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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】組電池及び接合方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/50 20210101AFI20221129BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20221129BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20221129BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20221129BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20221129BHJP
【FI】
H01M50/50 201Z
H01M50/55 101
H01M50/557
H01M50/569
H01M50/298
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019170812
(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2021048087
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2021-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村石 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】伊東 成人
(72)【発明者】
【氏名】大久保 友弘
(72)【発明者】
【氏名】多賀 和樹
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/046143(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1単電池と、
前記第1単電池に重ねられている第2単電池と、を備えており、
前記第1単電池は、第1電池本体と、前記第1電池本体から突出している第1電極タブとを備えており、
前記第2単電池は、第2電池本体と、前記第2電池本体から突出しており、前記第1電極タブに接合されている第2電極タブとを備えており、
前記第1電極タブは、前記第2電極タブ側を向く第1電極表面を備えており、
前記第1電極表面は、前記第2電極タブが接合されている部分と、前記第2電極タブが接合されていない部分とを備えており、
前記第1電極表面のうち前記第2電極タブが接合されていない部分に第1導電部材が接合されている、組電池。
【請求項2】
請求項1に記載の組電池であって、
前記第1電極タブが突出する方向における前記第1電極タブの先端部に前記第2電極タブが接合されている、組電池。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の組電池であって、
前記第1電極タブが突出する方向と直交する方向であって前記第1電極タブと前記第2電極タブが重なる方向と直交する方向において前記第2電極タブの隣に前記第1導電部材が配置されている、組電池。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の組電池であって、
前記第1導電部材は、前記第1電極タブが突出する方向に延びており、一端部が前記第1電極タブに接合されており、他端部が前記第1電極タブから突出している、組電池。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の組電池であって、
前記第1導電部材は、前記第1電極タブ側を向く第1導電表面を備えており、
前記第1導電表面は、前記第1電極タブに接合されている部分と、前記第1電極タブに接合されていない部分とを備えており、
前記第1導電表面のうち前記第1電極タブに接合されていない部分に第2導電部材が接合されている、組電池。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の組電池であって、
前記第1電極タブと前記第2電極タブとは、レーザ溶接で接合されている、組電池。
【請求項7】
請求項6に記載の組電池であって、
前記第1電極タブと前記第2電極タブとは、前記第1電極表面の中央部よりも先端側の位置においてレーザ溶接されている、組電池。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか一項に記載の組電池であって、
