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特許7184784車両を遠隔操作するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】車両を遠隔操作するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20221129BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20221129BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20221129BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G08G1/09 F
B60W30/10
B60W60/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019543907
(86)(22)【出願日】2018-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 DE2018200070
(87)【国際公開番号】W WO2019024963
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】102017213204.3
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D-30165 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ビーラー・マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ペータース・バルド
(72)【発明者】
【氏名】ガイゲンファイント・マリオ
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-018238(JP,A)
【文献】特開2009-292254(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0207535(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0192423(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G06Q 10/00-10/10、30/00-30/08、
50/00-50/20、50/26-99/00
G08G 1/00-99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)を遠隔操作するためのシステムによって車両(1)を遠隔操作するための方法であって、
以下のステップ:
-車両(1)の周辺部を捕捉するためのセンサ・システム(2)を用いた車両(1)の状況描写(8)を作成するステップ、
-車両(1)のドライバー・アシスタント・システム(3)を用いた車両(1)の軌道(11)を予め与えるステップ、
-車両(1)の遠隔操作手段(7)に外部の状況描写(8)と軌道(11)を無線的に伝達するステップ、
但し、該隔操作手段(7)は、空間的に車両(1)から隔離して配置されている、並びに、
-受信した軌道(11)と受信した外部の状況描写(8)を基に、遠隔操作手段(7)によって、車両(1)を操縦するステップ
を包含し、遠隔操作手段(7)のある一つの操作エレメント(13)を用いて車両(1)が操縦され、車両(1)と遠隔操作手段(7)との間の利用できるデータ接続のクオリティを連続的に割り出し、且つ、割り出されたデータ接続のクオリティが、予め定められている第一クオリティレベルに達している場合にのみ遠隔操作手段(7)の操作エレメント(13)によって該車両(1)が操縦され、データ接続の割り出されたクオリティが、予め定められている第二クオリティレベルに達した場合にのみ、軌道(11)を、遠隔操作手段(7)によって修正する、但し、第二クオリティレベルは、第一クオリティレベルよりも低く設定されていることを特徴とする方法
【請求項2】
受信した軌道(11)が遠隔操作手段(7)によって修正され、修正された軌道(17)と受信された外部の状況描写(8)を基にして遠隔操作手段(7)を用いて車両(1)が操縦されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
車両の周辺部(1)の地図(19)が、遠隔操作手段(7)に伝達され、更に、軌道(11)が、遠隔操作手段(7)によって、状況描写(8)と地図(19)を基にして、修正されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
割り出したデータ接続のクオリティが、予め定められている第二クオリティレベルに達していない場合、遠隔操作手段(7)から車両(1)の制御をドライバー・アシスタント・システム(3)に引き渡すことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ドライバー・アシスタント・システム(3)が、車両(1)の運転を引き継いだ後に、該ドライバー・アシスタント・システム(3)が、車両(1)のドライバーへの引継ぎ要請を、作成する、但し、車両(1)のドライバーが、車両(1)の運転の引継ぎ要請が出されてから予め定められている時間が経過しても、運転を引き継がなかった場合は、該ドライバー・アシスタント・システム(3)が、最低リスクマヌーバを実施することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
