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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】流量抵抗調整による呼気流量制限検出
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20221129BHJP
   A61B 5/085 20060101ALI20221129BHJP
   A61B 5/087 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
A61M16/00 332Z
A61B5/085
A61B5/087
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020535243
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 EP2018085723
(87)【国際公開番号】W WO2019129554
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】62/610,736
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヴィカリオ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】トラシェル,ウィリアム アンソニー
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0045687(US,A1)
【文献】国際公開第2016/185470(WO,A1)
【文献】特表2008-504068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0178385(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0361012(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0185406(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
A61B 5/085
A61B 5/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の呼気流量制限(EFL)を検出するシステムであって:
前記患者に吸気をもたらすように構成された吸気経路;
前記患者から呼気を取り出すように構成された呼気経路;
前記呼気経路を通る前記呼気の流量-容積情報を測定するセンサー;
前記呼気経路に配置され、前記呼気経路における呼気抵抗を提供するように調整可能であるように構成された流量抵抗器;及び
前記センサー及び前記流量抵抗器に動作可能に接続される1つ以上の物理的なプロセッサを有するコンピュータ・システム;
を有し、前記1つ以上の物理的なプロセッサは、コンピュータ・プログラム命令によりプログラムされており、命令は実行されると:
基準呼気抵抗が前記呼気経路において前記流量抵抗器により提供されている場合に、前記呼気経路を通る前記呼気の流量-容積情報を利用して、基準呼気流量-容積曲線を決定するステップ;
前記呼気抵抗を前記基準呼気抵抗よりも下げるように、前記流量抵抗器を調整するステップ;
下げられた前記呼気抵抗が前記呼気経路において前記流量抵抗器により提供されている場合に、前記呼気経路を通る前記呼気の流量-容積情報を利用して、摂動した呼気流量-容積曲線を決定するステップ;及び
記決定された摂動した呼気流量-容積曲線による呼気流量が、決定された基準呼気流量-容積曲線と比較して増加していないことにより、前記患者の前記呼気流量制限(EFL)を検出するステップ;
を前記コンピュータ・システムに行わせる、システム。
【請求項2】
前記基準呼気流量-容積曲線は、1つ以上の基準呼吸の間に前記呼気経路を通る前記呼気の前記流量-容積情報を利用して決定され、前記1つ以上の基準呼吸では、前記基準呼気抵抗が前記呼気経路において前記流量抵抗器により提供されており、
前記摂動した呼気流量-容積曲線は、摂動呼吸の前記呼気経路を通る前記呼気の前記流量-容積情報を利用して決定され、前記摂動呼吸では、下げられた前記呼気抵抗が前記呼気経路において前記流量抵抗器により提供されており、及び
前記1つ以上の基準呼吸は前記摂動呼吸に先行している、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンピュータ・システムは、前記EFLを廃止するために、前記EFLの検出時に呼気気道圧を増加させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
患者の呼気流量制限(EFL)を検出する方法あって、コンピュータ・プログラム命令を実行する1つ以上の物理的なプロセッサを有するコンピュータ・システムにより実行され、前記方法は:
呼気経路を通る呼気の流量-容積情報を、1つ以上のセンサーから取得するステップ;
基準呼気抵抗が前記呼気経路において流量抵抗器により提供されている場合に、前記呼気経路を通る前記呼気の流量-容積情報を利用して、基準呼気流量-容積曲線を、前記コンピュータ・システムにより決定するステップ;
気抵抗を前記基準呼気抵抗よりも下げるように、前記流量抵抗器を調整するステップ;
下げられた前記呼気抵抗が前記呼気経路において前記流量抵抗器により提供されている場合に、前記呼気経路を通る前記呼気の流量-容積情報を利用して、摂動した呼気流量-容積曲線を、前記コンピュータ・システムにより決定するステップ;及び
記決定された摂動した呼気流量-容積曲線による呼気流量が、決定された基準呼気流量-容積曲線と比較して増加していないことにより、前記患者の前記呼気流量制限(EFL)を、前記コンピュータ・システムにより検出するステップ;
を有する方法。
【請求項5】
前記基準呼気流量-容積曲線は、1つ以上の基準呼吸の間に前記呼気経路を通る前記呼気の前記流量-容積情報を利用して決定され、前記1つ以上の基準呼吸では、前記基準呼気抵抗が前記呼気経路において前記流量抵抗器により提供されており、
前記摂動した呼気流量-容積曲線は、摂動呼吸の前記呼気経路を通る前記呼気の前記流量-容積情報を利用して決定され、前記摂動呼吸では、下げられた前記呼気抵抗が前記呼気経路において前記流量抵抗器により提供されており、及び
前記1つ以上の基準呼吸は前記摂動呼吸に先行している、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記コンピュータ・システムは、前記EFLを廃止するために、前記EFLの検出時に呼気気道圧を増加させる、請求項に記載の方法。
【請求項7】
患者の呼気流量制限(EFL)を検出するシステムであって:
機械読み取り可能な命令を少なくとも1つの物理的なプロセッサで実行する手段を有し、前記機械読み取り可能な命令は:
呼気経路を通る呼気の流量-容積情報を、1つ以上のセンサーから取得するステップ;
基準呼気抵抗が前記呼気経路において流量抵抗器により提供されている場合に、前記呼気経路を通る前記呼気の流量-容積情報を利用して、基準呼気流量-容積曲線を決定するステップ;
気抵抗を前記基準呼気抵抗よりも下げるように、前記流量抵抗器を調整するステップ;
下げられた前記呼気抵抗が前記呼気経路において前記流量抵抗器により提供されている場合に、前記呼気経路を通る前記呼気の流量-容積情報を利用して、摂動した呼気流量-容積曲線を決定するステップ;及び
記決定された摂動した呼気流量-容積曲線による呼気流量が、決定された基準呼気流量-容積曲線と比較して増加していないことにより、前記患者の前記呼気流量制限(EFL)を検出するステップ;
を有する、システム。
【請求項8】
前記基準呼気流量-容積曲線は、1つ以上の基準呼吸の間に前記呼気経路を通る前記呼気の前記流量-容積情報を利用して決定され、前記1つ以上の基準呼吸では、前記基準呼気抵抗が前記呼気経路において前記流量抵抗器により提供されており、
前記摂動した呼気流量-容積曲線は、摂動呼吸の前記呼気経路を通る前記呼気の前記流量-容積情報を利用して決定され、前記摂動呼吸では、下げられた前記呼気抵抗が前記呼気経路において前記流量抵抗器により提供されており、及び
前記1つ以上の基準呼吸は前記摂動呼吸に先行している、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記機械読み取り可能な命令は、前記EFLを廃止するために、前記EFLの検出時に呼気気道圧を増加させるステップを更に含む、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連技術
本特許出願は、2017年12月27日付で出願された米国仮出願第62/610,736号のU.S.C.§119(e)に基づく優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
1.技術分野
本開示は、患者の呼気流量制限(EFL)を検出する方法及びシステムに関する。
【0003】
2.関連技術の説明
