(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20221129BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20221129BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
H04N7/18 D
G08B25/00 510M
G08B25/10 A
(21)【出願番号】P 2020546544
(86)(22)【出願日】2018-09-10
(86)【国際出願番号】 JP2018033369
(87)【国際公開番号】W WO2020053917
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】中野 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】西野 翔
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-274583(JP,A)
【文献】特開2002-094433(JP,A)
【文献】特開平02-121099(JP,A)
【文献】特開2015-032093(JP,A)
【文献】特開2005-011236(JP,A)
【文献】特開2008-140019(JP,A)
【文献】特開平10-302182(JP,A)
【文献】特開平09-288789(JP,A)
【文献】特開2006-285684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G08B 13/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
警備員の巡回による警備を支援する監視システムにおいて、
巡回経路に沿った各所に設置された複数の監視カメラ及び固定型無線通信装置と、
警備員に所持される移動型無線通信装置と、
前記監視カメラ及び前記固定型無線通信装置とネットワークを介して接続された制御装置と、
前記制御装置による制御の下で、前記監視カメラの映像を表示する表示装置とを備え、
前記固定型無線通信装置は、自身の無線通信エリア内に前記移動型無線通信装置が入ってきたことを検知した場合に、前記移動型無線通信装置の検知を示す検知情報を前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、監視員による操作に従って、警備員の巡回により警備を行う巡回警備モードと、警備員の巡回なしで警備を行う非巡回警備モードとを切り替え可能であり、前記非巡回警備モードでは、前記監視カメラから送信される映像を画像処理により解析して異常検知を行い、前記巡回警備モードでは、前記固定型無線通信装置と前記移動型無線通信装置との通信結果に基づいて巡回状況を監視し、前記固定型無線通信装置の各々から送信される前記検知情報に基づいて巡回異常か否かの判定を行い、前記非巡回警備モードで異常が検知された場合、または前記巡回警備モードで巡回異常が検出された場合に、異常の発生を報せるアラーム
を含む異常報知画面を前記表示装置に表示させ
、
前記非巡回警備モードで異常が検知された場合の前記異常報知画面は、前記アラームの情報として異常の種類や発生位置を表示する第1の領域と、現在までの巡回履歴を表示する第2の領域と、警備員の巡回経路及び現在の前記移動型無線通信装置の推定位置をマップ上に表示する第3の領域と、前記移動型無線通信装置の推定位置の周辺を前記監視カメラで撮影した映像を表示する第4の領域とを有し、前記第2の領域に表示された複数の巡回履歴の中から1つを選択する操作を受け付けた場合に、選択された巡回履歴に対応する前記監視カメラによる過去の映像が前記第4の領域に表示されるように表示切り替えを行うことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記制御装置は、前記巡回警備モードにおいて、前記固定型無線通信装置の各々から所定の順番で前記検知情報を受信できなかった場合に、巡回異常と判定することを特徴とする監視システム。
【請求項3】
請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記制御装置は、前記巡回警備モードにおいて、前記固定型無線通信装置の各々から所定の時間間隔内に前記検知情報を受信できなかった場合に、巡回異常と判定することを特徴とする監視システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の監視システムにおいて、
