(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】可動質量の振動を減衰するための振動減衰構造体結合物を作製するための方法
(51)【国際特許分類】
F01D 5/16 20060101AFI20221129BHJP
F16F 15/305 20060101ALI20221129BHJP
F16F 15/31 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
F01D5/16
F16F15/305 A
F16F15/31 F
(21)【出願番号】P 2019564435
(86)(22)【出願日】2018-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2018063041
(87)【国際公開番号】W WO2018215323
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2020-02-14
(31)【優先権主張番号】102017208631.9
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522103340
【氏名又は名称】シーメンス・エナジー・グローバル・ゲーエムベーハー・ウント・コ・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ロビン・ブランク
(72)【発明者】
【氏名】レナ・ファラーボド-シュターナール
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・キーナー
(72)【発明者】
【氏名】サーシャ・マルティン・キエク
(72)【発明者】
【氏名】イヴ・キュースタース
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン・プルシュケ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルゲ・ライマン
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-528440(JP,A)
【文献】特開昭63-62931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/16
F16F 15/305
F16F 15/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動質量(10)に関する振動を減衰するための振動減衰構造体結合物(18)を作製するための方法であって、前記振動減衰構造体結合物(18)は、第1の構造体(2)およびさらなる構造体(3)を有し、前記さらなる構造体(3)は、前記第1の構造体(2)の第1の構造体表面(5)により画定された制限面(20)内において可動であり、前記制限面が、全ての空間軸x、y、zの方向および全ての空間軸の方向的組合せにおいて前記さらなる構造体の移動を制限するように構成されており、前記方法は、
a)前記第1の構造体表面(5)を備え
た前記第1の構造体(2)を用意するステップと、
b
)コーティング(4)で前記第1の構造体(2)の前記第1の構造体表面(5)をコーティングするステップであって、前記コーティング(4)
のコーティング表面(6)は、少なくとも1つの空洞部
(8)を形成するように塗布される、ステップと、
c)フィラー(9)で前記空洞部
(8)を充填するステップと、
d)前記コーティング表面(6)上に担持されるさらなる構造体表面(7)を有する前記さらなる構造体(3)が形成されるまで前記フィラー(9)を硬化するステップと、
e)前記さらなる構造体(3)が前記第1の構造体表面(5)により画定された前記制限面内において前記第1の構造体(2)に対して可動となるように前記コーティング(4)を除去するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
格子構造体が、前記第1の構造体(2)として少なくとも部分的に設けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記さらなる構造体(3)は、形状変更および/または構造修正を伴うことなく前記第1の構造体(2)から分離され得る、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記さらなる構造体(3)が前記第1の構造体(2)から取外し不可能になるように、前記第1の構造体(2)の少なくとも1つの領域が、前記さらなる構造体(3)により囲まれて形成され、および/または前記さらなる構造体(3)の少なくとも1つの領域が、前記第1の構造体(2)により囲まれて形成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記空洞部は、前記コーティング表面(6)で部分的に形成される、および/または追加の成形パーツの表面で部分的に形成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
振動減衰構造体結合物(18)を作製するための中間製品(19)であって、前記振動減衰構造体結合物(18)が、格子状に形成された第1の構造体表面(5)を具備する第1の構造体(2)を備えており、前記第1の構造体表面(5)の格子の内側には、コーティング(4)が、前記コーティング(4)のコーティング表面(6)が少なくとも1つの空洞部(8)を形成するように配置されており、前記空洞部(8)には、硬化性フィラー(9)が、さらなる構造体(3)として配置されている、前記中間製品(19)において、
