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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ファンアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/34 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
F04D29/34 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019520509
(86)(22)【出願日】2017-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 GB2017051853
(87)【国際公開番号】W WO2018002592
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-24
(31)【優先権主張番号】1611144.5
(32)【優先日】2016-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518457897
【氏名又は名称】トゥルフロ エアー ムーブメント リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロウランド、イアン
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04191506(US,A)
【文献】国際公開第2010/061195(WO,A1)
【文献】米国特許第4605355(US,A)
【文献】特開昭51-099311(JP,A)
【文献】米国特許第02620039(US,A)
【文献】実開昭57-202796(JP,U)
【文献】特開平08-105398(JP,A)
【文献】実開昭57-127895(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに少なくとも1つの配置領域が設けられた対向部を有するファンアセンブリハブと、
通常使用時に空気に露出されるブレード露出部と、少なくとも1つの突起部を各側に有する取付部と、前記ブレード露出部に前記取付部に対する角度を与えるピッチ捻じれ部とを有し、前記ファンアセンブリハブの前記対向部の間に固定される少なくとも1つのファンブレードと
を備えたファンアセンブリであって、
複数のテーパー角度アジャスタを更に備え、
前記複数のテーパー角度アジャスタは、それぞれ第1の主面及び第2の主面を有し、
前記第1の主面は、前記第2の主面に対して角度をなして配置され、
前記第1の主面には、前記配置領域と係合可能な突起部が設けられ、
前記第2の主面には、前記取付部と係合可能な凹部が設けられ、
前記テーパー角度アジャスタの少なくとも1つは、前記ファンブレードの前記取付部の各側において、前記ファンブレードの前記取付部と、前記ファンアセンブリハブの隣接部分との間に位置し、
前記テーパー角度アジャスタのそれぞれが、第1の端部及び前記第1の端部と反対の第2の端部と、第1の対向側面及び前記第1の対向側面と反対の第2の対向側面とを有し、
前記第1の端部及び第2の端部と、前記第1の対向側面及び第2の対向側面とが、前記第1の主面及び前記第2の主面を画定し、
前記テーパー角度アジャスタの前記第1の主面の前記突起部は、前記第1の主面における、前記第1の端部及び前記第2の端部に略平行であって、前記第1の端部と前記第2の端部との間の距離を略二等分する中心線に対して略対称であり、
前記テーパー角度アジャスタの前記第2の主面の凹部は、前記第2の主面における、前記第1の端部及び前記第2の端部に略平行であって、前記第1の端部と前記第2の端部との間の距離を略二等分する中心線に対して略対称である
ファンアセンブリ。
【請求項2】
前記ファンアセンブリハブの前記対向部のそれぞれの前記配置領域が、凹部又は開口部を有する
請求項1に記載のファンアセンブリ。
【請求項3】
前記ファンアセンブリハブの各部が、鋼でできている
請求項1又は2に記載のファンアセンブリ。
【請求項4】
各ファンブレードが、射出成形された短ストランド熱可塑性ガラス繊維でできている
請求項1~3のいずれか一項に記載のファンアセンブリ。
【請求項5】
前記ファンアセンブリハブの前記対向部のうちの一方が、環状である
請求項1~4のいずれか一項に記載のファンアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の主面及び前記第2の主面が、互いに対して5°以下の角度で傾斜している
請求項1~のいずれか一項に記載のファンアセンブリ。
【請求項7】
