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  • 特許-装身具及び装身具交換部材 図1
  • 特許-装身具及び装身具交換部材 図2
  • 特許-装身具及び装身具交換部材 図3
  • 特許-装身具及び装身具交換部材 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】装身具及び装身具交換部材
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/00 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
A44C5/00 501D
A44C5/00 502A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021099033
(22)【出願日】2021-04-30
(65)【公開番号】P2022171504
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2021-06-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)ウェブサイトの掲載 掲載日:令和2年5月1日 ウェブサイトのURL:https://qualium.shop/ 他4つ(2)販売 出荷日:令和2年5月7日 販売した場所:ウェブサイト(https://qualium.shop/) 他2つ
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521257477
【氏名又は名称】村田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】村田 雄介
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3015500(JP,U)
【文献】登録実用新案第3158605(JP,U)
【文献】実開昭54-033294(JP,U)
【文献】特開2010-022698(JP,A)
【文献】中国実用新案第205866188(CN,U)
【文献】実開昭51-084794(JP,U)
【文献】実開昭54-103392(JP,U)
【文献】特開2021-029762(JP,A)
【文献】特表2020-525057(JP,A)
【文献】特開2005-329135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の円弧状部が接続される環状の装身具であって、
前記円弧状部は、第一の保持部材と第二の保持部材との間に配置される中央部とを有しており、
前記中央部には、第一の端部に第一の磁気部材が設けられ、さらに、前記第一の端部と対向する第二の端部に第二の磁気部材が設けられており、
前記第一の保持部材の端部には、前記第一の磁気部材と対向する第三の磁気部材が設けられ、
前記第二の保持部材の端部には、前記第二の磁気部材と対向する第四の磁気部材が設けられており、
前記第一の端部には、前記中央部の前記第一の端部側の端面よりも前記中央部の中央側に設けられた第一の溝と、前記第二の端部には、前記中央部の前記第二の端部側の端面よりも前記中央部の中央側に設けられた第二の溝と、を有しており、
前記第一の磁気部材は前記第一の溝に、前記第二の磁気部材は前記第二の溝に、設けられることにより、
前記第一の磁気部材と前記中央部の部材を間に介して配置される前記第三の磁気部材とが、前記第二の磁気部材と前記中央部の部材を間に介して配置される前記第四の磁気部材とが、それぞれ磁気的に接続される状態であること
を特徴とする装身具。
【請求項2】
請求項1に記載の装身具であって、
前記中央部の部材は、透明部材と前記透明部材とは異なる部材を含むこと
を特徴とする装身具。
【請求項3】
請求項1に記載の装身具であって、
前記第一の磁気部材と前記第二の磁気部材の長さは、前記中央部の前記中央部を上面から見た奥行き方向の手前側となる一の長辺を有する面と前記第一の長辺と対向する第二の長辺を有する面との間の長さよりも短く、
前記第一の磁気部材と前記第二の磁気部材は、前記中央部の前記第一の長辺を有する面と前記第二の長辺を有する面との両端より内側に配置されること
を特徴とする装身具。
【請求項4】
請求項1に記載の装身具であって、
前記第一の保持部材の端部の中央に前記第三の磁気部材が配置されており、前記第一の保持部材を断面図で見た場合に、前記中央部の前記第一の磁気部材を挟み込むようにコ字状に延在する第一の外縁部を有していること
を特徴とする装身具。
【請求項5】
請求項4に記載の装身具であって、
前記第二の保持部材の端部の中央に前記第四の磁気部材が配置されており、前記第二の保持部材を断面図で見た場合に、前記中央部の前記第二の磁気部材を挟み込むようにコ字状に延在する第二の外縁部を有していること
を特徴とする装身具。
【請求項6】
請求項4に記載の装身具であって、
