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特許7184817システム状態に基づく外科用ステープル留め及び切断器具のモータ速度の閉ループフィードバック制御
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】システム状態に基づく外科用ステープル留め及び切断器具のモータ速度の閉ループフィードバック制御
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019570473
(86)(22)【出願日】2018-05-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 IB2018053582
(87)【国際公開番号】W WO2018234904
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】15/628,115
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】イェイツ・デビッド・シー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】アダムス・シェーン・アール
(72)【発明者】
【氏名】シングス・ブライアン・ディー
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03064153(EP,A2)
【文献】特開2016-198491(JP,A)
【文献】特表2019-508091(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106821441(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
A61B 17/068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
複数の予め画定されたゾーンにわたって前記外科用器具内で並進するように構成された変位部材と、
エネルギ源と、
前記変位部材に連結されて前記変位部材を並進させるモータと、
前記エネルギ源及び前記モータに連結された制御回路と、
前記制御回路に連結された位置センサであって、前記位置センサは、前記変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、を備え、
前記制御回路は、
前記エネルギ源に対する所定の電気負荷で前記変位部材の発射を開始することであって、前記所定の電気負荷は、前記モータに印加されて、前記変位部材を作動させる、開始することと、
前記位置センサを介して前記変位部材の前記位置を監視することと、
前記変位部材の移動の初期段階の第1の間隔中に前記エネルギ源の電圧を連続的にサンプリングすることと、
前記サンプリングされた電圧を閾値電圧と比較することと、
前記サンプリングされた電圧が前記閾値電圧以上であるときに、第1の速度での前記変位部材の発射を継続すること、
又は
前記サンプリングされた電圧が前記閾値電圧未満であるときに、前記第1の速度を調節することと、
を行うように構成されている、外科用器具。
【請求項2】
前記サンプリングされた電圧が前記閾値電圧未満であるときに、前記制御回路は、前記外科用器具が自動モードにあるか手動モードにあるかを判定するように更に構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記外科用器具が前記自動モードにあるときに、前記制御回路は、前記外科用器具の動作を前記手動モードに転換するように更に構成されている、請求項2に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記制御回路は、コマンド速度を第2の速度に低下させるように更に構成されており、前記第2の速度は、前記第1の速度よりも遅い、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記第2の速度は、ゼロを超え、かつ10ミリメートル/秒未満である、請求項4に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記第1の間隔は、2mm~3mmである、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記制御回路は、前記サンプリングされた電圧が前記閾値電圧未満であるときに、前記エネルギ源のステータスを通信するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記第1の間隔は、前記変位部材の移動開始位置から2mm~3mmである、請求項1に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用器具に関し、また様々な状況において、組織をステープル留め及び切断するために設計された、外科用ステープル留め及び切断器具並びにそれらのステープルカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ式外科用ステープル留め及び切断器具において、切断部材の速度を制御する、又はエンドエフェクタの関節運動速度を制御することが有用であり得る。変位部材の速度は、変位部材の所定の位置間隔で経過時間を測定する、又は所定の時間間隔で変位部材の位置を測定することによって判定され得る。制御は、開ループであってもよく、又は閉ループであってもよい。そのような測定は、組織の厚さなどの組織状態を評価し、組織状態を考慮するために発射ストローク中の切断部材の速度を調節するために有用であり得る。組織の厚さは、切断部材の予期される速度を、切断部材の実際の速度と比較することによって判定され得る。いくつかの状況では、それは、エンドエフェクタを一定の関節運動速度で関節運動させるために有用であり得る。他の状況では、それは、エンドエフェクタのスイープ範囲内の1つ以上の領域において、デフォルトの関節運動速度とは異なる関節運動速度でエンドエフェクタを駆動するために有用であり得る。
【0003】
モータ式外科用ステープル留め及び切断器具の使用中、電池が、外部から印加された負荷に起因して過熱し、モータを失速させる可能性がある。それゆえに、システムが、電池能力を評価し、このフィードバックに基づいて切断部材又は発射部材の発射速度を調節するときに、発射ストロークの一部分の間における電池の電圧を調べることが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本開示は、外科用器具を提供する。外科用器具は、複数の予め画定されたゾーンにわたって外科用器具内で並進するように構成された変位部材と、エネルギ源と、変位部材に連結されて変位部材を並進させるモータと、エネルギ源及びモータに連結された制御回路と、制御回路に連結された位置センサであって、位置センサは、変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、を備え、制御回路は、エネルギ源に対する所定の電気負荷で変位部材の発射を開始することであって、所定の電気負荷は、モータに印加されて、変位部材を作動させる、開始することと、位置センサを介して変位部材の位置を監視することと、変位部材の移動の第1の間隔中にエネルギ源の電圧を連続的にサンプリングすることと、サンプリングされた電圧を閾値電圧と比較することと、サンプリングされた電圧が閾値電圧以上であるときに、第1の速度での変位の発射を継続すること、又はサンプリングされた電圧が閾値電圧未満であるときに、第1の速度を調節することと、を行うように構成されている。
【0005】
別の態様では、外科用器具は、外科用器具内で並進するように構成された変位部材と、シャフトを含み、変位部材に連結されて変位部材を並進させるモータと、モータに連結された制御回路と、を備え、制御回路は、第1の速度に設定されたコマンド速度での変位部材の発射を開始することであって、コマンド速度は、モータに適用された速度である、開始することと、モータ失速状態を確認することと、モータが失速されていないときに、第1の速度での変位の発射を継続すること、又はコマンド速度を第2の速度に低下させることであって、第2の速度は、第1の速度よりも遅い、低下させることと、を行うように構成されている。
【0006】
別の態様では、外科用器具は、複数の予め画定されたゾーンにわたって外科用器具内で並進するように構成された変位部材と、エネルギ源と、変位部材に連結されて変位部材を並進させるモータとエネルギ源及びモータに連結された制御回路と、制御回路に連結された位置センサであって、位置センサは、変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、を備え、制御回路は、第1の速度に設定されたコマンド速度での変位部材の発射を開始することであって、コマンド速度は、モータに適用された速度である、開始することと、変位部材が比較のための目標位置に到達するまで、現在のゾーンの変位部材の位置を監視することと、変位部材が目標位置に到達したときに、コマンド速度の変化が、現在のゾーンの前に、前のゾーンで開始されたかどうかを判定することと、コマンド速度の変化が前のゾーンで開始されたときに、コマンド速度での変位部材の発射を継続することと、を行うように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書に記載される態様の新規特徴は、添付の「特許請求の範囲」に具体的に記載される。しかし、これらの態様は、構成及び動作の方法のいずれに関しても、以下の説明文を添付の図面と共に参照することによってより深い理解を得ることができる。
図1】本開示の一態様による、動作可能に連結された交換式シャフト組立体を有する、外科用器具の斜視図である。
図2】本開示の一態様による、図1の外科用器具の一部分の分解組立図である。
図3】本開示の一態様による、交換式シャフト組立体の一部分の分解組立図である。
図4】本開示の一態様による、図1の外科用器具のエンドエフェクタの分解図である。
図5A】本開示の一態様による、2つの図面に及ぶ、図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
図5B】本開示の一態様による、2つの図面に及ぶ、図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
図6】本開示の一態様による、ハンドル組立体と電源組立体との間、及びハンドル組立体と交換式シャフト組立体との間のインターフェースを例示する、図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
図7】本開示の一態様による、図1の外科用器具の態様を制御するように構成された制御回路を例示する。
図8】本開示の一態様による、図1の外科用器具の態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路を例示する。
図9】本開示の一態様による、図1の外科用器具の態様を制御するように構成された順序論理回路を例示する。
図10図1の外科用器具の絶対位置決めシステムの図であり、絶対位置決めシステムは、本開示の一態様による、センサ配列を備える制御モータ駆動回路構成を備える。
図11】一態様による、制御回路基板組立体及びセンサ配列の要素の相対的な位置合わせを示す、絶対位置決めシステム用のセンサ配列の分解斜視図である。
図12】本開示の一態様による、磁気回転絶対位置決めシステムを備える、位置センサの図である。
図13】本開示の一態様による、エンドエフェクタ内に把持された組織に対する発射部材ストロークを示す、図1の外科用器具のエンドエフェクタの断面図である。
図14】本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具のブロック図を例示する。
図15】本開示の一態様に従って実行される、2つの例示的な変位部材ストロークをプロットする図を例示する。
図16】本開示の一態様による、電池状態に基づいてモータ速度を制御するための制御プログラム又は論理構成を図示する、プロセスの論理フロー図である。
図17】本開示の一態様による、正常発射サイクル中の失速した状態に基づいてモータ速度を制御するための制御プログラム又は論理構成を図示する、プロセスの論理フロー図である。
図18】本開示の一態様による、手動モードにある間にモータ速度を制御するための制御プログラム又は論理構成を図示する、プロセスの論理フロー図である。
図19】本開示の一態様による、正常発射サイクル中の失速した状態に基づいてモータ速度を制御し、発射サイクルにおける強制一時停止を実装するための制御プログラム又は論理構成を図示する、プロセスの論理フロー図である。
図20】本開示の一態様による、正常発射中の失速した状態に基づいてモータ速度を制御し、発射サイクルが再開されると、速度を1レベル低下させるための制御プログラム又は論理構成を図示する、プロセスの論理フロー図である。
図21】本開示の一態様による、手動モードにおける正常発射サイクル中の失速した状態に基づいてモータ速度を制御し、発射サイクルが再開されると、速度を1レベル低下させるための制御プログラム又は論理構成を図示する、プロセスの論理フロー図である。
図22】本開示の一態様による、正常発射サイクル中の失速した状態に基づいてモータ速度を制御し、ユーザが発射トリガを解放するまで発射サイクルを一時停止するための制御プログラム又は論理構成を図示する、プロセスの論理フロー図である。
図23】本開示の一態様による、速度間における移行中にモータ速度を制御するための制御プログラム又は論理構成を図示する、プロセスの論理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本出願の出願人は、本出願と同時に出願された以下の特許出願を所有しており、これらの各々は、参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる。
【0009】
代理人整理番号END8191USNP/170054、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT BASED ON ANGLE OF ARTICULATION」。
【0010】
代理人整理番号END8192USNP/170055、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT WITH VARIABLE DURATION TRIGGER ARRANGEMENT」。
【0011】
代理人整理番号END8193USNP/170056、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「Systems and methods for controlling displacement member motion of a surgical stapling and cutting instrument」。
【0012】
代理人整理番号END8194USNP/170057、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT ACCORDING TO ARTICULATION ANGLE OF END EFFECTOR」。
【0013】
代理人整理番号END8195USNP/170058、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」。
【0014】
代理人整理番号END8196USNP/170059、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT HAVING CONTROLLABLE ARTICULATION VELOCITY」。
【0015】
代理人整理番号END8197USNP/170060、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING VELOCITY OF A DISPLACEMENT MEMBER OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」。
【0016】
代理人整理番号END8198USNP/170061、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING DISPLACEMENT MEMBER VELOCITY FOR A SURGICAL INSTRUMENT」。
【0017】
代理人整理番号END8222USNP/170125、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT BASED ON ANGLE OF ARTICULATION」。
【0018】
代理人整理番号END8199USNP/170062M、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」。
【0019】
代理人整理番号END8275USNP/170185M、2017年6月20日出願の発明者Raymond E.Parfettらによる、発明の名称「TECHNIQUES FOR CLOSED LOOP CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」。
【0020】
代理人整理番号END8268USNP/170186、2017年6月20日出願の発明者Raymond E.Parfettらによる、発明の名称「CLOSED LOOP FEEDBACK CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT BASED ON MAGNITUDE OF VELOCITY ERROR MEASUREMENTS」。
【0021】
代理人整理番号END8276USNP/170187、2017年6月20日出願の発明者Jason L.Harrisらによる、発明の名称「CLOSED LOOP FEEDBACK CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT BASED ON MEASURED TIME OVER A SPECIFIED DISPLACEMENT DISTANCE」。
【0022】
代理人整理番号END8266USNP/170188、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「CLOSED LOOP FEEDBACK CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT BASED ON MEASURED DISPLACEMENT DISTANCE TRAVELED OVER A SPECIFIED TIME INTERVAL」。
【0023】
代理人整理番号END8267USNP/170189、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「CLOSED LOOP FEEDBACK CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT BASED ON MEASURED TIME OVER A SPECIFIED NUMBER OF SHAFT ROTATIONS」。
【0024】
代理人整理番号END8269USNP/170190、2017年6月20日出願の発明者Jason L.Harrisらによる、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING DISPLAYING MOTOR VELOCITY FOR A SURGICAL INSTRUMENT」。
【0025】
代理人整理番号END8270USNP/170191、2017年6月20日出願の発明者Jason L.Harrisらによる、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING MOTOR SPEED ACCORDING TO USER INPUT FOR A SURGICAL INSTRUMENT」。