車両(1)のドライバーと遠隔操作手段(7)のオペレータ(12)間のコミュニケーション接続が、構築されることを特徴とする請求項1~5のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法によって車両(1)を遠隔操作するためのシステムであって、以下の様に構成されている遠隔操作手段(7)を包含することを特徴とするシステム:
-車両(1)の外部の状況描写(8)と車両(1)の予め定められている軌道(11)が、車両(1)に受信される、但し、該遠隔操作手段(6)は、車両(1)から空間的に隔離して配置されている、及び、
-受信した軌道(11)と受信した外部の状況描写(8)を基に、車両(1)を操縦する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を遠隔操作するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車メーカーが、将来的には、完全自律的に走行する予定の自動車を発表するようになってきた。これにより、モビリティ、快適性及びサービスの分野において、全く新しい可能性が広がる。しかしながら、大部分自動化された車両では、システムによる車両の制御が限界に達した時に、介入できる様に、自動車を運転する能力を持った人を必要としている。特に、ドライバーが、運転中に健康上の問題を訴え、運転できなくなる可能性もある。この様な問題の解決案としては、車両を自ら安全な状態に導く、或いは、コントロール下、他の道路使用者に危険を及ぼすことなく制動することが既知である。
【0003】
更に、特に、トラックのドライバーやバス運転手には、休息を、例えば、4.5時間毎に45分間の休息をとる義務があり、且つ、その運転手は、最長運転時間、例えば、一日9時間までしか運転してはならないことになっている。仮に、例えば、ある物品を長距離、運搬しなければならない場合、場合によっては、何日間もかかる、或いは、二人目のドライバーが必要になる。現在は、運転ができない状態にあるドライバーは、車両を駐車し、例えば、タクシーや公共交通機関に乗り換える。この場合、該車両は、それが置き去りにされた場所まで取りに行かれなければならない。これには、コストと時間がかかってしまう。
【0004】
更には、どのような道でも、どのような状況においても、完全に自立化された走行においては、将来的にも、システム的制限が残るであろう。また、この様な制限は、例えば、ある天候条件、裏道や野道などの道路に関しても残るであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上述の欠点を解決した方法とシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記課題は、独立請求項に記載されている対象によって達成される。尚、有利な実施形態は、従属請求項、以下の明細書、並びに、図の対象である。本発明は-以下に詳しく説明される様に-遠隔操作手段を用いて、緊急時に、車両の制御を監視し、介入することを可能にする。更には、システムダウンやシステムの限界を超えた際に、車両を、遠隔操作手段によって、完全に操作することも可能にする。
【0007】
本発明の第一アスペクトによれば、車両を遠隔操作するための方法が提供される。ここで言う車両とは、特に、例えば、乗用車、貨物自動車、バス、ユーティリティカー、或いは、二輪車、クワッド・バイクや三本のタイヤを有する車両などの動力車両のことである。該方法は、車両の周辺部を捕捉するセンサシステムを用いて車両の周りの状況描写を作成するステップを包含している。更には、車両のドライバー・アシスタント・システムによって車両の軌道を予め決め、これを無線により、外部の状況描写と軌道を車両の遠隔操作手段に伝達するが、該遠隔操作手段は、車両から隔離して配置されている。更に、車両の制御は、受信された軌道と受信された外部状況描写に基づいて、遠隔操作手段を用いて実施される。
【0008】
更に、動力車両の車内も、例えば、その目的で設けられたセンサ、例えば、車内カメラを用いて、監視できる。この様な内部空間監視は、該動力車両の内部の状況描写を供給できる。内部の状況描写は、例えば、搭乗者の情報、その(健康)状態及び/或いは挙動などの情報も包含していることができる。例えば、車両のドライバーがどれほど注意深いか、或いは、搭乗者が、シートベルトをしているかなど、センサによって捕捉されることができる。
【0009】
遠隔操作手段による車両の制御は、受信された軌道と受信された外部の状況描写のみならず、これも無線によって遠隔操作手段に伝達される内部の状況描写も基にしている。特に、内部の状況描写からは、車両のドライバーのドライバーが、運転できる状態にあるか否か(例えば、突然の発病や居眠り)を、割り出すことができる。ドライバーが、運転できない状態の場合、自動的に、遠隔操作手段に対して、引き継ぎを要請が出され、これにより、該車両を遠隔操作によって、特に、事故シチュエーションを回避する、及び/或いは、例えば、最寄りの病院へと運転できる様に、車両の操縦が、遠隔操作手段に移譲されることができる。
【0010】
該センサシステムは、例えば、カメラシステム、特に好ましくは、一つのフロントカメラ、バックワードカメラ及びサイドカメラを包含するサラウンド・ビュー・システムであることができるが、該サラウンド・ビュー・システムは、車両の360°の一周視野を外部の状況描写の構成要素として得、それに基づいて遠隔操作手段に伝達することができるデータを作成することができるものであることが特に好ましい。更に、該車両の外部の状況描写を作成するためのセンサシステムは、特に好ましくは、レーダ・センサ、レーザ・センサ、ナビゲーション・システム、乃至、リーダ・センサを有していることができる。該車両のドライバーや他の搭乗者への電話伝達も、想定できるが、これは、常に作動している必要はない。
