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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/08 20200101AFI20221129BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20221129BHJP
   B60R 99/00 20090101ALI20221129BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20221129BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20221129BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20221129BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B60W50/08
B60W30/06
B60R99/00 351
G08G1/16 A
G16Y10/40
G16Y40/30
H04Q9/00 301B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021045656
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022144584
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 達朗
(72)【発明者】
【氏名】中村 尭子
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-164080(JP,A)
【文献】国際公開第2020/121009(WO,A1)
【文献】特開2019-161549(JP,A)
【文献】特開2018-52188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00
B60W 50/00
B60R 99/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設けられた制御装置と、ユーザの入力を受け付けると共に、前記制御装置と通信する操作端末とを有する、移動体の遠隔操作システムであって、
前記移動体は、前記移動体の周辺情報を取得する外界センサと、表示装置とを有し、
前記制御装置は、前記周辺情報に基づいて前記移動体を含む周辺画像を作成し、前記周辺画像を前記表示装置に表示させ、前記制御装置と前記操作端末との通信を行う場合に、前記周辺画像に含まれる前記移動体の画像に前記制御装置との通信状態とを示す通信状態表示の少なくとも一部を重ねた前記周辺画像を前記表示装置に表示させる遠隔操作システム。
【請求項2】
前記周辺画像において、前記通信状態表示の全ては前記移動体の画像に重ねて表示される請求項1に記載の遠隔操作システム。
【請求項3】
前記周辺画像は、前記移動体及びその周囲を上方から見た画像である請求項1又は請求項2に記載の遠隔操作システム。
【請求項4】
前記通信状態表示は、接続試行中に対応した表示と、接続完了に対応した表示とを含む請求項1~請求項3のいずれか1つの項に記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記操作端末との接続が完了した場合に、前記周辺画像と共に、前記表示装置に前記ユーザに前記移動体から降りることを促す表示を表示させる請求項1~請求項4のいずれか1つの項に記載の遠隔操作システム。
【請求項6】
前記操作端末は、表示部を有し、前記制御装置との接続が完了した場合に、前記表示部に前記ユーザに前記移動体から降りることを促す表示を表示させる請求項1~請求項5のいずれか1つの項に記載の遠隔操作システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記制御装置と前記操作端末との接続が完了し、かつ前記操作端末が前記制御装置から離れたと判定したときに、前記操作端末の前記表示部に前記移動体の操作画像を表示させる請求項6に記載の遠隔操作システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記制御装置と前記操作端末との接続が完了し、かつ前記操作端末が前記制御装置から離れたと判定したときに、前記表示装置の表示を消す請求項6又は請求項7に記載の遠隔操作システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記制御装