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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】シートシステム、車両およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20221130BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/62 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018224090
(22)【出願日】2018-11-29
(65)【公開番号】P2020083217
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】郭 裕之
(72)【発明者】
【氏名】古和 宗高
(72)【発明者】
【氏名】草野 惇至
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 吉一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智
(72)【発明者】
【氏名】大塚 泰治
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-178131(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/061154(JP,A1)
【文献】再公表特許第2015/011866(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-2/90
A47C 7/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転と非自動運転とを切替可能な車両に搭載されるシートであって、シート本体、および、前記シート本体に設けられ、前記シート本体に座っている運転者の動作を検出するための測定値を取得するセンサを有するシートと、
前記センサから前記測定値を取得する端末と、を備えるシートシステムであって、
前記端末は、
前記測定値を利用したアプリケーションプログラムを実行可能であり、
自動運転中に前記アプリケーションプログラムを実行している場合、前記車両の制御装置から取得した、自動運転から非自動運転への切り替えに関する情報に基づき、前記アプリケーションプログラムの実行終了を要求する終了要求を運転者に通知することを特徴とするシートシステム。
【請求項2】
前記端末は、前記終了要求として、一次終了要求を運転者に通知し、前記一次終了要求を運転者に通知した後、二次終了要求を運転者に通知することを特徴とする請求項1に記載のシートシステム。
【請求項3】
前記端末は、自動運転から非自動運転に切り替えるタイミングの所定時間前に前記終了要求を運転者に通知することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシートシステム。
【請求項4】
前記端末は、前記終了要求を運転者に通知した後に、前記運転者の操作によって前記アプリケーションプログラムの実行が終了されない場合、前記アプリケーションプログラムの実行を強制的に終了することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシートシステム。
【請求項5】
前記シート本体は、運転をするときの状態である運転状態と、前記運転状態から少なくとも一部を動かした状態である非運転状態とに切替可能であり、
前記端末は、前記終了要求を運転者に通知する場合に前記シート本体が前記非運転状態である場合、前記終了要求とともに、前記シート本体を前記非運転状態から前記運転状態に動かすように要求する切替要求を運転者に通知することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシートシステム。
【請求項6】
前記シート本体を前記運転状態と前記非運転状態に動かすことが可能なアクチュエータを備え、
前記端末は、前記切替要求を運転者に通知した後に、前記運転者の操作によって前記シート本体が前記非運転状態から前記運転状態に動かされない場合、前記アクチュエータを駆動させて前記シート本体を前記非運転状態から前記運転状態に動かすことを特徴とする請求項5に記載のシートシステム。
【請求項7】
自動運転と非自動運転とを切替可能な車両であって、
シート本体、および、前記シート本体に設けられ、前記シート本体に座っている運転者の動作を検出するための測定値を取得するセンサを有するシートと、
前記センサから前記測定値を取得する端末と、
自動運転を制御する制御装置と、を備え、
前記端末は、
前記測定値を利用したアプリケーションプログラムを実行可能であり、
自動運転中に前記アプリケーションプログラムを実行している場合、前記制御装置から取得した、自動運転から非自動運転への切り替えに関する情報に基づき、前記アプリケーションプログラムの実行終了を要求する終了要求を運転者に通知することを特徴とする車両。
【請求項8】
自動運転と非自動運転とを切替可能な車両内で使用される端末で実行されるプログラムであって、
