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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】統合的ストレス経路の調節剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 271/113 20060101AFI20221129BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221129BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20221129BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20221129BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20221129BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20221129BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20221129BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 31/4245 20060101ALI20221129BHJP
   C07D 233/64 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
C07D271/113 CSP
A61P25/28
A61P35/00
A61P29/00
A61P37/02
A61P31/12
A61P17/00
A61P7/00
A61P13/12
A61P27/02
A61P27/16
A61P21/00
A61P3/00
A61P43/00 105
A61K31/4245
C07D233/64 106
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020524769
(86)(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 US2018058960
(87)【国際公開番号】W WO2019090078
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】62/643,067
(32)【優先日】2018-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/580,805
(32)【優先日】2017-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518390343
【氏名又は名称】カリコ ライフ サイエンシーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】マーティン キャサリン アン
(72)【発明者】
【氏名】シドロスキー カルメーラ
(72)【発明者】
【氏名】プリウシュチェフ マリーナ エー.
(72)【発明者】
【氏名】トン ユンソン
(72)【発明者】
【氏名】シュー シャンドン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン チンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】スワイス ラムジー ファラー
(72)【発明者】
【氏名】ダート マイケル ジェイ.
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6869331(JP,B2)
【文献】特表2006-513266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D201/00-521/00
A61K 31/33- 33/44
A61P 1/00- 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記:
ら選択される化合物、たはその薬学的に許容される
【請求項2】
請求項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される担体とを含む、薬学的に許容される組成物。
【請求項3】
象における神経変性疾患、白質ジストロフィー、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患、ウイルス感染症、皮膚疾患、線維性疾患、ヘモグロビン病、腎疾患、難聴、眼疾患、筋骨格系疾患、代謝疾患、あるいはミトコンドリア性疾患の治療に使用するための、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
経変性疾患、白質ジストロフィー、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患、ウイルス感染症、皮膚疾患、線維性疾患、ヘモグロビン病、腎疾患、難聴、眼疾患、筋骨格系疾患、代謝疾患、もしくはミトコンドリア性疾患、またはeIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の機能障害に関連する疾患あるいは障害を治療するための第2の薬剤と併用して使用される、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
IF2Bの活性またはレベル、eIF2αの活性またはレベル、あるいはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の活性またはレベルの調節に関連する疾患の治療に使用するための、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記調節が、eIF2Bの活性またはレベルの増加、eIF2αの活性またはレベルの増加、あるいはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の活性またはレベルの増加を含む、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記疾患が、eIF2経路(例えば、eIF2αシグナル伝達経路)の構成因子に関連する遺伝子またはタンパク質の配列に対する変異によって生じ得る、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
免疫療法剤と併用される、対象におけるがんの治療のための医薬の調製における、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年11月02日出願の米国仮出願第62/580,805号及び2018年3月14日出願の米国仮出願第62/643,067号の優先権を主張し、上記出願はそれらの全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
後生動物においては、多様なストレスシグナルが、単一の、共通のエフェクターである翻訳開始因子eIF2αのセリン51におけるリン酸化事象に収束する。このステップは、哺乳動物細胞中の4種のeIF2αキナーゼ、すなわち、小胞体(ER)中の折り畳み不全タンパク質(unfolded proteins)の蓄積に応答するPERK、アミノ酸飢餓及びUV光に応答するGCN2、ウイルス感染及び代謝ストレスに応答するPKR、ならびにヘム欠乏に応答するHRIによって実行される。この一群のシグナル伝達経路は、同一の分子事象に収束することから、「統合的ストレス応答」(ISR)と呼ばれている。eIF2αのリン酸化により翻訳が減衰し、その結果、細胞が様々なストレスに対処することができるようになる(Wek,R.C.et al,Biochem Soc Trans (2006) 34(Pt 1):7-11(非特許文献1))。
【0003】
eIF2(3種のサブユニット、α、β、γから構成される)はGTPとイニシエーターMet-tRNAとを結合させて3者複合体(eIF2-GTP-Met-tRNA)を形成し、次いで該複合体は40Sリボソームサブユニットと結合し、mRNAの5’UTRを走査して、開始AUGコドンを選択する。eIF2は、そのαサブユニットがリン酸化されると、そのGTP交換因子(GEF)であるeIF2Bの競合阻害因子となる(Hinnebusch,A.G.and Lorsch,J.R.Cold Spring Harbor Perspect Biol (2012) 4(10)(非特許文献2))。リン酸化eIF2がeIF2Bに強力且つ非生産的に結合することにより、eIF2のGTPとの複合体の供給が妨げられ、延いては3者複合体の形成が遮断され、翻訳開始が低下する(Krishnamoorthy,T.et al,Mol Cell Biol (2001) 21(15):5018-5030(非特許文献3))。eIF2BはeIF2よりも量が少ないため、eIF2全体のごく一部のみをリン酸化しても、細胞中のeIF2Bの活性に劇的な影響が生じる。
【0004】
eIF2Bは、eIF2B1~eIF2B5の5種の異なるサブユニットから構成される複雑な分子機械である。eIF2B5は、GDP/GTP交換反応を触媒し、部分的に相同なサブユニットeIF2B3と共に「触媒コア」を構成する(Williams,D.D.et al,J Biol Chem (2001) 276:24697-24703(非特許文献4))。残りの3種のサブユニット(eIF2B1、eIF2B2、及びeIF2B4)も互いに相同性が高く、eIF2Bの基質eIF2に対する結合部位を提供する「調節性部分複合体」を形成する(Dev,K.et al,Mol Cell Biol (2010) 30:5218-5233(非特許文献5))。eIF2におけるGTPによるGDPの交換は、それ専用のグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)eIF2Bによって触媒される。eIF2Bは、細胞中に10量体(B1B2B3B4B5)または2種の5量体の2量体として存在する(Gordiyenko,Y.et al,Nat Commun (2014) 5:3902(非特許文献6);Wortham,N.C.et al,FASEB J (2014) 28:2225-2237(非特許文献7))。ISRIBなどの分子は、eIF2B二量体高次構造と相互作用して該構造を安定化し、それによって固有のGEF活性が亢進し、eIF2αのリン酸化の細胞効果に対する細胞の感受性が低下する(Sidrauski,C.et al,eLife (2015) e07314(非特許文献8);Sekine,Y.et al,Science (2015) 348:1027-1030(非特許文献9))。したがって、eIF2B活性を調節することができる小分子治療薬は、UPRのPERK分岐及びISR全体を減衰させる潜在能力をもつ可能性があり、それ故に、神経変性疾患、白質ジストロフィー、がん、炎症性疾患、筋骨格系疾患、または代謝疾患などの様々な疾患の予防及び/または治療に使用できる可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Wek,R.C.et al,Biochem Soc Trans (2006) 34(Pt 1):7-11
【文献】Hinnebusch,A.G.and Lorsch,J.R.Cold Spring Harbor Perspect Biol (2012) 4(10)
【文献】Krishnamoorthy,T.et al,Mol Cell Biol (2001) 21(15):5018-5030
【文献】Williams,D.D.et al,J Biol Chem (2001) 276:24697-24703
【文献】Dev,K.et al,Mol Cell Biol (2010) 30:5218-5233
【文献】Gordiyenko,Y.et al,Nat Commun (2014) 5:3902
【文献】Wortham,N.C.et al,FASEB J (2014) 28:2225-2237
【文献】Sidrauski,C.et al,eLife (2015) e07314
【文献】Sekine,Y.et al,Science (2015) 348:1027-1030
【発明の概要】
【0006】
本発明は、eIF2Bの調節(例えば、eIF2Bの活性化)及びISRシグナル伝達経路の減衰のための化合物、組成物、及び方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体を含むeIF2B調節剤(例えば、eIF2B活性化剤)を特徴とする。他の実施形態において、本発明は、疾患または障害、例えば、神経変性疾患、白質ジストロフィー、がん、炎症性疾患、筋骨格系疾患、代謝疾患、またはeIF2BもしくはISR経路(例えば、eIF2経路)の構成因子の機能障害に関連する疾患または障害の治療のための、式(I)の化合物あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体の使用方法を特徴とする。
【0007】
一態様において、本発明は、
式(I):
の化合物であって、
式中、
Dは、架橋二環式シクロアルキル、架橋二環式ヘテロシクリル、もしくはキュバニルであり、ここで、それぞれの架橋二環式シクロアルキル、架橋二環式ヘテロシクリル、もしくはキュバニルは、1~4個のRで置換されていてもよく、架橋二環式ヘテロシクリルが、置換可能な窒素部分を含有する場合、置換可能な窒素部分はRN1によって置換されていてもよく、
及びLはそれぞれ独立に、C~Cアルキレン、2~7員ヘテロアルキレン、もしくは-O-であり、ここで、それぞれのC~Cアルキレンもしくは2~7員ヘテロアルキレンは、1~5個のRによって置換されていてもよく、
は水素またはC~Cアルキルであり、
N1は、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルキル、アミノ-C~Cアルキル、シアノ-C~Cアルキル、-C(O)NR、-C(O)R、-C(O)OR、及び-S(O)からなる群より選択され、
A及びWはそれぞれ独立に、フェニルもしくは5~6員ヘテロアリールであり、ここで、それぞれのフェニルもしくは5~6員ヘテロアリールは、1~5個のRで置換されていてもよく、
Zは水素、フェニル、もしくは5~6員ヘテロアリールであり、ここで、それぞれのフェニルもしくは5~6員ヘテロアリールは、1~5個のRで置換されていてもよく、
それぞれのRは独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルキル、アミノ-C~Cアルキル、シアノ-C~Cアルキル、オキソ、ハロ、シアノ、-OR、-NR、-NRC(O)R、-C(O)NR、-C(O)R、-C(O)OH、-C(O)OR、-SR、-S(O)R、及び-S(O)からなる群より選択され、
それぞれのRは独立に、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルコキシ、アミノ-C~Cアルキル、シアノ-C~Cアルキル、オキソ、ハロ、シアノ、-OR、-NR、-NRC(O)R、-C(O)NR、-C(O)R、-C(O)OH、-C(O)OR、-S(R、-S(O)R、-S(O)、及びGからなる群より選択されるか、または
隣接する原子上の2個のR基が、それらが結合する原子と共に、1~5個のRで置換されていてもよい3~7員縮合シクロアルキル、3~7員縮合ヘテロシクリル、アリール、もしくは5~6員縮合ヘテロアリールを形成し、
それぞれのGは独立に、3~7員シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、アリール、もしくは5~6員ヘテロアリールであり、ここで、それぞれの3~7員シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、アリール、もしくは5~6員ヘテロアリールは、1~3個のRで置換されていてもよく、
それぞれのRは独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルキル、ハロ、シアノ、-OR、-NR、-NRC(O)R、-C(O)NR、-C(O)R、-C(O)OH、-C(O)OR、及び-S(O)からなる群より選択され、
は独立に、各存在について、水素、C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルキル、-C(O)NR、-C(O)R、もしくは-C(O)ORであり、
及びRのそれぞれは独立に、水素もしくはC~Cアルキルであるか、または
及びRは、それらが結合する原子と共に、1~3個のRで置換されていてもよい3~7員ヘテロシクリル環を形成し、
それぞれのRは独立に、C~Cアルキルもしくはハロ-C~Cアルキルであり、
それぞれのRは独立に、水素、C~Cアルキル、もしくはハロ-C~Cアルキルであり、
それぞれのRは独立に、水素、C~Cアルキル、もしくはハロであり、
mは、Rが水素もしくはC~Cアルキルの場合に1であり、RがC~Cアルキルの場合に3であり、またはRがハロの場合に5である、
化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体を特徴とする。
【0008】
いくつかの実施形態において、Dは、それぞれが1~4個のR基で置換されていてもよい、架橋二環式シクロアルキル、架橋二環式ヘテロシクリル、またはキュバニルである。
【0009】
いくつかの実施形態において、Dは、それぞれが1~4個のR基で置換されていてもよい、架橋5~8員二環式シクロアルキルもしくはヘテロシクリル、またはキュバニルである。
【0010】
いくつかの実施形態において、Dは、それぞれが1~4個のR基で置換されていてもよい、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、または2-アザビシクロ[2.2.2]オクタンである。
【0011】
いくつかの実施形態において、Dは、
である。
【0012】
いくつかの実施形態において、Dは、
である。
【0013】
いくつかの実施形態において、DはRで置換されていない。
【0014】
いくつかの実施形態において、Dは、
である。
【0015】
いくつかの実施形態において、Dは、1個のRで置換されている。
【0016】
いくつかの実施形態において、Dは、
である。
【0017】
いくつかの実施形態において、Rは、オキソまたはOHである。
【0018】
いくつかの実施形態において、L及びLの両方は独立に、2~7員ヘテロアルキレンまたは-O-であり、それぞれの2~7員ヘテロアルキレンは1~5個のRによって置換されていてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、Lは2~7員ヘテロアルキレンであり、Lは2~7員ヘテロアルキレンまたは-O-であり、それぞれの2~7員ヘテロアルキレンは1~5個のRによって置換されていてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、Lは2~7員ヘテロアルキレンであり、Lは2~7員ヘテロアルキレンまたは-O-であり、それぞれの2~7員ヘテロアルキレンはRによって置換されていない。
【0021】
いくつかの実施形態において、それぞれのL及びLは独立に、CHO-*、CHOCH-*、または-O-から選択され、「-*」はそれぞれAまたはZへの結合点を示す。
【0022】
いくつかの実施形態において、LはCHO-*またはCHOCH-*であり、LはCHO-*、CHOCH-*、または-O-から選択され、「-*」はそれぞれAまたはZへの結合点を示す。
【0023】
いくつかの実施形態において、Rは水素である。
【0024】
いくつかの実施形態において、それぞれのA及びWは独立にフェニルまたは5~6員ヘテロアリールであり、Zは水素、フェニル、または5~6員ヘテロアリールであり、ここで、それぞれのフェニルまたは5~6員ヘテロアリールは1~5個のRで置換されていてもよく、それぞれのRが独立に、C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルキル、ハロ、シアノ、-OR、またはGである。
【0025】
いくつかの実施形態において、A、W、及びZのそれぞれは独立に、フェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、またはイソオキサゾリルであり、これらのそれぞれが1~5個のR基で置換されていてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、A、W、及びZのそれぞれは、
から選択される。
【0027】
いくつかの実施形態において、Aは、フェニル、ピリジル、またはイソオキサゾリルであり、これらのそれぞれが1~2個のR基で置換されていてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、Aは、
から選択される。
【0029】
いくつかの実施形態において、Wは、オキサジアゾリル、イミダゾリル、またはトリアゾリルである。
【0030】
いくつかの実施形態において、Wは、
から選択される。
【0031】
いくつかの実施形態において、Zは、フェニルまたはピリジルであり、これらのそれぞれが1~2個のR基で置換されていてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、Zは、
から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態において、Aはフェニル、ピリジル、またはイソオキサゾリルであり、Wはオキサジアゾリル、イミダゾリル、またはトリアゾリルであり、Zはフェニルまたはピリジルであり、それぞれのフェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、及びイソオキサゾリルは1~5個のRで置換されていてもよく、それぞれのRは独立に、C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルキル、ハロ、シアノ、-OR、またはGである。
【0034】
いくつかの実施形態において、Zは水素である。
【0035】
いくつかの実施形態において、それぞれのRは独立に、クロロ、フルオロ、CF、CH、CHCH、CH(CH、OCH、OCH(CH、CN、またはGである。
【0036】
いくつかの実施形態において、それぞれのA及びZは独立に、隣接する原子上の2個のRで置換されており、2個のRは、それらが結合する原子と共に、1~5個のRで置換されていてもよい3~7員縮合ヘテロシクリル環または5~6員縮合ヘテロアリール環を形成する。
【0037】
いくつかの実施形態において、2個のRは、それらが結合する原子と共に、フラニル環、ピロリル環、またはジオキソラニル環を形成し、これらのそれぞれが1~5個のRで置換されていてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、それぞれのRは独立にフルオロである。
【0039】
いくつかの実施形態において、Gは、1~5個のRで置換されていてもよいシクロプロピルである。
【0040】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-a):
の化合物であって、
式中、
Dは、ビシクロ[1.1.1]ペンタニルまたはビシクロ[2.2.2]オクタニルであり、これらのそれぞれが1~4個のR基で置換されていてもよく、
及びLはそれぞれ独立に、CHO-*、CHOCH-*、または-O-であり、「-*」はそれぞれAまたはZへの結合点を示し、
は水素であり、
A及びWはそれぞれ独立に、フェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、またはイソオキサゾリルであり、これらのそれぞれが1~5個のR基で置換されていてもよく、
Zは水素、フェニル、またはピリジルであり、ここで、それぞれのフェニルまたはピリジルが1~5個のR基で置換されていてもよく、
それぞれのRは、フルオロ、オキソ、またはOHであり、
それぞれのRは独立に、クロロ、フルオロ、CF、CH、CHCH、CH(CH、OCH、OCH(CH、CN、またはGであるか、または
隣接する原子上の2個のR基は、それらが結合する原子と共に、フラニル環、ピロリル環、またはジオキソラニル環を形成し、これらのそれぞれが1~2個のRで置換されていてもよく、
はシクロプロピルである、
化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体である。
【0041】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-b):
の化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体である。
【0042】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-c):
の化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体である。
【0043】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-d):
の化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体である。
【0044】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-e-1)、式(I-e-2)、式(I-e-3)、式(I-e-4)、または式(I-e-5):
の化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体である。
【0045】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-f):
の化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体である。
【0046】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-g):
の化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体である。
【0047】
いくつかの実施形態において、開示される化合物は、表1に記載の任意の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体から選択される。
【0048】
いくつかの実施形態において、開示される化合物またはその薬学的に許容される塩は、開示される化合物及びその薬学的に許容される担体を含む薬学的に許容される組成物として製剤化される。
【0049】
別の態様において、本発明は、対象における神経変性疾患、白質ジストロフィー、がん、炎症性疾患、筋骨格系疾患、代謝疾患、ミトコンドリア性疾患、あるいはeIF2BもしくはISR経路(例えば、eIF2経路)の構成因子の機能障害に関連する疾患または障害の治療方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体、あるいはその組成物を対象に投与することを含む上記方法を特徴とする。
【0050】
いくつかの実施形態において、上記方法は神経変性疾患の治療を含む。いくつかの実施形態において、上記神経変性疾患は、白質消失病、中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調症、白質ジストロフィー、白質脳症、ミエリン形成不全もしくは脱髄疾患、知的障害症候群、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性症、副腎白質ジストロフィー、X連鎖副腎白質ジストロフィー、脳副腎白質ジストロフィー、ペリツェウス・メルツバッヒャー病、クラッベ病、DARS2遺伝子の変異による白質ジストロフィー(場合により、脳幹及び脊髄の関与ならびに乳酸上昇を伴う白質脳症(LBSL)として知られる)、DARS2関連スペクトル障害、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、前頭側頭型認知症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、ハンチントン病、認知症(例えば、HIV関連認知症もしくはレビー小体型認知症)、クールー病、パーキンソン病、進行性核麻痺、タウオパチー、またはプリオン病を含む。いくつかの実施形態において、上記神経変性疾患は、白質消失病を含む。いくつかの実施形態において、上記神経変性疾患は、精神疾患、例えば、広場恐怖症、アルツハイマー病、神経性食欲不振症、健忘症、不安障害、双極性障害、身体醜形障害、神経性過食症、閉所恐怖症、うつ病、妄想、ディオゲネス症候群、統合運動障害、不眠症、ミュンヒハウゼン症候群、ナルコレプシー、自己愛性パーソナリティ障害、強迫性障害、精神障害、恐怖症性障害、統合失調症、季節性情動障害、スキゾイドパーソナリティ障害、夢遊症、社会恐怖症、物質乱用、遅発性ジスキネジア、トゥレット症候群、または抜毛症を含む。いくつかの実施形態において、上記神経変性疾患は、認識機能障害または認識機能低下の症状を有する疾患または障害、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、統合失調症、自閉症、前頭側頭型認知症、認知症(例えば、HIV関連認知症もしくはレビー小体型認知症)、加齢関連認知症、慢性外傷性脳症、HIV誘導神経認知機能障害、HIV関連神経認知障害、低酸素障害(例えば、早産児脳損傷、慢性周生期低酸素症)、外傷性脳損傷、脳卒中、または術後認知機能障害を含む。いくつかの実施形態において、上記神経変性疾患は、知的障害症候群を含む。いくつかの実施形態において、上記神経変性疾患は、軽度認識機能障害を含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、上記方法はがんの治療を含む。いくつかの実施形態において、上記がんは、膵臓癌、乳癌、多発性骨髄腫、または分泌細胞の癌を含む。いくつかの実施形態において、上記方法は記憶(例えば、長期記憶)の改善のための化学療法剤と組み合わせたがんの治療を含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、上記方法は炎症性疾患の治療を含む。いくつかの実施形態において、上記炎症性疾患は、術後認知機能障害、外傷性脳損傷、関節炎(例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、もしくは若年性特発性関節炎)、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、糖尿病(例えば、若年発症型糖尿病もしくは1型糖尿病)、ギラン・バレー症候群、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、強直性脊椎炎、乾癬、シェーグレン症候群、血管炎、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、魚鱗癬、グレーブス眼症、炎症性腸疾患、アジソン病、白斑、喘息(例えば、アレルギー性喘息)、尋常性ざ瘡、セリアック病、慢性前立腺炎、骨盤内炎症性疾患、再灌流傷害、サルコイドーシス、移植拒絶反応、間質性膀胱炎、またはアトピー性皮膚炎を含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、上記方法は筋骨格系疾患の治療を含む。いくつかの実施形態において、上記筋骨格系疾患は、筋ジストロフィー、多発性硬化症、フリードリヒ運動失調症、筋消耗性障害(例えば、筋萎縮症、サルコペニア、悪液質)、封入体ミオパチー、進行性筋萎縮症、運動ニューロン疾患、手根管症候群、上顆炎、腱炎、背痛、筋肉痛、筋肉の痛み、反復運動損傷障害、または麻痺を含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、上記方法は代謝疾患の治療を含む。いくつかの実施形態において、上記代謝疾患は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、肝線維症、肥満、心疾患、アテローム性動脈硬化症、関節炎、シスチン症、フェニルケトン尿症、増殖性網膜症、またはカーンズ・セイヤー病を含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、上記方法はミトコンドリア性疾患の治療を含む。いくつかの実施形態において、上記ミトコンドリア性疾患は、ミトコンドリア機能障害、1種以上のミトコンドリアタンパク質変異、もしくは1種以上のミトコンドリアDNA変異に関連する、またはその結果である、またはそれによって生じる。いくつかの実施形態において、上記ミトコンドリア性疾患はミトコンドリア筋症である。いくつかの実施形態において、上記ミトコンドリア性疾患、例えば、ミトコンドリア筋症は、バース症候群、慢性進行性外眼筋麻痺(cPEO)、カーンズ・セイヤー症候群(KSS)、リー症候群(例えば、MILS、すなわち母系遺伝リー症候群)、ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS、例えば、アルパース症候群)、ミトコンドリア脳筋症(例えば、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(MELAS))、ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE)、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、ニューロパチー、運動失調、網膜色素変性症(NARP)、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、及びピアソン症候群からなる群より選択される。
【0056】
別の態様において、本発明は、対象におけるeIF2Bの活性もしくはレベルの調節(例えば、抑制)、eIF2αの活性もしくはレベルの調節(例えば、抑制)、eIF2αのリン酸化の調節(例えば、亢進)、リン酸化eIF2α経路の活性の調節(例えば、亢進)、またはISR活性の調節(例えば、亢進)に関連する疾患あるいは障害の治療方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体、あるいはその組成物を対象に投与することを含む上記方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、上記疾患は、eIF2経路(例えば、eIF2αシグナル伝達経路もしくはISR経路)の構成因子に関連する遺伝子またはタンパク質の配列に対する変異によって生じてもよい。
【0057】
別の態様において、本発明は、白質消失病(VWMD)または中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調症のような白質ジストロフィーを治療する方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、白質ジストロフィーは、tRNA合成酵素におけるアミノ酸変異(例えば、アミノ酸欠失、アミノ酸付加、またはアミノ酸置換)によって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の投与は、白質消失病(VWMD)または中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調症のような白質ジストロフィーを有する対象においてeIF2B活性を増強する。
【0058】
別の態様において、本発明は、タンパク質合成を調節する(例えば、減少させる)遺伝子または遺伝子産物(例えば、RNAまたはタンパク質)におけるアミノ酸変異(例えば、アミノ酸欠失、アミノ酸付加、またはアミノ酸置換)に関連する疾患または障害を治療する方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物の投与は、対象における変異型GEF複合体の残留GEF活性を増強する。
【0059】
別の態様において、本発明は、対象における神経変性疾患、白質ジストロフィー、がん、炎症性疾患、筋骨格系疾患、代謝疾患、またはミトコンドリア性疾患の治療に使用するための組成物であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体を含む上記組成物を特徴とする。
【0060】
いくつかの実施形態において、上記神経変性疾患は、白質消失病、中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調症、白質ジストロフィー、白質脳症、ミエリン形成不全もしくは脱髄疾患、知的障害症候群、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性症、副腎白質ジストロフィー、X連鎖副腎白質ジストロフィー、脳副腎白質ジストロフィー、ペリツェウス・メルツバッヒャー病、クラッベ病、DARS2遺伝子の変異による白質ジストロフィー(場合により、脳幹及び脊髄の関与ならびに乳酸上昇を伴う白質脳症(LBSL)として知られる)、DARS2関連スペクトル障害、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、前頭側頭型認知症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、ハンチントン病、認知症(例えば、HIV関連認知症もしくはレビー小体型認知症)、クールー病、パーキンソン病、進行性核麻痺、タウオパチー、またはプリオン病を含む。いくつかの実施形態において、上記神経変性疾患は、白質消失病を含む。いくつかの実施形態において、上記神経変性疾患は、精神疾患、例えば、広場恐怖症、アルツハイマー病、神経性食欲不振症、健忘症、不安障害、双極性障害、身体醜形障害、神経性過食症、閉所恐怖症、うつ病、妄想、ディオゲネス症候群、統合運動障害、不眠症、ミュンヒハウゼン症候群、ナルコレプシー、自己愛性パーソナリティ障害、強迫性障害、精神障害、恐怖症性障害、統合失調症、季節性情動障害、スキゾイドパーソナリティ障害、夢遊症、社会恐怖症、物質乱用、遅発性ジスキネジア、トゥレット症候群、または抜毛症を含む。いくつかの実施形態において、上記神経変性疾患は、認識機能障害または認識機能低下の症状を有する疾患または障害、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、統合失調症、自閉症、前頭側頭型認知症、認知症(例えば、HIV関連認知症もしくはレビー小体型認知症)、加齢関連認知症、慢性外傷性脳症、HIV誘導神経認知機能障害、HIV関連神経認知障害、低酸素障害(例えば、早産児脳損傷、慢性周生期低酸素症)、外傷性脳損傷、脳卒中、または術後認知機能障害を含む。いくつかの実施形態において、上記神経変性疾患は、知的障害症候群を含む。いくつかの実施形態において、上記神経変性疾患は、軽度認識機能障害を含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、上記がんは、膵臓癌、乳癌、多発性骨髄腫、または分泌細胞の癌を含む。いくつかの実施形態において、上記方法は記憶(例えば、長期記憶)の改善のための化学療法剤と組み合わせたがんの治療を含む。
【0062】
いくつかの実施形態において、上記炎症性疾患は、術後認知機能障害、外傷性脳損傷、関節炎(例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、もしくは若年性特発性関節炎)、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、糖尿病(例えば、若年発症型糖尿病もしくは1型糖尿病)、ギラン・バレー症候群、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、強直性脊椎炎、乾癬、シェーグレン症候群、血管炎、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、魚鱗癬、グレーブス眼症、炎症性腸疾患、アジソン病、白斑、喘息(例えば、アレルギー性喘息)、尋常性ざ瘡、セリアック病、慢性前立腺炎、骨盤内炎症性疾患、再灌流傷害、サルコイドーシス、移植拒絶反応、間質性膀胱炎、またはアトピー性皮膚炎を含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、上記筋骨格系疾患は、筋ジストロフィー、多発性硬化症、フリードリヒ運動失調症、筋消耗性障害(例えば、筋萎縮症、サルコペニア、悪液質)、封入体ミオパチー、進行性筋萎縮症、運動ニューロン疾患、手根管症候群、上顆炎、腱炎、背痛、筋肉痛、筋肉の痛み、反復運動損傷障害、または麻痺を含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、上記代謝疾患は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、肝線維症、肥満、心疾患、アテローム性動脈硬化症、関節炎、シスチン症、フェニルケトン尿症、増殖性網膜症、またはカーンズ・セイヤー病を含む。
【0065】
いくつかの実施形態において、上記ミトコンドリア性疾患は、ミトコンドリア機能障害、1種以上のミトコンドリアタンパク質変異、もしくは1種以上のミトコンドリアDNA変異に関連する、またはその結果である、またはそれによって生じる。いくつかの実施形態において、上記ミトコンドリア性疾患はミトコンドリア筋症である。いくつかの実施形態において、上記ミトコンドリア性疾患、例えば、ミトコンドリア筋症は、バース症候群、慢性進行性外眼筋麻痺(cPEO)、カーンズ・セイヤー症候群(KSS)、リー症候群(例えば、MILS、すなわち母系遺伝リー症候群)、ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS、例えば、アルパース症候群)、ミトコンドリア脳筋症(例えば、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(MELAS))、ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE)、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、ニューロパチー、運動失調、網膜色素変性症(NARP)、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、及びピアソン症候群からなる群より選択される。
【0066】
別の態様において、本発明は、対象におけるeIF2Bの活性もしくはレベルの調節(例えば、抑制)、eIF2αの活性もしくはレベルの調節(例えば、抑制)、eIF2αのリン酸化の調節(例えば、亢進)、リン酸化eIF2α経路の活性の調節(例えば、亢進)、またはISR活性の調節(例えば、亢進)に関連する疾患あるいは障害の治療に使用するための組成物であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体を含む上記組成物を特徴とする。いくつかの実施形態において、上記疾患は、eIF2経路(例えば、eIF2αシグナル伝達経路もしくはISR経路)の構成因子に関連する遺伝子またはタンパク質の配列に対する変異によって生じてもよい。
【0067】
別の態様において、本発明は、白質消失病(VWMD)または中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調症のような白質ジストロフィーの治療に使用するための組成物を特徴とする。いくつかの実施形態において、白質ジストロフィーは、tRNA合成酵素におけるアミノ酸変異(例えば、アミノ酸欠失、アミノ酸付加、またはアミノ酸置換)によって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物を含む組成物は、白質消失病(VWMD)または中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調症のような白質ジストロフィーを有する対象においてeIF2B活性を増強する。
【0068】
別の態様において、本発明は、タンパク質合成を調節する(例えば、減少させる)遺伝子または遺伝子産物(例えば、RNAまたはタンパク質)におけるアミノ酸変異(例えば、アミノ酸欠失、アミノ酸付加、またはアミノ酸置換)に関連する疾患または障害の治療に使用するための組成物を特徴とする。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物を含む組成物は、対象における変異型GEF複合体の残留GEF活性を増強する。
[本発明1001]
式(I):
の化合物であって、
式中、
Dは、架橋二環式シクロアルキル、架橋二環式ヘテロシクリル、もしくはキュバニルであり、ここで、それぞれの架橋二環式シクロアルキル、架橋二環式ヘテロシクリル、もしくはキュバニルは、1~4個のR で置換されていてもよく、前記架橋二環式ヘテロシクリルが、置換可能な窒素部分を含有する場合、前記置換可能な窒素部分はR N1 によって置換されていてもよく、
1 及びL 2 はそれぞれ独立に、C 1 ~C 6 アルキレン、2~7員ヘテロアルキレン、もしくは-O-であり、ここで、それぞれのC 1 ~C 6 アルキレンもしくは2~7員ヘテロアルキレンは、1~5個のR によって置換されていてもよく、
1 は水素またはC 1 ~C 6 アルキルであり、
N1 は、水素、C 1 ~C 6 アルキル、ヒドロキシ-C 2 ~C 6 アルキル、ハロ-C 2 ~C 6 アルキル、アミノ-C 2 ~C 6 アルキル、シアノ-C 2 ~C 6 アルキル、-C(O)NR 、-C(O)R 、-C(O)OR 、及び-S(O) 2 からなる群より選択され、
A及びWはそれぞれ独立に、フェニルもしくは5~6員ヘテロアリールであり、ここで、それぞれのフェニルもしくは5~6員ヘテロアリールは、1~5個のR で置換されていてもよく、
Zは水素、フェニル、もしくは5~6員ヘテロアリールであり、ここで、それぞれのフェニルもしくは5~6員ヘテロアリールは、1~5個のR で置換されていてもよく、
それぞれのR は独立に、C 1 ~C 6 アルキル、ヒドロキシ-C 1 ~C 6 アルキル、ハロ-C 1 ~C 6 アルキル、アミノ-C 1 ~C 6 アルキル、シアノ-C 1 ~C 6 アルキル、オキソ、ハロ、シアノ、-OR 、-NR 、-NR C(O)R 、-C(O)NR 、-C(O)R 、-C(O)OH、-C(O)OR 、-SR 、-S(O)R 、及び-S(O) 2 からなる群より選択され、
それぞれのR は独立に、水素、C 1 ~C 6 アルキル、ヒドロキシ-C 1 ~C 6 アルキル、ハロ-C 1 ~C 6 アルキル、ハロ-C 1 ~C 6 アルコキシ、アミノ-C 1 ~C 6 アルキル、シアノ-C 1 ~C 6 アルキル、オキソ、ハロ、シアノ、-OR 、-NR 、-NR C(O)R 、-C(O)NR 、-C(O)R 、-C(O)OH、-C(O)OR 、-S(R 、-S(O)R 、-S(O) 2 、及びG 1 からなる群より選択されるか、または
隣接する原子上の2個のR 基が、それらが結合する原子と共に、1~5個のR で置換されていてもよい3~7員縮合シクロアルキル、3~7員縮合ヘテロシクリル、アリール、もしくは5~6員縮合ヘテロアリールを形成し、
それぞれのG 1 は独立に、3~7員シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、アリール、もしくは5~6員ヘテロアリールであり、ここで、それぞれの3~7員シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、アリール、もしくは5~6員ヘテロアリールは、1~3個のR で置換されていてもよく、
それぞれのR は独立に、C 1 ~C 6 アルキル、ヒドロキシ-C 1 ~C 6 アルキル、ハロ-C 1 ~C 6 アルキル、ハロ、シアノ、-OR 、-NR 、-NR C(O)R 、-C(O)NR 、-C(O)R 、-C(O)OH、-C(O)OR 、及び-S(O) 2 からなる群より選択され、
は独立に、各存在について、水素、C 1 ~C 6 アルキル、ハロ-C 1 ~C 6 アルキル、-C(O)NR 、-C(O)R 、もしくは-C(O)OR であり、
及びR のそれぞれは独立に、水素もしくはC 1 ~C 6 アルキルであるか、または
及びR は、それらが結合する原子と共に、1~3個のR で置換されていてもよい3~7員ヘテロシクリル環を形成し、
それぞれのR は独立に、C 1 ~C 6 アルキルもしくはハロ-C 1 ~C 6 アルキルであり、
それぞれのR は独立に、水素、C 1 ~C 6 アルキル、もしくはハロ-C 1 ~C 6 アルキルであり、
それぞれのR は独立に、水素、C 1 ~C 6 アルキル、もしくはハロであり、
mは、R が水素もしくはC 1 ~C 6 アルキルの場合に1であり、R がC 1 ~C 6 アルキルの場合に3であり、またはR がハロの場合に5である、
前記化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体。
[本発明1002]
Dが、
それぞれが1~4個のR 基で置換されていてもよい、架橋二環式シクロアルキル、架橋二環式ヘテロシクリル、またはキュバニル
である、本発明1001の化合物。
[本発明1003]
Dが、
それぞれが1~4個のR 基で置換されていてもよい、5~8員架橋二環式シクロアルキルもしくはヘテロシクリル、またはキュバニル
である、本発明1001または1002の化合物。
[本発明1004]
Dが、
それぞれが1~4個のR 基で置換されていてもよい、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、または2-アザビシクロ[2.2.2]オクタン
である、本発明1001~1003のいずれかの化合物。
[本発明1005]
Dが、
である、本発明1001~1004のいずれかの化合物。
[本発明1006]
Dが、
である、本発明1001~1005のいずれかの化合物。
[本発明1007]
DがR で置換されていない、本発明1001~1006のいずれかの化合物。
[本発明1008]
Dが、
である、本発明1001~1007のいずれかの化合物。
[本発明1009]
Dが1個のR で置換されている、本発明1001~1006のいずれかの化合物。
[本発明1010]
Dが、
である、本発明1001~1006及び1009のいずれかの化合物。
[本発明1011]
がオキソまたはOHである、本発明1009~1010のいずれかの化合物。
[本発明1012]
1 及びL 2 の両方が独立に、2~7員ヘテロアルキレンまたは-O-であり、それぞれの2~7員ヘテロアルキレンは1~5個のR によって置換されていてもよい、本発明1001~1011のいずれかの化合物。
[本発明1013]
1 が2~7員ヘテロアルキレンであり、L 2 が2~7員ヘテロアルキレンまたは-O-であり、それぞれの2~7員ヘテロアルキレンは1~5個のR によって置換されていてもよい、本発明1001~1012のいずれかの化合物。
[本発明1014]
1 が2~7員ヘテロアルキレンであり、L 2 が2~7員ヘテロアルキレンまたは-O-であり、それぞれの2~7員ヘテロアルキレンはR によって置換されていない、本発明1001~1013のいずれかの化合物。
[本発明1015]
それぞれのL 1 及びL 2 が独立に、CH 2 O-*、CH 2 OCH 2 -*、または-O-から選択され、「-*」はそれぞれAまたはZへの結合点を示す、本発明1001~1014のいずれかの化合物。
[本発明1016]
1 がCH 2 O-*またはCH 2 OCH 2 -*であり、L 2 がCH 2 O-*、CH 2 OCH 2 -*、または-O-から選択され、「-*」はそれぞれAまたはZへの結合点を示す、本発明1001~1015のいずれかの化合物。
[本発明1017]
1 が水素である、本発明1001~1016のいずれかの化合物。
[本発明1018]
それぞれのA及びWが独立にフェニルまたは5~6員ヘテロアリールであり、Zが水素、フェニル、または5~6員ヘテロアリールであり、ここで、それぞれのフェニルまたは5~6員ヘテロアリールが1~5個のR で置換されていてもよく、それぞれのR が独立に、C 1 ~C 6 アルキル、ハロ-C 1 ~C 6 アルキル、ハロ、シアノ、-OR 、またはG 1 である、本発明1001~1017のいずれかの化合物。
[本発明1019]
A、W、及びZのそれぞれが独立に、フェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、またはイソオキサゾリルであり、これらのそれぞれが1~5個のR 基で置換されていてもよい、本発明1001~1018のいずれかの化合物。
[本発明1020]
A、W、及びZのそれぞれが、
から選択される、本発明1001~1019のいずれかの化合物。
[本発明1021]
Aがフェニル、ピリジル、またはイソオキサゾリルであり、これらのそれぞれが1~2個のR 基で置換されていてもよい、本発明1001~1020のいずれかの化合物。
[本発明1022]
Aが、
から選択される、本発明1001~1021のいずれかの化合物。
[本発明1023]
Wがオキサジアゾリル、イミダゾリル、またはトリアゾリルである、本発明1001~1022のいずれかの化合物。
[本発明1024]
Wが、
から選択される、本発明1001~1023のいずれかの化合物。
[本発明1025]
Zがフェニルまたはピリジルであり、これらのそれぞれが1~2個のR 基で置換されていてもよい、本発明1001~1024のいずれかの化合物。
[本発明1026]
Zが、
から選択される、本発明1001~1025のいずれかの化合物。
[本発明1027]
Aがフェニル、ピリジル、またはイソオキサゾリルであり、Wがオキサジアゾリル、イミダゾリル、またはトリアゾリルであり、Zがフェニルまたはピリジルであり、ここで、それぞれのフェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、及びイソオキサゾリルが1~5個のR で置換されていてもよく、それぞれのR が独立に、C 1 ~C 6 アルキル、ハロ-C 1 ~C 6 アルキル、ハロ、シアノ、-OR 、またはG 1 である、本発明1001~1026のいずれかの化合物。
[本発明1028]
Zが水素である、本発明1001~1018及び1021~1024のいずれかの化合物。
[本発明1029]
それぞれのR が独立に、クロロ、フルオロ、CF 3 、CH 3 、CH 2 CH 3 、CH(CH 3 2 、OCH 3 、OCH(CH 3 2 、CN、またはG 1 である、本発明1001~1027のいずれかの化合物。
[本発明1030]
それぞれのA及びZが独立に、隣接する原子上の2個のR で置換されており、前記2個のR が、それらが結合する原子と共に、1~5個のR で置換されていてもよい3~7員縮合ヘテロシクリル環または5~6員縮合ヘテロアリール環を形成する、本発明1001~1027のいずれかの化合物。
[本発明1031]
前記2個のR が、それらが結合する原子と共に、フラニル環、ピロリル環、またはジオキソラニル環を形成し、これらのそれぞれが1~5個のR で置換されていてもよい、本発明1030の化合物。
[本発明1032]
それぞれのR が独立にフルオロである、本発明1031の化合物。
[本発明1033]
1 が、1~5個のR で置換されていてもよいシクロプロピルである、本発明1001~1027及び1029~1032のいずれかの化合物。
[本発明1034]
前記式(I)の化合物が、式(I-a):
の化合物であって、
式中、
Dは、ビシクロ[1.1.1]ペンタニルまたはビシクロ[2.2.2]オクタニルであり、これらのそれぞれが1~4個のR 基で置換されていてもよく、
1 及びL 2 はそれぞれ独立に、CH 2 O-*、CH 2 OCH 2 -*、または-O-であり、「-*」はそれぞれAまたはZへの結合点を示し、
1 は水素であり、
A及びWはそれぞれ独立に、フェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、またはイソオキサゾリルであり、これらのそれぞれが1~5個のR 基で置換されていてもよく、
Zは水素、フェニル、またはピリジルであり、ここで、それぞれのフェニルまたはピリジルが1~5個のR 基で置換されていてもよく、
それぞれのR は、フルオロ、オキソ、またはOHであり、
それぞれのR は独立に、クロロ、フルオロ、CF 3 、CH 3 、CH 2 CH 3 、CH(CH 3 2 、OCH 3 、OCH(CH 3 2 、CN、またはG 1 であるか、または
隣接する原子上の2個のR 基が、それらが結合する原子と共に、フラニル環、ピロリル環、またはジオキソラニル環を形成し、これらのそれぞれが1~2個のR で置換されていてもよく、
1 はシクロプロピルである、
前記化合物である、本発明1001~1033のいずれかの化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体。
[本発明1035]
前記式(I)の化合物が、式(I-b):
の化合物である、本発明1001~1034のいずれかの化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体。
[本発明1036]
前記式(I)の化合物が、式(I-c):
の化合物である、本発明1001~1035のいずれかの化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体。
[本発明1037]
前記式(I)の化合物が、式(I-d):
の化合物である、本発明1001~1036のいずれかの化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体。
[本発明1038]
前記式(I)の化合物が、式(I-e-1)、式(I-e-2)、式(I-e-3)、式(I-e-4)、または式(I-e-5):
の化合物である、本発明1001~1035のいずれかの化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体。
[本発明1039]
前記式(I)の化合物が、式(I-f):
の化合物である、本発明1001~1035のいずれかの化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体。
[本発明1040]
前記式(I)の化合物が、式(I-g):
の化合物である、本発明1001~1034のいずれかの化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体。
[本発明1041]
表1に記載の任意の化合物から選択される、本発明1001~1040のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体。
[本発明1042]
本発明1001~1041のいずれかの化合物と薬学的に許容される担体とを含む、薬学的に許容される組成物。
[本発明1043]
本発明1001~1041のいずれかの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体を含む、対象における神経変性疾患、白質ジストロフィー、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患、ウイルス感染症、皮膚疾患、線維性疾患、ヘモグロビン病、腎疾患、難聴、眼疾患、筋骨格系疾患、代謝疾患、あるいはミトコンドリア性疾患の治療に使用するための組成物。
[本発明1044]
前記神経変性疾患が、白質ジストロフィー、白質脳症、ミエリン形成不全もしくは脱髄疾患、知的障害症候群、認知障害、グリア細胞機能障害、または脳損傷(例えば、外傷性脳損傷もしくは毒素誘発性脳損傷)を含む、本発明1043の組成物。
[本発明1045]
前記神経変性疾患が、白質消失病、中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、クロイツフェルト・ヤコブ病、前頭側頭型認知症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、ハンチントン病、認知症(例えば、HIV関連認知症もしくはレビー小体型認知症)、クールー病、多発性硬化症、パーキンソン病、またはプリオン病を含む、本発明1043または1044の組成物。
[本発明1046]
前記神経変性疾患が白質消失病を含む、本発明1043~1045のいずれかの組成物。
[本発明1047]
前記がんが、膵臓癌、乳癌、多発性骨髄腫、または分泌細胞のがんを含む、本発明1043の組成物。
[本発明1048]
前記炎症性疾患が、術後認知機能障害、関節炎(例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、もしくは若年性特発性関節炎)、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、糖尿病(例えば、若年発症型糖尿病もしくは1型糖尿病)、ギラン・バレー症候群、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、強直性脊椎炎、乾癬、シェーグレン症候群、血管炎、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、魚鱗癬、グレーブス眼症、炎症性腸疾患、アジソン病、白斑、喘息(例えば、アレルギー性喘息)、尋常性ざ瘡、セリアック病、慢性前立腺炎、骨盤内炎症性疾患、再灌流傷害、サルコイドーシス、移植拒絶反応、間質性膀胱炎、アテローム性動脈硬化症、またはアトピー性皮膚炎を含む、本発明1043の組成物。
[本発明1049]
前記筋骨格系疾患が、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、遠位筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、もしくは筋強直性筋ジストロフィー)、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、原発性側索硬化症、進行性筋萎縮症、進行性球麻痺、仮性球麻痺、脊髄性筋萎縮症、進行性球脊髄性筋萎縮症、脊髄痙縮、脊髄性筋萎縮症、重症筋無力症、神経痛、線維筋痛症、マシャド・ジョセフ病、筋痙攣・線維束性収縮症候群、フリードリヒ運動失調症、筋消耗性障害(例えば、筋萎縮症、サルコペニア、悪液質)、封入体筋炎、運動ニューロン疾患、または麻痺を含む、本発明1043の組成物。
[本発明1050]
前記代謝疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、肝線維症、肥満、心疾患、アテローム性動脈硬化症、関節炎、シスチン症、糖尿病(例えば、I型糖尿病、II型糖尿病、もしくは妊娠性糖尿病)、フェニルケトン尿症、増殖性網膜症、またはカーンズ・セイヤー病を含む、本発明1043の組成物。
[本発明1051]
前記ミトコンドリア性疾患が、ミトコンドリア機能障害、1種以上のミトコンドリアタンパク質変異、もしくは1種以上のミトコンドリアDNA変異に関連するか、またはその結果である、本発明1043の組成物。
[本発明1052]
前記ミトコンドリア性疾患がミトコンドリア筋症である、本発明1043または1051の組成物。
[本発明1053]
前記ミトコンドリア性疾患が、バース症候群、慢性進行性外眼筋麻痺(cPEO)、カーンズ・セイヤー症候群(KSS)、リー症候群(例えば、MILS、すなわち母系遺伝リー症候群)、ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS、例えば、アルパース症候群)、ミトコンドリア脳筋症(例えば、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(MELAS))、ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE)、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、ニューロパチー、運動失調、網膜色素変性症(NARP)、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、及びピアソン症候群からなる群より選択される、本発明1043及び1051~1052のいずれかの組成物。
[本発明1054]
前記自己免疫疾患が、アカラシア、アジソン病、成人スティル病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性血管浮腫、自己免疫性自律神経障害、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性じんましん、軸索型及びニューロン型ニューロパチー(AMAN)、バロー病、ベーチェット病、良性粘膜類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病(CD)、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、慢性再発性多巣性骨髄炎(CRMO)、チャーグ・ストラウス症候群(CSS)すなわち好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、先天性心ブロック、コクサッキー心筋炎、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、円板状エリテマトーデス、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎(EoE)、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、本態性混合型クリオグロブリン血症、エバンス症候群、線維筋痛症、線維性肺胞炎、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発性血管炎性肉芽腫症、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(HSP)、妊娠性ヘルペスまたは妊娠性類天疱瘡(PG)、化膿性汗腺炎(HS)(反対型ざ瘡)、低ガンマグロブリン血症、IgA腎症、IgG4関連硬化性疾患、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、封入体筋炎(IBM)、間質性膀胱炎(IC)、若年性関節炎、若年性糖尿病(1型糖尿病)、若年性筋炎(JM)、川崎病、ランバート・イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質性結膜炎、線状IgA病(LAD)、ループス、慢性ライム病、メニエール病、顕微鏡的多発性血管炎(MPA)、混合性結合組織病(MCTD)、モーレン潰瘍、ムッハ・ハーバーマン病、多巣性運動ニューロパチー(MMN)またはMMNCB、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、新生児ループス、視神経脊髄炎、好中球減少症、眼瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、パリンドロームリウマチ(PR)、PANDAS、腫瘍随伴性小脳変性症(PCD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、パリー・ロンバーグ症候群、毛様体扁平部炎(周辺部ブドウ膜炎)、パーソネージ・ターナー症候群、天疱瘡、末梢性ニューロパチー、静脈周囲性脳脊髄炎、悪性貧血(PA)、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、多腺性自己免疫症候群I型、多腺性自己免疫症候群II型、多腺性自己免疫症候群III型、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、プロゲステロン皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎、赤芽球ろう(PRCA)、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、再発性多発軟骨炎、むずむず脚症候群(RLS)、後腹膜線維症、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精子及び精巣に対する自己免疫、全身硬直症候群(SPS)、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、スザック症候群、交感性眼炎(SO)、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、血小板減少性紫斑病(TTP)、トロサ・ハント症候群(THS)、横断性脊髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎(UC)、未分化結合組織病(UCTD)、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、フォークト・小柳・原田病、ならびにウェゲナー肉芽腫症(すなわち多発性血管炎を伴う肉芽腫症(GPA))からなる群より選択される、本発明1043の組成物。