【0026】
本出願の出願人は、本出願と同時に出願された以下の米国意匠特許出願を所有しており、これらの各々は、参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる。
【0027】
代理人整理番号END8274USDP/170193D、2017年6月20日出願の創作者Jason L.Harrisらによる、名称「GRAPHICAL USER INTERFACE FOR A DISPLAY OR PORTION THEREOF」。
【0028】
代理人整理番号END8273USDP/170194D、2017年6月20日出願の創作者Jason L.Harrisらによる、名称「GRAPHICAL USER INTERFACE FOR A DISPLAY OR PORTION THEREOF」。
【0029】
代理人整理番号END8272USDP/170195D、2017年6月20日出願の発明者創作者Frederick E.Shelton,IVらによる、名称「GRAPHICAL USER INTERFACE FOR A DISPLAY OR PORTION THEREOF」。
【0030】
特定の実施形態が、開示される装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の理解を提供するように示され、説明される。一実施例に示される又は説明される特徴は、他の実施例の特徴と組み合わされてもよく、修正及び変形は、本開示の範囲内である。
【0031】
「近位」及び「遠位」という用語は、外科用器具のハンドルを操作する臨床医に対して、「近位」は、臨床医により近い部分を指し、「遠位」は、臨床医から遠くに位置する部分を指す。便宜上、外科用器具が多くの配向及び位置で使用され得るため、図面に関して使用される「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」という空間的用語は、限定及び/又は絶対的であることを意図するものではない。
【0032】
腹腔鏡下及び低侵襲性の外科的処置を行うため、例示的な装置及び方法が提供されている。しかしながら、そのような装置及び方法は、例えば、切開外科的処置を含む他の外科的処置及び用途に使用され得る。外科用器具は、自然の開口を通して、又は組織内に形成された切開若しくは穿刺孔を通して挿入され得る。これらの器具の作用部分すなわちエンドエフェクタ部分は、体内に直接に挿入することもでき、又は、外科用器具のエンドエフェクタ及び細長いシャフトを前進させることが可能な作用通路を有するアクセス装置を通じて挿入することもできる。
【0033】
図1図4は、再使用されてもされなくてもよい、切断及び締結用のモータ駆動式外科用器具10を図示する。図示の例では、外科用器具10は、臨床医が把持し、操作し、作動させるように構成されたハンドル組立体14を備えるハウジング12を含む。ハウジング12は、1つ以上の外科的タスク又は処置を行うように構成されたエンドエフェクタ300が動作可能に連結されている、交換式シャフト組立体200に動作可能に取り付けるように構成されている。本開示によると、様々な形態の交換式シャフト組立体が、ロボット制御式の外科用システムに関連して効果的に用いられ得る。「ハウジング」という用語は、交換式シャフト組立体を作動させるために使用され得る少なくとも1つの制御運動を生成及び加えるように構成された少なくとも1つの駆動システムを収容する、ないしは動作可能に支持するロボットシステムのハウジング又は類似の部分を包含することができる。「フレーム」という用語は、手持ち式外科用器具の一部分を指してもよい。「フレーム」という用語はまた、ロボット制御式の外科用器具の一部分、及び/又は外科用器具を動作可能に制御するために使用され得るロボットシステムの一部分を表す場合もある。交換式シャフト組立体は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,072,535号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」に開示されている様々なロボットシステム、器具、構成要素、及び方法と共に用いられてもよい。
【0034】
図1は、本開示の一態様による、動作可能に連結された交換式シャフト組立体200を有する、外科用器具10の斜視図である。ハウジング12は、外科用ステープルカートリッジ304を中で動作可能に支持するように構成された、外科用切断及び締結装置を備えるエンドエフェクタ300を含む。ハウジング12は、交換式シャフト組立体と接続して使用するように構成されていてよく、この交換式シャフト組立体には、様々なシャフト長、サイズ、及び種類があり、また、様々なサイズ及び種類のステープルカートリッジを支持するように適合されたエンドエフェクタが含まれる。ハウジング12は、高周波(radio frequency、RF)エネルギ、超音波エネルギ及び/又はモーションなどの他のモーション及び形態のエネルギを、様々な外科用途及び処置と関連させて用いられるように適合されたエンドエフェクタ構成に適用するように構成されたアセンブリを含む、様々な交換式シャフト組立体と共に用いられてもよい。エンドエフェクタ、シャフト組立体、ハンドル、外科用器具、及び/又は外科用器具システムは、任意の好適な締結具を利用して組織を締結することができる。例えば、中に着脱可能に格納された複数の締結具を備える締結具カートリッジが、シャフト組立体のエンドエフェクタに着脱可能に挿入及び/又は取り付けられ得る。
【0035】
ハンドル組立体14は、ねじ、スナップ機構、接着剤などで相互接続され得る一対の相互接続可能なハンドルハウジングセグメント16、18を備え得る。ハンドルハウジングセグメント16、18は、臨床医に握持及び操作され得るピストルグリップ部分19を形成するように協働する。ハンドル組立体14は、複数の駆動システムを動作可能に支持し、それら駆動システムは、制御運動を生成し、ハンドル組立体に動作可能に取り付けられた交換式シャフト組立体の対応部分に、制御運動を適用するように構成されている。
【0036】
図2は、本開示の一態様による、図1の外科用器具10の一部分の分解組立図である。ハンドル組立体14は、複数の駆動システムを動作可能に支持するフレーム20を更に含み得る。フレーム20は、「第1の」即ち閉鎖駆動システム30を動作可能に支持することができ、この閉鎖駆動システムは、交換式シャフト組立体200に対して開閉運動を適用し得る。閉鎖駆動システム30は、フレーム20によって枢動可能に支持される閉鎖トリガ32などのアクチュエータを含んでもよい。閉鎖トリガ32は、枢動ピン33によってハンドル組立体14に枢動可能に連結されて、閉鎖トリガ32が臨床医によって操作されることを可能にする。臨床医がハンドル組立体14のピストルグリップ部分19を握持するときに、閉鎖トリガ32は、開始位置即ち「非作動」位置から「作動」位置へ、より具体的には完全圧縮位置又は完全作動位置へと、枢動することができる。
【0037】
ハンドル組立体14及びフレーム20は、発射駆動システム80を動作可能に支持し、この発射駆動システムは、ハンドル組立体に取り付けられた交換式シャフト組立体の対応部分に発射運動を適用するように構成されている。発射駆動システム80は、ハンドル組立体14のピストルグリップ部分19に位置する電気モータ82を用いてもよい。電気モータ82は、例えば、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDCモータであってよい。その他の構成では、モータとしては、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又はその他の任意の好適な電気モータを挙げてもよい。電気モータ82は、着脱可能な電源パック92を備え得る電源90によって給電されてもよい。着脱可能な電源パック92は、遠位ハウジング部分96に装着するように構成された、近位ハウジング部分94を備えてもよい。近位ハウジング部分94及び遠位ハウジング部分96は、その中に複数の電池98を動作可能に支持するように構成されている。電池98は、それぞれ、例えば、リチウムイオン(LI)又は他の好適な電池を含んでよい。遠位ハウジング部分96は、電気モータ82に動作可能に連結されている、制御回路基板100に着脱可能かつ動作可能に取り付けられるように構成されている。直列に接続された数個の電池98は、外科用器具10を給電し得る。電源90は、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0038】
電気モータ82は、回転可能なシャフト(図示せず)を備えてもよく、この回転可能なシャフトは、長手方向可動駆動部材120上の駆動歯122のセット又はラックとの噛合係合をなして装着されるギヤ減速機組立体84と動作可能にインターフェースをとる。長手方向可動駆動部材120は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するために、その上に形成された駆動歯122のラックを有する。
【0039】
使用の際、電源90によって提供される電圧極性によって電気モータ82を時計方向に動作させることができるが、電池によって電気モータに印加される電圧極性は、電気モータ82を反時計方向に動作させるために反転させることができる。電気モータ82が一方向に回転されると、長手方向可動駆動部材120は、遠位方向「DD」に軸方向駆動されることになる。電気モータ82が、反対の回転方向に駆動されると、長手方向可動駆動部材120は、近位方向「PD」に軸方向に駆動されることになる。ハンドル組立体14は、電源90によって電気モータ82に付与される極性を反転させるように構成され得るスイッチを含み得る。ハンドル組立体14は、長手方向可動駆動部材120の位置及び/又は長手方向可動駆動部材120が移動させられている方向を検出するように構成されたセンサを含み得る。
【0040】
電気モータ82の作動は、ハンドル組立体14に枢動可能に支持される発射トリガ130によって制御され得る。発射トリガ130は、非作動位置と作動位置との間を枢動してもよい。
【0041】
ここで図1を参照すると、交換式シャフト組立体200は、外科用ステープルカートリッジ304を中で動作可能に支持するように構成された細長いチャネル302を備える、エンドエフェクタ300を含む。エンドエフェクタ300は、細長いチャネル302に対して枢動可能に支持されるアンビル306を含み得る。交換式シャフト組立体200は、関節継手270を含み得る。エンドエフェクタ300及び関節継手270の構成及び動作は、その開示内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0263541号、発明の名称「ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING AN ARTICULATION LOCK」に明らかにされる。交換式シャフト組立体200は、ノズル部分202、203からなる近位ハウジング又はノズル201を含み得る。交換式シャフト組立体200は、閉鎖管260を含むことができ、閉鎖管260は、エンドエフェクタ300のアンビル306を閉鎖及び/又は開放するために利用され得るシャフト軸SAに沿って延在する。
【0042】
図1を再び参照すると、閉鎖管260は、例えば、上記で参照された米国特許出願公開第2014/0263541号に説明された様式で閉鎖トリガ32の作動に応答して、アンビル306を閉鎖するために遠位(方向「DD」)に並進される。アンビル306は、閉鎖管260を近位に並進させることによって開放される。アンビル開放位置において、閉鎖管260は、その近位位置に移動される。
【0043】
図3は、本開示の一態様による、交換式シャフト組立体200の一部分の別の分解組立図である。交換式シャフト組立体200は、スパイン210内での軸方向移動に関して支持される発射部材(220)を含み得る。発射部材220は、遠位切断部分又はナイフバー280に装着するように構成された中間発射シャフト222を含む。発射部材220は、「第2のシャフト」又は「第2のシャフト組立体」と呼ばれることもある。中間発射シャフト222は、その遠位端に、ナイフバー280の近位端282にあるタブ284を受容するように構成された、長手方向スロット223を含み得る。長手方向スロット223及び近位端282は、それらの間の相対移動を可能にするように構成されてもよく、かつスリップ継手286を備えることができる。スリップ継手286は、ナイフバー280を移動させずに、又は少なくとも実質的に移動させずに、発射部材220の中間発射シャフト222が、関節継手270を中心にエンドエフェクタ300を関節運動させることを可能にし得る。エンドエフェクタ300が好適に配向されると、ナイフバー280を前進させ、チャネル302内に位置付けられたステープルカートリッジを発射するために、長手方向スロット223の近位側壁がタブ284に接触するまで、中間発射シャフト222が遠位に前進され得る。スパイン210は、細長い開口部又は窓213をその中に有して、スパイン210内への中間発射シャフト222の組み付け及び挿入を容易にする。中間発射シャフト222が挿入されると、頂部フレームセグメント215がシャフトフレーム212と係合されて、中間発射シャフト222及びナイフバー280を中に封入し得る。発射部材220の動作は、米国特許出願公開第2014/0263541号に見出すことができる。スパイン210は、発射部材220、及びスパイン210の周りに延在する閉鎖管260をスライド可能に支持するように構成され得る。スパイン210は、関節ドライバ230をスライド可能に支持し得る。
【0044】
交換式シャフト組立体200は、関節ドライバ230を発射部材220に選択的かつ解除可能に連結するように構成されたクラッチ組立体400を含み得る。クラッチ組立体400は、発射部材220の周りに位置付けられるロックカラー、即ちロックスリーブ402を含み、ロックスリーブ402は、ロックスリーブ402が関節ドライバ230を発射部材220に連結する係合位置と、関節ドライバ230が発射部材220に動作可能に連結されない係合解除位置との間で回転され得る。ロックスリーブ402が係合位置にあるとき、発射部材220の遠位の移動は、関節ドライバ230を遠位に移動させることができ、それに対応して、発射部材220の近位の移動は、関節ドライバ230を近位に移動させることができる。ロックスリーブ402が係合解除位置にあるとき、発射部材220の移動は、関節ドライバ230に伝達されず、その結果、発射部材220は、関節ドライバ230とは独立して移動することができる。ノズル201は、米国特許出願公開第2014/0263541号に説明されている様々な様式で、関節駆動システムを発射駆動システムと動作可能に係合及び係合解除するために用いられ得る。
【0045】
交換式シャフト組立体200は、例えば、エンドエフェクタ300との間で電力を伝導し、かつ/又はエンドエフェクタ300との間で信号を通信するように構成され得るスリップリング組立体600を備えることができる。スリップリング組立体600は、近位コネクタフランジ604と、ノズル部分202、203に画定されたスロット内に位置付けられる遠位コネクタフランジ601とを備えることができる。近位コネクタフランジ604は、第1の面を備えることができ、遠位コネクタフランジ601は、第1の面に隣接して位置付けられ、かつ第1の面に対して移動可能である第2の面を備えることができる。遠位コネクタフランジ601は、シャフト軸SA-SAを中心にして、近位コネクタフランジ604に対して回転することができる(図1)。近位コネクタフランジ604は、その第1の面に画定される、複数の同心の、又は少なくとも実質的に同心の導体602を備えることができる。コネクタ607は、遠位コネクタフランジ601の近位側に装着することができ、複数の接点を有してもよく、各接点は、導体602のうち1つに対応してそれと電気的に接触する。かかる構成により、近位コネクタフランジ604と遠位コネクタフランジ601とが、それらの間の電気的接触を維持したまま相対回転することが可能になる。近位コネクタフランジ604は、例えば、シャフト回路基板と信号通信して導体602を配置することができる、電気コネクタ606を含むことができる。少なくとも一事例では、複数の導体を含むワイヤハーネスが、電気コネクタ606とシャフト回路基板との間に延在し得る。電気コネクタ606は、シャーシ装着フランジに画定されたコネクタ開口部を通って近位に延在し得る。米国特許出願公開第2014/0263551号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。米国特許出願公開第2014/0263552号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。スリップリング組立体600に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2014/0263541号に見出すことができる。
【0046】
交換式シャフト組立体200は、ハンドル組立体14に固定可能に装着されている近位部分と、長手方向軸を中心に回転可能である遠位部分とを含み得る。回転可能な遠位シャフト部分は、スリップリング組立体600を中心にして近位部分に対して回転させることができる。スリップリング組立体600の遠位コネクタフランジ601は、回転可能な遠位シャフト部分内に位置付けることができる。
【0047】
図4は、本開示の一態様による、図1の外科用器具10のエンドエフェクタ300の一態様の分解図である。エンドエフェクタ300は、アンビル306及び外科用ステープルカートリッジ304を含んでもよい。アンビル306は、細長いチャネル302に連結されてもよい。アパーチャ199は、アンビル306から延在するピン152を受け入れることができる細長いチャネル302内に画定されて、細長いチャネル302及び外科用ステープルカートリッジ304に対してアンビル306を開放位置から閉鎖位置まで枢動させることができる。発射バー172が、エンドエフェクタ300内へと長手方向に並進するように構成される。発射バー172は、1つの中実部分から構築されてもよく、又は鋼板のスタックを含む積層材料を含んでもよい。発射バー172は、I型梁178と、その遠位端にある切断縁部182とを備える。発射バー172の遠位に突出する端は、I型梁178に取り付けられて、アンビル306が閉鎖位置にあるとき、細長いチャネル302内に位置付けられた外科用ステープルカートリッジ304からアンビル306を離すことを支援することができる。I型梁178は、I型梁178が発射バー172によって遠位に前進される際に組織を切るように鋭利な切断縁部182を含むことができる。動作中、I型梁178は、外科用ステープルカートリッジ304を発射することができる。外科用ステープルカートリッジ304は、ステープルドライバ192上に載置された複数のステープル191を、それぞれの上向きに開いたステープルキャビティ195内で保持する、成形カートリッジ本体194を含むことができる。楔形スレッド190は、I型梁178によって遠位に駆動されて、外科用ステープルカートリッジ304のカートリッジトレイ196上を摺動する。楔形スレッド190は、I型梁178の切断縁部182がクランプされた組織を切る間、ステープルドライバ192を上向きにカム駆動して、ステープル191を追い出してアンビル306と変形接触させる。
【0048】
