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特許7184823ウォッシュコート懸濁液の非接触レベリング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ウォッシュコート懸濁液の非接触レベリング
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/02 20060101AFI20221129BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B01J37/02 301D
B01J35/04 301E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019571664
(86)(22)【出願日】2018-07-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-03
(86)【国際出願番号】 EP2018068199
(87)【国際公開番号】W WO2019008082
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】102017115138.9
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501399500
【氏名又は名称】ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D-63457 Hanau,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・コッホ
(72)【発明者】
【氏名】アストリット・ミューラー
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/007370(WO,A1)
【文献】特開平10-229028(JP,A)
【文献】特表2002-506720(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0128354(US,A1)
【文献】米国特許第04066801(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/73
53/86-53/90
53/94
53/96
B01J 21/00-38/74
F01N 3/00
3/02
3/04-3/38
9/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロースルー型又はウォールフロー型の基材モノリスをウォッシュコート懸濁液を用いてコーティングするための方法であって、
前記ウォッシュコート懸濁液は、第1の工程で直立基材モノリスの一端に上方から塗布され、
ガスによって伝達される圧力の形の剪断力のみが、後続の工程において、前記直立基材モノリスの一端の上方に存在している前記ウォッシュコート懸濁液の表面に作用することにより、前記表面を非接触でレベリング
前記ウォッシュコート懸濁液は、その後、前記基材モノリスに吸い込まれかつ/又は押し込まれる、
ことを含む方法。
【請求項2】
剪断力が、連続ガス流、脈動ガス流、又はこれらの混合物からなる群から選択されることによって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガスが前記ウォッシュコート懸濁液に作用する圧力は、作用の持続時間中に連続的に又は段階的に低減される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ガス又は音の結果として作用する圧力は、前記ウォッシュコート懸濁液の降伏値よりも大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記圧力は、音波(又は圧力波)発生器からの脈動ガス/空気流によって生成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記圧力は、周波数約18,000Hz~約90,000Hzの超音波によって生成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記圧力は、超音波によって約0.1秒~約60秒の間生成される、請求項5又は請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記圧力は、空気ノズルからのガス/空気流によって生成される請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ウォッシュコート懸濁液は、0.01~100Pasの粘度を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記基材モノリス上の前記ウォッシュコート懸濁液は、0.5~15cmの厚さを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
フロースルー型又はウォールフロー型の基材モノリスをウォッシュコート懸濁液を用いてコーティングするための装置であって、
前記基材モノリスを直立位置にロックするためのユニットと、
ある量のウォッシュコート懸濁液を上方から前記直立基材モノリスに塗布するためのユニットと、
