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特許7184775黄体化ホルモン放出ホルモン受容体(LHRH-R)コンジュゲートおよびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】黄体化ホルモン放出ホルモン受容体(LHRH-R)コンジュゲートおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/54 20170101AFI20221129BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 51/02 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 38/07 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20221129BHJP
【FI】
A61K47/54
A61P35/00
A61P35/04
A61K49/00
A61K51/02 200
A61K38/07
A61K45/00
A61K47/65
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2019531800
(86)(22)【出願日】2017-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 US2017065996
(87)【国際公開番号】W WO2018111990
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】62/434,383
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/467,297
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505194066
【氏名又は名称】パーデュー・リサーチ・ファウンデイション
【氏名又は名称原語表記】PURDUE RESEARCH FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ステュワート・ロウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョティ・ロイ
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-522085(JP,A)
【文献】Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2014年,Vol.24,pp.1846-1850
【文献】Endocrinology,2007年,Vol.148, No.2,pp.857-867
【文献】Amino Acids,2015年,Vol.47,pp.2359-2366
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00-47/69
A61K 31/00-33/44
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式B-L-Aのコンジュゲートであって、ここで、Bは式
【化1】
〔式中、
はハロゲンであり、
はHであり;
-C 10 アリールであり;
はC-Cアルキルであり;
XはCR 、YはCHまたはCR であり;
mは0であり;
nは1であり;そして
*はLへの共有結合を表す。〕
のLHRH-R結合アンタゴニストであり;
Lはリンカーであり;そして
Aは薬物または造影剤である;
コンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
リンカーが少なくとも1個のアミノ酸を含む、請求項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
リンカーがGluおよびCysからなる群から独立して選択される少なくとも2個のアミノ酸を含む、請求項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
リンカーが式
【化2】
〔式中、pは3~10の整数であり、qは3~100の整数であり;そして各*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
の部分を含む、請求項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
リンカーが
【化3】
〔式中、RはHまたはC-Cアルキルであり;そして
各*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
からなる群から選択される部分を含む、請求項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
リンカーが
【化4】
〔式中、
およびRの各々は独立してHまたはC-Cアルキルであり;
tは1~8の整数であり;そして
各*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
からなる群から選択される部分を含む、請求項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
およびRがHであり;そしてtが2である、請求項に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】

【化5】
【化6】
または
【化7】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
を含む、請求項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】

【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
または
【化17】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
を含む、請求項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
Aがビンカアルカロイド、クリプトフィシン、ボルテゾミブ、チオボルテゾミブ、ツブリシン、アミノプテリン、ラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エベロリムス、α-アマニチン、ベルカリン、ジデムニンB、ゲルダナマイシン、プルバラノールA、イスピネシブ、ブデソニド、ダサチニブ、エポチロン、マイタンシンおよびチロシンキナーゼ阻害剤からなる群から選択される薬物である、請求項1~の何れかに記載のコンジュゲート。
【請求項11】
薬物がツブリシンである、請求項1~10の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
薬物が式
【化18】
〔式中
1a、R3a、R3a’およびR3a’’は各々H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-CアルキニルおよびC-Cシクロアルキルからなる群から独立して選択され、ここで、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-CアルキニルおよびC-Cシクロアルキルにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR13a、-OC(O)R13a、-OC(O)NR13a13a’、-OS(O)R13a、-OS(O)13a、-SR13a、-SC(O)R13a、-S(O)R13a、-S(O)13a、-S(O)OR13a、-S(O)NR13a13a’、-S(O)NR13a13a’、-OS(O)NR13a13a’、-OS(O)NR13a13a’、-NR13a13a’、-NR13aC(O)R14a、-NR13aC(O)OR14a、-NR13aC(O)NR14a14a’、-NR13aS(O)R14a、-NR13aS(O)14a、-NR13aS(O)NR13a14a’、-NR13aS(O)NR14a14a’、-P(O)(OR13a)、-C(O)R13a、-C(O)OR13aまたは-C(O)NR13a13a’により場合により置換されていてよく;
2a、R4aおよびR12aは、各々独立してH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニルからなる群から選択され;
5aおよびR6aは、各々独立してH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、-OR15a、-SR15aおよび-NR15a15a’から選択され、ここで、C-Cアルキル、C-CアルケニルおよびC-Cアルキニルにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、-OR16a、-SR16a、-NR16a16a’、-C(O)R16a、-C(O)OR16aまたは-C(O)NR16a16a’により場合により置換されていてよく;またはR5aおよびR6aは、それらが結合している炭素原子と一体となって、-C(O)-を形成し;
各R7a、R8a、R9a、R10aおよびR11aは、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、-CN、-NO、-NCO、-OR17a、-SR17a、-S(O)OR17a、-NR17a17a’、-P(O)(OR17a)、-C(O)R17a、-C(O)OR17aおよび-C(O)NR17a17a’からなる群から独立して選択され、ここで、C-Cアルキル、C-CアルケニルおよびC-Cアルキニルにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、-OR18a、-SR18a、-NR18a18a’、-C(O)R18a、-C(O)OR18aまたは-C(O)NR18a18a’により場合により置換されていてよく;
各R13a、R13a’、R14a、R14a’、R15a、R15a’、R16a、R16a’、R17aおよびR17a’は、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリールおよび5~7員ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリールまたは5~7員ヘテロアリールにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、-OH、-SH、-NHまたは-COHにより場合により置換されていてよく;
各R18aおよびR18a’は、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリール、5~7員ヘテロアリール -C(O)R19a、-P(O)(OR19a)および-S(O)OR19aからなる群から独立して選択され、
各R19aは、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリールおよび5~7員ヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
aは1、2または3であり;そして
*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
のテトラペプチドである、請求項1~10の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
Aが式
【化19】
または
【化20】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
である、請求項1~10の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
Aが造影剤である、請求項1~10の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
Aがローダミン色素、フルオレセイン色素、PET造影剤または放射標識薬剤からなる群から選択される造影剤である、請求項1~10の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
AがS0456、5-カルボキシテトラメチルローダミン(5-TAMRA)、ローダミンB、ローダミン6G、TRITC、Texas Red、ローダミン123、スルホローダミン101、フルオレセイン、5-アミノ-フルオレセイン、6-アミノ-フルオレセイン、フルオレセインイソシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、Oregon Green、Tokyo Green、Singapore GreenおよびPhiladelphia Greenからなる群から選択される、請求項14または15に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
Aがキレート基に配位した金属の放射性同位体などの放射性同位体である、請求項1~10の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
キレート基が式
【化21】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
である、請求項17に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
キレート基がそれに配位した111In、99mTc、64Cu、67Cu、67Gaおよび68Gaから選択される放射性金属同位体を含む、請求項18に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
【化22】
からなる群から選択される、請求項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
コンジュゲートがそれに配位する111In、99mTc、64Cu、67Cu、67Gaおよび68Gaからなる群から選択される放射性金属同位体を含む、請求項20に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
【化25】
からなる群から選択される、請求項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項23】

【化24】
のものである、請求項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
請求項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩および所望により少なくとも一つの薬学的に許容される添加物を含む、医薬組成物。
【請求項25】
対象におけるLHRH-R発現癌の処置に有用な医薬の製造における、請求項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項26】
LHRH-R発現癌が前立腺、子宮内膜、皮膚、膵臓、乳房、腎臓、卵巣および脳の癌からなる群から選択される、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
インビトロで細胞集団を造影する方法であって、
a. 細胞と請求項1に記載のコンジュゲートを接触させて標識細胞を得て、そして
b. 標識細胞を可視化する
ことを含む、方法。
【請求項28】
インビボで細胞集団を造影するのに有用な医薬を製造するための、請求項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C. § 119(e)の規定により、2016年12月14日出願の米国仮出願番号62/434,383および2017年3月6日出願の米国仮出願番号62/467,297に基づく優先権を主張し、その両者の全体を、引用により本明細書に包含させる。
【0002】
技術分野
本教示は、一般に患者における腫瘍微小環境を造影するためのコンジュゲートおよび方法ならびに患者におけるLHRH-R発現癌を処置するためのコンジュゲートおよび方法に関する。本教示は、一般にLHRH-Rアンタゴニストを含むコンジュゲートを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
従来の癌治療剤は、癌細胞と健常細胞を区別する能力を欠き、これにより悪心、脱毛、骨髄抑制および心毒性などの軽度から重度の有害作用が起こる。これらの副作用を克服する戦略は、癌で過発現されるが、健常細胞での発現は限定的である受容体またはタンパク質を介する癌の直接ターゲティングを含む。これは、健常細胞を温存しながら、癌細胞への細胞毒性剤の特異的送達を可能にする。
【0004】
また、疾患進行の検査、ステージの決定および追跡では放射線造影技術が普及している。小分子、ペプチドおよび抗体を含むターゲティング分子は、癌で過発現する種々の受容体またはタンパク質用造影剤の開発のために放射標識されている。蛍光誘導手術は、手術の予後および患者生存の改善に有効な方法である。現在、葉酸、PSMA、CAIX、CCK2RおよびNK1Rなどの種々の受容体に向けて標的化されている複数のNIR色素コンジュゲートがある。これらの標的化NIR色素コンジュゲートが利用可能であるにも関わらず、多くの癌は、これらの受容体の存在数が極めて少ないか、全く存在しないために造影できない。それ故に、より多くの標的化色素コンジュゲートの必要性がある。
【0005】
性腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体としても知られる黄体化ホルモン放出ホルモン受容体(LHRH-R)は、この受容体を発現する腫瘍に細胞毒性剤および造影剤などのペイロードを特異的に送達する標的として許容されている。LHRH-Rは、Gタンパク質共役受容体のファミリーに属し、細胞外空間に露出された結合部位を有する。LHRH-Rは下垂体で発現され、黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)の産生および放出を制御する。LHRH-Rはまた卵巣、子宮内膜、精巣および前立腺の視床下部外組織にも存在する。腎臓における該受容体の発現を示唆する複数の報告もある。
【0006】
LHRH-Rの発現は、前立腺、乳房、卵巣、子宮内膜、腎臓、膵臓、脳、皮膚のホルモン依存性癌だけでなく、ホルモン非依存性癌でも報告されている。癌におけるLHRH-R受容体は、癌の成長および増殖に役割を有する。現在、LHRH-Rのアゴニストおよびアンタゴニスト両者が、腫瘍増殖阻害のために使用されている。健常組織のLHRH-R発現は、一般に下垂体および生殖器官に限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在、天然ペプチドリガンド、LHRHまたはそのアナログは、LHRH-Rの標的化に使用されている。LHRH-R標的化造影剤が開発されているが、このような研究は、LHRH-R標的化造影剤の開発のために、LHRHペプチドもしくはそのアナログまたは抗体を使用している。何れにしても、これらのペプチド剤には、肝臓および腎臓による非特異的取込みのため限界がある。肝臓および腎臓は、これらのペプチド回収に関与する重要な臓器である。このため、これらの臓器は、ペプチドスカベンジャー受容体を発現し、その結果ペプチドベースの細胞毒性剤コンジュゲートの非特異的取込みによるこれらの臓器の損傷をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0008】
要約
本発明の範囲は添付する特許請求の範囲によってのみ定義され、この要約によって些かも影響されることはない。
【0009】
ある態様において、本発明は、式B-L-Aのコンジュゲートであって、ここで、Bは式
【化1】
〔式中、各Rは独立してハロゲン、C-Cアルキルまたは-OC-Cアルキルであり;各Rは独立してH、C-CアルキルまたはC-Cシクロアルキルであり;RはC-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-C10アリールまたはC-Cアルキル-(C-C10アリール)であり;RはC-Cアルキルであり;各Rは独立してハロゲン、C-Cアルキル、-OC-Cアルキル、-SC-Cアルキルおよび-OC-C10アリールからなる群から選択され;XおよびYは各々独立してN、CHまたはCRであり;但し、XがNであるならば、YはCHまたはCRであり、YがNであるならば、XはCHまたはCRであり;mは0~4の整数であり;nは0~3の整数であり;そして*はLへの共有結合を表す。〕
のLHRH-R結合アンタゴニストであり;Lはリンカーであり;そしてAは薬物または造影剤である、式B-L-Aのコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0010】
他の態様において、本発明は、ここに記載するコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩および所望により少なくとも一つの薬学的に許容される添加物を含む医薬組成物を提供する。
【0011】
他の態様において、本発明は、対象における癌を処置する方法であって、a. 対象に有効量のここに記載するコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0012】
