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特許7185040車両用のパーキングブレーキを制御するための方法および制御装置、ならびに車両用のパーキングブレーキシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】車両用のパーキングブレーキを制御するための方法および制御装置、ならびに車両用のパーキングブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/32 20060101AFI20221129BHJP
   B60T 8/1761 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B60T8/32
B60T8/1761
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021527241
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2019079307
(87)【国際公開番号】W WO2020104138
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】102018128946.4
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ライヒャート
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-512292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12-8/1769
B60T 8/32-8/96
B60T 13/00-13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)用のパーキングブレーキ(130)を制御するための方法(200)であって、
前記パーキングブレーキ(130)は、少なくとも1つのばね式アキュムレータ(132)を有していて、かつ前記車両(100)の少なくとも1つの車軸(102)に対応付けられており、
当該方法(200)は、
前記パーキングブレーキ(130)の作動が要求されたことを表す要求信号(125)と、前記車両(100)の走行データ(105)とを読み取るステップ(210)と、
前記要求信号(125)および前記走行データ(105)を使用して、前記パーキングブレーキ(130)を作動させるための作動信号(145)を生成するステップ(220)であって、前記作動信号(145)は、前記パーキングブレーキ(130)を制御するために、所定の期間(345)の間、前記パーキングブレーキ(130)のパルス状の作動を引き起こす、ステップ(220)と
を有
前記生成するステップ(220)において、以下のような作動信号(145)が生成され、すなわち、前記所定の期間(345)の経過後に、前記要求信号(125)に依存して前記パーキングブレーキ(130)の持続的な作動を引き起こすような、作動信号(145)が生成される、
方法(200)。
【請求項2】
前記生成するステップ(220)において、前記所定の期間(345)の間、前記パーキングブレーキ(130)の前記パルス状の作動を引き起こす前記作動信号(145)は、前記車両(100)が移動中であることを前記走行データ(105)が示唆している場合に生成される、
請求項1記載の方法(200)。
【請求項3】
前記生成するステップ(220)において、前記所定の期間(345)は、前記要求信号(125)のレベルに依存して、かつ/または前記走行データ(105)に依存して設定される、
請求項1または2記載の方法(200)。
【請求項4】
前記生成するステップ(220)において、以下のような作動信号(145)が生成され、すなわち、前記パーキングブレーキ(130)の前記少なくとも1つのばね式アキュムレータ(132)のブレーキ圧力(P)を、前記要求信号(125)および/または前記走行データ(105)に依存して制御するような、作動信号(145)が生成される、
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法(200)。
【請求項5】
前記生成するステップ(220)において、以下のような作動信号(145)が生成され、すなわち、前記ブレーキ圧力(P)を、作動されていないパーキングブレーキ(130)を表す第1の水準(P1)から、前記車両(100)の車輪がロックされる圧力しきい値(P)を回る第2の水準(P2)へと変化させ、前記所定の期間(345)の間、パルス化によって前記第2の水準(P2)を中心にして変動させ、前記所定の期間(345)の経過後に、持続的かつ/または完全に作動するパーキングブレーキ(130)を表す第3の水準(0)へと変化させるような、作動信号(145)が生成される、