自動運転中に前記端末でアプリケーションプログラムが実行されている場合、前記車両の制御装置から取得した、自動運転から非自動運転への切り替えに関する情報に基づき、前記アプリケーションプログラムの実行終了を要求する終了要求を運転者に通知することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートシステム、車両およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動運転中に運転者が操作ボタンを操作したときに自動運転から運転者が運転操作を行う非自動運転に切り替えられる自動運転車両において、自動運転中に運転者に自動運転の終了を要求すべきときには、インストルメントパネルに設けられたディスプレイやスピーカから、まず準備要求が運転者に通知され、次いで終了要求が運転者に通知される自動運転車両の制御システムが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-027726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近い将来、自動運転中に運転者が運転操作から解放されるような自動運転車両が登場すると考えられる。そのような車両においては、自動運転中に運転者がスマートフォンなどの端末を操作して、そこにインストールされているゲームアプリなどのアプリケーションプログラムを使用する可能性がある。その場合、従来のシステムでは、端末を使用している運転者に終了要求を効果的に伝えることができないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、端末を使用している運転者に自動運転から非自動運転に切り替える必要があることを効果的に伝えることができるシートシステム、車両およびプログラムを提供することを目的とする。
また、運転者に非自動運転に切り替わる準備をさせることを目的とする。
また、シート本体を非運転状態から運転状態に戻す必要があることを効果的に伝えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、シートシステムは、自動運転と非自動運転とを切替可能な車両に搭載されるシートであって、シート本体、および、前記シート本体に設けられ、前記シート本体に座っている運転者の動作を検出するための測定値を取得するセンサを有するシートと、前記センサから前記測定値を取得する端末と、を備えるシートシステムであって、前記端末は、前記測定値を利用したアプリケーションプログラムを実行可能であり、自動運転中に前記アプリケーションプログラムを実行している場合、前記車両の制御装置から取得した、自動運転から非自動運転への切り替えに関する情報に基づき、前記アプリケーションプログラムの実行終了を要求する終了要求を運転者に通知することを特徴とする。
【0007】
このようなシートシステムによれば、端末を使用している運転者に自動運転から非自動運転に切り替える必要があることを効果的に伝えることができる。
【0008】
前記したシートシステムにおいて、前記端末は、前記終了要求として、一次終了要求を運転者に通知し、前記一次終了要求を運転者に通知した後、二次終了要求を運転者に通知する構成とすることができる。
【0009】
これによれば、自動運転から非自動運転に切り替える必要があることを段階的に通知することができるので、自動運転から非自動運転に切り替える必要があることをより効果的に伝えることができる。
【0010】
前記したシートシステムにおいて、前記端末は、自動運転から非自動運転に切り替えるタイミングの所定時間前に前記終了要求を運転者に通知する構成とすることができる。
【0011】
前記したシートシステムにおいて、前記端末は、前記終了要求を運転者に通知した後に、前記運転者の操作によって前記アプリケーションプログラムの実行が終了されない場合、前記アプリケーションプログラムの実行を強制的に終了する構成とすることができる。
【0012】
これによれば、運転者に非自動運転に切り替わる準備をさせることができる。
【0013】
前記したシートシステムにおいて、前記シート本体は、運転をするときの状態である運転状態と、前記運転状態から少なくとも一部を動かした状態である非運転状態とに切替可能であり、前記端末は、前記終了要求を運転者に通知する場合に前記シート本体が前記非運転状態である場合、前記終了要求とともに、前記シート本体を前記非運転状態から前記運転状態に動かすように要求する切替要求を運転者に通知する構成とすることができる。
【0014】
これによれば、端末を使用している運転者に当該端末を通じてシート本体を非運転状態から運転状態に戻す必要があることを効果的に伝えることができる。
【0015】
前記したシートシステムは、前記シート本体を前記運転状態と前記非運転状態に動かすことが可能なアクチュエータを備え、前記端末は、前記切替要求を運転者に通知した後に、前記運転者の操作によって前記シート本体が前記非運転状態から前記運転状態に動かされない場合、前記アクチュエータを駆動させて前記シート本体を前記非運転状態から前記運転状態に動かす構成とすることができる。
【0016】
これによれば、運転者に非自動運転に切り替わる準備をさせることができる。
【0017】
また、前記した目的を達成するため、車両は、自動運転と非自動運転とを切替可能な車両であって、シート本体、および、前記シート本体に設けられ、前記シート本体に座っている運転者の動作を検出するための測定値を取得するセンサを有するシートと、前記センサから前記測定値を取得する端末と、自動運転を制御する制御装置と、を備え、前記端末は、前記測定値を利用したアプリケーションプログラムを実行可能であり、自動運転中に前記アプリケーションプログラムを実行している場合、前記制御装置から取得した、自動運転から非自動運転への切り替えに関する情報に基づき、前記アプリケーションプログラムの実行終了を要求する終了要求を運転者に通知することを特徴とする。
【0018】
このような車両によれば、端末を使用している運転者に自動運転から非自動運転に切り替える必要があることを効果的に伝えることができる。
【0019】
また、前記した目的を達成するため、プログラムは、自動運転と非自動運転とを切替可能な車両内で使用される端末で実行されるプログラムであって、自動運転中に前記端末でアプリケーションプログラムが実行されている場合、前記車両の制御装置から取得した、自動運転から非自動運転への切り替えに関する情報に基づき、前記アプリケーションプログラムの実行終了を要求する終了要求を運転者に通知することを特徴とする。
【0020】
