IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デピュイ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許-誘導骨刀 図1
  • 特許-誘導骨刀 図2
  • 特許-誘導骨刀 図3
  • 特許-誘導骨刀 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】誘導骨刀
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
A61B17/16
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019553337
(86)(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 US2018024283
(87)【国際公開番号】W WO2018183168
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-02-17
(31)【優先権主張番号】15/472,534
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】1710785.5
(32)【優先日】2017-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516312682
【氏名又は名称】デピュイ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DEPUY IRELAND UNLIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Loughbeg Industrial Estate, Ringaskiddy, County Cork, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アガンロアイ・マーカス
(72)【発明者】
【氏名】バークベック・アレック
(72)【発明者】
【氏名】ダットン・グレイム
(72)【発明者】
【氏名】ホーン・デビッド
(72)【発明者】
【氏名】マーク・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】メイソン・ジョン・ボハノン
(72)【発明者】
【氏名】パトネッリ・リチャード
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0160733(US,A1)
【文献】米国特許第05041118(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0218537(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102008020199(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0288676(US,A1)
【文献】米国特許第05318570(US,A)
【文献】国際公開第2016/071516(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0249384(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
股関節置換術中に人工股関節の大腿骨構成要素のステムを装着するために、患者の大腿骨の近位端を準備するための骨刀であって、
側方面および内側面を有する本体であって、
ハンドルに接続可能な近位端と、
切断縁部を有する遠位端であって、前記遠位端は、前記骨刀の前記本体内に近位に延在する開口部を含み、前記開口部は、前記切断縁部で縁取られている、遠位端と、を有する、本体と、
前記本体の前記遠位端から遠位方向に延在する湾曲した誘導部材であって、前記湾曲した誘導部材は、近位端と、遠位先端と、側方面と、内側面と、を有し、前記湾曲した誘導部材は、切断要素をさらに備える、湾曲した誘導部材と、を備え
前記湾曲した誘導部材の前記近位端は、前記湾曲した誘導部材の前記側方面が、前記本体の前記側方面と前記内側面との間に位置するように、前記本体の前記遠位端から延在している、骨刀。
【請求項2】
前記湾曲した誘導部材が、手方向長さを有するシャフト備え、
前記湾曲した誘導部材の前記側方面及び前記内側面の各々が、前記湾曲した誘導部材の前記近位端と前記遠位先端との間に延在する長手方向曲線部を有する、請求項1に記載の骨刀。
【請求項3】
前記開口部が矩形である、請求項1に記載の骨刀。
【請求項4】
