IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レム・インターナショナル・エスエイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】電流変換器
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
G01R15/20 A
G01R15/20 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019541869
(86)(22)【出願日】2017-10-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2017076195
(87)【国際公開番号】W WO2018073121
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-09-07
(31)【優先権主張番号】16194452.5
(32)【優先日】2016-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520011360
【氏名又は名称】レム・インターナショナル・エスエイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】ムーシェ・スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】ブールマン・フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】トロンベルト・ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ムホー・スティーブ
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-506944(JP,A)
【文献】特開2016-156743(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0081110(US,A1)
【文献】特開2012-225921(JP,A)
【文献】特開2012-230094(JP,A)
【文献】特表2016-532129(JP,A)
【文献】特開2014-202737(JP,A)
【文献】特開2014-119409(JP,A)
【文献】特許第7053636(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/00-15/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流変換器において、
外側ケーシング(12)を含むハウジング(6)と、
少なくとも1つの一次導体を取り囲むように構成された磁気回路コア(3)と、
前記磁気回路コアの磁気回路ギャップ(7)に位置づけられる磁場検出器(8)と、
を含み、
前記ハウジングは、主要本体部分(16)および磁気コア支持部分(18)を含む内側支持部品(14)をさらに含み、前記磁気回路コアは、磁気抵抗が前記磁気回路ギャップの磁気抵抗より小さく、前記主要本体部分および前記磁気コア支持部分上に支持される、0.1mm未満の厚さを有する、非晶質材料の少なくとも1つのストリップの形態であり、前記磁気回路ギャップは、前記ストリップの重なる端部(3a、3b)間に形成されており、
前記主要本体部分および前記磁気コア支持部分は、前記磁気コア支持部分を前記主要本体部分に巻き付けるように構成されたヒンジ部分(42a、42b)を介して、接続されている、電流変換器。
【請求項2】
請求項1に記載の電流変換器において、
前記ヒンジ部分は、前記主要本体部分および前記磁気コア支持部分と一体的に形成された可撓性ウェブである、電流変換器
【請求項3】
請求項1に記載の電流変換器において、
前記内側支持部品の前記主要本体部分に入れられた第1の回路基板(22)と、前記少なくとも1つの一次導体の一部を構成する、前記第1の回路基板上の少なくとも1つの導電性回路トレースと、を含む一次回路ユニット(2)を含む、電流変換器
【請求項4】
請求項3に記載の電流変換器において、
前記第1の回路基板は、前記少なくとも1つの一次導体を形成する、前記第1の回路基板の異なる層上の複数の前記導電性回路トレースを含む、電流変換器
