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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】刻み葉柄タバコ材の処理方法
(51)【国際特許分類】
   A24B 3/04 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
A24B3/04
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2021500460
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 GB2019051932
(87)【国際公開番号】W WO2020012176
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】1811370.4
(32)【優先日】2018-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】フランケ、ディートマー
(72)【発明者】
【氏名】プリュークハーン、フランク
(72)【発明者】
【氏名】リンク、マティーアス
(72)【発明者】
【氏名】グジョンカ、ホルスト
(72)【発明者】
【氏名】リントナー、トーマス
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-500033(JP,A)
【文献】国際公開第2015/098743(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に未処理の刻み葉柄タバコ材の充填値より少なくとも約10%大きい充填値を有する第1の膨張タバコ材を提供するために刻み葉柄を膨張させる第1の膨張工程と、
(b)0~約10%OVの水分量と14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に第1の膨張タバコ材の充填値より少なくとも5%大きい充填値を有する第2の膨張タバコ材を提供するために第1の膨張タバコ材を加熱された面と間欠的に接触させることによって第1の膨張タバコ材を膨張させる第2の膨張工程と、
(c)第2の膨張タバコ材の水分量を約10%~約20%OVに調節して膨張させた製品を提供する第3の工程とを含み、膨張させた製品の充填値は14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に未処理の刻み葉柄タバコ材の充填値より少なくとも50%大きくなっている刻み葉柄タバコ材の処理方法。
【請求項2】
第3の工程は第2の膨張タバコ材をさらに膨張させることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
膨張製品の充填値は14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に第2の膨張タバコ材の充填値より少なくとも5%大きいことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
第2の膨張工程は第1の膨張タバコ材を撹拌することを含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
第1の膨張タバコ材と接触する前の第2の膨張工程で使用される加熱された面の温度は少なくとも約100℃~約300℃であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
第1の膨張タバコ材と接触する前の第2の膨張工程で使用される加熱された面の温度は少なくとも約120℃~約250℃または少なくとも約150℃~約300℃であることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
第2の膨張工程で第1の膨張タバコを加熱された面と接触させることでタバコ材を約120℃~約230℃のピーク温度に加熱することを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
第2の膨張タバコ材の水分量は約1%~約5%OVまたは約2%OV未満であることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
第1の膨張タバコは第2の膨張工程で加熱された面と間欠的に少なくとも1分~約15分間接触させることを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
第1の膨張タバコ材は、第2の膨張工程で加熱された面と間欠的に少なくとも約2分間~約10分間または少なくとも約2分半~約5分間接触させることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
刻み葉柄タバコ原材料の第1の膨張工程前の水分量は約20%~約60%OVであることを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載の方法。
【請求項12】
第3の工程は第2の膨張タバコ材の水分量を約10%~約30%OVまたは約10%~約16%OVに調節する再調整工程であることを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項記載の方法。
【請求項13】
刻み葉柄タバコ材は、第1の膨張工程前に14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に約3.5~約4.5ml/gの充填値を有することを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項記載の方法。
【請求項14】
第1の膨張タバコ材は、14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に約5ml/g~約8ml/gの充填値を有することを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
膨張させた製品は、14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に約6.5ml/g~約12ml/gの充填値を有することを特徴とする請求項1乃至14いずれか1項記載の方法。
【請求項16】
第1の膨張工程(a)と第2の膨張工程(b)との間および/または第2の膨張工程(b)と第3の膨張工程(c)との間に休止期を含み、休止期は少なくとも約1分間処理を行わずにタバコ材を休ませることを含むことを特徴とする請求項1乃至15いずれか1項記載の方法。
【請求項17】
休止期はタバコ材を約1時間~約72時間処理せずに休ませることを含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
休止期はタバコ材を約40℃以下または約30℃以下の温度に冷やすことを含むことを特徴とする請求項16または請求項17記載の方法。
【請求項19】
第1の膨張工程は刻み葉柄を膨張剤に晒すことを含むことを特徴とする請求項1乃至18いずれか1項記載の方法。
【請求項20】
膨張剤は液体二酸化炭素、固体二酸化炭素、スチーム、液体窒素、液体短鎖(C5またはC6)炭水化物またはこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
水およびスチームの少なくとも一方が第3の工程時に第2膨張タバコ材に加えられることを特徴とする請求項1乃至20いずれか1項記載の方法。
【請求項22】
第2の膨張工程を実施するためのモジュールを含み、モジュールは第1の膨張タバコ材と間欠的に接触するために設けられた加熱面を含む請求項1乃至21いずれか1項記載の方法を行うための装置。
【請求項23】
第2の膨張工程を実施するためのモジュールの加熱された面のタバコ材と接触する前の温度は少なくとも約120℃~約250℃または少なくとも約150℃~約300℃であることを特徴とする請求項22記載の装置。
【請求項24】
