンブリと前記支持構造体とを組み合わせて弁デバイスを形成するステップと
を含む、上記(24)に記載の方法。
(27)組み立てるステップが、移植位置で実施される、上記(24)に記載の方法。
(28)体腔が、大動脈であり、組み立てるステップが、前記大動脈中で実施される、上記(24)に記載の方法。
(29)システムが、複数のプルワイヤをさらに含み、組み立てるステップが、
前記プルワイヤを使用して組み立てられた弁デバイスを形成するステップ
を含む、上記(24)に記載の方法。
(30)デバイスモジュールが、ロッキング機構を備え、方法が、
前記ロッキング機構により前記デバイスモジュール同士を合体させるステップ
をさらに含む、上記(24)に記載の方法。
(31)システムが、臨時弁をさらに含み、方法が、
前記臨時弁を展開するステップ
をさらに含む、上記(24)に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態においてはプルワイヤを使用することにより、弁モジュール(上部に図示する)及び支持構造体(中央)を組み合わせることによって、モジュール式人工弁デバイス(下部)を組み立てる一実施形態を示す図である。
【
図2】複数の弁セクションを含む弁モジュールの一実施形態を示す図である。この例においては、3つの弁セクションが組み付けられて、弁アセンブリを形成する。
【
図3】4つのデバイスモジュール、すなわち、本実施形態においてはカテーテルである送達デバイスの上に連続的に装填され得る3つの弁セクション(弁モジュールを構成する)及び1つの支持構造体を含む、弁デバイスを示す図である。ここで、カテーテルは、体内の所望の部位にデバイスモジュールを送達及び展開するための搬送手段(vehicle)を形成する。
【
図4A-C】4つのデバイスモジュールを含む弁デバイスの一実施形態を組み立てるためにプルワイヤを使用し得る方法の一実施形態を示す図である。
図4Aは、
図3に図示される実施形態などの弁デバイスの組み立てられていないモジュールを通されたプルワイヤを図示する。
図4Bは、弁セクションを弁アセンブリへと組み立てるための、プルワイヤ及びプッシュロッドの使用を図示する。
図4Cは、弁アセンブリ及び支持構造体を弁デバイスへと組み立てるための、プルワイヤ及びプッシュロッドの使用を図示する。
【
図5A-C】組み立てられていない構成(
図5A)、送達構成(
図5B)、及び弁構成要素へと組み立てられた状態(
図5C)における、弁尖下位構造体を含む弁モジュールを示す図である。
【
図6A-C】組み立てられていない構成(
図6A)、送達構成(
図6B)、及び弁構成要素へと組み立てられた状態(
図6C)における、弁尖-リングを含む弁モジュールを示す図である。
【
図7-7A】
図2の弁尖を合体させて弁アセンブリを形成するためのロッキング機構の一実施形態を示す図である。
【
図8A-C】支持構造体上に弁モジュールを取り付けるためのロッキング機構の一実施形態を示す図である。
【
図9】支持構造体に弁モジュールを取り付けるための一体型ロッキング機構としてのロッキングタブの一実施形態を示す図である。
【
図10A-D】支持構造体に弁モジュールを取り付けるための一体型ロッキング機構としてのスタッド-ハーバーロックの一実施形態を示す図である。
図10Aは、弁モジュールのリング上に位置するスタッドと、支持構造体のポスト上に位置するハーバーとを示す。
図10Bは、支持構造体のポスト上に位置するハーバー内にドッキングしたスタッドを示す。
図10C及び
図10C’は、それぞれ正面図及び上面図において、スタッドとハーバーとの間のリッジ/チャネルベースロックの一部としての、スタッド上の垂直方向チャネルを示す。
図10D及び
図10D’は、それぞれ側面図及び正面図において、スタッドとハーバーとの間のリッジ/チャネルベースロックの一部としての、ハーバー上の垂直方向リッジを示す。
【
図11A-B】支持構造体に弁モジュールを取り付けるためのクイックリリースロッキング機構の一実施形態を示す図である。
【
図12A-B】一体型ロッキング機構及び非一体型ロッキング機構としてのスナップ嵌めロックの一実施形態を示す図である。
図12Aは、支持構造体に弁モジュールを取り付けるための非一体型スナップ嵌めロックを示す。
図12A’は、スナップ嵌めプロングを示す。
図12Bは、スナップ嵌めレセプタクルにより弁モジュールが支持構造体に取り付けられた状態の、非一体型スナップ嵌めロックの別の実施形態を示す。
【
図13A-E】支持構造体に弁モジュールを取り付けるための非一体型ロッキング機構としてのインターロッキング幾何形状を示す図である。
図13Aは、ピンを示す。
図13Bは、使用時のピンを示す。
図13Cは、ペグを示す。
図13Dは、リベットを示す。
図13Eは、スタッド-チューブコネクタを示す。
【
図14A-C】インターロッキング曲線溝機構の一実施形態の複数の態様を示す図である。
図14Aは、ストリングを使用して、組み立てられていない弁モジュールの側部をインターロッキング曲線溝機構に取り付けることができる方法を側面図により示す。
図14Bは、インターロッキング曲線溝機構の一実施形態の断面図を示す。
図14C及び
図14C’は、ロックされていない状態(
図14C)及びロックされた状態(
図14C’)の、インターロッキング曲線溝機構の別の実施形態の断面図を示す。
【
図15】支持構造体に取り付けられたポストを示す図である。
【
図16】本発明による送達システムの一部としての臨時弁の一実施形態を示す図である。
【
図17】支持構造体に取り付けられて共に送達される臨時弁の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、移植可能なモジュール式経皮人工弁デバイス、システム、並びに移植可能な経皮モジュール式心臓弁デバイス及び他の移植可能な経皮モジュール式弁デバイスを体腔内に経皮的に送達及び展開するための方法とを提供する。本発明は、侵襲手術の必要性を伴わずに人工弁デバイスを体腔内に安全に送達することを可能にするモジュール式人工弁システムを提供する。
【0023】
本発明の人造弁デバイスは、送達及びインビボ組立のために複数のデバイスモジュールを含む。これらのデバイスモジュールは、例えば弁移植部位の付近、弁移植部位、又は移植部位からやや離れた位置などの、体内の所望の位置に送達することができ、それらの位置において組み立てることにより、組み立てられた弁デバイスを形成することができる。機能的観点から、これらの複数のデバイスモジュールは、支持構造体及び弁モジュールを含むことができる。支持構造体は、デバイスの枠組みすなわち骨組みをなし、弁モジュールを収容し、体腔内において弁モジュールを定位置に保持する。弁モジュールは、弁デバイスの弁尖を含み、作動構成へと組み立てられると、入口端部及び出口端部を有する導管を形成する。弁モジュールは、複数のデバイスモジュールを含んでもよく、又は1つのデバイスモジュールであってもよい。
【0024】
本明細書においては、「デバイスモジュール」という用語は、例えば支持構造体、弁尖下位構造体、又は弁セクション(例えば弁アセンブリの一部)などの、組み立てられていない状態で送達され、次いで弁デバイスへとインビボで組み立てることができる、モジュール式弁デバイスの構成要素を指す。本明細書においては、「弁モジュール」という用語は、組み立てられていない折り畳まれた構成で送達され、組み立てられて、弁アセンブリなどの1又は2以上の弁尖を備える永久弁デバイスの部分を形成することのできる、1又は2以上のデバイスモジュールを指す。したがって、弁モジュール自体は、1又は2以上のデバイスモジュールを含んでもよい。「臨時弁」という用語は、「永久的に」設置される弁であるモジュール式弁デバイスと区別されるものとしての、臨時的に機能を果たすために設置される弁を指す。多構成要素という用語とモジュール式という用語は、本明細書においては置換可能なものとして使用される。「移植部位」、「移植位置」、及び「標的部位」という用語は、本明細書においては置換可能なものとして使用される。
【0025】
一実施形態においては、モジュール式弁デバイスは、複数のデバイスモジュール、すなわち1つの支持構造体と、弁アセンブリへと組み立てることのできる複数の弁セクション(弁尖をそれぞれ含む)とを備える。複数の弁セクションは、共に取り付けられて、一方向流体流を可能にするように開閉する弁アセンブリを形成することができるように形作られる。弁セクション又は弁尖は、正常に機能する生得の弁の生理作用と極めて一致するように機能する。支持構造体及び弁セクションは、体腔内へ順次送達され得る。弁セクションは、支持構造体内において弁アセンブリへと組み合わされるか、又は弁アセンブリへと組み合わされた後に支持構造体内において組み合わされ得る。代替として、弁セクションは、1つずつ支持構造体に取り付けることにより、組み立てられた弁デバイスを形成してもよい。
【0026】
別の実施形態においては、モジュール式弁デバイスは、支持構造体を伴わずに送達され、組み立てられ、移植される、複数の弁セクションを含んでもよい。
【0027】
三弁尖構成を有し得る(しかしそれに限定されない)弁アセンブリは、体腔内の標的位置に位置決めされるように構成されている支持構造体上に設置されてもよい。弁アセンブリは、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の弁セクションを含んでもよい。支持構造体は、血管壁に調節可能に連結されてもよく、弁モジュールは、血管壁に対する支持構造体の位置の再微調節又は展開後の支持構造体に対する弁モジュールの位置の再微調節が可能となるように、支持構造体に調節可能に連結されてもよい。
【0028】
さらに別の実施形態においては、モジュール式弁デバイスは、2つのデバイスモジュールと、1つの支持構造体と、単体の弁構成要素である1つの弁モジュールとを含む。この2つのデバイスモジュールは、体腔に順次送達され、体内で組み立てられ得る。前記単体の弁構成要素は、組み立てられていない構成として低プロファイル送達構成へと前記弁構成要素を折り畳むのに有効な形状としてもよく、導管を有する組み立てられた作動構成としてもよい。
【0029】
一実施形態においては、一個構成の弁構成要素は、組み立てられていない構成においては、弁尖下位構造体、すなわち第1の端部、第2の端部、及び基部-先端部間軸を有する実質的に平坦な単層構造体であってもよい。組み立てられていない弁尖下位構造体は、例えば単一軸に沿って巻くことなどにより、送達構成へと巻かれ、支持構造体から離れる方向に送達され(又は支持構造体に固定的に連結され)、広げられ、弁構成要素に取り付ける(作動構成)ことができ、第1の端部及び第2の端部は、共にロックされ得る。弁尖下位構造体は、弁尖下位構造体と共に巻かれ、弁尖下位構造体をその組み立てられた作動構成に変形させるのを補助するためのリングへと形成され得る、塑性変形可能部材を備える。別の実施形態においては、一個構成の弁構成要素は、組み立てられていない構成においては、弁尖-リング、すなわち第1の端部、第2の端部、及び基部-先端部間軸を有する実質的に平坦な二層構造体であってもよい。この組み立てられていない弁尖-リングは、例えば単一軸に沿って巻くことなどにより、送達構成へと巻かれ得る。折り畳まれた、組み立てられていない弁尖リングは、送達され、次いで開かれ、弁構成要素に取り付ける(作動構成)ことができる。弁尖-リングは、塑性変形可能リング部材を備え、この部材は、弁尖-リングを組み立てられていない構成に維持し得る組み立てられていない構成と、この部材が拡張され、弁尖-リングを組み立てられた作動構成に維持することができる組み立てられた構成とを有する。
【0030】
いずれの実施形態においても、組み立てられていない形状を組み立てられた作動構成へと変形させた後には、一個構成の弁構成要素は、支持構造体と組み合わされ、支持構造体上にロックされて、組み立てられた弁デバイスを形成することができる。自己組織化部材を含む同様の一個構成の弁構成要素の例、及び自己組織化部材を使用してこの一個構成の弁構成要素を折り畳み組み立て得る方法が、2010年1月12日に出願された、「Self-Assembling Modular Percutaneous Valve and Methods of Folding, Assembly and Delivery」と題された同時係属米国特許出願第12/686,338号明細書(自己組織化)の
