(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】後退方向で着目ポイントに向かって車両の自律運転を実施する方法、およびシステム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/10 20060101AFI20221129BHJP
B62D 6/00 20060101ALI20221129BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B60W30/10
B62D6/00
B60W40/02
(21)【出願番号】P 2020563459
(86)(22)【出願日】2019-05-08
(86)【国際出願番号】 US2019031380
(87)【国際公開番号】W WO2019217588
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-01-06
(32)【優先日】2018-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313005662
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティブ システムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CONTINENTAL AUTOMOTIVE SYSTEMS, INC.
【住所又は居所原語表記】1 Continental Drive, Auburn Hills, Michigan 48326-1581, USA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ドナルド バークマイアー
(72)【発明者】
【氏名】シン ユー
(72)【発明者】
【氏名】ディレン ヴァーマ
(72)【発明者】
【氏名】ダニー バイナム
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン イプ
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアルド ホセ ラミレス リャノス
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ ザグロバ
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102012001380(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102012005707(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0378118(US,A1)
【文献】特開2017-105439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/10
B62D 6/00
B60W 40/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後退方向で着目ポイントに向かって車両の自律運転を実施する方法であって、
データ処理ハードウェアにおいて、前記車両の後部に配置され前記データ処理ハードウェアと通信を行うカメラから、1つまたは複数の画像を受け取るステップと、
前記データ処理ハードウェアにおいて、前記1つまたは複数の画像に経路を重ね合わせるステップと、
前記データ処理ハードウェアにおいて、該データ処理ハードウェアと通信を行うユーザインタフェースを介して、前記経路を調節するための指示を含む命令を受け取るステップと、
前記データ処理ハードウェアにおいて、受け取った前記命令に基づき前記経路を調節するステップと、
前記データ処理ハードウェアから、該データ処理ハードウェアと通信を行う走行システムへ、調節された前記経路に沿って前記車両に自律運転を実施させる走行命令を送信するステップと
を含み、
前記命令を受け取るステップは、前記ユーザインタフェースを介して、運転者によって、3つの独立した経路モードのうちの1つまたは複数を選択することを含み、前記経路モードは、前記経路の湾曲角度を調節するように構成された角度サブモードと、前記経路の距離を調節するように構成された距離サブモードと、前記経路の終端において、前記車両が前記着目ポイントに対してどのように配向されるかを示す接近角度を調節するように構成された二重円弧モードとを含み
、選択された
前記経路モードに基づいて、前記命令は、前記経路の角度を調節するための指示、前記経路の距離を調節するための指示、および/または、前記経路の終端部分の角度を調節するための指示を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記着目ポイントはトレーラであり、前記経路の前記終端部分の前記角度を調節することにより、前記車両の前後軸を前記トレーラの前後軸と整列させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