第2の膨張工程を実施するためのモジュールは、加熱された面およびスクリュー機構、デュアルスクリュー機構、エアーフローおよび回転ドラムから選択されるタバコ材を撹拌するための少なくとも1つの機構を含む処理チェンバーを含むことを特徴とする請求項22または請求項23記載の装置。
【請求項25】
第1の膨張工程を実施するためのモジュールをさらに含むことを特徴とする請求項22乃至24いずれか1項記載の装置。
【請求項26】
第1の膨張工程を実施するための前記モジュールは膨張スチームトンネル、STS(葉柄スチーム処理)システム、コンディショニングシリンダー、コンディショニングスクリューまたは加圧コンディショニングスクリューからなる群から任意に選択されるあらゆる従来の膨張技術を含むことを特徴とする請求項25記載の装置。
【請求項27】
第1の膨張工程を実施するモジュールは、流動床ドライヤー、フラッシュタワードライヤー、ロータリードライヤーおよびバンドドライヤーからなる群から任意に選択されるあらゆる従来の乾燥技術をさらに含むことを特徴とする請求項25または26記載の装置。
【請求項28】
第3の工程を実施するためのモジュールをさらに含むことを特徴とする請求項22乃至27いずれか1項記載の装置。
【請求項29】
第3の工程を実施するためのモジュールは並べ替えドラム、スチームトンネルおよびバンドコンディショナーからなる群から選択される1つ以上を含むことを特徴とする請求項28記載の装置。
【請求項30】
請求項1乃至21いずれか1項記載の方法で得られるまたは得ることができる膨張刻み葉柄タバコ材であって、これは14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に未処理の刻み葉柄タバコ材の充填値より少なくとも50%大きい充填値を有する膨張刻み葉柄タバコ材。
【請求項31】
14.5%OVの正規化水分量で測定した際に約6.5~約12ml/gの充填値を有することを特徴とする請求項30記載の膨張させた刻み葉柄タバコ材。
【請求項32】
請求項30または請求項31記載の膨張させた刻み葉柄タバコ材を含むタバコ産業製品。
【請求項33】
タバコ産業製品の製造のための請求項30または請求項31記載の膨張させた刻み葉柄タバコ材の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は膨張させた刻み葉柄製品を製造するために刻み葉柄タバコ材を処理する方法を提供する。また刻み葉柄タバコ材の処理装置も提供する。また本発明は膨張させた刻み葉柄タバコ材、それを含むタバコ産業製品およびその抽出物も提供する。
【背景技術】
【0002】
タバコ材に使用するタバコ葉柄の味および燃焼特性を向上させるために葉柄は、多くは最初に例えば膨張などの1つ以上の処理工程を受ける。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様では本発明は刻み葉柄タバコ材の処理方法を提供し、これは(a)14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に未処理の刻み葉柄タバコ材の充填値より少なくとも約10%大きい充填値を有する第1の膨張タバコ材を提供するために刻み葉柄を膨張させる第1の膨張工程と、(b)0~約10%OVの水分量と14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に第1の膨張タバコ材の充填値より少なくとも5%大きい充填値を有する第2の膨張タバコ材を提供するために第1の膨張タバコ材を加熱された面と間欠的に接触させることによって第1の膨張タバコ材を膨張させる第2の膨張工程と、(c)第2の膨張タバコ材の水分量を約10%~約20%OVに調節して膨張させた製品を提供する第3の工程とを含み、膨張させた製品の充填値は14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に未処理の刻み葉柄タバコ材の充填値より少なくとも50%大きくなっている。
【0004】
一部の実施態様では第3の工程はさらに第2の膨張タバコ材を膨張させる。一部の実施態様では膨張製品の充填値は14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に第2の膨張タバコ材の充填値より少なくとも5%大きい。
【0005】
一部の実施態様では第2の膨張工程は第1の膨張タバコ材を撹拌することを含む。
【0006】
一部の実施態様では第1の膨張タバコ材と接触する前の第2の膨張工程で使用される加熱された面の温度は、少なくとも約100℃~約300℃である。一部の実施態様では第2の膨張工程に使用する加熱された面の第1の膨張タバコ材と接触させる前の温度は、少なくとも約120℃~約250℃または少なくとも約150℃~約300℃である。
【0007】
一部の実施態様では第2の膨張工程で第1の膨張タバコを加熱された面と接触させることでタバコ材を約120℃~約230℃のピーク温度に加熱する。
【0008】
一部の実施態様では第2の膨張タバコ材の水分量は約1%~約5%OVまたは約2%OV未満である。
【0009】
一部の実施態様では第1の膨張タバコは第2の膨張工程で加熱された面と間欠的に少なくとも1分~約15分間接触させる。一部の実施態様では第1の膨張タバコ材は、第2の膨張工程で加熱された面と間欠的に少なくとも約2分間~約10分間または少なくとも約2分半~約5分間接触させる。
【0010】
一部の実施態様では刻み葉柄タバコ原材料の第1の膨張工程前の水分量は約20%~約60%OVである。
【0011】
一部の実施態様では第3の工程は第2の膨張タバコ材の水分量を約10%~約30%OVまたは約10%~約16%OVに調節する再調整工程である。
【0012】
一部の実施態様では刻み葉柄タバコ材は、第1の膨張工程前に14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に約3.5~約4.5ml/gの充填値を有する。
【0013】
一部の実施態様では第1の膨張タバコ材は、14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に約5ml/g~約8ml/gの充填値を有する。
【0014】
一部の実施態様では膨張させた製品は、14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に約6.5ml/g~約12ml/gの充填値を有する。
【0015】
一部の実施態様では本発明の方法は、第1の膨張工程(a)と第2の膨張工程(b)との間および/または第2の膨張工程(b)と第3の膨張工程(c)との間に休止期を含み、休止期は少なくとも約1分間処理を行わずにタバコ材を休ませることを含む。一部の実施態様では休止期はタバコ材を約1時間~約72時間処理せずに休ませることを含む。一部の実施態様では休止期はタバコ材を約40℃以下または約30℃以下の温度に冷やすことを含む。
【0016】
一部の実施態様では第1の膨張工程は刻み葉柄を膨張剤に晒すことを含む。一部の実施態様では膨張剤は液体二酸化炭素、固体二酸化炭素、スチーム、液体窒素、液体短鎖(C5またはC6)炭水化物またはこれらの混合物からなる群から選択される。
【0017】
一部の実施態様では水およびスチームの少なくとも一方が第3の工程時に第2膨張タバコ材に加えられる。
【0018】
本発明の第2の態様では第1の態様による方法を実施するための装置が提供され、本発明の装置は第2の膨張工程を実施するためのモジュールを含み、モジュールは第1の膨張タバコ材と間欠的に接触するために設けられた加熱面を含む。
【0019】
一部の実施態様では第2の膨張工程を実施するためのモジュールの加熱された面のタバコ材と接触する前の温度は少なくとも約120℃~約250℃または少なくとも約150℃~約300℃である。
【0020】
一部の実施態様では第2の膨張工程を実施するためのモジュールは、加熱された面およびスクリュー機構、デュアルスクリュー機構、エアーフローおよび回転ドラムから選択されるタバコ材を撹拌するための少なくとも1つの機構を含む処理チェンバーを含む。
【0021】