他の態様において、本発明は、対象におけるLHRH-R発現癌を処置する方法において使用するための、ここに記載するコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0013】
他の態様において、本発明は、対象におけるLHRH-R発現癌の処置に有用な医薬の製造における、ここに記載するコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0014】
他の態様において、本発明は、インビトロで細胞集団を造影する方法であって、a. 該細胞とここに記載するコンジュゲートを接触させて、標識細胞を得て、そしてb. 標識細胞を可視化することを含む、方法を提供する。
【0015】
他の態様において、本発明は、インビトロで細胞集団を造影する方法において使用するための、ここに記載するコンジュゲートを提供する。
【0016】
他の態様において、本発明は、インビボで細胞集団を造影する方法であって、a. 患者に有効量のここに記載するコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を投与して標識細胞を得て、そしてb. 標識細胞を造影により可視化することを含む、方法を提供する。
【0017】
他の態様において、本発明は、インビトロで細胞集団を造影する方法において使用するための、ここに記載するコンジュゲートを提供する。
【0018】
本発明のいくつかの実施態様を、次の番号付けした項で記載する。
【0019】
1. 式B-L-Aのコンジュゲートであって、ここで、Bは式
【化2】
〔式中、
各Rは独立してハロゲン、C-Cアルキルまたは-OC-Cアルキルであり;
各Rは独立してH、C-CアルキルまたはC-Cシクロアルキルであり;
はC-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-C10アリールまたはC-Cアルキル-(C-C10アリール)であり;
はC-Cアルキルであり;
各Rはハロゲン、C-Cアルキル、-OC-Cアルキル、-SC-Cアルキルおよび-OC-C10アリールからなる群から独立して選択され;
XおよびYは各々独立してN、CHまたはCRであり;但し、XがNであるならば、YはCHまたはCRであり、YがNであるならば、XはCHまたはCRであり;
mは0~4の整数であり;
nは0~3の整数であり;そして
*はLへの共有結合を表す。〕
のLHRH-R結合アンタゴニストであり;
Lはリンカーであり;そして
Aは薬物または造影剤である;
コンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0020】
2. Bが式
【化3】
のものである、項1のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0021】
3. nが2である、項1または2に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0022】
4. mが0である、項1、2または3に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0023】
5. 各Rが、存在するならば、Fである、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0024】
6. 各Rが、存在するならば、各Rが結合している環の2位および6位のFである、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0025】
7. 各RがHである、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0026】
8. RがC-Cアルキル-(C-C10アリール)である、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0027】
9. Rが-CH-Cである、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0028】
10. Rがメチルである、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0029】
11. 各Rが、存在するとき、F、Cl、-CH、-OCH、-OCまたは-SCである、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0030】
12. XがNであり、YがCHである、項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0031】
13. YがNであり、XがCHである、項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0032】
14. XがCRであり、YがCHまたはCRである、項1~11の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0033】
15. Xが-CFであり、YがCHである、項14に記載のコンジュゲート。
【0034】
16. Bが式
【化4】
〔式中、*はLへの共有結合を表す。〕
のものである、項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0035】
17. リンカーが少なくとも1個のアミノ酸を含む、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0036】
18. リンカーがLys、Asn、Thr、Ser、Ile、Met、Pro、His、Gln、Arg、Gly、Asp、Glu、Ala、Val、Phe、Leu、Tyr、CysおよびTrpからなる群から選択される少なくとも1個のアミノ酸を含む、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0037】
19. リンカーがGluおよびCysからなる群から独立して選択される少なくとも2個のアミノ酸を含む、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0038】
20. リンカーが式Glu-Gluのアミノ酸部分を含み、ここで、該グルタミン酸が互いにカルボン酸側鎖を介して共有結合している、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0039】
21. リンカーが複数ヒドロキシル官能基を含む1以上の親水性スペーサーリンカーを含む、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0040】
22. リンカーが式
【化5】
〔式中、pは3~10の整数であり、1は3~100の整数であり;そして各*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
の部分を含む、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0041】
23. リンカーが
【化6】
〔式中、RはHまたはC-Cアルキルであり;そして
各*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
からなる群から選択される部分を含む、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0042】
24. リンカーが式
【化7】
のものである、項23に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0043】
25. リンカーが
【化8】
〔式中、
およびRの各々は独立してHまたはC-Cアルキルであり;
tは1~8の整数であり;そして
各*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
からなる群から選択される部分を含む、項1~22の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0044】
26. リンカーが式
【化9】
のものである、項25に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0045】
27. RおよびRがHであり;そしてtが2である、項25または26に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0046】
28. リンカーがヒドラジンを含む、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0047】
29. 式
【化10】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
を含む、項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0048】
30. 式
【化11】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
を含む、項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0049】
31. 式
【化12】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
を含む、項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0050】
32. 式
【化13】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
を含む、項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0051】
33. 式
【化14】
または
【化15】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
を含む、項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0052】
34. 式
【化16】
または
【化17】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
を含む、項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0053】
35. 式
【化18】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
を含む、項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0054】
36. 式
【化19】
または
【化20】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
を含む、項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0055】
37. 式
【化21】
または
【化22】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
を含む、項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0056】
38. Aがビンカアルカロイド、クリプトフィシン、ボルテゾミブ、チオボルテゾミブ、ツブリシン、アミノプテリン、ラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エベロリムス、α-アマニチン、ベルカリン、ジデムニンB、ゲルダナマイシン、プルバラノールA、イスピネシブ、ブデソニド、ダサチニブ、エポチロン、マイタンシンおよびチロシンキナーゼ阻害剤からなる群から選択される薬物である、先の項の何れかに記載のコンジュゲート。
【0057】
39. 薬物がツブリシンである、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0058】
40. 薬物が式
【化23】
〔式中、
1a、R3a、R3a’およびR3a’’は各々H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-CアルキニルおよびC-Cシクロアルキルからなる群から独立して選択され、ここで、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-CアルキニルおよびC-Cシクロアルキルにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR13a、-OC(O)R13a、-OC(O)NR13a13a’、-OS(O)R13a、-OS(O)13a、-SR13a、-SC(O)R13a、-S(O)R13a、-S(O)13a、-S(O)OR13a、-S(O)NR13a13a’、-S(O)NR13a13a’、-OS(O)NR13a13a’、-OS(O)NR13a13a’、-NR13a13a’、-NR13aC(O)R14a、-NR13aC(O)OR14a、-NR13aC(O)NR14a14a’、-NR13aS(O)R14a、-NR13aS(O)14a、-NR13aS(O)NR13a14a’、-NR13aS(O)NR14a14a’、-P(O)(OR13a)、-C(O)R13a、-C(O)OR13aまたは-C(O)NR13a13a’により場合により置換されていてよく;
2a、R4aおよびR12aは、各々独立してH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニルからなる群から選択され;
5aおよびR6aは、各々独立してH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、-OR15a、-SR15aおよび-NR15a15a’から選択され、ここで、C-Cアルキル、C-CアルケニルおよびC-Cアルキニルにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、-OR16a、-SR16a、-NR16a16a’、-C(O)R16a、-C(O)OR16aまたは-C(O)NR16a16a’により場合により置換されていてよく;またはR5aおよびR6aは、それらが結合している炭素原子と一体となって、-C(O)-を形成し;
各R7a、R8a、R9a、R10aおよびR11aは、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、-CN、-NO、-NCO、-OR17a、-SR17a、-S(O)OR17a、-NR17a17a’、-P(O)(OR17a)、-C(O)R17a、-C(O)OR17aおよび-C(O)NR17a17a’からなる群から独立して選択され、ここで、C-Cアルキル、C-CアルケニルおよびC-Cアルキニルにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、-OR18a、-SR18a、-NR18a18a’、-C(O)R18a、-C(O)OR18aまたは-C(O)NR18a18a’により場合により置換されていてよく;
各R13a、R13a’、R14a、R14a’、R15a、R15a’、R16a、R16a’、R17aおよびR17a’は、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリールおよび5~7員ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリールまたは5~7員ヘテロアリールにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、-OH、-SH、-NHまたは-COHにより場合により置換されていてよく;
各R18aおよびR18a’は、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリール、5~7員ヘテロアリール-C(O)R19a、-P(O)(OR19a)および-S(O)OR19aからなる群から独立して選択され、
各R19aは、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリールおよび5~7員ヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
aは1、2または3であり;そして
*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
のテトラペプチドである、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0059】
41. Dが式
【化24】
〔式中、
1a、R3a、R3a’およびR3a’’は各々H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-CアルキニルおよびC-Cシクロアルキルからなる群から独立して選択され、ここで、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-CアルキニルおよびC-Cシクロアルキルにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR13a、-OC(O)R13a、-OC(O)NR13a13a’、-OS(O)R13a、-OS(O)13a、-SR13a、-SC(O)R13a、-S(O)R13a、-S(O)13a、-S(O)OR13a、-S(O)NR13a13a’、-S(O)NR13a13a’、-OS(O)NR13a13a’、-OS(O)NR13a13a’、-NR13a13a’、-NR13aC(O)R14a、-NR13aC(O)OR14a、-NR13aC(O)NR14a14a’、-NR13aS(O)R14a、-NR13aS(O)14a、-NR13aS(O)NR13a14a’、-NR13aS(O)NR14a14a’、-P(O)(OR13a)、-C(O)R13a、-C(O)OR13aまたは-C(O)NR13a13a’により場合により置換されていてよく;
2a、R4aおよびR12aは、各々独立してH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニルからなる群から選択され;
5aはH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、-OR15a、-SR15aおよび-NR15a15a’からなる群から選択され、ここで、C-Cアルキル、C-CアルケニルおよびC-Cアルキニルにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、-OR16a、-SR16a、-NR16a16a’、-C(O)R16a、-C(O)OR16aまたは-C(O)NR16a16a’により場合により置換されていてよく;
各R7a、R8a、R9a、R10aおよびR11aは、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、-CN、-NO、-NCO、-OR17a、-SR17a、-S(O)OR17a、-NR17a17a’、-P(O)(OR17a)、-C(O)R17a、-C(O)OR17aおよび-C(O)NR17a17a’からなる群から独立して選択され、ここで、C-Cアルキル、C-CアルケニルおよびC-Cアルキニルにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、-OR18a、-SR18a、-NR18a18a’、-C(O)R18a、-C(O)OR18aまたは-C(O)NR18a18a’により場合により置換されていてよく;
各R13a、R13a’、R14a、R14a’、R15a、R15a’、R16a、R16a’、R17aおよびR17a’は、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリールおよび5~7員ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリールまたは5~7員ヘテロアリールにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、-OH、-SH、-NHまたは-COHにより場合により置換されていてよく;
各R18aおよびR18a’は、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリール、5~7員ヘテロアリール-C(O)R19a、-P(O)(OR19a)および-S(O)OR19aからなる群から独立して選択され、
各R19aは、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリールおよび5~7員ヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
aは1、2または3であり;そして
*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
のテトラペプチドである、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0060】
42. Dが式
【化25】
〔式中、