このようなプログラムによれば、端末を使用している運転者に自動運転から非自動運転に切り替える必要があることを効果的に伝えることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、端末を使用している運転者に自動運転から非自動運転に切り替える必要があることを効果的に伝えることができる。
【0022】
また、終了要求として一次終了要求と二次終了要求を通知することで、自動運転から非自動運転に切り替える必要があることをより効果的に伝えることができる。
【0023】
また、終了要求を通知した後に運転者によってアプリケーションプログラムの実行が終了されない場合、アプリケーションプログラムの実行を強制的に終了することで、運転者に非自動運転に切り替わる準備をさせることができる。
【0024】
また、終了要求とともに切替要求を通知することで、シート本体を非運転状態から運転状態に戻す必要があることを効果的に伝えることができる。
【0025】
また、切替要求を運転者に通知した後にシート本体が運転状態に動かされない場合、シート本体を運転状態に動かすことで、運転者に非自動運転に切り替わる準備をさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係るシートシステムの全体構成を説明する図である。
図2】シートの構成を説明する図である。
図3】非運転状態の、運転者シートのシート本体を示す図である。
図4】車両制御部、シート制御部およびスマートフォンの構成を説明するブロック図である。
図5】100m走ゲームで取得する圧力の変化を説明するグラフである。
図6】スマートフォンにおける終了要求通知の動作を示すフローチャートである。
図7】スマートフォンにおける切替要求通知の動作を示すフローチャートである。
図8】スマートフォンの動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照しながら発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、シートシステム1は、シートSと、車両CR内で使用される端末の一例としてのスマートフォンSPとを備えている。
【0028】
シートSは、自動車などの車両CRに搭載される車両用シートである。図2に示すように、シートSは、シート本体S0と、シート本体S0に設けられ、シート本体S0に座っている着座者(運転者を含む)の動作を検出するための測定値を取得するセンサの一例としての圧力センサPS1~PS6と、圧力センサPS1~PS6から測定値を取得可能に圧力センサPSと接続されたシート制御部100とを有している。
【0029】
スマートフォンSPは、ブルートゥース(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信を可能にする近距離通信機3Aを介してシート制御部100と接続されており、圧力センサPS1~PS6から測定値を取得する。スマートフォンSPには、複数のアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」という。)がインストールされており、インストールされたアプリを実行可能である。アプリには、例えば、ゲームを提供するゲームアプリや、電子メールを送受信するためのメールアプリ、動画を再生するための動画再生アプリ、写真や動画を撮影するための撮影アプリなどが含まれる。また、ゲームアプリには、圧力センサPS1~PS6の測定値を利用したアプリが含まれる。スマートフォンSPは、アプリを実行することにより、例えば、シート本体S0を使用したゲームなどを提供可能に構成されている。車両CR(図1参照)には、複数のシートSが搭載されており、各シートSが、1つのシート制御部100に接続されている。
【0030】
シート本体S0は、シートクッションS1およびシートバックS2を有し、圧力センサPS1~PS3がシートクッションS1の表皮の下に設けられ、圧力センサPS4~PS6がシートバックS2の表皮の下に設けられている。各圧力センサPS1~PS6は、シート本体S0の左右の中心に対して左右対称に一対ずつ設けられている。
【0031】
圧力センサPS1,PS2は、シートクッションS1における着座者の臀部に対応する位置に配置されている。詳しくは、圧力センサPS1は、着座者からの荷重が最も大きくかかる着座者の坐骨の最下部に対応する位置に配置され、圧力センサPS2は、圧力センサPS1の少し前の位置に配置されている。圧力センサPS1,PS2は、着座者の臀部からの圧力の測定値(以下、「圧力値」ともいう。)を取得する。
圧力センサPS3は、圧力センサPS1,PS2から前方に大きく離れた位置、具体的には、着座者の大腿に対応する位置に配置されている。圧力センサPS3は、着座者の大腿からの圧力の測定値を取得する。
【0032】
圧力センサPS4,PS5は、シートバックS2の下部に配置されている。詳しくは、圧力センサPS4は、着座者の腰の後ろに対応する位置に配置され、圧力センサPS5は、圧力センサPS4の少し上の位置に配置されている。圧力センサPS4,PS5は、着座者の腰からの圧力の測定値を取得する。
圧力センサPS6は、圧力センサPS4,PS5から上方に大きく離れた位置、具体的には、着座者の背中の上部に対応する位置に配置されている。圧力センサPS6は、着座者の背中の上部に対応する位置からの圧力の測定値を取得する。
【0033】
圧力センサPS1~PS6は、外部からの圧力によって、例えば、電気抵抗が変化する素子であり、圧力値が大きい程、検出信号の電圧が高くなる、または、低くなる。
【0034】
図1に示すように、シートSは、運転者が座る運転者シートSDを含む。運転者シートSDのシート本体S0は、運転者が運転操作をするときの状態である図1に示す運転状態と、図3に示す非運転状態とに切替可能である。非運転状態は、運転状態からシート本体S0の少なくとも一部を動かした状態である。本実施形態において、非運転状態は、運転状態からシート本体S0を180°回転させて後ろ向きとした状態である。