前記コーティング(4)は、前記さらなる構造体(3)が前記第1の構造体表面(5)により画定された制限面(20)内で可動となるように除去可能であり、前記制限面が、全ての空間軸x、y、zの方向および全ての空間軸の方向的組合せにおいて前記さらなる構造体の移動を制限するように構成されている、中間製品(19)。
【請求項7】
前記第1の構造体(2)は、少なくとも部分的に格子構造体である、請求項6に記載の中間製品(19)。
【請求項8】
前記さらなる構造体(3)は、形状変更および/または構造修正を伴うことなく前記第1の構造体(2)から分離可能である、請求項6または7に記載の中間製品(19)。
【請求項9】
前記コーティング(4)が除去されるや否や、前記第1の構造体(2)が前記さらなる構造体(3)から取外し不可能になるように、前記第1の構造体(2)は、前記さらなる構造体(3)の少なくとも1つの領域を囲むように構成される、および/または前記さらなる構造体(3)は、前記第1の構造体(2)の少なくとも1つの領域を囲むように構成される、請求項6または7に記載の中間製品(19)。
【請求項10】
前記硬化性フィラー(9)で充填された前記空洞部は、前記コーティング表面(6)で部分的に形成される、および/または追加の成形パーツの表面で部分的に形成される、請求項6から9のいずれか一項に記載の中間製品(19)。
【請求項11】
可動質量(10)の振動を減衰するための構造体結合物(18)であって、特定の第1の慣性、および制限面(20)として構成される第1の構造体表面(5)を有する第1の可動構造体(2)を有し、前記制限面が、全ての空間軸x、y、zの方向および全ての空間軸の方向的組合せにおい
てさらなる構造体の移動を制限するように構成されており、硬化性フィラー(9)
が配置された空洞部から形成され
るさらなる構造体(3)を有し、前記さらなる構造体(3)は、特定のさらなる慣性を有し、さらなる構造体表面(7)を備え、前記さらなる構造体(3)は、前記第1の構造体表面(5)により画定された前記制限面内において前記第1の可動構造体(2)に対して可動であり、それにより前記可動質量(10)の正および/または負の加速度によって開始され得る振動が、前記さらなる構造体(3)の前記さらなる慣性に起因する補償運動により、および/または前記第1の可動構造体(2)の前記制限面(20)に対する前記さらなる構造体(3)の前記さらなる構造体表面(7)の当接により減衰され得る、構造体結合物(18)。
【請求項12】
前記第1の可動構造体(2)は、少なくとも部分的に格子構造体である、請求項11に記載の構造体結合物(18)。
【請求項13】
前記さらなる構造体(3)は、形状変更および/または構造修正を伴うことなく前記第1の可動構造体(2)から分離可能である、請求項11または12に記載の構造体結合物(18)。
【請求項14】
前記第1の可動構造体(2)が前記さらなる構造体(3)から取外し不可能になるように、前記第1の可動構造体(2)は、前記さらなる構造体(3)の少なくとも1つの領域を囲むように構成される、および/または前記さらなる構造体(3)は、前記第1の可動構造体(2)の少なくとも1つの領域を囲むように構成される、請求項11又は12に記載の構造体結合物(18)。
【請求項15】
前記硬化性フィラー(9)で充填された前記空洞部は、コーティング表面(6)で部分的に形成される、および/または追加の成形パーツの表面で部分的に形成される、請求項11から14のいずれか一項に記載の構造体結合物(18)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動減衰構造体結合物を作製するための方法と、振動減衰構造体結合物を作製するための方法の中間製品と、可動質量の振動を減衰するための構造体結合物とに関する。
【背景技術】
【0002】
回転ターボ機械、すなわち例えば発電所用のタービンは、複数のロータブレードを有するロータと、複数の案内翼を有するステータとを備える。タービンの動作中に、ロータは、ロータ上に配置されたロータブレードが特定の回転速度でロータの回転軸を中心として動くように、特定の回転速度で回転軸を中心として動く。モータの回転速度は、動作中に変化する場合があり、そのためロータおよびロータブレードの正または負の回転加速度がこの回転速度の変化により発生し得る。ロータブレードの正または負の回転加速度は、ロータブレードの振動を引き起こし得る。また、ロータブレードの動作パラメータが、タービンの動作における変化により変化する場合があり、振動が、案内翼においても発生する場合がある。案内翼またはロータブレードの振動可能セクションは、可動質量として見なされ得る。ロータブレードのおよび/または案内翼のこれらの振動により、ロータブレードおよび/または案内翼のそれぞれにおいてクラック形成が引き起こされる場合があり、またはロータブレードおよび案内翼のそれぞれにおける既存クラックの形成過程が増幅される場合がある。これらのクラックは、タービンの動作中に、ロータブレードのパーツの、案内翼のパーツの、および/または、ロータのロータブレードの中の1つおよび/またはステータの案内翼の中の1つの脱落をもたらす場合があり、それによりロータ、他のロータブレード、ステータ、または他の案内翼が損傷を被る場合がある。
