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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
A63F5/04 650
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020066850
(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2021159584
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大島 龍明
【審査官】馬渕 貴洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-176196(JP,A)
【文献】特開2017-104396(JP,A)
【文献】特開2006-254988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、
複数の前記回転リールの回転を開始させるための操作を受け付けるスタートスイッチと、
前記スタートスイッチの操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のうちのいずれかの役に当せんしたか否かを決定する内部抽せん部と、
複数の前記回転リールの回転を停止させるための操作を受け付ける複数のストップスイッチと、
遊技者にとっての有利度が異なる複数の設定値のうちのいずれかの設定値を設定する設定部と、
前記設定部によって設定された設定値を示唆する示唆演出を制御する演出制御部とを備え、
前記演出制御部は、遊技者による前記ストップスイッチの操作態様に応じて出玉に関する恩恵が異なる特定役が前記内部抽せん部の内部抽せんによって当せんした場合であって遊技者の前記ストップスイッチの操作態様が恩恵が小さくなる態様である不利態様であった場合に、前記示唆演出を実行可能とし、
前記特定役には、前記複数のストップスイッチの正解押し順が決められており且つ前記正解押し順が報知される役である第1特定役が含まれ、
前記不利態様による操作は、前記第1特定役が前記内部抽せん部の内部抽せんによって当せんした場合における前記正解押し順とは異なる押し順での操作であることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、
複数の前記回転リールの回転を開始させるための操作を受け付けるスタートスイッチと、
前記スタートスイッチの操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のうちのいずれかの役に当せんしたか否かを決定する内部抽せん部と、
複数の前記回転リールの回転を停止させるための操作を受け付ける複数のストップスイッチと、
遊技者にとっての有利度が異なる複数の設定値のうちのいずれかの設定値を設定する設定部と、
前記設定部によって設定された設定値を示唆する示唆演出を制御する演出制御部とを備え、
前記演出制御部は、遊技者による前記ストップスイッチの操作態様に応じて出玉に関する恩恵が異なる特定役が前記内部抽せん部の内部抽せんによって当せんした場合であって遊技者の前記ストップスイッチの操作態様が恩恵が小さくなる態様である不利態様であった場合に、前記示唆演出を実行可能とし、
前記特定役には、前記複数のストップスイッチの操作タイミングが所定タイミングである場合に入賞するが、前記所定タイミングでない場合には非入賞となる役である第2特定役が含まれ、
前記不利態様による操作は、前記第2特定役が前記内部抽せん部の内部抽せんによって当せんした場合における非入賞となる操作タイミングでの操作であることを特徴とする遊技機。
【請求項3】
複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、
複数の前記回転リールの回転を開始させるための操作を受け付けるスタートスイッチと、
前記スタートスイッチの操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のうちのいずれかの役に当せんしたか否かを決定する内部抽せん部と、
複数の前記回転リールの回転を停止させるための操作を受け付ける複数のストップスイッチと、
遊技者にとっての有利度が異なる複数の設定値のうちのいずれかの設定値を設定する設定部と、
前記設定部によって設定された設定値を示唆する示唆演出を制御する演出制御部とを備え、
前記演出制御部は、遊技者による前記ストップスイッチの操作態様に応じて出玉に関する恩恵が異なる特定役が前記内部抽せん部の内部抽せんによって当せんした場合であって遊技者の前記ストップスイッチの操作態様が恩恵が小さくなる態様である不利態様であった場合に、前記示唆演出を実行可能とし、
前記演出制御部は、前記不利態様での前記ストップスイッチの操作の回数に応じて前記示唆演出を実行するか否かを決定する処理の実施が可能であることを特徴とする遊技機。
【請求項4】
複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、
複数の前記回転リールの回転を開始させるための操作を受け付けるスタートスイッチと、
前記スタートスイッチの操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のうちのいずれかの役に当せんしたか否かを決定する内部抽せん部と、
複数の前記回転リールの回転を停止させるための操作を受け付ける複数のストップスイッチと、
遊技者にとっての有利度が異なる複数の設定値のうちのいずれかの設定値を設定する設定部と、
前記設定部によって設定された設定値を示唆する示唆演出を制御する演出制御部と、
内部に前記回転リールが配置される筐体と、
前記筐体内に配置され、前記演出制御部による示唆演出の機能のオンおよびオフを切り替えるために操作される示唆切替操作部と、
前記示唆切替操作部への操作に応じて、前記演出制御部による示唆演出の機能のオンおよびオフを切り替える示唆切替部とを備え、
前記演出制御部は、遊技者による前記ストップスイッチの操作態様に応じて出玉に関する恩恵が異なる特定役が前記内部抽せん部の内部抽せんによって当せんした場合であって遊技者の前記ストップスイッチの操作態様が恩恵が小さくなる態様である不利態様であった場合に、前記示唆演出を実行可能とすることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、遊技者にとっての有利度が異なる複数の設定値のうちのいずれかの設定値に設定可能な遊技機において、設定値を示唆する示唆演出を行うことが知られている。例えば、特許文献1に開示された遊技機においては、ボーナス終了後およびAT終了後に示唆演出が実行され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-122583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、示唆演出が実行されるのは所定の条件を満たした場合に限られ、遊技者が示唆演出に遭遇する機会はそれほど多くはない。さらに、示唆演出が実行される条件は、ほぼ運任せであり、遊技者が示唆演出に関与できる余地はほとんどない。