【0035】
本実施形態のシートシステム1は、車両CRに設けられたアクチュエータとしてのシート駆動アクチュエータ31を備え、シート駆動アクチュエータ31によりシート本体S0を運転状態と非運転状態に動かすこと、具体的には、回転させることが可能な構成となっている。シート駆動アクチュエータ31は、自動運転中に運転者がシート向き切替スイッチ21(図4参照)を操作することで駆動してシート本体S0を運転状態から非運転状態に、または、非運転状態から運転状態に回転させる。また、詳細については後述するが、シート駆動アクチュエータ31は、運転者による操作がなくても、スマートフォンSPからの指示により駆動してシート本体S0を非運転状態から運転状態に回転させる場合がある。
【0036】
車両CRは、シートSと、車両CRに持ち込まれて車両CRとともに移動可能なスマートフォンSPと、制御装置としての車両制御部10とを備え、運転者による操作を必要とせずに加速、制動、操舵を自動的に行う自動運転と、運転者が加速、制動、操舵の操作を行う非自動運転とを切替可能に構成されている。
【0037】
図4に示すように、車両制御部10は、自動運転を制御する自動運転制御部11を有する。自動運転制御部11は、タッチパネルなどの入力装置22からの入力により目的地が設定されると、記憶部19に記憶されている地図情報や、GPS受信機23から取得した位置情報、インターネットなどのネットワークを介して取得した道路情報や周辺状況の情報などに基づき、目的地までのルートを設定する。そして、自動運転制御部11は、自動運転を行うことが可能な自動運転区間と、運転者による運転操作を必要とする非自動運転区間を設定する。自動運転区間と非自動運転区間は、適宜更新される。
【0038】
車両制御部10は、自動運転区間を走行中に運転者が自動運転切替スイッチ25を操作して自動運転の開始を指示すると、各種のセンサ、レーダ、カメラなどのセンシング装置24からの入力などに基づき、車両CRの、加速を制御するアクチュエータ、制動を制御するアクチュエータ、操舵を制御するアクチュエータなどの走行制御アクチュエータ32を制御して車両CRを走行させる。運転者が自動運転切替スイッチ25を操作して自動運転の終了を指示すると、車両制御部10は、適宜なタイミングで自動運転から非自動運転に切り替える。
【0039】
シート制御部100は、測定値取得部110と、切替情報取得部120と、通信部180と、記憶部190とを有している。シート制御部100は、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を有し、各機能部は、予め記憶されたプログラムが実行されることで実現されている。
【0040】
測定値取得部110は、各圧力センサPS1~PS6から、一定の制御サイクルごとに圧力の測定値を取得する。測定値取得部110が取得した測定値は、A/D変換されて記憶部190に記憶され、通信部180を介してスマートフォンSPに送信される。
【0041】
切替情報取得部120は、車両制御部10から、自動運転から非自動運転への切り替えに関する情報を取得する。具体的に、切替情報取得部120は、車両制御部10から、自動運転から非自動運転に切り替えるタイミングである切替時刻tsを取得する。車両制御部10は、自動運転区間と非自動運転区間を設定した場合に、自動運転区間を終了する時刻、または、非自動運転区間を開始する時刻として切替時刻tsを算出する。
【0042】
また、切替情報取得部120は、車両制御部10から、運転者シートSDのシート本体S0の状態に関する情報を取得する。具体的に、切替情報取得部120は、シート駆動アクチュエータ31の制御履歴の情報などから、運転者シートSDのシート本体S0が運転状態であるか、非運転状態であるかの情報を取得する。
【0043】
切替情報取得部120が取得した情報は、記憶部190に記憶され、通信部180を介してスマートフォンSPに送信される。
【0044】
スマートフォンSPは、アプリ実行部210と、終了要求通知部220と、切替要求通知部230と、記憶部290とを有している。スマートフォンSPは、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を有し、各機能部は、予め記憶されたプログラムがスマートフォンSPで実行されることで実現されている。
【0045】
なお、本実施形態において、終了要求通知部220および切替要求通知部230は、運転者が使用するスマートフォンSPでのみ実現される。言い換えると、本実施形態において、運転者以外の着座者が使用するスマートフォンSPについては、終了要求通知部220と切替要求通知部230の機能を有していない。
【0046】
アプリ実行部210は、スマートフォンSPにインストールされているアプリを実行する。なお、本発明において、アプリの内容自体は重要ではないので、ここでは、圧力センサPS1~PS6の測定値を利用したアプリの一例として100m走ゲームのゲームアプリについて説明する。
【0047】
100m走ゲームのゲームアプリは、アプリ実行部210で実行されると、スマートフォンSPのディスプレイDSP(図2参照)上にキャラクタを表示し、着座者が座っているシート本体S0上で脚を交互に上げることで、キャラクタをゴールに向けて走らせるというゲームを提供する。
【0048】
詳しくは、スマートフォンSPは、左右の圧力センサPS3(図2参照)から圧力値P3,P3を取得する。また、スマートフォンSPは、着座者の平均的な圧力であるノーマル圧力P3と、圧力値のピーク検出のためのしきい値P3thを決定するとともに、着座者の平均的な脚を動かす周期であるノーマルステップ周期TSを算出する。
【0049】