I型梁178は、発射の間、アンビル306に係合する上部ピン180を含むことができる。I型梁178は、カートリッジ本体194、カートリッジトレイ196、及び細長いチャネル302の部分に係合するように、中央ピン184及び下部フット186を含むことができる。外科用ステープルカートリッジ304が細長いチャネル302内に位置付けられると、カートリッジ本体194に画定されたスロット193を、カートリッジトレイ196に画定された長手方向スロット197及び細長いチャネル302に画定されたスロット189と位置合わせすることができる。使用の際、I型梁178は、位置合わせされた長手方向スロット193、197、及び189を通って摺動することができ、図4に示されるように、I型梁178の下部フット186は、スロット189の長さに沿って細長いチャネル302の底面に沿って通っている溝に係合することができ、中央ピン184は、長手方向スロット197の長さに沿ってカートリッジトレイ196の上面に係合することができ、上部ピン180は、アンビル306に係合することができる。発射バー172が遠位に前進されて、ステープルを外科用ステープルカートリッジ304から発射し、かつ/又はアンビル306と外科用ステープルカートリッジ304との間に捕捉された組織を切開するにつれて、I型梁178は、アンビル306とステープルカートリッジ304とを離す、又はそれらの相対移動を制限することができる。発射バー172及びI型梁178は、近位に後退させることができ、それによってアンビル306を開いて、ステープル留めされ切られた2つの組織部分を解放することを可能にする。
【0049】
図5A及び図5Bは、本開示の一態様による、2つの図面に及ぶ、図1の外科用器具10の制御回路700のブロック図である。図6A及び図6Bを主に参照すると、ハンドル組立体702はモータ714を含んでもよく、モータ714は、モータドライバ715によって制御され得、外科用器具10の発射システムによって用いられ得る。様々な形態において、モータ714は、例えば、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。別の構成では、モータ714としては、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータが挙げられ得る。モータドライバ715は、例えば、電界効果トランジスタ(field-effect transistor、FET)719を含むHブリッジドライバを備えてもよい。モータ714は、外科用器具10に制御電力を供給するために、ハンドル組立体200に解除可能に装着された電源組立体706によって給電され得る。電源組立体706は、外科用器具10に給電するための電源として使用され得る、直列に接続された複数の電池セルを含み得る電池を備えてもよい。特定の状況では、電源組立体706の電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源組立体706に別個に連結され得るリチウムイオン電池であってよい。
【0050】
シャフト組立体704は、シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている一方で、インターフェースを介して安全コントローラ及び電力管理コントローラ716と通信し得るシャフト組立体コントローラ722を含み得る。例えば、インターフェースは、シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドルアセンブリ702に連結されている間にシャフトアセンブリコントローラ722と電力管理コントローラ716との間の電気通信を可能にするために、対応するシャフト組立体電気コネクタとの連結係合のための1つ以上の電気コネクタを含み得る第1のインターフェース部分725、及び、対応する電力アセンブリ電気コネクタとの連結係合のための1つ以上の電気コネクタを含み得る第2のインターフェース部分727を備え得る。インターフェースを介して1つ以上の通信信号を送信して、装着された交換式シャフト組立体704の電力要件のうちの1つ以上を電力管理コントローラ716に伝達することができる。それに応じて、電力管理コントローラは、取り付けられたシャフト組立体704の電力要件に従って、以下により詳細に説明されているように、電源組立体706の電池の電力出力を変調し得る。コネクタは、シャフト組立体704、及び/又は電源組立体706とのハンドル組立体702の機械的連結係合後に起動され得るスイッチを備え、それにより、シャフト組立体コントローラ722と電力管理コントローラ716との間の電気通信が可能になる。
【0051】
インターフェースは、例えば、ハンドル組立体702に存在するメインコントローラ717を介してかかる通信信号を経路指定することにより、電力管理コントローラ716とシャフト組立体コントローラ722との間の1つ以上の通信信号の伝送を容易にし得る。他の状況下では、シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている一方で、インターフェースは、ハンドル組立体702を介して電源管理コントローラ716とシャフト組立体コントローラ722との間の直接線の通信を容易にし得る。
【0052】
メインコントローラ717は、Texas Instrumentsの商標名ARM Cortexとして知られるものなど、任意のシングルコアプロセッサ又はマルチコアプロセッサであってよい。一態様では、メインコントローラ717は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(single-cycle serial random access memory、SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory、EEPROM)、1つ以上のパルス幅変調(pulse width modulation、PWM)モジュール、1つ以上の直交エンコーダ入力(quadrature encoder input、QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(Analog-to-Digital Converter、ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0053】
安全コントローラは、Texas Instrumentsの商標名Hercules ARM Cortex R4として知られている、TMS570及びRM4xなど、2つのコントローラベースファミリを備える安全コントローラプラットフォームであってよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0054】
電源組立体706は、電力管理回路を含んでよく、電力管理回路は、電源管理コントローラ716、電力変調器738、及び電流感知回路736を含み得る。シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている一方で、電源管理回路は、シャフト組立体704の電力要件に基づいて電池の電力出力を変調するように構成され得る。電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力の電力変調器738を制御するようにプログラムされ得、電流感知回路736は、電池の電力出力に関するフィードバックを電力管理コントローラ716に提供するため、電源組立体706の電力出力を監視するように用いられ得、そのため、電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力を調節して、所望の出力を維持することができる。電力管理コントローラ716及び/又はシャフト組立体コントローラ722はそれぞれ、多数のソフトウェアモジュールを記憶し得る1つ以上のプロセッサ及び/又はメモリユニットを備え得る。
【0055】
外科用器具10(図1図4)は、ユーザに感覚フィードバックを提供するための装置を含み得る、出力装置742を備えてよい。このような装置は、例えば、視覚的フィードバック装置(例えば、LCDディスプレイスクリーン、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカー、ブザー)又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚作動装置)を含んでもよい。特定の状況では、出力装置742は、ハンドル組立体702に含まれ得るディスプレイ743を備えてよい。シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716は、出力装置742を介して外科用器具2000のユーザにフィードバックを提供し得る。インターフェースは、シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716を出力装置742に接続するように構成され得る。出力装置742は、代わりに、電源組立体706と統合されてもよい。このような状況下では、シャフト組立体704がハンドル組立体702に連結されている一方で、出力装置742とシャフト組立体コントローラ722との間の通信はインターフェースを介して成し遂げられ得る。
【0056】
制御回路700は、電動外科用器具10の動作を制御するように構成された回路セグメントを備える。安全コントローラセグメント(セグメント1)は、安全コントローラ及びメインコントローラ717セグメント(セグメント2)を備える。安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717は、加速度セグメント、ディスプレイセグメント、シャフトセグメント、エンコーダセグメント、モータセグメント、及び電力セグメントなどの1つ以上の追加の回路セグメントと相互作用するように構成されている。回路セグメントの各々は、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結され得る。メインコントローラ717はまた、フラッシュメモリに連結されている。メインコントローラ717はまた、シリアル通信インターフェースを備える。メインコントローラ717は、例えば、1つ以上の回路セグメント、電池、及び/又は複数のスイッチに連結された、複数の入力を備える。セグメント化回路は、例えば、電動外科用器具10内のプリント回路基板アセンブリ(PCBA)など、任意の好適な回路によって実装され得る。[プロセッサ]という用語は、本明細書で使用するとき、任意のマイクロプロセッサ、プロセッサ、コントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上に組み込んだ、他の基本コンピューティングデバイスを含むことが理解されるべきである。メインコントローラ717は、デジタルデータを入力として受信し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラマブル装置である。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。制御回路700は、本明細書に説明されるプロセスのうちの1つ以上を実装するように構成され得る。
【0057】
加速度セグメント(セグメント3)は、加速度計を備える。加速度計は、電動外科用器具10の移動又は加速度を検出するように構成されている。加速度計からの入力は、スリープモードとの間での遷移、電動外科用器具の配向の識別、及び/又は外科用器具が落下したときの識別に使用され得る。いくつかの例では、加速度セグメントは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されている。
【0058】
ディスプレイセグメント(セグメント4)は、メインコントローラ717に連結されたディスプレイコネクタを備える。ディスプレイコネクタは、ディスプレイの1つ以上の集積回路ドライバを介してメインコントローラ717をディスプレイに連結する。ディスプレイの集積回路ドライバは、ディスプレイと一体化されてもよく、及び/又はディスプレイとは別個に位置してもよい。ディスプレイは、例えば、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、OLED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(liquid-crystal display、LCD)、及び/又は任意の他の好適なディスプレイなど、任意の好適なディスプレイを備え得る。いくつかの例では、ディスプレイセグメントは、安全コントローラに連結されている。
【0059】
シャフトセグメント(セグメント5)は、外科用器具10(図1図4)に連結された交換式シャフト組立体200(図1及び図3)の制御機器、及び/又は交換式シャフト組立体200に連結されたエンドエフェクタ300の1つ以上の制御機器を備える。シャフトセグメントは、メインコントローラ717をシャフトPCBAに連結するように構成されたシャフトコネクタを備える。シャフトPCBAは、強誘電性ランダムアクセスメモリ(ferroelectric random access memory、FRAM)、関節スイッチ、シャフト解放ホール効果スイッチ、及びシャフトPCBA EEPROMを有する低電力マイクロコントローラを備える。シャフトPCBA EEPROMは、交換式シャフト組立体200及び/又はシャフトPCBAに固有の1つ以上のパラメータ、ルーチン、及び/又はプログラムを含む。シャフトPCBAは、交換式シャフト組立体200に連結されてもよく、及び/又は外科用器具10と一体であってもよい。いくつかの例では、シャフトセグメントは、第2のシャフトEEPROMを備える。第2のシャフトEEPROMは、電動外科用器具10と接続され得る1つ以上のシャフト組立体200及び/又はエンドエフェクタ300に対応する複数のアルゴリズム、ルーチン、パラメータ、及び/又は他のデータを含む。
【0060】
位置エンコーダセグメント(セグメント6)は、1つ以上の磁気角度回転位置エンコーダを備える。1つ以上の磁気角度回転位置エンコーダは、外科用器具10(図1図4)のモータ714、交換式シャフト組立体200(図1及び図3)、及び/又はエンドエフェクタ300の回転位置を識別するように構成されている。いくつかの例では、磁気角度回転位置エンコーダは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結され得る。
【0061】
モータ回路セグメント(セグメント7)は、電動外科用器具10(図1図4)の移動を制御するように構成されたモータ714を備える。モータ714は、1つ以上のHブリッジ電界効果トランジスタ(FET)を備えるHブリッジドライバ及びモータコントローラによって、メインマイクロコントローラプロセッサ717に連結されている。Hブリッジドライバはまた、安全コントローラにも連結されている。モータ電流センサは、モータの引き込み電流を測定するために、モータと直列に連結されている。モータ電流センサは、メインコントローラ717及び/又は安全コントローラと信号通信している。いくつかの例では、モータ714は、モータ電磁干渉(motor electromagnetic interference、EMI)フィルタに連結されている。
【0062】
モータコントローラは、第1のモータフラグ及び第2のモータフラグを制御して、モータ714のステータス及び位置をメインコントローラ717に示す。メインコントローラ717は、パルス幅変調(pulse-width modulation、PWM)高信号、PWM低信号、方向信号、同期信号及びモータリセット信号をモータコントローラにバッファを介して提供する。電力セグメントは、セグメント電圧を回路セグメントの各々に提供するように構成される。
【0063】
電力セグメント(セグメント8)は、安全コントローラに連結された電池と、メインコントローラ717と、追加の回路セグメントとを備える。電池は、電池コネクタ及び電流センサによってセグメント化回路に連結されている。電流センサは、セグメント化回路の合計引き込み電流を測定するように構成されている。いくつかの例では、1つ以上の電圧変換器が、所定の電圧値を1つ以上の回路セグメントに提供するように構成されている。例えば、いくつかの例では、セグメント化回路は、3.3V電圧変換器及び/又は5V電圧変換器を備えてもよい。ブースト変換器は、例えば13V以下など、所定量以下のブースト電圧を提供するように構成されている。ブースト変換器は、電力集約的な動作の間、追加の電圧及び/又は電流を提供し、電圧低下又は低電力状態を防止するように構成されている。
【0064】
複数のスイッチは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されている。スイッチは、外科用器具10(図1図4)、セグメント化回路の動作を制御し、かつ/又は外科用器具10のステータスを示すように構成されてもよい。緊急離脱のための緊急離脱ドアスイッチ及びホール効果スイッチは、緊急離脱ドアのステータスを示すように構成される。例えば、左側関節左スイッチ、左側関節右スイッチ、左側関節中央スイッチ、右側関節左スイッチ、右側関節右スイッチ、及び右側関節中央スイッチなど、複数の関節スイッチは、交換式シャフト組立体200(図1及び図3)及び/又はエンドエフェクタ300(図1及び図4)の関節運動を制御するように構成されている。左側反転スイッチ及び右側反転スイッチは、メインコントローラ717に連結されている。左側関節左スイッチ、左側関節右スイッチ、左側関節中央スイッチ、及び左側反転スイッチを備える左側スイッチは、左側可撓コネクタによってメインコントローラ717に連結されている。右側関節左スイッチ、右側関節右スイッチ、右側関節中央スイッチ、及び右側反転スイッチを備える右側スイッチは、右側可撓コネクタによってメインコントローラ717に連結されている。発射スイッチ、クランプ解放スイッチ、及びシャフト係合スイッチは、メインコントローラ717に連結されている。
【0065】
任意の好適な機械的、電気機械的、又は固体スイッチが、複数のスイッチを任意の組み合わせで実装するために用いられ得る。例えば、スイッチは、外科用器具10(図1図4)と関連付けられた構成要素の運動又は物体の存在によって動作されるリミットスイッチであってもよい。そのようなスイッチは、外科用器具10と関連付けられた様々な機能を制御するために用いられ得る。リミットスイッチは、一組の接点に機械的にリンクされたアクチュエータからなる電気機械装置である。物体がアクチュエータと接触すると、装置は、接点を動作させて、電気的接続を確立又は遮断する。リミットスイッチは、それらの頑丈さ、設置の容易さ、及び動作の信頼性のために、様々な用途及び環境で使用される。それらは、物体の有無、物体の通過、物体の位置決め、及び物体の移動の終了を判定することができる。他の実装形態では、スイッチは、とりわけホール効果装置、磁気抵抗(magneto-resistive、MR)装置、巨大磁気抵抗(giant magneto-resistive、GMR)装置、磁力計などの磁場の影響下で動作する固体スイッチであってもよい。他の実装形態では、スイッチは、とりわけ光センサ、赤外線センサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチであってもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、金属酸化膜半導体-FET(metal-oxide semiconductor-FET、MOSFET)、双極など)などの固体装置であってもよい。他のスイッチとしては、とりわけ、無線スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、慣性センサが挙げられ得る。
【0066】