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、設定値の示唆演出に関する興趣性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された技術は、複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、複数の前記回転リールの回転を開始させるための操作を受け付けるスタートスイッチと、前記スタートスイッチの操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のうちのいずれかの役に当せんしたか否かを決定する内部抽せん部と、複数の前記回転リールの回転を停止させるための操作を受け付ける複数のストップスイッチと、遊技者にとっての有利度が異なる複数の設定値のうちのいずれかの設定値を設定する設定部と、前記設定部によって設定された設定値を示唆する示唆演出を制御する演出制御部とを備え、前記演出制御部は、遊技者による前記ストップスイッチの操作態様に応じて出玉に関する恩恵が異なる特定役が前記内部抽せん部の内部抽せんによって当せんした場合であって遊技者の前記ストップスイッチの操作態様が恩恵が小さくなる態様である不利態様であった場合に、前記示唆演出を実行する遊技機である。
【0007】
また、第1の側面では、前記特定役には、前記複数のストップスイッチの正解押し順が決められており且つ前記正解押し順が報知される役が含まれ、前記不利態様による操作は、前記正解押し順とは異なる押し順での操作であってもよい。
【0008】
また、第1の側面では、前記特定役には、前記複数のストップスイッチの操作タイミングが所定タイミングである場合に入賞するが、前記所定タイミングでない場合には非入賞となる役が含まれ、前記不利態様による操作は、非入賞となる操作タイミングでの操作であってもよい。
【0009】
また、第1の側面では、前記演出制御部は、前記不利態様での前記ストップスイッチの操作の回数に応じて前記示唆演出を実行するか否かを決定してもよい。
【0010】
また、第1の側面では、前記演出制御部による示唆演出の機能のオンおよびオフを切り替える示唆切替部をさらに備えていてもよい。
【0011】
また、第1の側面では、前記演出制御部による示唆演出の機能がオンおよびオフの何れであるかを報知する示唆機能報知部をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、設定値の示唆演出に関する興趣性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】スロットマシンの正面図である。
図2】スロットマシンの構成を模式的に示すブロック図である。
図3】回転リールの図柄の配列の一例を示す図である。
図4】第1遊技状態における状態遷移を説明する図である。
図5】第2遊技状態における状態遷移を説明する図である。
図6】遊技区間の状態遷移を説明する図である。
図7】内部抽せんテーブルを説明するための図である。
図8】演出抽せんテーブルを説明するための図である。
図9】第2示唆演出の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
《実施形態》
例示的な実施形態にかかるスロットマシン1について、図面を参照して説明する。
【0015】
<スロットマシンの構成>
図1に示すように、スロットマシン1は、筐体10を有する。筐体10の正面には、前面扉100が設けられている。スロットマシン1は、遊技機に相当する。
【0016】
前面扉100の中央部分には、透明性のリール窓200が設けられている。遊技者は、このリール窓200から、後述する複数の回転リール20それぞれの表面に表示された複数の図柄を視認することができる。
【0017】
リール窓200の上方には、遊技中の各種の演出を行うための液晶画面3、スピーカ102、示唆機能報知部103、および電飾部(図示略)が設けられている。
【0018】
液晶画面3は、遊技者の遊技中に各種の演出動画(演出画面)を表示する。
【0019】
スピーカ102は、所定のBGM(バックグラウンドミュージック)、SE(サウンドエフェクト)および音声を出力する。
【0020】
示唆機能報知部103は、後述する、設定値を示唆する示唆演出の機能がオンおよびオフの何れであるかを報知する。例えば、示唆機能報知部103は、LEDランプで構成されている。示唆機能報知部103は、示唆演出の機能がオンのときに点灯し、示唆演出の機能がオフのときに消灯する。
【0021】
電飾部は、例えば期待度の高い演出画面が表示されたり、役が入賞したりした場合に所定のパターンで点灯または消灯する。
【0022】
リール窓200の下方には、操作部4が設けられている。操作部4は、複数のストップスイッチ40、投入口が設けられたメダル投入部41、ベットスイッチ42、レバー43、媒体表示部44、精算スイッチ45および演出ボタン46などを含む。
【0023】
各ストップスイッチ40は、各回転リール20に対応して設けられている。各ストップスイッチ40は、回転リール20が回転している間に、各回転リール20の回転を停止させるための操作を受け付ける。
【0024】
メダル投入部41の投入口には、遊技媒体に相当するメダルが投入される。投入口付近には、メダルセンサが設けられている。メダルセンサは、投入口へのメダルの投入を検出し、検出信号を後述する制御部6に出力する。
【0025】
ベットスイッチ42は、メダルをベットする際に用いられる。
【0026】
レバー43は、各回転リール20を回転させるための操作を受け付けるスタートスイッチとして機能する。
【0027】
媒体表示部44は、メダルのクレジット数、メダルの払い出し枚数、メダルのベット数などを表示するものであって、例えば複数の7セグメントで構成される。また、媒体表示部44は、遊技区間が有利区間であって特定の条件が満たされている場合に、遊技区間が有利区間であることを表示する。具体的に、媒体表示部44における7セグメントの一部が点灯することにより、遊技区間が有利区間であることが告知される。
【0028】
精算スイッチ45は、遊技者による遊技が終了して、払出口51からメダルが払い出される際に用いられる。
【0029】
演出ボタン46は、遊技者が遊技を行う際に、音量設定、遊技データの確認などを行うために用いられるボタンである。また、演出ボタン46は、遊技中、演出に応じて遊技者により押下されることがある。遊技中に演出ボタン46が押下された場合、演出に変化が生じる。
【0030】
これらの操作部4の各スイッチ付近には、遊技者の操作を検知して制御部6に操作信号を出力するセンサが設けられている。
【0031】
筐体10のうち、操作部4の下方には、メダルの払出口51と、払出口51から払い出されたメダルを貯留するための下皿52とが設けられている。また、筐体10の内部には、メダルの受け入れおよび払い出しを行うホッパーユニット50が設けられている(図2参照)。
【0032】
図2に示すように、スロットマシン1は、回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71、設定変更ボタン72および示唆切替ボタン73をさらに備える。回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71、設定変更ボタン72および示唆切替ボタン73は、スロットマシン1の主電源をオンおよびオフする電源装置(図示略)などとともに、筐体10の内部に配置されている。
【0033】