【0003】
ロータ、他のロータブレード、ステータ、または他の案内翼に対する損傷を防ぐために、ロータブレードおよび案内翼は、メンテナンスプロセスにおいて特定の動作時間後に交換される。ロータブレードまたは案内翼の交換終了後のこの所定の動作時間は、ロータブレードまたは案内翼のそれぞれに左右される。したがって、ロータブレードまたは案内翼の寿命は比較的短い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、可動質量の振動を減衰するための振動減衰構造体結合物を作製するための方法と、振動減衰構造体結合物を作製するための方法の中間製品と、可動質量の振動を減衰するための構造体結合物とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1、6、および11に記載の特徴により達成される。その好ましい実施形態は、さらなる請求項で示される。
【0006】
可動質量に関する振動を減衰するための振動減衰構造体結合物を作製するための本発明による方法であって、振動減衰構造体結合物が、第1の構造体およびさらなる構造体を有し、さらなる構造体が、第1の構造体の第1の構造体表面により画定された当接表面内において可動であり、方法は、以下のステップ、すなわち
a)第1の構造体表面を備え、コーティングのコーティング表面を少なくとも部分的に決定する第1の構造体を用意するステップと、
b)コーティングで第1の構造体の第1の構造体表面をコーティングするステップであって、コーティングのコーティング表面は、少なくとも1つの空洞部を形成するように塗布される、ステップと、
c)フィラーで空洞部を充填するステップと、
d)コーティング表面上に担持されるさらなる構造体表面を有するさらなる構造体が形成されるまでフィラーを硬化するステップと、
e)さらなる構造体が第1の構造体表面により画定された当接表面内において第1の構造体に対して可動となるようにコーティングを除去するステップと
を含む。
【0007】
当接表面は、結合表面であってもよく、さらなる構造体は、この結合表面内において第1の構造体に対して移動し得る。
【0008】
第1の構造体が、第1の構造体表面により画定された当接表面内において可動であることにより、例えば動かされた第1の構造体の正または負の加速度などによって開始される振動が、補償運動によりおよび/または第1の構造体の当接表面に対するさらなる構造体のさらなる構造体表面の当接により減衰され得る。第1の構造体の振動が、この補償運動または当接により減衰され得るため、振動に起因するクラック形成またはクラック拡大が相殺され得る。したがって、本発明は、異なるアプローチを選択する。メンテナンスプロセスでは問題の徴候のみが対処される一方で、問題の実際の原因、すなわちロータブレードおよび案内翼における振動の発生は対処されないままとなる。対照的に、本発明によれば、振動が減衰され、したがって案内翼またはロータブレードの寿命が延びる。
【0009】
例えば、回転軸を中心として動くタービンのロータブレードが、振動減衰構造体結合物から構成されることが考えられる。ロータブレードが振動減衰構造体結合物から構成されることにより、動作中に発生する振動が減衰されることが可能となり、それによりクラック形成またはクラック拡大が阻止および/または軽減される。クラック形成またはクラック拡大が阻止および/または軽減されることにより、タービンのロータブレードの寿命は延びる。タービンの案内翼またはタービンの振動の影響を被りやすい別の構成要素を振動減衰構造体結合物から構成することが、同様に考えられる。
【0010】
回転に加えて、振動に関与する運動は、例えば線形運動、傾斜運動、曲線に沿った運動、加速運動、または任意の他の形態の運動でもあり得る。
【0011】
方法ステップb)で説明されるような第1の構造体表面のコーティングは、例えば電気メッキ、または例えばCVDなどの化学気相蒸着により実施され得る。他のコーティング方法が同様に利用されてもよい。第1の構造体表面は、フィラーで空洞部を充填する最中に、フィラーが第1の構造体との間に意図しない接触を確立することができないようにコーティングされる。しかし、第1の構造体は、構造体結合物の有利な輸送、有利なハンドリング、または有利な組立を可能にするために、硬化されたフィラーすなわちさらなる構造体と接触状態にあることが有利となり得る。輸送、ハンドリング、または組立の後に、さらなる構造体が、第1の構造体表面により画定された当接表面内において第1の構造体に対して可動となるように、第1の構造体とさらなる構造体との間の連結が、例えば単一の適用または単一の加熱により解除され得る。
【0012】
方法ステップc)で説明されるフィラーは、例えば溶融金属またはスラリであってもよい。使用されるフィラーは、所望の要件の支援によりおよび/または使用される第1の構造体材料の支援により選択されるべきである。フィラーの硬化は、例えば硬化プロセスにおける長期間の能動的介入を伴うことなく、あるいは構造体結合物の能動的冷却および/または能動的加熱による硬化プロセスにおける能動的介入によって実施されてもよい。
【0013】