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は公衆衛生上の問題である。これは米国における慢性的な罹病及び死亡の第4位の原因であり、2400万人以上の米国人に影響を及ぼしている。これは、米国では心臓病及び癌に次いで第3位の主要な死因であり、2020年までには世界で第3位の死因になると予測されている。死亡率の増加は、世界的な高齢化と喫煙の流行によってもたらされている。
【0004】
COPDは、肺気腫、慢性気管支炎、非可逆性喘息、ある形態の気管支拡張症などを含む進行性肺疾患を表すために使用される総称である。COPDは息切れの増加により特徴付けられる。COPDを患う患者は、肺組織の悪化又はそれらの気道壁の炎症に起因する呼気の困難性を有する可能性がある。この状態は一般に呼気流量制限(EFL)と呼ばれ、生活の質に影響を及ぼし、最終的には急性呼吸不全の一因となる。一例として、呼気流量制限は、実質の破壊による弾力的反動性の喪失、又は何らかの他の形態の気道障害物に起因して人の気道が部分的に崩壊するという生理学的状態に関する。以下の文献に記載されているように、「EFLの定義は、経肺圧の更なる増加が呼気流量の更なる増加を引き起こさないことを意味する」N.G.Koulouris et al.,“Methods for assessing expiratory flow limitation during tidal breathing in COPD patients,”Pulmonary Medicine,vol.2012,doi:10.1155/2012/234145.被験者の呼気流制限は、呼気努力の増加にもかかわらず、流量が増加しなくなったことを1つ以上のセンサーで検出することによって決定される。EFLの患者は、力によっては彼の流速を増加させることができず、しばしば総肺活量の方に向かって動的容積を増加させ、TLC(動的過膨張)、筋肉疲労を引き起こす。また、EFLの患者は運動耐容能が低く、慢性的な呼吸困難があり、不健康で座りがちな生活様式となる。
【0005】
EFLの一般的な治療は気道陽圧及び/又は薬剤の適用である。
【0006】
ICUの患者では、EFLは手作業で検出される。臨床医/呼吸療法士は、呼気の開始時に患者の腹部に力を加える。即ち、医師は、呼気中に換気した患者を単に押圧し、流量に増加があるかどうかを判断するだけである。この力は、呼気流を駆り立てる肺と口との間の圧力差を増大させる。患者がEFLを有するならば、呼気流は増加しない。この手作業の胸部圧迫法は、i)患者の協力を必要とせず、ii)再現性に乏しく(手動操作)、iii)熟練者を必要とする。また、手作業の胸部圧迫法は、在宅の慢性患者には適用できない。
【0007】
EFLの検出のための他の技術は、強制振動法(FOT)及び陰性呼気圧(NEP)法によるΔXrsである。
【0008】
例えば、NEP法は、i)患者の協力を必要とせず、ii)陰圧(又は少なくとも陽圧)を必要とし、iii)上気道アーチファクトを生じる可能性がある。FOT法は、i)患者の協力を必要とせず、ii)圧力振動の発生を必要とする。
【0009】
更に、FOT法及びNEP法は、スタンド・アローン・デバイスとして、及び多機能肺活量計一部として利用できる。EOT及びNEP法は典型的には(人工呼吸器で)換気されていな患者に使用される。NEP法は概念的には腹部への圧力の印加に類似している。これは、腹部圧迫による肺内圧の上昇を、口に適用される陰圧に置き換える。FOT法によるΔXrsは、EFLが発生したときの呼吸器系のリアクタンス変化を当てにしている。リアクタンスを「測定」するために、強制正弦波圧力信号が印加される。プライマリ・ケアでは、FEV1(1秒間で強制される呼気容積)と、肺活量計から得られるFVC(機能的肺活量)との比が一般的に使用される。
【0010】
従って、患者の呼気流量制限(EFL)を検出するための改善されたシステム及び方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0011】
従って、本特許出願の1つ以上の実施形態の課題は、患者の呼気流量制限(EFL)を検出するシステムを提供することである。システムは、患者に吸気をもたらす吸気経路;患者から呼気を取り出す呼気経路;呼気経路を通る呼気の流量-容積情報を測定するセンサー;呼気経路に配置され、呼気経路における呼気抵抗を提供するように調整可能な流量抵抗器;及びセンサー及び流量抵抗器に動作可能に接続される1つ以上の物理的なプロセッサを有するコンピュータ・システムを有する。一実施形態において、1つ以上の物理的なプロセッサは、コンピュータ・プログラム命令によりプログラムされており、命令は実行されると:基準呼気抵抗が呼気経路において流量抵抗器により提供されている場合に、呼気経路を通る呼気の流量-容積情報を利用して、基準呼気流量-容積曲線を決定するステップ;呼気抵抗を基準呼気抵抗よりも下げるように、流量抵抗器を調整するステップ;下げられた呼気抵抗が呼気経路において流量抵抗器により提供されている場合に、呼気経路を通る呼気の流量-容積情報を利用して、摂動した呼気流量-容積曲線を決定するステップ;及び(i)決定された摂動した呼気流量-容積曲線及び(ii)決定された基準呼気流量-容積曲線に基づいて、患者のEFLを検出するステップをコンピュータ・システムに行わせる。
【0012】
本特許出願の1つ以上の更に別の側面は、患者の呼気流量制限(EFL)を検出する方法を提供することである。方法は、実行されると方法を実行するコンピュータ・プログラム命令を実行する1つ以上の物理的なプロセッサを有するコンピュータ・システムにより実現される。方法は、呼気経路を通る呼気の流量-容積情報を、1つ以上のセンサーから取得するステップ;基準呼気抵抗が呼気経路において流量抵抗器により提供されている場合に、呼気経路を通る呼気の流量-容積情報を利用して、基準呼気流量-容積曲線を、コンピュータ・システムにより決定するステップ;呼気抵抗を基準呼気抵抗よりも下げるように、流量抵抗器を調整するステップ;下げられた呼気抵抗が呼気経路において流量抵抗器により提供されている場合に、呼気経路を通る呼気の流量-容積情報を利用して、摂動した呼気流量-容積曲線を、コンピュータ・システムにより決定するステップ;及び(i)決定された摂動した呼気流量-容積曲線及び(ii)決定された基準呼気流量-容積曲線に基づいて、患者の呼気流量制限(EFL)を、コンピュータ・システムにより検出するステップを有する。
【0013】
1つ以上の実施形態の更に別の側面は、患者の呼気流量制限(EFL)を検出するシステムを提供することである。システムは、機械読み取り可能な命令を少なくとも1つの物理的なプロセッサにより実行する手段を有する。機械読み取り可能な命令は、呼気経路を通る呼気の流量-容積情報を、1つ以上のセンサーから取得するステップ;基準呼気抵抗が呼気経路において流量抵抗器により提供されている場合に、呼気経路を通る呼気の流量-容積情報を利用して、基準呼気流量-容積曲線を決定するステップ;呼気抵抗を基準呼気抵抗よりも下げるように、流量抵抗器を調整するステップ;下げられた呼気抵抗が呼気経路において流量抵抗器により提供されている場合に、呼気経路を通る呼気の流量-容積情報を利用して、摂動した呼気流量-容積曲線を決定するステップ;及び(i)決定された摂動した呼気流量-容積曲線及び(ii)決定された基準呼気流量-容積曲線に基づいて、患者の呼気流量制限(EFL)を検出するステップを有する。
【0014】
本特許出願のこれら及びその他の課題、性質、特徴、構造及びパーツの組み合わせの関連要素の動作方法及び機能、並びに製造の経済性は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を、添付図面を参照して考察することにより更に明らかになるであろう。ここで、同様の参照番号は、種々の図面において対応するパーツを示す。しかしながら、図面は、例示及び説明のみを目的としており、本特許出願の制限の定義として意図されてはいないことは、明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本特許出願の実施形態による患者の呼気流量制限(EFL)を検出するための例示的なシステムである。
【0016】
図2】本特許出願の別の実施形態による患者のEFLを検出するための例示的なシステムである。
【0017】
図3】本特許出願の別の実施形態による患者のEFLを検出するための例示的なシステムである。
【0018】
図4】本特許出願の別の実施形態による患者のEFLを検出するための例示的なシステムである。
【0019】
図5】本特許出願の実施形態による患者のEFLを検出するためのシステムにおいて選択された呼吸における例示的な呼気抵抗の低下示すグラフを示す。
【0020】
図6】本特許出願の一実施形態による患者のEFLを検出するためのシステムから得られた摂動した呼吸流量-容積曲線と基準呼吸流量-容積曲線との間の例示的な流量比較を示す。
【0021】
図7】本特許出願の実施形態に従う、患者のEFLを検出するシステムにおける呼気抵抗の低減による例示的なEFL検出と、同一システムを用いてEFLを廃止するための対応する処置とを示す。
【0022】
