(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ニューラルネットワークを用いた自律的トレーラヒッチング
(51)【国際特許分類】
B60W 30/10 20060101AFI20221129BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20221129BHJP
B60W 50/10 20120101ALI20221129BHJP
B60D 99/00 20090101ALN20221129BHJP
【FI】
B60W30/10
G08G1/16 D
B60W50/10
B60D99/00
(21)【出願番号】P 2019547714
(86)(22)【出願日】2018-03-02
(86)【国際出願番号】 US2018020655
(87)【国際公開番号】W WO2018160960
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2019-10-02
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】313005662
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティブ システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CONTINENTAL AUTOMOTIVE SYSTEMS, INC.
【住所又は居所原語表記】1 Continental Drive, Auburn Hills, Michigan 48326-1581, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダロン リー
(72)【発明者】
【氏名】ケジャ ロウ
(72)【発明者】
【氏名】アイブロ ムハレモヴィック
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-203972(JP,A)
【文献】特開2017-030549(JP,A)
【文献】特開2015-014819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
B60D 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーラに取り付けるために車両を後退方向で誘導操作する方法であって、
コンピューティングデバイスにおいて、前記車両の後部に配置された1つまたは複数のカメラから1つまたは複数のイメージを受け取ることと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記1つまたは複数のイメージ内で1つまたは複数のトレーラを識別することと、
前記コンピューティングデバイスにおいて、前記1つまたは複数のトレーラの中から選択された1つのトレーラの指示を受け取ることと、
前記コンピューティングデバイスにおいて、初期ポジションから最終ポジションまで車両経路を決定することであって該車両経路は、前記初期ポジションから前記最終ポジションまで該車両経路に沿って前記車両を後退方向で動かすように構成された誘導操作を有する、ことと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記車両経路を自律的に追従して前記誘導操作を実行するアクションを前記車両に起こさせる1つまたは複数の動作を実行することと、
前記コンピューティングデバイスにより調節高さを特定することであって、該調節高さは、前記トレーラのヒッチカプラが牽引車両ヒッチボールを受け入れるために前記車両を高めるべき高さである、ことと、
を含み、
前記車両経路は、
前記トレーラの前後軸線および前記車両の前後軸線を追従し、かつ、前記トレーラの前後軸線に接する第1の円
の円弧と、前記車両の前後軸線および前記第1の円に接する第2の円の円弧とに沿うように決定さ
れ、
前記調節高さを特定することは、前記車両経路のうち前記トレーラの前後軸線を追従する経路上にある最終ポジションにおいて実施される、
方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数の動作は、制動動作、加減速動作、操舵動作、ヒッチ接続動作、およびサスペンション調節動作を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記コンピューティングデバイスにおいて、該コンピューティングデバイスと通信を行うセンサシステムから1つまたは複数のセンサデータを受け取ることと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記センサデータから前記車両経路に沿ったまたは前記車両経路に隣接する1つまたは複数の物体を検出することと、
前記コンピューティングデバイスによって、前記1つまたは複数の物体に基づき前記車両経路を調節することと、
をさらに含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記車両経路は、前記初期ポジション、中間ポジション、および前記最終ポジションを含み、前記中間ポジションと前記最終ポジションとの間の距離は、前記中間ポジションと前記初期ポジションとの間の距離よりも短い、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記中間ポジションにおいて、前記車両は、前記トレーラと概して平行に整列された向きで前記トレーラに後部を向けている、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記調節高さに基づき車両サスペンションを調節するコマンドを、前記コンピューティングデバイスから前記車両のサスペンションシステムに送信することと、
を
さらに含む、請求項
1から5
までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記コンピューティングデバイスは、コントローラおよび該コントローラと通信を行うディープニューラルネットワークを含む、請求項4から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記1つまたは複数のトレーラの中から選択された1つのトレーラの指示を受け取ることは、前記コンピューティングデバイスと通信を行うユーザインタフェースから前記指示を受け取ることを含む、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
トレーラに取り付けるための経路に沿って後退方向で誘導操作するための車両であって、
前記車両の後部に配置された1つまたは複数のカメラと、
ユーザインタフェースと通信を行うコンピューティングデバイスと、
前記コンピューティングデバイスと通信を行う非一時的メモリと、
を含み、
前記非一時的メモリは、前記コンピューティングデバイスにおいて実行されると、
前記1つまたは複数のカメラから1つまたは複数のイメージを受け取ることと、
前記1つまたは複数のイメージ内で1つまたは複数のトレーラを識別することと、
前記1つまたは複数のトレーラの中から選択された1つのトレーラの指示を受け取ることであって、該指示は、前記ユーザインタフェースを介した運転者の選択を表す、ことと、
初期ポジションから最終ポジションまで車両経路を決定することであって、該車両経路は、前記初期ポジションから前記最終ポジションまで該車両経路に沿って前記車両を後退方向で動かすための誘導操作を含む、ことと、
前記車両経路を自律的に追従して前記誘導操作を実行するアクションを前記車両に起こさせる1つまたは複数の動作を実行することと、
調節高さを特定することであって、該調節高さは、前記トレーラのヒッチカプラが牽引車両ヒッチボールを受け入れるために前記車両を高めるべき高さである、ことと、
を含むオペレーションを、前記コンピューティングデバイスに実施させる命令を記憶し、
前記車両経路は、
前記トレーラの前後軸線および前記車両の前後軸線を追従し、かつ、前記トレーラの前後軸線に接する第1の円
の円弧と、前記車両の前後軸線および前記第1の円に接する第2の円の円弧とに沿うように決定さ
れ、
前記調節高さを特定することは、前記車両経路のうち前記トレーラの前後軸線を追従する経路上にある最終ポジションにおいて実施される、
車両。
【請求項10】
前記1つまたは複数の動作は、制動動作、加減速動作、操舵動作、ヒッチ接続動作、およびサスペンション調節動作を含む、請求項9記載の車両。
【請求項11】
前記オペレーションはさらに、
前記コンピューティングデバイスと通信を行うセンサシステムから1つまたは複数のセンサデータを受け取ることと、