着座者が脚を交互に上げた場合、圧力値P3,P3は、例えば、図5に示すように変化する。図5において、圧力が急に小さくなっている部分は、着座者が脚を上げたことにより、圧力センサPS3の部分の圧力が小さくなっていることを示す。そして、圧力が小さくなっていない140付近の圧力値が、脚を上げていないときの平均のノーマル圧力P3となる。ノーマル圧力P3を算出するには、例えば、圧力値P3,P3の前回値と今回値の差(今回値から前回値を引いた値とする。)の絶対値が所定値以下である場合、つまり、値の変化が小さいときの今回値を集計して平均すればよい。なお、圧力値の大小は、実際には、電圧値の大小であるが、ここでは、圧力値の大小で比較する形で説明する。
【0050】
しきい値P3thは、脚を上げている最中であることを判定するためのしきい値であり、例えば、ノーマル圧力P3に所定値を乗じた値を用いることができる。
ノーマルステップ周期TSは、圧力値P3,P3のピーク同士の時間間隔であるステップ周期TSの平均値である。
【0051】
圧力値P3,P3は、各圧力値P3,P3が、しきい値P3thより小さい(しきい値P3thを上側から下側へ超えた)という条件下で、前回値と今回値の差が負から正に変化したときにピークに達したと判定することができ、このときの前回値P3(n-1)をピーク値Pmとすることができる。
【0052】
スマートフォンSPは、着座者の動作に応じて圧力値P3,P3のピークを検出すると、ピーク値Pmを算出し、ピーク値Pmとノーマル圧力P3とに基づいて、脚を上げた大きさであるステップ強度F(F,F)を算出する。ステップ強度Fは、ピークの大きさ、つまり、ノーマル圧力P3nから、ピーク値Pmを引いた値とすることができる。なお、着座者の体格の大きさによる違いをなくすため、ステップ強度Fは、ノーマル圧力P3で規格化した値、例えば、
F=(P3-Pm)/P3
とする。
【0053】
そして、スマートフォンSPは、100m走ゲーム中に、ステップ強度Fを算出すると、ディスプレイDSP上のキャラクタをゴールへ向けて移動させる。このときの移動量は、ステップ強度Fの大きさに応じたものである。
【0054】
スマートフォンSPは、キャラクタがゴールに到達すると、ディスプレイDSP上にゴール時のタイムを表示する。また、100m走ゲームのゲームアプリは、ディスプレイDSP上に、複数の走行レーンと、100m走ゲームを実行している複数の着座者のキャラクタを表示し、ゴールに向けて競争できるように構成されている。
【0055】
終了要求通知部220は、自動運転中に運転者が自身のスマートフォンSPでアプリを実行している場合、車両制御部10から取得した切替時刻tsに基づき、アプリの実行終了を要求する終了要求を運転者に通知する。具体的には、終了要求通知部220は、自動運転中に運転者がアプリを実行している場合、車両制御部10から切替時刻tsを取得し、取得した切替時刻tsの所定時間前に終了要求を運転者に通知する。
【0056】
終了要求の通知は、例えば、運転者のスマートフォンSPのディスプレイDSP上に「自動運転を終了してください」という文字などを表示することで行うことができる。また、運転者のスマートフォンSPのスピーカから「自動運転を終了してください」という音声や、警告音などを発することで行うことができる。また、運転者のスマートフォンSPを振動させることで行ってもよい。また、終了要求の通知は、これらを組み合わせて行ってもよい。
【0057】
終了要求通知部220は、終了要求として、まず、一次終了要求を運転者に通知し、一次終了要求を運転者に通知した後、二次終了要求を運転者に通知する。詳しくは、終了要求通知部220は、切替時刻tsの第1時間tp1前である第1通知時刻tw1に一次終了要求を運転者に通知し、切替時刻tsの第2時間tp2前である第2通知時刻tw2に二次終了要求を運転者に通知する。第2通知時刻tw2は、第1通知時刻tw1よりも後の時刻である。また、第2時間tp2は、第1時間tp1よりも短い時間であり、例えば、第1時間tp1を15分、第2時間tp2を10分などに設定することができる。
【0058】
一次終了要求の通知と、二次終了要求の通知は、同じ方法で行ってもよいし、異なる方法で行ってもよい。異なる方法としては、例えば、一次終了要求の通知は、ディスプレイDSP上に文字を表示することで行い、二次終了要求の通知は、音声を発することで行うようにすることができる。また、例えば、警告音を発するという同じ方法で行う場合でも、二次終了要求の通知は、一次終了要求の通知と異なる音や、一次終了要求の通知よりも大きな音で行うようにすることができる。
【0059】
また、終了要求通知部220は、終了要求を運転者に通知した後に、運転者の操作によってアプリの実行が終了されない場合、アプリ実行部210におけるアプリの実行を強制的に終了する。具体的には、終了要求通知部220は、二次終了要求を通知した後に、運転者によってアプリの実行が終了されない場合、切替時刻tsの第3時間tp3前である終了時刻tw3にアプリの実行を強制的に終了する。終了時刻tw3は、第2通知時刻tw2よりも後の時刻である。また、第3時間tp3は、第2時間tp2よりも短い時間であり、例えば、5分などに設定することができる。
【0060】
なお、アプリの実行を強制的に終了する場合、その旨を運転者に通知した後に実際にアプリを終了するようにしてもよい。例えば、運転者のスマートフォンSPのディスプレイDSP上に「アプリを終了します」という文字などを表示した後にアプリを終了するようにしてもよい。また、運転者のスマートフォンSPのスピーカから「アプリを終了します」という音声などを発した後にアプリを終了するようにしてもよい。また、例えば、「アプリを終了します。運転に備えてください」というメッセージを文字や音声によって通知するようにしてもよい。
【0061】
終了要求通知部220は、一次終了要求を通知した場合、終了要求フラグFL1を0から1として一次終了要求を通知したことを記憶部290に記憶させ、二次終了要求を通知した場合、終了要求フラグFL1を1から2として二次終了要求を通知したことを記憶部290に記憶させる。終了要求フラグFL1の初期値は0であり、運転者の操作によってアプリが終了した場合や、アプリを強制的に終了させた場合に0にリセットされる。