置と前記操作端末との接続が完了した後に、前記移動体のドアが開かれ、かつその後に前記ドアが閉じられ、かつその後に前記ドアがロックされたことを検出することによって、前記操作端末が前記制御装置から離れたと判定する請求項7又は請求項8に記載の遠隔操作システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記操作端末から受信する電波信号の強度に基づいて前記制御装置及び前記操作端末の距離を取得し、取得した前記距離が所定値以上である場合に、前記操作端末が前記制御装置から離れたと判定する請求項7又は請求項8に記載の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の外部からスマートフォン等の操作端末を用いて車両を操縦することによって、車両を出庫させたり駐車させたりする遠隔操作方法を開示している。遠隔操作の実行中、操作端末はカメラによって車両を撮像し、撮像した画像中の車両の大きさに基づいて車両と操作端末との距離を取得する。そして、操作端末は、車両と携帯端末との距離を携帯端末に設けられたディスプレイに表示する。ユーザは、ディスプレイを確認することによって、自身と車両との距離が遠隔操作に適しているか否かを認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-057767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
操作端末を使用した遠隔操作は、ユーザによる車両への開始操作によって開始される場合がある。この場合、車両への開始操作に続いて、ユーザは操作端末を起動し、操作端末と車両の制御装置との通信を接続する必要がある。そのため、制御装置は、ユーザに操作端末の起動操作を促すことが好ましい。
【0005】
本発明は、以上の背景を鑑み、遠隔操作システムにおいて、操作端末の起動をユーザに促すことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、移動体(S)に設けられた制御装置(15)と、ユーザの入力を受け付けると共に、前記制御装置と通信する操作端末(3)とを有する、移動体の遠隔操作システム(1)であって、前記移動体は、前記移動体の周辺情報を取得する外界センサ(7)と、表示装置(32)とを有し、前記制御装置は、前記周辺情報に基づいて前記移動体を含む周辺画像(51)を作成し、前記周辺画像を前記表示装置に表示させ、前記制御装置と前記操作端末との通信を行う場合に、前記周辺画像に含まれる前記移動体の画像(59)に前記制御装置との通信状態とを示す通信状態表示(58)の少なくとも一部を重ねた前記周辺画像を前記表示装置に表示させる。
【0007】
この態様によれば、遠隔操作システムにおいて、操作端末の起動をユーザに促すことができる。通信状態表示が周辺画像内に表示されるため、ユーザは通信状態表示を見落とし難い。また、通信状態表示が移動体の画像に重ねて表示されるため、移動体の周囲の画像が維持される。これにより、ユーザが移動体の周囲の状況を認識し易くなる。
【0008】
上記の態様において、前記周辺画像において、前記通信状態表示の全ては前記移動体の画像に重ねて表示されるとよい。
【0009】
この態様によれば、周辺画像において移動体の周囲の画像が維持されるため、ユーザが移動体の周囲の状況を認識し易くなる。
【0010】
上記の態様において、前記周辺画像は、前記移動体及びその周囲を上方から見た画像であるとよい。
【0011】
この態様によれば、ユーザは移動体とその周囲の状況を認識することができる。
【0012】
上記の態様において、前記通信状態表示は、接続試行中に対応した表示と、接続完了に対応した表示とを含むとよい。
【0013】
この態様によれば、ユーザは通信状態表示を見て、操作端末と制御装置との接続状態を認識することができる。
【0014】
上記の態様において、前記制御装置は、前記操作端末との接続が完了した場合に、前記周辺画像と共に、前記表示装置に前記ユーザに前記移動体から降りることを促す表示を表示させるとよい。
【0015】
この態様によれば、ユーザは表示装置を見て、次の手順が移動体から降りることであることを認識することができる。
【0016】
上記の態様において、前記操作端末は、表示部を有し、前記制御装置との接続が完了した場合に、前記表示部に前記ユーザに前記移動体から降りることを促す表示を表示させるとよい。
【0017】
この態様によれば、ユーザは操作端末を見て、次の手順が移動体から降りることであることを認識することができる。
【0018】