一部の実施態様では本発明の装置は第1の膨張工程を実施するためのモジュールを含む。一部の実施態様では第1の膨張工程を実施するための前記モジュールは、膨張スチームトンネル、STS(葉柄スチーム処理)システム、コンディショニングシリンダー、コンディショニングスクリューまたは加圧コンディショニングスクリューからなる群から任意に選択されるあらゆる従来の膨張技術を含む。一部の実施態様では第1の膨張工程を実施するモジュールは、流動床ドライヤー、フラッシュタワードライヤー、ロータリードライヤーおよびバンドドライヤーからなる群から任意に選択される任意の従来の乾燥技術をさらに含む。
【0022】
一部の実施態様では本発明の装置は第3の工程を実施するためのモジュールをさらに含む。一部の実施態様では第3の工程を実施するためのモジュールは並べ替えドラム、スチームトンネルおよびバンドコンディショナーからなる群から選択される1つ以上を含む。
【0023】
本発明の第3の態様では第1の態様による方法で得られるまたは得ることができる膨張刻み葉柄タバコ材が提供され、これは14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に未処理の刻み葉柄タバコ材の充填値より少なくとも50%大きい充填値を有する。
【0024】
一部の実施態様では膨張させた刻み葉柄タバコ材は14.5%OVの正規化水分量で測定した際に約6.5~約12ml/gの充填値を有する。
【0025】
本発明の第4の態様では第3の態様の膨張刻み葉柄タバコ材を含むタバコ産業製品が提供される。
【0026】
本発明の第5の実施態様では、タバコ産業製品の製造のために第3の態様による膨張刻み葉柄タバコ材の使用が提供される。
【0027】
本発明の実施態様を単に一例として、本発明の実施態様を添付図面を参照して例示のみを目的として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】例示的な方法のプロセスフローチャートである。
図2】タバコ材の処理方法の一工程のための装置内のタバコ材の進行を略式に示している。
図3】膨張刻み葉柄タバコ材を紙巻きタバコに組み入れた実験データを示す。
図4】膨張刻み葉柄タバコ材を紙巻きタバコに組み入れた実験データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は膨張させたタバコ葉柄の製造方法に関する。葉柄はタバコ葉の比較的木質の部分であり、構造的硬直性を供する。葉柄はタバコ葉の重量の20~30%を占める。葉柄はアルカロイドまたは窒素系化合物の含有量が小さいが、セルロースを多く含む。燃焼時には葉柄は葉の他の部分と比較して劣ると考えられている煙を発生させる。しかしながら、収量を上げるために刻みタバコ葉柄を紙巻きタバコなどの喫煙品の喫煙材に刻み葉片と一緒に含有させてもよい。
【0030】
タバコ材に使用するタバコ葉柄の味および燃焼特性を向上させるために葉柄は、場合によっては最初に例えば、ケーシング添加および膨張などの1つ以上の処理工程に付される。
【0031】
本発明は異なる処理段階で葉柄を膨張させるための刻み葉柄の処理方法に関する。
【0032】
葉柄を膨張させることでその材料の所定の重量または質量が占める容量であるその充填値を上昇させる。タバコ材の充填値が大きくなるほど、標準的な寸法の紙巻きタバコのタバコロッドを満たすのに必要とされるタバコ材の重量が小さくなる。
【0033】
膨張タバコ葉柄などのタバコ材の充填値は14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量でのタバコ材のシリンダー容積(CV)である「補正シリンダー容積」(CCV)によって表される。シリンダー容積(CV)は、例えば刻みタバコ測定ヘッドとタバコシリンダー容器が装着されたBorgwaldt社製密度計DD60またはDD60Aを使用して測定してもよい。CCVを測定するための1つの好適な方法ではタバコ材のサンプルがBorgwaldt社製密度計のタバコシリンダー容器に入れられ、30秒間2kgの荷重がかけられる。荷重により圧縮後のサンプルの高さを測定し、これが測定されたシリンダー容積(CV)を計算するために使用される。逆密度であるタバコ葉柄の充填値は材料の水分量によって大きく変わる。従って、CVを測定するために使用されるタバコ材の水分量が14.5%でない場合、CCV従って補正充填値は公知の式を使用して計算することができる。例えば、補正充填値は次の式によって算出することができる。
FFkorrは補正充填値であり、FFは非補正充填値であり、moistは測定されたタバコ材の水分を意味する。
【0034】
水分量の測定は、水分はタバコ材、それらの処理特性およびその最終製品自体に多くの影響を与えるのでタバコ産業製品において重要である。「水分」と言った場合、多種多様で矛盾する定義および術語がタバコ産業内で使用するにはあることを理解することが重要である。「水分」または「水分量」は材料の水の含有量を意味するために使用されるのが一般的であるが、タバコ産業に関連しては、水としての「水分」とオーブン揮発物としての「水分」とを差別化する必要がある。水含有量は、固形物質の総質量に含まれる水の割合として定義される。揮発分は固形物質の総質量に含まれる揮発性成分の割合として定義される。これは水とすべての他の揮発成分成分を含む。絶乾質量は、加熱によって揮発性物質が飛ばされた後に残った質量である。それは総質量の割合として表される。オーブン揮発分(OV)は、揮発させた揮発物質の質量である。
【0035】
水分量(オーブン揮発分)は、サンプルを強制通風オーブン内で110℃±1℃に調整された温度で3時間±0.5分乾燥させた際の質量の減少として測定される。乾燥後、サンプルを冷ますためにデシケーター内で室温で約30分間冷ます。
【0036】
特に明記しない限り 本明細書で水分量と言った場合はオーブン揮発分(OV)を意味する。
【0037】
本明細書中では「処理されたタバコ材」および「膨張させた製品」なる用語は、本発明の処理工程を受けた刻みタバコ材を意味し、「未処理の刻みタバコ材」または「刻み葉柄原料」なる用語は、本発明の処理工程を受けていない刻み葉柄タバコ材を意味する(他の処理を受けている場合があるが)。
【0038】
本明細書中では「刻み葉柄タバコ材」なる用語は、タバコ属のあらゆる構成物の葉柄を包含する。本発明で使用する刻み葉柄タバコ材は、タバコ種のものであることが好ましい。
【0039】
タバコのあらゆる種類、型および/または変種の刻み葉柄を処理してもよい。使用してもよいタバコの例としてはヴァージニア、バーレー、コムム(Comum)およびメリーランドタバコおよびこれらの種のブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、異なる型、様式および/または種類の処理は異なる感覚刺激特性を有するタバコが得られることを認識している。
【0040】
処理される刻み葉柄タバコ材は従来の慣例に従って予備理されたタバコ材から得られるものであってもよい。例えば、タバコ材は硬化前のタバコを含んでもよいおよび/または硬化後のタバコからなってもよい。本明細書中では「硬化後のタバコ」なる用語は、硬化されているが、タバコ材の味および/または香味を変えるためのさらなる処理工程を受けていないタバコを意味する。硬化後のタバコは、他の様式、種類および/または型とブレンドしたものであってもよい。硬化後のタバコは、刻みくずタバコを含まないまたは刻みくずタバコからなるものではない。
【0041】
これとは別にまたは加えて 処理される刻み葉柄タバコ材は、緑葉脱穀(Green Leaf Threshing (GLT))プラントで行われる段階で処理されたタバコから得られるものであってもよい。これはこれは、再分類された(re-graded)、緑葉とブレンドされた(green-leaf blended)、コンディショニングされた、または脱穀された、乾燥および/または圧縮されたタバコを含んでもよい。
【0042】
本発明の方法の一例を図1のフローチャートに例示する。刻み葉柄タバコ出発材料は、例えば生葉柄のコンディショニング、その後のローリング、刻み、乾燥および混合の内の1つ以上を含む従来の基礎生産工程などの予備処理を任意に受けてもよい。フローチャートは刻み葉柄タバコ材を処理する方法のいくつかの実施態様に含まれる処理工程の一例を示している。
【0043】
第1の膨張工程