空気又はガスによって伝達される圧力の形で前記ウォッシュコート懸濁液の表面に剪断力を生成するためのユニットと
を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置。
【請求項12】
ウォッシュコート懸濁液が前記圧力の作用中に前記基材モノリスの外側を流れ落ちることができないように、前記基材モノリスの周囲にカラーを形成するユニットを有する、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車排気ガス触媒の基材をコーティングするためのプロセス及び装置に関する。本発明は、より詳細には、触媒活性材料を含有する懸濁液(ウォッシュコート)を、そのような基材(基材モノリス)に上方から塗布する、そのようなコーティングプロセス(いわゆる「計量された充填」プロセス)の改善について述べる。
【背景技術】
【0002】
自動車における燃焼機関の排気ガスは、典型的には、有害なガスである一酸化炭素(CO)と炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)及び場合により硫黄酸化物(SO)、ならびに、すす残留物及び場合により粘着性の有機凝集物から主になる粒子を含有する。これらは、一次排出物と呼ばれる。CO、HC、及び粒子は、エンジンの燃焼室内の燃料の不完全燃焼により生じる。窒素酸化物は、燃焼温度が1400℃を局所的に超えるとき、吸気中の窒素及び酸素からシリンダー内に形成される。硫黄酸化物は、有機硫黄化合物の燃焼に起因し、その少量は非合成燃料中に常に存在する。自動車の排気ガスから、健康及び環境にとって有害なこれらの排出物を除去するため、排気ガスを浄化するための様々な触媒技術が開発されており、その基本原理は、通常、浄化すべき排気ガスを、触媒活性コーティングが塗布されたフロースルー型又はウォールフロー型のハニカム体又はモノリスを通して案内することに基づいている。この触媒は、二酸化炭素(CO)や水などの無害な生成物を形成しつつ、様々な排気ガス成分の化学反応を促進する。
【0003】
上記のこのフロースルー型又はウォールフロー型モノリスは、したがって、その表面上又は表面を形成する細孔内に触媒活性コーティングを担持することから、触媒基材、基材、又は基材モノリスとも呼ばれる。触媒活性コーティングは、多くの場合、いわゆるコーティング工程で懸濁液の形で触媒基材に塗布される。多くのこのようなプロセスは、過去に自動車排ガス触媒コンバータ製造業者によって公開されている(欧州特許第1064094(B1)号、同第2521618(B1)号、国際公開第10015573(A2)号、欧州特許第1136462(B1)号)。
【0004】
米国特許第6478874号は、ウォッシュコート懸濁液を基材モノリスのチャネルを通じて上方に引き上げるために真空を使用することについて述べている。米国特許第4609563号は、また、基材の触媒コーティングのために計量された充填システムが使用されるプロセスを記述している。このシステムは、真空を使用し、正確に制御された所定量のウォッシュコート懸濁液によってセラミックのモノリシック基材をコーティングするプロセス(以下、「計量された充填プロセス」)を含む。モノリシック基材は、定量的に決定された分量のウォッシュコート懸濁液に浸漬される。次いで、ウォッシュコート懸濁液が基材モノリスに真空を使用して引き込まれる。しかしながら、この場合、モノリシック基材内のチャネルのコーティングプロファイルが一様となるようにモノリシック基材をコーティングすることは困難である。
【0005】
これに対して、直立した基材モノリスの上面に特定量(計量された充填量)のウォッシュコート懸濁液を塗布するプロセスであって、提供されたモノリス内にこの特定量が実質的に完全に保持されるプロセスも確立されている(米国特許第6599570号)。真空/圧力装置がモノリスの端部のうちの1つに作用することによって、ウォッシュコート懸濁液は、過剰な懸濁液がモノリスの下端部で漏れ出すことなく、すべてがモノリス内に吸い込まれる/押し込まれる(国際公開第9947260(A1)号)。これに関連しては、Cataler社の特許第5378659(B2)号、欧州特許第2415522(A1)号、及び出願公開第2014-205108(A2)号も参照されたい。
【0006】
部分的に高粘性のウォッシュコート懸濁液は、一般に高い降伏値をも有し、直立した触媒基材(基材モノリス)に塗布されると、通常は不均一かつ一様でない表面を形成する。これにより、基材に吸い込まれる際に不均一なコーティング前面が形成可能とされ、コーティング懸濁液が基材内に吸い込まれる程度が様々となる結果となる。特に、ゾーン分けした製品を製造するために部分的なコーティングを行う場合、均一な分布とすることは、再現可能で一様な触媒活性が、基材の全体の長さ及び断面にわたって確保されることを確実にするために、特に重要である。
【0007】