図2a~4b及び段落43、48~57に詳細に説明されている。該出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
モジュール式弁デバイスのさらに別の実施形態においては、支持構造体は、2つ以上のデバイスモジュールとして用意されてもよい。例えば、支持構造体は、例えば長手方向に整列され、共にリンクすることにより組み立てられ得る2つの拡張可能チューブ状構造体などを含むように、円周軸に沿って分割されてもよい。かかる一実施形態においては、マルチパーツ式支持構造体の各部分が、一個構成の支持構造体よりも高い半径方向剛性を有しつつも、2つ以上の圧縮されたチューブとして送達されることにより送達時の長手方向可撓性を維持することが可能である。代替として、支持構造体は、長手方向軸に沿って分割され、各半部が支持構造体の総体よりも小さな直径へと圧縮され得る二等分チューブとして送達されてもよい。
【0032】
本明細書においては、「組み立てられた」は、弁アセンブリ、弁構成要素、又は弁デバイスが、作動構成にある(例えば、平坦な、巻かれた、又は分離されたデバイスモジュールではなく、実質的にチューブ状である)が、モジュールが、必ずしも共にロックされていないことを意味する。さらに、組み立てられた構成は、弁モジュールが、実質的にチューブ状であり、定位置に弁尖を有する導管を形成する構成である、作動構成と呼ぶこともできる。「組み立てられていない」弁モジュールは、送達のために折り畳まれてもよく(送達構成)、又は開かれ組立て可能な状態であってもよい。「組み立てられていない」一個構成の弁構成要素は、第1の端部及び第2の端部を有する弁尖下位構造体を備えてもよく、この弁尖下位構造体は、それらの端部が連結されて組み立てられた弁構成要素が形成される(作動構成)ように、上述のようにリングへと構成され得る。同様に、上述のように、「組み立てられていない」弁アセンブリは、複数の弁セクションを含み、これらのセクションは、送達のためのモジュールの折り畳みを最適化するために、例えばリング状に構成されるのではなく一列に配列されるなど、縦列状態で合体させることができる。代替として、弁セクションは、取り付けずに別個に送達されてもよい。
【0033】
弁モジュールを構成する1又は2以上のデバイスモジュールの組み立てられていない構成は、送達に関して特に利点をもたらす。その理由は、弁モジュールが、送達構成へと折り畳まれ得るものであり、この構成により、送達のために弁モジュールの直径が最小化されるからである。この特徴は、現在の経皮弁デバイスにおいて実現され得るものではない。
【0034】
本発明は、移植可能なモジュール式経皮弁デバイスのモジュール同士又は一個構成の組み立てられていない弁構成要素の端部同士を合体させるためのロッキング機構を提供する。本発明のロッキング機構は、一体型ロッキング機構又は非一体型ロッキング機構であることが可能である。「一体型」とは、ロッキング機構の構成要素(又は複数の構成要素)が、送達の際にデバイスモジュールに取り付けられるか、又は構造的にデバイスモジュールの一部であるという点において、1又は2以上のデバイスモジュールと連続していることを意味する。一体型ロッキング機構は、一般的には、組立て時又は組立て後のデバイスモジュールのロッキングを果たす。「非一体型」とは、ロッキング機構が、デバイスモジュールとは別個であり離間した1又は2以上の構造体、好ましくはデバイスモジュールと同一の送達デバイスにおいて送達され、弁デバイスが組み立てられた後でデバイスモジュールに適用され、デバイスモジュール同士を共にロックするか、又はロッキングプロセスの際若しくはロッキング後に弁デバイスから除去されるものを含むことを意味する。例えば、非一体型ロッキング機構は、別個に送達され、弁デバイスが組み立てられた後でデバイスモジュールに適用され、デバイスモジュール同士を共にロックしてもよい。代替として、非一体型機構は、モジュール同士が共にロックされるのを可能にするために除去することが可能な、ブロッキングタブなどのロッキングを防ぐ部材であってもよい。非一体型ロッキング機構は、非一体型パーツと相互連携する、例えば穴、溝、又は他の構造的パーツなど、デバイスモジュールの一体型の特徴部を部分的に利用してもよい。また、本発明の一体型ロッキング機構は、事前組立てされた経皮弁デバイスのパーツを共にロックするために適用可能なものであってもよい。
【0035】
例えば、弁セクション(又は弁尖下位構造体の側部)が、はめ込み継手タイプの構成要素などの一体型ロッキング機構、スロット付きフック機構、インターロッキング曲線溝(ジップロック)機構、締まり嵌め、摩擦ロッキング、スナップ嵌めプロング及びスナップ嵌めレセプタクルを備える一体型スナップ嵌め機構、並びに鉤留め構成要素、釣り針、相互連結幾何形状又はインターロッキング幾何形状(例えばダブテール又はピン、ペグ、リベット、又はスタッド-チューブコネクタなど)によって取り付けられてもよい。代替として、弁セクション又は弁尖下位構造体の側部が、スナップ嵌めプロング及びスナップ嵌めレセプタクルを備える非一体型スナップ嵌め機構、圧力固定コネクタ、並びに、ピン、ペグ、リベット、及びスタッド-チューブコネクタなどの非一体型インターロッキング幾何形状などの、別個の(非一体型の)ロッキング構成要素を使用して、合体されてもよい。
【0036】
同様に、本発明は、弁モジュールと支持構造体を合体させるためのロッキング機構を提供する。例えば、弁モジュールと支持構造体は、フック-溝構成要素、スロット付きフック機構、ロッキングタブ、スタッド-ハーバーロック、はめ込み継手構成要素、一体型スナップ嵌め機構、鉤留め構成要素、釣り針、並びにピン、ペグ、リベット、及びスタッド-チューブコネクタなどの一体型インターロッキング幾何形状などの、一体型ロッキング機構により取り付けられてもよい。代替として、弁モジュールと支持構造体は、圧力固定コネクタ、非一体型スナップ嵌め機構、並びに、ピン、ペグ、リベット、及びスタッド-チューブコネクタなどの非一体型インターロッキング幾何形状などの、別個の(非一体型の)ロッキング構成要素を使用して、合体させてもよい。
【0037】
これらのロッキング機構は、例えばステンレス鋼、例えばニチノールなどの形状記憶合金、又は、例えばコバルトクロムなどの適切な原子組成のアモルファス金属など、支持構造体と同一の材料から製造されてもよく、又は、弁モジュール材料から、若しくは当技術において認められるような他の適切な生体適合性材料から作製されてもよい。
【0038】
本発明のシステムは、弁デバイスのモジュールと送達デバイスとを含む。モジュール式弁デバイスは、送達デバイス内において分解された状態で送達される。弁デバイスの2つ以上のモジュールが、カテーテルなどの送達デバイス又は当技術において知られている他の同様のデバイス内に事前装填された状態で用意されてもよく、又は、送達デバイスが体腔内に挿入された後に送達デバイス内に装填されてもよい。支持構造体及び弁モジュール(又は弁セクション)は、縦列状態でカテーテル内に装填されてもよい。代替として、支持構造体が、初めにカテーテル内に装填され、送達されてもよく、次いで、弁モジュール又は弁セクションが、縦列状態でカテーテル内に装填され、完成デバイスが組み立てられる支持構造体内に送達されてもよい。
【0039】
さらに、本発明は、体腔内の標的位置にモジュール式弁デバイスを送達し、モジュール式弁デバイスを組み立てるための方法を提供する。デバイスモジュールは、例えば血管内カテーテル又は腔内カテーテルなどのカテーテルなど、適切な送達デバイス内において順次送達され得る。デバイスモジュールは、送達デバイス内に事前装填された状態で用意されてもよく、又は送達デバイスが体腔内に挿入された後に送達デバイス内に装填されてもよい。デバイスモジュールは、任意の順序で送達することができる。デバイスモジュールが支持構造体と複数の弁セクションとを含む特定の一実施形態においては、支持構造体が、初めに送達され、その後に各弁セクションが続いてもよい。
【0040】
送達されて送達デバイスから展開した後に、デバイスモジュールは、体内、例えば体腔内又は移植部位などの体腔内で組み立てられて、完全に組み立てられた弁デバイスを形成し、本発明のロッキング機構を使用することにより合体させることができる。デバイスモジュールは、例えばモジュール同士又はモジュールの部分同士を互いに対して位置決めするためのプルワイヤを使用して、組み立てられてもよい。例えば、複数の弁セクションが、順次送達のためにプルワイヤを介して連結されてもよく、さらに、縦列状態で送達され標的部位に位置決めされた後に、プルワイヤを使用して、弁セクションの組立て時にデバイスモジュール同士の位置を相互に位置決めしてもよい。また、プルワイヤは、ロッキング機構を介した弁セクションの支持構造体への連結を容易にし、組み立てられた弁デバイスを形成するために支持構造体内における弁アセンブリの位置決めを補助することができる。他の実施形態においては、プッシュロッドが、単独で、又は例えばプルワイヤとの組み合わせにおいてなど他の部材共に、デバイスモジュールを組み立てるために使用されてもよい。プッシュロッドは、例えばスティッフワイヤ又はチューブ状構造体などであってもよい。デバイスモジュールの遠隔操作により、体内におけるパーツの組立てが容易となる。代替として、デバイスモジュールは、本出願と同日に出願された同時係属米国特許出願第 号明細書(自己組織化)の段落38~38、45~46、51~69、及び
図2a~10に詳細に説明されているように、例えば形状記憶ワイヤ又は形状記憶バンドなどの自己組織化部材を少なくとも部分的に利用することにより組み立てられてもよい。該出願は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、弁尖下位構造体が、プッシュロッドの使用により又は使用を伴わずに弁尖下位構造体を弁尖下位構造体の縁部が共に接合された弁構成要素へと組み立てるために使用される自己組織化部材に取り付けられた状態で、送達されてもよく、本発明によるロッキング機構が、弁尖下位構造体の縁部を共にロックしてもよい。第2の自己組織化部材が、弁構成要素及び支持構造体の組立てを補助してもよく、弁構成要素及び支持構造体は、次いで本発明のロッキング機構を使用して取り付けてもよい。弁モジュールは、弁デバイスの移植後の弁モジュールの位置の最終調節が可能な調節可能に支持構造体に連結されてもよい。非一体型のロッキング機構が、送達デバイスを介して同様に送達及び展開されてもよい。
【0041】
本明細書において説明される方法により、組み立てられていないセクションとして弁デバイスを送達し、体内で弁セクションを組み立てることによって、当技術の経皮人造弁に現在必要とされる直径よりも小さな直径の体腔を介して、人工人造弁を経皮的に送達することが可能となる。例えば、最終標的部位に位置を再位置決めする前に例えば上行大動脈などの最終移植位置にて又は体腔内において弁デバイスのモジュールを1つずつ組み立てることにより、人工弁の体内への挿入に必要な孔のサイズが、小さくなり、血管内の所望の位置にデバイスを送達する容易性及び自由度が高くなる。本発明の組み立てられていない弁デバイスのプロファイルの低下により、本発明の送達デバイスが、当技術において必要な送達デバイスの典型的な直径に比べて大幅に小さな直径を有することが可能となる。したがって、例えば、本発明における送達デバイスは、15フレンチ又は5mm未満の直径を有することができる。
【0042】
