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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】磁気冷却ロール
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/573 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
C21D9/573 101A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021512695
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 IB2019057256
(87)【国際公開番号】W WO2020049418
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2018/056831
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハミデ,マクルーフ
(72)【発明者】
【氏名】アンデルウベール,マルク
(72)【発明者】
【氏名】ドゥビニー,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ,ローラン
【審査官】河野 一夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-346628(JP,A)
【文献】特開昭61-099634(JP,A)
【文献】特開平10-017184(JP,A)
【文献】特開平07-041978(JP,A)
【文献】実開昭60-067354(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 9/573
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心棒(2)およびスリーブ(3)を含む冷却ロール(1)であって、前記スリーブは、長さおよび直径を有し、内側から外側まで、
-内筒(4)と、
-内筒の長さに沿って配置された、前記内筒の周囲にある複数の磁石(5)であって、各磁石が幅、高さ、および長さによって規定される、複数の磁石(5)と、
円筒形状を有し、前記複数の磁石(5)を周方向に取り囲む冷却システム(6)と、
その順に備え、
-前記冷却システムおよび前記複数の磁石は、高さによって規定されるギャップ(7)によって分離され、ギャップ高さは、磁石(5)と上記冷却システム(6)との間の最小距離であり、
前記磁石(5)は、
ギャップ高さ×1.1≦磁石幅≦ギャップ高さ×8.6
が満たされるような幅を有する、冷却ロール(1)。
【請求項2】
前記磁石(5)は永久磁石である、請求項1に記載の冷却ロール(1)
【請求項3】
前記冷却システム(6)は、冷却剤が流れることができる少なくとも2つの冷却チャネル(12)を備える金属部品で作られる、請求項1または2のいずれか一項に記載の冷却ロール(1)
【請求項4】
前記冷却チャネル(12)は、ロール回転軸(10)に平行に配置されている、請求項3に記載の冷却ロール(1)
【請求項5】
冷却システム(6)は、前記冷却チャネル(12)に冷却剤を注入するための手段(13)を含む、請求項3に記載の冷却ロール(1)
【請求項6】
前記冷却システム(6)は、冷却剤が流れることができる少なくとも2つの冷却チャネル(12)を含み、前記冷却チャネル(12)内の冷却剤は、隣接する冷却チャネル(12)を反対方向に流れる、請求項5に記載の冷却ロール(1)
【請求項7】
前記磁石の幅は、以下の式、
ギャップ高さ×1.4≦磁石幅≦ギャップ高さ×6.0
を満たす、請求項1~6のいずれか一項に記載の冷却ロール(1)
【請求項8】
前記磁石の幅は、以下の式、
ギャップ高さ×1.6≦磁石幅≦ギャップ高さ×5.0
を満たす、請求項7に記載の冷却ロール(1)
【請求項9】
前記複数の磁石は、内筒の全長にわたって延びている、請求項1~8のいずれか一項に記載の冷却ロール(1)
【請求項10】
前記冷却システム(6)は前記複数の磁石(5)を取り囲む、請求項1~9のいずれか一項に記載の冷却ロール(1)