前記第1電極タブと前記第2電極タブとは、超音波溶着で接合されている、組電池。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の組電池であって、
前記第1電極タブと前記第1導電部材とは、レーザ溶接で接合されている、組電池。
【請求項10】
請求項5又は請求項5を引用する請求項6から9のいずれか一項に記載の組電池であって、
前記第1導電部材と前記第2導電部材とは、超音波溶着で接合されている、組電池。
【請求項11】
第1単電池と、前記第1単電池に重ねられている第2単電池とを備えている組電池における接合方法であって、
前記第1単電池は、第1電池本体と、前記第1電池本体から突出している第1電極タブとを備えており、
前記第2単電池は、第2電池本体と、前記第2電池本体から突出している第2電極タブとを備えており、
前記第1電極タブは、前記第2電極タブ側を向く第1電極表面を備えており、
前記第1電極表面の一部分に前記第2電極タブを接合する第1工程と、
前記第1電極表面のうち前記第2電極タブが接合されていない部分に第1導電部材を接合する第2工程と、を備えている、接合方法。
【請求項12】
請求項11に記載の接合方法であって、
前記第1工程では、第1方向にレーザを照射して前記第1電極タブと前記第2電極タブとをレーザ溶接で接合し、
前記第2工程では、前記第1工程と同じ前記第1方向にレーザを照射して前記第1電極タブと前記第1導電部材とをレーザ溶接で接合する、接合方法。
【請求項13】
請求項12に記載の接合方法であって、
前記第1工程及び/又は前記第2工程では、複数の箇所にレーザを照射する、接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、組電池及び接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に組電池が開示されている。特許文献1の組電池は、第1単電池と、第1単電池と重ねられている第2単電池とを備えている。第1単電池は、第1電池本体と、第1電池本体から突出して延びている第1電極タブとを備えている。第2単電池は、第2電池本体と、第2電池本体から突出して延びており、第1電極タブに接合されている第2電極タブとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/020999号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の組電池では、第1電極タブに他の部材(第1電極タブ及び第2電極タブ以外の部材)を接合しようとすると、第1電極タブと第2電極タブと他の部材とが3段に重なり、第1電極タブと第2電極タブの接合部分の厚みが厚くなることがある。複数の単電池を備える組電池では、複数の単電池が重ねられている方向に隣り合っている2つの電極タブ間の空き空間が狭いため、第1電極タブと第2電極タブの接合部分の厚みが厚くなると不都合が生じることがある。例えば、接合作業をするための作業空間が狭くなる等の不都合が生じることがある。そこで本明細書は、第1電極タブと第2電極タブの接合部分の厚みを薄くすることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する組電池は、第1単電池と、前記第1単電池に重ねられている第2単電池と、を備えていてもよい。前記第1単電池は、第1電池本体と、前記第1電池本体から突出している第1電極タブとを備えていてもよい。前記第2単電池は、第2電池本体と、前記第2電池本体から突出しており、前記第1電極タブに接合されている第2電極タブとを備えていてもよい。前記第1電極タブは、前記第2電極タブ側を向く第1電極表面を備えていてもよい。前記第1電極表面は、前記第2電極タブが接合されている部分と、前記第2電極タブが接合されていない部分とを備えていてもよい。前記第1電極表面のうち前記第2電極タブが接合されていない部分に第1導電部材が接合されていてもよい。
【0006】
この構成によれば、第1電極タブの第1電極表面のうち第2電極タブが接合されていない部分に第1導電部材が接合されるので、第1電極タブと第2電極タブと第1導電部材とが3段に重なることがなく、第1電極タブと第2電極タブの接合部分の厚みを薄くすることができる。そのため、第1電極タブと第2電極タブの間の空き空間が狭くても、接合部分の厚みが薄くなることによって、例えば接合作業をするときの作業空間を確保することができる。
【0007】
前記第1電極タブが突出する方向における前記第1電極タブの先端部に前記第2電極タブが接合されていてもよい。この構成によれば、第1電極タブと第2電極タブの接合部分が第1単電池と第2単電池から離れているので、第1単電池と第2単電池が互いに重なる方向に離間したとしても、その影響が接合部分に及ぶことを抑制することができ、第2電極タブが第1電極タブから剥離することを抑制することができる。
【0008】