図8】患者のEFLを検出するための例示的な方法、及び本特許出願の実施形態によるEFLの対応する廃止を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書で使用される場合、「ある(“a”,“an”)」及び「その(the)」という単独の形式は、文脈上明示的に別意を示さない限り、複数の参照を含む。本明細書で使用される場合、2つ以上のパーツ又はコンポーネントが「連結される」という表現は、パーツが直接的又は間接的に、即ちリンクが生じる限り、1つ以上の中間的なパーツ又はコンポーネントを通じて連結されている、又は一緒に動作することを意味するものとする。本明細書で使用される場合、「直接的に結合される」は、2つの要素が互いに直接的に接触していることを意味する。本明細書で使用される場合、「固定的に結合される」又は「固定される」とは、2つのコンポーネントが、互いに対して一定の方向を保ちつつ、1つのものとして動くように結合されることを意味する。本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、文脈上明らかに別意を示さない限り、「及び/又は」を意味する。
【0024】
本明細書で使用され場合、「単一の」という言葉は、コンポーネントが単一の部品又はユニットとして作成されることを意味する。即ち、別々に作成され、その後ユニットとして一緒に結合される部品を含むコンポーネントは、「単一の」コンポーネント又は本体ではない。本明細書で使用される場合、2つ以上のパーツ又はコンポーネント品が互いに「係合」するという表現は、パーツが直接的に、又は1つ以上の中間的なパーツ又はコンポーネントを通じて、互いに力を作用させることを意味するものとする。本明細書で使用され場合、「数(又は個)」という用語は、1つ又は1つより大きな整数(即ち、複数)を意味するものとする。
【0025】
本明細書で使用される方向性の語句(例えば、上、下、左、右、上位、下位、前、後、及びそれらの派生語であるが、これらに限定されない)は、図面に示される要素の向きに関連しており、明示的に記載されない限り、特許請求の範囲に関する限定ではない。
【0026】
本特許出願は、患者の呼気流量制限(EFL)を検出するシステム100を提供する。システム100は、患者に吸気をもたらす吸入通路104と、患者から出る呼気を取り出す呼気通路108と、呼気通路108を通る呼気の流量情報を測定するセンサー106と、呼気通路108に配置され、呼気通路108において呼気抵抗を提供するように調整可能な流量抵抗器110と、センサー106及び流量抵抗器110と動作可能に接続される1つ以上の物理的なプロセッサを備えるコンピュータ・システム102とを備える。
【0027】
一実施形態において、コンピュータ・システム102の1つ以上の物理的なプロセッサは、コンピュータ・プログラム命令によりプログラムされており、命令は実行されると:基準呼気抵抗が呼気経路において流量抵抗器110により提供されている場合に、呼気経路108を通る呼気の流量-容積情報を利用して、基準呼気流量-容積曲線を決定するステップ;呼気抵抗を基準呼気抵抗よりも下げるように、流量抵抗器110を調整するステップ;下げられた呼気抵抗が呼気経路において流量抵抗器110により提供されている場合に、呼気経路108を通る呼気の流量-容積情報を利用して、摂動した呼気流量-容積曲線を決定するステップ;及びi)決定された摂動した呼気流量-容積曲線及びii)決定された基準呼気流量-容積曲線に基づいて、患者の呼気流量制限(EFL)を検出するステップをコンピュータ・システム102に行わせる。
【0028】
一実施形態では、システム100は、呼気経路108に配置された流量抵抗器110の自動調整により呼気流量制限の検出を容易にするように構成されている。一実施形態では、COPD患者におけるEFLの存在を検出するために専用に設計された、携帯式で低コストな最先端の肺機能測定機器/システム100が、本特許出願で開示される。一実施形態では、システム100は、図1に示すように、空気圧回路(a pneumatic circuit)及び装置/システム100を含む。一実施形態では、システム100は、図3に示すような空気圧回路を含む。一実施形態では、システム100は、図4に示すような空気圧回路を含む。一実施形態では、システム100は、図2に示すようなシステムであってもよい。一実施形態では、システム100は、調整可能な陽圧呼気圧(PEP)療法又はPEP肺活量計システム/装置を含む。
【0029】
一実施形態では、図1~4に関し、システム100は、吸気経路104を形成するチューブ又は導管部分を含む。一実施形態では、吸気通路104は、吸入される空気を患者に運ぶように構成される。
【0030】
一実施形態では、システム100は、吸気経路104とつながるように構成された吸入弁107を含む。一実施形態では、吸入弁107は逆止弁(a check valve)を含む。一実施形態では、吸気弁107は、ボール弁(a ball valve)を含む。一実施形態では、吸気弁107は一方向弁を含む。一実施形態では、吸入弁107は制御可能な弁を含む。一実施形態では、吸入弁107は、吸入された空気を患者にもたらす(即ち、患者が息を吸い込むことができるようにする)ように構成される任意の弁アセンブリである可能性がある。一実施形態では、吸気経路104におけるガス/空気の流れる方向は、図1、3、及び4の矢印によって示されるように、呼気経路108におけるものと反対である。
【0031】
一実施形態では、各呼吸サイクルは、一般に、吸入フェーズ及び呼気フェーズを含む。一実施形態では、吸入フェーズの間に、吸入弁107は開状態であり、呼気弁109は閉状態である。即ち、吸入フェーズの間、(例えば、周囲圧力Pambにおける)ガスの流れは、開放吸入弁107を通り、吸気経路104を通って患者の口(気道及び肺)に入る。一実施形態では、周囲圧力の空気Pambが、例えば吸入弁107を通って吸気経路104内に吸入される。即ち、吸入弁107は、患者が、実質的に抵抗のない状態で吸入できるように開くように構成されている。一実施形態では、ガスの流れは、システム100の入口開口103を通じて吸引される。呼気フェーズの間、吸気弁107を閉じることによって、空気は入口開口103を通って流出することから防止される。
【0032】
一実施形態では、吸入フェーズの間、患者の口内の圧力は、周囲圧力Pamb(即ち、0cmH0)にほぼ等しいが、呼気フェーズの間、空気は、圧力の低下を引き起こす抵抗要素又は抵抗器110を通過し、即ち口腔内圧Pmouthは周囲圧力Pambよりも高くなるであろう(図5に示されている)。
【0033】
一実施形態では、システム100はまた、呼気フェーズの開始及び終了を検出するように構成される。一実施形態では、システム100は、呼気フェーズの開始及び終了を検出するアルゴリズムを含む。
【0034】
一実施形態では、システム100は、呼気経路108を形成するチューブ又は導管部分を含む。一実施形態では、呼気経路108は患者から出る呼気を取り出すように構成される。一実施形態では、図4に示すように、システム100の呼気経路108は逆止弁119を含む。一実施形態では、図4に示すように、呼気経路108は、オン・オフ弁109を含む。一実施形態では、図4に示すように、呼気経路108は逆止弁119及びオン・オフ弁109の両方を含む。一実施形態では、呼気弁109/119は、呼気経路108とつながるように構成される。一実施形態では、呼気弁109/119は、患者からの呼気の流れが、呼気経路108を通って大気中に逃げるように、制御/許容するように構成された任意のバルブ・アセンブリである可能性がある。一実施形態では、呼気弁109は、ソレノイド又は電気機械作動弁を含む。一実施形態では、呼気弁119はボール弁を含む。一実施形態では、呼気弁119は逆止弁を含む。一実施形態では、呼気弁119は一方向弁を含む。
【0035】
一実施形態では、システム100は、患者の呼気の間の可変抵抗を制御するように構成される。一実施形態では、システム100はまた、以下に詳細に説明するように、患者の呼気中の可変抵抗を除去するように構成される。
【0036】
一実施形態では、システム100は、呼気経路108に配置された流量抵抗器110を含む。一実施形態では、流量抵抗器110は流量抵抗素子を含んでもよい。一実施形態では、流量抵抗器110は電気的流れ抵抗素子であってもよい。一実施形態では、流量抵抗器110は機械的流れ抵抗素子であってもよい。一実施形態では、流量抵抗器110は、電気機械的流れ抵抗素子であってもよい。一実施形態では、流量抵抗器110は、呼気経路108において呼気抵抗を提供するように構成された任意の流れ抵抗素子であってもよい。
【0037】
一実施形態では、流量抵抗器110は、呼気経路108において呼気抵抗を提供するように調整可能であるように構成される。一実施形態では、流量抵抗器110によって提供される呼気抵抗は、選択された呼吸に関して減らされ、呼気圧駆動を増加させ、腹部圧迫手技を模倣するように設定され、これについては以下で詳細に説明される。
【0038】
一実施形態では、流量抵抗器110は手動で作動する及び/又は調整可能であるように構成される。一実施形態では、流量抵抗器110は機械的に作動する及び/又は調整可能であるように構成される。
【0039】
