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  • 特許-ベルベット生地の編み方 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】ベルベット生地の編み方
(51)【国際特許分類】
   D06C 27/00 20060101AFI20221129BHJP
   D02G 3/04 20060101ALI20221129BHJP
   D04B 1/04 20060101ALI20221129BHJP
   D06B 3/10 20060101ALI20221129BHJP
   D06B 15/10 20060101ALI20221129BHJP
   D06C 3/00 20060101ALI20221129BHJP
   D06C 13/08 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
D06C27/00 A
D02G3/04
D04B1/04
D06B3/10 Z
D06B15/10
D06C3/00
D06C13/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020531056
(86)(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 TR2017050705
(87)【国際公開番号】W WO2019112528
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-10-19
(31)【優先権主張番号】2017/19729
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TR
(73)【特許権者】
【識別番号】517311460
【氏名又は名称】サンコ テクスティル イスレットメルリ サナイ ヴェ ティカレット アノニム シルケティ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】ハカン・コヌコール
(72)【発明者】
【氏名】アフメット・ギョクハン・アイディン
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-124653(JP,A)
【文献】国際公開第2014/106858(WO,A2)
【文献】特開2012-233284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D02G1/00-3/48
D02J1/00-13/00
D04B1/00-1/28
21/00-21/20
D06B1/00-23/30
D06C3/00-29/00
D06G1/00-5/00
D06H1/00-7/24
D06J1/00-1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイル糸において使用されるネップを備える繊維(市販)を天然、合成、再生繊維、またはそれらの混合物からなる繊維と混合し、カーディングマシンにおいてそれらを処理してスライバーにすること(101)、
カーディングマシンからのスライバーの粗さを取り除き、スライバーネップでスライバー片を繋ぎ合わせ、それらを主材料に混合するためにドローフレームを作動すること(102)、
ドローフレームからのドローフレームスライバーおよびネップ混合物を薄くし、それを撚りプロセスに適用して、コードを得るためにロービングフレームを作動すること(103)、
コップにおいて引き伸ばしと巻き取りによりロービングマシンからの主繊維とネップの混合物からもたらされるコードを薄くした糸を得るためにリングマシンを作動すること(104)、
2重プレーテッド丸編み機に備えられた針の上下の動きに変化する針により未染色生地を編み(105)、パイル糸と地糸とを異なるシリンダーの針を通して編むこと(106)、
裏生地上のパイル糸を裁断するために配置し、それらを裁断して、パイル生地を得ること(107)、
製造された糸を固定するための固定マシンを作動して、静電気の発生を防止するために、熱い空気の下でパイル生地を引き伸ばすこと(108)、
生地を染色すること(109)、のステップにおいて更に、
加熱された空気に接触させてパイル生地を乾燥させるために遠心乾燥マシンを作動すること(110)、
遠心乾燥マシンにおいてネップ効果の沈み込みを防止するために1分間に少なくとも4550回の回転数で染色された生地を回転させること(111)、
パイルのトップに対して少なくとも1.8mmのブレード間隔から閉ループを開放端にすることにより、それをベルベット生地に変えるために、パイル生地のパイル糸を裁断すること(112)、および
