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  • 特許-回転式締結装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】回転式締結装置
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/00 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
B25B21/00 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020004180
(22)【出願日】2020-01-15
(65)【公開番号】P2020116731
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2020-01-15
(31)【優先権主張番号】62/794714
(32)【優先日】2019-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504221635
【氏名又は名称】優鋼機械股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】謝智慶
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202018106414(DE,U1)
【文献】中国特許出願公開第108687707(CN,A)
【文献】登録実用新案第3218145(JP,U)
【文献】登録実用新案第3218146(JP,U)
【文献】実公昭49-044699(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3143372(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0326564(US,A1)
【文献】特開2001-153133(JP,A)
【文献】実開昭53-016783(JP,U)
【文献】実開平05-030589(JP,U)
【文献】登録実用新案第3219785(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式締結装置であって、
ホルダと、前記ホルダの一端に設けられ、レンチに接続されるための入力端と、前記ホルダの他端に設けられ、締結部材に接続及び連動することに用いられる出力端と、前記ホルダに設けられる係着部と、を含む回転軸と、
前記回転軸の前記入力端から前記出力端への方向に沿って延出する重力部と、前記重力部によって取り囲まれた環状空間と、前記環状空間に連通する係着孔と、前記回転軸の前記出力端から前記入力端への方向に沿って延出する突出部と、を含み、前記回転軸に着脱可能に接続される慣性部材と、
弾性部材と、前記弾性部材の一端に接続されて、前記慣性部材に当接するためのボールと、を含み、前記ホルダに設けられる少なくとも1つの当接ユニットと、
を備え、
前記重力部は、前記慣性部材の縁を取り囲んで配置され、前記慣性部材の一方の表面から突出し、前記回転式締結装置の重心を前記出力端に近づかせ、前記係着部は、前記係着孔に着脱可能に接続され、前記突出部は、前記慣性部材の他方の表面から突出し、前記係着部を取り囲み前記係着部に接続され、
前記回転軸は、前記ホルダの前記入力端に近い一端に設けられ、その内に前記少なくとも1つの当接ユニットが設けられる少なくとも1つの収納溝を更に含み、
前記ボールは、前記収納溝から突出し、前記慣性部材に当接する、回転式締結装置。
【請求項2】
前記係着部は、複数の係着歯を含み、前記係着孔は、前記各係着歯に対応して配合される複数の係着溝を含む請求項1に記載の回転式締結装置。
【請求項3】
前記各係着歯は、カスプ状になる請求項2に記載の回転式締結装置。
【請求項4】
前記慣性部材は、
複数の内壁と、
前記各内壁に設けられる複数の嵌合溝と、
を更に含む請求項1に記載の回転式締結装置。
【請求項5】
前記慣性部材の前記嵌合溝内に嵌設されるC型リングを更に備える請求項4に記載の回転式締結装置。
【請求項6】
前記慣性部材は、
識別用の色を有する後面を更に含む請求項1に記載の回転式締結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式締結装置に関し、特に、締結部材に適用され且つ回動モーメントを増加させることのできる回転式締結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回転式締結装置は、ますます軽量になるが、その中の回動モーメントを制御するためのモータに限られて、その軽量化及びトルク増加の効果を同時に達成し難い。回転式締結装置のトルクを増加させるために、一体成形された慣性部材を有する回転式締結装置が提案されている。しかしながら、このような一体成形された慣性部材が交換されることができなく、回転式締結装置の便利性が更に低下される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに鑑みて、回転式締結装置の駆動時のトルク力及びその操作の便利性を如何に向上させるかは、関連業者の協力する目標となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、慣性部材の重力部の設置によって、回転式締結装置全体の重心をより出力端に近づかせ、回転式締結装置の回動モーメントを更に増加させることのできる回転式締結装置を提供する。
【0005】