本発明による方法では刻み葉柄タバコ材は、刻み葉柄を膨張させて14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に未処理の刻み葉柄タバコ材の充填値より少なくとも約10%大きい充填値を有する第1の膨張タバコ材を提供する第1の膨張工程で処理される。
【0044】
一部の実施態様では第1の膨張工程は、第1の膨張工程前に通常約20%~約60%オーブン揮発分(OV)または約20%~約40%OVの水分量を有する刻み葉柄で始まる。
【0045】
一部の実施態様では第1の膨張工程は、第1の膨張工程前に14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に約3.5~約4.5ml/gの充填値を有する刻み葉柄で始まる。
【0046】
一部の実施態様では第1の膨張工程は従来の膨張技術を利用する。
【0047】
タバコを加圧下で気体またはスチームに含浸させ、次に圧力を解放することを含むタバコを膨張させる種々の方法が今まで提案されており、これにより気体がタバコ細胞を膨張させ、処理されたタバコの容積を大きくする。これはいわゆるスチーム葉柄処理工程および装置またはスチームトンネルを使用してもよい。
【0048】
他の方法は水または比較的揮発性の有機液体などの液体にタバコを含浸させることを含み、その後液体を飛ばしてタバコを膨張させる。広く知られている従来の膨張技術はドライアイスを使用し、これはいわゆるドライアイス膨張タバコまたはDIETというものになる。この工程はタバコを温める前に液体二酸化炭素に浸すことを含む。気体となった二酸化炭素が強制的にタバコを膨張させる。
【0049】
追加の方法は、加熱されると分解し、タバコを膨張させる役割を果たす気体を発生させる固体材料でタバコを処理することを含む。他の方法はタバコに液体を染みこませるために加圧下で炭酸水などの気体含有液でタバコを処理することを含む。染みこませたタバコは、次に加熱されるまたは気体を放出させてタバコを膨張させるために減圧する。タバコを膨張させるためのさらなる技術が開発され、これは例えば炭酸アンモニウムを形成するために二酸化炭素とアンモニアなどと反応してタバコ内に固体化学反応物を形成する気体でタバコを処理することを含む。これらの固体化学反応物は次に放出される際にタバコを膨張させる気体をタバコ内に発生させるために加熱よって分解される。タバコ葉柄は種々の加熱処理またはマイクロ波エネルギーによっても膨張させてもよい。タバコの凍結乾燥を採用して容量を増加させてもよい。空気乾燥および流動床乾燥などの連続的な乾燥技術も使用して刻み葉柄を膨張させてもよい。
【0050】
一部の実施態様では第1の膨張工程は刻み葉柄を膨張剤に晒すことを含む。膨張剤は、液体二酸化炭素、固体二酸化炭素、スチーム、液体窒素、液体短鎖(C5またはC6)炭水化物またはこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0051】
一部の実施態様では第1の膨張タバコ材は、ドライアイス膨張タバコ(DIET)である。
【0052】
このような従来の膨張技術によって充填値が少なくとも約10%増加することが知られている。上述の従来の膨張技術の内の1つを使用した膨張工程の後、刻み葉柄は、14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に約5ml/g~約6ml/gの膨張した充填値を有する。これらの膨張の数値は控えめな値であり、公知の従来膨張および乾燥工程の最小膨張効果を表している。実際には公知の膨張技術の膨張効果は潜在的にはより顕著である。例えば、第1の膨張タバコ材の刻み葉柄は14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に約5ml/g~約10 ml/g、例えば約5ml/g~約9ml/g、例えば約5ml/g~約8ml/g、例えば約5ml/g~約7ml/gの膨張した充填値を有する。
【0053】
一部の実施態様では第1の膨張工程は刻み葉柄を14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に未処理の刻み葉柄タバコ材の充填値より少なくとも約12%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約100%大きい充填値を有する第1の膨張タバコ材を供するために膨張させる。
【0054】
一部の実施態様では第1の膨張タバコ材(第1の膨張工程後のタバコ材)の水分量は約5%~約25%OV、例えば約5%~約20%OV、例えば約10%~約15%OVである。
【0055】
第1の膨張工程から得られた第1膨張タバコ材は膨張させた葉柄を含むことになる。この第1の膨張タバコ材は、例えば14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に約約5ml/g~約7mg/lの充填値を有してもよい。この材料は第2の膨張工程に送られる材料になる。
【0056】
第2の膨張工程
第2の膨張工程は第1の膨張タバコ材を加熱された面と間欠的に接触させることによって第1の膨張タバコ材を膨張させることを含み、0~約10%オーブン揮発分(OV)の水分量および14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に第1の膨張タバコ材の充填値より少なくとも約5%大きい充填値を有する第2の膨張タバコ材を供する。
【0057】
第2の膨張工程では第1の膨張タバコ材、即ち第1の膨張工程からの膨張刻み葉柄をさらに乾燥させることが主に行われる。一部の実施態様では第2の膨張工程の出発材料(第1の膨張タバコ材)は約5~約25%オーブン揮発分の水分量を有する。第2の膨張工程は得られる第2膨張タバコ材が0%~約10%OV、例えば0%~約5%OVの水分量を有するように乾燥が行われる。
【0058】
さらに第2の膨張工程は、第2の膨張タバコ材の充填値が14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に第1の膨張タバコ材より少なくとも約5%大きくなるようにタバコ材をさらに膨張させることになる。一部の実施態様では第2の膨張工程は第1膨張タバコ材を膨張させて、14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に第2の膨張工程前の刻み葉柄タバコ材(第1の膨張タバコ材)の充填値より少なくとも約7%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%または少なくとも約40%大きい充填値を有する第2の膨張タバコ材を供する。
【0059】
一部の実施態様では第2膨張タバコ材は、14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に約5.5ml/g~約10ml/gの充填値を有する。一部の実施態様では第2の膨張タバコ材は約6ml/g~約9ml/g、例えば約6ml/g~約8ml/gの充填値を有する。
【0060】
第2の膨張工程は刻み葉柄の新しい処理であり、第1の膨張タバコ材を加熱された面と間欠的に接触させることを含む。タバコを加熱された面と間欠的に接触させることによって繰り返し短い時間高温に晒すことになる。一部の実施態様ではこの間欠的な接触は処理されているタバコ材を撹拌することによって実行してもよい。加熱された面の温度、従ってタバコ材が晒される温度は約100℃よりかなり高く、一部の実施態様では少なくとも150℃である。従って、間欠的な接触は、そのような高温の面に長く連続的に晒すことによって確実に燃えないようにするために重要である。
【0061】
一部の実施態様ではタバコと加熱された面との間欠的な接触によってタバコ材の表面が焼かれるまたは焦がされることになる。これは急に高温に晒すことの結果である。これは乾燥効果があるだけでなく、従来技術で知られている緩やかな乾燥工程とは異なるタバコの処理にもなる。
【0062】
一部の実施態様では処理中のタバコ材を囲む酸素レベルは減少させてもよい。これは加熱された面に晒された結果発生する「ホットスポット」のリスクを減少させ、タバコ材が燃えるリスクを減少させる効果がある。従って、このように酸素レベルを減少させると従来の方法および装置より高い温度でタバコ材を処理することができる。酸素レベルはスチームを加えて減少させる。