例えば、コーティングの除去は、エッチングプロセスによりまたは別の化学プロセスもしくは物理プロセスにより実施されてもよい。コーティングを除去するためのさらなる可能性は、コーティングの融点または蒸発点を上回るようにコーティングを有する構造体結合物を加熱ことであり、それによりコーティングは、固体形態を喪失し除去され得る。例えば、除去は、構造体結合物の動作中に実施されてもよく、それによりさらなる構造体は、輸送中、ハンドリング中、および組立中にさらに良好に保護される。しかし、動作中におけるコーティングの除去は、さらなる構造体が第1の構造体表面により画定された当接表面内において第1の構造体に対して可動となるように実施されなければならない。
【0014】
振動減衰構造体結合物を作製するための本発明による中間製品は、コーティングのコーティング表面上に少なくとも部分的に担持される第1の構造体表面を備える第1の構造体と、さらなる構造体表面を備え硬化性フィラーで充填された空洞部から形成されるさらなる構造体とを備え、さらなる構造体表面は、コーティングのコーティング表面上に少なくとも部分的に担持され、コーティングは、さらなる構造体が第1の構造体表面により画定された当接表面内で可動となるように除去可能である。この中間製品は、フィラーを硬化するステップd)まで実施された方法の製品である。中間製品は、コーティングを備え、それによりさらなる構造体は、コーティングのコーティング表面上に少なくとも部分的に担持される。さらなる構造体がコーティングのコーティング表面上に少なくとも部分的に担持されることにより、第1の構造体に対するさらなる構造体の相対移動が防止される。したがって、中間製品は有利に輸送、ハンドリング、組立がされ得る。後にコーティングが除去されると、さらなる構造体は、第1の構造体表面により画定された当接表面内において可動となり、それにより第1の構造体の振動が、さらなる構造体の補償運動によりおよび/または第1の構造体の当接表面に対するさらなる構造体の当接により減衰され得る。コーティングの除去は、例えば輸送、ハンドリング、または組立の後に実施され得る。例えば、コーティングは、エッチングまたは加熱により除去可能であることが考えられる。例えば、コーティング材料の融点および/またはコーティング材料の蒸発点を超過することにより、液体コーティングまたは気体コーティングが例えば小開口などを介して除去され得るように加熱を実施することが可能であり得る。また、この加熱は例えば、さらなる構造体が、動作中になるまで第1の構造体に対して可動とはならないように、動かされる質量の動作中に第1の動作局面で実施されてもよい。さらなる構造体が、動作中になるまで第1の構造体に対して可動とならないことにより、組立が特に有利に実施され得る。
【0015】
例えば、液体コーティングまたは気体コーティングは、構造体結合物の寿命中全体にわたり空洞部内に留まり、さらなる構造体と第1の構造体との間の減衰媒体として動作中に機能してもよい。動かされる質量の動作温度が、例えばコーティングの融点またはコーティングの蒸発点を上回る場合に、コーティングは、例えばメンテナンスプロセスを有利に実施するために動作外において固定形態であることが、およびコーティングは、動作中に第1の構造体とさらなる構造体との間の減衰媒体として機能するように動作中において液体形態または気体形態であることが考えられる。
【0016】
さらに例えば、さらなる構造体が第1の構造体表面に対して当接するまで第1の構造体に対するさらなる構造体の移動を減衰するために、別の減衰媒体、例えば油または無機液体などが、コーティングの除去後に第1の構造体とさらなる構造体との間に導入されてもよい。
【0017】
可動質量の振動を減衰するための本発明による構造体結合物は、特定の第1の慣性を有し、当接表面として構成される第1の構造体表面を有する第1の可動構造体を備え、硬化性フィラーで充填された空洞部から形成される接合的に可動なさらなる構造体を備え、このさらなる構造体は、特定のさらなる慣性を有し、さらなる構造体表面を備え、さらなる構造体は、第1の構造体表面により画定された当接表面内において第1の構造体に対して可動であり、それにより可動質量の正および/または負の加速度によって開始され得る振動が、さらなる構造体のさらなる慣性に起因する補償運動により、および/または第1の構造体の当接表面に対するさらなる構造体のさらなる構造体表面の当接により減衰され得る。振動が補償運動によりおよび/または当接表面に対するさらなる構造体の当接により減衰され得ることによって、クラック形成および/または既存クラックの拡大が相殺される。クラック形成が相殺されることにより、構造体結合物を備える構成要素の寿命が、少なくとも1つの領域において延び得る。
【0018】
補償運動は、中立位置から偏移位置へのさらなる構造体の、正または負の加速度を直接的に相殺する運動である。重力により、または回転運動中の遠心力により、補償運動は、通常は静止摩擦の克服のみによって可能となる。この静止摩擦は、接触体の摺動を妨げる力であり、この接触体の材料特性および表面条件により左右される。第1の構造体およびさらなる構造体の材料特性および表面条件は、所望の補償運動の規定の開始が可能となるように影響され得る。補償運動が開始されると、補償運動は、相互に対して移動する第1の構造体およびさらなる構造体の摩擦力の支援により影響され得る。
【0019】
補償運動に影響を与えるためのさらなる可能性は、さらなる構造体を中立位置へと復位させることに関与する復位力が、さらなる構造体の中立位置からの偏移に伴い上昇するように、第1の構造体の当接表面の形状を構成することである。中立位置からの偏移がより大きい程、さらなる構造体に対して作用する復位力がさらに大きくなる。これは、例えばさらなる構造体が上を移動する放物面状当接表面により可能とされてもよい。それにより、当接表面の形状が補償運動に影響を与える。当接表面の形状が補償運動に影響を与えることにより、当接表面の適切な形状が、構造体結合物の要件にしたがって選択され得る。同様に、波形当接表面またはジグザグ当接表面が予期され得る。
