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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-28
(45)【発行日】2022-12-06
(54)【発明の名称】電解セル
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/00 20210101AFI20221129BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20221129BHJP
   C25B 9/19 20210101ALI20221129BHJP
   C25B 15/025 20210101ALI20221129BHJP
   C25B 9/015 20210101ALI20221129BHJP
   C25B 11/02 20210101ALI20221129BHJP
【FI】
C25B9/00 A
C25B1/04
C25B9/19
C25B15/025
C25B9/015
C25B11/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021542483
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2020051410
(87)【国際公開番号】W WO2020169293
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】19158862.3
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】319010608
【氏名又は名称】グロック・エーコエネルギー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】グロック・ガストン
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1735766(KR,B1)
【文献】特表2014-535000(JP,A)
【文献】米国特許第05196104(US,A)
【文献】特開2002-285368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 9/00
C25B 1/00
C25B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質(28)が充填された電解質タンク(24)、電解質供給のための制御もしくは調節装置、それぞれ別々にカバー(21)中に配置されたカソード(22)及びアノード(23)を備えた、液状の水をガス状の水素(29)及び酸素(30)に電気分解するための電解セル(11)であって、前記電解質タンク(24)が、隔壁(32)によって二つの部分電解質タンク(24’)に分割されており、ここでその底領域には接続部(33)が設けられていること、両カバー(21)が、それぞれ前記部分電解質タンク(24’)の一つ中に配置されていること、カバー(21)は、少なくともカソード(22)を含む方が、その最上部領域において逆ガスサイホンに通じていること、前記制御もしくは調節装置は、前記ガスサイホンの出口開口部が電解質タンク(24)中で電解質の液面下に完全に保持されるように調節されること、及び電解質タンク(24)が、ガス(29、30)のそれぞれのために専用のガス出口(26)を有し、このガス出口は、電解質(28)の液面の上に垂直距離を置いて配置されていることを特徴とする、電解セル(11)。
【請求項2】
前記カバー(21)が、円錐形の上部を有する円筒型ジャケット、または角錐台形を有するプリズム型ジャケットを有することを特徴とする、請求項1に記載の電解セル。
【請求項3】
前記逆ガスサイホンが、任意選択に逆「U」字形の、上昇部分、湾曲したもしくは傾斜した部分、及び下降部分を有する導管(20)であることを特徴とする、請求項1または2に記載の電解セル。
【請求項4】
前記電解質タンク(24)が、その出口(26)の各々の下にドームを形成していること特徴とする、請求項1~3のいずれか一つに記載の電解セル。
【請求項5】
前記カソード(22)及び前記アノード(23)が電極板(27)を有し、この電極板(27)が、正方形の、正六角形のもしくは正八角形のまたは円形の外形を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一つに記載の電解セル。
【請求項6】
前記カソード(22)及び前記アノード(23)が電極板(27)を有し、この電極板(27)が、円錐台、角錐台またはドームの形状に設計されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の電解セル。
【請求項7】