本発明の一態様によると、ホルダと、ホルダの一端に設けられ、レンチに接続されるための入力端と、ホルダの他端に設けられ、締結部材に接続及び連動することに用いられる出力端と、ホルダに設けられる係着部と、を含む回転軸と、回転軸の入力端から出力端への方向に沿って出する重力部と、重力部によって取り囲まれた環状空間と、環状空間に連通する係着孔と、回転軸の出力端から入力端への方向に沿って延出する突出部と、を含み、回転軸に着脱可能に接続される慣性部材と、を備え、重力部は、慣性部材の縁を取り囲んで配置され、慣性部材の一方の表面から突出し、係着部は、係着孔に着脱可能に接続され、突出部は、慣性部材の他方の表面から突出する、回転式締結装置を提供する。
【0006】
前記態様の回転式締結装置によると、係着部は、複数の係着歯を含んでよく、係着孔は、各係着歯に対応して配合される複数の係着溝を含む。
【0007】
前記態様の回転式締結装置によると、各係着歯は、カスプ状になってよい。
【0008】
前記態様の回転式締結装置によると、慣性部材は、複数の内壁と、各内壁に設けられる複数の嵌合溝と、を更に含んでよい。
【0009】
前記態様の回転式締結装置によると、慣性部材の嵌合溝内に嵌設されるC型リングを更に備えてよい。
【0011】
前記態様の回転式締結装置によると、慣性部材は、識別用の色を有してよい後面を更に含んでよい。
【0012】
前記態様の回転式締結装置によると、弾性部材と、弾性部材の一端に接続されて、慣性部材に当接するためのボールと、を含み、ホルダに設けられる少なくとも1つの当接ユニットを更に備え、回転軸は、ホルダの入力端に近い一端に設けられ、その内に少なくとも1つの当接ユニットが設けられる少なくとも1つの収納溝を更に含み、ボールは、収納溝から突出し、慣性部材に当接してよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による回転式締結装置を示す模式図である。
図2図1の実施形態による回転式締結装置を示す分解図である。
図3図1の実施形態による回転式締結装置を断面線A-Aに沿って示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して実施例を説明する。明確に説明するために、多くの実際的な細部を下記叙述で合わせて説明する。しかしながら、これらの実際の細部は本発明を制限するためのものではないことを理解すべきである。つまり、本発明の実施形態の一部において、これらの実際の細部は、必要ないものである。また、図面を簡略化するために、ある従来慣用の構造及び素子は、図面において簡単で模式的に示される。また、繰り返した素子を同じ又は類似な番号で表すことがある。
【0016】
図1図2及び図3を参照すると、図1は本発明の一実施形態による回転式締結装置100を示す模式図であり、図2図1の実施形態による回転式締結装置100を示す分解図であり、図3図1の実施形態による回転式締結装置100を断面線A-Aに沿って示す断面図である。図1図3から分かるように、回転式締結装置100は、回転軸110と、回転軸110に着脱可能に接続される慣性部材120と、を備える。
【0017】
詳しくは、回転軸110は、ホルダ111と、入力端113と、出力端112と、係着部114と、を含む。入力端113は、ホルダ111の一端に設けられ、例えば電動レンチ、インパクトレンチ又はトルクレンチ等のレンチ(図示せず)に接続されることに用いられる。入力端113は、レンチに接続されるための、矩形であってよい入力孔1131を含む。これにより、レンチは、入力孔1131によって回転式締結装置100を駆動させることができる。出力端112は、ホルダ111の他端に設けられ、出力孔1121を含む。出力孔1121は、六角形であってよく、例えば、ネジ、ナット又はねじ付きバー等の締結部材に接続及び連動することに用いられる。ここで特に説明すべきなのは、入力孔1131及び出力孔1121の形状は、図1及び図2の実施形態に限定されない。係着部114は、ホルダ111に設けられる。慣性部材120は、回転軸110の係着部114に固定され、重力部121及び係着孔122を含む。重力部121は、回転軸110の出力端112に向かって延出して、環状空間128を形成する。係着孔122が環状空間128に連通する。これにより、レンチは、回転式締結装置100の回転軸110に接続される場合、締結部材を締め込み又は外れるように、慣性部材120及び回転軸110を駆動させてよい。重力部121が回転軸110の出力端112に向かって延出し、且つ環状空間128が回転軸110の出力端112に対向して設けられるので、慣性部材120の重心をより回転軸110の出力端112へ偏らせる。つまり、回転式締結装置100が駆動される場合、回転式締結装置100全体の重心をより出力端112に近づかせ、回転式締結装置100の回動モーメントを更に増加させることができる。
【0018】
回転軸110の係着部114は、複数の係着歯1141を含み、且つ図2の実施形態において、係着歯1141は6つであるが、本発明はこれに限定されない。図2において、係着歯1141は、カスプ状になってよい。係着孔122は、複数の係着溝1221を含み、且つ図2の実施形態において、係着溝1221は6つであってよいが、本発明はこれに限定されない。各係着溝1221は、各係着歯1141に対応して配合される。これにより、慣性部材120の係着孔122が回転軸110の係着部114に係着されることで、慣性部材120を回転軸110に接続されることができる。なお、レンチが回転式締結装置100を駆動させる場合、係着溝1221は、係着歯1141の摩損を防止することができる。
【0019】
異なるサイズの締結部材を締め込み又は外れるために、慣性部材120に異なるサイズの出力孔1121を有する回転軸110が接続されてよい。つまり、慣性部材120は、異なるサイズの出力孔1121を有する異なる回転軸110に係合し又はそれから離脱することができる。これにより、使用者は、締結部材のサイズに応じて異なる回転軸110を選択して、締結部材を締め込み又は外れるように、選ばれた回転軸110を慣性部材120に接続させて、回転式締結装置100の便利性を向上させることができる。