【0020】
例えば、補償運動は、ばねダンパーシステムが形成されるように、ばね要素および/または減衰要素を使用することにより影響されてもよい。ばね要素および/または減衰要素は、例えば中立位置からのさらなる構造体の偏移および中立位置への復位が影響され得るように、第1の構造体およびさらなる構造体の上に固定されてもよい。ばねダンパーシステムの挙動は、ばね定数の支援により、および減衰定数の支援により制御され得る。ばねダンパーシステムの挙動が影響を被り得ることにより、適切なばね定数を有する適切なばね要素および/または適切な減衰定数を有する適切な減衰要素が、構造体結合物の要件にしたがって選択され得る。
【0021】
補償運動に加えて、当接表面に対するさらなる構造体の当接もまた、振動を減衰し得る。さらなる構造体の担持により、補償運動の停止が行われる。補償運動の停止により、動かされる質量の慣性に起因して発生する力が、第1の構造体の振動をさらに減衰し得る。さらなる構造体の補償運動を停止する当接表面の位置は、補償運動が停止され、それにより動かされる質量の慣性に起因して発生する第1の構造体の望ましくない振動の力を相殺する時点を規定する。したがって、第1の構造体の振動が当接表面に対する当接により減衰され得る時点は、当接表面の位置により規定される。
【0022】
例えば、当接表面に対するさらなる構造体の当接に起因して発生する衝突が、弾性衝突または塑性衝突であってもよい。これは、第1の構造体およびさらなる構造体の材料特性により影響を被り得る。例えば、運動エネルギーが例えば熱または変形などの内部エネルギーへと変換されない衝突の弾性挙動が望ましい場合には、第1の構造体およびさらなる構造体の材料特性は、それに応じて選択されるべきである。塑性衝突が望ましい場合には、材料特性は同様にそれに応じて選択されるべきである。
【0023】
好ましくは、格子構造体が、第1の構造体として少なくとも部分的に用意される。格子構造体は、例えば相互に隣接して配置された複数のユニットセルから構成され得る。ユニットセルは、例えば立方体または直方体などの特定の幾何学的形状であり、その形状に応じた特定の個数のユニットセル境界面を有する。ユニットセルは、固体領域およびその内部の空領域を備える。固体領域は、フィラー材料で充填され、空領域は、フィラー材料が存在しない。固体領域および空領域は、ユニットセル同士が相互に対して平坦状に配置された場合に、連結された固体構造体および連結された空部構造体が形成されるように、ユニットセルにおいて配置される。ユニットセルの中の1つの固体構造体の典型的な形状は、例えば星形または十字形である。
【0024】
格子構造体は、例えば積層造形法により作製され得る。好ましい一方法は、選択的レーザ溶融法であり得る。積層造形法は、例えばアルミニウム合金AlSi10Mg、高温適用向け超合金MP1-CoCrMo、高性能鋼マルエージング鋼MS1、ステンレス鋼、またはプラスチックなどの種々の材料から格子構造体を作製することを可能にする。
【0025】
さらに、例えば、第1の構造体は、連続材料から構成された外方シェルを有する、および格子構造体から構成された内部構造を有する本体からなる。さらに、例えば、第1の構造体は、相互に分離された複数の格子構造体、および/または相互に連結された複数の異なる格子構造体を備えてもよい。
【0026】
また、構造体結合物は、2つ以上の空洞部がコーティング後に液体フィラーで充填されることとなるように構成されてもよい。2つ以上の空洞部が液体フィラーで充填されることとなるため、複数のさらなる構造体が形成され、これらはそれぞれコーティング除去後に第1の構造体に対して可動となる。
【0027】
第1の構造体の格子構造体のコーティングは、ユニットセルの空領域同士が、コーティング後も相互に対して依然として連結され、それによりフィラーで充填され得る連結された空洞部が形成されるように実施されなければならない。連結された空洞部は、格子構造体内部に配置され得るため、硬化されたフィラーから形成されるさらなる構造体が、第1の構造体から取外し不可能に配置される。コーティングが除去された後に、第1の構造体に対するさらなる構造体の相対移動および/または第1の構造体に対するさらなる構造体の当接が可能となる。
【0028】
好ましくは、さらなる構造体は、形状変更および/または構造修正を伴うことなく第1の構造体から分離され得る。これを目的として、第1の構造体の形状は、フィラーで充填され得る空洞部がコーティング表面および可能な追加の成形パーツにより形成され、それと同時に、フィラーの硬化後ならびに追加の成形パーツおよびコーティングの除去後に、第1の構造体に対するさらなる構造体の相対移動および第1の構造体の当接表面に対するさらなる構造体の当接が可能になり、第1の構造体の当接表面が、全ての方向および/または全ての方向組合せにおけるさらなる構造体の移動を制限せず、それらの方向の中の少なくとも1つおよび/またはそれらの方向組合せの中の少なくとも1つにおける自由な移動を可能にし、それによりさらなる構造体は、第1の構造体から分離可能となるように、選択されなければならない。さらなる構造体が第1の構造体から分離され得ることにより、例えばメンテナンスプロセスが簡単に実施され得る。