自動車で使用するための、請求項1~6のいずれか一つに記載の電解セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に相当する、水の電気分解のための電解セル、特に自動車で使用するための電解セルに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関、特にディーゼルエンジンの効率を水素の添加によって高め、この際、同時に、有害な排ガス、特に窒素酸化物の放出を減少させる努力が長い間なされてきた。自動車内に十分な容積の水素タンクを設け、運搬することは、高度に加圧されたまたは液化された水素の特性のために、複雑であり、従って費用がかかり、また危険であるため、水素を、自動車の運転中に電気分解によって水から得るための様々な提案が既にされており、この際、そのために必要な電流は、内燃機関から、接続された発電機、好ましくは既に存在するオルタネータを介して生成される。
【0003】
これらの良好な初期の一般的な例は、US5,272,871号(特許文献1)によって提供されている。この文献は、それが可能な全ての法域において、その開示全体を参照することによって、本出願及び説明に組み込まれる。内燃機関で使用するための水素を発生させるために使用することができる電解セルは、US6,332,434号(特許文献2)から知られている。この文献の内容は、それが可能な全ての法域において、その開示全体を参照することによって、本出願及び明細書に組み込まれる。しかしながら、本質的には、これらの刊行物は、電解セルの構造を扱っておらず、車両の運転状態に応じた調整または制御を扱うものである。
【0004】
更に別の先行技術としては、CN201678736U(特許文献3)が挙げられ、これは、自動車で使用するための電解セルを開示しており、この際、液状の水をガス状酸素及び水素に分解し、そして排出されたガスを、火炎の逆流から保護するために、専用の容器、すなわち「外部ガススクラバ」中に案内する。この外部容器は、空間を必要とし、実際の電解セルからこの容器への導管を設ける必要がある。
【0005】
US2012/058405A1(特許文献4)からは、音響的に活性化された電解セルにおいて、生じたガスを他の方向に導くため及び恐らくは音響化学的活性化の結果としての液体中の乱流を避けるために、電極に専用のカバーを設けることが知られている。
【0006】
US5,196,104A(特許文献5)からは、水素及び酸素を用いて稼働されるタービンにおいて、ガスを、安全上の理由から、逆ガスサイホンを通して供給することが知られている。
【0007】
従って、自動車の限界条件に適合されている電解セル、すなわちその形状に関してフレキシブルに、但し原則的にコンパクトに、僅かなスペースしか必要としないで、及び少ない部材で済むように形成され、その結果、運転中に曝される機械的応力に信頼性高く耐え、及び使用される広い温度範囲において信頼性高くかつ高い効率で作動する電解セルへの需要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】US5,272,871
【文献】US6,332,434
【文献】CN201678736U
【文献】US2012/058405A1
【文献】US5,196,104A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的及び課題は、このような電解セルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、これらの目的は、請求項1の特徴部に記載の特徴を有する、冒頭に定義されたタイプの電解セルによって達成される。言い換えれば、該電解セルは、2つの部分セルからなり、一方はアノードを含み、他方はカソードを含み、板状電極は、正四角形、六角形、八角形または好ましくは円形の外形を有しそしてスペーサを備えた少なくとも一つの保持ロッドによって電極間に保持され、ここで、この保持装置は電気接点でもあり、及び少なくとも形成された水素は、変向管を通して、部分セルの外側で電解質中に案内される。これは、燃焼反応の逆流の場合の安全策として役立ち、別個のバブラーを不要なものとする。
【0011】
以下、図面に基づいて本発明をより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、内燃機関と協働する電解セルの配置の一例を示す。
図2図2は、本発明による電解セルの一例を立体分解図で示す。
図3図3は、垂直断面図または透過図の方式で、図4の線III-IIIの投影図として本発明による電解セルを示す。
図4図4は、図3の線IV-IVに沿った断面を示す。
図5図5は、電極の形状の変形を2つの図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1から分かるように、内燃機関1は、吸気系2と排気系3とを有する。
吸気系2には周囲空気4が供給され、ここでターボチャージャ5を設けることもできるが、但し、これは、必ずしも必要ではない。吸気系2には、場合によりターボチャージャの上流で、水素を含む導管が通じている。この際、空気または他のガスが吸気系2から水素供給源7へと進入することを防止するために、吸気系2から出発して最初に一つまたは複数の逆止弁6を設けることができる。この水素供給源7には、電解セル11及び/またはバッファタンク10から水素が入り、ここで、バッファタンク10は、流量調節器8及び場合によっては減圧器9を介して水素供給源7と接続されている。バッファタンク10は、始動時に水素を供給するために使用されるが、但し、この稼働状態のために水素の混合が省略されない場合に限る。