前記第1電極タブが突出する方向と直交する方向であって前記第1電極タブと前記第2電極タブが重なる方向と直交する方向において前記第2電極タブの隣に前記第1導電部材が配置されていてもよい。この構成によれば、第2電極タブと第1導電部材とを第1電極タブに接合するときに、第1電池本体と第2電池本体が接合作業に干渉することを抑制することができ、接合作業をスムーズに行うことができる。
【0009】
前記第1導電部材は、前記第1電極タブが突出する方向に延びており、一端部が前記第1電極タブに接合されており、他端部が前記第1電極タブから突出していてもよい。この構成によれば、第1導電部材の他端部が第1電池本体から離れた位置に配置される。そのため、第1導電部材の他端部に他の部材(例えば、第2導電部材)を容易に接合することができる。
【0010】
前記第1導電部材は、前記第1電極タブ側を向く第1導電表面を備えていてもよい。前記第1導電表面は、前記第1電極タブに接合されている部分と、前記第1電極タブに接合されていない部分とを備えていてもよい。前記第1導電表面のうち前記第1電極タブに接合されていない部分に第2導電部材が接合されていてもよい。この構成によれば、第1電極タブと第1導電部材と第2導電部材とが3段に重なることがなく、接合部分の厚みを薄くすることができる。
【0011】
前記第1電極タブと前記第2電極タブとは、レーザ溶接で接合されていてもよい。この構成によれば、第1電極タブと第2電極タブを強固に接合することができる。
【0012】
前記第1電極タブと前記第2電極タブとは、前記第1電極表面の中央部よりも先端側の位置においてレーザ溶接されていてもよい。この構成によれば、接合作業をするときの作業空間を確保することが困難な場合であっても、第1電池本体と第2電池本体が接合作業に干渉することを抑制することができ、接合作業をスムーズに行うことができる。
【0013】
前記第1電極タブと前記第2電極タブとは、超音波溶着で接合されていてもよい。この構成によれば、はんだ等による接合に比べて第1電極タブと第2電極タブの接合部分の厚みを薄くすることができる。
【0014】
前記第1電極タブと前記第1導電部材とは、レーザ溶接で接合されていてもよい。この構成によれば、第1電極タブと第1導電部材を強固に接合することができる。また、第1電極タブと第2電極タブもレーザ溶接で接合されている場合には、同一の溶接条件で接合作業をすることができるので、接合作業を簡素化することができる。
【0015】
前記第1導電部材と前記第2導電部材とは、超音波溶着で接合されていてもよい。この構成によれば、はんだ等による接合に比べて接合部分の厚みを薄くすることができる。
【0016】
本明細書に開示する接合方法は、第1単電池と、前記第1単電池に重ねられている第2単電池とを備えている組電池における接合方法であってもよい。前記第1単電池は、第1電池本体と、前記第1電池本体から突出している第1電極タブとを備えていてもよい。前記第2単電池は、第2電池本体と、前記第2電池本体から突出している第2電極タブとを備えていてもよい。前記第1電極タブは、前記第2電極タブ側を向く第1電極表面を備えていてもよい。組電池における接合方法は、前記第1電極表面の一部分に前記第2電極タブを接合する第1工程と、前記第1電極表面のうち前記第2電極タブが接合されていない部分に第1導電部材を接合する第2工程と、を備えていてもよい。
【0017】
この構成によれば、第1電極タブと第2電極タブと第1導電部材とが3段に重なることがなく、第1電極タブと第2電極タブの接合部分の厚みを薄くすることができる。
【0018】
前記第1工程では、第1方向にレーザを照射して前記第1電極タブと前記第2電極タブとをレーザ溶接で接合してもよい。前記第2工程では、前記第1工程と同じ前記第1方向にレーザを照射して前記第1電極タブと前記第1導電部材とをレーザ溶接で接合してもよい。
【0019】
この構成によれば、第1工程と第2工程で同じ方向からレーザを照射するので、第1電極タブに第2電極タブと第1導電部材とを一括で接合することができる。そのため、接合作業を簡素化することができる。
【0020】
前記第1工程及び/又は前記第2工程では、複数の箇所にレーザを照射してもよい。この構成によれば、第1電極タブと第2電極タブとを強固に接合することができる。及び/又は、第1電極タブと第1導電部材とを強固に接合することができる。また、複数の箇所にレーザを照射する場合は、接合作業が一層複雑になることがあるが、第1工程と第2工程で同じ方向からレーザを照射することによって、複数の箇所にレーザを照射する場合であっても、接合作業を簡素化することができる。簡素な接合作業で強固な接合を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例に係る組電池を模式的に示す斜視図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3】実施例に係る組電池の一部を模式的に示す斜視図である。