回転リールユニット2は、図1および図2に示すように、3つの回転リール20と、3つのステッピングモータ21とを備える。回転リールユニット2は、筐体10の内部において、リール窓200の位置に対応して配置されている。回転リール20それぞれには、図3に示すように、複数の図柄が、当該リール20の周方向に沿って間隔を開けて配置されている。ステッピングモータ21は、各回転リール20に対応して設けられており、対応する回転リール20を駆動させる。
【0034】
ステッピングモータ21は、回転リール20の回転中にストップスイッチ40が操作されてから190m秒以内に、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。ステッピングモータ21は、504ステップで1回転する。これにより、回転リール20は、80回転/分の速度で回転する。すなわち、190m秒以内で進めるステップは、127ステップである。
【0035】
これらの回転リール20およびステッピングモータ21は、制御部6における回転リール制御部611(後述)によって、その回転および停止が制御される。
【0036】
RAMクリアボタン71は、制御部6を構成するRAMを初期化するための操作を受け付けるためのボタンである。設定変更ボタン72は、遊技者にとっての有利度が異なる複数の設定値のうちのいずれか1つをスロットマシン1に設定する際に、店舗スタッフによって押下されるボタンである。
【0037】
設定値とは、スロットマシン1に投入されたメダルの投入総数に対する、ホッパーユニット50から払い出されたメダルの払出総数の割合を示す出玉率を表した値である。設定された設定値は、内部抽せんに影響を与える。設定値に応じて、リプレイやベルなどの各種役の当せん確率が異なるからである。設定値は、店舗開店前に店舗スタッフによって設定される。
【0038】
示唆切替ボタン73は、後述する、設定値を示唆する示唆演出の機能のオンおよびオフを切り替える際に、店舗スタッフによって押下されるボタンである。
【0039】
<遊技者による遊技の流れ>
遊技者は、必要に応じて、演出ボタン46を押下してスピーカ102から出力される音量調整、液晶画面3の光度調整を行う。
【0040】
遊技者は、メダル投入部41の投入口からメダルを投入しまたはベットスイッチ42を操作することにより貯留(クレジット)されているメダルを使用して、スロットマシン1にメダルをベットする。スロットマシン1に所定枚数のメダルがベットされると、有効ラインLが有効化される。その後、レバー43の操作、すなわち遊技開始が可能となる。
【0041】
図1では、有効ラインLが、右下がりライン、右上がりライン、中段ラインの3本で構成されている場合を例示する。有効ラインLとは、役の入賞を決定するための仮想ラインである。本実施形態では、MAX BET(マックスベット)となる3枚ベット(3枚掛け)をした場合に、3本のラインLが有効化される。
【0042】
以下では、ベルやスイカなどのメダルの払い出しのある役が有効ラインL上に揃うことのみならず、特殊リプレイ、チャンス目、ボーナスなどの特定の役に対応する図柄が有効ラインL上に揃うことも、「入賞」と表現する。
【0043】
本実施形態における1ゲーム(1遊技)とは、遊技者がベットスイッチ42、レバー43およびストップスイッチ40を操作して、メダルの払い出し処理を含む遊技の結果を得る一連の動作を云う。
【0044】
具体的には、遊技開始可能な状態でレバー43が操作(レバーオン)されると、当せんフラグを決定する内部抽せんが行われるとともに、各回転リール20の回転が開始する。この状態で、ストップスイッチ40のいずれかが操作されると、その操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20が停止する。すべての回転リール20が停止し、有効ラインLに揃った(入賞した)図柄の組み合わせ(役)に応じて、所定枚数のメダルが払い出される。これにより、1ゲームが終了する。
【0045】
遊技者は、上記ゲームを繰り返し行う。ゲームが繰り返されることに応じて遊技が進行していき、液晶画面3の表示やスピーカ102からの音の出力は、遊技進行に応じて変化していく。
【0046】
<遊技状態について>
遊技中は、遊技区間および遊技状態の各種類が設定され、設定された遊技区間および遊技状態の各種類に基づいて内部抽せんが行われる。遊技状態には、図4および図5に示すように、第1遊技状態および第2遊技状態が含まれる。なお、第1遊技状態および第2遊技状態は、排他的に成立する遊技状態ではなく、説明の便宜上区別するために分類した状態にすぎない。
【0047】
第1遊技状態は、図4に示すように、特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態を含む。特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態は、排他的に成立する関係にある。
【0048】
特別役非持ち越し状態とは、内部抽せんにより当せんした特別役(一種BBおよび二種BB)の入賞が持ち越されていない状態をいう。特別役非持ち越し状態は、RAMクリアボタン71を用いてRAMが初期化された場合、特別役実施状態に移行してから払い出しメダルの枚数が所定枚数(例えば180枚)を超えた場合などの、所定条件を満たした場合に設定される。特別役持ち越し状態にて特別役が入賞した場合(すなわち所定条件を満たした場合)、第1遊技状態は、一時的ではあるが特別役非持ち越し状態に設定される。
【0049】
特別役持ち越し状態は、内部抽せんにより特別役が当せんしてはいるものの、当該特別役の入賞が持ち越されている状態をいう。つまり、特別役持ち越し状態とは、内部抽せんによって、特別役のフラグが当せんしたが、当該特別役を示す図柄が有効ラインL上に揃っておらず、よって特別役が未だ入賞していない状態をいう。
【0050】
ここで、一種BBは、一種特別役物に係る役物連続作動装置であって、ビッグボーナスなどが該当する。二種BBは、3枚掛け時に当せんする可能性のある特別役である。特別役では、任意の特別役(例えば一種BB)の入賞が持ち越された状態にある場合、他の特別役(例えば二種BB)の抽せんは行われない。
【0051】
第1遊技状態が特別役非持ち越し状態である場合に特別役が当せんすると、第1遊技状態は、特別役非持ち越し状態から、当せんした当該特別役の入賞が持ち越された状態(特別役持ち越し状態)に移行する。
【0052】
当せんした特別役が入賞すると、第1遊技状態は、特別役持ち越し状態から、特別役非持ち越し状態を一時的に介して特別役実施状態に移行する。一種BBまたは二種BBが入賞したことによって第1遊技状態が特別役実施状態に移行すると、一種BBまたは二種BBによるメダルの払い出し枚数が所定枚数を超えるまで、特別役実施状態が維持される。
【0053】
更に詳細に、特別役実施状態には、一種BB実施状態、二種BB実施状態、およびRB実施状態が含まれる。一種BBが実施されている一種BB実施状態の間に、内部抽せんによってRBが当せんし入賞した場合、特別役実施状態は、一種BB実施状態からRB実施状態に移行する。RB実施状態において12ゲーム消化または所定の役が8回入賞することで、特別役実施状態は、一種BB実施状態に移行する。
【0054】
第2遊技状態は、遊技中に行われる演出を決定するための状態であり、図5に示すように、一般遊技状態およびAT状態を含む。一般遊技状態とAT状態とは、排他的に成立する関係にある。
【0055】