本発明のシステムは、モジュール式弁デバイスを組み立て移植する間に弁作用を維持するためのデバイスをさらに含んでもよい。例えば、約30秒以上の時間がかかる経皮モジュール式弁の組立てを進めることが可能となるように、モジュール式弁デバイスの組立て及び移植の際に機能する臨時弁を使用して弁作用を維持してもよい。この臨時弁は、一時的に使用されるに過ぎないため、臨時弁は、永久弁に要求されるようには、長期間にわたって最適な状態で、反復的に、及び予想通りに機能する必要はない。また、臨時弁は、完全に開く又は完全に閉じる必要もない。臨時弁は、同一の機能精度及び機能期間を有する必要はなく、同一の材料から作製される必要はなく、又は体内における同一の長期存続性を有する必要はないため、臨時弁は、より効率的な設計を有することが可能である。臨時弁は、薄い材料から作製することが可能であり、弁尖は、置換処置の際に十分な一時的機能を果たすように部分的に取り付けることが必要であるに過ぎず、したがって、臨時弁は、例えば送達の際などにスペースをあまり占有しないように構成することが可能である。
【0043】
一実施形態においては、臨時弁は、送達デバイス上に設置され、正確な配置を要さずに迅速に展開されることにより、モジュール式弁デバイスが組み立てられ移植位置に正確に配置される間に弁機能を維持してもよい。臨時弁は、永久弁移植部位に、又は永久弁移植部位から移動された位置に、配置されてもよい。別の実施形態においては、臨時弁は、支持構造体が拡張され移植されると直ちにある弁機能が確立されるように、支持構造体に取り付けられてもよい。これは、オペレータが弁モジュール(又は複数の弁モジュール)を組み立て、それを正確に、適切な血流が阻害されることをあまり心配せずに、支持構造体内の定位置に移動させるための時間をもたらす。弁モジュール(又は複数の弁モジュール)は、臨時弁を覆うように配置され、支持構造体と組み合わされてもよい。好ましくは、臨時弁は、例えば経皮送達のために折り畳むことが容易であり、設置が容易であり、作動のためにポップオープンすることが容易な単純な設計を有する膜などの、一個構成の構造体である。代替として、臨時弁は2つ以上のピースを含んでもよいが、好ましくは、依然として送達のために折り畳むことが容易であり、設置が容易であり、作動のためにポップオープンすることが容易なものである。
【0044】
臨時弁が、圧縮された支持構造体の内部に折り畳まれた状態で送達される場合には、永久タイプの事前に組み立てられた経皮弁デバイスにより実現可能な送達プロファイルよりも小さい送達プロファイルを実現することができる。その理由は、臨時弁が、比較的単純な幾何形状を有し、永久弁モジュールよりも薄く耐久性の低い材料から製造することができるからである。この実施形態のいくつかの態様においては、臨時弁は、生物分解性材料から構成されてもよい。
【0045】
本発明のデバイス、システム、及び方法は、経皮大動脈弁の置換で使用するように特に構成されているが、例えば肺動脈弁、僧帽弁、及び三尖弁などの他の心臓弁、並びに抹消血管系中の又は消化管、リンパ管、集合胆管、及び置換を要するか若しくは弁の移植が必要な弁を有する任意の他の体腔などの他の体腔中の弁の代替物として使用することもできる。モジュール式弁デバイスが、大動脈弁と置換するために設計される場合には、このデバイスは、上行大動脈中、下行大動脈中、心室中、移植部位、又は一部分が移植部位に及び一部分が大動脈中において、組み立てられてもよい。これらのデバイス、システム、及び方法は、人体の体腔内で使用するように特に構成されているが、動物における適用もまた可能である。
【0046】
モジュール式弁デバイスの弁構成要素及び弁アセンブリは、ポリマー、金属、又は生物学的材料などの適切な材料から製造することができる。材料、構造、及び製造方法の選択は、好ましくは、弁の機能、耐久性、及び生体適合性を最適化するように行なわれる。
【0047】
支持構造体は、好ましくは、圧縮された(拡張されていない)状態で送達され、次いで弁デバイスの移植及び組立てのために拡張され得るように、拡張可能なものである。支持構造体は、この構造体が、体腔内においてデバイスの位置を維持しつつ弁構成要素を支持することが可能となるのに十分な耐久性を有する生体適合性材料から製造されてもよい。また、支持構造体の材料は、圧縮状態での支持構造体の送達、及び体腔内での展開時における圧縮された支持構造体の拡張に適合するものである。本発明の一実施形態においては、支持構造体は、ステンレス鋼又は例えばニチノールなどの形状記憶合金から製造される。別の実施形態においては、支持構造体は、当技術において知られているような適切な原子組成のアモルファス金属合金から作製されてもよい。他の実施形態は、当技術において知られている同様の生体適合性材料から製造されてもよい。一実施形態においては、支持構造体は、環状であるが、弁が移植されることとなる位置の体腔の断面形状に応じて他の形状で形成されてもよい。適切な支持構造体の非限定的な一例は、ステントである。ステント、又は任意の他の支持構造体は、自動拡張式又はバルーン拡張性のものであることが可能である。他の同様の支持構造体が、当技術において知られており、本発明によるステントと置換可能である。
【0048】
展開時には、支持構造体は、体腔壁部内に固定されることにより、例えば弁中の流体流の圧力又は閉じた弁に対するその衝撃などによって弁アセンブリが体腔内で移動せず所望の位置から変位しないように、体腔壁部に係合すべきである。支持構造体は、中に弁アセンブリ(又は弁構成要素)を固定するために、本明細書において説明されるものなどのロッキング機構を備えてもよい。さらに、支持構造体は、体腔壁部に対する組み立てられた弁デバイスの固定を容易にするために、フック、リブ、ループ、又は他の固定デバイスを備えてもよい。血管壁に対する支持構造体の連結及び支持構造体に対する弁アセンブリの連結は、定位置において調節可能であってもよい。
【0049】
本発明のデバイス及び方法は、経皮大動脈弁の置換で使用するように特に構成されているが、例えば肺動脈弁、僧帽弁、及び三尖弁などの他の心臓弁、並びに抹消血管系中の又は消化管、リンパ管、集合胆管、及び置換を要するか若しくは弁の移植が必要な弁を有する任意の他の体腔など、他の体腔内の弁の代替物として使用することもできる。モジュール式弁デバイスが、大動脈弁と置換するために設計される場合には、このデバイスは、上行大動脈中、下行大動脈中、左心室中、移植部位、又は一部分が移植部位に及び一部分が大動脈中において、組み立てられてもよい。これらのデバイス、システム、及び方法は、人体の体腔内で使用するように特に構成されているが、動物における適用もまた可能である。
【0050】
次に、添付の図面を参照として、前述の実施形態、並びに他の実施形態、送達方法、別の設計、及び別のタイプの弁デバイス及びロッキング機構を以下に論じ、説明する。図面は、本発明の1つの例示的な理解として、及び本発明の特定の実施形態を概略的に示すために、提示されるものであることに留意されたい。同様に、本発明の範囲内において他の同様の例が、当業者には容易に認識されよう。図面は、添付の特許請求の範囲において規定されるような本発明の範囲を限定するようには意図されない。
【0051】
図1は、モジュール式人造弁デバイスの弁モジュール10及び支持構造体20を組み立て得る方法の一実施形態を示す。弁モジュール及び支持構造体を組み合わせて組み立てられた弁デバイスを形成する方法を示すために、
図1においては、弁モジュールは、組み立てられた状態で示され、弁アセンブリ又は弁構成要素に相当するものであってもよい。この実施形態においては、弁モジュール10及び支持構造体20は、プルワイヤ40又は同様のものによって組み立てられることにより、組み立てられた弁デバイス30をもたらすことができる。支持構造体20及び弁モジュール10は、
図1に図示されるように、順次、縦列状態で送達されてもよく、この場合には、モジュールは、プルワイヤ40によって繋がれてもよい。弁モジュール10は、両モジュールに連結され得るプルワイヤ40を使用して支持構造体20内に引き込まれてもよく、次いで、弁モジュール10は、支持構造体20に取り付けられてもよい。この組立ステップは、例えば大動脈流出路の体腔内又は上行大動脈内などにおいて実施されてもよい。支持構造体20に対する弁モジュール10の取付けは、本明細書において説明されるように、複数のロッキング機構のいずれかによるものであってもよい。代替として、支持構造体20及び弁モジュール10は、別個に、すなわち非縦列状態で(図示せず)送達されてもよい。例えば、支持構造体20が、送達され、最終位置にて展開され、次いで弁モジュール10が、送達され、支持構造体20内で展開され、それによりモジュールを組み立てられた弁デバイス30へと組み立ててもよい。
【0052】
図2は、4つのデバイスモジュール、すなわち1つの支持構造体(図示せず)及び3つの弁セクション50a~50cを有する、モジュール式弁デバイスの一実施形態を示す。弁セクション50a~50cは、合体して弁アセンブリ15を形成するように設計される。使用時には、弁セクションは、天然弁中の組織の襞と同様に作動する。弁セクション50a~50cは、プルワイヤ40又はストリングに事前取付けされ、プルワイヤ40又はストリングによって繋がれてもよい。
【0053】
プルワイヤ40又はストリングは、2つの目的を有し得る。第1に、プルワイヤ40は、送達のために弁セクション50a~50cを共に繋ぐことができ、それによりこれらの弁セクション50a~50cは、縦列状態で体腔を通り送達され得る。第2に、カテーテルの端部から外方に延在するプルワイヤ40が引かれて、弁セクション50a~50cが組み立てられて、弁アセンブリ15を作製することができる。
図2のモジュール式弁デバイスを組み立てるためにプルワイヤを使用し得る方法の一例としては、プルワイヤが、1つずつ締められることにより、弁セクションが共に引かれ、それによって支持構造体内において弁アセンブリを形成するか、又は代替として、支持構造体の外部にて弁セクションが共に引かれ、それによって完成された弁アセンブリを形成し、さらに支持構造体内に弁アセンブリを誘導することができる。弁セクションを位置決めし取り付けるための他の手段が、使用されてもよく、本明細書における開示を鑑みることにより当業者には容易に認識されよう。
【0054】
この実施形態の一態様(図示せず)においては、プルワイヤは、プルワイヤ40が引かれることにより
図1に図示される態様と同様に弁アセンブリ15及び支持構造体20が組み立てられて、組み立てられた弁デバイス(図示せず)が作製されるように、支持構造体20(
図3を参照)に対して弁セクション50a~50cを連結してもよい。弁セクションの正確な個数は、実施形態ごとに異なってもよいが、特に、弁アセンブリは、例えば2~6個以上の弁セクションを備えてもよい。一実施形態においては、三尖弁と置換するために設計された組み立てられた弁デバイスは、4つのデバイスモジュール、すなわち組み立てられた弁アセンブリを形成する3つの弁セクションを有してもよく、この弁アセンブリは、支持構造体によって体腔内に固定される。僧帽弁と置換するために設計された組み立てられた弁デバイスは、例えば3つのデバイスモジュール、すなわち支持構造体により体腔内に固定される組み立てられた弁アセンブリを形成する2つの弁セクションを有してもよい。
【0055】
図3は、
図2に図示される実施形態の4つのモジュールを体腔内への送達のためにパッケージングし得る方法を概略的に図示する。4つのデバイスモジュールは、プルワイヤによって繋げられ、図示されるようにリードデバイスモジュールとしての支持構造体と共に縦列状態で送達されてもよい。代替として、弁セクションは、縦列状態で送達されてもよいが、支持構造体は、弁セクションに繋げられていなくてもよい。
図3に図示されるように、支持構造体20及び3つの弁セクション50a~50cは、連続的な送達及び組立てが可能となるように、プルワイヤ40によって緩く連結される。図面の右側に図示されるように、モジュールは、この場合にはカテーテル60である送達デバイス内に装填するために、送達構成へと折り畳まれる。支持構造体20は、自動拡張式のものであってもよく、且つ/又は送達及び展開のためにバルーン上に圧着(crimp)されてもよく、又は当技術において知られている他の手段により圧縮構成から拡張されてもよい。次いで、一連(