上記の態様において、前記制御装置は、前記制御装置と前記操作端末との接続が完了し、かつ前記操作端末が前記制御装置から離れたと判定したときに、前記操作端末の前記表示部に前記移動体の操作画像を表示させるとよい。
【0019】
この態様によれば、ユーザは、移動体から降り、移動体から離れた後に操作端末を使用して移動体を遠隔操作することができる。
【0020】
上記の態様において、前記制御装置は、前記制御装置と前記操作端末との接続が完了し、かつ前記操作端末が前記制御装置から離れたと判定したときに、前記表示装置の表示を消すとよい。
【0021】
この態様によれば、表示装置の表示を消してエネルギー消費を抑制することができる。
【0022】
上記の態様において、前記制御装置は、前記制御装置と前記操作端末との接続が完了した後に、前記移動体のドアが開かれ、かつその後に前記ドアが閉じられ、かつその後に前記ドアがロックされたことを検出することによって、前記操作端末が前記制御装置から離れたと判定するとよい。
【0023】
この態様によれば、ユーザが移動体から離れたことを認識することができる。
【0024】
上記の態様において、前記制御装置は、前記操作端末から受信する電波信号の強度に基づいて前記制御装置及び前記操作端末の距離を取得し、取得した前記距離が所定値以上である場合に、前記操作端末が前記制御装置から離れたと判定するとよい。
【0025】
この態様によれば、ユーザが移動体から離れたことを認識することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上の構成によれば、遠隔操作システムにおいて、操作端末の起動をユーザに促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態に係る駐車支援システムが搭載される車両の機能構成図
図2】実施形態に係る駐車支援システムの自動入庫処理のタイムチャート
図3】(A)駐車位置選択、(B)自動駐車開始、及び(C)アプリケーションの起動を促すタッチパネルの画面表示を示す図
図4】(A)接続試行中、(B)接続完了を示すタッチパネルの画面表示を示す図
図5】(A)接続試行中、(B)接続完了、及び(C)操作画面を示す操作端末の画面表示を示す図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0029】
図1に示すように、遠隔操作システム1は移動体を、操作端末3を使用した遠隔操作によって操作する。具体的には、遠隔操作システム1は、移動体としての車両Sを駐車スペースに移動させる駐車支援システムとして機能する。本実施形態では、車両Sは、バッテリによって自律走行可能な4輪の電気自動車である。
【0030】
遠隔操作システム1は、車両Sに搭載された車両システム2と、少なくとも1つの操作端末3とを含む。車両システム2は、推進装置4、ブレーキ装置5、ステアリング装置6、外界センサ7、車両センサ8、通信装置9、ナビゲーション装置10、運転操作子11、HMI14、及び制御装置15を有している。車両システム2の各構成は、CAN(Controller Area Network)等の通信手段によって信号伝達可能に互いに接続されている。
【0031】
推進装置4は車両Sに駆動力を付与する装置であり、例えば動力源及び変速機を含む。動力源はガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関及び電動機の少なくとも一方を有する。本実施形態では、推進装置4は自動変速機(動力伝達機構の一例)と、自動変速機のシフトポジション(シフト位置)を変更するシフトアクチュエータとを含む。ブレーキ装置5は車両Sに制動力を付与する装置であり、例えばブレーキロータにパッドを押し付けるブレーキキャリパと、ブレーキキャリパにブレーキ圧(油圧)を供給する電動シリンダとを含む。ブレーキ装置5はワイヤケーブルによって車輪の回転を規制する電動のパーキングブレーキ装置を含んでもよい。ステアリング装置6は車輪の舵角を変えるための装置であり、例えば車輪を転舵するラックアンドピニオン機構と、ラックアンドピニオン機構を駆動する電動モータとを有する。推進装置4、ブレーキ装置5、及びステアリング装置6は、制御装置15によって制御される。
【0032】
外界センサ7は車両Sの周辺からの電磁波や音波等を捉えて、車外の物体等を検出し、車両Sの周辺情報を取得する装置(外界検出部)である。外界センサ7はソナー18及び車外カメラ19を含んでいる。外界センサ7はミリ波レーダやレーザライダを含んでいてもよい。外界センサ7は検出結果を制御装置15に出力する。
【0033】