染色され、裁断されたベルベット生地を乾燥させて、ベルベット生地を得るためにテンターに通過させること(113)、
のステップを含むベルベット生地の編み方。
【請求項2】
ビスコース、コットン、ポリエステル、ナイロン、リネン、ウール、シルク繊維、またはそれらの混合物からなる繊維混合物の群から選択された繊維を含む、請求項1に記載のベルベット生地の編み方。
【請求項3】
コットン、シルク、リネンなどの天然、合成、再生繊維、またはそれらの混合物から選択された繊維のカーディングプロセスが、カーディングマシンにおいて、ドラム速度(300回未満)で実行され、カーディングマシンの回転しているフラットとドラムとの間の間隔が35mm以上であるとき、スライバーネップ効果を得る工程が含まれる、請求項1に記載のベルベット生地の編み方。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テリークロス生地技術による丸編み機において製造され、ベルベットのように見える処理がなされる、(パイル)、別珍、(プラッシュ)、メリヤス生地の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
布地は、様々の方法で糸を繋ぎ合わせることにより構成された被覆面である。それは、コットン、ウール、シルク、リネンなどの天然繊維、および合成、再生繊維またはそれらの混合物から作られた糸から得られる。生地は、互いに垂直および平行な糸を上と下から互いに通すことにより構成される。
【0003】
現在、丸編み機においては、丸い形状(筒状)の針プレート上に設けられた針溝に針が並んで配置されている。それらは、ロッキング機構により独立して針プレートの円運動中に針が溝内で動くことにより編むことが実行される機械であり、ロッキング機構は、針プレートと溝の上を静止しており、針に動きを与えて、それに対して適切に横たわる固定された糸により編むことが実行される。編む動作は、針プレートの周りに一定の間隔で配置された針によって行われ、固定されたロッキングシステムからの適切な動きを受け取り、その上に置かれた糸を引くことによってループを形成して、全て一緒に円形の動きを行う。
【0004】
製造された生地の形式の1つは、丸編み機においてテリークロス生地製造技術を使用して生産され、ベルベットの外観を与える細いパイルで滑らかな表面を有するように裁断されるパイルプラッシュである。
【0005】
この分野のアプリケーションにおいては、まれではあるが、一部のナイロンベルベット生地において光の効果と表面パターンが得られるものがあるが、それらはある程度の合成材料(ナイロンなど)で提供される。このような効果を得るために、人工繊維が必要である。ベルベット生地に模様を付けて効果を生み出すプロセスは、単純な丸編み機において単糸を使用することによっては達成することはできない。
国際公開第2014/106858号は、以下を備える布地を製造するためのプロセスを開示している:ウールと1つ以上の他の繊維とを混ぜて、即ち混合すること;少なくとも1つの成分として得られた糸を使用して織るか、または編むこと;溶解によりウールを取り除き、空間を形成すること。前記の出願は、ベルベット生地を製造するための手段を提供していない
【0006】
しかしながら、この分野のアプリケーションでは、ベルベット生地にパターンを生成するためにジャカードテリークロスマシンが使用されるが、この製造方法で得られた色彩は、異なる角度からの光を反射することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2014/106858号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、布地の構成を変更することなく、ロービング(テリークロスの代わりにベルベット/テリークロス生地のロービング)における異なる裁断方法を行うことにより、材料の混合と反射効果とを有するベルベット生地を製造する方法を提供することである。このために、2重プレーテッド丸編み機においてテリークロス構造において2つの異なる糸を編むことが必要である。異なる糸により実行されるテリークロスの編む工程に続いて、裁断加工により表面がベルベット生地に変化する。本発明により、いかなる印刷工程を適用することなく、および/またはジャカード丸編み機を使用することなく、光効果および一時的なエピソディックなパターン形成が達成される。上記の進展は、異なる材料の混合物からのリング状に引き伸ばされた糸を製造し、ベルベット生地の製造におけるパイル糸としてそれらを使用することにより達成される。
【0009】