【0014】
水素自体は、電解タンク12及び電源13が接続している電解セル11から来る。電源13は、例えばバッテリであることができるか、または自動車のオルタネータであることもできる。制御装置または調整装置14は、タコメータ15、場合によってはエンジン管理の一般的な電子機器からのデータに応じて、必要な量の水素を供給するために電源13を制御する。調整装置14はまた、中でも、排気系中にラムダセンサ18の後ろに設けられた触媒17への、尿素溶液タンク16からの尿素の供給も調節する。
【0015】
図2には、電解セル11が立体分解図の形式でより詳細に示されている。この電解セル11は、(本発明ではバブルタンクとしても使用される)電解質タンク24、全体としてカソード22と称する電極の配列、及び好ましくは同じ構造のアノード23を有する。これらは、電解タンク24内で電解チャンバ21中に収容され、上端ではそれぞれ一つのガラス製導管20がこのカバーの二つの出口に通じており、それを介して、形成したガスが、逆サイホンの方式で電解質液体中に案内され、前記電解タンク24は、それぞれ一つのガス出口26を有するカバープレート31によって、酸素及び水素に対して閉じられている。電解チャンバ21は、電解質の交換が自動的に行われるように、一つまたは複数の交換用開口部25(図3)または導管を介して電解液タンク24に接続される。
【0016】
図3は、図4の線III-IIIに沿った、カソード及びアノード22、23の2つの並行な垂直軸を通る垂直面に沿った概略断面図を示し、他方で、図4は、図3の線IV-IVに沿った断面図である:隔壁32によって2つの部分電解チャンバ24’に分割された電解質タンク24は、その最下部領域に少なくとも1つの接続部33を有し(図4)、この接続部は、電解セル11の真下で分割された電解質用供給部によって形成されることもできる。このような接続部33は、接続開口部として、または導管として設計することができる。カソード22は、金属薄板からなり、図示の実施例では、この金属薄板は、円形の形状を有し、そしてテンションロッド34が挿入されている2つの貫通開口部を有し、この際、2つの隣接する電極板間の距離は、同様に、テンションロッド34にねじ込まれたスペーサ35によって画定される。最下部の電極板の下に及び最上部の電極板の上には、それぞれ一つの絶縁板36が設けられており、これも同様に、テンションロッドのための対応する開口部を有する。
【0017】
少なくとも1つの伝導性テンションロッド34を介した電極板27の電気的接続は、接触の好ましい可能性であり、その際、電解チャンバ21、電解質タンク24などからの電極電位の電気的分離は、当業者の裁量で実行され得る。テンションロッド34は、少なくとも絶縁板36の上に突出するそれらの端部領域において、ねじ山を有し、適切なナットをねじ込むことによって、電極版27及びスペーサ35が一緒に押圧され、それによって電気的接触も確実に行われ、テンションロッド34及びスペーサ35は導電性材料でできている。
【0018】
アノード23は、完全に相似して構成され、水の電気分解において、両方の電極22、23のために、鉄の使用、好ましくは鋼の形の鉄の使用が問題なく可能である。
【0019】
両電極の各々が、(大まかに言えば鐘の形状を有する)カバー21中に収容されており; 円柱形のジャケットの後に円錐形の上部、すなわち角錐台形を持つプリズム型のジャケットが続き、それによって、電解質中の形成された気泡29、30が、カバー21のそれぞれの中心に誘導され、そしてそこから、水素29及び酸素30が、自然に互いに分離された状態で、ほぼU字型のガス管20に達する。この際、ガス管20は、「上下逆」に取り付けられ、それ故、「U」が逆さまになっている。
【0020】
一般に、この逆ガスサイホンは、上昇部分、湾曲もしくは傾斜部分、及び下降部分を有する導管20であり、場合により逆さまにされた「U」の形を有していることができる。この際、この「U」は、対称的である必要はなく、その脚部は並行に延びる必要はなく、そして接続は円形である必要はなく、信頼性のある分離を達成するためには、入口開口部の最も高い点、頂上の最も低い点、及び出口開口部の最も高い点の垂直な配置のみが重要である。電解質の動きまたは装置全体を考慮しなければならない。
【0021】
図4では、ガス管20の配置を明確に見ることができ、電解質タンク24と電解チャンバまたはカバー21との間の体積比は必要ではなく、それは、円筒形電解質タンク24(図2)の結果であり、変更して使用事例に適応させることができる。
【0022】