ソナー18はいわゆる超音波センサであり、超音波を車両Sの周囲に発射し、その反射波を捉えることにより物体の位置(距離及び方向)を検出する。ソナー18は車両Sの後部及び前部にそれぞれ複数設けられている。本実施形態では、ソナー18はリアバンパに左右一対、フロントバンパに左右一対、車両Sの左右側面前端及び後端にそれぞれ1個ずつ、合計8個設けられている。リアバンパに設けられたソナー18は主に車両Sの後方にある物体の位置を検出し、フロントバンパに設けられたソナー18は主に車両Sの前方にある物体の位置を検出する。車両Sの左右側面前端に設けられたソナー18はそれぞれ車両S前端の左右外方にある物体の位置を検出し、車両Sの左右側面後端に設けられたソナー18はそれぞれ車両S後端の左右外方にある物体の位置を検出する。
【0034】
車外カメラ19は車両Sの周囲を撮像する装置であり、例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。車外カメラ19は車両Sの前方を撮像する前方カメラと後方を撮像する後方カメラとを含んでいる。車外カメラ19は車両Sのドアミラー設置場所近傍に設けられ、左右側部を撮像する左右一対の側方カメラを含んでいるとよい。
【0035】
車両センサ8は、車両Sの車速を検出する車速センサ、車両Sの加速度を検出する加速度センサ、車両Sの鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、車両Sの向きを検出する方位センサ等を含む。車速センサは、例えば車輪速(各車輪の回転速度)を検出する複数の車輪速センサによって構成される。ヨーレートセンサは、例えばジャイロセンサである。
【0036】
通信装置9は制御装置15と操作端末3との間の無線通信を媒介する装置である。制御装置15は通信装置9を介して、近距離無線通信規格であるBluetooth(登録商標)により、ユーザが所持する操作端末3と通信する。
【0037】
ナビゲーション装置10は車両Sの現在位置を取得し、目的地への経路案内等を行う装置であり、GPS受信部20、及び地図記憶部21を有する。GPS受信部20は人工衛星(測位衛星)から受信した信号に基づいて車両Sの位置(緯度や経度)を特定する。地図記憶部21は、フラッシュメモリやハードディスク等の公知の記憶装置によって構成され、地図情報を記憶している。
【0038】
運転操作子11は車室A内に設けられ、車両Sを制御するためにユーザが行う入力操作を受け付ける。運転操作子11は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル(制動操作子)、及び、シフトレバーを含む。
【0039】
運転操作センサ12は、対応する運転操作子11の操作量を検出する。運転操作センサ12は、ステアリングホイールの回転角を検出する舵角センサ、及び、ブレーキペダルの踏込量を検出するブレーキセンサ、及び、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセルセンサを含む。運転操作センサ12は検出した操作量をそれぞれ制御装置15に出力する。
【0040】
HMI14は、乗員に対して表示や音声によって各種情報を通知するとともに、乗員から入力操作を受け付ける出入力装置である。HMI14は、例えば、液晶や有機EL等の表示画面を有し、乗員からの画面への入力操作を受け付けるタッチパネル32(表示装置)と、ブザーやスピーカ等の音発生装置33と、駐車メインスイッチ34と、選択操作子35とを含む。駐車メインスイッチ34は乗員から自動入庫や自動出庫等の自動駐車に係る入力操作を受け付ける。駐車メインスイッチ34は乗員から押圧(プッシュ)操作が行われたときにのみオンとなる、いわゆるモーメンタリスイッチである。選択操作子35は乗員から自動入庫や自動出庫等の自動駐車に係る選択操作を受け付ける。選択操作子35は回転式であり、より好ましくは押し込むことで選択可能なセレクトスイッチであるとよい。
【0041】
制御装置15は、CPU、不揮発性メモリ(ROM)、及び、揮発性メモリ(RAM)等を含む電子制御装置(ECU)である。制御装置15はCPUでプログラムに沿った演算処理を実行することで、各種の車両制御を実行する。制御装置15は1つのハードウェアとして構成されていてもよく、複数のハードウェアからなるユニットとして構成されていてもよい。また、制御装置15の各機能部の少なくとも一部は、LSIやASIC、FPGA等のハードウェアによって実現されてもよく、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。
【0042】
操作端末3はユーザが携帯可能な無線端末であり、本実施形態では、操作端末3はスマートフォンによって構成されている。操作端末3には予め所定のアプリケーションがインストールされることによって、車外から通信装置9を介して制御装置15と相互に通信することができる。