【請求項5】
請求項4に記載の電流変換器において、
相反する方向に流れる電流を運ぶように構成された2つの一次導体を含み、
前記電流変換器は、前記一次導体の相反する方向に流れる電流の不均衡により生成される差動電流を測定するように構成されている、電流変換器
【請求項6】
請求項5に記載の電流変換器において、
前記相反する方向に流れる電流を運ぶように構成された2つの一次導体における前記異なる層上の、前記導電性回路トレースは、前記第1の回路基板に直交する方向で見ると、少なくとも80%互いに重なる、電流変換器
【請求項7】
請求項3~6のいずれか一項に記載の電流変換器において、
前記1つ以上の一次導体の前記1つ以上の導電性回路トレースは、端部分(30a)より狭い幅の中間部分(30b)を含む、電流変換器
【請求項8】
請求項7に記載の電流変換器において、
前記内側支持部品の前記主要本体部分に入れられた第2の回路基板(25)を含む二次回路ユニットを含み、前記磁場検出器は、前記第2の回路基板上に据え付けられている、電流変換器
【請求項9】
請求項8に記載の電流変換器において、
前記二次回路ユニットは、前記磁場検出器の周りで、前記第2の回路基板の1つ以上の層上の前記導電性回路トレースの巻線の形態をした補償コイル(10)を含む、電流変換器。
【請求項10】
請求項9に記載の電流変換器において、
前記第2の回路基板は、前記磁場検出器が据え付けられている側とは反対側の前記第2の回路基板の面に凹部または開口部を含み、前記開口部は、前記磁気回路コアの一端部(3a)を前記開口部中に位置づけるように構成されている、電流変換器
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の電流変換器において、
前記磁気コア支持部分は、前記ストリップが位置づけられるスロット(18)を含む、電流変換器
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の電流変換器において、
前記内側支持部品の前記主要本体部分の端面に支持された、U字形状を有する磁気シールド(5)を含む、電流変換器
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の電流変換器において、
前記磁気回路コアは、0.03mm未満の厚さを有する、電流変換器
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
本発明は、差動電流を測定するための、特に残余電流または漏洩電流を検出するための、電流変換器に関する。
【0002】
測定精度、大きな測定動作範囲、外部磁場による乱れに対する感度の低下、製造再現性、経時的なおよび使用を通じた安定性、ならびに堅牢性などの側面を含み得る、電流変換器の性能および信頼性を高めると共に、製造コストを下げることが継続して望まれている。電流変換器の製造コストの主要な要因の1つは、変換器を形成する構成要素の組み立てにある。
【0003】
本発明の目的は、精度が高く、信頼性があり、堅牢であり、かつ製造するのに経済的な電流変換器を提供することである。
【0004】
組み立てるのが単純で、構成要素が少ししかない閉ループ電流変換器を提供することが有利である。
【0005】
堅牢で経時的に安定性がある電流変換器を提供することが有利である。
【0006】
小型の電流変換器を提供することが有利である。
【0007】
本発明のさまざまな目的は、請求項1に記載の電流変換器を提供することによって、達成されている。
【0008】
本明細書には、外側ケーシングを含むハウジングと、少なくとも1つの一次導体を取り囲むように構成された磁気回路コアと、磁気回路コアの磁気回路ギャップに位置づけられる磁場検出器と、を含む、電流変換器が開示される。ハウジングは、主要本体部分および磁気コア支持部分を含む内側支持部品をさらに含む。磁気回路コアは、磁気抵抗が磁気回路ギャップの磁気抵抗より小さく、主要本体部分および磁気コア支持部分上に支持される、0.1mm未満の厚さを有する、非晶質材料の少なくとも1つのストリップを含み、磁気回路ギャップが、ストリップの重なる端部間に形成される。
【0009】
有利な実施形態では、主要本体部分および磁気コア支持部分は、磁気コア支持部分を主要本体部分に巻き付けるように構成されたヒンジ部分を介して、接続される。
