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特許7185115高い熱伝導率及び高表面エリアを有する高周波数アンテナ構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】高い熱伝導率及び高表面エリアを有する高周波数アンテナ構造
(51)【国際特許分類】
   H01Q 23/00 20060101AFI20221130BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20221130BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20221130BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20221130BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
H01Q23/00
H05K7/20 D
H01L23/36 Z
H01L23/40 F
H01Q21/06
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018562044
(86)(22)【出願日】2017-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 US2017034351
(87)【国際公開番号】W WO2017205557
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-05-15
(31)【優先権主張番号】15/162,888
(32)【優先日】2016-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】マシュー デヴィッド ロミグ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート クレール ケラー
(72)【発明者】
【氏名】ミン リー
(72)【発明者】
【氏名】イー チー タン
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-006471(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0049723(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H01L 23/40
H01Q 21/00- 25/04
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
基板と、
前記基板に取り付けられる少なくとも1つの集積回路と、
前記少なくとも1つの集積回路の表面に取り付けられるアンテナと、
誘電材料でつくられて前記アンテナの頂部表面のみに取り付けられる第1の放熱器と、
を含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記基板に取り付けられる第2の放熱器を更に含む、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記基板に取り付けられる少なくとも1つの電気部品を更に含む、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の放熱器が熱導電性エポキシを用いて前記アンテナに取り付けられる、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の放熱器が並行板放熱器である、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の放熱器が平坦板放熱器である、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の放熱器が並行支柱放熱器である。装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、
前記誘電材料が、窒化アルミニウムと酸化ベリリウムと酸化アルミニウムと炭化シリコンと窒化ボロンの1つである、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、
前記少なくとも1つの集積回路が無線周波数チップとベースバンドチップとの1つである、装置。
【請求項10】
請求項2に記載の装置であって、
前記第2の放熱器が、並行板放熱器と平坦板放熱器と並行支柱放熱器の1つである、装置。
【請求項11】
請求項2に記載の装置であって、
前記第2の放熱器が誘電材料でつくられる、装置。
【請求項12】
装置であって、
基板と、
前記基板に取り付けられる少なくとも1つの集積回路と、