【0043】
操作端末3は、出入力部38を備えている。出入力部38は画面を備えたタッチパネルによって構成されている。制御装置15からの信号を操作端末3が受信すると、その信号を処理し、出入力部38はその処理結果を適宜画面表示することによってユーザに通知する。また、出入力部38は、ユーザの画面へのタッチ(接触や押圧)を検出することによってユーザからの入力を受け付ける。
【0044】
遠隔操作システム1は乗員によって選択された所定の目標位置(目標駐車位置、又は目標出庫位置)に車両Sを自律的に移動させて入庫及び出庫させる、いわゆる自動駐車を行うためのシステムである。
【0045】
制御装置15は操作端末3への操作入力に基づいて車両Sを制御し、所定の位置に移動させて駐車させる、いわゆる遠隔駐車を実行する。このような車両Sの制御を行うため、制御装置15は、外界認識部41、自車位置特定部42、行動計画部43、走行制御部44及び記憶部45を有する。
【0046】
外界認識部41は、外界センサ7の検出結果に基づいて、車両Sの周辺に存在する例えば、駐車車両や壁などの障害物を認識し、障害物に関する位置や大きさ等の情報を取得する。また、外界認識部41は車外カメラ19によって取得した画像をパターンマッチング等の公知の画像解析手法に基づいて解析し、車止め(輪止め)や障害物の有無及びその大きさを取得する。更に、外界認識部41はソナー18からの信号を用いて障害物までの距離を算出し、障害物の位置を取得するとよい。
【0047】
外界認識部41はまた、外界センサ7の検出結果、より具体的には車外カメラ19によって撮像された画像をパターンマッチング等の公知の画像解析手法に基づいて解析し、例えば、道路標示により区画された道路上の車線や、道路や駐車場等の路面に描かれた白線等により区画された駐車枠を取得することができる。
【0048】
外界認識部41はまた、外界センサ7が取得した周辺情報に基づいて車両Sを含む周辺画像を作成する。周辺画像は、車両Sの上方に配置された視点から車両S及び車両Sの周囲を見た俯瞰図及び平面図や、車両Sの斜め上方に配置された視点から、車両Sの少なくとも一部と車両Sの周囲とを見た3次元画像(立体画像、鳥瞰画像)を含む。外界認識部41はプログラムに沿った演算処理を実行することで、複数の車外カメラ19により撮影された画像(映像)の変換処理を行い、周辺画像を作成する。外界認識部41は、例えば、前方カメラ、後方カメラ及び左右の側方カメラの各画像を組み合わせて俯瞰画像を作成するとよい。
【0049】
自車位置特定部42は、ナビゲーション装置10のGPS受信部20からの信号に基づいて、制御装置15が搭載された車両Sの位置を検出する。また、自車位置特定部42はGPS受信部20からの信号に加えて、車両センサ8から車速やヨーレートを取得し、いわゆる慣性航法を用いて自らが搭載された車両Sの位置及び姿勢を特定してもよい。
【0050】
走行制御部44は、行動計画部43からの走行制御の指示に基づいて、推進装置4、ブレーキ装置5、及びステアリング装置6を制御し、車両Sを走行させる。
【0051】
<<駐車アシスト処理>>
行動計画部43は車両Sが停止された後、タッチパネル32にユーザから遠隔操作による駐車アシストを希望することに対応する入力を検出すると、駐車アシスト処理を行う。以下では、駐車アシスト処理について図2のタイムチャートを参照して説明を行う。
【0052】
行動計画部43は、駐車アシスト処理の実行中、タッチパネル32に駐車アシスト画面50を表示させる。駐車アシスト画面50は、少なくとも車両Sを含む周辺画像を含む。本実施形態では、駐車アシスト画面50は、右半部に車両Sの上方に配置された視点から車両S及び車両Sの周囲を見た俯瞰画像51を含み、左半部に車両Sの後部上方に配置された視点から車両Sの前部及び車両Sの前方の周囲を見た三次元画像52を含む。また、駐車アシスト画面50は、三次元画像52の上方及び下方に指示ウインドウ53を含む。指示ウインドウ53には、テキスト等によって、乗員が次に行うべき操作や、現在の車両Sの状態、注意事項が表示される。
【0053】
行動計画部43は最初に駐車可能位置の取得を行う取得処理を行う。より具体的には、行動計画部43はまず、HMI14のタッチパネル32に表示される駐車アシスト画面50において、ユーザに車両Sを直進させるように指示する通知を表示させる。運転を行うユーザが車両Sを直進させている間に、行動計画部43は外界センサ7からの信号に基づいて、障害物の位置及び大きさと、路面に描かれた白線の位置とを取得する。行動計画部43は取得した障害物の位置及び大きさと白線とに基づいて、駐車可能なスペース(以下、駐車可能位置)を抽出する。