図4図3のIV-IV断面図である。
図5図3の上下及び左右を反転させた図である。
図6図3のVI-VI断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施例に係る組電池について図面を参照して説明する。図1に示すように、実施例に係る組電池1は、複数の単電池2を備えている。図1に示す組電池1は、例えば、電動車両(電気自動車やハイブリッド自動車等)のモータに接続される。各単電池2は、充電及び放電が行われる二次電池である。各単電池2は、例えばリチウムイオン電池である。組電池1は、第1単電池10と第2単電池20を備えている。第1単電池10と第2単電池20は、上下方向に重ねて配置されている。以下では、第1単電池10と第2単電池20に着目して説明する。複数の単電池2のうちの1つを第1単電池10とし、他の1つを第2単電池20とする。また、以下では、図に示す上-下、前-後、左-右の方向に基づいて説明する。なお、図に示す上-下、前-後、左-右の方向は、説明のために用いる便宜的な方向である。
【0023】
(第1単電池10)
まず、第1単電池10について説明する。第1単電池10は、例えば、組電池1を構成する複数の単電池2のうちの最も下側の単電池2である。第1単電池10は、第1電池本体11と、第1正極タブ12(第1電極タブの一例)と、第1負極タブ13とを備えている。第1電池本体11は、ケース110と、ケース110内に配置されているセパレータ、正極板及び負極板(いずれも不図示)とを備えている。また、ケース110内には液体又は固体の電解質が収容されている。ケース110内では、セパレータを介して正極板と負極板の間でイオンが移動する。これによって、第1単電池10で充電又は放電が行われる。ケース110の上下方向の厚みは、ケース110の前後方向の長さ及び左右方向の長さに比べて極めて薄い。例えば、ケース110の上下方向の厚みは、ケース110の前後方向の長さ又は左右方向の長さの1/10以下である。なお、ケース110内の構成については、よく知られているので詳細な説明を省略する。
【0024】
第1単電池10の第1正極タブ12について説明する。第1正極タブ12は、例えばアルミニウム(Al)で作られている。図2に示すように、第1正極タブ12は、第1電池本体11から前側に突出しており、前側に延びている。第1正極タブ12は、第1電池本体11のケース110に固定されている。第1正極タブ12は、基端部31と、先端部32と、中央部33とを備えている。基端部31は、第1電池本体11のケース110に固定されている。基端部31は、ケース110内に配置されている正極板に電気的に接続されている。先端部32は、基端部31よりも前側に位置している。中央部33は、前後方向において基端部31と先端部32の間に位置している。第1正極タブ12は、上面34と下面35を備えている。上面34は第2単電池20側(上側)を向いている。下面35は第2単電池20と反対側(下側)を向いている。また、第1正極タブ12は、第1屈曲部36と第2屈曲部37を備えている。第1正極タブ12は、第1屈曲部36と第2屈曲部37で屈曲している。第1屈曲部36は、第1正極タブ12の中央部33よりも後側かつ下側に位置している。第1正極タブ12は、第1屈曲部36で上側に屈曲している。第2屈曲部37は、第1正極タブ12の中央部33よりも前側かつ上側に位置している。第1正極タブ12は、第2屈曲部37で前側に屈曲している。
【0025】
図3に示すように、第1正極タブ12は、第1電極表面41を備えている。第1電極表面41は、第1正極タブ12の上面34の一部に形成されている。第1電極表面41は、第1正極タブ12の第2屈曲部37よりも前側に位置している。第1電極表面41は、第2単電池20側(上側)を向いている。第1電極表面41は、第2単電池20の第2負極タブ23側を向いている。第1電極表面41は、前後方向及び左右方向に延びている。
【0026】
図4に示すように、第1電極表面41は、第1部分43と第2部分44を備えている。第1部分43と第2部分44は、左右方向に並んでいる。第1部分43は、第2部分44よりも左側(図1に示す第1負極タブ13側)に位置している。第1部分43は、第2単電池20の第2負極タブ23に面している。第1部分43には、第2負極タブ23が接合されている。第2部分44は、第1部分43よりも右側(図1に示す第1負極タブ13と反対側)に位置している。第2部分44は、第1電極表面41のうちの第1部分43でない部分である。第2部分44は、第2単電池20の第2負極タブ23に面していない。第2部分44には、第2負極タブ23が接合されていない。第2部分44は、第2負極タブ23から露出している。第2部分44は、後述する第1導電部材70に面している。第2部分44には、第1導電部材70が接合されている。
【0027】