前記センサデータから前記車両経路に沿ったまたは前記車両経路に隣接する1つまたは複数の物体を検出することと、
前記1つまたは複数の物体に基づき前記車両経路を調節することと、
を含む、
請求項9または10記載の車両。
【請求項12】
前記車両経路は、前記初期ポジション、中間ポジションおよび前記最終ポジションを含み、前記中間ポジションと前記最終ポジションの間の距離は、前記中間ポジションと前記初期ポジションとの間の距離よりも短い、請求項9から11までのいずれか1項記載の車両。
【請求項13】
前記中間ポジションにおいて、前記車両は、前記トレーラと概して平行に整列された向きで前記トレーラに後部を向けている、請求項12記載の車両。
【請求項14】
前記オペレーションはさらに、
前記調節高さに基づき車両サスペンションを調節するコマンドを、前記車両のサスペンションシステムに送信することと、
を含む、請求項
9から13
までのいずれか1項記載の車両。
【請求項15】
前記コンピューティングデバイスは、コントローラおよび該コントローラと通信を行うディープニューラルネットワークを含む、請求項9から14までのいずれか1項記載の車両。
【請求項16】
トレーラに取り付けるために車両を後退方向で誘導操作する方法であって、
前記車両のニューラルネットワークによって、1つまたは複数のイメージ内で1つまたは複数のトレーラを検出することと、
前記ニューラルネットワークと通信を行うユーザインタフェースにおいて、前記1つまたは複数のトレーラの中から選択された1つのトレーラの指示を受け取ることと、
前記ニューラルネットワークと通信を行うコンピューティングデバイスにおいて、初期ポジションから前記トレーラと隣り合った最終ポジションまで車両経路を決定することであって、該車両経路は、前記初期ポジションから前記最終ポジションまで該車両経路に沿って前記車両を動かすように構成された誘導操作を含む、ことと、
前記コンピューティングデバイスと通信を行う駆動システムにおいて、前記車両経路を前記初期ポジションから自律的に追従することと、
前記駆動システムによって、前記最終ポジションに到達する前に中間ポジションにおいて前記車両を停止または保持することであって、該中間ポジションは、前記初期ポジションよりも前記最終ポジションに近い、ことと、
前記停止または保持の後に、前記駆動システムによって、車両ヒッチをトレーラヒッチに整列させるために、前記車両に対応づけられた1つまたは複数の車両サスペンションを変更することと、
前記駆動システムによって、前記中間ポジションから前記最終ポジションまで前記車両経路を自律的に追従することと、
前記駆動システムによって、前記車両ヒッチを前記トレーラヒッチと接続することと、
を含み、
前記車両経路は、
前記トレーラの前後軸線および前記車両の前後軸線を追従し、かつ、前記トレーラの前後軸線に接する第1の円
の円弧と、前記車両の前後軸線および前記第1の円に接する第2の円の円弧
とに沿うように決定さ
れ、
前記最終ポジションは、前記車両経路のうち前記トレーラの前後軸線を追従する経路上にある、
方法。
【請求項17】
前記誘導操作は、操舵、制動、および加速を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記車両が前記車両経路に沿って動いているときに、前記ニューラルネットワークにおいて、前記車両経路内にある1つまたは複数の物体を継続的に検出することと、
物体が検出されたならば、前記コンピューティングデバイスにおいて前記車両経路を変更することと、
をさらに含む、請求項16または17記載の方法。
【請求項19】
前記車両ヒッチを前記トレーラヒッチと接続することは、前記車両に対応づけられた1つまたは複数の車両サスペンションを変更して、前記トレーラヒッチが前記車両ヒッチを受け入れ可能にすることを含む、請求項16から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
1つまたは複数のトレーラを検出することは、
前記ニューラルネットワークと通信を行う1つまたは複数のイメージングデバイスにおいて、1つまたは複数のイメージを捕捉することと、
前記ニューラルネットワークにおいて、前記1つまたは複数のイメージ内で前記1つまたは複数のトレーラを検出することと、
を含む、請求項16から19までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2017年3月3日出願の米国仮特許出願第62/466,824号(U.S. Provisional Application 62/466,824)、および2018年3月1日出願の米国非仮特許出願第15/909,819号(U.S. Non-Provisional Application 15/909,819)に対する優先権を主張するものである。これらの開示内容はすべて、ここで参照したことにより本願の開示内容に含まれるものとする。
【0002】
技術分野
本開示は、自動車の後方に配置された1つまたは複数のトレーラを識別し、1つまたは複数のトレーラのうちの1つを駆動するように構成された自動車に関する。
【0003】
背景
トレーラは通常、動力を備えた牽引車両によって引っ張られる無動力の車両である。トレーラを、他にもある中で特に、ユーティリティトレーラ、ポップアップ式キャンピングカー、旅行用トレーラ、家畜用トレーラ、平床式トレーラ、有蓋車両輸送トレーラ、およびボートトレーラとすることができる。牽引車両を、乗用車、クロスオーバー車、トラック、バン、スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)、レクレーショナル・ビークル(RV)、またはトレーラに取り付けてトレーラを引っ張るように構成された他の任意の車両とすることができる。トレーラヒッチを用いて、トレーラを動力車両に取り付けることができる。受け側ヒッチが牽引車両に装備されており、これがトレーラヒッチと接続されて接続が形成される。トレーラヒッチを、ボールおよびソケット、予備車輪およびグースネック、またはトレーラジャッキとすることができる。他の取り付け機構を使用することもできる。トレーラと動力車両との間の機械的接続に加えて、一部の例によれば、トレーラは牽引車両と電気的に接続される。このようにすれば電気的接続によって、トレーラは動力車両のリアライト回路から給電を受けることができ、これによってトレーラは、動力車両のライトと同期したテールライト、ウィンカおよびブレーキライトを有することができる。
【0004】
牽引車両の運転者が直面する厄介な作業のうちのいくつかは、牽引車両をトレーラに接続することであり、それというのも2人以上の人が必要とされるからである。たとえば1人の人間たとえば運転者が車両を運転し、1人または複数の別の人が牽引車両とトレーラとを見て、ヒッチに整列させるために牽引車両がとるべき経路について運転者を案内しなければならない。運転者を案内する人間が、牽引車両をトレーラにヒッチングするのに慣れていないとしたならば、そのような人は牽引車両の経路を案内するために効率的な指図を伝えるのが難しい可能性がある。
【0005】
センサ技術の最近の進歩によって、改善された車両用セーフティシステムが実現されるようになってきた。衝突を検出および回避するための装置および方法を利用できるようになってきている。かかる運転者支援システムは、衝突に至りそうなことを検出するために、車両に配置されたセンサを使用する。一部の例によればシステムは、衝突を防止するために、または最小限に抑えるために、1つまたは複数の走行状況について運転者に警告を発することができる。これに加えセンサおよびカメラを用いて、車両が前進方向で移動しているときに、存在し得る障害物について運転者の注意を喚起することもできる。よって、牽引車両の運転者が直面する厄介な作業を克服するためのセンサを含むシステムを提供するのが望まれる。
【0006】
概要
本開示の1つの態様によれば、トレーラに取り付けるために車両を後退方向で誘導操作する方法が提供される。この方法は、コンピューティングデバイス(たとえばコントローラおよびこのコントローラと通信を行うディープニューラルネットワーク)において、車両後部に配置された1つまたは複数のカメラから、1つまたは複数のイメージを受け取ることを含む。この方法は、コンピューティングデバイスによって、1つまたは複数のイメージ内で1つまたは複数のトレーラを識別することも含む。これに加えこの方法は、コンピューティングデバイスにおいて、1つまたは複数のトレーラの中から選択された1つのトレーラの指示を受け取ることを含む。一部の実施例によればコンピューティングデバイスは、選択されたトレーラの指示を受け取るように構成されたユーザインタフェースと通信を行う。この方法は、コンピューティングデバイスにおいて、初期ポジションから最終ポジションまで車両経路を特定することも含む。車両経路は、車両を後退方向で車両経路に沿って初期ポジションから最終ポジションまで動かすように構成された誘導操作を含む。この方法は、コンピューティングデバイスによって、車両経路を自律的に追従して誘導操作を実行するアクションを車両に起こさせる1つまたは複数の動作を実行することも含む。