[本発明1055]
前記ウイルス感染症が、インフルエンザ、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、及びヘルペスからなる群より選択される、本発明1043の組成物。
[本発明1056]
前記皮膚疾患が、ざ瘡、円形脱毛症、基底細胞癌、ボーエン病、先天性赤血球生成性ポルフィリン症、接触性皮膚炎、ダリエ病、播種状表在性光線性汗孔角化症、栄養障害型表皮水疱症、湿疹(アトピー性湿疹)、乳房外パジェット病、単純性表皮水疱症、赤血球生成性プロトポルフィリン症、爪の真菌感染症、ヘイリー・ヘイリー病、単純ヘルペス、化膿性汗腺炎、多毛症、多汗症、魚鱗癬、膿痂疹、ケロイド、毛孔性角化症、扁平苔癬、硬化性苔癬、黒色腫、黒皮症、粘膜類天疱瘡、類天疱瘡、尋常性天疱瘡、苔癬状粃糠疹、毛孔性紅色粃糠疹、足底疣贅(いぼ)、多形日光疹、乾癬、尋常性乾癬、壊疽性膿皮症、酒さ、疥癬、強皮症、帯状疱疹、扁平上皮細胞癌、スウィート症候群、じんましん及び血管浮腫、ならびに白斑からなる群より選択される、本発明1043の組成物。
[本発明1057]
前記線維性疾患が、癒着性関節包炎、動脈硬化、関節線維症、心房線維症、心臓線維症、肝硬変、先天性肝線維症、クローン病、嚢胞性線維症、デュピュイトラン拘縮、心内膜心筋線維症、グリア瘢痕、C型肝炎、肥大型心筋症、過敏性肺実質炎、特発性肺線維症、特発性間質性肺炎、間質性肺疾患、ケロイド、縦隔線維症、骨髄線維症、腎性全身性線維症、非アルコール性脂肪性肝疾患、陳旧性心筋梗塞、ペロニー病、じん肺症、肺実質炎、進行性塊状線維症、肺線維症、放射線誘発性肺損傷、後腹膜線維症、強皮症/全身性硬化症、珪肺症、及び心室リモデリングからなる群より選択される、本発明1043の組成物。
[本発明1058]
前記ヘモグロビン病が、「優性遺伝」β-サラセミア、後天性(中毒性)メトヘモグロビン血症、カルボキシヘモグロビン血症、先天性ハインツ小体型溶血性貧血、HbH病、HbS/β-サラセミア、HbE/β-サラセミア、HbSC病、ホモ接合型α -サラセミア(α 0 -サラセミアの表現型)、Hbバルツ病を伴う胎児性水腫、鎌状赤血球貧血/鎌状赤血球症、鎌状赤血球形質、鎌状β-サラセミア疾患、α -サラセミア、α 0 -サラセミア、骨髄異形成症候群を伴うα-サラセミア、α-サラセミア/精神遅滞(ATR)症候群、β 0 -サラセミア、β -サラセミア、δ-サラセミア、γ-サラセミア、重症型β-サラセミア、中間型β-サラセミア、δβ-サラセミア、及びεγδβ-サラセミアからなる群より選択される、本発明1043の組成物。
[本発明1059]
前記腎疾患が、アブデルハルデン・カウフマン・リグナック症候群(腎症性シスチン症)、腹部コンパートメント症候群、アセトアミノフェン誘発性腎毒性、急性腎不全/急性腎傷害、急性葉性ネフロニア、急性リン酸腎症、急性尿細管壊死、アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症、アデノウイルス腎炎、アラジール症候群、アルポート症候群、アミロイドーシス、心内膜炎及び他の感染症に関連するANCA血管炎、血管筋脂肪腫、鎮痛薬腎症、神経性無食欲症と腎疾患、アンジオテンシン抗体と巣状分節性糸球体硬化症、抗リン脂質症候群、抗TNF-α療法関連糸球体腎炎、APOL1変異、見かけの鉱質コルチコイド過剰症候群、アリストロキア酸腎症、漢方薬腎症、バルカン風土病性腎症、泌尿器官の動静脈奇形及び瘻孔、常染色体優性低カルシウム血症、バルデー・ビードル症候群、バーター症候群、入浴剤と急性腎傷害、ビール多飲症、ビート尿、β-サラセミア腎障害、胆汁円柱腎症、生得の腎臓におけるBK型ポリオーマウイルス腎症、膀胱破裂、膀胱括約筋筋失調症、膀胱タンポナーデ、ボーダー・クロッサー(Border-Crosser’s)腎症、バーボンウイルスと急性腎傷害、燃やしたサトウキビの収穫と急性腎機能障害、バイエッタと腎不全、C1q腎症、C3糸球体症、単クローン性免疫グロブリン血症を伴うC3糸球体症、C4糸球体症、カルシニューリン阻害剤腎毒性、カリレピス・ラウレオラ(Callilepsis Laureola)中毒、カンナビノイド悪阻急性腎不全、心腎症候群、カルフィルゾミブ誘発性腎傷害、CFHR5腎症、糸球体症を伴うシャルコー・マリー・トゥース病、漢方薬と腎毒性、チェリー濃縮物と急性腎傷害、コレステロール塞栓症、チャーグ・ストラウス症候群、乳び尿症、繊毛病、コカインと腎臓、寒冷利尿、コリスチン腎毒性、膠原線維糸球体症、虚脱性糸球体症、CMVに関連する虚脱性糸球体症、併用抗レトロウイルス療法(cART)関連腎症、先天性腎尿路異常(CAKUT)、先天性ネフローゼ症候群、うっ血性腎不全、腎錐体症候群(マインツァー・サルディーノ症候群またはサルディーノ・マインツァー病)、造影剤腎症、硫酸銅中毒症、腎皮質壊死、クリゾチニブ関連急性腎傷害、結晶クリオグロブリン血症、クリオグロブリン血症、結晶グロブリン誘発性腎症、結晶誘発性急性腎傷害、結晶蓄積性組織球症、後天性嚢胞性腎疾患、シスチン尿症、ダサチニブ誘発性のネフローゼ領域のタンパク尿症、デンスデポジット病(MPGN2型)、デント病(X連鎖劣性腎結石症)、DHA結晶性腎症、透析不均衡症候群、糖尿病と糖尿病性腎疾患、尿崩症、栄養補助食品と腎不全、びまん性メサンギウム硬化症、利尿、ジリン豆(Djenkol Bean)中毒(ジリン豆中毒(Djenkolism))、ダウン症候群と腎疾患、依存性薬物と腎疾患、重複尿管、EAST症候群、エボラと腎臓、異所性腎、異所性尿管、浮腫、腫脹、エルドハイム・チェスター病、ファブリー病、家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症、ファンコーニ症候群、フレーザー症候群、フィブロネクチン糸球体症、原線維性糸球体腎炎とイムノタクトイド糸球体症、フレーリー症候群、水分過負荷、循環血液量過多症、巣状分節性糸球体硬化症、巣状硬化症、巣状糸球体硬化症、ギャロウェイ・モワト症候群、腎臓関与を伴う巨細胞性(側頭)動脈炎、妊娠性高血圧症、ギテルマン症候群、糸球体疾患、糸球体尿細管逆流、腎性糖尿、グッドパスチャー症候群、グリーンスムージー浄化腎症、HANAC症候群、ハーボニー(レジパスビル/ソホスブビル合剤)誘発性腎傷害、染毛剤の摂取と急性腎傷害、ハンタウイルス感染によるポドサイトパチー、熱ストレス腎症、血尿(尿中血液)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、血球貪食症候群、出血性膀胱炎、腎症候性出血熱(HFRS、ハンタウイルス腎疾患、韓国型出血熱、流行性出血熱、流行性腎症)、ヘモジデリン尿症、発作性夜間血色素尿症及び溶血性貧血に関連するヘモジデリン沈着症、肝性糸球体症、肝性静脈閉塞症、類洞閉塞症候群、C型肝炎関連腎疾患、肝細胞核因子1β関連腎疾患、肝腎症候群、ハーブサプリメントと腎疾患、高地腎症候群、高血圧と腎疾患、HIV関連免疫複合体性腎疾患(HIVICK)、HIV関連腎症(HIVAN)、HNF1B関連常染色体優性尿細管間質性腎疾患、馬蹄腎(融合腎)、ハンナー潰瘍、ヒドロキシクロロキン誘発性腎リン脂質症、高アルドステロン症、高カルシウム血症、高カリウム血症、高マグネシウム血症、高ナトリウム血症、高シュウ酸尿症、高リン酸血症、低カルシウム血症、低補体血症性じんましん様血管炎症候群、低カリウム血症、低カリウム血症誘発性腎機能障害、低カリウム血症性周期性四肢麻痺、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、低リン酸血症、大麻使用者における低リン酸血症、高血圧症、一遺伝子性高血圧症、アイスティー腎症、イホスファミド腎毒性、IgA腎症、IgG4腎症、浸水利尿、免疫チェックポイント療法関連間質性腎炎、インフリキシマブ関連腎疾患、間質性膀胱炎、膀胱痛症候群(質問票)、間質性腎炎、核巨大化(Karyomegalic)間質性腎炎、アイブマーク症候群、JCウイルス腎症、ジュベール症候群、ケタミン関連膀胱機能障害、腎臓結石、腎結石症、コンブチャティー毒性、鉛腎症及び鉛関連腎毒性、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ欠損症(LCAT欠損症)、レプトスピラ症性腎疾患、軽鎖沈着症、単クローン性免疫グロブリン沈着症、軽鎖近位尿細管症、リドル症候群、ライトウッド・オルブライト症候群、リポタンパク糸球体症、リチウム腎毒性、LMX1B変異が引き起こす遺伝性FSGS、腰痛・血尿症、ループス、全身性エリテマトーデス、ループス性腎疾患、ループス性腎炎、抗好中球細胞質抗体血清陽性を伴うループス腎炎、ループスポドサイトパチー、ライム病関連糸球体腎炎、リシン尿性タンパク不耐性、リゾチーム腎症、マラリア腎症、悪性腫瘍関連腎疾患、悪性高血圧症、マラコプラキア、マックキトリック・ウィーロック症候群、MDMA(モリー;エクスタシー;3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン)と腎不全、外尿道口狭窄、髄質嚢胞性腎疾患、ウロモジュリン関連腎症、若年性高尿酸血症性腎症1型、海綿腎、巨大尿管、メラミン毒性及びその腎臓、MELAS症候群、膜性増殖性糸球体腎炎、膜性腎症、マスクされたIgGκ沈着を伴う膜様糸球体症、メソアメリカ腎症、代謝性アシドーシス、代謝性アルカローシス、メトトレキサート関連腎不全、顕微鏡的多発性血管炎、ミルク・アルカリ症候群、微小変化型疾患、腎障害を伴う単クローン性免疫グロブリン血症、タンパク異常血症、マウスウォッシュ毒性、MUC1腎症、多嚢胞性異形成腎、多発性骨髄腫、骨髄増殖性新生物と糸球体症、爪膝蓋骨症候群、NARP症候群、腎石灰化症、腎性全身性線維症、腎下垂症(遊走腎、腎下垂(Renal Ptosis))、ネフローゼ症候群、神経因性膀胱、9/11及び腎疾患、結節性糸球体硬化症、非淋菌性尿道炎、くるみ割り症候群、寡巨大糸球体症、口顔面指症候群、オロチン酸尿症、起立性低血圧症、起立性タンパク尿症、浸透圧性利尿、浸透圧性ネフローゼ、卵巣過剰刺激症候群、シュウ酸腎症、ページ腎、乳頭壊死、乳頭腎症候群(腎コロボーマ症候群、孤立性腎低形成)、PARN変異と腎疾患、パルボウイルスB19と腎臓、腹膜・腎症候群、POEMS症候群、後部尿道弁、足細胞陥入糸球体症、感染後糸球体腎炎、溶連菌感染後糸球体腎炎、非典型感染後糸球体腎炎、擬IgA腎症感染後糸球体腎炎(IgA優性)(Post-Infectious Glomerulonephritis (IgA-Dominant) Mimicking IgA Nephropathy)、結節性多発動脈炎、多発性嚢胞腎疾患、後部尿道弁、閉塞後利尿、子癇前症、プロポフォール注入症候群、単クローン性IgG沈着を伴う増殖性糸球体腎炎(Nasr病)、プロポリス(ミツバチ樹脂)関連腎不全、タンパク尿症(尿中タンパク質)、偽性高アルドステロン症、偽性低重炭酸塩血症、偽性副甲状腺機能低下症、肺腎症候群、腎盂腎炎(腎感染症)、膿腎症、ピリジウムと腎不全、放射線腎症、ラノラジンと腎臓、再栄養症候群、逆流性腎症、急速進行性糸球体腎炎、腎膿瘍、腎周囲膿瘍、腎無形成、腎弓状静脈微小血栓関連急性腎傷害、腎動脈瘤、突発性腎動脈解離、腎動脈狭窄症、腎細胞癌、腎嚢胞、運動誘発性急性腎不全を伴う腎性低尿酸血症、腎梗塞、腎性骨ジストロフィー、腎尿細管性アシドーシス、レニン変異、常染色体優性尿細管間質性腎疾患、レニン分泌腫瘍(傍糸球体細胞腫)、リセットオスモスタット、下大静脈後尿管、後腹膜線維症、横紋筋融解症、肥満外科手術に関連する横紋筋融解症、関節リウマチ関連腎疾患、サルコイドーシス腎症、腎臓及び大脳の塩類喪失、住血吸虫症と糸球体疾患、シムケ免疫性骨形成不全、強皮症腎クリーゼ、蛇行性腓骨・多嚢胞腎(Serpentine Fibula-Polycystic Kidney)症候群、エクスナー(Exner)症候群、鎌状赤血球腎症、シリカ曝露及び慢性腎疾患、スリランカ農民の腎疾患、シェーグレン症候群及び腎疾患、合成大麻の使用と急性腎傷害、造血細胞移植後の腎疾患、幹細胞移植に関連する腎疾患、TAFRO症候群、お茶とトースト低ナトリウム血症、テノホビル誘発性腎毒性、菲薄基底膜病、良性家族性血尿、単クローン性免疫グロブリン血症関連血栓性微小血管症、戦争腎炎、膀胱三角部炎、泌尿生殖器結核、結節性硬化症、尿細管形成不全症、近位尿細管刷子縁に対する自己抗体起因の免疫複合体性尿細管間質性腎炎、腫瘍溶解症候群、尿毒症、尿毒症性視神経症、嚢胞性尿管炎、尿管瘤、尿道カルンクル、尿道狭窄症、尿失禁、尿路感染症、尿路閉塞、泌尿生殖器瘻、ウロモジュリン関連腎疾患、バンコマイシン関連円柱腎症、血管運動性腎症、膀胱腸瘻、膀胱尿管逆流症、VGEF阻害と腎血栓性微小血管症、揮発性麻酔薬と急性腎傷害、フォン・ヒッペル・リンドウ病、ワルデンストレームマクログロブリン血症性糸球体腎炎、ワルファリン関連腎症、蜂刺傷と急性腎傷害、ウェゲナー肉芽腫症、多発性血管炎性肉芽腫症、ウエストナイルウイルスと慢性腎疾患、ワンダーリッヒ症候群、ゼルウィガー症候群、または脳肝腎症候群からなる群より選択される、本発明1043の組成物。
[本発明1060]
前記難聴が、ミトコンドリア遺伝非症候群性難聴及び聴覚消失、有毛細胞死、加齢性難聴、騒音性難聴、遺伝子的または遺伝性難聴、聴毒性曝露の結果として経験される難聴、疾患に起因する難聴、ならびに外傷に起因する難聴からなる群より選択される、本発明1043の組成物。
[本発明1061]
前記眼疾患が、白内障、緑内障、小胞体(ER)ストレス、オートファジー欠損、加齢性黄斑変性(AMD)、または糖尿病性網膜症である、本発明1043の組成物。
[本発明1062]
第2の薬剤(例えば、神経変性疾患、白質ジストロフィー、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患、ウイルス感染症、皮膚疾患、線維性疾患、ヘモグロビン病、腎疾患、難聴、眼疾患、筋骨格系疾患、代謝疾患、もしくはミトコンドリア性疾患、またはeIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の機能障害に関連する疾患あるいは障害を治療するための薬剤)をさらに含む、本発明1043~1061のいずれかの組成物。
[本発明1063]
本発明1001~1041のいずれかの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体を含む、eIF2Bの活性またはレベル、eIF2αの活性またはレベル、あるいはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の活性またはレベルの調節に関連する疾患の治療に使用するための組成物。
[本発明1064]
前記調節が、eIF2Bの活性またはレベルの増加、eIF2αの活性またはレベルの増加、あるいはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の活性またはレベルの増加を含む、本発明1063の組成物。
[本発明1065]
前記疾患が、eIF2経路(例えば、eIF2αシグナル伝達経路)の構成因子に関連する遺伝子またはタンパク質の配列に対する変異によって生じ得る、本発明1063の組成物。
[本発明1066]
対象におけるがんの治療方法であって、式(I)の化合物を免疫療法剤との併用で前記対象に投与することを含む、前記方法。
【発明を実施するための形態】
【0069】
発明の詳細な説明
本発明は、例えば、eIF2Bの調節(例えば、活性化)及びISRシグナル伝達経路の減衰に使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体を含む、化合物、組成物、及び方法を特徴とする。
【0070】
定義
化学的定義
以下に特定の官能基及び化学用語の定義をより詳細に説明する。元素は、元素の周期表、CAS版、Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed.,見返しに準拠して特定され、特定の官能基は、概括的には、上記Handbook中に記載のように定義される。更に、有機化学の一般的な原理、ならびに特定の官能性部分及び反応性は、Thomas Sorrell,Organic Chemistry,University Science Books,Sausalito,1999、Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry,5th Edition,John Wiley & Sons,Inc.,New York,2001、Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers,Inc.,New York,1989、及びCarruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載される。
【0071】
本明細書で使用される略語は、化学及び生物学分野の範囲におけるそれらの従来の意味を有する。本明細書に記載される化学構造及び式は、化学分野において知られている化学的原子価の標準的な規則に従って構築される。
【0072】
本明細書に記載の化合物は、1つ以上の不斉中心を含んでいてもよく、したがって、種々の異性体、例えば、鏡像異性体及び/またはジアステレオマーで存在していてもよい。例えば、本明細書に記載の化合物は、個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、もしくは幾何異性体の形態であってもよく、またはラセミ混合物及び1種以上の立体異性体に富む混合物を含む立体異性体の混合物の形態であってもよい。異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)及びキラル塩の形成及び結晶化を含む、当業者に公知の方法により混合物から単離することができ、または好ましい異性体を不斉合成によって製造することができる。例えば、Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions (Wiley Interscience,New York,1981)、Wilen et al.,Tetrahedron 33:2725 (1977)、Eliel,Stereochemistry of Carbon Compounds (McGraw-Hill,NY,1962)、及びWilen,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268 (E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照されたい。本発明は更に、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体としての、あるいは種々の異性体の混合物としての本明細書に記載の化合物を包含する。
【0073】
本明細書では、純粋な鏡像異性化合物は、当該化合物の他の鏡像異性体または立体異性体を実質的に含まない(すなわち、鏡像異性体過剰である)。換言すれば、当該化合物の「S」体は、該化合物の「R」体を実質的に含まず、したがって、「R」体の鏡像異性体過剰である。「鏡像異性的に純粋な」または「純粋な鏡像異性体」という用語は、当該化合物が、75重量%を超える、80重量%を超える、85重量%を超える、90重量%を超える、91重量%を超える、92重量%を超える、93重量%を超える、94重量%を超える、95重量%を超える、96重量%を超える、97重量%を超える、98重量%を超える、99重量%を超える、99.5重量%を超える、または99.9重量%を超える、当該鏡像異性体を含むことを意味する。ある特定の実施形態において、重量は、当該化合物の全ての鏡像異性体または立体異性体を基準とする。
【0074】
本明細書において提供される組成物において、鏡像異性的に純粋な化合物は、他の活性または不活性成分と共に存在していてもよい。例えば、鏡像異性的に純粋なR-化合物を含む医薬組成物は、例えば、約90%の賦形剤及び約10%の鏡像異性的に純粋なR-化合物を含んでいてもよい。ある特定の実施形態において、かかる組成物中の上記鏡像異性的に純粋なR-化合物は、例えば、当該化合物の総重量を基準として、少なくとも約95重量%のR-化合物と多くとも約5重量%のS-化合物とを含んでいてもよい。例えば、鏡像異性的に純粋なS-化合物を含む医薬組成物は、例えば、当該化合物の全重量を基準として、約90%の賦形剤と約10%の鏡像異性的に純粋なS-化合物とを含んでいてもよい。ある特定の実施形態において、かかる組成物中の上記鏡像異性的に純粋なS-化合物は、例えば、当該化合物の全重量を基準として、少なくとも約95重量%のS-化合物と多くとも約5重量%のR-化合物とを含んでいてもよい。ある特定の実施形態において、上記活性成分を、賦形剤もしくは担体をほとんどまたは全く含まずに製剤化してもよい。
【0075】
本明細書に記載の化合物はまた、1つ以上の同位体置換を含んでいてもよい。例えば、Hは、H、H(Dまたは重水素)、及びH(Tまたはトリチウム)を含む任意の同位体であってよく、Cは、12C、13C、及び14Cを含む任意の同位体であってよく、Oは16O及び18Oを含む任意の同位体であってよい等々である。
【0076】
本明細書においては、冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の該冠詞の文法上の目的語を指すために用いることができる。例として、「1種の類似体」は1種の類似体または2種以上の類似体を意味する。
【0077】
値の範囲が列挙される場合、該範囲は当該範囲内の各値及び下位範囲を包含することを意図する。例えば、「C~Cアルキル」は、C、C、C、C、C、C、C~C、C~C、C~C、C~C、C~C、C~C、C~C、C~C、C~C、C~C、C~C、C~C、C~C、C~C、及びC~Cアルキルを包含することを意図する。
【0078】
以下の用語は、それらの用語で示される以下に記載の意味をもつことを意図しており、本発明の説明及び意図する範囲を理解するのに役立つ。
【0079】
「アルキル」とは、1~20個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状飽和炭化水素基のラジカル(「C~C20アルキル」)を意味する。いくつかの実施形態において、アルキル基は1~12個の炭素原子を有する(「C~C12アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は1~8個の炭素原子を有する(「C~Cアルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は1~6個の炭素原子を有する(「C~Cアルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は1~5個の炭素原子を有する(「C~Cアルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は1~4個の炭素原子を有する(「C~Cアルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は1~3個の炭素原子を有する(「C~Cアルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は1~2個の炭素原子を有する(「C~Cアルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は1個の炭素原子を有する(「Cアルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C~Cアルキル」)。C~Cアルキル基の例としては、メチル(C)、エチル(C)、n-プロピル(C)、イソプロピル(C)、n-ブチル(C)、tert-ブチル(C)、sec-ブチル(C)、イソブチル(C)、n-ペンチル(C)、3-ペンタニル(C)、アミル(C)、ネオペンチル(C)、3-メチル-2-ブタニル(C)、第三級アミル(C)、及びn-ヘキシル(C)が挙げられる。アルキル基の更なる例としては、n-ヘプチル(C)、n-オクチル(C)などが挙げられる。それぞれのアルキル基の例は独立に、置換されていてもよい、すなわち、非置換であってもよく(非置換アルキル)、または1個以上の置換基、例えば、1~5個の置換基、1~3個の置換基、もしくは1個の置換基で置換されていてもよい(「置換アルキル」)。ある特定の実施形態において、上記アルキル基は非置換C~C10アルキル(例えば、-CH)である。ある特定の実施形態において、上記アルキル基は置換C~Cアルキルである。一般的なアルキルの略称としては、Me(-CH)、Et(-CHCH)、iPr(-CH(CH)、nPr(-CHCHCH)、n-Bu(-CHCHCHCH)、またはi-Bu(-CHCH(CH)が挙げられる。
【0080】
単独でまたは別の置換基の一部としての「アルキレン」という用語は、別段の明示がない限り、-CHCHCHCH-を例とし、但しこれに限定されない、アルキルに由来する2価ラジカルを意味する。一般的には、アルキル(またはアルキレン)基は、1~24個の炭素原子を有することとなり、本発明においては、10個以下の炭素原子を有するそれらの基が好ましい。単独でまたは別の置換基の一部としての「アルケニレン」という用語は、別段の明示がない限り、アルケンに由来する2価のラジカルを意味する。アルキレン基は、例えば、C~C員アルキレンと記述されてもよく、ここで「員」という用語とは当該部分内の非水素原子を指す。
【0081】
「アルケニル」とは、2~20個の炭素原子及び1つ以上の炭素-炭素二重結合を有し、三重結合をもたない直鎖状または分枝鎖状の炭化水素基のラジカル(「C~C20アルケニル」)を指す。いくつかの実施形態において、アルケニル基は2~10個の炭素原子を有する(「C~C10アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~8個の炭素原子を有する(「C~Cアルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C~Cアルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~5個の炭素原子を有する(「C~Cアルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~4個の炭素原子を有する(「C~Cアルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~3個の炭素原子を有する(「C~Cアルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2個の炭素原子を有する(「Cアルケニル」)。上記1つ以上の炭素-炭素二重結合は、(2-ブテニルのように)内部二重結合または(1-ブテニルのように)末端二重結合であってもよい。C~Cアルケニル基の例としては、エテニル(C)、1-プロペニル(C)、2-プロペニル(C)、1-ブテニル(C)、2-ブテニル(C)、ブタジエニル(C)などが挙げられる。C~Cアルケニル基の例としては、上述のC~Cアルケニル基、ならびにペンテニル(C)、ペンタジエニル(C)、ヘキセニル(C)などが挙げられる。アルケニルの更なる例としては、ヘプテニル(C)、オクテニル(C)、オクタトリエニル(C)などが挙げられる。それぞれのアルケニル基の例は独立に、置換されていてもよい、すなわち、非置換であってもよく(非置換アルケニル)、または1個以上の置換基、例えば、1~5個の置換基、1~3個の置換基、もしくは1個の置換基で置換されていてもよい(「置換アルケニル」)。ある特定の実施形態において、上記アルケニル基は非置換のC2~10アルケニルである。ある特定の実施形態において、上記アルケニル基は置換C2~6アルケニルである。
【0082】
「アリール」とは、単環式または多環式(例えば、二環式もしくは三環式)の4n+2芳香環系(例えば、環状の配列において共有される6、10、または14個のπ電子を有する)であって、当該芳香環系中に存在する6~14個の環炭素原子を有し、ヘテロ原子をもたない上記芳香環系のラジカル(「C6~14アリール」)を指す。いくつかの実施形態において、アリール基は6個の環炭素原子を有する(「Cアリール」、例えば、フェニル)。いくつかの実施形態において、アリール基は10個の環炭素原子を有する(「C10アリール」、例えば、1-ナフチル及び2-ナフチルなどのナフチル)。いくつかの実施形態において、アリール基は14個の環炭素原子を有する(「C14アリール」、例えば、アントラシル)。アリール基は、例えば、C~C10員アリールと記述されてもよく、ここで「員」という用語とは当該部分内の非水素環原子を指す。アリール基としては、フェニル、ナフチル、インデニル、及びテトラヒドロナフチルが挙げられるが、これらに限定はされない。それぞれのアリール基の例は独立に、置換されていてもよい、すなわち、非置換であってもよく(非置換アリール)、または1個以上の置換基で置換されていてもよい(「置換アリール」)。ある特定の実施形態において、上記アリール基は非置換C~C14アリールである。ある特定の実施形態において、上記アリール基は置換C~C14アリールである。
【0083】
ある特定の実施形態において、アリール基は、ハロ、C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルキル、ハロオキシ-C~Cアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ-C~Cアルキル、及びアミノから選択される1種以上の基で置換されている。
【0084】
代表的な置換アリールの例としては以下、すなわち
が挙げられ、式中、R56及びR57の一方は水素であってよく、R56及びR57の少なくとも一方はそれぞれ独立に、C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルキル、4~10員ヘテロシクリル、アルカノイル、アルコキシ-C~Cアルキル、ヘテロアリールオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、NR58COR59、NR58SOR59、NR58SO59、C(O)Oアルキル、C(O)Oアリール、CONR5859、CONR58OR59、NR5859、SONR5859、S-アルキル、S(O)-アルキル、S(O)-アルキル、S-アリール、S(O)-アリール、S(O)-アリールから選択されるか、またはR56とR57とが一緒になって、N、O、もしくはSの群から選択される1個以上のヘテロ原子を含有していてもよい、5~8個の原子の環式環(飽和もしくは不飽和)を形成してもよい。
【0085】
他の代表的な、縮合ヘテロシクリル基を有するアリール基としては、以下、すなわち
が挙げられ、式中、それぞれのW’は、C(R66、NR66、O、及びSから選択され、それぞれのY’は、カルボニル、NR66、O、及びSから選択され、R66は独立に、水素、C~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、4~10員ヘテロシクリル、C~C10アリール、及び5~10員ヘテロアリールである。
【0086】
「アリーレン」及び「ヘテロアリーレン」は、単独でまたは別の置換基の一部として、それぞれ、アリール及びヘテロアリール由来の2価のラジカルを意味する。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、ピリジニル、ピリミジニル、チオフェニル、チエニル、フラニル、インドリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、チアナフタニル、ピロロピリジニル、インダゾリル、キノリニル、キノキサリニル、ピリドピラジニル、キナゾリノニル、ベンゾイソオキサゾリル、イミダゾピリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフェニル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、フリルチエニル、ピリジル、ピリミジル、ベンゾチアゾリル、プリニル、ベンズイミダゾリル、イソキノリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、ジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾロピリミジニル、ピロロピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、またはキノリルが挙げられる。上述の例は置換または非置換であってよく、上記のそれぞれのヘテロアリールの例の2価のラジカルは、ヘテロアリーレンの非限定的な例である。
【0087】
「ハロ」または「ハロゲン」は、独立にまたは別の置換基の一部として、別段の明示がない限り、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I)原子を意味する。「ハライド」という用語は、それ自体でまたは別の置換基の一部として、フルオリド、クロリド、ブロミド、またはヨードを指す。ある特定の実施形態において、上記ハロ基はフッ素または塩素のいずれかである。
【0088】
また、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを包含することを意図する。例えば、「ハロ-C~Cアルキル」という用語としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0089】
「ヘテロアルキル」という用語は、単独または別の用語との組み合わせで、別段の明示がない限り、少なくとも1個の炭素原子ならびにO、N、P、Si、及びSからなる群より選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、上記窒素及び硫黄原子は酸化されていてもよく、上記窒素原子は四級化されていてもよい、非環式の安定な直鎖もしくは分岐鎖、またはそれらの組み合わせを意味する。上記ヘテロ原子O、N、P、S、及びSiは、当該ヘテロアルキル基の任意の内部位置、または該アルキル基が当該分子の残余の部分に結合する位置に配置されていてもよい。例示的なヘテロアルキル基としては、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH-S(O)、-S(O)-CH、-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH=CH-O-CH、-Si(CH、-CH-CH=N-OCH、-CH=CH-N(CH)-CH、-O-CH、及び-O-CH-CHが挙げられるが、これらに限定はされない。例えば、-CH-NH-OCH及びCH-O-Si(CHのように、最大2個または3個のヘテロ原子が連続していてもよい。「ヘテロアルキル」と記載され、その後に-CHO、-NRなどの特定のヘテロアルキル基が記載される場合、ヘテロアルキル及び-CHOまたは-NRという用語は、重複するものでも相互に排他的でもない。そうではなく、明確化するために特定のヘテロアルキル基が記載される。したがって、本明細書では、「ヘテロアルキル」という用語は、-CHO、-NRなどの特定のヘテロアルキル基を除外すると解釈されるべきものではない。
【0090】
同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、単独でまたは別の置換基の一部として、別段の明示がない限り、-CHO-及び-CHCHO-によって例示される(但し、これらに限定されない)、ヘテロアルキルに由来する2価のラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基は、例えば、2~7員ヘテロアルキレンと記述されてもよく、ここで「員」という用語は当該部分内の非水素原子を指す。ヘテロアルキレン基については、ヘテロ原子は、連鎖末端のいずれかまたは両方を占めてもよい(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。更に、アルキレン及びヘテロアルキレン連結基については、当該連結基の式が書かれている方向によって該連結基の向きが含意されることはない。例えば、式-C(O)R’-は、-C(O)R’-及び-R’C(O)-の両方を表し得る。
【0091】
「ヘテロアリール」とは、5~10員の単環式または二環式の4n+2芳香環系(例えば、環状の配列において共有される6もしくは10個のπ電子を有する)であって、当該芳香環系中に存在する環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子を有し、それぞれのヘテロ原子は独立に、窒素、酸素、及び硫黄から選択される上記芳香環系のラジカル(「5~10員ヘテロアリール」)を指す。1個以上の窒素原子を含有するヘテロアリール基においては、結合点は、原子価が許容される限り炭素または窒素原子であってよい。ヘテロアリール二環式環系は、一方または両方の環中に1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。「ヘテロアリール」はまた、上記で定義されたヘテロアリール環が1個以上のアリール基と縮合し、結合点が上記アリール環上またはヘテロアリール環上のいずれかに存在する環系も包含し、かかる場合には、環員数は上記縮合(アリール/ヘテロアリール)環系の環員数を示す。一方の環がヘテロ原子を含有しない二環式ヘテロアリール基(例えば、インドリル、キノリニル、カルバゾリルなど)においては、結合点がいずれの環上に存在してもよい、すなわちヘテロ原子をもつ環上に存在してもよく(例えば、2-インドリル)、またはヘテロ原子を含有しない環上に存在してもよい(例えば、5-インドリル)。ヘテロアリール基は、例えば、6~10員ヘテロアリールと記述されてもよく、ここで「員」という用語は当該部分内の非水素環原子を指す。
【0092】
いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、5~10員芳香環系であって、当該芳香環系中に環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子が存在し、それぞれのヘテロ原子は独立に、窒素、酸素、及び硫黄から選択される(「5~10員ヘテロアリール」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、5~8員芳香族環系であって、当該芳香環系中に環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子が存在し、それぞれのヘテロ原子は独立に、窒素、酸素、及び硫黄から選択される(「5~8員ヘテロアリール」)。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、5~6員芳香族環系であって、当該芳香環系中に環炭素原子及び1~4個の環ヘテロ原子が存在し、それぞれのヘテロ原子は独立に、窒素、酸素、及び硫黄から選択される(「5~6員ヘテロアリール」)である。いくつかの実施形態において、上記5~6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、上記5~6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、上記5~6員ヘテロアリールは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。ヘテロアリール基のそれぞれの例は独立に、置換されていてもよい、すなわち、非置換であってもよく(非置換ヘテロアリール)、または1個以上の置換基で置換されていてもよい(「置換ヘテロアリール」)。ある特定の実施形態において、上記ヘテロアリール基は非置換5~14員ヘテロアリールである。ある特定の実施形態において、上記ヘテロアリール基は置換5~14員ヘテロアリールである。
【0093】
例示的な1個のヘテロ原子を含有する5員ヘテロアリール基としては、ピロリル、フラニル、及びチオフェニルが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な2個のヘテロ原子を含有する5員ヘテロアリール基としては、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、及びイソチアゾリルが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な3個のヘテロ原子を含有する5員ヘテロアリール基としては、トリアゾリル、オキサジアゾリル、及びチアジアゾリルが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な4個のヘテロ原子を含有する5員ヘテロアリール基としてはテトラゾリルが挙げられるが、これに限定はされない。例示的な1個のヘテロ原子を含有する6員ヘテロアリール基としてはピリジニルが挙げられるが、これに限定はされない。例示的な2個のヘテロ原子を含有する6員ヘテロアリール基としてはピリダジニル、ピリミジニル、及びピラジニルが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な3個または4個のヘテロ原子を含有する6員ヘテロアリール基としては、それぞれトリアジニル及びテトラジニルが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な1個のヘテロ原子を含有する7員ヘテロアリール基としては、アゼピニル、オキセピニル、及びチピニルが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な5,6-二環式ヘテロアリール基としては、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、インドリジニル、及びプリニルが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な6,6-二環式ヘテロアリール基としては、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、及びキナゾリニルが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0094】
代表的なヘテロアリールの例としては、以下の式、すなわち
が挙げられ、式中、それぞれのYは、カルボニル、N、NR65、O、及びSから選択され、R65は独立に、水素、C~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、4~10員ヘテロシクリル、C~C10アリール、及び5~10員ヘテロアリールである。
【0095】
「シクロアルキル」とは、3~10個の環炭素原子を有する非芳香族環式基のラジカル(「C~C10シクロアルキル」)であって、上記非芳香族環系中にヘテロ原子をもたない上記ラジカルを指す。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、3~8個の環炭素原子を有する(「C~Cシクロアルキル」)。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は3~6個の環炭素原子を有する(「C~Cシクロアルキル」)。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は3~6個の環炭素原子を有する(「C~Cシクロアルキル」)。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は5~10個の環炭素原子を有する(「C~C10シクロアルキル」)。シクロアルキル基は、例えば、C~C員シクロアルキルと記述されてもよく、ここで「員」という用語は当該部分内の非水素環原子を指す。例示的なC~Cシクロアルキル基としては、シクロプロピル(C)、シクロプロペニル(C)、シクロブチル(C)、シクロブテニル(C)、シクロペンチル(C)、シクロペンテニル(C)、シクロヘキシル(C)、シクロヘキセニル(C)、シクロヘキサジエニル(C)などが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的なC~Cシクロアルキル基としては、上述のC~Cシクロアルキル基、ならびにシクロヘプチル(C)、シクロヘプテニル(C)、シクロヘプタジエニル(C)、シクロヘプタトリエニル(C)、シクロオクチル(C)、シクロオクテニル(C)、キュバニル(C)、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル(C)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(C)、ビシクロ[2.1.1]ヘキサニル(C)、ビシクロ[3.1.1]ヘプタニル(C)などが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的なC~C10シクロアルキル基としては、上述のC~Cシクロアルキル基、ならびにシクロノニル(C)、シクロノネニル(C)、シクロデシル(C10)、シクロデセニル(C10)、オクタヒドロ-1H-インデニル(C)、デカヒドロナフタレニル(C10)、スピロ[4.5]デカニル(C10)などが挙げられるが、これらに限定はされない。上述の例で説明されるように、ある特定の実施形態において、上記シクロアルキル基は、単環式(「単環式シクロアルキル」)であるか、または二環式系(「二環式シクロアルキル」)などの縮合環系、架橋環系、もしくはスピロ環系を含有し、且つ飽和であってもよく、または部分的に不飽和であってもよい。「シクロアルキル」はまた、上記で定義されたシクロアルキル環が1個以上のアリール基と縮合し、結合点が上記シクロアルキル環上に存在する環系も包含し、かかる場合には、炭素数は引き続き上記シクロアルキル環系の炭素数を示す。シクロアルキル基のそれぞれの例は独立に、置換されていてもよい、すなわち、非置換であっても(「非置換シクロアルキル」)、または1個以上の置換基で置換されていても(「置換シクロアルキル」)よい。ある特定の実施形態において、上記シクロアルキル基は非置換C~C10シクロアルキルである。ある特定の実施形態において、上記シクロアルキル基は置換C~C10シクロアルキルである。
【0096】
いくつかの実施形態において、「シクロアルキル」は、3~10個の環炭素原子を有する、単環式、飽和のシクロアルキル基である(「C~C10シクロアルキル」)。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は3~8個の環炭素原子を有する(「C~Cシクロアルキル」)。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は3~6個の環炭素原子を有する(「C~Cシクロアルキル」)。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は5~6個の環炭素原子を有する(「C~Cシクロアルキル」)。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、5~10個の環炭素原子を有する(「C~C10シクロアルキル」)。C~Cシクロアルキル基の例としてはシクロペンチル(C)及びシクロヘキシル(C)が挙げられる。C~Cシクロアルキル基のとしては、上述のC~Cシクロアルキル基、ならびにシクロプロピル(C)及びシクロブチル(C)が挙げられる。C~Cシクロアルキル基の例としては、上述のC~Cシクロアルキル基、並びにシクロヘプチル(C)及びシクロオクチル(C)が挙げられる。別段の指定がない限り、シクロアルキル基のそれぞれの例は独立に、非置換であるか(「非置換シクロアルキル」)または1個以上の置換基で置換されている(「置換シクロアルキル」)。ある特定の実施形態において、上記シクロアルキル基は非置換C~C10シクロアルキルである。ある特定の実施形態において、上記シクロアルキル基は置換C~C10シクロアルキルである。
【0097】
「ヘテロシクリル」または「ヘテロ環式」とは、環炭素原子ならびに、それぞれが独立に窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、及びケイ素から選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する3~10員非芳香族環系のラジカル(「3~10員ヘテロシクリル」)を指す。1個以上の窒素原子を含有するヘテロシクリル基においては、結合点は、原子価が許容される限り炭素または窒素原子であってよい。ヘテロシクリル基は、単環式(「単環式ヘテロシクリル」)、または二環式系(「二環式ヘテロシクリル」)などの縮合環系、架橋環系、もしくはスピロ環系であってもよく、且つ飽和であってもよく、または部分的に不飽和であってもよい。ヘテロシクリル二環式環系は、一方または両方の環中に1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。「ヘテロシクリル」はまた、上記で定義されたヘテロシクリル環が1個以上のシクロアルキル基と縮合し、結合点が上記シクロアルキル環上もしくはヘテロシクリル環上のいずれかに存在する環系、または上記で定義されたヘテロシクリル環が1個以上のアリール基もしくはヘテロアリール基と縮合し、結合点が上記ヘテロシクリル環上に存在する環系も包含し、かかる場合には、環員数は引き続き上記ヘテロシクリル環系の環員数を示す。ヘテロシクリル基は、例えば、3~7員ヘテロシクリルと記述されてもよく、ここで「員」という用語は当該部分内の非水素環原子、すなわち、炭素、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、及びケイ素を指す。ヘテロシクリルのそれぞれの例は独立に、置換されていてもよい、すなわち、非置換であっても(「非置換ヘテロシクリル」)、または1個以上の置換基で置換されていても(「置換ヘテロシクリル」)よい。ある特定の実施形態において、上記ヘテロシクリル基は非置換3~10員ヘテロシクリルである。ある特定の実施形態において、上記ヘテロシクリル基は置換3~10員ヘテロシクリルである。
【0098】
いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子ならびに、それぞれが独立に窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リン、及びケイ素から選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する5~10員非芳香族環系(「5~10員ヘテロシクリル」)である。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子ならびに、それぞれが独立に窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する5~8員非芳香族環系(「5~8員ヘテロシクリル」)である。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、環炭素原子ならびに、それぞれが独立に窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個の環ヘテロ原子を有する5~6員非芳香族環系(「5~6員ヘテロシクリル」)である。いくつかの実施形態において、上記5~6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、硫黄から選択される1~3個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、上記5~6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、硫黄から選択される1~2個の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態において、上記5~6員ヘテロシクリルは、窒素、酸素、硫黄から選択される1個の環ヘテロ原子を有する。
【0099】
例示的な、1個のヘテロ原子を含有する3員ヘテロシクリル基としては、アジリジニル(azirdinyl)、オキシラニル、チオレニル(thiorenyl)が挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な、1個のヘテロ原子を含有する4員ヘテロシクリル基としては、アゼチジニル、オキセタニル、及びチエタニルが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な、1個のヘテロ原子を含有する5員ヘテロシクリル基としては、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル、及びピロリル-2,5-ジオンが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な、2個のヘテロ原子を含有する5員ヘテロシクリル基としては、ジオキソラニル、オキサスルフラニル、ジスルフラニル、及びオキサゾリジン-2-オンが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な、3個のヘテロ原子を含有する5員ヘテロシクリル基としては、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、及びチアジアゾリニルが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な、1個のヘテロ原子を含有する6員ヘテロシクリル基としては、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、及びチアニルが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な、2個のヘテロ原子を含有する6員ヘテロシクリル基としては、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、ジオキサニルが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な、3個のヘテロ原子を含有する6員ヘテロシクリル基としてはトリアジナニルが挙げられるが、これに限定はされない。例示的な、1個のヘテロ原子を含有する7員ヘテロシクリル基としては、アゼパニル、オキセパニル、及びチエパニルが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な、1個のヘテロ原子を含有する8員ヘテロシクリル基としては、アゾカニル、オキセカニル、及びチオカニルが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な、Cアリール環に縮合した5員ヘテロシクリル基(本明細書では5,6-二環ヘテロ環式環とも呼ばれる)としては、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリノニルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な、アリール環に縮合した6員ヘテロシクリル基(本明細書では6,6-二環ヘテロ環式環とも呼ばれる)としては、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0100】
ヘテロシクリル基の特定の例は、以下の説明のための例、すなわち、
に示され、式中、それぞれのW”は、CR67、C(R67、NR67、O、及びSから選択され、それぞれのY”は、NR67、O、及びSから選択され、R67は独立に、水素、C~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、4~10員ヘテロシクリル、C~C10アリール、及び5~10員ヘテロアリールから選択される。これらのヘテロシクリル環は、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル(例えば、アミド)、アミノカルボニルアミノ、アミノスルホニル、スルホニルアミノ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、ケト、ニトロ、チオール、-S-アルキル、-S-アリール、-S(O)-アルキル、-S(O)-アリール、-S(O)-アルキル、及びS(O)-アリールからなる群より選択される1個以上の基で置換されていてもよい。置換基としては、例えばラクタム及び尿素誘導体を与えるカルボニルまたはチオカルボニルが挙げられる。
【0101】
「窒素含有ヘテロシクリル」基とは、少なくとも1個の窒素原子を含有する4~7員非芳香族環式基、例えば、モルホリン、ピペリジン(例えば、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、及び4-ピペリジニル)、ピロリジン(例えば、2-ピロリジニル及び3-ピロリジニル)、アゼチジン、ピロリドン、イミダゾリン、イミダゾリジノン、2-ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペラジン、及びN-メチルピペラジンなどのN-アルキルピペラジンを意味するが、これらに限定はされない。特定の例としては、アゼチジン、ピペリドン、及びピペラゾンが挙げられる。
【0102】
「アミノ」とは、ラジカル-NR7071を指し、式中、R70及びR71はそれぞれ独立に、水素、C~Cアルキル、C~C10シクロアルキル、4~10員ヘテロシクリル、C~C10アリール、及び5~10員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、アミノはNHを指す。
【0103】
「シアノ」はラジカル-CNを指す。
【0104】
「ヒドロキシ」はラジカル-OHを指す。
【0105】
本明細書において定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリール基は、置換されていてもよい(例えば、「置換」もしくは「非置換」アルキル基、「置換」もしくは「非置換」アルケニル基、「置換」もしくは「非置換」アルキニル基、「置換」もしくは「非置換」シクロアルキル基、「置換」もしくは「非置換」ヘテロシクリル基、「置換」もしくは「非置換」アリール基、または「置換」もしくは「非置換」ヘテロアリール基)。一般に、「置換された」という用語は、「されていてもよい」という用語が存在してもしなくても、基(例えば、炭素または窒素原子)上に存在する少なくとも1個の水素が、許容可能な置換基、例えば、置換に際して、安定な化合物、例えば、転位、環化、脱離、またはその他の反応によるなどして、自発的に変換されることのない化合物を生じる置換基で置き換えられることを意味する。別段の指示がない限り、「置換された」基は、当該の基の1つ以上の置換可能な位置に置換基を有し、任意の所与の構造中の複数の位置が置換されている場合、それぞれの位置の当該の置換基は同一であってもまたは異なっていてもよい。「置換」という用語は、安定な化合物の形成をもたらす、本明細書に記載のいずれかの置換基などの、有機化合物の全ての許容可能な置換基での置換を包含することを企図する。本発明は、安定な化合物に到達するための、任意且つ全てのかかる組み合わせを企図する。本発明の目的に対しては、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基及び/または当該ヘテロ原子の原子価を満たし、その結果安定な部分の形成をもたらす、本明細書に記載の任意且つ適宜の置換基を有していてもよい。
【0106】
2個以上の置換基が一緒になって、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、またはヘテロシクロアルキル基を形成してもよい。かかる、いわゆる環形成置換基は、一般的にであって必ずしもではないが、環式基礎構造に結合しているものが存在する。一実施形態において、上記環形成置換基は、当該基礎構造の隣接する環原子に結合する。例えば、環式基礎構造の隣接する環原子に結合した2個の環形成置換基は縮合環構造を形成する。別の実施形態において、上記環形成置換基は、当該基礎構造の単一の環原子に結合する。例えば、環式基礎構造の単一の環原子に結合した2個の環形成置換基はスピロ環式構造を形成する。更に別の実施形態において、上記環形成置換基は当該基礎構造の隣接していない環原子に結合する。
【0107】
「対イオン」または「アニオン性対イオン」は、電子的中性を維持するために、カチオン性第四級アミノ基に伴う、負に荷電した基である。例示的な対イオンとしては、ハライドイオン(例えば、F、Cl、Br、I)、NO 、ClO 、OH、HPO 、HSO 、スルホン酸イオン(例えば、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホンイオン酸、10-カンファースルホン酸イオン、ナフタレン-2-スルホン酸イオン、ナフタレン-1-スルホン酸-5-スルホン酸イオン、エタン-1-スルホン酸-2-スルホン酸イオンなど)、及びカルボン酸イオン(例えば、酢酸イオン、エタン酸イオン、プロパン酸イオン、安息香酸イオン、グリセリン酸イオン、乳酸イオン、酒石酸イオン、グリコール酸イオンなど)が挙げられる。
【0108】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書に記載の化合物上に存在する特定の置換基に応じて、比較的に非毒性の酸または塩基を用いて製造される当該活性化合物の塩を含むことが意図される。本発明の化合物が比較的に酸性の官能基を含有する場合、溶媒なしで、または適宜の不活性溶媒中で、かかる化合物の中性形態を十分な量の所望の塩基と接触させることによって、塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩、もしくはマグネシウム塩、または類似の塩が挙げられる。本発明の化合物が比較的に塩基性の官能基を含有する場合、溶媒なしで、または適宜の不活性溶媒中で、かかる化合物の中性形態を十分な量の所望の酸と接触させることによって、酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、または亜リン酸などの無機酸から誘導される塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的に無毒の有機酸から誘導される塩が挙げられる。アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、及びグルクロン酸またはガラクツロン酸などの有機酸の塩も挙げられる(例えば、Berge et al,Journal of Pharmaceutical Science 66: 1-19 (1977)を参照のこと)。本発明のある種の特定の化合物は、該化合物を塩基付加塩または酸付加塩のいずれにも変換することができる塩基性及び酸性官能基の両方を含有する。当業者に公知の他の薬学的に許容される担体は本発明に好適である。塩は、対応する遊離塩基形態である水性溶媒または他のプロトン性溶媒により溶解しやすい傾向がある。他の場合において、上記製剤は、第1の緩衝液、例えば、1mM~50mMのヒスチジン、0.1%~2%のスクロース、4.5~5.5のpH範囲での2~7%のマンニトール中で凍結乾燥された粉末であってよく、使用前に第2の緩衝液と混合される。
【0109】
したがって、本発明の化合物は、薬学的に許容される酸との塩などの塩として存在してもよい。本発明はかかる塩を包含する。かかる塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば、(+)-酒石酸塩、(-)-酒石酸塩、またはラセミ混合物を含むそれらの混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩、及びグルタミン酸などのアミノ酸との塩が挙げられる。これらの塩は当業者に公知の方法によって製造することができる。
【0110】
中性形態の本化合物は、好ましくは、当該の塩を塩基または酸と接触させ、従来の方法で親化合物を単離することによって再生される。本化合物の親形態は、極性溶媒への溶解度などの、ある特定の物理的特性が種々の塩の形態と異なる。
【0111】
塩形態に加えて、本発明は、プロドラッグ形態である化合物を提供する。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で化学変化を容易に受けて本発明の化合物を与える化合物である。更に、プロドラッグは、エクス・ビボ環境における化学的または生化学的方法により、本発明の化合物に転換させることができる。例えば、プロドラッグは、適宜の酵素または化学反応剤と共に経皮パッチリザーバー中に配置すると、ゆっくりと本発明の化合物に転換させることができる。
【0112】
本発明のある特定の化合物は、非溶媒和形態のみならず、水和形態を含む溶媒和形態で存在してもよい。一般に、上記溶媒和形態は非溶媒和形態と均等であり、本発明の範囲内に包含される。本発明のある特定の化合物は、複数の結晶形態または非晶形態で存在してもよい。一般に、全ての物理的形態は、本発明によって企図される使用に関して均等であり、本発明の範囲内であることを意図する。
【0113】
本明細書では、「塩」という用語は、本発明の方法で使用される本化合物の酸塩または塩基塩を指す。許容される塩の説明のための例としては、鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸など)の塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸など)の塩、第四級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)の塩がある。
【0114】
本発明のある特定の化合物は、不斉炭素原子(光学的中心もしくはキラル中心)または二重結合を有し、絶対立体化学の観点から、鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、互変異性体、幾何異性体、立体異性体は、(R)-もしくは(S)-と、またはアミノ酸については(D)-もしくは(L)-と定義されてよく、個々の異性体は、本発明の範囲内に包含される。本発明の化合物は、過度に不安定なために合成及び/または単離することが困難であることが当技術分野で公知の化合物を含まない。本発明は、ラセミ及び光学的に純粋な形態の化合物を含むことを意図する。光学活性な(R)-及び(S)-、または(D)-及び(L)-異性体は、キラルな出発原料またはキラルな反応剤を使用して製造するか、または従来の技法を使用して分割することができる。本明細書に記載の化合物がオレフィン性結合または幾何学的非対称の他の中心を含有する場合、別段の指定がない限り、本化合物はE及びZ幾何異性体の両方を包含することを意図する。
【0115】
本明細書では、「異性体」という用語は、同一の数及び原子の種類、したがって同一の分子量を有するが、原子の構造配置または構成に関して異なる化合物を指す。
【0116】
本明細書では、「互変異性体」という用語は、平衡状態で存在し、ある異性体から別の異性体へと容易に転換される2種以上の構造異性体の1種を指す。
【0117】
当業者には、本発明のある特定の化合物が互変異性体で存在していてもよく、該化合物のかかる互変異性体の全てが本発明の範囲内であることが明らかであろう。
【0118】