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載の冷却ロール(1)を複数備える設備において、連続的に移動する金属ストリップを冷却するための方法であって、
-前記ストリップ(15)の一部を少なくとも1つの前記冷却ロール(1)に磁気的に引き付け、前記ストリップ(15)を少なくとも1つの前記冷却ロール(1)と接触させるステップを備える方法。
【請求項12】
少なくとも3本の冷却ロール(1)が使用され、前記ストリップ(15’)は、少なくとも3本の冷却ロール(1)と同時に接触している、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
冷却ロールと接触している前記ストリップは、0.3m・s-1~20m・s-1の速度を有する、請求項11~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記冷却システム(6)は、冷却剤が流れることができる少なくとも2つの冷却チャネル(12)を含む金属部品で作られ、前記冷却チャネル(12)内の冷却剤は、隣接する冷却チャネル(12)を反対方向に流れる、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に移動する金属ストリップを冷却するための機器に関する。本発明は、冶金学的プロセス中の鋼板の冷却に特に適している。
【背景技術】
【0002】
高温鋼ストリップ冷却プロセスでは、冷却ロールでストリップを冷却することは公知のプロセスである。このような冷却ロールは、プロセスの様々なステップで使用できる。例えば、炉の下流やコーティング浴などである。ストリップは、冷却された冷却ロールとストリップの間の熱伝導により、主に冷却される。しかしながら、そのような技術の効率は、ストリップの平坦性およびロールとストリップとの間の表面接触によって大きく影響される。冷却速度が不均一であるために、ストリップの幅に沿ってロールとストリップの間に接触の不均一がある場合、ストリップの平坦度は悪化する。
【0003】
特開平4-346628号公報は、ストリップを冷却するための装置、ロールに関する。磁石が、ロール本体の内部に連続的または適切な間隔で提供される。磁石の上には、磁石の周りにらせん状に巻かれた冷却システムという1本の冷却管がある。ロールの外殻は、好ましくはAl/ZrOでコーティングされている。
【0004】
特開昭59-217446号公報は、金属ストリップを冷却または加熱するための装置、ロールに関する。ロールの内側には熱媒体、冷却システムがあり、磁石はロールの外殻に配置されている。
【0005】
しかしながら、上記の機器を使用することにより、ストリップの潜在的な平坦性欠陥を克服するためにストリップがロールに十分に接触しておらず、したがってその平坦性が冷却中に悪化し、その結果、ストリップの品質が低下する。さらに、冷却システムは、ストリップを十分かつ均一に冷却することを可能にせず、ストリップ幅に沿って、特にストリップの縁部と中心との間の温度変化をもたらす。さらに、冷却ロールの様々な部分の配置により、熱伝達係数は最適ではない。
【0006】
したがって、接触の均一性、したがってストリップ幅に沿った冷却の均一性を改善するために、ロールとストリップとの間の接触の不均一性を低減または抑制する方法を見出す必要がある。冷却システムの効率を改善する必要もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平4-346628号公報
【文献】特開昭59-217446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ストリップの平坦性を低下させることなく、前記ストリップをその幅方向により均一に冷却することを可能にするロールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載の機器を提供することによって達成される。機器はまた、請求項2から10の任意の特徴を備えることができる。この目的はまた、請求項11から14に記載の方法を提供することによって達成される。
【0010】
本発明の他の特徴および利点は、本発明の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0011】