【0007】
本開示のこの態様の具現化形態は、以下の任意選択的特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。一部の具現化形態によれば1つまたは複数の動作は、制動動作、速度動作、操舵動作、ヒッチ接続動作、およびサスペンション調節動作を含む。
【0008】
一部の実施例によればこの方法は、コンピューティングデバイスにおいて、このコンピューティングデバイスと通信を行うセンサシステムから1つまたは複数のセンサデータを受け取ること、コンピューティングデバイスによって、センサデータから車両経路に沿ったまたは車両経路に隣接する1つまたは複数の物体を検出すること、およびコンピューティングデバイスによって、1つまたは複数の物体に基づき車両経路を調節することを含む。車両経路は、初期ポジション、中間ポジション、および最終ポジションを含むことができる。中間ポジションは最終ポジションまで、中間ポジションと初期ポジションとの間の距離よりも短い距離を有する。一部の実施例によれば、中間ポジションにおいてトレーラは、トレーラと概して平行に整列された向きでトレーラに後部を向けている。
【0009】
一部の具現化形態によればこの方法は、最終ポジションにおいてコンピューティングデバイスによって調節高さを特定することを含む。調節高さとは、トレーラのヒッチカプラが牽引車両のヒッチボールを受け入れるために車両を高めなければならない高さのことである。この方法は、コンピューティングデバイスから車両のサスペンションシステムに、調節高さに基づき車両サスペンションを調節するコマンドを送信することも含む。
【0010】
本開示の別の態様によれば、トレーラに取り付けるために経路に沿って後退方向で誘導操作するための車両が提供される。この車両は、車両後部に配置された1つまたは複数のカメラ、およびユーザインタフェースと通信を行うコンピューティングデバイス(たとえばコントローラおよびこのコントローラと通信を行うディープニューラルネットワーク)を含む。この車両は、コンピューティングデバイスと通信を行う非一時的メモリも含む。非一時的メモリは、コンピューティングデバイスにおいて実行されると、このコンピューティングデバイスにオペレーションを実施させる命令を記憶している。オペレーションは、1つまたは複数のカメラから1つまたは複数のイメージを受け取ること、1つまたは複数のイメージ内で1つまたは複数のトレーラを識別すること、および1つまたは複数のトレーラの中から選択された1つのトレーラの指示を受け取ることを含む。この指示は、ユーザインタフェースを介した運転者選択を表す。オペレーションは、初期ポジションから最終ポジションまで車両経路を特定することも含む。車両経路は、車両を後退方向で車両経路に沿って初期ポジションから最終ポジションまで動かす誘導操作を含む。オペレーションは、車両経路を自律的に追従して誘導操作を実行するアクションを車両に起こさせる1つまたは複数の動作を実行することも含む。
【0011】
本開示のこの態様の具現化形態は、以下の任意選択的特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。一部の具現化形態によれば1つまたは複数の動作は、制動動作、速度動作、操舵動作、ヒッチ接続動作、およびサスペンション調節動作を含む。
【0012】
一部の実施形態によればオペレーションはさらに、コンピューティングデバイスと通信を行うセンサシステムから1つまたは複数のセンサデータを受け取ること、およびセンサデータから車両経路に沿ったまたは車両経路に隣接する1つまたは複数の物体を検出することを含む。オペレーションはさらに、1つまたは複数の物体に基づき車両経路を調節することを含むことができる。
【0013】
一部の実施例によれば車両経路は、初期ポジション、中間ポジション、および最終ポジションを含む。中間ポジションは最終ポジションまで、中間ポジションと初期ポジションとの間の距離よりも短い距離を有する。
【0014】
一部の具現化形態によれば、中間ポジションにおいてトレーラは、トレーラと概して平行に整列された向きでトレーラに後部を向けている。オペレーションはさらに、最終ポジションにおいて調節高さを特定することを含むことができ、ただし調節高さとは、トレーラのヒッチカプラが牽引車両のヒッチボールを受け入れるために車両を高めなければならない高さのことである。オペレーションは、調節高さに基づき車両サスペンションを調節するコマンドを、車両のサスペンションシステムに送信することを含むこともできる。一部の実施例によればコンピューティングデバイスは、コントローラおよびこのコントローラと通信を行うディープニューラルネットワークを含む。
【0015】
本開示のさらに別の態様によれば、トレーラに取り付けるために車両を後退方向で誘導操作する方法が提供される。この方法は、車両のニューラルネットワークにおいて、1つまたは複数のイメージ内で1つまたは複数のトレーラを検出することを含む。この方法は、ニューラルネットワークと通信を行うユーザインタフェースにおいて、1つまたは複数の検出されたトレーラの中から選択された1つのトレーラの指示を受け取ることも含む。この方法は、ニューラルネットワークと通信を行うコンピューティングデバイスにおいて、初期ポジションからトレーラと隣り合った最終ポジションまで車両経路を特定することも含む。車両経路は、車両を車両経路に沿って初期ポジションから最終ポジションまで動かすように構成された誘導操作を含む。この方法は、コンピューティングデバイスと通信を行う駆動システムにおいて、初期ポジションから車両経路を自律的に追従することも含む。この方法は、駆動システムにおいて、最終ポジションに到達する前に中間ポジションにおいて車両を停止または保持することも含み、ただし中間ポジションは初期ポジションよりも最終ポジションに近い。この方法は、車両ヒッチをトレーラヒッチと整列させるために、駆動システムにおいて、車両に対応づけられた1つまたは複数の車両サスペンションを変更することも含む。この方法は、駆動システムにおいて、中間ポジションから最終ポジションまで車両経路を自律的に追従することも含む。この方法は、駆動システムにおいて、車両ヒッチをトレーラヒッチと接続することも含む。
【0016】
本開示のこの態様の具現化形態は、以下の任意選択的特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。一部の具現化形態によれば誘導操作は、操舵、制動、および加速を含む。この方法はさらに、車両が車両経路に沿って動いているときに、ニューラルネットワークによって、車両経路内にある1つまたは複数の物体を継続的に検出することを含むことができる。この方法は、物体が検出されたならば、コンピューティングデバイスにおいて車両経路を変更することを含むこともできる。一部の実施例によれば、車両ヒッチをトレーラヒッチと接続することは、車両に対応づけられた1つまたは複数の車両サスペンションを変更して、トレーラヒッチ(たとえばトレーラヒッチカプラ)が車両ヒッチ(たとえば牽引車両ヒッチボール)を受け入れ可能にすることを含む。1つまたは複数のトレーラを検出することは、ニューラルネットワークと通信を行う1つまたは複数のイメージングデバイスにおいて、1つまたは複数のイメージを捕捉することを含むことができ、この場合、1つまたは複数のイメージングデバイスのうちの少なくとも1つは、後退方向を向いたトレーラの後ろ側に配置されている。この方法は、少なくとも1つのイメージ内で1つまたは複数のトレーラを、ニューラルネットワークによって特定することを含むこともできる。
【0017】
添付の図面および以下の説明には、本開示の1つまたは複数の具現化形態の詳細について記載されている。その他の態様、特徴および利点は、それらの説明および図面ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】牽引車両後方のトレーラの指示を表示するユーザインタフェースを有する例示的な牽引車両の概略図である。
【
図3A】プラン経路に沿って自律的に誘導操作されて移動する例示的な牽引車両の概観図である。
【
図3B】プラン経路に沿って自律的に誘導操作されて移動する例示的な牽引車両の概観図である。
【
図4A】初期ポジションにある例示的な牽引車両の概略図である。
【
図4B】中間ポジションにある例示的な牽引車両の概略図である。
【
図4C】最終ポジションにある例示的な牽引車両の概略図である。
【