一般遊技状態とは、AT状態でない状態、つまりアシスト機能が発生しない状態である。例えば、RAMクリア後やAT終了後などからAT抽せんに当せんするまでの間、第2遊技状態は一般遊技状態に設定される。
【0056】
一例として、AT抽せんは、後述する遊技区間が有利区間である場合に内部抽せんにより当せんした役(レア役など)に応じて行われる。AT抽せんにてATが当せんした場合に、第2遊技状態は、一般遊技状態からAT状態へと移行する。
【0057】
AT状態とは、内部抽せんにより当せんした特別役以外の役のストップスイッチ40の正解押し順(正解操作順)を、液晶画面3やスピーカ102を介して知らせるアシスト機能(AT機能)が働いている状態である。AT状態にて遊技が開始されてから所定ゲーム数が経過した場合、または、AT状態にて遊技が開始されてからのメダルの払い出し総枚数が所定枚数に達した場合に、第2遊技状態は、AT状態から一般遊技状態へと移行する。これにより、AT状態は終了する。
【0058】
<遊技区間について>
遊技区間とは、アシスト機能に関する処理が行われるか否かを決定するための区間である。図6に示すように、遊技区間は、通常区間と有利区間とを有する。通常区間と有利区間とは排他的な関係にあり、遊技区間は、通常区間または有利区間のいずれかを採り得る。
【0059】
通常区間とは、アシスト機能に関する処理およびAT抽せんを実行できないが、有利区間への区間移行抽せんが行われる区間である。通常区間にて遊技が行われた結果、内部当せんした役に応じて、遊技区間は通常区間から有利区間へと移行する。なお、第2遊技状態が一般遊技状態である間に、遊技区間は通常区間を採ることができる。
【0060】
有利区間は、アシスト機能に関する処理およびAT抽せんを実行可能な区間である。有利区間には、第2遊技状態が一般遊技状態で進行する有利区間と、AT状態で進行する有利区間とが含まれる。遊技区間が有利区間に移行してから所定の終了条件を満たすまでの間、遊技区間が有利区間である状態は維持される。
【0061】
<制御部の構成>
図2に示すように、制御部6は、主に、メイン制御部61およびサブ制御部63を有する。メイン制御部61は、内部抽せんや回転リール20の制御など、遊技を進行させるための制御を行う。サブ制御部63は、メイン制御部61から送信された信号や演出ボタン46が押下されたことに基づいて、演出に関する制御を行う。
【0062】
メイン制御部61およびサブ制御部63それぞれは、CPU、RAMおよびROMで構成される。メイン制御部61およびサブ制御部63それぞれのROMには、遊技進行に必要なプログラムが記憶されている。メイン制御部61のRAMには、遊技進行に必要な遊技データが記憶される。遊技データには、現在ゲーム数の他、各遊技状態および遊技区間がどの状態または区間であるかを示すデータなどが含まれる。サブ制御部63のRAMには、演出制御に関する各種データなどが記憶される。
【0063】
CPUがROM内のプログラムを読み出して実行することにより、メイン制御部61は、内部抽せん部610、回転リール制御部611、押し順判定部612、遊技結果判定部613、媒体管理部614、遊技進行制御部615、区間制御部616、遊技状態制御部617、示唆決定部618、および示唆切替部619として機能する。サブ制御部63は、演出制御部630として機能する。
【0064】
―内部抽せん部―
内部抽せん部610は、レバー43の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のうちのいずれかの役に当せんしたか否かを決定する。具体的に、内部抽せん部610は、内部抽せんテーブルT1およびレバー43が操作されたときに取得される乱数に従って内部抽せんを行う。メイン制御部61のROMには、設定値、第1遊技状態、第2遊技状態および遊技区間に応じた複数の内部抽せんテーブルT1が格納されている。内部抽せん部610は、レバー43の操作時の設定値等に応じた内部抽せんテーブルT1を用いて内部抽せんを行う。内部抽せん部610は、内部抽せんの結果に基づいて、内部抽せん結果信号を生成する。内部抽せん結果信号は、内部抽せん部610から回転リール制御部611および遊技進行制御部615などに送信される。
【0065】
内部抽せんテーブルT1は、内部抽せんにより当せんする可能性のある役の情報を示したものである。内部抽せんテーブルT1は、図7に示すように、役フラグ、役フラグに対応する乱数、および役フラグに対応する役(入賞可能役)の情報が含まれている。図7では、役フラグに対応する乱数の図示が省略されている。役の情報には、図柄の組み合わせとその組み合わせに対応する役とが、関連付けて1以上設定されている。1つの役フラグには、1以上の役が設定されている。例えば、1つの役フラグに複数の役が設定されている場合もある。
【0066】
内部抽せん部610は、レバー43の操作時に取得された乱数に対応する役フラグを成立させる。成立した役フラグに設定されている役が当せんした状態になる。成立した役フラグに複数の当せん役が設定されている場合には、設定されている全ての当せん役が同時に当せんする。
【0067】
役には、複数のストップスイッチ40の正解押し順が決められた役である押し順役が含まれる。押し順役は、複数のストップスイッチ40が正解押し順通りに操作されることによって入賞する役である。内部抽せんテーブルT1に記憶されている押し順役の情報には、正解押し順に関する情報も含まれる。図7の内部抽せんテーブルT1では、テーブルの上部に3つの文字で押し順が規定されている。例えば、「左中右」は、左のストップスイッチ40、真ん中のストップスイッチ40、右のストップスイッチ40の順にストップスイッチ40が操作されることを示している。
【0068】
複数のストップスイッチ40が正解押し順と異なる押し順、すなわち、不正解押し順で操作されると、その押し順役は入賞しない。ただし、内部抽せんテーブルT1の「押し順ベル1」~「押し順ベル12」のように、1つの役フラグに複数の押し順役が設定されている場合には、一の押し順役の不正解押し順が別の押し順役の正解押し順となる場合がある。例えば、「押し順ベル1」が成立している場合、「中段ベル」の正解押し順は、「左中右」の順である。この順番でストップスイッチ40が操作されると「中段ベル」が入賞する。一方、「中左右」は、「中段ベル」にとっては不正解押し順であるが、「ベルこぼし目」にとっては正解押し順である。そのため、「中左右」の順番でストップスイッチ40が操作されると、「中段ベル」は入賞しないが、「ベルこぼし目」が入賞する。
【0069】
なお、押し順役が含まれる役フラグにおいては、全通りの押し順に押し順役が設定されていない場合もある。その場合、押し順役が設定されていない押し順はいずれの押し順役にとっても不正解押し順となる。
【0070】
押し順役は、AT状態で遊技が行われる際に内部抽せんにより当せんし得る。AT状態中に押し順役が当せんした場合には、正解押し順が報知される(すなわち、アシストされる)。複数の押し順役が同時に当せんしている状態においては、特定の押し順役(例えば、同時に成立した複数の押し順役のうち出玉に関する恩恵が最大となる押し順役)の正解押し順が報知される。これにより、遊技者は、押し順役の取りこぼしを回避することができる。
【0071】
ただし、正解押し順が報知された場合であっても、遊技者は、ストップスイッチ40を不正解押し順で操作することができる。その場合、出玉に関する恩恵が小さくなる(すなわち、減る)結果となる。例えば、「押し順ベル1」が成立している場合、出玉に関する恩恵が最大となる「中段ベル」の正解押し順「左中右」が報知される。これに対し、遊技者が「中左右」の順でストップスイッチ40を操作すると、「中段ベル」よりも恩恵が小さい「ベルこぼし目」が入賞する。