前記制御装置は、前記巡回警備モードにおいて、巡回異常が検出された場合に、前記移動型無線通信装置の最も近くにある監視カメラを、前記移動型無線通信装置の方向を向けて撮影させることを特徴とする監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備員の巡回による警備を支援する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、各種施設の構内の警備は、監視カメラの映像によるモニタ監視、センサ設備による侵入者検知、または警備員による巡回などを行うことによって達成される。また、監視カメラ設備とセンサ設備を連動させるシステムのように、これらを併用した監視システムもあり、種々の形態の監視システムが開発されている。
例えば、特許文献1には、複数のカメラによって撮影された映像を、ネットワークを介して監視端末へ送信する監視システムにおいて、監視端末が携帯端末(移動体)の位置情報に基づいて携帯端末へ送信するカメラ映像を選択する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視カメラ設備での監視とセンサ設備とを連動させるシステムは、一般に、センサ設備により侵入者が検知された場合に監視カメラ設備を動作させるよう構成されている。このシステムの問題点は、センサ設備が設置されている区間に侵入者などの検知対象が来なければ、監視カメラが作動しないことである。
【0005】
また、警備員による巡回を更に併用する場合には、以下のような問題が懸念される。センサ設備は、導入の目的がほとんどの場合において侵入者検知である性質上、検知した人物が警備員か侵入者かを区別することは想定しておらず、警備員が構内を巡回する方法との相性が悪い。なお、巡回中の警備員の位置をGPS(Global Positioning System)により特定することも考えられるが、建物の内部などのGPS信号が届きにくい環境には向いていない。また、センサ設備の動作結果を履歴として保存することで異常発生時の時刻を記録できるが、警備員の巡回の記録は別システムを用いて保存する必要がある。
【0006】
本発明は、上記従来の事情に鑑みて為されたものであり、監視カメラ設備を利用して警備員の巡回による警備を支援する監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、監視システムを以下のように構成した。
(1) 警備員の巡回による警備を支援する監視システムにおいて、巡回経路に沿った各所に設置された複数の監視カメラ及び固定型無線通信装置と、警備員に所持される移動型無線通信装置と、前記監視カメラ及び前記固定型無線通信装置とネットワークを介して接続された制御装置と、前記制御装置による制御の下で、前記監視カメラの映像を表示する表示装置とを備え、前記制御装置は、前記固定型無線通信装置と前記移動型無線通信装置との通信結果に基づいて巡回状況を監視し、巡回異常が検出された場合に、巡回異常を示す情報を前記表示装置に表示させることを特徴とする。
【0008】
(2) 上記(1)に記載の監視システムにおいて、前記固定型無線通信装置は、自身の無線通信エリア内に前記移動型無線通信装置が入ってきたことを検知した場合に、前記移動型無線通信装置の検知を示す検知情報を前記制御装置に送信し、前記制御装置は、前記固定型無線通信装置の各々から送信される前記検知情報に基づいて、巡回異常か否かを判定することを特徴とする。
【0009】
(3) 上記(2)に記載の監視システムにおいて、前記制御装置は、前記固定型無線通信装置の各々から所定の順番で前記検知情報を受信できなかった場合に、巡回異常と判定することを特徴とする。
【0010】
(4) 上記(2)に記載の監視システムにおいて、前記制御装置は、前記固定型無線通信装置の各々から所定の時間間隔内に前記検知情報を受信できなかった場合に、巡回異常と判定することを特徴とする。
【0011】
(5) 上記(1)~(4)のいずれかに記載の監視システムにおいて、前記制御装置は、巡回異常が検出された場合に、前記移動型無線通信装置の最も近くにある監視カメラを特定し、当該監視カメラの映像を前記表示装置に表示させることを特徴とする。
【0012】
(6) 上記(5)に記載の監視システムにおいて、前記制御装置は、巡回異常が検出された場合に、前記移動型無線通信装置の最も近くにある監視カメラを、前記移動型無線通信装置の方向を向けて撮影させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、監視カメラ設備を利用して警備員の巡回による警備を支援する監視システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施例に係る監視システムの構成例を示す図である。