「治療する」または「治療」という用語は、傷害、疾患、病理、または疾病の治療あるいは改善の成功の証を指し、軽減;寛解;症状の低減または障害、病理、もしくは疾病を当該の患者にとってより許容可能なものにすること;変性もしくは衰退を減速させること;変性の最終点を衰弱がより低いものとすること;患者の肉体的もしくは精神的健康を改善することなどの客観的または主観的パラメータを含む。症状の治療または改善は、身体検査、神経精神医学的検査、及び/または精神医学的評価の結果を含む客観的または主観的パラメータに基づいていてもよい。例えば、本明細書のある特定の方法は、がん(例えば、膵臓癌、乳癌、多発性骨髄腫、分泌細胞の癌)、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、前頭側頭型認知症)、白質ジストロフィー(例えば、白質消失病、中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調症)、術後認知機能障害、外傷性脳損傷、脳卒中、脊髄損傷、知的障害症候群、炎症性疾患、筋骨格系疾患、代謝疾患、あるいはeIF2BもしくはISRを含むシグナル変換経路すなわちシグナル伝達経路の構成因子の機能障害及びeIF2経路の活性の低下に関連する疾患または障害を治療する。例えば、本明細書のある特定の方法は、がんの発生、成長、転移、もしくは進行を減少させるまたは低減するまたは防止することによって、あるいはがんの症状を減少させることによってがんを治療し;精神的健康を改善する、精神機能を高める、精神機能の低下を減速させる、認知症を減少させる、認知症の発症を遅延させる、認知能力を改善する、認知能力の消失を減少させる、記憶を改善する、記憶の低下を減少させる、神経変性の症状を減少させる、または生存を延長させることによって神経変性を治療し;白質消失病の症状を低減するまたは白質の消失を低減するまたはミエリンの消失を低減するまたはミエリンの量を増加させるまたは白質の量を増加させることによって白質消失病を治療し;中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調症の症状を減少させるまたはミエリンのレベルを増加させるまたはミエリンの消失を減少させることによって中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調症を治療し;知的障害症候群の症状を減少させることによって知的障害症候群を治療し;炎症性疾患の症状を治療することによって炎症性疾患を治療し;筋骨格系疾患の症状を治療することによって筋骨格系疾患を治療し;あるいは代謝疾患の症状を治療することによって代謝疾患を治療する。本明細書に記載の疾患、障害、または疾病(例えば、がん、神経変性疾患、白質ジストロフィー、炎症性疾患、筋骨格系疾患、代謝疾患、またはeIF2BまたはeIF2経路、eIF2αのリン酸化、もしくはISR経路を含むシグナル変換経路の構成因子の機能障害に関連する疾病または疾患)の症状は公知であるか、あるいは当業者が判定することができる。「治療する」という用語及びその活用形は、傷害、病理、疾病、または疾患の予防(例えば、本明細書に記載の疾患、障害、または疾病の1種以上の症状の発症の予防)を包含する。
【0119】
「有効量」とは、表明された目的(例えば、薬を投与する目的である効果を達成する、疾患を治療する、酵素活性を低下させる、酵素活性を増大させる、または疾患もしくは疾病の1種以上の症状を低減する)を達成するのに十分な量である。「有効量」の例は、疾患の症状もしくは複数の症状の治療、予防、または低減に寄与するのに十分な量であり、「治療有効量」とも呼ばれる場合もある。薬物の「予防的有効量」とは、対象に投与されたときに、例えば、傷害、疾患、病理、もしくは疾病の発症(もしくは再発)を防止するまたは遅延させる、あるいは傷害、疾患、病理、もしくは疾病、またはそれらの症状の発症(もしくは再発)の可能性を低減する、意図した予防効果を生じることとなる薬物の量である。完全な予防効果は、必ずしも1回の投与で生じるとは限らず、一連の投与の後に初めて生じる場合もある。したがって、予防的有効量は、1回または複数回の投与で投与されてもよい。正確な量は当該の治療の目的に依存することとなり、当業者であれば公知の技法を用いて確認することができる(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms (vols.1-3,1992);Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding (1999);Pickar,Dosage Calculations (1999);及びRemington: The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,2003,Gennaro,Ed.,Lippincott,Williams & Wilkinsを参照のこと)。
【0120】
1種以上の症状の「低減」(及びこの表現の文法的な同等表現)とは、当該の症状(複数可)の重篤度もしくは頻度を減少させること、または、当該の症状(複数可)の排除を意味する。
【0121】
疾患(例えば、本明細書に記載の疾患もしくは障害、例えば、がん、神経変性疾患、白質ジストロフィー、炎症性疾患、筋骨格系疾患、代謝疾患、またはeIF2BまたはeIF2経路、eIF2αのリン酸化、もしくはISR経路を含むシグナル変換経路の構成因子の機能障害に関連する疾患または障害)に関連する物質もしくは物質の活性または機能の文脈における「関連する」または「~に関連する」という用語は、当該の疾患が、(全体的にもしくは部分的に)当該の物質もしくは物質の活性または機能によって起こる、あるいは当該の疾患の症状が(全体的にもしくは部分的に)当該の物質もしくは物質の活性または機能によって起こることを意味する。例えば、eIF2Bの機能障害に関連する疾患または疾病の症状は、eIF2B活性の低下(例えば、eIF2Bの活性もしくはレベルの低下、eIF2αのリン酸化またはリン酸化eIF2αの活性の増加、またはeIF2活性の低下またはリン酸化eIF2αシグナル伝達経路もしくはISRシグナル伝達経路の活性の増加に(全体的にもしくは部分的)に起因する症状である場合がある。本明細書では、疾患に関連すると記載されるもの(原因物質である場合)は、当該の疾患の治療の標的となり得る。例えば、eIF2活性またはeIF2経路の活性の低下に関連する疾患は、eIF2またはeIF2経路のレベルまたは活性の増加、あるいはリン酸化eIF2αの活性またはISR経路の低下に有効な薬剤(例えば、本明細書に記載の化合物)によって治療され得る。例えば、リン酸化eIF2αに関連する疾患は、リン酸化eIF2αまたはリン酸化eIF2αの下流の構成因子もしくはエフェクターの活性のレベルを低下させるのに有効な薬剤(例えば、本明細書に記載の化合物)によって治療され得る。例えば、eIF2αに関連する疾患は、eIF2またはeIF2薬剤の下流の構成因子もしくはエフェクターの活性のレベルを上昇させるのに有効な薬剤(例えば、本明細書に記載の化合物)によって治療され得る。
【0122】
「対照」または「対照実験」は、その平易な通常の意味に従って用いられ、実験の対象または試薬が、実験の手順、試薬、または可変要素を割愛することを除いて、並列実験と同様に処理される実験を指す。場合により、対照は実験の効果を評価する際の比較の基準として用いられる。
【0123】
「接触させる」は、その平易な通常の意味に従って用いられ、少なくとも2種の異なる種(例えば、生体分子を含む化学化合物、または細胞)を、反応する、相互作用する、または物理的に接触するのに十分に近接させる過程を指す。しかしながら、得られる反応生成物は、添加された反応剤間の反応から直接生成してもよく、または反応混合物中で生成してもよい、1種以上の添加された反応剤由来の中間体から生成してもよいことが理解されるべきである。「接触させる」という用語は、2種の種を反応させる、相互作用させる、または物理的に接触させることであって、上記2種の種が、本明細書に記載の化合物、及びタンパク質または酵素(例えば、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子)である上記反応、相互作用、または接触させることを包含してもよい。いくつかの実施形態において、接触させることは、本明細書に記載の化合物を、シグナル伝達経路に関与するタンパク質または酵素(例えば、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子)と相互作用させることを包含する。
【0124】
本明細書で定義される、タンパク質-阻害剤(例えば、アンタゴニスト)相互作用に関する「阻害」、「阻害する」、「阻害すること」などの用語は、上記阻害剤の非存在下における上記タンパク質の活性または機能に比較して、上記タンパク質の活性または機能に悪影響を与える(例えば、低下させる)ことを意味する。いくつかの実施形態において、阻害とは、疾患または疾患の症状の低減を指す。いくつかの実施形態において、阻害とは、シグナル変換経路、すなわちシグナル伝達経路の活性の低下を指す。したがって、阻害は、少なくとも一部は、刺激を部分的にまたは完全に遮断すること、活性化を減少させる、防止する、または遅延させること、あるいはシグナル変換またはタンパク質の酵素活性もしくは量を、不活性化、除感作、または下方制御することを包含する。いくつかの実施形態において、阻害は、シグナル変換経路、すなわちシグナル伝達経路(例えば、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路、eIF2αのリン酸化によって活性化される経路、もしくはISR経路の構成因子)の活性の低下を指す。したがって、阻害は、少なくとも一部は、刺激を部分的にまたは完全に減少させること、活性化を減少または低下させること、あるいはシグナル変換または、疾患において増加したタンパク質(例えば、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子であって、それぞれが、がん、神経変性疾患、白質ジストロフィー、炎症性疾患、筋骨格系疾患、もしくは代謝疾患に関連する上記構成因子)の酵素活性もしくは量を、不活性化、除感作、または下方制御することを包含してもよい。阻害は、少なくとも一部は、刺激を部分的にまたは完全に減少させること、活性化を減少または低下させること、あるいはシグナル変換または、別のタンパク質のレベルを調節し得る、または細胞の生存期間を増加させ得るタンパク質(例えば、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子)の酵素活性もしくは量を、不活性化、除感作、または下方制御することを包含してもよい(例えば、リン酸化eIF2α経路の活性の低下により、非疾患の対照と比較してリン酸化eIF2α経路の活性が増加する場合と増加しない場合とがある細胞における細胞生存期間が増加する場合があり、またはeIF2α経路の活性の低下により、非疾患の対照と比較してeIF2α経路の活性が増加する場合と増加しない場合とがある細胞における細胞生存期間が増加する場合がある)。
【0125】
本明細書で定義される、タンパク質-活性化剤(例えばアゴニスト)相互作用に関する「活性化(activation)」、「活性化する(activate)」、「活性化する(activating)」などは、上記タンパク質(例えば、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子)の活性または機能に、上記活性化剤(例えば、本明細書に記載の化合物)の非存在下における上記タンパク質の活性または機能に比較して、肯定的な影響を与える(例えば、増加させる)ことを意味する。いくつかの実施形態において、活性化とは、シグナル伝達経路(signal transduction pathway)すなわちシグナル伝達経路(signaling pathway)(例えば、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子)の活性の増加を指す。したがって、活性化は、刺激を、少なくとも部分的に、部分的に、または完全に増加させること、活性化を増加させるまたは可能にすること、あるいはシグナル伝達または疾患において減少したタンパク質(例えば、がん、神経変性疾患、白質ジストロフィー、炎症性疾患、筋骨格系疾患、もしくは代謝疾患に関連するeIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子のレベル)の酵素活性もしくは量を、活性化、感作、または上方制御することを包含してもよい。活性化は、刺激を、少なくとも部分的に、部分的に、または完全に増加させること、活性化を増加させるまたは可能にすること、あるいはシグナル伝達または、別のタンパク質のレベルを調節する、または細胞の生存期間を増加させる場合があるタンパク質(例えば、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子)の酵素活性もしくは量を、活性化、感作、または上方制御することを包含してもよい(例えば、eIF2αの活性の増加により、非疾患の対照と比較してeIF2αの活性が低下する場合と低下しない場合とがある細胞における細胞生存期間が増加する場合がある)。
【0126】
「調節」という用語は、標的分子のレベルもしくは標的分子の機能の増加または減少を指す。いくつかの実施形態において、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の調節によって、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子に関連する疾患(がん、神経変性疾患、白質ジストロフィー、炎症性疾患、筋骨格系疾患、または代謝疾患)、あるいはeIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子によって起こるのではないが、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の調節(例えば、eIF2B、eIF2α、もしくはeIF2経路の構成因子のレベルまたは活性のレベルを低下させること)の恩恵を受ける疾患の1種以上の症状の重篤度が低減する場合がある。
【0127】
本明細書では、「調節剤」という用語は、標的分子のレベルまたは標的分子の機能の調節(例えば、増加または減少)を指す。実施形態において、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の調節剤は抗がん剤である。実施形態において、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の調節剤は神経保護剤である。実施形態において、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の調節剤は記憶増強剤である。実施形態において、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の調節剤は、記憶増強剤(例えば、長期記憶増強剤)である。実施形態において、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の調節剤は抗炎症剤である。いくつかの実施形態において、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の調節剤は鎮痛剤である。
【0128】
それを必要とする「患者」または「対象」という用語は、本明細書において提供される化合物もしくは医薬組成物を投与することによって治療することができる疾患または疾病に罹患したあるいは罹患しやすい生存生物を指す。非限定的な例は、ヒト、他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、乳牛、シカ、及び他の非哺乳動物である。いくつかの実施形態において、患者はヒトである。いくつかの実施形態において、患者は飼育動物である。いくつかの実施形態において、患者はイヌである。いくつかの実施形態において、患者はオウムである。いくつかの実施形態において、患者は家畜である。いくつかの実施形態において、患者は哺乳動物である。いくつかの実施形態において、患者はネコである。いくつかの実施形態において、患者はウマである。いくつかの実施形態において、患者はウシである。いくつかの実施形態において、患者はイヌ科動物である。いくつかの実施形態において、患者はネコ科動物である。いくつかの実施形態において、患者は類人猿である。いくつかの実施形態において、患者はサルである。いくつかの実施形態において、患者はマウスである。いくつかの実施形態において、患者は実験動物である。いくつかの実施形態において、患者はラットである。いくつかの実施形態において、患者はハムスターである。いくつかの実施形態において、患者は試験動物である。いくつかの実施形態において、患者は新生動物である。いくつかの実施形態において、患者はヒト新生児である。いくつかの実施形態において、患者は新生哺乳動物である。いくつかの実施形態において、患者は高齢の動物である。いくつかの実施形態において、患者は高齢のヒトである。いくつかの実施形態において、患者は高齢の哺乳動物である。いくつかの実施形態において、患者は老人病患者である。
【0129】
「疾患」、「障害」、または「疾病」とは、本明細書で提供される化合物、医薬組成物、もしくは方法で治療することができる患者または対象の体の状態あるいは健康状態を指す。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物及び方法は、例えば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与による、上記疾患、障害、または疾病の1種以上の症状の低減あるいは排除を含む。
【0130】
本明細書では、「シグナル伝達経路」という用語は、1種の構成因子の変化を1種以上の他の構成因子に伝える、細胞構成因子及び任意で細胞外構成因子(例えば、タンパク質、核酸、小分子、イオン、脂質)間の一連の相互作用を指し、次に上記他の構成因子は変化を更なる構成因子へと伝えてもよく、上記変化が任意で他のシグナル伝達経路の構成因子へと伝搬される。
【0131】
「薬学的に許容される賦形剤」及び「薬学的に許容される担体」とは、対象への活性薬剤の投与及び対象による該薬剤の吸収を助け、上記患者への重大な有害な毒物学的作用を生じることなく、本発明の組成物が含むことができる物質を指す。薬学的に許容される賦形剤の非限定的な例としては、水、NaCl、通常の生理食塩水、乳酸加リンゲル溶液、通常のスクロース、通常のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、被覆剤、甘味料、香味料、塩溶液(リンガー溶液など)、アルコール、油分、ゼラチン、ラクトース、アミロース、またはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、及び着色料などが挙げられる。かかる製剤は滅菌されていてもよく、所望であれば、本発明の化合物と有害な形態で反応しない、滑沢剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与えるための塩、緩衝剤、着色料、及び/または芳香性物質などの補助剤と混合されていてもよい。当業者であれば、他の医薬賦形剤が本発明において有用であることを認識するであろう。
【0132】
「製剤」という用語は、カプセルを形成する担体としての封入材料を有する、活性化合物の製剤を含むことを意図し、該カプセル中で活性化合物が他の担体と共にまたは他の担体なしで上記担体によって取り囲まれ、したがって上記担体は活性化合物と共存する。同様に、カシェ剤及びロゼンジ剤も含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、及びロゼンジ剤は、経口投与に適した固体剤形として使用することができる。
【0133】
本明細書では、「投与する」という用語は、経口投与、坐剤としての投与、局所接触、静脈内投与、非経口投与、腹腔内投与、筋肉内投与、病巣内投与、くも膜下腔内投与、頭蓋内投与、鼻腔内投与、もしくは皮下投与、または対象への徐放デバイス、例えば、小型浸透圧ポンプの移植を意味する。投与は、非経口投与及び経粘膜投与(例えば、頬側、舌下、口蓋、歯肉、鼻腔、膣、直腸、または経皮投与)を含む任意の経路による。非経口投与としては、例えば、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、皮内投与、皮下投与、腹腔内投与、脳室内投与、及び頭蓋内投与が挙げられる。他の送達形態としては、リポソーム製剤の使用、静脈内注入、経皮パッチなどが挙げられるが、これらに限定はされない。「同時投与」とは、本明細書に記載の組成物が、1種以上の更なる治療薬(例えば、抗がん剤、化学療法剤、または神経変性疾患の治療薬)の投与と同時、該投与の直前、または該投与の直後に投与されることを意味する。本発明の化合物は、当該の患者に単独で投与されてもよく、または同時投与されてもよい。同時投与は、化合物を個別に、または組み合わせて(複数の化合物または薬剤を)同時または逐次的に投与することを含むことを意図する。したがって、上記製剤はまた、所望の場合には、(例えば、代謝による分解を低減するために)他の活性物質と組み合わせてもよい。
【0134】
本明細書では、「eIF2B」という用語は、ヘテロ五量体の真核生物翻訳開始因子2Bを指す。eIF2Bは、eIF2B1、eIF2B2、eIF2B3、eIF2B4、及びeIF2B5の5種のサブユニットから構成される。eIF2B1とは、Entrez Gene 1967,OMIM 606686,Uniprot Q14232、及び/またはRefSeq(タンパク質)NP_001405に関連するタンパク質を指す。eIF2B2とは、Entrez Gene 8892,OMIM 606454,Uniprot P49770、及び/またはRefSeq(タンパク質)NP_055054に関連するタンパク質を指す。eIF2B3とは、Entrez Gene 8891,OMIM 606273,Uniprot Q9NR50、及び/またはRefSeq(タンパク質)NP_065098に関連するタンパク質を指す。eIF2B4とは、Entrez Gene 8890,OMIM 606687,Uniprot Q9UI10、及び/またはRefSeq(タンパク質)NP_751945に関連するタンパク質を指す。eIF2B5とは、Entrez Gene 8893,OMIM 603945,Uniprot Q13144、及び/またはRefSeq(タンパク質)NP_003898に関連するタンパク質を指す。
【0135】
「eIF2アルファ」、「eIF2a」、または「eIF2α」という用語は同義であり、タンパク質「真核生物翻訳開始因子2アルファサブユニットeIF2S1」を指す。実施形態において、「eIF2アルファ」、「eIF2a」、または「eIF2α」は上記のヒトタンパク質を指す。「eIF2アルファ」、「eIF2a」、または「eIF2α」には、当該タンパク質の野生型及び変異型が含まれる。実施形態において、「eIF2アルファ」、「eIF2a」、または「eIF2α」は、Entrez Gene 1965,OMIM 603907,UniProt P05198、及び/またはRefSeq(タンパク質)NP_004085に関連するタンパク質を指す。実施形態において、直上の参照番号は、本出願の出願日現在で公知の当該のタンパク質及び関連する核酸を指す。
【0136】
化合物
一態様において、本発明は、
式(I):
の化合物であって、
式中、
Dは、架橋二環式シクロアルキル、架橋二環式ヘテロシクリル、もしくはキュバニルであり、ここで、それぞれの架橋二環式シクロアルキル、架橋二環式ヘテロシクリル、もしくはキュバニルは、1~4個のRで置換されていてもよく、架橋二環式ヘテロシクリルが、置換可能な窒素部分を含有する場合、置換可能な窒素部分はRN1によって置換されていてもよく、
及びLはそれぞれ独立に、C~Cアルキレン、2~7員ヘテロアルキレン、もしくは-O-であり、ここで、それぞれのC~Cアルキレンもしくは2~7員ヘテロアルキレンは、1~5個のRによって置換されていてもよく、
は水素またはC~Cアルキルであり、
N1は、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルキル、アミノ-C~Cアルキル、シアノ-C~Cアルキル、-C(O)NR、-C(O)R、-C(O)OR、及び-S(O)からなる群より選択され、
A及びWはそれぞれ独立に、フェニルもしくは5~6員ヘテロアリールであり、ここで、それぞれのフェニルもしくは5~6員ヘテロアリールは、1~5個のRで置換されていてもよく、
Zは水素、フェニル、もしくは5~6員ヘテロアリールであり、ここで、それぞれのフェニルもしくは5~6員ヘテロアリールは、1~5個のRで置換されていてもよく、
それぞれのRは独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルキル、アミノ-C~Cアルキル、シアノ-C~Cアルキル、オキソ、ハロ、シアノ、-OR、-NR、-NRC(O)R、-C(O)NR、-C(O)R、-C(O)OH、-C(O)OR、-SR、-S(O)R、及び-S(O)からなる群より選択され、
それぞれのRは独立に、水素、C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルコキシ、アミノ-C~Cアルキル、シアノ-C~Cアルキル、オキソ、ハロ、シアノ、-OR、-NR、-NRC(O)R、-C(O)NR、-C(O)R、-C(O)OH、-C(O)OR、-S(R、-S(O)R、-S(O)、及びGからなる群より選択されるか、または
隣接する原子上の2個のR基が、それらが結合する原子と共に、1~5個のRで置換されていてもよい3~7員縮合シクロアルキル、3~7員縮合ヘテロシクリル、アリール、もしくは5~6員縮合ヘテロアリールを形成し、
それぞれのGは独立に、3~7員シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、アリール、もしくは5~6員ヘテロアリールであり、ここで、それぞれの3~7員シクロアルキル、3~7員ヘテロシクリル、アリール、もしくは5~6員ヘテロアリールは、1~3個のRで置換されていてもよく、
それぞれのRは独立に、C~Cアルキル、ヒドロキシ-C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルキル、ハロ、シアノ、-OR、-NR、-NRC(O)R、-C(O)NR、-C(O)R、-C(O)OH、-C(O)OR、及び-S(O)からなる群より選択され、
は独立に、各存在について、水素、C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルキル、-C(O)NR、-C(O)R、もしくは-C(O)ORであり、
及びRのそれぞれは独立に、水素もしくはC~Cアルキルであるか、または
及びRは、それらが結合する原子と共に、1~3個のRで置換されていてもよい3~7員ヘテロシクリル環を形成し、
それぞれのRは独立に、C~Cアルキルもしくはハロ-C~Cアルキルであり、
それぞれのRは独立に、水素、C~Cアルキル、もしくはハロ-C~Cアルキルであり、
それぞれのRは独立に、水素、C~Cアルキル、もしくはハロであり、
mは、Rが水素もしくはC~Cアルキルの場合に1であり、RがC~Cアルキルの場合に3であり、またはRがハロの場合に5である、
化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体を特徴とする。
【0137】
いくつかの実施形態において、Dは、それぞれが1~4個のR基で置換されていてもよい、架橋二環式シクロアルキル、架橋二環式ヘテロシクリル、またはキュバニルである。
【0138】
いくつかの実施形態において、Dは、それぞれが1~4個のR基で置換されていてもよい、架橋5~8員二環式シクロアルキルもしくはヘテロシクリル、またはキュバニルである。
【0139】
いくつかの実施形態において、Dは、それぞれが1~4個のR基で置換されていてもよい、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、または2-アザビシクロ[2.2.2]オクタンである。
【0140】
いくつかの実施形態において、Dは、
である。
【0141】
いくつかの実施形態において、Dは、
である。
【0142】
いくつかの実施形態において、DはRで置換されていない。
【0143】
いくつかの実施形態において、Dは、
である。
【0144】
いくつかの実施形態において、Dは、1個のRで置換されている。
【0145】
いくつかの実施形態において、Dは、
である。
【0146】
いくつかの実施形態において、Rは、オキソまたはOHである。
【0147】
いくつかの実施形態において、L及びLの両方は独立に、2~7員ヘテロアルキレンまたは-O-であり、それぞれの2~7員ヘテロアルキレンは1~5個のRによって置換されていてもよい。
【0148】
いくつかの実施形態において、Lは2~7員ヘテロアルキレンであり、Lは2~7員ヘテロアルキレンまたは-O-であり、それぞれの2~7員ヘテロアルキレンは1~5個のRによって置換されていてもよい。
【0149】
いくつかの実施形態において、Lは2~7員ヘテロアルキレンであり、Lは2~7員ヘテロアルキレンまたは-O-であり、それぞれの2~7員ヘテロアルキレンはRによって置換されていない。
【0150】
いくつかの実施形態において、それぞれのL及びLは独立に、CHO-*、CHOCH-*、または-O-から選択され、「-*」はそれぞれAまたはZへの結合点を示す。
【0151】
いくつかの実施形態において、LはCHO-*またはCHOCH-*であり、LはCHO-*、CHOCH-*、または-O-から選択され、「-*」はそれぞれAまたはZへの結合点を示す。
【0152】
いくつかの実施形態において、Rは水素である。
【0153】
いくつかの実施形態において、それぞれのA及びWは独立にフェニルまたは5~6員ヘテロアリールであり、Zは水素、フェニル、または5~6員ヘテロアリールであり、ここで、それぞれのフェニルまたは5~6員ヘテロアリールは1~5個のRで置換されていてもよく、それぞれのRが独立に、C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルキル、ハロ、シアノ、-OR、またはGである。
【0154】
いくつかの実施形態において、A、W、及びZのそれぞれは独立に、フェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、またはイソオキサゾリルであり、これらのそれぞれが1~5個のR基で置換されていてもよい。
【0155】
いくつかの実施形態において、A、W、及びZのそれぞれは、
から選択される。
【0156】
いくつかの実施形態において、Aは、フェニル、ピリジル、またはイソオキサゾリルであり、これらのそれぞれが1~2個のR基で置換されていてもよい。
【0157】
いくつかの実施形態において、Aは、
から選択される。
【0158】
いくつかの実施形態において、Wは、オキサジアゾリル、イミダゾリル、またはトリアゾリルである。
【0159】
いくつかの実施形態において、Wは、
から選択される。
【0160】
いくつかの実施形態において、Zは、フェニルまたはピリジルであり、これらのそれぞれが1~2個のR基で置換されていてもよい。
【0161】
いくつかの実施形態において、Zは、
から選択される。
【0162】
いくつかの実施形態において、Aはフェニル、ピリジル、またはイソオキサゾリルであり、Wはオキサジアゾリル、イミダゾリル、またはトリアゾリルであり、Zはフェニルまたはピリジルであり、それぞれのフェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、及びイソオキサゾリルは1~5個のRで置換されていてもよく、それぞれのRは独立に、C~Cアルキル、ハロ-C~Cアルキル、ハロ、シアノ、-OR、またはGである。
【0163】
いくつかの実施形態において、Zは水素である。
【0164】
いくつかの実施形態において、それぞれのRは独立に、クロロ、フルオロ、CF、CH、CHCH、CH(CH、OCH、OCH(CH、CN、またはGである。
【0165】
いくつかの実施形態において、それぞれのA及びZは独立に、隣接する原子上の2個のRで置換されており、2個のRは、それらが結合する原子と共に、1~5個のRで置換されていてもよい3~7員縮合ヘテロシクリル環または5~6員縮合ヘテロアリール環を形成する。
【0166】
いくつかの実施形態において、2個のRは、それらが結合する原子と共に、フラニル環、ピロリル環、またはジオキソラニル環を形成し、これらのそれぞれが1~5個のRで置換されていてもよい。
【0167】
いくつかの実施形態において、それぞれのRは独立にフルオロである。
【0168】
いくつかの実施形態において、Gは、1~5個のRで置換されていてもよいシクロプロピルである。
【0169】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-a):
の化合物であって、
式中、
Dは、ビシクロ[1.1.1]ペンタニルまたはビシクロ[2.2.2]オクタニルであり、これらのそれぞれが1~4個のR基で置換されていてもよく、
及びLはそれぞれ独立に、CHO-*、CHOCH-*、または-O-であり、「-*」はそれぞれAまたはZへの結合点を示し、
は水素であり、
A及びWはそれぞれ独立に、フェニル、ピリジル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、またはイソオキサゾリルであり、これらのそれぞれが1~5個のR基で置換されていてもよく、
Zは水素、フェニル、またはピリジルであり、ここで、それぞれのフェニルまたはピリジルが1~5個のR基で置換されていてもよく、
それぞれのRは、フルオロ、オキソ、またはOHであり、
それぞれのRは独立に、クロロ、フルオロ、CF、CH、CHCH、CH(CH、OCH、OCH(CH、CN、またはGであるか、または
隣接する原子上の2個のR基は、それらが結合する原子と共に、フラニル環、ピロリル環、またはジオキソラニル環を形成し、これらのそれぞれが1~2個のRで置換されていてもよく、
はシクロプロピルである、
化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体である。
【0170】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-b):
の化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体である。
【0171】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-c):
の化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体である。
【0172】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-d):
の化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体である。
【0173】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-e-1)、式(I-e-2)、式(I-e-3)、式(I-e-4)、または式(I-e-5):
の化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体である。
【0174】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-f):
の化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体である。
【0175】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(I-g):
の化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、または立体異性体である。
【0176】
いくつかの実施形態において、開示される化合物は、表1に記載の任意の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体から選択される。
【0177】
いくつかの実施形態において、開示される化合物またはその薬学的に許容される塩は、開示される化合物及びその薬学的に許容される担体を含む薬学的に許容される組成物として製剤化される。
【0178】
(表1)本発明の例示的化合物
【0179】
例示的化合物を作製する方法
本発明の化合物は、当該化合物を調製することができる手段を例示する以下の合成スキーム及び方法と関連させて、より良好に理解することができる。本発明の化合物は、多様な合成手順によって調製することができる。代表的な合成手順は、限定されるものではないが、スキーム1~12に示される。可変要素A、D、Z、L、L、及びRは、本明細書で、例えば発明の概要で詳述されているように定義される。
【0180】
スキーム1:本発明の例示的化合物を合成するための代表的なスキーム。
スキーム1に示されるように、式(1-1)の化合物は、式(1-6)の化合物に変換することができる。式(1-1)のアミンは、アミド結合形成条件下で式(1-2)のカルボン酸とカップリングさせて式(1-3)のアミドを得ることができる。カルボン酸とアミンとの混合物からアミドを生成することが知られている条件の例には、限定されるものではないが、カップリング試薬の添加、例えば、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N′-エチルカルボジイミドまたは1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC、EDAC、もしくはEDCI)、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド(BOPCl)、N-[(ジメチルアミノ)-1H-1,2,3-トリアゾロ-[4,5-b]ピリジン-1-イルメチレン]-N-メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスファートN-オキシドまたは2-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N′,N′-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファートまたは1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスファートもしくは2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロホスファート(V)もしくは2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N′,N′-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、2-(1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロホスファート(V)(HBTU)、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド(T3P(登録商標))、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)-ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロホスファート(COMU(登録商標))、及びフルオロ-N,N,N′,N′-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスファートの添加が含まれる。カップリング試薬は、固体、溶液として、または固体支持樹脂に結合した試薬として添加することができる。
【0181】
カップリング試薬に加えて、補助カップリング試薬もカップリング反応を促進することができる。カップリング反応でしばしば使用される補助カップリング試薬としては、限定されるものではないが、(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAT)、及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)が挙げられる。上記反応は、任意で、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下で行うことができる。カップリング反応は、限定されるものではないが、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、及び酢酸エチルのような溶媒中で行うことができる。
【0182】
あるいは、式(1-2)のカルボン酸は、塩化チオニル、PCl、PCl、塩化シアヌル、または塩化オキサリルとの反応によって対応する酸塩化物に変換することができる。塩化チオニル及び塩化オキサリルとの反応は、ジクロロメタンのような溶媒中で周囲温度でN,N-ジメチルホルムアミドを用いて触媒することができる。次いで得られた酸塩化物は、任意で塩基の存在下、例えば、限定されるものではないが、トリエチルアミンもしくはジイソプロピルエチルアミンのような三級アミン塩基、またはピリジンのような芳香族塩基の存在下で、ジクロロメタンのような溶媒中で、室温にて、式(1-1)のアミンと反応させて式(1-3)のアミドを得ることができる。式(1-3)の化合物におけるエステルは、式(1-4)の化合物に加水分解することができる。例えば、式(1-3)のエステルは、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、またはテトラヒドロフランと水の混合物のような溶媒中で、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムのような塩基で周囲温度で処理し、または0.5~16時間加熱して、式(1-4)の化合物を得ることができる。式(1-4)の化合物は、加熱したオキシ塩化リン中で式(1-5)の化合物と反応させて、式(1-6)の化合物を得ることができる。あるいは、式(1-4)の化合物はまた、記載されるアミド結合カップリング条件下で式(1-5)の化合物と反応させて、式(1-3)の化合物を製造することができる。カップリングに続いて、中間体は、加熱アセトニトリル中のN,N-ジイソプロピルエチルアミンのような三級アミン塩基の存在下で、4-メチルベンゼン-1-スルホニルクロリドを用いて環化及び脱水して、式(1-6)の化合物を得ることができる。式(1-6)の化合物は、式(I)の化合物の代表である。
【0183】
スキーム2:本発明の例示的化合物を合成するための代表的なスキーム。
スキーム2に示されるように、式(2-1)の化合物は、式(2-3)の化合物に変換することができる。式(2-1)の化合物は、加熱エタノールのような溶媒中で、塩基、例えば、限定されるものではないが、N,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で、塩酸ヒドロキシルアミンで処理して、式(2-2)の化合物を得ることができる。式(1-4)の化合物は、溶媒、例えば、限定されるものではないが、N,N-ジメチルホルムアミド中で、周囲温度またはその付近でカルボニルジイミダゾールで処理することができる。その後、式(2-2)の化合物を添加し、得られた混合物を70~100℃に2~24時間加熱して、式(2-3)の化合物を得ることができる。式(2-3)の化合物は、式(I)の化合物の代表である。
【0184】
スキーム3:本発明の例示的化合物を合成するための代表的なスキーム。
スキーム3に示されるように、式(2-3)の化合物はまた、式(3-1)の化合物から誘導することができる。式(3-1)の化合物であって、PGが当業者に知られている保護基であるものは、スキーム1に記載のカップリング条件を使用して式(2-2)の化合物とカップリングさせて、式(3-2)の化合物を得ることができる。式(3-2)の化合物はまた、N,N-ジメチルホルムアミドのような溶媒中で、周囲温度またはその付近で式(3-1)の化合物をカルボニルジイミダゾールと反応させ、次いで式(2-2)の化合物と反応させることによって調製することができる。式(3-2)の化合物は、溶媒、例えば、限定されるものではないが、N,N-ジメチルホルムアミド中で加熱(80~130℃)して、式(3-3)の化合物を得ることができる。次いで保護基は、当業者に知られており、特定の保護基に依存する条件下で、式(3-3)の化合物から除去することができる。その後、露出したアミンを、スキーム1に記載のカップリング条件を使用して式(1-2)のカルボン酸とカップリングさせて、式(2-3)の化合物を得ることができる。式(2-3)の化合物は、式(I)の化合物の代表である。
【0185】
スキーム4:本発明の例示的化合物を合成するための代表的なスキーム。
スキーム4に示されるように、式(3-1)の化合物はまた、式(1-6)の化合物に変換することができる。式(3-1)の化合物であって、PGがアミン保護基であるものは、スキーム1に記載のカップリング条件を使用して式(1-5)の化合物とカップリングさせて、式(4-1)の化合物を得ることができる。式(4-1)の化合物は、加熱溶媒、例えば、限定されるものではないが、酢酸エチル中で、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド及びトリメチルアミンで処理して、式(4-2)の化合物を得ることができる。次いで保護基は、当業者に知られており、特定の保護基に依存する条件下で、式(4-2)の化合物から除去することができる。その後、露出したアミンを、スキーム1に記載のカップリング条件を使用して式(1-2)のカルボン酸とカップリングさせて、式(1-6)の化合物を得ることができる。式(1-6)の化合物は、式(I)の化合物の代表である。
【0186】
スキーム5:本発明の例示的化合物を合成するための代表的なスキーム。
スキーム5に示されるように、式(5-6)の化合物は、式(5-1)の化合物から誘導することができる。式(5-1)の化合物は、溶媒、例えば、限定されるものではないが、エタノール中で加熱されたヒドロキシルアミン水溶液で処理して、式(5-2)の化合物を得ることができる。式(5-3)の化合物は、溶媒、例えば、限定されるものではないが、N,N-ジメチルホルムアミド中で、カルボニルジイミダゾールで処理することができる。その後、式(5-2)の化合物を添加し、混合物を加熱して、式(5-4)の化合物を得ることができる。式(5-4)の化合物は、3段階のプロセスで式(5-5)の化合物に変換することができる。第1段階では、式(5-4)のエステルは、対応するカルボン酸に加水分解することができる。例えば、式(5-4)のエステルは、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、またはテトラヒドロフランと水の混合物のような溶媒中で、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムのような塩基で周囲温度で処理し、または0.5~16時間加熱して、対応するカルボン酸を得ることができる。次いで、そのカルボン酸をCurtius転位反応条件下で反応させて、保護されたアミンを得ることができる。第3段階では、保護基を、保護基に依存する当業者に知られている条件で除去して、式(5-5)の化合物を得ることができる。式(5-5)の化合物は、スキーム1に記載のアミド結合形成条件下で式(1-2)の化合物とカップリングさせて、式(5-6)の化合物を得ることができる。式(5-6)の化合物は、式(I)の化合物の代表である。
【0187】
スキーム6:本発明の例示的化合物を合成するための代表的なスキーム。
スキーム6に示されるように、式(6-1)の化合物は、式(6-4)の化合物に変換することができる。式(6-1)の化合物は、溶媒、例えば、限定されるものではないが、任意で加熱されたN,N-ジメチルホルムアミド中で、塩基、例えば、限定されるものではないが、炭酸カリウムの存在下で、tert-ブチル2-ブロモアセテートで処理することができる。その後、酸、例えば、ジオキサン中の塩酸またはジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸で処理すると、式(6-2)の化合物が得られる。式(6-2)の化合物は、スキーム1に記載のアミド結合形成反応条件下で式(6-3)の化合物とカップリングさせて、式(6-4)の化合物を得ることができる。式(6-3)の化合物は、式(3-3)の化合物の脱保護を用いてスキーム3に示されるように得ることができる。式(6-4)の化合物は、式(I)の化合物の代表である。
【0188】
スキーム7:本発明の例示的化合物を合成するための代表的なスキーム。
スキーム7に示されるように、式(7-1)の化合物は、式(1-6)の化合物に変換することができる。式(7-1)の化合物は、加熱エタノール中でヒドラジン水和物で処理して、式(7-2)の化合物を得ることができる。式(7-2)の化合物を、スキーム1に記載のカップリング条件下で、式(3-1)のカルボン酸であって、PGがアミン保護基であるものとカップリングさせて、式(7-3)の化合物を得ることができる。式(7-3)の化合物は、溶媒、例えば、限定されるものではないが、アセトニトリル中で、塩基、例えば、限定されるものではないが、N,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で、4-メチルベンゼン-1-スルホニルクロリドと反応させて、式(7-4)の化合物を提供することができる。次いで保護基は、当業者に知られており、特定の保護基に依存する条件下で、式(7-4)の化合物から除去することができる。その後、露出したアミンを、スキーム1に記載のカップリング条件を使用して式(1-2)のカルボン酸とカップリングさせて、式(1-6)の化合物を得ることができる。式(1-6)の化合物は、式(I)の化合物の代表である。
【0189】
スキーム8:本発明の例示的化合物を合成するための代表的なスキーム。
スキーム8に示されるように、式(8-5)の化合物は、式(1-3)の化合物から誘導することができる。式(1-3)の化合物は、溶媒、例えば、限定されるものではないが、加熱エタノール中でヒドラジン水和物で処理して、式(8-1)の化合物を得ることができる。式(8-1)の化合物は、溶媒、例えば、限定されるものではないが、加熱メタノール中で、水酸化カリウムのような塩基の存在下で、二硫化炭素で処理して、式(8-2)の化合物を得ることができる。式(8-2)の化合物は、溶媒、例えば、限定されるものではないが、N,N-ジメチルホルムアミド中で、炭酸カリウムのような塩基の存在下で、ヨウ化メチルでアルキル化することができる。その後、水と酢酸の混合物中で0℃またはその付近で過マンガン酸カリウムで処理すると、式(8-3)の化合物が得られる。式(8-3)の化合物は、炭酸カリウムのような塩基の存在下で、加熱溶媒、例えば、限定されるものではないが、N,N-ジメチルホルムアミド中で式(8-4)の化合物と反応させて、式(8-5)の化合物を得ることができる。式(8-5)の化合物は、式(I)の化合物の代表である。
【0190】
スキーム9:本発明の例示的化合物を合成するための代表的なスキーム。
スキーム9に示されるように、式(9-3)の化合物は、式(8-1)の化合物から誘導することができる。式(8-1)の化合物は、トリエチルアミンのような塩基の存在下で、溶媒、例えば、限定されるものではないが、テトラヒドロフラン中で2-クロロアセチルクロリドと反応させて、式(9-1)の化合物を得ることができる。式(9-1)の化合物は、溶媒、例えば、限定されるものではないが、アセトニトリル中で、N,N-ジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下で、4-メチルベンゼン-1-スルホニルクロリドと反応させて、式(9-2)の化合物を得ることができる。式(9-2)の化合物は、炭酸カリウムのような塩基の存在下で、加熱溶媒、例えば、限定されるものではないが、N,N-ジメチルホルムアミド中で式(8-4)の化合物と反応させて、式(9-3)の化合物を得ることができる。式(9-3)の化合物は、式(I)の化合物の代表である。
【0191】
スキーム10:本発明の例示的化合物を合成するための代表的なスキーム。
スキーム10に示されるように、式(10-4)の化合物は、式(1-3)の化合物から誘導することができる。式(1-3)の化合物は、2段階で式(10-1)の化合物に変換することができる。式(1-3)の化合物は、溶媒、例えば、限定されるものではないが、メタノール中で水酸化アンモニウムで処理して、中間一級アミドを得ることができる。次いで、中間一級アミドを、テトラヒドロフランのような溶媒中でBurgess試薬と反応させて、式(10-1)の化合物を得ることができる。式(10-1)の化合物は、エタノールのような溶媒中でジオキサン中の塩酸で処理し、続いてメタノール中のアンモニアで処理して、式(10-2)の化合物を生成することができる。式(10-2)の化合物は、密封管内で、溶媒、例えば、限定されるものではないが、60~90℃に加熱されたメタノール中で式(10-3)の化合物と反応させて、式(10-4)の化合物を得ることができる。式(10-4)の化合物は、式(I)の化合物の代表である。
【0192】
スキーム11:本発明の例示的化合物を合成するための代表的なスキーム。
スキーム11に示されるように、式(11-2)の化合物は、式(1-4)の化合物から誘導することができる。式(1-4)の化合物は、試薬、例えば、限定されるものではないが、1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-オール水和物、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン及び2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムテトラフルオロボレートを使用して、N,N-ジメチルホルムアミドのような溶媒中で2-クロロ-N-ヒドロキシアセチミダミドとカップリングさせることができる。次いで、カップリング生成物をディーン・スターク装置を使用して還流トルエン中で環化及び脱水して、式(11-1)の化合物を供給することができる。式(11-1)の化合物は、炭酸カリウム及び任意のヨウ化カリウムのような塩基の存在下で、加熱アセトン中で式(8-4)のアルコールと反応させて、式(11-2)の化合物を得ることができる。加熱は、従来的にまたはマイクロ波照射を用いて達成することができる。式(11-2)の化合物は、式(I)の化合物の代表である。
【0193】
スキーム12:本発明の例示的化合物の合成のための代表的なスキーム。
スキーム12に示されるように、式(10-2)の化合物は、式(12-2)の化合物に変換することができる。したがって、式(10-2)の化合物は、加熱水酸化アンモニウム水溶液中で塩化アンモニウムの存在下で、1,3-ジヒドロキシアセトンダイマーと反応させて、式(12-1)の化合物を得ることができる。式(12-1)の化合物は、光延反応条件下で式(8-4)の化合物を反応させて、式(12-2)の化合物を得ることができる。式(12-2)の化合物は、式(I)の化合物の代表である。
【0194】
薬学的組成物
本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体を含む薬学的組成物を特徴とする。いくつかの実施形態において、薬学的組成物はさらに、薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、立体異性体は、薬学的組成物において有効量で提供される。いくつかの実施形態において、有効量は、治療有効量である。ある特定の実施形態において、有効量は、予防的有効量である。
【0195】
本明細書に記載の薬学的組成物は、薬理学の分野で公知の任意の方法によって調製することができる。概して、かかる調製方法は、式(I)の化合物(「活性成分」)を、担体及び/または1種以上の補助的成分と組み合わせるステップと、次に必要及び/または所望に応じて、生成物を所望の単回または多回用量単位に成形及び/またはパッケージングするステップとを含む。薬学的組成物は、バルクで、単回単位用量として、及び/または複数の単回単位用量として調製し、パッケージングし、及び/または販売することができる。本明細書で使用する場合、「単位用量」は、所定量の活性成分を含む薬学的組成物の個別的な量である。活性成分の量は、対象に投与されると考えられる活性成分の投薬量及び/またはこのような薬用量の好都合な一部分(例えば、このような投薬量の半分または3分の1)に概ね等しい。
【0196】
本発明の薬学的組成物中の式(I)の化合物、薬学的に許容される賦形剤、及び/または任意の追加の成分の相対量は、治療を行う対象の識別、サイズ、及び/または疾病に応じて、さらにまた当該組成物を投与するのに用いる経路に応じて変動する。例として、上記組成物は、式(I)の化合物を0.1%から100%(w/w)を含むことができる。
【0197】
「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、共に製剤化される化合物の薬理学的活性を破壊しない無毒性の担体、アジュバント、希釈剤、またはビヒクルを指す。本発明の薬学的組成物の製造に有用な薬学的に許容される賦形剤は、薬学的製剤の分野で周知されている任意の賦形剤であり、不活性の希釈剤、分散剤及び/または造粒剤、界面活性剤及び/または乳化剤、崩壊剤、結合剤、防腐剤、緩衝剤、滑沢剤、及び/または油分がこれに含まれる。本発明の薬学的組成物の製造において有用な薬学的に許容される賦形剤としては、限定されるものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、または電解質、例えば、プロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースをベースとする物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及び羊毛脂が挙げられる。
【0198】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に(皮下、筋肉内、静脈内、及び皮内を含む)、吸入スプレーにより、局所的に、直腸内に、経鼻的に、頬側的に、膣内に、または植え込み型リザーバーを介して投与することができる。いくつかの実施形態において、提供される化合物または組成物は、静脈内及び/または経口的に投与可能である。
【0199】
本明細書で使用する場合、「非経口的」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、眼球内、硝子体内、関節内、滑液内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、腹腔内、病巣内、及び頭蓋内の注射または点滴技法を含む。好ましくは、上記組成物は、経口的に、皮下に、腹腔内に、または静脈内に投与される。本発明の組成物の無菌注射用形態は、水性または油性の懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、当技術分野において公知の技法に従って、好適な分散剤または湿潤剤及び懸濁化剤を用いて製剤化することができる。また、無菌注射用調製物は、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の、例えば、1,3-ブタンジオール中溶液としての、無菌注射用の溶液または懸濁液であってもよい。用いられ得る許容されるビヒクル及び溶媒に含まれるものとして、水、リンゲル液、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の固定油が、従来から溶媒または懸濁媒体として用いられている。
【0200】
本発明の薬学的に許容される組成物は、限定されるものではないが、カプセル、錠剤、水性の懸濁液または溶液を含めた任意の経口的に許容される剤形で、経口的に投与することができる。経口的使用向けの錠剤の場合、一般的に使用されている担体としては、ラクトース及びトウモロコシデンプンが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤も典型的に添加される。カプセル形態における経口的投与については、有用な希釈剤としては、ラクトース及び乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。水性懸濁液が経口的使用に求められる場合、活性成分は、乳化剤及び懸濁化剤と合わせられる。所望に応じて、ある特定の甘味剤、香味剤、または着色剤が添加されてもよい。いくつかの実施形態において、提供される経口用製剤は、即時放出または徐放/遅延放出向けに製剤化される。いくつかの実施形態において、組成物は、錠剤、ロゼンジ、及びトローチを含む頬側または舌下投与に好適である。式(I)の化合物は、マイクロカプセル化形態であってもよい。
【0201】
本発明の組成物は、アプリケータースティック、溶液、懸濁液、エマルジョン、ゲル、クリーム、軟膏、ペースト、ゼリー、塗布剤、粉末、及びエアロゾルとして、経皮的に、局所経路により送達することができる。経口用調製物としては、患者の摂取に適した錠剤、丸剤、散剤、糖衣錠、カプセル剤、液体、ロゼンジ剤、カシェ剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などが挙げられる。固体形態の調製物としては、粉末、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、座薬、及び分散性顆粒が挙げられる。液体形態の調製物としては、溶液、懸濁液、及びエマルジョン、例えば、水または水/プロピレングリコール溶液が挙げられる。本発明の組成物は、徐放及び/または快適さをもたらすための構成成分を追加的に含むことができる。このような構成成分としては、高分子量アニオン性粘液模倣ポリマー、ゲル化多糖体、及び微粉化された薬物担体基質が挙げられる。これらの構成成分については、米国特許第4,911,920号、同第5,403,841号、同第5,212,162号、及び同第4,861,760号でより詳細に論じられている。これらの特許の全体的内容は、あらゆる目的においてそれらの全体が参照により本明細書に援用される。本発明の組成物は、体内で徐放させるためにミクロスフェアとして送達することもできる。例えば、ミクロスフェアは、皮下に徐放する薬物含有ミクロスフェアの皮内注射を介して(Rao,J.Biomater Sci.Polym.Ed.7:623-645,1995を参照)、生分解性の注射可能なゲル製剤として(例えば、Gao Pharm.Res.12:857-863,1995を参照)、または経口投与用のミクロスフェアとして(例えば、Eyles,J.Pharm.Pharmacol.49:669-674,1997を参照)、投与することができる。別の実施形態において、本発明の組成物の製剤は、細胞膜と融合するまたは貪食されるリポソームの使用によって送達することができ、貪食は、すなわち、リポソームに結合した受容体リガンドを用いることにより、当該リガンドが細胞の表面膜タンパク質受容体に結合した結果もたらされる。リポソームを使用することにより、とりわけ、リポソーム表面が標的細胞に対し特異的な受容体リガンドを保有する場合、または優先的に特定の臓器に向けられる場合、本発明の組成物をin vivoで標的細胞に送達することに集中することができる。(例えば、Al-Muhammed,J.Microencapsul.13:293-306,1996、Chonn,Curr.Opin.Biotechnol.6:698-708,1995、Ostro,J.Hosp.Pharm.46: 1576-1587,1989を参照)本発明の組成物は、ナノ粒子として送達することもできる。
【0202】
代わりに、本発明の薬学的に許容される組成物は、直腸投与向けの座薬の形態で投与することができる。本発明の薬学的に許容される組成物は、特に処置の標的が局所適用により容易にアクセス可能な部位または臓器(目、皮膚、または下部腸管の疾患を含む)を含む場合は、局所的に投与することもできる。好適な局所製剤は、このような部位または臓器の各々向けに容易に調製される。
【0203】
いくつかの実施形態において、薬物の効果を延長するためには、皮下注射または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることがしばしば望ましい。これは、水溶性が低い結晶またはアモルファス材料の液体懸濁液を使用することによって達成することができる。その場合、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、溶解速度は結晶サイズ及び結晶形態に依存し得る。代わりに、非経口投与された薬物形態の吸収遅延は、薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁することによって遂行される。
【0204】
本明細書で提供される薬学的組成物の説明は、主として、ヒトに対する投与に好適な薬学的組成物を対象としているが、当業者であれば、このような組成物があらゆる種類の動物への投与にも広く適していることが理解されよう。ヒトへの投与に好適な薬学的組成物を、様々な動物への投与に好適にするために改変を行うことは十分理解されており、通常の技量を有する獣医薬理学者は、このような改変を、通常の実験を用いて、設計及び/または実施することができる。
【0205】
本明細書に記載の化合物、例えば式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体は、典型的には、投与を容易にし、薬用量を均一にするために、薬用量単位形態、例えば、単一の単位剤形で製剤化される。しかしながら、本発明の組成物の1日合計使用量は、妥当な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されよう。任意の特定の対象または生物に対する具体的な治療有効用量レベルは、治療対象となる疾患、障害の重症度、用いられる具体的な活性成分の活性、用いられる具体的な組成物、対象の年齢、体重、全身の健康状態、性別、及び食事、投与時間、投与経路、用いられる具体的な活性成分の排泄率、治療の持続期間、用いられる具体的な活性成分との併用でまたは同時期に使用する薬物、ならびに医学分野で周知されている類似要因を含めた、様々な要因に依存する。
【0206】
有効量を達成するために必要な化合物の正確な量は、例えば、対象の種、年齢、及び全身の状態、副作用または障害の重症度、特定の化合物(複数可)が何であるか、投与様式などに応じて、対象により変動する。所望の薬用量は、1日3回、1日2回、1日1回、2日毎、3日毎、1週毎、2週間毎、3週間毎、または4週間毎に送達することができる。ある特定の実施形態において、所望の薬用量は、複数の投与回数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14回、またはそれ以上の投与回数)を用いて送達することができる。
【0207】
ある特定の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体における1日1回以上の投与向けの有効量は、単位剤形当たり約0.0001mg~約5000mg、例えば、約0.0001mg~約4000mg、約0.0001mg~約2000mg、約0.0001mg~約1000mg、約0.001mg~約1000mg、約0.01mg~約1000mg、約0.1mg~約1000mg、約1mg~約1000mg、約1mg~約100mg、約10mg~約1000mg、または約100mg~約1000mgの化合物を含み得る。
【0208】
ある特定の実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体は、所望の治療効果を得るために、1日1回以上、1日当たり対象体重の約0.001mg/kg~約1000mg/kg、例えば約0.001mg/kg~約500mg/kg、約0.01mg/kg~約250mg/kg、約0.1mg/kg~約100mg/kg、約0.1mg/kg~約50mg/kg、約0.1mg/kg~約40mg/kg、約0.1mg/kg~約25mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、または約1mg/kg~約50mg/kgを送達するのに十分な薬用量レベルであり得る。