【0010】
有利な実施形態では、ヒンジ部分は、主要本体部分および磁気コア支持部分と一体的に形成された可撓性ウェブ(flexible webs)である。
【0011】
有利な実施形態では、変換器は、内側支持部品の主要本体部分に入れられた第1の回路基板と、少なくとも1つの一次導体の一部を構成する、回路基板上の少なくとも1つの導電性トレースと、を含む一次回路ユニットを含む。
【0012】
有利な実施形態では、第1の回路基板は、前記少なくとも1つの一次導体を形成する、第1の回路基板の異なる層上の複数の回路トレースを含む。
【0013】
有利な実施形態では、変換器は、相反する方向に流れる電流を運ぶように構成された少なくとも2つの一次導体を含み、変換器は、差動電流測定のために構成される。
【0014】
有利な実施形態では、異なる層上の回路トレースは、回路基板に直交する方向で見ると、少なくとも80%だけ互いに重なる。
【0015】
有利な実施形態では、1つ以上の一次導体部分の1つ以上の導電性トレースは、端部分より狭い幅の中間部分を含む。
【0016】
有利な実施形態では、変換器は、内側支持部品の主要本体部分に入れられた第2の回路基板を含む二次回路ユニットを含み、磁場検出器は、第2の回路基板上に据え付けられる。
【0017】
有利な実施形態では、二次回路ユニットは、磁場検出器の周りで、第2の回路基板の1つ以上の層上の回路トレースの巻線の形態をした補償コイルを含む。
【0018】
有利な実施形態では、第2の回路基板は、磁場検出器より下に凹部または開口部を含み、これは、磁気回路コアの一端部をその中に位置づけるように構成されている。
【0019】
有利な実施形態では、磁気コア支持部分は、磁気回路ストリップが位置づけられるスロットを含む。
【0020】
有利な実施形態では、変換器は、磁気回路上に挿入され、内側支持部品の主要本体部分上に支持された、U字形状を有する磁気シールドを含む。
【0021】
ある実施形態では、磁気回路コアは、0.03mm未満の厚さを有する。
【0022】
有利な実施形態では、磁気コア支持部分および主要本体部分は、これらの部分を一緒に巻きつけ位置に固定するために、相補的なラッチ部分を含む。
【0023】
本発明のさらなる目的および有利な態様は、特許請求の範囲、以下の詳細な説明、および図面から明らかとなるであろう。
【0024】
図面を参照すると、本発明のある実施形態による電流変換器1は、一次回路ユニット2と、二次回路ユニット4と、ハウジング6と、を含む。一次回路ユニット2は、一次導体9a、9bを含み、測定される電流は、これを通って流れる。
【0025】
例示された実施形態では、一次回路ユニットは、第1の回路基板22と、一次導体を外部一次導体に接続するための接続部分20と、を含む。接続部分20は、一次導体の第1および第2の端部に接続される第1のコネクタ20aおよび第2のコネクタ20bを含む。回路基板は、第1のコネクタ20aおよび第2のコネクタ20bの電気端子に電気接続された、導電性トラックを含む。
【0026】
例示される実施形態では、少なくとも第1の一次導体9aおよび第2の一次導体9bがある。第1および第2の一次導体は、相反する方向に流れる電流を運ぶように構成され得、一次導体を流れる電流によって生成される磁場は、互いを相殺する傾向がある。一次導体は、特に、同じ電気回路、例えば電気回路の正のラインおよび負のラインの、電流を運ぶことができる。正のラインおよび負のラインの電流が不均衡な場合、向かい合った一次導体によって生成された磁場は、相殺されず、よって、検出され得る。これは、漏洩電流または他の異常を信号伝達し得る。
【0027】
変換器は、差動電流または残余電流と呼ばれることもある、ゼロでない全電流を検出するのに使用され得る。
【0028】
変換器は、非差動動作モードで残余電流を検出するために単一の一次導体トラックを形成する接地部(earth connection)上で利用されることもできる。
【0029】
変換器は、閉ループ構成において一次導体の電流を測定するのにも使用され得、これによって、補償コイルは、一次電流により生成された磁場を相殺しようとする磁場を生成するよう、補償電流によって駆動される。
【0030】
電流変換器によって生成された磁場が、前述したさまざまな実施形態の正常な動作モードにおいてゼロに近づくと、磁気回路コアは、飽和を防止するのに大きな断面を必要としない。