請求項記載の方法(200)。
【請求項6】
前記読み取るステップ(210)において、前記要求信号(125)は、前記車両(100)の手動式の作動装置(120)へのインターフェース(141)から読み取られる、
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法(200)。
【請求項7】
前記作動信号(145)を、前記パーキングブレーキ(130)へのインターフェース(147)に出力するステップ(230)を有する、
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法(200)。
【請求項8】
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法(200)のステップを、施および/または制御するように構成されている、制御装置(140)。
【請求項9】
車両(100)用のパーキングブレーキシステム(110)であって、
当該パーキングブレーキシステム(110)は、
少なくとも1つのばね式アキュムレータ(132)を有していて、かつ前記車両(100)の少なくとも1つの車軸(102)に対応付けられている、パーキングブレーキ(130)と、
信号伝達が可能となるように前記パーキングブレーキ(130)に接続されている、請求項記載の制御装置(140)と
を有する、パーキングブレーキシステム(110)。
【請求項10】
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法(200)を実施および/または制御するように構成されている、コンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項10記載のコンピュータプログラムが格納されている、機械可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のパーキングブレーキを制御するための方法と、対応する制御装置と、車両用のパーキングブレーキシステムとに関する。
【0002】
電動駐車ブレーキ(EPB)は、走行中に車両内で作動可能である。しかしながら、そのような駐車ブレーキは、従来、車輪速度のフィードバックによって車輪のロックに反応し、適切な方法でばね式アキュムレータを加圧することによってブレーキ力を低減することができるに過ぎない。
【0003】
このような背景に対して、本発明の課題は、車両用のパーキングブレーキを制御するための改善された方法と、改善された制御装置と、車両用の改善されたパーキングブレーキシステムとを提供することである。
【0004】
上記の課題は、主請求項に記載の、車両用のパーキングブレーキを制御するための方法と、対応する制御装置と、車両用のパーキングブレーキシステムと、対応するコンピュータプログラムとによって解決される。
【0005】
本実施形態によれば、とりわけ、車両のパーキングブレーキまたは駐車ブレーキを作動させる意図しない要求の場合に、ブレーキ力を断続的に低減させて、そのようなパルス化またはパルス状の作動により、ばね式アキュムレータを有するパーキングブレーキが装備された少なくとも1つの車軸のロックに対抗して、そのような車軸の横方向操縦性を向上させることができる。このパルス化は、とりわけパーキングブレーキの機能によって規則的な間隔で、例えば速度に依存して、かつ追加的または代替的に作動に依存して、実現可能である。
【0006】
有利には、本実施形態によれば、とりわけ車両の電動駐車ブレーキにおいて、走行中の駐車ブレーキまたはパーキングブレーキによる不所望な制動を回避することができる。したがって、パーキングブレーキまたは駐車ブレーキのブレーキ圧力をパルス化することにより、車両の走行中にパーキングブレーキによって減速する際におけるリスクの最小化を達成することができる。例えば、作動装置(HCU:Hand Control Unit)からパーキングブレーキへの誤った情報が生じている場合であって、誤った制動要求が有効範囲内に存在する可能性がある場合には、パルス化またはパルス状の作動により、車両がパーキングブレーキによって予期せずに不所望に減速されること、該当する車輪がロックされること、および車両が不安定になることを阻止することができる。したがって、パーキングブレーキを作動させる誤った要求があった場合でも、車両の安定性を維持または向上させることができる。ブレーキ力をパルス化することによってさらに、運転者に触覚的に警告することが可能となる。
【0007】