基材モノリス上のウォッシュコート懸濁液のレベリングが知られている。Catalerの欧州特許第1900442(A1)号は、塗布されたウォッシュコートが、基材の回転中遠心力によって、又は基材を振動させることによって、平滑化されるプロセスを記述している。しかしながら、このプロセスは、回転又は振動による触媒基材への機械的応力が、極めて傷つきやすい薄壁のハニカム構造の損傷又は剥離をもたらすという欠点を有する。更に、塗布されるウォッシュコートの全ての量に剪断力を導入することにより、そのレオロジー特性は、チャネルへの望ましくない浸透が吸引パルスよりも前に既に生じてしまうように影響を受ける。Degussa AGの欧州特許第0398128(A1)号は、ウォッシュコート懸濁液の塗布中に基材モノリスが回転されるプロセスを開示している。これは、基材にウォッシュコートが均一に塗布されることを確実にする。しかしながら、表面の平滑化又はレベリングは行われない。
【0008】
米国特許出願公開第2010-221449(A1)号は、その上に空気流を吹き付けることによって、基材に塗布されたラッカー層から望ましくない構造及び欠陥を除去するためのプロセスを記述している。空気流の有効性は、超音波の使用によって支えられてもよい。この場合の平滑化部は、塗布部(プリンター)、平滑化部及び乾燥部からなる複雑なコーティングシステムの一部である。薄い(<1mm)ラッカー層を有する紙又は厚紙をこのシステムでコーティングする。
【0009】
Ampo,K.ら「超音波を使用した粘性流体のレベリング」、JJAPS(2004)、vol.43,pp.2857~2861は、超音波技術を使用して粘性液、この場合には基材上のフォトレジスト材料、を平滑化するためのプロセスを記述する。この刊行物は、非多孔質基材上の薄層において、ウォッシュコートと比較して非常に低い粘度を有する液体(0.01Pas)を平滑化するための試験を記述している。米国特許出願公開第2012-321816(A1)号は、高粘度ゲルインク(0.106Pas)の薄層(約100μm)を超音波を使用して平滑化するための方法を請求している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、自動車排気ガス触媒として使用するための基材モノリスをウォッシュコート懸濁液を用いてコーティングするための、改善されたプロセス及び対応する動作装置を提供することであった。プロセスは、具体的には、均一なゾーンの境界を有するゾーンコーティングされた触媒、又は最適に一様とされたゾーンプロファイルを製造できることを確実にするべきである。このように機能するプロセスは、不良品が少なくなり、排気ガス浄化においてより良好な性能を有する製品につながるはずである。したがって、そのようなプロセス及びそのような装置は、経済的及び生態学的観点から好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
先行技術から明らかにもたらされるこれらの及び他の目的は、請求項1及び請求項11の特徴を有するプロセス及び装置によって達成される。従属請求項は、本発明による教示の更に改良された実施形態を目的としている。
【0012】
フロースルー型又はウォールフロー型の基材モノリスをウォッシュコート懸濁液でコーティングするためのプロセスにおいて、第1の工程で直立基材モノリスの一方の端部にウォッシュコート懸濁液を塗布し、後続の工程において、ガス、特に空気によって伝達される圧力の形による剪断力をウォッシュコート懸濁液の表面において作用可能とし、続いてウォッシュコート懸濁液を基材モノリスに吸い込みかつ/又は基材モノリスに押し込むことにより、提示された目的は有利に達成されるが、明らかに有利には達成されない。
【0013】
驚くべきことに、ガス流の作用により、μmの範囲にある粘性液の非常に薄い層の表面を平滑化できるだけでなく、高粘度(例えば、最大で数100Pas)かつ非常に顕著な降伏値(例えば、100Pa)を有するセラミック懸濁液の厚い層(0.5~15cm)も平滑化及びレベリングできることが見出された。知る限りにおいて、層流若しくは乱流の、並びに連続的若しくは周期的に断続するガス流を、厚いウォッシュコート層の非接触でのレベリングのために使用することについては、従来技術においてまだ記述されていない。
【0014】
平滑化に必要な圧力の形の剪断力は、好ましくは空気流によって伝達することができる。しかしながら、不活性ガス又は還元ガスなどその他のガスをこの目的に使用することが必要なこともある。そして、その流れは、このようなガスの圧力タンク又は圧力円筒によって当業者によく知られている知識に従って提供することができる。本発明の好ましい実施形態では、圧力の形の剪断力は、連続ガス/空気流、脈動ガス/空気流、又はこれらの混合体からなる群から選択されることによって生成される。既に示されているように、ガス/空気流は、層流又は乱流特性を有することができる。そのような空気流又はガス流の生成方法は、当業者の知るところである(https://www.ziegener-frick.de/fileadmin/downloads/pdf/lufttechnik/geblaeseluft/mistral/Mistral_SSHD/MISTRAL_185155_Produktinfo.pdf;http://www.conatex.com/catalog/physik_lehrmittel/schulerubungen/energieumwandlung_elektrochemie_energiequellen_dynamot/product-luftstromerzeuger/sku-1001916#.WS1elk2wdeU)。当業者であれば、例えば、流速、ウォッシュコート懸濁液からの距離、流れの動きなど、この目的に必要なパラメータを定常的な手続によって最適化することができる。その結果、塗布されたウォッシュコート懸濁液のレベリングを、脆い基材モノリスを外部から振動させて行う必要性は、可能な限り低減し得るはずである。したがって、非常に好ましい実施形態では、本発明によるプロセスは、塗布されたウォッシュコート懸濁液のレベリングを達成するための本発明による手段を超える更なる方法はすべて省略する。この場合、レベリングは、圧力による空気又はガスの剪断力の伝達によって、専ら非接触で行われる。