【
図2】監視カメラ及び固定型無線通信装置の配置例を示す図である。
【
図5A】巡回異常(巡回漏れ)の検出時の表示装置の表示例を示す図である。
【
図5B】巡回異常(巡回遅延)の検出時の表示装置の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る監視システムについて、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示される。
【0016】
図1には、本発明の一実施形態に係る監視システムの構成例を示してある。
本例の監視システムでは、構内の各所に複数の監視カメラ101及び固定型無線通信装置102が設置されるとともに、これら監視カメラ101及び固定型無線通信装置102と構内ネットワークを介して接続された制御装置201が監視室内に設置されている。また、移動型無線通信装置301が、構内を巡回する警備員に携帯される。監視カメラ101及び固定型無線通信装置102は、中継装置103を介して構内ネットワークに接続され、制御装置201は、中継装置205を介して構内ネットワークに接続されている。
【0017】
制御装置201は、制御ソフトウェア202を保持しており、この制御ソフトウェア202を使用して、監視システムを統括的に制御する。また、制御装置201には、巡回異常の検出時の監視カメラ101の映像などを表示する表示装置203と、巡回異常の検出時の監視カメラ101の映像などを記録する記録装置204とが接続されている。
【0018】
図2には、監視カメラ101及び固定型無線通信装置102の配置例を示してある。監視カメラ101及び固定型無線通信装置102は、警備員の巡回経路R1,R2に沿った各所に配置される。固定型無線通信装置102の配置間隔は、例えば、数十メートル間隔とする。R1は警備員が既に巡回した経路を示しており、R2は警備員がこれから巡回する予定の経路を示している。
図2では、A地点に監視カメラ101-A及び固定型無線通信装置102-Aが配置され、B地点に監視カメラ101-B及び固定型無線通信装置102-Bが配置され、C地点に監視カメラ101-C及び固定型無線通信装置102-Cが配置され、D地点に監視カメラ101-D及び固定型無線通信装置102-Dが配置されている。また、A~Dの各地点には中継装置103-A~103-Dも配置してあるが、図示を省略している。
【0019】
移動型無線通信装置301は、いずれかの固定型無線通信装置102の無線通信エリア内に入った場合に、その固定型無線通信装置102と無線通信を行うことができる。本例では、固定型無線通信装置102は、半径数十メートル以内を無線通信エリアとして無線通信を行うことができる。なお、隣接する2つの固定型無線通信装置102の無線通信エリアが部分的に重複している場合には、その重複エリア内に存する移動型無線通信装置301は、選択された一方の固定型無線通信装置102と無線通信を行う。この場合、移動型無線通信装置301は、通信品質が良好な方の固定型無線通信装置102と通信を行ってもよいし、移動型無線通信装置301の移動先の方向にある固定型無線通信装置102と通信を行ってもよいし、他の方法で選択された固定型無線通信装置102と通信を行ってもよい。
【0020】
固定型無線通信装置102は制御装置201と通信可能に接続されているので、移動型無線通信装置301は、近隣の固定型無線通信装置102を介して制御装置201と通信することもできる。したがって、移動型無線通信装置301を携帯する警備員は、必要に応じて、制御装置201を操作する監視員(監視室内にいる監視員)と通話することが可能である。
【0021】
また、固定型無線通信装置102は、移動型無線通信装置301が無線通信エリア内に入ってきたことを検知すると、移動型無線通信装置301の検知を示す巡回検知情報を制御装置201に送信する。移動型無線通信装置301と通信できる固定型無線通信装置102は、警備員の巡回に伴って順次切り替わるので、巡回経路にある各固定型無線通信装置102から順番に巡回検知情報が送信されることになる。
【0022】
固定型無線通信装置102が送信する巡回検知情報には、少なくとも、その固定型無線通信装置102の識別情報(例えば、固定型無線通信装置102の固有ID)が含まれる。制御装置201は、構内にある全ての監視カメラ101及び固定型無線通信装置102の位置情報を予め保持しており、受信した巡回検知情報に含まれる識別情報に基づいて、巡回検知情報の送信元である固定型無線通信装置102及びその位置を特定できる。その結果、移動型無線通信装置301のおおよその位置及びその近傍にある監視カメラ101も特定することができる。