車両用のパーキングブレーキを制御するための方法であって、パーキングブレーキは、少なくとも1つのばね式アキュムレータを有していて、かつ車両の少なくとも1つの車軸に対応付けられており、当該方法は、
パーキングブレーキの作動が要求されたことを表す要求信号と、車両の走行データとを読み取るステップと、
要求信号および走行データを使用して、パーキングブレーキを作動させるための作動信号を生成するステップであって、作動信号は、パーキングブレーキを制御するために、設定可能な期間の間、パーキングブレーキのパルス状の作動を引き起こす、ステップと
を有する、方法が提案される。
【0008】
本方法または本方法のステップは、制御装置を使用して実施可能である。車両とは、例えばトラックなどのような商用車であり得る。走行データは、速度、積載量、加速度、車道上での車両の車輪の滑り、および追加的または代替的にさらなる静的または動的なパラメータを表すことができる。
【0009】
1つの実施形態によれば、生成するステップにおいて、設定可能な期間の間、パーキングブレーキのパルス状の作動を引き起こす作動信号を、車両が移動中であることを走行データが示唆している場合に生成することができる。そのような実施形態は、とりわけ、走行中にパーキングブレーキの意図しない作動要求が生じた場合でも、車両の安全性および安定性を向上させることができるという利点を提供する。
【0010】
生成するステップにおいて、設定可能な期間を、要求信号のレベルに依存して、かつ追加的または代替的に走行データに依存して設定することもできる。要求信号のレベルは、要求信号を供給する作動装置の変位を表すことができる。そのような実施形態は、車両の安全性および安定性を改善するために、パーキングブレーキがパルス化されて作動される期間を、状況に依存してかつ必要に応じて選択することができるという利点を提供する。
【0011】
さらに、生成するステップにおいて、以下のような作動信号を生成することができ、すなわち、設定可能な期間の経過後に、要求信号に依存してパーキングブレーキの持続的な作動を引き起こすような、作動信号を生成することができる。この場合、要求信号は、作動が引き続き要求されていることを表すことができる。持続的な作動とは、少なくとも1つのばね式アキュムレータの完全な排気を表すことができ、追加的または代替的に、車両が停止するまで作動させること、またはパーキングブレーキの作動を中断する基準に達するまで作動させることを表すことができる。そのような実施形態は、パルス状の作動による触覚的な警告の後、要求信号が引き続き存在している場合に、パーキングブレーキによる制動を開始および実施することができるという利点を提供する。したがって、設定可能な期間中に提供されている、要求信号を出力する作動装置の操作を修正する可能性が、利用されることなく期限切れになった場合でも、依然として制動要求に応じることができる。
【0012】
とりわけ、生成するステップにおいて、以下のような作動信号を生成することができ、すなわち、パーキングブレーキの少なくとも1つのばね式アキュムレータのブレーキ圧力を、要求信号に依存して、追加的または代替的に走行データに依存して制御するような、作動信号を生成することができる。少なくとも1つのばね式アキュムレータのブレーキ圧力は、パーキングブレーキが作動されていない場合には高い圧力値を有することができ、パーキングブレーキが作動されているかまたは少なくとも部分的に作動されている場合には低い圧力値を有することができる。そのような実施形態は、車両の安全性および安定性を向上させるために、ブレーキ圧力を、状況に依存してかつ必要に応じて設定することができるという利点を提供する。
【0013】
この場合、作動信号を生成するステップにおいて、以下のような作動信号を生成することができ、すなわち、ブレーキ圧力を、作動されていないパーキングブレーキを表す第1の水準から、車両の車輪がロックされる圧力しきい値を上回る第2の水準へと変化させ、設定可能な期間の間、パルス化によって第2の水準を中心にして変動させ、設定可能な期間の経過後に、持続的に作動する、かつ追加的または代替的に完全に作動するパーキングブレーキを表す第3の水準へと変化させるような、作動信号を生成することができる。そのような実施形態は、手間をかけることなく監視することができるブレーキ圧力の制御によって、パルス状の作動を実現することができるという利点を提供する。
【0014】
さらに、読み取るステップにおいて、要求信号を、車両の手動式の作動装置へのインターフェースから読み取ることができる。インターフェースは、入力インターフェースであり得る。入力インターフェースは、本方法を実施するための制御装置の一部、または操作装置の一部であり得るか、または中間に配置されたユニットとして構成可能である。作動装置を、操作装置と呼ぶこともできる。作動装置は、ユーザインターフェースとしてレバー、少なくとも1つのスイッチ、少なくとも1つのボタン、または操作パネルを有することができる。操作装置は、車両の運転者によって作動可能である。そのような実施形態は、意図しない作動要求を確実に識別することができ、触覚的なフィードバックによってチェックを可能にすることができるという利点を提供する。