【0209】
本明細書に記載のような用量範囲により、提供される薬学的組成物を成人に投与するための指針がもたらされることが理解されよう。例えば、小児または青年に投与する量は、医療実施者または当業者が決定することができ、この量は成人に投与する量より少ない場合も同じ場合もある。
【0210】
また、化合物または組成物、例えば、本明細書に記載のような式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体は、1種以上の追加の薬学的薬剤との併用で投与することができることも理解されよう。上記化合物または組成物は、その生体利用能を改善し、その代謝を低減及び/または改変し、その排泄を阻害し、及び/または体内におけるその分布を改変する追加の薬学的薬剤との併用で投与されてもよい。また、用いられる療法は同じ疾患に対して所望の効果を達成する場合もあれば、及び/または異なる効果を達成する場合もあることも理解されよう。
【0211】
上記化合物または組成物は、1種以上の追加の薬学的薬剤と同時に、その前、またはその後に投与することができ、これは(例えば、併用療法として)有用であり得る。薬学的薬剤には、治療的活性薬剤が含まれる。また、薬学的薬剤には、予防的活性薬剤も含まれる。各々の追加の薬学的薬剤は、その薬学的薬剤について決定された用量及び/または時間スケジュールで投与することができる。追加の薬学的薬剤は、互いに、及び/または本明細書に記載の化合物もしくは組成物と、共に単回用量で投与しても、異なる用量で別々に投与してもよい。レジメンで用いる特定の組み合わせは、本発明の化合物の追加の薬学的薬剤との適合性、及び/または達成されるべき所望の治療効果及び/または予防効果を考慮に入れる。概して、併用で利用される追加の薬学的薬剤は、それらが個別に利用されるときのレベルを超えないレベルで利用されることが期待される。いくつかの実施形態において、併用で利用されるレベルは、個別に利用されるレベルより低くなる。
【0212】
例示的な追加の薬学的薬剤としては、限定されるものではないが、抗増殖剤、抗がん剤、抗糖尿病剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、及び鎮痛剤が挙げられる。薬学的薬剤には、小有機分子、例えば、薬物化合物(例えば、連邦規則集(CFR)に規定のような米国食品医薬品局に承認された化合物)、ペプチド、タンパク質、炭水化物、単糖、オリゴ糖、多糖、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、合成ポリペプチドまたはタンパク質、タンパク質に連結した小分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸、DNA、RNA、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、脂質、ホルモン、ビタミン、及び細胞が含まれる。
【0213】
本発明により提供される薬学的組成物は、活性成分(例えば、実施形態または実施例を含む本明細書に記載の化合物)が治療有効量で、すなわち、意図された目的の達成に有効な量で含まれる組成物を含む。特定の適用に有効な実際の量は、特に、治療が行われている状態に依存する。疾患を治療するための方法で投与される場合、このような組成物は、所望の結果、例えば、標的分子(eIF2B、eIF2、もしくはeIF2αシグナル伝達経路の構成因子、またはリン酸化eIF2α経路もしくはISR経路の構成因子)の活性の調節、及び/または疾患症状(例えば、がん、神経変性疾患、白質ジストロフィー、炎症性疾患、筋骨格系疾患、代謝疾患、あるいはeIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の機能障害に関連する疾患または障害)の低減、除去、または進行の遅延、を達成するのに有効な活性成分の量を含有する。本発明の化合物における治療有効量の決定は、特に本明細書の詳細な開示内容を踏まえれば、十分に当業者の技量の範囲内である。
【0214】
ある哺乳類に投与する薬用量及び頻度(単回用量または多回用量)は、様々な要因、例えば、当該哺乳類が別の疾患を患っているかどうか、及びその投与経路;レシピエントのサイズ、年齢、性別、健康状態、体重、体型指数、及び食事;治療が行われている疾患の症状(例えば、がん、神経変性疾患、白質ジストロフィー、炎症性疾患、筋骨格系疾患、代謝疾患、あるいはeIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の機能障害に関連する疾患または障害の症状)の性質及び程度、併用治療の種類、治療が行われている疾患からの合併症または他の健康関連の問題、に応じて変動し得る。他の治療レジメンまたは薬剤も、出願人の発明の方法及び化合物と共に使用することができる。確立された薬用量(例えば、頻度及び期間)の調整及び操作は、十分に当業者の技量の範囲内である。
【0215】
本明細書に記載の任意の化合物に関して、治療有効量は最初に細胞培養アッセイから決定することができる。標的濃度は、本明細書に記載の方法または当技術分野で公知の方法を用いて測定される、本明細書に記載の方法の達成が可能な活性化合物(複数可)の濃度となる。
【0216】
当技術分野で公知のように、ヒトにおいて使用するための治療有効量は、動物モデルから決定することもできる。例えば、ヒト向けの用量は、動物において有効であることが見いだされた濃度を達成するように製剤化することができる。ヒトにおける薬用量は、上述のように、化合物の有効性を監視し薬用量を上方または下方に調整することにより、調整することができる。上述した方法及び他の方法に基づき、ヒトにおいて最大の効力を達成するように用量を調整することは、十分に当業者の技量の範囲内である。
【0217】
薬用量は、患者及び用いられている化合物の要件に応じて変動し得る。本発明の文脈において、患者に投与する用量は、患者において時間と共に有益な治療的応答をもたらすのに十分であるべきである。また、用量のサイズは、任意の有害な副作用の存在、性質、及び程度によっても決定される。特定の状況における適切な薬用量の決定は当業者の技量の範囲内である。概して、治療は、当該化合物の最適用量よりも少ない少量の薬用量から開始する。その後、薬用量を少量ずつ、諸状況下での最適な効果に到達するまで増加させる。薬用量及び間隔は、治療が行われている特定の臨床徴候に有効な投与される化合物のレベルをもたらすように個別に調整することができる。これにより、個体の疾患状態の重症度に対応した治療レジメンがもたらされる。
【0218】
本明細書で提供される教示を利用して、実質的な毒性を引き起こさず、その上特定の患者が示す臨床症状の処置に有効である、有効な予防的または治療的な治療レジメンを計画することができる。この計画は、化合物の効力、相対的な生体利用能、患者の体重、有害な副作用の存在及び重症度、好ましい投与様式、及び選択された薬剤の毒性プロファイルなどの要因を考慮することにより、活性化合物の慎重な選択を伴うべきである。
【0219】
また、本発明は、キット(例えば、薬学的パック)も包含する。本発明のキットは、疾患(例えば、がん、神経変性疾患、白質ジストロフィー、炎症性疾患、筋骨格系疾患、代謝疾患、または本明細書に記載の他の疾患もしくは疾病)の予防及び/または治療に有用であり得る。
【0220】
提供されるキットは、本発明の薬学的組成物または化合物と、容器(例えば、バイアル、アンプル、瓶、シリンジ、及び/またはディスペンサーパッケージ、または他の好適な容器)とを含むことができる。いくつかの実施形態において、提供されるキットは任意でさらに、本発明の薬学的組成物または化合物を希釈または懸濁するための薬学的賦形剤を含む第2の容器を含むことができる。いくつかの実施形態において、容器及び第2の容器に提供される本発明の薬学的組成物または化合物が、1個の単位剤形を形成するように合わせられる。
【0221】
したがって、1つの態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくはその立体異性体、またはこれらの薬学的組成物を含む第1の容器を含むキットが提供される。ある特定の実施形態において、キットは、対象における増殖性疾患の予防及び/または治療に有用である。ある特定の実施形態において、キットはさらに、本明細書に記載の疾患を予防及び/または治療するために、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体、またはこれらの薬学的組成物を対象に投与するための説明書を含む。
【0222】
治療方法
本発明は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を含む化合物、組成物、及び方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、化合物、組成物、及び方法は、疾患、障害、または疾病の予防または治療で使用される。例示的な疾患、障害、または疾病としては、限定されるものではないが、神経変性疾患、白質ジストロフィー、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患、ウイルス感染症、皮膚疾患、線維性疾患、ヘモグロビン病、腎疾患、難聴、眼疾患、UPR誘導につながる変異を有する疾患、マラリア感染症、筋骨格系疾患、代謝疾患、またはミトコンドリア性疾患が挙げられる。
【0223】
いくつかの実施形態において、疾患、障害、または疾病は、eIF2B活性もしくはレベル、eIF2α活性もしくはレベル、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の調節(例えば、減少)に関連する(例えば、それによって引き起こされる)。いくつかの実施形態において、疾患、障害、または疾病は、eIF2経路またはISR経路の構成因子に関連するシグナリング経路の調節(例えば、eIF2経路またはISR経路の構成因子のリン酸化)に関連する。いくつかの実施形態において、疾患、障害、または疾病は、神経変性に関連する(例えば、それによって引き起こされる)。いくつかの実施形態において、疾患、障害、または疾病は、神経細胞の死または機能不全に関連する(例えば、それによって引き起こされる)。いくつかの実施形態において、疾患、障害、または疾病は、グリア細胞の死または機能不全に関連する(例えば、それによって引き起こされる)。いくつかの実施形態において、疾患、障害、または疾病は、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子のレベルまたは活性の増加に関連する(例えば、それによって引き起こされる)。いくつかの実施形態において、疾患、障害、または疾病は、eIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子のレベルまたは活性の減少に関連する(例えば、それによって引き起こされる)。
【0224】
いくつかの実施形態において、疾患は、eIF2経路の構成因子(例えば、eIF2B、eIF2α、またはその他の構成因子)に関連する遺伝子またはタンパク質配列に対する変異によって引き起こされ得る。例示的な変異としては、eIF2B1、eIF2B2、eIF2B3、eIF2B4、eIF2B5サブユニットにおけるアミノ酸変異が挙げられる。いくつかの実施形態において、タンパク質の機能に影響を及ぼす構造的変化(例えば、立体構造的または立体的な変化)をもたらし得る特定のタンパク質におけるアミノ酸変異(例えば、アミノ酸置換、付加、または欠失)。例えば、いくつかの実施形態において、活性部位の中及び周囲、または結合部位(例えば、リン酸化部位、小分子結合部位、もしくはタンパク質結合部位)の近傍にあるアミノ酸は、タンパク質の活性が影響を受けるように変異され得る。いくつかの例において、アミノ酸変異(例えば、アミノ酸置換、付加、または欠失)は保存的であり、タンパク質の構造または機能に実質的に影響を及ぼさない場合がある。例えば、ある特定の場合において、セリン残基をスレオニン残基で置換することは、タンパク質の機能に重大な影響を及ぼさない場合がある。他の場合において、アミノ酸変異は、荷電アミノ酸(例えば、アスパラギン酸またはリジン)を大きな非極性アミノ酸(例えば、フェニルアラニンまたはトリプトファン)で置換することのようにより劇的で、そのためタンパク質機能に相当な影響を及ぼす場合がある。遺伝子またはタンパク質の機能の構造に影響を及ぼす変異の性質は、標準的なシークエンシング技法(例えば、当技術分野で周知されているディープシークエンシング技法)を用いて容易に同定することができる。いくつかの実施形態において、eIF2経路の構成因子の変異は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体の結合もしくは活性に影響を及ぼし、よって特定の疾患、障害、もしくは疾病、またはその症状の治療を調節することができる。
【0225】
いくつかの実施形態において、eIF2タンパク質は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリン残基におけるアミノ酸変異(例えば、アミノ酸置換、付加、または欠失)を含み得る。いくつかの実施形態において、eIF2タンパク質は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリン残基におけるアミノ酸置換を含み得る。いくつかの実施形態において、eIF2タンパク質は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリン残基におけるアミノ酸付加を含み得る。いくつかの実施形態において、eIF2タンパク質は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリン残基におけるアミノ酸欠失を含み得る。
【0226】
いくつかの実施形態において、eIF2タンパク質は、eIF2B1、eIF2B2、eIF2B3、eIF2B4、eIF2B5サブユニット内にアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリン残基におけるアミノ酸変異(例えば、アミノ酸置換、付加、または欠失)を含み得る。いくつかの実施形態において、eIF2タンパク質は、eIF2B1、eIF2B2、eIF2B3、eIF2B4、eIF2B5サブユニット内にアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリン残基におけるアミノ酸置換を含み得る。いくつかの実施形態において、eIF2タンパク質は、eIF2B1、eIF2B2、eIF2B3、eIF2B4、eIF2B5サブユニット内にアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリン残基におけるアミノ酸付加を含み得る。いくつかの実施形態において、eIF2タンパク質は、eIF2B1、eIF2B2、eIF2B3、eIF2B4、eIF2B5サブユニット内にアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリン残基におけるアミノ酸欠失を含み得る。例示的な変異としては、V183F(eIF2B1サブユニット)、H341Q(eIF2B3)、I346T(eIF2B3)、R483W(eIF2B4)、R113H(eIF2B5)、及びR195H(eIF2B5)が挙げられる。
【0227】
いくつかの実施形態において、eIF2経路の構成因子(例えば、eIF2Bタンパク質サブユニット)におけるアミノ酸変異(例えば、アミノ酸置換、付加、または欠失)は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体の結合、または活性に影響を及ぼし、よって特定の疾患、障害、もしくは疾病、またはその症状の治療を調節することができる。
【0228】
神経変性疾患
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、神経変性疾患を治療するために使用される。本明細書で使用する場合、「神経変性疾患」という用語は、対象の神経系の機能が損なわれる疾患または疾病を指す。本明細書に記載の化合物、薬学的組成物、または方法を用いて治療され得る神経変性疾患の例としては、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、毛細血管拡張性失調症、バッテン病(シュピールマイアー・フォークト・シェーグレン・バッテン病としても知られる)、ウシ海綿状脳症(BSE)、カナバン病、コケイン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、ジストニア、前頭側頭型認知症(FTD)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、ハンチントン病、HIV関連認知症、ケネディ病、クラッベ病、クールー病、レビー小体型認知症、マシャド・ジョセフ病(脊髄小脳失調症3型)、多系統萎縮症、多系統タンパク質症、ナルコレプシー、神経ボレリア症、パーキンソン病、ペリツェウス・メルツバッヘル病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血に続発する脊髄の亜急性連合変性症、統合失調症、脊髄小脳失調症(様々な特徴を有する複数の型、例えば、脊髄小脳失調症2型または脊髄小脳失調症8型)、脊髄性筋萎縮症、スティール・リチャードソン・オルゼウスキー症候群、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性症、副腎白質ジストロフィー、X連鎖副腎白質ジストロフィー、脳副腎白質ジストロフィー、ペリツェウス・メルツバッヒャー病、クラッベ病、DARS2遺伝子の変異による白質ジストロフィー(場合により、脳幹及び脊髄の関与ならびに乳酸上昇を伴う白質脳症(LBSL)として知られる)、DARS2関連スペクトル障害、または脊髄ろうが挙げられる。
【0229】
いくつかの実施形態において、神経変性疾患は、白質消失病、中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調症、白質ジストロフィー、白質脳症、ミエリン形成不全もしくは脱髄疾患、知的障害症候群(例えば、脆弱X症候群)、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、クロイツフェルト・ヤコブ病、前頭側頭型認知症(FTD)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、ハンチントン病、認知症(例えば、HIV関連認知症もしくはレビー小体認知症)、クールー病、多発性硬化症、パーキンソン病、またはプリオン病を含む。
【0230】
いくつかの実施形態において、神経変性疾患は、白質消失病、中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調症、白質ジストロフィー、白質脳症、ミエリン形成不全または脱髄疾患、または知的障害症候群(例えば、脆弱X症候群)を含む。
【0231】
いくつかの実施形態において、神経変性疾患は、精神疾患、例えば、広場恐怖症、アルツハイマー病、神経性食欲不振症、健忘症、不安障害、注意欠陥障害、双極性障害、身体醜形障害、神経性過食症、閉所恐怖症、うつ病、妄想、ディオゲネス症候群、統合運動障害、不眠症、ミュンヒハウゼン症候群、ナルコレプシー、自己愛性パーソナリティ障害、強迫性障害、精神障害、恐怖症性障害、統合失調症、季節性情動障害、スキゾイドパーソナリティ障害、夢遊症、社会恐怖症、物質乱用、遅発性ジスキネジア、トゥレット症候群、または抜毛症を含む。
【0232】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、白質消失病を治療するために使用される。白質消失病を治療する例示的な方法としては、限定されるものではないが、対象における白質消失病の症状の低減もしくは除去、白質損失の低減、ミエリン損失の低減、ミエリン量の増加、または白質量の増加が挙げられる。
【0233】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調症を治療するために使用される。中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調症を治療するための例示的な方法としては、限定されるものではないが、対象における中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調症の症状の低減もしくは除去、ミエリンレベルの増加、またはミエリン損失の減少が挙げられる。
【0234】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、知的障害症候群(例えば、脆弱X症候群)を治療するために使用される。知的障害症候群を治療する例示的な方法としては、限定されるものではないが、知的障害症候群の症状の低減または除去が挙げられる。
【0235】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、神経変性を治療するために使用される。神経変性を治療するための例示的な方法としては、限定されるものではないが、精神的健康の改善、精神機能の増大、精神機能減少の緩徐化、認知症の減少、認知症発症の遅延、認知能力の改善、認知能力損失の減少、記憶の改善、記憶低下の減少、または生存期間の延長が挙げられる。
【0236】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、白質脳症または脱髄疾患を治療するために使用される。例示的な白質脳症としては、限定されるものではないが、進行性多巣性白質脳症、中毒性白質脳症、白質消失を伴う白質脳症、神経軸索スフェロイドを伴う白質脳症、可逆性後白質脳症症候群、高血圧性白質脳症、皮質下嚢胞を伴う巨脳症性白質脳症胞、シャルコー・マリー・トゥース障害、及びデビック病が挙げられる。白質脳症は脱髄疾患を含むことがあり、これは遺伝性の場合も後天性の場合もある。いくつかの実施態様において、後天性脱髄疾患は、炎症性脱髄疾患(例えば、感染性炎症性脱髄疾患または非感染性炎症性脱髄疾患)、中毒性脱髄疾患、代謝性脱髄疾患、低酸素性脱髄疾患、外傷性脱髄疾患、または虚血性脱髄疾患(例えば、ビンスワンガー病)であり得る。白質脳症または脱髄疾患を治療する例示的な方法としては、限定されるものではないが、対象における白質脳症または脱髄疾患の症状の低減もしくは除去、ミエリン損失の低減、ミエリン量の増加、対象における白質損失の低減、または白質量の増加が挙げられる。
【0237】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、神経系(例えば、脳)への外傷性損傷または毒素誘発性損傷を治療するために使用される。例示的な外傷性脳損傷としては、限定されるものではないが、脳膿瘍、振盪、虚血、脳出血、頭蓋骨折、びまん性軸索損傷、閉じこめ症候群、または臓器もしくは組織への損害を引き起こす神経系もしくは脳への外傷性の力もしくは打撃に関係する損傷が挙げられる。例示的な毒素誘発性脳損傷としては、限定されるものではないが、中毒性脳症、髄膜炎(例えば、細菌性髄膜炎もしくはウイルス性髄膜炎)、髄膜脳炎、脳炎(例えば、日本脳炎、東部ウマ脳炎、ウエストナイル脳炎)、ギラン・バレー症候群、シデナム舞踏病、狂犬病、ハンセン病、神経梅毒、プリオン病、または化学物質への曝露(例えば、ヒ素、鉛、トルエン、エタノール、マンガン、フッ化物、ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)、ジクロロジフェニルジクロロエチレン(DDE)、テトラクロロエチレン、ポリ臭素化ジフェニルエーテル、農薬、ナトリウムチャネル阻害剤、カリウムチャネル阻害剤、クロライドチャネル阻害剤、カルシウムチャネル阻害剤、または血液脳関門阻害剤)が挙げられる。
【0238】
他の実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、対象における記憶を改善するために使用される。記憶の誘発は、eIF2αリン酸化の減少により促進され、eIF2αリン酸化の増加により損なわれることが示されている。本明細書に開示される化合物(例えば、式(I)の化合物)のような翻訳の調節因子は、アルツハイマー病のような記憶損失に関連したヒト障害における記憶や、パーキンソン病、統合失調症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、及びプリオン病のような、ニューロン内のUPRまたはISRを活性化するため記憶固定に悪影響を有し得る他の神経障害における記憶を改善する治療剤として働くと考えられる。加えて、複合体の完全性を破壊するeIF2γの変異は、ヒトにおいて、知的障害(知的障害症候群またはID)を翻訳開始の障害に関連付けた。したがって、eIF2機能の障害を伴う2種の疾患、ID及びVWMは、別個の表現型を示すが、両方とも主に脳に影響を及ぼし学習を損なう。いくつかの実施形態において、疾患または疾病は、不十分な記憶(例えば、作業記憶、長期記憶、短期記憶、または記憶固定)である。
【0239】
また他の実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、対象における記憶(例えば、作業記憶、長期記憶、短期記憶、または記憶固定)を改善するための方法で使用される。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、対象は非ヒト哺乳類である。いくつかの実施形態において、対象は飼育動物である。いくつかの実施形態において、対象はイヌである。いくつかの実施形態において、対象は鳥である。いくつかの実施形態において、対象はウマである。実施形態において、患者はウシである。いくつかの実施形態において、対象は霊長類である。
【0240】
がん
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体は、がんを治療するために使用される。本明細書で使用する場合、「がん」とは、ヒトのがん及び癌腫、肉腫、腺癌、リンパ腫、白血病、黒色腫などを指し、がんには、固形及びリンパ系のがん、腎臓、乳房、肺、膀胱、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、胃、脳、頭頚部、皮膚、子宮、精巣、神経膠腫、食道、肝臓(肝細胞癌を含む)の癌、リンパ腫(急性Bリンパ芽球性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(例えば、バーキット、小細胞、及び大細胞リンパ腫)、ホジキンリンパ腫を含む)、白血病(AML、ALL、及びCMLを含む)、及び/または多発性骨髄腫が含まれる。さらにいくつかのさらなる場合において、「がん」とは、肺癌、乳癌、卵巣癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、膵臓癌、肉腫、膀胱癌、骨癌、脳癌、子宮頚癌、結腸癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、頭頚部癌、腎臓癌、骨髄腫、甲状腺癌、前立腺癌、転移性癌、または癌腫を指す。
【0241】
本明細書で使用する場合、「がん」という用語は、哺乳類に見いだされる全てのタイプのがん、新生物、または悪性腫瘍を指し、これには白血病、リンパ腫、癌腫、及び肉腫が含まれる。本明細書で提供される化合物、薬学的組成物、または方法を用いて治療され得る例示的ながんとしては、リンパ腫、肉腫、膀胱癌、骨癌、脳腫瘍、子宮頚癌、結腸癌、食道癌、胃癌、頭頚部癌、腎臓癌、骨髄腫、甲状腺癌、白血病、前立腺癌、乳癌(例えば、ER陽性、ER陰性、化学療法抵抗性、ハーセプチン抵抗性、HER2陽性、ドキソルビシン抵抗性、タモキシフェン抵抗性、腺管癌、小葉癌、原発性、転移性)、卵巣癌、膵臓癌、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌、扁平上皮細胞肺癌、腺癌、大細胞肺癌、小細胞肺癌、類癌腫、肉腫)、多形神経膠芽細胞腫、膠腫、または黒色腫が挙げられる。追加の例としては、甲状腺、内分泌系、脳、乳房、子宮頸部、結腸、頭頚部、肝臓、腎臓、肺、非小細胞肺、黒色腫、中皮腫、卵巣、肉腫、胃、子宮の癌、または髄芽細胞腫(例えば、WNT-依存性小児髄芽細胞腫)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、膠腫、多形神経膠芽細胞腫、卵巣癌、横紋筋肉腫、原発性血小板血症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、がん、悪性膵臓インスリノーマ、悪性類癌腫、膀胱癌、前悪性皮膚病変、睾丸癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、尿生殖路癌、悪性高カルシウム血症、子宮内膜癌、副腎皮質癌、内分泌または膵臓外分泌部の新生物、髄様甲状腺癌、髄様甲状腺癌、黒色腫、結腸直腸癌、乳頭状甲状腺癌、肝細胞癌、乳房パジェット病、葉状腫瘍、小葉癌、腺管癌、膵臓星状細胞の癌、肝星状細胞の癌、または前立腺癌が挙げられる。
【0242】
「白血病」という用語は、血液形成臓器の進行性悪性疾患を広く指し、概して、血液及び骨髄における白血球及びその前駆体の歪んだ増殖及び発生によって特徴づけられる。概して白血病は、(1)疾患(急性または慢性)の期間及び特徴、(2)関与する細胞タイプ:骨髄系(骨髄性)、リンパ系(リンパ行性)、または単球性、ならびに(3)白血病性または非白血病性(亜白血病性)血液における異常細胞数の増加の有無、に基づいて臨床的に分類される。本明細書で提供する化合物、薬学的組成物、または方法により処置され得る例示的な白血病としては、例えば、急性非リンパ球性白血病、慢性リンパ性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血病性白血病、白血球血症性白血病、好塩基球性白血病、芽細胞白血病、ウシ白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、幹細胞性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、毛様細胞白血病、赤芽球性白血病、血球芽細胞性白血病、組織球性白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ行性白血病、リンパ様白血病、リンパ肉腫細胞性白血病、マスト細胞白血病、巨核球白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球白血病、骨髄性白血病、骨髄球性顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、プラスマ細胞白血病、多発性骨髄腫、形質細胞白血病、前骨髄球性白血病、リーダー球性白血病、シリング白血病、幹細胞白血病、亜白血病性白血病、または未分化細胞白血病が挙げられる。
【0243】
「肉腫」という用語は、概して胎児結合組織のような物質から構成される腫瘍を指し、概して繊維状または同質の物質内に包埋した密集細胞から構成されている。本明細書で提供する化合物、薬学的組成物、または方法を用いて治療され得る肉腫としては、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アバネシー肉腫、脂肪性肉腫、脂肪肉腫、胞状軟部肉腫、エナメル上皮肉腫、ブドウ状肉腫、緑色肉腫、絨毛癌、胎芽性肉腫、ウィルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質性肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、Jensen肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉細胞肉腫、傍骨肉腫、網状赤血球肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫、または毛細血管拡張性肉腫が挙げられる。
【0244】
「黒色腫」という用語は、皮膚及び他の臓器のメラニン細胞系から生じる腫瘍を意味するように解釈される。本明細書で提供する化合物、薬学的組成物、または方法により処置され得る黒色腫としては、例えば、末端部黒子黒色腫、無色素性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング・パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子由来黒色腫、悪性黒色腫、結節性黒色腫、爪下黒色腫、または表在拡大型黒色腫が挙げられる。
【0245】
「癌腫」という用語は、周囲の組織に浸潤し転移をもたらす傾向のある、上皮細胞から構成される悪性新生物を指す。本明細書に記載の化合物、薬学的組成物、または方法を用いて治療され得る例示的な癌腫としては、例えば、髄様性甲状腺癌、家族性髄様性甲状腺癌、腺房癌、小葉癌、腺嚢胞性癌、腺様嚢胞癌、腺様癌、副腎皮質癌、胞巣状癌、肺胞細胞癌、基底細胞癌、基底細胞癌、類基底細胞癌、基底扁平細胞癌、細気管支肺胞上皮癌、細気管支癌、気管支原性癌、脳様癌、胆管癌、絨毛腫瘍、膠様癌、面皰癌、子宮体部癌、篩状癌、鎧状癌、皮膚癌、円柱状癌、円柱状細胞癌、腺管癌、硬性癌、胚性癌、脳様癌、類表皮癌腫、腺上皮癌、外向発育癌、潰瘍癌、線維癌、ゼラチン状癌(gelatiniforni carcinoma)、ゼラチン状癌(gelatinous carcinoma)、巨細胞癌(giant cell carcinoma)、巨細胞癌(carcinoma gigantocellulare)、腺癌、顆粒膜細胞癌、毛母癌、血様癌、肝細胞癌、ヒュルツル細胞癌、硝子質癌、副腎様癌、小児性胚性癌、上皮内癌、表皮内癌、上皮内癌、クロムペッヘル癌、クルチッキー細胞癌、大細胞癌、レンズ状癌(lenticular carcinoma)、レンズ状癌(carcinoma lenticulare)、脂肪腫様癌、小葉癌、リンパ上皮癌、髄様癌(carcinoma medullare)、髄様癌(medullary carcinoma)、悪性黒色腫、軟性癌、粘液癌(mucinous carcinoma)、粘液分泌癌、粘液細胞癌、粘膜表皮癌、粘液癌(carcinoma mucosum)、粘膜癌、粘液腫様癌、上咽頭癌、燕麦細胞癌、骨化性癌、類骨癌、乳頭状癌、門脈周囲癌、前浸潤癌、有棘細胞癌、脳様癌、腎臓の腎細胞癌、余量細胞癌、肉腫様癌、シュナイダー癌、硬性癌、陰嚢癌、印環細胞癌、単純癌、小細胞癌、バレイショ状癌、球状細胞癌、紡錘細胞癌、髄様癌、扁平上皮癌、扁平上皮細胞癌、数珠様癌、血管拡張癌、毛細血管拡張性癌、遷移細胞癌、結節性癌、結節癌、疣贅性癌、または絨毛様癌が挙げられる。
【0246】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体は、膵臓癌、乳癌、多発性骨髄腫、分泌細胞のがんを治療するために使用される。例えば、本明細書におけるある特定の方法は、がんの発生、成長、転移、または進行を減少または低減または予防することにより、がんを治療する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、がんの症状を減少または除去することによりがんを治療するために使用することができる。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体は、本明細書に記載のがん(例えば、膵臓癌、乳癌、多発性骨髄腫、分泌細胞のがん)を治療するために、組成物中の単一の薬剤として、または組成物中の別の薬剤との併用で、使用することができる。
【0247】
いくつかの実施形態において、化合物(本明細書に記載の化合物、例えば、式(I)の化合物)、及び組成物(例えば、本明細書に記載の化合物、例えば、式(I)の化合物を含む組成物)は、例えば、本明細書に記載の疾患または障害(例えば、細胞成長の異常、例えば、がん(例えば、本明細書に記載のがん))を患っている対象(例えば、ヒト対象)を治療するために、がん免疫療法(例えば、チェックポイント遮断抗体)と共に使用される。本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の化合物、例えば、式(I)の化合物、及び免疫療法を、がんのような異常な細胞成長を有する対象に投与することを含む。例示的な免疫療法としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
【0248】
いくつかの実施形態において、免疫療法剤は、免疫チェックポイント遮断経路を阻害する化合物(例えば、リガンド、抗体)である。いくつかの実施形態において、免疫療法剤は、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)経路を阻害する化合物である。いくつかの実施形態において、免疫療法剤は、STING経路を作動する化合物である。がん免疫療法とは、がんを治療するために免疫系を使用することを指す。がんを治療するために使用される免疫療法の3個の群には、細胞ベース療法、抗体ベース療法、及びサイトカイン療法が含まれる。全ての群は、免疫系によって検出され得る、がん細胞の表面上のわずかに異なる構造(例えば、分子構造;抗原、タンパク質、分子、炭水化物)の提示を利用している。がん免疫療法(すなわち、抗腫瘍免疫療法または抗腫瘍免疫療法)としては、限定されるものではないが、免疫チェックポイント抗体(例えば、PD-1抗体、PD-L1抗体、PD-L2抗体、CTLA-4抗体、TIM3抗体、LAG3抗体、TIGIT抗体);及びがんワクチン(すなわち、抗腫瘍ワクチン、またはペプチドもしくはRNAワクチンのようなネオ抗原に基づくワクチン)が挙げられる。
【0249】
細胞ベース療法(例えば、がんワクチン)は、通常、血液または腫瘍のいずれかからの、がんを患う対象からの免疫細胞の除去を伴う。腫瘍に特異的な免疫細胞は、活性化され、成長し、がんを患う対象に戻され、そこで免疫細胞は対象内でがんに対する免疫応答をもたらす。この方法で使用することができる細胞タイプは、例えば、ナチュラルキラー細胞、リンホカイン活性化キラー細胞、細胞傷害性T細胞、樹状細胞、CAR-T療法(すなわち、特定の抗原を標的とするように操作されたT細胞であるキメラ抗原レセプターT-細胞)、TIL療法(すなわち、腫瘍浸潤リンパ球の投与)、TCR遺伝子療法、タンパク質ワクチン、及び核酸ワクチンである。例示的な細胞ベース療法は、プロベンジである。いくつかの実施形態において、細胞ベース療法は、CAR-T療法である。
【0250】
インターロイキン-2及びインターフェロン-アルファは、免疫系の挙動を調節し協調させるタンパク質、サイトカインの例である。
【0251】
ネオ抗原を用いたがんワクチン
ネオ抗原は、腫瘍特異的変異遺伝子によってコードされた抗原である。技術革新により、腫瘍特異的変異の結果として生じる患者特異的ネオ抗原に対する免疫応答を精査することが可能となり、得られつつあるデータからは、このようなネオ抗原の認識が臨床免疫療法の活性における主要な因子であることが示唆される。このような所見は、ネオ抗原負荷ががん免疫療法におけるバイオマーカーを形成する可能性があることを示している。このクラスの抗原に対するT細胞の反応性を選択的に増強する多くの新規の治療的アプローチが開発されている。ネオ抗原を標的とする1つのアプローチは、がんワクチンを介するアプローチである。これらのワクチンは、ペプチドまたはRNA、例えば、合成ペプチドまたは合成RNAを用いて開発することができる。
【0252】
抗体療法は、免疫系によって産生され、細胞表面の標的抗原に結合する抗体タンパク質である。抗体は、典型的には、免疫グロブリン遺伝子(1種または複数種)、またはその断片によってコードされる。通常の生理機能では、抗体が病原体と戦うために免疫システムによって使用される。各抗体は、1種または数種のタンパク質に対し特異的であり、がん抗原に結合する抗体は、例えば、がんの治療用に使用される。抗体は、抗原またはエピトープと特異的に結合することができる。(Fundamental Immunology,3rd Edition,W.E.,Paul,ed.,Raven Press,N.Y.(1993))。特異的結合は、タンパク質及びその他の生物製剤の不均質集団の存在下であっても、対応する抗原またはエピトープに対し生じる。抗体の特異的結合は、無関係な抗原への結合より相当に高い親和性を有する標的抗原またはエピトープに結合することを示すものである。親和性の相対差は、多くの場合、少なくとも25%大きく、より多くの場合、少なくとも50%大きく、最も多くの場合、少なくとも100%大きい。相対差は、例えば、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、または少なくとも1000倍であり得る。
【0253】
例示的なタイプの抗体としては、限定されるものではないが、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、単鎖、抗体結合断片、及びダイアボディーが挙げられる。抗体は、ひとたびがん抗原に結合すると、抗体依存性細胞媒介細胞毒性を誘発するか、補体システムを活性化するか、受容体がそのリガンドと相互作用するのを予防するか、または化学療法もしくは放射線のペイロードを送達することができ、これらの全てが細胞死をもたらし得る。がんを治療するための例示的な抗体としては、限定されるものではないが、アレムツズマブ、ベバシズマブ、ブレンツキシマブ(Bretuximab)ベドチン、セツキシマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イブリツモマブチウキセタン、イピリムマブ、オファツムマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、及びピディリズマブが挙げられる。
【0254】
チェックポイント遮断抗体
本明細書に記載の方法は、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の疾患または障害を患うヒト対象を治療することを含み、当該方法は、がん免疫療法(例えば、免疫療法剤)を含む組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態において、免疫療法剤は、免疫チェックポイント遮断経路を阻害する化合物(例えば、阻害剤または抗体)である。免疫チェックポイントタンパク質は、通常の生理的条件下では自己寛容を維持し(例えば、自己免疫を予防し)、免疫系が、例えば病原性感染に応答しているときは、組織を損害から保護する。免疫チェックポイントタンパク質は、重要な免疫抵抗機構として腫瘍により調節不全になる場合がある(Pardoll,Nature Rev.Cancer,2012,12,252-264)。共刺激受容体(例えば、免疫チェックポイントタンパク質)のアゴニストまたは阻害シグナルのアンタゴニストは、抗原特異的T細胞応答の増幅をもたらす。免疫チェックポイントを遮断する抗体は、直接的には腫瘍細胞を標的とせず、典型的には、リンパ球受容体またはそのリガンドを標的として、内因的な抗腫瘍活性を高める。
【0255】
例示的なチェックポイント遮断抗体としては、限定されるものではないが、抗CTLA-4、抗PD-1、抗LAG3(すなわち、リンパ球活性化遺伝子3に対する抗体)、及び抗TIM3(すなわち、T細胞膜タンパク質3に対する抗体)が挙げられる。例示的な抗CTLA-4抗体としては、限定されるものではないが、イピリムマブ及びトレメリムマブが挙げられる。例示的な抗PD-1リガンドとしては、限定されるものではないが、PD-L1(すなわち、B7-H1及びCD274)ならびにPD-L2(すなわち、B7-DC及びCD273)が挙げられる。例示的な抗PD-1抗体としては、限定されるものではないが、ニボルマブ(すなわち、MDX-1106、BMS-936558、またはONO-4538)、CT-011、AMP-224、ペムブロリズマブ(商標名Keytruda)、及びMK-3475が挙げられる。例示的なPD-L1特異的抗体としては、限定されるものではないが、BMS936559(すなわち、MDX-1105)、MEDI4736、及びMPDL-3280Aが挙げられる。また、例示的なチェックポイント遮断抗体としては、限定されるものではないが、IMP321及びMGA271も挙げられる。
【0256】
また、調節性T細胞(例えば、CD4+、CD25+、またはT-reg)も自己抗原と非自己(例えば、外来)抗原との区別に関与しており、多くのがんにおける免疫応答を抑制する重要な機構に相当し得る。T-reg細胞は、胸腺から発生する場合もあれば(すなわち、「天然T-reg」)、末梢性寛容誘発(すなわち、「誘発T-reg」)の状況下で成熟T細胞から分化する場合もある。そのため、T-reg細胞の作用を最小限に抑える戦略は、腫瘍に対する免疫応答を促進することが予想される。(Sutmuller,van Duivernvoorde et al.,2001)。
【0257】
IDO経路阻害剤
IDO経路は、T細胞機能を抑制し局所的腫瘍免疫エスケープを可能にすることにより、免疫応答を調節する。抗原提示細胞(APC)によるIDO発現は、トリプトファン枯渇、ならびに結果的に生じる抗原特異的T細胞エネルギー及び調節性T細胞の動員をもたらし得る。いくつかの腫瘍は、免疫系から自身を遮蔽するためにIDOを発現することすらある。IDOまたはIDO経路を阻害し、それによりがん(例えば、対象における腫瘍)を攻撃するための免疫系を活性化する化合物。例示的なIDO経路阻害剤としては、インドキシモド、エパカドスタット、及びEOS200271が挙げられる。
【0258】
STING経路アゴニスト
インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)は、細胞質の核酸リガンドに応答してI型インターフェロンの活性化に重要な役割を果たすアダプタータンパク質である。証拠により、抗腫瘍免疫応答の誘発におけるSTING経路の関与が示されている。がん細胞におけるSTING依存性経路の活性化は、免疫細胞による腫瘍浸潤と、抗がん免疫応答の調節とをもたらすことが示されている。STINGアゴニストは、一種のがん治療剤として開発されている。例示的なSTINGアゴニストとしては、MK-1454及びADU-S100が挙げられる。
【0259】
共刺激抗体
本明細書に記載の方法は、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の疾患または障害を患うヒト対象を治療することを含み、当該方法は、がん免疫療法(例えば、免疫療法剤)を含む組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態において、免疫療法剤は、共刺激阻害剤または抗体である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、抗4-1BB、抗OX40、抗GITR、抗CD27、及び抗CD40、ならびにこれらのバリアントを枯渇または活性化することを含む。
【0260】
本発明の方法は、本明細書に記載のような化合物の治療有効量の単回及び複数回の投与を企図している。化合物、例えば、本明細書に記載のような化合物は、対象の疾病の性質、重症度、及び程度に応じて、一定間隔で投与することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物は、単回用量で投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物は、多回用量で投与される。
【0261】
炎症性疾患
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、炎症性疾患を治療するために使用される。本明細書で使用する場合、「炎症性疾患」という用語は、異常な炎症(例えば、疾患を患っていない健常者のような対照に比べての炎症レベル増加)によって特徴づけられる疾患または疾病を指す。炎症性疾患の例としては、術後認知機能障害、関節炎(例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、若年性特発性関節炎)、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、若年発症型糖尿病、1型糖尿病、ギラン・バレー症候群、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、強直性脊椎炎、乾癬、シェーグレン症候群、血管炎、糸球体腎炎、自己免疫甲状腺炎、ベーチェット病、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、魚鱗癬、グレーブス眼症、炎症性腸疾患、アジソン病、白斑、喘息(例えば、アレルギー性喘息)、尋常性ざ瘡、セリアック病、慢性前立腺炎、炎症性腸疾患、骨盤内炎症性疾患、再灌流傷害、サルコイドーシス、移植拒絶反応、間質性膀胱炎、アテローム硬化症、及びアトピー性皮膚炎が挙げられる。炎症及び炎症性疾患と関連するタンパク質(例えば、異常な発現が疾患の症状または原因またはマーカーである)としては、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-8(IL-8)、インターロイキン-18(IL-18)、TNF-a(腫瘍壊死因子-アルファ)、及びC反応性タンパク質(CRP)が挙げられる。
【0262】
いくつかの実施形態において、炎症性疾患は、術後認知機能障害、関節炎(例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、もしくは若年性特発性関節炎)、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、糖尿病(例えば、若年発症型糖尿病もしくは1型糖尿病)、ギラン・バレー症候群、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、強直性脊椎炎、乾癬、シェーグレン症候群、血管炎、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、魚鱗癬、グレーブス眼症、炎症性腸疾患、アジソン病、白斑、喘息(例えば、アレルギー性喘息)、尋常性ざ瘡、セリアック病、慢性前立腺炎、骨盤内炎症性疾患、再灌流傷害、サルコイドーシス、移植拒絶反応、間質性膀胱炎、アテローム硬化症、またはアトピー性皮膚炎を含む。
【0263】
いくつかの実施形態において、炎症性疾患は、手術後認知機能不全を含み、これは、手術後の認知機能(例えば、記憶または実行機能(例えば、作業記憶、推論、課題に対する柔軟性、処理速度、もしくは問題解決))の低下を指すものである。
【0264】
他の実施形態において、治療の方法は、予防の方法である。例えば、手術後認知機能不全を治療する方法は、手術の前に本明細書に記載の化合物を投与することにより、手術後認知機能不全もしくは手術後認知機能不全の症状を予防すること、または手術後認知機能不全の症状の重症度を低減することを含み得る。
【0265】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、炎症性疾患(例えば、本明細書に記載の炎症性疾患)を、当該疾患の症状を減少または除去することにより治療するために使用される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、炎症性疾患(例えば、本明細書に記載の炎症性疾患)を治療するために、組成物中の単一の薬剤として、または組成物中の別の薬剤との併用で、使用することができる。
【0266】
筋骨格系疾患
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、筋骨格系疾患を治療するために使用される。本明細書で使用する場合、「筋骨格系疾患」という用語は、対象の筋骨格系(例えば、筋肉、靱帯、腱、軟骨、または骨)の機能が損なわれる疾患または疾病を指す。式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を用いて治療され得る例示的な筋骨格疾患としては、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、遠位筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、筋強直性筋ジストロフィー1型、もしくは筋強直性筋ジストロフィー2型)、肢帯型筋ジストロフィー、多系統タンパク質症、根性点状軟骨異形成症、X連鎖劣性点状軟骨異形成症、コンラーディ・ヒューネルマン症候群、常染色体優性点状軟骨異形成症、ストレス誘発性骨格障害(例えば、ストレス誘発性骨粗しょう症)、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、原発性側索硬化症、進行性筋萎縮症、進行性球麻痺、仮性球麻痺、脊髄性筋萎縮症、進行性球脊髄性筋萎縮症、脊髄痙縮、脊髄性筋萎縮症、重症筋無力症、神経痛、線維筋痛症、マシャド・ジョセフ病、骨のパジェット病、筋痙攣・線維束性収縮症候群、フリードリヒ運動失調症、筋消耗性障害(例えば、筋萎縮症、サルコペニア、悪液質)、封入体筋炎、運動ニューロン疾患、または麻痺が挙げられる。
【0267】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、筋骨格系疾患(例えば、本明細書に記載の筋骨格系疾患)を、当該疾患の症状を減少または除去することにより治療するために使用される。いくつかの実施形態において、治療の方法は、筋骨格疾患に関連した筋肉痛または筋硬直の治療を含む。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、筋骨格系疾患(例えば、本明細書に記載の筋骨格系疾患)を治療するために、組成物中の単一の薬剤として、または組成物中の別の薬剤との併用で、使用することができる。
【0268】
代謝疾患
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、代謝疾患を治療するために使用される。本明細書で使用する場合、「代謝疾患」という用語は、対象における代謝プロセスに影響を及ぼす疾患または疾病を指す。式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を用いて治療され得る例示的な代謝疾患としては、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、肝線維症、肥満、心疾患、アテローム硬化症、関節炎、シスチン症、糖尿病(例えば、I型糖尿病、II型糖尿病、もしくは妊娠性糖尿病)、フェニルケトン尿症、増殖性網膜症、またはカーンズ・セイヤー病が挙げられる。
【0269】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、代謝疾患(例えば、本明細書に記載の代謝疾患)を、疾患の症状を減少または除去することにより治療するために使用される。いくつかの実施形態において、治療の方法は、高血圧、高血糖値、体重増加、疲労、かすみ目、腹痛、鼓腸、便秘、下痢、黄疸などを含む症状を減少または除去することを含む。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくは立体異性体は、代謝疾患(例えば、本明細書に記載の筋骨格系疾患)を治療するために、組成物中の単一の薬剤として、または組成物中の別の薬剤との併用で、使用することができる。
【0270】
ミトコンドリア性疾患
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、ミトコンドリア性疾患を治療するために使用される。本明細書で使用する場合、「ミトコンドリア性疾患」という用語は、対象におけるミトコンドリアに影響を及ぼす疾患または疾病を指す。いくつかの実施形態において、ミトコンドリア性疾患は、ミトコンドリア機能不全、1個以上のミトコンドリアタンパク質変異、または1個以上のミトコンドリアDNA変異に関連するか、その結果であるか、またはそれにより引き起こされる。いくつかの実施形態において、ミトコンドリア性疾患は、ミトコンドリア筋症である。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を用いて治療され得るミトコンドリア性疾患、例えば、ミトコンドリア筋症には、例えば、バース症候群、慢性進行性外眼筋麻痺(cPEO)、カーンズ・セイヤー症候群(KSS)、リー症候群(例えば、MILS、または母系遺伝リー症候群)、ミトコンドリアDNA枯渇症候群(MDDS、例えば、アルパース症候群)、ミトコンドリア脳筋症(例えば、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(MELAS))、ミトコンドリア神経性胃腸管系脳筋症(MNGIE)、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)、ニューロパチー、運動失調、網膜色素変性症(NARP)、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、及びピアソン症候群が含まれる。
【0271】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載のミトコンドリア性疾患を、当該疾患の症状を減少または除去することにより治療するために使用される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載のミトコンドリア性疾患を治療するために、組成物中の単一の薬剤として、または組成物中の別の薬剤との併用で、使用することができる。
【0272】
難聴
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、難聴を治療するために使用される。本明細書で使用する場合、「難聴」または「難聴疾病」という用語は、当技術分野で公知の標準的な方法及び評価、例えば、耳音響放射検査、純音検査、及び聴性脳幹反応検査によって測定される、聴覚系、聴覚器官、及び聴細胞に対する任意の損害、または動物対象の音を聞く能力の任意の障害を広く包含し得る。式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を用いて治療され得る例示的な難聴疾病としては、限定されるものではないが、ミトコンドリア非症候性難聴及び聴覚消失、有毛細胞死、加齢性難聴、騒音性難聴、遺伝子的または遺伝性難聴、聴毒性曝露の結果として経験される難聴、疾患に起因する難聴、ならびに外傷に起因する難聴が挙げられる。いくつかの実施形態において、ミトコンドリア非症候性難聴及び聴覚消失は、MT-RNR1関連難聴である。いくつかの実施形態において、MT-RNR1関連難聴は、アミノグリコシド聴毒性の結果である。いくつかの実施形態において、ミトコンドリア非症候性難聴及び聴覚消失は、MT-TS1関連難聴である。いくつかの実施形態において、ミトコンドリア非症候性難聴及び聴覚消失は、感音性難聴によって特徴づけられる。
【0273】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載の難聴疾病を、当該疾患の症状を減少または除去することにより治療するために使用される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載の難聴疾病を治療するために、組成物中の単一の薬剤として、または組成物中の別の薬剤との併用で、使用することができる。
【0274】
眼疾患
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、眼疾患を治療するために使用される。本明細書で使用する場合、「眼疾患」という用語は、対象の眼の機能が損なわれる疾患または疾病を指し得る。式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を用いて治療され得る例示的な眼疾患及び疾病としては、白内障、緑内障、小胞体(ER)ストレス、オートファジー欠損、加齢性黄斑変性(AMD)、または糖尿病性網膜症が挙げられる。
【0275】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載の眼疾患または疾病を、当該疾患の症状を減少または除去することにより治療するために使用される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載の眼疾患または疾病を治療するために、組成物中の単一の薬剤として、または組成物中の別の薬剤との併用で、使用することができる。
【0276】
腎疾患
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、腎疾患を治療するために使用される。本明細書で使用する場合、「腎疾患」という用語は、対象の腎臓の機能が損なわれる疾患または疾病を指し得る。式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を用いて治療され得る例示的な腎疾患としては、アブデルハルデン・カウフマン・リグナック症候群(腎症性シスチン症)、腹部コンパートメント症候群、アセトアミノフェン誘発性腎毒性、急性腎不全/急性腎傷害、急性葉性ネフロニア、急性リン酸腎症、急性尿細管壊死、アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症、アデノウイルス腎炎、アラジール症候群、アルポート症候群、アミロイドーシス、心内膜炎及び他の感染症に関連するANCA血管炎、血管筋脂肪腫、鎮痛薬腎症、神経性無食欲症と腎疾患、アンジオテンシン抗体と巣状分節性糸球体硬化症、抗リン脂質症候群、抗TNF-α療法関連糸球体腎炎、APOL1変異、見かけの鉱質コルチコイド過剰症候群、アリストロキア酸腎症、漢方薬腎症、バルカン風土病性腎症、泌尿器官の動静脈奇形及び瘻孔、常染色体優性低カルシウム血症、バルデー・ビードル症候群、バーター症候群、入浴剤と急性腎傷害、ビール多飲症、ビート尿、β-サラセミア腎障害、胆汁円柱腎症、生得の腎臓におけるBK型ポリオーマウイルス腎症、膀胱破裂、膀胱括約筋筋失調症、膀胱タンポナーデ、ボーダー・クロッサー(Border-Crosser’s)腎症、バーボンウイルスと急性腎傷害、燃やしたサトウキビの収穫と急性腎機能障害、バイエッタと腎不全、C1q腎症、C3糸球体症、単クローン性免疫グロブリン血症を伴うC3糸球体症、C4糸球体症、カルシニューリン阻害剤腎毒性、カリレピス・ラウレオラ(Callilepsis Laureola)中毒、カンナビノイド悪阻急性腎不全、心腎症候群、カルフィルゾミブ誘発性腎傷害、CFHR5腎症、糸球体症を伴うシャルコー・マリー・トゥース病、漢方薬と腎毒性、チェリー濃縮物と急性腎傷害、コレステロール塞栓症、チャーグ・ストラウス症候群、乳び尿症、繊毛病、コカインと腎臓、寒冷利尿、コリスチン腎毒性、膠原線維糸球体症、虚脱性糸球体症、CMVに関連する虚脱性糸球体症、併用抗レトロウイルス療法(cART)関連腎症、先天性腎尿路異常(CAKUT)、先天性ネフローゼ症候群、うっ血性腎不全、腎錐体症候群(マインツァー・サルディーノ症候群またはサルディーノ・マインツァー病)、造影剤腎症、硫酸銅中毒症、腎皮質壊死、クリゾチニブ関連急性腎傷害、結晶クリオグロブリン血症、クリオグロブリン血症、結晶グロブリン誘発性腎症、結晶誘発性急性腎傷害、結晶蓄積性組織球症、後天性嚢胞性腎疾患、シスチン尿症、ダサチニブ誘発性のネフローゼ領域のタンパク尿症、デンスデポジット病(MPGN2型)、デント病(X連鎖劣性腎結石症)、DHA結晶性腎症、透析不均衡症候群、糖尿病と糖尿病性腎疾患、尿崩症、栄養補助食品と腎不全、びまん性メサンギウム硬化症、利尿、ジリン豆中毒(Djenkolism)、ダウン症候群と腎疾患、依存性薬物と腎疾患、重複尿管、EAST症候群、エボラと腎臓、異所性腎、異所性尿管、浮腫、腫脹、エルドハイム・チェスター病、ファブリー病、家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症、ファンコーニ症候群、フレーザー症候群、フィブロネクチン糸球体症、原線維性糸球体腎炎とイムノタクトイド糸球体症、フレーリー症候群、水分過負荷、循環血液量過多症、巣状分節性糸球体硬化症、巣状硬化症、巣状糸球体硬化症、ギャロウェイ・モワト症候群、腎臓関与を伴う巨細胞性(側頭)動脈炎、妊娠性高血圧症、ギテルマン症候群、糸球体疾患、糸球体尿細管逆流、腎性糖尿、グッドパスチャー症候群、グリーンスムージー浄化腎症、HANAC症候群、ハーボニー(レジパスビル/ソホスブビル合剤)誘発性腎傷害、染毛剤の摂取と急性腎傷害、ハンタウイルス感染によるポドサイトパチー、熱ストレス腎症、血尿(尿中血液)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、血球貪食症候群、出血性膀胱炎、腎症候性出血熱(HFRS、ハンタウイルス腎疾患、韓国型出血熱、流行性出血熱、流行性腎症)、ヘモジデリン尿症、発作性夜間血色素尿症及び溶血性貧血に関連するヘモジデリン沈着症、肝性糸球体症、肝性静脈閉塞症、類洞閉塞症候群、C型肝炎関連腎疾患、肝細胞核因子1β関連腎疾患、肝腎症候群、ハーブサプリメントと腎疾患、高地腎症候群、高血圧と腎疾患、HIV関連免疫複合体性腎疾患(HIVICK)、HIV関連腎症(HIVAN)、HNF1B関連常染色体優性尿細管間質性腎疾患、馬蹄腎(融合腎)、ハンナー潰瘍、ヒドロキシクロロキン誘発性腎リン脂質症、高アルドステロン症、高カルシウム血症、高カリウム血症、高マグネシウム血症、高ナトリウム血症、高シュウ酸尿症、高リン酸血症、低カルシウム血症、低補体血症性じんましん様血管炎症候群、低カリウム血症、低カリウム血症誘発性腎機能障害、低カリウム血症性周期性四肢麻痺、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、低リン酸血症、大麻使用者における低リン酸血症、高血圧症、一遺伝子性高血圧症、アイスティー腎症、イホスファミド腎毒性、IgA腎症、IgG4腎症、浸水利尿、免疫チェックポイント療法関連間質性腎炎、インフリキシマブ関連腎疾患、間質性膀胱炎、膀胱痛症候群(質問票)、間質性腎炎、核巨大化(Karyomegalic)間質性腎炎、アイブマーク症候群、JCウイルス腎症、ジュベール症候群、ケタミン関連膀胱機能障害、腎臓結石、腎結石症、コンブチャティー毒性、鉛腎症及び鉛関連腎毒性、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ欠損症(LCAT欠損症)、レプトスピラ症性腎疾患、軽鎖沈着症、単クローン性免疫グロブリン沈着症、軽鎖近位尿細管症、リドル症候群、ライトウッド・オルブライト症候群、リポタンパク糸球体症、リチウム腎毒性、LMX1B変異が引き起こす遺伝性FSGS、腰痛・血尿症、ループス、全身性エリテマトーデス、ループス性腎疾患、ループス性腎炎、抗好中球細胞質抗体血清陽性を伴うループス腎炎、ループスポドサイトパチー、ライム病関連糸球体腎炎、リシン尿性タンパク不耐性、リゾチーム腎症、マラリア腎症、悪性腫瘍関連腎疾患、悪性高血圧症、マラコプラキア、マックキトリック・ウィーロック症候群、MDMA(モリー;エクスタシー;3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン)と腎不全、外尿道口狭窄、髄質嚢胞性腎疾患、ウロモジュリン関連腎症、若年性高尿酸血症性腎症1型、海綿腎、巨大尿管、メラミン毒性及びその腎臓、MELAS症候群、膜性増殖性糸球体腎炎、膜性腎症、マスクされたIgGκ沈着を伴う膜様糸球体症、メソアメリカ腎症、代謝性アシドーシス、代謝性アルカローシス、メトトレキサート関連腎不全、顕微鏡的多発性血管炎、ミルク・アルカリ症候群、微小変化型疾患、腎障害を伴う単クローン性免疫グロブリン血症、タンパク異常血症、マウスウォッシュ毒性、MUC1腎症、多嚢胞性異形成腎、多発性骨髄腫、骨髄増殖性新生物と糸球体症、爪膝蓋骨症候群、NARP症候群、腎石灰化症、腎性全身性線維症、腎下垂症(遊走腎、腎下垂(Renal Ptosis))、ネフローゼ症候群、神経因性膀胱、9/11及び腎疾患、結節性糸球体硬化症、非淋菌性尿道炎、くるみ割り症候群、寡巨大糸球体症、口顔面指症候群、オロチン酸尿症、起立性低血圧症、起立性タンパク尿症、浸透圧性利尿、浸透圧性ネフローゼ、卵巣過剰刺激症候群、シュウ酸腎症、ページ腎、乳頭壊死、乳頭腎症候群(腎コロボーマ症候群、孤立性腎低形成)、PARN変異と腎疾患、パルボウイルスB19と腎臓、腹膜・腎症候群、POEMS症候群、後部尿道弁、足細胞陥入糸球体症、感染後糸球体腎炎、溶連菌感染後糸球体腎炎、非典型感染後糸球体腎炎、擬IgA腎症感染後糸球体腎炎(IgA優性)(Post-Infectious Glomerulonephritis (IgA-Dominant) Mimicking IgA Nephropathy)、結節性多発動脈炎、多発性嚢胞腎疾患、後部尿道弁、閉塞後利尿、子癇前症、プロポフォール注入症候群、単クローン性IgG沈着を伴う増殖性糸球体腎炎(Nasr病)、プロポリス(ミツバチ樹脂)関連腎不全、タンパク尿症(尿中タンパク質)、偽性高アルドステロン症、偽性低重炭酸塩血症、偽性副甲状腺機能低下症、肺腎症候群、腎盂腎炎(腎感染症)、膿腎症、ピリジウムと腎不全、放射線腎症、ラノラジンと腎臓、再栄養症候群、逆流性腎症、急速進行性糸球体腎炎、腎膿瘍、腎周囲膿瘍、腎無形成、腎弓状静脈微小血栓関連急性腎傷害、腎動脈瘤、突発性腎動脈解離、腎動脈狭窄症、腎細胞癌、腎嚢胞、運動誘発性急性腎不全を伴う腎性低尿酸血症、腎梗塞、腎性骨ジストロフィー、腎尿細管性アシドーシス、レニン変異、常染色体優性尿細管間質性腎疾患、レニン分泌腫瘍(傍糸球体細胞腫)、リセットオスモスタット、下大静脈後尿管、後腹膜線維症、横紋筋融解症、肥満外科手術に関連する横紋筋融解症、関節リウマチ関連腎疾患、サルコイドーシス腎症、腎臓及び大脳の塩類喪失、住血吸虫症と糸球体疾患、シムケ免疫性骨形成不全、強皮症腎クリーゼ、蛇行性腓骨・多嚢胞腎(Serpentine Fibula-Polycystic Kidney)症候群、エクスナー(Exner)症候群、鎌状赤血球腎症、シリカ曝露及び慢性腎疾患、スリランカ農民の腎疾患、シェーグレン症候群及び腎疾患、合成大麻の使用と急性腎傷害、造血細胞移植後の腎疾患、幹細胞移植に関連する腎疾患、TAFRO症候群、お茶とトースト低ナトリウム血症、テノホビル誘発性腎毒性、菲薄基底膜病、良性家族性血尿、単クローン性免疫グロブリン血症関連血栓性微小血管症、戦争腎炎、膀胱三角部炎、泌尿生殖器結核、結節性硬化症、尿細管形成不全症、近位尿細管刷子縁に対する自己抗体起因の免疫複合体性尿細管間質性腎炎、腫瘍溶解症候群、尿毒症、尿毒症性視神経症、嚢胞性尿管炎、尿管瘤、尿道カルンクル、尿道狭窄症、尿失禁、尿路感染症、尿路閉塞、泌尿生殖器瘻、ウロモジュリン関連腎疾患、バンコマイシン関連円柱腎症、血管運動性腎症、膀胱腸瘻、膀胱尿管逆流症、VGEF阻害と腎血栓性微小血管症、揮発性麻酔薬と急性腎傷害、フォン・ヒッペル・リンドウ病、ワルデンストレームマクログロブリン血症性糸球体腎炎、ワルファリン関連腎症、蜂刺傷と急性腎傷害、ウェゲナー肉芽腫症、多発性血管炎性肉芽腫症、ウエストナイルウイルスと慢性腎疾患、ワンダーリッヒ症候群、ゼルウィガー症候群、または脳肝腎症候群が挙げられる。