【0072】
なお、押し順役は、一般遊技状態中にも当せんし得る。一般遊技状態中に押し順役が成立した場合、正解押し順の報知はされない。そのため、押し順役が取りこぼされたり、遊技者にとって恩恵が減った押し順役が入賞したりする。
【0073】
尚、図7の内部抽せんテーブルT1において、「リプレイ」、「共通ベル」、「チェリー」、「スイカ」、「チャンス目」、「一種BB」、「二種BB」、および、「RB」の役フラグのそれぞれに対応する役は、押し順が決められていない、即ち、押し順不問の役である。また、「共通ベル」、「チェリー」、「スイカ」、「一種BB」、「二種BB」、および、「RB」は、ストップスイッチ40の押下タイミング(すなわち、操作タイミング)が所定タイミングである場合に入賞するが、所定タイミングでない場合には非入賞となる役である。
【0074】
―回転リール制御部―
回転リール制御部611は、レバー43または各ストップスイッチ40の操作に基づいて、ステッピングモータ21の駆動を制御し、各回転リール20の回転を開始させる回転開始制御または回転を停止させる回転停止制御を行う。
【0075】
具体的には、回転リール20全ての回転が停止している状態にて、レバー43が操作された場合、回転リール制御部611は、回転リール20全ての回転を開始させる。少なくとも1つの回転リール20の回転中に、回転中の回転リール20に対応するストップスイッチ40が操作された場合、回転リール制御部611は、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。
【0076】
回転停止制御では、回転リール制御部611は、ストップスイッチ40の操作に基づいて、当せんフラグが示す役に対応する図柄の組み合わせが、回転リール20の有効ラインL上に配置されることでその役が入賞するように、回転リール20の回転を停止させることができる。
【0077】
また、回転停止制御では、回転リール制御部611は、当せんした役と、各ストップスイッチ40操作時の回転リール40の位置とに応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御とは、当せんした役に対応する図柄を有効ラインL上に引き込むようにして、回転リール20の回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御とは、当せんしていない役に対応する図柄が有効ラインL上に揃わないように、回転リール20の回転を停止させる制御である。
【0078】
―押し順判定部―
押し順判定部612は、遊技者が3つのストップスイッチ40をどの順番で操作したかを判定する。3つのストップスイッチ40の押し順は全部で6通りあるので、押し順判定部612は、全6通りのうち何れの押し順であったかを判定する。押し順判定部612は、判定結果を押し順判定信号として示唆決定部618等へ送信する。
【0079】
―遊技結果判定部―
遊技結果判定部613は、内部抽せんおよび回転リール20の回転停止制御の各結果に基づいて遊技結果を判定する。遊技結果とは、有効ラインL上に揃った図柄に基づいて、当せんした役が入賞したか否かが判定された結果を意味する。具体的には、有効ラインL上に停止した図柄の組み合わせと、予め定められている所定の図柄の組み合わせとが一致した場合に、遊技結果判定部613は、当せん役が入賞したと判定する。遊技結果判定部613は、判定結果信号を媒体管理部614および示唆決定部618等に送信する。
【0080】
―媒体管理部―
媒体管理部614は、クレジット数の増減制御、およびホッパーユニット50によるメダルの払い出し動作の制御を行う。
【0081】
具体的に、媒体管理部614は、メダルがベットされた場合には、メダルのベット数に応じてクレジット数を減少させ、メダルがクレジットされた場合には、クレジット数を増加させる。
【0082】
内部抽せんによって当せんした役が遊技者の操作に基づいて入賞した場合、媒体管理部614は、入賞した役の種類に基づくメダルの払い出し枚数に基づいて、クレジット数を増加させる。
【0083】
また、媒体管理部614は、遊技結果判定部613が判定した遊技結果の他、精算スイッチ45の操作により出力された操作信号に基づいて、ホッパーユニット50を制御する。
【0084】
具体的に、当せんした役の入賞により得られたメダルは、先ずはクレジットとして貯留される。メダルを貯留した結果、クレジット数がその上限(例えば50枚)を超えた場合には、上限を超えた分のメダルがホッパーユニット50から払い出される。また、貯留中のメダルが一枚以上ある状態で精算スイッチ45が操作された場合、貯留中のメダルの少なくとも一部がホッパーユニット50から払い出される。
【0085】
さらに、媒体管理部614は、有利区間において、メダルの払い出し枚数からメダルのベット数を差し引いた枚数の累積値であるメダルの差枚数、および差枚数の最大値と最小値との差であるレンジ(MY)を算出する。メダルの差枚数およびレンジ(MY)は、区間制御部616に送信される。なお、媒体管理部614は、有利区間終了後に、メダルの差枚数およびレンジ(MY)をリセットする。
【0086】
―遊技進行制御部―
遊技進行制御部615は、遊技者の操作に基づいて遊技進行を制御する。その際、遊技進行制御部615は、店舗スタッフにより設定された設定値に基づいて、当該遊技者による遊技進行を制御する。
【0087】
また、遊技進行制御部615は、RAMクリアボタン71が押下された場合、メイン制御部61のRAMを初期化することで、遊技データをリセットする。遊技進行制御部615は、設定変更ボタン72が押下された場合、現在の設定値を他の設定値に変更し、変更した設定値を設定する。遊技進行制御部615は、設定値の情報を内部抽せん部610および演出制御部630等へ送信する。尚、本実施形態において、いずれの設定値が設定されているかによって、例えば、リプレイ、共通ベル、および一種BB等の役の当せん確率が異なる。遊技進行制御部615は、設定部に相当する。
【0088】
―区間制御部―
区間制御部616は、遊技者による遊技の際、複数の遊技区間(通常区間および有利区間)のうちいずれかを設定する。
【0089】
具体的には、区間制御部616は、遊技区間が通常区間である場合に、通常区間の状態を維持するか、それとも有利区間に移行するかの区間移行抽せんを行う。所定の抽せん対象役が当せんした際に、区間移行抽せんを行うか否かの抽せんが行われ、その結果当せんした場合に、区間移行抽せんが行われる。区間移行抽せんに当せんした場合、区間制御部616は、遊技区間を有利区間に設定(移行)する。
【0090】
なお、区間移行抽せんの当せん確率は、設定値に応じて異なっている。一例としては、設定値に応じて、前記所定の抽せん対象役の当せん確率が異なっているか、または、前記所定の当せん対象役の当せん時に行われる区間移行抽せんの当せん確率が異なっている。
【0091】
また、区間制御部616は、遊技区間が有利区間である場合には、有利区間の状態を維持するか、通常区間に移行するかを決定する。例えば、区間制御部616は、遊技区間が有利区間の時に、第2遊技状態がAT状態から一般遊技状態に移行したか否かを判定する。一般遊技状態に移行したと判定した場合、区間制御部616は、遊技区間を有利区間から通常区間に移行させる。