【0020】
また図2及び図3を参照すると、慣性部材120は、回転軸110に更に安定して接続されるように、複数の内壁123と、複数の嵌合溝124と、を更に含んでよく、回転式締結装置100は、C型リング130を更に備えてよい。より詳しくは、各嵌合溝124が各内壁123に設けられ、C型リング130が慣性部材120の嵌合溝124内に弾性的に嵌設される(図3に示すように)。係着部114は、各係着歯1141に設けられる複数の固定溝1142を更に含み、且つC型リング130が係着部114の固定溝1142内に弾性的に嵌設される(図3に示すように)。つまり、慣性部材120が回転軸110に接続される場合、C型リング130が係着部114の固定溝1142と慣性部材120の嵌合溝124との間に弾性的に嵌設されることで、回転軸110と慣性部材120との接続強度を向上させる。各内壁123が2つの係着溝1221の間に設けられ、且つ各係着溝1221が各係着歯1141に対応して配合されるので、慣性部材120の各内壁123と回転軸110の係着部114との接触面積を増加させることができる。回転軸110は、係着部114に接続されるようにホルダ111に設けられる環状位置決め部115を更に含んでよい。これにより、回転式締結装置100が駆動される場合、慣性部材120が入力端113に向かって回転軸110から離脱することをC型リング130によって避けることができ、且つ慣性部材120が出力端112に向かって回転軸110から離脱することを環状位置決め部115によって避けることができる。これにより、慣性部材120が回転軸110に更に確実に係着されて、回転式締結装置100の回動モーメントを増加させることができる。
【0021】
慣性部材120は、回転軸110の入力端113に向かって延出する突出部126を更に含んでよい。これにより、慣性部材120の重心をより出力端112に近づかせ、回転式締結装置100の回動モーメントを増加させる。
【0022】
慣性部材120は、識別用の色を有する後面127を更に含んでよい。詳しくは、後面127は、フールプルーフ機能を提供することができ、例として、出力端112に向かうべきであることを表すように、緑であってよく、これにより、使用者が間違った方向で慣性部材120と回転軸110とを接続しないようにすることができる。
【0023】
慣性部材120が回転軸110から離脱しないように、回転式締結装置100は、少なくとも1つの当接ユニット140を更に備えてよい。当接ユニット140は、弾性部材141と、ボール142と、を含み、入力端113に近づくようにホルダ111に設けられる。弾性部材141はばねであってよく、ボール142は鋼球であってよいが、本発明はこの開示内容に限定されない。ボール142は、弾性部材141の一端に接続されて、慣性部材120に当接することに用いられる。より詳しくは、回転軸110は、入力端113に近づくようにホルダ111に設けられる少なくとも1つの収納溝129を更に含んでよい。図3から分かるように、当接ユニット140が収納溝129内に設けられ、弾性部材141の他端が収納溝129に接続される。慣性部材120が回転軸110に接続される場合、ボール142は、回転軸110の収納溝129から突出し、慣性部材120に当接し、これにより、当接ユニット140及びC型リング130は、慣性部材120が回転軸110から離脱することを効果的に避けて、回転式締結装置100全体の構造の安定度を向上させることができる。
【0024】
以上をまとめると、本発明の回転式締結装置のメリットは、下記の通りである。
【0025】
一、重力部が回転軸の出力端に向かって延出し、慣性部材の重心をより出力端に近づかせるので、回転式締結装置の回動モーメントを増加させることができる。
【0026】
二、各係着歯がカスプ状になるので、回転式締結装置の耐用性を向上させることができ、且つ慣性部材がより回転軸に確実に接続され、回転式締結装置の回動モーメントを更に増加させることができる。
【0027】
三、慣性部材に異なるサイズの出力孔を有する回転軸が接続されて、回転式締結装置の使用の便利性を向上させることができる。
【0028】
四、突出部が回転軸の入力端へ延出するので、慣性部材の重心をより出力端に近づかせ、回転式締結装置の回動モーメントを増加させることができる。
【0029】
五、後面が識別用の色を有することで、使用者が間違った方向で慣性部材と回転軸とを接続しないようにする。
【0030】
六、当接ユニット及びC型リングが設けられるので、慣性部材を回転軸に更に確実に接続されることができる。回転式締結装置が駆動される場合、当接ユニット及びC型リングによって、慣性部材が回転軸から離脱することを効果的に避けることができ、これにより、回転式締結装置の回動モーメントを増加させることができる。
【0031】
本発明の実施例を前記の通りに開示したが、それは本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神や範囲から逸脱せずに、多様の変更や修正を加えてもよいので、本発明の保護範囲は、後の特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0032】
100 回転式締結装置
110 回転軸
111 ホルダ
112 出力端
1121 出力孔
113 入力端
1131 入力孔
114 係着部
1141 係着歯
1142 固定溝
115 環状位置決め部
120 慣性部材
121 重力部
122 係着孔
1221 係着溝
123 内壁
124 嵌合溝
126 突出部
127 後面
128 環状空間
129 収納溝
130 C型リング
140 当接ユニット
141 弾性部材
142 ボール
図1
図2
図3