【0277】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載の腎疾患を、当該疾患の症状を減少または除去することにより治療するために使用される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載の腎疾患を治療するために、組成物中の単一の薬剤として、または組成物中の別の薬剤との併用で、使用することができる。
【0278】
皮膚疾患
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、皮膚疾患を治療するために使用される。本明細書で使用する場合、「皮膚疾患」という用語は、皮膚に影響を及ぼす疾患または疾病を指し得る。式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を用いて治療され得る例示的な皮膚疾患としては、ざ瘡、円形脱毛症、基底細胞癌、ボーエン病、先天性赤血球生成性ポルフィリン症、接触性皮膚炎、ダリエ病、播種状表在性光線性角化症、栄養障害型表皮水疱症、湿疹(アトピー性湿疹)、乳房外パジェット病、単純性表皮水疱症、赤血球生成性プロトポルフィリン症、爪の真菌感染症、ヘイリー・ヘイリー病、単純ヘルペス、化膿性汗腺炎、多毛症、多汗症、魚鱗癬、膿痂疹、ケロイド、毛孔性角化症、扁平苔癬、硬化性苔癬、黒色腫、黒皮症、粘膜類天疱瘡、類天疱瘡、尋常性天疱瘡、苔癬状粃糠疹、毛孔性紅色粃糠疹、足底疣贅(いぼ)、多形日光疹、乾癬、尋常性乾癬、壊疽性膿皮症、酒さ、疥癬、強皮症、帯状疱疹、扁平上皮細胞癌、スウィート症候群、じんましん及び血管浮腫、ならびに白斑が挙げられる。
【0279】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載の皮膚疾患を、当該疾患の症状を減少または除去することにより治療するために使用される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載の皮膚疾患を治療するために、組成物中の単一の薬剤として、または組成物中の別の薬剤との併用で、使用することができる。
【0280】
線維性疾患
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、線維性疾患を治療するために使用される。本明細書で使用する場合、「線維性疾患」という用語は、過剰な細胞外マトリックス構成因子の蓄積によって定義される疾患または疾病を指し得る。式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を用いて治療され得る例示的な線維性疾患としては、癒着性関節包炎、動脈硬化、関節線維症、心房線維症、心臓線維症、肝硬変、先天性肝線維症、クローン病、嚢胞性線維症、デュピュイトラン拘縮、心内膜心筋線維症、グリア瘢痕、C型肝炎、肥大型心筋症、過敏性肺実質炎、特発性肺線維症、特発性間質性肺炎、間質性肺疾患、ケロイド、縦隔線維症、骨髄線維症、腎性全身性線維症、非アルコール性脂肪性肝疾患、陳旧性心筋梗塞、ペロニー病、じん肺症、肺実質炎、進行性塊状線維症、肺線維症、放射線誘発性肺損傷、後腹膜線維症、強皮症/全身性硬化症、珪肺症、及び心室リモデリングが挙げられる。
【0281】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載の線維性疾患を、当該疾患の症状を減少または除去することにより治療するために使用される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載の線維性疾患を治療するために、組成物中の単一の薬剤として、または組成物中の別の薬剤との併用で、使用することができる。
【0282】
ヘモグロビン障害
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、ヘモグロビン病を治療するために使用される。本明細書で使用する場合、「ヘモグロビン病」または「ヘモグロビン障害」という用語は、ヘモグロビンタンパク質の異常な産生または構造によって特徴づけられる疾患または疾病を指し得る。式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を用いて治療され得る例示的なヘモグロビン病としては、「優性遺伝」β-サラセミア、後天性(中毒性)メトヘモグロビン血症、カルボキシヘモグロビン血症、先天性ハインツ小体型溶血性貧血、HbH病、HbS/β-サラセミア、HbE/β-サラセミア、HbSC病、ホモ接合型α-サラセミア(α-サラセミアの表現型)、Hbバルツ病を伴う胎児性水腫、鎌状赤血球貧血/鎌状赤血球症、鎌状赤血球形質、鎌状β-サラセミア疾患、α-サラセミア、α-サラセミア、骨髄異形成症候群を伴うα-サラセミア、α-サラセミア/精神遅滞(ATR)症候群、β-サラセミア、β-サラセミア、δ-サラセミア、γ-サラセミア、重症型β-サラセミア、中間型β-サラセミア、δβ-サラセミア、及びεγδβ-サラセミアが挙げられる。
【0283】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載のヘモグロビン病を、当該疾患の症状を減少または除去することにより治療するために使用される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載のヘモグロビン病を治療するために、組成物中の単一の薬剤として、または組成物中の別の薬剤との併用で、使用することができる。
【0284】
自己免疫疾患
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、自己免疫疾患を治療するために使用される。本明細書で使用する場合、「自己免疫疾患」という用語は、対象の免疫系が当該対象の組織を攻撃し損害をもたらす疾患または疾病を指し得る。式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を用いて治療され得る例示的な腎疾患としては、アカラシア、アジソン病、成人スティル病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性血管浮腫、自己免疫性自律神経障害、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性じんましん、軸索型及びニューロン型ニューロパチー(AMAN)、バロー病、ベーチェット病、良性粘膜類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病(CD)、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、慢性再発性多巣性骨髄炎(CRMO)、チャーグ・ストラウス症候群(CSS)すなわち好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、先天性心ブロック、コクサッキー心筋炎、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、円板状エリテマトーデス、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎(EoE)、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、本態性混合型クリオグロブリン血症、エバンス症候群、線維筋痛症、線維性肺胞炎、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発性血管炎性肉芽腫症、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(HSP)、妊娠性ヘルペスまたは妊娠性類天疱瘡(PG)、化膿性汗腺炎(HS)(反対型ざ瘡)、低ガンマグロブリン血症、IgA腎症、IgG4関連硬化性疾患、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、封入体筋炎(IBM)、間質性膀胱炎(IC)、若年性関節炎、若年性糖尿病(1型糖尿病)、若年性筋炎(JM)、川崎病、ランバート・イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質性結膜炎、線状IgA病(LAD)、ループス、慢性ライム病、メニエール病、顕微鏡的多発性血管炎(MPA)、混合性結合組織病(MCTD)、モーレン潰瘍、ムッハ・ハーバーマン病、多巣性運動ニューロパチー(MMN)またはMMNCB、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、新生児ループス、視神経脊髄炎、好中球減少症、眼瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、パリンドロームリウマチ(PR)、PANDAS、腫瘍随伴性小脳変性症(PCD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、パリー・ロンバーグ症候群、毛様体扁平部炎(周辺部ブドウ膜炎)、パーソネージ・ターナー症候群、天疱瘡、末梢性ニューロパチー、静脈周囲性脳脊髄炎、悪性貧血(PA)、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、多腺性自己免疫症候群I型、多腺性自己免疫症候群II型、多腺性自己免疫症候群III型、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、プロゲステロン皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎、赤芽球ろう(PRCA)、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、再発性多発軟骨炎、むずむず脚症候群(RLS)、後腹膜線維症、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精液及び精巣に対する自己免疫性、全身硬直症候群(SPS)、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、スザック症候群、交感性眼炎(SO)、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、血小板減少性紫斑病(TTP)、トロサ・ハント症候群(THS)、横断性脊髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎(UC)、未分化結合組織病(UCTD)、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、フォークト・小柳・原田病、ならびにウェゲナー肉芽腫症(または多発性血管炎を伴う肉芽腫症(GPA))が挙げられる。
【0285】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載の自己免疫疾患を、当該疾患の症状を減少または除去することにより治療するために使用される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載の自己免疫疾患を治療するために、組成物中の単一の薬剤として、または組成物中の別の薬剤との併用で、使用することができる。
【0286】
ウイルス感染症
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、ウイルス感染症を治療するために使用される。式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を用いて治療され得る例示的なウイルス感染症としては、インフルエンザ、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、及びヘルペスが挙げられる。
【0287】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載のウイルス感染症を、当該疾患の症状を減少または除去することにより治療するために使用される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載のウイルス感染症を治療するために、組成物中の単一の薬剤として、または組成物中の別の薬剤との併用で、使用することができる。
【0288】
マラリア感染症
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、マラリアを治療するために使用される。本明細書で使用する場合、「マラリア」という用語は、赤血球(RBC)の感染を引き起こすplasmodium属の原虫の寄生虫疾患を指し得る。式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を用いて治療され得る例示的なマラリア感染症としては、Plasmodium vivax、Plasmodium ovale、Plasmodium malariae、及びPlasmodium falciparumによって引き起こされる感染症が挙げられる。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を用いて治療され得るマラリア感染症は、抵抗性/再燃性マラリアである。
【0289】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載のマラリア感染症を、当該疾患の症状を減少または除去することにより治療するために使用される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載のマラリア感染症を治療するために、組成物中の単一の薬剤として、または組成物中の別の薬剤との併用で、使用することができる。
【0290】
異常タンパク質応答(UPR)誘発につながる変異を有する疾患
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、UPR誘発につながる変異を有する疾患を治療するために使用される。UPR誘発につながる変異を有する例示的な疾患としては、マリネスコ・シェーグレン症候群、神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害性疼痛、騒音性難聴、非症候群性感音性難聴、加齢性難聴、ウォルフラム症候群、ダリエ・ホワイト病、アッシャー症候群、コラーゲン異常症、菲薄基底膜(thin basement)腎症、アルポート症候群、骨格軟骨異形成症、骨幹端軟骨異形成症シュミット型、及び偽性軟骨異形成症が挙げられる。
【0291】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載のUPR誘発につながる変異を有する疾患を、当該疾患の症状を減少または除去することにより治療するために使用される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、本明細書に記載のUPR誘発につながる変異を有する疾患を治療するために、組成物中の単一の薬剤として、または組成物中の別の薬剤との併用で、使用することができる。
【0292】
タンパク質産生を調節する方法
別の態様において、本明細書では、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を調節する方法であって、細胞を、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体に接触させ、それにより、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を調節する方法が開示される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を細胞に接触させることにより、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を増加させる。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を細胞に接触させることにより、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を減少させる。
【0293】
別の態様において、本明細書では、以下の予防または治療を必要とする患者における疾病、疾患、または障害を予防または治療する方法であって、患者に、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を投与することを含み、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体が、患者細胞によるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を調節し、それにより、疾病、疾患、または障害を治療する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、疾病、疾患、または障害は、患者細胞によるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの異常な発現によって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、患者細胞によるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を増加させ、それにより、疾病、疾患、または障害を治療する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、患者細胞によるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を減少させ、それにより、疾病、疾患、または障害を治療する。
【0294】
別の態様において、本明細書では、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を調節する方法であって、細胞を、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体に接触させ、それにより、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を調節する方法が開示される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を細胞に接触させることにより、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を増加させる。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を細胞に接触させることにより、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を減少させる。
【0295】
別の態様において、本明細書では、以下の予防または治療を必要とする患者における疾病、疾患、または障害を予防または治療する方法であって、患者に、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を投与することを含み、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体が、患者細胞によるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を調節し、それにより、疾病、疾患、または障害を治療する、方法が開示される。いくつかの実施形態において、疾病、疾患、または障害は、患者細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの異常な活性によって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、患者細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を増加させ、それにより、疾病、疾患、または障害を治療する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、患者細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を減少させ、それにより、疾病、疾患、または障害を治療する。
【0296】
いくつかの実施形態において、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を投与することであって、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、患者細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現及び活性の両方を調節し、それにより、疾病、疾患、または障害を治療する、投与すること。
【0297】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、細胞に接触させる前(ex vivo)または後(in vivo)に化学修飾されて、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現及び/または活性を調節する生物学的活性化合物を形成する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、患者によって代謝されて、患者細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現及び/または活性を調節する生物学的活性化合物を形成し、それにより、本明細書で開示される疾病、疾患、または障害を治療する。いくつかの実施形態において、生物学的活性化合物は、式(II)の化合物である。
【0298】
1つの態様において、本明細書では、以下の疾患の治療を必要とする患者における、eIF2B活性もしくはレベル、eIF2α活性もしくはレベル、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の活性もしくはレベルの調節に関連する疾患を治療する方法であって、患者に、有効量の式(I)の化合物を投与することを含む、方法が開示される。いくつかの実施形態において、調節は、eIF2B活性もしくはレベルの増加、eIF2α活性もしくはレベルの増加、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の活性もしくはレベルの増加を含む。いくつかの実施形態において、疾患は、eIF2経路の構成因子(例えば、eIF2αシグナリング経路)に関連する遺伝子またはタンパク質配列に対する変異によって引き起こされ得る。
【0299】
タンパク質活性及び産生を増加させる方法
別の態様において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、タンパク質産生用のin vitro無細胞系のような、eIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの産生量を増加させることが望ましい適用に有用であり得る。
【0300】
いくつかの実施形態において、本発明は、細胞またはin vitro発現系によるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を増加させる方法であって、細胞またはin vitro発現系を、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体に接触させることを含む、方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、上記方法は、細胞によるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を増加させる方法であって、細胞を、有効量の本明細書に記載の化合物(例えば、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体)に接触させることを含む、方法である。他の実施形態において、上記方法は、in vitroタンパク質発現系によるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を増加させる方法であって、in vitroタンパク質発現系を、有効量の本明細書に記載の化合物(例えば、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体)に接触させることを含む、方法である。いくつかの実施形態において、細胞またはin vitro発現系を、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体に接触させることにより、細胞またはin vitro発現系におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%増加させる。いくつかの実施形態において、細胞またはin vitro発現系を、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体に接触させることは、細胞またはin vitro発現系におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を、約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、約1000倍、約10000倍、約100000倍、または約1000000倍増加させる。
【0301】
いくつかの実施形態において、本発明は、患者細胞によるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を増加させる方法であって、患者に、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を投与することを含み、患者が、本明細書で開示される疾患、障害、または疾病と診断されており、疾患、障害、または疾病が、eIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの異常な発現によって特徴づけられる(例えば、白質ジストロフィー、白質脳症、ミエリン形成不全もしくは脱髄性疾患、筋消耗疾患、またはサルコペニア)、方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、それを必要とする患者に、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を投与することにより、患者細胞によるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%増加させ、それにより、疾患、障害、または疾病を治療する。いくつかの実施形態において、それを必要とする患者に、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を投与することは、患者細胞によるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を、約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、約1000倍、約10000倍、約100000倍、または約1000000倍増加させ、それにより、疾患、障害、または疾病を治療する。
【0302】
別の態様において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、eIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を増加させることが望ましい適用に有用であり得る。
【0303】
いくつかの実施形態において、本発明は、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を増加させる方法であって、細胞を、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体に接触させることを含む、方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、細胞を、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体に接触させることにより、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%増加させる。いくつかの実施形態において、細胞を、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体に接触させることにより、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を、約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、約1000倍、約10000倍、約100000倍、または約1000000倍増加させる。
【0304】
いくつかの実施形態において、本発明は、以下の活性増加を必要とする患者におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を増加させる方法であって、患者に、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を投与することを含み、患者が、本明細書で開示される疾患、障害、または疾病と診断されており、疾患、障害、または疾病が、タンパク質活性のレベル低下によって特徴づけられる、方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、それを必要とする患者に、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を投与することにより、患者におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%増加させ、それにより、疾患、障害、または疾病を治療する。いくつかの実施形態において、それを必要とする患者に、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を投与することは、患者におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を、約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、約1000倍、約10000倍、約100000倍、または約1000000倍増加させ、それにより、疾患、障害、または疾病を治療する。
【0305】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、細胞またはin vitro発現系に接触させる前(ex vivo)または後(in vivo)に化学修飾されて、細胞及び/またはin vitro発現系におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現及び/または活性を増加させる生物学的活性化合物を形成する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、患者によって代謝されて、患者細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現及び/または活性を増加させる生物学的活性化合物を形成し、それにより、本明細書で開示される疾病、疾患、または障害を治療する。いくつかの実施形態において、生物学的活性化合物は、式(II)の化合物である。
【0306】
タンパク質活性及び産生を減少させる方法
別の態様において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、eIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの産生量を増加させることが望ましい適用に有用であり得る。
【0307】
いくつかの実施形態において、本発明は、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を減少させる方法であって、細胞を、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体に接触させることを含む、方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、細胞を、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体に接触させることにより、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%減少させる。
【0308】
いくつかの実施形態において、本発明は、以下の発現減少を必要とする患者におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を減少させる方法であって、患者に、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を投与することを含み、患者が、本明細書に記載の疾患、障害、または疾病と診断されており、疾患、障害、または疾病が、タンパク質産生のレベル増加によって特徴づけられる、方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、それを必要とする患者に、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を投与することにより、患者におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現を、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%減少させ、それにより、疾患、障害、または疾病を治療する。
【0309】
別の態様において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体は、eIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を減少させることが望ましい適用に有用であり得る。
【0310】
いくつかの実施形態において、本発明は、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を減少させる方法であって、細胞を、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体に接触させることを含む、方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、細胞を、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体に接触させることにより、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%減少させ、それにより、疾患、障害、または疾病を治療する。
【0311】
いくつかの実施形態において、本発明は、以下の活性減少を必要とする患者におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を減少させる方法であって、患者に、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を投与することを含み、患者が、本明細書に記載の疾患、障害、または疾病と診断されており、疾患、障害、または疾病が、タンパク質活性のレベル増加によって特徴づけられる、方法を特徴とする。いくつかの実施形態において、それを必要とする患者に、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、共結晶、溶媒和物、水和物、互変異性体、エステル、N-オキシド、もしくは立体異性体を投与することにより、患者におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの活性を、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%減少させ、それにより、疾患、障害、または疾病を治療する。
【0312】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、細胞に接触させる前(ex vivo)または後(in vivo)に化学修飾されて、細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現及び/または活性を減少させる生物学的活性化合物を形成する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、患者によって代謝されて、患者細胞におけるeIF2B、eIF2α、eIF2経路の構成因子、ISR経路の構成因子、またはこれらの任意の組み合わせの発現及び/または活性を減少させる生物学的活性化合物を形成し、それにより、本明細書で開示される疾病、疾患、または障害を治療する。いくつかの実施形態において、生物学的活性化合物は、式(I)の化合物である。
【0313】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくはその立体異性体と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物として提供される。上記方法の実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくはその立体異性体は、第2の薬剤(例えば、治療剤)と共に同時投与される。上記方法の他の実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくはその立体異性体は、治療有効量で投与される第2の薬剤(例えば、治療剤)と共に同時投与される。実施形態において、第2の薬剤は、記憶を改善するための薬剤である。
【0314】
併用療法
1つの態様において、本発明は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、互変異性体、もしくはその立体異性体と、第2の薬剤(例えば、第2の治療剤)とを含む、薬学的組成物を特徴とする。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、第2の薬剤(例えば、第2の治療剤)を治療有効量で含む。いくつかの実施形態において、第2の薬剤は、がん、神経変性疾患、白質ジストロフィー、炎症性疾患、筋骨格系疾患、代謝疾患、あるいはeIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の機能障害に関連する疾患または障害を治療するための薬剤である。
【0315】
本明細書に記載の化合物は、それぞれ互いに、がん、神経変性性疾患、炎症性疾患、筋骨格系疾患、代謝疾患、あるいはeIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の機能障害に関連する疾患または障害の治療に有用であることが知られている他の活性薬剤、あるいは単体では有効でない可能性があるが活性薬剤の有効性に寄与し得る補助的薬剤と、互いに組み合わせて使用することができる。
【0316】
いくつかの実施形態において、同時投与は、1種の活性薬剤を、第2の活性薬剤の0.5、1、2、4、6、8、10、12、16、20、または24時間以内に投与することを含む。同時投与は、2種の活性薬剤を、同時に、ほぼ同時に(例えば、互いの約1、5、10、15、20、もしくは30分以内に)、または任意の順序で逐次投与することを含む。いくつかの実施形態において、同時投与は、同時製剤化、すなわち、両方の活性薬剤を含む単一の薬学的組成物を調製することによって遂行することができる。他の実施形態において、活性薬剤は別々に製剤化してもよい。別の実施形態において、活性及び/または補助的薬剤は、互いに連結または結合していてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物は、がん、神経変性疾患、白質ジストロフィー、炎症性疾患、筋骨格系疾患、代謝疾患、あるいはeIF2B、eIF2α、またはeIF2経路もしくはISR経路の構成因子の機能障害に関連する疾患または障害のための治療と組み合わせることができる。
【0317】
実施形態において、第2の薬剤は、抗がん剤である。実施形態において、第2の薬剤は、化学療法剤である。実施形態において、第2の薬剤は、記憶を改善するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、神経変性疾患を治療するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、白質ジストロフィーを治療するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、白質消失病を治療するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調症を治療するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、知的障害症候群を治療するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、膵臓癌を治療するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、乳癌を治療するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、多発性骨髄腫を治療するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、骨髄腫を治療するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、分泌細胞のがんを治療するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、eIF2αリン酸化を低減するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、eIF2αリン酸化によって活性化される経路を阻害するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、eIF2αによって活性化される経路を阻害するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、統合的ストレス応答を阻害するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、抗炎症剤である。実施形態において、第2の薬剤は、手術後認知機能不全を治療するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、外傷性脳損傷を治療するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、筋骨格系疾患を治療するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、代謝疾患を治療するための薬剤である。実施形態において、第2の薬剤は、抗糖尿病剤である。
【0318】
抗がん剤
「抗がん剤」とは、それが有する通常の意味に従って使用され、抗悪性腫瘍特性または細胞の成長もしくは増殖を阻害する能力を有する組成物(例えば、化合物、薬物、アンタゴニスト、阻害剤、調節剤)を指す。いくつかの実施形態において、抗がん剤は、化学療法剤である。いくつかの実施形態において、抗がん剤は、本明細書でがんを治療する方法における有用性を有すると特定された薬剤である。いくつかの実施形態において、抗がん剤は、FDAまたは米国以外の国における同様の規制機関の承認を受けたがんを治療するための薬剤である。抗がん剤の例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる:MEK(例えば、MEK1、MEK2、またはMEK1及びMEK2)阻害剤(例えば、XL518、CI-1040、PD035901、セルメチニブ/AZD6244、GSK1120212/トラメチニブ、GDC-0973、ARRY-162、ARRY-300、AZD8330、PD0325901、U0126、PD98059、TAK-733、PD318088、AS703026、BAY 869766)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、クロランブシル、ブスルファン、メルファラン、メクロレタミン、ウラムスチン、チオテパ、ニトロソウレア、ニトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロランブシル、メルファラン)、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン)、トリアゼン(デカルバジン)、代謝拮抗薬(例えば、5-アザチオプリン、ロイコボリン、カペシタビン、フルダラビン、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)、またはピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)など)、植物アルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ポドフィロトキシン、パクリタキセル、ドセタキセルなど)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド(VP 16)、エトポシドリン酸塩、テニポシドなど)、抗腫瘍抗生物質(例えば、ドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ミトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシンなど)、白金系化合物(例えば、シスプラチン、オキサロプラチン、カルボプラチン)、アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン)、置換ウレア(例えば、ヒドロキシウレア)、メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン)、副腎皮質抑制薬(例えば、ミトタン、アミノグルテチミド)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド)、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン)、酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ)、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼシグナリング阻害剤(例えば、U0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY-142886、SB239063、SP600125、BAY 43-9006、ワートマニン、またはLY294002)、Syk阻害剤、mTOR阻害剤、抗体(例えば、リツキサン)、ゴシポール(gossyphol)、ゲナセンス、ポリフェノールE、クロロフシン、全トランス型レチノイン酸(ATRA)、ブリオスタチン、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、5-アザ-2’-デオキシシチジン、全トランス型レチノイン酸、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、ゲムシタビン、イマチニブ(Gleevec(登録商標))、ゲルダナマイシン、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-AAG)、フラボピリドール、LY294002、ボルテゾミブ、トラスツズマブ、BAY 1 1-7082、PKC412、PD184352、20-epi-1、25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス;抗背側化形態形成タンパク質1(anti-dorsalizing morphogenetic protein-1);抗アンドロゲン、前立腺癌;抗エストロゲン;抗新生物薬;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート;アポトーシス遺伝子調節因子;アポトーシス調節因子;アプリン酸;ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;ベータアレチン;ベータクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリポックスIL-2;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;塩素;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス-ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリマイシンA;コリマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クランベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタアントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスフェート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド(dexifosfamide);デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;9-ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルフォシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフール;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン(fluorodaunorunicin);ホルフェニメクス;フォルメスタン;ホストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセタミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様増殖因子-1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール;4-;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラライドF;ラメラリン-Nトリアセテート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;レンチナンサルフェート;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球アルファインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミゾール;リアロゾール;直鎖ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ラルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リゾフィリン;溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミスマッチ二重鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン繊維芽細胞成長因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体、ヒト絨毛ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリウム(myobacterium)細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害剤;多発性腫瘍抑制物質1ベース療法;マスタード抗がん剤;ミカペルオキシドB;ミコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N-アセチルジナリン;N-置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ(nagrestip);ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン(napavin);ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素調節剤;窒素酸化物抗酸化剤;ニトルリン(nitrullyn);06-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導剤;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペグアスパルガーゼ;ペルデシン;ポリ硫酸ペントサンナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;パーフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニル;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金-トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニソン;プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;タンパク質A系免疫調節剤;プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤、微細藻類;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン結合体;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ログレチミド;ロヒツキン(rohitukine);ロムルチド;ロキニメクス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi 1模倣体;セムスチ
ン;老化由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達調節剤;一本鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラン;ソブゾキサン;ボロカプテイトナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール(solverol);ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分割阻害剤;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作動性腸管ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ(suradista);スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム(tellurapyrylium);テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣体;チマルファシン;チモポエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;チタノセンビクロリド;トプセンチン;トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖器洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系、赤血球遺伝子療法;ベラレソール;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;ジノスタチンスチマラマー、アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ジメシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナーナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソーマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;ズアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸ナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロキスリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イイモホシン(iimofosine);インターロイキンII(組み換えインターロイキンII、またはrIL.sub.2を含む)、インターフェロンアルファ-2a;インターフェロンアルファ-2b;インターフェロンアルファ-n1;インターフェロンアルファ-n3;インターフェロンベータ-1a;インターフェロンガンマ-1b;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;マイトカルシン;マイトクロミン;マイトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;マイトスパー;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;パーホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルホセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシン;細胞をG2-M期で停止させる、及び/または微小管の形成または安定性を調節する薬剤(例えば、タキソール(すなわち、パクリタキセル)、タキソテール、タキサン骨格を含む化合物、エルブロゾール(すなわち、R-55104)、ドラスタチン10(すなわち、DLS-10及びNSC-376128)、イセチオン酸ミボブリン(すなわち、CI-980)、ビンクリスチン、NSC-639829、ディスコデルモリド(すなわち、NVP-XX-A-296)、ABT-751(Abbott、すなわち、E-7010)、アルトリルチン(例えば、アルトリルチンA及びアルトリルチンC)、スポンジスタチン(例えば、スポンジスタチン1、スポンジスタチン2、スポンジスタチン3、スポンジスタチン4、スポンジスタチン5、スポンジスタチン6、スポンジスタチン7、スポンジスタチン8、及びスポンジスタチン9)、塩酸セマドチン(すなわち、LU-103793及びSC-D-669356)、エポチロン(例えば、エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC(すなわち、デスオキシエポチロンAまたはdEpoA)、エポチロンD(すなわち、KOS-862、dEpoB、及びデスオキシエポチロンB)、エポチロンE、エポチロンF、エポチロンB N-オキシド、エポチロンA N-オキシド、16-アザ-エポチロンB、21-アミノエポチロンB(すなわち、BMS-310705)、21-ヒドロキシエポチロンD(すなわち、デスオキシエポチロンF及びdEpoF)、26-フルオロエポチロン、オーリスタチンPE(すなわち、NSC-654663)、ソブリドチン(すなわち、TZT-1027)、LS-4559-P(Pharmacia、すなわち、LS-4577)、LS-4578(Pharmacia、すなわち、LS-477-P)、LS-4477(Pharmacia)、LS-4559(Pharmacia)、RPR-1 12378(Aventis)、硫酸ビンクリスチン、DZ-3358(Daiichi)、FR-182877(Fujisawa、すなわち、WS-9885B)、GS-164(Takeda)、GS-198(Takeda)、KAR-2(Hungarian Academy of Sciences)、BSF-223651(BASF、すなわち、ILX-651及びLU-223651)、SAH-49960(Lilly/Novartis)、SDZ-268970(Lilly/Novartis)、AM-97(Armad/Kyowa Hakko)、AM-132(Armad)、AM-138(Armad/Kyowa Hakko)、IDN-5005(Indena)、クリプトフィシン52(すなわち、LY-355703)、AC-7739(Ajinomoto、すなわち、AVE-8063A及びCS-39.HC1)、AC-7700(Ajinomoto、すなわち、AVE-8062、AVE-8062A、CS-39-L-Ser.HCl、及びRPR-258062A)、ビチレブアミド、ツブリシンA、カナデンソール、センタウレイジン(すなわち、NSC-106969)、T-138067(Tularik、すなわち、T-67、TL-138067及びTI-138067)、COBRA-1(Parker Hughes Institute、すなわち、DDE-261及びWHI-261)、H10(Kansas State University)、H16(Kansas State University)、オンコシジンA1(すなわち、BTO-956及びDIME)、DDE-313(Parker Hughes Institute)、フィジアノリドB、ラウリマリド、SPA-2(Parker Hughes Institute)、SPA-1(Parker Hughes Institute、すなわち、SPIKET-P)、3-IAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、すなわち、MF-569)、ナルコシン(NSC-5366としても知られている)、ナスカピン、D-24851(Asta Medica)、A-105972(Abbott)、ヘミアステリン、3-BAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、すなわち、MF-191)、TMPN(Arizona State University)、バナドセンアセチルアセトネート、T-138026(Tularik)、モンサトロール、イナノシン(すなわち、NSC-698666)、3-IAABE(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine)、A-204197(Abbott)、T-607(Tularik、すなわち、T-900607)、RPR-115781(Aventis)、エロイテロビン(例えば、デスメチルエロイテロビン、デスアセチルエロイテロビン、イソエロイテロビンA、及びZ-エロイテロビン)、カリベオシド、カリベオリン、ハリコンドリンB、D-64131(Asta Medica)、D-68144(Asta Medica)、ジアゾナミドA、A-293620(Abbott)、NPI-2350(Nereus)、タッカロノリドA、TUB-245(Aventis)、A-259754(Abbott)、ジオゾスタチン、(-)-フェニルアヒスチン(すなわち、NSCL-96F037)、D-68838(Asta Medica)、D-68836(Asta Medica)、ミオセベリンB、D-43411(Zentaris、すなわち、D-81862)、A-289099(Abbott)、A-318315(Abbott)、HTI-286(すなわち、SPA-110、トリフルオロ酢酸塩)(Wyeth)、D-82317(Zentaris)、D-82318(Zentaris)、SC-12983(NCI)、レスベラスタチンリン酸ナトリ