一実施形態では、流量抵抗器110は、コンピュータ・システム102の1つ以上の物理的なプロセッサと動作可能に接続されるように構成される。一実施形態では、以下に詳細に説明されるように、流量抵抗器110は、コンピュータ・システム102によって調整可能であるように構成される。一実施形態では、図2のシステム100に関して以下で詳細に説明するように、流量抵抗器110は、コンピュータ・システム102の流量抵抗器サブシステム114によって調整可能であるように構成される。
【0040】
一実施形態では、システム100は、患者によって放出されたガス/空気の流れを測定するセンサー106を含む。一実施形態において、センサー106は、流速、流量容積などの呼吸パラメータを測定して提供するように構成される。一実施形態では、センサー106は、呼気経路108を通る呼気の流量容積情報を測定するように構成される。一実施形態において、センサー106は、呼気経路108を通る呼気の容積流量速度を測定するように構成される。
【0041】
一実施形態では、センサー106はフロー・センサーである。一実施形態では、センサー106はフロー・センサー及び圧力センサーを含む。
【0042】
一実施形態では、センサー106は呼気経路108と流体連通している。呼気/呼気フェーズの間、センサー106は、呼気経路108における流量及び/又は圧力を測定するように構成される。一実施形態において、センサー106は、呼気/呼気フェーズの開始を感知し、センシング手順を開始するために較正されてもよい。一実施形態では、センサー106は、コンピュータ・システム102の1つ以上の物理的なプロセッサと動作可能に接続されるように構成される。一実施形態では、センサー106は、コンピュータ・システム102の基準・呼気流量-容積曲線・決定サブシステム112及び摂動呼気流量-容積曲線・決定サブシステム116と動作可能に接続されるように構成される。一実施形態では、センサー106は、データベース(例えば、データベース132)と動作可能に接続され、呼気流路108を通る呼気の流量-容積情報をデータベースに保存するように構成される。呼気経路108を通る呼気の保存された流量-容積情報は、必要に応じてデータベースから後に検索されることが可能である。
【0043】
一実施形態では、システム100はマウスピース111を含み、マウスピース111を介して患者はシステム100システム100内で呼吸する。一実施形態では、マウスピース111は、患者がマウスピース111の一部を彼/彼女の口の中に取り込むタイプのものであってもよい。一実施形態では、システム100はマスク111を含み、マスク111を介して患者はシステム100内で呼吸する。一実施形態では、マスク又はマウスピース111は、システム100に取り外し可能に接続されるように構成される。一実施形態では、患者は呼気をマスク又はマウスピース111に放出する。
【0044】
図2は、1つ以上の実施形態による、患者のEFLを検出するためのシステム100を示す。図2に示すように、システム100は、サーバー102(又は複数のサーバー102)を含んでもよい。サーバー102は、基準呼気流量-容積曲線決定サブシステム112、流量抵抗調整サブシステム114、摂動呼気流量-容積曲線決定サブシステム116、呼気流量制限(EFL)検出サブシステム118、呼気流量制限廃止サブシステム120、又はその他のコンポーネント又はサブシステムを含んでもよい。
【0045】
一実施形態では、呼気流量制限廃止サブシステム120はオプションである。本明細書に記載される様々なサブシステム112~120によって提供される機能性の説明は、例示の目的のためであり、限定するようには意図されておらず、なぜなら何れのサブシステム112~120も説明されたものより多い又は少ない機能を提供する可能性があるからである、ということが理解されるべきである。例えば、サブシステム112~120のうちの1つ以上は、除去されてもよく、その機能の一部又は全部は、サブシステム112~120のうちの他のものによって提供されてもよい。別の例として、追加のサブシステムは、本明細書におけるサブシステム112~120のうちの1つに帰属する機能の一部又は全部を実行するようにプログラムされてもよい。
【0046】
一実施形態では、基準呼気流量-容積曲線決定サブシステム112は、基準呼気抵抗が呼気経路108において流量抵抗器110によって提供されている場合に、呼気経路108を通る呼気の流量-容積情報を用いて、基準呼気流量-容積曲線を決定するように構成される。
【0047】
一実施形態では、設定された又は基準呼気抵抗は臨床試験によって取得されてもよい。一実施形態では、設定又は基準呼気抵抗はデータ分析を用いて取得されてもよい。一実施形態では、設定又は基準呼気抵抗は研究発表から取得されてもよい。一実施形態では、基準又は設定呼気抵抗は、データベース(例えば、データベース132)に保存され、必要に応じてデータベースから取り出されてもよい。一実施形態では、システム100のサブシステムは、基準又は設定呼気抵抗を継続的に更新/修正する可能性がある。一実施形態では、設定又は基準呼気抵抗は、結果的に生じる正の呼気圧が一定又はほぼ一定になるように設定される。
【0048】
一実施形態では、基準呼気流量-容積曲線決定サブシステム112は、基準呼気抵抗が呼気経路108において流量抵抗器110によって提供されている場合に、呼気経路108に関連する情報を得ることができる。一実施形態では、情報は、流量-容積情報、流量情報、圧力情報、又は他の任意の関連情報を含んでもよい。一実施形態では、患者の流量-容積情報は、基準呼気抵抗が呼気通路108において流量抵抗器110によって提供される場合に、呼気経路108内の流量-容積に関する情報を含んでもよい。一実施形態では、患者の流量情報は、基準呼気抵抗が呼気経路108において流量抵抗器110によって提供される場合に、呼気経路108を通る流れに関する情報を含んでもよい。一実施形態では、患者の圧力情報は、基準呼気抵抗が呼気通路108において流量抵抗器110によって提供される場合に、呼気経路108内の圧力に関する情報を含んでもよい。
【0049】
別の例として、1つ以上の監視装置(例えば、流量監視装置、圧力監視装置、又は他の監視装置)から情報を得ることができる。一実施形態では、1つ以上の監視装置及び関連するセンサー106は、基準呼気抵抗が呼気経路108において流量抵抗器110によって提供される場合に、呼気経路108内の流量容積を監視するように構成されることが可能である。一実施形態では、1つ以上の監視装置及び関連するセンサー106は、基準呼気抵抗が呼気経路108において流量抵抗器110によって提供される場合に、呼気経路108を通る流れ(フロー)を監視するように構成されることが可能である。一実施形態では、1つ以上の監視装置及び関連するセンサー106は、基準呼気抵抗が呼気経路108において流量抵抗器110によって提供される場合に、呼気経路108内の圧力を監視するように構成されることが可能である。これらの監視装置は、圧力センサー、圧力変換器、流量センサー、流量センサー、容積センサー、又は他のセンサーのような1つ以上のセンサー106を含んでもよい。センサーは、例えば基準呼気抵抗が呼気経路108において流量抵抗器110によって提供されている場合に、患者の情報(例えば、圧力、流量、流量-容積、容積、又は他の関連パラメータ)又は呼気経路108に関連する他の情報を得るように構成されることができる。
【0050】
あるシナリオでは、監視装置は、情報(例えば、1つ以上のセンサー106からの情報に基づく情報)を取得し、処理のためにネットワーク(例えば、ネットワーク150)を介してコンピュータ・システム(例えば、サーバー102を含む)に情報を提供することができる。別のシナリオでは、情報を得ると、監視装置は、得られた情報を処理し、処理された情報をネットワーク(例えば、ネットワーク150)を介してコンピュータ・システムに提供することができる。更に別のシナリオでは、監視装置は、コンピュータ・システム(例えば、サーバ102を含む)に情報(例えば、取得した又は処理された情報)を自動的に提供することができる。
【0051】
一実施形態では、基準呼気流量-容積曲線決定サブシステム112は、呼気経路108において基準呼気抵抗110によって基準呼気抵抗が提供される場合に得られた流量-容積情報から、基準呼気流量-容積曲線を決定するように構成される。即ち、基準呼気流量-容積曲線決定サブシステム112は、装置の流量センサー及び圧力センサーからの情報/データを分析し、センサー・データ/情報に基づいて基準呼気流量-容積曲線を計算又は決定するように構成される。一実施形態では、基準呼気流量-容積曲線決定サブシステム112は、フロー信号及び圧力信号から直接的に基準呼気流量-容積曲線を決定するように構成することができる。
【0052】
一実施形態では、流量抵抗調整サブシステム114は、流量抵抗器110と動作可能に関連付けられるように構成される。一実施形態では、流量抵抗調整サブシステム114は、患者の呼気中の可変抵抗を制御するように構成される。一実施形態では、流量抵抗調整サブシステム114はまた、患者の呼気中の可変抵抗を除去するようにも構成される。
【0053】