前記ファンアセンブリハブの前記対向部には、それぞれ、使用時に位置合わせされるようになっている複数の貫通孔が設けられており、
前記ファンアセンブリには、前記貫通孔内を通って、前記ファンアセンブリハブの前記対向部の間において、各ブレードの前記取付部を対応する前記テーパー角度アジャスタに固定する締結手段が更に設けられる
請求項1~のいずれか一項に記載のファンアセンブリ。
【請求項8】
前記テーパー角度アジャスタ及び各ブレードの各取付部のそれぞれにもまた、前記ファンアセンブリハブの前記対向部の間において、各ブレードを対応する前記テーパー角度アジャスタに固定する際に、使用時に前記ファンアセンブリハブの前記対向部の前記貫通孔と位置合わせされるようになっている貫通孔が設けられる
請求項に記載のファンアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンアセンブリの改良及びファンアセンブリに関する改良に関し、特にファンアセンブリの構造の改良手段に関する。
【背景技術】
【0002】
既知のファンアセンブリは、金属又はプラスチック材料で構成された複数のファンブレードを有し得る。一般的に、これらのブレードは、通常使用時に空気に露出される部分と、ブレードをファンアセンブリハブに接続するための部分(取付部)とを備える。通常使用時に空気に露出される部分は、取付部に対して捻じれているものがある。
【0003】
対向部を有するファンアセンブリハブと、ファンアセンブリハブの対向部の間の定位置に固定された複数のファンブレードとを有するファンブレードアセンブリを提供することが知られている。ファンアセンブリハブの対向部には、複数の配置領域が設けられている。各ファンブレードには、複数の突起部を備える取付部が設けられており、各突起部は、対応するファンアセンブリハブの配置領域と係合する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当然のことながら、ファンアセンブリが異なれば、取付部に対して異なる角度で捻じれた露出部を有するファンブレードが必要となり、そのような幅広いファンアセンブリを製造するためには、幅広いファンブレードの在庫が必要となる。
【0005】
そのような様々なファンブレードの在庫を適切に幅広く保つ必要があるということは、そのようなファンブレードの製造者にとって物流上の問題をもたらす。
【0006】
本発明の利点は、上記問題を対処している点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、ファンアセンブリは、それぞれに少なくとも1つの配置領域が設けられた対向部を有するファンアセンブリハブと、少なくとも1つの突起部を各側に有する取付部を有し、ファンアセンブリハブの対向部の間に固定される少なくとも1つのファンブレードとを備えたファンアセンブリであって、複数のテーパー角度アジャスタを更に備え、複数のテーパー角度アジャスタは、それぞれ第1及び第2の主面を有し、第1の主面は、第2の主面に対して角度をなして配置され、第1の主面には突起部が設けられ、第2の主面には凹部が設けられ、テーパー角度アジャスタの少なくとも1つは、ファンブレードの取付部の各側において、ファンブレードの取付部と、ファンアセンブリハブの隣接部分との間に位置する。
【0008】
好ましくは、ファンアセンブリハブの対向部のそれぞれの配置領域は、凹部又は開口部を有する。
【0009】
好ましくは、ファンアセンブリハブの各部は、鋼でできている。
【0010】
好ましくは、各ファンブレードは、射出成形された短ストランド熱可塑性ガラス繊維でできている。
【0011】
好ましくは、ファンアセンブリハブの対向部のうちの一方は、環状である。
【0012】
テーパー角度アジャスタのそれぞれは、第1及び第2の端部と、第1及び第2の対向側面とを有し、第1及び第2の端部と、第1及び第2の対向側面とは、第1及び第2の主面を画定する。より好ましくは、テーパー角度アジャスタは、第1及び第2の端部の中間の中心線に対して対称である。
【0013】
好ましくは、第1及び第2の主面は、互いに対して5°以下の角度で傾斜している。
【0014】
好ましくは、ファンアセンブリハブの対向部には、それぞれ、使用時に位置合わせされるようになっている複数の貫通孔が設けられており、ファンアセンブリには、貫通孔内を通って、ファンアセンブリハブの対向部の間において、各ブレードの取付部を対応するテーパー角度アジャスタに固定する締結手段が更に設けられる。
【0015】
より好ましくは、テーパー角度アジャスタ及び各ブレードの各取付部のそれぞれにもまた、ファンアセンブリハブの対向部の間において、各ブレードを対応するテーパー角度アジャスタに固定する際に、使用時にファンアセンブリハブの対向部の貫通孔と位置合わせされるようになっている貫通孔が設けられる。
【0016】