本発明を説明するために、特に以下の図を参照して、非限定的な例の様々な実施形態および試行について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】異なる要素の可能な配置を示すロールの実施形態の断面図である。
図2】支持手段である心棒が通過する役割の実施形態を示す図である。
図3】ストリップ幅と比較した好ましい磁石の長さを示す図である。
図4】磁石の極を示す図である。
図5】冷却チャネルを通る冷却フローの好ましい方向を示す図である。
図6】支持手段、冷却システム、およびそれらを接続する手段の可能な配置を示す図である。
図7】支持手段、冷却システム、およびそれらを接続するための手段の第2の可能な配置を示す図である。
図8】冷却ロール上のストリップの可能な位置を示す図である。
図9】コーティングプロセス後の冷却ロールの可能な使用を示す図である。
図10】仕上げプロセスでの冷却ロールの第2の可能な使用を示す図である。
図11】ストリップ幅に沿った温度の不一致の変化を示すグラフを備える図である。
図12】ロールの幅に沿ったロール表面の温度、およびロールの長さを考慮したストリップの好ましい位置を示す図である。
図13】磁石の幅と、磁石と冷却システムとの間のギャップの高さと、の比率の影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、本発明は、心棒2およびスリーブ3を備え、前記スリーブは長さおよび直径を有し、
-内筒4と、
-内筒の長さの少なくとも一部に沿って配置された、前記内筒の周囲にある複数の磁石5であって、各磁石が幅、高さ、および長さによって規定される、複数の磁石5と、
-前記複数の磁石5の少なくとも一部を取り囲む冷却システム6と、
によって内側から外側へ構成され、
-前記冷却システムおよび前記複数の磁石は、高さによって画定されるギャップ7によって分離され、ギャップの高さは、磁石5と上記の冷却システム6との間の最小距離であり、
前記磁石5は、
ギャップ高さ×1.1≦磁石幅≦ギャップ高さ×8.6
が満たされるような幅を有する、
冷却ロール1に関する。
【0014】
従来技術では、平坦性の欠陥を克服し、均一な接触を得るために、ストリップをロールに十分に引き付けることは不可能であるように思われる。これにより、平坦度がさらに不均一になり、ストリップ品質が低下する。さらに、冷却システムの配置は、十分かつ均一な冷却を実行することを可能にせず、所望の微細構造および特性を達成することができない。
【0015】
逆に、本発明の機器では、ストリップを強くかつ十分に引き付け、既存の平坦度の欠陥を克服することができる。したがって、平坦性の欠陥や不均一な特性を発生させることなく、ストリップが冷却される。さらに、冷却システムの配置により、ストリップ幅に沿って均一な冷却を行うことが可能になる。
【0016】
有利には、前記ギャップ高さは、ギャップ高さ×1.4≦磁石幅≦ギャップ高さ×6.0を満たす。この公式を考慮することで、最大引力の少なくとも70%を得ることが可能になると思われる。
【0017】
有利には、前記ギャップ高さは、ギャップ高さ×1.6≦磁石幅≦ギャップ高さ×5.0を満たす。この公式を考慮することで、最大引力の少なくとも80%を得ることが可能になると思われる。
【0018】
有利には、前記複数の磁石は、内筒の全長に沿って配置されている。このような配置は、冷却の均一性を高める。
【0019】
図1に示すように、磁石は優先的に内筒4の周囲に固定されている。
【0020】
図2に示すように、内筒4は、冷却ロールを支持、回転、および輸送するための手段を優先的に備え、両方の側面8に優先的に配置される。そのような手段は、両方の側面8のシリンダ回転軸10を中心とする穴9の内側に挿入された心棒2とすることができる。円筒形の穴9は、一方の側面から他方の側面にあるものとすることができ、その結果、心棒2は円筒を通過する。
【0021】
図3に示すように、磁石5は、ロール回転軸10に平行に優先的に配置されている。さらにより優先的に、各磁石の長さ11は、ストリップの幅12よりも大きい。そのような配置は、冷却ロールへのストリップ引力の均一性を高めると思われる。
【0022】
図4に示すように、N極は冷却システム6に面し、S極は内筒4に面している。磁石の高さは、北面5Nと南面5Sの間の距離として定義されることができる。
【0023】