図6は、本開示の一態様による、ハンドル組立体702と電源組立体706との間、及びハンドル組立体702と交換式シャフト組立体704との間のインターフェースを例示する、図1の外科用器具の制御回路700の別のブロック図である。ハンドル組立体702は、メインコントローラ717、シャフト組立体コネクタ726、及び電源組立体コネクタ730を備え得る。電源組立体706は、電源組立体コネクタ732、電力管理コントローラ716を備え得る電力管理回路734、電力変調器738、及び電流感知回路736を含み得る。シャフト組立体コネクタ730、732は、インターフェース727を形成する。交換式シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている一方で、電力管理回路734は、交換式シャフト組立体704の電力要件に基づいて電池707の電力出力を変調するように構成され得る。電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力の電力変調器738を制御するようにプログラムされ得、電流感知回路736は、電池707の電力出力に関するフィードバックを電力管理コントローラ716に提供するため、電源組立体706の電力出力を監視するように用いられ得、そのため、電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力を調節して、所望の出力を維持することができる。シャフト組立体704は、不揮発性メモリ721及びシャフト組立体コネクタ728に連結されて、シャフト組立体704をハンドル組立体702に電気的に連結するシャフトプロセッサ719を備える。シャフト組立体コネクタ726、728は、インターフェース725を形成する。メインコントローラ717、シャフトプロセッサ719、及び/又は電力管理コントローラ716は、本明細書に説明されるプロセスのうちの1つ以上を実装するように構成され得る。
【0067】
外科用器具10(図1図4)は、ユーザへのセンサフィードバックに対する出力装置742を備え得る。そのような装置は、視覚的フィードバック装置(例えば、LCDディスプレイスクリーン、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカー、ブザー)、又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚アクチュエータ)を含んでよい。特定の状況下では、出力装置742は、ハンドル組立体702に含まれ得るディスプレイ743を備えてよい。シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716は、出力装置742を介して外科用器具10のユーザにフィードバックを提供し得る。インターフェース727は、シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716を出力装置742に接続するように構成され得る。出力装置742は、電源組立体706と統合されてもよい。交換式シャフト組立体704がハンドル組立体702に連結されている一方で、出力装置742とシャフト組立体コントローラ722との間の通信は、インターフェース725を介して成し遂げられ得る。外科用器具10(図1図4)の動作を制御するための制御回路700(図5A図5B及び図6)を説明してきたが、本開示は、ここで、外科用器具10(図1図4)及び制御回路700の様々な構成に移る。
【0068】
図7は、本開示の一態様による、外科用器具10(図1図4)の態様を制御するように構成された制御回路800を例示する。制御回路800は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成され得る。制御回路800は、少なくとも1つのメモリ回路804に連結された1つ以上のプロセッサ802(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を備えるコントローラを備えることができる。メモリ回路804は、プロセッサ802によって実行されると、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するための機械命令をプロセッサ802に実行させる、機械実行可能命令を記憶する。プロセッサ802は、当該技術分野で既知の多数のシングルコアプロセッサ又はマルチコアプロセッサのうち任意の1つであってよい。メモリ回路804は、揮発性及び不揮発性の記憶媒体を含むことができる。プロセッサ802は、命令処理ユニット806及び演算ユニット808を含んでもよい。命令処理ユニットは、メモリ回路804から命令を受信するように構成されてよい。
【0069】
図8は、本開示の一態様による、外科用器具10(図1図4)の態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路810を例示する。組み合わせ論理回路810は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成され得る。回路810は、入力814で外科用器具10と関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理回路812によってデータを処理し、出力816を提供するように構成された組み合わせ論理812を含む有限状態マシンを含み得る。
【0070】
図9は、本開示の一態様による、外科用器具10(図1図4)の態様を制御するように構成された順序論理回路820を例示する。順序論理回路820又は組み合わせ論理回路822は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成され得る。回路820は、有限状態マシンを含んでもよい。順序論理回路820は、例えば、組み合わせ論理回路822、少なくとも1つのメモリ回路824、及びクロック829を含んでもよい。少なくとも1つのメモリ回路820は、有限状態マシンの現在の状態を記憶することができる。特定の場合では、順序論理回路820は、同期式又は非同期式であってもよい。組み合わせ論理回路822は、外科用器具10の入力826と関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理回路822によってデータを処理し、出力828を提供するように構成される。他の態様では、回路は、プロセッサ802と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含んでもよい。他の態様では、有限状態マシンは、組み合わせ論理回路810及び順序論理回路820の組み合わせを含むことができる。
【0071】
態様は、製造物品として実装されてもよい。製造物品は、1つ以上の態様の様々な動作を行うための論理、命令、及び/又はデータを記憶するように構成されたコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。例えば、製造物品は、汎用プロセッサ又は特定用途向けプロセッサによって実行するために好適なコンピュータプログラム命令を含む磁気ディスク、光学ディスク、フラッシュメモリ、又はファームウェアを含んでもよい。
【0072】
図10は、外科用器具10(図1図4)の絶対位置決めシステム1100の図であり、絶対位置決めシステム1100が、本開示の一態様によるセンサ配列1102を備える制御モータ駆動回路構成を備える。絶対位置決めシステム1100用のセンサ配列1102は、変位部材1111の場所に対応する固有の位置信号を提供する。図2図4を簡単に参照すると、一態様では、変位部材1111は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するための駆動歯122のラックを備える長手方向可動駆動部材120(図2)を表す。他の態様では、変位部材1111は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る発射部材220(図3)を表す。更に別の態様では、変位部材1111は、発射バー172(図4)又はI型梁178(図4)を表し、これらは、各々、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る。したがって、本明細書で使用するとき、変位部材という用語は、一般的に、駆動部材120、発射部材220、発射バー172、I型梁178、あるいはは変位され得る任意の要素などの、外科用器具10の任意の可動部材を指すために使用される。一態様では、長手方向可動駆動部材120は、発射部材220、発射バー172、及びI型梁178に連結される。したがって、絶対位置決めシステム1100は、実際には、長手方向可動駆動部材120の直線変位を追跡することによって、I型梁178の直線変位を追跡することができる。様々な他の態様では、変位部材1111は、直線変位を測定するために好適な任意のセンサに連結されてもよい。したがって、長手方向可動駆動部材120、発射部材220、発射バー172、又はI型梁178、又は組み合わせは、任意の好適な直線変位センサに連結され得る。直線変位センサは、接触式センサ又は非接触式変位センサを含んでよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(linear variable differential transformers、LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(differential variable reluctance transducers、DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、移動可能な光源及び一連の直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学感知システム、又は固定された光源及び一連の移動可能な直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学感知システム、あるいはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0073】
電気モータ1120は、変位部材1111上の駆動歯のセット又はラックと噛合係合で装着されるギヤアセンブリ1114と動作可能にインターフェースする回転可能なシャフト1116を含んでもよい。センサ素子1126は、センサ1126素子の1回転が、変位部材1111のいくらかの直線長手方向並進に対応するように、ギヤアセンブリ1114に動作可能に連結されてもよい。ギヤリング及びセンサ1118の構成は、ラックピニオン構成によって直線アクチュエータに、又はスパーギヤ若しくは他の接続によって回転アクチュエータに接続され得る。電源1129は、絶対位置決めシステム1100に電力を供給し、出力インジケータ1128は、絶対位置決めシステム1100の出力を表示することができる。図2では、変位部材1111は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するために、その上に形成された駆動歯のラック122を備える長手方向可動駆動部材120を表す。変位部材1111は、長手方向可動発射部材220、発射バー172、I型梁178、又はそれらの組み合わせを表す。
【0074】
位置センサ1112と関連付けられたセンサ素子1126の1回転は、変位部材1111の長手方向直線変位d1に相当し、d1は、変位部材1111に連結されたセンサ素子1126の1回転後に、変位部材1111が点「a」から点「b」まで移動する長手方向の直線距離である。センサ配列1102は、位置センサ1112が変位部材1111のフルストロークに対して1回又は2回以上の回転を完了する結果をもたらすギヤの減速を介して接続されてもよい。位置センサ1112は、変位部材1111のフルストロークに対して複数回の回転を完了することができる。
【0075】
位置センサ1112の2回以上回転に対する固有の位置信号を提供するために、一連のスイッチ1122a~1122nは、nが1より大きい整数であるが、単独で用いられてもよく、又はギヤの減速と共に用いられてもよい。スイッチ1122a~1122nの状態は、コントローラ1104にフィードバックされ、コントローラ1104は、論理を適用して、変位部材1111の長手方向の直線変位d1+d2+...dnに対応する固有の位置信号を判定する。位置センサ1112の出力1124は、コントローラ1104に提供される。センサ配列1102の位置センサ1112は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、ポテンショメータなどのアナログ回転センサ、アナログホール効果素子のアレイを備えてもよい。
【0076】
絶対位置決めシステム1100は、モータ1120が単に前方又は後方に経たステップの数をカウントして装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推定する従来の回転エンコーダで必要となり得るような、変位部材1111をリセット(ゼロ又はホーム)位置へ後退又は前進させることなしに、器具の電源投入時に変位部材1111の絶対位置を提供する。
【0077】
コントローラ1104は、ナイフ及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密制御などの、様々な機能を実施するようにプログラムされてもよい。一態様では、コントローラ1104は、プロセッサ1108及びメモリ1106を含む。電気モータ1120は、関節運動システム又はナイフシステムへのギヤボックス及び機械的リンクを有するブラシ付きDCモータであってもよい。一態様では、モータドライバ1110は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータドライバが、絶対位置決めシステム1100における使用のために容易に置き換えられ得る。絶対位置決めシステム1100のより詳細な説明は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2016年4月15日出願の米国特許出願第15/130,590号、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」に説明されている。
【0078】
コントローラ1104は、変位部材1111及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密な制御を提供するようにプログラムされてもよい。コントローラ1104は、コントローラ1104のソフトウェア内での応答を計算するように構成されてもよい。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバックの判定に用いられる。観測された応答は、シミュレーションによる応答の滑らかで連続的な性質を、測定による応答と釣り合わせる好適な同調された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0079】
絶対位置決めシステム1100は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを備えてもよく、かつ/又はこれを実装するようにプログラムされてもよい。電源1129が、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のパルス幅変調(pulse width modulation、PWM)が挙げられる。位置センサ1112(単数又は複数)で測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他の(単数又は複数の)センサ1118が設けられてもよい。デジタル信号処理システムでは、絶対位置決めシステム1100は、デジタルデータ取得システムに連結され、ここで絶対位置決めシステム1100の出力は、有限の解像度及びサンプリング周波数を有することになる。絶対位置決めシステム1100は、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを用いて、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を備え得る。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れる。コントローラ1104は、制御回路700であってもよい(図5A及び図5B)。
【0080】
モータドライバ1110は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941ドライバ1110は、ブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として具体的に設計された外部Nチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と共に使用するためのフルブリッジコントローラである。ドライバ1110は、固有の電荷ポンプレギュレータを備え、これは、全(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧に提供し、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。ブートストラップコンデンサは、NチャネルのMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を提供するために用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を用いて高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードにおいて、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、抵抗器で調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護される。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を指示するものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。絶対位置決めシステム1100で使用するために、他のモータドライバが容易に代用されることができる。
【0081】
センサ配列1102用の絶対位置決めシステム1100の態様を実装するための一般的なアーキテクチャについて説明してきたが、本開示は、ここで、絶対位置決めシステム1100のセンサ配列1102の一態様について説明するために、図11図12を参照する。図11は、一態様による、回路1205及びセンサ配列1102の要素の相対的な位置合わせを示す、絶対位置決めシステム1100のセンサ配列1102の分解斜視図である。絶対位置決めシステム1100用のセンサ配列1102は、位置センサ1200と、磁石1202のセンサ要素と、変位部材1111のフルストローク毎に1回転する磁石ホルダ1204と、ギヤの減速を提供するギヤアセンブリ1206とを備える。図2を簡単に参照すると、変位部材1111は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するために、駆動歯のラック122を備える長手方向可動駆動部材120を表し得る。図11を参照すると、ギヤアセンブリ1206、磁石ホルダ1204、及び磁石1202を支持するために、ブラケット1216などの構造要素が提供されている。位置センサ1200は、ホール素子などの磁気感知素子を備え、磁石1202に近接して定置されている。磁石1202が回転すると、位置センサ1200の磁気感知素子は、1回転にわたって磁石1202の絶対角度位置を判定する。
【0082】
センサ配列1102は、例えば、磁場の全磁界又はベクトル成分を測定するかどうかに基づいて分類される磁気センサなどの、任意の数の磁気感知素子を備えてもよい。両タイプの磁気センサを生産するために用いられる技術は、物理学及び電子工学の多数の態様を含んでいる。磁場感知に用いられる技術として、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、光磁気、及び微小電気機械システム系の磁気センサが挙げられる。
【0083】
ギヤ組立体は、3:1のギヤ比接続を提供する噛合係合の第1のギヤ1208と第2のギヤ1210とを備えている。第3のギヤ1212は、シャフト1214を中心に回転する。第3のギヤ1212は、変位部材1111(又は図2に示されるような120)と噛合係合し、変位部材1111が遠位方向Dに前進すると第1の方向に回転し、変位部材1111が近位方向Pに後退すると第2の方向に回転する。第2のギヤ1210もまた、シャフト1214を中心に回転し、それゆえに、シャフト1214を中心に第2のギヤ1210の回転は、変位部材1111の長手方向の並進に対応する。したがって、遠位方向D又は近位方向Pのいずれかにおける変位部材1111の1回のフルストロークは、第2のギヤ1210の3回転、及び第1のギヤ1208の1回転に対応する。磁石ホルダ1204は、第1のギヤ1208に連結されているため、磁石ホルダ1204は、変位部材1111の各フルストロークについて完全に1回転する。