【0015】
本方法は、作動信号を、パーキングブレーキへのインターフェースに出力するステップを有することもできる。パーキングブレーキへのインターフェースを、出力インターフェースと呼ぶこともできる。出力インターフェースは、本方法を実施するための制御装置の一部、またはパーキングブレーキの一部であり得るか、または中間に配置されたユニットとして構成可能である。そのような実施形態は、パーキングブレーキのブレーキ圧力を簡単かつ信頼できる方法で制御することができるという利点を提供する。
【0016】
本明細書に提示されているアプローチはさらに、本明細書に提示されている方法の変形形態のステップを、対応するユニットにおいて実施、制御、または実装するように構成されている、制御装置も提供する。制御装置の形態である本発明のこの変形形態によっても、本発明の基礎となる課題を迅速かつ効率的に解決することが可能である。
【0017】
このために制御装置は、信号またはデータを処理するための少なくとも1つの計算ユニット、信号またはデータを格納するための少なくとも1つのメモリユニット、センサからのセンサ信号を読み取るための、または制御信号をアクチュエータに出力するための、センサまたはアクチュエータへの少なくとも1つのインターフェース、および/または通信プロトコルに埋め込まれたデータを読み取るためまたは出力するための少なくとも1つの通信インターフェースを有することができる。計算ユニットは、例えば、信号プロセッサ、マイクロコントローラなどであり得、メモリユニットは、フラッシュメモリ、EEPROM、または磁気メモリユニットであり得る。通信インターフェースは、無線および/または有線でデータを読み取るまたは出力するように構成可能であり、有線データを読み取るまたは出力することができる通信インターフェースは、これらのデータを、例えば電気的または光学的に、対応するデータ伝送線路から読み取るか、または対応するデータ伝送線路に出力することができる。
【0018】
本明細書における制御装置とは、センサ信号を処理して、このセンサ信号に依存して制御信号および/またはデータ信号を出力する電気的な装置であると理解することができる。制御装置は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアによって構成することができるインターフェースを有することができる。ハードウェアによって構成されている場合には、インターフェースは、例えば、制御装置の種々異なる機能を含む、いわゆるシステムASICの一部であり得る。しかしながら、インターフェースを、別個の集積回路とすること、または少なくとも部分的にディスクリート部品から構成することも可能である。ソフトウェアによって構成されている場合には、インターフェースは、例えば、他のソフトウェアモジュールに隣接してマイクロコントローラ上に設けられたソフトウェアモジュールであり得る。
【0019】
車両用のパーキングブレーキシステムであって、当該パーキングブレーキシステムは、
少なくとも1つのばね式アキュムレータを有していて、かつ車両の少なくとも1つの車軸に対応付けられている、パーキングブレーキと、
信号伝達が可能となるようにパーキングブレーキに接続されている、前述した制御装置の1つの実施形態と
を有する、パーキングブレーキシステムも提案される。
【0020】
前述した制御装置の実施形態は、有利には、パーキングブレーキを制御するために、パーキングブレーキシステムに関連して使用可能または利用可能である。パーキングブレーキシステムはさらに、手動式の作動装置を有することができる。制御装置は、信号伝達が可能となるように作動装置に接続可能である。
【0021】
半導体メモリ、ハードディスク、または光学メモリのような機械可読担体上または記憶媒体上に格納可能であって、とりわけコンピュータ上またはデバイス上で実行された場合に、前述した実施形態のうちの1つによる方法のステップを実施、実装、および/または制御するために使用される、プログラムコードを有するコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムも有利である。
【0022】
以下の記載では、本明細書に提示されたアプローチの実施例について図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】1つの実施例によるパーキングブレーキシステムを有する車両の概略図である。
