(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】内燃機関用の粒子フィルタのアッシュ堆積物の検出
(51)【国際特許分類】
F01N 3/023 20060101AFI20221129BHJP
F01N 11/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
F01N3/023 K
F01N11/00
(21)【出願番号】P 2020561001
(86)(22)【出願日】2019-05-03
(86)【国際出願番号】 DE2019100398
(87)【国際公開番号】W WO2019214771
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】102018207227.2
(32)【優先日】2018-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ・ラルフ
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/030278(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0017012(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/023
F01N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の内燃機関(VM)のための粒子フィルタ(PF)のアッシュ堆積物を検出する測定装置(MV)であって、
再生プロセスの終了後に、事前に決められた最小限のスート堆積物が粒子フィルタに残るように粒子フィルタ(PF)の再生プロセスが実行され、
内燃機関の排気装置(MV)内における粒子フィルタ(PF)の排気方向下流側に設置された圧力センサ(DS)を使用して、粒子フィルタ(PF)の再生プロセスにおける堆積物の燃焼を特徴付ける実際の再生度(tr)を割り出し、
当該再生度(tr)と再生プロセスの継続時間(td)を特徴付ける量とに基づいて粒子フィルタ(PF)のアッシュ堆積物を特定する
ように構成された測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置(MV)であって、
燃焼モデル(AM)を使用して、再生プロセスの継続時間(td)に基づいて再生プロセスにおける堆積物の燃焼を特徴付けるモデル再生度(mr)を割り出し、
粒子フィルタ(PF)のアッシュ堆積物を実際の再生度(tr)とモデル再生度(mr)との偏差に基づいて割り出す
ように構成された測定装置(MV)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の測定装置(MV)であって、
圧力センサ(DS)を使用して、再生プロセス前の粒子フィルタ(PF)の堆積物を特徴付ける堆積度(x1)を特定し、
圧力センサ(DS)を使用して、再生プロセス後の粒子フィルタ(PF)の堆積物を特徴付ける堆積度(x2)を特定し、
実際の再生度(tr)をこれら二つの堆積度(x1,x2)の偏差に基づいて割り出す
ように構成された測定装置(MV)。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の測定装置(MV)であって、
燃焼モデル(AM)は、排気ガス体積流量および/または排気ガス温度および/または粒子フィルタ(PF)の堆積物に基づいて再生プロセスにおける堆積物の燃焼を特徴付けるモデル再生度(mr)を割り出すように作成されている
測定装置。
【請求項5】
請求項2,3又は4のいずれかに記載の測定装置(MV)であって、
圧力センサ(DS)を使用して、再生プロセス前の粒子フィルタ(PF)の堆積物を特徴付ける堆積度(x1)特定し、
燃焼モデル(AM)を使用して、再生プロセスの継続時間(td)に基づいて再生プロセス後の粒子フィルタ(PF)の堆積物を特徴付ける堆積度(xm)を割り出し、
モデル再生度(mr)をこれら二つの堆積度(x1,xm)の偏差に基づいて割り出す
ように構成された測定装置(MV)。
【請求項6】
請求項2,3,4又は5のいずれかに記載の測定装置(MV)であって、
少なくとも二つの時点(t1,t4)において、その都度一つの実際の再生度(tr1,tr4)と一つのモデル再生度(mr1,mr4)とを割り出し、