本発明の目的を達成するために開発されたビロード生地を編む製造方法は、添付の図に示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1はベルベット生地の編み方の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図におけるステップは、以下のように参照符号で与えられる。
100 ベルベット生地の編み方、
101 パイル糸において使用されるネップを備える(市販)繊維を、天然、合成、再生繊維またはそれらの混合物からなる繊維と混合し、カーディングマシンにおいてそれらを処理してスライバーにすること、
102 カーディングマシンからのスライバーの粗さを取り除き、スライバーネップでスライバーコットン片を繋ぎ、それらを主材料に混合するためのドロー(引き伸ばし)フレームを作動すること、
103 ドローフレームからのドローフレームスライバーコットンおよびネップの混合物を薄くするためのロービングフレームを作動して、それを人工撚りプロセスにかけること、
104 糸を引き伸ばし、コップに巻き付けて、ロービングマシンからのコットンとネップの混合物からのコードを細くした糸を得るためのリングマシンを作動すること、
105 2重プレーテッド丸編み機に設けられた編み針の上下の動きに向きを変える針により未染色生地(greige fabric)を編むこと、
106 別のプレートにおける針にパイル糸と地糸とを通すことにより、パイル糸と地糸とを編むこと、
107 裁断のために裏生地の布地上にパイル生地を置いて、それらを裁断すること
108 製造された糸を固定するための固定マシンを作動させ、静電気の発生を防止するために熱い空気の下でテリークロス生地を引き伸ばすこと、
109 テリークロス生地を染色すること、
110 加熱された空気を接触させることにより、テリークロス生地を乾燥させるために遠心乾燥マシンを作動させること、
111 テリークロストロンマシンにおいてネップ効果の沈み込みを防止するために、染色された生地を少なくとも4550回回転させること、
112 少なくとも1.8mmのブレード間隔から閉ループを開放端にして、テリークロス生地をベルベット生地に変えるために、テリークロス生地のパイル糸を裁断すること
113 染色され、および裁断されたベルベット生地を乾燥させるために、それらがテンターを通過すること
【0012】
本発明のベルベット生地の編み方(100)においては、パイル糸に使用されるネッピースライバー繊維(異なる太さおよび長さの繊維を含む場合がある繊維の束であり、それらが一緒に起立すると、それらが組み込まれる主繊維スライバーまたは糸に3次元効果を形成することができる繊維の束)が、ステープル繊維と混合され、カーディングマシン(101)において処理されて、それをスライバーに形成しており、カーディングマシンはコットン繊維が針の付いた回転シリンダーを通過することで太いスライバーに形成する機械である。
【0013】
パイル糸に使用されるネッピー繊維は、コットン、ウール、シルク、リネンなどの天然、合成、再生繊維、またはそれらの混合物からなる繊維を混合して、カーディングマシンにおいて処理されてスライバーになる。
【0014】
パイル糸に使用されるネップ効果のある糸を得るために、ネッピー繊維が主繊維と混合され、カーディングマシンにおいて処理されることにより、スライバーに形成され、ドローフレームにおいてステープル繊維を伴うネップ効果のある糸のネップカーディングスライバーとなる。
【0015】
ドローフレームは、カーディングマシンからのスライバーの粗さをなくし、カーディングマシンを離れるスライバーコットン片をスライバーネップで横方向に繋ぎ合わせて、それらを主材料(102)に混合するために使用される。ネップは、糸プロセス、ネップカーディングプロセス、ドローフレームプロセスまたは糸スピニングプロセスにおいて、射出または2重材料の供給として主繊維に混合される。
【0016】
ロービングフレームは、ドローフレームからのドローフレームスライバーコットンおよびネップの混合物を薄くするために作動され、それを撚るプロセス(103)に適用される。ドローフレームプロセスの後、コットンおよびネップの混合物はロービングマシンにおいて最も薄いスライバーの形式となる。これらの薄いスライバーは、リングマシンで紡がれます。前記のリングマシンは、コットンおよびネップの混合物のコードをロービングマシンから引き出して細くすることにより糸を得て、その糸をコップ(104)に巻き取るために作動される。このように、主要な材料にはカーディングプロセスが施されて、ネッピースライバーと混合するプロセスがドローフレームで実行される。混合は、ドローイングプロセスにおいて可能となる。
【0017】