図1に示すように、第1単電池10の第1負極タブ13は、第1電池本体11から前側に突出しており、前側に延びている。第1単電池10の第1負極タブ13の構成は、後述する第2単電池20の第2負極タブ23の構成と同様である。より詳細には、第1単電池10の第1負極タブ13の構成は、後述する第2単電池20の上下及び左右を反転させたうえで、第2負極タブ23の第1屈曲部56の屈曲方向を反対側にした場合の第2負極タブ23の構成と同様である。よって、第1単電池10の第1負極タブ13の構成については、詳細な説明を省略する。第1単電池10の第1負極タブ13は、他の単電池の正極タブ又は負極タブと接合されずに、例えば、組電池1の電力を利用する機器(例えば、電動車両のモータ等)に電気的に接続される。
【0028】
(第2単電池20)
次に、第2単電池20について説明する。第2単電池20は、第1単電池10の上側に重ねられている。第2単電池20は、第2電池本体21と、第2正極タブ22と、第2負極タブ23(第2電極タブの一例)とを備えている。第2電池本体21の構成については、上記の第1単電池10の第1電池本体11の構成と同様なので詳細な説明を省略する。
【0029】
第2単電池20の第2負極タブ23について説明する。第2負極タブ23は、例えば銅(Cu)で作られている。図2に示すように、第2負極タブ23は、第2電池本体21から前側に突出しており、前側に延びている。第2負極タブ23は、第2電池本体21のケース210に固定されている。第2負極タブ23は、基端部51と、先端部52と、中央部53とを備えている。基端部51は、第2電池本体21のケース210に固定されている。基端部51は、ケース210内に配置されている負極板に電気的に接続されている。先端部52は、基端部51よりも前側に位置している。中央部53は、前後方向において基端部51と先端部52の間に位置している。第2負極タブ23は、上面54と下面55を備えている。上面54は第1単電池10側と反対側(上側)を向いている。下面55は第1単電池10側(下側)を向いている。また、第2負極タブ23は、第1屈曲部56と第2屈曲部57を備えている。第2負極タブ23は、第1屈曲部56と第2屈曲部57で屈曲している。第1屈曲部56は、第2負極タブ23の中央部53よりも後側かつ上側に位置している。第2負極タブ23は、第1屈曲部56で下側に屈曲している。第2屈曲部57は、第2負極タブ23の中央部53よりも前側かつ下側に位置している。第2負極タブ23は、第2屈曲部57で前側に屈曲している。
【0030】
図3及び図4に示すように、第2負極タブ23は、第2電極面62を備えている。第2電極面62は、第2負極タブ23の下面55の一部に形成されている。第2電極面62は、第2負極タブ23の第2屈曲部57よりも前側に位置している。第2電極面62は、前後方向及び左右方向に延びている。第2電極面62は、第1単電池10側(下側)を向いている。第2電極面62は、第1単電池10の第1正極タブ12側を向いている。第2電極面62は、第1正極タブ12の第1電極表面41の第1部分43に面している。第2電極面62は、第1電極表面41の第1部分43に接合されている。第2負極タブ23の先端部52が第1正極タブ12の先端部32に接合されている。
【0031】
第2負極タブ23と第1正極タブ12とは、例えばレーザ溶接によって接合される。例えば、図5に示すように、第1正極タブ12の下面35にレーザLを照射することによって、第1正極タブ12と第2負極タブ23を接合する。レーザLを照射することによって、第1正極タブ12の下面35に複数のレーザ溶接部91が形成される。
【0032】
図1に示すように、第2単電池20の第2正極タブ22は、第2電池本体21から前側に突出しており、前側に延びている。第2単電池20の第2正極タブ22の構成は、上述した第1単電池10の第1正極タブ12の構成と同様である。より詳細には、第2単電池20の第2正極タブ22の構成は、上述した第1単電池10の上下及び左右を反転させたうえで、第1正極タブ12の第1屈曲部36の屈曲方向を反対側にした場合の第1正極タブ12の構成と同様である。よって、第2単電池20の第2正極タブ22の構成については、詳細な説明を省略する。
【0033】
(第1導電部材70)
次に、第1導電部材70について説明する。図3から図6に示すように、第1導電部材70は、前後方向に延びている。第1導電部材70は、金属の板状部材である。第1導電部材70は、例えば銅(Cu)で作られている。第1導電部材70は、左右方向において第2単電池20の第2負極タブ23の隣に配置されている。第2負極タブ23と第1導電部材70とが左右方向に並んでいる。第1導電部材70は、基端部75(一端部の一例)と先端部76(他端部の一例)を備えている。基端部75は、第1単電池10の第1正極タブ12に接合されている。先端部76は、基端部75よりも前側に位置している。先端部76は、第1単電池10の第1正極タブ12に接合されていない。先端部76は、前後方向において第1正極タブ12から前側に突出している。