前記第一の磁気部材と前記第三の磁気部材とが磁気的に接続された場合に、前記中央部と前記第一の保持部材を断面図で見た場合に、前記第一の外縁部は前記第一の磁気部材よりも前記第一の保持部材から前記中央部に向かって突き出ていること
を特徴とする装身具。
【請求項7】
複数の円弧状部が接続される環状の装身具に用いる装身具交換部材であって、
前記装身具交換部材は、第一の端部に第一の磁気部材が設けられ、さらに、前記第一の端部と対向する第二の端部に第二の磁気部材が設けられており、
前記第一の端部には、前記装身具交換部材の端面よりも前記装身具交換部材の中央側に設けられた第一の溝と、前記第二の端部には、前記装身具交換部材の端面よりも前記装身具交換部材の中央側に設けられた第二の溝と、を有しており、
前記第一の磁気部材は、前記第一の溝に配置されることにより前記装身具交換部材の部材を間に介して配置される前記第一の磁気部材に対応する磁気部材と磁気的に接続可能な状態であり、前記第二の磁気部材は、前記第二の溝に配置されることにより前記装身具交換部材の部材を間に介して配置される前記第二の磁気部材に対応する磁気部材と磁気的に接続可能な状態であって、
前記装身具交換部材は、透明部材と、前記透明部材とは異なる部材を含むこと
を特徴とする装身具交換部材。
【請求項8】
請求項7に記載の装身具交換部材であって、
前記第一の磁気部材と前記第二の磁気部材の長さは、前記装身具交換部材の前記装身具交換部材を上面から見た奥行き方向の手前側となる一の長辺を有する面と前記第一の長辺と対向する第二の長辺を有する面との間の長さよりも短く、
前記第一の磁気部材と前記第二の磁気部材は、前記装身具交換部材の前記第一の長辺を有する面と前記第二の長辺を有する面との両端より内側に配置されること
を特徴とする装身具交換部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【背景技術】
【0001】
装身具に関する。
【先行技術文献】
【0002】
特許文献1には、「装身具は、環状の装身具であって、環状の周と中心側とを結ぶ仮想的な線で周が分割された円弧状に形成されている複数の円弧状部が接続されてなり、円弧状部のそれぞれの一方の端部には、円弧状の弧に接する向きに端部の断面から端部の断面の一部分が突出している突出部が形成され、円弧状部のそれぞれの他方の端部には、突出部の形状に対応した形状の穴が形成され、所定の円弧状部の一方の端部の突出部が、他の円弧状部の他方の端部の穴に挿入されて、所定の円弧状部の一方の端部と他の円弧状部の他方の端部とが接して円弧が連続するように円弧状部が接続されて環状に形成されている。」ことが開示されている(要約参照)。
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-29762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1(特開2021-29762号公報)に記載される装身具は、分割された同一形態の円弧状部の部品を連結されることにより、それぞれの部品の色合いや模様の変化などをより大きくすることができ、装身具そのものの装飾性をより向上させることが開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される技術は、複数の円弧状部に分割された装身具の部品を交換することにより、これまでと異なる外観を得ることが可能となるが、交換した部品の形態によっては他の部品の形態とのバランスが取れなくなってしまう場合がある。そのため、一部を交換するために他の部品も交換が必要となるため、使い慣れた装身具を活かすことができなくなってしまう場合がある。
【0006】
つまり、装身具は部品が革部材のみならず金属部材であっても、装身具の使用者に合うように形状の修正や経年変化によって変化する場合があるが、使用者に合った状態の装身具を継続的に利用することは考慮されていない。したがって、使い慣れた装着部の全体を活かしつつ装身具の一部を交換することにより異なる外観を得ることは考慮されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の装身具は、複数の円弧状部が接続される環状の装身具であって、円弧状部は、第一の保持部材と第二の保持部材との間に配置される中央部とを有しており、中央部には、第一の端部に第一の磁気部材が設けられ、さらに、第一の端部と対向する第二の端部に第二の磁気部材が設けられており、第一の保持部材の端部には、第一の磁気部材と対向する第三の磁気部材が設けられ、第二の保持部材の端部には、第二の磁気部材と対向する第四の磁気部材が設けられており、第一の端部には、中央部の第一の端部側の端面よりも中央部の中央側に設けられた第一の溝と、第二の端部には、中央部の第二の端部側の端面よりも中央部の中央側に設けられた第二の溝と、を有しており、第一の磁気部材は第一の溝に、第二の磁気部材は第二の溝に、設けられることにより、第一の磁気部材と中央部の部材を間に介して配置される第三の磁気部材とが、第二の磁気部材と中央部の部材を間に介して配置される第四の磁気部材とが、それぞれ磁気的に接続される状態であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装着者は、使い慣れた装身具を利用しつつ異なるデザインの中央部を交換することができるため異なる外観の装身具を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一例にかかる装身具の外観全体の斜視図である。