【0015】
更なる好ましい実施形態では、本発明は、基材モノリスをウォッシュコート懸濁液によりコーティングするためのプロセスを目的とするものであり、剪断力は、塗布されたウォッシュコート懸濁液の表面にガス、特に空気により作用する圧力の形での、交互的な力作用である。これは、塗布されたウォッシュコート懸濁液の表面に作用するガスによる圧力は、圧力が作用期間中に連続的に又は段階的に低下するように経時的に変化することを意味する。これは、ウォッシュコート懸濁液の降伏値に到達した後、その表面のレベリングを達成するためにより低い力のみが必要とされることを意味すると理解されるべきである。
【0016】
この点で、ガスを介して作用する圧力がウォッシュコート懸濁液のしぶきが飛ぶ、又は他の悪影響があるほどには高くないように留意されたい。また、適切な時間内に効果を実現できないほど低くあるべきでもない。好ましくは、作用圧力は、導入される剪断力が面積当たりで使用されたウォッシュコートの降伏値を超えることでウォッシュコートを流動状態に至らせるような大きさであるべきである。
【0017】
好ましい方法によれば、塗布されたウォッシュコート懸濁液の表面への圧力は、1つ以上の音波発生器又は圧力波発生器、好ましくは高周波超音波共振器によって提供され得る。この場合、超音波共振器は懸濁液に浸漬せずに、ウォッシュコート表面から一定の距離の空気中で超音波振動することによって液体表面に作用する音波圧力波を生成する。一般的な超音波源(例えばhttp://www.labo.de/marktuebersichten/marktuebersicht---labo-marktuebersicht-ultraschall-homogenisatoren.htm)は、当業者によればウォッシュコート懸濁液の表面の方向に向けることができる。本発明の範囲内で、基材モノリス上に存在する懸濁液は、その後、十分な時間超音波に曝露される。好ましくは、剪断力は、約18,000~約90,000Hz、好ましくは18,000~60,000Hz、特に好ましくは19,000~43,000Hzの周波数の超音波によって生成される。
【0018】
例えば、超音波プロセッサは、電気励振によって18,000Hz~90kHzの周波数範囲で長手方向の機械的振動を発生させる。振動は、ソノトロードによって増幅され、端面を介して周囲媒体(一般に液体)に主に伝達される。ソノトロードの機械的振幅は、ブースターを設置することによって増加又は減少させることができ、媒体に送達される超音波のパワーは、超音波プロセッサの電力制御を介して連続的に調節され得る。
【0019】
超音波の結果としての圧力の作用が上記に示すエネルギーで実行される場合、塗布されたウォッシュコート懸濁液の表面の適切なレベリングには、一般に約0.1~約60秒、好ましくは1~30秒、及び非常に好ましくは1~10秒で十分である。ウォッシュコートの表面に向けられた空気又はガス流の圧力は、ウォッシュコートの降伏値よりも大きいことが特に好ましい。降伏値を超えると、構造的に粘性なウォッシュコートは流動し始めるので、液体表面のムラを容易に滑らかにできる。
【0020】
本発明の更なる好ましい実施形態では、圧力の形で作用する剪断力はまた、ノズルからのガス/空気流によっても生成され得る。このようなガス/空気ノズルは、当業者に既知である。いわゆるスロットノズル又はナイフノズルが層状空気流を生成するために好ましく使用される(https://de.wikipedia.org/wiki/Luftklinge)。例として、図1A図3は、塗布されたウォッシュコート懸濁液の表面にガス、特に空気を向かわせることができるガスノズルの様々な実施形態を示す。エネルギー入力は、上述のように、構造的に粘性なウォッシュコート懸濁液の表面に圧力を及ぼす連続的又は断続的なガス流を介して実行される。ガス/空気流がこうして懸濁表面に及ぼす力は、降伏値を超えると剪断、したがって、ウォッシュコートの液化につながる。
【0021】
A)円形基材形状
円形の基材形状を有する触媒基材については、ガス/空気ノズル又は音発生器の以下の実施形態が好ましく使用される。
-l=dであり連続スロット又は個々の孔を有し、基材の上をx方向に移動することができる移動可能なフラットノズル(図2A
-基材に対応する直径を有し、複数の個々の空気開口部を有する、固定して取り付けられた空気ブラシ(図3
-長さl=d又はl=d/2であり連続スロット又は複数の個々の孔を有する回転可能なフラットノズル及び(図1A~D)
【0022】