ガス管20の「U」字型の代わりに、少なくとも部分的に環状の(水平)スロットを有する一種のスクリーン、すなわち逆サイホン(ガスサイホン)を、鐘型のカバー21中の開口部の上に設けることもでき、水素29の場合は、気泡が電解質の液体表面下に排出され、そしてこの表面(両ガスの場合)が、ガス出口26から離れていることのみが本質である。このために必要な電解質供給の制御または調整は、従来技術の場合と同じであり、ここではこれ以上の説明を必要としない。同じことが、電解質の調製及び場合によっては再生にも当てはまる。
【0023】
図示の実施例では、両方のガスは、このようなU字型ガス管20によって、電解質チャンバ24中で電解質の表面下に放出されるが、特定の状況下では、これは、酸素の場合は必要ではなく、水素ではいわゆるバブラーの機能を有する。従来技術では、これは、専用の容器として設計され、そしてしばしばガススクラバと称されるが、浄化とは関係なく、むしろ、炎の逆流の場合の安全対策、すなわち電解セル11のための保護として役立つ。
【0024】
ここで、形成されたガスは、電解質から、カバー21の外側に、但しカバープレート31を備えた電解質タンク24の内側に出て、そして2つのガス出口26を通って別々に排出されそして適切に更に誘導される。
【0025】
電解質は、自動車に使用される場合には、図示されるように動いており、そしてその表面は波を形成し、この波は、電解セル11の大きさにしては大きいと言うことができる。電解セル11が適切に機能するためには、電解液の液面が、水素のためのガスサイホンの管20またはスロットの開口部よりも常に高い位置にあり、そうして、電解セル11のガス出口よりも低い位置にあり、その結果、顕著な量の電解質が、排出されるガス、特に水素によって同伴されないことが必要であり、十分である。また、吸気系2及びエンジンへの一定量の水の導入は有害ではないことにも留意されたい。電解質である水は、従来技術において知られるように、伝導性を高め及び他の特性を適切に変化させる添加剤を添加することによって、調製することができ、この点に関して、本発明による電解セルは、既知のものとの差異はない。
【0026】
カソード22及びアノード23は、製造及び保管上の理由からも有利である場合には、同じように設計される必要はない。電極板27は、電気工学上の理由からも有利である場合には、円形である必要はない。正方形または六角形の板が使用される場合は、板材料の無駄が回避され、これは、鋼板よりもなおも高価な板が何らかの理由で使用される場合に特に有利である。また、2つのテンションロッド34が設けられている必要もなく、一つの板(この場合は、好ましくは、板27の中央に配置される)で間に合わせることができ、或る環境下では、二つ超のロッドを設けることも有利である。本発明及びそれぞれの応用分野の知識において、当業者はこれを簡単に決定できる。
【0027】
図5a及び5bに示されるような本発明の一形態では、平坦な電極板27の代わりに僅かに円錐形またはドーム形の板を使用することが可能であり(図5b参照)、このような場合には、1つのテンションロッド34のみを使用する選択が特に有利である。ドーム形状の設計の代わりに、図示した絶縁板36と類似の円錐板を使用することもできる。図5aは、中央の出口開口部を有する円錐形の円環形電極板を示し、これは、ガス管20への出口の領域における気泡の収集を改善する。これらの円環形板は、好ましくは、円周上に均等に分配された少なくとも3つのテンションロッドによって保持され及び接触し、図示された実施例では、四つとなる。
【0028】
このような傾斜した設計及び/または電極板及び場合によっては絶縁板36への穴の設置によって、車両における応用分野においても、不可避の振動のために、定置型の稼働の時のように大きな役割を果たさない場合において、形成される気泡の放出が改善され得る。本発明によれば、このような形状は、上述の効果を達成するために、多角形の電極板27にも同様に転用することができる。簡潔さのために、カソード22またはアノード23の電気的接続の詳細な説明は省略される。なぜならば、これは、それ自体既知の方法で当業者によって行い得るからである。
【0029】
特に車両、ここでは自動車に使用される場合に有利な設計は、電解質タンク24の各ガスのためのカバープレート31の円錐形またはテント状の設計であり、その結果、ガス出口26は、その下に形成されたドームの最も高い位置に存在する。この予防措置は、車両が傾斜した地面上に配置されている場合であっても、妨害されないガスの排出を保証し、そして電解質の液滴の信頼性の高い分離を確実にする。
【0030】
図面の描写では、電解質の供給管及び電源は特に記載されておらず、ここでは、従来技術から知られている全ての選択肢を使用することができ、本発明による電解装置での使用によっては、その配置及び選択は変化しない。
【0031】
本発明は、図示及び説明された実施例に限定されるものではなく、様々に変更することができる。それ故、電解チャンバは様々に設計することができ、ガスサイホン及びガス管20は組み合わせることができ、外形及び高さは、それぞれの設置状況に適合させることができる。補完も行うことができ、例えば、同伴された電解質を分離するための中間チャンバを設けることができるか、または強制的にバッファタンク10に貫流させ、これは、この目的にも役立ち、及び他にも様々な手段がある。