図2】本発明の一例にかかる装身具の外観全体の上面図である。
図3】本発明の一例にかかる装身具の一対の保持部と中央部とを接続した状態を示す斜視図である。
図4】本発明の一例にかかる装身具の一対の保持部と中央部とを分離した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明について説明する。同一の符号は異なる図面であっても同一の部位や名称であるため、各図での説明を省略することがある。また、以下の説明は一例であり、本発明の本質部分を逸脱しない範囲で適宜変更や変形して実施することが可能である。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明の一例にかかる装身具の外観全体の斜視図を、また、図2は上面図を示すものである。装身具100は、複数の部材が接続されており、装着部110には、第一の保持部210aが、第一の保持部210aには中央部310が、中央部310には第二の保持部210bが、第二の保持部210bには装着部120が、装着部120と装着部110が装着部130を介してそれぞれ接続されている。装着部130は、装着部120に設けられた回動可能なピンを装着部110に設けられた穴に通してひっかけることにより保持または固定することが可能であり、複数の穴を設けることで装身具100の長さを調整可能である。また、装身具100は腕や足等に装着するものである。
【0012】
装着部110、120、130は金属部材、革部材や樹脂部材であっても実施でき、また、複数の部材を組合せて用いても実施できる。中央部310は、紫外線を照射することにより硬化されるレジンを用い、内部または外部にレジンとは異なる部材を添加することにより様々な外観にすることができる。また、中央部310の形状は中央を中心に両端面に向かって局面形状とすることで、装身具100が腕等の部位にフィットさせることができる。装身具の使用者の使用部位に合わせた局面とすることでより装着性を向上させることができる。
【0013】
図3は本発明の一例にかかる装身具の一対の保持部と中央部とを接続した状態を、図4は保持部と中央部とを接続した状態を示す斜視図である。図3図4とを用いて、本発明にかかる第一の保持部210a、第二の保持部210b、中央部310について詳細に説明する。
【0014】
第一の保持部210aの一方の端部の中央に磁気部材220aが配置されている。また、第一の保持部210aは、コ字形状で突き出しつつ磁気部材220aを挟み込むように先端が突出した凸部230aを有する。凸部230aは、中央部310aの一部を覆うように突き出ている。つまり、断面図で見た場合に凸部230aである外縁部は、中央部310に向かって突き出るように延在している。第二の保持部210bも同様である。また、外縁部は中央部310を介して対向するように延在することでコ字形状を形成する。
【0015】
また、凸部230aは、第一の保持部210aと中央部310が接続される場合に、後述する磁気部材320aよりも突き出るように配置するとよい。これにより、磁気部材320aが凸部230aによって覆われることとなるため、磁気部材320aが装身具100の外観から観察できないため、美観が向上する。
【0016】
同様に第二の保持部210bは磁気部材220bとコ字形状の凸部230bを有しており、磁気部材220aと凸部230aと同様の機能を有している。そのため、中央部310に設けられた磁気部材320bと磁気部材220bとが磁気的に接続される場合には、磁気部材320bを凸部230bが覆うこととなる。
【0017】
中央部310は紫外線硬化型レジンや射出成形等により透明部材と他の部材の組み合わせで製造されるものであるため、中央部310の端面に磁気部材320aと320bを埋め込むように配置するとよい。透明部材と他の部材の組み合わせを総称して樹脂部材と呼ぶ。
【0018】
また、磁気を持たない金属部材で外観に加工を施したものであってもよく、この場合は中央部310の端面付近に溝を設け、その溝に磁気部材320a、320bを挿入することもできる。これにより磁気部材220aと磁気部材320aは物理的に接触するのではなく、磁気部材220aと磁気部材320aとの間に中央部310の部材が間に配置されることとなる。
【0019】
また、紫外線硬化型レジンに限らず、二液混合レジンで実施することができる。二液混合レジンは、エポキシ樹脂と硬化剤とを混合することにより硬化するものである。なお、これらのレジンに限らず、磁気部材320a,320bを埋め込みやはめ込み、その他の接続または接触可能となる部材であれば他の樹脂部材または金属部材等であっても実施できる。