走行命令を送信する前に、当該方法は、前記データ処理ハードウェアに前記走行命令を送信させるアクションを運転者から受け取るステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
当該方法はさらに、前記後退方向での前記車両の自律運転中、前記経路に対し相対的な前記車両のポジションを表示するよう、前記ユーザインタフェースに指示するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
後退方向で着目ポイントに向かって車両の自律運転を実施するシステムであって、当該システムは、
データ処理ハードウェアと、
該データ処理ハードウェアと通信を行うメモリハードウェアと、
を含み、
該メモリハードウェアは命令を格納しており、該命令は、前記データ処理ハードウェア上で実行されると、前記データ処理ハードウェアに以下のことを含む動作を実施させる、すなわち、
前記車両の後部に配置され前記データ処理ハードウェアと通信を行うカメラから、1つまたは複数の画像を受け取ることと、
前記1つまたは複数の画像に経路を重ね合わせることと、
前記データ処理ハードウェアと通信を行うユーザインタフェースを介して、前記経路を調節するための指示を含む命令を受け取ることと、
受け取った前記命令に基づき前記経路を調節することと、
前記データ処理ハードウェアと通信を行う走行システムへ、調節された前記経路に沿って前記車両に自律運転を実施させる走行命令を送信することと、
を含む動作を実施させ、
前記命令を受け取ることは、前記ユーザインタフェースを介して、運転者によって、3つの独立した経路モードのうちの1つまたは複数を選択することを含み、前記経路モードは、前記経路の湾曲角度を調節するように構成された角度サブモードと、前記経路の距離を調節するように構成された距離サブモードと、前記経路の終端において、前記車両が前記着目ポイントに対してどのように配向されるかを示す接近角度を調節するように構成された二重円弧モードとを含み
、選択された
前記経路モードに基づいて、前記命令は、前記経路の角度を調節するための指示、前記経路の距離を調節するための指示、および/または、前記経路の終端部分の角度を調節するための指示を含むことを特徴とする、
システム。
【請求項6】
前記着目ポイントはトレーラであり、前記経路の前記終端部分の前記角度を調節することにより、前記車両の前後軸が前記トレーラの前後軸と整列させられる、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
走行命令を送信する前に、前記動作はさらに、前記データ処理ハードウェアに前記走行命令を送信させるアクションを運転者から受け取ることを含む、請求項5記載のシステム。
【請求項8】
前記動作はさらに、前記後退方向での前記車両の自律運転中、前記経路に対し相対的な前記車両のポジションを表示するよう、前記ユーザインタフェースに指示することを含む、請求項5記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動化された車両の後退動作のためにユーザが調節可能な軌跡のための方法および装置に関する。
【0002】
背景
トレーラは通常、動力を備えた牽引車両によって引っ張られる無動力の車両である。トレーラを他にもある中で特に、ユーティリティトレーラ、ポップアップ式キャンピングカー、旅行用トレーラ、家畜用トレーラ、平床式トレーラ、有蓋車両輸送トレーラ、およびボートトレーラとすることができる。牽引車両を、乗用車、クロスオーバー車、トラック、バン、スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)、レクレーショナル・ビークル(RV)、またはトレーラに取り付けてトレーラを引っ張るように構成された他の任意の車両とすることができる。トレーラヒッチを用いて、トレーラを動力車両に取り付けることができる。受け側ヒッチが牽引車両に装備されており、これがトレーラヒッチと接続されて接続が形成される。トレーラヒッチを、ボールおよびソケット、予備車輪およびグースネック、またはトレーラジャッキとすることができる。他の取り付け機構を使用することもできる。
【0003】
コンピューティングおよびセンサのテクノロジーにおける最近の進歩によって、車両の自律走行が向上するに至った。したがって、牽引車両からトレーラへの経路をプラニング可能であり、それによって車両がトレーラに向かって自律運転を実施できるようにする、自動化された車両後退システムを提供するのが望ましい。
【0004】
概要