【0031】
ある実施形態では、一次導体は、第1の回路基板上に形成された回路トレースを含む。第1の一次導体部分9aが、第1の回路基板22の1つ以上の層上で1つ以上の回路トレースによって形成され、第2の一次導体部分9bが、第1の回路基板22の1つ以上の他の層上で1つ以上の回路トレースによって形成される。例示された実施形態では、第1の一次導体部分は、2つの回路トレースを含み、図1c、図3a、および図3bで最もよく分かるように回路基板の各外側面に1つずつある。第2の一次導体部分は、図1cで最もよく分かるように、回路基板内部の外側面間に位置づけられた層上に位置づけられた2つの回路トレースを含む。しかしながら、さまざまな他の設定が、本発明の範囲内で提供され得、例えば以下のとおりである:
-各一次導体部分が、基板の1つの層上にただ1つの回路トレースを含み得、これによって、例えば第1および第2の一次導体部分が、基板の互いに反対側の外側面に配されるか、または、
-各一次導体部分が、3つ以上の複数の層を含み得るか、または、
-各一次導体部分が、回路基板の外側面上の回路トレースと、回路基板内部の層上の1つ以上のさらなる回路トレースと、を含み得、
-異なる層上の第1および第2の一次導体部分の回路トレースは、交互になった層上にあって(すなわち、交互配置されて)よく、第1の一次導体部分のうちの少なくとも1つが、2つの第2の一次導体部分間に位置づけられ、第2の一次導体部分のうちの少なくとも1つが、2つの第1の一次導体部分間に位置づけられる。
【0032】
よって、第1および第2の一次導体部分は、回路基板の異なる層上の配置の任意の組み合わせで形成され得る。
【0033】
ある実施形態では、一次導体回路トレースは、比較的高い振幅の一次電流を運ぶことができるように、第1の回路基板の幅の大部分にわたって延びる幅を有する。
【0034】
ある実施形態では、一次導体部分は、幅広端部分30aと、これらの端部分間を延びる、より幅の狭い中間部分30bと、を含む。この構成は、中間部分30bを取り囲む磁気コアに集められた磁束密度を増大させるのに役立つ。第1および第2の一次導体回路トレースは、有利には、実質的に同一または同様の表面積を有し得、また、回路基板の表面に直交する方向に見たときに80%超だけ互いに重なり合う、類似形状を有し得る。
【0035】
差動電流測定の場合に、第1および第2の一次導体部分が相反する方向に流れる電流を運ぶ場合、実質的に一致し、近くに位置づけられた重なり合う層は、同じ振幅であるが方向が反対である電流により生成された磁場を相殺するのに有効である。
【0036】
ある実施形態では、二次回路ユニット4は、磁場検出器8を含み、これは、例えば、第2の回路基板25に取り付けられ、かつ、回路基板上の回路トレースに接続された端子を含むコネクタ28に、導電性回路トレースを介して相互接続された、ホールセンサの形態であってよい。コネクタ28は、例えば、一次回路ユニットの第1および第2のコネクタの端子と同じ側に取り付けられたピン端子の形態をした端子29を提供し、電流変換器は、外部回路基板に取り付けられるか、または、外部コネクタ、例えばプラグ着脱可能なコネクタに接続され得る。
【0037】
第2の回路基板25は、有利には、磁場検出器8の下に位置づけられる凹部または開口部26を含んで、磁気回路3の第1の端部3aが、磁場検出器8の下側に隣接して位置づけられることを可能にすることができ、磁気回路のもう一方の端部3bは、上側が磁場検出器より上に位置づけられる。磁気回路ギャップ7は、磁気回路3の対向する端部3a、3b間に形成され、磁場検出器8は磁気回路ギャップ内に位置づけられる。
【0038】
ある実施形態では、二次回路ユニットは、磁場センサに接続されたフィードバックループ回路によって駆動される補償コイル10を含み、これは、一次電流によって生成された磁場を相殺しようとする磁場を生成するように構成されている。例示された実施形態では、補償コイル10は、有利には、第2の回路基板25上に形成された導電性回路トレースの巻線を含み、回路トレースは、磁場センサを取り囲む。回路トレースは、回路基板の単一の層上、または回路基板の2つ以上の積み重ねられた層上に設けられて、巻線の密度および数を増やすことができる。
【0039】