有利には、前記磁石は永久磁石である。永久磁石を使用すると、ワイヤや電流を必要とせずに磁場を生成できるため、冷却ロールの管理が容易になる。また、永久磁石は電磁石に比べて強い磁場を発生していると思われる。さらに、使用中の電磁石は、ロールと冷却剤を加熱する誘導電流を生成し、冷却効率を低下させると思われる。前記磁石は、例えばNdFeBなどのネオジムベースの合金で製造することができる。
【0024】
有利には、図5に示すように、前記冷却システム6は、冷却剤が流れることができる少なくとも2つの冷却チャネル12を備える金属層で作られる。好ましくは、前記冷却システムは、中空の円筒形を有する。冷却剤は簡単かつ頻繁に更新でき、かつ単一の区画と比較して冷却剤温度が低くなるため、複数の冷却チャネルを使用することが望ましい。冷却システム6は、優先的に、冷却剤を含むフェルールである。冷却システムは、少なくとも、冷却される通過ストリップの全幅をカバーし、さらにより優先的にカバーする。これにより、幅ストリップに沿った冷却の均一性を高めることができる。
【0025】
有利には、図5に示すように、前記冷却チャネル12は、ロール回転軸10に平行に配置される。明らかに、冷却チャネルのそのような配置は、チャネルの冷却長さを短くすることを可能にするので、チャネルの端の冷却剤温度は、冷却チャネルが屈曲している場合よりも低くなる。それは冷却剤効率を高める。
【0026】
有利には、図6および図7に示すように、冷却システム6は、前記冷却チャネル12に冷却剤13を注入するための手段を備える。好ましくは、冷却剤13を注入するための手段は、少なくともロール2の支持手段に接続されており、冷却剤は、冷却剤が少なくとも1つの支持手段2および冷却剤を注入するための手段13によって冷却剤(図示せず)を冷却チャネル12に連続的に冷却することを可能にするシステムから通過するように流れることができる。冷却システム6はまた、冷却剤を冷却チャネル12からシステムに逆流させるための回収手段14を備え、冷却剤を連続的に冷却することを可能にする。したがって、冷却剤は、好ましくは閉回路で流れる。
【0027】
有利には、図6および図7に示すように、冷却剤を注入するための手段13は、冷却チャネル12の両側に交互に配置される。図8に示すように、冷却チャネル12は、交互に、注入手段13または回収手段14に接続されている。この交互により、隣接するチャネルの冷却流の方向が反対になるため、冷却の均一性が向上する。
【0028】
有利には、前記冷却システムは、前記複数の磁石を取り囲む。このような配置は、冷却の均一性と性能を向上させる。
【0029】
有利には、図5に示すように、前記冷却チャネル内の冷却剤は、隣接する冷却チャネル内を反対方向に流れる。このような冷却方法は、ストリップ幅に沿ってより均一な冷却を可能にする。
【0030】
図8に示すように、本発明はまた、本発明による設備において、前記ストリップの一部を少なくとも1つの冷却ロール1に磁気的に引き付け、前記ストリップ15を少なくとも1つの冷却ロール1と接触させるステップを備える、連続的に移動するストリップ15を冷却する方法に関する。
【0031】
前述の機器と組み合わせたそのような方法は、既存の平坦性の欠陥を克服して、通過するストリップを強力かつ十分に引き付けることを可能にする。したがって、通過するストリップは、平坦性の欠陥や不均一な特性を発生させることなく冷却される。
【0032】
有利には、少なくとも3本の冷却ロールが使用されており、前記ストリップは同時に少なくとも3本の冷却ロールと接触している。このような複数のロールの使用により、ストリップに沿った良好な冷却が可能になる。
【0033】
有利には、冷却ロールと接触している前記ストリップは、0.3m・s-1~20m・s-1の間を具備する速度を有する。熱伝達係数が増加するため、ストリップが目的の温度を達成するためにロールに接触する時間が少なくて済み、したがって、より高いロール速度の回転で動作する可能性があると思われる。
【0034】
以下の説明は、冷却ロールを使用してストリップを冷却するための異なる設備における本発明の2つの使用に関するものである。しかし、本発明は、例えば仕上げ、亜鉛メッキ、パッケージングまたはアニーリングラインで金属ストリップが冷却される全てのプロセスに適用可能である。
【0035】