9aはH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、-CN、-NO、-NCO、-OR17a、-SR17a、-S(O)OR17a、-NR17a17a’、-P(O)(OR17a)、-C(O)R17a、-C(O)OR17aおよび-C(O)NR17a17a’からなる群から選択され、ここで、C-Cアルキル、C-CアルケニルおよびC-Cアルキニルにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、-OR18a、-SR18a、-NR18a18a’、-C(O)R18a、-C(O)OR18aまたは-C(O)NR18a18a’により場合により置換されていてよく;
各R13a、R17aおよびR17a’は、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリールおよび5~7員ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリールまたは5~7員ヘテロアリールにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、-OH、-SH、-NHまたは-COHにより場合により置換されていてよく;
各R18aおよびR18a’は、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリール、5~7員ヘテロアリール-C(O)R19a、-P(O)(OR19a)および-S(O)OR19aからなる群から独立して選択され、
各R19aは、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリールおよび5~7員ヘテロアリールからなる群から独立して選択され;そして
*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
のテトラペプチドである、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0061】
43. Aが天然に存在するツブリシンである、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0062】
44. AがツブリシンA、ツブリシンB、ツブリシンC、ツブリシンD、ツブリシンE、ツブリシンF、ツブリシンG、ツブリシンHおよびツブリシンIからなる群から選択される、項43に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0063】
45. 薬物がツブリシンBである、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0064】
46. Aが式
【化26】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
のものである、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0065】
47. Aが式
【化27】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
のものである、先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0066】
48. Aが造影剤である、項1~34の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0067】
49. Aがローダミン色素、フルオレセイン色素、PET造影剤または放射標識薬剤からなる群から選択される造影剤である、項1~34の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0068】
50. AがS0456、5-カルボキシテトラメチルローダミン(5-TAMRA)、ローダミンB、ローダミン6G、TRITC、Texas Red、ローダミン123、スルホローダミン101、フルオレセイン、5-アミノ-フルオレセイン、6-アミノ-フルオレセイン、フルオレセインイソシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、Oregon Green、Tokyo Green、Singapore GreenおよびPhiladelphia Greenからなる群から選択される、項48または49に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0069】
51. Aがキレート基に配位した金属の放射性同位体などの放射性同位体である、項1~34の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0070】
52. キレート基が式
【化28】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
のものである、項51に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0071】
53. キレート基がそれに配位したテクニチウム、レニウム、ガリウム、ガドリニウム、インジウムおよび銅の同位体から選択される放射性金属同位体を含む、項51に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0072】
54. キレート基がそれに配位した111In、99mTc、64Cu、67Cu、67Gaおよび68Gaから選択される放射性金属同位体を含む、項51に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0073】
55.
【化29】
からなる群から選択される、項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0074】
56. コンジュゲートがそれに配位する111In、99mTc、64Cu、67Cu、67Gaおよび68Gaからなる群から選択される放射性金属同位体を含む、項55に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0075】
57. 放射性金属同位体が99mTcである、項56に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0076】
58.
【化30】
からなる群から選択される、項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0077】
59. 式
【化31】
のものである、項1に記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0078】
60. 先の項の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩および所望により少なくとも一つの薬学的に許容される添加物を含む、医薬組成物。
【0079】
61. 対象における癌を処置する方法であって、
a. 対象に項1~47または59の何れかに記載の有効量のコンジュゲートもしくはその薬学的に許容される塩またはその組成物を投与することを含む、
方法。
【0080】
62. 対象がLHRH-R発現癌を有する、項61に記載の方法。
【0081】
63. LHRH-R発現癌が原発性または転移性である、項61または62に記載の方法。
【0082】
64. 癌が前立腺、子宮内膜、皮膚、膵臓、乳房、腎臓、卵巣および脳の癌からなる群から選択される、項61~63の何れかに記載の方法。
【0083】
65. 対象におけるLHRH-R発現癌を処置する方法において使用するための、項1~47または59の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩。
【0084】
66. 方法が対象にLHRH-R発現癌の処置に有効な量のコンジュゲートを投与することを含む、項65に記載のコンジュゲート。
【0085】
67. LHRH-R発現癌が前立腺、子宮内膜、皮膚、膵臓、乳房、腎臓、卵巣および脳の癌からなる群から選択される、項65または66に記載のコンジュゲート。
【0086】
68. 対象におけるLHRH-R発現癌の処置に有用な医薬の製造における、項1~47または59の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩の使用。
【0087】
69. LHRH-R発現癌が前立腺、子宮内膜、皮膚、膵臓、乳房、腎臓、卵巣および脳の癌からなる群から選択される、項68に記載の使用。
【0088】
70. インビトロで細胞集団を造影する方法であって、
a. 細胞と項1~37または48~58の何れかに記載のコンジュゲートを接触させて標識細胞を得て、そしてb. 標識細胞を可視化する
ことを含む、方法。
【0089】
71. インビトロで細胞集団を造影する方法において使用するための、項1~37または48~58の何れかに記載のコンジュゲート。
【0090】
72. 方法が
a. 細胞と項1~37または48~58の何れかに記載のコンジュゲートを接触させて標識細胞を得て、そして
b. 標識細胞を可視化する
ことを含む、項71に記載のコンジュゲート。
【0091】
73. インビボで細胞集団を造影する方法であって、
a. 患者に有効量の項1~37または48~58の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を投与して標識細胞を得て;そして
b. 標識細胞を造影により可視化する
ことを含む、方法。
【0092】
74. インビトロで細胞集団を造影する方法において使用するための、項1~37または48~58の何れかに記載のコンジュゲート。
【0093】
75. 方法が
a. 患者に有効量の項1~37または48~58の何れかに記載のコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を投与して標識細胞を得て;そしてb. 標識細胞を造影により可視化する
ことを含む、項74に記載のコンジュゲート。
【図面の簡単な説明】
【0094】
図1】JR-L1-S0456の化学構造およびLC/MSトレースを示す。
【0095】
図2】JR-L2-S0456の化学構造およびLC/MSトレースを示す。
【0096】
図3】JR-L2-S0456の化学構造およびLC/MSトレースを示す。
【0097】
図4】JR-L3-Aの化学構造および放射性HPLCプロファイルを示す。
【0098】
図5】JR-L2-ローダミンの化学構造およびLC/MSトレースを示す。
【0099】
図6】JR-L3の化学構造およびLC/MSトレースを示す。
【0100】
図7】JR-L3-TubBHの化学構造およびLC/MSトレースを示す。
【0101】
図8】S0456マレイミドの化学構造およびLC/MSトレースを示す。
【0102】
図9】蛍光対濃度で測定したLHRH-Rを発現するMDA-MB231乳癌細胞についてのJL-L3-S0456のインビトロ結合を示す。
【0103】
図10A】MCF-7腫瘍異種移植片におけるJL-L1-S0456色素コンジュゲートのインビボ取り込みを示す。
【0104】
図10B図10Aのマウスにおける種々の臓器によるJL-L1-S0456の取り込みを示す。
【0105】
図11A】MDA-MB231腫瘍異種移植片におけるJL-L2-S0456色素コンジュゲートのインビボ取り込みを示す。
【0106】
図11B図11Aのマウスにおける種々の臓器によるJL-L2-S0456の取り込みを示す。
【0107】
図12A】MDA-MB231腫瘍異種移植片におけるJL-L3-S0456色素コンジュゲートのインビボ取り込みを示す。
【0108】
図12B図12Aのマウスにおける種々の臓器によるJL-L3-S0456の取り込みを示す。
【0109】
図13A】HEC-1B腫瘍異種移植片におけるJL-L3-S0456色素コンジュゲートのインビボ取り込みを示す。
【0110】
図13B図13Aのマウスにおける種々の臓器によるJL-L3-S0456の取り込みを示す。
【0111】
図14A】OVCAR3腫瘍異種移植片におけるJL-L3-S0456色素コンジュゲートのインビボ取り込みを示す。
【0112】
図14B図14Aのマウスにおける種々の臓器によるJL-L3-S0456の取り込みを示す。
【0113】
図15A】注射後2時間のMDA-MB231腫瘍異種移植片におけるJL-L3-S0456色素コンジュゲートのインビボ取り込みを示す。
【0114】
図15B】注射後8時間のMDA-MB231腫瘍異種移植片におけるJL-L3-S0456色素コンジュゲートのインビボ取り込みを示す。
【0115】
図15C】注射後12時間のMDA-MB231腫瘍異種移植片におけるJL-L3-S0456色素コンジュゲートのインビボ取り込みを示す。
【0116】
図15D図15Aのマウスにおける種々の臓器によるJL-L3-S0456の取り込みを示す。
【0117】
図15E図15Bのマウスにおける種々の臓器によるJL-L3-S0456の取り込みを示す。
【0118】
図15F図15Cのマウスにおける種々の臓器によるJL-L3-S0456の取り込みを示す。
【0119】
図16】放射活性対濃度で測定したLHRH-Rを発現するMDA-MB231乳癌細胞へのJL-L3Aのインビトロ結合を示す。
【0120】
図17A】処置および競合マウスにおけるJL-L1Aのインビボ取り込みを示す。
【0121】
図17B】処置および競合マウスにおけるJL-L2Aのインビボ取り込みを示す。
【0122】
図17C】処置および競合マウスにおけるJL-L3Aのインビボ取り込みを示す。
【0123】
図18A】注射後2時間および4時間のMDA-MB231腫瘍異種移植片におけるJL-L1Aのインビボ生体内分布を示す。
【0124】
図18B】注射後2時間および4時間のMDA-MB231腫瘍異種移植片におけるJL-L1Aのインビボ生体内分布を示す。
【0125】
図18C】注射後2時間および4時間のMDA-MB231腫瘍異種移植片におけるJL-L1Aのインビボ生体内分布を示す。
【0126】
図19A】注射後2時間のMDA-MB231腫瘍異種移植片におけるJL-L1Aコンジュゲートのインビボ取り込みを示す。
【0127】
図19B】注射後4時間のMDA-MB231腫瘍異種移植片におけるJL-L2Aコンジュゲートのインビボ取り込みを示す。
【0128】
図19C】注射後8時間のMDA-MB231腫瘍異種移植片におけるJL-L3Aコンジュゲートのインビボ取り込みを示す。
【0129】
図19D】2時間、4時間および8時間での各臓器の注射用量/組織gのパーセンテージを示す。
【0130】
図20】MDA-MB-231(受容体陽性)およびSKVO3(受容体陰性)細胞へのJL-L3-ローダミンコンジュゲートのインビトロ結合を示す共焦点造影を示す。
【0131】
図21AHチミジン取り込み対濃度で測定した、TubBHおよびJL-L3-TubBHのLHRH-R陽性細胞(MDA-MB-231)JL-L3-S0456へのインビトロ結合を示す。
【0132】
図21BHチミジン取り込み対濃度で測定した、TubBHおよびJL-L3-TubBHのLHRH-R陰性細胞(SKOV3)JL-L3-S0456へのインビトロ結合を示す。
【0133】
図22A】経時的腫瘍体積により測定したLHRH-R陽性細胞に対するJL-L3-TubBHの治療効果を示す。
【0134】
図22B】経時的腫瘍体積により測定したLHRH-R陰性細胞に対するJL-L3-TubBHの治療効果を示す。
【0135】
図22C】経時的体重変化により測定したLHRH-R陽性細胞に対するJL-L3-TubBHの毒性を示す。
【0136】
図22D】経時的腫瘍体積により測定したLHRH-R陽性細胞に対するJL-L3-TubBHの毒性を示す。
【0137】
図23A】経時的腫瘍体積により測定した皮下LHRH-R陽性MDA-MB231腫瘍増殖に対するJL-L3-TubBHの治療効果を示す。
【0138】
図23B】経時的体重変化により測定した皮下LHRH-R陽性MDA-MB231腫瘍増殖に対するJL-L3-TubBHの毒性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0139】
定義
ここで使用する用語“アルキル”は、所望により分岐していてよく、1~20炭素原子を含む炭素原子鎖を含む。ある実施態様において、アルキルは、C-C12、C-C10、C-C、C-C、C-C、C-CおよびC-Cを含み、有利には長さが限定されていてよいことはさらに理解される。説明として、C-C、C-C、C-CおよびC-Cなどを含む、このような具体的に限定された長さのアルキル基を“低級アルキル”と称し得る。アルキル基の具体例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどを含むが、これらに限定されない。アルキルは、置換されていても置換されていなくてもよい。典型的置換基は、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、オキソ(=O)、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、ニトロおよびアミノかを含みまたはここに提供する種々の実施態様に記載のとおりである。“アルキル”を、上に提供するような他の基と組み合わせて、官能化アルキルを形成し得ることは理解される。例として、ここに記載する“アルキル”基と“カルボキシ”基の組み合わせを、“カルボキシアルキル”基と称し得る。他の非限定的例は、ヒドロキシアルキル、アミノアルキルなどを含む。他の実施態様において、“アルキル”基を、アリール基と組み合わせて、例えばC-C10アリール-(C-Cアルキル)とすることが、これはベンジル(すなわちC-CH-)などの基を提供する。
【0140】
ここで使用する用語“アルケニル”は、所望により分岐していてよく、2~20炭素原子を含み、また少なくとも一つの炭素-炭素二重結合(すなわちC=C)を含む、炭素原子鎖を含む。ある実施態様において、アルケニルは、C-C12、C-C、C-C、C-C、C-CおよびC-Cを含み、有利には長さが限定されていてよいことは理解される。説明として、C-C、C-C、C-CおよびC-Cを含むこのような具体的に限定された長さのアルケニル基は、低級アルケニルと称し得る。アルケニルは、置換されていなくても、アルキルについて記載のとおりまたはここに提供する種々の実施態様に記載のとおり置換されていてもよい。アルケニル基の具体例は、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-、2-または3-ブテニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0141】
ここで使用する用語“アルキニル”は、所望により分岐していてよく、2~20炭素原子を含み、また少なくとも一つの炭素-炭素三重結合(すなわちC≡C)を含む、炭素原子鎖を含む。ある実施態様において、アルキニルは、C-C12、C-C、C-C、C-C、C-CおよびC-Cを含み、各々有利に長さが限定されていてよい。説明として、C-C、C-C、C-CおよびC-Cを含むこのような具体的に限定された長さのアルキニル基は、低級アルキニルと称し得る。アルケニルは、置換されていなくても、アルキルについて記載のとおりまたはここに提供する種々の実施態様に記載のとおり置換されていてもよい。アルケニル基の具体例は、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-、2-または3-ブチニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0142】
ここで使用する用語“アリール”は、完全共役パイ電子系を有する、6~12炭素原子の全炭素の単環式または縮合環多環式基をいう。ある実施態様において、アリールは、C-C10アリールなど有利にはサイズが限定されてよいことは理解される。アリール基の具体例は、フェニル、ナフタレニルおよびアントラセニルを含むが、これらに限定されない。アリール基は、置換されていなくても、アルキルについて記載のとおりまたはここに提供する種々の実施態様に記載のとおり置換されていてもよい。
【0143】
ここで使用する用語“シクロアルキル”は3~15員全炭素の単環式環、全炭素の5員/6員もしくは6員/6員縮合二環式環または環の1以上が1以上の二重結合を含み得るが、シクロアルキルは完全共役パイ電子系を含まない多環式縮合環(“縮合”環系は、系における各環が、隣接炭素原子対を、系における各他の環と共有することを意味する)基をいう。ある実施態様において、シクロアルキルは、C-C13、C-C、C-CおよびC-Cなどのように有利にはサイズが限定されてよいことは理解される。シクロアルキルは、置換されていなくても、アルキルについて記載のとおりまたはここに提供する種々の実施態様に記載のとおり置換されていてもよい。シクロアルキル基の具体例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボロニル、ノルボルネニル、9H-フルオレン-9-イルなどを含むが、これらに限定されない。
【0144】
ここで使用する用語“ヘテロシクロアルキル”は、少なくとも一つの環原子が窒素、酸素または硫黄などのヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素原子である、3~12環原子の環を有する単環式または縮合環基をいう。ヘテロシクロアルキルは、所望により1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を含み得る。ヘテロシクロアルキルは、窒素への二重結合(例えばC=NまたはN=N)を含む1以上の二重結合も有し得るが、完全共役パイ電子系を含まない。ある実施態様において、ヘテロシクロアルキルは、3~7員ヘテロシクロアルキル、5~7員ヘテロシクロアルキルなどのように有利にはサイズが限定されてよいことは理解される。ヘテロシクロアルキルは、置換されていなくても、アルキルについて記載のとおりまたはここに提供する種々の実施態様に記載のとおり置換されていてもよい。ヘテロシクロアルキル基の具体例は、オキシラニル、チアナリル、アゼチジニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、1,4-ジオキサニル、モルホリニル、1,4-ジチアニル、ピペラジニル、オキセパニル、3,4-ジヒドロ-2H-ピラニル、5,6-ジヒドロ-2H-ピラニル、2H-ピラニル、1,2,3,4-テトラヒドロピリジニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0145】