図2】1つの実施例による、制御するための方法のフローチャートである。
図3図1のパーキングブレーキシステムの動作および機能方式に関する概略線図である。
【0024】
図1は、1つの実施例によるパーキングブレーキシステム110を有する車両100の概略図を示す。車両100は、自動車、例えば商用車、とりわけトラックなどである。
【0025】
図1の図面では、車両100のうちのパーキングブレーキシステム110、第1の車軸101、第2の車軸102、および走行データセンサ104が示されている。したがって、車両100は、第1の車軸101、第2の車軸102、走行データセンサ104、およびパーキングブレーキシステム110を有する。走行データセンサ104は、車両100の動作パラメータを検出して、走行データ105の形態で供給するように構成されている。走行データ105は、速度、積載量、加速度、車道上での車両100の車輪の滑り、および追加的または代替的にさらなる静的または動的な動作パラメータを表す。走行データセンサ104は、信号伝達が可能となるようにパーキングブレーキシステム110に接続されている。
【0026】
パーキングブレーキシステム110は、少なくとも1つのばね式アキュムレータ132を有するパーキングブレーキ130と、制御装置140と、ここに図示されている実施例によれば、手動式の作動装置120または操作装置とを有する。パーキングブレーキ130は、車両100の第2の車軸102に対応付けられている。パーキングブレーキ130は、少なくとも1つのばね式アキュムレータ132を有する。制御装置140は、信号伝達が可能となるようにパーキングブレーキ130に接続されている。
【0027】
制御装置140はさらに、信号伝達が可能となるように作動装置120に接続されている。作動装置120は、ユーザインターフェースとしてレバー、少なくとも1つのスイッチ、少なくとも1つのボタン、または操作パネルを有する。作動装置120は、ユーザ側での作動装置120の操作に応答して、要求信号125を供給するように構成されている。要求信号125は、要求されたパーキングブレーキ130の作動を表すか、またはパーキングブレーキ130に関する作動希望を表す。制御装置140はさらに、信号伝達が可能となるように走行データセンサ104に接続されている。
【0028】
制御装置140は、パーキングブレーキ130を制御するように構成されている。とりわけ、制御装置140は、パーキングブレーキ130を制御するために、少なくとも1つのばね式アキュムレータ132内のブレーキ圧力を調整するように構成されている。制御装置140は、読み取り装置142および生成装置144を有する。1つの実施例によれば、制御装置140はさらに、出力装置146、入力インターフェース141、および出力インターフェース147を有する。
【0029】
読み取り装置142は、要求信号125および走行データ105を読み取るように構成されている。1つの実施例によれば、読み取り装置142は、入力インターフェース141から要求信号125を読み取るように構成されている。入力インターフェース141は、手動式の作動装置120へのインターフェースを表す。換言すれば、読み取り装置142は、作動装置120から入力インターフェース141を介して要求信号125を読み取るように構成されている。読み取り装置142はさらに、走行データセンサ104から入力インターフェース141を介して走行データ105を読み取るように構成されている。読み取り装置142と生成装置144とは、相互に信号伝達が可能となるように接続されている。
【0030】
生成装置144は、要求信号125および走行データ105を使用して、パーキングブレーキ130を作動させるための作動信号145を生成するように構成されている。生成装置144によって生成された作動信号145は、パーキングブレーキ130を制御するために、設定可能な期間の間、パーキングブレーキ130のパルス状の作動を引き起こす。1つの実施例によれば、生成装置144は、信号伝達が可能となるように出力装置146に接続されている。
【0031】
1つの実施例に基づいて設けられた出力装置146は、生成装置144によって生成された作動信号145を出力インターフェース147に出力するように構成されている。出力インターフェース147は、パーキングブレーキ130へのインターフェースを表す。したがって、出力装置146は、出力インターフェース147を介して作動信号145をパーキングブレーキ130に出力するように構成されている。
【0032】