【0023】
以下に、本例の監視システムの動作モードについて説明する。本例の監視システムは、巡回警備モードと、非巡回警備モードとを有する。巡回警備モードは、警備員の巡回により警備を行うモードである。非巡回警備モードは、警備員の巡回なしで警備するモードであり、例えば、監視カメラ101の映像の解析により異常検知(例えば、侵入者の検知)を行う。制御装置201は、監視室内にいる監視員による操作に従って、巡回警備モードと非巡回警備モードの切り替えを行う。なお、警備員の巡回予定時間を予め設定しておき、巡回予定時間に基づいて自動的に巡回警備モードと非巡回警備モードの切り替えを行ってもよい。
【0024】
まず、非巡回警備モードについて説明する。非巡回警備モードでは、制御装置201が、構内の各所にある監視カメラ101から送信される映像を画像処理によって解析し、異常検知を行う。制御装置201は、異常を検知した場合には、異常の発生を報せるアラームを発報するとともに、異常が検知された監視カメラ101の映像を表示装置203に表示させる。これにより、監視室にいる監視員は、異常が検知された付近の映像を確認することができる。
【0025】
また、制御装置201は、異常が検知された監視カメラ101の映像を、アラームの情報とともに記録装置204に記録させる。記録装置204に録画する映像の時間長は任意であり、予め定められた固定時間長でもよく、制御装置201の操作者により指示された時間長でもよい。記録装置204に記録するアラームの情報としては、アラームの日付及び時刻、異常の発生位置を示す情報(例えば、異常が検知された監視カメラ101の位置情報又は識別情報)などが挙げられる。
【0026】
なお、非巡回警備モードの動作は上記に限定されず、既存の種々の監視方法を用いることができる。例えば、構内の各所に赤外線センサーなどの移動体検出手段を設置しておき、移動体検出手段により移動体が検知されたことに応じて、移動体検出手段(又は制御装置201)がアラームを発報してもよい。そして、制御装置201が、アラームの発報に応じて、移動体を検知した移動体検出手段の付近にある監視カメラ101を特定し、その監視カメラ101の映像を表示装置203に表示させてもよい。
【0027】
次に、巡回警備モードについて説明する。巡回警備モードでは、警備員の巡回順序が事前に設定された巡回予定テーブルと、警備員の巡回状況を記録する巡回履歴テーブルとが使用される。
図3には、巡回予定テーブルの例を示してある。
図3の巡回予定テーブルは、警備員が巡回する経路上にある固定型無線通信装置102を識別する「固定型無線通信装置ID」と、この固定型無線通信装置102の付近を警備員が巡回すべき順番を示す「巡回順序」の各項目を有する。
図3の例では、A地点、B地点、C地点、D地点・・・の順番で巡回を行うことが規定されている。なお、どのような順番で巡回が行われるかを特定できればよいので、「巡回順序」に代えて(又はこれとともに)、各地点を巡回する予定時刻を巡回予定テーブルに設定してもよい。
【0028】
警備員は、移動型無線通信装置301を携帯し、構内を巡回する。警備員がA地点に近づくと、A地点にある固定型無線通信装置102-Aで移動型無線通信装置301が検知され、固定型無線通信装置102-Aから制御装置201に巡回検知情報が送信される。制御装置201は、固定型無線通信装置102-Aから受信した巡回検知情報に基づいて、巡回履歴テーブルに巡回履歴を記録する。次に警備員がB地点に近づくと、B地点にある固定型無線通信装置102-Bで移動型無線通信装置301が検知され、上記と同様な処理が行われる。その後の各地点でも、上記と同様な処理が行われる。
【0029】
図4には、巡回履歴テーブルの例を示してある。
図4の巡回履歴テーブルは、巡回検知情報の発報元の固定型無線通信装置102を識別する「固定型無線通信装置ID」と、この巡回検知情報が発報された順番を示す「巡回順序」と、この巡回検知情報が発報された日時を示す「移動型無線通信装置発報日時」の各項目を有する。
図4の例では、巡回予定テーブル(
図3)に定められた通りの順番で巡回が行われたことが、巡回履歴として記録されている。
【0030】
巡回警備モードの制御装置201は、固定型無線通信装置102の各々から送信される巡回検知情報に基づいて、巡回異常の検出を行う。本例では、下記の2つの観点で、巡回異常の検出を行う。なお、他の観点で巡回異常を検出しても構わない。
【0031】