【0029】
好ましくは、さらなる構造体が第1の構造体から取外し不可能になるように、第1の構造体の少なくとも1つの領域が、さらなる構造体により囲まれて形成され、および/またはさらなる構造体の少なくとも1つの領域が、第1の構造体により囲まれて形成される。さらなる構造体の少なくとも1つの領域が第1の構造体により囲まれて形成される、および/または第1の構造体の少なくとも1つの領域がさらなる構造体により囲まれて形成されることにより、2つの構造体が、相互に対して分離不可能に連結され、第1の構造体表面により境界設定された当接表面内の全ての方向および/または全ての方向組合せにおいて相互に対して移動可能となる。しかし、自由移動、すなわちさらなる構造体からの第1の構造体の取外しは防止される。全ての方向および/または全ての方向組合せにおける自由移動が防止され、代わりに全ての方向および/または全ての方向組合せにおける移動が、当接表面内においてのみ可能となることにより、全ての方向および/または全ての方向組合せにおける正または負の加速度は、さらなる構造体の補償運動および/または当接表面に対する当接によって有利に減衰され得る。
【0030】
第1の構造体が、例えば格子構造体の中の1つを備える場合には、第1の構造体の内部に形成されるさらなる構造体は、さらなる格子構造体をやはり有する。相互に対して相互連結された2つの格子構造体からなる構造体結合物が形成される。これらの格子構造体は、相互から取外し不可能に配置されるが、当接表面内においては相互に対して移動可能である。
【0031】
好ましくは、空洞部は、コーティング表面で部分的に形成される、および/または追加の成形パーツの表面で部分的に形成される。空洞部が、コーティング表面で部分的に形成される、および/または追加の成形パーツの表面で部分的に形成されることにより、空洞部のさらにより自由な構成が可能となる。成形パーツにより、コーティング表面のみによって形成することのできない空洞部を形成することが可能となる。第1の構造体が、例えばコーティングにより閉じることが不可能である、液体フィラーを通し出現させ得る比較的大きな開口を有する場合には、これらの開口は、コーティング表面との組合せにおいて空洞部を画定する表面を有するフィラー本体によって閉じられてもよい。
【0032】
以下、概略図の助けをかりつつ、本発明による構造体結合物の、および振動減衰構造体結合物を作製するための本発明による方法の好ましい実施形態が示される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】本発明による構造体結合物の一例の実施形態を備える、
図1に示すタービンブレードの概略断面図である。
【
図3】構造体結合物を作製するための方法の一例の実施形態の開始点の概略図である。
【
図4】構造体結合物の作製のためのさらなる方法ステップの概略図である。
【
図5】
図4に示す方法ステップを再度示す図である。
【
図6】構造体結合物の作製のためのさらなる方法ステップの概略図である。
【
図7】
図6に示す方法ステップを再度示す図である。
【
図8】構造体結合物の作製のためのさらなる方法ステップの概略図である。
【
図9】
図8に示す方法ステップを異なる断面において再度示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
【0035】
図1および
図2は、回転ターボ機械のタービンブレード11を示す。
【0036】
回転ターボ機械は、複数のロータブレードを有するロータと複数の案内翼を有するステータとをそれぞれ有するタービンまたは圧縮機であり得る。
図1および
図2に示すタービンブレード11は、本例の実施形態ではロータブレードとして構成される。本例の実施形態とは対照的に、タービンブレード11は、案内翼として構成されてもよい。
【0037】
本例の実施形態では、タービンブレード11は、ブレード本体12、プラットフォーム13、および固定セクション14を備える。
【0038】
固定セクション14により、タービンブレード11はロータに対して連結され得る。固定セクション14は、プラットフォーム13により縁部形成され、プラットフォーム13は、ブレード本体12から固定セクション14を区分けする。ブレード本体12は、ブレード前縁部15、ブレード後縁部16、およびブレード空洞部17を備える。ブレード本体12は、プラットフォーム13から起始して、径方向外方または内方へとさらに遠くに位置する端部まで延在する。ブレード本体12は、タービンの流れに対して露出され、例えばタービンのタービン回転軸を中心として動く。この場合に、流体は、ブレード前縁部15からブレード本体12に沿ってブレード後縁部16まで流れる。異なる流速により、例えばブレード本体12の振動が引き起こされ得る。ブレード本体12の振動セクション10は、本例の実施形態では可動質量10に相当する。これらの振動は、クラック形成を引き起こし得る、または既存クラックの形成過程を増幅させ得る。クラックは、ブレード本体12、タービンブレード11、およびタービン全体に損傷を与え得る。さらに、ブレード本体12は、ブレード本体12の周囲を流れる流体が高温であることにより、動作中に高い熱負荷にさらされる。ブレード本体12のこの熱負荷を許容範囲に維持するために、ブレード本体12は、例えばブレード本体12を冷却するための冷却流体が流通し得るブレード空洞部17を備える。
図2では、冷却流体が流通し得る3つのブレード空洞部17が例として示される。