図5A】トレーラヒッチに接続する例示的な車両ヒッチの概観図である。
【
図5B】トレーラヒッチに接続する例示的な車両ヒッチの概観図である。
【
図5C】トレーラヒッチに接続する例示的な車両ヒッチの概観図である。
【
図5D】トレーラヒッチに接続する例示的な車両ヒッチの概観図である。
【
図6】トレーラに取り付けるために牽引車両を後退方向で誘導操作するオペレーションの例示的な構成のフローチャートである。
【
図7】トレーラに取り付けるために牽引車両を後退方向で誘導操作するオペレーションの例示的な構成の概略図である。
【
図8】トレーラに取り付けるために牽引車両を後退方向で誘導操作するオペレーションの例示的な構成の概略図である。
【0019】
様々な図において、同じ参照符号は同じ要素を表す。
【0020】
詳細な説明
以下に限定されるものではないが、乗用車、クロスオーバー車、トラック、バン、スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)、およびレクレーショナル・ビークル(RV)といった牽引車両を、トレーラを牽引するように構成することができる。牽引車両は、トレーラヒッチを介してトレーラとの接続を行う。この場合に以下のような牽引車両があると望ましく、すなわちトレーラに向かって自律的に誘導操作可能かつトレーラに取り付け可能であり、よって、1人または複数の別の人が、トレーラひいてはトレーラのヒッチに整列させるために牽引車両が辿るべき経路に関して運転者を案内している間に、運転者が牽引車両を後退方向で運転する必要がなくなる、という牽引車両があると望ましい。かくして、自律的な後退駆動およびヒッチングという特徴を備えた牽引車両によって、牽引車両をトレーラにヒッチングするときに、運転者に対しいっそう安全かつ迅速な体験がもたらされる。
【0021】
図1~
図2Bを参照すると、一部の具現化形態によれば、牽引車両100の運転者は、トレーラ200、200a~cのグループの中から、1つのトレーラ200、200a~c、たとえば1つの特定のトレーラ200a~cの牽引を望んでいる。図示されているように、トレーラ200、200a~cのグループは3つのトレーラを含むが、トレーラ200、200a~cのグループは、1つよりも多い任意の個数のトレーラを含むことができる。牽引車両100を、選択された1つのトレーラ200、200a~cに対応づけられた運転者選択144の指示を受け取り、選択されたトレーラ200、200a~cに向かって自律的に駆動するように、構成することができる。牽引車両100は、たとえばx、yおよびzの成分を有する駆動コマンドに基づき、路面を横切るように牽引車両100を誘導操作する駆動システム110を含むことができる。図示されているように、駆動システム110は、右前輪112、112a、左前輪112、112b、右後輪112、112c、および左後輪112、112dを含む。駆動システム110は、別の車輪構成も同様に含むことができる。駆動システム110は、各車輪112、112a~dに対応づけられたブレーキを含む制動システム120、ならびに牽引車両100の速度および方向を調節するように構成された加速システム130を含むこともできる。これに加え駆動システム110は、サスペンションシステム132を含むことができ、このサスペンションシステム132は、各車輪112、112a~dに対応づけられたタイヤ、タイヤ空気、スプリング、ショックアブソーバ、および牽引車両100をその車輪112、112a~dに接続するリンケージを含み、牽引車両100と車輪112、112a~dとの間の相対運動を可能にする。サスペンションシステム132は、道路に対する牽引車両100の対処の仕方を改善し、道路の騒音、凹凸および振動を切り離すことによって、いっそう良好な乗り心地品質をもたらす。これに加えサスペンションシステム132は、牽引車両100の高さを調節するように構成されており、これによって牽引車両ヒッチ160(たとえば牽引車両ヒッチボール162)をトレーラヒッチ210(たとえばトレーラヒッチカプラ212)に整列させることができ、これによって牽引車両100とトレーラ200との間の自律的な接続が可能になる。
【0022】
牽引車両100により規定される相互に垂直な3つの軸線すなわち左右軸線X、前後軸線Y、および中央垂直軸線Zに対し相対的な運動の様々な組み合わせによって、牽引車両100は路面を横切って運動することができる。左右軸線Xは、牽引車両100の右側と左側との間を延在している。前後軸線Yに沿った前進駆動方向はFと称せられ、これは前進運動とも呼ばれる。これに加え、前後方向Yに沿った後ろ向き駆動方向または後退駆動方向はRと称せられ、これは後退運動とも呼ばれる。サスペンションシステム132が牽引車両100のサスペンションを調節したときに、牽引車両100はX軸および/またはY軸を中心に傾斜する可能性があり、あるいは中央垂直軸線Zに沿って動く可能性がある。
【0023】
牽引車両100は、ディスプレイなどのユーザインタフェース140を含むことができる。ユーザインタフェース140は、1つまたは複数の入力機構またはタッチスクリーンディスプレイ142を介して、1つまたは複数のユーザコマンドを運転者から受け取り、かつ/または1つまたは複数の通知を運転者に表示する。ユーザインタフェース140は車両コントローラ300と通信を行い、車両コントローラ300自体はセンサシステム400と通信を行う。一部の実施例によればユーザインタフェース140は、牽引車両100の周囲環境のイメージを表示し、これによりユーザインタフェース140が(運転者から)受け取る1つまたは複数のコマンドがもたらされ、このコマンドによって1つまたは複数の動作の実行が始められる。車両コントローラ300は、コンピューティングデバイス(またはプロセッサ)302(たとえば1つまたは複数のコンピューティングプロセッサを有する中央処理ユニット)を含み、このコンピューティングデバイス302は、1つまたは複数のコンピューティングプロセッサ302において実行可能な命令を記憶可能な非一時的メモリ304(たとえばハードディスク、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ)と通信を行う。
【0024】
車両コントローラ300は運転者支援システム310を実行し、このシステム310自体は経路追従サブシステム320を含む。経路追従サブシステム320は、プラン経路552(
図3Aおよび
図3B)を経路プラニングシステム550から受け取り、動作322~330を実行し、これらの動作322~330によってコマンド301が駆動システム110に送信され、これによって牽引車両100は、後退方向Rにおいてプラン経路552を辿って自律的に駆動するようになる。
【0025】
経路追従サブシステム320は、制動動作322、速度動作324、操舵動作326、ヒッチ接続動作328、およびサスペンション調節動作330を含む。各動作322~330によって牽引車両100は、他にもある中で特に、後退の駆動、特定の角度での転回、制動、加速、減速などのアクションを起こすことになる。車両コントローラ300は、駆動システム110を制御することによって、より具体的にはコマンド301を駆動システム110に発することによって、路面を横切る任意の方向で牽引車両100を誘導操作することができる。たとえば車両コントローラ300は、(
図4Aに示されているような)初期ポジションから(
図4Cに示されているような)最終ポジションまで、牽引車両100を誘導操作することができる。最終ポジションにおいて、牽引車両100のヒッチボール162がトレーラ200のヒッチカプラ212と整列し、これによって牽引車両100と選択されたトレーラ200、200a~cとが接続される。
【0026】
牽引車両100は、信頼性のあるロバストな自律駆動をもたらすために、センサシステム400を含むことができる。センサシステム400は種々のタイプのセンサを含むことができ、これらのセンサを用いて、別個にまたは他のセンサと共に、牽引車両100の周囲環境の知覚を生成することができ、センサシステム400により検出された物体および障害物に基づき、牽引車両100を自律的に駆動し、インテリジェントな判断を下すために、この知覚が用いられる。センサは、以下に限定されるものではないが、1つまたは複数のイメージングデバイス(カメラなど)410、ならびに以下のようなセンサ420を含むことができ、すなわちそれらのセンサ420とは、以下に限定されるものではないが、レーダ、ソナー、LIDAR(光検出および測距、これは遠隔ターゲットの距離および/または他の情報を見つけるために散乱光の特性を測定する光学リモートセンシングを必然的に伴う可能性がある)、LADAR(レーザ検出および測距)などである。これに加え、1つまたは複数のカメラ410および1つまたは複数のセンサ420を用いて、牽引車両100が前進方向Fまたは後退方向Rで移動しているときに、ユーザインタフェース140を介した可聴警報および/または視覚警報を用いて、存在し得る障害物について運転者に警報を発することができる。したがってセンサシステム400は、半自律的または自律的な条件のもとで動作する牽引車両100における安全性を高めるために、特に有用である。