ウム、BPR-OY-007(National Health Research Institutes)、及びSSR-25041 1(Sanofi)、ステロイド(例えば、デキサメタゾン)、フィナステリド、アロマターゼ阻害剤、ゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(GnRH)、例えば、ゴセレリンまたはロイプロリド、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン)、プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン)、アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン)、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド)、免疫賦活剤(例えば、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、レバミゾール、インターロイキン-2、アルファ-インターフェロンなど)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD20、抗HER2、抗CD52、抗HLA-DR、及び抗VEGFモノクローナル抗体)、免疫毒素(例えば、抗CD33モノクローナル抗体-カリケアマイシン結合体、抗CD22モノクローナル抗体-シュードモナス外毒素結合体など)、放射性免疫療法(例えば、U1ln、90Y、または131Iなどに結合した抗CD20モノクローナル抗体)、トリプトリド、ホモハリングトニン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、トポテカン、イトラコナゾール、ビンデシン、セリバスタチン、ビンクリスチン、デオキシアデノシン、セルトラリン、ピタバスタチン、イリノテカン、クロファジミン、5-ノニルオキシトリプタミン、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、EGFR阻害剤、上皮成長因子受容体(EGFR)標的療法または治療剤(例えば、ゲフィチニブ(Iressa(商標))、エルロチニブ(Tarceva(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、ラパチニブ(Tykerb(商標))、パニツムマブ(Vectibix(商標))、バンデタニブ(Caprelsa(商標))、アファチニブ/BIBW2992、CI-1033/カネルチニブ、ネラチニブ/HKI-272、CP-724714、TAK-285、AST-1306、ARRY334543、ARRY-380、AG-1478、ダコミチニブ/PF299804、OSI-420/デスメチルエルロチニブ、AZD8931、AEE788、ペリチニブ/EKB-569、CUDC-101、WZ8040、WZ4002、WZ3146、AG-490、XL647、PD153035、BMS-599626)、ソラフェニブ、イマチニブ、スニチニブ、ダサチニブなど。
【0319】
「化学療法剤」または「化学療法薬剤」は、それが有する通常の意味に従って使用され、抗新生物特性または細胞の成長もしくは増殖を阻害する能力を有する化学組成物または化合物を指す。
【0320】
加えて、本明細書に記載の化合物は、限定されるものではないが、免疫賦活剤(例えば、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、レバミソール、インターロイキン-2、アルファ-インターフェロンなど)、モノクローナル抗体(例えば、抗CD20、抗HER2、抗CD52、抗HLA-DR、及び抗VEGFモノクローナル抗体)、免疫毒素(例えば、抗CD33モノクローナル抗体-カリケアマイシン結合体、抗CD22モノクローナル抗体-シュードモナス外毒素結合体など)、ならびに放射性免疫療法(例えば、In、90Y、または131Iなどに結合した抗CD20モノクローナル抗体)を含めた従来の免疫療法剤と共に同時投与することができる。
【0321】
さらなる実施形態において、本明細書に記載の化合物は、限定されるものではないが、任意で腫瘍抗原に向けられた抗体と結合した、47Sc、64Cu、67Cu、89Sr、86Y、87Y、90Y、105Rh、Ag、In、117mSn、149Pm、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、211At、及び212Biのような放射性核種を含めた従来の放射線治療剤と共に同時投与することができる。
【0322】
追加の薬剤
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物(例えば、式(I)の化合物)またはその組成物との併用で使用するための第2の薬剤は、神経変性疾患、白質ジストロフィー、炎症性疾患、筋骨格系疾患、または代謝疾患の治療で使用するための薬剤である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物(例えば、式(I)の化合物)またはその組成物との併用で使用するための第2の薬剤は、FDAまたは米国以外の国における同様の規制機関によって承認された、本明細書に記載の疾患、障害、または疾病を治療するための薬剤である。
【0323】
いくつかの実施形態において、神経変性疾患、白質ジストロフィー、炎症性疾患、筋骨格系疾患、または代謝疾患を治療するための第2の薬剤としては、限定されるものではないが、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、鎮痛剤(analgesic)、刺激剤、鎮静剤、鎮痛剤(pain reliever)、抗炎症剤、ベンゾジアゼピン、コリンエステラーゼ阻害剤、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、コルチコステロイド、MAO阻害剤、ベータ遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、制酸薬、またはその他の薬剤が挙げられる。例示的な第2の薬剤としては、ドネペジル、ガランタミン、リバスティグミン、メマンチン、レボドーパ、ドーパミン、プラミペキソール、ロピニロール、ロチゴチン、ドキサプラム、オキサゼパム、ケチアピン、セレギリン、ラサジリン、エンタカポン、ベンズトロピン、トリヘキシフェニジル、リルゾール、ジアゼパン、クロロジアゼポキシド、ロラゼパム、アルプラゾラム、ブスピロン、ゲピロン、イプサピロン(ispapirone)、ヒドロキシジン、プロプラノロール、ヒドロキシジン、ミダゾラム、トリフルオペラジン、メチルフェニデート、アトモキセチン、メチルフェニデート、ペモリン、ペルフェナジン、ジバルプロエクス、バルプロ酸、セルトラリン、フルオキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、パロキセチン、フルボキサミン、トラゾドン、デスベンラファキシン、デュロキセチン、ベンラファキシン、アミトリプチリン、アモキサピン、クロミプラミン、デシプラミン、イミプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、トリミプラミン、マプロチリン、ブプロピオン、ネファゾドン、ボルチオキセチン、リチウム、クロザピン、フルフェナジン、ハロペリドール、パリペリドン、ロキサピン、チオチキセン、ピモジド、チオリダジン、リスペリドン、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、アセトアミノフェン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸、レフルノミド、ジベンゾイルメタン、シロスタゾール、ペントキシフィリン、デュロキセチン、カンナビノイド(例えば、ナビロン)、シメチコン、マガルドレート、アルミニウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、アルギン酸、アカルボース、アルビグルチド、アログリプチン、メトホルミン、インスリン、リシノプリル、アテノロール、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチンなどが挙げられ得る。
【0324】
また、神経変性疾患、炎症性疾患、筋骨格系疾患、または代謝疾患を治療するために、天然由来の薬剤またはサプリメントを式(I)の化合物、またはその組成物と組み合わせて使用することもできる。例示的な天然由来の薬剤またはサプリメントとしては、オメガ-3脂肪酸、カルニチン、シチコリン、クルクミン、イチョウ、ビタミンE、ビタミンB(例えば、ビタミンB5、ビタミンB6、またはビタミンB12)、フペルジンA、ホスファチジルセリン、ローズマリー、カフェイン、メラトニン、カモミール、セントジョンズワート、トリプトファンなどが挙げられる。
【実施例
【0325】
本明細書に記載の本発明がさらに十分に理解され得るように、次の実施例を記載する。本出願に記載の合成及び生物学的例は、本明細書で提供する化合物、医薬組成物、及び方法を例示するために示されているものであって、それらの範囲を限定するものとは決して解釈されるべきではない。
【0326】
合成プロトコル
本明細書で提供する化合物は、当業者によく知られているであろう下記の具体的な合成プロトコルの変更形態を使用して、容易に入手可能な出発物質から調製することができる。典型的な、または好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が示されている場合、別段の明示がない限り、他のプロセス条件を使用することもできることは分かるであろう。最適な反応条件は、使用される特定の反応物または溶媒で変化し得るが、かかる条件は、当業者がルーチン的な最適化手順によって決定することができる。加えて、本発明の例示的化合物を作製する方法に関する一般スキームを、化合物を作製する方法と標題されたセクションに記載する。
【0327】
加えて、当業者には明らかであろうとおり、ある特定の官能基が望ましくない反応を受けることを防止するために、慣用の保護基が必要であることがある。特定の官能基のための適切な保護基、さらには保護及び脱保護のための適切な条件の選択は、当技術分野でよく知られている。例えば、多数の保護基、ならびにそれらの導入及び除去は、Greene et al.,Protecting Groups in Organic Synthesis,Second Edition,Wiley,New York,1991、及びそこに引用されている参照文献に記載されている。
【0328】
略語
APCIは大気圧化学イオン化、DMSOはジメチルスルホキシド、HPLCは高速液体クロマトグラフィー、MSは質量スペクトル、及びNMRは核磁気共鳴である。
【0329】
実施例1:2-(4-クロロフェノキシ)-N-(3-{5-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物100)
実施例1A:メチル3-(2-(4-クロロフェノキシ)アセトアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート
N,N-ジメチルホルムアミド(150mL)中の2-(4-クロロフェノキシ)酢酸(10.88g、58.5mmol)の溶液にメチル3-アミノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート(Pharmablock、10.5g、53.2mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(27.5g、213mmol)及び2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロホスファート(V)(30.3g、80mmol)を添加した。反応混合物を周囲温度で3時間撹拌し、次いで酢酸エチル(250mL)と水(250mL)の間で分配した。水層を酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(5×300mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、10~20%酢酸エチル/ヘプタン)によって精製して15.4g(94%)の標記化合物を淡黄色の固体として提供した。MS(APCI)m/z310(M+H)
【0330】
実施例1B:3-(2-(4-クロロフェノキシ)アセトアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸
テトラヒドロフラン(3mL)中の実施例1A(0.52g、0.169mmol)の溶液を1NのLiOH溶液(3.34mL)で処理し、周囲温度で0.5時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、6NのHClで中和した。得られた沈澱物を濾過によって収集し、水で洗浄し、真空オーブン内で乾燥させて標記化合物を提供した。MS(APCI)m/z296(M+H)
【0331】
実施例1C:2-(4-クロロフェノキシ)-N-(3-{5-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
オキシ塩化リン(Aldrich、0.5mL)中の実施例1B(0.050g、0.169mmol)及び2-(4-クロロフェノキシ)アセトヒドラジド(0.034g、0169mmol)の溶液を90℃で6時間加熱した。混合物を約25℃に冷却し、濃縮した。残渣を氷上に注ぎ、これを次いで飽和NaHCO水溶液で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をHPLC(Phenomenex(登録商標) Luna(登録商標)C18(2) 5μm 100Å AXIA(商標)カラム 250mm×21.2mm、流速25mL/分、緩衝液(水中0.1%のトリフルオロ酢酸)中10~80%のアセトニトリルの勾配)によって精製した。H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.91 (s, 1H), 7.44 - 7.29 (m, 4H), 7.16 - 7.05 (m, 2H), 7.05 - 6.93 (m, 2H), 5.38 (s, 2H), 4.46 (s, 2H), 2.20 (s, 6H)。MS(APCI)m/z461(M+H)
【0332】
実施例2:2-(4-クロロフェノキシ)-N-(3-{3-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物101)
実施例2A:2-(4-クロロフェノキシ)-N-ヒドロキシアセチミダミド
エタノール(600mL)中の塩酸ヒドロキシルアミン(12.44g、179mmol)の撹拌溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(31.3mL、179mmol)を周囲温度で添加した。10分後、2-(4-クロロフェノキシ)アセトニトリル(30g、179mmol)を混合物に添加した。反応混合物を80℃で12時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して30g(84%)の標記化合物を白色の固体として提供した。MS(APCI)m/z201(M+H)
【0333】
実施例2B:2-(4-クロロフェノキシ)-N-(3-{3-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
N,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中の実施例1B(0.050g、0.169mmol)及びカルボニルジイミダゾール(0.030g、0.186mmol)の溶液を周囲温度で3時間撹拌した。N,N-ジメチルホルムアミド(0.5mL)中の実施例2A(0.034g、0.169mmol)の溶液を添加し、反応物を90℃で16時間加熱した。反応混合物を濃縮し、HPLC(Phenomenex(登録商標) Luna(登録商標)C18(2) 5μm 100Å AXIA(商標)カラム 250mm×21.2mm、流速25mL/分、緩衝液(水中0.1%のトリフルオロ酢酸)中10~80%のアセトニトリルの勾配)によって精製した。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.90 (s, 1H), 7.34 (dd, J = 9.0, 5.5 Hz, 4H), 7.05 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 6.97 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 5.25 (s, 2H), 4.45 (s, 2H), 2.51 (s, 6H)。MS(APCI)m/z461(M+H)
【0334】
実施例3 N-(3-{3-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-(3-メチルフェノキシ)アセトアミド(化合物102)
実施例3A:tert-ブチル(3-(((2-(4-クロロフェノキシ)アセチミダミド)オキシ)-カルボニル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート
N,N-ジメチルホルムアミド(120mL)中の実施例2A(6g、25.9mmol)の溶液にN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(13.56mL、78mmol)、2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムテトラフルオロボレート(10.00g、31.0mmol)及び1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-オール水和物(0.792g、5.17mmol)を周囲温度で添加した。次いで3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸(Pharmablock、12.98g、25.9mmol)をこの混合物に0℃で添加した。混合物を周囲環境で2時間撹拌し、次いで水(1000mL)で希釈し、得られた混合物を酢酸エチル(3×350mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(3×200mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して13g(98%)の標記化合物を白色の固体として提供した。MS(APCI)m/z410(M+H)
【0335】
実施例3B:tert-ブチル(3-(3-((4-クロロフェノキシ)メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート
N,N-ジメチルホルムアミド(200mL)中の実施例3A(13g、25.4mmol)の溶液を120℃で2時間撹拌した。次いで混合物を水(1000mL)で希釈し、得られた混合物を酢酸エチル(3×300mL)で抽出した。組み合わせた有機層をHCl(350mL、1N)及びブライン(3×250mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して15g(94%)の標記化合物を茶色の固体として提供した。MS(APCI)m/z392(M+H)
【0336】
実施例3C:3-(3-((4-クロロフェノキシ)メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミン
ジクロロメタン(200mL)中の実施例3B(14g、26.8mmol)の溶液にトリフルオロ酢酸(40mL、519mmol)を0℃で滴下添加した。次いで混合物を25℃で2時間撹拌した。次いで混合物を減圧下で濃縮した。残渣を水(500mL)で希釈し、混合物をジクロロメタン(2×300mL)で洗浄した。次いで水相を飽和NaHCOでpH=8に調整し、酢酸エチル(4×300mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(300mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して7.9g(95%)の標記化合物をオフホワイト色の固体として提供した。MS(APCI)m/z292(M+H
【0337】
実施例3D:N-(3-{3-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-(3-メチルフェノキシ)アセトアミド
N,N-ジメチルアセトアミド(0.5mL)中の2-(m-トリルオキシ)酢酸(16.7mg、0.101mmol)の溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.064mL、0.366mmol)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート(104mg、0.274mmol)及び実施例3C(30.1mg、0.091mmol)を添加した。反応物を室温で18時間撹拌した。粗反応物をHPLC(2つの連結したC8 5μm 100Åカラム、それぞれ30mm×75mm、50mL/分の流速、緩衝液(水中0.1%のトリフルオロ酢酸)中5~90%のアセトニトリルの勾配)によって精製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.94 (s, 1H), 7.39 - 7.30 (m, 2H), 7.17 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.10 - 7.01 (m, 2H), 6.83 - 6.70 (m, 3H), 5.23 (s, 2H), 4.41 (s, 2H), 2.53 (s, 6H), 2.27 (s, 3H)。MS(APCI)m/z440.300(M+H)
【0338】
実施例4 N-(3-{3-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-(4-メチルフェノキシ)アセトアミド(化合物103)
実施例3Dに記載の方法を使用して2-(m-トリルオキシ)酢酸を2-(p-トリルオキシ)酢酸(16.7mg、0.101mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 7.39 - 7.30 (m, 2H), 7.14 - 7.01 (m, 4H), 6.90 - 6.80 (m, 2H), 5.23 (s, 2H), 4.39 (s, 2H), 2.53 (s, 6H), 2.22 (s, 3H)。MS(APCI)m/z440.310(M+H)
【0339】
実施例5 2-(4-クロロ-3-メチルフェノキシ)-N-(3-{3-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物104)
実施例3Dに記載の方法を使用して2-(m-トリルオキシ)酢酸を2-(4-クロロ-3-メチルフェノキシ)酢酸(20.2mg、0.101mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.40 - 7.25 (m, 3H), 7.10 - 7.02 (m, 2H), 6.97 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 6.82 (dd, J = 8.8, 3.1 Hz, 1H), 5.23 (s, 2H), 4.43 (s, 2H), 2.53 (s, 6H), 2.28 (s, 3H)。MS(APCI)m/z474.270(M+H)
【0340】
実施例6 N-(3-{3-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-(3,4-ジクロロフェノキシ)アセトアミド(化合物105)
実施例3Dに記載の方法を使用して2-(m-トリルオキシ)酢酸を2-(3,4-ジクロロフェノキシ)酢酸(22.2mg、0.101mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.53 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.40 - 7.31 (m, 2H), 7.26 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 7.09 - 7.03 (m, 2H), 6.99 (dd, J = 8.9, 3.0 Hz, 1H), 5.23 (s, 2H), 4.50 (s, 2H), 2.53 (s, 6H)。MS(APCI)m/z496.210(M+H)
【0341】
実施例7 2-(3-クロロフェノキシ)-N-(3-{3-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物106)
実施例3Dに記載の方法を使用して2-(m-トリルオキシ)酢酸を2-(3-クロロフェノキシ)酢酸(18.8mg、0.101mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.39 - 7.28 (m, 3H), 7.09 - 7.00 (m, 4H), 6.94 (ddd, J = 8.4, 2.4, 0.9 Hz, 1H), 5.23 (s, 2H), 4.48 (s, 2H), 3.16 (s, 2H), 2.53 (s, 6H)。MS(APCI)m/z460.260(M+H)
【0342】
実施例8 N-(3-{3-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-(3-フルオロフェノキシ)アセトアミド(化合物107)
実施例3Dに記載の方法を使用して2-(m-トリルオキシ)酢酸を2-(3-フルオロフェノキシ)酢酸(17.1mg、0.101mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.99 (s, 1H), 7.41 - 7.25 (m, 3H), 7.12 - 6.97 (m, 2H), 6.89 - 6.72 (m, 3H), 5.23 (s, 2H), 4.47 (s, 2H), 2.53 (s, 6H)。MS(APCI)m/z444.280(M+H)
【0343】
実施例9 N-(3-{3-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-(4-フルオロフェノキシ)アセトアミド(化合物108)
実施例3Dに記載の方法を使用して2-(m-トリルオキシ)酢酸を2-(4フルオロフェノキシ)酢酸(17.1mg、0.101mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.96 (s, 1H), 7.39 - 7.31 (m, 2H), 7.19 - 7.03 (m, 4H), 7.02 - 6.93 (m, 2H), 5.23 (s, 2H), 4.42 (s, 2H), 2.53 (s, 6H)。MS(APCI)m/z444.280(M+H)
【0344】
実施例10 N-(3-{5-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-(3,4-ジクロロフェノキシ)アセトアミド(化合物109)
実施例10A tert-ブチル(3-(2-(2-(4-クロロフェノキシ)アセチル)ヒドラジン-1-カルボニル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート
N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中の3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸(Pharmablock、0.844g、3.71mmol)の溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.3mL、7.43mmol)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート(1.55g、4.09mmol)及び2-(4-クロロフェノキシ)アセトヒドラジド(0.82g、4.09mmol)を添加した。反応物を室温で18時間撹拌し、水(200mL)に注いだ。沈澱物を濾過によって収集し、水で洗浄し、真空オーブン内で乾燥させて1.491g(98%)の標記化合物を提供した。MS(APCI)m/z410(M+H)
【0345】
実施例10B:tert-ブチル(3-(5-((4-クロロフェノキシ)メチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート
酢酸エチル(3mL)中の実施例73A(0.45g、1.1mmol)の溶液を2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド(Sigma-Aldrich、2.10g、3.29mmol)及びトリメチルアミン(0.6mL、3.9mmol)で処理し、85℃で24時間加熱した。反応物を水でクエンチし、混合物を酢酸エチルで2回抽出した。組み合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。残渣をジクロロメタン中0~15%のメタノールで溶離するシリカゲルで精製して0.13g(30%)の標記化合物を提供した。MS(APCI)m/z392(M+H)
【0346】
実施例10C:3-(5-((4-クロロフェノキシ)メチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミン
ジオキサン(1mL)中の実施例10B(0.13g、0.33mmol)の溶液にジオキサン(0.8mL、3.3mmol)中の4NのHClを添加した。混合物を25℃で2時間撹拌し、減圧下で濃縮して標記化合物を塩酸塩(0.096g、99%)として提供した。MS(APCI)m/z292(M+H)
【0347】
実施例10D:N-(3-{5-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-(3,4-ジクロロフェノキシ)アセトアミド
N,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中の2-(3,4-ジクロロフェノキシ)酢酸(0.036g、0.161mmol)の溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.064mL、0.366mmol)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート(0.061g、0.161mmol)及び実施例10C(0.048g、0.146mmol)を添加した。反応物を室温で18時間撹拌し、濃縮した。HPLC精製(Phenomenex(登録商標) Luna(登録商標)C18(2) 5μm 100Å AXIA(商標)カラム 250mm×21.2mm、流速25mL/分、緩衝液(水中0.1%のトリフルオロ酢酸)中10~80%のアセトニトリルの勾配)により標記化合物を得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.92 (s, 1H), 7.54 (s, 1H), 7.38 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.28 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.01 (s, 1H), 5.38 (s, 2H), 4.52 (s, 2H), 2,48 (s, 6H)。MS(APCI)m/z496(M+H)
【0348】
実施例11 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-{3-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物110)
実施例3Dに記載の方法を使用して2-(m-トリルオキシ)酢酸を2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)酢酸(17.1mg、0.101mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.94 (s, 1H), 7.50 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.44 - 7.31 (m, 2H), 7.19 - 7.01 (m, 3H), 6.87 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.26 (s, 2H), 4.51 (s, 2H), 2.54 (s, 6H)。MS(APCI)m/z479(M+H)
【0349】
実施例12 2-(4-クロロ-2-フルオロフェノキシ)-N-(3-{3-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物111)
実施例3Dに記載の方法を使用して2-(m-トリルオキシ)酢酸を2-(4-クロロ-2-フルオロフェノキシ)酢酸(17.1mg、0.101mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.93 (s, 1H), 7.46 (dd, J = 11.2, 2.5 Hz, 1H), 7.40 - 7.33 (m, 2H), 7.24 - 7.18 (m, 1H), 7.11 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.09 - 7.04 (m, 2H), 5.26 (s, 2H), 4.58 (s, 2H), 2.52 (s, 6H)。MS(APCI)m/z479(M+H)
【0350】
実施例13 N-(3-{3-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-[(5-メチル-1,2-オキサゾール-3-イル)メトキシ]アセトアミド(化合物112)
実施例3Dに記載の方法を使用して2-(m-トリルオキシ)酢酸を2-((5-メチルイソオキサゾール-3-イル)メトキシ)酢酸(11.78mg、0.07mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.41 - 7.33 (m, 2H), 7.10 - 7.05 (m, 2H), 6.32 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 5.25 (s, 2H), 4.57 (s, 2H), 3.91 (s, 2H), 2.52 (s, 6H), 2.41 (d, J = 0.9 Hz, 3H)。MS(APCI+)m/z445.3(M+H)
【0351】
実施例14 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-{5-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物113)
実施例14A:メチル3-(N-ヒドロキシカルバミミドイル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート
エタノール(10mL)中のメチル3-シアノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート(0.5g、3.31mmol)の溶液を70℃で1時間加熱された50%ヒドロキシルアミン水溶液(0.66mL、9.92mmol)で処理した。反応混合物を濃縮して標記化合物(0.6g、98%)を提供した。
【0352】
実施例14B:メチル3-(5-((4-クロロフェノキシ)メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート
N,N-ジメチルホルムアミド(6mL)中の2-(4-クロロフェノキシ)酢酸(0.61g、3.26mmol)及びカルボニルジイミダゾール(0.58g、3.58mmol)を25℃で1時間撹拌し、次いでN,N-ジメチルホルムアミド(4mL)中の実施例14Aの溶液を添加し、反応物を90℃で3時間加熱した。反応混合物を冷却し、氷に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した。組み合わせた有機層をブライン(300mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して標記化合物(0.7g、64.2%)をオフホワイト色の固体として提供した。
【0353】
実施例14C:3-(5-((4-クロロフェノキシ)メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸
テトラヒドロフラン(10mL)中の実施例14B(0.70g、2.09mmol)の溶液を1NのLiOH溶液(10.46mL)で処理し、25℃で0.5時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、6NのHClで中和した。沈澱物を濾過によって収集し、水で洗浄し、真空オーブン内で乾燥させて標記化合物を提供した。
【0354】
実施例14D:tert-ブチル(3-(5-((4-クロロフェノキシ)メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート
tert-ブタノール(3mL)中の実施例14C(0.2g、0.624mmol)の溶液をジフェニルホスホラジデート(0.189g、0.686mmol)及びトリメチルアミン(0.113mL、0.811mmol)で処理し、60℃で18時間加熱した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0~10%メタノール/ジクロロメタン)によって精製して0.027g(11%)の標記化合物を提供した。
【0355】
実施例14E:3-(5-((4-クロロフェノキシ)メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミン
ジオキサン(0.2mL)中の実施例14D(0.027g、0.069mmol)の溶液をジオキサン(0.2mL)中の4NのHClで処理し、周囲温度で4時間撹拌した。反応混合物を濃縮して0.022g(97%)の標記化合物を提供した。
【0356】
実施例14F:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-{5-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
N,N-ジメチルホルムアミド(0.5mL)中の実施例14E(0.022g、0.069mmol)及び2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)酢酸(0.015g、0.076mmol)の溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.03mL、0.173mmol)及び2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(0.029g、0.076mmol)を窒素下で添加した。得られた混合物を周囲温度で18時間撹拌し、濃縮した。残渣をHPLC(Phenomenex(登録商標) Luna(登録商標)C18(2) 5μm 100Å AXIA(商標)カラム 250mm×21.2mm、流速25mL/分、緩衝液(水中0.1%のトリフルオロ酢酸)中10~80%のアセトニトリルの勾配)で精製して0.028g(85%)の標記化合物を白色の固体として提供した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.89 (s, 1H), 7.50 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.43 - 7.35 (m, 2H), 7.08 (dd, J = 8.9, 2.5 Hz, 2H), 6.92 - 6.82 (m, 2H), 5.49 (s, 2H), 4.50 (s, 2H), 2.42 (s, 6H)。MS(APCI)m/z479(M+H)
【0357】
実施例15 N-(3-{3-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}アセトアミド(化合物114)
実施例15A:tert-ブチル2-((6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)オキシ)アセテート
N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中の6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オール(0.8g、4.91mmol)の溶液をtert-ブチル2-ブロモアセテート(0.797mL、5.40mmol)及び炭酸カリウム(1.356g、9.81mmol)で処理し、65℃で2時間加熱した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で2回洗浄した。有機画分を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮して1.32g(97%)の標記化合物を提供した。MS(APCI)m/z278(M+H)
【0358】
実施例15B:2-((6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)オキシ)酢酸
ジオキサン(6mL)中の実施例15A(1.32g、4.76mmol)の溶液をジオキサン(6mL)中の4NのHClで処理し、25℃で4時間撹拌した。反応混合物を濃縮して標記化合物(1.05g、100%)を提供した。MS(APCI)m/z222(M+H)
【0359】
実施例15C:N-(3-{3-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}アセトアミド
実施例3Dに記載の方法を使用して2-(m-トリルオキシ)酢酸を実施例15B(20mg、0.091mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 9.03 (s, 1H), 8.48 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.59 (dd, J = 8.8, 2.9 Hz, 1H), 7.42 - 7.33 (m, 2H), 7.13 - 7.03 (m, 2H), 5.27 (s, 2H), 4.70 (s, 2H), 2.54 (s, 6H)。MS(APCI)m/z496(M+H)
【0360】
実施例16 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-{5-[(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)メチル]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物115)
実施例16A:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)アセトヒドラジド
エタノール(200mL)中のエチル2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)アセテート(38g、155mmol)の溶液にヒドラジン水和物(29.3g、776mmol)をN下で添加した。反応混合物を80℃で1時間撹拌した。周囲温度に冷却した後、白色の沈澱物を濾過し、ケーキを冷エタノール(80mL)で処理し、高真空下で乾燥させて31.7g、(93%)の標記化合物を白色の固体として提供した。MS(APCI)m/z219(M+H)
【0361】
実施例16B:tert-ブチル(3-(2-(2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)アセチル)ヒドラジン-1-カルボニル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート
N,N-ジメチルホルムアミド(50mL)中の3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸(Pharmablock、2.5g、11.00mmol)及び実施例16A(2.66g、11.55mmol)の溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.27g、33.0mmol)及び2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(6.27g、16.50mmol)を0℃で添加し、得られた混合物を周囲温度で2時間撹拌した。混合物を水(250mL)で希釈し、得られた混合物を酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(3×100mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して6g、(89%)の標記化合物を茶色の油として提供した。MS(APCI)m/z428(M+H)
【0362】
実施例16C:tert-ブチル(3-(5-((4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)メチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート
アセトニトリル(100mL)中の実施例16B(6g、9,79mmol)の懸濁液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(7.61g、58.9mmol)及び4-メチルベンゼン-1-スルホニルクロリド(7.49g、39.3mmol)を0℃で添加した。反応混合物を周囲温度で12時間撹拌し、次いで酢酸エチル(300mL)で希釈した。得られた混合物を飽和NaHCO水溶液(2×50mL)、水(50mL)及びブライン(50mL)で洗浄した。有機相を乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)によって精製して3.2g(73.9%)の標記化合物を白色の固体として提供した。MS(APCI)m/z410(M+H)
【0363】
実施例16D:3-(5-((4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)メチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミン
ジクロロメタン(50mL)中の実施例16C(3.2g、6.64mmol)の懸濁液にトリフルオロ酢酸(15mL、195mmol)を0℃で滴下添加した。次いで混合物を周囲温度で2時間撹拌し、濃縮した。残渣を水(300mL)で希釈し、水性混合物をジクロロメタン(2×150mL)で洗浄した。水層のpHを飽和NaHCO水溶液で8に調整し、次いで水性混合物を酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(150mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。残渣を2-メトキシ-2-メチルプロパン(20mL)で処理し、得られた固体を濾過によって収集し、高真空下で乾燥させて2g(76%)の標記化合物をオフホワイト色の固体として提供した。MS(APCI)m/z310(M+H)
【0364】
実施例16E:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-{5-[(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)メチル]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
実施例14Fに記載の方法に従って実施例14Eを実施例16D(0.03g、0.097mmol)に置き換えて標記化合物を調製した。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.93 (s, 1H), 7.52 (dt, J = 13.6, 8.8 Hz, 2H), 7.25 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 7.09 (dd, J = 11.4, 2.9 Hz, 1H), 6.97 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 8.9, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.43 (s, 2H), 4.51 (s, 2H), 2.50 (s, 6H)。MS(APCI)m/z497(M+H)
【0365】
実施例17 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物116)
実施例17A:メチル3-(2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)アセトアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート
N,N-ジメチルホルムアミド(300mL)中の2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)酢酸(18g、88mmol)及びメチル3-アミノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート(15.63g、88mmol)の溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(77mL、440mmol)及び2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロホスファート(V)(50.2g、132mmol)を部分ずつ添加した。反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した。混合物を水(1200mL)で希釈し、酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(3×300mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル5/1)によって精製して28g(87%)の標記化合物を黄色の固体として提供した。
【0366】
実施例17B:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-(ヒドラジンカルボニル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
エタノール(100mL)中の実施例17A(10.5g、30.4mmol)の溶液にヒドラジン水和物(7.77g、152mmol)をN下で添加した。次いで混合物を80℃で1時間撹拌した。25℃に冷却した後、混合物を減圧下で濃縮し、得られた白色の沈澱物を濾過によって収集した。ケーキを冷エタノール(50mL)で処理し、濾過によって収集し、高真空下で乾燥させて標記化合物(10.2g、収率97%)を白色の固体として提供した。
【0367】
実施例17C:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-(5-メルカプト-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
メタノール(200mL)中の実施例17B(9.2g、26.7mmol)の溶液に水酸化カリウム(2.112g、32.0mmol)を20℃でN下で添加した。30分後、二硫化炭素(4.06g、53.3mmol)を混合物に添加した。混合物を80℃の浴中で12時間撹拌した。次いで混合物を減圧下で濃縮し、残渣を水(150mL)で希釈した。混合物をHCl(1N)でpH=3に酸性化し、得られた沈澱物を濾過によって収集し、高真空下で乾燥させて標記化合物(10g、収率91%)を白色の固体として提供した。
【0368】
実施例17D:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-(5-(メチルチオ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
N,N-ジメチルホルムアミド(200mL)中の実施例17C(11g、26.8mmol)の溶液にKCO(7.40g、53.5mmol)及びヨウ化メチル(3.35mL、53.5mmol)を20℃でN下で添加した。混合物を20℃で12時間撹拌した。次いで混合物を水(1000mL)で希釈し、酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(3×250mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して標記化合物(10.4g、収率96%)を白色の固体として提供した。
【0369】
実施例17E:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-(メタンスルホニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド
酢酸(60mL)及び水(20mL)中の実施例17D(3.5g、8.66mmol)の溶液に水(40mL)中のKMnO(1.780g、11.26mmol)の溶液を0℃でN下で滴下添加し、混合物を0℃で2時間撹拌した。次いで反応混合物の色が紫色から白色になるまで亜硫酸ナトリウムを添加した。混合物を濃縮した。残渣を水(100mL)で処理し、濾過し、ジクロロメタン:メタノール(3:1、50mL)で洗浄した。ケーキを高真空下で乾燥させて標記化合物(5.4g、収率82%)を白色の固体として提供した。
【0370】
実施例17F:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド
N,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中の6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オール(42.4mg、0.260mmol)の溶液を炭酸カリウム(69.1mg、0.500mmol)及び実施例17E(83mg、0.2mmol)で処理した。反応混合物を40℃で2時間撹拌し続け、濃縮し、HPLC(Phenomenex(登録商標) Luna(登録商標)C18(2) 5μm 100Å AXIA(商標)カラム 250mm×21.2mm、流速25mL/分、緩衝液(水中0.1%のトリフルオロ酢酸)中10~80%のアセトニトリルの勾配)で精製して標記化合物(50mg、50%)を提供した。H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.98 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.92 (s, 1H), 8.35 (dd, J = 8.7, 2.6 Hz, 1H), 8.13 (dd, J = 8.8, 0.6 Hz, 1H), 7.51 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.09 (dd, J = 11.3, 2.8 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 8.9, 2.8, 1.2 Hz, 1H), 4.52 (s, 2H), 2.49 (s, 6H)。MS(APCI)m/z500(M+H)
【0371】
実施例18 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物117)
実施例17Fに記載の方法を使用して6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オール(0.021g、0.130mmol)(0.027g、54%)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 9.11 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 9.01 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 8.93 (s, 1H), 8.59 (t, J = 2.3 Hz, 1H), 7.51 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.09 (dd, J = 11.4, 2.8 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 8.9, 3.0, 1.2 Hz, 1H), 4.52 (s, 2H), 2.49 (s, 6H)。MS(APCI)m/z500(M+H)
【0372】
実施例19 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-{5-[(6-シアノ-5-メチルピリジン-3-イル)オキシ]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物118)
実施例17Fに記載の方法を使用して6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを5-ヒドロキシ-3-メチルピコリノニトリル(0.017g、0.130mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した(0.030g、62%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.92 (s, 1H), 8.81 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 8.22 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.51 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.09 (dd, J = 11.4, 2.9 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 8.9, 2.8, 1.2 Hz, 1H), 4.51 (s, 2H), 2.56 (s, 3H), 2.49 (s, 6H)。MS(APCI)m/z471(M+H)
【0373】
実施例20 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-{5-[(6-シアノピリジン-3-イル)オキシ]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物119)
実施例17Fに記載の方法を使用して6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを5-ヒドロキシピコリノニトリル(0.016g、0.130mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した(0.009g、20%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.98 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 8.92 (s, 1H), 8.33 (dd, J = 8.7, 2.7 Hz, 1H), 8.25 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.51 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.09 (dd, J = 11.4, 2.9 Hz, 1H), 6.92 - 6.85 (m, 1H), 4.51 (s, 2H), 2.49 (s, 6H)。MS(APCI)m/z457(M+H)
【0374】
実施例21 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-{5-[(6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物120)
実施例17Fに記載の方法を使用して6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを6-メトキシピリジン-3-オール(0.016g、0.130mmol)(0.026g、56%)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.91 (s, 1H), 8.33 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.91 (dd, J = 9.1, 3.0 Hz, 1H), 7.51 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.09 (dd, J = 11.4, 2.8 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 4.51 (s, 2H), 3.88 (s, 3H), 2.47 (s, 6H)。MS(APCI)m/z462(M+H)
【0375】
実施例22 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-{5-[(6-シクロプロピルピリジン-3-イル)オキシ]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物121)
実施例17Fに記載の方法を使用して6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを6-シクロプロピルピリジン-3-オール(0.018g、0.130mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した(0.027g、56%)。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.91 (s, 1H), 8.54 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 7.83 (dd, J = 8.6, 2.9 Hz, 1H), 7.51 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 7.44 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.09 (dd, J = 11.4, 2.9 Hz, 1H), 6.87 (dd, J = 9.1, 2.8 Hz, 1H), 4.51 (s, 2H), 2.47 (s, 6H), 2.17 (ddd, J = 12.7, 8.2, 4.8 Hz, 1H), 0.98 (dt, J = 8.1, 2.8 Hz, 2H), 0.92 (dt, J = 5.0, 2.7 Hz, 2H)。MS(APCI)m/z472(M+H)
【0376】
実施例23 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-({[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}メチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物122)
実施例23A:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-(2-(2-クロロアセチル)ヒドラジン-1-カルボニル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
テトラヒドロフラン(100mL)中の実施例17B(4g、11.59mmol)及びトリエチルアミン(3.23mL、23.19mmol)の溶液に2-クロロアセチルクロリド(1.571g、13.91mmol)を0℃でN下で滴下添加した。混合物を周囲温度で1時間撹拌し、水(500mL)で希釈し、酢酸エチル(3×300mL)で抽出した。組み合わせた有機層を飽和NaHCO(250mL)及びブライン(200mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮して5.67g(97%)の標記化合物をアースイエロー色の固体として提供した。
【0377】
実施例23B:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-(5-(クロロメチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
アセトニトリル(150mL)中の実施例23A(6.5g、12.86mmol)の溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(6.12mL、38.6mmol)及び4-メチルベンゼン-1-スルホニルクロリド(4.91g、25.7mmol)を0℃でN下で部分ずつ添加した。反応混合物を周囲温度で12時間撹拌し、減圧下で30℃で濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル5/1)によって精製して粗生成物を提供した。残渣をメチルtert-ブチルエーテル(20mL)で処理し、固体を収集し、高真空下で乾燥させて4.05g(78%)の標記化合物をアースイエロー色の固体として提供した。
【0378】
実施例23C:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-({[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}メチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド
N,N-ジメチルホルムアミド(0.25mL)中の実施例23B(50mg、0.13mmol)の溶液をN,N-ジメチルホルムアミド(0.15mL)中の5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オール(29.3mg、0.26mmol)の溶液及び粉末炭酸カリウム(53.68mg、0.39mmol)で処理した。反応混合物を40℃で18時間撹拌し、濃縮した。HPLC精製(2つの連結したC8 5μm 100Åカラム、それぞれ30mm×75mm、50mL/分の流速、緩衝液(水中10mMの酢酸アンモニウム)中5~100%のアセトニトリルの勾配)により29.1mg(43.8%)の標記化合物が提供された。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.89 (s, 1H), 8.67 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 8.61 - 8.59 (m, 1H), 7.97 - 7.95 (m, 1H), 7.47 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.05 (dd, J = 11.4, 2.8 Hz, 1H), 6.83 (ddd, J = 8.9, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.59 (s, 2H), 4.48 (s, 2H), 2.46 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z513.3(M+H)
【0379】
実施例24 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-(4-メチルフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物123)