【0062】
切替要求通知部230は、自動運転中に運転者シートSDのシート本体S0が非運転状態(図3参照)である場合、シート本体S0を非運転状態から運転状態に動かすように要求する切替要求を運転者に通知する。具体的には、切替要求通知部230は、自動運転中に、運転者のスマートフォンSPでアプリが実行されており、かつ、車両制御部10から取得した運転者シートSDのシート本体S0の状態の情報が非運転状態を示す情報である場合、車両制御部10から切替時刻tsを取得し、取得した切替時刻tsの所定時間前に切替要求を運転者に通知する。
【0063】
切替要求の通知は、終了要求の通知と同様に、例えば、運転者のスマートフォンSPのディスプレイDSP上に「シートを前向きに戻してください」という文字などを表示することで行うことができる。また、運転者のスマートフォンSPのスピーカから「シートを前向きに戻してください」という音声や、警告音などを発することで行うことができる。また、運転者のスマートフォンSPを振動させることで行ってもよい。また、切替要求の通知は、これらを組み合わせて行ってもよい。
【0064】
本実施形態において、切替要求通知部230は、切替要求として、まず、一次切替要求を運転者に通知し、一次切替要求を運転者に通知した後、二次切替要求を運転者に通知する。詳しくは、切替要求通知部230は、第1通知時刻tw1に一次切替要求を運転者に通知し、第2通知時刻tw2に二次切替要求を運転者に通知する。
【0065】
一次切替要求の通知と、二次切替要求の通知は、終了要求の通知の場合と同様に、同じ方法で行ってもよいし、異なる方法で行ってもよい。
【0066】
本実施形態においては、自動運転中に、運転者のスマートフォンSPでアプリが実行されており、かつ、運転者シートSDのシート本体S0が非運転状態である場合において、終了要求を運転者に通知する場合には、終了要求とともに、切替要求が運転者に通知される。詳しくは、終了要求通知部220が一次終了要求を通知するときに、シート本体S0が非運転状態である場合、一次終了要求とともに、切替要求通知部230が一次切替要求を通知する。また、終了要求通知部220が二次終了要求を通知するときに、シート本体S0が非運転状態である場合、二次終了要求とともに、切替要求通知部230が二次切替要求を通知する。
【0067】
また、切替要求通知部230は、切替要求を運転者に通知した後に、運転者の操作によって運転者シートSDのシート本体S0が非運転状態から運転状態に動かされない場合、シート駆動アクチュエータ31を駆動させてシート本体S0を非運転状態から運転状態に強制的に動かす。具体的には、切替要求通知部230は、二次切替要求を通知した後に、シート本体S0が運転状態に動かされない場合、終了時刻tw3にシート本体S0を運転状態に動かす。
【0068】
本実施形態において、終了要求通知部220がアプリを強制的に終了するときに、シート本体S0が非運転状態である場合、アプリの強制終了とともに、切替要求通知部230がシート本体S0を運転状態に動かす。
【0069】
なお、アプリの強制終了のタイミングをシート本体S0を運転状態に強制的に動かすタイミングよりも後のタイミングとし、シート本体S0を運転状態に強制的に動かす場合には、シート本体S0を運転状態に動かす旨をスマートフォンSPを通じて運転者に通知した後に実際にシート本体S0を運転状態に動かすようにしてもよい。この場合、例えば、運転者のスマートフォンSPのディスプレイDSP上に「シートを前向きに戻します」という文字などを表示した後に運転状態に動かすようにしてもよい。また、運転者のスマートフォンSPのスピーカから「シートを前向きに戻します」という音声などを発した後に運転状態に動かすようにしてもよい。また、例えば、「シートを前向きに戻します。運転に備えてください」というメッセージを文字や音声によって通知するようにしてもよい。
【0070】
切替要求通知部230は、一次切替要求を通知した場合、切替要求フラグFL2を0から1として一次切替要求を通知したことを記憶部290に記憶させ、二次切替要求を通知した場合、切替要求フラグFL2を1から2として二次切替要求を通知したことを記憶部290に記憶させる。切替要求フラグFL2の初期値は0であり、運転者の操作によってシート本体S0が運転状態に動かされた場合や、シート駆動アクチュエータ31によってシート本体S0を運転状態に動かした場合に0にリセットされる。
【0071】
次に、運転者のスマートフォンSPの動作について、図6および図7のフローチャートを参照しながら説明する。
スマートフォンSPは、図6および図7に示す動作を所定の制御サイクルごとに繰り返し実行している。
【0072】
図6に示すように、スマートフォンSPは、自動運転中であるか否か判定する(S101)。自動運転中でない場合(S101,No)、処理を終了する。自動運転中である場合(S101,Yes)、スマートフォンSPは、アプリ実行中であるか否か判定する(S102)。アプリ実行中でない場合(S102,No)、処理を終了する。アプリ実行中である場合(S102,Yes)、スマートフォンSPは、車両制御部10から切替時刻tsを取得する(S103)。そして、スマートフォンSPは、第1通知時刻tw1、第2通知時刻tw2および終了時刻tw3を算出する(S104)。
【0073】
次に、スマートフォンSPは、終了要求フラグFL1が0であるか否か判定する(S105)。終了要求フラグFL1が0である場合(S105,Yes)、スマートフォンSPは、第1通知時刻tw1となったか否か判定する(S106)。第1通知時刻tw1となっていない場合(S106,No)、処理を終了する。第1通知時刻tw1となった場合(S106,Yes)、スマートフォンSPは、一次終了要求を運転者に通知し(S107)、終了要求フラグFL1を1として(S108)、ステップS110に進む。
【0074】