ハウジング6は、外側ケーシング12と、内側支持部品14と、を含む。内側支持部品14は、主要本体部分16と、ヒンジ部分42a、42bを介して主要本体部分に蝶番式に接続された、磁気コア支持部分18と、を含む。内側支持部品は、好適な実施形態では、単一の一体的部品、例えばプラスチックの射出成型された部品として、形成される。主要本体部分は、スロットの形態の一次回路ユニット収容部31を含み、この中に、一次回路ユニット2の第1の回路基板22を挿入し得る。したがって、一次電流を運ぶ導電性トレースは、内側支持部品14内部に正確に位置づけられ得る。収容部31および一次回路ユニットは、これら2つの構成要素を組み立てた後で一次回路ユニットを内側支持部品14に対して正確に位置づけ固定するための相補的な位置づけおよび固定用要素を備えている。
【0040】
磁気回路は、有利な実施形態では、非晶質またはナノ結晶磁性材料の薄いストリップまたはバンドの形態である、磁気コア24を含む。非晶質磁性材料のストリップは、一巻きの材料から切り出され得、製造するのに特に費用対効果が高い。また、非晶質磁性材料の薄いストリップは、容易に変形可能であり、以下で論じるように、概ね楕円形の形状を形成するように曲げられ得る。バンドのストリップは、好ましくは0.1mm未満である厚さを有し、例えば、コバルトに基づく非晶質合金は、0.02mmの厚さを有する。磁気コアの磁気抵抗は、(「エアギャップ」とも呼ばれる)磁気回路ギャップの磁気抵抗より低くなくてはならず、好ましくは少なくとも5倍低く、より好ましくは少なくとも10倍低い。
【0041】
磁気回路は、電流変換器の動作条件および動作範囲のためにコアの飽和を避けるのに必要である場合、非晶質またはナノ結晶磁性材料の単一の薄いストリップまたはバンドによって、あるいは、互いに積み重ねられた2つ以上のストリップによって、形成され得る。
【0042】
エアギャップおよび磁気コアの磁気抵抗の推定例を、例示目的で以下に示す:
エアギャップ:長さl=10-3m、断面A=3×3×10-6、比透磁率μ=1
ギャップ=1/(μ μ)×l/A=1/μ×111
磁気回路:
長さl=0.1m、断面A=3×0.02×10-6、比透磁率μ=10
コア=1/(μ μ)×l/A=1/μ×16.7
【0043】
内側支持部品14の主要本体部分16は、二次回路ユニット収容部凹部32をさらに含み、この中に、二次回路ユニットの第2の回路基板25が挿入される。固定用柱またはラッチ突出部または他の固定要素が、二次回路ユニット4を収容部凹部32内部に固定し位置づけるために設けられ得る。固定用柱36はまた、収容部凹部内部における、したがって内側支持部品14に対する、磁場検出器8の正確な位置づけを確実にする。
【0044】
内側支持部品14は、有利には、磁気コア支持部分18内部に、また、主要本体部分16内部にも形成された、位置づけ凹部またはスロットを含み得る。位置づけ凹部またはスロット18は、磁気コアの長さ方向ストリップを中に受容するように寸法決めされ、ストリップのサイドエッジは、凹部内部にあり、かつ凹部の側壁によって保持される。位置づけ凹部またはスロット18は、有利には、磁気コア24の一端部を、磁場検出器8より下に、特に磁場検出器8より下に位置づけられた回路基板の開口部26内部に位置づける、位置づけ部分40を備えることができる。磁気コア端部位置づけ部分40は、磁気コアが開口部26内部に位置づけられるように、隆起表面を有する。磁気コア24は、ラッチ突出部によって、または、組み立てプロセス中に凹部のエッジをスポット溶接することによって、凹部18内部に保持され得、凹部のエッジは、磁気コアストリップのエッジを越えて通過する。
【0045】
図2a~図2fで最もよく分かるように、電流変換器の組み立てが例示されている。最初に図2aおよび図2bを参照すると、一次回路ユニット2、特に第1の回路基板22が、内側支持部品14の一次回路ユニット収容部31に挿入され得る。この動作の前または後で、磁気コア24は、磁気コア支持部分18の位置づけ凹部に挿入され、材料が磁気コアストリップのエッジを越えて通過して磁気コアストリップを位置づけ凹部内部に固定するように、例えば、凹部の境界を付ける壁部分の超音波溶接によって、位置づけ凹部の中にしっかりと固定され得る。
【0046】
二次回路ユニット4は、図2cで最もよく分かるように、内側支持部品14の主要本体部分16の二次回路ユニット収容部32に挿入される。
【0047】