図3においては4つ)のモジュールが、カテーテル60内に導入され、それにより、装填されたカテーテルが、体腔内の展開部位にモジュールを送達するために使用可能な状態となる。弁デバイスモジュールは、特定の処置の要求に応じて、体腔内に挿入される前に、又は体腔内に挿入された後に、送達デバイス内に入れられてもよい。カテーテル60が血管内カテーテルである一実施形態においては、弁デバイスモジュールは、ガイドワイヤ上に設置され得るものであってもよい。
【0056】
図2の弁アセンブリ15を備える本発明のモジュール式人工弁デバイスの一実施形態を送達し組み立てる方法は、例えば以下のように進められてもよい。
図3に図示されるように、支持構造体20及び複数の弁セクション50a~50cを担持するカテーテル60などの送達デバイスが、弁デバイスが移植されることとなる最終位置に、適切な血管を介して送られてもよい。支持構造体は、弁セクションを受けることが可能となるように、初めに展開されてもよい。支持構造体が、定位置にくると、弁セクション50a~50cが、順次展開されてもよく、
図3に図示される実施形態においては、弁セクションは、共に繋がれ、縦列状態で展開される。弁セクション50a~50cは、上述のように、例えばプルワイヤ40を使用して組み合わされることにより、弁アセンブリ15を作製することができる。弁アセンブリ15のモジュールは、支持構造体20内において組み立てられてもよく、又は支持構造体20の外部で組み立てられてもよく、次いで、弁アセンブリ15は、
図1に図示されるように支持構造体20内に位置決めされてもよい。弁セクション50a~50cが、組み立てられて、支持構造体20内に弁アセンブリ15が形成されると、各弁セクション50a~50cは、支持構造体20に順次取り付け、次いで合体させてもよい。弁セクション50a~50cは、合体させてもよく、弁アセンブリは、次いで、本明細書において説明されるように、いくつかのロッキング機構のいずれかによって支持構造体に固定されてもよい。
図2及び
図3の弁デバイスは、体内において組み立てられ、次いで最終位置における移植のために位置決めされてもよく、又は、最終位置にて組み立てられてもよい。追加の固定機構が、体腔壁部又は天然血管壁の残りの組織に完全に組み立てられた弁デバイスを誘導及び/又は固定するように構成され使用されてもよい。
【0057】
プルワイヤは、送達のために弁アセンブリ及び支持構造体を緩く繋ぐように、しかしさらにはプルワイヤがオペレータにより引かれた際にデバイスのモジュールが組み合わされる又は組み立てられることが可能となるように、弁アセンブリ及び支持構造体を通されてもよい。プルワイヤは、当技術において知られている任意の適切な手段によって、モジュール式人工弁デバイスのモジュールに繋がれてもよく、この連繋は、デバイスが移植され体腔に固定された後にプルワイヤを除去するためにワイヤの一方の端部を引くことによって、解除可能なものである。したがって、例えば、弁デバイスのモジュールは、プルワイヤが通されるループ又は小穴を備えてもよい。代替として、プルワイヤは、弁セクションを組み立てて弁アセンブリと支持構造体を組み合わせるようにプルワイヤを操作するための機構を備える送達システムの一部分であってもよい。例えば、送達システム内のアクティベータ、機械的機構、又は電流が、プルワイヤを引いてデバイスモジュールを組み立てるために使用されてもよい。
【0058】
図4A~4Cは、プルワイヤ及びプッシュロッドを使用してデバイスモジュールを組み立て得る方法の一例を提示する。さらに、例えばプルワイヤのみ、プッシュロッドのみ、又は自己組織化部材との組合せにおいて、及び例えば形状記憶ワイヤなどの自己組織化部材のみなど、本発明のデバイスモジュールを位置決めし組み立てるための他の方法が、本発明と共に使用されてもよい。自己組織化部材は、2010年1月12日に出願された同時係属米国特許出願第12/686,338号明細書(自己組織化)の段落36~38、45~46、51~69、及び
図2A~10に詳細に説明されている。該出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
特に、
図4A~4Cは、
図3に図示される実施形態などの4つのモジュールを含むモジュール式弁デバイスの一実施形態を組み立てるために使用し得る、一方向プルワイヤ及びチューブ状構造を有するプッシュロッドを図示する。
図4Aは、大動脈81などの体腔内に配設された、弁セクション50a~50cを通され第1のループ41aを含む第1のプルワイヤ41と、弁セクション50a~50c及び支持構造体20を通され第2のループ42aを含む第2のプルワイヤ42とを図示する。図示の明瞭化のために、送達デバイスは、
図4A~4Cには描かれていない。第1のループ41aは、第1の弁セクション50aを通されてもよく、第1のプルワイヤ41の端部41bは、送達デバイスの近位端部の外部に延在してもよい。さらに、第1のプルワイヤは、他の弁セクション(図示の明瞭化のために図示せず)を通されてもよい。第2のループ42aは、支持構造体20を通されてもよく、第2のプルワイヤ42の端部42bは、送達デバイスの近位端部の外部に延在してもよい。
【0060】
図4Bは、弁セクションが、大動脈81内において、第1のプルワイヤ41を使用することにより弁アセンブリ15へと組み立てられている、組立ての後の段階を図示する。この実施形態においては、チューブ状構造を有する2つのプッシュロッドが、デバイスモジュールの組立てのためにプルワイヤ41と共に使用され、
図4B及び
図4Cにおいては第1のチューブ63及び第2のチューブ64と呼ばれる。しかし、1又は2以上の構造体が、第1のチューブ63及び第2のチューブ64として使用されてもよい。
図4Aに示されるような弁セクション50a~50cを組み立てるために、第1のチューブ63が、プルワイヤ41の端部を覆って配置され、送達デバイス内に且つ送達デバイスを通して挿入され、大動脈81内において最近位の弁セクション(例えば
図4Aにおいては50cなど)まで進められてもよい。次いで、第1のプルワイヤ41の両端部41bが、第1のチューブ63に対して引かれることにより、弁セクション同士が共に組み立てられて、
図4Bに図示されるように弁アセンブリ15を形成し、弁セクション同士が共にロックされるのを補助することができる。第1のチューブ63は、次いで除去されてもよい。
図4Bは、この実施形態において、第1のループ41aが、弁アセンブリ15の周囲に通された状態で終端するが、第1のプルワイヤ41及び第1のループ41aが、弁セクションの弁アセンブリへの組立てを容易にするどのような方法で弁セクションに通されてもよいことを示す。第1のプルワイヤ41は、一方の端部を引くことにより除去されてもよい。代替として、第1のプルワイヤ41は、結ばれて切断されることにより、弁アセンブリが連結された状態にされてもよい。第2のループ42aは、依然として独立している支持構造体20を通された状態にあり、第2のプルワイヤ42は、弁アセンブリ15を通された状態にある。
【0061】
次いで、支持構造体20は、弁デバイスの移植標的位置70に位置決めされ、拡張されてもよい。
図4Cに図示されるように、支持構造体及び弁デバイスを組み立てるために、第2のチューブ64は、次いで、第2のプルワイヤ42の端部を覆って配置され、送達デバイス(図示せず)内に及び送達デバイスを通して挿入され、弁アセンブリ15まで進められてもよい。次いで、第2のプルワイヤ42の両端部42bが、第2のチューブ64に対して引かれることにより、弁アセンブリ15及び支持構造体20を組み立てられた弁デバイスに組み立てることができる。具体的には、第2のプルワイヤ42を使用して、支持構造体20に対して弁アセンブリ15を適切に位置決めすることができる。弁アセンブリ15の位置は、第2のプルワイヤ42を段階的に引くことによって調節され、次いで支持構造体20に対してロックされてもよい。次いで、第2のチューブ64は、除去されてもよい。
図4Cは、この実施形態において、第2のループ42aが、支持構造体20の周囲に通された状態で終端するが、第2のループ42aは、弁デバイスの組立て及び支持構造体20内での弁アセンブリ15の位置決めを容易にするどのような方法で、支持構造体20を通されてもよいことを示す。さらに、
図4Cは、支持構造体20が、配置及び拡張されて、大動脈壁部82に対して天然弁尖76を押圧するのを示すが、この処置により必要とされる場合には、天然弁尖は、支持構造体の配置及び拡張の前に除去されてもよい。組み立てられた弁デバイスが、移植部位70にて定位置にくると、第2のプルワイヤ42は、一方の端部を引くことにより除去されてもよい。代替として、第2のプルワイヤ42は、結ばれて切断されてもよい。
【0062】
第1のプルワイヤ及び第2のプルワイヤは、生物分解性材料を含み、定位置に残され、分解され得るものであってもよい。
図4A~4Cに図示される実施形態においては、支持構造体20は、弁セクション50a~50cの組立て後に配置され、拡張されることにより、患者において弁が活動していない期間を最小限に抑える。しかし、別の一実施形態においては、支持構造体20は、弁セクションが弁アセンブリへと組み立てられる前に位置決めされてもよい。例えば、支持構造体は、第2のプルワイヤ42及び第2のチューブ64を使用して位置決めされ、次いで拡張されてもよく、次いで、第2のチューブ64は、好ましくは除去され、第2のプルワイヤ42は、定位置に残され、次いで、弁セクション50a~50cは、第1のプルワイヤ41及び第1のチューブ63を使用して弁アセンブリ15へと組み立てられてもよい。次いで、弁アセンブリ15は、定位置に移動され、第1のプルワイヤ41及び第2のプルワイヤ42を使用して支持構造体20に組み付けられてもよい。弁アセンブリのこれらの方法は、デバイスモジュールとして弁セクションのみを含むモジュール式弁デバイスを含む、
図4A~4Cに図示される4つを上回るか又は4つを下回るモジュールを含むモジュール式弁デバイスに適用可能であり、かかる方法は、本発明の範囲内に適切に含まれる。例えば、2つのモジュール、すなわち弁構成要素と支持構造体とを含むモジュール式弁デバイスが、同様にしてプルワイヤ及びチューブを使用して組み立てられてもよく、これは、上述を鑑みることにより当技術の技術内に適切に含まれる。適する場合には、3つ以上のプルワイヤのセットを使用して、デバイスモジュールを組み立ててもよい。当業者は、所望に応じて、上述のものと同様の、且つ同時係属米国特許出願第12/686,338号明細書(自己組織化)に記載されるような他の組立手段を容易に使用することが可能である。
【0063】
図5A~5Cは、組み立てられていない状態では弁尖下位構造体150を含み得る一個構成の弁モジュールの一実施形態を示す。この一個構成の弁モジュールは、送達直径を最小限に抑える態様、すなわちその送達構成において、折り畳まれ得る。送達システム内に弁尖下位構造体150を装填する前に、この弁尖下位構造体150は、
図5Aに図示されるように、基部と先端部との間に延在する(すなわち組み立てられた弁デバイスの長手方向軸に沿った)高さ方向軸と、円周軸101とを有する、折り畳まれていない、組み立てられていない、実質的に平坦な、且つ概して矩形又は台形の形態で、広げられてもよい。
図5A~5Cに図示される実施形態においては、弁尖下位構造体150は、3つの弁尖150a~150cを有するが、他の実施形態においては、弁尖下位構造体は、2つ以上の弁尖を有してもよい。弁尖下位構造体の円周軸101は、その組み立てられた弁構成要素構成110(
図5Cを参照)において、弁尖下位構造体の外周と等しい。塑性変形可能部材100が、弁尖下位構造体の円周軸101に沿って取り付けられてもよく、それにより、例えば組み立てられていない状態においては、塑性変形可能部材100は、
図5Aに図示されるように基線102に沿って、又は接合線103(図示せず)に沿って、又は基部-先端部軸に沿った他の周囲線に沿って、取り付けられてもよい。送達デバイス内に装填する前に、弁尖下位構造体150は、弁尖下位構造体150の第1の端部151及び第2の端部152が、折り畳まれた弁尖下位構造体155の円筒形状送達構成の端部を形成するように、