一実施形態では、流量抵抗調整サブシステム114は、流量抵抗110を基準呼気抵抗に調整するように構成される。一実施形態では、流量抵抗調整サブシステム114は、基準呼気抵抗よりも呼気抵抗を低下させるように流量抵抗器110を調整するように構成される。一実施形態では、流量抵抗調整サブシステム114は、選択された呼吸における呼気抵抗を減少(又は減少/低下)するように構成される。一実施形態では、流量抵抗調整サブシステム114は、例えばEFLを廃止するために、呼気抵抗を調整/変更するように構成される。一実施形態では、流量抵抗調整サブシステム114は、選択された呼吸における基準呼気抵抗を増加させるように構成される。
【0054】
一実施形態では、摂動呼気流量-容積曲線決定サブシステム116の構成、動作、及び構造は、以下に言及する相違点を除いて、基準呼気流量-容積曲線決定サブシステム112のものと同様である。一実施形態では、摂動呼気流量-容積曲線決定サブシステム116は、より低い呼気抵抗(即ち、設定された/基準の呼気抵抗よりも低い)が呼気経路108において流量抵抗110によって提供される場合に、呼気経路108を通る呼気の流量-容積情報を用いて、摂動した呼気流量-容積曲線を決定するように構成される。
【0055】
一実施形態では、摂動呼気流量-容積曲線決定サブシステム116は、より低い呼気抵抗(即ち、設定/基準呼気抵抗未満)が呼気経路108において流量抵抗110によって提供される場合に、呼気経路108に関連する情報を得ることができる。一実施形態では、より低い呼気抵抗(即ち、設定/基準呼気抵抗未満)が呼気通路108において呼気抵抗110によって提供される場合に、情報は、流量-容積情報、流量情報、圧力情報、又は何らかの他の関連情報を含む可能性がある。一実施形態では、より低い呼気抵抗(即ち、設定/基準呼気抵抗未満)が、呼気経路108において流量抵抗110によって提供される場合に、1つ以上の監視装置及び関連するセンサー106は、呼気流路108における流量-容積、流量、圧力、又はその他の関連情報を監視するように構成されることができる。
【0056】
一実施形態では、摂動呼気流量-容積曲線決定サブシステム116は、より低い呼気抵抗(即ち、設定/基準呼気抵抗未満)が呼気流路108において流量抵抗110によって提供されている場合に得られた流量-容積情報から、摂動した呼気流量-容積曲線を決定するように構成される。即ち、摂動呼気流量-容積曲線決定サブシステム116は、装置の流量センサー及び圧力センサーからの情報/データを分析し、センサー・データ/情報に基づいて、摂動した呼気流量-容積曲線を計算又は決定するように構成される。一実施形態では、摂動呼気流量-容積曲線決定サブシステム116は、流量及び圧力信号から直接的に、摂動した呼気流量-容積曲線を決定するように構成することができる。
【0057】
一実施形態では、システム100は、呼気流量-容積曲線を計算するアルゴリズムを含む。一実施形態では、システム100の基準呼気流量-容積曲線決定サブシステム112及び摂動呼気流量-容積曲線決定サブシステム116はそれぞれ呼気流量-容積曲線を計算するためのアルゴリズムを含む。即ち、一実施形態では、基準呼気流量-容積曲線決定サブシステム112は、呼気経路108において流量抵抗110によって基準呼気抵抗が提供される場合に、呼気経路108を通る呼気の流量-容積情報を使用して基準呼気流量-容積曲線をアルゴリズムを使用して決定するように構成される。一実施形態では、摂動呼気流量-容積曲線決定サブシステム116は、より低い呼気抵抗(即ち、設定/基準呼気抵抗未満)が呼気経路108において流量抵抗110によって提供される場合に、呼気経路108を通る呼気の流量-容積情報を使用して摂動呼気流量-容積曲線をアルゴリズムを使用して決定するように構成される。
【0058】
一実施形態では、呼気流量制限(EFL)検出サブシステム118は、i)(例えば、基準呼気流量-容積曲線決定サブシステム112から)決定された摂動呼気流量-容積曲線及びii)(例えば、摂動呼気流量-容積曲線決定サブシステム116から)決定された基準呼気流量-容積曲線に基づいて、患者の呼気流量制限(EFL)を検出するように構成される。一実施形態では、呼気流量制限(EFL)検出サブシステム118は、(例えば、基準呼気流量-容積曲線決定サブシステム112から)決定された摂動呼気流量-容積曲線を、(例えば、摂動呼気流量-容積曲線決定サブシステム116から)決定された基準呼気流量-容積曲線と比較することによって、患者の呼気流量制限(EFL)を検出するように構成される。
【0059】
一実施形態では、EFLの存在は、2つの呼吸の流量-容積曲線(即ち、基準呼吸より低い呼気抵抗を有する摂動呼吸及び基準呼吸)を比較することによって評価される。
【0060】
一実施形態では、基準呼気流量-容積曲線及び摂動呼気流量-容積曲線は、呼吸の視覚的評価のために介護者に表示される。一実施形態では、分類(即ち、EFL_vs_非EFL)は、介護者によって行われる。
【0061】
一実施形態では、システム100はまた、ユーザー・インターフェース及び/又は他のコンポーネントを含む。一実施形態では、ユーザー・インターフェースは、システム100と患者/介護者/医師との間のインターフェースを提供するように構成される。一実施形態では、基準呼気流量-容積曲線及び摂動呼気流量-容積曲線は、ユーザー・インターフェースにより介護者/医師に表示される。一実施形態では、介護者/医師は、ユーザー・インターフェースを使用して患者に届けられる1つ以上のPEP治療レジメンを指定してもよい。ユーザー・インターフェースに含めるのに適したインターフェース装置の例は、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、表示スクリーン、タッチ・スクリーン、スピーカ、マイクロフォン、インジケータ・ライト、可聴アラーム、プリンタ、触覚フィードバック装置、及び/又は他のインターフェース装置を含む。一実施形態では、ユーザー・インターフェースは、複数の別々のインターフェースを含む。一実施形態では、ユーザー・インターフェースは、システム100と一体的に提供される少なくとも1つのインターフェースを含む。
【0062】
一実施形態では、分類(即ち、EFL_vs_非EFL)は自動化される。一実施形態では、分類(即ち、EFL_vs_非EFL)は、システム100内のコンピュータ・システム102の1つ以上のプロセッサによって実行されるアルゴリズムで行われる。一実施形態では、分類(即ち、EFL_vs_非EFL)は、システム100の外にあるコンピュータ・システム102の1つ以上のプロセッサによって実行されるアルゴリズムで行われる。即ち、システム100は、テスト結果(即ち、EFL_vs_非EFL)を決定する自動アルゴリズムを含む。一実施形態では、分類アルゴリズムは、低減された呼気抵抗に関わる呼吸(即ち、摂動呼吸)、及び摂動に先行する呼吸(即ち、基準呼吸)の呼気波形を、入力として受信するように構成される。即ち、分類アルゴリズムは、基準呼気流量-容積曲線及び摂動呼気流量-容積曲線を入力として受け取るように構成される。
【0063】
一実施形態では、摂動呼気に先行する1つ以上の呼吸が、アルゴリズムのロバスト性を高めるために(例えば、平均参照呼気を計算することによって)、及び/又は、摂動呼気との比較が交絡因子(confounding factors)の影響を受けないように、基準呼気が十分に安定しているかどうか、及び/又は反復可能かどうかを評価するために使用される。一実施形態では、流れ波形を変化させることができる唯一の要因は、駆動圧力である。
【0064】
一実施形態では、分類アルゴリズムは、呼気流量波形又は流量-容積曲線から計算される単一の特徴に基づいている。一実施形態では、呼気流量波形又は流量-容積曲線から計算される特徴は、基準呼吸からのフローに等しい摂動呼吸からのフローで生じる呼気容積のパーセンテージを含む。一実施形態では、呼気流量-容積曲線又は容積波形は、測定された呼気流量-容積曲線又は流量波形の数値積分によって計算される。一実施形態では、最適化すべきアルゴリズム・パラメータの中には、フローが等しいと考えることが可能であるかどうかを決定するための閾値と、呼気が流量制限されるかどうかを宣言するための呼気容積のパーセンテージにおける閾値とがある。一実施形態では、上記のパーセンテージは、EFLを廃止するために必要な圧力の自動変化に関連する。
【0065】
一実施形態では、分類アルゴリズムは、呼気流量-容積曲線又は呼気流量波形から計算される複数の特徴に基づく。一実施形態では、呼気流量波形又は呼気流量-容積曲線から算出される特徴は、同じフローの呼気容積のパーセンテージ(基準呼吸_vs_摂動呼吸)、(基準呼吸及び摂動呼吸についての同じ時間にわたる)呼気容積、典型的には摂動呼吸において生じる振幅のピークを含む。一実施形態では、分類アルゴリズムは、データに基づくものであり(data-driven)、従って、フロー制限呼吸及び非フロー制限呼吸の両方を含むデータセットで訓練され(即ち、機械学習を行い)、次いで独立したデータセットで検証される(即ち、これは訓練フェーズから除外される)。
【0066】
一実施形態では、図7に示すように、(例えば、呼気流量制限検出サブシステム118へのような)分類アルゴリズムへの入力は、摂動呼吸からの気流波形/流量-容積曲線と、基準呼吸からの気流波形/流量-容積曲線(例えば、摂動呼吸に先立つ1つ又は複数の呼吸)とを含む。一実施形態では、摂動呼吸からの気流波形/流量-容積曲線は、摂動呼気流量-容積曲線決定サブシステム116から分類アルゴリズム(例えば、呼気流量制限検出サブシステム118)へ送られる。一実施形態では、基準呼吸(例えば、摂動呼吸に先立つ1つ又は複数の呼吸)からの気流波形/流量-容積曲線は、基準呼気流量-容積曲線決定サブシステム112から分類アルゴリズム(例えば、呼気流量制限検出サブシステム118)へ送られる。