1つの実施例によれば、生成装置144は、車両100が移動中であることを走行データ105が表している場合または示唆している場合に、作動信号145を生成するように構成されている。1つの実施例によれば、生成装置144は、設定可能な期間を、要求信号125および/または走行データ105に依存して設定するようにも構成されている。より正確には、生成装置144は、設定可能な期間を、要求信号125のレベルまたは信号レベルに依存して、かつ/または走行データ105、または走行データ105によって表される、車両100のパラメータに関する情報に依存して設定するように構成されている。1つの実施例によれば、生成装置144はさらに、以下のような作動信号145を生成するように構成されており、すなわち、設定可能な期間の経過後に、要求信号125に依存してパーキングブレーキ130の持続的な作動を引き起こすような、作動信号を生成するように構成されている。この場合、持続的な作動とは、事前に指定可能な期間の間、パーキングブレーキ130をパルス化することなく作動させることを表す。
【0033】
より正確には、1つの実施例によれば、生成装置144は、以下のような作動信号145を生成するように構成されており、すなわち、パーキングブレーキ130の少なくとも1つのばね式アキュムレータ132のブレーキ圧力を、要求信号125および/または走行データ105に依存して制御するか、またはブレーキ圧力の調整を、要求信号125および/または走行データ105に依存して引き起こすような、作動信号を生成するように構成されている。この場合にはとりわけ、生成装置144は、以下のような作動信号145を生成するように構成されており、すなわち、ブレーキ圧力を、非作動のパーキングブレーキを表す第1の水準から、車両100の車輪がロックされる圧力しきい値を上回る第2の水準へと変化させ、設定可能な期間の間、パルス化によって第2の水準を中心にして変動させ、設定可能な期間の経過後に、持続的かつ/または完全に作動するパーキングブレーキ130を表す第3の水準へと変化させるような、作動信号を生成するように構成されている。
【0034】
図2は、1つの実施例による、制御するための方法200のフローチャートを示す。制御するための方法200は、車両用のパーキングブレーキを制御するため、または車両用のパーキングブレーキの動作を制御するために実施可能である。より正確には、制御するための方法200は、図1のパーキングブレーキシステムまたは同様のパーキングブレーキシステムに関連して実施可能である。この場合、制御するための方法200は、図1のパーキングブレーキまたは同様のパーキングブレーキを制御するために実施可能である。制御するための方法200は、図1の制御装置または同様の制御装置を用いて実施可能である。
【0035】
制御するための方法200では、読み取るステップ210において、パーキングブレーキの作動が要求されたことを表す要求信号と、車両の走行データとが読み取られる。続いて、生成するステップ220において、要求信号および走行データを使用して、パーキングブレーキを作動させるための作動信号が生成される。生成するステップ220で生成された作動信号は、パーキングブレーキを制御するために、設定可能な期間の間、パーキングブレーキのパルス状の作動を引き起こす。
【0036】
続いて、1つの実施例によれば、出力するステップ230において、生成するステップ220で生成された作動信号が、パーキングブレーキへのインターフェースに出力される。
【0037】
図3は、図1のパーキングブレーキシステムの動作および機能方式についての概略線図310,320,330,340,350,および360を示す。ここでは、第1の切り替え位置-時間線図310、第1のブレーキ圧力-時間線図330、および第1の車輪速度-時間線図350は、図1のパーキングブレーキシステムの制御装置が要求信号125を直接的にパーキングブレーキに転送する状況に関する。この場合、臨界ブレーキ圧力を超えると、車両の車輪がロックされる可能性がある。これに対して、第2の切り替え位置-時間線図320、第2のブレーキ圧力-時間線図340、および第2の車輪速度-時間線図360は、図1のパーキングブレーキシステムの制御装置が要求信号125に応答して少なくとも一時的にパーキングブレーキのパルス状の作動を引き起こし、これによってパーキングブレーキのブレーキ圧力もパルス化されて、車両の車輪のロックが阻止される状況に関する。
【0038】
第1の切り替え位置-時間線図310および第2の切り替え位置-時間線図320では、それぞれ横軸上に、時間tがプロットされており、縦軸上には、パーキングブレーキシステムの手動式の作動装置の切り替え位置がプロットされている。第1の切り替え位置-時間線図310および第2の切り替え位置時間線図320のグラフは、それぞれ図1のパーキングブレーキシステムの要求信号125を表す。この場合、第1の切り替え位置時間線図310および第2の切り替え位置時間線図320では、要求信号125は、作動装置のニュートラル位置S0に対応する第1の信号レベルから、作動装置のアクティブ位置S1に対応する第2の信号レベルへと増加する。この増加は、とりわけ線形の増加であり、手動式の作動装置において実施されるニュートラル位置S0からアクティブ位置S1への作動動作または操作動作に対応する。