【0011】
車両の軌道は、設定されている目的地に、到達するために、望まれるルートであり、該車両が走るべき設定ルートであることができる。該設定ルートは、多数のシングル・ポジションから成り立っていることができる。該車両の軌道は、特に好ましくは、状況描写内に描写可能な車両の周辺部直近にある設定ルートである。軌道の前もった設定には、ドライバー・アシスタント・システムの、例えば、ナビゲーション・システムのデータを用いることができる。該ナビゲーション・システムは、車両の現在地を連続的に割り出し、対応するデータを、ドライバー・アシスタント・システムに提供することが特に好ましい。更に、該ナビゲーション・システムは、ドライバー・アシスタント・システムに、ルートガイドを提供することもできるが、該ルートガイドは、連続的にアップデートされる車両の現在地と予め定められている目的地との間において設定されたルートに対するものである。特に、ナビゲーション・システムから得られたルートガイドを基にすれば、ドライバー・アシスタント・システムは、車両に、予め定められている目的地に確実に到達できるルートガイドに対応する軌道を与えることができる。この文脈において「確実に到達」と言う特徴は、特に、危険な交通シチュエーションや事故を回避できる最も安全な軌道が選択されると解釈できる。
【0012】
更に、該ドライバー・アシスタント・システムは、車両を、該車両が、予め定められている軌道を自律的に追従する制御を実施できる様に構成されていることもできる。この文脈においてドライバー・アシスタント・システムは、予め定められている軌道に依存して、車両の操舵システム、制動システム、及び、駆動システムを制御できる様に構成されていることが特に好ましい。これにより、ドライバー・アシスタント・システムを用いて、車内にいるドライバーが車両の操縦に介入しなくても良い自律的走行モードにおいて走行可能な車両を実現することができる。ここでも、該車両は、遠隔操作手段によって、遠隔操作走行モードにおいて走行可能であり、且つ、該車両内にいるドライバーは、車両の操縦が、遠隔操作手段のオペレータによって実施されるため、該車両の操縦に介入する必要は無い。
【0013】
即ち、本発明によれば、いわば「専属運転手」が、遠隔地から、特に好ましくは高度に自動化された、乗用車、バス、或いは、トラックを監視し、操縦することが、提案されている。特に、この運転手機能は、遠隔操作手段を用いた、特に好ましくは、該遠隔操作手段のオペレータによる、受信した軌道及び受信した状況描写によって車両の操縦によって実現できる。該遠隔操作手段乃至そのオペレータには、存在する場合は車内のデータ(内部の状況描写)、ナビゲーション・データや車両データを含む、特に好ましくは全ての重要な走行データに関する情報が、提供される。よって、遠隔操作手段のオペレータは、遠隔地から、該車両を可能な限り良好に監視できる様に、特に好ましくはセンサシステムによって作成され、その中に車両の予め定められている軌道が挿入されていることも可能な、ライブ画像を、見ることができる。
【0014】
該運転手機能の実施は、高度に自動化された走行を補うために、SAEレベル4において、既に実施可能である。該運転手機能は、ドライバー・アシスタント・システム及び/或いは車両のドライバーが、運転タスクを実施できない際の付加的な安全レベルとしても役立つものである。これは、例えば、「End of Use Case」などの自動化された走行システムも包含している。本発明では、車両の監視と操縦を遠隔地から実施できるため、高度に自動化された車両内の搭乗者の誰かが、必ずしも運転できる状態にある必要をなくすことができる。
【0015】
即ち、本発明は、特に、車載センサ類、地図、その他の周辺データを用いて、何時でも遠隔地からの車両コントロールと車両制御を可能にする。該運転手機能は、フレキシブルに且つ現地に向かう時間やコストも必要とせずに、発注或いは依頼することが可能である。例えば、車両のドライバー・アシスタント・システムを用いて、遠隔操作への引継ぎ要請を伝達することができるが、該引継ぎ要請は、車両のドライバーの要望により、乃至、自動的にドライバー・アシスタント・システムから、出されることが可能である。
【0016】
これにより、突然、運転できない状態に陥った人も、車両をそこに置き去りにする必要はない。営利的な分野においては、例えば、貨物自動車は、法的に要求されている休憩中も他の人によって遠隔地からコントロール乃至操縦されることができるため、配達が、より迅速に、目的地に届くため、企業は、多くのコストを節約できるようになる。該車両のドライバーは、この間、自らは、車両を操縦したり、監視したりする必要が無いため、定められている休憩を取ることができる。
【0017】
車両の遠隔操作は、特に好ましくは、例えば、ステアリングホイールなどの操作エレメントを用いて、或いは、以下に詳しく述べる様に、望まれるルートを予め定めることによって可能である。その際、車両の遠隔操作中は、ドライバー、或いは、車両の他の同乗者による突然の介入は、条件的にしかできないようにすることが特に好ましい。しかし、起こり得る危険シチュエーションでは、同乗者や車両のドライバーが、車両の制御に介入できることは、確保されている。
【0018】
ある実施形態によれば、遠隔操作手段の操作エレメントを用いて車両を操縦できる様に想定されている。例えば、遠隔操作手段のオペレータは、遠隔操作手段の操作エレメントを用いて操作できる。この操作は、遠隔操作手段によって捕捉され、遠隔操作手段は、捕捉された操作エレメントの操作を基に、車両を遠隔操作できる。