【0027】
一部の具現化形態によれば牽引車両100は、牽引車両100のための後方駆動経路の視界を提供するために取り付けられた後方カメラ410、410aを含む。これに加え一部の実施例によれば牽引車両100は、牽引車両100のための前方駆動経路の視界を提供するための前方カメラ410、410b、牽引車両100の右側に配置された右側カメラ410、410c、および牽引車両100の左側に配置された左側カメラ410、410dを含む。左右のカメラ410、410c、410dによって、牽引車両100の付加的な側方視界がもたらされる。このケースでは牽引車両100は、前方および後方の駆動経路に沿って検出される物体および障害物に加えて、牽引車両100の両側に位置する物体および障害物を検出することができる。1つまたは複数のカメラ410、410a~dを、一眼カメラ、双眼カメラ、または牽引車両100の後方移動経路の視界をもたらすことのできる他のタイプのセンシングデバイスとすることができる。
【0028】
一部の具現化形態によれば牽引車両100は、牽引車両100の自律的駆動を改善するために、1つまたは複数のニューラルネットワーク(NN)500たとえばディープニューラルネットワーク(DNN)を含む。DNN500は、他の学問分野もある中で特に、コンピュータサイエンスにおいて用いられる計算アプローチであり、神経単位の大規模な集合に基づくものであり、生物の脳がアキシオンにより接続された生物のニューロンの大きなクラスタによって問題を解く手法を大まかに模倣している。DNN500は、プログラミングというよりは自己学習を行ってトレーニングされ、特徴検出のソリューションを旧来のコンピュータプログラムで表現するのが難しい領域において優れている。換言すればDNN500は、パターンを認識するように設計されたアルゴリズムの集合である。DNN500は、機械知覚、未処理入力のラベリングまたはクラスタリングを通して、(たとえばセンサシステム400からの)センサシステムデータ402を解釈する。認識されたパターンは数値ベクトルであり、イメージ、テキスト、サウンド、または時系列などすべての現実世界のデータがそれらの数値ベクトルに変換される。DNN500は、DNNの非一時的メモリ504と通信を行う非線形処理ユニット502の多層を含む。DNNの非一時的メモリ504は、非線形処理ユニット502において実行されるとDNN500に出力506、508を供給させる命令を記憶している。非線形処理ユニット502各々は、トレーニングにより学習されたパラメータを用いて、入力または信号(たとえばセンサシステムデータ402)を変換するように構成されている。入力(たとえばセンサシステムデータ402)から出力506、508への一連の変換は、非線形処理ユニット502の多層において発生する。したがってDNN500は、選択されたトレーラ200のロケーションに基づき、牽引車両100とトレーラ200との間の後退経路552のイメージ412またはセンサデータ422をベースに、選択されたトレーラ200、200a~cに対応づけられたトレーラヒッチ210のポジションを特定することができ、したがってDGPSまたはGPSを用いる必要がなくなる。
【0029】
DNN500は、(イメージ412および/またはセンサデータ422を含む)センサシステムデータ402を受け取り、受け取ったデータ402に基づき、イメージ出力506をユーザインタフェース140へ供給し、かつ/またはデータ出力508を車両コントローラ300へ供給する。一部の実施例によればDNN500は、DNN500と通信を行うカメラ410から牽引車両100の後方ビューの1つまたは複数のイメージ412を受け取る。DNN500はイメージ412を解析し、受け取ったイメージ412において1つまたは複数のトレーラ200を識別する。DNN500は、DNN500と通信を行うセンサ420からセンサデータ422を受け取り、受け取ったセンサデータ422を解析することもできる。解析されたイメージ412(または解析されたイメージ412およびセンサデータ422)に基づき、DNN500は、たとえば座標系を用いて、識別されたトレーラ200各々の、牽引車両100に対し相対的なロケーションを識別する。かくしてDNN500は、受け取ったイメージ412をユーザインタフェース140に表示し、このイメージ412は、牽引車両100の後方に距離を隔てて配置されている識別されたトレーラ200、200a~cの表現146、146a~cを表す。
図1に示されているように、第1、第2および第3のトレーラ200a、200b、200cが、牽引車両100の後方に配置されている。したがってユーザインタフェース140は、それぞれ第1、第2および第3のトレーラ200a、200b、200cに対応づけられた第1、第2および第3のトレーラ表現146a、146b、146cを表示する。
【0030】
運転者は、トレーラ表現146、146a~cのうちの1つを選択することができ、これによって、運転者が牽引車両100を自律的に駆動して、選択されたトレーラ表現146すなわち運転者選択144に対応づけられたトレーラ200、200a~cに接続したい、ということが指示される。一部の実施例によれば、ユーザインタフェースはタッチスクリーンディスプレイ142であり、したがって運転者はその指を指して、トレーラ表現146を選択することができる。別の実施例によれば、ユーザインタフェース140はタッチスクリーンではなく、運転者は、以下に限定されるものではないが、回転ノブまたはマウスなどの入力デバイスを使用して、トレーラ表現146、146a~cのうちの1つを選択することができる。
【0031】
いずれのトレーラ200、200a~cに牽引車両100を接続したいのかを運転者が選択すると、経路プラニングシステム550は、牽引車両100のポジション(たとえば向きおよび距離)に対し相対的な、(受け取ったセンサシステムデータ402からDNN500により特定された)選択されたトレーラ200、200a~cのロケーションに基づき、牽引車両100とトレーラ200との間の経路552(
図3Aおよび
図3B)をプラニングする。牽引車両100は、選択されたトレーラ200(
図1に示されているように第1のトレーラ200a)に向かって、自律的に後退していく。プラン経路552によって牽引車両100は、自律的に駆動してトレーラ200との接続を行うことができる。経路プラニングシステム550は、牽引車両100を以下のように自律的に誘導操作するための経路552をプラニングする。すなわちこれによれば牽引車両100は、トレーラ200から予め定められた距離D内にある中間ポジションにおいて、トレーラ200と概して平行に整列された向きでトレーラ200に後部を向けており、このとき牽引車両100のヒッチ160はトレーラ200のヒッチ210と実質的に整列されている。
【0032】
一部の実施例によれば経路プラニングシステム550は、
図2Aに示されているように、車両コントローラ300の一部であるのに対し、別の実施例によれば経路プラニングシステム550は、
図2Bに示されているように、DNN500の一部である。
図2Aを参照すると、運転者が牽引車両100をそこに向かって自律的に駆動して接続したいトレーラ200a(たとえば第1のトレーラ200a)に対応づけられたトレーラ表現146aを、運転者が選択すると、DNN500aは、選択されたトレーラ200aおよび牽引車両100に対する選択されたトレーラ200aのロケーションを含むデータ出力508を、コントローラ300に送信する。このケースでは、経路プラニングシステム550aが、牽引車両100と選択されたトレーラ200aとの間の経路552をプラニングする。経路プラニングシステム550aは、複数の方法を用いて経路552を特定することができる。
図3Aおよび