図5Bに図示されるように基部から先端部まで、又は先端部から基部まで、その円周軸に沿って巻かれてもよい。
【0064】
送達デバイスから折り畳まれた弁尖下位構造体を展開した後に、弁尖は、開かれ、組み立てられて、
図5Cに図示されるように弁構成要素の3次元構造体を形成することができる。送達構成から弁尖下位構造体155を開く作業は、例えばバルーンカテーテルによって、プルワイヤによって及び/又はプッシュロッドによって、或いはそれらの組合せによって(図示せず)補助されてもよい。一実施形態においては、プルワイヤ及び/又はプッシュロッドを使用し、構造体を解き、弁尖下位構造体150の第1の端部151及び第2の端部152と塑性変形可能部材100の端部とを、リング形状、例えば円形形状、楕円形形状、D字形状、又は弁モジュールに適した任意の他の形状にすることができる。1つのかかる実施形態においては、塑性変形可能部材100は、基線102に取り付けられてもよく、弁尖下位構造体150は、基部から先端部まで円周軸101に沿って巻かれてもよく、塑性変形可能部材100は、
図5Bに図示されるように、折り畳まれた弁尖下位構造体155内に包まれてもよい。この実施形態においては、1又は2以上のプルワイヤ(図示せず)が、弁尖下位構造体150の基部を通され、折り畳まれた弁尖下位構造体155により包まれてもよい。プルワイヤは、
図4B~Cに図示されるものと同様に、例えばチューブ状プッシュロッドとの組み合わせにおいてなど、引かれることにより、送達構成から組み立てられていない構成150へと弁尖下位構造体155を広げるのを補助することができる。当業者には認識されるであろうが、代替として、例えば弁尖下位構造体が先端部から基部まで折り畳まれる実施形態(図示せず)においては、1又は2以上のプルワイヤが、弁尖下位構造体150の弁尖150a~150cの1又は2以上の先端部に取り付けられ、折り畳まれた弁尖下位構造体155内に包まれてもよい。
【0065】
3次元弁構成要素110を形成するために、例えば一実施形態においては、弁尖下位構造体150の第1の端部151及び第2の端部152が、例えばプルワイヤ及び/又はプッシュロッド(図示せず)などを利用して、共に接合されられてもよい。例えば、塑性変形可能部材100の一方の端部が、取り付けられたプルワイヤ(図示せず)を有してもよく、塑性変形可能部材100の他方の端部が、プルワイヤが通されるループ(図示せず)を有してもよい。弁尖下位構造体の第1の端部151及び第2の端部152は、同様に、取り付けられ中に通されたプルワイヤを有してもよい。例えば
図4B~Cにおいて上述されたものと同様のチューブ状プッシュロッドなどのプッシュロッドが、1又は2以上のプルワイヤと組み合わせて使用されることにより、塑性変形可能部材100及び弁尖下位構造体150の端部を共に引いて、チューブ状構造体(図示せず)を形成してもよい。次いで、バルーンカテーテルが、チューブ状構造体を介して挿入され、膨張されて、塑性変形可能部材100及び弁尖下位構造体150をリング様形状に拡張させて、
図5Cに図示されるように、組み立てられた弁構成要素110、すなわち導管を有する作動構成を形成することができる。「リング様形状」は、円形形状、楕円形形状、多小葉形状、D字形状、又は任意の他の弁デバイスに適した形状であってもよい。組み立てられた構成に拡張する前に、又は組み立てられた構成に拡張した後に、以下においてさらに説明されるように第2の端部152に対して第1の端部151を共にロックするために、ロッキング機構が用意されてもよい。
【0066】
図6A~Cに図示される一個構成の弁モジュールの実施形態の別の態様においては、弁モジュールは、弁尖のリング(弁尖-リング)250であってもよい。この実施形態においては、弁尖-リング250は、
図6Aに図示されるように、組み立てられていない構成、すなわち実質的に平坦な二層構造を有してもよい。弁尖-リング250は、例えば弁モジュールの基部(
図6Cを参照)などに取り付けられた、又は組み込まれた、塑性変形可能リング部材200を有してもよい。弁尖-リング250は、
図6Aに図示されるように、二層の実質的に平坦な形状を有する組み立てられていない構成を有する。この実質的に平坦な組み立てられていない構成に押しつぶされた場合に、弁尖-リング250は、ある長さ(又は円周軸)とある幅(又は高さ)とを有する。組み立てられていない構成の塑性変形可能リング部材200は、
図6Aに図示されるように、2つの実質的に平行な長尺部分200a及び2つの折曲端部200bを有してもよく、これらにより、弁尖-リング250は実質的に平坦な組み立てられていない構成に保持され得る。この組み立てられていない構成から、弁尖-リング250は、例えば
図6Aにおいて矢印により示されるように、且つ
図6Bにおいて示されるように、先端部から基部まで、又は基部から先端部までなど、その高さ方向へと円周軸に沿って巻くことによって、送達構成255へと折り畳まれてもよい。
【0067】
プルワイヤ及び/又はプッシュロッド(図示せず)を使用して、送達構成から折り畳まれた組み立てられていない弁尖-リング255を解いてもよい。例えば、一実施形態(図示せず)においては、弁尖-リング250の先端部分が、1又は2以上のプルワイヤに連結されてもよく、この1又は2以上のプルワイヤは、送達のために弁尖-リング250と共に巻かれてもよい。巻かれた弁尖-リング255は、1又は2以上のプルワイヤを引くことによって開かれてもよい。当業者には認識されるであろうが、代替的に、1又は2以上のプルワイヤが、例えば弁尖-リングが基部から先端部まで巻かれる場合などに、弁尖-リングの基部に取り付けられて、送達構成から巻かれた弁尖-リング255を開くのを補助してもよい。
【0068】
3次元弁構成要素210を形成するために、組み立てられていない塑性変形可能リング部材200a、200bが、プッシュロッド及び/又はプルワイヤ、或いはそれらの組合せを使用することにより、例えばバルーン拡張などによって拡張され、それにより、
図6Cに図示されるように、弁尖-リング250が組み立てられた弁構成要素210、すなわち導管を有する作動構成へと変形する。一実施形態においては、例えば、バルーンカテーテル(図示せず)が、広げられ組み立てられていない弁尖-リング250を介して挿入され、膨張されることにより、塑性変形可能リング部材200をリング様形状へと拡張させることができる。「リング様形状」は、円形、楕円形、D字型、又は弁デバイスにとって適切な任意の他の形状であってもよい。この実施形態の一態様(図示せず)においては、ストリング又はプルワイヤが、一方の端部がバルーンカテーテルに連結されてバルーンカテーテルを弁尖-リング250内に引くのを補助するように、弁尖-リング250に事前に通されてもよい。弁尖-リング250が、3次元弁構成要素210へと組み立てられると、弁構成要素210は、ロッキング機構を使用して支持構造体(図示せず)と組み合わされ、支持構造体(図示せず)にロックされ、それにより組み立てられた弁デバイスを形成することができる。代替の一実施形態においては、弁尖-リング250は、支持構造体内において3次元弁構成要素210へと組み立てられてもよい。
【0069】
図7~15は、デバイスモジュール同士が組み合わされるか、又は組み立てられた後に、デバイスモジュールを共に固定又は取り付けるために使用し得る、ロッキング機構の例を説明する。
【0070】
図7及び
図7Aは、例えば50a、50bなどの弁セクション同士を合体することにより、
図2に図示される弁アセンブリ15を作製するのに適し得る、ロッキング機構の一実施形態を示す。プルワイヤ40を使用して、弁セクション50a、50bを共に引くことができ、それにより第1の弁セクション50aの第1の側部51aが、第2の弁セクション50bの第2の側部52bにロックする。
図7Aは、ロッキング機構の一実施形態を示す。各弁セクションが、例えば雄構成要素16及び雌構成要素17を含むロッキング機構などを備えた複数の取付け点を有してもよい。雄構成要素16及び雌構成要素17は、ある弁セクションからの雄構成要素16が別の弁セクションの雌構成要素17と合致するように位置決めされる。
【0071】
図7Aに具体的に示されるように、例えば、第1の弁セクション50aが、第2の弁セクション50bの第2の側部52b上の複数の雌構成要素17と合致する、第1の側部51a上の複数の雄構成要素16を備えてもよい。第1の弁セクション50aの雄構成要素16は、別の弁セクション50bの雌構成要素17内にロックする。
【0072】
3つの弁セクションがある場合には、第1の弁セクション50aの第2の側部52aは複数の雌構成要素17を有することができ、これらの雌構成要素17は、第3の弁セクション(図示せず)の第1の側部(図示せず)上の複数の雄構成要素16と合致するものであり、第2の弁セクション50bの第1の側部51bは複数の雄構成要素16を有することができ、これらの雄構成要素16は、第3の弁セクション(図示せず)の第2の側部(図示せず)上の複数の雌構成要素17と合致する。同様の構成が、2つ、4つ、5つ、又はそれ以上の弁セクションを含む弁アセンブリに関して可能である。弁セクション上の取付け点は、
図7に図示されるようにセクションの側方縁部に沿って位置決めされてもよい。
【0073】
図8A~Cは、弁モジュールと支持構造体を取り付けるためのロッキング機構の一実施形態を示す。特に、
図8A及び
図8Bに図示されるように、支持構造体20は、フック21を含む複数の取付け点を備える。弁モジュール10は、体腔中の流体流により規定されるようなその近位縁部12、すなわち「上流」縁部である近位縁部12に沿って、溝22を備える。支持構造体20のフック21は、
図8Bに図示されるように、弁モジュール10の溝22内に取り付けられて、
図8Cに図示されるように2つのモジュールを共に固定する。溝22は、弁モジュール10の近位縁部12全体にわたって延在してもよく、それによりフック21は、弁モジュール10の軸回転とは無関係に溝22を捕捉することが可能となる。代替として、弁モジュール10は、支持構造体20のフック21と位置合わせされるように、近位縁部12の周囲に離間された複数の短尺溝を有してもよい。
【0074】
支持構造体は、弁セクションが様々な軸方向位置にて支持構造体に連結され得るように設計されてもよい。例えば、支持構造体20は、長手方向軸に沿って間隔を置いて離間された複数のフック21のセットを有して、近位-遠位間方向において2つ以上の取付け位置を得られるようにしてもよい。かかる設計により、臨床医は、支持構造体内に弁アセンブリを配置し得る位置に関して自由度を得られる。
【0075】
図9は、支持構造体(明瞭化のために図示せず)に対して弁モジュール310を取り付けるためのロッキングタブ392の一実施形態を示す。ロッキングタブ392は、締まり嵌めによってデバイスモジュールを共にロックする。弁モジュール310は、リング300を備えるか、又はリング300に取り付けられ、ロッキングタブ392は、リング300に取り付けられる。
図9に図示されるように、ロッキングタブ392は、その基部にて弁モジュール310に連結される。弁モジュール310及び支持構造体が、組み合わされた後に、1又は2以上のロッキングタブ392が、支持構造体に係合するように作動されて、弁モジュール及び支持構造体を共にロックしてもよい。
図9に図示されるロッキングタブ392の実施形態は、枢軸395を中心としてロック解除位置392aとロック位置392bとの間で回転作動可能な弁モジュールと一体である構成要素を使用する、締まり嵌めロック機構である。好ましくは、弁モジュール310は、2つ以上のロッキングタブ392を有する。
【0076】