【0019】
該操作エレメントは、特に好ましくは、ステアリングホイールを包含していることができる。更に、該操作エレメントは、ブレーキペダルやアクセルペダルも包含していることができる。更に、該操作エレメントは、手による操作、例えば、キーボードなども包含していることもできる。クラッチペダルも、遠隔操作手段を用いて遠隔操作される車両が、自動的なクラッチではないトランスミッションを備えた車両である場合には、操作エレメントに帰属することができる。更に、該操作エレメントは、ウインカー、車両のライト類、或いは、前照灯用の操作エレメントも包含していることができる。尚、右左折する際には、自動ウインカーを採用することも考え得る。原理的には、動力車両の全ての操作エレメントが、遠隔操作手段において再現されていることも可能である。
【0020】
遠隔操作手段は、特に好ましくは、操作エレメントの操作を捕捉し、対応する、制御データを生成し、該制御データを車両のドライバー・アシスタント・システムに伝達できる様に構成されていることができる。該ドライバー・アシスタント・システムは、更に、遠隔操作手段によって受信された制御データに基づいて車両を操縦することができる様に構成されている。例えば、該遠隔操作手段は、遠隔操作手段のステアリングホイールの(特に好ましくは、遠隔操作手段のオペレータによる)操作を捕捉し、対応する操舵データを、車両のドライバー・アシスタント・システムに伝達することができる。該ドライバー・アシスタント・システムは、例えば、遠隔操作手段によって受信された操舵データに基づいて、車両の操舵システムを、遠隔操作手段のステアリングホイールの操作に対応して操舵することができる。これは、特に、アクセルペダル、クラッチペダル、及び、ブレーキペダルの操作においても同様である。
【0021】
本発明の出発点は、継続的データ接続を有する高度に自動化された車両であるが、センサシステムを用いて、衝突リスクを認識し、衝突を回避するために、ドライバー・アシスタント・システム、及び/或いは、遠隔操作手段によって操舵し、制動し、或いは、加速する。この様な車両は、車両から目的地までの間に想定外の自体が無い限り、独自に目的地に走ることができる。
【0022】
少ないケースではあるが、該車両やそのドライバー・アシスタント・システムの限界に達した場合に、安全な走行を続けることができる様に、遠隔操作手段が、介入することもできる。この様なケースは、例えば、見通しの悪いカーブや交差点、工事現場におけるレーン変更(例えば、未舗装部分を走行しなければならない場合や、ガードレールの代わりに、テープなどが仮設されている場合)に、起こり得る。更に、この様なシチュエーションは、ドライバーが、突然病気になり、運転を続けられなくなり、病院へ行くことが、必要になった場合にも起こり得る。更に、この様な遠隔操作手段の介入は、野道や野原、駐車場を走行する場合、車線を示すラインを覆っている泥や雪がのった道路を走行する場合にも、必要となり得る。
【0023】
高度に自動化された車両を、独立して自律的に目的地に到着させるには、制御命令を、特に、操舵系に送るために、その先の道を、ナビゲーション・データや地図データを用いて割り出すことが必要になる。要するにドライバー・アシスタント・システムは、追従すべき道やラインを割り出さなければならない。該ラインを構成し、間もなく到達する(カメラ画像内の)ウェイポイント/絶対座標を、遠隔操作手段は、遠隔地から伝達することができる。
【0024】
特に、遠隔操作手段のユーザは、センサシステムの状況描写、例えば、カメラ画像、及び、そこに記入されているウェイポイントを監視できる。今、該車両が、上記のシチュエーションによってその限界に達した場合には、遠隔操作手段のユーザが、該シチュエーションを、最善に且つ安全に乗り越える(望まれるルート乃至軌道を予め定める)ために、手動でウェイポイント乃至座標を入力することを想定しても良い。
【0025】
この意味でも、選択的乃至付加的に、更なる実施形態によれば、特に、遠隔操作手段、乃至、ユーザにより、状況描写を基に認識できる限り、ドライバー・アシスタント・システムによって予め定められている軌道よりも安全な軌道がある場合には、遠隔操作手段を用いて軌道を修正する、ことが想定されていることもできるが、該車両は、修正された軌道と受信された外部の状況描写を基にして遠隔操作手段によって操縦される。外部の状況描写と-それがある場合-内部の状況描写に加えて、自己ポジション係る全てのデータ、例えば、舵角、ホイール回転数、転動率などを、無線で伝達し、それに基づいて動力車両を、遠隔操作手段によって操縦する。
【0026】
更に、ドライバーが、該車両を運転していた時間とアクション、並びに、遠隔操作手段が、該車両を運転していた時間とアクションが、(イベント・データ・レコーダと言う意味で)不揮発性に保存されるように想定されていることもできる。更に、ドライバー・アシスタント・システムが、該車両を運転していた時間とアクションも不揮発性に保存されることもできる。特に、事故シチュエーションが起こった際、どのように、或いは、何が、事故シチュエーションの間、該車両を操縦していたのかを、再現するために、保存されているデータにアクセスすることができる。これは、該事故シチュエーションの責任は、誰にあるのかと言う問いに答えるために役立つものである。保存されているデータは、事故シチュエーションが無かった場合、例えば、予め定められている時間が経過した後に消去することも可能である。
【0027】
遠隔操作手段による軌道の修正は、特に好ましくは、タッチスクリーン上において、修正した軌道を描くことによって実施できる。その際、特に好ましくは、カメラ画像が、タッチスクリーンに最初に、例えば、指やペンなどで、触った瞬間から、フリーズされ、指やペンなどをタッチスクリーンから離した時から、最新のカメラ画像が再び表示される様にすることが想定されている。