ステップS105において、終了要求フラグFL1が0でない場合(No)、スマートフォンSPは、終了要求フラグFL1が1であるか否か判定する(S109)。終了要求フラグFL1が1である場合(S109,Yes)、ステップS110に進む。
【0075】
ステップS110において、スマートフォンSPは、第2通知時刻tw2となったか否か判定する。第2通知時刻tw2となっていない場合(S110,No)、処理を終了する。第2通知時刻tw2となった場合(S110,Yes)、スマートフォンSPは、二次終了要求を運転者に通知し(S111)、終了要求フラグFL1を2として(S112)、ステップS113に進む。ステップS109において、終了要求フラグFL1が1でない場合も(No)、ステップS113に進む。
【0076】
ステップS113において、スマートフォンSPは、終了時刻tw3となったか否か判定する。終了時刻tw3となっていない場合(S113,No)、スマートフォンSPは、運転者の操作によってアプリの実行が終了されたか否か判定する(S114)。アプリが終了されない場合(S114,No)、処理を終了する。アプリが終了された場合(S114,Yes)、ステップS116に進む。
【0077】
ステップS113において、終了時刻tw3となった場合(Yes)、スマートフォンSPは、アプリの実行を強制的に終了し(S115)、ステップS116に進む。ステップS116において、スマートフォンSPは、終了要求フラグFL1を0にリセットし、処理を終了する。
【0078】
また、図7に示すように、スマートフォンSPは、自動運転中(S101,Yes)に、運転者が、シート本体S0を非運転状態に動かし(後ろ向きにし)(S202,Yes)、当該スマートフォンSPを使用している場合(アプリ実行中の場合)(S102,Yes)、図6の終了要求通知の動作と並行して、切替要求通知の動作を実行する。そして、ステップS205において切替要求フラグFL2が0であり(Yes)、かつ、ステップS106において第1通知時刻tw1となった場合(Yes)、スマートフォンSPは、一次切替要求を運転者に通知し(S207)、切替要求フラグFL2を1とする(S208)。このとき、一次終了要求も通知する場合には、スマートフォンSPは、一次終了要求の通知とともに一次切替要求を運転者に通知する。
【0079】
また、ステップS205において切替要求フラグFL2が0でなく(No)、かつ、ステップS209において切替要求フラグFL2が1である場合(Yes)において、第2通知時刻tw2となった場合(S110,Yes)、スマートフォンSPは、二次切替要求を運転者に通知し(S211)、切替要求フラグFL2を2とする(S212)。このとき、二次終了要求も通知する場合には、スマートフォンSPは、二次終了要求の通知とともに二次切替要求を運転者に通知する。
【0080】
また、ステップS209において切替要求フラグFL2が1でない場合(No)において、終了時刻tw3となった場合(S113,Yes)、スマートフォンSPは、運転者シートSDのシート本体S0をシート駆動アクチュエータ31により非運転状態から運転状態に動かし(S215)、切替要求フラグFL2を0にリセットする(S216)。このとき、アプリを強制終了する場合には、スマートフォンSPは、アプリの強制終了とともに運転者シートSDのシート本体S0を運転状態に動かす。
【0081】
なお、終了時刻tw3となる前(S113,No)に運転者シートSDのシート本体S0が運転者の操作によって非運転状態から運転状態に動かされない場合(S214,No)には、処理を終了する。一方、運転状態に動かされた場合(S214,Yes)には、スマートフォンSPは、切替要求フラグFL2を0にリセットして(S216)、処理を終了する。
【0082】
次に、運転者のスマートフォンSPの動作について、図8のタイムチャートを参照しながら説明する。
図8に示すように、時刻t1で自動運転が開始され、時刻t2で運転者シートSDのシート本体S0が非運転状態に動かされ、時刻t3でアプリの実行が開始された場合、スマートフォンSPは、所定の制御サイクルごとに、第1通知時刻tw1、第2通知時刻tw2および終了時刻tw3を算出する。
【0083】
そして、時刻t4において、第1通知時刻tw1となると、スマートフォンSPは、一次終了要求と一次切替要求を運転者に通知して各フラグFL1,FL2を0から1に変更する。その後、例えば、時刻t5において、運転者が自らシート本体S0を運転状態に動かすと、スマートフォンSPは、破線で示すように切替要求フラグFL2を1から0にリセットし、その後の二次切替要求の通知および運転状態への切り替えを実行しない。また、例えば、時刻t6において、運転者が自らアプリを終了すると、スマートフォンSPは、破線で示すように終了要求フラグFL1を1から0にリセットし、その後の二次終了要求の通知およびアプリの強制終了を実行しない。
【0084】
一方、一次終了要求が通知された後もアプリの実行や非運転状態が継続された場合、時刻t7で第2通知時刻tw2となると、スマートフォンSPは、二次終了要求と二次切替要求を運転者に通知して各フラグFL1,FL2を1から2に変更する。その後、例えば、時刻t8において、運転者が自らシート本体S0を運転状態に動かすと、スマートフォンSPは、破線で示すように切替要求フラグFL2を2から0にリセットし、その後の運転状態への切り替えを実行しない。また、例えば、時刻t9において、運転者が自らアプリを終了すると、スマートフォンSPは、破線で示すように終了要求フラグFL1を2から0にリセットし、その後のアプリの強制終了を実行しない。
【0085】
二次終了要求が通知された後もアプリの実行や非運転状態が継続された場合、時刻t10で終了時刻tw3となると、スマートフォンSPは、アプリを強制終了して終了要求フラグFL1を0にリセットするとともに、シート本体S0を運転状態に切り替えて切替要求フラグFL2を0にリセットする。
その後、時刻t11において、切替時刻tsとなると、自動運転から非自動運転に切り替えられ、運転者は運転操作を開始(再開)する。