【0067】
一実施形態では、呼気流量制限(EFL)廃止サブシステム120は、検出時によりEFLを廃止するように構成される。一実施形態では、呼気抵抗もまた、EFLを廃止するように変更される。一実施形態において、システム100は、EFLのリアルタイム検出及び廃止のために使用されてもよい。一実施形態では、図8に関して詳細に説明されるように、コンピュータ・システム102の1つ以上のプロセッサは、EFLを検出すると、EFLを廃止するために、呼気気道圧を自動的に増加又は減少させるように構成される。一実施形態では、システム100は、EFLを特別に検出し、場合によってはそれを治療するように構成される。更に、システム100は、選択された呼吸における呼気抵抗を減少させるように構成される。
【0068】
一実施形態では、システム100は、EFLの検出時に、EFLを廃止するためにPEP療法を自動的に調整するように構成される。一実施形態では、設定される呼気抵抗は増加し、その手順は幾つかの呼吸の後に繰り返される。一実施形態では、いったんEFLが廃止されると、規則的な時間間隔で、又は呼吸パターンの変化が検出された場合に、EFLの不存在を確認するために手順が反復される。
【0069】
図3に示す概略は一つの可能な実施例に過ぎない。図3の概念の実装は、異なる実施形態、例えば図4におけるものに従うことが可能であり、そこでは、呼気のために更なる経路又は通路が示されている。この経路/通路は、i)オープン(抵抗なし)、ii)クローズド(抵抗無限大)という2つの可能な構造を有する。一実施形態では、弁109は、一方の構成から他方の構成に切り替えるために使用される。一実施形態では、通常(基準呼吸)、追加の経路/通路は遮断される(弁は閉じられる)。一実施形態では、呼気流量(EF)が必要とされる場合、追加の経路/通路は開放され(弁は開かれ)、呼気抵抗をバイパスする(摂動呼吸)。
【0070】
図5にEFLを検出する技術の一例を示す。図5は、システム100において、選択された呼吸に関する例示的な呼気抵抗の低下についてのグラフ図を示す。一実施形態では、選択された呼吸において、呼気抵抗が低下する。このような呼吸は、本特許出願において摂動呼吸(perturbed breaths)と称される。
【0071】
一実施形態では、摂動呼吸の呼気流量-容積曲線は、1つ以上の先行する呼吸(基準呼吸)の呼気流量-容積曲線と比較される。図5は、システム100において選択された呼吸に関する呼気抵抗の減少例を示す。一実施形態では、選択された呼吸において、呼気抵抗は、より低い口腔内圧Pmouth(即ち、より高い呼気駆動)を呼気中に引き起こすために、呼気抵抗はバイパスされる
【0072】
図5は、グラフ502の左側Y軸に外圧(例えば、cmH0の単位で測定される)及びグラフ502のX軸に時間(例えば、秒単位で測定される)を示す。例えば、外圧は周囲圧力Pambとも呼ばれる。グラフ502から分かるように、外圧又は周囲圧力、Pambは、(グラフ502のX軸に示される)20秒~60秒の間の全期間にわたって0cmH0という一定圧力に維持される。
【0073】
図5は、グラフ504の左側Y軸に呼気抵抗(例えば、cmH0*s/L単位で測定される)及びグラフ504のX軸に時間(例えば、秒単位で測定される)を示す。例えば、呼気抵抗は、呼気経路108において流量抵抗器110によって加えられる流量抵抗である。グラフ504を参照すると、20秒~45秒の間の期間に対して呼気抵抗は20cmH0*s/Lに維持される。次いで、呼気抵抗は、ほぼ45秒の時点で、20cmH0*s/Lから0cmH0*s/Lへ減少/低下させられる。次いで、呼気抵抗は20cmH0*s/Lに増やされる又は設定し直される。
【0074】
図5は、グラフ506の左側Y軸に口腔内圧(例えば、cmH0の単位で測定される)及びグラフ506のX軸に時間(例えば、秒の単位で測定される)を示す。例えば、口腔内圧は、患者インターフェース(例えば、マスク又はマウスピース111)で測定され、これはPmouthとも言及される。グラフ506を参照すると、20秒から45秒の間の期間に関し、呼気抵抗が20cmH0*s/Lに維持される場合、口腔内圧Pmouthは一定に維持される。ほぼ45秒の時点において呼気抵抗が20cmH0*s/Lから0cmH0*s/Lに減少/低下すると、口腔内圧Pmouthはグラフ506に明確に見られるように低下した。その後、呼気抵抗は20cmH0*s/Lに増やされ又は設定し直され、口腔内圧Pmouthも以前の値(即ち、20秒から45秒の間の期間内のPmouthの値)に増やされる。
【0075】
図6は、システム100から得られた摂動呼吸と基準呼吸との間の2つの例示的なフロー比較(流量-容積曲線/ループ)を示す。
【0076】
図6は、流量-容積曲線602及び604のX軸において流量情報(例えば、リットル/秒の単位で測定される)を示す。図6はまた、流量-容積曲線602及び604の左側Y軸に容積情報(例えば、リットルの単位で測定される)を示す。
【0077】
図6の左側のプロット又は流量-容積曲線602では、呼気駆動の増加は、流量の増加を引き起こしていない。即ち、破線ライン(基準の呼気流量-容積)曲線とライン(摂動した呼気流量-容積)曲線は、(呼気フェーズの最初の部分を除いて)互いに非常に近い。従って、図6の左側プロットにおける呼吸は、流量制限されている。流量-容積曲線602は、EFLを伴う流量-容積曲線を示す。
【0078】
図6の右側のプロット又は流量-容積曲線604では、呼気駆動の増加は、かなり高い呼気流量を引き起こしている。即ち、破線ライン(基準の呼気流量-容積)曲線とライン(摂動した呼気流量-容積)曲線は互いに近接していない。従って、図6の右側プロット又は流量-容積曲線604における呼吸は、流量制限されていない。流量-容積曲線604は、EFLのない流量-容積曲線を示す。
【0079】
図7は、システム100における呼気抵抗の低減によるEFL検出例及びEFLを廃止するための対応する処置を示す。一実施形態では、EFLの検出に続いて、呼気抵抗を増加させることにより、呼気圧レベルが増やされ、手順(摂動、分類アルゴリズム、及び抵抗更新)が反復される。
【0080】
図7は、グラフ702の左側Y軸に呼気抵抗(例えば、cmH0*s/Lの単位で測定される)及びグラフ702のX軸に時間(例えば、秒の単位で測定される)を示す。例えば、呼気抵抗は、呼気経路108において流量抵抗器110によって適用される流量抵抗である。グラフ702を参照すると、0秒から25秒の間の期間に関し、呼気抵抗は、15cmH0*s/Lに維持される。一実施形態では、基準呼吸(例えば、摂動呼吸に先立つ1つ又は複数の呼吸)からの気流波形/流量曲線は、基準呼気流量-容積曲線決定サブシステム112から分類アルゴリズム(例えば、呼気流量制限検出サブシステム118)へ、例えば図7に示すように0秒~25秒の間の期間中に送られる。
【0081】
次いで、ほぼ25秒の時点で、呼気抵抗は15cmH0*s/Lから0cmH0*s/Lに減少又は低下させられる。一実施形態では、摂動呼吸からの気流波形/流量曲線は、摂動呼気流量-容積曲線決定サブシステム116からの分類アルゴリズム(例えば、呼気流量制限検出サブシステム118)へ、例えば図7に示されるような25秒の時点の後に送られる。一実施形態では、呼気流量制限検出サブシステム118は、決定された摂動した呼気流量-容積曲線を、決定された基準呼気流量-容積曲線と比較することによって、患者の呼気流量制限(EFL)を検出するように構成される。
【0082】
一実施形態では、患者の呼気流制限(EFL)が検出された場合、呼気抵抗は、例えば図7に示す32秒~47秒の間の期間に、例えば17cmH0*s/Lまで増加される。この手順は以後反復される。即ち、32秒から47秒の間の期間に関し、呼気抵抗は17cmH0*s/Lに維持される。次いで、呼気抵抗は、約47秒の時点の後に17cmH0*s/Lから0cm H0*s/Lに減少又は低下させられる。一実施形態では、基準呼吸(例えば、摂動呼吸に先行する1つ又は複数の呼吸)からの気流波形/流量曲線は、基準呼気流量-容積曲線決定サブシステム112から分類アルゴリズム(例えば、呼気流量制限検出サブシステム118)へ、例えば図7に示すように32秒~47秒の期間中に送られる。一実施形態では、摂動呼吸からの気流波形/流量曲線は、摂動呼気流量-容積曲線決定サブシステム116からの分類アルゴリズム(例えば、呼気流量制限検出サブシステム118)へ、例えば図7に示されるような47秒の時点の後に送られる。一実施形態では、呼気流量制限検出サブシステム118は、決定された摂動した呼気流量-容積曲線を、決定された基準呼気流量-容積曲線と比較することによって、患者の呼気流量制限を検出するように構成される。
【0083】
一実施形態では、患者の呼気流量制限(EFL)が検出されない場合、呼気抵抗は減少/減少させられる。一実施形態では、患者の呼気流量制限(EFL)が検出されない場合、呼気抵抗は増やされない。
【0084】