【0084】
位置センサ1200は、磁石ホルダ1204内で下方に回転する磁石1202と精密に位置合わせされた位置センサ1200を収容するために好適なアパーチャ1220を画定する位置センサホルダ1218によって支持される。固定具は、ブラケット1216に、及び回路1205に連結されており、磁石1202が磁石ホルダ1204と共に回転する間、依然として静止している。ハブ1222が、第1のギヤ1208及び磁石ホルダ1204と嵌合するように提供されている。シャフト1214に連結された第2のギヤ1210及び第3のギヤ1212も示されている。
【0085】
図12は、本開示の一態様による、磁気回転絶対位置決めシステムを備える、絶対位置決めシステム1100用の位置センサ1200の図である。位置センサ1200は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ1200は、コントローラ1104と連携し、絶対位置決めシステム1100を提供する。位置センサ1200は、低電圧低電力の構成要素であり、磁石1202(図15図16)の上方に位置する位置センサ1200の領域1230に、4つのホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dを有している。また、高解像度ADC1232及びスマート電力管理コントローラ1238もまた、チップ上に提供されている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、1桁毎の方法とボルダーアルゴリズム(Volder's algorithm)でも知られる、CORDIC(座標回転デジタルコンピュータの略)プロセッサ1236が提供されている。角度位置、アラームビット、及び磁場情報は、SPIインターフェース1234などの標準的なシリアル通信インターフェースを介してコントローラ1104に伝送される。位置センサ1200は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ1200は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0086】
ホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dは、直接回転磁石1202の上方に位置している(図11)。ホール効果は、周知の効果であり、便宜上、本明細書では詳細に説明されないが、一般に、ホール効果は、導体内の電流を横断する電気導体と、電流に直交する磁場との間の電圧差(ホール電圧)を生成する。ホール係数は、誘導電場と、電流密度に印加磁場を掛けたものとの比として定義される。その値は、電流を構成する電荷キャリアの種類、個数、及び特性に依存するので、ホール係数は、導体を作る材料の特徴を示す。AS5055位置センサ1200において、ホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dは、磁石1202の絶対位置を磁石1202の1回転にわたって角度で示す電圧信号を発生させることが可能である。この角度値は固有の位置信号であり、CORDICプロセッサ1236によって算出され、AS5055位置センサ1200にオンボードでレジスタ又はメモリ内に記憶される。1回転にわたる磁石1202の位置を示す角度値は、様々な技術で、例えば、電源投入時に、又はコントローラ1104によって要求されたときに、コントローラ1104に提供される。
【0087】
AS5055位置センサ1200は、コントローラ1104に接続されているとき、動作するために少数の外部構成要素のみを必要とする。単一電源を使用する単純な用途には6本の導線が必要とされ、電力用に2本の導線、ホストのコントローラ1104とのSPIインターフェース1234用に4本の導線1240を必要とする。中断をコントローラ1104に送信して、新たな有効な角度が読み込まれ得ることを知らせるために、7番目の接続が加えられてもよい。電源投入時に、AS5055位置センサ1200は、1回の角度測定を含むフル電源投入シーケンスを実施する。このサイクルの完了は、INT出力1242として示され、角度値は内部レジスタに記憶される。この出力が設定されると、AS5055位置センサ1200は、一時停止してスリープモードに移る。コントローラ1104は、SPIインターフェース1234を介してAS5055位置センサ1200から角度値を読み取ることによって、INT出力1242におけるINT要求に応答することができる。角度値がコントローラ1104によって読み取られると、INT出力1242が再びクリアされる。また、コントローラ1104によってSPIインターフェース1234で「角度読み取り」コマンドを位置センサ1200に送信すると、自動的にチップに給電され、別の角度測定が開始される。コントローラ1104が角度値の読み取りを完了すると、直ちに、INT出力1242がクリアされ、新たな結果が角度レジスタに記憶される。角度測定の完了は、再び、INT出力1242及びステータスレジスタの対応するフラグを設定することによって示される。
【0088】
AS5055位置センサ1200の測定原理に基づいて、単一の角度測定のみが、各電源投入シーケンス後のごく短い時間で(~600μs)実施される。1つの角度の測定が完了すると、直ちに、AS5055位置センサ1200は一時停止して電源オフ状態に移る。デジタル平均化による角度値のオンチップフィルタリングは、複数回の角度測定を必要とし、その結果、電源投入時間がより長くなり、低電力用途には望ましくないので、このオンチップフィルタリングは実装されない。角度のジッターは、コントローラ1104で複数の角度サンプルを平均化することによって低減され得る。例えば、4つのサンプルを平均化すると、ジッターは、6dB(50%)低減する。
【0089】
図13は、本開示の一態様による、エンドエフェクタ2502内に把持された組織2526に対するI型梁2514の発射ストロークを示す、外科用器具10(図1図4)のエンドエフェクタ2502の断面図である。エンドエフェクタ2502は、図1図4に示される外科用器具10と共に動作するように構成されている。エンドエフェクタ2502は、アンビル2516及び細長いチャネル2503を備え、ステープルカートリッジ2518が、細長いチャネル2503内に位置付けられている。発射バー2520は、エンドエフェクタ2502の長手方向軸2515に沿って遠位及び近位に並進可能である。エンドエフェクタ2502が関節運動していないとき、エンドエフェクタ2502は、器具のシャフトと一直線になっている。切断縁部2509を含むI型梁2514は、発射バー2520の遠位部分に例示されている。楔形スレッド2513は、ステープルカートリッジ2518内に位置付けられている。I型梁2514が遠位に並進すると、切断縁部2509は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置付けられた組織2526に接触し、それを切断し得る。また、I型梁2514は、楔形スレッド2513に接触し、それを遠位に押し、楔形スレッド2513をステープルドライバ2511に接触させる。ステープルドライバ2511は、ステープル2505内に上昇させられて、ステープル2505を、組織を通って、ステープル2505を形状決めするアンビル2516内に画定されたポケット2507内へ前進させ得る。
【0090】
例示的なI型梁2514の発射ストロークは、エンドエフェクタ2502と位置合わせされたチャート2529によって例示される。例示的な組織2526もまた、エンドエフェクタ2502と整列されて示されている。発射部材ストロークは、ストローク開始位置2527及びストローク終了位置2528を含み得る。I型梁2514の発射ストロークの間、I型梁2514は、ストローク開始位置2527からストローク終了位置2528まで遠位に前進し得る。I型梁2514は、ストローク開始位置2527の1つの例示的な場所で示されている。I型梁2514の発射部材ストロークチャート2529は、5つの発射部材ストローク領域2517、2519、2521、2523、2525を例示する。第1の発射ストローク領域2517では、I型梁2514は、遠位に前進し始め得る。第1の発射ストローク領域2517では、I型梁2514は、楔形スレッド2513に接触し、それを遠位に移動させ始め得る。しかしながら、第1の領域にある間、切断縁部2509は、組織に接触しない場合があり、楔形スレッド2513は、ステープルドライバ2511に接触しない場合がある。静止摩擦が克服された後、第1の領域2517内のI型梁2514を駆動する力は、実質的に一定であり得る。
【0091】
第2の発射部材ストローク領域2519では、切断縁部2509は、組織2526に接触して切断し始め得る。また、楔形スレッド2513は、ステープル2505を駆動するためにステープルドライバ2511に接触し始め得る。I型梁2514を駆動する力は、上昇し始め得る。図示のように、最初に遭遇する組織は、アンビル2516がステープルカートリッジ2518に対して枢動する方法を理由に、圧縮され得る、及び/又はより薄くなり得る。第3の発射部材ストローク領域2521では、切断縁部2509は、組織2526と連続的に接触及び切断し得、楔形スレッド2513は、ステープルドライバ2511に繰り返し接触し得る。I型梁2514を駆動する力は、第3の領域2521内で一定であり得る。第4の発射ストローク領域2523によって、I型梁2514を駆動する力は、低下し始め得る。例えば、第4の発射領域2523に対応するエンドエフェクタ2502の部分の組織は、アンビル2516の枢動点により近い組織よりも圧縮されない場合があり、切断するために少ない力を必要とする。また、切断縁部2509及び楔形スレッド2513は、第4の領域2523にある間、組織2526の端に到達し得る。I型梁2514が第5の領域2525に到達すると、組織2526は、完全に切断され得る。楔形スレッド2513は、組織の端部又はその近くで1つ以上のステープルドライバ2511に接触し得る。I型梁2514を第5の領域2525を通して前進させる力は、低減され得、いくつかの例では、第1の領域2517内のI型梁2514を駆動する力と同様であり得る。発射部材のストロークの完了時、I型梁2514は、ストローク終了位置2528に到達し得る。図18の発射部材のストローク領域2517、2519、2521、2523、2525の位置決めは、単なる一例である。いくつかの例では、異なる領域は、例えば、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間の組織の位置決めに基づいて、エンドエフェクタの長手方向軸2515に沿った異なる位置で開始してもよい。
【0092】
上で議論したように、かつここで図10図13を参照すると、エンドエフェクタ2502内に捕捉された組織をステープル留め及び/又は切開するために、外科用器具10(図1図4)のハンドル組立体内に位置付けられた電気モータ1122を利用することで、I型梁2514を含めて、シャフト組立体の発射システムを、シャフト組立体のエンドエフェクタ2502に対して前進及び/又は後退させることができる。I型梁2514は、所望の速度で、又は所望の速度の範囲内で前進又は後退させられ得る。制御回路1104は、I型梁2514の速度を制御するように構成され得る。コントローラ1104は、例えば、電圧及び/若しくは電流などの、電気モータ1122に供給される電源の様々なパラメータ、並びに/又は電気モータ1122の他の動作パラメータ若しくは外部影響に基づいて、I型梁2514の速度を予測するように構成され得る。コントローラ1104は、電気モータ1122に供給される電流及び/若しくは電圧の以前の値、並びに/又は、速度、加速度、及び/若しくは位置など、システムの以前の状態に基づいて、I型梁2514の現在の速度を予測するように構成され得る。コントローラ1104は、本明細書に説明される絶対位置決めセンサシステムを利用して、I型梁2514の速度を感知するように構成され得る。コントローラは、I型梁2514の予測速度と、I型梁2514の感知速度とを比較して、電気モータ1122への電力が、I型梁2514の速度を増加させるために増加させるべきか、かつ/又はI型梁2514の速度を低下させるために減少させるべきかを判定するように構成され得る。米国特許第8,210,411号、発明の名称「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT」の全体が参照により本明細書に組み込まれる。米国特許第7,845,537号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT HAVING RECORDING CAPABILITIES」の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
I型梁2514に作用する力は、様々な技術を使用して判定され得る。I型梁2514の力は、モータ2504の電流を測定することによって判定され得、モータ2504の電流は、遠位に前進するときのI型梁2514が受ける負荷に基づく。I型梁2514の力は、駆動部材120(図2)、発射部材220(図2)、I型梁2514(I型梁178、図20)、発射バー172(図2)上、及び/又は切断縁部2509の近位端上に歪みゲージを位置付けることによって判定され得る。I型梁2514の力は、所定の経過期間Tの後にモータ2504の現在の設定速度に基づいて予期される速度で移動するI型梁2514の実際の位置を監視し、経過期間Tの終了時のモータ2504の現在の設定速度に基づいてI型梁2514の予期される位置に対してI型梁2514の実際の位置を比較することによって、判定され得る。したがって、I型梁2514の実際の位置が、I型梁2514の予期される位置未満である場合、I型梁2514上の力は、公称力よりも大きい。逆に、I型梁2514の実際の位置が、I型梁2514の予期される位置を超過する場合、I型梁2514上の力は、公称力よりも小さい。I型梁2514の実際の位置と予期される位置との間の差は、公称力からのI型梁2514上の力の偏差に比例する。そのような技術は、代理人整理番号END8195USNPに説明されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
図14は、本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具2500のブロック図を例示する。一態様では、外科用器具2500は、I型梁2514などの変位部材1111の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具2500は、アンビル2516、I型梁2514(鋭い切断縁部2509を含む)、及び着脱可能なステープルカートリッジ2518を備え得るエンドエフェクタ2502を備える。エンドエフェクタ2502、アンビル2516、I型梁2514、及びステープルカートリッジ2518は、例えば、図1図13に関して本明細書に説明されるように構成され得る。
【0095】
I型梁2514などの直線変位部材1111の位置、移動、変位、及び/又は並進は、図10図12に示され、かつ図14の位置センサ2534として表されるように、絶対位置決めシステム1100、センサ配列1102、及び位置センサ1200によって測定され得る。I型梁2514が長手方向可動駆動部材120に連結されているため、I型梁2514の位置は、位置センサ2534を用いる長手方向可動駆動部材120の位置を測定することによって判定され得る。したがって、以下の説明では、I型梁2514の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に説明される位置センサ2534によって達成され得る。図5A及び図5Bに説明された制御回路700などの制御回路2510は、図10図12に関連して説明されたように、I型梁2514などの変位部材1111の並進を制御するようにプログラムされ得る。いくつかの例では、制御回路2510は、1つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、説明される方法で変位部材、例えば、I型梁2514を制御させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ回路2531は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路2510に提供して、位置センサ2534によって判定されたI型梁2514の位置をタイマー/カウンタ回路2531の出力と相関させ、その結果、制御回路2510は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるI型梁2514の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ回路2531は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数する、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0096】
制御回路2510は、モータ設定点信号2522を生成してもよい。モータ設定点信号2522は、モータコントローラ2508に提供されてもよい。モータコントローラ2508は、本明細書で説明するように、モータ2504にモータ駆動信号2524を提供してモータ2504を駆動するように構成された1つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの例では、モータ2504は、図1図5B図10に示されるモータ82、714、1120などのブラシ付きDC電気モータであってもよい。例えば、モータ2504の速度は、モータ駆動信号2524に比例してもよい。いくつかの例では、モータ2504は、ブラシレス直流(direct current、DC)電気モータであってもよく、モータ駆動信号2524は、モータ2504の1つ以上の固定子巻線に提供されるパルス幅変調(PWM)信号を含んでもよい。また、いくつかの例では、モータコントローラ2508は、省略されてもよく、制御回路2510がモータ駆動信号2524を直接生成してもよい。
【0097】
モータ2504は、エネルギ源2512から電力を受け取ることができる。エネルギ源2512は、電池、スーパーコンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギ源2512であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ2504は、伝達装置2506を介してI型梁2514に機械的に連結され得る。伝達装置2506は、モータ2504をI型梁2514に連結するための1つ以上のギヤ又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ2534は、I型梁2514の位置を感知し得る。位置センサ2534は、I型梁2514の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ2534は、I型梁2514が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路2510に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路2510は、パルスを追跡してI型梁2514の位置を判定してもよい。例えば、近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、I型梁2514の運動を示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの例では、位置センサ2534は省略されてもよい。モータ2504がステッパモータである場合、制御回路2510は、モータ2504が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、I型梁2514の位置を追跡することができる。位置センサ2534は、エンドエフェクタ2502内、又は器具の任意の他の部分に位置してもよい。