複数の前記切断要素が、前記湾曲した誘導部材の前記側方面及び前記内側面のうちの少なくとも1つの長さに沿って配置されている、請求項2に記載の骨刀。
【請求項5】
前記切断縁部が、前記切断縁部から遠位に延在する少なくとも1つの歯を含む、請求項1に記載の骨刀。
【請求項6】
前記遠位先端が、一連の長手方向に配置された溝を含む、請求項2に記載の骨刀。
【請求項7】
前記骨刀が、ボックス式骨刀である、請求項1に記載の骨刀。
【請求項8】
請求項2に記載の骨刀と、内側面及び側方面を有するブローチと、を備える、キットであって、前記骨刀の前記湾曲した誘導部材の少なくとも前記内側面の前記長手方向曲線部が、前記ブローチの前記内側面の曲線部と一致する、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、股関節形成術中に股関節プロテーゼの大腿骨構成要素を移植する前に患者の大腿骨を準備するために使用される器具及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
股関節全置換術において、患者の天然の股関節は、寛骨臼ソケットを置換する寛骨臼カップ構成要素と、大腿骨頭部を置換する大腿骨構成要素と、によって、置換される。
【0003】
股関節プロテーゼの大腿骨構成要素は、頸部を介して細長いステムに接続された略球状の頭部を含む。患者の大腿骨は、ステムを受容するように準備される。大腿骨の近位端を切除して、髄管を露出させる。これは、より大きい大腿骨転子の少なくとも一部の切除、及び移植ステムの形状と一致する空洞の生成を伴う。
【0004】
外科医は、骨刀、やすり、管プローブ、及びその管を開始させるためのスタータブローチなどのいくつかの異なる器具を使用してもよい。器具間の変更は、時間を要する。加えて、手術に必要な器具の数は、処置のコストを間接的に増加させる。
【0005】
したがって、既存の器具の機能を組み合わせた多機能器具が必要とされている。
【0006】
ステムの適切な最終配向を確実にするのに役立つために、移植準備中の側方バイアスが好ましい場合がある。中殿筋の収縮、及び転子窩における側方皮質骨の除去は、外科医がステムの最適な近位嵌合を得るのに役立つ。これにより、ステムの減寸及び/又はステムの内反配置のリスクも低減する。
【0007】
外科医は、現在、従来の骨刀を使用する場合、いくつかの課題に直面している。例えば、外科医は、従来、大腿骨管につながる所望の骨を切断するように骨刀を位置決めしようとして、転子窩などの外部解剖学的標識点に対して骨刀を位置決めしていた。全ての骨は異なる形状をなすため、外科医は、所望の骨除去につながる開始位置を正確に予測しない場合がある。これは、骨刀と骨表面との間の不十分な把持によって更に悪化され得、嵌入ストライクによって引き起こされる初期配置後の骨刀の滑りをもたらす。
【0008】
外科医はまた、従来、骨刀が骨を切除する角度を方向付けようとして、大腿骨脚軸などの外部解剖学的標識点に対して骨刀を角度付けていた。外部解剖学的標識点を視覚化し、かつ嵌入しながら骨刀を所望の角度に保持することは困難であることが多いので、外科医は、所望の骨除去角度を達成しない場合がある。
【0009】
側方骨の必要量は、第1の切断によって完全に除去されなくてもよい。これは、外科医が控えめかつ反復的な骨切断アプローチを採用する場合に特に当てはまる。したがって、骨刀を用いた更なる切断、又は他の器具(例えば、やすり、回転開始材、又はブローチ)を用いた骨の除去が必要とされ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、位置決めのための外部視覚的標識点に依存しない、改善された骨刀が必要とされている。また、大腿骨の近位表面上に改善された把持部を有する骨刀も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様は、添付の独立請求項及び従属請求項に記載される。従属請求項からの特徴の組み合わせは、独立請求項の特徴と適宜組み合わせることができ、かつ請求項に明示的に記載されるものだけに限定されない。
【0012】
本発明は、骨刀の内側側部から遠位に延在する湾曲した誘導部材を含む、骨刀を提供する。この湾曲した誘導部材は、大腿骨管の内側湾曲と整合する。誘導部材は、外部解剖学的標識点に頼る代わりに、大腿骨管の内部骨形状を使用して骨刀を誘導する。
【0013】
初期位置決めの間、誘導部材は、大腿骨管の位置の触覚フィードバックを提供する。嵌入中、誘導部材は、骨刀を大腿骨管の湾曲と位置決めし、整列させるのに役立つ。
【0014】
本発明の一態様によれば、股関節置換術中に人工股関節の大腿骨構成要素のステムを装着するために、患者の大腿骨の近位端を準備するための骨刀であって、