図7はまた、グラフ704の左側Y軸に容積(例えば、リットルの単位で測定される)及びグラフ704のX軸に時間(例えば、秒の単位で測定される)を示す。例えば、容積はセンサー106から得られる流量情報である。
【0085】
図8は、図7の実施形態に関するより詳細なフローチャートを示す。図8は、呼気抵抗低減によるEFL検出の一例及び対応する廃止フローチャートを示す。図8は、患者のEFLを検出するためのフローチャートである。図8を参照すると、患者のEFLを検出するための方法800が提供されている。方法800は、コンピュータ・プログラム命令を実行する1つ以上の物理的なプロセッサを含むコンピュータ・システム102によって実行され、コンピュータ・プログラム命令は実行されると方法800を実行する。方法800は、呼気経路108を通る呼気の流量-容積情報を、1つ以上のセンサー(106)から取得するステップ;基準呼気抵抗が呼気経路において流量抵抗器により提供されている場合に、呼気経路を通る呼気の流量-容積情報を利用して、基準呼気流量-容積曲線を、前記コンピュータ・システムにより決定するステップ;呼気抵抗を基準呼気抵抗よりも下げるように、流量抵抗器を調整するステップ;下げられた呼気抵抗が呼気経路において流量抵抗器により提供されている場合に、呼気経路を通る呼気の流量-容積情報を利用して、摂動した呼気流量-容積曲線を、コンピュータ・システム102により決定するステップ;及び(i)決定された摂動した呼気流量-容積曲線及び(ii)決定された基準呼気流量-容積曲線に基づいて、患者の呼気流量制限(EFL)を、コンピュータ・システム102により検出するステップを有する。
【0086】
図8に関し、一実施形態では、システム100は手順801において設定/基準呼気抵抗で始動される。一実施形態では、手順802において、システム100は、例えばn回の呼吸に対して、設定された/基準の呼気抵抗で動作又は実行するように継続される。一実施形態では、手順803において、システム100は、(n+1)回目の呼吸の呼気フェーズの間に、呼気経路108における呼気抵抗を(例えば、流動抵抗110を調整することによって)変化させるように(即ち、設定/基準呼気抵抗から異なる呼気抵抗へ変化させるように)構成される。
【0087】
一実施形態では、手順804において、システム100は、(n+2)回目の呼吸の呼気フェーズに関し、呼気経路108における呼気抵抗を(例えば、流動抵抗110を調整することによって)変化させるように構成される。一実施形態では、手順804において、システム100は、呼気経路108における呼気抵抗を、設定/基準呼気抵抗に変更するように構成される。
【0088】
一実施形態では、手順805において、システム100は、n個の呼吸について呼気経路108を通る呼気の流量-容積情報を使用して、基準呼気流量-容積曲線を決定するように構成される。一実施形態では、手順805において、システム100は、n+1回目の呼吸について呼気経路108を通る呼気の流量-容積情報を使用して、摂動された呼気流量-容積曲線を決定するようにも構成される。一実施形態では、手順805において、システム100は、(i)決定された摂動した呼気流量-容積曲線(ii)決定された基準呼気流量-容積曲線に基づいて、患者の呼気流量制限(EFL)を検出するように構成される。
【0089】
一実施形態では、手順806において、EFLが検出された場合、手順807において、システム100は、呼気経路108における設定された呼気抵抗を(例えば、流量抵抗110を調整することによって)増加させるように構成されている。一実施形態では、方法800は、手順806の後に手順802にループし/戻り、それ以降方法800は反復する。
【0090】
一実施形態では、手順806において、EFLが検出されない場合、手順808において、システム100は、n回の呼吸について、呼気経路108において設定/基準呼気抵抗で動作するように構成されている。
【0091】
一実施形態では、手順809において、システム100は、EFLがx回連続して検出されたかどうかを決定するように構成されている。一実施形態では、EFLがx回連続して検出されない場合、方法800は、手順809の後に手順802にループし/戻り、それ以降方法800は反復される。
【0092】
一実施形態では、EFLがx回連続して検出された場合、手順810において、システム100は、呼気経路108における設定/基準呼気抵抗を(例えば、流量抵抗器110を調整することによって)低減するように構成されている。一実施形態では、方法800は、手順810の後に手順802にループし/戻り、それ以降方法800は反復される。
【0093】
一実施形態では、患者は医師のもとに行く。一実施形態では、患者の医師は、例えば、1)患者の喫煙歴;2)間接喫煙、空気汚染、化学物質又は粉塵にさらされたこと;3)息切れ、慢性の咳及び粘液などの症状について質問する。一実施形態では、患者の医師は、第1強制呼気量(FEV1)及び強制肺活量(FVC)を測定するために肺活量検査を行う。一実施形態では、患者の医師は、その情報を利用して、患者がCOPDを有するかどうかを決定し、患者のCOPD病期分類を決定する。
【0094】
一実施形態では、次いで、患者の医師は、本特許出願のシステム100を使用して、そのCOPD患者のEFLを検出する。一実施形態では、患者の医師は、システム100を用いて、患者がEFLによる影響を受けるかどうかを直接的に評価する。一実施形態では、患者は、仰臥位でシステム100を通して正常に呼吸するように、医師により依頼される。一実施形態では、システム100は、正の呼気圧(PEP)を生じる呼気経路108における抵抗を含む。即ち、一実施形態では、システム100は、その呼気抵抗によってPEPを引き起こす。一実施形態では、いったん患者がシステム100を通して楽に呼吸すると、患者の医師は、呼気経路108における呼気抵抗を除去する(手動又は電子)ボタンを押す。即ち、数回の呼吸の後、呼気抵抗なしで1回の呼吸が行われる。即ち、患者は、より高いPEPで数回呼吸し、次いでより低いPEPで数回呼吸する。一実施形態では、PEPは手動で変更することができる。一実施形態では、流量が測定され、流量-容積ループが、異なるPEPにおける連続した呼吸を比較するために使用される。
【0095】
一実施形態では、患者の医師は、システム100によって、例えば図6に示すような流量-容積プロット又は曲線を提示される。即ち、図6を参照すると、呼気抵抗がある呼吸(基準)及び呼気抵抗がない呼吸(摂動)に関する呼気流量-容積ループが比較される。後者は増加した呼気圧駆動による呼吸に相当する。増加した流量をもたらしていない場合、患者は流量制限されている。
【0096】
一実施形態では、患者が流量制限されている場合、次いで、患者の医師は、指針(vector)/治療を処方する。即ち、患者の流量-容積プロットが、図6の左側のプロットに示されるものと類似している場合、患者の医師は、その患者がEFLの影響を受けていると判断し、次いで、指針/治療を処方する。
【0097】
一実施形態では、システム100は、医師が流量-容積曲線を分析して診断を行うために、測定されたフロー情報(又は流量-容積曲線)を、外部プロセッサ及び/又ディスプレイ(例えば、スマートフォン、タブレット又は専用プロセッサ/ディスプレイ)に送信する(送信)ユニットを含む。
【0098】
一実施形態では、システム100は、非換気患者(non-ventilated patients)におけるEFLの診断のために携帯可能で安価な装置又はシステムを提供する。一実施形態では、システム100は、患者からの協力を必要としない。
【0099】
一実施形態では、システム100は、医師のオフィスにおいてEFLスクリーニングのために使用されてもよい。一実施形態では、システム100は、患者の自宅でのEFLモニタリングのために使用されてもよい。一実施形態において、システム100は、薬学的処置をより楽に評価するために使用されてもよい。
【0100】
一実施形態において、システム100は、オンラインEFL検出のために使用されてもよい。一実施形態では、コンピュータ・システム102の1つ以上のプロセッサ(例えば、アルゴリズムを実行するもの)は、選択された呼吸における呼気圧/抵抗の変更を自動的に実行するように構成される。一実施形態では、選択された呼吸における呼気圧の変化は、患者によって手動でトリガーされる。
【0101】
一実施形態では、コンピュータ・システム102の1つ以上のプロセッサは、流量-容積曲線を計算するように構成されている。一実施形態では、コンピュータ・システム102の1つ以上のプロセッサ(アルゴリズムを実行するもの)は、そのような曲線に対応する呼吸の自動分類(即ち、フロー制限_vs_非フロー制限)のために構成されている。一実施形態では、アルゴリズムの出力(即ち、EFL又は非EFL)は、視覚的信号又は聴覚的信号によって患者に通知される。一実施形態では、システム100は、遠隔監視のために、及び/又は患者が分類アルゴリズムによって処理された実際の流量-容積曲線にアクセスするために、測定された流量情報(又は流量-容積曲線)を送信する(送信)ユニットを含む。
【0102】
一実施形態では、呼気抵抗の変更は、基準抵抗(又は基準の呼気陽圧)で複数回呼吸した後、抵抗を典型的にはより低いレベルに変更し、1回以上の呼吸に対して新しい抵抗(又は呼気陽圧)を維持することを含む。一実施形態では、呼気抵抗は、フィードバック制御及び/又は適応フィードフォワード制御又は補償を用いて、呼気フェーズ中に連続的に調節される。