ノズル(I)の長さは、基材(d)の直径に一致し、ノズルは、典型的には基材の直径以上である。しかしながら、基材の直径よりも短いノズル長さを有するノズルも使用されてもよく、又は基材表面の一部は、取り付けられた固体又は穿孔されたガス/空気保護金属シートによって、ガス/空気流から完全に又は部分的に分離されてもよい。このようにして、ウォッシュコート表面の異なる領域のレベリングを行うことができる。ウォッシュコートの降伏値を上回るために必要とされるガス/空気流の圧力は、供給されたガス/空気圧及び空気スロットの開口幅の選択によって、当業者によって好適に調節することができる。ノズルのスロットの開口幅は、0.1~5mmであり、0.5~1mmのスロット幅を用いることが好ましい。
【0023】
長さがl=d又はl=d/2(d=触媒基材の直径)であり、(a)連続スロット、又は(b)図1A図1Dに例として描かれるような複数の個々の孔を有する、回転可能な平坦ノズルとして好ましい実施形態は、好ましくは、円形の端面形状を有する基材に使用される。セラミックモノリスの典型的な直径は、乗用車用セクタにおける応用では4~7インチ程度である。
【0024】
超音波又は超低周波音の使用に関しては、中央に取り付けられた音波発生器又は圧力波発生器がここでは好適であり、好ましくは高周波超音波共振器が使用される。
【0025】
B)楕円形基材形状
楕円形の基材形状を有する触媒基材については、ガス/空気ノズル又は音発生器の以下の実施形態が好ましく使用される。
-l=dであり連続スロット又は個々の孔を有し、基材の上をx方向に移動することができる移動可能なフラットノズル(図2A
-複数の個々のガス/空気開口部を有する基材に対応する幾何学的形状を有する、固定して取り付けられたガス/空気ブラシ(図3
-長さl=dmaxであり連続スロット又は複数の個々の孔を有する回転可能な平坦ノズル(dmaxは、楕円形基材の長径に対応する)
【0026】
超音波又は超低周波音の使用に関しては、複数の音波発生器又は圧力波発生器を有する固定取付型のストリップが好適であり、複数の超音波共振器が好ましく使用される。
【0027】
レベリングユニット、すなわち、連続ガス/空気流又は脈動ガス/空気流を生成するためのユニットは、更にz方向に移動可能とすることができ、その結果、ウォッシュコートの表面に作用するガスの体積流量を調節することができ、したがって降伏値を上回るために必要な圧力を調整することができる。ウォッシュコートが流動し始めると、表面への空気ノズルの距離を増加させることができ、これにより、跳ね返りを生じさせるリスクが大幅に低減される。
【0028】
本プロセスによるウォッシュコート懸濁液の提供を受ける基材モノリスは、フロースルー型又はウォールフロー型のものである。これらの基材モノリスは、一般に、円筒軸、2つの端面、外側面及び軸方向の長さLを有する円筒状の基材体である。第1の端面から第2の端面までが複数のチャネルによってハニカム状とされている。ウォッシュコート懸濁液を塗布するために、基材モノリス同士を円筒軸と共に垂直に整列させ、ウォッシュコート懸濁液を基材モノリスの2つの端面のうち上部の端面に塗布する。
【0029】
先行技術では、フロースルー型モノリスは、金属又はセラミック材料で構成できる一般的な触媒基材である。好ましくは、コージライト、炭化ケイ素、又はチタン酸アルミニウムなどの耐火セラミックが好ましく使用される。面積当たりのチャネルの数は、セル密度によって特性が示され、通常は、300~900セル毎平方インチ(cpsi)である。セラミックのチャネル壁部の壁厚は、0.05~0.5mmである。
【0030】
先行技術で慣習的なすべてのセラミック材料は、ウォールフロー型モノリスとして使用することができる。好ましくは、コーディエライト、炭化ケイ素、又はチタン酸アルミニウム製の、多孔質ウォールフロー型フィルタ基材が使用される。これらのウォールフロー型フィルタ基材は、入口チャネル及び出口チャネルを有し、入口チャネルの下流端部及び出口チャネルの上流端部はそれぞれ、互いにオフセットされ、気密「プラグ」により閉鎖されている。この場合、このフィルタ基材を通って流れる、浄化されるべき排気ガスは、優れた微粒子フィルタ効果を実現する、入口チャネルと出口チャネルとの間の多孔質壁部を強制的に通過させられる。微粒子に関する濾過特性は、多孔度、孔/半径分布、及び壁部の厚さによって設計することができる。触媒材料は、入口チャネルと出口チャネルとの間の多孔質壁内及び/又は多孔質壁上に、ウォッシュコート懸濁液の形で存在してもよい。対応する触媒材料から直接又は結合剤の補助により押出成形されたウォールフロー型モノリスは、ゼオライト又はバナジウムに基づくSCR触媒の場合などのように多孔質壁が触媒材料から直接構成されることを意味し、同じく使用することができる。このような押出成形SCRモノリスもまた、上述したように、多孔質壁内及び/又は多孔壁上において、ウォッシュコート懸濁液の提供を受けることができる。好ましく使用される基材は、欧州特許第1309775(A1)号、同第2042225(A1)号、又は同第1663458(A1)号から得ることができる。
【0031】
本発明の範囲内で使用されるウォッシュコート懸濁液は、典型的に自動車排気ガス触媒の製造に使用されるものである。本発明に関連し、ウォッシュコート懸濁液の粘度は、塗布直後に基材モノリスのチャネル内に流れ込まないようなものであるべきである。これは、様々な手段によって達成することができる。例えば、有利な実施形態では、ウォッシュコート懸濁液の粘度は、(例えば、チキソトロピック剤(例えば、国際公開第2016-023808(A1)号)のような添加剤によって、又は特定の温度などの調節による構成物質の濃度若しくは使用される溶媒の量の調節などにより)基材モノリスの下端面への負圧及び/又は上端面への正圧の印加時にのみ、チャネル内に浸透するように調節可能である。ウォッシュコート懸濁液が基材モノリスに浸透することを阻害するのに役立つ、国際公開第9947260(A1)号で企図されるような作用手段(例えば、閉じた虹彩(closed iris)又は透過性膜)もまた、この点において使用され得る。