【0098】
制御回路2510は、1つ以上のセンサ2538と通信してもよい。センサ2538は、エンドエフェクタ2502上に位置付けられ、外科用器具2500と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ2538は、磁気センサ、磁場センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光センサ、及び/又はエンドエフェクタ2502の1つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ2538は、1つ以上のセンサを含んでもよい。
【0099】
1つ以上のセンサ2538は、クランプ状態の間のアンビル2516における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ2538は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ2538は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0100】
センサ2538は、閉鎖駆動システム30によってアンビル2516に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ以上のセンサ2538は、閉鎖管260(図3)によってアンビル2516に適用される閉鎖力を検出するために、閉鎖管260とアンビル2516との間の相互作用点に位置してもよい。アンビル2516に対して及ぼされる力は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に捕捉された組織切片によって経験される組織圧縮を表すものであり得る。1つ以上のセンサ2538は、閉鎖駆動システム30(図2)に沿った様々な相互作用点に位置付けられて、閉鎖駆動システム30によってアンビル2516に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ以上のセンサ2538は、図5A及び図5Bに説明されるように、プロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。プロセッサ2510は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、分析時間ベースの情報を提供し、アンビル2516に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0101】
モータ2504によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ2536を用いることができる。I型梁2514を前進させるために必要な力は、モータ2504によって引き込まれる電流に対応する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路2510に提供される。
【0102】
図1図14に関連して本明細書で開示される器具の物理的性質を用いて、かつ図14を参照すると、コントローラ2510が、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成され得る。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ2502内のI型梁2514を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具2500は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR、及び/又は適応コントローラが挙げられるが、これらに限定されない、任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。外科用器具2500は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、パルス幅変調(PWM)電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0103】
外科用器具2500の実際の駆動システムは、ギヤボックス、並びに関節運動及び/又はナイフシステムへの機械的リンクを備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材、又はI型梁2514を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフト組立体の、例えば、変位部材及び関節ドライバ動作させる電気モータ2504である。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理的システム上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。そのような外部影響は、電気モータ2504に反して作用する障害と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理的システムの動作を物理的システムの所望の動作から逸脱させることがある。
【0104】
外科用器具2500の態様を詳細に説明する前に、例示的な態様が、適用又は使用において、添付の図面及び明細書で例示される部品の構造及び構成の詳細に限定されないことに留意されたい。例示的な態様は、他の態様、変形形態、及び修正で実施される、又はそれらに組み込まれてもよく、様々な方法で実装又は実行されてもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な態様を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。更に、以下に記述される態様、態様の具現、及び/又は実施例のうち1つ以上を、以下に記述される他の態様、態様の具現、及び/又は実施例のうち任意の1つ以上と組み合わせることができるものと理解されたい。
【0105】
様々な例示的な態様が、モータ駆動式の外科用ステープル留め及び切断器具を有するエンドエフェクタ2502を備える外科用器具2500に関する。例えば、モータ2504は、エンドエフェクタ2502の長手方向軸に沿って遠位及び近位に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ2502は、枢動可能なアンビル2516と、使用のために構成されるときに、アンビル2516の反対側に位置付けられたステープルカートリッジ2518と、を備えてもよい。臨床医は、本明細書に説明されるように、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に組織を把持してもよい。器具2500を使用する準備が整うと、臨床医は、例えば、器具2500のトリガを押すことによって発射信号を提供してもよい。発射信号に応答して、モータ2504は、変位部材をエンドエフェクタ2502の長手方向軸に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。変位部材が遠位に並進すると、遠位端に位置付けられた切断要素を備えるI型梁2514は、ステープルカートリッジ2518とアンビル2516との間の組織を切断することができる。
【0106】
様々な例で、外科用器具2500は、1つ以上の組織状態に基づいて、例えば、I型梁2514などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた制御回路2510を備えてもよい。制御回路2510は、本明細書に記載されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路2510は、組織状態に基づいて発射制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路2510は、変位部材をより低速度で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路2510は、変位部材をより高速度で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。
【0107】
いくつかの例では、制御回路2510は、最初に、モータ2504を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分では開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の器具2500の応答に基づいて、制御回路2510は、発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ2504に提供されるエネルギ、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後、制御回路2510は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実装してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路2510は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ2504を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。
【0108】
図15は、本開示の一態様に従って実行される、2つの例示的な変位部材ストロークをプロットする図2580を例示する。図2580は、2つの軸を含む。水平軸2584は、経過時間を示す。垂直軸2582は、ストローク開始位置2586とストローク終了位置2588との間のI型梁2514の位置を示す。水平軸2584上で、制御回路2510は、発射信号を受信し、tで初期モータ設定値を提供し始め得る。変位部材ストロークの開ループ部分は、t~tで経過し得る初期期間である。
【0109】
第1の例2592は、厚い組織がアンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置付けられたときの外科用器具2500の応答を示す。変位部材ストロークの開ループ部分の間、例えば、t~tの初期期間中、I型梁2514は、ストローク開始位置2586から位置2594まで横断し得る。制御回路2510は、位置2594が、t(例えば、閉ループ部分内)の後の例2592の傾きによって示される、選択された一定速度(Vslow)でI型梁2514を前進させる発射制御プログラムに対応すると判定し得る。制御回路2510は、I型梁2514の位置を監視し、モータ設定点2522及び/又はモータ駆動信号2524を変調してVslowを維持することによって、I型梁2514を速度Vslowに駆動し得る。第2の例2590は、薄い組織がアンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置付けられたときの外科用器具2500の応答を示す。
【0110】
~tの初期期間(例えば、開ループ期間)中、I型梁2514は、ストローク開始位置2586から位置2596まで横断し得る。制御回路は、位置2596が、選択された一定速度(Vfast)で変位部材を前進させる発射制御プログラムに対応すると判定し得る。例2590の組織は、例2592の組織よりも薄いため、I型梁2514の運動により小さい抵抗を提供し得る。その結果、I型梁2514は、初期期間中に、ストロークのうちのより大きい部分を横断し得る。また、いくつかの例では、より薄い組織(例えば、初期期間中に変位部材ストロークのうちのより大きい部分が横断される)は、初期期間後のより高速な変位部材速度に対応し得る。
【0111】
本開示は、ここで、様々な状態に基づいてモータ速度を制御するための閉ループフィードバックシステムに移る。一態様では、電池状態に基づいてモータ速度を制御するための制御プログラム又は論理構成のプロセスの論理フロー図が、提供される。別の態様では、正常発射サイクル中の失速した状態に基づいてモータ速度を制御するための制御プログラム又は論理構成のプロセスの論理フロー図が提供される。別の態様では、手動モードにある間にモータ速度を制御するための制御プログラム又は論理構成のプロセスの論理フロー図が、提供される。別の態様では、正常発射サイクルの中の失速した状態に基づいてモータ速度を制御し、発射サイクルおける強制一時停止を実装するための制御プログラム又は論理構成のプロセスの論理フロー図が提供される。別の態様では、正常発射中の失速した状態に基づいてモータ速度を制御し、発射サイクルが再開されると、速度を1レベル低下させるための制御プログラム又は論理構成のプロセスの論理フロー図が、提供される。別の態様では、手動モードにおける正常発射サイクル中の失速した状態に基づいてモータ速度を制御し、発射サイクルが再開されると、速度を1レベル低下させるための制御プログラム又は論理構成のプロセスの論理フロー図が提供される。別の態様では、正常発射サイクル中の失速した状態に基づいてモータ速度を制御し、ユーザが発射トリガを解放するまで発射サイクルを一時停止するための制御プログラム又は論理構成を図示するプロセスの論理フロー図が、提供される。別の態様では、速度間における移行中にモータ速度を制御するための制御プログラム又は論理構成のプロセスの論理フロー図が提供される。これらの態様は、図16図23を参照して以下により詳細に説明される。
【0112】
モータ失速状態は、モータの回転出力がゼロに低下するときである。失速トルクは、出力回転速度がゼロであるときにモータによって生成されるトルクである。失速トルクはまた、モータの出力回転速度をゼロにする、即ち、失速させるトルク負荷を意味し得る。失速は、モータが回転を停止するときの状態である。この状態は、負荷トルクがモータシャフトトルクよりも大きいとき、即ち、トルク状態を破壊するときに生じる。この状態では、モータは、最大電流を引き出すが、モータシャフトは、回転しない。この電流は、失速電流と呼ばれる。電気モータは、失速時にトルクの提供を継続する。しかしながら、失速した状態のままの電気モータは、電流がこれらの状態において最大であるため、過熱し易く、損傷の可能性がある。電気モータが損傷を引き起こさずに失速されるときに長期的に生成し得る最大トルクは、最大連続失速トルクと呼ばれる。
【0113】
図14を参照すると、モータ失速状態は、様々な技術を使用して検出され得る。一態様では、モータ失速は、モータ2504に対するエネルギ源2512を監視することによって検出され得る。電圧が所定の閾値未満に低下した場合、それは、モータ失速状態を示し得る。別の態様では、モータ失速状態は、電流センサ2536によってモータ2504を通る電流を監視することによって検出され得る。電流センサ2536によって感知された電流が、所定の閾値を超えて、失速電流よりも大きい値まで上昇した場合、モータ2504は、失速した、又は失速している可能性がある。別の態様では、電流センサ2536は、モータ2504の接地脚と直列に配置され得る。別の態様では、モータ失速状態は、位置センサ2534によって監視される、I型梁2514などの変位部材の実際の変位に対して、モータ2504に印加される電流を監視することによって検出され得る。モータ電流が予期されるよりも大きく、失速電流の近傍である又はそれよりも大きく、かつ実際の速度がコマンド速度よりも低い場合、モータは、失速した、又は失速している可能性がある。モータ2504は、モータ失速状態が時宜的に補正されない場合、過熱による損傷を被る場合がある。
【0114】
したがって、ここで図16を参照すると、本開示の一態様による、電池状態に基づいてモータ速度を制御するための制御プログラム又は論理構成を図示する、プロセス11500の論理フロー図が例示されている。同様に図1図15、特に図14を参照すると、一態様では、制御回路2510は、電池能力を評価し、このフィードバックに基づいて変位部材(例えば、駆動部材120、発射部材220、発射バー172、I型梁2514など)の発射速度を調節するために、外科用器具2500が装填されたときの発射サイクルの一部分の間の電池の電圧を判定するために、エネルギ源2512を調べるように構成される。上述のように、変位部材の発射速度は、様々なフィードバック状態に基づいて制御回路2510によって制御される。制御回路2510は、変位部材の新しい速度を判定し、モータ設定点2522をモータ制御2508に適用し、次いで、モータ駆動信号2524をモータ2504に適用する。モータ2504の設定速度又はコマンド速度は、伝達装置2506に適用される。変位部材の実際の速度は、位置センサ2534、エネルギ源2512、電流センサ2536、タイマー/カウンタ2531、又はセンサ2538からの単独又は組み合わせのフィードバックに基づいて判定される。上述のように、変位部材の実際の速度に影響を及ぼし得る因子としては、組織の厚さ、組織、種類、又はシステム状態などの外部影響が挙げられる。電池過熱状態などの電池状態の判定は、発射速度を制御回路2510に通知する。一例として、制御回路2510は、最初の0.080インチ~0.12インチ(2ミリメートル~3ミリメートル)の間、及び一例では、変位部材の移動の0.09インチ(2.286ミリメートル)の間に(例えば、システムが装填されたとき)、電池内の/そこを通る、電圧、内部抵抗及び/又は電流を測定する。12V電池の電圧Vが9V未満である場合、電池の内部抵抗Rが閾値を上回る場合、又は電流Iが閾値を下回る場合、電池が過熱状態にある可能性が高い。制御回路2510は、発射サイクル全体に対して、発射速度を最も低速の設定値に即座に設定する。
【0115】
ここで図14及び図16を参照すると、プロセス11500によると、制御回路2510は、変位部材の発射サイクルを開始し(11502)、初期発射段階の間(例えば、位置センサ2534によって判定される最初の0.090インチの移動の間)、エネルギ源2512を連続的にサンプリングする(11504)。サンプリングされた電圧を閾値電圧と比較する(11506)。一例では、12Vエネルギ源2512について、閾値は、9Vに設定される。閾値は、システム電圧要件に適応するように調節され得る。サンプリングされた電圧が閾値電圧以上である場合、制御回路2510は、いいえの分岐に沿って進み、サンプリングされた電圧が閾値電圧未満になるまで発射サイクルを継続し(11508)、制御回路2510は、はいの分岐に沿って進み、制御回路2510は、ディスプレイ43、743(図2図5B図6)などのステータスインジケータを介して弱い電池状態を通信する(11510)。ステータスインジケータは、とりわけ、LED、ディスプレイ、ブザーとすることができる。弱い電池ステータスを通信すると(11510)、制御回路2510は、外科用器具2500装置が自動モードにあるかどうかを判定する(11512)。外科用器具2500が自動モードにある場合、制御回路2510は、はいの分岐に沿って進み、制御回路2510は、外科用器具2500を手動モードに転換し(11514)、モータ2504のコマンド速度を低速に低下させる(11516)。外科用器具2500が自動モードにない場合、制御回路2510は、いいえの分岐に沿って進み、制御回路2510は、モータ2504のコマンド速度を低速に低下させる(11516)。いくつかの態様では、低速コマンド速度は、10ミリメートル/秒未満であってもよく、いくつかの態様では、5ミリメートル/秒未満であってもよい。
【0116】
図17は、本開示の一態様による、正常発射サイクル中の失速した状態に基づいてモータ速度を制御するための制御プログラム又は論理構成を図示する、プロセス11520の論理フロー図である。一般に、モータが正常発射サイクル中に失速した場合、プロセス11520は、モータを、発射サイクルの残りに対して最も低速のモードで強制的に動作させる。したがって、モータが失速すると、残りのストロークは、低速で実行される。