【0039】
本例の実施形態では、ブレード空洞部17は、本質的にブレード本体12を冷却するために使用される。
【0040】
動作中に発生するタービンブレード11の振動により、クラック形成が引き起こされ得る、または既存クラックの形成過程が増幅される。
【0041】
これを相殺するために、本例の実施形態では、振動を減衰するための構造体結合物18がブレード空洞部17内に設けられる。
【0042】
本例の実施形態では、構造体結合物18は、第1の構造体2およびさらなる構造体3を備え、さらなる構造体3は、第1の構造体2の第1の構造体表面5により画定された当接表面内において第1の構造体2に対して可動である。
【0043】
当接表面は、結合表面であってもよく、さらなる構造体3は、この結合表面内において第1の構造体2に対して移動し得る。この場合に、本発明によれば、「当接」または機械的接触は必ずしも生じる必要はない。一構成によれば、第1の構造体2とさらなる構造体3との間における直接的な当接または機械的接触は、厳密には生じない。
【0044】
本例の実施形態では、さらなる構造体3は、第1の構造体2と相互連結される。換言すれば、第1の構造体2およびさらなる構造体3は、本例の実施形態では相互に対して取外し不可能に連結される。しかし、さらなる構造体3が第1の構造体2から分離可能にすなわち取外し可能に構成されることが考えられる。
【0045】
タービンブレード11の動作中に発生する振動は、補償運動によりおよび/または第1の構造体2の当接表面上におけるさらなる構造体3の当接により減衰される。さらに、動作中に発生する熱負荷は、ブレード空洞部17中の冷却流体の流通により軽減され得る。
【0046】
第1の構造体2が、例えば格子構造体であり、ブレードの全高に沿ってブレード本体12に対して連結される場合に、ブレード本体表面により吸収される熱エネルギーは、格子構造体中に伝達され、そこで通過する冷却流体により吸収される。格子構造体は、熱伝達がなされ得る表面を増大させることにより、より多量の熱が運び去られることを可能にし、それによりブレード本体12の温度を低下させ得る。さらに、同時に、発生するタービンブレード11の振動が、さらなる構造体により減衰される。
【0047】
例えば、タービンブレード11全体が、積層造形法により作製されてもよく、ブレード空洞部17および/または追加的な接合製造される構造体(additional jointly manufactured structures)が、本発明の意味において第1の構造体2として使用される。
【0048】
例えば、ブレード空洞部17は、格子構造体で充填され、この格子構造体は、後にブレード空洞部17と共にコーティングされそれにより空洞部8を画定する。その後、空洞部8は、フィラー9で充填され得る。硬化されたフィラー9は、第1の構造体2と相互連結されたさらなる構造体3を形成する。その後、コーティング4の除去が、例えばエッチングプロセスなどにより実施されてもよく、それによりさらなる構造体3は第1の構造体2に対して可動となり、したがって振動が減衰され得る。
【0049】
【0050】
図3~
図9は、可動質量10の振動を減衰するための振動減衰構造体結合物18を作製するための方法ステップを示し、本例の実施形態では、この可動質量10は、タービンブレード11の一部である。
【0051】
完成した構造体結合物18は、ベースプレート1と、第1の構造体表面5を有する第1の構造体2と、さらなる構造体表面7を有するさらなる構造体3とを備える。以下でさらに詳細に説明されるように、本方法の過程において、コーティング表面6を有するコーティング4が、第1の構造体表面5上に一時的に担持される。コーティング表面6は、空洞部8を画定し、この空洞部8は、液体フィラー9で充填され得ることにより、さらなる構造体3が形成され得る。
【0052】
図3は、本方法の起点を示す。示される第1の構造体2は、例えば積層造形法によりベースプレート1上に作製されている。
【0053】
ベースプレート1および第1の構造体2は、相互に対して連結され、ベースプレート1は、構造体結合物18を一方向に境界設定する。第1の構造体2は、例えば格子網を備える。この例の格子構造体は、積層造形法による作製が比較的簡単かつ経済的なものである。
【0054】
第1の方法ステップでは、コーティング4が第1の構造体表面5上に塗布される。
【0055】
このコーティングは、例えばCVDなどの化学気相蒸着、または電気メッキなどにより実施され得る。コーティングは、第1の構造体2の第1の構造体表面5全体がコーティング4で湿潤化されるように実施される。第1の構造体表面の意図しない非コーティングセクションは、本方法のさらなる過程において問題をもたらし得る。
【0056】
図4は、コーティング4が第1の構造体表面5上に塗布されたコーティングプロセス後の第1の構造体2を示す。
【0057】
コーティング4は、第1の構造体表面5上に担持される。
【0058】
図5は、コーティング4でコーティングされた第1の構造体2を再度示し、コーティング4のコーティング表面6が、空洞部8を画定する。
【0059】
コーティング表面6に加えて、コーティングされた第1の構造体2上に配置される成形パーツの追加的な表面が、例えばさらに空洞部8を画定する。空洞部8は、フィラー9での空洞部8の充填が可能となるように構成される。
【0060】
次いで、さらなるステップにおいてフィラー9での空洞部8の充填が実施される。
【0061】