【0032】
ここで考慮される懸濁液は、構造的に粘性であり(https://de.wikipedia.org/wiki/Strukturviskosit%C3%A4t)、中実体を有し、触媒活性成分又はそれらの前駆体、並びに酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、又はこれらの組み合わせなどの無機酸化物を含有し、酸化物には、例えば、シリコン又はランタンを付加(dope)することができる。バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ニッケル、若しくは、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムなどの希土類金属、又はそれらの組み合わせの酸化物は、触媒活性成分として使用することができる。白金、パラジウム、金、ロジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、及びそれらの組み合わせなどの貴金属も、触媒活性成分として使用することができる。これらの金属はまた、互いに若しくは他の金属と共に合金として、又は酸化物として存在することもできる。これらの金属はまた、液体コーティング媒体中に、上記の貴金属の硝酸塩、亜硫酸塩、若しくはオルガニル、及びそれらの混合物などの、前駆体としても存在することができ、特に、硝酸パラジウム、亜硫酸パラジウム、硝酸プラチナ、亜硫酸プラチナ、又はPt(NH(NOを使用することができる。次いで、約400℃~約700℃で焼成することによって前駆体から触媒活性成分を得ることができる。構造的に粘性であるコーティング媒体は、多くの場合、35~52重量パーセントの固形分含有量を有する。ウォッシュコート懸濁液の粘度は、一般に、0.015~100Pas、好ましくは0.1~50Pas、特に好ましくは1~50Pas(粘度:DIN EN ISO 3104:1999-12)である。使用される化学組成及び添加剤に応じて、異なるウォッシュコートは異なる降伏値を有する。EN ISO 3219-1の定義によると、降伏値は、それを超えるとサンプルが液体のように挙動する剪断応力である。したがって、降伏値は、生地の不活発な構造を破壊し、その後液体として流動することを可能にするために必要な力である。ウォッシュコート構成成分同士の相互作用により、これらの懸濁液は、0.1~100Pa超の異なる高降伏値を多くの場合有する。
【0033】
本発明によれば、コーティング懸濁液は、上方から基材モノリスに塗布される。この目的のために、ウォッシュコート懸濁液は、基材モノリスの上から、すなわちその上端面の上方から注がれる。このことは、先行技術に従って行うことができる。可能な方法は、例えば、欧州特許第2415522(A1)号から得ることができる。レベリング後、ウォッシュコート懸濁液は、基材モノリスに吸いこまれ、かつ/又は押し込まれる。この変形例の有利な実施形態では、基材モノリスは、前もって保護スリーブに包まれているか又は基材の端面形状に適合する容器で上方から提供され、その結果、基材本体の外側面はコーティング懸濁液と接触しない(例えば、欧州特許第1900442(A1)号を参照されたい)。本発明に関連し、処理されるウォッシュコート懸濁液の層は、厚すぎるべきではないが、基材モノリスへの塗布後に薄すぎるものであるべきでもない。一般に、レベリング後の基材モノリス上の懸濁液の層の厚さは、0.5~15cm、好ましくは1~10cm、特に好ましくは2~8cmの範囲であり、塗布されたウォッシュコート層の厚さは、基材のチャネル壁をコーティングするために必要とされる懸濁液の量と密度、及び基材の上端面のサイズに基づく結果である。一方、コーティングの量は、コーティングされる領域の表面、及び基材上の所望の層の厚さに依存する。
【0034】
発明の別の目的は、フロースルー型又はウォールフロー型の基材モノリスをウォッシュコート懸濁液を用いてコーティングする装置に関するものである。この装置は、上述したプロセスを成功裏に実行することができる。この目的のために、本発明によれば本装置は、
-基材モノリスを直立位置にロックするためのユニットと、
-ある量のウォッシュコート懸濁液を直立基材モノリスに塗布するためのユニットと、
-空気又はガスによって伝達される圧力の形でウォッシュコート懸濁液の表面に剪断力を生成するためのユニットとを含むことが必要である。
【0035】
基材モノリスを定位置にロックするためのユニットは、当業者に既知である。この点については、国際公開第2015-140630(A1)号、欧州特許第2321048(B1)号(本発明によるコーティングのためのプロセスステーションは、回転インデックステーブルを介して制御することもできる)、又は米国特許第4609563号を参照されたい。次いで、基材モノリスが、直立し可逆的にロックされた方法でプロセスステーション内に存在する場合、直立基材モノリスに一定量のウォッシュコート抑制剤を塗布するための更なるユニットがアクティブになる。このようなユニットは、例えば、前述の欧州特許第2415522(A1)号から得ることができる。空気又はガスによってウォッシュコート懸濁液の表面に伝達される圧力の形で剪断力を生成するためのユニットが続いて作用し始める。プロセスに関する上記の説明について述べる。プロセスについて記載された手順及び好ましい実施形態はまた、装置にも準用され、逆もまた同様であることは言うまでもない。