内側支持部品の磁気コア支持部分18は、次に、ヒンジ部分42a、42bの周りを旋回することができ、磁気回路ストリップの第2の端部3bは、第2の端部3bが磁場検出器8より上に位置づけられるまで、主要本体部分16の周りで屈曲し、よって、360°の回転を受ける。磁気コアの第2の端部3bは、磁気コアの第1の端部3aを覆って、それより上に位置づけられ、それらの間に磁気回路ギャップ7を形成する。磁気コア支持部分18は、図2d、図2e、および図1cで最もよく分かるように、完全回転位置で相補的なロックショルダー44bに係合するラッチ44aを含み得る。例示された実施形態では、磁気コア支持部分18は2つのヒンジ部分42a、42bを備え、これらは、中間の硬い部分42cが主要本体部分16の表面に載っている間、磁気コア支持部分の端部が360°にわたって旋回することを可能にする。
【0048】
いったん磁気コア支持部分18が、図2d、図2e、および図2fに示すように、360°だけ折り重ねられて、主要本体部分16にラッチで締められると、磁気シールド5が、オプションとして、内側支持部品14上に挿入され、これに固定され得、磁気回路3に重なる。これは、図2fおよび図1cに最もよく例示されている。磁気シールドは、有利には、磁性材料で作られてよく、変換器外部の磁束を吸収し、磁気回路を外部磁場から保護するのに役立つ。磁気シールド5は、有利には、打ち抜かれて形成されたシート形態の柔らかい磁性材料で作られた、概ねU字型の部品の形態であってよく、これは、製造するのに特に費用対効果が高い。
【0049】
内側支持部品14は、有利には、側壁部分43を備えることができ、これは、磁気シールドの側方枝路5a、5bのサイドエッジ13と係合して、磁気シールドを内側支持部品14に対して位置づけ固定する。サイドエッジは、側壁部分43に食い込むかえし、またはシールドを内側ハウジング14に固定する他の手段を含み得る。
【0050】
後続ステップでは、外側ケース12は、磁気回路および磁気シールドをその中に包むように、内側支持体上に位置づけられ得る。
【0051】
有利な実施形態では、外側ケースは、ヒンジ12c、例えば一体的に形成されたヒンジによって、互いに接続された基部12aおよびカバー12bを備えてよく、図2f、図1c、および図1aに示すように、カバーが180°旋回し、ラッチ要素12dを介して基部12a上にラッチで締められることを可能にする。
【0052】
〔符号の説明〕
電流変換器1

一次回路ユニット2
一次導体9a、9b
回路トレース
狭い中間部分30b
幅広端部分30a
接続部分20
第1および第2のコネクタ20a、20b
第1および第2の端子21a、21b
第1の回路基板22

磁気回路3
第1の端部3a
第2の端部3b
磁気コア24
非晶質磁性材料のストリップ/バンド

磁気回路ギャップ7(エアギャップ)

二次回路ユニット4
磁場検出器8
ホールセンサ
補償コイル10
第2の回路基板25
開口部26
コネクタ28

磁気シールド5
側方枝路5a
端部枝路5b

ハウジング6
外側ケーシング12
基部12a
カバー12b
一体的ヒンジ12c
ラッチ12d
内側支持部品14
主要本体部分16
一次回路ユニット収容部31
スロット
二次回路ユニット収容部32
固定用柱36
磁気コア支持部分18
位置づけ凹部/スロット
磁気コア端部位置づけ部分40
ヒンジ部分42a、42b
ラッチ部分44a、44b
【0053】
〔実施の態様〕
(1) 電流変換器において、
外側ケーシング(12)を含むハウジング(6)と、
少なくとも1つの一次導体を取り囲むように構成された磁気回路コア(3)と、
前記磁気回路コアの磁気回路ギャップ(7)に位置づけられる磁場検出器(8)と、
を含み、
前記ハウジングは、主要本体部分(16)および磁気コア支持部分(18)を含む内側支持部品(14)をさらに含み、前記磁気回路コアは、磁気抵抗がエアギャップの磁気抵抗より小さく、前記主要本体部分および前記磁気コア支持部分上に支持される、0.1mm未満の厚さを有する、非晶質材料の少なくとも1つのストリップの形態であり、前記磁気回路ギャップは、前記ストリップの重なる端部(3a、3b)間に形成されていることを特徴とする、電流変換器。
(2) 実施態様1に記載の変換器において、
前記主要本体部分および前記磁気コア支持部分は、前記磁気コア支持部分を前記主要本体部分に巻き付けるように構成されたヒンジ部分(42a、42b)を介して、接続されている、変換器。