図9に示すように、コーティングラインにおいて、少なくとも冷却ロール1は、コーティング浴(図示せず)およびストリップ15’の両側に空気を吹き付ける冷却器16下流に配置されることができる。ストリップ速度、ストリップの入口温度Tと目標温度T、およびロール表面温度に応じて、複数の冷却ロール1が使用されることができる。この場合、ストリップは、最後の冷却ロールを出るときに、約250℃の入口温度から約100℃の目標温度まで冷却される。図9に示すように、ロールとストリップの接触面積を最大化するために、ロールをストリップが接触する側にわずかにずらすことができる。
【0036】
図10に示すように、仕上げラインでは、少なくとも冷却ロール1を、周囲の空気と接触してストリップ15’’を冷却する低速冷却ゾーン17ステップ、および冷却器16’がストリップの両側に空気を吹き付ける急速冷却ゾーン18の下流で使用されることができる。通常、ストリップは約800℃の温度で低速冷却ゾーン19に入り、グレードに応じて、最初の冷却ロールに接触する直前の入口温度Tは400℃~700℃であり、目標温度Tは約100℃である。
【0037】
実験結果
本発明の利点を評価し、それがストリップ幅に沿った温度差を減少させるか、または少なくとも増加させないことを示すために、いくつかの結果が示され、説明される。
【0038】
実験結果は、次のロールとストリップを使用して得られた。
【0039】
ロールの寸法と特性:
-内筒は長さ1400mm、直径800mmの炭素鋼製。
【0040】
-磁石はNdFe14Bで構成され、ロール回転軸に平行に配置され、高さ30mm、幅30mmで、内筒の周囲と上に配置された2mmのギャップで区切られている。
【0041】
-冷却システムはステンレス鋼製である。冷却チャネルは、ロールの心棒と平行に配置されている。さらに、冷却剤は冷却チャネルの側面から冷却チャネルに流れる。前記冷却チャネルへの冷却剤の注入は、連続する冷却チャネルの反対側で行われ、隣接する冷却チャネルにおいて反対の冷却剤の流れ方向を有することを可能にする。
【0042】
磁性層と冷却システムとの間のギャップの高さは10mmである。
【0043】
ストリップ速度は0.3から20m・s-1まで変化させることができる。
【0044】
ストリップの幅は1090mmで、鋼製である。
【0045】
実施例1
冷却ロール前よりも後の方が、温度が均一であることを確認するために、冷却ロールによる冷却前後のストリップ幅に沿った温度極値間の差を比較する。
【0046】
ストリップ幅に沿った最も高温の点と最も低温の点の差が冷却ロールの前で20℃であり、冷却ロールの後で10℃である場合には、温度ギャップの差は10℃である。ストリップ幅に沿った最も高温の点と最も低温の点の差がロール前に20℃であり、ロール後に30℃である場合には、温度ギャップの差は-10℃になる。
【0047】
これは、得られた温度ギャップ差が0よりも優れており、ストリップ幅に沿った温度均一性が向上していることを意味している。さらに、温度ギャップ差の値が高いほど、温度の均一性が向上する。
【0048】
図11のグラフを読むと、冷却後にストリップ幅に沿った温度の均一性が改善されることが明らかである。垂直軸では、温度ギャップ差の値が表され、それらはすべて0を超えており、大部分は40℃を超えている。そのため、ほとんどの場合、ストリップ幅の最も高温の点と最も低温の点の間の温度差が少なくとも40℃減少した。この結果は、最新技術の結果と比較して明らかな改善である。
【0049】
実施例2
ストリップ幅に沿った温度均一性の改善を検証するために、図12に示すように、様々な幅11’に沿ったロール温度プロファイルを測定した。温度は、ストリップ幅12’と接触する部分に沿って均一である。その結果、ストリップは幅方向に均一に冷却されるため、ストリップ幅の境界と中心は同じ温度になる。この結果は、本発明の期待される結果および、最新技術と比較した改善を明確に示している。
【0050】
実施例3
ギャップ高さと磁石の幅の比率を評価するために、ロールの外面で磁石によって生成される引力がこの比率の関数として決定される。
【0051】
図13にプロットされたこのグラフから、最適な範囲は、
ギャップ高さ×1.1≦磁石幅≦ギャップ高さ×8.6
に従う比率であることが明らかであり、これは最大引力の約50%に相当する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13