前記少なくとも1つの集積回路の表面に取り付けられるアンテナ構造であって、アンテナと、誘電材料でつくられて前記アンテナの頂部表面のみに取り付けられる第1の放熱器とを含む、前記アンテナ構造と、
を含む、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、
前記基板に取り付けられる第2の放熱器を更に含む、装置。
【請求項14】
請求項12に記載の装置であって、
前記基板に取り付けられる少なくとも1つの電気部品を更に含む、装置。
【請求項15】
請求項12に記載の装置であって、
前記誘電材料が、窒化アルミニウムと酸化ベリリウムと酸化アルミニウムと炭化シリコンと窒化ボロンの1つである、装置。
【請求項16】
請求項12に記載の装置であって、
前記アンテナがアンテナのアレイである、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して、高周波数ワイヤレス電子回路のためのアンテナに関し、更に特定して言えば、モバイル応用例のためのものなど、アンテナを備えた高周波数電子回路からの熱除去を助ける熱放散アンテナに関連する。
【背景技術】
【0002】
高周波数半導体回路(ベースバンド、無線周波数、及び電力増幅器におけるものなど)の電力密度は、高周波数半導体回路(ワイヤレス応用例のためのものなど)におけるジオメトリがますます小さくスケーリングされるにつれて、増大している。増大された電力密度は、増大された熱的密度となり、ワイヤレスチップが安全な熱範囲内で動作させることを保つために、熱を放散させるためのヒートスプレッダのワイヤレスチップへの取り付けを必要とする。
【0003】
ワイヤレスチップ(例えば、5Gワイヤレス通信など、モバイル応用例において)には、オペレーションの間著しい量の熱を生成し得、その熱を放散させるためにヒートスプレッダの取り付けを必要とし得るものがある。しかし、ワイヤレスチップは、また、ワイヤレス信号をブロードキャストし受信するため、取り付けられたアンテナアレイを必要とし得る。これらのアンテナアレイは、ヒートスプレッダ(ヒートシンク)が取り付けられ得るエリアをブロックし得る。
【0004】
図1Aにおいて、アンテナアレイ112が、ワイヤレス集積回路チップ114の上にある。アンテナアレイ112は、典型的に、ヒートシンクが、ワイヤレス集積回路チップ114の頂部側に取り付けられることを阻止する。
【0005】
図1Bは、上にあるアンテナアレイ112を備えた、高周波数集積回路100の拡大した断面図を示す。ワイヤレスチップ104及び108、及び他の高周波数成分106及び110が、集積回路ボードなどの基板102に取り付けられる。アンテナアレイ112は、高周波数集積回路構成要素104、106、108、及び110の上にある。ワイヤレス集積チップ104及び108は、高周波数チップ(ベースバンドチップ又はRFチップなど)であり得、高周波数信号(ギガヘルツ範囲)を有するアンテナアレイ112に電力供給するためオペレーションの間著しい熱を生成し得る。
【0006】
従来のヒートスプレッダ120(図C)がアンテナアレイ112に直に取り付けられるとき、アンテナの利得(から送信される又はそれにより検出される高周波数ワイヤレス信号の強度)が酷く劣化される。平行フィン銅ヒートスプレッダ120が、アンテナアレイ112に直に結合され、アンテナ利得が50%以上(32GHzの周波数で約16dBから約7.6dBまで)低減される。
【0007】
この理由のため、図1Cに図示するように、ヒートスプレッダ120は、典型的に、基板102の裏側にのみ取り付けられ、頂部側ではアンテナ112に直に取り付けられない。
【発明の概要】
【0008】
記載される例において、熱放散アンテナが、高周波数アンテナ又はアンテナアレイに接合される低減衰ヒートスプレッダを含む。
【0009】
説明される更なる例において、集積回路が、ワイヤレス集積回路チップ、及びワイヤレス集積回路チップに結合される熱放散アンテナを含む。
【0010】
他の記載される例において、熱放散アンテナが、高い熱伝導率を有する誘電性材料から低減衰ヒートスプレッダを形成すること、及びそれを高周波数アンテナに結合することにより形成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】高周波数半導体回路に結合されるアンテナアレイの平面図である(従来技術)。
【0012】
図1B】高周波数半導体回路に結合されるアンテナアレイの断面である(従来技術)。
【0013】
図1C】基板に結合される従来のヒートスプレッダを備えるアンテナアレイの断面である(従来技術)。
【0014】
図2A】例示の低減衰ヒートスプレッダ設計の図示である。
図2B】例示の低減衰ヒートスプレッダ設計の図示である。
図2C】例示の低減衰ヒートスプレッダ設計の図示である。
【0015】
図3A】例示の熱放散アンテナ設計の図示である。
図3B】例示の熱放散アンテナ設計の図示である。