【0028】
また、遠隔操作手段のユーザが、遠隔地から、修正された軌道を、車両の周辺部の画像内、例えば、地図内に描くが、補完される画像には、センサシステムの、特に好ましくは、車両のカメラシステムの全ての重要な情報も、伝達されることも可能である。この意味でも、更なる実施形態によれば、車両の周辺部の補完される画像は、遠隔操作手段に伝達されるが、該補完される画像は、特に好ましくは、該車両に帰属しているセンサによって作成され、また、該軌道は、遠隔操作手段によって、状況描写と補完される画像に基づいて修正される。
【0029】
上述した修正された軌道を予め記入することにより、第一の実際ルートと第二の実際ルートとの間の差を、できる限り小さく保つことができる。第一の実際ルートは、センサシステムのデータの伝達には、特に、画像伝達には、ある程度の遅延が伴うため、予め定められている設定ルートに対して、特に、車両の前方(y-方向)のズレが生じており、車両は、既に、遠隔操作手段のオペレータに対して、例えば、モニタ上に示されている場所から、ある程度の距離、例えば、数メートル前進している。よって、遠隔操作手段のオペレータは、遅れて、操舵する。その時点において望まれる舵角が、車両に伝達された頃には、該車両は、既に、第二の実際ルート上にいる、乃至、既にある程度y方向に前進している。修正された軌道を前もって描くことにより、第一の実際ルートと第二の実際ルートが、接近する。
【0030】
更に、上述した修正された軌道を前もって描くことには、常に連続的に舵角が、伝達されなくても良く、代わりに、車両の前にあるそれらをたどるべき点を決める乃至伝達すれば良いと言う長所もある。車内のドライバー・アシスタント・システムも遠隔操作手段の装置(例えば、そのPC;必要に応じて、車両と遠隔操作手段(の装置)間の判断条件を決めること)も、これらの点から、それに基づいて必要な舵角、乃至、操舵の動きを割り出す(算出する)ことができる、ラインを算出することができる。修正された軌道を記入する乃至予め書き込むことにより、上記のy方向へのズレを、非常に小さく抑えることができる。
【0031】
更なる実施形態によれば、第一に、車両、特に、センサシステムとドライバー・アシスタント・システム間の、第二に、遠隔操作手段との間のデータ接続が利用できるクオリティを連続的に割り出し、割り出されたデータ接続のクオリティが、予め定められている第一クオリティレベルに達している場合にのみ遠隔操作手段の操作エレメントによって、該車両が、操縦されることが、想定されている。該第一クオリティレベルは、遠隔操作手段の操作エレメントを用いて確実な車両の制御を保障するために、該第一クオリティレベルに達した際、十分に早く、信頼性のあるデータ伝達が実施できるレベルに選択されることができる。
【0032】
利用できるデータ接続のクオリティとは、特に、データが伝送される速度のことである。該車両は、特に好ましくは、様々な利用できるデータ接続(例えば、携帯電話網や衛星接続)を使い、連続的に、そのクオリティ、特に、シグナル強度と安定性を確かめ、割り出すことができる。尚、該車両は、それぞれ最適に利用できる接続を使用できる様に構成されていることが特に好ましい。更には、最新の交通状況、例えば、前方に迫っている障害物も、計算に考慮するため、そして、この様にすることで、クリティカルな交通シチュエーションをより良く認識するために、他の車両の「C2X」データも利用することを想定しても良い。
【0033】
また、動力車両、乃至、エゴ車両の近傍にある他の車両やインフラストラクチャ要素(例えば、交通状況を捕捉し、どの車両が、該信号機から相対的に見てどのポジションにいるかを割り出すことのできる「インテリジェントな」信号機)であって、制御される車両の位置を確認し、修正し、その情報を、遠隔操作手段へ乃至、「遠隔操作士」に送ることを想定することもできる。この様にすることで、遠隔操作手段によって与えられた設定ルートが守られている、乃至、該動力車両の実際ルートが、該設定ルートからどれ程逸脱しているのかを特に好ましくコントロールできる。必要に応じて、新しい設定ルートを、遠隔操作手段を用いて、設定することができる。
【0034】
例えば、車両のドライバー・アシスタント・システムは、割り出されたデータ接続のクオリティが、第一クオリティレベルに達している、乃至、超えている場合、引継ぎ要請を遠隔操作手段に伝達する。使用可能なデータ接続のクオリティの割り出しは、例えば、車両のそのために設けられているコミュニケーション・ユニットを用いて実施することができる。付加的に、車両と遠隔操作手段間の使用できるデータ接続のクオリティに関する情報は、既存のネットワーク・カバレッジ・マップから得ることもできる。
【0035】
更に、データ接続の割り出されたクオリティが、予め定められている第二クオリティレベルに達した場合にのみ、軌道を、遠隔操作手段によって修正する様に想定することもできるが、ここでは、第二クオリティレベルは、第一クオリティレベルよりも低く設定されている。これにより、上記の軌道の前もった書き込みを、操作エレメント(例えば、ステアリングホイール或いはジョイスティック、キーボードなど)を用いた制御には、データ接続のクオリティが十分ではない場合でも、記載されているルート、乃至、修正された軌道が、車数台分前方にあるため、実施できる様になる。
【0036】
特に、アウトバーン沿いのネットワーク・カバレッジは、高いプライオリティを有している。本発明が、特に、貨物自動車や遠距離バスにおいて用いられる場合、ドライバー・アシスタント・システム或いは遠隔操作手段を用いて、比較的独立的に、ドライバーが、休息義務を守っている間に、長距離を走行できる。本発明は、この文脈において、特に、上記の車両を、その安全を確保するために、監視することを可能にする。