【0036】
不規則な形状のウォッシュコート表面の非接触レベリングは、好ましくは、層流又は乱流の、連続的又は周期的に断続する空気/ガス流を介して行われる。連続ガス流の生成は、この場合、正圧によって達成することができる。レベリングのために、空気/ガス流は、次に、回転式又は水平方向に移動可能なガス/空気ノズル(エアナイフ、空気ブラシ)を介して、厚いウォッシュコート層の表面に向けられる。周期的に発生する空気/ガス流は、音波発生器又は圧力波発生器によって生成することができる。この場合、超低周波音及び超音波帯域の音波発生器を使用することができる。周期的に発生する空気/ガス流は、好ましくは高周波超音波共振器によって生成され、この高周波超音波共振器は、有利には、基材モノリスの上方の中央に固定して取り付けられるか、又は平面内若しくは高さについて自由に移動可能である。液体表面のレベリングはまた、2つの方法を組み合わせることによって実行することができる。レベリング工程の過程において、平滑化ユニットの表面までの距離を増加させることによって、又は空気圧若しくは共振器の電力を減少させることによって、導入されるエネルギーを連続的に又は段階的に減少させることができる。
【0037】
特に好ましいのは、本装置が、基材モノリスの周囲にカラーを形成することが可能なユニットを有し、これにより、圧力の形での剪断力の作用中に、ウォッシュコート懸濁液が基材モノリスの外側を流れ落ちることができないようにされた実施形態である。文献(欧州特許第1900442(A1)号)を参照されたい。
【0038】
最後に、本発明による装置はまた、適用されかつレベリングされたウォッシュコート懸濁液を基材モノリスに運ぶ可能性も提供することに留意されたい。これは、本発明による装置上の更なる吸引ユニット又は圧力ユニットによって行われる。両方の手段により同時に、ウォッシュコート懸濁液を基材モノリス内に運ぶことも可能であり、かつ好ましい。これは、基材モノリスにおけるコーティングプロファイルのより一様な形成をもたらす。このタイプの吸引及び圧力ユニットは、当業者に十分によく知られている(導入部の文献を参照されたい)。
【0039】
例えば、好ましくは、この目的のために、例えば排気された負圧タンクに弁を開くことによって、基材モノリスの下端面に真空を適用することができる。同時に、コーティングされた基材モノリス及びウォッシュコート懸濁液に対して不活性である空気又は別のガス、例えば窒素を、圧力下で基材モノリスの上端面に供給してもよい。同様に、この供給はまた、一度又は数回の交互式又は逆転式であってもよく、米国特許第7094728(B2)号によると、基材本体内のチャネルのより一様なコーティングをもたらす。
【0040】
負圧を適用する(基材モノリスを「吸い出す」)代わりに、正圧を加えてもよい(基材モノリスを「吹き飛ばす」)。この目的のために、コーティングされた基材モノリス及びウォッシュコート懸濁液に対して不活性である空気又は別のガス、例えば窒素が、圧力下で上端面又は下端面に供給される。その際、空気/ガス圧が適用される端面と反対側の端面は、ガスの十分な流出を確保しなければならない。このため、負圧(真空)を適用することができるが、これは必ずしも絶対に必要ではない。しかしながら、基材モノリスのチャネルから過剰なウォッシュコート懸濁液を除去するのに十分な流量を確保するため、反対側からも空気/ガス圧を適用すべきではない。上で簡潔に概説されている米国特許第7094728(B2)号によるプロセスと同様に、正圧は、この場合、上端面及び下端面に交互に適用することができる。
【0041】
必要に応じて、基材モノリスをウォッシュコート懸濁液で複数回コーティングすることもできる。これは、原則として、以前に塗布されたウォッシュコート懸濁液の焼成の前若しくは後に行うことができ、又は、ガスが流れ抜けることによるその乾燥後に行うこともでき、後者が好ましい。複数の連続するコーティング工程の場合、コーティング懸濁液は、以前に塗布したウォッシュコート懸濁液と同じ又は異なる組成を有する可能性がある。
【0042】
基材体を最終的に乾燥させ、続いて熱処理(焼成)する。
【0043】
本発明の中核は、塗布されたウォッシュコート懸濁液のレベリングを、コーティングが行われる前に、ウォッシュコート懸濁液に接触せずウォッシュコート懸濁液を汚染せず又はウォッシュコート懸濁液を変化させることなく可能な限り完全に行うということを、完全に排除することである。本発明によれば、力の適用は、ウォッシュコートの表面に近接した層においてのみ行われ、懸濁液全部には行われない。この手順の結果は、懸濁液のレオロジー特性は表面近くにおいてのみ変化する、すなわち、降伏値を上回ることによる材料の液化は、表面のみで起きるということである。これにより、剪断減粘性の結果、圧力パルスが適用される前に、ウォッシュコートの塗布量全体が、液化することを防止することができ、かつ制御されずに触媒基材に浸透することを防止することができる。レベリングのための力の適用は、また、基材モノリスの移動又は振動によっては行われないため、影響を受けやすい基材への損傷は更に除外される。本方法は、基材を回転又は振動させるための複雑な機構を必要としないことを更に特徴とする。レベリングユニットを基材の搬送システムから分離することにより、幾何学的形状及び寸法が異なる基材モノリスへのモジュラー式で単純な装置の適応が可能である。粘性が異なるウォッシュコートを平滑化するために必要とされるエネルギー入力は、プロセスパラメータのガス/空気圧及びノズルの幾何学的形状を介して、並びに超低周波/超音波周波数帯域及び表面からの距離を介して容易に調整することができる。