第1の観点では、巡回漏れの有無、すなわち、巡回経路上の各地点を予定された順番通りに移動しているどうかを判定する。具体的には、制御装置201は、固定型無線通信装置102の各々から所定の順番(巡回警備用テーブルに設定された順番)で巡回検知情報を受信できなかった場合に、巡回異常と判定する。これにより、何らかのトラブルにより巡回漏れが生じていることを検出できる。
【0032】
第2の観点では、巡回遅延の有無、すなわち、巡回経路上の各地点を予定された時間間隔内に移動しているかどうかを判定する。具体的には、制御装置201は、固定型無線通信装置102の各々から所定の時間間隔内に巡回検知情報を受信できなかった場合に、巡回異常と判定する。例えば、B地点にある固定型無線通信装置102-Bから巡回検知情報を受信した後の所定の時間内に、その次のC地点にある固定型無線通信装置102-Cから巡回検知情報を受信できなかった場合に、巡回異常と判定する。これにより、何らかのトラブルにより巡回遅延が生じていることを検出できる。所定の時間間隔は、各地点の区間の距離などの要因に応じて異ならせてもよいし、一定(例えば、15分)でもよい。各区間で時間間隔を異ならせる場合は、区間毎の時間間隔の設定を巡回予定テーブルに含めておけばよい。
【0033】
制御装置201は、巡回異常を検知した場合には、異常の発生を報せるアラームを発報するとともに、更に以下の制御を実施する。制御装置201はまず、移動型無線通信装置301の現在位置を、固定型無線通信装置102と移動型無線通信装置301の通信結果に基づいて割り出す。例えば、これまでの巡回検知情報の受信結果(巡回履歴)に基づいて、移動型無線通信装置301と通信可能な状態にある固定型無線通信装置102(最新の巡回検知情報を送信した固定型無線通信装置102)に対して移動型無線通信装置301が巡回経路の上流側なのか下流側なのかを判定する。これにより、移動型無線通信装置301のおおよその現在位置を推定することができる。また、移動型無線通信装置301と通信可能な状態にある固定型無線通信装置102における受信強度を測定することで、固定型無線通信装置102と移動型無線通信装置301の間の概算距離を算出してもよい。これにより、この固定型無線通信装置102の位置に対して巡回経路の上流側又は下流側の概算距離に基づいた位置に移動型無線通信装置301が存在すると推定できるので、現在位置の推定精度が高められる。なお、移動型無線通信装置301の現在位置は、他の方法により推定してもよいことは言うまでもない。
【0034】
次に、制御装置201は、移動型無線通信装置301の現在位置に最も近い監視カメラ101を特定し、その監視カメラ101に撮影を行わせる。その際に、制御装置201は、監視カメラ101を移動型無線通信装置301の現在位置の方向を向けて撮影するよう制御する。これにより、移動型無線通信装置301を所持する警備員及びその近辺の様子を監視カメラ101で撮影できる。監視カメラ101の映像は、後述するように、関連する他の情報とともに表示装置203に表示される。
【0035】
また、制御装置201は、異常が検知された監視カメラ101の映像を、アラームの情報とともに記録装置204に記録させる。記録装置204に録画する映像の時間長は任意であり、予め定められた固定時間長でもよく、制御装置201の操作者により指示された時間長でもよい。記録装置204に記録するアラームの情報としては、アラームの日付及び時刻、異常の種類(「巡回漏れ」または「巡回遅延」)、異常の発生位置を示す情報(例えば、異常が検知された固定型無線通信装置102の位置情報又は識別情報)などが挙げられる。
【0036】
図5には、巡回異常の検出時の表示装置203の表示例を示してある。
図5Aは、巡回漏れの検出時の表示例であり、
図5Bは、巡回遅延の検出時の表示例である。巡回異常の検出時の表示装置203には、
図5のような巡回異常報知画面501が表示される。巡回異常報知画面501は、巡回異常の種類や発生位置を表示する領域502と、現在までの巡回履歴を表示する領域503と、警備員の巡回経路及び現在の移動型無線通信装置301の推定位置を構内マップ上に表示する領域504と、移動型無線通信装置301の推定位置の周辺を監視カメラ101で撮影した映像を表示する領域505とを有している。このような巡回異常報知画面501を表示装置203に表示させることで、監視室にいる監視員は、巡回異常が検出された際に、これまでの巡回状況、巡回異常の種類や発生位置、警備員の巡回経路及び現在の推定位置、警備員の周辺の映像を確認することができる。
【0037】
なお、巡回異常報知画面501は、領域503に表示された複数の巡回履歴の中から1つを選択する操作を受け付けて、指定された巡回履歴に対応する監視カメラ101による過去の映像(巡回時点の映像)が領域505が表示されるように、表示切り替えを行ってもよい。これにより、監視員が巡回異常について確認する際に、巡回異常が検出される前の警備員及びその周囲の様子も把握できるようになる。