第一の時点(t1)の後に来る第二の時点(t4)における粒子フィルタ(PF)のアッシュ堆積物が増加していることを、実際の再生度(tr1,tr4)とモデル再生度(mr1,mr4)との第二の時点(t4)における偏差が第一の時点(t1)におけるものよりも大きい場合に判定する
ように構成された測定装置(MV)。
【請求項7】
請求項2,3,4,5又は6のいずれかに記載の測定装置(MV)であって、
少なくとも三つの時点(t1,t2,t3,t4)において、その都度一つの実際の再生度(tr1,tr2,tr3,tr4)と一つのモデル再生度(mr1,mr2,mr3,mr4)とを割り出し、
粒子フィルタ(PF)のアッシュ堆積物が増加していることを、少なくとも二つの時点(t1,t2;t3,t4)毎について集約された、実際の再生度(tr1,tr2;tr3,tr4)とモデル再生度(mr1,mr2;mr3,mr4)との後の時点(t3,t4)における偏差が、後の時点(t3,t4)に比べて前の時点(t1,t2)におけるものよりも大きい場合に判定する
ように構成された測定装置(MV)。
【請求項8】
請求項1に記載の測定装置(MV)であって、
圧力センサ(DS)を使用して、粒子フィルタ(PF)の堆積物を特徴付ける堆積度(x)を特定し、
堆積度が第一の閾値(os)に達したとき又はそれを上回ったとき、エンジンコントロールユニット(DME)により再生プロセスを開始し、
堆積度が第二の閾値(us)に達したとき又はそれを下回ったとき、エンジンコントロールユニット(DME)により再生プロセスを終了し、
粒子フィルタ(PF)のアッシュ堆積物を再生プロセスの継続時間(td)に基づいて特定する
ように構成された測定装置(MV)。
【請求項9】
請求項8に記載の測定装置(MV)であって、
再生プロセスは、少なくとも一つの再生段階(rp1,rp2,rp3)からなり、
当該再生段階(rp1,rp2)の終了後、圧力センサ(DS)を使用して、堆積度(x)を特定し、
堆積度(x)が第二の閾値(us)にまだ達していない又は下回っていない場合に、さらなる再生段階(rp2,rp3)を開始する
ように構成された測定装置(MV)。
【請求項10】
自動車の内燃機関(VM)のための粒子フィルタ(PF)のアッシュ堆積物を検出する測定方法であって、
再生プロセスの終了後に、事前に決められた最小限のスート堆積物が粒子フィルタに残るように粒子フィルタ(PF)の再生プロセスを実行し、
以下の:
粒子フィルタ(PF)の再生プロセスにおける堆積物の燃焼を特徴付ける実際の再生度(tr)を割り出すステップ、
当該再生度(tr)と再生プロセスの継続時間(td)を特徴付ける量とに基づいて粒子フィルタ(PF)のアッシュ堆積物を特定するステップ
を有する測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用の粒子フィルタのアッシュ堆積物を検出する測定装置および測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1より、粒子フィルタ内に前もって蓄えられた酸素が放出される放出時間を粒子フィルタ下流側でのラムダ値の急激な変化(Lambda-Sprung)を用いて特定することで粒子フィルタのアッシュ堆積物を判定することが公知である。その放出時間に基づいてアッシュ(灰)による粒子フィルタの堆積物が特定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102017116405号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、内燃機関用の粒子フィルタのアッシュ堆積物を検出する代替的な測定装置および代替的な測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立特許請求項の特徴部により解決される。有利な実施態様は、従属請求項に記載されている。独立特許請求項に従属する特許請求項の付加的な特徴は、独立特許請求項の特徴無しで又は独立特許請求項の特徴の一部との組み合わせだけでも、独立特許請求項の全ての特徴との組み合わせには無関係の個別の発明を形作ることができ、その発明は、分割出願又は継続出願の独立請求項の対象にすることができる。このことは、明細書に記載された技術的教示にも同様に当てはまり、それは、独立特許請求項の特徴とは独立した発明を形作ることができる。
【0006】