ここで使用する用語“ヘテロアリール”は、窒素、酸素および硫黄から選択される1個、2個、3個または4個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素原子であり、また完全共役パイ電子系を有する、5~12環原子の単環式または縮合環基をいう。ある実施態様において、ヘテロアリールは、3~7員ヘテロアリール、5~7員ヘテロアリールなどのように有利にはサイズが限定されてよいことは理解される。ヘテロアリールは、置換されていなくても、アルキルについて記載のとおりまたはここに提供する種々の実施態様に記載のとおり置換されていてもよい。ヘテロアリール基の具体例は、ピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、プリニル、テトラゾリル、トリアジニル、ピラジニル、テトラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、チエニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリルおよびカルバゾロイルなどを含むが、これらに限定されない。
【0146】
ここで使用する“ヒドロキシ”または“ヒドロキシル”は、-OH基をいう。
【0147】
ここで使用する“アルコキシ”は、-O-(アルキル)または-O-(非置換シクロアルキル)基の両者をいう。代表例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどを含むが、これらに限定されない。
【0148】
ここで使用する“アリールオキシ”は、-O-アリールまたは-O-ヘテロアリール基をいう。代表例は、フェノキシ、ピリジニルオキシ、フラニルオキシ、チエニルオキシ、ピリミジニルオキシ、ピラジニルオキシなどを含むが、これらに限定されない。
【0149】
ここで使用する“メルカプト”は、-SH基をいう。
【0150】
ここで使用する“アルキルチオ”は、-S-(アルキル)または-S-(非置換シクロアルキル)基をいう。代表例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、シクロプロピルチオ、シクロブチルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオなどを含むが、これらに限定されない。
【0151】
ここで使用する“アリールチオ”は、-S-アリールまたは-S-ヘテロアリール基をいう。代表例は、フェニルチオ、ピリジニルチオ、フラニルチオ、チエニルチオ、ピリミジニルチオなどを含むが、これらに限定されない。
【0152】
ここで使用する“ハロ”または“ハロゲン”は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう。
【0153】
ここで使用する“トリハロメチル”は、トリフルオロメチル基などの3個のハロ置換基を有するメチル基いう。
【0154】
ここで使用する“シアノ”は、-CN基をいう。
【0155】
ここで使用する“スルフィニル”は-S(O)R”基をいい、ここで、R”はここに提供する種々の実施態様に記載の任意のR基であるかまたはR”はヒドロキシル基であり得る。
【0156】
ここで使用する“スルホニル”は-S(O)R”基をいい、ここで、R”はここに提供する種々の実施態様に記載の任意のR基であるかまたはR”はヒドロキシル基であり得る。
【0157】
ここで使用する“S-スルホンアミド”は-S(O)NR”R”基をいい、ここで、R”はここに提供する種々の実施態様に記載の任意のR基である。
【0158】
ここで使用する“N-スルホンアミド”は-NR”S(O)R”基をいい、ここで、R”はここに提供する種々の実施態様に記載の任意のR基である。
【0159】
ここで使用する“O-カルバミル”は-OC(O)NR”R”基をいい、ここで、R”はここに提供する種々の実施態様に記載の任意のR基である。
【0160】
ここで使用する“N-カルバミル”はR”OC(O)NR”-基をいい、ここで、R”はここに提供する種々の実施態様に記載の任意のR基である。
【0161】
ここで使用する“O-チオカルバミル”は-OC(S)NR”R”基をいい、ここで、R”はここに提供する種々の実施態様に記載の任意のR基である。
【0162】
ここで使用する“N-チオカルバミル”はR”OC(S)NR”-基をいい、ここで、R”はここに提供する種々の実施態様に記載の任意のR基である。
【0163】
ここで使用する“アミノ”は-NR”R”基をいい、ここで、R”はここに提供する種々の実施態様に記載の任意のR基である。
【0164】
ここで使用する“C-アミド”は-C(O)NR”R”基をいい、ここで、R”はここに提供する種々の実施態様に記載の任意のR基である。
【0165】
ここで使用する“N-アミド”はR”C(O)NR”-基をいい、ここで、R”はここに提供する種々の実施態様に記載の任意のR基である。
【0166】
ここで使用する“ニトロ”は-NO基をいう。
【0167】
ここで使用する“結合は、共有結合をいう。
【0168】
ここで使用する“所望により”または“場合により”は、その後に記載される事象または状況が起こってもよいが、必ずしもではないことを意味し、該記載は、該事象または状況が起こる場合および起こらない場合を含む。例えば、“場合によりアルキル基で置換されていてよいヘテロ環基”は、アルキルが存在してもよいが、必ずしもではないことを意味し、該記載は、ヘテロ環基がアルキル基で置換されている状況およびヘテロ環基がアルキル基で置換されていない状況を含む。
【0169】
ここで使用する“独立して”は、その後に記載される事象または状況が、他の類似事象または状況に対して、それ自体のものであると解釈されるべきであることを意味する。例えば、数個の等価な水素基が、その状況で記載される他の基で場合により置換されていてよい状況において、“独立して場合により”の使用は、該基の水素原子の各々が他の基で置換されていてよく、ここで、水素原子の各々を置換する基は、同一でも異なってもよいことを意味する。または例えば、全てが一連の可能な基から選択され得る複数の基が存在するとき、“独立して”の使用は、基の各々が、任意の他の基と個別に該一連の可能な基から選択され得て、その状況において選択された基は、同一でも異なってもよいことを意味する。
【0170】
ここで使用する“アミノ酸”(別名“AA”)は、アミノ基および酸基に共有結合するアルファ-炭素原子を含むあらゆる分子を意味する。酸基はカルボキシル基を含み得る。“アミノ酸”は、式
【化32】
〔式中、R’は側鎖基であり、Φは少なくとも3個の炭素原子を含む。〕
の一方を有する分子を含み得る。“アミノ酸”は、D-アミノ酸およびL-アミノ酸形態などの立体異性体を含む。アミノ酸基の具体例は、20の内在性ヒトアミノ酸およびそれらの誘導体、例えばリシン(Lys)、アスパラギン(Asn)、スレオニン(Thr)、セリン(Ser)、イソロイシン(Ile)、メチオニン(Met)、プロリン(Pro)、ヒスチジン(His)、グルタミン(Gln)、アルギニン(Arg)、グリシン(Gly)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、フェニルアラニン(Phe)、ロイシン(Leu)、チロシン(Tyr)、システイン(Cys)、トリプトファン(Trp)、ホスホセリン(PSER)、スルホ-システイン、アルギニノコハク酸(ASA)、ヒドロキシプロリン、ホスホエタノールアミン(PEA)、サルコシン(SARC)、タウリン(TAU)、カルノシン(CARN)、シトルリン(CIT)、アンセリン(ANS)、1,3-メチル-ヒスチジン(ME-HIS)、アルファ-アミノ-アジピン酸(AAA)、ベータ-アラニン(BALA)、エタノールアミン(ETN)、ガンマ-アミノ-酪酸(GABA)、ベータ-アミノ-イソ酪酸(BAIA)、アルファ-アミノ-酪酸(BABA)、L-アロ-シスタチオニン(シスタチオニン-A;CYSTA-A)、L-シスタチオニン(シスタチオニン-B;CYSTA-B)、システイン、アロ-イソロイシン(アロ-ILE)、DL-ヒドロキシリシン(ヒドロキシリシン(I))、DL-アロ-ヒドロキシリシン(ヒドロキシリシン(2))、オルニチン(ORN)、ホモシステイン(HCY)およびそれらの誘導体を含むが、これらに限定されない。ここに記載する実施態様と関連して、アミノ酸をアルファ-アミノおよびカルボキシ官能基(すなわちペプチド結合配置)または側鎖官能基(例えばグルタミン酸の側鎖カルボキシ基)とアルファ-アミノまたはカルボキシ官能基の何れかを介して、ここに記載するコンジュゲートの他の部分に共有結合させ得る。アミノ酸は、ここに記載するコンジュゲートと関連して使用するとき、それらが取り込まれたコンジュゲートにおける双性イオンとして存在し得ることは理解される。
【0171】
ここで使用する“プロドラッグ”は、対象に薬理学的に不活性な形態で投与でき、次いで、オキサゾリジンの加水分解などの通常の代謝過程を介して薬理学的に活性な形態に変換され得る、化合物をいう。プロドラッグが活性薬物に変換され得る代謝過程は、1以上の自発的化学反応、酵素触媒化学反応および/または他の代謝化学反応またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されないことは理解される。多様な代謝過程が当分野で知られ、ここに記載するプロドラッグが活性薬物に変換される代謝過程は限定されるものではない。プロドラッグは、対象に治療効果を有する薬物の前駆化学化合物であり得る。
【0172】
ここで使用する用語“治療有効量”は、処置する疾患または障害の症状の軽減を含むが、これに限定されない、研究者、獣医師、担当医または他の医師により希求される対象(すなわち組織系、動物またはヒト)における生物学的または治療的応答を誘発する薬物または薬剤の量をいう。ある態様において、治療有効量は、何らかの医学的処置に適用可能な、合理的なベネフィット/リスク比で、疾患または疾患の症状を処置または軽減する、活性物の量をいう。他の態様において、治療有効量は、通常の代謝過程で変換されたとき、対象において探索されている生物学的または治療的応答を誘発できる活性薬物の量を生じる、不活性プロドラッグの量をいう。
【0173】
用量は、単剤療法または組み合わせ治療の何れを指すのであれ、ここに記載するコンジュゲートの1以上の投与中に生じる、あらゆる毒性または他の望ましくない副作用を参照して、有利に選択される。さらに、ここに記載する共治療は、このような毒性または他の望ましくない副作用を示すコンジュゲートの低用量での投与を可能とし、ここで、これらの低用量は毒性の閾値より低いかまたは治療域中の共治療の非存在下で他の場合に投与されるより低い用量である。
【0174】
ここで使用する“投与する”は、ここに記載するコンジュゲートおよび組成物を宿主動物に導入する全ての手段を含み、経口(po)、静脈内(iv)、筋肉内(im)、皮下(sc)、経皮、吸入、頬側、眼、舌下、膣、直腸などを含むが、これらに限定されない。ここに記載するコンジュゲートおよび組成物を、従来の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバントおよび/または媒体を含む、単位投与形態および/または製剤で投与し得る。
【0175】
ここで使用する“医薬組成物”または“組成物”は、ここに記載するコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物の1以上と、薬学的に許容される添加物などの他の化学成分の混合物をいう。医薬組成物の目的は、対象へのコンジュゲートの投与を容易にすることである。記載するコンジュゲートの送達に適する医薬組成物およびその製造方法は、当業者には容易に明らかとなる。該組成物およびその製造方法は、例えば、‘Remington's Pharmaceutical Sciences', 19th Edition (Mack Publishing Company, 1995)にみることができる。
【0176】
本明細書および添付する請求の範囲で使用する単数表現は、文脈上明確に違反しない限り、複数表現を含む。
【0177】
他に定義しない限り、ここで使用する全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野で当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。ここに記載するものに類するまたは等価なあらゆる方法、デバイスおよび材料を本発明の実施または試験に使用できるが、好ましい方法、デバイスおよび材料をここに記載する。
【0178】
詳細な記載
本発明のいくつかの実施態様は、既に番号付けした項に分けて記載しているが、これらの実施態様と、詳細な記載に記載する実施態様のあらゆる組み合わせが意図される。下記の種々の代表的実施態様の要素および特性を、様々な方法で組み合わせて、同様に本教示の範囲内に入る新規実施態様を形成し得ることが理解される。
【0179】
前記および下記実施態様の各々で、式は、コンジュゲートの全ての薬学的に許容される塩を含み、表すだけでなく、コンジュゲートの式の任意かつ全ての水和物および/または溶媒和物も含むことが理解される。ヒドロキシ基、アミノ基などの基のようなある官能基は、コンジュゲートの種々の物理的形状で、水および/または種々の溶媒と複合体および/または配位コンジュゲートを形成する。従って、上記式は、種々の水和物および/または溶媒和物を含み、かつ表すと理解されるべきである。コンジュゲートの式の非水和物および/または非溶媒和物ならびにコンジュゲートの式の水和物および/または溶媒和物が該式により表されることも理解されるべきである。
【0180】
本発明に関して有用なLHRH-Rアンタゴニストは、構造により特段限定されないことが認識される。有用なLHRH-Rアンタゴニストは、LHRH-Rに結合親和性を示す、あらゆる薬物または化合物であり得る。
【0181】
ある実施態様において、LHRH-Rアンタゴニストは、式
【化33】
〔式中、
各Rは独立してハロゲン、C-Cアルキルまたは-OC-Cアルキルであり;各Rは独立してH、C-CアルキルまたはC-Cシクロアルキルであり;RはC-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-C10アリールまたはC-Cアルキル-(C-C10アリール)であり;RはC-Cアルキルであり;各Rは独立してハロゲン、C-Cアルキル、-OC-Cアルキル、-SC-Cアルキルおよび-OC-C10アリールからなる群から選択され;XおよびYは各々独立してN、CHまたはCRであり;但し、XがNであるならば、YはCHまたはCRであり、YがNであるならば、XはCHまたはCRであり;mは0~4の整数であり;nは0~3の整数であり;そして*はLへの共有結合を表す;Lはリンカーであり;そしてAは薬物または造影剤である。〕
のものまたはその薬学的に許容される塩である。
【0182】
ある実施態様において、nは0である。ある実施態様において、nは1である。ある実施態様において、nは2である。ある実施態様において、nは3である。ある実施態様において、mは0である。ある実施態様において、mは1である。ある実施態様において、mは2である。
【0183】
ある実施態様において、Rは、存在するとき、ハロゲンである。ある実施態様において、Rは、存在するとき、Fである。ある実施態様において、Rは、存在するとき、Clである。ある実施態様において、Rは、存在するとき、CHである。ある実施態様において、Rは、存在するとき、-OCHである。ある実施態様において、各Rは、存在するとき、各Rが結合する環の2位および6位のFである。ある実施態様において、各Rは、存在するとき、2,6-ジフルオロフェニルを提供する置換パターンのFである。
【0184】
ある実施態様において、RはHである。ある実施態様において、Rは-CHである。ある実施態様において、RはC-Cアルキル-(C-C10アリール)である。ある実施態様において、Rは-CH-Cである。ある実施態様において、RはC-Cアルキルである。ある実施態様において、RはC-Cシクロアルキルである。ある実施態様において、Rはメチルである。ある実施態様において、各Rは、存在するとき、F、Cl、-CH、-OCH、-OCまたは-SCである。ある実施態様において、XはNであり、YはCHである。ある実施態様において、YはNであり、XはCHである。ある実施態様において、XはCRであり、YはCHまたはCRである。ある実施態様において、Xは-CFであり、YはCHである。
【0185】
ある実施態様において、Bは、式
【化34】
〔式中、*はLへの共有結合を表す。〕
のものである。
【0186】
本発明に関して有用なリンカーは、構造により特段限定されないことが理解される。有用なリンカーは、広範な構造のものであってよく、ここに記載するリンカー部分の任意の組み合わせであってよい。
【0187】
ある実施態様において、リンカーは遊離可能リンカーを含み、ここで、用語“遊離可能リンカー”は、pH不安定、酸不安定、塩基不安定、酸化的に不安定、代謝的に不安定、生化学的に不安定または酵素不安定結合などの生理学的条件下で切断され得る少なくとも一つの結合を含む、リンカーを含む。結合切断をもたらすこのような生理学的条件は必ずしも生物学的または代謝過程を含まず、むしろ、例えば、生理学的pHでの加水分解反応などの標準化学反応または細胞質pHより低いpHを有するエンドソームなどの細胞小器官への区画化の結果であり得る。ある実施態様において、遊離可能リンカーは、ジスルフィド結合を含む。
【0188】
ある実施態様において、リンカーは
【化35】
〔式中、RはHまたはC-Cアルキルであり;そして
各*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
からなる群から選択される部分を含む。
【0189】
ある実施態様において、リンカーは、式
【化36】
〔式中、pは3~10の整数であり、1は3~100の整数であり;そして各*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
の部分を含む。
【0190】
ある実施態様において、リンカーは、
【化37】
〔式中、
およびRの各々は独立してHまたはC-Cアルキルであり;
tは1~8の整数であり;そして
各*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
からなる群から選択される、部分を含む。
【0191】
ある実施態様において、本教示によるコンジュゲートは、近赤外(NIR)色素または放射性造影剤などの造影剤を含む。本教示により造影剤として使用し得る代表的化合物は、色素(例えば、ローダミン色素、シアニン色素、フルオレセイン色素など)、PET造影剤、放射標識薬剤などを含むが、これらに限定されない。ローダミン色素の代表例は、5-カルボキシテトラメチルローダミン(5-TAMRA)、ローダミンB、ローダミン6G、TRITC、テキサスレッド、ローダミン123、スルホローダミン101などを含むが、これらに限定されない。フルオレセイン色素の例は、フルオレセイン、5-アミノ-フルオレセイン、6-アミノ-フルオレセイン、フルオレセインイソシアネート(FITC)、NHS-フルオレセイン、オレゴングリーンランド、東京グリーン、シンガポールグリーン、フィラデルフィアグリーンなどを含むが、これらに限定されない。本教示により使用し得る代表的近赤外色素は、LS288、IR800、SP054、S0121、KODAK、IRD28、S2076、S0456およびそれらの誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0192】
ある実施態様において、放射標識薬剤を、本教示に従い造影剤として使用し得る。ある実施態様において、ローダミン色素またはフルオレセイン色素は同位体標識され得る。コンジュゲートに包含するのに適する同位体の例は、水素(例えば、HおよびH)、炭素(例えば、11C、13Cおよび14C)、塩素(例えば、36Cl)、フッ素(例えば、18F)、ヨウ素(例えば、123Iおよび125I)、窒素(例えば、13Nおよび15N)、酸素(例えば、15O、17Oおよび18O)、リン(例えば、32P)および硫黄(例えば、35S)の同位体を含むが、これらに限定されない。
【0193】
ある同位体標識されたコンジュゲート、例えば、放射性同位体を含むものは、薬物および/または基質組織分布試験に有用であり得る。放射性同位体トリチウム(すなわち、H)および炭素-14(すなわち、14C)は、取り込みの容易さおよび検出の容易な手段の観点から、この目的に特に有用である。
【0194】
11C、18Fおよび13Nなどの陽電子放出同位体での置換は、基質受容体占拠を試験するための陽電子放射断層撮影(PET)試験に有用であり得る。同位体標識したコンジュゲートは、一般に当業者知られる従来の技法または添付する実施例においてここに記載するのに準ずる方法により、適切な同位体標識した反応材を、先に用いた非標識反応材の代わりに使用して製造し得る。