図9が示すように、ロッキングタブ392は、枢動端部397及び揺動端部399を有し、揺動端部399が弁モジュールの中間部の方向に配向されるロック解除位置392aと、揺動端部399が軸方向に配向される、すなわち弁デバイスの長手方向軸に対して平行に配向されるロック位置392bとの間で回転することによって、作動する。枢動端部397は、実質的に円形の形状と、枢軸395とを有し、この枢軸395を中心として、ロッキングタブ392の枢動端部397が回転する。
図9に図示されるように、枢動軸395は、枢動端部397の実質的に円形の形状内において中心に位置決めされず、ロック解除位置392aにある場合には、枢動端部397の側方縁部394aは、弁モジュール310の外周部と実質的に同一平面となり、ロック位置392bにおいては、枢動端部397の側方縁部394bは、弁モジュール310の外周部を越えて延在し、締まり嵌めによりモジュール同士を共にロックするのに十分な半径方向力を支持構造体にかける。
【0077】
図10A~Dは、一体型ロッキング機構であるスタッド-ハーバーロックの別の実施形態を示す。スタッド-ハーバーロックを使用して、支持構造体に弁モジュールを取り付けてもよい。この実施形態においては、弁モジュール410は、その外方外周部に沿ってリング400を有する。
図10Aに図示されるように、リング400は、リング400の外周部の周りに所定の間隔でその外方表面上に位置決めされた複数のスタッド404を備える。スタッド404は、リング400の外方表面から外方に固定された状態で突出する。支持構造体(図示せず)は、それに対してその内側表面上に取り付けられ、軸方向に配向された、複数のポスト426を備える。複数のポスト426は、リング400上のスタッド404と合致する内側外周部の周りに所定の間隔で支持構造体に取り付けられる。各ポスト426は、内側表面上に、複数の「ハーバー」425(例えば切欠溝など)を備える。ハーバー425は、位置合わせ関係においてスタッド404を受けるように作動可能である。したがって、スタッド-ハーバーロックは、弁モジュール410が取り付けられるリング400上に位置決めされ、支持構造体に取り付けられるポスト426上に位置決めされたハーバー425内にドッキングされる、スタッド404を備え、それにより、弁モジュールと支持構造体を共にロックする。
【0078】
リング400上のスタッド404は、スタッド404が
図10Bに図示されるようにハーバー425に位置合わせされるように、支持構造体(図示せず)に対して弁モジュール410を回転させることにより、ポスト426上のハーバー425に対してドッキングすることが可能であり、それにより、2つのモジュールが取り付けられる。スタッド404とハーバー425は、例えば締まり嵌め、磁気牽引力、ラチェット、垂直方向リッジ-チャネル、又は当技術において知られている他の機構などによって、共にロックすることができる。取付け機構の特定の選択に応じて、デバイスモジュールは、
図10C、
図10C’、
図10D、及び
図10D’において垂直方向チャネル-リッジ機構により図示されるように、又はスタッド404とハーバー425が例えば時計回り方向など一方向に弁モジュール410を回転させることによりラチェット機構によって共にロックされる一実施形態において図示されるように、例えば時計回り方向又は反時計回り方向など、いずれかの方向に弁モジュール410を回転させることによってロックされ、ロック解除され得る。
【0079】
図10C及び
図10C’に図示されるように、スタッド404は、垂直方向チャネル408を有してもよく、
図10D及び
図10D’に図示されるように、ハーバー425は、垂直方向リッジ4328を有してもよい。
図10Cは、正面図において、リング400上のスタッド404中のチャネル408を図示し、
図10C’は、上面図において、スタッド404中のチャネル408を図示する。
図10Dは、ポスト326の側面図においてハーバー425中のリッジ428を図示し、
図10D’は、正面図において、ハーバー425中のリッジ428を図示する。弁モジュール410は、スタッド404中の垂直方向チャネル408がハーバー425中の垂直方向リッジ428に係合して、弁モジュール410のさらなる回転を制限するまで、回転されてもよい。
【0080】
ラチェット機構(図示せず)においては、スタッド404及びハーバー425は、弁モジュールが例えば時計回り方向など一方向に回転するように、(例えば鋸歯パターンにおいてなど)互いに対して補角にて角度を付けられてもよい。その理由は、スタッド404の前側が、後側よりも小さいからである。スタッド404及びハーバー425のためのラチェットタイプ機構のこの実施形態においては、弁モジュール410は、スタッド404に対して位置合わせ関係となるように構成されているハーバー425が定位置にスタッド404を保持するまで、ポスト426に対して例えば時計回り方向など一方向に弁モジュール410を回転させることによって、ロックされてもよい。この時点において、スタッド及びハーバーの幾何形状により、スタッド及びハーバーは、ポストに対して例えば時計回り方向など同一方向に弁モジュール410を回転させることによって、必要に応じてロック解除され得る。例えば反時計回り方向など逆方向への回転は、リング400とスタッド404の後側との間の径の不連続性により、防がれる。
【0081】
図11A及び
図11Bは、相補「ハーバー」525内にロックする複数の「ボタン」505を備えるクイックリリースボタンロッキング機構を図示する。
図11Aに図示されるように、弁モジュール510は、リング500に取り付けられてもよく、又はリング500を備えてもよい。リング500は、リング500の外周部の周りに所定の間隔でその外方表面上に位置決めされた複数のボタン505を備える。支持構造体(明瞭化のために図示せず)は、
図11Bに図示されるように、それに対してその内側表面上に取り付けられ、軸方向に配向された、複数のポスト526を備える。複数のポスト526は、リング500上のボタン505と合致する内方外周部の周りに所定の間隔で支持構造体に対して取り付けられる。各ポスト526が、内側表面上に、ハーバー525(例えば切欠溝)を備える。
図11Bに図示されるように、リング500、したがって及び弁モジュール510は、ボタン-ハーバー対によって支持構造体(図示せず)に対してロックされてもよく、クイックリリース機構を含むボタン505が、支持構造体に対して取り付けられた複数のポスト526上のハーバー525内にロックされる。
図11A及び
図11Bは、弁デバイスが、弁モジュールボタンとサポート構造体ハーバーが係合する4つの対合位置を備える、一実施形態を図示する。しかし、他の実施形態においては、弁デバイスは、3つの、又は6つ若しくは8つものかかる対合位置を有してもよい。別の実施形態においては、支持構造体に対する弁モジュールの回転位置決めを容易にするために、例えば支持構造体上のポストの個数の2倍又は3倍の個数のボタン(又はその逆)が、弁モジュールリング上に存在してもよい。代替的な一実施形態においては、ハーバー部材は、支持構造体の内側表面上に溝リングを備えてもよい。
【0082】
ボタン505のクイックリリース機構は、ばね、又はプッシュリリース機構若しくはプルリリース機構、又は当業者には明らかな任意の他の適切な構成を備えてもよい。
図11A及び
図11Bに図示される実施形態の一態様においては、安全装置を引く又は押すことにより、クイックリリース機構を作動又は作動停止させることができる。例えば、安全装置を作動させた場合には、ボタン505が、リング500の外方表面から外方に突出することにより、ポスト526のハーバー525内にロックするように、作動され得る。同様に、安全装置を作動停止させた場合には、ボタン505は、リング500の外方表面と実質的に同一平面に見えるようにハーバー525から引き戻ることにより、デバイスフレームから弁部材をロック解除するように、作動停止される。この実施形態の代替的な一態様においては、ボタン505は、ばね荷重され、ばねが係合されるか又は係合解除されるかに応じて作動及び作動停止することができる。作動されたボタン及び作動停止されたボタンが、
図11Bに図示される。したがって、ばねベースシステムを参照すると、ポスト526に対面するボタン505aが、ポスト526によって突出を制限されることにより、リング500aは、ハーバー525に対面するまで、ポスト526に沿って軸方向に移動することが可能となる。ハーバー525に対面するボタン505は、リング500から外方に自在に突出し、ハーバー525に係合することができる。十分な力を印加した場合には、ボタン505aは、ハーバー525から係合解除され、ポスト526によって制限され、リング500がポスト525に沿って再度軸方向に移動され得る。複数のハーバー525を有するポスト526のオプションが、
図11Bにさらに図示され、この構成は、本出願と同日に出願された、「Method and Apparatus for Fine Adjustment of a Percutaneous Valve Structure」と題された同時係属米国特許出願第 号明細書(調節)の
図1a~1b及び段落28~29に詳細に説明されるように、支持構造体に対する弁モジュール510の微調節に有用である。該出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0083】
さらに、弁デバイスモジュールは、デバイスモジュールから独立した(すなわちデバイスモジュールと一体ではない)構成要素を使用して取り付けられてもよい。非一体型ロッキング機構は、弁セクション同士を合体させるか、又は支持構造体に対して弁モジュールを取り付けるのに適用可能である。したがって、独立構成要素が、
図12~14に図示されるように支持構造体に対して弁モジュールを接合するために例として示されるように、デバイスモジュール同士を共に接合するためにロッキング機構として使用されてもよい。デバイスモジュールと一体ではない本発明のロッキング機構は、好ましくは、遠隔位置から容易に係合される種類のものであるが、さらに使用時に係合解除しない固定取付具を提供する。代替として、非一体型ロッキング機構は、例えば2つの構成要素が係合するのを防ぐタブなどの、除去されるまで係合を防ぐ、弁モジュール及び/又は支持構造体に取り付けられる部材を備えてもよい。
【0084】
弁モジュール(又は複数の弁モジュール)及び支持構造体が、組み立てられ位置決めされた後に、1又は2以上の構成要素が、
図12A~12Bに図示されるように、弁デバイス内に経皮的に挿入され、例えばスナップ嵌め機構などを使用して2つのモジュールを共にロックするように配置されてもよい。
図12Aは、前縁端部692a及びベース端部692bを備える一個構成のスナップ嵌めプロング692を使用する、独立(非一体型)スナップ嵌めロッキング機構の一実施形態を図示する。スナップ嵌めプロング692の詳細が、
図12A’に図示される。
図12Aの実施形態においては、弁モジュール610は、その基部に又はその基部の付近に、弁モジュール610から軸方向に延在するその外周部の周りに所定の間隔で、例えばリング600に取り付けられた、複数の軸方向タブ613を有してもよい。各軸方向タブ613が、穴(図示せず)を備え、各穴は、スナップ嵌めプロング692を受けるように構成されている。代替として、複数の穴611は、(
図12Bに図示されるように)弁モジュール610のリング又は基部の上に直接位置決めされてもよい。支持構造体(明瞭化のために図示せず)は、それに対してその内側表面上に取り付けられ、軸方向に配向された、複数のポスト626を備える。複数のポスト626は、弁モジュール軸方向タブ613と合致する(すなわち位置合わせ関係にある)内方外周部の周囲に所定の間隔で支持構造体に取り付けられる。各ポスト5626が、ポスト穴(図示せず)を備え、この穴は、同一軸方向レベルにてスナップ嵌めプロング592を受けるようにさらに構成され、それにより、弁モジュール510及び支持構造体が組み立てられると、ポスト626の各ポスト穴は、弁モジュール610の軸方向タブ613中の穴と位置合わせ状態になり得る。
【0085】
別の実施形態においては、