【0117】
ここで図14及び図17を参照すると、プロセス11520によると、制御回路2510は、12ミリメートル/秒などの中速コマンド速度で変位部材の発射サイクルを開始する(11522)。発射サイクル中、制御回路2510は、モータ失速状態を確認し(11524)、モータが失速されていないと判定した場合(11526)、制御回路2510は、いいえの分岐に沿って進み、モータ2504が失速するまで発射サイクルを継続する(11532)。制御回路2510は、はいの分岐に沿って進み、コマンド速度を低速に低下させると(11528)、警告光又はディスプレイ43、743(図2図5B図6)などの他のインジケータによってステータスを示す(11530)。コマンド速度を低速に低下させると(11528)、制御回路2510は、モータ2504が失速する、又は変位部材がストローク終了に到達するまで、発射サイクルを継続し(11532)、失速を確認する(11524)。上述のように、低速コマンドモータ速度は、10ミリメートル/秒未満であってもよく、いくつかの態様では、5ミリメートル/秒未満であってもよい。この例では、コマンド速度は、9ミリメートル/秒に設定される。
【0118】
図18は、本開示の一態様による、手動モードにある間にモータ速度を制御するための制御プログラム又は論理構成を図示する、プロセス11540の論理フロー図である。一般に、外科用器具2500が手動モードにある間、モータは、失速するリスクがあり、制御回路は、警告を表示する。モータのコマンド速度がユーザによって一時停止又は低下されない場合、装置は、発射サイクルの残りについて、自動的に低速に入ることになる。したがって、外科用器具が手動モードにあり、かつ失速のリスクが制御回路によって検出される一方で、ユーザは、モータ失速を回避するためにコマンド速度を手動で調節する機会を与えられる。
【0119】
ここで図14及び図18を参照すると、プロセス11540に従って、制御回路2510は、ユーザから要求を受信すると、手動モードを選択し(11542)、変位部材の発射サイクルを開始する(11544)。発射サイクル中、制御回路2510は、モータ失速を確認し(11546)、制御回路2510が低速を検出しなかった(11548)、制御回路2510は、いいえの分岐に沿って進み、制御回路2510は、低速が検出されるまで(11548)、発射サイクルを継続する(11550)。低速が検出されたとき(11548)、制御回路2510は、はいの分岐に沿って進み、制御回路は、ディスプレイ43、743(図2図5B図6)、警告光、及びモータ速度を手動で低下させるためのある程度の時間をユーザに提供するようにカウントダウンタイマーを表示することによって、低速ステータスを示す(11552)。この期間は、例えば、数秒~最大10秒とすることができる。カウントダウンタイマーがタイムアウトした後、制御回路2510は、ユーザが、モータ2504の速度を手動で調節する、又はモータ2504を一時停止させるように選択したかどうかを判定する(11554)。ユーザが、モータ2504の速度を手動で調節する、又はモータ2504を一時停止するように選択した場合、制御回路2510は、はいの分岐に沿って進み、制御回路2510は、低速を検出し(11548)、プロセス11540は、ユーザがモータ2504の速度を手動で調節しない、又はモータ2504を一時停止させないことを選択するまで継続する。その時点で、制御回路2510は、いいえの分岐に沿って進み、モータ2504の速度を低速に低下させ(11556)、発射サイクルを継続する。プロセスは、変位部材がストローク終了に到達するまで継続する。上述のように、低速コマンドモータ速度は、10ミリメートル/秒未満であってもよく、いくつかの態様では、5ミリメートル/秒未満であってもよい。この例では、コマンド速度は、9ミリメートル/秒に低下される(11556)。
【0120】
図19は、本開示の一態様による、正常発射サイクル中の失速した状態に基づいてモータ速度を制御し、発射サイクルにおける強制一時停止を実装するための制御プログラム又は論理構成を図示する、プロセス11560の論理フロー図である。一般に、モータが正常発射サイクル中に失速すると、制御回路は、モータを停止させ、発射サイクルでの一時停止を矯正する。一時停止の持続時間は、失速時のモータのコマンド速度に依存する。例えば、より高速のモータ速度は、より長い一時停止を必要とし得る。したがって、モータが失速した場合、制御回路は、モータを停止させ、モータが失速時と同じ速度で再開できるようになるまで、一時停止を強制する。
【0121】
ここで図14及び図19を参照すると、プロセス11560によると、制御回路2510は、変位部材の発射サイクルを開始し(11562)、モータの現在の速度(例えば、低速:0<V<10ミリメートル/秒、中速:10ミリメートル/秒≦V≦12.5ミリメートル/秒、高速:12.5ミリメートル/秒<V<15ミリメートル/秒)を記憶し(11564)、モータ失速状態を確認する(11566)。制御回路2510は、次いで、モータ2504が失速したかどうかを判定する(11568)。モータ2504が失速した場合、制御回路は、いいえの分岐に沿って進み、制御回路2510は、発射サイクルを継続し(11570)、モータ2504が失速するまでモータ失速状態を確認する(11566)。制御回路2510は、次いで、はいの分岐に沿って進み、3つの状態を評価する。第1の評価は、モータ2504の前の速度が高速であったかどうかを判定し(11572)、高速であった場合、制御回路2510は、2秒以上5秒以下の遅延を設定し(11574)、記憶された速度で発射サイクルを継続する(11576)。同時に、制御回路2510は、ディスプレイ43、743(図2図5B図6)などの他のフィードバック技術の中でも、警告光を表示する又は示すことによって、外科用器具2500のステータスを示す(11578)。第2の評価は、モータ2504の前の速度が中速であったかどうかを判定し(11580)、中速であった場合、制御回路2510は、1秒以上2秒未満の遅延を設定し(11582)、記憶された速度で発射サイクルを継続する(11584)。同時に、制御回路2510は、ディスプレイ43、743などの他のフィードバック技術の中でも、警告光を表示する又は示すことによって、ステータスを示す(11586)。第3の評価は、モータ2504の前の速度が低速であったかどうかを判定し(11588)、低速であった場合、制御回路2510は、0~1秒の遅延、好ましくは、0~0.25秒の遅延を設定し(11590)、記憶された速度で発射サイクルを継続する(11592)。同時に、制御回路2510は、ディスプレイ43、743などの他のフィードバック技術の中でも、警告光を表示する又は示すことによって、ステータスを示す(11594)。プロセス11560は、変位部材がストローク終了に到達するまで継続する。
【0122】
図20は、本開示の一態様による、正常発射サイクル中の失速した状態に基づいてモータ速度を制御し、発射サイクルが再開されると、速度を1レベル低下させるための制御プログラム又は論理構成を図示する、プロセス11600の論理フロー図である。一般に、モータが正常発射サイクル中に失速したとき、モータの速度は、発射サイクルが再開されると、現在のモータ速度の1レベル下に低下される。モータ速度が既に最も低速である場合、最も低速で発射サイクルを再開する前に、所定の持続時間の強制一時停止が必要とされる。したがって、モータが失速した場合、制御回路は、モータ速度を、記憶された速度の1レベル下に減速させる。
【0123】
ここで図14及び図20を参照すると、プロセス11600によると、制御回路2510は、変位部材の発射サイクルを開始し(11602)、モータの現在の速度(例えば、低速:V<10ミリメートル/秒、中速:10ミリメートル/秒≦V≦12.5ミリメートル/秒、高速:V>12.5ミリメートル/秒)を記憶し(11604)、モータ失速状態を確認する(11606)。制御回路2510は、次いで、モータ2504が失速したかどうかを判定する(11608)。モータ2504が失速した場合、制御回路2510は、いいえの分岐に沿って進み、制御回路2510は、発射サイクルを継続し(11610)、モータ2504が失速するまでモータ失速状態を確認する(11606)。制御回路2510は、次いで、はいの分岐に沿って進み、3つの状態を評価する。第1の評価は、モータ2504の前の速度が高速であったかどうかを判定し(11612)、高速であった場合、制御回路2510は、モータ2504の速度を中速に自動調節し(11614)、新しい中速で発射サイクルを再開する(11602)。同時に、制御回路2510は、ディスプレイ43、743(図2図5B図6)などの他のフィードバック技術の中でも、警告光を表示する又は示すことによって、外科用器具2500のステータスを示す(11616)。第2の評価は、モータ2504の前の速度が中速であったかどうかを判定し(11618)、中速であった場合、制御回路2510は、モータ2504の速度を低速に自動調節し(11620)、新しい低速で発射サイクルを再開する(11602)。同時に、制御回路2510は、ディスプレイ43、743などの他のフィードバック技術の中でも、警告光を表示する又は示すことによって、ステータスを示す(11622)。第3の評価は、モータ2504の前の速度が低速であったかどうかを判定し(11624)、低速場合、制御回路2510は、所定の持続時間の一時停止を強制する(11626)。所定の一時停止後、制御回路2510は、低速で発射サイクルを再開する(11602)。同時に、制御回路2510は、ディスプレイ43、743などの他のフィードバック技術の中でも、警告光を表示する又は示すことによって、ステータスを示す(11628)。プロセス11600は、変位部材がストローク終了に到達するまで継続する。
【0124】
図21は、本開示の一態様による、手動モードにおける正常発射サイクル中の失速した状態に基づいてモータ速度を制御し、発射サイクルが再開されると、速度を1レベル低下させるための制御プログラム又は論理構成を図示する、プロセス11630の論理フロー図である。一般に、モータが、手動モードにある間に正常発射サイクル中に失速したとき、制御回路は、発射サイクルが再開されると、モータの速度を1レベル低下させる。既に最も低速であった場合、制御回路は、最も低速で発射サイクルを再開する前に、所定の持続時間の一時停止を強制する。ユーザは、失速が発生した速度よりも遅い速度のみを発射サイクルの残りに対して選択することができる。したがって、モータが手動モードにある間に失速した場合、制御回路は、モータの速度を1レベル低下させ、前のより高速のモータ速度を締め出す。
【0125】
ここで図14及び図21を参照すると、プロセス11630によると、制御回路2510は、変位部材の発射サイクルを開始し(11632)、モータの現在の速度(例えば、低速:V<10ミリメートル/秒、中速:10ミリメートル/秒≦V≦12.5ミリメートル/秒、高速:V>12.5ミリメートル/秒)を記憶し(11634)、モータ失速状態を確認する(11636)。制御回路2510は、次いで、モータ2504が失速したかどうかを判定する(11638)。モータ2504が失速した場合、制御回路2510は、いいえの分岐に沿って進み、制御回路2510は、発射サイクルを継続し(11640)、モータ2504が失速するまでモータ失速状態を確認する(11636)。制御回路2510は、次いで、はいの分岐に沿って進み、3つの状態を評価する。第1の評価は、モータ2504の前の速度が高速であったかどうかを判定し(11642)、高速であった場合、制御回路2510は、速度を中速に低下させ(11644)、高速を無効化、抑制、又は阻止する。制御回路2510は、高速を阻止しながら、新しい中速で発射サイクルを再開する(11632)。制御回路2510は、他のフィードバック技術の中でも、警告光を表示する又は示すことによって、外科用器具2500のステータスを示し得る。第2の評価は、モータ2504の前の速度が中速であったかどうかを判定し(11646)、中速であった場合、制御回路2510は、モータ2504の速度を低速に低下させ(11648)、中速及び高速を無効化、抑制、又は阻止する。制御回路2510は、中速及び高速を阻止しながら、新しい低速で発射サイクルを再開する(11632)。制御回路2510は、他のフィードバック技術の中でも、警告光を表示する又は示すことによってステータスを示し得る。第3の評価は、モータ2504の前の速度が低速であったかどうかを判定し(11650)、真である場合、制御回路2510は、所定の持続時間の一時停止を強制する(11652)。所定の一時停止後、制御回路2510は、モータ失速が発生した低速よりも遅い速度で、発射サイクルの残りに対して発射サイクルを再開する(11632)。同時に、制御回路2510は、他のフィードバック技術の中でも、警告光を表示する又は示すことによってステータスを示す(11628)。プロセス11600は、変位部材がストローク終了に到達するまで継続する。
【0126】
図22は、本開示の一態様による、正常発射サイクル中の失速した状態に基づいてモータ速度を制御し、ユーザが発射トリガを解放するまで発射サイクルを一時停止するための制御プログラム又は論理構成を図示する、プロセス11660の論理フロー図である。一般に、モータが正常発射サイクル中に失速したとき、制御回路は、ユーザ(例えば、外科医)がトリガを解放するまで一時停止させる。発射サイクルが再開されると、制御回路は、モータ失速が発生した同一コマンド速度で再開する。
【0127】
ここで図14及び図22を参照すると、プロセス11660によると、制御回路2510は、変位部材の発射サイクルを開始し(11622)、モータ失速を確認する(11664)。モータが失速されていない場合(11666)、制御回路2510は、いいえの分岐に沿って進み、モータ2504が失速するまでモータ失速を確認する(11664)。モータ失速が存在する場合、制御回路2510は、はいの分岐に沿って進み、モータ2504を一時停止させ(11668)、発射サイクルを停止させる。制御回路2510は、ディスプレイ43、743(図2図5B図6)上のモータ失速状態のステータス及び警告を示し、ユーザ(例えば、外科医)にトリガを解放するように指示する(11674)。制御回路2510は、次いで、トリガが解放されたかどうかを判定し(11672)、トリガが解放されるまで、いいえの分岐に沿って進む。制御回路2510は、次いで、はいの分岐に沿って進み、モータ2504が失速する、又は変位部材がストローク終了に到達するまで、発射サイクルを継続する(11670)。
【0128】
図23は、本開示の一態様による、速度間における移行中にモータ速度を制御するための制御プログラム又は論理構成を図示する、プロセス11680の論理フロー図である。一般に、時間、距離、又は速度に基づく制御スキームの間、1つの速度から別の速度への移行は、次の比較の目標値に影響を与える可能性が高い。主にコマンド速度の変化に起因してトリガされる一定速度の変化を回避するために、最新の速度変化の直後のゾーンは、考慮から除外される。一態様では、戻り速度は、常に最高速度である。
【0129】
ここで図14及び図23を参照すると、プロセス11680によると、制御回路2510は、変位部材の発射サイクルを開始し(11682)、変位部材が速度の変化の比較のために目標に到達するまで、位置センサ2534に基づいて変位部材の位置を監視する(11684)。変位部材が目標比較位置に到達すると、制御回路2510は、前のゾーンが速度の変化を開始したかどうかを判定する(11686)。前のゾーンが速度の変化を開始した場合、制御回路2510は、はいの分岐に沿って進み、現在のコマンド速度で発射を継続し(11688)、変位部材が比較のために目標に到達したかどうかを監視する(11684)。このプロセスは、前のゾーンが速度の変化を開始しなかったと制御回路2510が判定する(11686)まで継続する。制御回路2510は、いいえの分岐に沿って進み、変位部材の予期される速度値を変位部材の実際の速度値と比較する(11690)。制御回路2510は、比較11690の結果に基づいて、次のゾーンのモータ2504の新しいコマンド速度を設定する(11692)。モータ2504の新しいコマンド速度を設定した後(11692)、制御回路は、変位部材が最終ゾーンに位置するかどうかを判定する(11694)。変位部材が最終ゾーンに位置していない場合、制御回路2510は、いいえの分岐に沿って進み、新しいコマンド速度での発射を継続し、このプロセスは、変位部材が最終ゾーン内に位置するまで継続する。この時点で、制御回路2514は、変位部材がストローク終了に到達するまで発射を継続する(11696)。そうでなければ、制御回路2510は、現在のコマンド速度で変位部材の発射を継続する(11688)。
【0130】
本明細書に説明される機能又はプロセス11500、11520、11540、11560、11600、11630、11660、11680は、図5及び図6に関連して説明された制御回路700、図7図9に説明された回路800、810、820、図10及び図12に関連して説明されたマイクロコントローラ1104、及び/又は図14に説明された制御回路2510などの、本明細書に説明された処理回路のいずれかによって実行され得る。
【0131】
モータ式外科用器具の態様は、本明細書に開示される具体的な詳細を伴わずに実施されてもよい。いくつかの態様は、詳細ではなくブロック図として示されている。本開示の一部は、コンピュータメモリに記憶されたデータに対して動作する命令に関して提示され得る。アルゴリズムとは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、記憶、伝達、結合、比較及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をとることができる物理量の操作を指す。これらの信号は、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数字と称され得る。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、またこれらの量に適用される好都合な標識であるに過ぎない。
【0132】
概して、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる、本明細書で説明される態様を、様々な種類の「電気回路」から構成されるものと見なすことができる。結果として、「電気回路」は、少なくとも1つの個々の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムで構成された汎用コンピューティングデバイス(例えば、汎用コンピュータ、又は、本明細書で説明したプロセス及び/若しくはデバイスを少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムで構成されたプロセッサ)を形成する電気回路、メモリデバイスを形成する(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)電気回路、及び/又は、通信デバイス(例えばモデム、通信スイッチ、又は光学電気機器)を形成する電気回路を含む。これらの態様は、アナログ形態若しくはデジタル形態、又はそれらの組み合わせで実装されてもよい。
【0133】