【0092】
また、区間制御部616は、有利区間の状態での消化ゲーム数が1500ゲームに達した場合、または、有利区間の間にメダルの差枚数が2400枚に達した場合、遊技区間を、有利区間から通常区間に強制的に移行させる。
【0093】
また、区間制御部616は、遊技データがリセットされた場合、リセット直前の遊技区間いかんにかかわらず、遊技区間を通常区間に設定する。
【0094】
なお、区間制御部616は、設定(移行)した区間の種類を表す信号を、媒体表示部44に送信する。これにより、媒体表示部44には、有利区間か否かが表示される。
【0095】
―遊技状態制御部―
遊技状態制御部617は、第1遊技状態および第2遊技状態それぞれの設定を行う。
【0096】
具体的には、遊技状態制御部617は、第1遊技状態を特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態のいずれかに設定し、第2遊技状態を一般遊技状態またはAT状態に設定する。
【0097】
一例として、図4に示すように、遊技状態制御部617は、メイン制御部61のRAMクリアなどの所定条件が満たされた場合は、第1遊技状態を特別役非持ち越し状態に設定する。内部抽せんにより特別役が当せんした直後、遊技状態制御部617は、第1遊技状態を特別役持ち越し状態に設定する。その特別役が入賞した場合、遊技状態制御部617は、第1遊技状態を特別役実施状態に設定する。
【0098】
また、図5に示すように、遊技状態制御部617は、AT抽せんの結果に基づいて、第2遊技状態をAT状態に設定するか否か(すなわち、ATに当せんしたか否か)を判定する。有利区間の間にAT抽せんに当せんした場合、遊技状態制御部617は、第2遊技状態をAT状態に設定する。逆に、AT抽せんに当せんしなかった場合、遊技状態制御部617は、第2遊技状態を一般遊技状態に設定することができる。また、ATが終了した場合、遊技状態制御部617は、第2遊技状態をAT状態から一般遊技状態に移行させる。
―示唆決定部―
示唆決定部618は、遊技進行制御部615によって設定された設定値を示唆する示唆演出を実行するか否かを決定する。示唆決定部618は、所定の示唆条件が成立したか否かを判定する。示唆決定部618は、示唆条件が成立したと判定した場合には、示唆演出の実行を決定し、示唆決定信号を演出制御部630へ送信する。示唆決定部618および演出制御部630は、演出制御部に相当する。
【0099】
示唆条件には、遊技進行中のイベントに関する第1示唆条件と、遊技者のストップスイッチ40の操作に関する第2示唆条件とが含まれる。以下、第1示唆条件に基づく示唆演出を「第1示唆演出」と、第2示唆条件に基づく示唆演出を「第2示唆演出」と称する。
【0100】
第1示唆条件は、例えば、レア役当せん、ボーナスゲームの終了、およびAT終了等である。なお、第1示唆条件は、これらのイベント発生時に示唆演出を実行するか否かの抽せんを行い、示唆演出の実行が当せんしたことであってもよい。
【0101】
第2示唆条件は、遊技者によるストップスイッチ40の操作態様に応じて出玉に関する恩恵が異なる特定役が内部抽せん部610の内部抽せんによって当せんした場合に、恩恵が小さくなる態様(以下、「不利態様」と称する)で遊技者がストップスイッチ40を操作することである。以下、特定役の当せん時における不利態様での遊技者によるストップスイッチ40の操作を「不利操作」と称する。一例として、第2示唆条件は、不利操作の回数が所定の判定回数(例えば、5回)に達することである。
【0102】
特定役には、複数のストップスイッチ40の正解押し順が決められており且つ正解押し順が報知される役が含まれる。その場合、不利態様による操作は、正解押し順とは異なる押し順、すなわち、不正解押し順での複数のストップスイッチ40の操作である。
【0103】
例えば、図7の内部抽せんテーブルT1においては、正解押し順が報知される状態における「押し順ベル1」~「押し順ベル12」の各役フラグ中の「中段ベル」が特定役である。報知される「中段ベル」の正解押し順とは異なる押し順、すなわち、不正解押し順での複数のストップスイッチ40の操作が不利態様による操作に相当する。正解押し順で操作された場合には、「中段ベル」が入賞して、例えば8枚のメダルが払い出される。一方、不正解押し順で操作された場合には、「中段ベル」は入賞しない。しかし、「中段ベル」の不正解押し順は「ベルこぼし目」の正解押し順と一致するので、「ベルこぼし目」が入賞し、例えば1枚のメダルが払い出される。つまり、不正解押し順の場合には、メダルの払い出し枚数が減っている点で、出玉に関する恩恵が小さい。
【0104】
「押し順ベル1」~「押し順ベル12」の各役フラグにおいては「中段ベル」以外の押し順役、すなわち「ベルこぼし目」も同時に当せんしている。しかし、「ベルこぼし目」の正解押し順は報知されないので、「ベルこぼし目」は特定役に相当しない。
【0105】
また、特定役には、複数のストップスイッチ40の操作タイミングが所定タイミングである場合に入賞するが、所定タイミングでない場合には非入賞となる役(以下、「はずし可能役」と称する)が含まれる。その場合、不利態様による操作は、非入賞となる操作タイミングでの複数のストップスイッチ40の操作(以下、「はずし操作」と称する)である。
【0106】
例えば、図7の内部抽せんテーブルT1においては、「共通ベル」、「チェリー」および「スイカ」がはずし可能役であり、特定役として設定されている。それぞれの役フラグが成立した状態において、当せん役が入賞しない操作タイミングでの複数のストップスイッチ40の操作が不利態様による操作に相当する。「スイカ」が当せんした場合に、複数のストップスイッチ40が適切なタイミングで操作されると、「スイカ」が入賞し、例えば3枚のメダルが払い出される。一方、「スイカ」が入賞しない、すなわち、引き込めない操作タイミングで複数のストップスイッチ40が操作されると、「スイカ」が入賞せず、メダルが払い出されない。不適切な操作タイミングの場合には、メダルの払い出し枚数がゼロになる点で、出玉に関する恩恵が小さい。
―示唆切替部―
示唆切替部619は、第2示唆演出の機能のオンおよびオフを切り替える。示唆切替部619は、示唆切替ボタン73からの操作信号を受信する。示唆切替部619は、示唆切替ボタン73からの操作信号を受信するたびに、第2示唆演出の機能のオンおよびオフを切り替える。示唆切替部619は、第2示唆演出の機能がオンかオフかに関する信号を示唆決定部618に送信する。示唆切替部619が第2示唆演出の機能をオフに設定している場合、示唆決定部618は、第2示唆演出を実行するか否かの決定を行わない。ただし、その場合であっても、示唆決定部618は、第1示唆演出を実行するか否かの決定を行う。
【0107】
また、示唆切替部619は、第2示唆演出の機能をオンに設定した場合、示唆機能報知部103を第2示唆演出の機能がオンであることを示す状態(例えば、点灯状態)にする。一方、示唆切替部619は、第2示唆演出の機能をオフに設定した場合、示唆機能報知部103を第2示唆演出の機能がオフであることを示す状態(例えば、消灯状態)にする。これにより、遊技者は、現在遊技中のスロットマシン1が第2示唆演出の機能がオンになっているのかオフになっているのかを知ることができる。
【0108】
―演出制御部―