【0195】
ある実施態様において、Aは、キレート基に配位した金属の放射性同位体などの放射性同位体である。ある実施態様において、キレート基は、式
【化38】
〔式中、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
のものである。
【0196】
ある実施態様において、キレート基はそれに配位したテクニチウム、レニウム、ガリウム、ガドリニウム、インジウムおよび銅の同位体から選択される放射性金属同位体を含む。ある実施態様において、キレート基はそれに配位した111In、99mTc、64Cu、67Cu、67Gaおよび68Gaから選択される放射性金属同位体を含む。
【0197】
ある実施態様において、本発明は、インビトロまたはインビボで細胞集団または組織を造影する方法を提供する。該インビトロ方法は、当分野で知られる任意の方法により実施され得ることが理解される。ある実施態様において、ここに記載するインビトロ造影方法は、(a)細胞集団と造影に適する本教示によるコンジュゲートを接触させて、LHRH-Rタンパク質を発現する細胞に結合したコンジュゲートを得て、そして(b)光を照射することにより、細胞に結合したコンジュゲートを可視化することを含み得る。光を照射することにより、細胞に結合したコンジュゲートの可視化は、励起波長での照射および発光波長での検出を含むことが認識される。それ故に、ある実施態様において、ここに記載するインビトロ造影方法は、(a)細胞集団と造影に適する本教示によるコンジュゲートを接触させて、LHRH-Rタンパク質を発現する細胞に結合したコンジュゲートを得て、(b)LHRH-Rタンパク質を発現する細胞に結合したコンジュゲートを励起波長光で照射し、そして(c)癌細胞から放出される光を発光波長で検出することを含み得る。
【0198】
ある実施態様において、癌性腫瘍などの組織を、ここに記載する方法で造影し得る。例えば、ある実施態様において、本教示によるインビボ造影方法は、(a)患者に造影に適する本教示によるコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を投与して、LHRH-Rタンパク質を発現する細胞に結合したコンジュゲートを得て;そして(b)光の照射によりLHRH-Rタンパク質を発現する細胞に結合したコンジュゲートを可視化することを含み得る。光を照射することによる細胞に結合したコンジュゲートの可視化は、励起波長での照射および発光波長での検出を含み得ることは認識される。それ故に、ある実施態様において、ここに記載するインビボ造影方法は、(a)患者に造影に適するここに記載するコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を投与して、LHRH-Rタンパク質を発現する細胞に結合したコンジュゲートを得て;(b)励起波長光でLHRH-Rタンパク質を発現する細胞に結合したコンジュゲートを照射し;そして(c)癌細胞から放出される光を発光波長で検出することを含み得る。光を照射することによる細胞に結合したコンジュゲートの可視化は、任意の既知造影技術(診断的またはその他)または当分野で知られる装置を使用して実施され得ることが認識される。
【0199】
ある実施態様において、本教示によるコンジュゲートは、治療剤を含み、これは、ある実施態様において、癌細胞および/または癌関連線維芽細胞(CAF)に対して治療効果がある。本教示により使用する治療剤は、薬学的活性化合物(例えば、治療剤)または細胞または組織の造影または可視化のために測定可能なシグナルを提供できる任意の分子(例えば、造影剤)を含む、細胞機能を調節するか他に修飾することができる任意の分子であり得る。
【0200】
治療剤として有用であり得る適当な分子は、ペプチド、オリゴペプチド、レトロインベルソオリゴペプチド、タンパク質、少なくとも一つの非ペプチド結合がペプチド結合に置き換わるタンパク質アナログ、アポタンパク質、糖タンパク質、酵素、コエンザイム、酵素阻害剤、アミノ酸およびそれらの誘導体、受容体および他の膜タンパク質;抗原およびそれに対する抗体;ハプテンおよびそれに対する抗体;ホルモン、脂質、リン脂質、リポソーム;毒素;抗生物質;鎮痛剤;気管支拡張剤;ベータブロッカー;抗微生物剤;抗高血圧剤;抗不整脈剤、強心性配糖体、抗狭心症剤および血管拡張剤を含む心血管剤;興奮剤、向精神剤、抗躁剤および鬱剤を含む中枢神経系薬剤;抗ウイルス剤;抗ヒスタミン剤;化学療法剤を含む癌薬物;精神安定剤;抗鬱剤;H-2アンタゴニスト;抗痙攣剤;制嘔吐剤;プロスタグランジンおよびプロスタグランジンアナログ;筋弛緩剤;抗炎症性物質;興奮剤;鬱血除去剤;鎮吐剤;利尿剤;鎮痙剤;抗喘息剤;抗パーキンソン剤;去痰剤;鎮咳剤;粘液溶解剤;およびミネラルおよび栄養添加剤を含むが、これらに限定されない。
【0201】
ある実施態様において、治療剤は、ツブリシンであり得る。天然天然ツブリシン類は、一般にN-メチルピペコリン酸(Mep)、イソロイシン(Ile)、ツブバリン(Tuv)と称される非天然アミノ酸およびツブチロシン(Tut、チロシンのアナログ)と称される非天然アミノ酸またはツブフェニルアラニン(Tup、フェニルアラニンのアナログ)と称される非天然アミノ酸からなる直線状テトラペプチドである。
【0202】
ある実施態様において、治療剤Dは、式
【化39】
〔式中、R1a、R3a、R3a’およびR3a’’は各々H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-CアルキニルおよびC-Cシクロアルキルからなる群から独立して選択され、ここで、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-CアルキニルおよびC-Cシクロアルキルにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリール、5~7員ヘテロアリール、-OR13a、-OC(O)R13a、-OC(O)NR13a13a’、-OS(O)R13a、-OS(O)13a、-SR13a、-SC(O)R13a、-S(O)R13a、-S(O)13a、-S(O)OR13a、-S(O)NR13a13a’、-S(O)NR13a13a’、-OS(O)NR13a13a’、-OS(O)NR13a13a’、-NR13a13a’、-NR13aC(O)R14a、-NR13aC(O)OR14a、-NR13aC(O)NR14a14a’、-NR13aS(O)R14a、-NR13aS(O)14a、-NR13aS(O)NR13a14a’、-NR13aS(O)NR14a14a’、-P(O)(OR13a)、-C(O)R13a、-C(O)OR13aまたは-C(O)NR13a13a’により場合により置換されていてよく;
2a、R4aおよびR12aは、各々独立してH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニルからなる群から選択され;
5aおよびR6aは、各々独立してH、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、-OR15a、-SR15aおよび-NR15a15a’から選択され、ここで、C-Cアルキル、C-CアルケニルおよびC-Cアルキニルにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、-OR16a、-SR16a、-NR16a16a’、-C(O)R16a、-C(O)OR16aまたは-C(O)NR16a16a’により場合により置換されていてよく;またはR5aおよびR6aは、それらが結合している炭素原子と一体となって、-C(O)-を形成し;
各R7a、R8a、R9a、R10aおよびR11aは、H、ハロゲン、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、-CN、-NO、-NCO、-OR17a、-SR17a、-S(O)OR17a、-NR17a17a’、-P(O)(OR17a)、-C(O)R17a、-C(O)OR17aおよび-C(O)NR17a17a’からなる群から独立して選択され、ここで、C-Cアルキル、C-CアルケニルおよびC-Cアルキニルにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、-OR18a、-SR18a、-NR18a18a’、-C(O)R18a、-C(O)OR18aまたは-C(O)NR18a18a’により場合により置換されていてよく;
各R13a、R13a’、R14a、R14a’、R15a、R15a’、R16a、R16a’、R17aおよびR17a’は、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリールおよび5~7員ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリールまたは5~7員ヘテロアリールにおける各水素原子は、独立して、ハロゲン、-OH、-SH、-NHまたは-COHにより場合により置換されていてよく;
各R18aおよびR18a’は、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリール、5~7員ヘテロアリール-C(O)R19a、-P(O)(OR19a)および-S(O)OR19aからなる群から独立して選択され、
各R19は、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3~7員ヘテロシクロアルキル、C-C10アリールおよび5~7員ヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
aは1、2または3であり;そして
*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
のテトラペプチドである。
【0203】
ある実施態様において、治療剤は、式
【化40】
〔式中、R1a、R2a、R3a、R3a’、R3a’’,R4a、R5a、R7a、R8a、R9a、R10a、R11aおよびR12aはここに記載するとおりであり、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
のものである。
【0204】
他の実施態様において、治療剤は、次の一般式
【化41】
〔式中、R9aおよびR13aはここに記載するとおりであり、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
の天然に存在するツブリシンまたはそのアナロもしくは誘導体であり得る。
【0205】
先の天然ツブリシン類の各々のコンジュゲートがここに記載される。
【0206】
ある実施態様において、治療剤は、次の一般式
【化42】
〔式中、
【表1】


そして、*はコンジュゲートの残部への共有結合を表す。〕
の天然に存在するツブリシンであってよい。
【0207】
ある実施態様において、本教示による方法を、“対象”として、ヒト臨床医学および獣医適用の両者に使用し得る。それ故に、“対象”は本教示によるコンジュゲートを投与されてよく、ヒト(“患者”)であってよく、または、獣医適用の場合、実験動物、農業用動物、家庭用動物または野生動物であり得る。ある実施態様において、対象は、ヒト患者、実験動物、例えば齧歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスターなど)、ウサギ、サル、チンパンジー、家庭用動物、例えばイヌ、ネコおよびウサギ、農業用動物、例えばウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギおよび捕獲された野生動物、例えばクマ、パンダ、ライオン、トラ、ヒョウ、ゾウ、シマウマ、キリン、ゴリラ、イルカおよびクジラであり得る。
【0208】
ある実施態様において、ここに記載する癌は、良性腫瘍および悪性腫瘍を含む腫瘍原性である癌細胞集団であってよくまたは癌は非腫瘍原性であってよい。癌は、自然発症性に生じ得るかまたは患者の生殖系列に存在する変異または体細胞変異のような過程により生じ得るか、または癌は、化学的、ウイルス性または放射線誘発され得る。本教示が適用可能な癌は、癌腫、肉腫、リンパ腫、黒色腫、中皮腫、鼻咽頭癌、白血病、腺癌および骨髄腫を含むが、これらに限定されない。
【0209】
ある実施態様において、癌は、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部癌、頸部癌、皮膚性黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、平滑筋肉腫、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、リンパ球性リンパ腫、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、輸尿管癌、腎臓癌、腎臓細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、胆管癌、ハースル細胞甲状腺癌または胃食道接合部腺癌であり得る。
【0210】
ここに記載する方法のある実施態様において、本教示によるコンジュゲートの薬学的に許容される塩が提供される。本教示によるコンジュゲートの薬学的に許容される塩は、その酸付加および塩基塩を含む。
【0211】
適当な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸と形成される。具体的例は、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物塩、臭化水素酸塩/臭化物塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩を含むが、これらに限定されない。
【0212】
ここに記載するコンジュゲートの適当な塩基塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。具体例は、アルギニン塩、ベンザチン塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオラミン塩、グリシン塩、リシン塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、オラミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩および亜鉛塩を含むが、これらに限定されない。酸および塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩も形成され得る。
【0213】
ある実施態様において、本教示によるコンジュゲートを、1以上の薬学的に許容される担体と共に製剤として投与し得る。担体は添加物であり得る。担体の選択は、特定の投与方式、溶解度および安定性に対する担体の影響および投与形態の性質などの因子により得る。ここに記載するコンジュゲートの送達に適する医薬組成物およびその製造方法は、当業者には容易に明らかとなる。このような組成物およびその製造方法は、例えば、Remington: The Science & Practice of Pharmacy, 21th Edition (Lippincott Williams & Wilkins, 2005)にみることができる。
【0214】
ある実施態様において、薬学的に許容される担体は、生理学的に適合性である、任意かつ全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などおよびこれらの組み合わせを含む。ある実施態様において、担体は、非経腸投与に適する。薬学的に許容される担体は、無菌水溶液または分散体および無菌注射可能溶液または分散体の即席製剤用の無菌粉末を含む。補助的活性化合物もまた本発明の組成物に取り込まれ得る。
【0215】
ある実施態様において、液体製剤は懸濁液および溶液を含み得る。このような製剤は、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適当な油および1以上の乳化剤および/または懸濁化剤を含み得る。液体製剤はまた固体の再構成によっても製造し得る。
【0216】
ある実施態様において、水性懸濁液は、適切な添加物と混合された活性物質を含む。このような添加物は、懸濁化剤、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアガム;天然に存在するフォスファチド、例えば、レシチンであり得る分散または湿潤剤;アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合産物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン;エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合産物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール;エチレンオキシドと脂肪酸とヘキシトール由来の部分エステルの縮合産物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート;またはエチレンオキシドと脂肪酸とヘキシトール由来の部分エステル無水物の縮合産物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートである。水性懸濁液はまた1以上の防腐剤、例えば、アスコルビン酸、エチル、n-プロピルまたはp-ヒドロキシベンゾエート;または1以上の着色剤も含み得る。
【0217】
ある実施態様において、水の添加による水性懸濁液の調製に適する分散可能粉末および顆粒は、分散または湿潤剤、懸濁剤および1以上の防腐剤と混合した活性成分を提供する。さらなる添加物、例えば、着色剤もまた存在し得る。
【0218】
適当な乳化剤は天然に存在するガム、例えば、アカシアガムまたはトラガカントゴム;天然に存在するフォスファチド、例えば、ダイズレシチン;および脂肪酸とヘキシトール無水物由来の部分エステルを含むエステル、例えば、ソルビタンモノオレエートおよび該部分エステルとエチレンオキシドの縮合産物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。
【0219】
ある実施態様において、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトールまたは塩化ナトリウムを、組成物に包含させ得る。注射可能組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物に包含させることにより、もたらされ得る。
【0220】
経口投与のための具体的形態は、錠剤、カプセル、エリキシル、シロップなどを含むが、これらに限定されない。
【0221】
ここに記載する癌のタイプ、投与経路および/またはコンジュゲートを局所的にまたは全身性に投与するかによって、約1μg/kg~約1g/kgの範囲内に入る用量を含み、広範な許容投与量がここで意図される。投与は単回でも分割でもよく、1日1回(q.d.)、1日2回(b.i.d.)、1日3回(t.i.d.)または隔日、週2回(b.i.w.)、週1回、月1回、四半期に1回などを含む、広範なプロトコールにより投与し得る。これらの場合の各々において、ここに記載する治療有効量は、投与毎にまたは投与プロトコールにより1日、週、月または四半期用量として決定される用量に対応することは理解される。
【0222】
ある実施態様において、本教示によるコンジュゲートを直接血流に、筋肉にまたは内部臓器に投与し得る。このような非経腸投与に適当な経路は、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、硬膜外、側脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、腫瘍内、筋肉内および皮下送達を含む。非経腸投与の適当な手段は、有針(マイクロニードルを含む)注射器、無針注射器および点滴技法を含む。
【0223】
ある実施態様において、非経腸製剤は、一般に塩、炭水化物および緩衝剤(好ましくはpH3~9)などの担体または添加物を含み得る水溶液であるが、ある適用について、無菌非水溶液または無菌、発熱性物質除去水などの適当な媒体と組み合わせて使用するための乾燥形態としてより適切に製剤され得る。他の実施態様において、ここに記載の液体製剤の何れもここに記載するコンジュゲートの非経腸投与に適合させ得る。無菌条件下の、例えば、無菌条件下の凍結乾燥による、非経腸製剤の調製は、当業者に周知の標準製薬技術を使用して容易に達成し得る。ある実施態様において、非経腸製剤の調製に使用するここに記載するコンジュゲートの溶解度を、溶解性向上剤の取り込みなどの適切な製剤技法により増加させ得る。
【0224】
ある実施態様において、非経腸投与用製剤を、即時および/または修飾放出のために製剤し得る。ある実施態様において、本教示による活性剤(すなわち、ここに記載するコンジュゲート)を、例えば、徐放性ポリマーを含む組成物の持続放出型製剤で投与し得る。活性剤を、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤などのコンジュゲートを急速な放出から保護する担体と調製し得る。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルソエステル、ポリ乳酸およびポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PGLA)などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用し得る。このような製剤を調製する方法は、一般に当業者に知られる。他の実施態様において、本教示によるコンジュゲートまたは該コンジュゲートを含む組成物を、適切であるならば、連続的に投与し得る。