本発明の第一の観点は、自動車の内燃機関用の粒子フィルタのアッシュ堆積物を検出する測定装置に関する。
【0007】
粒子フィルタは、内燃機関が稼動する際に灰(アッシュ)に加えて煤(スート)も堆積する。灰(アッシュ)はこのとき、通常、オイルの燃えカスからなり、煤(スート)は、燃料が燃焼した残りカスから生じる。従って、粒子フィルタの堆積物は、少なくともアッシュ(灰)による粒子フィルタの堆積物とスート(煤)による粒子フィルタの堆積物とを含有する。
【0008】
粒子フィルタの再生プロセスは、再生プロセスの終了後に、事前に決められた最小限のスート堆積物が粒子フィルタに残るように実行される。ここで、事前に決められた最小限のスート堆積物は、例えば粒子フィルタの効率に応じて、粒子フィルタ、内燃機関又は自動車の開発中に予め決めておくことができる。代替的または付加的に、事前に決められた最小限のスート堆積物は、粒子フィルタの稼動中に調整することもでき、特にそれを継続的に行ってもよい。
【0009】
再生プロセスでは、粒子フィルタ内のスートが燃焼される。再生プロセスはこのとき、特に、粒子フィルタが堆積物で一杯になり、そのせいで燃費が悪くなってしまいかねないのを防ぐのに役立つ。ただし、再生プロセスではアッシュは燃焼されず、その結果、粒子フィルタの耐用期間に亘って粒子フィルタのアッシュ堆積物は増え続ける。
【0010】
本発明は、粒子フィルタの効率が、スートによる粒子フィルタの堆積物にとりわけ依存するという知見に基づくものである。
【0011】
比較的高い効率はこのとき、特に、スートに関して最小限の堆積物が粒子フィルタに堆積している場合にだけ達成される。ここで、最小の堆積は例えば25%、50%又は75%であることもある。そのため、粒子フィルタのアッシュ堆積物を特定するに当たって粒子フィルタ内に堆積したスートを完全に燃やし尽くすことはあまり意味のあることではない。
【0012】
測定装置は、内燃機関の排気装置内における粒子フィルタの排気方向下流側に設置された圧力センサを使用して、粒子フィルタの再生プロセスにおける堆積物の燃焼を特徴付ける実際の再生度を割り出すように構成されている。このとき、アッシュによる粒子フィルタの堆積物とスートによる粒子フィルタの堆積物のいずれも、圧力センサにより測定される圧力、例えば排気ガスの逆圧(Abgas-Gegendruck)に関与する。
【0013】
これとは別に、圧力センサは、粒子フィルタの排気方向上流側に設置することもできる。
【0014】
圧力センサは特に、粒子フィルタ前後(上流側と下流側)の圧力差を特定するように構成することができる。粒子フィルタはそのために、例えば粒子フィルタの排気方向上流側へのアクセス口と粒子フィルタの排気方向下流側へのアクセス口を有することができる。
【0015】
或いは、圧力センサは、圧力差を特定するために、粒子フィルタの上流側の圧力だけを測定し、粒子フィルタの下流側の圧力は、排気装置内における粒子フィルタの下流側に続く構成要素のモデルを使用して特定するように構成してもよい。
【0016】
圧力センサによって必要に応じて検出された圧力差は、例えば実際の再生度を特定するのに参照することができる。
【0017】
ここで、粒子フィルタのアッシュ堆積物の寄与分と粒子フィルタのスート堆積物の寄与分とを区別することは、スートを完全に燃やし尽くした単純な場合にしかできないが、それは、そのような場合にはスート堆積物の寄与分が完全に抜け落ちるからである。
【0018】
そのために測定装置は特に、圧力センサを使用して、再生プロセス前の粒子フィルタの堆積物を特徴付ける堆積度を特定し、圧力センサを使用して、再生プロセス後の粒子フィルタの堆積物を特徴付ける堆積度を特定するように構成することができる。堆積度は特に、圧力か或いは圧力を特徴付ける量、例えば別の影響因子(例えば温度)の値によって正規化された量とすることができる。
【0019】
実際の再生度は、測定装置により二つの堆積度の偏差に基づいて割り出すことができる。二つの堆積度の偏差は、例えば二つの堆積度の差分であってもよいし、或いは二つの量の互いに対する比であってもよい。
【0020】
ここで、本発明は、確かに粒子フィルタのアッシュ堆積物が増加し続け、粒子フィルタの再生によっても減らすことはできないという知見に基づいてはいる。しかしながら、粒子フィルタのアッシュ堆積物は、非常にゆっくりと増加するため、特に二つの堆積度を特定する際に、再生プロセス前のアッシュ堆積物が再生プロセス後のアッシュ堆積物に略相当し、従ってアッシュ堆積物が変化しないという単純化した仮定を置くことができる。