【0063】
いかなる特定の理論に束縛されることを望まないが、本発明の工程は2つの段階に分けられると推定されている。第1の段階ではタバコ材がある種のタバコ材の蒸気蒸留で水を含む揮発成分が除く熱に晒された結果として乾燥される。第2の段階では本明細書中で「表面焼け」と言う効果が生じる。タバコ材の主な化学的変化が起こるのはこの第2の段階でである。
【0064】
タバコと加熱された面とが短時間接触し、タバコの局部的な焼けによってメイラードおよびキャラメル化反応生成物の増加につながると推定され、それらの多くは所望の感覚刺激特性に貢献することが知られている。これは下記実施例1で詳しく考察する。メイラード反応はアミノ酸と糖との化学反応であり、それらはタバコ出発材料中に存在するが、処理されたタバコ材では僅かにしか見られない。これは140~165℃の温度で通常生じる非酵素反応である。メイラード反応生成物の感覚刺激特性に心地よい効果を与えることに加えて、この反応は材料の褐色化も担っている。本発明の第2の膨張工程の実施態様によって処理されるタバコ材は原料より濃い茶色であることが観察されている。
【0065】
一部の実施態様では本明細書で説明した第2の膨張工程を使用して膨張刻み葉柄タバコ材を処理することで風味分布が向上したまたは感覚刺激特性が向上したタバコが製せられる(処理されていないまたは従来の硬化工程だけで処理されたタバコの風味分布と比較して)。これは従来の硬化後に見られる刻み葉柄タバコ材の味特性を維持しつつオフノートまたは刺激が減少することを意味する。本明細書中では「向上させる」または「向上」なる用語は、風味または感覚刺激特性との関連で、熟練喫煙者によって特定される味または味の質の改良または改善されたことを意味する。これは味を強化することを含んでもよいが、必ずしも必要ではない。
【0066】
本明細書中でタバコ材の感覚刺激特性と言った場合、例えば消費者が口にくわえて使用した場合のタバコ材自体の感覚刺激特性を意味する。加えてまたはこれとは別にタバコ材の燃焼によって発生した煙のまたはタバコ材の加熱によって発生した蒸気の感覚刺激特性を意味する。一部の実施態様では処理されたタバコ材は、使用または消費される際に所望の感覚刺激特性を有する上記タバコ材を含むタバコ製品を提供する。
【0067】
一部の実施態様では本発明の方法は、ブレンドの全体的な性能に対する葉柄のマイナスの感覚効果を軽減するという予測しなかった利点を有する。マウスコーティング、セルロースっぽいおよび「茎っぽい」味に寄与することは葉柄の全体的な特性の否定的側面と見なされている。
【0068】
さらにまた表面の焼けはタバコ材に対して物理的影響を有するし、植物材の個々の細胞をその内側の水分が急激に加熱され、蒸発した際に広げると推察される。この膨張は処理される刻み葉柄がすでに第1の膨張工程で膨張されていても起こる。
【0069】
一部の実施態様では加熱された面の温度は、約100℃から約300℃の範囲内である。一部の実施態様ではその温度は少なくとも約105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃、155℃、160℃、165℃、170℃、175℃、180℃、185℃、190℃、195℃または少なくとも約200℃である。一部の実施態様では加熱された面の温度は、約295℃、290℃、285℃、280℃、275℃、270℃、265℃、260℃、255℃、250℃、245℃、240℃、235℃、230℃、225℃、220℃、215℃、210℃、205℃以下または約200℃以下である。一部の実施態様では加熱された面の温度は、少なくとも約120℃~約250℃または少なくとも約150℃~約300℃である。
【0070】
加熱された面の温度について述べる場合、本明細書中ではタバコ材と接触する前の温度を意味する。なぜならタバコ材との接触および乾燥工程は加熱された面を冷ますからである。従って、乾燥工程中の加熱された面の正確な温度は、どの程度「乾燥作業」が行われるかによる。例えば、水がタバコ材から蒸発する初期の段階では多量のエネルギーが利用され、従って加熱された面の大幅な冷却につながる。従って、それが容易かつ正確に測定できるタバコとの接触前の加熱された面の温度になる。
【0071】
一部の実施態様では加熱された面の温度は、処理中に変化を最小限にするために制御される。例えば、フィードバック機構を使用して温度が許容範囲内に確実に維持されるようにし、タバコ材の処理の結果、温度が下がった際に面を加熱する。
【0072】
一部の実施態様では加熱された面の温度は処理されるタバコ材の種類に応じて調整されるのが適している。このことが適している理由の一つは、種々のタバコ材は異なる出発水分量を有し、従ってその処理は異なる量の水分および揮発分を除去することを伴うからである。
【0073】
得られたタバコ材の特性は表面温度、滞留時間およびタバコ質量流の組み合わせとして見られ、これらはすべて「平均的な」タバコ温度、従って個々のタバコ粒子内の変化に貢献する。
【0074】
一部の実施態様では加熱された面は、ステンレススチールまたは充分な伝熱特性を有するあらゆる他の好適なスチールまたは金属種などの金属である。他の実施態様では加熱された面は、本明細書中で述べた方法で使用する温度に加熱することができる充分な伝熱特性を有するあらゆる材料から形成される。例えば、セラミックからなる面を使用してもよい。
【0075】
加熱された面は、例えば油、水またはスチームからなる群から選択された加熱媒体などの加熱媒体によって間接的に加熱されてもよい。一部の実施態様では熱媒油は好ましい加熱媒体である。これとは別にまたは加えて加熱された面は直接加熱されてもよい。一部の実施態様では加熱された面は電気で加熱される。
【0076】
一部の実施態様ではタバコ材と接触する前の加熱された面の温度は、刻み葉柄タバコ材を処理する場合少なくとも約200℃であり、約220℃~約250℃の範囲内で選択される。
【0077】
タバコ材が加熱された面と間欠的に繰り返し接触する場合、タバコ材が加熱される。加熱された面が高温ならば、タバコの温度は著しく上昇する。一部の実施態様では本発明の処理方法の結果として、タバコ材の温度は約120℃~約230℃の範囲のピーク温度に上昇する。一部の実施態様ではタバコ材のピーク温度は、少なくとも約125℃、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃、155℃、160℃、165℃、170℃、175℃、180℃、185℃、190℃、195℃、200℃、205℃、210℃、215℃または少なくとも約220℃である。一部の実施態様ではタバコ材のピーク温度は約225℃、220℃、215℃、210℃、195℃、190℃、185℃、180℃、175℃、170℃、165℃、160℃、155℃、150℃、145℃、140℃、135℃、130℃以下または約125℃以下である。タバコ材の温度は赤外線計測または電気抵抗温度計などの好適な測定装置で測定してもよい。
【0078】
一部の実施態様ではタバコ材は不活性雰囲気下で加熱される。一部の実施態様では窒素、飽和スチーム、二酸化炭素またはそれらの混合物などの不活性ガスが装置に加えられ、酸素量を調節し、処理中所望の化学反応を誘導する。
【0079】
第2の膨張工程での刻み葉柄タバコ材の処理は乾燥効果があり、前記タバコ材の水分量が減少する。第2膨張タバコ材は0%~約10%オーブン揮発性物質(OV)の水分量を有する。言い換えれば第2の膨張タバコ材の水分量は、約10%OV以下である。一部の実施態様では第2膨張タバコ材の水分量は、約9.5%、9%、8.5%、8%、7.5%、7%、6.5%、6%、5.5%、5%、4.5%、4%、3.5%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%以下または約0.5%OV以下である。一部の実施態様では第2の膨張タバコ材の水分量は約1%~約5%OVまたは約2%OV未満である。
【0080】