ドローフレームは、ドローイングプロセスにおいて形成された繊維をクリーンにするために、撚り合わせにより横方向に糸のスライバーを繋ぎ合わせて均質なスライバーを得るために作動される。
【0018】
パイル糸と地糸で構成された未染色生地(編まれた丸テリークロス)は、2重プレーテッド丸編み機に設けられた編み針の上下に動きを変える針により編まれる。
【0019】
パイル糸と地糸は、異なるプレートの針を通過することにより編まれる(106)。裏生地の布の強度を確保するフィラメント糸またはステープル糸が使用される。(フィラメント糸、天然、合成、再生糸またはそれらの混合物からなる連続糸、またはステープル繊維からなるリング糸、ステープル繊維からなるオープンエンド糸、またはステープル繊維からなるエアージェット糸)
【0020】
未染色生地は、AIROマシンにおいて処理され、裁断(パイル糸の閉じられた端を開くために)、事前固定、染色排気、遠心分離(乾燥)、およびテンターおよび品質管理プロセスが未染色生地で実行される。
【0021】
裁断工程において、パイル糸が裁断のために布地の裏生地の上に置かれて、裁断される(107)。ベルベット生地の製造中において、パイル糸と地糸が2つの異なるプレートの針を別々に通して編まれる。布の裏側とも呼ばれる裏生地は、一般にフィラメント糸(強度を提供するためにポリエステルとナイロンが選択されることが多い)で構成されたベルベット布の毛羽のない平らな面である。
【0022】
製造された糸を固定し、高温の空気の環境下でテリークロス生地を引き伸ばすために固定マシンが作動し、静電気の発生を防止する(108)。テリークロス生地が染色されて(109)、次に遠心乾燥機が作動されて加熱された空気に接触させることによりテリークロス生地を乾燥させる。
【0023】
未染色生地が2重プレーテッド丸編みで製造された後、仕上げ工程がテリークロス生地構成において始まる。布地はトロン(tolon)のマシンにおいて特定の回転数で温風と共に回転し、染色された布地が少なくとも4550回回転されて、テリークロストロンマシンにおいてネップ効果の沈み込みが防止される(111)。トロンマシンの回転数を上昇させる目的は、パイル糸のネップがより起立して元気の良い状態を保証するためである。
【0024】
2回目の裁断がテリークロス生地のパイル糸において実行され、少なくとも1.8mmのブレード間隔から閉ループをオープンエンドにすることにより、それがベルベット生地に変えられる。ベルベット丸編み生地は、裁断プロセス前のテリークロス丸編み生地のバージョンである。
【0025】
裁断工程の後、パイル糸の閉ループが開かれて、開放端となる。間隔を大きくする目的は、ブレードが布の表面上を深く裁断することを防止するためである。
【0026】
特定の間隔差で裁断することは、布におけるネップ効果がトロンマシンの中に沈み込むことを防止する。
【0027】
染色され、裁断されたベルベット生地は、テンターを通過して、乾燥される(113)。構成されたベルベット生地は、最終的に様々な品質管理プロセスが施される(114)。
【0028】
生地の重さ(g/m)は使用の地域により変化する。地糸とパイル糸の数は、生地の重さにより変化する。
【0029】
本発明により、異なる材料混合物および反射パターン効果を有するベルベット生地は、生地の構造においていかなる変化も加えることなく得られる。より大きくゆったりした、より柔らかな手触りは、本発明で使用される異なる材料混合物および構成物により提供される。
【0030】
本発明の一実施形態において、ビスコース、コットン、ポリエステル、ナイロン、リネン、ウール繊維、またはそれらの混合物などの天然、合成、または再生繊維を含む繊維混合物が使用される。
【0031】
本発明の一実施形態において、柔らかな感触が提供される光沢なある繊維が使用される。
【0032】
本発明の一実施形態において、フィラメント糸は、ポリエステル、ナイロンなどの高強度を可能とする合成材料で製造される。
【0033】
本発明の一実施形態において、単一の接合針(butt needle)、4本の接合針などの多くの針が使用される。
【0034】
本発明の一実施形態において、コットン、シルク、リネンなどの天然繊維、合成繊維、再生繊維、またはそれらの混合物からなる紡織繊維のカーディングプロセスが、回転しているフラットとドラムとの間の間隔を大きくして(開始点が35mm以上)、カーディングマシンにおいて低いドラム回転数(好ましくは、300回未満)で実行されるとき、同様のスライバーネップ効果が得られる。この方法で得られたネッピースライバーは、ドローフレームにおいて別の繊維と混合しても、しなくても良い。従って、混合を行うか否かの決定は、最終的な布地の単位面積のネップの望ましい数に依存する。
図1