演出制御部630は、遊技進行に基づいて、複数種類の演出映像の中から選択された演出映像を液晶画面3に表示させるとともに、その演出映像に応じた効果音やBGMなどをスピーカ102から出力させる。例えば、演出制御部630は、ATやボーナスが当せんした場合、その旨を液晶画面3に表示させるための演出パターンを選択し、当該演出パターンに従って液晶画面3の表示制御およびスピーカ102の音声出力制御を行う。
【0109】
演出制御部630は、AT中、逐次当せんする押し順役の正解押し順の報知を、液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる(アシスト機能)。
【0110】
また、演出制御部630は、示唆決定部618の決定を契機に示唆演出を実行する。演出制御部630は、液晶画面3、スピーカ102および電飾部の少なくとも1つに示唆演出を行わせる。この演出を、遊技者は、現在遊技中のスロットマシン1がどのような設定値なのかを把握する材料の1つとすることができる。
【0111】
詳しくは、演出制御部630は、示唆決定部618からの示唆決定信号を受信すると、複数の示唆演出の中から1つの示唆演出を抽せんする。演出制御部630は、演出抽せんテーブルに基づいて抽せんを行う。
【0112】
サブ制御部63のROMには、図8に示すような演出抽せんテーブルT2が格納されている。演出抽せんテーブルT2では、設定値ごとに複数の示唆演出の振分率が設定されている。第1演出~第5演出は、それぞれ異なる内容の示唆演出である。第1演出は、現在の設定値が2以上であることを示唆する演出である。第2演出は、現在の設定値が奇数であることを示唆する演出である。第3演出は、現在の設定値が偶数であることを示唆する演出である。第4演出は、現在の設定値が4以上であることを示唆する演出である。第5演出は、現在の設定値が6であることを示唆する演出である。例えば、設定値4の場合、45%の割合で第1演出が選択され、40%の割合で第3演出が選択され、15%の割合で第4演出が選択されるように、示唆演出の抽せんが行われる。
【0113】
図8の演出抽せんテーブルT2は、第2示唆演出に対応するものである。なお、第1示唆演出の演出抽せんテーブルは、第2示唆演出と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、第1示唆演出に関しては、レア役当せん、ボーナスゲームの終了、およびAT終了等のイベントごとに異なる演出抽せんテーブルが設けられていてもよい。
【0114】
演出制御部630は、演出抽せんテーブルに基づいて示唆演出の抽せんを行い、当せんした示唆演出を液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに行わせる。
【0115】
<第2示唆演出の処理の流れ>
図9を用いて、スロットマシン1の第2示唆演出の処理の流れを説明する。ここでは、第1示唆演出の処理の説明を省略するが、遊技中は、第1示唆演出の処理と第2示唆演出の処理とが並行して行われる。
【0116】
示唆決定部618は、ステップS1において、第2示唆演出の機能がオンか否かを判定する。示唆演出機能がオフの場合(ステップS1のNO)、示唆決定部618は、第2示唆演出の処理を終了する。この場合、示唆決定部618は、第2示唆演出の処理を実行しないだけで、第1示唆演出の処理を実行する。
【0117】
なお、示唆演出機能がオフの場合には、示唆機能報知部103は、示唆演出の機能がオフであることを示す状態となっている。一方、示唆演出機能がオンの場合には、示唆機能報知部103は、示唆演出の機能がオンであることを示す状態となっている。遊技者は、示唆機能報知部103の状態に基づいて、示唆演出の機能がオンかオフかを知ることができる。これにより、示唆演出の機能がオフであるにもかかわらず、遊技者が示唆演出を期待して不利操作を実行することを防ぐことができる。
【0118】
示唆演出機能がオンの場合(ステップS1のYES)、示唆決定部618は、ステップS2において、内部抽せんによって押し順役が当せんし且つその正解押し順が報知される状態か否かを判定する。具体的には、示唆決定部618は、内部抽せんによって成立した役フラグに基づいて押し順役が当せんしているか否かを判定する。それに加えて、示唆決定部618は、アシスト機能が発揮される状態か否か、すなわち、AT状態か否かを判定する。
【0119】
AT状態において押し順役が当せんしている場合(ステップS2のYES)、ステップS3において、示唆決定部618は、複数のストップスイッチ40が不正解押し順で操作されたか否かを判定する。示唆決定部618は、当せんしている押し順役の正解押し順と押し順判定部612の判定結果とが合致しない場合に、複数のストップスイッチ40が不正解押し順で操作されたと判定する。尚、示唆決定部618は、遊技結果判定部613の判定結果が当せんした押し順役と異なる場合に、複数のストップスイッチ40が不正解押し順で操作されたと判定してもよい。
【0120】
複数のストップスイッチ40が不正解押し順で操作された場合(ステップS3のYES)、ステップS4において、示唆決定部618は、不利操作が行われた回数(以下、「不利操作回数」という)を1だけ増加させる。不利操作回数の初期値はゼロである。
【0121】
なお、不利操作が行われた場合、対応する押し順役は入賞せず、メダルの払い出しは行われない。ただし、不正解押し順が正解押し順となる別の押し順役が同時に当せんしている場合には、その別の押し順役が入賞する。そして、別の押し順役に対応する枚数のメダルが払い出される。このときに、正解押し順が報知されるのは出玉に関する恩恵が最大の押し順役なので、別の押し順役の払い出し枚数は、正解押し順が報知された押し順役に比べて少ない。
【0122】
複数のストップスイッチ40が正解押し順で操作された場合(ステップS3のNO)、示唆決定部618は、不利操作回数を増加させない。この場合、示唆決定部618は、ステップS10の処理に進む。なお、この場合、当せんした押し順役が入賞するので、その押し順役に対応する枚数のメダルが払い出される。
【0123】
一方、ステップS2において正解押し順が報知される状態での押し順役が当せんしていない場合(ステップS2のNO)、示唆決定部618は、ステップS5において、内部抽せんによってはずし可能役が当せんしているか否かを判定する。具体的には、示唆決定部618は、内部抽せんによって成立した役フラグに基づいて、はずし可能役が当せんしているか否かを判定する。
【0124】
はずし可能役が当せんしている場合(ステップS5のYES)、ステップS6において、示唆決定部618は、はずし操作が行われたか否かを判定する。示唆決定部618は、遊技結果判定部613の判定結果が非入賞である場合にはずし操作が行われたと判定する。
【0125】
はずし操作が行われた場合(ステップS6のYES)、ステップS4において、示唆決定部618は、不利操作回数を1だけ増加させる。この場合、当せん役が非入賞であるので、メダルの払い出しは行われない。
【0126】
はずし操作が行われなかった場合、すなわち、はずし可能役が入賞した場合(ステップS6のNO)、示唆決定部618は、不利操作回数を増加させない。この場合、示唆決定部618は、ステップS10の処理に進む。なお、この場合、当せんしたはずし可能役が入賞するので、それに対応する枚数のメダルが払い出される。
【0127】
ステップS4において不利操作回数を1だけ増加させた後は、ステップS7において、示唆決定部618は、不利操作回数が所定の判定回数(例えば、5回)に達したか否かを判定する。
【0128】