一部の実施態様では第1の膨張タバコ材(即ち第2の膨張工程の出発材料)の水分量は、少なくとも約5%OVである。一部の実施態様では第1の膨張タバコ材の水分量は、少なくとも約6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%または少なくとも約24%OV。一部の実施態様では第1の膨張タバコ材の水分量は、約25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%以下または約6%OV以下である。一部の実施態様では第1の膨張タバコ材の水分量は、少なくとも約5%~約25%OVまたは少なくとも約5%~約20%OVである。一部の実施態様では第1の膨張タバコ材の水分量は少なくとも約12%~約16%OVである。
【0081】
従って、一部の実施態様では第2の膨張工程の主要目的は、第1の膨張タバコ材の水分量をさらに減少させることではなく、加熱面の高温との短時間の接触による物理的および化学的変化を達成し、さらなる材料の膨張および付随してその充填値を大きくすることを含む。一部の実施態様ではこの効果は加熱された面との接触の結果としてタバコを燃やさないまたは実質的に燃やさずに達成される。
【0082】
一部の実施態様ではタバコ材の水分量は、水分を加えることによって第2の膨張工程中に調整してもよい。水分は水またはスチームの形で第2の膨張工程に導入してもよい。これはタバコ材が間欠的に加熱された面と接触している間にタバコ材にスプレーしてもよい。
【0083】
一部の実施態様ではこの水分の導入によってタバコ材の水分量が2%~5%OV増加させる。一部の実施態様では水分は第2の膨張工程を通して異なる位置で導入される。
【0084】
タバコのこの湿潤が第2の膨張工程中に起こっている際、水分量は湿潤されたタバコが加熱面と接触するので再度減少する。第2の膨張工程は、タバコ材の水分量が処理工程中に上下に繰り返し変動するように複数回の水分の添加を含んでもよい。
【0085】
一部の実施態様では第2の膨張工程はタバコ材を1つ以上の加熱された面と繰り返しそして間欠的に少なくとも約1分~約15分間の処理時間に亘って接触させることを含む。一部の実施態様ではタバコ材が加熱された面と間欠的に接触する時間は、少なくとも約1分、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または少なくとも約14分間である。一部の実施態様ではタバコ材が加熱された面と間欠的に接触する時間は、約14分以下、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3または約2分以下である。一部の実施態様ではタバコ材は加熱された面と合計で少なくとも約2分~約10分または少なくとも2.5分~約5分加熱された面と接触させられる。
【0086】
間欠的な接触は、タバコ材が約5秒間以下加熱された面と直接そして連続的に接触することを含む。一部の実施態様では直接的かつ連続的な接触の平均時間は、約0.1秒~約3秒である。
【0087】
加熱された面とのタバコ材の間欠的な接触と言った場合、タバコ材のあらゆる部分が加熱された面と一時的にのみ直接接触することを意味する。一部の実施態様ではこれはタバコ材が加熱された面に対して移動し、タバコ材が加熱された面と接触する特定の位置に長い時間停止過ぎないようにするおよび/またはタバコ材の同じ部分が長い時間加熱された面と直接接触したままにならないようにすることを意味する。タバコ材の同じ部分と加熱された面との接触時間を延ばすことは、タバコ材の燃焼につながり、これはタバコ材の物理的および化学的特性に対して有害作用を有し、例えばタバコ産業製品にさらに使用するのに適さない処理材にタバコ材をしてしまう。
【0088】
一部の実施態様では第2の膨張工程はタバコ材が処理されている間、タバコ材を撹拌することを含む。一部の実施態様では第2の膨張工程中にタバコ材を撹拌する手段を含む装置が提供される。
【0089】
一部の実施態様ではタバコ材はタバコ材をひっくり返すことによって第2の膨張工程中に撹拌されるのが好ましい。これは例えば処理されるタバコ材を拾って、持ち上げ、落下させてタバコ材を回転運動させることによって行ってもよい。
【0090】
一部の実施態様では第2の膨張工程中にタバコ材の運動は1つ以上のスクリューを含むものなどの機構によって生じさせてもよい。このような構成ではスクリューは回転するシャフトを囲む螺旋面を含み、この螺旋面はタバコ材を拾い上げる構造をしている。シャフトが回転すると、螺旋面が処理されるタバコ材の少なくとも一部をすくい上げる。このタバコ材は、次に搬送され、回転する螺旋面によってスクリューの回転がタバコ材をスクリューから落とす(重力で)まで持ち上げられる。一部の実施態様では1つ以上のスクリューは、処理チェンバーを通ってタバコ材を移動させ、タバコ材を撹拌させるように配置してもよい。このような配置によりタバコ材を連続して処理することが可能になる。一部の実施態様では螺旋面および/またはスクリューのシャフトは加熱してタバコの処理に使用される加熱された面を提供してもよい。2つのスクリューをタバコ材の移動に使用する場合、これらのスクリューは平行に配置され、処理されるタバコのすべてと接触し、移動させるように位置させてもよい。一部の実施態様ではスクリューは追加のパッケージを含み、タバコ材の拾い上げおよび搬送を補助するようにしてもよい。これらのパドルもタバコ材を処理するために使用される加熱された面であってもよい。
【0091】
他の実施態様ではタバコ材は第2の膨張工程中に回転ドラム内で撹拌してもよい。ドラムの内側はチェンバーであってもよく、その中でタバコが処理される。タバコはドラムの内側に位置し、ドラムが回転するとドラムの底部から拾い上げられ、持ち上げられる。タバコ材は、タバコ材との接触を維持することができる内面を有するドラム、例えばタバコ材をすくい上げるパドルなどの粗い面または突起を有することによって拾い上げやすくしてもよい。ドラムが回転すると、ドラムの内面と接触しているタバコは、ドラムの回転によってタバコをドラムの壁から落とし(重力で)、ドラムの底部に戻すまで持ち上げられる。これによってタバコ材の混転と混合が生じる。ドラムの内面の不規則性がどのくらい長くタバコ材がドラム壁と接触したままにするかを制御することを補助する。その不規則性は、タバコ材が落下する際に、タバコ材がドラムと接触したままに確実にならないように(壁に滑り戻る)するために使用して、タバコ材の混転運動を高めるようにしてもよい。回転速度も回転軸の向きと同じように混転運動に影響を与える。一部の実施態様ではドラムの内面は、タバコを処理するために使用される加熱された面であってもよい。ドラムは、水平または実質的に水平な軸を中心に回転してもよい。他の実施態様では傾斜した軸を中心にした回転は、タバコがより長くドラムの内面との接触を維持できるようにし、またタバコ材を長手方向に移動させる。ドラムの回転の結果としてのタバコの長手方向の移動は、さらにまたはこれとは別にドラムの内面に適切に配置され、角度付けされた突起によって実行してもよい。
【0092】
他の実施態様ではタバコ材は第2の膨張工程中にエアーフローで撹拌してもよい。例えば、タバコ材は空気流によって持ち上げられ、移動させられてもよい。
【0093】
一部の実施態様ではタバコ材は装置を流れる空気によって第2の膨張工程中に撹拌されない。一部の実施態様ではタバコ材を処理するための装置は、第2の膨張工程中にタバコ材を撹拌するための装置を介して空気を吸い上げる手段を含まない。
【0094】
一部の実施態様では第2の膨張工程は連続して行われる方法である。例えば、第1の膨張タバコ材は装置に連続的に供給され、処理され、第2の膨張タバコ材として装置から出る。別の実施態様では第2の膨張工程は、バッチプロセスであり、第1の膨張タバコ材のバッチが装置に供給され、処理された第2の膨張タバコ材のバッチを製するために処理され、新しいバッチが処理される前に取り除かれる。
【0095】
第2の膨張工程の工程パラメータは、タバコ材の物理的特徴の一部またはすべてを維持するために処理されたタバコ材にとって充分に軽いものである。例えば、刻み葉柄タバコ材は、喫煙品などのタバコ含有製品に組み込むための取り扱いおよび/または加工を可能にするその後の処理に充分に損なわれないままである。これによりタバコ材が本明細書中で説明した処理を受けていない従来のタバコの同じように標準的な処理による取り扱いを受けられるようにする。