図6は、コーティング4を有する第1の構造体2と、フィラー9で充填された空洞部8とを示す。フィラー9は、空洞部8を完全に充填し、それによりさらなる構造体3を形成する。フィラー9の硬化は、例えばフィラー9が金属などである場合にはフィラー9を冷却することによって、または例えばフィラー9がスラリである場合にはフィラー9を燃焼することによってなど実施され得る。第1の構造体2およびさらなる構造体3に対して使用されるそれぞれの材料は、第1の構造体2およびさらなる構造体3の所望の特性に応じて選択されるべきである。例えばさらなる構造体3が非導電性であることが望ましい場合には、さらなる構造体3は、例えばセラミックからなるべきである。
【0062】
換言すれば、
図6は、振動減衰構造体結合物18を作製するための中間製品19を示す。この場合に、本例の実施形態における中間製品19は、第1の構造体表面5を有する第1の構造体2を備え、この第1の構造体表面5は、コーティング4のコーティング表面6上に少なくとも一部が担持される。さらなる構造体表面7は、コーティング4のコーティング表面6上に少なくとも一部が担持され、コーティング4は、さらなる構造体3が第1の構造体表面5により画定された当接表面内において可動となるように、除去可能である。
【0063】
図7は、第1の構造体2と、コーティング4と、さらなる構造体3を形成する硬化したフィラー9とを再度示す。
【0064】
コーティング4は、第1の構造体2に対するさらなる構造体3の相対移動と、第1の構造体表面5に対するさらなる構造体3の当接とを防止する。第1の構造体2に対するさらなる構造体3の相対移動と、第1の構造体表面5に対するさらなる構造体3の当接とにより、動かされる質量10の振動の減衰が可能となるが、これは、例えば構造体結合物の輸送または組立の妨げとなり得るため、その理由によりコーティング4は、輸送または組立の後までさらなるステップにおいて除去されない。コーティング4は、例えばエッチングプロセス、加熱、または別の化学プロセスもしくは物理プロセスにより除去され得る。
【0065】
図8は、コーティング4が取り除かれた構造体結合物18を示す。コーティング4が除去されているため、さらなる構造体3は、第1の構造体表面5により画定される当接表面20内において第1の構造体2に対して可動となる。本例の実施形態では、当接表面20は、全ての空間軸x、y、zの方向および全ての空間軸の方向的組合せにおいてさらなる構造体3の移動を制限するように構成される。これを目的として、本例の実施形態では、当接表面20は、全ての側において境界設定するように構成される。例えば、当接表面20は、本質的に球体表面の形状で構成される。この場合に、さらなる構造体3の寸法は、各延在方向において凹部の寸法よりも大きくてもよい。
【0066】
図9は、第1の構造体2およびさらなる構造体3を有する構造体結合物18を再び示し、第1の構造体2は、ベースプレート1に対して連結され、さらなる構造体3は、第1の構造体2と相互連結されるが第1の構造体表面5により画定された当接表面内で可動である。
【0067】
さらに、
図9の補助により、特に、構造体結合物18がユニットセル21に基づいた構造体構成を備えることが分かる。換言すれば、構造体結合物18は、その延在方向において周期的に反復する構造体を備える。
【0068】
複数のユニットセル21を有する構成により、表面拡張が当接表面20の領域内において実現され得るため、さらなる構造体3が動作中に第1の構造体2と接触状態になる場合に、力伝達のために特に大きな接触表面が提供される。
【0069】
ベースプレート1および第1の構造体2は、本例の実施形態では材料的に均一に構成される。換言すれば、ベースプレート1および第1の構造体2は、同一材料からまたはほぼ同一の材料特性を有する材料から作製される。これにより、それぞれの熱膨張係数が同一値またはほぼ同一値になるため、ベースプレート1と第1の構造体2との間の接続領域における加熱によって、熱誘発応力がまったく形成されないかまたはわずかにのみ形成されることが保証される。
【0070】
コーティング4の材料は、ベースプレート1、第1の構造体2、さらなる構造体3、もしくはフィラー9の材料の融点および/または蒸発点および/または昇華点および/または灰化温度のそれぞれ未満である、融点および/または蒸発点および/または昇華点を有する。
【0071】
第1の構造体2が、第1の構造体表面5により画定された当接表面内において可動であることにより、例えば動かされた第1の構造体2の正または負の加速度などによって開始される振動が、補償運動によりおよび/または第1の構造体の当接表面に対するさらなる構造体3のさらなる構造体表面7の当接により減衰され得る。これは、タービンブレード11の寿命を延ばす。
【0072】
好ましい例の実施形態により本発明を図示しさらに詳細に説明したが、本発明は、開示した例に限定されず、当業者によって本発明の保護範囲から逸脱することなくこれらの例から他の変形例が導出され得る。
【符号の説明】
【0073】
1 ベースプレート
2 第1の構造体
3 構造体
4 コーティング
5 第1の構造体表面
6 コーティング表面
7 構造体表面
8 空洞部
9 フィラー
10 振動セクション、可動質量
11 タービンブレード
12 ブレード本体
13 プラットフォーム
14 固定セクション
15 ブレード前縁部
16 ブレード後縁部
17 ブレード空洞部
18 構造体結合物
19 中間製品
20 当接表面
21 ユニットセル