本体であって、
ハンドルに接続可能な近位端と、
切断縁部を有する遠位端と、を有する、本体と、
本体の遠位端から遠位方向に延在する湾曲した誘導部材と、を備える、骨刀が提供される。
【0015】
いくつかの構成では、湾曲した誘導部材は、骨刀の内側側部から遠位に延在している。
【0016】
いくつかの構成において、湾曲した誘導部材は、
長手方向長さを有するシャフトであって、
近位端と、
遠位先端と、
側方面と、
内側面と、を有する、シャフトを備え、
側方面及び内側面の各々が、誘導部材の近位端と遠位先端との間に延在する長手方向曲線部を有する。遠位先端は、実質的に真っ直ぐであってもよい。大腿骨管及び/又は大腿骨ステム移植構成要素を準備するために使用される多数のブローチの遠位形状を模倣する遠位先端が提供されてもよい。
【0017】
有利なことに、湾曲した誘導部材は、骨を除去するための輪郭付けされた外部表面を有する。これは、ブローチ機能を有する骨刀を提供する。輪郭付けされた外部輪郭は、複数の切断要素を含んでもよい。切断要素は、湾曲した誘導部材の側方面及び内側面のうちの少なくとも1つの長さに沿って配置されてもよい。切断要素は、切断歯の形態であってもよい。
【0018】
骨刀の切断縁部は、そこから遠位に延在する少なくとも1つの(a least one)歯を含んでもよい。例えば、「サメ」の歯だ。骨刀の嵌入時に、少なくとも1つの歯が、大腿骨の近位表面に食い込む。これは、骨表面上の骨刀の回転位置を維持するのに役立ち、滑りを防止する。結果として、大腿骨の近位表面上への骨刀の初期配置が、嵌入ストライクの間であっても維持される。
【0019】
いくつかの構成では、湾曲した誘導部材の遠位先端が、その外面に沿って配置された複数の長手方向溝を含む。これらの溝は、湾曲した誘導部材が髄内管に挿入されるときに、骨を除去するように適合される。いくつかの構成では、溝には、海綿骨に穴を生成するために、ユーザが装置を容易に回転させることを可能にする、鈍い縁部が設けられている。
【0020】
いくつかの構成では、骨刀の本体の側方側部には、複数の切断歯が設けられている。これは、やすり機能を有する骨刀を提供する。複数の側方切断歯は、より大きな転子などの、梨状窩の側方に位置する任意の骨を除去することができるように適合される。有利なことに、このやすり作用は、大腿骨管に対して側方化される能力を有する骨刀を提供する。これにより、骨刀の湾曲した誘導部材の内側面が、大腿骨の内側湾曲に追従するように、大腿骨内に位置する。
【0021】
外科医は、深さインジケータを備えた骨刀が有用であることを見出し得る。深さインジケータは、空洞の必要な深さを生成するために、骨刀の湾曲した誘導部材が大腿骨管に前進されるべき深さを外科医に示すことができる。この深さインジケータは、骨刀の本体の壁に設けられたしるしの形態を採ることができる。このしるしは、線であってもよい。この線は、骨刀の本体の2つの領域の整合面によって形成されてもよい。その整合面は、異なる色又はテクスチャ加工された表面を各々有する2つの領域の間に形成された視覚的整合面であってもよい。
【0022】
本発明の骨刀は、ボックス式骨刀であってもよい。股関節形成術中、ボックス式骨刀は、患者の大腿骨管を開くために、大腿骨の外からボックス形状に切断する。
【0023】
ボックス式骨刀には、一般に、少なくとも1つの窓が設けられており、その窓を通して外科医は、使用中に切除した骨を除去することができる。この窓はまた、装置の洗浄も可能にする。理想的には、少なくとも1つの窓が、ボックス式骨刀の本体の壁に設けられており、これにより、外科医は、切断歯のうちのいずれにも直面せずに装置を保持することができ、また、洗浄の容易性も促進する。
【0024】
骨刀は、当該技術分野において既知の従来の製造プロセスを使用して製造することによって達成することができる。骨刀は、三次元印刷によって形成されてもよい。骨刀は、金属射出成形(MIM)などの成形技術によって形成されてもよい。
【0025】
本発明のなお更なる態様によれば、本明細書に記載されるような骨刀と、内側面及び側方面を有するブローチと、を備える、キットであって、骨刀の少なくとも内側面の曲線部が、ブローチの内側面の曲線部と一致する、キットが提供される。これにより、骨刀の湾曲した誘導部材の内側面は、ブローチの内側面のことと同様に、大腿骨管の内側湾曲と整合することが確実になる。
【0026】
有利なことに、湾曲した誘導部材の外部輪郭は、最小ブローチの外部輪郭と一致する。これにより、スタータブローチの機能を有する湾曲した誘導部材が提供される。これにより、更なるブローチングのための骨空洞が準備される。湾曲した誘導部材の外部輪郭が最小ブローチの外部輪郭と一致するという事実はまた、骨刀の1つのサイズが、全てのステムサイズに使用されるのに安全であることを確実にする。