【0225】
ある実施態様において、キットが提供される。ここに記載する活性コンジュゲートの組み合わせを投与するならば、2以上の医薬組成物を、組成物の連続投与または共投与に適するキットの形で組み合わせ得る。該キットは、少なくとも一つは本教示によるコンジュゲートを含む2以上の別々の医薬組成物および容器、分割されたボトルまたは分割されたホイルパケットなどのこれら組成物を別々に保持する手段を含む。ある実施態様において、患者選択および/または処置のためのここに記載するコンジュゲートの使用の指示を提供するラベルを有する容器中の、1以上のここに記載するコンジュゲートを含む組成物が提供される。
【0226】
ここで使用する用語“キット”は、本教示による方法の実施に使用される材料の集合体をいう。キットの成分は、相互反応性および安定性および液体または固体形態により、同一または個別の容器中に包装された組み合わせで提供され得る。キットに提供される成分の量および比率は、特定の適用について最適結果が提供されるように選択され得る。ある実施態様において、(例えば、患者に)投与すべき成分は、個別の物理的形状(例えば、1以上の組成物と1以上の流体を含むキット)で提供され得るが、他の実施態様において、患者に導入される全ての成分は、一体となった1個の共通した形状(例えば、1組成物または1流体)で提供され得ることが理解される。
【0227】
本教示よるキットに包含される成分は、異なる成分の活性が実質的に保持され、成分自体は容器の材質により実質的に吸着または改変されることがないような容器で提供され得る。適当な容器はアンプル、ビン、試験管、バイアル、フラスコ、シリンジ、バッグおよびエンベロープ(例えば、ホイル裏打ち)などを含むが、これらに限定されない。容器は、ガラス、有機ポリマー(例えば、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、セラミック、金属(例えば、アルミニウム)、合金(例えば、鋼)、コルクなどを含むが、これらに限定されない任意の適当な材料で製造され得る。さらに、容器は、隔壁により提供され得るような、1以上のアクセスポート(例えば、針によるアクセスのため)を含み得る。隔壁の好ましい材料は、例えば、DuPont(Wilmington, Del.)から商品名テフロンで販売されているタイプのポリテトラフルオロエチレンを含むが、これに限定されない、ゴムおよびポリマーを含む。さらに、容器は、成分の混合を可能とするために除き得る仕切りまたは膜により分けられた2以上の区画を含み得る。
【0228】
本教示のキットは、キット成分の熱交換系への提供の指示を含むが、これに限定されない、当分野で知られるおよび/または販売業者および利用者の視点から望まれ得る他の事項も含み得る。
【0229】
本発明によるキットに提供される指示は、印刷(例えば、紙)および/または電子可読媒体(例えば、フロッピーディスク、CD-ROM、DVD-ROM、zipディスク、ビデオテープ、録音テープなど)の形態で提供され得る。あるいは、指示は、使用者にインターネットウェブサイト(例えば、キットの製造者または販売者により特定)および/または電子メール、テキストメッセージ、ソーシャルメディアおよび/または類似のものおよびこれらの組み合わせにより使用者に直接提供され得る。
【0230】
ある実施態様において、無菌注射可能溶液を、必要量の活性剤を、必要に応じて上記成分の一つまたは組み合わせを含む適切な溶媒に取り込み、続いて濾過滅菌することにより調製し得る。一般に、分散体は、コンジュゲートを、分散媒体および上記のさらなる成分の何れかを含む無菌媒体に取り込むことにより調製される。無菌注射可能溶液を調製するための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、予め無菌濾過したその溶液からの任意のさらなる所望の成分を伴う活性成分の粉末を生じる真空乾燥および凍結乾燥であるかまたは所望成分の混液を一括して滅菌濾過し得る。
【0231】
組成物を溶液、マイクロエマルジョン、リポソームまたは高薬物濃度に適する他の秩序構造に製剤し得る。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適当な混合物を含む、溶媒または分散媒体であり得る。ある実施態様において、適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散体の場合必要な粒子径の維持によりおよび界面活性剤の使用により、維持され得る。
【0232】
ここに記載するコンジュゲートを投与するためのあらゆる有効なレジメンが使用され得る。例えば、ここに記載するコンジュゲートを単一用量として投与できまたは用量を分割し、1日複数用量レジメンで投与し得る。さらに、交互のレジメン、例えば、週に1~5日を連日処置の代りに使用でき、ここに記載する方法の目的で、このような間欠的または交互の連日レジメンは、連日処置と等価であると考えられ、意図される。ある実施態様において、患者を、本教示によるコンジュゲートで複数の注射で処理して、癌を処置する。ある実施態様において、患者に、例えば、12~72時間間隔または48~72時間間隔で、本教示によるコンジュゲートを複数回(例えば、約2回から約50回まで)注射する。本教示によるコンジュゲートのさらなる注射を、最初の注射後数日または数か月の間隔で患者に与えてよく、このさらなる注射は癌の再発を予防し得る。
【0233】
本教示によるコンジュゲートを用いる任意の適当な治療過程が使用され得る。ある実施態様において、個々の用量および用法レジメンを選択して、1か月間に投与される総用量約15mgを提供し得る。いくつかの例において、本教示によるコンジュゲートを、各4週サイクルの第1週、2週および3週目に、週に5日、1日1回用量で投与し、第4週目は投与しない。他の例において、本教示によるコンジュゲートを、各4週サイクルの第第1週および3週目に、週に3日、1日1回用量で投与し、第2週および4週目は投与しない。他の例において、本教示によるコンジュゲートを、第1週および2週目に週2回投与する(すなわち、3週サイクルの1日目、4日目、8日目、11日目)。他の例において、ここに記載するコンジュゲートを、第1週および2週目に週に1回投与する(すなわち、3週サイクルの1日目および8日目)。
【0234】
本教示によるコンジュゲートの単位1日投与量は、患者の状態、処置する癌、ここに記載するコンジュゲートの投与経路および組織分布および放射線療法または組み合わせ治療におけるさらなる薬物などの他の治療的処置の併用の可能性により顕著に変わり得る。患者に投与すべき有効量は、体表面積、腫瘤および患者の状態の医師評価に基づく。治療有効用量(ここでは“治療有効量”とも称する)は、例えば、約0.5mg/m~約20.0mg/mの範囲であり得る。
【0235】
本教示によるコンジュゲートは、1以上のキラル中心を含み得るかまたは他に複数の立体異性体で存在することが可能であり得る。従って、本発明は純粋な立体異性体ならびに、エナンチオマー、ジアステレオマーならびにエナンチオマー的にまたはジアステレオマー的に富化された混合物などの立体異性体混合物を含むことが理解されるべきである。本教示によるコンジュゲートは幾何異性体として存在し得る。従って、本発明は、純粋な幾何異性体または幾何異性体混合物を含むことが理解される。
【0236】
本教示によるコンジュゲートは、溶媒和されていない形態ならびに水和形態を含む溶媒和された形態で存在し得ることが認識される。一般に、溶媒和された形態は溶媒和されていない形態と等価であり、本発明の範囲内に包含される。ここに記載するコンジュゲートは、複数の結晶または非晶質形態で存在し得る。一般に、全ての物理的形状は、本発明により意図される使用に関して等価であり、本発明の範囲内であることが意図される。
【0237】
ある実施態様において、本教示によるコンジュゲートの投与のための組成物および/または投与形態は、少なくとも約90%または約95%または約96%または約97%または約98%または約99%または約99.5%純度を有するコンジュゲートから調製される。他の実施態様において、本教示によるコンジュゲートの投与のための組成物および/または投与形態は、少なくとも90%または少なくとも95%または少なくとも96%または少なくとも97%または少なくとも98%または少なくとも99%または少なくとも99.5%純度を有するコンジュゲートから調製される。
【0238】
ある実施態様において、薬物はシスプラチン、ジソラゾール、ERK阻害剤、PI3K/ERK阻害剤またはゲムシタビンであり得る。
【0239】
小分子ターゲティングリガンドは、ペプチドおよび抗体と比較して、i)部位特異的放射性標識をより可能とする広範囲のpHおよび温度にわたる安定性、ii)高腫瘍浸透および好都合な薬物動態、iii)迅速なクリアランスおよびiv)非免疫原性を含むが、これらに限定されないいくつかの利点を有し得る。LHRH-R標的化近赤外色素コンジュゲートを開発するためのLHRH-Rに対する非ペプチド性小分子アンタゴニストの使用は、肝臓および腎臓中のスカベンジャー受容体による非特異的取り込み、循環中のペプチドの不安定性などによるペプチドターゲティングリガンドの使用の欠点を克服し得る。
【0240】
次の実施例および代表的方法は、本教示と一致する特性を説明し、単に説明として提供される。それらは添付する特許請求の範囲またはその均等物の範囲を限定することを意図しない。
【0241】
材料。ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBop)、N,N-ジメチルメタンアミド(DMF)、-(1H-7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタンアミニウム(HATU)、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(DIPEA)、イソプロピルアルコール(IPA)、ジクロロメタン(DCM)およびトリフルオロ酢酸(TFA)、1,2-エタンジチオール、トリイソプロピルシラン(TIPS)、ピペリジン、ジメチルスルホキシド(DMSO)および全ての他の化学試薬はSigma-Aldrichから購入した。ロズウェルパーク記念研究所培地1640(RPMI 1640)およびウシ胎児血清(FBS)などの細胞培養試薬は、GIBCO(Grand Island, NY)から購入し、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、2mM グルタミンはLife Technologiesから購入した。99mTc-過テクネチウム酸ナトリウムはSyncorから提供された。H-Cys(Trt)-2-Cl-Trt樹脂および保護アミノ酸はChem-Impex Intl.(Chicago, IL)から購入した。ツブリシンBヒドラジドおよびその活性化誘導体はEndocyte Inc.(West Lafayette, IN)から恵与された。グルタミン、ペニシリン-ストレプトマイシンおよびトリプシンはBD Biosciences(San Jose, CA)から調達した。
【実施例
【0242】
化合物実施例
化合物実施例1. JL-L1-S0456、JL-L2-S0456、JL-L3-S0456
【化43】
【0243】
【化44】
スキーム1. JR-L1-S0456の合成、反応材および条件:(a)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、(ii)Fmoc-ジアミノプロピオン(DAP)酸、PyBop、DMF、DIPEA、(b)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)N-Fmoc-L-グルタミン酸アルファ-tert-ブチルエステル、PyBop、DMF、DIPEA、(c)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)N-Fmoc-L-グルタミン酸アルファ-tert-ブチルエステル、PyBop、DMF、DIPEA、(d)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)JL、PyBop、DMF、DIPEA、(iii)TFA/HO/TIPS/EDT(92.5:2.5:2.5:2.5)、1時間、(e)JL-L1、S0456マレイミド、無水DMSO、DIPEA、rt。
【0244】
JL-L1の合成:LHRH-Rリガンドを、各々を引用により本明細書に包含させるTucci, F. C., et al. (2005). Journal of medicinal chemistry, 48(4), 1169-1178およびStruthers, R. S., et al. (2007). Endocrinology, 148(2), 857-867に記載の方法で合成した。コンジュゲーションの単純化のために、該公開分子に存在するエーテル基を、カルボン酸基を有するように修飾した。修飾LHRH-RリガンドをJLと称する。スキーム1に記載のとおり、リンカーを標準固相ペプチド合成により製造した。JLを次いで固相上のリンカーとカップリングさせた。最終生成物をTFA:水:TIPS:エタンジチオール(95%:2.5%:2.5%:2.5%)の標準カクテル溶液を使用してH-Cys(Trt)2-クロロトリチル樹脂から開裂させた。粗製JL-L1をRP-HPLC[A=2mM 酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)、B=アセトニトリル、溶媒勾配35分で0%B~80%B]で精製して、必要な生成物を得た。LRMS-LC/MS (m/z): [M+H]+ C15H56F2N8O13の計算値1027; 実測値1028
【0245】
NIRコンジュゲートJL-L1-S0456の合成:マレイミドを含むS0456色素を、スキーム1に記載のとおり合成した。1当量のS0456-マレイミドおよびJL-L1を無水DMSOに溶解し、続いて5当量のDIPEAを加えた。反応混合物を、アルゴン雰囲気下、1時間撹拌した。反応の完了をLC-MSでモニターした。粗製JL-L1-S0456をRP-HPLC[A=2mM 酢酸アンモニウム緩衝液(pH7.0)、B=アセトニトリル、溶媒勾配35分で0%B~80%B]で精製して、必要な生成物を得た。JL-L1-S0456のLCMS特徴付けは次のとおりであった。LRMS-LC/MS (m/z): [M+H]+ C89H99F2N10Na3O22S3の計算値, 1863; 実測値1864。JR-L1-S0456のLRMS-LC/MSトレースを図1に示す。
【0246】
【化45】
スキーム2. JL-L2-S0456の合成、反応材および条件:(a)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、(ii)Fmoc-N-アミド-dPEG-酸、PyBop、DMF、DIPEA、(b)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)JL、PyBop、DMF、DIPEA、(iii)TFA/HO/TIPS/EDT(92.5:2.5:2.5:2.5)、1時間、(c)JL-L2、S0456マレイミド、無水DMSO、DIPEA、rt。
【0247】
JL-L2の合成:スキーム2に記載のとおり、リンカーを標準固相ペプチド合成により製造した。JLを次いで固相上のリンカーとカップリングさせた。最終生成物をTFA:水:TIPS:エタンジチオール(95%:2.5%:2.5%:2.5%)の標準カクテル溶液を使用してH-Cys(Trt)2-クロロトリチル樹脂から開裂させた。粗製JL-L2をRP-HPLC[A=2mM 酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)、B=アセトニトリル、溶媒勾配35分で0%B~80%B]で精製して、必要な生成物を得た。LRMS-LC/MS (m/z): [M+H]+ C47H61F2N5O12Sの計算値, 958.08; 実測値959
【0248】
NIRコンジュゲートJL-L2-S0456の合成:マレイミドを含むS0456色素を、スキーム2に記載のとおり合成した。1当量のS0456-マレイミドおよびJL-L2を無水DMSOに溶解し、続いて5当量のDIPEAを加えた。反応混合物を、アルゴン雰囲気下、1時間撹拌した。反応の完了をLC-MSでモニターした。粗製JL-L2-S0456をRP-HPLC[A=2mM 酢酸アンモニウム緩衝液(pH7.0)、B=アセトニトリル、溶媒勾配35分で0%B~80%B]で精製して、必要な生成物を得た。JL-L3 S0456を、JL-L1-S0456と同様の方法で合成および精製した。JL-L2-S0456のLCMS特徴付けは次のとおりであった。LRMS-LC/MS (m/z): [M+H]+ C100H118F2N9Na3O28S5の計算値, 2161.35; 実測値2162。JR-L2-S0456のLRMS-LC/MSトレースを図2に示す。
【0249】
【化46】
スキーム3. JL-L3-S0456の合成、反応材および条件:(a)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、(ii)3,4,5,6-ジ-イソプロピリデン-1-アミノ-デオキシ(Fmoc-Glu-OH)-D-グルシトール、PyBop、DMF、DIPEA、(b)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)Fmoc-Glu(OtBu)-OH、PyBop、DMF、DIPEA、(c)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、(ii)3,4,5,6-ジ-イソプロピリデン-1-アミノ-デオキシ(Fmoc-Glu-OH)-D-グルシトール、PyBop、DMF、DIPEA、(d)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)Fmoc-8-アミノ-オクタン酸、PyBop、DMF、DIPEA、(e)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)JL、PyBop、DMF、DIPEA、(iii)TFA/HO/TIPS/EDT(92.5:2.5:2.5:2.5)、1時間、(f)JL-L2、S0456マレイミド、無水DMSO、DIPEA、rt。
【0250】
JL-L3の合成:スキーム3に記載のとおり、リンカーを標準固相ペプチド合成により製造した。ペプチドグリカンサブユニットを、他の場所に記載のとおり合成した。JLを次いで固相上のリンカーとカップリングさせた。最終生成物をTFA:水:TIPS:エタンジチオール(95%:2.5%:2.5%:2.5%)の標準カクテル溶液を使用してH-Cys(Trt)2-クロロトリチル樹脂から開裂させた。粗製JL-L3をRP-HPLC[A=2mM 酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)、B=アセトニトリル、溶媒勾配35分で0%B~80%B]で精製して、必要な生成物を得た。LRMS-LC/MS (m/z): [M+H]+ C67H94F2N10O23Sの計算値, 1477; 実測値1478
【0251】
NIRコンジュゲートJL-L3-S0456の合成:マレイミドを含むS0456色素を、スキーム3に記載のとおり合成した。1当量のS0456-マレイミドおよびJL-L3を無水DMSOに溶解し、続いて5当量のDIPEAを加えた。反応混合物を、アルゴン雰囲気下、1時間撹拌した。反応の完了をLC-MSでモニターした。粗製JL-L3-S0456をRP-HPLC[A=2mM 酢酸アンモニウム緩衝液(pH7.0)、B=アセトニトリル、溶媒勾配35分で0%B~80%B]で精製して、必要な生成物を得た。JL-L3-S0456のLCMS特徴付けは次のとおりであった。LRMS-LC/MS (m/z): [M+H]+ C120H151F2N14Na3O39S5の計算値, 2680.85; 実測値2682。JR-L3-S0456のLRMS-LC/MSトレースを図3に示す。
【0252】
化合物実施例2. JL-L1A、JL-L2A、JL-L3A
【化47】
【0253】
【化48】
スキーム4. JL-L1Aの合成、反応材および条件:(a)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、(ii)Fmoc-Asp(OtBu)、PyBop、DMF、DIPEA、(b)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)Fmoc-ジアミノプロピオン(DAP)酸、PyBop、DMF、DIPEA、(c)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)N-Fmoc-L-グルタミン酸アルファ-tert-ブチルエステル、PyBop、DMF、DIPEA、(d)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)N-Fmoc-L-グルタミン酸アルファ-tert-ブチルエステル、PyBop、DMF、DIPEA、(e)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)JL、PyBop、DMF、DIPEA、(iii)TFA/HO/TIPS/EDT(92.5:2.5:2.5:2.5)、1時間。