【0037】
加えて、割り出したデータ接続のクオリティが、予め定められている第二クオリティレベルに達していない場合は、遠隔操作手段から車両の制御をドライバー・アシスタント・システムに引き渡すことも想定することができる。
【0038】
割り出したデータ接続のクオリティが、第二クオリティレベル以下であった場合は、車両の確実な操縦ができるだけの十分なデータが、遠隔操作手段に伝達できない。このケースでは、車両のドライバーには、車両の操縦を受け持つことが要求される。ドライバーが反応しない場合は、該車両を、ドライバー・アシスタント・システムによって、例えば、安全な場所に、停車させることができる。そこでは、緊急電話をかけることもできる。この意味でも、特に、ドライバー・アシスタント・システムが、車両の運転を引き継いだ後に、車両のドライバーへの引継ぎ要請が、作成されるが、車両のドライバーが、車両の運転の引継ぎ要請が出されてから予め定められている時間が経過しても、運転を引き継がなかった場合、該ドライバー・アシスタント・システムが、最低リスクマヌーバを実施することを想定しても良い。
【0039】
接続困難な(特に、データ接続のクオリティが、第一クオリティレベル、及び/或いは、第二クオリティレベルに達していない)地域は-それが可能なのであれば-将来この地域を避けるために、或いは、運転できる状態にある場合は、該車両のドライバーに、より早期に伝達することができる様に、記録される
【0040】
更には、データ接続が、失われる可能性があることが認識された場合に、該車両のドライバーに、例えば、音声シグナル、光シグナルなどの警告シグナルを発生させることも可能である。この様にすることで、該ドライバーには、ドライバー・アシスタント・システムを用いて、該車両を安全に停車される、或いは、ドライバー自身が、車両操縦を請け負うのかを意思決定する選択肢が与えられる。
【0041】
更なる実施形態によれば、車両のドライバーと遠隔操作手段のオペレータ間のコミュニケーション接続が、構築されることも想定されている。該コミュニケーション接続は、例えば、電話接続乃至、ビデオ接続である。特に、コミュニケーション接続は、車両のドライバーによって構築されることができる。この様にすることで、該車両のドライバー乃至他の同乗者は、遠隔操作手段のオペレータとコミュニケーションするか否か、特に、会話するか否かを、自ら意思決定できる。この様にすることで、この実施形態は、他人が該車両内には、座っていない、乃至、遠隔操作手段のオペレータが、車内にいないこと、更には、該車両のドライバー乃至他の同乗者とのコミュニケーション接続が、望まれ無ければ構築されないことから、該車両のドライバー乃至他の同乗者のプライバシーを高めることに役立っている。
【0042】
本発明の第二アスペクトによれば、車両を遠隔操作するためのシステムが提供される。該システムは、本発明の上記の第一アスペクトに関連して説明され、特に、車両の外部の状況描写と該車両の予め定められている軌道を、該車両から受信する遠隔操作手段を包含しているが、該遠隔操作手段は、該車両とは、空間的に、隔離されている。更に、遠隔操作手段は、該車両が、受信された軌道と受信された外部の状況描写に基づいて制御できる様に構成されている。この実施形態では、本発明の第二アスペクトに係るシステムの効果や長所に関しては、重複をさけるため、特に本発明の第一アスペクトに係る方法に関連した上記の説明と以下の図の説明を参照されたい。
【0043】
以下、本発明の実施例を、模式的な図面を用いて詳細に説明する。図の説明:
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】は、本発明に係る方法のある実施例の実施するための意思決定図、
図2】は、本発明に係る車両を遠隔操作するためのシステムの実施例の遠隔操作手段の遠近法的ビュー、
図3】は、設定ルートと第二実際ルートの描写を含む道路上の車両の平面図、
図4】は、予め定められている設定ルートと修正された設定ルートが描き込まれた車両のカメラの画像、
図5】は、修正された設定ルートが描き込まれたタッチスクリーン上の車両のカメラの画像とタッチスクリーンに描くためのペン、並びに、
図6】は、タッチスクリーン上に描かれた、車両とその周りを示す地図であるが、ペンを用いて修正される設定ルートを描き込むことができる様になっている。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、例えば、車両1の外部周辺部のサラウンド画像である状況描写を作成する複数のカメラからなるサラウンド・ビュー・システムなどのセンサシステム2を備えた高度に自動化された車両1(例えば、自律的に走行できる乗用車)を示している。更に、車両1は、センサシステム2とコミュニケーション出来きる様に接続されているドライバー・アシスタント・システム3も包含している。ドライバー・アシスタント・システム3は、ナビゲーション・システム4と、車両1を遠隔操作するための遠隔操作手段7の第二コミュニケーション手段6とデータを交換するための第一コミュニケーション・インターフェース5を包含しているが、該遠隔操作手段7は、地理的には、車両1から隔離して配置されている。図2は、遠隔操作手段7の構成例を詳しく示している。
【0046】