【0027】
本発明の更なる態様によれば、本明細書に記載されるような骨刀と、内側面及び外側面を有する大腿骨ステム構成要素と、を備える、キットであって、骨刀の少なくとも内側面の曲線部が、大腿骨ステム構成要素の内側面の曲線部と一致する、キットが提供される。これにより、骨刀の湾曲した誘導部材の内側面は、大腿骨ステム構成要素の内側面のことと同様に、大腿骨管の内側湾曲と整合することが確実になる。
【0028】
本発明の更なる態様によれば、人工股関節の大腿骨構成要素を装着するための大腿骨の近位端を準備する方法であって、
(a)骨刀を使用する工程であって、骨刀が、
本体であって、
ハンドルに接続可能な近位端と、
切断縁部を有する遠位端と、を有する、本体と、
遠位端から遠位方向に延在する湾曲した誘導部材と、を備える、使用する工程と、
(b)大腿骨の近位端に骨刀を位置決めする工程と、
(c)湾曲した誘導部材の遠位端を大腿骨の管に挿入する工程と、
(d)大腿骨の近位端を骨刀で整形することと、を含む、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
誘導骨刀の構成を、あくまで実例として、添付図面を参照しながら以下に説明する。図中、同様の参照符合は同様の要素に関する。
図1】骨刀の第1の構成の内側/側方図の概略図である。
図2】骨刀の第2の構成の内側/側方図の概略図である。
図3】骨刀の第3の構成及びスタータブローチの重ね合わせ画像である。
図4】骨刀の第3の構成及び大腿骨ステム構成要素の重ね合わせ画像である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
誘導骨刀の構成を、添付の図面を参照しながら以下に説明する。
【0031】
ここで図1を参照すると、患者の大腿骨の近位端を準備する際に使用するためのボックス式骨刀10が示されている。骨刀は、本体12と、湾曲した誘導部材14と、を含む。
【0032】
シャフト12は、近位端16と、遠位端18と、を有する。近位端16は、ブローチハンドルなどのハンドルへの骨刀の解放可能な接続を容易にするように適合された接続要素20を含む。図示のように、接続要素20は、ハンドル上の雄型接続要素と接続するように適合された雌型接続要素である。他の構成では、接続要素は、ハンドル上の雌型接続要素と接続するように適合された雄型接続要素である。
【0033】
遠位端18は、骨刀の本体内に近位に延在する略矩形の開口部22を含む。開口部の外周は、切断縁部24で縁取られている。サメの歯の形態で本明細書に示される複数の切断要素26は、開口部22の側方縁部28から遠位に延在している。サメの歯は、大腿骨の近位表面内に骨刀を固定するのに役立ち、嵌入中の滑りを防止する。複数の切断要素28がまた、本体の側方面30上に設けられている。切断要素28は、やすり機能を有する骨刀を提供する。これにより、より大きな転子の領域などの、側方に位置する骨の除去を容易にする。
【0034】
本体はまた、窓32も含み、切除された骨は、その窓を通して除去される。窓はまた、骨刀の洗浄にも役立つ。窓は、開口部22に接続されている。示される構成の窓32は、本体12の前面34上に設けられている。しかしながら、窓は、本体の他の外面上に設けられてもよい。好ましくは、窓は、外科医が切断要素のいずれかから装置を離すのに対処することを可能にする位置で本体上に設けられている。例えば、図2に示されるように、ボックス式骨刀の第2の構成では、窓132は、本体の内側側部136に設けられている。これにより、外科医は、前面及び後面(図示せず)のあたりで装置を把持することが可能になる。
【0035】
本体12にはまた、深さインジケータが設けられてもよい。深さインジケータは、スタータブローチ又は大腿骨ステム構成要素の長手方向長さと概ね一致する深さを有する空洞を生成するために、湾曲した誘導部材14が大腿骨管に前進されるべき深さを外科医に示すために使用することができる。第1の構成(図1)では、深さインジケータは、本体の側方面30と内側面36との間に少なくとも部分的に延在する隆起縁部38の形態を採る。第2の構成(図2)では、深さインジケータは、第1の色(例えば、銀)を有する本体12の第1の領域142と、第2の色(例えば、黒)を有する本体12の第2の領域144との間の整合面140によって形成される。整合面140は、本体112の側方面130と内側面136との間に少なくとも部分的に延在する。第3の構成(図3及び4)では、深さインジケータは、例えば、レーザマーキングによって、装置の本体に適用される線246の形態を採る。その線は、本体212の側方面230と内側面236との間に少なくとも部分的に延在する。
【0036】