本開示の1つの態様によれば、後退方向で着目ポイントに向かって車両の自律運転を実施する方法が提供される。この方法は、データ処理ハードウェアにおいて、車両後部に配置されデータ処理ハードウェアと通信を行うカメラから、1つまたは複数の画像を受け取るステップを含む。この方法は、データ処理ハードウェアにおいて、1つまたは複数の画像に経路を重ね合わせるステップも含む。この方法は、データ処理ハードウェアにおいて、このデータ処理ハードウェアと通信を行うユーザインタフェースを介して、命令を受け取るステップも含む。この命令は、経路を調節するための指示を含む。この方法は、データ処理ハードウェアにおいて、受け取った命令に基づき経路を調節するステップも含む。この方法は、データ処理ハードウェアから、このデータ処理ハードウェアと通信を行う走行システムへ、調節された経路に沿って車両に自律運転を実施させる走行命令を送信するステップも含む。
【0005】
本開示の実施態様は、以下の任意選択的特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施態様において、命令は、経路の距離を調節するための指示、経路の角度を調節するための指示、および/または経路の終端部分の角度を調節するための指示を含む。いくつかの実施例において、着目ポイントはトレーラである。この場合、経路の終端部分の角度を調節することにより、車両の前後軸がトレーラの前後軸と整列させられる。
【0006】
いくつかの実施態様において、走行命令を送信する前に、この方法は、データ処理ハードウェアにこの走行命令を送信させるアクションを運転者から受け取るステップを含む。この方法はさらに、後退方向での車両の自律運転中、経路に対し相対的な車両のポジションを表示するよう、ユーザインタフェースに指示するステップを含むことができる。
【0007】
本開示の別の態様によれば、後退方向で着目ポイントに向かって車両の自律運転を実施するシステムが提供される。このシステムは、データ処理ハードウェアと、このデータ処理ハードウェアと通信を行うメモリハードウェアとを含む。メモリハードウェアは命令を格納しており、この命令は、データ処理ハードウェア上で実行されると、データ処理ハードウェアに上述の方法を含む動作を実施させる。
【0008】
添付の図面および以下の説明には、本開示の1つまたは複数の実施態様の詳細が示されている。明細書および図面ならびに特許請求の範囲から、他の態様、特徴および利点が明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】トレーラから所定の距離のところにある例示的な牽引車両の概略的な上面図である。
【
図2】ヒッチ支援システムを有する例示的な牽引車両の概略図である。
【
図3A】システムの例示的な状態チャートの概略図である。
【
図3B】システムの例示的な状態チャートの概略図である。
【
図7】例示的な軌跡プラニングシステムの概略図である。
【
図8】トレーラから運転者が指定したロケーションまでの経路を決定するための例示的な方法の概略図である。
【0010】
様々な図において、同じ参照符号は同じ要素を表す。
【0011】
詳細な説明
以下に限定されるものではないが、乗用車、クロスオーバー車、トラック、バン、スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)、およびレクレーショナル・ビークル(RV)といった牽引車両を、トレーラを牽引するように構成することができる。牽引車両は、トレーラヒッチを用いてトレーラとの連結を行う。牽引車両の後方周囲の画像から識別され、ユーザディスプレイなどのユーザインタフェース上に表示された、運転者により指定されたポジション、たとえばトレーラ、に向かって自律的に後退可能な牽引車両を実現するのが望ましい。
【0012】
図1~
図7を参照すると、いくつかの実施態様において、牽引車両100の運転者は、牽引車両100後方のロケーションまたはトレーラ200に向かって牽引車両100が自律運転を実施できるように、このロケーションまたはトレーラ200を指定することを望んでいる。牽引車両100とトレーラ200とが整列されているならば、牽引車両100をトレーラ200と(たとえば運転者により、または自律的に)つなぐことができる。いくつかの実施例の場合、牽引車両100は、牽引ボール122を有する牽引ヒッチ120を含む。トレーラ200は、トレーラカプラ212および牽引棒214を含むトレーラヒッチ210を含む。このようにして牽引ボール122がトレーラカプラ212と連結される。
【0013】