本発明のごく一例を、以下に示す添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明に従って使用するファンブレードを示す。
図2図2は、本発明で使用するテーパー角度アジャスタの上方斜視図を示す。
図3図3は、本発明で使用するテーパー角度アジャスタの下方斜視図を示す。
図4図4は、本発明に係るファンブレードアセンブリの要素の分解図を示す。
図5図5は、本発明に係るファンブレードアセンブリの斜視図を示す。
図6図6は、図5のファンブレードアセンブリの断面図を示す。
図7図7は、本発明に係るファンブレードアセンブリの完成品の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面の説明において、同様の部分には同様の符号を付す。
【0019】
まず、図1には、本発明で使用するファンブレード2が示される。ファンブレード2は、通常使用時に空気に露出される第1の部分4と、ファンブレードをファンアセンブリハブに接続する取付部6とを備える。取付部6と第1の露出部4との間には、ブレードの第1の部分が取付部6に対して所定の角度、例えば26°の角度をなすように、第1の部分に角度を与えるピッチ捻じれ部8がある。上記所定の角度には、当技術分野で従来から用いられている任意の角度を選択すればよい。
【0020】
ファンブレード2の第1の部分4、取付部6、及びピッチ捻じれ部8は全て、既知の方法で射出成形されてファンブレードの一体となっている部分である。図示の実施形態では、ファンブレード2は、短ストランド熱可塑性ガラス繊維でできている。
【0021】
図示のように、ファンブレード2の取付部6は、その両面に、一体成形された突起部10を備える(図6も合わせて参照)。突起部10は、好都合には周囲の面から直交して延出する。取付部6は、従来の締結部(例えばリベット)を受けるための1以上の締結孔12を有してもよい。
【0022】
図2及び図3は、テーパー角度アジャスタ20の一例を示す。テーパー角度アジャスタ20は、概して矩形であり、第1及び第2の端部14,16と、互いに対向する側面18とを有する。第1及び第2の端部14,16と対向側面18とが、第1及び第2の主面22,24を画定する。第1の主面22は、テーパー角度アジャスタ20の第1の端部14がテーパー角度アジャスタ20の第2の端部16より肉薄となるように、第2の主面24に対してある角度をなすように配置される。例えば、第1及び第2の主面22,24は互いに対して3°の角度で傾斜し得る。好都合には、テーパー角度アジャスタは第1及び第2の端部14,16の中間の中心線に対して対称である。記載されるファンアセンブリでは、各テーパー角度アジャスタ20は、その中心線における厚さが等しい。
【0023】
第1の主面22には、少なくとも1つの突起部30が設けられる。突起部30は、第1の主面から直交して延出する。図示の実施形態では、そのような突起部30が2つ示されている。好都合には、従来の締結具を受ける1以上の貫通孔26が設けられ得る。更に第1の主面22に凹部28を設けることにより、角度アジャスタの軽量化を図ってもよい。ファンブレードアセンブリは、一般的に軽量であることが望まれることが理解されよう。また、このような凹部により、成形及び壁面の厚さを均一とすることができる。
【0024】
第2の主面24には、少なくとも1つの凹部32が設けられる。凹部32には、第2の主面24から直交して延出する側面が設けられている。図示の実施形態では、このような凹部32が2つ示されている。第2の主面24には、凹部28と同様に、凹部29が更に設けられる。
【0025】
主面22,24における凹部28,29の深さは、各テーパー角度アジャスタによって異なり得る。
【0026】
図4を参照すると分かるように、本発明に係るファンアセンブリは、少なくとも1つのファンブレード2と、第1及び第2のファンアセンブリ部40,42と、締結具44とを備える。簡便のため、ファンブレード2は1つのみ示している。
【0027】
ファンアセンブリを組み立てるために、ハブプレート40の形態で第1のファンアセンブリ部が設けられる。第1のファンアセンブリ部40は、上面を有し、その周縁部に、孔部(凹部)50を備える複数の配置領域を含む。孔部(凹部)50の側面は、上面に直交して形成される。これらは、第1のファンアセンブリ部に打ち抜きや切り抜きで形成された孔、又は成形された凹部であり得る。好都合には、従来の締結具を受けるための貫通孔52が、ハブプレート40の周縁部に沿って設けられる。
【0028】
第1のテーパー角度アジャスタの第1の主面における突起部30(又は各突起部)は、第1のファンアセンブリ部の対応する孔部(凹部)50に配置される。各孔部又は凹部は、対応する突起部を補完する形状をなす。
【0029】