図3Bには、経路プラニングのための方法が規定されている。一部の実施例によれば経路プラニングシステム550aは、その前後軸線Yを後退方向Rに延在させているのに対し、トレーラ200aは、トレーラ200の長さを辿るその前後軸線を前進方向に延在させている。経路プラニングシステム550aにより、第1の円554の接線が、トレーラ前後軸線と対向する牽引車両前後軸線Yに対する第1の接点555のところに引かれ、第2の円556の接線が、牽引車両前後軸線Yと対向するトレーラ前後軸線に対する第2の接点557のところに引かれる。第1および第2の円554、556は、交差点558のところで交差している。第1および第2の円554、556のサイズを、牽引車両100とトレーラ200との間の距離、牽引車両100とトレーラ200との間に位置する障害物および物体、ならびに他の任意の考察に基づき、調節し操作することができる。経路プラニングシステム550aは、以下のようにして経路552を特定する。すなわち、第1の接点555に至るまで牽引車両前後軸線Yを追従し、次いで交差点558に至るまで第1の円554の円弧に沿って動き、さらに第2の接点557に至るまで第2の円556の円弧に沿って動き、その後、トレーラ前後軸線を追従することによって特定する。したがってプラン経路552は、トレーラ200と概して平行に整列された向きでトレーラ200aに後部を向けるように、牽引車両100をポジショニングし、このとき牽引車両100のヒッチ160はトレーラ200のヒッチ210と実質的に整列されている。換言すれば、このとき牽引車両100の前後軸線Yは、トレーラ200aの前後軸線Tと実質的に整列されている。
図3Aには、牽引車両100の前後軸線Yがトレーラ200aの前後軸線Tと実質的に平行である、経路552の一例が示されている。他方、
図3Bには、牽引車両100の前後軸線Yがトレーラ200aの前後軸線Tと実質的に平行ではない、経路552の一例が示されている。ただし、
図3Bのプラン経路552は、
図3Aのプラン経路552と同じようにして特定される。
【0033】
引き続き
図2A、
図3Aおよび
図3Bを参照すると、一部の実施例によれば、牽引車両100がプラン経路552に沿って自律的に駆動しているときに、DNN500は、受け取ったセンサシステムデータ402すなわちイメージ412に基づき、牽引車両100がプラン経路552に沿って動いているときの、牽引車両100に対する選択されたトレーラ200aのロケーションを、車両コントローラ300に継続的に送信する。イメージ412は、牽引車両100が選択されたトレーラ200aに近づくとアップデートされるので、牽引車両100が選択されたトレーラ200aに近づいて動くと、牽引車両100に対する選択されたトレーラ200aのロケーションも変化する。一部の実施例によればDNN500は、プラン経路552沿いの1つまたは複数の物体を識別し、1つまたは複数の物体のポジションに関するデータを経路プラニングシステム550aに送信する。このケースでは、経路プラニングシステム550aは、1つまたは複数の物体を避けるために、プラン経路552を再計算することができる。一部の実施例によれば、経路プラニングシステム550aは衝突の確率を特定し、衝突の確率が予め定められた閾値を超えているならば、経路プラニングシステム550aはプラン経路552を調節し、調節されたプラン経路552を経路追従サブシステム320に送信する。
【0034】
図2Bを参照すると、一部の具現化形態によれば、DNN500は経路プラニングシステム550bを含む。したがって経路プラニングシステム550bは、学習した動作に基づき経路552を特定することができる。たとえばDNN500は、選択されたトレーラ200aのポジションを特定し、このポジションに基づき、牽引車両100のための経路552を特定する。一部の実施例によれば特定された経路552を、
図3Aおよび
図3Bに関して述べた経路と同様のものとすることができる。ただし、他の経路特定方法も可能である。同様に、DNN500は、すなわちDNN500の経路プラニングシステム550bは、牽引車両100が経路552を辿って動いているときに、プラン経路552に沿って識別される可能性のある1つまたは複数の物体(可動または定置)に基づき、プラン経路552を調節する。一部の実施例によれば、経路プラニングシステム550bは衝突の確率を特定し、衝突の確率が予め定められた閾値を超えているならば、経路プラニングシステム550bは経路を調節し、調節された経路552を経路追従サブシステム320に送信する。
【0035】
再び
図2Aおよび
図2Bを参照すると、経路プラニングシステム550が経路552をプラニングすると、経路追従サブシステム320は、駆動システム110がプラン経路552を自律的に追従するようになる動作を実行するように構成されている。したがって経路追従サブシステム320は、1つまたは複数の動作322~330を含み、この動作が実行されると、プラン経路552に沿って牽引車両100を自律的に駆動させることができる。動作322~330は、以下に限定されるものではないが、制動動作322、速度動作324、操舵動作326、ヒッチ接続動作328、およびサスペンション調節動作330を含むことができる。
【0036】
プラン経路552に基づき、牽引車両100を停止させるか、または牽引車両100を減速させるために、制動動作322を実行することができる。制動動作322は、牽引車両100を停止させるか、または牽引車両100の速度を低減するために、信号またはコマンド301を駆動システム110たとえば制動システム120に送信する。
【0037】
プラン経路552に基づき、加速または減速を行って牽引車両100の速度を変化させるために、速度動作324を実行することができる。速度動作324は、減速のためには制動システム120に、加速のためには加速システム130に、信号またはコマンド301を送信する。
【0038】
プラン経路に基づき、牽引車両100の方向を変化させるために、操舵動作326を実行することができる。したがって操舵動作326は、駆動システム110が方向を変化させる操舵角を表す信号またはコマンド301を、加速システム130に送信する。
【0039】
図4A~
図4Cには、選択されたトレーラ200aに対して、初期ポジションP
I(
図4A)、中間ポジションP
M(
図4B)、および最終ポジションP
F(
図4C)または接続ポジションのところにある牽引車両100が示されている。
図4Aを参照すると、牽引車両100は、選択されたトレーラ200aに向かって自律的な誘導操作を開始する前に、トレーラ200に対し相対的な初期ポジションP
Iにある。一部の実施例によれば、牽引車両100と選択されたトレーラ200aとの間の初期距離D
Iは約15メートルである。牽引車両100は、
図4Bに示されているように、選択されたトレーラ200aから中間距離D
Mのところにある中間ポジションP
Mに牽引車両100が到達するまで、プラン経路552に沿って自律的に誘導操作されて移動する。中間ポジションP
Mにおいて、牽引車両ヒッチ160は、選択されたトレーラ200aと概して平行に整列された向きにあり、牽引車両ヒッチ160は、トレーラ200aのトレーラヒッチ210と実質的に整列されている。換言すれば、車両前後軸線Yは、車両垂直軸線Zに沿って延在する平面を規定し、この平面自体は、トレーラ垂直軸線に沿って延在するトレーラ前後軸線Tと整列されている。一部の実施例によれば中間距離D
Mは、選択されたトレーラ200aから約1メートルである。
【0040】
図5A~
図5Dを参照すると、一部の実施例によれば、牽引車両100が中間ポジションP
Mにあるとき、車両ヒッチ160をトレーラヒッチ210と接続するために、ヒッチ接続動作328が実行される。DNN500は、牽引車両ヒッチボール162の頂部とトレーラヒッチカプラ212の底部との間の相対的高さH
Rを特定する。牽引車両100と選択されたトレーラ200aとを接続するために、トレーラヒッチカプラ212は、牽引車両ヒッチボール162を取り外し可能に受け入れる。よって、牽引車両ヒッチボール162をトレーラヒッチカプラ212に接続するためには、相対的高さH
Rがゼロと等しいかまたはゼロよりも小さくなければならず、これによって牽引車両ヒッチボール162をトレーラヒッチカプラ212の下に動かして、そこに挿入できるようになる。このためヒッチ接続動作328が、牽引車両ヒッチボール162とトレーラヒッチカプラ212との間のゼロよりも大きい相対的高さH
RをDNN500から受け取ったならば、ヒッチ接続動作328はサスペンション調節動作330にコマンドを送信し、この動作を実行させてサスペンションシステム132にコマンド301を発し、DNN500からの測定値に基づき牽引車両100の高さを調節して、相対的高さH
Rを低減させる。ヒッチ接続動作328が、ゼロと等しいかまたはゼロよりも小さい相対的高さH
Rを受け取ったならば、ヒッチ接続動作328は駆動システム110にコマンド301を発し、経路552の残りの部分に沿って誘導操作し、つまり中間ポジションP
Mから最終ポジションP
F(
図4C)に向かって誘導操作し、これによって牽引車両100を選択されたトレーラ200aに接続する。トレーラ200が最終ポジションP
Fに到達したならば、サスペンション調節動作330はサスペンションシステム132にコマンド301を発して、牽引車両100の高さを調節し、その結果、
図5Dに示されているように、トレーラヒッチカプラ212が牽引車両ヒッチボール162を受け入れる。
【0041】
図6には、(
図1~