牽引車両100は走行システム110を含むことができ、この走行システム110は、たとえばx成分、y成分およびz成分を有する走行命令に基づき、路面にわたり牽引車両100の運転を実施する。図示されているように、走行システム110は、右前輪112、112a、左前輪112、112b、右後輪112、112cおよび左後輪112、112dを含む。走行システム110は、これとは別の車輪構成を同様に含むことができる。走行システム110は、各車輪112、112a~dに対応づけられたブレーキを含むブレーキシステム114、および牽引車両100の速度および方向を調節するように構成された加速システム116を含むこともできる。これに加え走行システム110はサスペンションシステム118を含むことができ、このサスペンションシステム118は、各車輪112、112a~dに対応づけられたタイヤ、タイヤエア、スプリング、ショックアブソーバ、および牽引車両100をその車輪112、112a~dに連結するリンク機構を含み、牽引車両100と車輪112、112a~dとの間の相対的な運動を可能にする。サスペンションシステム118を、牽引車両100の高さを調節するように構成することができ、これによって牽引車両ヒッチ120(たとえば牽引車両ヒッチボール122)をトレーラヒッチ210(たとえばトレーラヒッチカプラ212)と整列させることができ、このようにして牽引車両100とトレーラ200との間の自律的な連結を可能にする。
【0014】
牽引車両100は、この牽引車両100によって規定される互いに垂直な3つの軸すなわち左右軸X、前後軸Yおよび中心垂直軸Zに対し相対的な運動の様々な組み合わせにより、路面にわたり移動することができる。左右軸線Xは、牽引車両100の右側と左側との間を延在している。前後軸Yに沿った前進走行方向がFで表されており、これを前進運動とも称する。これに加え、前後軸Yに沿った後ろ向き走行方向もしくは後退走行方向がRで表されており、これを後退運動とも称する。サスペンションシステム118が牽引車両100のサスペンションを調節すると、牽引車両100はX軸および/またはY軸を中心に傾くことができ、または中心垂直軸Zに沿って運動することができる。
【0015】
牽引車両100はユーザインタフェース130を含むことができる。ユーザインタフェース130は、ディスプレイ132、ノブ134およびボタン136を含むことができ、これらは入力機構として用いられる。いくつかの実施例において、ディスプレイ132によってノブ134およびボタン136を表示させることができる。他方、別の実施例において、ノブ134およびボタン136は、ノブとボタンのコンビネーションである。いくつかの実施例において、ユーザインタフェース130は、1つまたは複数の入力機構あるいはタッチスクリーンディスプレイ132を介して、運転者から1つまたは複数の運転者命令を受け取り、かつ/または1つまたは複数の通知を運転者に表示する。ユーザインタフェース130は車両コントローラ150と通信を行い、他方、車両コントローラ150はセンサシステム140と通信を行う。いくつかの実施例において、ディスプレイ132は、牽引車両100の周囲の画像を表示し、これに続いてユーザインタフェース130は、1つまたは複数の挙動の実行を開始させる1つまたは複数の命令を(運転者から)受け取る。いくつかの実施例において、ユーザディスプレイ132は、車両100の後方周囲の画像を表示する。この事例では、運転者は画像内の1つのポジションを選択することができ、運転者はこのポジションに向かって車両に自律運転を実施させたい。いくつかの実施例において、ユーザディスプレイ132は、車両100後方に配置されたトレーラ200の1つまたは複数の描写を表示する。この事例では、運転者は、車両100が自律運転を実施する方向にあるトレーラ200の1つの描写を選択する。
【0016】
ディスプレイ132は、車両100の後方周囲のカメラ画像143に挿入された、車両100のプラニング経路182を表示する。運転者は、ユーザインタフェース130を使用して、プラニング経路182を変更することができる。たとえば運転者は、仮想のステアリングホイールをシミュレートするノブ134を回すことができる。運転者がノブ134を回すと、ディスプレイ132上に示されたプラニング経路182が更新される。ディスプレイ132上に表示された更新されたプラニング経路182が、トレーラ描写138または運転者が車両100を走行させたい方向にある他の物体と交差するまで、運転者は表示された経路182を調節する。運転者が表示されたプラニング経路182に満足したならば、運転者は経路182の最終承認を表すアクションを実行し、これによって車両100はプラニング経路182を自律的に追従できるようになる。
【0017】
牽引車両100は、信頼性のあるロバストな走行を提供するために、センサシステム140を含むことができる。センサシステム140は種々のタイプのセンサを含むことができ、これらを別個にまたは他のものと組み合わせて、牽引車両100の周囲の認識をもたらすために用いることができ、この認識は、センサシステム140により検出された物体および障害物に基づき、牽引車両100を走行させ、インテリジェント判定を下す際に運転者を支援するために用いられる。センサシステム140は、1つまたは複数のカメラ142を含むことができる。いくつかの実施態様において、牽引車両100は後部カメラ142を含み、この後部カメラ142は、牽引車両100のために後退走行経路の視界を提供するように取り付けられている。後部カメラ142は魚眼レンズを含むことができ、これは超広角レンズを含み、これによってワイドなパノラマ画像または半球状画像の生成を意図した強い視覚的ゆがみがもたらされる。魚眼カメラは、極端にワイドな画角を有する画像を捕捉する。しかも魚眼カメラにより捕捉された画像は、特徴的な凸型の非直線的な外観を有する。牽引車両100の後部画像を捕捉するために、他のタイプのカメラを用いることもできる。