そして、ファンブレードの取付部6の第1の側に形成された1以上の突起部10は、第1のテーパー角度アジャスタの露出した第2の主面に形成された1以上の凹部32に配置される。各突起部10は、第1のテーパー角度アジャスタの対応する凹部32を補完する形状をなす。
【0030】
そして、第2のテーパー角度アジャスタが、ファンブレードの取付部6の第2の側の露出した1以上の突起部上に配置される。すなわち、第2のテーパー角度アジャスタの第2の主面における凹部32(又は各凹部)が、ファンブレードの取付部6の第2の側の1以上の突起部10の上に配置される。
【0031】
このプロセスが、ファンアセンブリの一部を形成するよう意図される追加のファンブレード(図4図5図6において不図示)毎に繰り返されることが理解されよう。
【0032】
そして、クランププレート42の形態である第2のファンアセンブリ部が設けられる。第2のファンアセンブリ部42は、下面を有し、その周縁部に沿って、孔部(凹部)60を備える複数の配置領域を含む。孔部(凹部)の側面は、下面に直交して形成される。これらは、第2のファンアセンブリ部42に、図示の実施形態のように打ち抜きや切り抜きで形成された孔、又は成形された凹部であり得る。好都合には、従来の締結具を受けるための貫通孔62が、クランププレート(第2のファンアセンブリ部)42の周縁部に沿って設けられる。
【0033】
第2のファンアセンブリ部42の各孔部(凹部)60は、各第2のテーパー角度アジャスタの第1の主面における突起部30(又は各突起部)周りに配置される。各孔部(凹部)60は、対応する突起部30を補完する形状をなす。
【0034】
このように、各ファンブレードの取付部6は、第1及び第2のテーパー角度アジャスタ20により挟まれ、それによりクランププレート42とファンアセンブリハブ40とに挟まれる。
【0035】
締結具44は、クランププレート42の孔部62とファンアセンブリハブ40の孔部52とを貫通することにより、クランププレート42をファンアセンブリハブ40に固定する。他の締結手段(例えば溶接)を代用又は併用してもよい。
【0036】
図示の実施形態では、締結具44が、ファンブレードの取付部6の孔部12と、第1及び第2のテーパー角度アジャスタ20の対応する孔部26とにも貫通しているように示されている。代わりに、締結具44は、取付部6を所定位置に固定するために、取付部6のどちらかの側に位置してもよい。
【0037】
第1及び第2の主面22,24が互いに対して3°の角度で傾斜する第1及び第2のテーパー角度アジャスタを、ブレードの露出部4が取付部6に対して26°の角度をなすようにピッチ捻じれ部8が取付部6に角度を与えるようになっているファンブレード2を固定するのに用いたとすると、ブレードの露出部4は、第1及び第2のファンアセンブリ部40,42によって定められる平面に対して29°の角度で配置されることが分かる。しかし、各テーパー角度アジャスタ20はその中心線に対して対称であるので、同一のテーパー角度アジャスタ20を中心線回りに180°回転させて、-3°の調節を可能とし、ブレードの露出部4を、第1及び第2のファンアセンブリ部40,42によって定められる平面に対して23°の角度で配置させてもよい。
【0038】
第1及び第2の主面が例えば1~5°の範囲内で例えば1°ずつ角度が異なるような複数セットのテーパー角度アジャスタを用意することにより、ピッチ捻じれ部がブレードの露出部に26°の角度を与えるファンブレードが1セットと、テーパー角度アジャスタが5セットあれば、各ブレードのピッチ捻じれ部が第1及び第2ファンアセンブリ部によって定められる平面に対して21°、22°、23°、24°、25°、27°、28°、29°、30°、31°の角度で配置された幅広いファンアセンブリを製造し得る。
【0039】
更に、対称中心線における厚さがテーパー角度アジャスタの全セットで同一である場合、第1及び第2のファンアセンブリ部を分離しても、先行の段落で説明した幅広いファンアセンブリ間で変わらない。すなわち、ファンハブアセンブリの寸法が同じである幅広いファンアセンブリが、限られた部品から製造可能となり、第1及び第2のファンアセンブリ部によって定められる平面に対するファンブレードの角度の柔軟性が増す。
【0040】
したがって、本発明を用いることにより、異なるピッチ捻じれ部を有する幅広いファンブレードを製造する必要がなくなり、テーパー角度アジャスタの第1及び第2の主面間の角度がそれぞれ異なる複数のテーパー角度アジャスタのセットを用いれば、1つのブレードのセットのみを製造すればよくなる。このように、ファンブレードアセンブリを製造するために幅広いファンブレードを保管するための保管スペースや物流上の問題が軽減される。
【0041】
全てのファンブレードが配置済みのファンアセンブリの完成品を図7に示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7