【0086】
以上説明した本実施形態によれば、スマートフォンSPは、自動運転中にアプリを実行している場合、車両制御部10から取得した切替時刻tsに基づいて終了要求を運転者に通知するので、スマートフォンSPを使用している運転者に自動運転から非自動運転に切り替える必要があることを効果的に伝えることができる。
【0087】
また、スマートフォンSPは、終了要求として一次終了要求と二次終了要求を運転者に通知するので、自動運転から非自動運転に切り替える必要があることを段階的に通知することができる。これにより、自動運転から非自動運転に切り替える必要があることをより効果的に伝えることができる。
【0088】
また、スマートフォンSPは、終了要求を運転者に通知した後に運転者によってアプリの実行が終了されない場合、アプリの実行を強制的に終了するので、運転者に非自動運転に切り替わる準備をさせることができる。
【0089】
また、スマートフォンSPは、終了要求を運転者に通知する場合にシート本体S0が非運転状態である場合、終了要求とともに、切替要求を運転者に通知するので、スマートフォンSPを使用している運転者に当該スマートフォンSPを通じてシート本体S0を非運転状態から運転状態に戻す必要があることを効果的に伝えることができる。
【0090】
また、スマートフォンSPは、切替要求として一次切替要求と二次切替要求を運転者に通知するので、シート本体S0を運転状態に戻す必要があることを段階的に通知することができる。これにより、シート本体S0を運転状態に戻す必要があることをより効果的に伝えることができる。
【0091】
また、スマートフォンSPは、切替要求を運転者に通知した後に運転者の操作によってシート本体S0が運転状態に動かされない場合、シート駆動アクチュエータ31を駆動させてシート本体S0を運転状態に動かすので、運転者に非自動運転に切り替わる準備をさせることができる。
【0092】
以上に発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、適宜変形して実施することが可能である。
例えば、前記実施形態においては、一次終了要求と二次終了要求の2回の終了要求を運転者に通知したが、終了要求の通知は、1回であってもよいし、3回以上であってもよい。また、運転者がアプリを終了するまで、例えば、ディスプレイDSP上の文字の点滅を繰り返したり、音声や警告音を発し続けたりして、終了要求の通知を継続するようにしてもよい。切替要求についても同様である。
【0093】
また、前記実施形態においては、車両制御部10から取得する、自動運転から非自動運転への切り替えに関する情報として、切替時刻tsを例示したが、例えば、自動運転から非自動運転への切り替えに関する情報は、車両制御部が設定した自動運転区間および/または非自動運転区間の情報であってもよい。この場合、切替時刻tsをスマートフォンが算出するようにしてもよい。
【0094】
また、自動運転から非自動運転への切り替えに関する情報は、第1通知時刻tw1、第2通知時刻tw2、終了時刻tw3などであってもよい。つまり、スマートフォンは、第1通知時刻tw1、第2通知時刻tw2、終了時刻tw3を、算出するのではなく、車両制御部から取得してもよい。
【0095】
また、前記実施形態においては、一次終了要求の通知タイミングと一次切替要求の通知タイミングが同じタイミングであったが、異なるタイミングであってもよい。つまり、一次切替要求の通知タイミングは、一次終了要求のタイミングに対し、時間的に多少前後していてもよい。二次終了要求の通知タイミングと二次切替要求の通知タイミングや、アプリの強制終了のタイミングとシート本体S0の運転状態への切り替えのタイミングについても同様である。
【0096】
また、終了要求通知部220や切替要求通知部230の機能は、ゲームアプリなどのスマートフォンSPで実行可能なアプリに組み込まれていてもよい。
【0097】
また、前記実施形態においては、非運転状態として、シート本体S0の全体を回転させて後ろ向きとした状態を例示したが、非運転状態は、例えば、シート本体の一部であるシートバックを後ろに倒したリクライニング状態などであってもよい。
【0098】
また、シート本体を運転状態と非運転状態に動かすアクチュエータを備えない構成であってもよい。つまり、シート本体は、手動で運転状態と非運転状態に動かす構成であってもよい。また、シート本体が運転状態であるか、非運転状態であるかの判定は、例えば、ジャイロセンサなど、シート本体の少なくとも一部の向きや位置などを検出可能なセンサの検出信号に基づいて行うことができる。一例として、ジャイロセンサをシートクッションのフレームや、シートバックのフレームの上部などに取り付け、ジャイロセンサが検出した座標値に基づいてシート本体の向きやシートバックの角度などを判定することができる。
【0099】
また、前記実施形態においては、車両内で使用される端末としてスマートフォンSPを例示したが、端末は、タブレット型コンピュータやノートパソコンなどであってもよい。また、端末は、携帯型の端末ではなく、車両に固定的に設置されたナビゲーションシステムなどであってもよい。
【0100】
また、前記実施形態においては、センサとして圧力センサPS1~PS6を例示したが、センサは、他の種類のセンサ、例えば、静電容量センサや温度センサなどであってもよい。
【0101】
また、前記実施形態においては、車両として自動車を例示したが、車両は、自動運転と非自動運転を切替可能な車両であれば、自動車以外の車両であってもよい。
【0102】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 シートシステム
10 車両制御部
31 シート駆動アクチュエータ
CR 車両
PS1~PS6 圧力センサ
S シート
S0 シート本体
SP スマートフォン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8