【0032】
本願の明細書及び特許請求の範囲においては、「前」、「後」、「上」、「下」等の用語は、通常の形で使用されそして通常の使用位置にある物体に関して使用される。これは、ガスが液体の上にあることを意味し、或る方向に対する「横」は、それに対して本質的に90°回転した方向を意味し、容器は、その底面が土台に立っていることを意味する、などである。
【0033】
また、本願の明細書及び特許請求の範囲において、例えば、容器、反応器、フィルター、構造体もしくは装置またはより一般的には物体の「下部領域」などの記載は、全体の高さの下方の半分、特に下方の四分の一を意味し、「最下部領域」は、最も下の四分の一、特に更に小さな部分を意味し;他方、「中間領域」は、全体の高さ(幅-長さ)の中間の三分の一を意味することも指摘されるべきである。これらの記載の全ては、問題の物体の規定の位置に適用される、その通常の意味を有する。
【0034】
本願の明細書及び特許請求の範囲において、「本質的に」とは、物理的に可能であれば下向き及び上向きの両方で、またはそうでなければ意味のある方向のみでの、特定の値の10%までの偏差を意味し、それ故、度(角度及び温度)では、±10°を意味する。
【0035】
全ての量の記載及び割合の記載、特に本発明を限定するこれらの記載は、それらが具体的な例に関連しない限り、±10%の許容差で理解されるべきであり、従って、例えば、11%は、9.9%~12.1%を意味する。単数形の「溶剤」というような記載では、その表記は、数詞ではなく、文脈から他の意味が明らかでない限りは、非特定の名詞または代名詞として見なされるべきである。
【0036】
他に記載がなければ、「組み合わせ」という用語は、関連する成分の二つのものの組み合わせから始まり、複数のまたは全てのこのような成分の組み合わせまでの全てのタイプの組み合わせを表し、「・・・含む」といった用語は、「・・・からなる」も表す。「5超」といった記載は、5を超えるあらゆる自然数を明示的に含む。
【0037】
個々の態様及び例に記載の個々の特徴及び変形は、他の例及び態様のそれらと自由に組み合わせることができ、特に、それぞれの態様及びそれぞれの例の他の細目を必ずしも含まずに、特許請求の範囲における本発明の特徴付けのために使用し得る。
【0038】
要約すると、本発明は以下のように記載することができる:
本発明は、電解質28が充填された電解質タンク24、電解質供給のための制御もしくは調節装置、それぞれ別々にカバー21中に配置されたカソード22及びアノード23を備えた、液状の水をガス状の水素29及び酸素30に電気分解するための電解セル11、特に自動車で使用するための電解セル11であって、前記電解質タンク24が、隔壁32によって二つの部分電解質タンク24’に分割されており、その底領域に接続部33が設けられていること、両カバー21が、それぞれ前記部分電解質タンク24’の一つ中に配置されていること、カバー21は、少なくともカソード22を有する方が、最上部領域において逆ガスサイホンに通じていること、前記制御もしくは調節装置は、前記ガスサイホンの出口開口部が電解質タンク24中で電解質の液面下に完全に保持されるように設定されること、及び電解質タンク24が、ガス29、30のそれぞれのために専用のガス出口26を有し、このガス出口は、電解質28の液面の上に垂直距離を置いて配置されていることを特徴とする、電解セル11に関する。
【0039】
更なる発展形態では、カバー21が、円錐形の上部を有する円筒型ジャケット、または角錐台形を有するプリズム型ジャケットを有することを特徴とする。
【0040】
一実施形態では、逆ガスサイホンが、任意選択で逆「U」字形の、上昇部分、湾曲したもしくは傾斜した部分、及び下降部分を有する導管20であることを特徴とする。
【0041】
別の発展形態では、電解質タンク24が、その出口26の各々の下にドームを形成していることを特徴とする。
【0042】
別の実施形態の一つでは、カソード22及びアノード23が電極板27を有し、この電極板27が、正方形の、正六角形もしくは正八角形の、または円形の外形を有することを特徴とする。
【0043】
別の実施形態の一つでは、カソード22及びアノード23が電極板27を有し、この電極板27が、円錐台形、角錐台形またはドーム形に形成されていることを特徴とする。
【符号の説明】
【0044】
1 内燃機関
2 吸気系
3 排気系
4 (周囲)空気
5 ターボチャージャ
6 逆止弁
7 H2供給源
8 流量調整器
9 減圧器
10 H2(バッファ)タンク
11 電解セル
12 H2O/電解質タンク
13 電源
14 制御調整装置
15 タコメータ
16 尿素溶液タンク
17 触媒
18 ラムダセンサ
19 燃料/ディーゼル供給
20 ガス管
21 電解チャンバカバー
22 カソード
23 アノード
24 電解質タンク
25 電解質交換(導管/開口部)
26 ガス出口
27 電極(板)
28 電解質
29 H2
30 O2
31 カバー板
32 隔壁
33 接続部(開口部または導管)
34 テンションロッド
35 スペーサ
36 絶縁板
図1
図2
図3
図4
図5a)】
図5b)】