【0018】
センサシステム140は、以下に限定されるものではないが、慣性測定ユニット(IMU)、レーダ、ソナー、LIDAR(光検出と測距、これは遠隔の目標の距離および/または他の情報を見出すために散乱光の特性を測定する光学的遠隔センシングを必然的に伴う場合がある)、LADAR(レーザ検出と測距)、超音波センサなどのような、他のセンサを含むことができる。
【0019】
車両コントローラ150は、非一時的記憶装置154(たとえばハードディスク、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ、メモリハードウェア)と通信を行うコンピューティングデバイス(またはプロセッサ)152(たとえば1つまたは複数のコンピューティングプロセッサを有する中央処理ユニット)を含み、非一時的記憶装置154は、コンピューティングプロセッサ152上で実行可能な命令を格納することができる。
【0020】
車両コントローラ150はヒッチ支援システム160を実行し、このヒッチ支援システム160は、カメラ142から画像143を受け取り、受け取った画像143に車両経路182を挿入する。いくつかの実施態様の場合、運転者は、1つまたは複数の経路モード170に基づき、経路182の選択を調節することができる。いくつかの実施例において、経路モード170は、角度サブモード174と距離サブモード176とを有する円弧モード172を含む。いくつかの実施例において、経路モード170は、二重円弧モード178を含むことができる。したがって運転者は、トレーラ200またはある物体までの経路182を決定して調節するために、角度サブモード174、距離サブモード、および/または二重円弧モード178を選択することができる。
【0021】
いくつかの実施例において、角度サブモード174および距離サブモード176は、円弧モード172(
図3A)の一部であり、したがって運転者は最初にモード172、178を選択し、その後、選択されたモード172、178の中でサブモードを選択する。したがってたとえば、ディスプレイ132は、円弧モードボタン136と二重円弧モードボタン136とを表示することができ、運転者はこれらの中から選択することができる。
図3Bに示されている実施例の場合、各サブモード/モード174、176、178が独立している。したがってボタン136を押すか引くことによって、3つのモード174、176、178が循環する。
【0022】
角度サブモード174は、
図4および
図4Bに示されているように、経路182の湾曲角度を調節するように構成されている。したがって運転者はノブ134を右に回すことができ、これによって、
図4Aに示されているように、表示された経路182が右へ向かう湾曲を有するようになる。これに加え、運転者はノブ134を左に回すことができ、これによって、
図4Bに示されているように、表示された経路182が左へ向かう湾曲を有するようになる。距離サブモード176は、
図5Aおよび
図5Bに示されているように、予期された経路182の長さを調節するように構成されている。たとえば
図5Aを参照すると、運転者はノブ134を回して、画像143内のトレーラ描写138に隣接して経路182の目的地をポジショニングすることができる。
図5Bを参照すると、画像143には、
図5Aに示した経路よりも短い長さを有する経路182が示されている。したがってこの事例では、運転者は、牽引車両100が後退方向Rで数メートルだけ自律的に移動する、ということを要求することができる。二重円弧モード178は、接近角度を調節するように構成されており、この接近角度は、
図6Aおよび
図6Bに示されているように、経路182の終端においてトレーラ200(または他の物体)に対し車両100をどのように配向させたいのかを表す。たとえば二重円弧モード178は、車両100の前後軸Yがトレーラ200の前後軸Yと整列させられるように、牽引車両100をトレーラ200と整列させる際に運転者を支援し、これによって運転者は、牽引車両100とトレーラ200との間のヒッチングプロセス中、助けられる。
【0023】
二重円弧モード178が任意選択的であるいくつかの実施態様において、円弧モード172の選択に基づき運転者が経路182に満足したならば、次いで運転者は、ボタン136を押すことにより経路182を最終承認することができる。さもなければ運転者は三度ノブ134を調節して、二重円弧または他の適切な経路182の形状を変更する。これによって、トレーラ200または他の物体に対する最終接近角度を調節することができる。運転者が接近角度の選択に満足したならば、その運転者はボタン136を押して、経路選択を最終承認する。