【0054】
次に、行動計画部43は車両Sの現在地から駐車可能位置に至るまでの車両Sの軌道を算出する軌道算出処理を行う。前向き駐車及び後向き駐車の選択に関するユーザの入力操作を受け付けられるように、行動計画部43は前向き駐車の場合及び後向き駐車の場合の軌道をそれぞれ算出するとよい。
【0055】
次に、行動計画部43は駐車可能位置から駐車位置を受け付ける駐車位置受付処理を行う。具体的には、行動計画部43は駐車可能位置を少なくとも1つ取得すると、行動計画部43は、駐車アシスト画面50の指示ウインドウ53にユーザに車両Sを停止させるように指示する通知を表示させる。このとき、指示ウインドウ53に表示される指示は、車両Sを停止させた後、シフトレバーをパーキングポジションに変更する指示であってもよい。
【0056】
行動計画部43は、車両Sが停止したことを確認すると、図3(A)に示すように、タッチパネル32に表示された駐車アシスト画面50の俯瞰画像51に、駐車可能位置55と、選択中の駐車可能位置55に付される選択アイコン56とを表示する。また、行動計画部43は、指示ウインドウ53に、ユーザに駐車可能位置55の中から車両Sを駐車させる位置(駐車位置)として1つを選択するよう通知する表示を行う。ユーザは、タッチパネル32のタッチ操作や、選択操作子35の操作によって、選択アイコン56が付された駐車可能位置55を変更する。俯瞰画像51の中央には、車両Sに対応した車両画像59が表示されている。
【0057】
行動計画部43は、指示ウインドウ53に駐車位置の選択を促す指示が表示されてから所定時間経過後に、図3(B)に示すように、駐車メインスイッチ34を操作して、駐車位置を決定することを促す表示を指示ウインドウ53に表示する。駐車位置の選択を促す表示と、駐車メインスイッチ34を操作して、駐車位置を決定することを促す表示とは同時に表示されてもよい。ユーザが駐車メインスイッチ34を操作すると、選択アイコン56が付された駐車可能位置55が駐車位置として決定され、タッチパネル32から駐車位置に対応する信号が行動計画部43に出力される。
【0058】
次に、行動計画部43は、図3(C)に示すように、駐車アシスト画面50の指示ウインドウ53に、操作端末3の遠隔操作アプリケーションを起動することを促す指示を表示する。また、行動計画部43は、操作端末3と通信し、出入力部38(タッチパネル)に遠隔駐車アプリケーションを起動するように促す指示を表示させてもよい。
【0059】
ユーザが操作端末3の出入力部38を操作して遠隔駐車アプリケーションを起動すると、操作端末3と制御装置15とが互いに通信し、制御装置15が操作端末3との接続を試行する。接続の試行は、安定した通信の確立と、操作端末3の認証とを含む。認証は、操作端末3が車両Sの遠隔操作の権限を有する適正な端末であるか否かを確認する処理である。行動計画部43は、制御装置15と操作端末3とが通信を行っている場合、図4(A)に示すように、タッチパネル32に表示される俯瞰画像51に、通信状態表示58を表示する。通信状態表示58は、操作端末3と制御装置15との通信状態とを示す画像である。本実施形態では、通信状態表示58はスマートフォンを模した図形である。通信状態表示58は、操作端末3と制御装置15との接続状態に応じて変化するとよい。通信状態表示58は、例えば接続試行中に対応した表示と、接続完了に対応した表示とを含むとよい。図4(A)に示される通信状態表示58は、接続試行中に対応した表示である。
【0060】
通信状態表示58は、俯瞰画像51に含まれる車両画像59に少なくとも一部を重ねた状態で表示される。本実施形態では、周辺画像としての俯瞰画像51において、通信状態表示58の全ては車両画像59の画像に重ねて表示されている。
【0061】
行動計画部43は、制御装置15が操作端末3との接続を試行している間、駐車アシスト画面50の指示ウインドウ53に、接続試行中であることを表示する。また、図5(A)に示すように、操作端末3は出入力部38に車両Sの制御装置15と接続中であることを表示してもよい。
【0062】
制御装置15と操作端末3との間で安定した通信が確立され、かつ操作端末3の認証が完了すると、図4(B)に示すように通信状態表示58は接続完了に対応した表示に変化する。そして、行動計画部43は、駐車アシスト画面50の指示ウインドウ53に、接続が完了したことと、ユーザに車両Sから降りることを促す表示を表示させる。また、図5(B)に示すように、操作端末3は出入力部38に接続が完了したことと、ユーザに車両Sから降りることを促す表示とを表示する。
【0063】