図5Dに示されているように)牽引車両100を選択されたトレーラ200、200aに向けて自律的に誘導操作する方法600に関する動作の例示的な構成が示されている。ブロック602で方法600は、運転者が牽引車両100をトレーラ200、200a~cに自律的にヒッチングさせたい、という指示を受け取ることを含む。この指示を、牽引車両100のユーザインタフェース140における選択によるもの、牽引車両を(逆転なしで)後退させること、または他の任意の指示とすることができる。ブロック604でDNN500は、牽引車両100後方の1つまたは複数のトレーラ200、200a~cを検出して位置特定し、1つまたは複数の識別されたトレーラ200、200a~cにそれぞれ対応づけられたトレーラ表現146、146a~cを、ユーザインタフェース140に表示する。判定ブロック606でこの方法600は、1つまたは複数のトレーラ表現146、146a~cの中からの運転者選択144を待ち受ける。運転者が、選択されたトレーラ200aに対応づけられたトレーラ表現146、146a~cを選択したならば、ブロック608で方法600は、選択されたトレーラ200aに関して、牽引車両100の初期ポジションP
Iから最終ポジションP
Fまで経路552をプラニングすることを含む。一部の実施例によれば、経路プラニングシステム550、550a、550bが経路552をプラニングする。経路プラニングシステム550、550a、550bを、コントローラ300の一部とすることができ(
図2A)、またはDNN500の一部とすることができる(
図2B)。ブロック610で方法600は、経路追従サブシステム320を実行することを含む。判定ブロック612で方法600は、牽引車両100が選択されたトレーラ200aから予め定められた距離内にあるか否かを特定し、つまり方法600は、牽引車両100が中間ポジションP
Mに到達したのか否かを特定する。牽引車両100が中間ポジションP
Mに到達したならば、方法600は判定ブロック614で、牽引車両100のヒッチボール162の頂部と選択されたトレーラ200aのヒッチカプラ212の底部との間の相対的高さH
Rを特定することを含み、この相対的高さH
Rに基づき、ヒッチカプラ212がヒッチボール162を取り外し可能に受け入れることができるか否かを特定する。換言すれば方法600は、相対的高さH
Rがゼロと等しいか否かを特定することを含む。相対的高さH
Rがゼロと等しくないならば、ブロック616で方法600は、牽引車両100のサスペンションを調節することを含み、次いでブロック614で相対的高さH
Rを特定し、相対的高さH
Rがゼロと等しいかまたはゼロよりも小さいか否かをチェックする。相対的高さH
Rがゼロと等しいかまたはゼロよりも小さいならば、次いで方法600はブロック618で、経路552を辿って中間ポジションP
Mから、牽引車両100のヒッチボール162を選択されたトレーラ200aのヒッチカプラ212と接続する最終ポジションP
Fまで、継続的に誘導操作することを含む。牽引車両100が最終ポジションP
Fに到達したならば、方法600は牽引車両100の高さを調節することを含み、その結果、
図5Dに示されているように、トレーラヒッチカプラ212は牽引車両ヒッチボール162を受け入れる。
【0042】
図7は、
図1~
図5Dの説明に従いトレーラ200、200a~cに取り付けるために、牽引車両100を後退方向で誘導操作する方法700に関する動作の例示的な構成の概略図である。ブロック702で方法700は、コンピューティングデバイス(たとえばコントローラ300およびコントローラ300と通信を行うディープニューラルネットワーク500)において、車両100の後部に配置された1つまたは複数のカメラ410、410a~dから、1つまたは複数のイメージ412を受け取ることを含む。1つまたは複数のイメージ412は、車両100の後方ビューを捕捉している。したがって1つまたは複数のイメージ412は、車両100後方に配置された1つまたは複数のトレーラ200、200a~cを含むことができる。ブロック704で方法700は、コンピューティングデバイスによって、1つまたは複数のイメージ412内で1つまたは複数のトレーラ200、200a~cを識別することを含む。ブロック706で方法700は、コンピューティングデバイスにおいて、1つまたは複数のトレーラ200、200a~cの中から選択された1つのトレーラ200、200a~cの指示を受け取ることを含む。一部の実施例によればコンピューティングデバイスは、選択されたトレーラ200、200a~cの運転者選択144を受け取るように構成されたユーザインタフェース140(たとえばディスプレイ)と通信を行う。一部の実施例によれば、ユーザインタフェース140は車両100内に配置されているけれども、ユーザインタフェース140を、以下に限定されるものではないが、車両の中または外に配置されたハンドヘルドテーブル、スマートフォン、またはコンピュータとしてもよい。ブロック708で方法700は、コンピューティングデバイス(たとえば経路プラニングシステム550、550a、550b)において、初期ポジションP
Iから最終ポジションP
Fまで車両経路552を特定することを含む。車両経路552は、車両100を後退方向Rで車両経路552に沿って初期ポジションP
Iから最終ポジションP
Fまで動かすように構成された誘導操作を含む。ブロック710で方法700は、車両経路552を自律的に追従して誘導操作を実行するアクションを車両100に起こさせる1つまたは複数の動作322~330を、コンピューティングデバイスによって実行することを含む。
【0043】
一部の具現化形態によれば、1つまたは複数の動作322~330は、制動動作322、速度動作324、操舵動作326、ヒッチ接続動作328、およびサスペンション調節動作330を含む。
【0044】
一部の実施例によれば方法700は、コンピューティングデバイスにおいて、このコンピューティングデバイスと通信を行うセンサシステム400から、1つまたは複数のセンサシステムデータ402を受け取ることを含む。センサシステムデータ402は、1つまたは複数のカメラ410、410a~dからのイメージ412、および/または1つまたは複数のセンサ420からのセンサデータを含むことができる。方法700は、コンピューティングデバイスによって、車両経路552に沿ったまたは車両経路552に隣接する1つまたは複数の物体を、センサシステムデータ402から検出することを含むことができる。方法700は、コンピューティングデバイス(たとえば経路プラニングシステム550、550a、550b)によって、センサシステムデータ402から検出された1つまたは複数の物体に基づき、車両経路552を調節することを含む。車両経路552は、初期ポジションPI、中間ポジションPM、および最終ポジションPFを含むことができる。中間ポジションPMは最終ポジションPFまで、中間ポジションと初期ポジションPIとの間の距離よりも短い距離DMを有する。換言すれば、初期ポジションPIと最終ポジションPFとの間の距離DIは、中間ポジションPMと最終ポジションPFとの間の距離DMよりも長い。一部の実施例によれば中間ポジションPMにおいて、牽引車両100は、トレーラ200、200a~cと概して平行に整列された向きで、トレーラ200、200a~cに後部を向けている。
【0045】
一部の具現化形態によれば方法700は、最終ポジションPFにおいてコンピューティングデバイスにより調節高さを特定することを含む。調節高さとは、トレーラ200、200a~cのヒッチカプラ212が牽引車両100のヒッチボール162を受け入れるために車両100を高めなければならない高さのことである。方法700は、コンピューティングデバイスから車両100のサスペンションシステム132に、調節高さに基づき車両サスペンションを調節するコマンド301を送信することも含む。
【0046】
図8は、
図1~
図5Dの説明に従いトレーラ200、200a~cに取り付けるために、牽引車両100を後退方向で誘導操作する方法800に関する動作の別の例示的な構成の概略図である。ブロック802で方法800は、車両100のニューラルネットワーク500において、1つまたは複数のイメージ412内で1つまたは複数のトレーラ200、200a~cを検出することを含む。1つまたは複数のニューラルネットワーク500は、車両100後方のビューのイメージ412を捕捉するために車両100の後部に配置された1つまたは複数のカメラ410から、イメージ412を受け取る。ブロック804で方法800は、ニューラルネットワーク500と通信を行うユーザインタフェース140において、1つまたは複数の検出されたトレーラ200、200a~cの中から選択された1つのトレーラ200、200a~cの指示(たとえば運転者選択144)を受け取ることを含む。ブロック806で方法800は、ニューラルネットワーク500と通信を行うコンピューティングデバイス(たとえば経路プラニングシステム550aを有するコントローラ300)において、初期ポジションP