【0024】
いくつかの実施態様において、運転者は、トレーラ200または他の物体または着目ポイントが車両100の後部カメラ142の視野内にあるロケーションに、牽引車両100を駐車させる。牽引車両100のエンジンをアイドリング状態にして、ギアをパーキングポジションにすることができる。運転者は、ボタン136を押すことにより、かつ/またはディスプレイ132上で選択を下すことにより、ヒッチ支援システム160を起動することができる。いくつかの実施例において、ディスプレイ132は、選択可能なオプションまたはボタン136を示すことができ、これによって運転者は円弧モード172を起動することができる。ヒッチ支援システム160は、
図3Aおよび
図3Bに示されているように、円弧モード172の角度サブモード174を実行することによりスタートする。運転者は、たとえばボタン136を押すことにより、距離サブモード176に切り替えて、経路182の距離を調節する。いくつかの実施例において、運転者は、角度サブモード174と距離サブモード176との間で切り替えを行い、経路182を調節することによって、ディスプレイ上に所望の経路182が示されるまで、経路182を調節することができる。運転者は、経路182の外側境界184がトレーラ200(すなわち画像143内のトレーラ描写138)または他の着目ポイントと交差するように、経路182を調節する。
【0025】
いくつかの実施態様において、たとえば車両の前後軸Yをトレーラの前後軸Yと整列させるためには、トレーラ200または着目ポイントへの最終接近角度が重要である。この事例では、運転者は、(ディスプレイ132上に表示された)「円弧/二重円弧モード」ボタン136を選択して、または押して、二重円弧モード178へ切り替えることができる。二重円弧モード178において、経路182の以前に設定された最終ポイントはそのまま変わらず、運転者はノブ134を用いて最終接近角度を調節する。最終接近角度および完成した軌跡または経路182に満足したならば、運転者は1つのアクションを実行することにより、選択された経路182を確定することができる。いくつかの実施例において、運転者はギアを後退に切り替え、このことが、表示されている経路182に運転者が満足している、ということを表す。いくつかの実施例において、運転者はブレーキを踏みながらギアを後退に切り替え、次いでブレーキを離して、車両100は選択された経路182を追従する。いくつかの実施例において、車両が後退方向Rで経路182に沿って自律運転を実施している間、運転者は、たとえばブレーキを踏むなどして、牽引車両100を停止させることができる。これによりコントローラ150は、ヒッチ支援システム160から抜け出るようになる。
【0026】
いくつかの実施態様において、ヒッチ支援システム160は経路距離をデフォルトに設定し、これによって運転者は、ステアリング角度がトレーラ200または他の着目ポイントと交差するまで、この角度を調節するだけでよくなる。
【0027】
いくつかの実施態様において、最終接近角度は調節されない。その代わりに、最終接近角度は、最初の車両出発角度と常に同じである。このため最終的な車両前後軸Yは、最初の車両前後軸Yと平行である。この事例では、運転者は、経路182の最終ロケーションを調節してトレーラと交差させる。
【0028】
いくつかの実施例において、牽引車両100が後退方向Rで経路182に沿って運転を実施している間、ディスプレイ132は、経路182に沿った車両100の進行を示すことができる。たとえばディスプレイ132は、地面に投影された当初の軌跡を示すことができ、ただしこれは車両のポジションが変化していくことで更新される。ディスプレイ132は、車両がこの軌跡をどの程度良好に追従しているのかの指標を示すこともできる。
【0029】
図7を参照すると、いくつかの実施例において、軌跡プラニングシステム180は、経路182を生成するために他の車両システムからデータを受け取る。いくつかの実施例において、軌跡プラニングシステム180は、(x,y,θ)により規定された車両姿勢データ162を受け取り、ここでxは、XY平面における左右軸Xに沿った牽引車両100の中心ポジションであり、yは、XY平面における前後軸Yに沿った車両の中心ポジションであり、さらにθは、牽引車両100の前進方位である。これに加え、軌跡プラニングシステム180は、ノブ134のポジション135、たとえばノブ角度、をノブ134から受け取ることができる。軌跡プラニングシステム180は、モードボタン状態137a(すなわち円弧モード172または二重円弧モード178)と、サブモードボタン状態137b(すなわち角度サブモード174または距離サブモード176)とを受け取ることもできる。受け取ったデータに基づき、軌跡プラニングシステム180は経路182を調節し、その経路182を表示するよう、ディスプレイ132に命令する。いくつかの実施例において、経路182は、外側境界184と、牽引ボール122の推定経路である牽引ボール経路186とを含む。軌跡プラニングシステム180は、経路182を調節するために運転者が選択したモード/サブモードを表す目下のモードまたはサブモードの状態133を表示させるよう、ディスプレイ132に命令することもできる。