上記の説明は、1つ以上の機能及び/又は動作を含み得る、ブロック図、フローチャート、及び/又は例を使用することによって、装置及び/又はプロセスの態様を明らかにしてきた。そのようなブロック図、フローチャート、又は例内の各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの実質的に任意の組み合わせによって、個々に及び/又は集合的に実装され得る。一態様では、本明細書に説明される主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、プログラマブル論理装置(Programmable Logic Device、PLD)、回路、レジスタ及び/若しくはソフトウェア構成要素、例えば、プログラム、サブルーチン、論理並びに/若しくはハードウェア及びソフトウェア構成要素の組み合わせ、論理ゲート、又は他の統合形式を介して実装され得る。本明細書で開示される形態のいくつかの態様は、1台以上のコンピュータ上で稼働する1つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台又は2台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ以上のプログラムとして)、1つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ以上のプログラムとして(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、あるいは、それらの実質的に任意の組み合わせとして、集積回路において等価に実装することができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれる。
【0134】
開示される主題の機構は、多様な形態のプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に説明される主題の例示的な態様は、配布を実際に行うために使用される信号搬送媒体の特定の種類にかかわらず当てはまる。信号搬送媒体の例としては、記録可能型の媒体、例えば、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(Compact Disc、CD)、デジタルビデオディスク(Digital Video Disk、DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなど、並びに伝送型の媒体、例えば、デジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク(例えば、送信機、受信機、送信論理、受信論理など)が挙げられる。
【0135】
これらの態様の上述の説明は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。これらの態様は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、態様を修正形態と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され説明されるものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0136】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
【0137】
実施例1.外科用器具であって、複数の予め画定されたゾーンにわたって外科用器具内で並進するように構成された変位部材と、エネルギ源と、変位部材に連結されて変位部材を並進させるモータとエネルギ源及びモータに連結された制御回路と、制御回路に連結された位置センサであって、位置センサは、変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、を備え、制御回路は、エネルギ源に対する所定の電気負荷で変位部材の発射を開始することであって、所定の電気負荷は、モータに印加されて、変位部材を作動させる、開始することと、位置センサを介して変位部材の位置を監視することと、変位部材の移動の第1の間隔中にエネルギ源の電圧を連続的にサンプリングすることと、サンプリングされた電圧を閾値電圧と比較することと、サンプリングされた電圧が閾値電圧以上であるときに、第1の速度での変位の発射を継続すること、又はサンプリングされた電圧が閾値電圧未満であるときに、第1の速度を調節することと、を行うように構成されている、外科用器具。
【0138】
実施例2.サンプリングされた電圧が閾値電圧未満であるときに、制御回路は、外科用器具が自動モードにあるか手動モードにあるかを判定するように更に構成されている、実施例1に記載の外科用器具。
【0139】
実施例3.外科用器具が自動モードにあるときに、制御回路は、外科用器具の動作を手動モードに転換するように更に構成されている、実施例2に記載の外科用器具。
【0140】
実施例4.制御回路は、コマンド速度を第2の速度に低下させるように更に構成されており、第2の速度は、第1の速度よりも遅い、実施例3に記載の外科用器具。
【0141】
実施例5.第2の速度は、ゼロを超え、かつ10ミリメートル/秒未満である、実施例4に記載の外科用器具。
【0142】
実施例6.第1の間隔は、2mm~3mmである、実施例1~実施例5に記載の外科用器具。
【0143】
実施例7.制御回路は、サンプリングされた電圧が閾値電圧未満であるときに、エネルギ源のステータスを通信するように構成されている、実施例1~実施例6に記載の外科用器具。
【0144】
実施例8.外科用器具であって、外科用器具内で並進するように構成された変位部材と、シャフトを含み、変位部材に連結されて変位部材を並進させるモータと、モータに連結された制御回路と、を備え、制御回路は、第1の速度に設定されたコマンド速度での変位部材の発射を開始することであって、コマンド速度は、モータに適用された速度である、開始することと、モータ失速状態を確認することと、モータが失速されていないときに、第1の速度での変位の発射を継続すること、又はコマンド速度を第2の速度に低下させることであって、第2の速度は、第1の速度よりも遅い、低下させることと、を行うように構成されている、外科用器具。
【0145】
実施例9.第1の速度は、10ミリメートル/秒~12ミリメートル/秒であり、第2の速度は、9ミリメートル/秒未満である、実施例8に記載の外科用器具。
【0146】
実施例10.制御回路は、モータ失速警告を示すように構成されている、実施例8及び実施例9に記載の外科用器具。
【0147】
実施例11.制御回路は、受信された入力に基づいて、外科用器具を手動モードに設定することと低速のモータ速度状態を検出することと、所定の期間にわたって、低速のモータ速度状態を示すことと、手動コマンド速度調節又は一時停止を監視することと、手動コマンド速度調節又は一時停止が検出されないときに、コマンド速度を低下させることと、を行うように構成されている、実施例10に記載の外科用器具。
【0148】
実施例12.制御回路は、現在のコマンド速度を高速、中速、又は低速としてメモリ内に記憶するように構成されており、高速は中速よりも速く、中速は低速よりも速く、モータ失速状態が検出されたときに、制御回路は、記憶されたコマンド速度が高速であるときに、第1の遅延の間、モータを一時停止させ、高速での変位部材の発射を継続すること、記憶されたコマンド速度が中速であるときに、第2の間、モータを一時停止させ、中速での変位部材の発射を継続すること、又は記憶されたコマンド速度が低速であるときに、第3の遅延の間、モータを一時停止させ、低速での変位部材の発射を継続すること、を行うように構成され、第1の遅延は第2の遅延よりも長く、第2の遅延は第3の遅延よりも長い、実施例8~実施例11に記載の外科用器具。
【0149】
実施例13.低速は、ゼロを超え、かつ10ミリメートル/秒未満であり、中速は、10ミリメートル/秒以上、かつ12.5ミリメートル/秒以下であり、高速は、12.5ミリメートル/秒を超え、かつ15ミリメートル/秒未満である、実施例12に記載の外科用器具。
【0150】
実施例14.第1の遅延は、2秒以上かつ5秒未満であり、第2の遅延は、1秒以上かつ2秒未満であり、第3の遅延は、0を超え、かつ1秒未満である、実施例12及び実施例13に記載の外科用器具。
【0151】
実施例15.制御回路は、現在のコマンド速度を高速、中速、又は低速としてメモリ内に記憶するように構成されており、高速は中速よりも速く、中速は低速よりも速く、モータ失速状態が検出されたときに、制御回路は、記憶されたコマンド速度が高速であるときに、コマンド速度を中速に自動調節することと、記憶されたコマンド速度が中速であるときに、コマンド速度を低速に自動調節することと、記憶されたコマンド速度が低速であるときに、モータを一時停止させることと、を行うように構成されている、実施例8~実施例14に記載の外科用器具。
【0152】
実施例16.制御回路は、発射を一時停止させ、現在のコマンド速度を高速、中速、又は低速としてメモリ内に記憶するように構成されており、高速は中速よりも速く、中速は低速よりも速く、モータ失速状態が検出されたときに、制御回路は、記憶されたコマンド速度が高速であるときに、コマンド速度を中速に低下させ、高速を抑制することと、記憶されたコマンド速度が中速であるときに、コマンド速度を低速に低下させ、中速及び高速を抑制することと、記憶されたコマンド速度が低速であるときに、モータを一時停止させることと、を行うように構成されている、実施例8~実施例15に記載の外科用器具。
【0153】
実施例17.モータ失速状態が検出されたときに、制御回路は、モータを一時停止させることと、モータ失速の警告を示し、トリガを解放するようにユーザに指示することと、トリガの解放を監視することと、トリガが解放されたときに、変位部材の発射を継続することと、を行うように構成されている、実施例8~実施例16に記載の外科用器具。
【0154】
実施例18.外科用器具であって、複数の予め画定されたゾーンにわたって外科用器具内で並進するように構成された変位部材と、エネルギ源と、変位部材に連結されて変位部材を並進させるモータとエネルギ源及びモータに連結された制御回路と、制御回路に連結された位置センサであって、位置センサは、変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、を備え、制御回路は、第1の速度に設定されたコマンド速度での変位部材の発射を開始することであって、コマンド速度は、モータに適用された速度である、開始することと、変位部材が比較のための目標位置に到達するまで、現在のゾーンの変位部材の位置を監視することと、変位部材が目標位置に到達したときに、コマンド速度の変化が、現在のゾーンの前に、前のゾーンで開始されたかどうかを判定することと、コマンド速度の変化が前のゾーンで開始されたときに、コマンド速度での変位部材の発射を継続することと、を行うように構成されている、外科用器具。
【0155】
実施例19.コマンド速度の変化が前のゾーンで開始されなかったときに、制御回路は、変位部材の予期される速度を変位部材の実際の速度と比較することと、比較の結果に基づいてコマンド速度を調節することと、を行うように構成されている、実施例18に記載の外科用器具。
【0156】
実施例20.制御回路は、変位が最終ゾーンにあるときを判定することと、ストローク終了に到達するまで変位部材の発射を継続することと、を行うように構成されている、実施例19に記載の外科用器具。
【0157】
実施例21.制御回路は、変位部材が最終ゾーンにないときに、現在のコマンド速度での変位部材の発射を継続するように構成されている、実施例19及び実施例20に記載の外科用器具。
【0158】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
複数の予め画定されたゾーンにわたって前記外科用器具内で並進するように構成された変位部材と、
エネルギ源と、
前記変位部材に連結されて前記変位部材を並進させるモータと、
前記エネルギ源及び前記モータに連結された制御回路と、
前記制御回路に連結された位置センサであって、前記位置センサは、前記変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、を備え、
前記制御回路は、
前記エネルギ源に対する所定の電気負荷で前記変位部材の発射を開始することであって、前記所定の電気負荷は、前記モータに印加されて、前記変位部材を作動させる、開始することと、
前記位置センサを介して前記変位部材の前記位置を監視することと、
前記変位部材の移動の第1の間隔中に前記エネルギ源の電圧を連続的にサンプリングすることと、
前記サンプリングされた電圧を閾値電圧と比較することと、
前記サンプリングされた電圧が前記閾値電圧以上であるときに、第1の速度での前記変位の発射を継続すること、
又は
前記サンプリングされた電圧が前記閾値電圧未満であるときに、前記第1の速度を調節することと、
を行うように構成されている、外科用器具。
(2) 前記サンプリングされた電圧が前記閾値電圧未満であるときに、前記制御回路は、前記外科用器具が自動モードにあるか手動モードにあるかを判定するように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記外科用器具が前記自動モードにあるときに、前記制御回路は、前記外科用器具の動作を前記手動モードに転換するように更に構成されている、実施態様2に記載の外科用器具。
(4) 前記制御回路は、コマンド速度を第2の速度に低下させるように更に構成されており、前記第2の速度は、前記第1の速度よりも遅い、実施態様3に記載の外科用器具。
(5) 前記第2の速度は、ゼロを超え、かつ10ミリメートル/秒未満である、実施態様4に記載の外科用器具。
【0159】
(6) 前記第1の間隔は、2mm~3mmである、実施態様1に記載の外科用器具。
(7) 前記制御回路は、前記サンプリングされた電圧が前記閾値電圧未満であるときに、前記エネルギ源のステータスを通信するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(8) 外科用器具であって、
前記外科用器具内で並進するように構成された変位部材と、
シャフトを含み、前記変位部材に連結されて前記変位部材を並進させるモータと、
前記モータに連結された制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
第1の速度に設定されたコマンド速度での前記変位部材の発射を開始することであって、前記コマンド速度は、前記モータに適用された速度である、開始することと、
モータ失速状態を確認することと、
前記モータが失速されていないときに、前記第1の速度での前記変位の発射を継続すること、
又は
前記コマンド速度を第2の速度に低下させることであって、前記第2の速度は、前記第1の速度よりも遅い、低下させることと、
を行うように構成されている、外科用器具。
(9) 前記第1の速度は、10ミリメートル/秒~12ミリメートル/秒であり、前記第2の速度は、9ミリメートル/秒未満である、実施態様8に記載の外科用器具。
(10) 前記制御回路は、モータ失速警告を示すように構成されている、実施態様8に記載の外科用器具。
【0160】
(11) 前記制御回路は、
受信された入力に基づいて、前記外科用器具を手動モードに設定することと、
低速のモータ速度状態を検出することと、
所定の期間にわたって、前記低速のモータ速度状態を示すことと、
手動コマンド速度調節又は一時停止を監視することと、
前記手動コマンド速度調節又は一時停止が検出されないときに、前記コマンド速度を低下させることと、
を行うように構成されている、実施態様10に記載の外科用器具。
(12) 前記制御回路は、
現在のコマンド速度を高速、中速、又は低速としてメモリ内に記憶するように構成されており、前記高速は前記中速よりも速く、前記中速は前記低速よりも速く、
前記モータ失速状態が検出されたときに、前記制御回路は、
前記記憶されたコマンド速度が高速であるときに、第1の遅延の間、前記モータを一時停止させ、前記高速での前記変位部材の発射を継続すること、
前記記憶されたコマンド速度が中速であるときに、第2の間、前記モータを一時停止させ、前記中速での前記変位部材の発射を継続すること、
又は
前記記憶されたコマンド速度が低速であるときに、第3の遅延の間、前記モータを一時停止させ、前記低速での前記変位部材の発射を継続すること、
を行うように構成され、前記第1の遅延は前記第2の遅延よりも長く、前記第2の遅延は前記第3の遅延よりも長い、
実施態様8に記載の外科用器具。
(13) 前記低速は、ゼロを超え、かつ10ミリメートル/秒未満であり、
前記中速は、10ミリメートル/秒以上、かつ12.5ミリメートル/秒以下であり、
前記高速は、12.5ミリメートル/秒を超え、かつ15ミリメートル/秒未満である、
実施態様12に記載の外科用器具。
(14) 前記第1の遅延は、2秒以上かつ5秒未満であり、
前記第2の遅延は、1秒以上かつ2秒未満であり、
前記第3の遅延は、0を超え、かつ1秒未満である、
実施態様12に記載の外科用器具。
(15) 前記制御回路は、
現在のコマンド速度を高速、中速、又は低速としてメモリ内に記憶するように構成されており、前記高速は前記中速よりも速く、前記中速は前記低速よりも速く、
前記モータ失速状態が検出されたときに、前記制御回路は、
前記記憶されたコマンド速度が前記高速であるときに、前記コマンド速度を前記中速に自動調節することと、
前記記憶されたコマンド速度が前記中速であるときに、前記コマンド速度を前記低速に自動調節することと、
前記記憶されたコマンド速度が前記低速であるときに、前記モータを一時停止させることと、
を行うように構成されている、実施態様8に記載の外科用器具。
【0161】
(16) 前記制御回路は、
前記発射を一時停止させ、現在のコマンド速度を高速、中速、又は低速としてメモリ内に記憶するように構成されており、前記高速は前記中速よりも速く、前記中速は前記低速よりも速く、
前記モータ失速状態が検出されたときに、前記制御回路は、
前記記憶されたコマンド速度が前記高速であるときに、前記コマンド速度を前記中速に低下させ、前記高速を抑制することと、
前記記憶されたコマンド速度が前記中速であるときに、前記コマンド速度を前記低速に低下させ、前記中速及び前記高速を抑制することと、
前記記憶されたコマンド速度が前記低速であるときに、前記モータを一時停止させることと、
を行うように構成されている、実施態様8に記載の外科用器具。
(17) 前記モータ失速状態が検出されたときに、前記制御回路は、
前記モータを一時停止させることと、
モータ失速の警告を示し、トリガを解放するようにユーザに指示することと、
前記トリガの解放を監視することと、
前記トリガが解放されたときに、前記変位部材の前記発射を継続することと、
を行うように構成されている、実施態様8に記載の外科用器具。
(18) 外科用器具であって、
複数の予め画定されたゾーンにわたって前記外科用器具内で並進するように構成された変位部材と、
エネルギ源と、
前記変位部材に連結されて前記変位部材を並進させるモータと、
前記エネルギ源及び前記モータに連結された制御回路と、
前記制御回路に連結された位置センサであって、前記位置センサは、前記変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、を備え、
前記制御回路は、
第1の速度に設定されたコマンド速度での前記変位部材の発射を開始することであって、前記コマンド速度は、前記モータに適用された速度である、開始することと、
前記変位部材が比較のための目標位置に到達するまで、現在のゾーンの前記変位部材の前記位置を監視することと、
前記変位部材が前記目標位置に到達したときに、前記コマンド速度の変化が、前記現在のゾーンの前に、前のゾーンで開始されたかどうかを判定することと、
前記コマンド速度の変化が前記前のゾーンで開始されたときに、前記コマンド速度での前記変位部材の前記発射を継続することと、
を行うように構成されている、外科用器具。
(19) 前記コマンド速度の変化が前記前のゾーンで開始されなかったときに、前記制御回路は、
前記変位部材の予期される速度を前記変位部材の実際の速度と比較することと、
前記比較の結果に基づいて前記コマンド速度を調節することと、
を行うように構成されている、実施態様18に記載の外科用器具。
(20) 前記制御回路は、
前記変位が最終ゾーンにあるときを判定することと、
ストローク終了に到達するまで前記変位部材の前記発射を継続することと、
を行うように構成されている、実施態様19に記載の外科用器具。
【0162】
(21) 前記制御回路は、前記変位部材が前記最終ゾーンにないときに、前記現在のコマンド速度での前記変位部材の前記発射を継続するように構成されている、実施態様19に記載の外科用器具。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23