制御装置15は、制御装置15と操作端末3との接続が完了し、かつ操作端末3が制御装置15から離れたと判定したときに、タッチパネル32の表示を消してもよい。これにより、タッチパネル32によるエネルギー消費が抑制される。制御装置15は、例えば、制御装置15と操作端末3との接続が完了した後に、車両Sのドアが開かれ、かつその後にドアが閉じられ、かつその後にドアがロックされたことを検出することによって、操作端末3が制御装置15から離れたと判定するとよい。車両センサ8は、ドアの開閉センサ、及びドアロックセンサを含むとよい。また、制御装置15は、操作端末3から受信する電波信号の強度に基づいて制御装置15及び操作端末3の距離を取得し、取得した距離が所定値以上である場合に、操作端末3が制御装置15から離れたと判定してもよい。また、制御装置15は、GNSS信号に基づいて制御装置15及び操作端末3の位置を取得し、制御装置15及び操作端末3の位置から制御装置15及び操作端末3の距離を取得し、取得した距離が所定値以上である場合に、操作端末3が制御装置15から離れたと判定してもよい。
【0064】
図5(C)に示すように、制御装置15は、制御装置15と操作端末3との接続が完了し、かつ操作端末3が制御装置15から離れたと判定したときに、操作端末3の出入力部38に車両Sの操作画像61を表示させる。ユーザが出入力部38に操作入力を行うと、操作端末3は操作量を行動計画部43に送信する。行動計画部43は外界認識部41の認識結果と、受信した操作量に基づいて、車両Sを軌道に沿って進行させ、駐車位置にまで移動させる駆動処理を行う。すなわち、行動計画部43は移動体である車両Sを駐車位置に移動させる駆動処理を行う移動体制御部に相当する。本実施形態では、操作端末3の出入力部38へのスワイプ量に応じて、行動計画部43は車両Sの移動量を設定する。
【0065】
車両Sが駐車位置に到着すると、行動計画部43は駐車処理を実行する。駐車処理において行動計画部43は最初に、シフトアクチュエータを駆動させてシフトポジション(シフト位置、シフトレンジ)を駐車位置(駐車レンジ、パーキング(P)レンジ)にし、推進装置4を停止する。行動計画部43は、推進装置4が停止すると、行動計画部43は操作端末3に駐車完了信号を送信する。操作端末3は出入力部38に駐車完了信号を受信すると、画面に駐車が完了した旨の表示を行う。すなわち、駐車位置は、車両Sを駐車させる位置、すなわち車両Sを停留させるための停留位置に相当する。
【0066】
以上の実施形態に係る遠隔操作システム1は、操作端末3の起動をユーザに促すことができる。通信状態表示58が俯瞰画像51内に表示されるため、ユーザは通信状態表示58を見落とし難い。また、通信状態表示58が車両画像59に重ねて表示されるため、車両Sの周囲の画像が維持される。これにより、ユーザが車両Sの周囲の状況を認識し易くなる。また、通信状態表示58の全てが車両画像59に重ねて表示されると、更にユーザが車両Sの周囲の状況を認識し易くなる。
【0067】
通信状態表示58が接続試行中に対応した表示と、接続完了に対応した表示とを含むため、ユーザは通信状態表示58を見て、操作端末3と制御装置15との接続状態を認識することができる。
【0068】
制御装置15が、操作端末3との接続が完了した場合に、タッチパネル32にユーザに車両Sから降りることを促す表示を表示させるため、ユーザはタッチパネル32を見て、次の手順が車両Sから降りることであることを認識することができる。また、ユーザは操作端末3の出入力部38を見ても、次の手順が車両Sから降りることであることを認識することができる。
【0069】
制御装置15が、制御装置15と操作端末3との接続が完了し、かつ操作端末3が制御装置15から離れたと判定したときに、操作端末3の出入力部前記表示部に前記移動体の操作画像61を表示させる。これにより、ユーザは、車両Sから降り、車両Sから離れた後に操作端末3を使用して車両Sを遠隔操作することができる。
【0070】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。通信状態表示58は、俯瞰画像51に代えて三次元画像52中の車両画像に重ねて表示されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 :遠隔操作システム
2 :車両システム
3 :操作端末
7 :外界センサ
8 :車両センサ
15 :制御装置
32 :タッチパネル(表示装置)
38 :出入力部
41 :外界認識部
42 :自車位置特定部
43 :行動計画部
44 :走行制御部
45 :記憶部
50 :駐車アシスト画面
51 :俯瞰画像
52 :三次元画像
53 :指示ウインドウ
58 :通信状態表示
59 :車両画像
61 :操作画像
65 :車両画像
S :車両
図1
図2
図3
図4
図5