【0096】
第3の工程
本発明の方法の第3の工程 第2の膨張工程で製せられた第2膨張タバコ材を処理することを含む再調整、再湿潤および/またはコンディショニング工程である。一部の実施態様では第3の工程は再調整工程である。一部の実施態様では第3の工程はコンディショニング工程である。一部の実施態様では第3の工程は再湿潤工程である。
【0097】
第2膨張タバコ材の水分量は0%~約10%OVである。第3の工程により処理された材料の水分量を約10%~約20%OV、好ましくは約10%~約16%OV増加させる。
【0098】
一部の実施態様では第3の工程は従来の再調整またはコンディショニング技術を使用する。一部の実施態様では水およびスチームの少なくとも一方が第3の工程時に第2膨張タバコ材に加えられる。
【0099】
第3の工程を実行するために使用される装置またはモジュールは、例えば再調整ドラム、スチームトンネルまたはバンドコンディショナーを含んでもよい。
【0100】
第3の工程は膨張製品を製し、一部の実施態様では第3の工程は処理される材料(即ち、第2膨張タバコ材)の充填値をさらに大きくする。一部の実施態様では膨張製品の充填値は、14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に第2膨張タバコ材の充填値より少なくとも5%大きい。
【0101】
一部の実施態様では第3の膨張工程は第2膨張タバコ材を膨張させて14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に未処理の刻み葉柄タバコ材の充填値より少なくとも約7%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%大きい充填値を有する膨張製品を提供する。
【0102】
一部の実施態様では膨張させた製品は、14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に約6ml/g~約12ml/gの充填値を有する。
【0103】
第1の膨張工程、第2の膨張工程および再調整工程の組み合わせによる膨張後の刻み葉柄の充填値の最終的な増加は、14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に少なくとも約50%、選択的に少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約100%である。一部の実施態様では第1の膨張工程、第2の膨張工程および第3の工程の組み合わせによる膨張後の刻み葉柄の充填値の最終的な増加は、14.5%のオーブン揮発分(OV)の正規化水分量で測定した際に約300%以下、例えば約250%以下、例えば約200%以下である。
【0104】
例えば、刻み葉柄タバコ材の充填値は、処理前の約4ml/g~約6ml/gの最初の値から約6ml/g~約10ml/gに増加する。
【0105】
中間工程
一部の実施態様では本発明の方法は第1の膨張工程と第2の膨張工程との間および/または第2の膨張工程と第3の工程との間に休止期を含む。
【0106】
一部の実施態様では休止期は少なくとも約1分間タバコ材を処理せずに休ませることを含む。一部の実施態様では休止期は少なくとも2分間、少なくとも3分間、少なくとも4分間または少なくとも5分間または約1分~約60分間または約1分~約30分間であってもよい。一部の実施態様では休止期は約1時間~約72時間、例えば約1時間~約48時間、例えば約1時間~約24時間、例えば約1時間~約12時間または例えば約1時間~約6時間であってもよい。
【0107】
一部の実施態様では休止期はタバコ材を次の処理工程前に約40℃以下または約30℃以下に冷ますことを含む。
【0108】
一部の実施態様では処理工程の後、処理されたタバコ材を冷ましてもよい。一部の実施態様ではこれは冷却ベルトを使用してもよく、そこで周囲空気または冷却空気が加工されたタバコの層を通過する。他の実施態様ではタバコ材は、放置する、冷却シリンダーを通過させる、エアーリフティングおよび流動床を介して冷却するなどの工程の内の1つ以上によって冷却してもよい。
【0109】
装置
本発明の方法はあらゆる好適な装置または装置のあらゆる好適な組み合わせで行ってもよい。装置は加工工程の1つ以上を実行するモジュールを含んでもよい。例えば、装置は第1の膨張工程を実行する第1モジュールと、第2の膨張工程を実行する第2モジュールと、第3の工程を実行する第3モジュールとを含んでもよい。
【0110】
ここで説明した本発明の方法の第2の膨張工程の実施態様を実施するのに好適な装置(または装置のモジュール)の具体例を図2に示す。この実施態様では装置1は、デュアルスクリュー構造の2つのスクリュー2を含む。この構成はタバコ材のあらゆる部分がこの装置のスクリューによって発生する撹拌または乱流の結果として一回数秒程度の時間加熱された面と接触すると考えられている。
【0111】
タバコ材8は、螺旋面3とシャフト4を含む従来の搬送スクリュー2を含む装置1で処理され、スクリュー2はタバコ材を装置1の処理チェンバー7内を移動させる。スクリュー2は回転し、スクリュー2のシャフト4は、モーターを含む駆動機構11によって回転する。
【0112】
タバコ出発材料はタバコ入り口5を通って処理チェンバー7に入り、その際、回転しているスクリューがタバコ材を拾い上げ、混転させ、処理チェンバーを通ってタバコ出口6の方へ移動させる。
【0113】
より具体的にはタバコ材8の塊がタバコ入り口5を通って処理チェンバー7に入る。スクリュー2が回転すると、タバコ材が拾い上げられ、その一部は螺旋面3と直接接触し、スクリュー2のシャフト4とも接触する可能性がある。タバコ材は、タバコ材が処理チェンバー7内を搬送され、混転させられるようにスクリュー2に沿って引きずられ、スクリュー2によって持ち上げられ、落とされる。回転している1つ以上のスクリューにより持ち上げられたタバコは、その後チェンバー7内を搬送されるタバコ材8の塊に落下し、その塊は一定に混ぜられ、移動させられ、その結果塊の異なる部分が異なる時間でスクリュー2と接触することになる。
【0114】
例示の実施態様ではスクリュー2の表面は加熱され、それらは本発明のタバコの処理に従って間欠的にタバコ材と接触する。
【0115】
スクリュー2は、加熱媒体パイプ10を介して装置1に供給される加熱媒体によって加熱される金属面を有する。例示の実施態様では加熱媒体は所望の温度に加熱される熱媒油である。
【0116】
処理されるタバコ材の一部だけがどの時点においても加熱された面と直接接触する。タバコが搬送される際、タバコは混転、混合され、タバコ材の撹拌、乱流を供し、加熱された1つ以上の面との所望の間欠的な接触が行われる。個々の接触時間は一回に2、3秒を超えないと考えられている。タバコ流の動力によってスクリューの形によって誘発されるタバコの塊全体の均一処理を確実にする。
【0117】
例示した装置では処理チェンバーは異なる温度領域9に分割してもよい。これらの領域はスクリューの異なるセクションを表し、それらのセクションは別々に加熱される。従って、本発明の装置は、種々の温度に加熱される面を有するように構成することができる。一部の実施態様では処理工程中に異なるポイントで異なる温度を有する加熱された面にタバコを露出させることによって乾燥および処理の表面焼け段階を制御するのが望ましい。
【0118】
一部の実施態様では本発明の装置は第1の膨張工程を実行するモジュールを含む。一部の実施態様では第1の膨張工程を実施するモジュールは膨張スチームトンネル、STS(葉柄スチーム処理)システム、コンディショニングシリンダー、コンディショニングスクリューまたは加圧コンディショニングスクリューからなる群から任意に選択されるあらゆる従来の膨張技術を含む。一部の実施態様では第1の膨張工程を実行するモジュールは膨張スチームトンネルとSTSシステムの内の1つ以上を含む。
【0119】
一部の実施態様では第1の膨張工程を実施するモジュールは、流動床ドライヤー、フラッシュタワードライヤー、ロータリードライヤーおよびバンドドライヤーからなる群から任意に選択されるあらゆる従来の乾燥技術をさらに含む。
【0120】