【0034】
第1導電部材70は、第1導電表面71を備えている。第1導電表面71は、第1単電池10の第1正極タブ12側(下側)を向いている。第1導電表面71は、前後方向及び左右方向に延びている。第1導電表面71は、第1部分73と第2部分74を備えている。第1部分73と第2部分74は、前後方向に並んでいる。第1部分73は、第2部分74よりも後側に位置している。第1部分73は、第1正極タブ12の第1電極表面41の第2部分44に面している。第1部分73に第1正極タブ12が接合されている。
【0035】
第1導電部材70と第1正極タブ12は、例えばレーザ溶接によって接合される。例えば、図5に示すように、第1正極タブ12の下面35にレーザLを照射することによって、第1正極タブ12と第1導電部材70を接合する。レーザLを照射することによって、第1正極タブ12の下面35には複数のレーザ溶接部92が形成される。
【0036】
図3から図6に示すように、第1導電部材70の第1導電表面71の第2部分74は、第1部分73よりも前側に位置している。第2部分74は、第1導電表面71のうちの第1部分73でない部分である。第2部分74は、第1単電池10の第1正極タブ12に面してない。第2部分74には、第1正極タブ12が接合されていない。第2部分74は、第1正極タブ12から露出している。第2部分74には、第2導電部材80が接合されている。
【0037】
(第2導電部材80)
第2導電部材80について説明する。第2導電部材80は、例えば、第1単電池10の電圧を測定するための金属の導線である。第2導電部材80は、絶縁体で被覆されていてもよい。他の例では、第2導電部材80は、金属の板状部材であってもよい。第2導電部材80は、例えば銅(Cu)で作られている。第2導電部材80は、例えば、超音波溶着やはんだ付けによって第1導電部材70に接合されている。超音波溶着は、部材と部材を接触させた状態で加圧すると共に超音波振動を与えることによって部材と部材を溶着する接合方法である。第2導電部材80の一端部が第1導電部材70の第1導電表面71の第2部分74に接合されている。第2導電部材80の他端部は、例えば、組電池1の電圧や組電池1を構成する各単電池2(例えば第1単電池10)の電圧を測定するための機器(不図示)に接続される。
【0038】
(接合方法)
次に、組電池1における接合方法について説明する。組電池1における接合方法では、図1に示すように、第1単電池10と第2単電池20とを上下方向に重ねる。そうすると、図1から図5に示すように、第1単電池10の第1正極タブ12と第2単電池20の第2負極タブ23とが上下方向に重なり、第1正極タブ12の第1電極表面41と、第2負極タブ23の第2電極面62とが向かい合った状態で互いに接触する。第2負極タブ23の第2電極面62は、第1正極タブ12の第1電極表面41の第1部分43に接触する。
【0039】
続いて、第1正極タブ12の第1電極表面41側に第1導電部材70を重ねる。このとき、第2負極タブ23が重ねられていない部分に第1導電部材70を重ねる。即ち、第1正極タブ12の第1電極表面41の第2部分44に第1導電部材70を重ねる。第1導電部材70の第1導電表面71が、第1電極表面41の第2部分44に接触する。
【0040】
続いて、図5に示すように、第1正極タブ12と第2負極タブ23とが上下方向に重ねられている状態で、第1正極タブ12の第1電極表面41と反対側の面(下面35)にレーザLを照射する(第1工程)。下側から上側に向かう方向にレーザLを照射する。第1工程では、第1電極表面41の前後方向における中央部411よりも先端側の位置において、第1電極表面41と反対側の面(下面35)にレーザLを照射する。即ち、第1正極タブ12の第2屈曲部37よりも先端側の部分の長さをRとしたときに、第2屈曲部37からR/2の位置、或いは、R/2の位置よりも先端側の位置においてレーザLを照射する。第1工程では、左右方向に沿ってレーザLを照射する。また、前後方向における複数の箇所に所定の間隔(例えば、0.1mm間隔)でレーザLを照射する。第1工程では、第1正極タブ12にレーザLを照射することによって、第1正極タブ12と第2負極タブ23とがレーザ溶接で接合される。
【0041】
続いて、第1導電部材70に第2導電部材80を接合する。より詳細には、第1導電部材70の第1導電表面71の第2部分74に第2導電部材80を接合する。例えば、超音波溶着で第2導電部材80を第1導電部材70に接合する。また、はんだ付けで接合してもよい。
【0042】