センサシステム2を用いて、車両1の外部の状況描写8が、作成される。例えば、そのような状況描写8は、図4と5に示されている。状況描写8は、ドライバー・アシスタント・システム3のコミュニケーション・インターフェース5を介して、遠隔操作手段7のコミュニケーション・インターフェース6に、無線的に、例えば、携帯電話網や衛星網を介して伝達される。該遠隔操作手段7は、それらにそれぞれ状況描写8が映される、一つの、或いは、複数のモニタ9(図2参照)乃至タッチスクリーン10(図5と6)を包含していることができる。
【0047】
ナビゲーション・システム4を使用する場合、ドライバー・アシスタント・システム3は、更に、該車両1用の、示されている実施例では、設定ルート11(図3参照)である軌道を、与えている。該設定ルート11も、ドライバー・アシスタント・システム3のコミュニケーション・インターフェース5を介して、遠隔操作手段7のコミュニケーション・インターフェース6に、無線的に、例えば、携帯電話網や衛星網を介して伝達される。該車両1は、遠隔操作手段7によって、受信した軌道11と受信した外部の状況描写8を基に、操縦される。
【0048】
該車両1は、ある一つの道路12上を走っている。設定ルート11は、予め定められている目的地に到達するために車両1が走るべき望まれるルートを、記述している。しかし、カメラシステム2の画像データの伝達は、ある程度遅延するため、車両1は、常に、数メートルy軸方向(特に、車両1の直線方向)に、遠隔操作手段7のステアリングホイール13である操作エレメントのオペレータ12に対して、モニタ9上に示される場所よりも、図3において、第一実際ルート14として示されている様に、数メートル前に進んでしまっている。
【0049】
その結果、ステアリングホイール13のオペレータ12は、遅れて、操縦することになる。その時点において望まれる舵角が、車両1に伝達された頃には、該車両1は、既に、第二の実際ルート15上にいる、乃至、既にある程度dY方向に前進している。
【0050】
車両1からの遠隔操作手段7へとその逆のデータ伝達により生じた差dYは、比較的良好に、算出できる。例えば、車両1の速度が、50km/h(13.9m/s)である場合、データ伝達(往復)のランタイムが、2x80ms=160msであるため、車両1は、この間に走った距離(dY)は、2.2mになる。車両1の速度が、30km/h(8.2m/s)である場合、例えば、潜在時間が同じ160msであるとすると、車両1は、この間に、1.3m走行する。車両1の速度が、例えば、100km/h(27.7m/s)である場合、ここでも潜在時間が同じ160msであるとすると、車両1は、この間に走った距離(dY)は、4.4mになる。与えられている時間は、データ伝達において起こり得る延滞の例に過ぎない。システム(ドライバー・アシスタント・システム3と遠隔操作手段7)の計算時間は、考慮されていない。
【0051】
図4は、予め定められている軌道11が、遠隔操作手段7によって、以下に修正されることができるのかを示している。予め定められている軌道11をラインとして形成し、近い将来(フロントカメラの画像である必要のないカメラ画像8)にある近いウェイポイント/絶対座標は、上記の如く、遠隔操作手段7に伝達され、例えば、モニタ9に表示される。遠隔操作手段7のオペレータ12は、カメラ画像8と描かれているウェイポイント乃至軌道11を監視できる。
【0052】
図4に示されている実施例では、道路12の走行可能な部分の一時的な境界16が、ドライバー・アシスタント・システム3だけによって、図4に示されている工事現場において、車両1を安全に制御することを難しくしているため、該ドライバー・アシスタント・システム3は、そのシステム限界に達している。遠隔操作手段7のオペレータ12が、そのシチュエーションを認識し、該シチュエーションを最善且つ安全に乗り切るために、手動で、ウェイポイント/座標、乃至、修正された設定ライン17を、例えば、タッチスクリーンに書き込む(図5参照)ことにより、遠隔操作手段7内に入力することができる。
【0053】
手動で新しく描き込まれたウェイポイント/座標から、図4に示されている修正された、例えば、境界16を回避するための軌道17が、ラインとして得られる。このライン17からは、重要な点を読み出し、車両1に送信することで、これが、予め定められている軌道17を再現し、独自に走行できる。このデータは、「C2X」コミュニケーションにより、他の交通参加者に、更なる処理のために、伝達することができる。修正された軌道17を再現するためにどれ程の数の点が必要になるかは、走行されるラインの複雑さに依存する。例えば、直線は、二つの点で定義できる。一方、カーブに必要な点の数は、そのカーブの半径や要求される精度に依存する。
【0054】
この様に、該車両1は、遠隔操作手段7を用いて、修正された軌道17と特に好ましくはカメラ画像8であり得る受信された外部の状況描写に基づいて、操縦される。遠隔操作手段7のステアリングホイール13の最新の舵角を常に伝達する必要は無く、将来的に追従すべき経路17のみを伝達すれば良いため、遅いデータ接続を、ある程度なら、補うことができる。
【0055】
図5は、修正された軌道17を、どのように、ペン18を用いて、タッチスクリーン10を介して、カメラ画像8内に、描かれるのかを示している。描いている間、カメラ画像8は、ペン18で触れた時点からフリーズされ、ペン18を、タッチスクリーン10から離した時点から再び更新される。
【0056】
また、図6によれば、遠隔操作手段7のオペレータ12は、遠隔地から、修正された軌道17を地図19内に、ペン18を用いて記入することができるが、該地図19を捕捉する様にセンサシステム2の、特に、カメラの全ての重要な情報も伝達される。
【0057】
図1は、更に、車両1が、如何に、車両1、特にドライバー・アシスタント・システム3の第一コミュニケーション・インターフェース5と遠隔操作手段7、特に、第二コミュニケーション・インターフェース6との間のデータ伝達のクオリティに依存して、操縦されるのかを示している。