一部の実施態様では本発明の装置は第3の工程(再調整工程、再湿潤工程および/またはコンディショニング工程などの)を実行するモジュールを含む。一部の実施態様では第3の工程を実施するためのモジュールは並べ替えドラム、スチームトンネルおよびバンドコンディショナーからなる群から選択される1つ以上を含む。
【0121】
タバコ産業製品
本発明の方法によって供される膨張タバコ(即ち、処理された刻み葉柄タバコ材)は、タバコ産業製品に使用してもよい。タバコ産業製品はタバコ産業で製造されるまたは販売されるあらゆる品目を意味し、通常はa)紙巻きタバコ、シガリロ、シガー、パイプまたは手巻きタバコ用のタバコ(タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品をベースにしているか否かに関係なく)、b)タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品を組み込んだ嗅ぎタバコ、スヌース、ハードタバコなどの非喫煙製品および非燃焼加熱(HnB)製品、およびc)吸入器、電子タバコなどのエアロゾル発生装置、トローチ剤およびガムなどのタバコのニコチン送出システムを含む。この例はこれ以外のもの排除するものではなく、単にタバコ産業で製造、販売されている一連の製品を例示しているに過ぎない。
【0122】
膨張させた製品は喫煙品内に組み込んでもよい。
【0123】
本明細書中では「喫煙品」なる用語はタバコ、タバコ派生品、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品をベースにしているかに関係なく紙巻きタバコ、シガーおよびシガリロおよびまた非燃焼加熱製品などの喫煙可能な製品を含む。
【0124】
処理されたタバコ材は手巻きタバコおよび/またはパイプタバコ用に使用してもよい。
【0125】
処理されたタバコ材は「無煙タバコ製品」内に組み入れてもよい。「無縁喫煙品」は、本明細書中では燃焼を意図しないあらゆるタバコ製品を意味するために使用されている。これは限られた時間ユーザーの口腔に入れられるように設計されたあらゆる無煙タバコ製品を含み、口腔に入れられている間ユーザーの唾液と接触するようになっている。
【0126】
膨張製品は喫煙品または無煙喫煙品内に組み込まれるまたは手巻きタバコおよび/またはパイプタバコに使用される前に1つ以上のタバコ材とブレンドしてもよい。一部の実施態様では膨張刻み葉柄を含む膨張製品は、葉身タバコとブレンドすることが可能であり、喫煙品の喫煙材に組み込むための刻み充填材を形成するために使用することができる。
【0127】
実施例
実施例1
(開始)水分量が14.5%OVの刻み膨張葉柄(CES)にいくつかの方法を行った。一塊のタバコ粒子が送り込み材料として使用され、図2に示した装置を使用した方法で処理される。
【0128】
この処理は、個々の粒子が処理されるタバコ材の塊全体に落下して戻る前に数秒熱い金属面にCESの粒子を晒すこととして説明することができる。
【0129】
装置内のタバコ粒子の塊の残留時間(そして従って処理時間)は、1~5分である。加熱された金属面は、加熱された面を合成油を介して所望の温度にするスクリューと同様に加熱されるジャケットによって加熱される。
【0130】
3つの異なる温度セクション、即ち230℃、240℃および250℃を試験した。これは加熱された面を加熱するために使用される加熱媒体(油)温度がこれらの温度に設定されたことを意味する。これは装置の異なる部分の異なる温度につながる。
【0131】
下記表1に数字およびパラメータは、加熱媒体(油)温度が250℃に設定された場合の処理工程中間部分の個々の温度を反映している。
【0132】
【表1】
【0133】
これらの実験においてタバコは、約2~3分の滞留時間(または処理時間)および約14.5%OVの水分量の刻まれた葉柄を約50kg/hで供給するタバコ材処理速度を伴う工程で試験した。
【0134】
この工程は2つの異なる段階に分割することができる。第1の段階を通して葉柄粒子はその水分を失う。加熱媒体(油)温度250℃で葉柄は、約1分後0%OVの水分量になる。第2段階は処理の残りの工程で起こり、その効果は「表面焼け」と称される。この第2段階を通して主な変化が起こる。
【0135】
表2は参考葉柄、未処理の刻み葉柄タバコの化学組成を異なる加熱媒体温度に加熱される装置で処理されるタバコの化学組成と比較している。
【0136】
【表2】
【0137】
表2からわかるように処理された膨張刻み葉柄タバコのニコチン含有量は、250℃の加熱媒体の温度で50%超減少し、糖類とアンモニアは合計で80%超減少している。塩化物含有量の増加は、全体的な有機物の損失を反映し、充填値の著しい増加は、処理されたタバコの細胞構造の変化を示している。
【0138】
データは刻み葉柄タバコ材が処理中に著しい変化を受けたことを示している。
【0139】
これらの変化は処理された材料の感覚刺激特性の変化に置き換えることができることを示しており、これは処理されたタバコが例えば紙巻きタバコで燃焼させた際に発生する煙で認識可能である。この煙の感覚刺激特性は、熟練喫煙者によって非常に好意的な言葉で表現され、タバコの処理が有益かつ望ましい特性を有する処理された材料の製造につながっていることを示している。これはいくつかの望ましくないタバコ成分の減少および感覚刺激特性の向上という両方の点からである。
【0140】
実施例2
従来の処理がされたヴァージニア刻み葉柄を次の作業で使用し、参考材料とする。この刻み葉柄をコンディショニングし、膨張させ、乾燥しそして空気で分類した。この刻み葉柄の膨張は従来のSTS技術で行った。
【0141】
この例では参考材料(「第1の膨張工程後の葉柄」)を膨張させてない刻み葉柄および本発明によって処理したサンプルと比較する。このサンプルは第2の膨張工程として表面焼けさせている。表面焼け工程は加熱面がオイルで250℃の温度に加熱され、35kg/hのタバコ供給速度で表面焼けチェンバーに3分間滞留させる装置で行った。表面焼け工程の後、次にサンプルを再調整工程に付した。
【0142】
サンプルを表面焼け工程の後、「オンライン」再調整またはコンディショニング工程で処理した。表面焼け工程の後、このサンプルを直接コンディショニングシリンダーに移した。
【0143】
種々のタバコ材の葉柄充填値を図3のグラフに示す。結果は本発明による葉柄の複数の膨張によって未膨張の葉柄および1回のSTS技術による従来の膨張工程しか受けていない葉柄と比較して充填値が著しく高くなることを示している。
【0144】
実施例3
この例では実施例2の膨張刻み葉柄サンプルをタバコブレンドに混ぜて紙巻きタバコ用のタバコロッドを形成した。紙巻きタバコは従来の紙巻きタバコ用のタバコブレンドを使用した従来のキングサイズの紙巻きタバコ設計のものであった。17重量%の従来の葉柄フィラーを2本の紙巻きタバコが含む膨張葉柄、即ち参考材料(従来の膨張工程を1回使用して膨張させた)と本発明の複数回膨張させたタバコ材に変えて使用した。
【0145】
図4のグラフは異なる膨張刻み葉柄サンプルをタバコブレンドに17重量%の量で含有させ、キングサイズの紙巻きタバコに組み込んだ際に得られたロッド密度を示している。これらの紙巻きタバコを評価し、数学モデルを使用して同じ堅さの紙巻きタバコを制作するためにどれだけのタバコが必要になるかを比較した。数学的モデルを使用して計算した図4のグラフに示した結果を示しているが、それらを注意して検分されたい。それでも結果は複数回膨張させた葉柄を使用によって一定の堅さに正規化された場合タバコ投入重量を著しく減少させることになることを示している。これは高い充填値は低い紙巻きタバコタバコロッド密度に置き換えられることを示している。
【0146】
種々の問題の対処と技術の発展のため、本開示全体は種々の実施形態を例示的に示しており、これらの実施形態では特許請求された発明が実践され、優れた方法、装置および処理されたタバコロッドおよびその仕様を提供することができる。本開示の利点および特徴は実施形態の単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。これらは特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
図1
図2
図3
図4