【0254】
JL-L1Aの合成。LHRH-Rターゲティングリガンドを、引用により本明細書に包含させるTucci, F. C., et al., Journal of medicinal chemistry, 48(4), 1169-1178の公開方法により合成した。親分子を修飾して、分子のエーテル官能基をカルボン酸基に置き換えた。修飾リガンドをここではJLと称する。全コンジュゲートの合成を、標準固相ペプチド合成により実施した。コンジュゲートの構成要素を、H-Cys(Trt)2-クロロトリチル樹脂上で構築したTFA:水:TIPS:エタンジチオール(95%:2.5%:2.5%:2.5%)の標準カクテル溶液を、樹脂からの最終コンジュゲートの開裂に使用した。粗製生成物をRP-HPLC[A=2mM 酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)、B=アセトニトリル、溶媒勾配35分で0%B~80%B]で精製して、必要な生成物を得た。LRMS-LC/MS (m/z): [M+H]+ C49H57F2N9O15Sの計算値, 1082.1; 実測値1083
【0255】
【化49】
スキーム5. JL-L2Aの合成、反応材および条件:(a)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、(ii)Fmoc-Asp(OtBu)、PyBop、DMF、DIPEA、(b)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)Fmoc-ジアミノプロピオン(DAP)酸、PyBop、DMF、DIPEA、(c)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、(ii)Fmoc-N-アミド-dPEG-酸、PyBop、DMF、DIPEA、(d)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)JL、PyBop、DMF、DIPEA、(iii)TFA/HO/TIPS/EDT(92.5:2.5:2.5:2.5)、1時間。
【0256】
JL-L2Aの合成。LHRH-Rターゲティングリガンドを、引用により本明細書に包含させるTucci, F. C., et al., Journal of medicinal chemistry, 48(4), 1169-1178の公開方法により合成した。親分子を修飾して、分子のエーテル官能基をカルボン酸基に置き換えた。修飾リガンドをここではJLと称する。全コンジュゲートの合成を、標準固相ペプチド合成により実施した。コンジュゲートの構成要素を、H-Cys(Trt)2-クロロトリチル樹脂上で構築したTFA:水:TIPS:エタンジチオール(95%:2.5%:2.5%:2.5%)の標準カクテル溶液を、樹脂からの最終コンジュゲートの開裂に使用した。粗製生成物をRP-HPLC[A=2mM 酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)、B=アセトニトリル、溶媒勾配35分で0%B~80%B]で精製して、必要な生成物を得た。LRMS-LC/MS (m/z): [M+H]+ C54H72F2N8O16Sの計算値, 1159.27; 実測値1160
【0257】
【化50】
スキーム6. JL-L3Aの合成、反応材および条件:(a)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、(ii)Fmoc-Asp(OtBu)、PyBop、DMF、DIPEA、(b)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)Fmoc-ジアミノプロピオン(DAP)酸、PyBop、DMF、DIPEA、(c)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、(ii)3,4,5,6-ジ-イソプロピリデン-1-アミノ-デオキシ(Fmoc-Glu-OH)-D-グルシトール、PyBop、DMF、DIPEA、(d)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)N-Fmoc-L-グルタミン酸アルファ-tert-ブチルエステル、PyBop、DMF、DIPEA、(e)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、(ii)3,4,5,6-ジ-イソプロピリデン-1-アミノ-デオキシ(Fmoc-Glu-OH)-D-グルシトール、PyBop、DMF、DIPEA、(f)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)Fmoc-8-アミノ-オクタン酸、PyBop、DMF、DIPEA、(e)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(g)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)JL、PyBop、DMF、DIPEA、(iii)TFA/HO/TIPS/EDT(92.5:2.5:2.5:2.5)、1時間。
【0258】
JL-L3Aの合成。LHRH-Rターゲティングリガンドを、引用により本明細書に包含させるTucci, F. C., et al., Journal of medicinal chemistry, 48(4), 1169-1178の公開方法により合成した。親分子を修飾して、分子のエーテル官能基をカルボン酸基に置き換えた。修飾リガンドをここではJLと称する。全コンジュゲートの合成を、標準固相ペプチド合成により実施した。コンジュゲートの構成要素を、H-Cys(Trt)2-クロロトリチル樹脂上で構築したTFA:水:TIPS:エタンジチオール(95%:2.5%:2.5%:2.5%)の標準カクテル溶液を、樹脂からの最終コンジュゲートの開裂に使用した。粗製生成物をRP-HPLC[A=2mM 酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)、B=アセトニトリル、溶媒勾配35分で0%B~80%B]で精製して、必要な生成物を得た。LRMS-LC/MS (m/z): [M+H]+ C74H105F2N13O27Sの計算値, 1678.77; 実測値1678。JL-L3A放射性HPLCプロファイルを図4に示す。
【0259】
非放射性JL-L1A、JL-L2AおよびJL-L3Aバイアルの製剤。99mTcで放射性標識する前に、コンジュゲートを、引用により本明細書に包含させるLeamon, C. P., et al. Bioconjugate chemistry, 13(6), 1200-1210の公開方法に従い製剤した。0.1mgのJL-L1A、80mgのナトリウムα-D-グルコヘプトン酸および10mgの塩酸スズ(II)を、アルコン通気水に溶解した。溶液のpHを、水酸化ナトリウムまたは塩酸で6.8±0.2に調節した。最終体積を10mlに調節し、次いで上記溶液各1mlを含む10バイアルに移し、凍結乾燥した。凍結乾燥粉末をアルゴン下バイアルに密封し、-20℃で保存した。JL-L2AおよびJL-L3Aの製剤は同じ方法に従った。
【0260】
JL-L1A、JL-L2AおよびJL-L3Aの99mTc標識。コンジュゲートの放射性標識を、を引用により本明細書に包含させるLeamon, C. P., et al. Bioconjugate chemistry, 13(6), 1200-1210に公開された方法に従い実施した。JL-L1Aの製剤バイアルに、1mlの99mTc過テクネチウム酸ナトリウムを加え、約18分間、100℃で加熱した。キレート溶液を室温に冷却して、その後インビトロおよびインビボ試験に使用した。コンジュゲートのキレート化効率をHPLCで確認した。3コンジュゲート全て95%を超えるキレート化効率を示した。
【0261】
化合物実施例3. JL-L2-ローダミン、JR-L3、JR-L3-TubBH
【化51】
【化52】
【0262】
【化53】
スキーム7. JR-L2-ローダミンの合成、反応材および条件:(a)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、(ii)Fmoc-N-アミド-dPEG-酸、PyBop、DMF、DIPEA、(b)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)JL、PyBop、DMF、DIPEA、(c)TFA/HO/TIPS/EDT(92.5:2.5:2.5:2.5)、1時間、(d)JL-L2、ローダミンマレイミド、無水DMSO、DIPEA、rt
【0263】
JL-L2の合成:LHRH-Rアンタゴニスト(JL)を、最後の工程で反応物のエーテル誘導体代わりにカルボン酸誘導体を使用した以外、先に公開された方法27により合成した。この修飾は、リンカーのカップリングを容易にするために行った。リンカーをSI図1に記載する標準固相ペプチド合成により製造した。JLを、さらに固相上のリンカーとカップリングさせた。カップリング完了後、生成物をTFA:水:TIPS:エタンジチオール(95%:2.5%:2.5%:2.5%)のカクテル溶液を使用して、樹脂から開裂させた。粗製JL-L2をRP-HPLC[A=2mM 酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)、B=アセトニトリル、溶媒勾配35分で0%B~80%B]を使用して精製して、70%の所望の生成物を得た。LRMS-LC/MS (m/z): [M+H]+ C47H61F2N5O12Sの計算値, 958.08; 実測値959
【0264】
JL-L2-ローダミンの合成:ローダミン色素コンジュゲートを合成するために、精製JL-L2およびローダミンマレイミド(1当量)を無水DMSOおよびDIPEA(2当量)に溶解した。反応混合物を、アルゴン雰囲気下、室温で撹拌した(SI図1)。反応の進行を分析的LRMS-LCMSを使用してモニターした。1時間後、反応は完了に達したことが判明した。粗製生成物を分取RP-HPLC[A=2mM 酢酸アンモニウム緩衝液(pH7.0)、B=アセトニトリル、溶媒勾配35分で0%B~50%B]で精製して、90%の所望の生成物を得た。LRMS-LC/MS (m/z): [M+H]+ C75H84F2N8O17Sの計算値, 1439.59; 実測値1440。JR-L2-ローダミンのLRMS-LC/MSトレースを図5に示す。
【0265】
【化54】
スキーム8. JR-L3の合成、反応材および条件:(a)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、(ii)3,4,5,6-ジ-イソプロピリデン-1-アミノ-デオキシ(Fmoc-Glu-OH)-D-ルシトール、PyBop、DMF、DIPEA、(b)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、(ii)Fmoc-Glu(OtBu)-OH、PyBop、DMF、DIPEA、(c)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、(ii)3,4,5,6-ジ-イソプロピリデン-1-アミノ-デオキシ(Fmoc-Glu-OH)-D-グルシトール、PyBop、DMF、DIPEA、d)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、(ii)Fmoc-8-アミノ-オクタン酸、PyBop、DMF、DIPEA、4時間、(e)(i)20%ピペリジン/DMF、rt、10分、(ii)JL、PyBop、DMF、DIPEA、(f)TFA/HO/TIPS/EDT(92.5:2.5:2.5:2.5)、1時間。
【0266】
JL-L3の合成:JL-L3をSI図2に記載のとおり標準固相ペプチド合成により製造した。最終生成物を、TFA:水:TIPS:エタンジチオール(95%:2.5%:2.5%:2.5%)のカクテル溶液を使用して樹脂から開裂した。粗製JL-L3をRP-HPLC[A=2mM 酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)、B=アセトニトリル、溶媒勾配35分で0%B~80%B]を使用して精製して、80%の所望の生成物を得た。LRMS-LC/MS (m/z): [M+H]+ C67H94F2N10O23Sの計算値, 1477.59; 実測値1478。JR-L3のLRMS-LC/MSトレースを図6に示す。
【0267】
【化55】
スキーム9. JR-L3-TubBHの合成、反応材および条件:(i)JL-L3、HO/NaHCO(pH=7.0~7.2)、アルゴン、r.t.、(ii)活性化TubBH、無水THF、アルゴン、r.t.。
【0268】
JL-L3-TubBHの合成:ツブリシンBヒドラジドコンジュゲートを下記のとおり合成した。HPLCグレード水中の重炭酸ナトリウムの飽和溶液を、アルゴンで15分パージした。JL-L3をHPLCグレードのアルゴンパージした水に溶解し、次いで、飽和重炭酸ナトリウム溶液を使用してpHを7.0に調節した。この反応混合物に、ジスルフィド活性化ツブリシンBヒドラジド(1当量)のTHF溶液を加えた。反応混合物を、アルゴン雰囲気下、室温で撹拌した。反応の進行を分析的LRMS-LCMSを使用してモニターした。30分後、反応は完了に達したことが判明した。粗製生成物を分取RP-HPLC[A=2mM 酢酸アンモニウム緩衝液(pH7.0)、B=アセトニトリル、溶媒勾配35分で0%B~80%B]で精製して、90%の所望の生成物を得た。LRMS-LC/MS (m/z): [M+H]+ C112H161F2N17O34S3の計算値, 2423.78; 実測値2424
【0269】
細胞培養:LHRH-R陽性乳癌細胞、MDA-MB231およびLHRH-R陰性卵巣癌細胞SKVO3細胞株を、10%ウシ胎児血清および1%ペニシリン-ストレプトマイシン添加RPMI 1640培地で、37℃で95%加湿空気および5%CO雰囲気中培養した。JR-L3-TubBHのLRMS-LC/MSトレースを図7に示す。
【0270】
【化56】
スキーム10. S0456マレイミドの合成。反応材および条件:a)KOH、HO、rt~100℃;b)HATU、無水DIPEA、無水DMF、rt。S0456マレイミドのLC/MSトレースを図8に示す。
【0271】
方法実施例
方法実施例1. JL-L1-S0456、JL-L2-S0456、JL-L3-S0456
細胞培養:MDA-MB231乳癌細胞、HEC-1B子宮内膜癌細胞およびOVCAR-3卵巣癌細胞を、10%ウシ胎児血清、1%の2mM グルタミンおよび1%ペニシリン-ストレプトマイシン添加RPMI 1640培地で、37℃で5%COおよび95%加湿雰囲気下、単層として培養した。MDA-MB231細胞は、培養した凍結ストックであり、HEC-1BおよびOVCAR-3細胞はATCCから購入した。
【0272】
蛍光顕微鏡法:3細胞全てを播種し、チェンバーカバーガラスで48時間単層に増殖させた。使用済培地を、過剰のJL-L3の存在下または非存在下、100mM濃度のコンジュゲートで置き換え、1時間、37℃でインキュベートした。インキュベーション後、細胞を新鮮培地で3回洗浄して、非結合蛍光コンジュゲートを除去した。新鮮培地(0.5ml)を細胞に加え、蛍光顕微鏡(Nikon 90i)で画像を取得した。
【0273】
結合アッセイ:100,000 MCF7細胞を24ウェルプレートに播種し、48時間にわたり単層に増殖させた。使用済培地を、過剰の非標識リガンドの存在下または非存在下、種々の濃度の色素コンジュゲートを含む新鮮培地で置き換えた。1時間、37℃でインキュベーション後、細胞を新鮮培地で3回洗浄し、0.5%SDSに溶解した。蛍光光度計を使用して、蛍光を測定した。全最終コンジュゲートをHPLCで精製して、その後インビトロおよびインビボ試験に使用した。
【0274】
インビトロ結合親和性:蛍光コンジュゲート(JL-L3-S0456)の結合親和性を、乳癌細胞MDA-MB231で測定した。アッセイの結果を図9に示す。細胞を種々の濃度のNIR色素コンジュゲート(JL-L3-S0456)に曝し、見かけのKを、細胞結合蛍光の測定により決定した。細胞を、100倍過剰の非標識コンジュゲートの存在下または非存在下、種々の濃度の色素コンジュゲートと37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後細胞を3回洗浄し、次いで1%SDSに溶解した。細胞結合蛍光を蛍光光度計により測定した。コンジュゲートの見かけのKは3.5nMであることが判明し、一方親リガンドのKiは0.19nMと報告されていた。これは、リガンドとNIR色素の間へのリンカーの導入が低ナノモル濃度範囲のターゲティングリガンドの結合親和性を保持したことを示す。100倍過剰の非標識ターゲティングリガンド(JL-L3)の添加は、MDA-MB231とJL-L3-S0456の細胞結合蛍光強度を顕著に減少させた。これは、JL-L3-S0456のMDA-MB231細胞への結合が受容体介在であることを確認する。それ故に、インビトロで、JL-L3-S0456は、該受容体に低ナノモル濃度結合親和性および特異性を示した。
【0275】
動物飼育:メス胸腺欠損nu/nuマウス、5~6週齢をHarlan Laboratoriesから得た。動物を、標準的12時間明暗サイクルで飼育し、通常の齧歯類固形飼料および水は自由に摂取させた。全ての動物実験は、Purdue Animal Care and Use Committeeにより許可された。
【0276】
インビボ蛍光造影および生体内分布。皮下腫瘍異種移植片の進展のため、0.2ml 無菌PBS中、5×10細胞のMDA-MB231、OVCAR-3およびHEC-1Bを、メスnu/nuマウスの右脇腹後部に皮下注射した。腫瘍体積が200mm~300mmに達したら、腫瘍造影を開始した。各腫瘍担持マウスに、100倍過剰の非標識コンジュゲートの存在下または非存在下、10ナノモル濃度の蛍光色素コンジュゲートを静脈内注射した(尾静脈から)。注射2時間後、動物をCOを使用して屠殺し、Caliper IVIS Luminal IIを使用して画像を取得した。全身イメージング実施後、目的の臓器を回収し、造影して、これらの臓器への蛍光の蓄積を検査した。画像取得パラメータは次のとおりであった:i)ランプレベル-高、ii)励起-745nm、iii)発光-ICG、iv)ビニング(M) 4M、(v)f-停止-4、(vi)FOV-12.5、(vii)収集時間、1秒。全最終コンジュゲートをHPLCで精製して、その後インビトロおよびインビボ試験に使用した。
【0277】
コンジュゲートが、インビボで受容体陽性腫瘍を標的化する効率を決定するために、メスnu/nu胸腺欠損ヌードマウスにMCF7、MDA-MB231、OVCAR3またはHEC-1Bを皮下的にインプラントした。腫瘍が適切な体積に達したら、マウスに、過剰の非標識ターゲティング分子の存在下または非存在下で、色素コンジュゲート(10nmoles)を静脈内注射した。マウスを注射後2時間で造影して、腫瘍および他の重要な臓器への色素コンジュゲートの蓄積を調査した。
【0278】
図10Aは、MCF-7腫瘍異種移植片におけるJL-L1-S0456色素コンジュゲートのインビボ取り込みを示す。マウスを、100倍過剰の非標識コンジュゲートの存在下または非存在下、色素コンジュゲートで静脈内処置した。図10Bは、種々の臓器へのJL-L1-S0456の取り込みを示す。画像は全て注射後2時間で取得した。上から下方向での臓器の一覧:脳、腫瘍、脾臓、腎臓、小腸、大腸、筋肉、皮膚、心臓、肺、肝臓および胃。
【0279】
JL-L1-S0456色素コンジュゲートは、745nmで励起したとき、腫瘍または他の臓器の何れかへの取り込みを何ら示さなかったが、640nmで励起したとき、蛍光は、非競合的であることが判明した、腫瘍、腎臓および脳に主に蓄積されることが判明した。理論に拘束されることを意図しないが、JL-L1-S0456のこの予想外の挙動は2つの仮説により説明できた。適当な条件下、1級アミンは色素のフェノール基のヒドロキシル酸素を置換して、色素と分子の残りの間にC-N結合を形成できる。この置換が、745nmから640nmへの色素の励起のシフトをもたらし得る。
【0280】
図11Aは、MDA-MB231腫瘍異種移植片におけるJL-L2-S0456色素コンジュゲートのインビボ取り込みを示す。マウスを、100倍過剰の非標識コンジュゲートの存在下または非存在下、色素コンジュゲートで静脈内処置した。図11Bは、種々の臓器へのJL-L2-S0456の取り込みを示す。画像は全て注射後2時間で取得した。上から下方向での臓器の一覧:腫瘍、心臓、肺、膵臓、脾臓、筋肉、皮膚、小腸、大腸、胃、肝臓および腎臓。
【0281】
インビボで試験したとき、JL-L2-S0456は乳癌腫瘍で受容体介在取り込みを示した。非特異的な腎臓および肝臓取り込みも観察された。理論に拘束されることを意図しないが、肝臓および腎臓は排泄に重要な役割を有するため、これらの臓器における蛍光は、腎臓および肝臓経路を経る色素コンジュゲートのクリアランスによるものであった。
【0282】
図12Aは、MDA-MB231腫瘍異種移植片におけるJL-L3-S0456色素コンジュゲートのインビボ取り込みを示す。マウスを、100倍過剰の非標識コンジュゲートの存在下または非存在下、色素コンジュゲートで静脈内処置した。図12Bは、種々の臓器へのJL-L3-S0456の取り込みを示す。画像は全て注射後2時間で取得した。上から下方向での臓器の一覧:腫瘍、脳、心臓、肺、胃、小腸、大腸、筋肉、膵臓、脾臓、肝臓および腎臓。