図12Bに図示されるように、スナップ嵌め機構は、2ピース機構である。スナップ嵌めプロング692は、第2の穴の反対側のスナップ嵌めレセプタクル693によって受けられて、スナップ嵌めプロングが中に配設され得る一体穴を有する介入デバイス構成要素をインターロックしてもよい。特に、
図12Bは、スナップ嵌めプロング692のベース端部692bがここでは弁モジュール610である1つのデバイスモジュールをどのように固定し得るかを、並びにスナップ嵌めプロング692の前縁端部692aが弁モジュール610中の一体穴611及び支持構造体620中の一体穴627をどのように通って延在し、スナップ嵌めレセプタクル693に係合し、それにより弁モジュール及び支持構造体を固定し得るかを、概略的に示す。2ピーススナップ嵌め機構の別の態様(図示せず)においては、スナップ嵌めプロング692及びスナップ嵌めレセプタクル693は、さらに軸方向タブ613及びポスト626と共に使用されてもよい。
【0086】
スナップ嵌めプロング692は、
図12Bに図示されるように、組み立てられた弁デバイス内から弁デバイスの外側までにわたって配設されてもよく、すなわち、前縁端部692aが、初めに弁モジュール610中の穴611を通過し、次いで支持構造体620ポスト中の穴627を通過する。代替として、スナップ嵌めプロング692は、
図12Aに図示されるように、弁デバイスの外側から中心の方句に配設されて、初めにポスト626中の穴を通過し、次いで弁モジュール穴611を通過してもよい。後者の場合には、スナップ嵌めプロング692は、支持構造体が弁デバイスの移植位置において十分に拡張され移植される前に、弁モジュール及び支持構造体を貫通して配設されてもよい。
【0087】
スナップ嵌めロッキング機構は、
図12A又は
図12Bに図示される実施形態の中の1つと同様の様式で作動して、例えば第2の弁セクションの第2の側部に対して第1の弁セクションの第1の側部を取り付けるか、又は弁尖下位構造体の側部同士を合体させるなど、弁セクションの側部同士(図示せず)を共に取り付けてもよい。さらに、スナップ嵌めロッキング機構は、一体型ロッキング機構(図示せず)であってもよい。例えば、スナップ嵌めプロングは、支持構造体のポストと一体であってもよく、この場合には、ベース端部は、支持構造体に連続している。この実施形態においては、弁モジュールは、その外周部の周りに間隔を置いて、穴、又はスナップ嵌めレセプタクルの構造的均等物である受容スペースを、各ポストと位置合わせして備えてもよく、一体型スナップ嵌めプロングの内腔端部は、2つのデバイスモジュールを取り付けるのに有効なように、弁モジュールの一体部分である穴又は一体受容スペースを通って配設され得る。代替として、スナップ嵌めプロングが、弁モジュールの基部又は弁モジュールに取り付けられるリングと一体であり、支持構造体と一体である穴又は支持構造体に取り付けられるポストに係合してもよく、又は、ポストが、例えばポスト上のスナップ嵌めレセプタクルの構造的均等物である受容スペースを備えてもよい。
【0088】
図13A~13Eは、
図12A~
図12Bに図示される非一体型スナップ嵌め機構に関連付けられるインターロッキング幾何形状を示すが、ピン、ペグ、リベット、及びスタッド-チューブコネクタと呼んでもよい。例えば、
図13Aは、第1のデバイスモジュール718及び第2のデバイスモジュール719をサンドイッチ状部として固定するピン792機構を図示する。本発明のピン792機構は、前縁端部792a及びベース端部792bを備える。ベース端部792bは、好ましくは、デバイスモジュールサンドイッチ状部の一方の面上にピン792のベース端部792bを固定する頭部を有する。前縁端部792aは、ピン792の前縁端部792aが第1のデバイスモジュール718及び第2のデバイスモジュール719を貫通して配設される場合に直線状となり、ベース端部792bの頭部が位置する側の反対側のデバイスモジュールサンドイッチ状部の外方表面に対して平坦になるように折曲するようになされた、2つのプロング795a、795bを備える。
図13Bに図示されるように、ピン792は、弁モジュール710の基部から離れて延在するピンタブ713と一体である穴と、支持構造体(明瞭化のために図示せず)のポスト726と一体であるポスト穴727とを貫通して配設されてもよい。ピンタブ713は、例えば弁モジュール710上のリング700などに対して取り付けられてもよく、このリング700は、例えば、自己組織化部材、塑性変形可能リング、又は同様の構造体などであってもよい。
図13Bに図示される実施形態においては、ピン792は、血管側から弁デバイスの内腔側の方向にデバイスモジュールを固定するように配向され、それにより、ピン792は、初めにポスト穴727を貫通し、次いで弁モジュール穴(図示せず)を貫通して配設され得る。次いで、ピンを固定するためのデバイスが、弁デバイス内に挿入されて、ピンタブ713の内腔表面に当接するようにピンプロング795a、795bを折曲させてもよい。代替として、ピンプロング795a、795bは、事前設定折曲構成を有する形状記憶材料から製造されてもよい。適切なデバイスは、膨張可能バルーンカテーテルを含むことができる。代替として、ピンは、第1のデバイスモジュール718及び第2のデバイスモジュール719を貫通して逆方向に配設されてもよい。この場合には、体腔の壁部は、ピンプロング795a、795bを折曲することによりピンを固定する役割を果たすことが可能である。
【0089】
図13C~13Eは、ピン、ペグ、リベット、及びスタッド-チューブコネクタを使用する実施形態のための他の可能な幾何形状を図示する。特に、
図13Cは、ポスト穴又は弁モジュール穴と共に使用され得る本発明によるペグ892を示し、
図13Dは、ポスト穴又は弁モジュール穴と共に使用され得る本発明によるリベット992を示し、
図13Eは、ポスト穴又は弁モジュール穴と共に使用され得る本発明によるスタッド-チューブコネクタ1092を示す。デバイスモジュールは、
図13C~13Eに図示されるペグロッキング機構、リベットロッキング機構、及びスタッド-チューブコネクタロッキング機構のいずれかと均等な構造体、又は
図13A及び
図13Bに図示されるピンと同様の構造体が、デバイス構成要素と一体であり、それにより、インターロッキング幾何形状をデバイス構成要素に適用する必要がなくなり、それによりロッキング処置を単純化することが可能となるように、製造されてもよい。本発明の範囲内に含まれる一体型ロッキング機構となり得るインターロッキング幾何形状の他の変形形態には、ダブテール、リベット式、及び鉤留め式のものが含まれる。例えば、スタッド-ハーバー機構は、ダブテール幾何形状を有して設計されてもよい。
【0090】
上述の実施形態のそれぞれにおいて、リングは、例えば、弁モジュールの基部に位置決めされ得る弁モジュールの折畳み可能であるが堅い部分か、又は本明細書において説明されるような塑性変形可能部材などであってもよい。代替として、リングは、例えば2010年1月12日に出願された同時係属米国特許出願第12/686,338号明細書(自己組織化)の段落36~38、45~46、51~69、及び
図2a~10において説明されるように、自己組織化部材であってもよい。該出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0091】
一体型インターロッキング幾何形状機構の別の例は、
図14A~14Cに図示されるような、当技術においてジップロック機構とも呼ばれるインターロッキング曲線溝機構である。これは、弁セクションの縁部又は弁尖下位構造体の縁部を合体させるのに特に有用である。この実施形態の一態様においては、インターロッキング曲線溝機構は、摺動インターロッキング曲線溝機構であってもよい。
【0092】
図14A~Cに図示されるように、弁モジュールの第1の側部1151及び第2の側部1152が、インターロッキング曲線溝機構により共にロックされ得る。その理由は、第1の側部1151が、第2の側部1152と位置合わせ関係においてインターロックすることが可能な幾何学的形状を有するからである。
図14Aに図示されるように、弁モジュールの第1の側部1151及び第2の側部1152は、第1の側部1151及び第2の側部1152を通されるストリング1145又はワイヤを使用して互いの方向に誘導され得る。ストリング1145は、
図4A~4Cにおいて説明されるように、プルワイヤであってもよい。第1の側部1151は、球根状断面1153を有する縁部を有してもよく、この球根状縁部1153は、
図14Bに示されるように例えば実質的に円形などの丸い形状を有してもよいが、例えば
図14C及び
図14C’などに示されるように、矩形(正四方形を含む)、三角形、又は任意の他の適切な幾何学的形状であってもよい。弁モジュールの第2の側部1152は、第1の側部1151の球根状縁部1153の断面形状と位置合わせ関係におかれるように構成されている断面を有する相補的受容路縁部1154を有してもよい。したがって、例えば、第1の側部1151の球根状縁部1153が、
図14Bに図示されるように実質的に丸型又は円形である場合には、第2の側部1152の受容路縁部1154は、インターロック嵌め及び締まり嵌めによって第1の側部1151の球根状縁部1153が中に係合又は対合する相補的円形断面を有する。このロッキング機構は、
図14Aに示されるように、好ましくは球根状縁部1153及び受容路縁部1154がそれぞれ弁モジュールの第1の側部1151及び第2の側部1152の接触部分全体に沿って延在するストリップを備えるため、インターロッキング曲線溝機構と呼ばれる。したがって、球根状縁部1153は、例えば断面が実質的に円形である実施形態などにおいては、実質的に円筒状であってもよく、受容路縁部1154は、実質的に円筒状の溝であってもよい。
【0093】
図14Cに図示されるように、インターロッキング曲線溝機構の別の態様においては、第1の側部1151は、第1のフック形状縁部1157を有してもよく、第2の側部1151は、第2のフック形状縁部1058を有してもよく、これらの第1のフック縁部1157及び第2のフック縁部1158は、
図14C’に図示されるように、静止嵌め又は締まり嵌めによってインターロック及び保持することが可能である。
【0094】
組み立てられていない構成にある弁モジュールが例えば
図5A~Cに関連して説明されるように一個構成の弁尖下位構造体、並びに同時係属米国特許出願第12/686,338号明細書(自己組織化)の段落52~53及び
図2a~2cに説明されるような自己組織化部材を備える弁尖下位構造体である、このインターロッキング曲線溝機構又はジップロックの実施形態の一態様においては、インターロッキング縁部幾何形状を有する上記に示す第1の側部1151及び第2の側部1152は、弁尖下位構造体の第1の側部及び第2の側部であってもよい。ジップロック実施形態のこの態様においては、プッシュロッド及び/又はプルワイヤ或いは誘導ストリングを使用して、球根状の第1の縁部と弁尖下位構造体の第2の縁部の相補的受容路とを位置合わせ関係におくプロセスを開始してもよい。
【0095】
弁モジュールが例えば上述において
図2~4Cに関連して説明したように複数の弁セクション、並びに同時係属米国特許出願第12/686,338号明細書(自己組織化)の段落48~51及び
図1a~1dに説明されるように自己組織化部材を含む弁セクションを含む、インターロッキング曲線溝機構又はジップロックの実施形態の別の態様においては、インターロッキング縁部幾何形状を有する上記に示す第1の側部1151及び第2の側部1152は、第1の弁セクションの第1の側部及び隣接する第2の弁セクションの第2の側部であってもよい。したがって、3つの弁セクションを含む弁モジュールの例としては、直線状締まり嵌め機構が、以下のように作動してもよい。第1の弁セクションの第1の側部が、位置合わせ関係において第2の弁セクションの第2の側部の受容路内に取り付けることによって第2の弁セクションの第2の側部の受容路と対合する球根状縁部を有してもよい。各弁セクションの縁部は、