再び図1を参照すると、湾曲した誘導部材14は、開口部22の内側縁部40から延在する。湾曲した誘導部材は、近位端44と、遠位先端46と、側方面48と、内側面50と、を有する、長手方向シャフト42を含む。側方面48及び内側面50は、湾曲した誘導部材の近位端44と遠位先端46との間に延在する長手方向曲線部を有する。有利なことに、内側面50の湾曲は、大腿骨の準備の際に使用されるスタータブローチ300の内側面の湾曲と、また、大腿骨内に移植される大腿骨ステム構成要素400の湾曲とも概ね一致するように設計されている。これは、図3(スタータブローチとの重ね合わせ画像)及び図4(大腿骨ステム構成要素との重ね合わせ画像)において、骨刀の第3の構成を参照して示される。
【0037】
示される構成では、切断要素52が、湾曲した誘導部材の側方面48及び内側面50の両方に沿って配置されている。他の構成では、切断要素が、側方面48又は内側面50のうちの1つのみに配置されてもよい。切断要素52は、ブローチ機能を有する骨刀を提供する。
【0038】
湾曲した誘導部材14の遠位先端46は、複数の長手方向に延在する溝54を含む。これらの溝54は、湾曲した誘導部材が髄内管に挿入されるときに骨を除去するように適合されている。溝54は、鈍い縁部を有してもよい。これにより、ユーザは、海綿骨に穴を生成するために、骨刀を容易に回転させることができる。湾曲した誘導部材の遠位先端は、髄内管及び/又は大腿骨ステム構成要素を準備するために使用されるブローチの遠位先端の形状に概ね一致するように設計されてもよい。
【0039】
使用中、外科医又は他の操作者は、ハンドル(図示せず)に接続可能な近位端16と、切断縁部24を有する遠位端18と、を有する、本体12を含む、骨刀10を使用するであろう。骨刀10はまた、遠位端18から遠位方向に延在する湾曲した誘導部材14も含むであろう。次いで、ユーザは、骨刀10を大腿骨の近位端に位置決めし、湾曲した誘導部材の遠位端を大腿骨の管に挿入するであろう。骨刀を使用して、操作者は、大腿骨の近位端を骨刀で整形するであろう。
【0040】
本発明の特定の構成を説明したが、特許請求される発明の範囲内で多くの変更/追加及び/又は置換を行ってもよいことが認識される。
【0041】
〔実施の態様〕
(1) 股関節置換術中に人工股関節の大腿骨構成要素のステムを装着するために、患者の大腿骨の近位端を準備するための骨刀であって、
本体であって、
ハンドルに接続可能な近位端と、
切断縁部を有する遠位端と、を有する、本体と、
前記本体の前記遠位端から遠位方向に延在する湾曲した誘導部材と、を備える、骨刀。
(2) 前記本体の前記遠位端が、内側側部を有しており、そこから前記湾曲した誘導部材が延在している、実施態様1に記載の骨刀。
(3) 前記湾曲した誘導部材が、
長手方向長さを有するシャフトであって、
近位端と、
遠位先端と、
側方面と、
内側面と、を有する、前記シャフトを備え、
前記側方面及び前記内側面の各々が、前記誘導部材の前記近位端と前記遠位先端との間に延在する長手方向曲線部を有する、実施態様1に記載の骨刀。
(4) 前記湾曲した誘導部材が、切断要素を更に含む、実施態様1に記載の骨刀。
(5) 前記切断要素が、前記側方面及び前記内側面のうちの少なくとも1つの長さに沿って配置されている、実施態様4に記載の骨刀。
【0042】
(6) 前記切断縁部が、前記切断縁部から遠位に延在する少なくとも1つの歯を含む、実施態様1に記載の骨刀。
(7) 前記遠位先端が、一連の長手方向に配置された溝を含む、実施態様3に記載の骨刀。
(8) 前記骨刀が、ボックス式骨刀である、実施態様1に記載の骨刀。
(9) 実施態様1に記載の骨刀と、内側面及び側方面を有するブローチと、を備える、キットであって、前記骨刀の前記湾曲した誘導部材の少なくとも前記内側面の前記曲線部が、前記ブローチの前記内側面の曲線部と一致する、キット。
(10) 実施態様1に記載の骨刀と、内側面及び側方面を有する大腿骨ステム構成要素と、を備える、キットであって、前記骨刀の前記湾曲した誘導部材の少なくとも前記内側面の前記曲線部が、前記大腿骨ステム構成要素の前記内側面の曲線部と一致する、キット。
【0043】
(11) 人工股関節の大腿骨構成要素を装着するための大腿骨の近位端を準備する方法であって、
(a)骨刀を使用する工程であって、前記骨刀が、
本体であって、
ハンドルに接続可能な近位端と、
切断縁部を有する遠位端と、を有する、本体と、
前記遠位端から遠位方向に延在する湾曲した誘導部材と、を備える、使用する工程と、
(b)前記大腿骨の近位端に前記骨刀を位置決めする工程と、
(c)前記湾曲した誘導部材の遠位端を前記大腿骨の管に挿入する工程と、
(d)前記大腿骨の前記近位端を前記骨刀で整形する工程と、を含む、方法。
図1
図2
図3
図4