【0283】
図13Aは、HEC-1B腫瘍異種移植片におけるJL-L3-S0456色素コンジュゲートのインビボ取り込みを示す。マウスを、100倍過剰の非標識コンジュゲートの存在下または非存在下、色素コンジュゲートで静脈内処置した。図13Bは、種々の臓器へのJL-L3-S0456の取り込みを示す。画像は全て注射後2時間で取得した。上から下方向での臓器の一覧:腫瘍、心臓、肺、脾臓、膵臓、筋肉、胃、小腸、大腸、肝臓および腎臓。
【0284】
図14Aは、OVCAR3腫瘍異種移植片におけるJL-L3-S0456色素コンジュゲートのインビボ取り込みを示す。マウスを、100倍過剰の非標識コンジュゲートの存在下または非存在下、色素コンジュゲートで静脈内処置した。図14Bは、種々の臓器へのJL-L3-S0456の取り込みを示す。画像は全て注射後2時間で取得した。上から下方向での臓器の一覧:腫瘍、心臓、肺、脾臓、膵臓、筋肉、胃、小腸、大腸、肝臓および腎臓。
【0285】
PEGリンカーを、ペプチドグリカン含有リンカー、JL-L3-S0456にさらに置き換えた。注射後2時間、JL-L3-S0456は、乳癌腫瘍に蓄積されることが判明した。非標識ターゲティングコンジュゲート(JL-L3)は、JL-L3-S0456の腫瘍取り込みと競合できた。体内分布試験は、腫瘍以外、腎臓も高い蛍光を示した。腫瘍の蛍光強度は腎臓より低かったが、腫瘍における色素コンジュゲートの蓄積は受容体介在であり、腎臓への蓄積は、腎臓経路を経る色素コンジュゲートの排泄のためであった。肝臓では全く蛍光が観察されないか、極微の蛍光が観察された。
【0286】
経時的試験。受容体陽性腫瘍に蓄積するJL-L3-S0456の有効性を、卵巣癌および子宮内膜異種移植片への色素コンジュゲートの注射によりさらに調査した。これらのモデル両者で、JL-L3-S0456は受容体介在取り込みを示し、腎臓経路から排泄されることが判明した。腫瘍および腎臓以外、他の臓器で示されるシグナルは、僅かであるか皆無であった。腫瘍における色素コンジュゲートの保持時間を調べるために、経時試験を実施した。マウスに10nmolesの色素コンジュゲートを注射し、2時間、8時間および12時間で造影した。注射後12時間でさえ、腫瘍の蛍光強度は高いことが判明し、注射後2時間で取得した画像と比較して、強度の極めて僅かな減少しか観察されなかった。
【0287】
JL-L3-S0456を用いるMDA-MB231腫瘍の経時的造影の結果を図15Aに示す。画像を注射後2時間、8時間、12時間および24時間で取得し、色素コンジュゲートの腫瘍保持を試験した。図15Bは、各時点で観察された、各臓器へのJL-L3-S0456の取り込みを示す。上から下方向での臓器の一覧:腫瘍、脳、心臓、肺、胃、小腸、大腸、脾臓、膵臓、筋肉、皮膚および肝臓。
【0288】
色素コンジュゲートは、腫瘍への受容体介在取り込みを示し、腎臓への取り込みは受容体介在ではなく、腎臓経路を経るコンジュゲートの排泄によるものであった。さらに、NIR色素もまた高い組織浸透を有し、これは、腫瘍塊の効果的摘出をさらに補助し得る。全体として、マウスモデルのインビボ実験の結果は、LHRH-Rを発現する癌細胞を切除する、ヒトでの蛍光誘導手術におけるJR-L3-S0456の使用を支持する。
【0289】
コンジュゲートを、ヒトトリプルネガティブ乳癌異種移植片におけるインビボでの放射性コンジュゲートの腫瘍ターゲティング効果をさらに評価した。
【0290】
方法実施例2. JL-L1A、JL-L2A、JL-L3A
細胞培養。乳癌MDA-MB231細胞を、10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン-ストレプトマイシンおよび2mM 1%グルタミン添加RPMI培地で単層として培養した。細胞を、37℃で5%COおよび95%空気加湿雰囲気に維持した。
【0291】
動物飼育およびインビボ腫瘍移植。メス胸腺欠損nu/nuマウスを、Harlan laboratoriesから購入した。動物を無菌環境で飼育し、12時間点灯/日サイクルに維持した。動物は、齧歯類固形飼料および水を自由に摂取させた。2×10 MDA-MB23細胞を100μlの無菌リン酸緩衝食塩水に懸濁し、各マウスの右脇腹に皮下注射した。
【0292】
インビトロ結合アッセイ。MDA-MB231細胞を24ウェルプレートに播種し、単層を形成させた。使用済培地を、過剰の非標識コンジュゲートの存在下または非存在下、種々の濃度の放射性コンジュゲート(JL-L1AまたはJL-L2AまたはJL-L3A)を含む無血清培地で置き換えた。細胞を2時間、37℃でインキュベートし、次いで培地で3回濯いだ。濯いだ後、細胞を、0.5mlの0.25N NaOHを各ウェルに20分加えることにより溶解した。細胞結合放射活性をPackcardガンマカウンターを使用して測定し、Kを、細胞結合放射活性対放射性トレーサ濃度のプロットによりグラフパッドプリズムを使用して計算した。図16に示すとおり、MDA-MB231細胞を、過剰の非標識コンジュゲートの存在下または非存在下、種々の濃度の放射性コンジュゲートとインキュベートした。黒丸は99mTcキレートコンジュゲートを示し、白丸は競合を示す。
【0293】
インビボ造影および生体内分布。全ての動物実験は、Purdue Animal Care and Use Committeeにより承認されたガイドラインに従い実施した。腫瘍体積が約300~400mmに達したら、実験を開始した。腫瘍体積を0.5×L×W(式中、Lは最長軸であり、WはLに対して垂直の軸であり、mmである)として測定した。尾部側静脈で、マウスに150μCiの放射性コンジュゲート(過剰の非標識コンジュゲートの存在下または非存在下)を、100μlの無菌リン酸緩衝食塩水中、注射した。造影のために、注射2時間後、マウスをCO窒息により屠殺し、Kodak Imaging Stationを使用して造影した。造影後、動物を解剖して、選択組織を摘出し、秤量した。組織結合放射活性をガンマカウンター(Packardガンマカウンター)を使用して定量した。経時的試験のために、動物を、注射後次の時点で屠殺した:2時間、4時間、6時間および8時間。目的の組織を秤量し、組織結合放射活性をガンマカウンターを使用して計数した。組織結合放射活性のカウント/分値を、減衰補正し、組織グラムあたりの注射用量パーセンテージ(%ID/g)に変換した。Grpahpad Prismを使用して、データを解析した。
【0294】
理論に拘束されることを意図しないが、全3リンカーは、i)最終化合物の親水性および溶解性、ii)ターゲティング受容体を欠く細胞組織へのコンジュゲートの非特異的受動拡散の減少、iii)99mTcキレート基によるターゲティングリガンドの結合の妨害の阻止に寄与した。3コンジュゲート全て95%を超えるキレート化効率を示した。
【0295】
結合親和性を決定するために、MDA-MB231細胞を、非標識コンジュゲート存在下または非存在下、2時間、37℃で種々の濃度の放射性コンジュゲートJL-L1Aとインキュベートした。コンジュゲートJL-L3Aは、LHRH-Rに低ナノモル濃度結合親和性を示した(K=14.39nM)。これは、スペーサーへの結合の結果として、親化合物の結合親和性(Ki=0.4nM)が顕著に影響されず、なお低ナノモル濃度範囲を維持したことを示す。理論に拘束されることを意図しないが、過剰の競合リガンド存在下、細胞結合放射活性が減少し、JL-L3AのMDA-MB231細胞への結合が受容体介在であることを示唆した。
【0296】
インビボ全身造影およびJL-L1A、JL-L2AおよびJL-L3Aの生体内分布。LHRH-R陽性腫瘍における放射性コンジュゲートの取り込みを調べるために、3コンジュゲート全て(150μCi)を、MDA-MB231腫瘍を有するマウスの側静脈に注射した。競合試験のために、マウスに100倍過剰の非標識コンジュゲートをさらに注射した。MDA-MB231腫瘍担持マウスに、側尾静脈に99mTcキレートコンジュゲートを注射した(処置と記されたマウス)。他の群のマウスは、99mTc標識分子を注射したが、過剰の非標識コンジュゲート存在下であった。注射2時間後、画像を撮影した。図17AはJL-L1Aの全身造影を示し、図17Bおよび図17CはそれぞれJL-L2AおよびJL-L3Aの全身造影を示す(n=5)。全3放射性コンジュゲートは、腫瘍における受容体介在取り込みを示した。JL-L1Aは腫瘍への最高取り込みを示したが、他の重要な臓器への取り込みも示した。対照的に、JL-L2AおよびJL-L3Aは腎臓への最高取り込みを示したが、これは非標識コンジュゲートの共投与と競合しなかった。コンジュゲートの非特異的な腎臓取り込みおよび肝臓取り込みは、腎臓および肝臓経路を経る本分子の排泄を示唆する。腎臓、肝臓および腫瘍に加えて、JL-L2Aはまた脾臓への非特異的取り込みを示したが、JL-L3Aの投与では最小活性のみが観察された。
【0297】
99mTcキレートJL-L3Aの保持をさらに試験するために、放射性コンジュゲートを、MDA-MB231異種移植片を有するマウスに注射した。動物を注射後2時間、4時間および8時間で屠殺後、造影し、目的の臓器と関連する放射活性を計数した。時間依存的造影は、腫瘍の注射後8時間の放射活性強度の減少が、注射後2時間の強度の半分未満であることを示した。図18に示すとおり、4時間での時間依存的生体内分布は、注射後2時間の生体内分布に類似した。MDA-MB231腫瘍担持マウスに、側尾静脈に99mTcキレートコンジュゲートを注射した(処置と記されたマウス)。他の群のマウスは、99mTc標識分子を注射したが、過剰の非標識コンジュゲート存在下であった。腫瘍臓器および血中の放射活性全て注射後2時間に測定し、組織グラムあたりの注射用量パーセンテージをプロットした。図18AはJL-L1Aの生体内分布を示し、図18Bおよび図18Cは、それぞれJL-L2AおよびJL-L3Aの生体内分布を示す(n=5)。エラーバーは標準偏差を示す。
【0298】
図19A、BおよびCは、それぞれ注射後2時間、4時間および8時間のJL-L1Aのインビボ全身造影および生体内分布を示す。MDA-MB231腫瘍担持マウスに尾静脈注射により150μCiの99mTcキレートJL-L1Aを注射した。注射後2時間、4時間および8時間にマウスを屠殺し、造影した。生体内分布試験のために、目的の臓器を摘出し、放射活性をガンマシンチレーションカウンターを使用して計数した。図19Dに示すとおり、パーセンテージ注射用量/組織gを、各臓器に対してプロットした。エラーバーは標準偏差を示す。
【0299】
放射活性の時間依存的減少が全臓器で見られた。3コンジュゲート全て、腫瘍への受容体介在蓄積を示したが、JL-L3Aは注射後2時間最も好都合な生体内分布を示した。注射後4時間および8時間のJL-L3Aの組織分布は、注射後2時間と同じパターンを示した。本コンジュゲートの腎臓および肝臓取り込みは非特異的であり、本分子の腎臓および肝臓クリアランスの結果であった。JL-L3Aは、LHRH-Rターゲティングペプチドと比較して、優れた化学的安定性、合成の容易さおよび部位特異的放射性標識性質を有した。
【0300】
方法実施例3. JL-L2-ローダミン、JR-L3、JR-L3-TubBH
共焦点顕微鏡法:50,000 MDA-MB231およびSKVO3ヒト癌細胞を、チェンバーカバーガラスプレートの各ウェルに播種し、48時間にわたりコンフルエントまで増殖させた。使用済培地を0.5mLのFBS新鮮培地で置き換え、100倍過剰のJL-L2の存在下または非存在下、100nMのローダミン色素コンジュゲート(JL-L2-ローダミン)とインキュベートした。1時間インキュベーション後、細胞をインキュベーション溶液で3回洗浄し、0.5mlの培養培地で置き換えた。Olympus共焦点顕微鏡を使用して画像を取得した。
【0301】
細胞生存能のインビトロ決定。MDA-MB231およびSKVO3細胞を、24ウェルプレートに100,00細胞/ウェルの濃度で播種し、単層で増殖させた。使用済培地を除き、細胞を、FBS不含培地で100倍過剰のJL-L3の存在下または非存在下、種々の濃度のJL-L3-TubBHとインキュベートした。2時間、37℃でインキュベーション後、細胞を新鮮培地で3回洗浄し、次いで0.5ml 新鮮培地でさらに66時間、37℃インキュベートした。その後培地を、H-チミジンを含む0.5mlの培地で置き換え、さらに4時間インキュベートした。次いで細胞を再び新鮮培地で3回洗浄し、次いで0.5mlの2.5%トリクロロ酢酸と10分間、室温でインキュベートした。トリクロロ酢酸除去後、細胞を0.25N NaOHに溶解した。細胞生存能を、シンチレーションカウンター(Packard, Packard Instrument Company)を使用して細胞のH-チミジン取り込みを計数することにより決定した。IC50値を、H-チミジン取り込みパーセント対濃度対数をGraph Pad Prism 4を使用してプロットすることにより導いた。
【0302】
動物飼育:胸腺欠損nu/nuマウスを、Harlan laboratoriesから購入した。マウスを、無菌環境で、標準的12時間明暗サイクルで飼育し、通常の齧歯類固形飼料で飼養した。全ての動物実験は、National Institutes of Healthガイドラインに従うPurdue Animal Care and Use Committeeにより承認された。
【0303】
腫瘍モデルおよび治療:5~6週齢メスnu/nu胸腺欠損ヌードマウスに、5.0×10乳癌細胞MDA-MB231および卵巣癌細胞SKVO3を肩に皮下注射した。腫瘍を、週に3回、ノギスを使用して、直交する2方向で測定し、体積を0.5×L×W(式中、Lは最長軸(ミリメートル)であり、WはLに直交の軸(ミリメートル)である)で計算した。腫瘍体積が約100mmに達したら、処置を開始した。投与溶液を無菌食塩水で調製し、静脈内注射した。各マウスは、100倍過剰のJL-L3の存在下もしくは非存在下、2μmol/kgのJL-L3-TubBHまたは食塩水を投与された。マウスに試験薬を週に3回3週間投与し、巨視的毒性の指標として、マウスを各投与と同時に秤量した。
【0304】
ローダミン色素コンジュゲートの結合および内部移行:LHRH-R標的化ローダミンコンジュゲートをMDA-MB231およびSKOV3細胞で試験して、該色素コンジュゲートの結合および内部移行を評価した。このために、癌細胞を1時間、過剰のJL-L2の存在下または非存在下、種々の濃度のローダミン色素コンジュゲート(JL-L2-ローダミン)とインキュベートした。過剰の色素コンジュゲートを洗い流した後、細胞を共焦点顕微鏡法により試験した。
【0305】
細胞を、100倍過剰のJL-L3の存在下または非存在下、100nMのJL-L3-ローダミンとインキュベートした。1時間後、細胞を3回洗浄し、白色光および蛍光画像を、共焦点顕微鏡を使用して得た。図20に示すとおり、ローダミンコンジュゲートは、MDA-MB231細胞の細胞内部および表面の両方に存在することが観察されたが、SKOV3細胞で取り込みは観察されなかった。
【0306】
ツブリシンBヒドラジドコンジュゲートのインビトロ細胞毒性:治療的コンジュゲートの致死効率を調べるために、MDA-MB231およびSKOV3癌細胞を、過剰JL-L3存在下または非存在下、種々の濃度のJL-L3-TubBHと2時間、37℃でインキュベートした。過剰のコンジュゲートを洗い流した後、細胞を新鮮培地でさらに66時間インキュベートし、続いてH-チミジン含有培地でインキュベーションして、細胞生存能を評価した。放射活性をPerkinElmerのシンチレーションカウンターを使用して計数した。細胞を遊離ツブリシンBヒドラジドに曝した後、同じ工程を繰り返した。癌細胞株MDA-MB231およびSKOV3の何れも、図21に示すとおり、遊離ツブリシンBヒドラジドに感受性であり、それぞれ67pMおよび5pMのIC50値を示した。受容体陽性MDA-MB231細胞において、標的化コンジュゲート(JL-L3-TubBH)は26nMのIC50値を示し、過剰の競合リガンドの存在下、有効性は382nMまで顕著に落ちた。標的化コンジュゲートの受容体介在細胞致死能は、受容体陰性細胞株から得られたIC50値がMDA-MB231競合(608nM)に類似することが判明したため、さらに確認した。
【0307】
ツブリシンBヒドラジドコンジュゲートのインビボ有効性:JLツブリシンコンジュゲートの有効性を調べるために、LHRH-R陽性腫瘍(MDA-MB-231、乳癌)担持nu/nu胸腺欠損ヌードマウスを、無作為に食塩水対照、標的剤および競合剤の3群に分け、次いで試験剤で週3日、3週間処置した。LHRH-R陽性(MDA-MB-231)および陰性(SKOV3)癌細胞を、nu/nu胸腺欠損マウスにs.c.インプラントし、腫瘍体積が約~100mmに達したら、処置を開始した。マウスを各群5マウスの数群に無作為化した。対照群マウスは食塩水を受け、競合群および処置群のマウスは、それぞれ100倍過剰のJL-L3の存在下または非存在下、2μmol/kgのJL-L3-TubBHを、週3日、3週間受けた。試験剤全て、尾静脈から静脈内投与した。対照群および競合群のマウスを最終投与後に屠殺し、処置群マウスは腫瘍再発および体重減少のモニターを継続した。標的化ツブリシンBヒドラジドコンジュゲート(JL-L3-TubBH)を受けたMD-MB-231腫瘍担持マウスは腫瘍の完全な消失を示し、一方食塩水を受けたマウスは抗腫瘍効果を示さなかった。同様に、競合群のマウスは、対照群と比較して腫瘍増殖の現象は示さなかった(図22A、縦の点線は最終投与の日を示す(36日目))。理論に拘束されることを意図しないが、これは、標的化ツブリシンBヒドラジドコンジュゲートの有効性が受容体介在であることをさらに確認した。さらに、標的化コンジュゲート(JL-L3-TubBH)の抗腫瘍有効性を包括的に試験するために、LHRH-R陰性腫瘍(SKOV3、卵巣癌)担持マウスをMDA-MB-231腫瘍担持マウスと同様の群に分け、同様の処置レジメンに従った。受容体陰性腫瘍担持マウスの標的群および対照群で腫瘍体積の減少は観察されなかった(図22C)。理論に拘束されることを意図しないが、これらのデータは、JL-L3-TubBHにより誘発される細胞毒性が受容体介在であることをさらに強化した。MDA-MB-231またはSKVO3の何れかを担持するマウスは、顕著な体重減少を経験しなかった(図22Bおよび22D)。
【0308】
処置完了後、MDA-MB-231標的化群のマウスをモニターし、続く5週間、通常の固形飼料餌で飼養した。この期間中、腫瘍体積および体重を週3回モニターした(図23)。マウスをLHRH-R標的化ツブリシンBヒドラジドコンジュゲート(JR-L3-TubBH)で週に3回、3週間処置した(n=5)。研究終了後、マウスの腫瘍体積および体重を、腫瘍移植後75日まで継続的にモニターした。縦の点線は最終投与日を示す。マウスは、腫瘍増殖および体重減少のいかなる兆候も示さなかった。このデータは、LHRH-R標的化ツブリシンBヒドラジドコンジュゲート(JL-L3-TubBH)がLHRH-Rを発現する癌を処置し得ることを示す。
【0309】
要約すると、本試験は、非ペプチド性小分子リガンドとコンジュゲートした細胞毒性剤のLHRH-Rに対する有効性を証明する。標的化コンジュゲートは受容体陽性腫瘍を除去でき、腫瘍の再発は、薬物の最終投与後少なくとも5週間観察されなかった。腫瘍有効性は、競合群または対照群のマウスでは観察されなかった。受容体陰性腫瘍は、LHRH-R標的化ツブリシンコンジュゲートで処置したとき、腫瘍体積の減少を示さなかった。理論に拘束されることを意図しないが、標的化ツブリシンBコンジュゲートの有効性は受容体介在であると考えられる。治療過程中、注目すべき体重減少は観察されず、遊離薬物に付随する副作用は適切なターゲティングリガンドとコンジュゲートすることにより劇的に減少させ得ることを示唆する。それ故に、この試験結果は、LHRH-Rを発現する癌の処置のためのLHRH-R標的化細胞毒性コンジュゲートの使用を支持するデータをもたらす。
【0310】
ここに引用する全ての特許公報、非特許公報および参照テキストの各々および全ては、本明細書と矛盾する開示または定義がある場合は、ここでの開示または定義が有効であるとみなされる場合を除き、引用により本明細書に包含させる。
【0311】
ある要素についての単数での言及は、ある実施態様において、複数の該要素を含むことは理解される。
【0312】
先の詳細な記載および添付する図面は、説明および例として提供されており、添付する特許請求の範囲の範囲を限定することを意図しない。ここに説明する現在好ましい実施態様の多くのバリエーションが当業者に明らかであり、添付する特許請求の範囲の範囲およびその均等物は範囲内のままである。
【0313】
添付する特許請求の範囲に記載する要素および特性は、異なる方法で組み合わされ、新しい請求項を生じ得えて、これは同様に本発明の範囲内に入ることが理解されるべきである。それ故に、添付の従属項が単一の独立項または従属項にのみ従属している場合であっても、これらの従属項を、代替的に、任意の先の請求項 - 独立項であれ従属項であれ - に従属させることができることが理解され、このような新規組み合わせは本明細書の一部を形成することが理解されるべきである。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4
図5-1】
図5-2】
図6
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図8-1】
図8-2】
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図20
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