【0039】
第1のブレーキ圧力-時間線図330および第2のブレーキ圧力-時間線図340では、それぞれ横軸上に、時間tがプロットされており、縦軸上には、パーキングブレーキシステムのパーキングブレーキまたはばね式アキュムレータに印加されるブレーキ圧力P、または図1の作動信号によって引き起こされるブレーキ圧力Pがプロットされている。第1のブレーキ圧力-時間線図330には、ブレーキ圧力の第1の水準P1がプロットされている。ブレーキ圧力の第1の水準P1は、パーキングブレーキが作動されていない状態を表す。ブレーキ圧力Pの第1の水準P1は、例えば8.5バール等である。ブレーキ圧力Pは、要求信号125が増加している間、第1の水準P1からブレーキ圧力0までの降下、ここではとりわけ線形の降下を有する。ブレーキ圧力0は、パーキングブレーキが完全に作動されている状態を表す。第1の水準P1とブレーキ圧力0との間の臨界ブレーキ圧力Pを下回ると、車両の少なくとも1つの車輪がロックされる可能性がある。この臨界ブレーキ圧力Pは、臨界時点tに発生する。
【0040】
第2のブレーキ圧力-時間線図340には、ブレーキ圧力の第1の水準P1およびブレーキ圧力の第2の水準P2がプロットされている。ブレーキ圧力Pは、要求信号125が増加している第1の部分区間の間、第1の水準P1から第2の水準P2までの降下、とりわけ線形の降下を有する。ブレーキ圧力の第2の水準P2は、パーキングブレーキが部分的に作動されている状態を表す。ブレーキ圧力Pは、要求信号125が増加している第2の部分区間の間、第2の水準P2を中心にした変動を有する。ブレーキ圧力の第2の水準P2を中心としたブレーキ圧力Pの変動は、設定可能な期間345の間、存在している。次いで、ブレーキ圧力Pは、第2の水準P2からブレーキ圧力0まで降下する。したがって、第2のブレーキ圧力-時間線図340では、制御装置によるパルス状の作動により、まず始めにブレーキ圧力Pが第1のブレーキ圧力-時間線図330の場合と同様に低減され、これに続いて、設定可能な期間345が経過するまでパルス化が実施され、最後に、パーキングブレーキを印加するためのブレーキ圧力Pがさらに低減される。したがって、第2のブレーキ圧力-時間線図340における圧力グラフは、設定可能な期間の間、2つの線形の立ち下がりエッジに隣接する鋸歯状の曲線を有する。
【0041】
第1の車輪速度-時間線図350および第2の車輪速度-時間線図360では、それぞれ横軸上に、時間tがプロットされており、縦軸上には、車両の車輪の車輪速度Vradがプロットされている。第1の車輪速度-時間線図350において、車輪速度Vradは、要求信号125が増加している間およびブレーキ圧力Pが降下している間、まず始めになだらかな勾配を有する第1の降下、とりわけ線形の降下を有し、臨界時点tを過ぎると、急峻な勾配を有する第2の降下が続いている。この急峻な勾配は、車両の少なくとも1つの車輪のロックに対応する。第2の車輪速度-時間線図360では、車輪速度Vradは、まず始めに第1の降下を有し、この第1の降下は、第1の車輪速度-時間線図350からの車輪速度Vradの第1の降下に相当するか、または類似している。次いで、設定可能な期間345の間、車輪速度Vradは、車輪速度Vradの0への第2の降下を有し、この第2の降下は、車両の少なくとも1つの車輪のロックするのを防止するために、波動運動において不連続に実施される。
【符号の説明】
【0042】
100 車両
101 第1の車軸
102 第2の車軸
104 走行データセンサ
105 走行データ
110 パーキングブレーキシステム
120 手動式の作動装置または操作装置
125 要求信号
130 パーキングブレーキ
132 ばね式アキュムレータ
140 制御装置
141 入力インターフェース
142 読み取り装置
144 生成装置
145 作動信号
146 出力装置
147 出力インターフェース
200 制御するための方法
210 読み取るステップ
220 生成するステップ
230 出力するステップ
310 第1の切り替え位置-時間線図
S0 作動装置のニュートラル位置
S1 作動装置のアクティブ位置
t 時間
320 第2の切り替え位置-時間線図
330 第1のブレーキ圧力-時間線図
P パーキングブレーキのブレーキ圧力
P1 ブレーキ圧力の第1の水準
340 第2のブレーキ圧力-時間線図
345 設定可能な期間
P2 ブレーキ圧力の第2の水準
350 第1の車輪速度-時間線図
rad車輪速度
360 第2の車輪速度-時間線図
図1
図2
図3