【0044】
本発明の目的は、レベリングに必要なエネルギーがウォッシュコートと直接接触することなく入力され、レベリング力はウォッシュコートの表面にのみ作用するような、ウォッシュコート懸濁液の不規則形状表面のレベリング方法を開発することであった。この力の作用は、したがって、ウォッシュコートの残りの部分のレオロジー特性には全く又はほとんど影響を及ぼさない。更に、非接触表面レベリングのための本発明による手順によれば、塗布され測定されたウォッシュコート懸濁液の量(「計量された充填量」)は変化しないであろう。
【0045】
本発明によるプロセス及び本発明による装置は、基材モノリスの均一なコーティングを保証し、したがって、完成した触媒のより一様な触媒活性を可能にする。異なる又は同一のウォッシュコートを有するゾーン化触媒の場合、明確に画定されたゾーン境界がコーティング前面を直線で終端させる結果として可能であり、これは圧力損失に対して正の効果を有し得る。製造技術の観点からは、本発明による手順は、コーティングプロセス中のコーティング懸濁液の局所的で制御されない漏れに対する安全性の向上を提供する。レベリングはウォッシュコートの破壊を防止でき、そのため、この方法の「計量された充填」プロセスの場合には不良品率が低下する。
【0046】
レベリングは、完成品の高品質で欠陥のない表面を達成するための薄い層の表面平滑化とは対照的に、厚いウォッシュコート層のうちのより大きな高度差の平滑化である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1A図1Dの図面は、中央部において回転可能なガス/空気ノズルの様々な実施形態を表す。この場合、ガス/空気ノズル(フラットノズル、ナイフノズル)の長さは、基材の直径に適合される。ガス/空気流の種類は、出口開口部の種類及び形状によって影響され得る。層流は、0.5~5mmの幅を有する連続スロットによって形成されてもよく、一方、連続スロットの代わりに複数の小さな出口孔が乱流を生成する。回転可能に取り付けられた平坦なノズルは、ノズルの端部に取り付けられた別個の開口部を通ってガス/空気流が回転軸に直交して出ることによって、単純な方法で回転させることができる。あるいは、他の電気的又は機械的駆動部を使用してノズルを回転させてもよい。
図2図2A、2Bは、平滑化工程のために基材上をx方向に案内されるガス/空気ノズルの概略図を示す。この平坦なノズルはまた、連続的なスロット又は多数の個々の空気出口孔を有することができる。
図3】図面は、使用される基材の幾何学形状のサイズ及び形状(円形、楕円形、角ばった形)に対応するガス/空気ブラシを示す。ガス/空気流の放出は、底板内の開口部を通って行われ、そのサイズ及び数は、結果として生じる空気流がウォッシュコート表面に十分な圧力を加えて降伏値を上回ることができるように選択される。
【発明を実施するための形態】
【0048】
実施例1:
150/sの剪断速度と370mPasの粘度を有し、固形分が42%の構造的に粘性なウォッシュコート50gをトレーに配置する。ウォッシュコートの降伏値により、注ぎ中に不規則な表面が形成される。表面を平滑化するために、周波数20kHz及び4kWの電力を有する超音波発生器が使用される。音の発生及び周囲空気への伝達は、3.8cm2の端面を有する環状ソノトロードを介して行われる。超音波発生器のスイッチを入れた後、ソノトロードとウォッシュコートの表面との間の距離は、1~2cmの距離になるまで連続的に低減され、超音波振動によって生成される空気の音圧により、表面が平滑化される。平滑化に必要な音圧は、超音波電力自体を制御することによって調整することもできる。
【0049】
実施例2:
実施例1のウォッシュコートはトレー内に配置される。使用されるウォッシュコートの顕著な降伏値(約100Pa)のため、トレーへの充填中に不規則な表面が形成される。スロット幅1mm、スロット長6cmのフラットノズルが、ウォッシュコートの表面の上方に取り付けられる。ナイフノズルは、圧縮空気供給部に接続され、6バールの空気圧で作動する。ノズルをセラミック懸濁液の表面に、表面から10cmの距離に下げることによって、ウォッシュコートの降伏値を上回り、液体表面は、生成された空気流の圧力によってレベリングされる。表面全体は、ノズルの直線運動によって平滑化することができる。スロット幅、ウォッシュコートの表面からのノズル距離、及び空気圧のパラメータを好適に選択することにより、当業者であれば、生成された層流の性能を選択することができ、その結果、液体表面にかけられる圧力は、各場合に使用されるウォッシュコートの降伏値に標的化された方法で調整することができる。
図1a)】
図1b)】
図1c)】
図1d)】
図2a)】
図2b)】
図3