【0103】
一実施形態では、システム100のサブシステムは、以前に得られた圧力情報、以前に得られた流量情報、以前に得られた呼気抵抗情報、以前に得られた流量-容積情報、及び/又は以前に得られた複数の患者からのEFL情報を使用して、基準呼気抵抗を決定するように構成することができる。一実施形態では、このサブシステムはまた、後続の圧力情報、後続の流量情報、後続の流量-容積情報、後続の呼気抵抗情報、及び/又は複数の患者の後続のEFL情報を連続的に取得するようにも構成される。即ち、サブシステムは、複数の患者に関連する後続の情報を連続的に得ることができる。一例として、後続の情報は、(EFL情報を決定するために使用された情報に対応する時間の後に)後続の時間に対応する追加の情報を含んでもよい。一例として、後続の情報は、1つ又は複数の監視装置及び関連する1つ又は複数のセンサーから得ることができる。
【0104】
後続の情報は、基準/設定呼気抵抗などを更に更新又は修正するために利用されることが可能である(例えば、新しい情報は、基準/設定呼気抵抗を動的に更新又は修正するために使用されることが可能である)。幾つかの実施形態において、このサブシステムは、次いで、後続の圧力情報、後続の流量情報、後続の流量-容積情報、後続の呼気抵抗情報、後続のEFL情報、又は他の後続の情報に基づいて、基準/設定呼気抵抗を継続的に修正又は更新するように構成される。例えば、「後続」情報は、流量-容積ループ(例えば、本明細書に記載されるようなもの)に加えて、患者が流量制限されているかどうかを判断するために使用される可能性がある。
【0105】
一実施形態では、本特許出願は、EFLの検出及び処置のための安価な(低コストの)携帯可能なシステム/装置を提供する。一実施形態では、システム100は、(強制振動技術(FOT)及び陰性呼気圧力装置とは対照的に)携帯可能で安価である。一実施形態において、システム100は携帯装置である。
【0106】
簡単さの恩恵により、本特許出願のシステム100は、医師のオフィスにおけるスクリーニングから、EFL症状を緩和するために装置/システムを定期的に使用している患者に関するEFLのオンライン検出まで、及びEFLを廃止するために装置/システム自体の自動調整と組み合わせたオンライン検出にさえも、幅広い用途に使用されることが可能である。一実施形態では、本特許出願のシステム100は、家庭での定期的なモニタリング/診断、並びにEFLの継続的なリアルタイム検出及び廃止のために使用することができる。
【0107】
一実施形態では、システム100は、EFLを直接的な方法で検出するように構成されている点で魅力がある。即ち、システム100は、EFLとの相関の測定を多かれ少なかれ当てにするのではなく(例えば、強制振動技術(FOT)及び肺活量測定により得られるΔXrs及びFEV1/FVC測定のようなものとは異なり)、EFLの定義に従ってEFLを測定するように構成されている。
【0108】
一実施形態では、システム100は、EFLの直接的な評価を提供するように構成される。一実施形態では、システム100による検出は、手動の腹部圧迫の現在のプラクティスと同じ原理に基づくが、手動手順の変動性及び主観性を克服するように自動化される。
【0109】
一実施形態では、システム100は、(肺活量測定とは対照的に)患者の協力を必要としない。一実施形態では、システム100は、スクリーニングから、EFLの検出及び廃止による長期使用まで、様々なニーズに応じるように、様々な自動化レベルで設計されることが可能である。
【0110】
一実施形態では、図2に示す種々のコンピュータ及びサブシステムは、本明細書に記載の機能を実行するようにプログラムされた1つ以上のコンピューティング装置を含んでもよい。コンピューティング装置は、1つ以上の電子記憶装置(例えば、データベース132、又は他の電子記憶装置)、1つ以上のコンピュータ・プログラム命令でプログラムされた1つ以上の物理的なプロセッサ、及び/又は他の構成要素を含んでもよい。コンピューティング装置は、有線又は無線技術(例えば、イーサーネット(登録商標)、光ファイバ、同軸ケーブル、WiFi、ブルートゥース(登録商標)、近距離通信、又は他の通信技術)により、ネットワーク(例えば、ネットワーク150)又は他の計算プラットフォームとの情報の交換を可能にするための通信回線又はポートを含んでもよい。コンピューティング装置は、本明細書でサーバーに帰属される機能性を提供するために、一緒に動作する複数のハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェア構成要素を含むことができる。例えば、コンピューティング装置は、コンピューティング装置として一緒に動作するコンピューティング・プラットフォームのクラウドによって実装されてもよい。
【0111】
電子記憶装置は、情報を電子的に記憶する非一時意的な記憶媒体を含む可能性がある。電子記憶装置の電子記憶媒体は、例えば、サーバーと一体的に(例えば、実質的に取り外し不可能に)提供されるシステム記憶装置、又はポート(例えば、USBポート、ファイヤワイヤ・ポートなど)又はドライブ(例えば、ディスク・ドライブなど)を介してサーバーに取り外し可能に接続可能であるリムーバブル記憶装置のうちの一方又は両方を含んでもよい。電子記憶装置は、光学的に読み取り可能な記憶媒体(例えば、光ディスクなど)、磁気的に読み取り可能な記憶媒体(例えば、磁気テープ、磁気ハード・ドライブ、フロッピー・ドライブなど)、電荷ベースの記憶媒体(例えば、EEPROM、RAMなど)、ソリッドステート記憶媒体(例えば、フラッシュ・ドライブなど)、及び/又は他の電子的に読み取り可能な記憶媒体のうちの1つ以上を含んでもよい。電子記憶装置は、1つ以上の仮想記憶リソース(例えば、クラウド記憶装置、仮想プライベート・ネットワーク、及び/又は他の仮想記憶リソース)を含んでもよい。電子記憶装置は、ソフトウェア・アルゴリズム、プロセッサによって決定された情報、サーバーから受け取った情報、クライアント・コンピューティング・プラットフォームから受け取った情報、又はサーバーが本明細書に記載されるように機能することを可能にする他の情報を記憶することができる。
【0112】
プロセッサは、サーバー内の情報処理能力を提供するようにプログラムされてもよい。従って、プロセッサは、デジタル・プロセッサ、アナログ・プロセッサ、又は情報を処理するように設計されたデジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、状態マシン、及び/又は情報を電子的に処理するための他の機構のうちの1つ以上を含んでもよい。一実施形態では、プロセッサは、複数の処理ユニットを含んでもよい。これらの処理ユニットは、同じ装置内に物理的に配置されてもよいし、又はプロセッサは、協調して動作する複数の装置の処理機能を表してもよい。プロセッサは、サブシステム112~120又は他のサブシステムの本明細書に記載の機能を実行するためのコンピュータ・プログラム命令を実行するようにプログラムされてもよい。プロセッサは、ソフトウェア;ハードウェア;ファームウェア;ソフトウェア、ハードウェア、又はファームウェアの何らかの組み合わせ;及び/又はプロセッサ上の処理能力を構成するための他のメカニズムによって、コンピュータ・プログラム命令を実行するようにプログラムすることができる。
【0113】
特許請求の範囲において、括弧内に付された如何なる参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されないものとする。「有する」又は「含む」という言葉は、請求項に記載されているもの以外の要素又はステップの存在を除外していない。幾つかの手段を列挙する装置の請求項において、これらの手段のうちの幾つかは、1つの同じハードウェア・アイテムによって具体化されてもよい。要素に先行する「ある(“a”or“an”)」という言葉は、これらの要素の複数個の存在を除外しない。幾つかの手段を列挙する如何なる装置請求項においても、これらの手段のうちの幾つかが、1つの同じハードウェア・アイテムによって具体化されてもよい。特定の複数の要素が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なるその事実は、これらの要素が組み合わせて使用できないことを示すものではない。
【0114】
本特許出願は、現時点で最も実用的で好ましいと考えられる実施形態に基づいて、説明の目的で詳細に述べられてきたが、そのような詳細は、専らその目的のためのものであり、本特許出願は、開示された実施形態に限定されるものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にある修正及び等価な構成をカバーするように意図されていることが理解されるべきである。例えば、本特許出願は、可能な範囲で、任意の実施形態の1つ以上の特徴は、任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせることができることを想定していることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8