図14Aに図示されるように縁部を通される例えばプルワイヤ又はストリングなどのワイヤ1145などによって、又は自己組織化部材の作動によって、共に引かれてもよい。プッシュロッドが、プルワイヤ又はストリングと組み合わせて使用されてもよい。直線状締まり嵌めが、弁アセンブリの近位端部又は遠位端部にて始まってよい。同様の様式で、第2の弁セクションの第1の側部が、第3の弁セクションの第2の側部の受容路と対合する球根状縁部を有してもよく、第3の弁セクションの第1の側部が、第1の弁セクションの第2の縁部の第2の側部の受容路と対合する球根状縁部を有してもよい。本明細書における説明を鑑みると、2つの弁セクション又は4つ以上の弁セクションを有する弁モジュールに関する同様の構成が、当技術の技術範囲内に含まれる。
【0096】
図14A及び
図14Bに図示される実施形態においては、直線状締まり嵌めロッキング機構は、弁モジュールの第1の側部及び第2の側部の対合縁部を備える。しかし、弁尖下位構造体又は複数の弁セクションのいずれかに適用可能な別のジップロックタイプの実施形態においては、インターロッキング曲線溝機構は、例えば第1の側部1151の内方表面と第2の側部1152の外方表面との間などの、第1の側部1151及び第2の側部1152の対面する表面間に位置してもよく、これらの対面する表面は、第1の側部1151及び第2の側部1152の縁部付近に位置決めされる。インターロッキング幾何形状同士は、米国特許第5,540,366号明細書の
図6、
図7、及び第3段、31~37行目、並びに米国特許第2,039,887号明細書の
図2、
図3、及び第1段、31~36行目などにおいて示されるものと同様の態様において、締まり嵌めによって取り付けることができる。該出願は、参照により本明細書に組み込まれる。一態様においては、ロッキング機構は、摺動ジップロック機構であってもよく、この実施形態においては、第1の側部1151の球根状縁部1153又は第1のフック縁部1157と、第2の側部1152の受容路縁部1154又は第2のフック縁部1158とが、或いはインターロッキング対面表面同士が、スライダジップロック構成のように、それらの縁部に沿って摺動して相補的な幾何学的構造体同士を位置合わせ関係におくデバイスによって係合又は対合するようになされてもよい。
【0097】
特に弁モジュールが事前設定リング構成を有する自己組織化部材を備える、支持構造体に対して弁モジュールを取り付けるのに有用な締まり嵌めロッキング機構の一実施形態が、2010年1月12日に出願された同時係属米国特許出願第12/686,338号明細書(自己組織化)の
図7及び段落60において詳細に説明されている。該出願は、参照により本明細書に組み込まれる。約言すれば、弁モジュールは、送達構成から事前設定リング構成に復帰することが可能な例えばリング又はバンドなどの自己組織化部材に取り付けられてもよく、又はそのような自己組織化部材を中に通されてもよい。支持構造体は、その事前設定構成へと外方に押した場合にリング又はバンドを受けることが可能な溝又は同様の構造体を有してもよく、それにより、締まり嵌めによって支持構造体に対して弁モジュールをロックする。
【0098】
図15は、支持構造体1120に取り付けられたポスト1226を示す。具体的には、
図15は、
図9~13の実施形態のいずれかによるポストが構造体の拡張性に干渉せずにフレーム又は支持構造体にどのように取り付けられ得るかを示す。好ましくは、ポストは、支持構造体の軸方向可撓性を過度に阻害しないように十分に可撓性であるが、使用される特定の実施形態における必要に応じて機能するように十分に半径方向において剛性のものである。ポストは、弁フレームと同一の材料又は弁フレームの材料と化学的に相互作用を生じない同等の材料から製造されてもよい。
図9~13の実施形態のいずれにおいても、「ポスト」は、例えば支持構造体上のリングの切欠などの溝と置換されてもよい。
図10~13の実施形態に関して説明されるようなハーバー及びポスト穴が、溝内のくぼみ又は穴であってもよい。
【0099】
ロッキング機構は、好ましくは遠隔位置から容易に係合されるが、使用時に係合解除しない固定取付具をさらに実現する種類の任意の取付具であってもよい。異なるロッキング機構及び異なるそれらの用途が、本明細書において置換可能であることが、当業者には容易に認識されよう。
【0100】
これらの実施形態のいずれにおいても、弁モジュールの正確な最終位置決めが可能となるように支持構造体に対して弁モジュールを調節可能に連結することが、可能であり、望ましい場合がある。したがって、例えば、弁アセンブリは、弁デバイスの移植後に支持構造体に対する弁アセンブリの位置を最終調節することを可能にする調節可能に、支持構造体に連結されてもよい。支持構造体に対する弁モジュールの位置を調節するための機構が、2010年1月12日に出願された、「Method and Apparatus for Fine Adjustment of a Percutaneous Valve Structure」と題された同時係属米国特許出願第12/686,340号明細書の段落21~24、28~39、及び
図1a~7に詳細に説明されている。該出願は、参照により本明細書に組み込まれる。また、支持構造体は、血管壁に対して調節可能に連結されてもよい。
【0101】
臨時弁が使用される実施形態においては、臨時弁は、永久弁移植部位に、又は永久弁移植部位から離れた位置に、配置されてもよい。例として
図16に図示されるように、大動脈弁置換においては、臨時弁は、モジュール式弁デバイスの移植位置の近位(下流)の上行大動脈中に配置されてもよい。この構成は、モジュール式弁が先端部アプローチ(すなわち冠状静脈弁の心室側からデバイスを導入する)により送達される処置において有効である場合がある。例えば、Singh, I.M. et al., "Percutaneous treatment of aortic valve stenosis," CLEVE. CLIN.J. MED. 75(11):805-812 (2008)を参照されたい。しかし、状況によっては、逆行アプローチ(すなわち冠状静脈弁の動脈側からデバイスを導入する)が利用される場合に、移植位置の近位に臨時弁を配置することが同様に好ましい場合がある。
【0102】
本発明の臨時弁の一実施形態が、
図16に図示される。この実施形態においては、臨時弁1395は、一個構成の構造であり、この場合にはカテーテル1360である送達システムと同一広さを有するが、臨時弁は、2つ以上のピースから構成されてもよい。臨時弁を送達デバイスと同一広さにする又は送達デバイスに取り付けることの1つの利点は、送達システムを除去する際に容易に除去し得る点である。臨時弁1395が取り付けられるカテーテル1360は、この実施形態においては大動脈1381中の冠状動脈口1386、1387の遠位位置である、ほぼモジュール式弁デバイスが移植されることとなる位置まで進められてもよく、臨時弁1395は、例えば形状記憶ワイヤなどを使用して、裏返された傘のように、自動的に拡張するように作動されてもよい。代替的な一実施形態(図示せず)においては、臨時弁は、2つのピースを含み、デバイスモジュールが臨時弁を貫通して移植部位まで通され得るように設計されてもよい。代替の一実施形態においては、臨時弁は、送達デバイスから取り外され得るが、もはや不要となった場合に大動脈から臨時弁を引き出すために使用され得るプルワイヤによって連結され得る。
【0103】
臨時弁が、標的部位に設置され、デバイスモジュールが、移植部位から離れて組み立てられることとなる場合には、送達デバイスは、永久弁のデバイスモジュールの展開のために、臨時弁を設置した後に引き戻されてもよい。臨時弁が、標的部位に設置される場合には、支持構造体は、(1)臨時弁を担持する送達デバイスからの逆経皮アプローチを用いて独立カテーテルによって、又は(2)臨時弁の展開前に送達デバイスから支持構造体を展開させることによって、臨時弁の前に移植されてもよい。
【0104】
図17に図示される別の実施形態においては、臨時弁は、支持構造体に取り付けられ、支持構造体により送達され、展開され、拡張され得る。臨時弁1495は、縫い付け、膠着、若しくは事前組立された経皮弁に関して当技術において知られている同様の手段によって、又は取外し可能手段によって、支持構造体1420に取り付けられてもよい。したがって、例えば、臨時弁1495は、2ピース構造体として示されるこの実施形態においては、支持構造体1420を圧縮し送達デバイス(図示せず)内に設置する前に、支持構造体1420に取り付けられる。
図17に図示されるように、支持構造体1420が、拡張されると、臨時弁1495は、モジュール式弁デバイス(図示せず)の弁部分が支持構造体1420に組み合わされるまで、展開され、血流を制御する。この実施形態における臨時弁1495は、自動拡張式支持構造体又はバルーン拡張性支持構造体と共に使用することができる。後者の場合においては、送達のために、臨時弁は、支持構造体に取り付けられ、次いでバルーンカテーテル上に設置されてもよい。
図17に図示される実施形態においては、臨時弁1495は除去されないが、弁モジュール(又は複数の弁モジュール)が支持構造体1420と組み合わされる場合に押しつぶされるか又は分解されてもよい。代替の一実施形態においては、かかる臨時弁1495は、組み立てられた弁モジュールが展開される直前か、組み立てられた弁モジュールが支持構造体に取り付けられた後に、除去されてもよい。
【0105】
人工弁デバイスは、適切な弁機能及び患者に対する安全性を確保するために、正確に血管(又は体腔)内に配置されることが重要である。したがって、本発明のデバイス及びシステム、並びにデバイスを送達する方法は、米国優先出願第61/144,007号明細書の段落67~82及び
図7a~8、並びに2010年1月12日に出願された「A System and Method for Placing a Percutaneous Valve Device」と題された同時係属米国特許出願第12/686,337号明細書(配置)の段落1a~2及び
図24~42に説明されている、モジュール式デバイスを配置する配置システム及び配置方法と組み合わせて使用することができる。該出願は、参照により本明細書に組み込まれる。米国優先出願第61/144,007号明細書及び同時係属米国特許出願第12/686,337号明細書(配置)において説明されるように、向上した精度で体腔内に人工弁デバイスを配置する方法は、例えば、永久弁の移植位置にて体腔内にアンカを取り付けるステップと、前記アンカを使用して前記人工弁デバイスを前記移植位置に誘導するステップとを含む。配置システムは、弁デバイス、送達デバイス、及びアンカを含む。アンカは、ボタン又はリベットタイプデバイス、フック、経皮挿入されるリード縫合糸、相互連結幾何形状、又は任意の他のタイプのドッキング装置デバイスを含んでもよい。さらに、システムは、アンカに連結される配置ワイヤを含んでもよい。アンカが配置ワイヤに連結される実施形態においては、この方法は、前記弁デバイスに前記配置ワイヤを通すステップと、前記配置ワイヤの自由端部が送達デバイスの近位端部から出るように、前記送達デバイス内に前記弁デバイスを装填するステップと、前記配置ワイヤに沿って前記デバイスを前記アンカの方向に誘導するステップとをさらに含んでもよい。アンカがリード縫合糸を含む実施形態においては、この方法は、前記弁デバイスに前記リード縫合糸を通すステップと、送達デバイス内に前記弁デバイスを装填するステップとをさらに含んでもよい。体腔内に弁デバイスを配置する方法は、他のタイプのアンカの使用を包含する。
【0106】
本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、実施形態として本明細書において特に示し説明したものに対して、多数の変形、追加、変更、及び他の応用を行ない得ることが、当業者には理解されよう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲により規定されるように、予測可能なあらゆる変形、追加、変更、又は応用を包含するように意図される。