【0038】
また、巡回異常の検出時において、制御装置201は、警備員に巡回異常を通知する巡回異常通知情報を移動型無線通信装置301に送信する。巡回異常通知情報は、移動型無線通信装置301の近隣にある固定型無線通信装置102(例えば、最も近くの固定型無線通信装置102)を介して送信される。巡回異常通知情報には、巡回異常の種類、周辺にある監視カメラ101で撮影された映像などが含まれる。また、その付近で過去に発生した巡回異常の情報を含めてもよい。移動型無線通信装置301は、巡回異常通知情報を受信すると、自身のモニタに表示出力する。また、移動型無線通信装置301は、モニタ出力に代えて/又はこれとともに、所定の警告ランプを点灯又は点滅させたり、所定の警告音又は警告メッセージを音声出力させたりしてもよい。
【0039】
なお、巡回警備モードでは、警備員が巡回中の任意のタイミングで移動型無線通信装置301を操作することで、近隣の固定型無線通信装置102を介して、異常の発生を報せるアラームを制御装置201に送信することもできる。制御装置201は、移動型無線通信装置301から発報されたアラームを受信した場合も、巡回異常の検出時と同様の動作を行う。すなわち、制御装置201は、移動型無線通信装置301の現在位置を、固定型無線通信装置102と移動型無線通信装置301の通信結果に基づいて割り出す。そして、移動型無線通信装置301の現在位置に最も近い監視カメラ101を特定し、監視カメラ101を移動型無線通信装置301の現在位置の方向を向けて撮影するよう制御する。監視カメラ101の映像は、表示装置203に表示されるとともに記録装置204に記録される。
【0040】
以上説明したように、本例の監視システムは、巡回経路に沿った各所に設置された複数の監視カメラ101及び固定型無線通信装置102と、警備員に所持される移動型無線通信装置301と、監視カメラ101及び固定型無線通信装置102とネットワークを介して接続された制御装置201と、制御装置201による制御の下で、監視カメラ101の映像を表示する表示装置203とを備えている。そして、制御装置201が、固定型無線通信装置102と移動型無線通信装置301との通信結果に基づいて巡回状況を監視し、巡回異常が検出された場合に、巡回異常を示す情報を表示装置203に表示させる構成となっている。
【0041】
すなわち、本例の監視システムは、監視カメラ設備を利用して警備員の巡回による警備を支援できるように構成されている。また、建物の内部などのGPS信号が届きにくい環境でも、警備員の巡回状況を把握し、巡回異常を検出できるように構成されている。したがって、警備員の巡回による警備の支援に役立つ監視システムを提供することができる。
【0042】
ここで、上記の例では、監視カメラ101、固定型無線通信装置102及び中継装置103を、互いに地点に配置しているが、これらを互いに異なる地点に配置してもよい。1つの中継装置103に対し、複数の固定型無線通信装置102及び中継装置103を接続してもよい。
【0043】
また、巡回監視モードにおいて、制御装置201が、警備員の近傍にない監視カメラ101の映像解析等による異常検知を追加で実施してもよい。また、巡回監視モードにおいて、制御装置201が、巡回する警備員の映像を表示装置203に常に表示させるようにしてもよい。この場合には、表示装置203に映像を表示する監視カメラ101を警備員の移動に伴って切り替えるとともに、警備員を追いかけるように監視カメラ101の向きを制御すればよい。
【0044】
以上、本発明について実施例に基づいて詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された監視システムに限定されるものではなく、上記以外の監視システムにも広く適用できることは言うまでもない。
また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法や方式、そのような方法や方式を実現するためのプログラム、そのプログラムを記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、警備員の巡回による警備を支援する種々の監視システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
101:監視カメラ、 102:固定型無線通信装置、 103:中継装置、 201:制御装置、 202:制御ソフトウェア、 203:表示装置、 204:記録装置、 205:中継装置、 301:移動型無線通信装置