図3C】例示の熱放散アンテナ設計の図示である。
【0016】
図4】高周波数集積回路チップの頂部側に結合される熱放散アンテナ及び基板に結合される従来のヒートスプレッダの断面である。
【0017】
図5】高周波数集積回路チップの頂部側に結合される熱放散アンテナ及び基板に結合される低減衰ヒートスプレッダの断面である。
【0018】
図6】実施例に従った、低減衰ヒートスプレッダを備える高周波数アンテナの形成における工程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面は一定の縮尺で描いてはいない。例示の実施例は、特定の詳細の一つ又は複数なしに、又は他の方法と共に実施され得る。幾つかの事例において、既知の構造又はオペレーションは詳細には示していない。例示の実施例は、幾つかの行為又は事象が、異なる順で及び/又は他の行為又は事象と同時に起こり得るように、行為又は事象の図示される順に限定されない。また、例示の実施例に従った手法を実装するために全ての図示した行為又は事象が必要とされるわけではない。
【0020】
例示の実施例は、高利得を有しかつ高熱放散を有する高周波数アンテナを含む。低減衰ヒートスプレッダは、高い熱伝導率を有する誘電性材料を用いることによりつくられ得る。これらの低減衰ヒートスプレッダは、高利得を有する熱放散アンテナを形成するため、高周波数アンテナ又は高周波数アンテナアレイに結合され得る。
【0021】
アルミニウム窒化物(A1N)、アルミニウム酸化物(Al)、及びベリリウム酸化物(BeO)など、高い熱伝導率を有する誘電性材料は、アンテナ利得をわずかにのみ減衰するヒートスプレッダ内に形成され得る。表1は、熱伝導率と共に、アルミニウム及び幾つかの誘電性材料を列挙したものである。
【0022】
低減衰ヒートスプレッダは様々な設計で製造され得る。例示の設計を図2A、2B、及び2Cに示す。
【0023】
図2Aは、フラットパネル低減衰ヒートスプレッダ200設計を図示する。図2Bは、平行フィン低減衰ヒートスプレッダ202を図示する。図2Cは、平行ピラーアレイ294低減衰ヒートスプレッダを図示する。他の低減衰ヒートスプレッダ構造も設計され得る。
【0024】
低減衰ヒートスプレッダ200、202、及び204は、アンテナアレイ112を形成するため、図3A、3B、及び3Cに示すように熱放散アンテナ300、302、及び304に結合され得る。低減衰ヒートスプレッダをアンテナアレイ112に結合する一つの方法が、熱伝導性エポキシを用いることである。熱放散アンテナ300、302、及び304は、高利得を有する高周波数信号をブロードキャスト及び検出し、また、熱放散アンテナが結合される高周波数半導体回路から熱を効率的に放散する。
【0025】
表2は、16×16アンテナアレイのアンテナ利得に対する低減衰ヒートスプレッダ112の影響を示す。表2における低減衰ヒートスプレッダの材料は、アルミニウム窒化物である。表2に示すように、アンテナ利得を50%以上低減する従来の金属性ヒートスプレッダとは対照的に、低減衰ヒートスプレッダはアンテナ利得を数パーセント低減する。
【0026】
図4に示すように、熱放散アンテナ302は、ベースバンド、無線周波数、及び電力増幅器集積回路などの高周波数集積回路100に結合され得る。例示の熱放散アンテナ302は、下にある集積回路100からの熱除去を著しく改善する。
【0027】
図5に示すように、低減衰ヒートスプレッダ202は、熱放散を高めるために基板102にも結合され得る。幾つかの応用例において、(基板102に取り付けられる)ヒートスプレッダは、有利には、非金属性及び低減衰であり得る。
【0028】
図6は、低減衰ヒートスプレッダを用いて高周波数アンテナを形成するための方法のフローチャートである。
【0029】
工程600において、高周波数アンテナが提供される。
【0030】
工程602において、低減衰ヒートスプレッダが、アルミニウム窒化物、バリウム酸化物、及びシリコンカーバイドなど、高い熱伝導率を有する誘電性材料で形成される。
【0031】
工程604において、低減衰ヒートスプレッダが、熱伝導性エポキシなどの熱伝導性結合剤を用いて高周波数アンテナの前側に結合される。
【0032】
工程606において、低減衰ヒートスプレッダが高周波数アンテナの前側のみに結合されるべきか、又は低減衰ヒートスプレッダが裏側にも結合されるべきかについて判定が成される。低減衰ヒートスプレッダが前側のみに結合されるべき場合、方法は、工程612に進み、終了する。
【0033】
しかし、第2の低減衰ヒートスプレッダが高周波数アンテナの裏側に結合されるべき場合、この方法は、第2の低減衰ヒートスプレッダを形成するため工程608に進み、その後、高周波数アンテナの裏側に第2の低減衰ヒートスプレッダを取り付けるため610に進み、その後、工程612で終了する。
【0034】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6