【0021】
測定装置はさらに、再生度と再生プロセスの継続時間を特徴付ける量とに基づいて粒子フィルタのアッシュ堆積物を特定するように構成されている。再生プロセスの期間を特徴付ける量は、特に、例えばミリ秒単位で記述可能な連続的な時間間隔であってもよい。それに代えて特に、例えば実行された再生プロセスの回数といった離散的な時間尺度でも構わない。
【0022】
有利な実施形態では、測定装置は、燃焼モデルを使用して、再生プロセスの継続時間に基づいて再生プロセスにおける堆積物の燃焼を特徴付けるモデル再生度を割り出すように構成されている。
【0023】
燃焼モデルはここで、特に、再生プロセスの継続時間に基づいて再生プロセスによる粒子フィルタの堆積物の想定される減少分を提示する。短い再生プロセスに比べて長い再生プロセスであれば、燃焼モデルは例えば、粒子フィルタの堆積物のより多くの減少分を提示する。
【0024】
さらに、測定装置は、粒子フィルタのアッシュ堆積物を実際の再生度とモデル再生度との偏差に基づいて割り出す(検出する)ように構成されている。実際の再生度とモデル再生度との偏差は、例えば、実際の再生度とモデル再生度との差分であってもよい。それに代えて例えば、実際の再生度のモデル再生度に対する比とすることもできる。それに代えて例えば、モデル再生度の実際の再生度に対する比とすることもできる。特に、測定装置は、実際の再生度とモデル再生度との偏差が比較的大きい場合に、粒子フィルタの比較的多いアッシュ堆積物を割り出すように構成することができる。
【0025】
これに代わるものとして、測定装置は特に、実際の再生度とモデル再生度との偏差が比較的小さい場合に、粒子フィルタの比較的少ないアッシュ堆積物を割り出すように構成することができる。
【0026】
さらに別の有利な実施形態では、燃焼モデルは、排気ガス体積流量および/または排気ガス温度および/または粒子フィルタの堆積物に基づいて再生プロセスにおける堆積物の燃焼を特徴付けるモデル再生度を割り出すように作成されている。
【0027】
さらに別の有利な実施形態では、測定装置は、圧力センサを使用して、再生プロセス前の粒子フィルタの堆積物を特徴付ける堆積度を特定し、燃焼モデルを使用して、再生プロセスの継続時間に基づいて再生プロセス後の粒子フィルタの堆積物を特徴付ける堆積度を割り出すように構成されている。
【0028】
さらに、測定装置は、モデル再生度をこれら二つの堆積度の偏差に基づいて割り出すように構成されている。この偏差は、例えば、これら二つの堆積度の差分又はこれら二つの堆積度の互いに対する比とすることができる。
【0029】
さらに別の有利な実施形態では、測定装置は、少なくとも二つの時点において、その都度一つの実際の再生度と一つのモデル再生度を割り出し、第一の時点の後に来る第二の時点における粒子フィルタのアッシュ堆積物が増加していることを、実際の再生度とモデル再生度との第二の時点における偏差が第一の時点におけるものよりも大きい場合に判定するように構成されている。
【0030】
本発明はここで、時間とともに粒子フィルタのアッシュ堆積物が増加していくと、実際の再生度のモデル再生度からのズレも次第に大きくなっていくという知見に基づいている。
【0031】
さらに別の有利な実施形態では、測定装置は、少なくとも三つの時点において、その都度一つの実際の再生度と一つのモデル再生度とを割り出し、粒子フィルタのアッシュ堆積物が増加していることを、少なくとも二つの時点毎について集約された、実際の再生度とモデル再生度との後の時点における偏差が、後の時点に比べて前の時点におけるものよりも大きい場合に判定するように構成されている。
【0032】
偏差を集約するとは特に、算術平均値または中央値を求めることであってもよい。集約された偏差は、例えば、離れた複数時点毎について求めてもよい。或いは、集約された偏差は、平滑値(gleitender Wert)として求めてもよい。
【0033】
ここで、本発明は、実際の再生度とモデル再生度との偏差は、場合によっては、相当深刻な瞬間的な(時点毎の)障害の複数の影響を被る可能性があるという知見に基づいている。これらの瞬間的な障害の影響は、フィルタリングの意味合いでの集約によって識別して補償することができると考えられる。
【0034】
さらに別の有利な実施形態では、測定装置は、圧力センサを使用して、粒子フィルタの堆積物を特徴付ける堆積度を特定するように構成されている。
【0035】