【0020】
ここで、磁気部材220aと磁気部材320a、磁気部材220aと磁気部材320aとが接続される状態について説明する。磁気部材同士の接続とは、厳密に物理的な接触または接続される状態であることを意味せず、磁気的に引き合っている状態をいう。すなわち、磁気的に接続される状態とは、磁気的に分離される程度の外力を与えられておらず一対の磁気部材同士が引き合い物理的に移動しない場合である。他方、磁気的に接続されていない状態とは、一対の磁気部材が物理的に引き合わない、あるいは引き合えない程度の距離に配置されている状態を指す。
【0021】
次に図4について説明する。図4は、図3で説明した装身具の一対の保持部と中央部とが接続されていない状態を図示したものである。
【0022】
図4は、第一の保持部210aと第二の保持部210bとから中央部310とが磁気的に接続された状態の図3に示す状態に対して、中央部310に外力を与えることにより、磁気部材220aと磁気部材320aとが、磁気部材220bと磁気部材320bとが磁気的に接続しない状態に変化した状態を示すものである。
【0023】
このように磁気的に接続しない状態として中央部310を取り外し、他の外観を有する他の中央部310を第一の保持部210aと第二の保持部210bとに接続することによって、使い慣れた装身具の主要部を活かしつつ、外観の中心となる中央部310のデザインを変更することが可能となる。
【0024】
これにより使用者は使い慣れた第一の保持部210a等を利用することができ、例えば、中央部310以外の部材が革製品であれば、経年変化によって育てた革の外観だけでなく、使い勝手を継承しつつ装身具のデザインを変更させることができる。特に、装着部110や130は革部材である場合に、使用者は経年変化を楽しみつつ、また、使い慣れた思い入れがある革部材の装着部をそのまま利用しつつ、中央部310のデザインの変更が可能となるため、安心した使用感と新たなデザイン性との両立を実現できる。
【0025】
また、このような中央部310の着脱方法は、装身具が何らかの物体に引っかかった場合等に、磁気的な接続しない状態となることで中央部310を脱落させることが可能となるため、装身具の円環構造を分離させ、使用者の怪我を防止することができる。磁気部材の磁気特性を変更することによって、磁気的な接続力を変更させることができるため、使用者や使用部位によって、適切な保磁力に設定することができる。
【0026】
次に、第一の保持部210aのコ字形状の内側に設けた凸部240aと第二の保持部210bのコ字形状の内側に設けた凸部240bについて説明する。凸部240aと240bはそれぞれ中央部310の裏側に対応する凹部を有する(図示しない)。これらの凸部240a、240bと対応する凹部はガイドの役割をしており、中央部310の両端部が第一の保持部210aと第二の保持部210bのコ字形状の内部に磁気的に引きつけられ入り込む際に位置合わせがしやすくなる。磁気部材同士の引き合いだけでも接続可能であるが、ガイドがあることでより位置合わせがしやすくなる。
【0027】
また、凸部240aと240bはガイド以外の役割として、中央部310に磁気部材同士の接続を解除することを目的としない外力(衝撃)が与えられた場合、中央部310を外す、または、交換する意図がない外力が与えられた場合に対して、凸部240aと240bが溝となる凹部にひっかかることによって中央部310の脱落を防止することができる。中央部310を接続する際のガイドだけでなく、脱落防止の構造としても利用できる。凸部と凹部だけでなく、凸部と凹部を延在させることや、図4では2点の凸部としているが複数点に変更しても実施できる。
【0028】
図3図4を用いて、磁気部材320a,320b等について説明したが、図示した形状による実施に限られず、磁気部材320aを上下方向(短辺方向)に向かって2つ以上に分離させた場合であっても実施できる。
【0029】
また、磁気部材320aと磁気部材220aとが磁気的に接続される場合には、中央部310と第一の保持部材210aとを断面図で見た場合に、第一の保持部材210aから中央部310へ向かって突き出る外縁部は、第一の磁気部材320aよりも第一の保持部材210aから中央部310の方向に向かって突き出ている。第二の保持部材220bも同様である。
【0030】
これにより、磁気部材320aと磁気部材220aとが外縁部によって、外観には現れなくなり、中央部の磁気部材による磁気的な接続構造が装身具の使用者や第三者から観察されないため、よりデザイン性が高い外観を装身具として表現することができる。
【0031】
上記した本発明によれば、装着者は、使い慣れた装身具を利用しつつ異なるデザインの中央部を交換することができるため異なる外観の装身具を利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
100:装身具、110、120、130:装着部
210a:第一の保持部、210b:第二の保持部、310:中央部
220a、220b、320a、320b:磁気部材
図1
図2
図3
図4