N,N-ジメチルホルムアミド(0.25mL)中の実施例17E(25mg、0.06mmol)の溶液をN,N-ジメチルホルムアミド(0.15mL)中のp-クレゾール(9.75mg、0.09mmol)の溶液及び粉末炭酸カリウム(24.9mg、0.18mmol)で処理した。反応混合物を40℃で18時間撹拌し、濃縮した。HPLC精製(2つの連結したC8 5μm 100Åカラム、それぞれ30mm×75mm、50mL/分の流速、緩衝液(水中10mMの酢酸アンモニウム)中5~100%のアセトニトリルの勾配)により17.4mg(65.2%)の標記化合物が提供された。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.50 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 7.34 - 7.28 (m, 4H), 7.07 (dd, J = 11.3, 2.8 Hz, 1H), 6.88 (ddd, J = 8.9, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 4.50 (s, 2H), 2.47 (s, 6H), 2.33 (s, 3H)。MS(APCI+)m/z444.2(M+H)
【0380】
実施例25 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-(2-メトキシフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物124)
実施例24に記載の方法を使用してp-クレゾールを2-メトキシフェノール(11.20mg、0.09mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.52 - 7.47 (m, 1H), 7.42 (dd, J = 8.0, 1.6 Hz, 1H), 7.38 - 7.34 (m, 1H), 7.24 (dd, J = 8.3, 1.4 Hz, 1H), 7.10 - 7.02 (m, 3H), 6.88 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 4.50 (s, 2H), 3.79 (s, 3H), 2.48 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z460.1(M+H)
【0381】
実施例26 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-(4-メトキシフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物125)
実施例24に記載の方法を使用してp-クレゾールを4-メトキシフェノール(11.20mg、0.09mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.50 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.41 - 7.35 (m, 2H), 7.08 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 7.05 - 7.00 (m, 2H), 6.88 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 4.50 (s, 2H), 3.78 (s, 3H), 2.47 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z460.2(M+H)
【0382】
実施例27 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-(4-フルオロフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物126)
実施例24に記載の方法を使用してp-クレゾールを4-フルオロフェノール(10.11mg、0.09mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.53 - 7.47 (m, 3H), 7.36 - 7.31 (m, 2H), 7.08 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 6.90 - 6.87 (m, 1H), 4.50 (s, 2H), 2.48 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z448.1(M+H)
【0383】
実施例28 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-(2-クロロフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物127)
実施例24に記載の方法を使用してp-クレゾールを2-クロロフェノール(59mg、0.09mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.68 (ddd, J = 7.8, 1.6, 0.8 Hz, 2H), 7.53 - 7.47 (m, 2H), 7.46 - 7.41 (m, 1H), 7.08 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 6.88 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 4.51 (s, 2H), 2.50 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z464.1(M+H)
【0384】
実施例29 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-(4-クロロフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物128)
実施例24に記載の方法を使用してp-クレゾールを4-クロロフェノール(11.59mg、0.09mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.58 - 7.55 (m, 2H), 7.53 - 7.47 (m, 3H), 7.08 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 6.88 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 4.50 (s, 2H), 2.48 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z464.1(M+H)
【0385】
実施例30 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-(3-シアノフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物129)
実施例24に記載の方法を使用してp-クレゾールを3-ヒドロキシベンゾニトリル(10.74mg、0.09mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.88 - 7.81 (m, 2H), 7.75 - 7.71 (m, 1H), 7.50 (td, J = 8.9, 4.0 Hz, 2H), 7.08 (dt, J = 11.7, 4.2 Hz, 1H), 6.88 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 4.51 (s, 2H), 2.49 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z455.1(M+H)
【0386】
実施例31 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-(3,4-ジメチルフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物130)
実施例24に記載の方法を使用してp-クレゾールを3,4-ジメチルフェノール(11.02mg、0.09mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.50 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.27 - 7.17 (m, 2H), 7.14 (dd, J = 8.3, 2.8 Hz, 1H), 7.11 - 7.04 (m, 1H), 6.88 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 4.50 (s, 2H), 2.47 (s, 6H), 2.25 (t, J = 7.5 Hz, 7H)。MS(APCI+)m/z458.2(M+H)
【0387】
実施例32 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-{5-[4-(トリフルオロメチル)フェノキシ]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物131)
実施例24に記載の方法を使用してp-クレゾールを4-(トリフルオロメチル)フェノール(14.62mg、0.09mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.93 - 7.89 (m, 2H), 7.75 - 7.71 (m, 2H), 7.50 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.08 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 6.88 (ddd, J = 8.9, 2.8, 1.2 Hz, 1H), 4.51 (s, 2H), 2.49 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z498.1(M+H)
【0388】
実施例33 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-{5-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物132)
実施例33A:3-(2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)アセトアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキサミド
メタノール(200mL)中の実施例17A(9g、26.1mmol)の溶液に水酸化アンモニウム(100mL、770mmol)を周囲温度でN下で添加した。反応混合物を12時間撹拌し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をメチルターシャリーブチルエーテル(30mL)で処理し、固体を濾過によって収集し、ケーキを高真空下で乾燥させて7g(82%)の標記化合物を白色の固体として提供した。
【0389】
実施例33B:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-シアノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
テトラヒドロフラン(200mL)中の実施例33A(7g、21.26mmol)の溶液にBurgess試薬(10.13g、42.5mmol)を0℃で添加し、得られた混合物を周囲温度で12時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をジクロロメタン/メタノール50/1)を用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して粗標記化合物を提供した。粗標記化合物を水(150mL)で処理し、固体を濾過によって収集し、高真空下で乾燥させて6g(92%)の標記化合物を白色の固体として提供した。
【0390】
実施例33C:N-(3-カルバミミドイルビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)アセトアミド
エタノール(1mL)中の実施例33B(0.1g、0.339mmol)の懸濁液をジオキサン(4.07mL、16.29mmol)中4Nの塩化水素で処理し、周囲温度で30分間撹拌した。反応混合物を濃縮し、メタノールに取り、0℃に冷却し、メタノール(2.91mL、20.36mmol)中7Nのアンモニアで処理した。反応混合物を周囲温度で18時間撹拌し続け、濃縮して粗標記化合物を提供した。
【0391】
実施例33D:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-{5-[(4-クロロフェノキシ)メチル]-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
メタノール(1mL)中の2-(4-クロロフェノキシ)アセトヒドラジド(63.7mg、0.318mmol)及び実施例33C(99mg、0.318mmol)の懸濁液を密封バイアル内で75℃で72時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、HPLC(Phenomenex(登録商標) Luna(登録商標)C18(2) 5μm 100Å AXIA(商標)カラム 250mm×21.2mm、流速25mL/分、緩衝液(水中0.1%のトリフルオロ酢酸)中10~80%のアセトニトリルの勾配)で精製して0.042g(28%)の標記化合物を提供した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.82 (s, 1H), 7.50 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.42 - 7.29 (m, 2H), 7.15 - 7.00 (m, 3H), 6.87 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.03 (s, 2H), 4.50 (s, 2H), 2.38 (s, 6H)。MS(APCI)m/z478.2(M+H)
【0392】
実施例34 N-(3-{5-[(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)メチル]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}ビシクロ-[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-[(2,2-ジフルオロ-2H-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)オキシ]アセトアミド(化合物133)
実施例34A:2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-オール
テトラヒドロフラン(80mL)中の5-ブロモ-2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール(5.75mL、42.2mmol)の冷却溶液にテトラヒドロフラン(28.1mL、56.1mmol)中2.0Mの塩化イソプロピルマグネシウムの溶液を5~10分以内に添加しつつ、温度を10~20℃の範囲内に維持した。反応混合物を同じ温度でさらに15分間撹拌し、次いで一晩継続して撹拌して室温とした。反応混合物を氷浴で冷却し、トリイソプロピルボレート(12.74mL、54.9mmol)を2分にわたって滴下添加し、室温での撹拌を30分間継続した。反応混合物を10℃に冷却し、10%HSO溶液(50mL)を徐々に添加し、これにより20℃へのわずかな発熱がもたらされた。15分間撹拌した後、混合物を水と酢酸エチルの間で分配し、組み合わせた有機抽出物を飽和NaHCO溶液で洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を100mLのtert-ブチルメチルエーテルに溶解し、0℃に冷却した。水(5.39mL、52.7mmol)中30%の過酸化水素溶液を徐々に添加し、続いて水(60mL)を添加し、混合物を一晩撹拌しつつ、周囲温度に温めた。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、チオ硫酸ナトリウム溶液及びブラインで2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲル(ヘプタン中0~50%の酢酸エチル)で精製して6.43gの標記化合物を琥珀油として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 9.75 (s, 1H), 7.12 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.75 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.52 (dd, J = 8.7, 2.5 Hz, 1H)。MS(ESI-)m/z173.1(M-H)
【0393】
実施例34B:2-((2,2-ジフルオロベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)オキシ)酢酸
実施例34を6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールの代わりに用いたことを除き、実施例15A及び15Bに記載されているように2ステップで標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 13.10 (s, 1H), 7.30 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.13 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 6.73 (dd, J = 8.9, 2.6 Hz, 1H), 4.69 (s, 2H)。
【0394】
実施例34C:N-(3-{5-[(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)メチル]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-[(2,2-ジフルオロ-2H-1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)オキシ]アセトアミド
N,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中の実施例16D(0.04g、0.129mmol)及び実施例34B(0.03g、0.129mmol)の溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.056mL、0.323mmol)及び2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(0.054g、0.142mmol)を窒素下で添加した。得られた混合物を18時間撹拌し、濃縮した。残渣をHPLC(Phenomenex(登録商標) Luna(登録商標)C18(2) 5μm 100Å AXIA(商標)カラム 250mm×21.2mm、流速25mL/分、緩衝液(水中0.1%のトリフルオロ酢酸)中10~80%のアセトニトリルの勾配)で精製して0.046(68%)の標記化合物を白色の固体として提供した。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.90 (s, 1H), 7.53 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.25 (dd, J = 11.2, 2.9 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 6.97 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 6.78 (dd, J = 8.9, 2.6 Hz, 1H),5.41 (s, 2H), 4.47 (s, 2H), 2.48 (s, 6H)。MS(APCI)m/z524.3(M+H)
【0395】
実施例35 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-(2-メチルフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物134)
実施例24に記載の方法を使用してp-クレゾールをo-クレゾール(9.75mg、0.09mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.49 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.38 (td, J = 7.7, 7.3, 1.6 Hz, 2H), 7.33 - 7.24 (m, 2H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.8 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 4.49 (s, 2H), 2.47 (s, 6H), 2.21 (s, 3H)。MS(APCI)m/z444.3(M+H)
【0396】
実施例36 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-(3-メチルフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物135)
実施例24に記載の方法を使用してp-クレゾールをm-クレゾール(9.75mg、0.09mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.50 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.38 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.28 - 7.16 (m, 2H), 7.11 - 7.05 (m, 1H), 6.87 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 4.49 (s, 2H), 2.46 (s, 6H), 2.34 (s, 3H)。MS(APCI)m/z444.3(M+H)
【0397】
実施例37 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-(3-メトキシフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物136)
実施例24に記載の方法を使用してp-クレゾールを3-メトキシフェノール(11.20mg、0.09mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.48 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.40 (t, J = 8.3 Hz, 1H), 7.09 - 7.04 (m, 2H), 7.00 (ddd, J = 8.3, 2.4, 0.9 Hz, 1H), 6.92 (ddd, J = 8.4, 2.4, 0.9 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 8.9, 2.8, 1.2 Hz, 1H), 4.49 (s, 2H), 3.77 (s, 3H), 2.46 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z460.2(M+H)
【0398】
実施例38 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-(2-フルオロフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物137)
実施例24に記載の方法を使用してp-クレゾールを2-フルオロフェノール(10.11mg、0.09mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.65 (td, J = 8.1, 1.6 Hz, 1H), 7.51 - 7.39 (m, 3H), 7.33 (ddt, J = 8.2, 7.5, 1.3 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.8 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 4.49 (s, 2H), 2.48 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z448.2(M+H)
【0399】
実施例39 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-(3-フルオロフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物138)
実施例24に記載の方法を使用してp-クレゾールを3-フルオロフェノール(10.11mg、0.09mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.65 (td, J = 8.1, 1.6 Hz, 1H), 7.51 - 7.39 (m, 3H), 7.33 (ddt, J = 8.2, 7.5, 1.3 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.8 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 4.49 (s, 2H), 2.48 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z448.2(M+H)
【0400】
実施例40 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-{5-[3-(トリフルオロメチル)フェノキシ]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物139)
実施例24に記載の方法を使用してp-クレゾールを3-(トリフルオロメチル)フェノール(14.62mg、0.09mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.95 (s, 1H), 7.82 - 7.77 (m, 1H), 7.76 - 7.73 (m, 2H), 7.49 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.07 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 4.49 (s, 2H), 2.48 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z513.2(M+H)
【0401】
実施例41 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[(5-フルオロピリジン-3-イル)オキシ]メチル}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物140)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを5-フルオロピリジン-3-オール(29.28mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.29 (dd, J = 2.5, 1.2 Hz, 1H), 8.25 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.59 (dt, J = 10.8, 2.4 Hz, 1H), 7.48 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.49 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 2.50 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z463.2(M+H)
【0402】
実施例42 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-({[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}メチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物141)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オール(42.23mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.54 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.79 - 7.71 (m, 1H), 7.48 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 6.86 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.57 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 2.50 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z513.2(M+H)
【0403】
実施例43 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[(6-メトキシピリジン-3-イル)オキシ]メチル}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物142)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを6-メトキシピリジン-3-オール(34.20mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.94 (dd, J = 3.1, 0.6 Hz, 1H), 7.54 - 7.45 (m, 2H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 6.80 (dd, J = 9.0, 0.6 Hz, 1H), 5.35 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 3.79 (s, 3H), 2.49 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z475.2(M+H)
【0404】
実施例44 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[(5-メチルピリジン-3-イル)オキシ]メチル}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物143)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを5-メチルピリジン-3-オール(28.26mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.17 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 8.08 (dd, J = 1.7, 0.8 Hz, 1H), 7.48 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.38 (ddd, J = 2.6, 1.7, 0.8 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.42 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 2.50 (s, 6H), 2.29 (s, 4H)。MS(APCI+)m/z459.2(M+H)
【0405】
実施例45 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[(5-シアノピリジン-3-イル)オキシ]メチル}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物144)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを5-ヒドロキシニコチノニトリル(31.10mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.67 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 8.66 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 8.08 (dd, J = 3.0, 1.6 Hz, 1H), 7.48 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 9.1, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.53 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 2.50 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z470.2(M+H)
【0406】
実施例46 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[(5-クロロ-6-メチルピリジン-3-イル)オキシ]メチル}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物145)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを5-クロロ-6-メチルピリジン-3-オール(31.17mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.23 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.48 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.8 Hz, 1H), 6.86 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.46 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 2.49 (s, 6H), 2.46 (s, 3H)。MS(APCI+)m/z493.1(M+H)
【0407】
実施例47 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[(6-メチルピリジン-3-イル)オキシ]メチル}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物146)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを6-メチルピリジン-3-オール(28.26mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.21 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 7.48 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.42 (dd, J = 8.6, 3.1 Hz, 1H), 7.23 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 6.86 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.40 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 2.49 (s, 6H), 2.40 (s, 3H)。MS(APCI+)m/z459.2(M+H)
【0408】
実施例48 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-{5-[({6-[(プロパン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}オキシ)メチル]-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物147)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを6-イソプロポキシピリジン-3-オール(39.66mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.93 - 7.89 (m, 1H), 7.52 - 7.45 (m, 2H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.8 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 6.71 (dd, J = 9.0, 0.6 Hz, 1H), 5.33 (s, 2H), 5.10 (hept, J = 6.2 Hz, 1H), 4.49 (s, 2H), 2.49 (s, 6H), 1.25 (d, J = 6.2 Hz, 6H)。MS(APCI+)m/z503.1(M+H)
【0409】
実施例49 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[(5-クロロピリジン-3-イル)オキシ]メチル}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物148)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを5-クロロピリジン-3-オール(33.54mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.36 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.29 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.76 (t, J = 2.3 Hz, 1H), 7.48 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 8.9, 2.8, 1.2 Hz, 1H), 5.50 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 2.50 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z479.1(M+H)
【0410】
実施例50 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[(1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-6-イル)オキシ]メチル}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物149)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-6-オール(34.73mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.14 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.54 (dd, J = 2.6, 0.9 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 3.3 Hz, 1H), 7.48 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.8 Hz, 1H), 6.86 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 6.50 (dd, J = 3.3, 0.9 Hz, 1H), 5.42 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 2.49 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z484.1(M+H)
【0411】
実施例51 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[(6-シクロプロピルピリジン-3-イル)オキシ]メチル}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物150)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを6-シクロプロピルピリジン-3-オール(35.0mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.17 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.48 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.39 (dd, J = 8.6, 3.0 Hz, 1H), 7.23 (dd, J = 8.6, 0.7 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.8 Hz, 1H), 6.86 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.38 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 2.49 (s, 6H), 2.08 - 2.00 (m, 1H), 0.93 - 0.87 (m, 2H), 0.82 - 0.77 (m, 2H)。MS(APCI+)m/z485.2(M+H)
【0412】
実施例52 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[(6-メトキシ-2-メチルピリジン-3-イル)オキシ]メチル}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物151)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを6-メトキシ-2-メチルピリジン-3-オール(36.03mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.55 - 7.45 (m, 2H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.8 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 6.62 (dd, J = 8.8, 0.8 Hz, 1H), 5.30 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 3.77 (s, 3H), 2.49 (s, 6H), 2.26 (s, 3H)。MS(APCI+)m/z489.1(M+H)
【0413】
実施例53 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[(フロ[3,2-b]ピリジン-6-イル)オキシ]メチル}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物152)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールをフロ[3,2-b]ピリジン-6-オール(34.99mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.36 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.17 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.91 (dd, J = 2.6, 1.0 Hz, 1H), 7.48 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.06 (ddd, J = 6.2, 5.4, 2.9 Hz, 2H), 6.86 (ddd, J = 9.0, 2.8, 1.2 Hz, 1H), 5.49 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 2.50 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z485.1(M+H)
【0414】
実施例54 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[(2-エチル-6-メチルピリジン-3-イル)オキシ]メチル}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物153)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを2-エチル-6-メチルピリジン-3-オール塩酸塩(44.96mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.48 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.09 - 7.04 (m, 2H), 6.86 (ddd, J = 8.9, 2.8, 1.2 Hz, 1H), 5.38 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 2.67 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 2.48 (s, 6H), 2.36 (s, 3H), 1.10 (t, J = 7.5 Hz, 3H)。MS(APCI+)m/z487.2(M+H)
【0415】
実施例55 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[5-({[6-(プロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]オキシ}メチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物154)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを6-イソプロピルピリジン-3-オール(35.52mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.27 - 8.23 (m, 1H), 7.52 - 7.42 (m, 2H), 7.25 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 6.86 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.40 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 2.97 (hept, J = 6.9 Hz, 1H), 2.49 (s, 6H), 1.19 (d, J = 6.9 Hz, 6H)。MS(APCI+)m/z487.2(M+H)
【0416】
実施例56 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[(6-メトキシ-5-メチルピリジン-3-イル)オキシ]メチル}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物155)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを6-メトキシ-5-メチルピリジン-3-オール(36.03mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.75 (dd, J = 2.9, 0.8 Hz, 1H), 7.48 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.38 (dd, J = 3.1, 1.1 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.8 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 8.9, 2.8, 1.2 Hz, 1H), 5.32 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 3.81 (s, 3H), 2.49 (s, 6H), 2.12 (d, J = 0.8 Hz, 3H)。MS(APCI+)m/z489.1(M+H)
【0417】
実施例57 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[(6-シアノ-5-メチルピリジン-3-イル)オキシ]メチル}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物156)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを5-ヒドロキシ-3-メチルピコリノニトリル(34.73mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.36 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.65 (dd, J = 2.9, 0.8 Hz, 1H), 7.48 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.54 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 2.50 (s, 6H), 2.48 (s, 3H)。MS(APCI+)m/z484.1(M+H)
【0418】
実施例58 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(5-{[(6-シアノピリジン-3-イル)オキシ]メチル}-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物157)
実施例23Cに記載の方法を使用して5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを5-ヒドロキシピコリノニトリル(31.10mg、0.26mmol)に置き換えることによって標記化合物を調製した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.54 (dd, J = 3.0, 0.6 Hz, 1H), 8.02 (dd, J = 8.7, 0.6 Hz, 1H), 7.72 (dd, J = 8.8, 3.0 Hz, 1H), 7.48 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 6.86 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.58 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 2.50 (s, 6H)。MS(APCI+)m/z470.1(M+H)
【0419】
実施例59 2-(4-クロロフェノキシ)-N-(3-{3-[(3,4-ジクロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物158)
実施例59A:2-(3,4-ジクロロフェノキシ)アセトニトリル
アセトン(10mL)中の3,4-ジクロロフェノール(3.26g、20mmol)及び炭酸カリウム(1.94g、14mmol)の混合物にブロモアセトニトリル(3.12g、26mmol)を添加した。混合物を還流下で3時間撹拌し、次いで室温で一晩撹拌した。水(10mL)を添加した。混合物を1時間撹拌し、次いで濃縮した。得られた固体を収集し、水(30mL×3)で洗浄し、次いで乾燥させて4.06gの標記化合物を白色の固体として得た。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 7.42 (d, J = 8, 1H), 7.11 (d, J = 2, 1H), 6.86 (dd, J = 8, 2, 1H), 4.76 (s, 2H)。MS(ESI+)m/z203(M+H)
【0420】
実施例59B:2-(3,4-ジクロロフェノキシ)-N-ヒドロキシアセチミダミド
エタノール(10mL)中の2-(3,4-ジクロロフェノキシ)アセトニトリル(1.455g、7.2mmol、実施例59A)及びヒドロキシルアミン(7.13g、50%、108mmol)の混合物を還流下で1.5時間加熱した。次いで混合物を濃縮して1.7gの標記化合物を得た。LC/MS(ESI+)m/z235(M+H)
【0421】
実施例59C:tert-ブチル(3-(3-((3,4-ジクロロフェノキシ)メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート
N,N-ジメチルホルムアミド(8mL)中の3-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸(1.557g、6.85mmol)、及び1,1’-カルボニルジイミダゾール(1.21g、7.47mol)の混合物を室温で1時間撹拌し、次いでN,N-ジメチルホルムアミド(4mL)中の2-(3,4-ジクロロフェノキシ)-N-ヒドロキシアセチミダミド(1.69g、7.19mmol、実施例59B)を添加した。混合物を90℃で一晩撹拌した。次いでN,N-ジメチルホルムアミドを真空下で除去し、酢酸エチル(100mL)を添加した。有機相を水(100mL×3)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して3gの固体を得た。固体を酢酸エチル(8mL)に溶解し、酢酸エチルで溶離するシリカゲル(80g)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して1.99gの標記化合物(68%の収率)を白色の固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.80 (brs, 1H), 7.56 (d, J = 8, 1H), 7.39 (d, J = 2, 1H), 7.07 (dd, J = 8, 2, 1H), 5.32 (s, 2H), 2.41 (s, 6H), 1.40 (s, 9H)。MS(ESI-)m/z424(M-H)
【0422】
実施例59D:3-(3-((3,4-ジクロロフェノキシ)メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミン塩酸塩
ジクロロメタン(3mL)中のtert-ブチル(3-(3-((3,4-ジクロロフェノキシ)メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)カルバメート(0.98g、2.3mmol、実施例59C)にジオキサン(17.3mL、69mmol)中の4NのHClを添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで濃縮して0.838gの標記化合物(100%の収率)を白色の固体として提供した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 9.08 (br s, 3H), 7.57 (d, J = 8, 1H), 7.39 (d, J = 2, 1H), 7.07 (dd, J = 8, 2, 1H), 5.34 (s, 2H), 2.49 (s, 6H)。MS(ESI+)m/z327(M+H)
【0423】
実施例59E:2-(4-クロロフェノキシ)-N-(3-{3-[(3,4-ジクロロフェノキシ)メチル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
ジクロロメタン(4mL)中の3-(3-((3,4-ジクロロフェノキシ)メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミン塩酸塩(0.138g、0.38mmol、実施例59D)にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.147g、1.14mmol)を添加し、続いてジクロロメタン(2mL)中の2-(4-クロロフェノキシ)アセチルクロリド(0.078g、0.38mmol)を添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、次いで濃縮して0.2gの固体を得た。固体を酢酸エチル(1mL)に溶解し、ヘプタン/酢酸エチル(10~50%)で溶離するシリカゲル(40g)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して0.122gの標記化合物を白色の固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.93 (s, 1H), 7.56 (d, J = 8, 1H), 7.39 (d, J = 2, 1H), 7.35 (d, J = 8, 2H), 7.07 (dd, J = 8, 2, 1H), 6.99 (d, J = 8H, 2H), 5.32 (s, 2H), 4.47 (s, 2H), 2.50 (s, 6H)。MS(ESI+)m/z494(M+H)
【0424】
実施例60 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[3-({[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物159)
実施例60A:2-クロロ-N-ヒドロキシアセチミダミド
ナトリウムエタノレート(2.94g、43.2mmol)をエタノール(100mL)中の塩酸ヒドロキシルアミン(3.0g、43.2mmol)の懸濁液に0℃で添加した。10分間撹拌した後、2-クロロアセトニトリル(3.26g、43.2mmol)を滴下添加した。反応混合物を25℃で2時間撹拌し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮して標記化合物(3g、60.8%の収率)を提供した。H NMR (400MHz, DMSO-d) δ ppm 4.00 (s, 2H), 5.62 (br. s., 2H), 9.43 (s, 1H)。
【0425】
実施例60B:メチル3-(2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)アセトアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート
ジメチルホルムアミド(300mL)中の2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)酢酸(18g、88mmol)及びメチル3-アミノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキシレート(15.63g、88mmol)の溶液にジイソプロピルエチルアミン(77mL、440mmol)及び2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロホスファート(V)(50.2g、132mmol)を部分ずつ添加した。混合物を25℃で1時間撹拌した。混合物を水(1200mL)で希釈し、酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(3×300mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)によって精製して標記化合物(28g、87%の収率)を提供した。H NMR: (400 MHz, CDCl) δ ppm 2.44 (s, 6H), 3.70 (s, 3H), 4.39 (s, 2H), 6.68 (dd, 1H), 6.76 (dd, 1H), 6.87 (br. s., 1H), 7.29-7.37 (m, 1H)。
【0426】
実施例60C:3-(2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)アセトアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸
テトラヒドロフラン(50mL)、エタノール(15mL)及び水(15mL)中の実施例60Bの生成物(5g、13.7mmol)の溶液に水酸化リチウム水和物(1.15g、27.5mmol)を20℃で添加した。混合物を20℃で12時間撹拌した。得られた溶液を減圧下で濃縮し、残渣を水(200mL)で希釈した。混合物をHCl(1M)を添加することによってpH=3に調整し、酢酸エチル(2×300mL)で抽出した。組み合わせた有機相を無水NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して標記化合物(4.5g、99%の収率)を提供した。H NMR: (DMSO-d, 400 MHz) δ ppm 2.18 (s, 6H), 4.44 (s, 2H), 6.81 (dd, J=9.04, 1.98 Hz, 1H), 7.04 (dd, J=11.25, 2.87 Hz, 1H), 7.42-7.50 (m, 1H), 8.75 (s, 1H), 12.44 (br. s., 1H)。
【0427】
実施例60D:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-(((2-クロロアセチミダミド)-オキシ)カルボニル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
N,N-ジメチルホルムアミド(150mL)中の実施例60Cの生成物(3.0g、9.08mmol)の溶液に1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-オール水和物(0.556g、3.63mmol)、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(4.76mL、27.3mmol)及び2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムテトラフルオロボレート(3.51g、10.90mmol)を25℃で添加した。実施例60A(1.038g、9.08mmol)を0℃で上記混合物に添加した。混合物を25℃で6時間撹拌し、酢酸エチル(500mL)で希釈し、水(3×250mL)で洗浄した。有機層をブライン(3×250mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をメチルtert-ブチルエーテルで洗浄して標記化合物(2.75g、70%の収率)を提供した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 2.33 (s, 3H) , 4.08 (s, 1H) , 4.48 (s, 1H) , 6.70 (br. s., 1H), 6.85 (dd, J=1.8, 8.8 Hz, 1H) , 7.07 (dd, J=2.6, 11.5 Hz, 1H), 7.50 (t, J=8.8 Hz, 1H), 8.79 (s, 1H)。
【0428】
実施例60E:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-(3-(クロロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
ディーン・スタークトラップを備えるフラスコ内のトルエン(2000mL)中の実施例60Dの生成物(5.5g、12.8mmol)の溶液を110℃に48時間加熱した。溶液を減圧下で濃縮した。残渣をメチルtert-ブチルエーテルで洗浄し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル)によって精製して標記化合物(2.59g、52%の収率)を提供した。H NMR (400MHz, CDCl) δ ppm 2.70 (s, 6H), 4.43 (s, 2H), 4.59 (s, 2H), 6.69 (td, J=1.2, 9.0 Hz, 1H), 6.77 (dd, J=3.1, 10.1 Hz, 1H), 6.96 (br. s., 1H), 7.34 (t, J=8.6 Hz, 1H)。
【0429】
実施例60F:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[3-({[5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド
アセトン(2.5mL)中の実施例60Eの生成物(60.0mg、0.155mmol)、5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オール(38.0mg、0.233mmol)、ヨウ化カリウム(1.289mg、7.77μmol)、及び炭酸カリウム(42.9mg、0.311mmol)の混合物をBiotage(登録商標)Initiatorマイクロ波反応器内で140℃で30分間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をブラインで処理し、酢酸エチルで抽出した。有機層を減圧下で濃縮し、18mL/分の流速で30分にわたって10%~95%アセトニトリル:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液の勾配を使用してZorbax Rx-C18カラム(250×21.2mm、7μmの粒子サイズ)で実施される逆相HPLCによって残渣を精製して標記化合物(15.7mg、20%の収率)を提供した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.90 (s, 1H), 8.66 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 8.61 - 8.54 (m, 1H), 7.92 (t, J = 2.2 Hz, 1H), 7.47 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.05 (dd, J = 11.3, 2.8 Hz, 1H), 6.83 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.47 (s, 2H), 4.48 (s, 2H), 2.51 (s, 6H);MS(ESI)m/z513.0(M+H)