【0058】
ステップ100では、車両1と遠隔操作手段7との間において使用できるデータ接続のクオリティが継続的に割り出される。その時、割り出されたデータ接続のクオリティが、予め定められているクオリティレベルに達している場合(結果200)、車両1は、遠隔操作手段7のステアリングホイール13、乃至、修正された軌道17を描き込むこと(図4から6参照)によって操縦されることができる(ステップ300)。該第一クオリティレベルは、特に、ステアリングホイール13を用いて車両1の操縦をするために十分に短いランタイムを含む、特に、十分に早く且つ信頼性のあるデータ接続が、要求される高いレベルに選択されていることができる。
【0059】
割り出されたデータ接続のクオリティが、予め設定されている、第一クオリティレベルよりは低い第二クオリティレベルに達していることが割り出された場合(結果400)、該車両1は、修正された軌道17を描き込む(図4から6参照)ことによって操縦できるが(ステップ500)、このケースにおいては、ステアリングホイール13を用いて車両1を安全に操縦するのに十分に早いデータ接続を保証できないため、遠隔操作手段7のステアリングホイール13は、用いられない。
【0060】
割り出されたデータ接続のクオリティが、予め定められている第二クオリティレベルに達していない場合(結果600)、車両1の運転を、遠隔操作手段7からドライバー・アシスタント・システム3に引き渡すことができる(ステップ700)。特に、ドライバー・アシスタント・システム3が、車両1の運転を引き継いだ後に、該ドライバー・アシスタント・システム3は、車両1のドライバーへの引継ぎ要請を、作成することができるが、車両1のドライバーが、車両1の運転の引継ぎ要請が出されてから予め定められている時間が経過しても、運転を引き継がなかった場合、該ドライバー・アシスタント・システム3は、最低リスクマヌーバを実施する。この様なシチュエーションでは、自動緊急電話を掛けることも考え得る。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.以下のステップを包含することを特徴とする車両(1)を遠隔操作するための方法:
-車両(1)の周辺部を捕捉するためのセンサ・システム(2)を用いた車両(1)の状況描写(8)を作成するステップ、
-車両(1)のドライバー・アシスタント・システム(3)を用いた車両(1)の軌道(11)を予め与えるステップ、
-車両(1)の遠隔操作手段(7)に外部の状況描写(8)と軌道(11)を無線的に伝達するステップ、
但し、該隔操作手段(7)は、該空間的に車両(1)から隔離して配置されている、並びに、
-受信した軌道(11)と受信した外部の状況描写(8)を基に、遠隔操作手段(7)によって、車両(1)を操縦するステップ。
2.遠隔操作手段(7)のある一つの操作エレメント(13)を用いて車両(1)が操縦されることを特徴とする上記1.に記載の方法。
3.遠隔操作手段(7)による軌道(11)、並びに、修正された軌道(17)と受信された外部の状況描写(8)を基にして遠隔操作手段(7)を用いて車両(1)が操縦されることを特徴とする上記1.或いは2.に記載の方法。
4.車両の周辺部(1)の補足的画像(19)が、遠隔操作手段(7)に伝達され、更に、軌道(11)が、遠隔操作手段(7)によって、状況描写(8)と補足的画像(19)を基にして、修正されることを特徴とする上記3.に記載の方法。
5.車両(1)と遠隔操作手段(7)との間の利用できるデータ接続のクオリティを連続的に割り出し、且つ、割り出されたデータ接続のクオリティが、予め定められている第一クオリティレベルに達している場合にのみ遠隔操作手段(7)の操作エレメント(13)によって、該車両(1)が、操縦されることを特徴とする上記2.から4.のうち何れか一項に記載の方法。
6.データ接続の割り出されたクオリティが、予め定められている第二クオリティレベルに達した場合にのみ、軌道(11)を、遠隔操作手段(7)によって修正する、但し、第二クオリティレベルは、第一クオリティレベルよりも低く設定されていることを特徴とする上記5.に記載の方法。
7.割り出したデータ接続のクオリティが、予め定められている第二クオリティレベルに達していない場合、遠隔操作手段(7)から車両(1)の制御をドライバー・アシスタント・システム(3)に引き渡すことを特徴とする上記6.に記載の方法。
8.ドライバー・アシスタント・システム(3)が、車両(1)の運転を引き継いだ後に、該ドライバー・アシスタント・システム(3)が、車両(1)のドライバーへの引継ぎ要請を、作成する、但し、車両(1)のドライバーが、車両(1)の運転の引継ぎ要請が出されてから予め定められている時間が経過しても、運転を引き継がなかった場合は、該ドライバー・アシスタント・システム(3)が、最低リスクマヌーバを実施することを特徴とする上記7.に記載の方法。
9.車両(1)のドライバーと遠隔操作手段(7)のオペレータ(12)間のコミュニケーション接続が、構築されることを特徴とする上記1.~8.のうち何れか一項に記載の方法。
10.車両(1)を遠隔操作するためのシステムであって、以下の様に構成されている遠隔操作手段(7)を包含することを特徴とするシステム:
-車両(1)の外部の状況描写(8)と車両(1)の予め定められている軌道(11)が、車両(1)に受信される、但し、該遠隔操作手段(6)は、車両(1)から空間的に隔離して配置されている、及び、
-受信した軌道(11)と受信した外部の状況描写(8)を基に、車両(1)を操縦する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6