さらに、測定装置は、堆積度が第一の閾値に達したとき又はそれを上回ったとき、エンジンコントロールユニットにより再生プロセスを開始し、堆積度が第二の閾値に達したとき又はそれを下回ったとき、エンジンコントロールユニットにより再生プロセスを終了し、粒子フィルタのアッシュ堆積物を再生プロセスの継続時間に基づいて特定するように構成されている。
【0036】
特に、測定装置は、第一のおよび/または第二の閾値を前の時点で特定された粒子フィルタのアッシュ堆積物に基づいて調整するように構成されている。例えば、アッシュ堆積物が増加していることが確認された場合には、第一のおよび/または第二の閾値を上げることができる。
【0037】
ここで、本発明は、内燃機関が稼動しているときには、粒子フィルタのアッシュ堆積物は絶えず上昇はするが、ただしゆっくりであるという知見に基づいている。
【0038】
特に、測定装置は、時間の短い再生プロセスに比べて時間のより長い再生プロセスの場合に、より多い粒子フィルタのアッシュ堆積物を特定するように構成されている。
【0039】
さらに別の有利な実施形態では、再生プロセスは、少なくとも一つの再生段階からなり、有利には、一より多い再生段階からなる。再生段階の継続時間は特に、予め一定に決めておくことができ、例えば経験的に求めることができる。これに代えて、再生段階の継続時間は特に、測定装置が動作している間であっても、燃焼モデルに基づいて求めることができる。
【0040】
測定装置は、再生段階の終了後、圧力センサを使用して、堆積度を特定し、堆積度が第二の閾値にまだ達していない又は下回っていない場合に、さらなる再生段階を開始するように構成されている。
【0041】
そのときには、開始された再生段階の回数は特に、再生プロセスの継続時間を特徴付ける量として測定装置によって参照することができる。
【0042】
本発明の第二の観点は、自動車の内燃機関用の粒子フィルタのアッシュ堆積物を検出する測定方法に関する。
【0043】
粒子フィルタの再生プロセスはここで、再生プロセスの終了後に、事前に決められた最小限のスート堆積物が粒子フィルタに残るように実行される。
【0044】
この測定方法の一ステップは、粒子フィルタの再生プロセスにおける堆積物の燃焼を特徴付ける実際の再生度を割り出すことである。
【0045】
この測定方法のさらなるステップは、上記再生度と再生プロセスの継続時間を特徴付ける量とに基づいて粒子フィルタのアッシュ堆積物を特定することである。
【0046】
本発明の第一の観点による本発明の測定装置に関する先の記述は、本発明の第二の観点による本発明の測定方法についても対応した態様で当てはまる。特許請求項とここに明記されていない本発明の測定方法の有利な実施例は、先に記載した又は特許請求項に記載した本発明の測定装置の有利な実施例に対応する。
【0047】
以下に、添付の図面を用いながら実施例に基づいて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】内燃機関の概略的な構成を、内燃機関に接続された排気装置とともに示す図である。
【
図2】粒子フィルタの堆積物の測定点の例を示す図である。
【
図4】粒子フィルタの堆積物の外挿された推移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は内燃機関VMを示し、その排出物は、粒子フィルタPFに導かれる。粒子フィルタPFの排気方向下流側には、一つの圧力センサDSが排気装置内に設置されている。
【0050】
この圧力センサDSにより測定され、場合によっては前処理された値を受け取るように一つの測定装置MVが設けられている。さらに、圧力センサDSにより測定され、場合によっては前処理された値を受け取るように一つの燃焼モデルAMが設けられている。
【0051】
さらに、測定装置MVは、燃焼モデルAMから粒子フィルタのモデル堆積度を受け取るようにも設けられている。
【0052】
しかも、測定装置MVは、エンジンコントロール装置DMEを用いることで、粒子フィルタPFの再生プロセスを内燃機関VMの操作を通じて開始および終了するように設けられている。
【0053】
図2は、粒子フィルタの堆積物PFの測定点の例を示している。
【0054】
粒子フィルタPFの再生プロセスrp1はこのとき、再生プロセスrp1の終了後に、事前に決められた最小限のスート堆積物が粒子フィルタに残るように実行される。この再生プロセスrp1は、例えばオーバーラン・フューエルカットオフsaとそれに続くデッドタイムを含み得る。