【0430】
実施例61 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[3-({[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]オキシ}メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物160)
2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-オールを5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールの代わりに用いた実施例60Fに記載の反応により標記化合物を得た。H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.94 (s, 1H), 8.61 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.49 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.38 (dd, J = 5.7, 2.5 Hz, 1H), 7.08 (dd, J = 11.4, 2.8 Hz, 1H), 6.86 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.52 (s, 2H), 4.50 (s, 2H), 2.53 (s, 6H);MS(ESI)m/z513.1(M+H)
【0431】
実施例62 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[3-({[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物161)
6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールの代わりに用いた実施例60Fに記載の反応により標記化合物を得た。H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.94 (s, 1H), 8.54 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.78 - 7.71 (m, 1H), 7.49 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.08 (dd, J = 11.3, 2.8 Hz, 1H), 6.85 (ddd, J = 8.9, 2.8, 1.2 Hz, 1H), 5.49 (s, 2H), 4.50 (s, 2H), 2.53 (s, 6H);MS(ESI)m/z513.1(M+H)
【0432】
実施例63 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[3-({[5-クロロ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物162)
5-クロロ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールを5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールの代わりに用いた実施例60Fに記載の反応により標記化合物を得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.90 (s, 1H), 8.46 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.03 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.47 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.05 (dd, J = 11.3, 2.8 Hz, 1H), 6.83 (ddd, J = 8.9, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.50 (s, 2H), 4.48 (s, 2H), 2.51 (s, 6H);MS(ESI)m/z547.1(M+H)
【0433】
実施例64 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-(3-{[(6-シクロプロピルピリジン-3-イル)オキシ]メチル}-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル]アセトアミド(化合物163)
6-シクロプロピルピリジン-3-オールを5-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールの代わりに用いた実施例60Fに記載の反応により標記化合物を得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.90 (s, 1H), 8.23 (d, J = 3.0 Hz, 1H), 7.55 - 7.42 (m, 2H), 7.27 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.05 (dd, J = 11.3, 2.9 Hz, 1H), 6.83 (ddd, J = 8.9, 2.8, 1.2 Hz, 1H), 5.30 (s, 2H), 4.48 (s, 2H), 2.50 (s, 6H), 2.06 (tt, J = 8.2, 4.9 Hz, 1H), 0.95-0.81 (m, 4H);MS(APCI)m/z485.2(M+H)
【0434】
実施例65 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{4-[5-(メトキシメチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]-3-オキソビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル}アセトアミド(化合物164)
実施例65A:エチル1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート
トルエン(200mL)中のエチル4-オキソシクロヘキサンカルボキシレート(11.70mL、73.4mmol)、エタン-1,2-ジオール(12.29mL、220mmol)、及びp-トルエンスルホン酸一水和物(1.397g、7.34mmol)の混合物をディーン・スタークトラップ装置を用いて120℃で180分間撹拌した。反応混合物をN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミンで中和し、次いで濃縮した。残渣をシリカゲル(ヘプタン中0~30%の酢酸エチル)で精製して12.77gの標記化合物を透明な油として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 4.01 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.81 (s, 4H), 2.32 (tt, J = 10.4, 3.8 Hz, 1H), 1.83 - 1.71 (m, 2H), 1.66 - 1.57 (m, 1H), 1.62 - 1.38 (m, 5H), 1.13 (t, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0435】
実施例65B:エチル8-アセチル-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-8-カルボキシレート
0℃のテトラヒドロフラン(25mL)中のジイソプロピルアミン(5.19mL、36.4mmol)の溶液に5℃未満のn-ブチルリチウムを徐々に添加した。30分間撹拌した後、溶液を窒素下で-78℃に冷却し、テトラヒドロフラン(3mL)中の実施例65A(6.0g、28.0mmol)の溶液を徐々に添加し、得られた混合物を同じ温度で30分間撹拌した。次いで塩化アセチル(2.59mL、36.4mmol)を徐々に添加して-60℃未満の温度を維持し、混合物を-70℃で2時間撹拌した。反応物を飽和NHCl溶液でクエンチし、水相を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲル(ヘプタン中0~70%の酢酸エチル)で精製して6.78gの標記化合物を透明な油として得た。H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ ppm 4.19 - 4.11 (m, 2H), 3.85 (s, 4H), 2.13 (s, 3H), 2.10 - 2.01 (m, 2H), 1.90 (ddd, J = 13.9, 9.6, 4.6 Hz, 2H), 1.54 (th, J = 13.6, 4.7 Hz, 4H), 1.18 (dd, J = 7.6, 6.5 Hz, 3H)。
【0436】
実施例65C:エチル1-アセチル-4-オキソシクロヘキサン-1-カルボキシレート
アセトン(60mL)中の実施例65B(6.5g、25.4mmol)及びHCl(21.13mL、127mmol)の混合物を周囲温度で一晩撹拌した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣を水とジクロロメタンの間で分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮して5.46gの標記化合物を透明な油として得、これをさらなる精製をせずに使用した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 4.16 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.17 (s, 3H), 2.35 2.07 (m, 8H), 1.17 (t, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0437】
実施例65D:エチル4-(ベンジルアミノ)-2-オキソビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシレート
トルエン(100mL)中の実施例65C(9.7g、45.7mmol)、ベンジルアミン(14.98mL、137mmol)、及びp-トルエンスルホン酸一水和物(0.087g、0.457mmol)の混合物をディーン・スタークトラップ装置を用いて130℃で一晩撹拌した。混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチル(50mL)と3NのHCl(100mL)の混合物と30分間撹拌した。沈澱物を濾過によって収集し、酢酸エチル/ヘプタンの混合物で洗浄し、空気乾燥させて11.3gの標記化合物をHCl塩として得た。濾液を6NのNaOHで中和し、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。残渣をシリカゲル(ヘプタン中0~70%の酢酸エチル)で精製して別の0.77gの標記化合物を黄色の固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 9.73 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 7.87 - 7.12 (m, 5H), 4.09 (m, 4H), 2.88 (s, 2H), 2.08 (dt, J = 20.7, 13.4 Hz, 6H), 1.16 (t, J = 7.1 Hz, 3H);MS(ESI)m/z302.1(M+H)
【0438】
実施例65E:エチル4-アミノ-2-オキソビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシレート、塩酸
50mLの圧力ボトル内のテトラヒドロフラン(110mL)中の実施例65D(11.2g、33.2mmol)の混合物に20%のPd(OH)/C、浸潤(2.2g、1.598mmol)を添加し、反応物を50℃で50psiの水素下で22時間振盪した。反応混合物を周囲温度に冷却し、固体を濾過によって除去し、メタノール(1L)で洗浄した。濾液及び洗浄物を濃縮して7.9gの標記化合物を淡黄色の固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.46 (s, 3H), 4.07 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.62 (s, 2H), 2.17 - 2.05 (m, 2H), 2.04 - 1.78 (m, 6H), 1.14 (t, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0439】
実施例65F:エチル4-[2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)アセトアミド]-2-オキソビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシレート
N,N-ジメチルホルムアミド(200mL)中の実施例65E(7.8g、31.5mmol)、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(22.00mL、126mmol)及び2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)酢酸(7.41g、36.2mmol)の懸濁液に2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロホスファート(V)(14.97g、39.4mmol)を添加し、得られた茶色の溶液を周囲温度で16時間撹拌した。水を添加し、混合物を15分間撹拌した。沈澱物を濾過によって収集し、水で洗浄し、空気乾燥させて12.1gの標記化合物をオフホワイト色の固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.87 (s, 1H), 7.45 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.00 (dd, J = 11.4, 2.9 Hz, 1H), 6.79 (ddd, J = 8.9, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 4.45 (s, 2H), 4.06 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.73 (s, 2H), 2.07 (m, 1H), 2.01 - 1.84 (m, 6H), 1.14 (t, J = 7.1 Hz, 3H);MS(ESI)m/z398.0(M+H)
【0440】
実施例65G:4-[2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)アセトアミド]-2-オキソビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸
メタノール(100mL)中の実施例65F(11.37g、28.6mmol)及び水酸化ナトリウム(7.15mL、57.2mmol、8M溶液)の懸濁液を周囲温度で16時間撹拌した。揮発性物質を除去し、残渣を1NのHClで酸性化した。沈澱物を濾過によって収集し、真空オーブン内で乾燥させて9.9gの標記化合物を白色の固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 12.49 (s, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.45 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.00 (dd, J = 11.4, 2.9 Hz, 1H), 6.83 - 6.74 (m, 1H), 4.45 (s, 2H), 2.71 (s, 2H), 2.01 - 1.81 (m, 7H);MS(ESI)m/z368.1(M-H)
【0441】
実施例65H:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{4-[2-(メトキシアセチル)ヒドラジンカルボニル]-3-オキソビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル}アセトアミド
N,N-ジメチルホルムアミド(5.0mL)中の実施例65G(0.25g、0.676mmol)、2-メトキシアセトヒドラジド(0.077g、0.744mmol)、及びN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(0.236mL、1.352mmol)の混合物に2-(3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロホスファート(V)(0.283g、0.744mmol)を添加し、黄色の溶液を周囲温度で一晩撹拌した。反応混合物を水と酢酸エチルの間で分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲル(0~10%メタノール/ジクロロメタン)で精製して0.25gの標記化合物を白色の固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 9.76 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 9.44 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.45 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.01 (dd, J = 11.4, 2.9 Hz, 1H), 6.79 (ddd, J = 8.9, 2.8, 1.2 Hz, 1H), 4.46 (s, 2H), 3.84 (s, 2H), 3.27 (s, 3H), 2.71 (s, 2H), 1.84 - 2.12 (m, 6H)。
【0442】
実施例65I:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{4-[5-(メトキシメチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]-3-オキソビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル}アセトアミド
アセトニトリル(5.0mL)中の実施例65H(0.24g、0.526mmol)及びN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(0.276mL、1.579mmol)の混合物に4-メチルベンゼン-1-スルホニルクロリド(0.201g、1.053mmol)を0℃で添加し、懸濁液を50℃で一晩加熱した。揮発性物質を除去し、残渣をHPLC(Phenomenex(登録商標) Luna(登録商標)C18(2) 5μm 100Å AXIA(商標)カラム(250mm×21.2mm)で実施)によって精製した。25mL/分の流速でアセトニトリル(A)及び水中0.1%のトリフルオロ酢酸(B)の勾配を使用する。約10分にわたって約10%のAから約95%のAの線状勾配を使用した。検出方法は、218nM及び254nMの波長でのUVであり、135mgの標記化合物を淡黄色の固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.98 (s, 1H), 7.44 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 6.99 (dd, J = 11.4, 2.9 Hz, 1H), 6.79 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 4.59 (s, 2H), 4.46 (s, 2H), 3.28 (s, 3H), 2.85 (t, J = 1.3 Hz, 2H), 2.28 (ddd, J = 15.0, 8.2, 3.9 Hz, 2H), 2.21 - 1.94 (m, 6H);MS(ESI)m/z438.1(M+H)
【0443】
実施例66 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-ヒドロキシ-4-[5-(メトキシメチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル}アセトアミド(化合物165)
メタノール/ジクロロメタン(1:1、3mL)の混合物中の実施例65(0.1g、0.228mmol)及び水素化ホウ素ナトリウム(0.043g、1.142mmol)の混合物を周囲温度で16時間撹拌した。揮発性物質を除去し、残渣をHPLC(Phenomenex(登録商標)C18 5μm、250mm×21.2mm、カラムでの25mL/分の流速での0.1%トリフルオロ酢酸/水中20~95%のアセトニトリル)によって精製して78mgの標記化合物を固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.57 (s, 1H), 7.45 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.00 (dd, J = 11.4, 2.9 Hz, 1H), 6.78 (ddd, J = 8.9, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 4.55 (s, 2H), 4.43 (s, 2H), 4.06 (dd, J = 9.6, 3.2 Hz, 1H), 3.29 (s, 3H), 2.34 (ddd, J = 7.5, 5.5, 2.2 Hz, 1H), 1.98 - 1.68 (m, 9H);MS(ESI)m/z440.0(M+H)
【0444】
実施例67 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-ヒドロキシ-4-[3-({[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル}アセトアミド(化合物166)
実施例67A:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(4-(((2-クロロアセチミダミド)オキシ)カルボニル)-3-オキソビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)アセトアミド
ジメチルホルムアミド(30mL)中の実施例65Gの生成物(1.40g、3.79mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBT、0.232g、1.51mmol)、トリエチルアミン(1.58mL、11.4mmol)、及び2-(1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU、1.46g、4.54mmol)の溶液に実施例60A(0.411g、3.79mmol)を0℃で添加した。反応混合物を周囲温度に温め、16時間撹拌した。反応物をブラインでクエンチし、酢酸エチルで抽出した(2回)。組み合わせた有機層を水で洗浄し(2回)、無水MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、酢酸エチル/ヘプタン(80~100%)で溶離するBiotage(登録商標)Isolera(商標)Oneフラッシュシステムを使用して80gのシリカゲルカラムで精製して標記化合物(1.04g、60%の収率)を提供した。MS(ESI)m/z460.1(M+H)
【0445】
実施例67B:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(4-(3-(クロロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-オキソビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)アセトアミド
酢酸(8mL)中の実施例67Aの生成物(0.345g、0.750mmol)の混合物を115℃で3時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を飽和NaHCO水溶液で処理し、酢酸エチルで抽出した(2回)。組み合わせた有機層を無水MgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒のほとんどが除去されるまで減圧下で濃縮した。懸濁液を冷却し、濾過し、固体をヘプタン/酢酸エチル(1:1)で洗浄した。濾液を上記精製プロセスにあと2回供して標記化合物(0.191g、58%の収率)を提供した。MS(ESI)m/z442.0(M+H)
【0446】
実施例67C:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(4-(3-(クロロメチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-3-ヒドロキシビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)アセトアミド
CHCl(3.5mL)及びメタノール(3.5mL)中の実施例67Bの生成物(170mg、0.384mmol)の溶液に水素化ホウ素ナトリウム(18.9mg、0.500mmol)を添加した。反応混合物を1.5時間撹拌した。溶液をブライン及び飽和NaHCO水溶液で処理し、CHClで抽出した。有機層を減圧下で濃縮し、残渣をヘプタン/酢酸エチル(3:7~2:8)で溶離するBiotage(登録商標)Isolera(商標)Oneフラッシュシステムを使用して12gのシリカゲルカラムで精製して標記化合物(0.118g、69%の収率)を提供した。MS(ESI)m/z444.0(M+H)
【0447】
実施例67D:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-ヒドロキシ-4-[3-({[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル}アセトアミド
アセトン(2.5mL)中の実施例67Cの生成物(13.0mg、0.029mmol)、6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オール(7.16mg、0.044mmol)、ヨウ化カリウム(0.243mg、1.463μmol)、及び炭酸カリウム(8.09mg、0.059mmol)の混合物をBiotage(登録商標)Initiatorマイクロ波反応器内で140℃で30分間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を逆相HPLC(実施例60Fのプロトコルを参照されたい)によって精製して標記化合物(9.3mg、56%の収率)を提供した。H NMR (400 MHz, メタノール-d) δ ppm 8.44 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.66 (dd, J = 8.8, 2.8 Hz, 1H), 7.35 (t, J = 8.7 Hz, 1H), 6.89 (dd, J = 11.0, 2.8 Hz, 1H), 6.78 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.3 Hz, 1H), 5.36 (s, 2H), 4.42 (s, 2H), 4.34 (ddd, J = 9.5, 3.2, 1.4 Hz, 1H), 2.64 - 2.46 (m, 2H), 2.15 - 1.81 (m, 8H);MS(ESI)m/z571.2(M+H)
【0448】
実施例68 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-ヒドロキシ-4-[3-({[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]オキシ}メチル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル}アセトアミド(化合物167)
2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-オールを6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オールの代わりに用いた実施例67Dに記載の反応により標記化合物を得た。H NMR (501 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.60 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 7.68 - 7.55 (m, 2H), 7.46 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.37 (dd, J = 5.7, 2.5 Hz, 1H), 7.01 (dd, J = 11.4, 2.8 Hz, 1H), 6.80 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.48 (s, 2H), 4.45 (s, 2H), 4.16 (ddd, J = 9.4, 3.2, 1.3 Hz, 1H), 2.45 - 2.28 (m, 2H), 2.01 - 1.69 (m, 8H);MS(ESI)m/z571.1(M+H)
【0449】
実施例69 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-{4-[(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)メチル]-1H-イミダゾール-2-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド(化合物168)
実施例69A:3-(2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)アセトアミド)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボキサミド
メタノール(200mL)中の実施例60Bの生成物(9.0g、26.1mmol)の溶液に水酸化アンモニウム溶液(100mL、770mmol)を20℃でN下で添加した。混合物を20℃で12時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣をメチルtert-ブチルエーテル(30mL)で処理し、濾過した。フィルターケーキを高真空下で乾燥させて標記化合物(7.0g、82%の収率)を提供した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 2.15 (s, 6H), 4.46 (s, 2H), 6.85 (d, 1H), 6.98 (br. s., 1H), 7.03-7.13 (m, 1H), 7.29 (br. s., 1H), 7.50 (t, 1H), 8.72 (s, 1H)。
【0450】
実施例69B:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-シアノビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
テトラヒドロフラン(200mL)中の実施例69Aの生成物(7.0g、21.3mmol)の溶液にBurgess試薬(10.1g、42.5mmol)を0℃で添加し、得られた混合物を20℃で12時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=50:1)によって精製して粗標記化合物を得た。粗標記化合物を水(150mL)で処理し、固体を濾過によって収集した。収集された固体を高真空下で乾燥させて標記化合物(6.0g、92%の収率)を提供した。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 2.64 (s, 6H), 4.40 (s, 2H), 6.67 (dd, 1H), 6.75 (dd, 1H), 6.89 (br. s., 1H), 7.34 (t, 1H)。
【0451】
実施例69C:N-(3-カルバミミドイルビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)-2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)アセトアミド
エタノール(20mL)中の塩化アセチル(8.44mL、119mmol)とクロロホルム(15mL)の混合物を0℃で30分間撹拌した。クロロホルム(50mL)中の実施例69Bの生成物(1.00g、3.39mmol)の溶液を上記混合物に添加し、反応物を周囲温度に温め、24時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をエタノール(25mL)に溶解し、メタノール(19.39mL、136mmol)中7Nのアンモニアで処理した。栓がされたフラスコ内の混合物を7時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。濃縮物をブライン、飽和NaHCO水溶液及び酢酸エチルで処理した。有機層中の懸濁液を濾過によって収集し、酢酸エチル及び水で洗浄し、真空オーブン乾燥させて標記化合物(0.60g、57%の収率)を提供した。MS(APCI)m/z312.2(M+H)
【0452】
実施例69D:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-(4-(ヒドロキシメチル)-1H-イミダゾール-2-イル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
水酸化アンモニウム水溶液(10mL、257mmol)中の実施例69Cの生成物(0.590g、1.89mmol)、1,3-ジヒドロキシアセトンダイマー(0.511g、2.84mmol)、及び塩化アンモニウム(0.405g、7.57mmol)の混合物を栓がされたバイアル内で100℃で45分間加熱した。周囲温度に冷却した後、水を混合物に添加した。懸濁液を15分間撹拌し、固体を濾過によって収集し、水で洗浄した。得られた固体を真空オーブン乾燥させた。固体は大部分が標記化合物を含有した。固体を酢酸エチル(10mL)に懸濁し、60℃で1時間撹拌した。冷却後、固体を濾過によって収集し、酢酸エチルで洗浄し、真空オーブン乾燥させて0.120gの標記化合物を提供した。濾液を濃縮し、残渣をメタノール/酢酸エチル(1:9)で溶離するBiotage(登録商標)Isolera(商標)Oneフラッシュシステムを使用して25gのカラムで精製してさらなる0.189gの標記化合物(0.309g、45%の収率)を提供した。MS(ESI)m/z366.1(M+H)
【0453】
実施例69E:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(3-{4-[(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)メチル]-1H-イミダゾール-2-イル}ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル)アセトアミド
テトラヒドロフラン(7mL)中の実施例69Dの生成物(80.0mg、0.219mmol)、4-クロロ-3-フルオロフェノール(80mg、0.547mmol)、ジ-イソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD、155mg、0.765mmol)、及び固体担体上のトリフェニルホスフィン(255mg、3mmol/g、0.972mmol)の混合物を2日間撹拌した。反応混合物を珪藻土を通して濾過し、酢酸エチル及びメタノールで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を逆相HPLC(実施例60Fのプロトコルを参照されたい)によって精製した。所望の画分を減圧下で濃縮し、酢酸エチルからメタノール/酢酸エチル(5:95)で溶離するBiotage(登録商標)Isolera(商標)Oneフラッシュシステムを使用して12gのシリカゲルカラムでさらに精製して標記化合物(23.2mg、21%の収率)を提供した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 12.23 (s, 0.25H), 11.97 (s, 0.75H), 8.78 (s, 1H), 7.52-7.43 (m, 2H), 7.26 - 7.00 (m, 2.85H), 6.89-6.85 (m, 2.15H), 5.00 (s, 0.15H), 4.88 (s, 1.85H), 4.49 (s, 2H), 2.32 (s, 6H);MS(ESI)m/z494.1(M+H)
【0454】
実施例70 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-[4-({[6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル]オキシ}メチル)-1H-イミダゾール-2-イル]ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}アセトアミド(化合物169)
テトラヒドロフラン(3.5mL)中の実施例69Dの生成物(40.0mg、0.109mmol)、6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-オール(44.6mg、0.273mmol)、ジ-イソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD、77mg、0.383mmol)、及び固体担体上のトリフェニルホスフィン(128mg、3mmol/g、0.488mmol)の混合物を2日間撹拌した。反応混合物を珪藻土を通して濾過し、酢酸エチル及びメタノールで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、酢酸エチルからメタノール/酢酸エチル(5:95)で溶離するBiotage(登録商標)Isolera(商標)Oneフラッシュシステムを使用して12gのシリカゲルカラムで精製して標記化合物(2.7mg、5%の収率)を提供した。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 12.20 (s, 0.2H), 12.01 (s, 0.8H), 8.78 (s, 1H), 8.48 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.83 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.71 (dd, J = 8.8, 2.8 Hz, 1H), 7.50 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 7.21 (s, 1H), 7.09 (dd, J = 11.3, 2.8 Hz, 1H), 6.87 (dd, J = 9.1, 2.8 Hz, 1H), 5.06 (s, 2H), 4.49 (s, 2H), 2.33 (s, 6H);MS(ESI)m/z511.1(M+H)
【0455】
実施例71 2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{4-[5-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]-3-ヒドロキシビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル}アセトアミド(化合物170)
実施例71A:エチル4-[2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)アセトアミド]-2-ヒドロキシビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシレート
エタノール(800mL)中の実施例65F(7.51g、18.87mmol)の溶液にNaBH(0.5g、13.21mmol)を0℃で添加し、溶液を0℃で3時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(500mL)に注ぎ、沈澱物を濾過によって収集し、高真空下で乾燥させて標記化合物(6.5g、収率73.2%)を白色の固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.55 (s, 1H), 7.48 (t, J = 8.77 Hz, 1H), 7.13 (s, 1H), 7.02 (dd, J = 11.62, 2.85 Hz, 1H), 6.80 (br d, J = 9.21 Hz, 1H), 4.89 (d, J = 4.82 Hz, 1H), 4.44 (s, 2H), 3.81 - 4.16 (m, 3H), 1.46 - 2.32 (m, 10H), 1.14 (t, J = 7.02 Hz, 3H)。
【0456】
実施例71B:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[4-(ヒドラジンカルボニル)-3-ヒドロキシビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル]アセトアミド
ヒドラジン水和物(100mL、1999mmol)中の実施例71A(4g、8.50mmol)の溶液を50℃で3時間撹拌した。溶液を周囲温度に冷却し、得られた沈澱物を濾過によって収集し、高真空下で乾燥させて標記化合物(3.5g、収率91%)を白色の固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 8.65 (br s, 1H), 7.61 - 7.36 (m, 2H), 7.03 (dd, J = 11.43, 2.51 Hz, 1H), 6.81 (br d, J = 8.80 Hz, 1H), 4.44 (s, 2H), 4.03 (br d, J = 8.44 Hz, 1H), 4.09 - 3.93 (m, 1H), 2.21 (br t, J = 10.15 Hz, 1H), 2.11 - 1.97 (m, 1H), 1.92 - 1.79 (m, 1H), 1.79 - 1.45 (m, 8H)。
【0457】
実施例71C:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-[3-ヒドロキシ-4-(5-スルファニル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル]アセトアミド
メタノール(200mL)中の実施例71B(5g、12.31mmol)の溶液にKOH(1.036g、18.47mmol)及びCS(1.484mL、24.62mmol)を周囲温度で順次添加した。次いで得られた混合物を80℃で12時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残渣を水(200mL)で希釈した。混合物をHCl(1N)水溶液でpH=1に酸性化し、沈澱物を濾過によって収集し、高真空下で乾燥させて標記化合物(4.5g、収率77%)を白色の固体として得、さらなる精製をせずに次のステップで使用した。H NMR 400 MHz, DMSO-d) δ ppm 14.27 (br s, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.47 (t, J = 8.99 Hz, 1H), 7.01 (dd, J = 11.62, 2.41 Hz, 1H), 6.85-6.74 (m, 1H), 5.14 (d, J = 4.82 Hz, 1H), 4.44 (s, 2H), 4.07 - 3.94 (m, 1H), 2.48 (s, 1H), 2.36 - 2.15 (m, 2H), 1.97 - 1.62 (m, 8H)。
【0458】
実施例71D:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-ヒドロキシ-4-[5-(メチルスルファニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル}アセトアミド
N,N-ジメチルホルムアミド(100mL)中の実施例71C(5.5g、11.83mmol)の溶液に炭酸カリウム(3.27g、23.65mmol)及びヨードメタン(1.104mL、17.74mmol)を周囲温度で順次添加し、混合物を同じ温度で12時間撹拌した。反応混合物を水(500mL)に注ぎ、沈澱物を濾過によって収集し、高真空下で乾燥させて標記化合物(4.8g、収率87%)を白色の固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.65 (s, 1H), 7.49 (br t, J = 8.77 Hz, 1H), 7.03 (br d, J = 10.96 Hz, 1H), 6.81 (br d, J = 8.77 Hz, 1H), 5.06 (br d, J = 4.82 Hz, 1H), 4.46 (s, 2H), 4.06 (br s, 1H), 2.66 (s, 3H), 2.25 - 2.40 (m, 2H), 2.02 - 1.66 (m, 8H)。
【0459】
実施例71E:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{3-ヒドロキシ-4-[5-(メタンスルホニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル}アセトアミド
水(5mL)及び酢酸(10mL)中の実施例71D(0.2g、0.416mmol)の溶液にKMnO(0.079g、0.500mmol)を0℃で添加し、混合物を0℃で2時間撹拌した。次いで反応混合物の色が紫色から無色になるまで亜硫酸ナトリウムを添加した。次いで混合物を減圧下で濃縮し、残渣を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLC((Phenomenex(登録商標) Luna(登録商標)C18 5μmカラム(100mm×30mm)で25mL/分で0.075%トリフルオロ酢酸/水中25~100%のアセトニトリル)によって精製して標記化合物(72mg、収率36.5%)を白色の固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.67 (s, 1H) 7.49 (t, J = 8.99 Hz, 1H), 7.04 (dd, J = 11.40, 2.63 Hz, 1H), 6.82 (dd, J = 8.77, 1.75 Hz, 1H), 5.14 (d, J = 4.82 Hz, 1H), 4.47 (s, 2H), 4.19 - 4.07 (m, 1H), 3.63 (s, 3H), 2.45 - 2.26 (m, 2H), 2.04 - 1.72 (m, 8H);MS(ESI+)m/z474.0(M+H)
【0460】
実施例71F:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{4-[5-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]-3-ヒドロキシビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル}アセトアミド
N,N-ジメチルホルムアミド(1.0mL)中の4-クロロ-3-フルオロフェノール(14.07mg、0.096mmol)の溶液に炭酸カリウム(25.5mg、0.185mmol)を添加し、続いて実施例71E(35mg、0.074mmol)を周囲温度で添加した。反応混合物を40℃で16時間撹拌し続けた。溶媒を高真空下で除去し、残渣をHPLC(Phenomenex(登録商標)C18 10μm(250mm×50mm)カラムで50mL/分の流速で0.1%トリフルオロ酢酸/水中30~100%のアセトニトリル)によって精製して15mgの標記化合物を淡黄色の固体として得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.80 - 7.70 (m, 2H), 7.61 (s, 1H), 7.54 - 7.39 (m, 2H), 7.03 (dd, J = 11.4, 2.8 Hz, 1H), 6.82 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.03 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 4.46 (s, 2H), 4.11 - 4.02 (m, 1H), 2.32 (qd, J = 11.5, 10.3, 2.7 Hz, 2H), 1.99 - 1.71 (m, 8H);MS(ESI+)m/z540.1(M+H)
【0461】
実施例72:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{(3R)-4-[5-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]-3-ヒドロキシビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル}アセトアミド(化合物171)
実施例72A:N-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(5-(メチルチオ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)-2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)アセトアミド
ジクロロメタン(50mL)中の実施例71D(4.5g、9.67mmol)及び2,6-ジメチルピリジン(2.073g、19.35mmol)の溶液にtert-ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート(3.84g、14.51mmol)を0℃でN下で滴下添加し、混合物を0℃で2時間撹拌した。次いで混合物を水(200mL)で希釈し、ジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。組み合わせた有機画分をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)によって精製して標記化合物(4.95g、収率87%)を得た。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 7.33 (t, J=8.60 Hz, 1H), 7.27 (s, 1H), 6.76 (dd, J=10.36, 2.87 Hz, 1H), 6.63-6.70 (m, 1H), 6.16 (s, 1H), 4.35 (s, 2H), 4.26 (br d, J=7.50 Hz, 1H), 2.54-2.71 (m, 5H), 1.70-2.20 (m, 9H), 0.79 (s, 9H), 0.00 (s, 3H), -0.20 (s, 3H)。
【0462】
実施例72B:N-(3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-4-(5-(メチルスルホニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)-2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)アセトアミド
酢酸(20mL)中の実施例72A(4.95g、8.46mmol)の溶液に水(20mL)中のKMnO(1.737g、10.99mmol)の溶液を0℃でN下で滴下添加し、混合物を0℃で2時間撹拌した。次いで反応混合物の色が紫色から白色になるまで亜硫酸ナトリウムを添加した。次いで混合物を濃縮し、残渣を水(300mL)で希釈し、酢酸エチル(3×150mL)で抽出した。組み合わせた有機画分をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)によって精製して標記化合物(3.9g、収率72.6%)を得た。H NMR (400 MHz, CDCl) δ ppm 7.34 (t, J=8.62 Hz, 1H), 6.76 (dd, J=10.27, 2.69 Hz, 1H), 6.68 (dd, J=8.80, 1.96 Hz, 1H), 6.18 (s, 1H), 4.36 (s, 3H), 3.45 (s, 3H), 2.62-2.76 (m, 2H), 2.13-2.26 (m, 2H), 2.00-2.12 (m, 2H), 1.87-2.00 (m, 3H), 1.80 (br d, J=13.08 Hz, 1H), 0.77 (s, 9H), 0.02 (s, 3H), -0.20 (s, 3H);MS(ESI+)m/z588.0(M+H)
【0463】
実施例72C:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-(4-(5-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)-3-ヒドロキシビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)アセトアミド
N,N-ジメチルホルムアミド(10ml)中の4-クロロ-3-フルオロフェノール(162mg、1.105mmol)の溶液に炭酸カリウム(294mg、2.125mmol)及び実施例72B(500mg、0.850mmol)を添加し、反応混合物を50℃で16時間撹拌した。水を添加し、混合物をジクロロメタンで抽出した。有機画分をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をテトラヒドロフラン(6mL)に溶解した。得られた混合物をフッ化テトラブチルアンモニウム(1.275ml、テトラヒドロフラン中1N溶液、1.275mmol)で処理し、混合物を周囲温度で16時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣を水とジクロロメタンの間で分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲル(0~85%酢酸エチル/ヘプタン)で精製して110mgの標記化合物を得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.80 7.70 (m, 2H), 7.61 (s, 1H), 7.53 7.39 (m, 2H), 7.03 (dd, J = 11.4, 2.8 Hz, 1H), 6.82 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.02 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 4.46 (s, 2H), 4.06 (dt, J = 8.9, 4.2 Hz, 1H), 2.39 2.26 (m, 2H), 1.99 1.71 (m, 8H);MS(ESI+)m/z540.2(M+H)
【0464】
実施例72D:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{(3R)-4-[5-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]-3-ヒドロキシビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル}アセトアミド
標記化合物を実施例72Cのキラル分取SFC(超臨界流体クロマトグラフィー)によって、カラムから溶離される第2のピークとして単離した。立体化学を任意に割り当てた。分取SFCは、SuperChrom(商標)ソフトウェア制御下で作動するTHAR/Waters SFC 80システムで実施した。分取SFCシステムは、8ウェイ分取カラムスイッチャー、COポンプ、調整ポンプ、自動バックプレッシャーレギュレーター(ABPR)、UV検出器、及び6ポジションフラクションコレクターを備えていた。移動相は、メタノールの調整剤を含む、350psiまで加圧された絶乾非認定COのデュワーによって70g/分の流速で供給される超臨界COからなった。カラムは周囲温度にあり、バックプレッシャーレギュレーターを、100バールを維持するように設定した。試料をメタノール/ジクロロメタン(1:1)の混合物に10mg/mLの濃度で溶解させた。試料を注入物1mL(10mg)で調整剤流に装填した。移動相を30%メタノール:COで定組成に保持した。画分収集を時間駆動させた。機器に、内径21mm×長さ250mmの寸法で5μm粒子を有するChiralpak(登録商標)AD-Hカラムを取り付けた。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.80 7.70 (m, 2H), 7.61 (s, 1H), 7.53 7.40 (m, 2H), 7.03 (dd, J = 11.4, 2.8 Hz, 1H), 6.82 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.03 (s, 1H), 4.46 (s, 2H), 4.06 (dd, J = 7.1, 4.6 Hz, 1H), 2.33 (ddt, J = 13.7, 10.2, 4.8 Hz, 2H), 1.95 1.72 (m, 8H);MS(ESI+)m/z540.2(M+H)
【0465】
実施例73:2-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-N-{(3S)-4-[5-(4-クロロ-3-フルオロフェノキシ)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]-3-ヒドロキシビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル}アセトアミド(化合物172)
標記化合物を実施例72Cに記載の方法を使用して調製し、実施例72Dのキラル分取SFC(超臨界流体クロマトグラフィー)手順によって、カラムから溶離される第1のピークとして単離した。立体化学を任意に割り当てた。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ ppm 7.80 7.70 (m, 2H), 7.61 (s, 1H), 7.53 7.39 (m, 2H), 7.03 (dd, J = 11.4, 2.9 Hz, 1H), 6.82 (ddd, J = 9.0, 2.9, 1.2 Hz, 1H), 5.02 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 4.46 (s, 2H), 4.06 (dt, J = 8.5, 4.0 Hz, 1H), 2.40 2.25(m, 2H), 2.00 1.84 (m, 2H), 1.89 1.71 (m, 6H);MS(ESI+)m/z540.0(M+H)
【0466】
実施例74:実施例751:細胞白質消失病(VWMD)のin vitroモデルにおける例示的化合物の活性
細胞状況において本発明の例示的化合物を試験するために、安定なVWMD細胞系を初めに構築した。Sidrauski et al(eLife 2013)に記載されているとおりに、イニシエーターメチオニンを欠いたホタルルシフェラーゼ(FLuc)コード配列の前にヒト全長ATF4 5’-UTR(NCBI受託番号BC022088.2)を融合することによって、ATF4レポーターを調製した。この構築物を使用して、標準的な方法を使用して組換えレトロウイルスを生成し、得られたウイルス上清を使用して、HEK293T細胞に形質導入し、続いて、そのHEK293T細胞を、安定な細胞系を生成するためにピューロマイシンで選択した。
【0467】
ATF4ルシフェラーゼレポーターを担持するHEK293T細胞を、ポリリシンコーティングされた384ウェルプレート(Greiner Bio-one)上に1ウェルあたり30,000細胞でプレーティングした。翌日、細胞を1μg/mLのツニカマイシン及び200nMの式(I)の化合物で7時間にわたって処理した。製造者によって規定されたとおりにOne Glo(Promega)を使用して、ルミネセンスを測定した。細胞を、10%熱不活化FBS(Gibco)及びAntibiotic-Antimycotic液(Gibco)を補充されたL-グルタミンを含むDMEM中で維持した。
【0468】
下の表2に、本発明の例示的化合物についてATF4-Lucアッセイを使用して得られたEC50データをまとめる。この表において、「A」は50nM未満のEC50を表し、「B」は50nM~250nMのEC50を表し、「C」は250nM~1μMのEC50を表し、「D」は1μM~2μMのEC50を表し、「E」は2μM超のEC50を表す。
【0469】
(表2)ATF4-Lucアッセイにおける本発明の例示的化合物のEC50
【0470】
OFPレポーターキットを含むGene Art CRISPRヌクレアーゼベクター(ThermoFisher、下の表3を参照されたい)を使用することによって、VWMD変異をHEK293T ATF4-Fluc安定細胞系のゲノムに導入した。CRISPR Design Tool(http://crispr.mit.edu)を使用してガイドRNAを設計し、CRISPR OFPヌクレアーゼベクターにライゲーションした。ゲノムにおいてVWMD点変異を取り込む相同組換え修復(HDR)を得るために、150bp ssDNAウルトラマーオリゴを、目的の特異的変異を含有するIntegrated DNA Technologiesによって合成した。VWMD変異に加えて、ssDNA HDRテンプレートは、CRISPR gRNA配列のPAM部位に対するサイレント変異(さらなるCas9切断を回避するために)及び変異の両側に75bpの相同性を含有した。
【0471】
製造者指示に従ってリポフェクタミン3000(ThermoFisher)またはSF Cell 4D-ヌクレオフェクターX Kit(Lonza)を使用して、HEK293T ATF4-Fluc細胞に、500ngのCRISPR OFPヌクレアーゼベクター及び1uLの10μM ssDNA HDRテンプレートを遺伝子導入した。2~3日の回復後に、単細胞を陽性OFP発現について、FACS Aria II(BD Biosciences)で96ウェルプレートのウェルに選別し、1~2週間にわたって回復させた。
【0472】
PureLink Genomic DNAキット(ThermoFisher)でゲノムDNAを採取し、編集部位付近の約500bp遺伝子座を増幅させ、アンプリコンを配列決定することによって、得られたクローンをCRISPR編集及びHDRについて調査した。TAクローニング(Invitrogen)及びアンプリコンの配列決定によって、予測されたCRISPR編集部位付近で不明瞭なクロマトグラムシグナルを示したクローンをさらに調査して、クローンにおいて各対立遺伝子の配列を得た。得られた典型的なクローンは、VWMD点変異についてヘミ接合性であり、その際、1つまたは2つの対立遺伝子は所望の変異を持ち、残りの対立遺伝子はノックアウトした(未成熟終止コドンを生成するように編集した)。
【0473】
(表3)eIF2Bに導入された例示的なVWMD点変異
【0474】
均等物及び範囲
請求項において、冠詞、例えば、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、反対に示されていない限り、または別段に文脈から明らかでない限り、1つ、または1つより多くを意味し得る。群の1つ以上のメンバー間に「または」を含む請求項または記述は、反対に示されていない限り、または別段に文脈から明らかでない限り、1つ、1つより多く、またはすべての群メンバーが、所与の生成物またはプロセス中に存在し、使用され、または別段にこれらに関連する場合に、満たされるとみなされる。本発明は、群の正確に1つのメンバーが、所与の生成物またはプロセス中に存在し、使用され、または別段にこれらに関連する実施形態を含む。本発明は、1つより多い、またはすべての群メンバーが、所与の生成物またはプロセス中に存在し、使用され、または別段にこれらに関連する実施形態を含む。
【0475】
さらに、本発明は、列挙した請求項の1つ以上からの1つ以上の限定事項、要素、条項、記述用語が別の請求項中に導入されるすべての変形形態、組合せ、及び並び換えを包含する。例えば、別の請求項に従属している任意の請求項は、同じ基本請求項に従属している任意の他の請求項において見い出される1つ以上の限定事項を含むように改変することができる。要素が、例えば、マーカッシュ群形式でリストとして提示されている場合、要素の各亜群も開示されており、任意の要素(複数可)をその群から除去することができる。一般に、本発明または本発明の態様が、特定の要素及び/または特徴を含むと言及されている場合、本発明のある特定の実施形態または本発明の態様が、かかる要素及び/または特徴からなり、またはこれらから本質的になることは理解されるべきである。単純にする目的で、これらの実施形態は、本明細書で、このとおりの言葉で具体的に示されていない。用語「含む」及び「含有する」は、オープンであることが意図されており、追加の要素またはステップを含めることを可能にすることにも留意されたい。範囲が与えられている場合、終点は含まれている。さらに、別段に示さない限り、または文脈及び当業者の理解から別段に明白でない限り、範囲として表現されている値は、文脈によって別段に明確に要求されない限り、その範囲の下限の単位の1/10まで、本発明の異なる実施形態において、述べられている範囲内の任意の具体的な値またはサブ範囲を想定することができる。
【0476】
本出願は、様々な発行特許、公開特許出願、雑誌論文、及び他の刊行物に言及しており、これらはすべて、参照によって本明細書に組み込まれる。組み込まれる参照文献のいずれかと本明細書との間に矛盾が存在する場合には、本明細書が優先される。加えて、従来技術に該当する本発明のいずれか特定の実施形態は、請求項のいずれか1項以上から明らかに排除され得る。かかる実施形態は、当業者に公知であると考えられるので、これらは、除外することが本明細書で明確に示されていなくても除外され得る。本発明の任意の特定の実施形態は、従来技術の存在に関係しているか否かを問わず、任意の理由で任意の請求項から除外され得る。
【0477】
当業者は、ルーチンを超えない実験を使用して、本明細書に記載の特定の実施形態の多くの均等物を理解する、または確認することができるであろう。本明細書に記載の本実施形態の範囲は、上記の説明に限定されず、むしろ、添付の請求項に記載されたとおりであることが意図されている。当業者は、次の請求項において定義されているとおり、本発明の意図または範囲から逸脱することなく、この記載に様々な変化及び変更を成すことができることが分かるであろう。