続いて、第1正極タブ12と第1導電部材70とが上下方向に重ねられている状態で、第1正極タブ12の第1電極表面41と反対側の面(下面35)にレーザLを照射する(第2工程)。第2工程では、上記の第1工程と同じ方向からレーザLを照射する。即ち、下側から上側に向かう方向にレーザLを照射する。また、第2工程では、第1正極タブ12の第2屈曲部37よりも先端側の部分の長さをRとしたときに、第2屈曲部37からR/2の位置、或いは、R/2の位置よりも先端側の位置において、第1電極表面41と反対側の面(下面35)にレーザLを照射する。第2工程では、前後方向に沿ってレーザLを照射する。また、左右方向における複数の箇所に所定の間隔(例えば、0.1mm間隔)でレーザLを照射する。第2工程では、第1正極タブ12にレーザLを照射することによって、第1正極タブ12と第1導電部材70とがレーザ溶接で接合される。
【0043】
以上、実施例に係る組電池1について説明した。上記の説明から明らかなように、実施例に係る組電池1では、第1単電池10が、第1電池本体11と、第1電池本体11から突出している第1正極タブ12とを備えている。第2単電池20が、第2電池本体21と、第2電池本体21から突出しており、第1正極タブ12に接合されている第2負極タブ23とを備えている。第1正極タブ12は、第2負極タブ23側を向く第1電極表面41を備えている。第1電極表面41は、第2負極タブ23が接合されている第1部分43と、第2負極タブ23が接合されていない第2部分44とを備えている。第1電極表面41のうち第2負極タブ23が接合されていない第2部分44に第1導電部材70が接合されている。
【0044】
この構成によれば、第1正極タブ12の第1電極表面41のうち第2負極タブ23が接合されていない部分に第1導電部材70が接合されるので、第1正極タブ12と第2負極タブ23と第1導電部材70とが上下方向に3段に重なることがなく、第1正極タブ12と第2負極タブ23の接合部分の厚みを薄くすることができる。
【0045】
組電池1では、第1単電池10と第2単電池20を重ねたときの上下方向の厚みが極めて薄く、第1正極タブ12と第2負極タブ23の間の空き空間が狭くなる。上記の構成によれば、第1正極タブ12と第2負極タブ23の接合部分の厚みが薄くなるので、例えば接合作業をするときの作業空間を確保することができる。組電池1では第1正極タブ12と第2負極タブ23の接合部分の厚みを薄くすることが特に有効である。
【0046】
上記の組電池1では、第1正極タブ12が突出する方向(前後方向)における第1正極タブ12の先端部32に第2負極タブ23が接合されている。この構成によれば、第1正極タブ12と第2負極タブ23の接合部分が第1単電池10と第2単電池20から離れているので、第1単電池10と第2単電池20が互いに重なる方向(上下方向)に離間したとしても、その影響が第1正極タブ12と第2負極タブ23の接合部分に及ぶことを抑制することができる。そのため、第2負極タブ23が第1正極タブ12から剥離することを抑制することができる。
【0047】
上記の組電池1では、第1正極タブ12が突出する方向(前後方向)と直交する方向であって第1正極タブ12と第2負極タブ23が重なる方向(上下方向)と直交する方向(即ち、左右方向)において第2負極タブ23の隣に第1導電部材70が配置されている。この構成によれば、第2負極タブ23及び第1導電部材70を第1正極タブ12に接合するときに、第1電池本体11と第2電池本体21が接合作業に干渉することを抑制することができ、接合作業をスムーズに行うことができる。
【0048】
上記の組電池1では、第1導電部材70が、第1正極タブ12が突出する方向(前後方向)に延びており、その基端部75が第1正極タブ12に接合されており、その先端部76が第1正極タブ12から突出している。この構成によれば、第1導電部材70の先端部76が第1電池本体11から離れた位置に配置される。そのため、第1導電部材70の先端部76に他の部材(例えば、第2導電部材80)を容易に接合することができる。
【0049】
第1導電部材70は、第1正極タブ12側を向く第1導電表面71を備えている。第1導電表面71は、第1正極タブ12に接合されている第1部分73と、第1正極タブ12に接合されていない第2部分74とを備えている。第1導電表面71のうち第1正極タブ12に接合されていない第2部分74に第2導電部材80が接合されている。この構成によれば、第1正極タブ12と第1導電部材70と第2導電部材80とが上下方向に3段に重なることがなく、接合部分の厚みを薄くすることができる。
【0050】
上記の組電池1では、第1正極タブ12と第2負極タブ23がレーザ溶接で接合されている。この構成によれば、第1正極タブ12と第2負極タブ23を強固に接合することができる。
【0051】
上記の組電池1では、第1正極タブ12と第2負極タブ23とが、第1電極表面41の中央部411よりも先端側の位置においてレーザ溶接で接合されている。この構成によれば、接合作業をするときの作業空間を確保することが困難な場合であっても、第1電池本体11と第2電池本体21が接合作業に干渉することを抑制することができ、接合作業をスムーズに行うことができる。