【0030】
軌跡プラニングシステム180がプラニング経路182を決定すると、車両コントローラ150は走行支援システム190を実行し、この走行支援システム190自体は経路追従動作192を含む。経路追従動作192はプラニング経路182を受け取り、走行システム110へ命令191を送信する1つまたは複数の動作192a~cを実行し、これによって車両100はプラニング経路182に沿って後退方向Rで自律走行するようになる。
【0031】
経路追従動作192a~cは、以下に限定されるものではないが、制動動作192a、速度動作192bおよび操舵動作192cといった1つまたは複数の動作を含むことができる。各動作192a~cによって、車両100は、他にもある中で特に、後退方向で走行、特定の角度で旋回、制動、加速、減速といったアクションを行うようになる。車両コントローラ150は、走行システム110を制御することによって、より具体的には、走行システム110へ命令191を発することによって、路面にわたり任意の方向で車両100の運転を実施することができる。
【0032】
制動動作192aを実行して、プラニング経路に基づき、車両100を停止させることができ、または車両100を減速させることができる。制動動作192aは、車両100を停止させるために、または車両100の速度を低下させるために、走行システム110たとえばブレーキシステム(図示せず)へ信号または命令191を送信する。
【0033】
速度動作192bを実行して、プラニング経路182に基づき加速または減速することにより、車両100の速度を変更することができる。速度動作192bは、減速のためにはブレーキシステム114へ、加速のためには加速システム116へ、信号または命令191を送信する。
【0034】
操舵動作192cを実行して、プラニング経路182に基づき、車両100の方向を変更することができる。したがって操舵動作192cは、走行システム110に方向の変更を行わせる操舵角を表す信号または命令191を、加速システム116へ送信する。
【0035】
図8によれば、
図1~
図7において説明したシステムを用いて、トレーラ200などの着目ポイントに向かって後退方向Rで車両100(たとえば牽引車両)の自律運転を実施する方法800の動作に関する例示的な構成が提供される。ブロック802では、方法800は、データ処理ハードウェア152において、車両100の後部に配置されデータ処理ハードウェア152と通信を行うカメラ142から、1つまたは複数の画像143を受け取るステップを含む。ブロック804では、方法800は、データ処理ハードウェア152において、1つまたは複数の画像143に経路182を重ね合わせるステップを含む。ブロック806では、方法800は、データ処理ハードウェア152において、このデータ処理ハードウェア152と通信を行うユーザインタフェース130を介して、経路182を調節するための指示を含む命令を受け取るステップも含む。ブロック808では、方法800は、データ処理ハードウェア152において、受け取った命令に基づき経路182を調節するステップを含む。いくつかの実施例において、方法800は、データ処理ハードウェア152から、このデータ処理ハードウェア152と通信を行う走行システム110へ、調節された経路182に沿って車両100に自律運転を実施させる走行命令191を送信するステップを含む。
【0036】
いくつかの実施例において、命令は、経路の距離を調節するための指示、経路の角度を調節するための指示、および経路の終端部分の角度を調節するための指示のうちの少なくとも1つを含む。着目ポイントがトレーラ200であるいくつかの実施例において、経路の終端部分の角度を調節することにより、車両100の前後軸Yがトレーラ200の前後軸Yと整列させられる。
【0037】
いくつかの実施例において、走行命令を送信する前に、方法800は、データ処理ハードウェア152に走行命令191を送信させるアクションを運転者から受け取るステップを含む。方法800は、後退方向Rでの車両100の自律運転中、経路182に対し相対的な車両ポジションを表示するよう、ユーザインタフェース130に指示するステップを含むこともできる。
【0038】