【0055】
再生プロセスrp1の間は、場合によっては粒子フィルタPFの堆積物Bの測定ができず、そのために、再生プロセスrp1のいかなるコントロールもできなくなる可能性がある。
【0056】
自動車の内燃機関VMのための粒子フィルタPFのアッシュ堆積物を検出する測定装置MVは、内燃機関MVの排気装置内における粒子フィルタPFの排気方向下流側に設置された圧力センサDSを使用して、粒子フィルタPFの再生プロセスにおける堆積物の燃焼を特徴付ける実際の再生度trを割り出すように構成されている。
【0057】
実際の再生度trを割り出すために、測定装置MVは、圧力センサDSを使用して、再生プロセス前の粒子フィルタPFの堆積物を特徴付ける堆積度x1を特定し、圧力センサDSを使用して、再生プロセス後の粒子フィルタPFの堆積物を特徴付ける堆積度x2を特定するように構成されている。
【0058】
実際の再生度trは、これら二つの堆積度x1,x2の偏差に基づいて割り出すことができる。
【0059】
さらに、測定装置MVは、燃焼モデルAMを使用して、再生プロセスの継続時間tdに基づいて再生プロセスにおける堆積物の燃焼を特徴付けるモデル再生度mrを割り出すように構成されている。
【0060】
燃焼モデルAMは、排気ガス体積流量および/または排気ガス温度および/または粒子フィルタPFの堆積物に基づいて再生プロセスにおける堆積物の燃焼を特徴付けるモデル再生度mrを割り出すように作成されている。
【0061】
特に、測定装置MVは、圧力センサDSを使用して、再生プロセス前の粒子フィルタPFの堆積物を特徴付ける堆積度(x1)を特定し、燃焼モデルAMを使用して、再生プロセスの継続時間tdに基づいて再生プロセス後の粒子フィルタPFの堆積物を特徴付ける堆積度(xm)を割り出し、モデル再生度mrをこれら二つの堆積度x1,xmの偏差に基づいて割り出すように構成されている。
【0062】
測定装置MVは、粒子フィルタPFのアッシュ堆積物を実際の再生度trとモデル再生度mrとの偏差に基づいて割り出すように構成されている。
【0063】
図3は、再生度の値の例を示している。測定装置MVはこのとき、少なくとも二つの時点t1,t4において、その都度一つの実際の再生度tr1,tr4と一つのモデル再生度mr1,mr4を割り出すように構成されている。
【0064】
さらに、測定装置は、第一の時点t1の後に来る第二の時点t4における粒子フィルタPFのアッシュ堆積物が増加していることを、実際の再生度tr1,tr4とモデル再生度mr1,mr4との第二の時点t4における偏差が第一の時点t1におけるものよりも大きい場合に判定するように構成することができる。
【0065】
代替的ないし付加的に、測定装置MVは、少なくとも三つの時点t1,t2,t3,t4において、その都度一つの実際の再生度tr1,tr2,tr3,tr4と一つのモデル再生度mr1,mr2,mr3,mr4とを割り出し、粒子フィルタPFのアッシュ堆積物が増加していることを、少なくとも二つの時点t1,t2;t3,t4毎について集約された、実際の再生度tr1,tr2;tr3,tr4とモデル再生度mr1,mr2;mr3,mr4との後の時点t3,t4における偏差が、後の時点t3,t4に比べて前の時点t1,t2におけるものよりも大きい場合に判定するように構成することができる。
【0066】
図4は、粒子フィルタの堆積物Bの外挿された推移を示している。測定装置MVはこのとき、圧力センサDSを使用して、粒子フィルタPFの堆積物を特徴付ける堆積度xを特定するように構成されている。
【0067】
堆積度が第一の閾値osに達したとき又はそれを上回ったとき、測定装置MVがエンジンコントロールユニットDMEにより再生プロセスを開始する。
【0068】
堆積度が第二の閾値usに達したとき又はそれを下回ったとき、測定装置MVがエンジンコントロールユニットDMEにより再生プロセスを終了する。
【0069】
さらに、測定装置は、粒子フィルタPFのアッシュ堆積物を再生プロセスの継続時間tdに基づいて特定する。
【0070】
再生プロセスはこのとき、少なくとも一つの再生段階rp1,rp2,rp3からなり、測定装置MVは、その再生段階rp1,rp2の終了後、圧力センサDSを使用して、堆積度xを特定し、堆積度xが第二の閾値usにまだ達していない又は下回っていない場合に、さらなる再生段階rp2,rp3を開始するように構成することができる。