(3) 実施態様2に記載の変換器において、
前記ヒンジ部分は、前記主要本体部分および前記磁気コア支持部分と一体的に形成された可撓性ウェブである、変換器。
(4) 実施態様1または2に記載の変換器において、
前記内側支持部品の前記主要本体部分に入れられた第1の回路基板(22)と、前記少なくとも1つの一次導体の一部を構成する、前記回路基板上の少なくとも1つの導電性トレースと、を含む一次回路ユニット(2)を含む、変換器。
(5) 実施態様4に記載の変換器において、
前記第1の回路基板は、前記少なくとも1つの一次導体を形成する、前記第1の回路基板の異なる層上の複数の回路トレースを含む、変換器。
【0054】
(6) 実施態様5に記載の変換器において、
相反する方向に流れる電流を運ぶように構成された2つの一次導体を含み、
前記変換器は、差動電流測定のために構成されている、変換器。
(7) 実施態様6に記載の変換器において、
前記異なる層上の前記回路トレースは、前記回路基板に直交する方向で見ると、少なくとも80%だけ互いに重なる、変換器。
(8) 実施態様4~7のいずれかに記載の変換器において、
前記1つ以上の一次導体部分の前記1つ以上の導電性トレースは、端部分(30a)より狭い幅の中間部分(30b)を含む、変換器。
(9) 実施態様8に記載の変換器において、
前記内側支持部品の前記主要本体部分に入れられた第2の回路基板(25)を含む二次回路ユニットを含み、前記磁場検出器は、前記第2の回路基板上に据え付けられている、変換器。
(10) 実施態様9に記載の変換器において、
前記二次回路ユニットは、前記磁場検出器の周りで、前記第2の回路基板の1つ以上の層上の回路トレースの巻線の形態をした補償コイル(10)を含む、電流変換器。
【0055】
(11) 実施態様10に記載の変換器において、
前記第2の回路基板は、前記磁場検出器より下に凹部またはオリフィスを含み、これは、前記磁気回路コアの一端部(3a)をその中に位置づけるように構成されている、変換器。
(12) 実施態様1~11のいずれかに記載の変換器において、
前記磁気コア支持部分は、前記磁気回路ストリップが位置づけられるスロット(18)を含む、変換器。
(13) 実施態様1~12のいずれかに記載の変換器において、
前記磁気回路上に挿入され、前記内側支持部品の前記主要本体部分上に支持された、U字形状を有する磁気シールド(5)を含む、変換器。
(14) 実施態様1~13のいずれかに記載の変換器において、
前記磁気回路コアは、0.03mm未満の厚さを有する、変換器。
(15) 実施態様1~14のいずれかに記載の変換器において、
前記磁気コア支持部分および前記主要本体部分は、これらの部分を一緒に巻きつけ位置に固定するために、相補的なラッチ部分(44a、44b)を含む、変換器。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1a】本発明のある実施形態による電流変換器の、遠近法による図である。
図1b】本発明のある実施形態による電流変換器の、遠近法による図である。
図1c図1a、図1bの電流変換器の断面図である。
図1d図1aの電流変換器の分解組立斜視図である。
図2a図1a~図1dの電流変換器を形成する構成要素の組み立てを示す、遠近法による図である。
図2b図1a~図1dの電流変換器を形成する構成要素の組み立てを示す、遠近法による図である。
図2c図1a~図1dの電流変換器を形成する構成要素の組み立てを示す、遠近法による図である。
図2d図1a~図1dの電流変換器を形成する構成要素の組み立てを示す、遠近法による図である。
図2e図1a~図1dの電流変換器を形成する構成要素の組み立てを示す、遠近法による図である。
図2f図1a~図1dの電流変換器を形成する構成要素の組み立てを示す、遠近法による図である。
図3a】本発明のある実施形態による電流変換器の一次回路ユニットの斜視図である。
図3b】本発明のある実施形態による電流変換器の一次回路ユニットの斜視図である。
図4a】本発明のある実施形態による電流変換器の二次回路ユニットの斜視図である。
図4b】本発明のある実施形態による電流変換器の二次回路ユニットの斜視図である。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3a
図3b
図4a
図4b