Iからトレーラ200、200a~cと隣り合った最終ポジションP
Fまで車両経路552を特定することも含む。択一的に別の実施例によればこの方法は、ニューラルネットワーク500(たとえば経路プラニングシステム550b)において、初期ポジションP
Iからトレーラ200、200a~cと隣り合った最終ポジションP
Fまで車両経路552を特定することを含む。さらに別の実施例によれば、コントローラ300とディープニューラルネットワーク500の双方が、車両経路552をプラニングする。車両経路552は、車両100を車両経路552に沿って初期ポジションP
Iから最終ポジションP
Fまで動かすことができる誘導操作を含む。ブロック808で方法800は、コンピューティングデバイスと通信を行う駆動システム110において、初期ポジションP
Iから車両経路552を自律的に追従することを含む。駆動システム110は、制動システム120、加速システム130、およびサスペンションシステム132を含む。ブロック810で方法800は、駆動システム110(たとえば制動システム120)において、最終ポジションP
Fに到達する前に中間ポジションP
Mにおいて車両100を停止または保持することを含み、ただし中間ポジションP
Mは初期ポジションP
Iよりも最終ポジションP
Fに近い。ブロック812で方法800は、車両ヒッチ160をトレーラヒッチ210と整列させるために、駆動システム110(たとえばサスペンションシステム132)において、車両100に対応づけられた1つまたは複数の車両サスペンションを変更することを含む。ブロック814で方法800は、駆動システム110において、中間ポジションP
Mから最終ポジションP
Fまで車両経路552を自律的に追従することを含む。ブロック816で方法800は、駆動システム110において、車両ヒッチ160をトレーラヒッチ210と接続することを含む。
【0047】
一部の具現化形態によれば誘導操作には、以下に限定されるものではないが、特定の角度で左または右に操舵すること、まっすぐに操舵すること、制動および加速を含めることができる。一部の実施例によれば方法800はさらに、車両100が車両経路552に沿って後方に動いているときに、ニューラルネットワーク500によって、車両経路552内にある1つまたは複数の物体を継続的に検出することを含む。ニューラルネットワーク500が物体を検出したならば、方法800は、コントローラ300(たとえば経路プラニングシステム550a)またはニューラルネットワーク500(たとえば経路プラニングシステム550b)において、車両経路552を変更することを含む。一部の実施例によれば、車両ヒッチ160をトレーラヒッチ210と接続することは、車両100に対応づけられた1つまたは複数の車両サスペンションを変更することを含み、これによってトレーラヒッチ210(たとえばトレーラカプラ212)が車両ヒッチ160(たとえば牽引車両ヒッチボール162)を受け入れることができるようになる。1つまたは複数のトレーラ200、200a~cを検出することは、ニューラルネットワーク500と通信を行う1つまたは複数のイメージングデバイス410、410a~dにおいて、1つまたは複数のイメージ412を捕捉することを含むことができ、この場合、1つまたは複数のイメージングデバイス410、410a~dのうちの少なくとも1つは、後退方向Rを向いたトレーラ200、200a~cの後ろ側に配置されている。方法800は、少なくとも1つのイメージ412内で1つまたは複数のトレーラ200、200a~cを、ニューラルネットワーク500によって特定することを含むこともできる。
【0048】
本明細書で説明するシステムおよび技術の様々な具現化形態を、ディジタル電子回路、集積回路、特別設計のASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはこれらの組み合わせとして実現することができる。様々な具現化形態には、プログラミング可能なシステム上で実行可能および/または解釈可能な1つまたは複数のコンピュータプログラムとしての具現化を含むことができる。この場合、プログラミング可能なシステムは、少なくとも1つのプログラミング可能なプロセッサを含み、このプロセッサを特定の目的または汎用の目的のものとすることができ、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイスおよび少なくとも1つの出力デバイスからデータおよび命令を受信するように、かつそれらにデータおよび命令を送信するように、接続することができる。
【0049】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーションまたはコードとしても知られている)は、プログラミング可能なプロセッサのための機械命令を含み、高水準の手続き型プログラミング言語および/またはオブジェクト指向プログラミング言語、および/またはアセンブリ言語/機械語として具現化することができる。本明細書で用いられる用語「機械可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」とは、プログラミング可能なプロセッサへ、機械命令および/またはデータを供給するために用いられる任意のコンピュータプログラム製品、装置および/またはデバイス(たとえば磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD))のことを指し、これには機械命令を機械可読信号として受け取る機械可読媒体が含まれる。用語「機械可読信号」とは、プログラミング可能なプロセッサへ機械命令および/またはデータを供給するために用いられる任意の信号のことを指す。
【0050】
本明細書において述べられている保護対象および機能的動作の具現化を、ディジタル電子回路として、あるいはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、または本明細書で開示されている構造およびそれらの構造的等価物を含むハードウェアとして、あるいはこれらのうちの1つまたは複数の組み合わせとして、具現化することができる。さらに、本明細書において述べられている保護対象を、1つまたは複数のコンピュータプログラム製品として具現化することができ、つまりデータ処理装置によって実行するために、またはデータ処理装置の動作を制御するために、コンピュータ可読媒体にコーディングされているコンピュータプログラム命令のうちの1つまたは複数のモジュールとして、具現化することができる。コンピュータ可読媒体を、機械可読記憶デバイス、機械可読ストレージ基板、メモリデバイス、機械可読伝播信号に作用する組成物、またはこれらのうちの1つまたは複数の組み合わせとすることができる。用語「データ処理装置」、「コンピューティングデバイス」および「コンピューティングプロセッサ」は、データを処理するためのあらゆる装置、デバイスおよび機械を包含し、例を挙げるとすればこれらには、プログラミング可能なプロセッサ、コンピュータ、またはマルチプロセッサまたはマルチコンピュータが含まれる。装置はハードウェアに加え、対象となるコンピュータプログラムのための実行環境を生成するコードを含むことができ、たとえばプロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはこれらのうちの1つまたは複数の組み合わせを構成するコードを含むことができる。伝播信号は人工的に生成される信号であって、たとえば機械により生成される電気的、光学的または電磁的な信号であり、この信号は適切な受信装置に送信する目的で情報をコーディングするために生成される。
【0051】
同様に、図面には特定の順序で動作が描かれているけれども、このことを、図示された特定の順序または逐次的な順序でかかる動作を実施しなければならないと捉えるべきではなく、あるいは所望の結果を達成するためには図示されたすべての動作を実施しなければならないと捉えるべきではない。所定の環境では、マルチタスキングおよび並列処理が有利となる可能性がある。しかも、上述の具現化態様における様々なシステム構成要素の分離を、すべての具現化態様においてかかる分離を行わなければならないと捉えるべきではなく、既述のプログラム構成要素およびシステムを通例、単一のソフトウェア製品にまとめて統合することができる、または複数のソフトウェア製品にパッケージングすることができる、と捉えるべきである。
【0052】
これまで多数の具現化形態について説明してきたが、自明のとおり本開示の着想および範囲を逸脱することなく、様々な変形を行うことができる。よって、その他の具現化形態は以下の特許請求の範囲内に含まれる。