本明細書で説明したシステムおよび技術の様々な実施態様を、ディジタル電子回路、集積回路、特別設計のASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはこれらの組み合わせとして実現することができる。様々な実施態様には、プログラミング可能なシステム上で実行可能および/または解釈可能な1つまたは複数のコンピュータプログラムとしての実装を含むことができる。この場合、プログラミング可能なシステムは、少なくとも1つのプログラミング可能なプロセッサを含み、このプロセッサを特定の目的または汎用の目的のものとすることができ、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイスおよび少なくとも1つの出力デバイスからデータおよび命令を受信するように、かつそれらにデータおよび命令を送信するように、接続することができる。
【0039】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーションまたはコードとしても知られている)は、プログラミング可能なプロセッサのための機械命令を含み、高水準の手続き型プログラミング言語および/またはオブジェクト指向プログラミング言語、および/またはアセンブリ言語/機械語として実装することができる。本明細書で用いられる用語「機械可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」とは、プログラミング可能なプロセッサへ、機械命令および/またはデータを供給するために用いられる任意のコンピュータプログラム製品、装置および/またはデバイス(たとえば磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD))のことを指し、これには機械命令を機械可読信号として受け取る機械可読媒体が含まれる。用語「機械可読信号」とは、プログラミング可能なプロセッサへ機械命令および/またはデータを供給するために用いられる任意の信号のことを指す。
【0040】
本明細書において述べられている保護対象および機能的動作の具現化を、ディジタル電子回路として、あるいはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、または本明細書で開示されている構造およびそれらの構造的等価物を含むハードウェアとして、あるいはこれらのうちの1つまたは複数の組み合わせとして、具現化することができる。さらに、本明細書において述べられている保護対象を、1つまたは複数のコンピュータプログラム製品として具現化することができ、つまりデータ処理装置によって実行するために、またはデータ処理装置の動作を制御するために、コンピュータ可読媒体にコーディングされているコンピュータプログラム命令のうちの1つまたは複数のモジュールとして、具現化することができる。コンピュータ可読媒体を、機械可読ストレージデバイス、機械可読ストレージ基板、メモリデバイス、機械可読伝播信号に作用する組成物、またはこれらのうちの1つまたは複数の組み合わせとすることができる。用語「データ処理装置」、「コンピューティングデバイス」および「コンピューティングプロセッサ」は、データを処理するためのあらゆる装置、デバイスおよび機械を包含し、例を挙げるとこれらには、プログラミング可能なプロセッサ、コンピュータ、またはマルチプロセッサまたはマルチコンピュータが含まれる。装置はハードウェアに加え、対象となるコンピュータプログラムのための実行環境を生成するコードを含むことができ、たとえばプロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはこれらのうちの1つまたは複数の組み合わせを構成するコードを含むことができる。伝播信号は人工的に生成される信号であって、たとえば機械により生成される電気的、光学的または電磁的な信号であり、この信号は適切な受信装置へ送信する目的で情報をコーディングするために生成される。
【0041】
同様に、図面には特定の順序で動作が描かれているけれども、このことを、図示された特定の順序または逐次的な順序でかかる動作を実施しなければならないと捉えるべきではなく、あるいは所望の結果を達成するためには図示されたすべての動作を実施しなければならないと捉えるべきではない。所定の環境では、マルチタスキングおよび並列処理が有利となる可能性がある。しかも、上述の具現化態様における様々なシステム構成要素の分離を、すべての具現化態様においてかかる分離を行わなければならないと捉えるべきではなく、既述のプログラム構成要素およびシステムを通例、単一のソフトウェア製品にまとめて統合することができる、または複数のソフトウェア製品にパッケージングすることができる、と捉えるべきである。
【0042】
これまで多数の実施態様について説明してきたが、とはいえ自明のとおり、本開示の着想および範囲から逸脱することなく、様々な変形を行うことができる。よって、その他の具現化形態は以下の特許請求の範囲内に含まれる。よって、その他の実施態様は以下の特許請求の範囲内に含まれる。