【0052】
上記の組電池1では、第1正極タブ12と第1導電部材70がレーザ溶接で接合されていている。この構成によれば、第1正極タブ12と第1導電部材70を強固に接合することができる。また、第1正極タブ12と第2負極タブ23もレーザ溶接で接合されているので、同一の溶接条件で接合作業をすることができるので、接合作業を簡素化することができる。
【0053】
上記の組電池1では、第1導電部材70と第2導電部材80が超音波溶着で接合されている。この構成によれば、接合部分の厚みを薄くすることができる。
【0054】
上記の組電池1における接合方法では、第1工程で、第1方向(下側から上側に向かう方向)にレーザLを照射して第1正極タブ12と第2負極タブ23とをレーザ溶接で接合する。また、第2工程で、第1工程と同じ第1方向にレーザLを照射して第1正極タブ12と第1導電部材70とをレーザ溶接で接合する。この構成によれば、第1工程と第2工程で同じ方向からレーザLを照射するので、第2負極タブ23と第1導電部材70を第1正極タブ12に一括で接合することができる。そのため、接合作業を簡素化することができる。
【0055】
上記の組電池1における接合方法では、第1工程及び第2工程で、所定の間隔で複数の箇所にレーザLを照射する。この構成によれば、第1正極タブ12と第2負極タブ23を強固に接合することができる。及び、第1正極タブ12と第1導電部材70を強固に接合することができる。また、複数の箇所にレーザLを照射する場合は接合作業が一層複雑になることがあるが、第1工程と第2工程で同じ方向からレーザLを照射することによって、複数の箇所にレーザLを照射する場合であっても、接合作業を簡素化することができる。簡素な接合作業で強固な接合を行うことができる。
【0056】
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上記の説明における構成と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
(1)上記の実施例では、第1正極タブ12と第2負極タブ23がレーザ溶接で接合されていたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、第1正極タブ12と第2負極タブ23が超音波溶着で接合されていてもよい。また、上記の実施例では、第1正極タブ12と第1導電部材70がレーザ溶接で接合されていたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、第1正極タブ12と第1導電部材70が超音波溶着で接合されていてもよい。この構成でも第1正極タブ12と第2負極タブ23を強固に接合することができる。また、第1正極タブ12と第1導電部材70を強固に接合することができる。
【0058】
(2)レーザ溶接においてレーザLを照射する位置、方向及び数等は特に限定されるものではない。例えば、第1正極タブ12の第2屈曲部37に近い位置(第2負極タブ23の第2屈曲部57に近い位置)にレーザLを照射してもよい。また、上側から下側に向かう方向(上記の実施例とは反対の方向)にレーザLを照射してもよい。また、第1正極タブ12の1箇所のみ(第2負極タブ23の1箇所のみ)にレーザLを照射してもよい。
【0059】
(3)上記の実施例では、第1単電池10の第1正極タブ12と第2単電池20の第2負極タブ23とが接合される構成であった。即ち、第1単電池10と第2単電池20が直列で接続される構成であった。しかしながら、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、第1単電池10の第1正極タブ12と第2単電池20の第2正極タブ22とが接合される構成であってもよい。或いは、第1単電池10の第1負極タブ13と第2単電池20の第2負極タブ23とが接合される構成であってもよい。即ち、第1単電池10と第2単電池20が並列で接続される構成であってもよい。
【0060】
(4)上記の実施例では、第1導電部材70と第2負極タブ23が左右方向に隣り合う構成であったが、この構成に限定されるものではなく、第1導電部材70と第2負極タブ23が前後方向に隣り合う構成であってもよい。
【0061】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0062】
1:組電池、2:単電池、10:第1単電池、11:第1電池本体、12:第1正極タブ、13:第1負極タブ、20:第2単電池、21:第2電池本体、22:第2正極タブ、23:第2負極タブ、41:第1電極表面、43:第1部分、44:第2部分、62:第2電極面、70:第1導電部材、71:第1導電表面、73:第1部分、74:第2部分、80:第2導電部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6