不利操作回数が判定回数に達した場合(ステップS7のYES)、ステップS8において、示唆決定部618は、示唆決定信号を演出制御部630に送信する。演出制御部630は、示唆決定信号を受けて、示唆演出を実行する。
【0129】
詳しくは、演出制御部630は、現在の設定値と演出抽せんテーブルT2とに基づいて、示唆演出の抽せんを行う。演出制御部630は、当せんした示唆演出を液晶画面3およびスピーカ102の少なくとも1つに実行させる。
【0130】
続いて、ステップS9において、示唆決定部618は、不利操作回数をリセットする。
【0131】
その後、ステップS10において、示唆決定部618は、遊技が終了されたか否かを判定する。遊技が終了された場合(ステップS10のYES)、第2示唆演出の処理が終了する。一方、遊技が終了されていない場合(ステップS10のNO)、示唆決定部618は、ステップS2からの処理を繰り返す。
【0132】
このように、示唆演出の機能がオンの場合には、正解押し順が報知される状態での押し順役、または、はずし可能役が当せんした場合の不利操作回数が計数され、不利操作回数が判定回数に達すると示唆演出が実行される。遊技者は、不利操作によって恩恵が減ることと引き換えに、示唆演出を享受することができる。
【0133】
<効果>
以上をまとめると、スロットマシン1は、複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リール20と、複数の回転リール20の回転を開始させるための操作を受け付けるレバー43(スタートスイッチ)と、レバー43の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のうちのいずれかの役に当せんしたか否かを決定する内部抽せん部610と、複数の回転リール20の回転を停止させるための操作を受け付ける複数のストップスイッチ40と、遊技者にとっての有利度が異なる複数の設定値のうちのいずれかの設定値を設定する遊技進行制御部615(設定部)と、遊技進行制御部615によって設定された設定値を示唆する示唆演出を制御する示唆決定部618および演出制御部630(演出制御部)とを備え、示唆決定部618および演出制御部630は、遊技者によるストップスイッチ40の操作態様に応じて出玉に関する恩恵が異なる特定役が内部抽せん部610の内部抽せんによって当せんした場合であって遊技者のストップスイッチ40の操作態様が恩恵が小さくなる態様である不利態様であった場合に、示唆演出を実行する。
【0134】
この構成によれば、遊技者によるストップスイッチ40の操作態様に応じて出玉に関する恩恵が異なる特定役が当せんした際に遊技者が恩恵が小さくなる不利態様でストップスイッチ40を操作することによって、示唆演出が実行される。遊技者は、不利態様でのストップスイッチ40の操作によって恩恵が減少するが、それと引き換えに示唆演出を享受することができる。遊技者は、示唆演出に遭遇する機会を増加させるために恩恵の減少を受け入れるか、恩恵の減少を回避して示唆演出の機会の増加を諦めるかを選択することができる。つまり、示唆演出の機会の増減に遊技者の選択の余地が生まれる。遊技者にとっては、示唆演出の機会増加というメリットだけでなく、恩恵の減少というデメリットも伴う。遊技者の選択は悩ましいものとなり、その結果、示唆演出に関する興趣性を向上させることができる。
【0135】
一方、店舗にとっては、遊技者が現在の設定値を簡単に推測できてしまうと、設定値が高くないスロットマシン1で遊技している遊技者がすぐにそのスロットマシン1から離れてしまうというデメリットが発生する。しかし、示唆演出の機会増加の代わりに出玉に関する恩恵が減少するので、店舗にとってデメリットばかりではない。
【0136】
また、特定役には、複数のストップスイッチ40の正解押し順が決められており且つ正解押し順が報知される役、すなわち、正解押し順が報知される押し順役が含まれ、不利態様による操作は、正解押し順とは異なる押し順での操作である。
【0137】
この構成によれば、正解押し順が報知されることによって、遊技者は、特定役が当せんしていることを知ることができる。このとき、遊技者は、自身の意思で、不利態様でのストップスイッチ40の操作を行うか否かを決めることができる。つまり、恩恵の減少と引き換えに示唆演出の機会を増加させるか否かの選択の機会が遊技者にとって明確になる。
【0138】
また、特定役には、複数のストップスイッチ40の操作タイミングが所定タイミングである場合に入賞するが、所定タイミングでない場合には非入賞となる役、すなわち、はずし可能役が含まれ、不利態様による操作は、非入賞となる操作タイミングでの操作である。
【0139】
この構成によれば、一部の回転リール20が停止した際にはずし可能役が入賞する可能性がある状態となったときに、遊技者は、特定役に当せんしている可能性があることを知ることができる。このとき、遊技者は、自身の意思で、不利態様でのストップスイッチ40の操作を行うか否かを決めることができる。つまり、恩恵の減少と引き換えに示唆演出の機会を増加させるか否かの選択ができる機会かもしれないことを遊技者に知らせることができる。
【0140】
さらに、示唆決定部618および演出制御部630は、不利操作(すなわち、不利態様でのストップスイッチ40の操作)の回数に応じて示唆演出を実行するか否かを決定する。
【0141】
この構成によれば、不利操作の回数に応じて示唆演出が実行される。例えば、1回の不利操作ごとに示唆演出が1回実行されるようにすることもできるし、不利操作が複数回行われることによって示唆演出が1回実行されるようにすることもできる。つまり、示唆演出を実行する条件に幅を持たせることができる。その結果、示唆演出に関する興趣性をさらに高めることができる。
【0142】
また、スロットマシン1は、示唆決定部618および演出制御部630による示唆演出の機能のオンおよびオフを切り替える示唆切替部619をさらに備えている。
【0143】
この構成によれば、店舗は、示唆決定部618および演出制御部630による示唆演出の機能、即ち、第2示唆演出の機能をオフにすることもできる。遊技者に現在の設定値を推測される機会が増加することは、店舗にとってデメリットにもなり得る。示唆切替部619を設けることによって、店舗の判断で第2示唆演出の機能のオンおよびオフを選択することができる。
【0144】
それに加えて、スロットマシン1は、示唆決定部618および演出制御部630による示唆演出の機能がオンおよびオフの何れであるかを報知する示唆機能報知部103をさらに備えている。
【0145】
この構成によれば、遊技者は、第2示唆演出の機能がオフとなっていることを示唆機能報知部103を介して知ることができる。これにより、遊技者は、無駄に不利操作を行って恩恵を減らしてしまうことを回避することができる。
【0146】
《その他の実施形態》
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であって、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0147】
前記実施形態の一般遊技状態には、CZが含まれてもよい。また、前記実施形態では、有利遊技状態として、ATやボーナスを例示したが、有利遊技状態には、ARTが含まれてもよい。CZとは、ATへの突入確率やリプレイ確率がCZでない場合よりも高い遊技状態である。ARTは、リプレイ確率が一般遊技状態時よりも高く、かつ、押し順役の正解押し順を報知する遊技状態である。そして、設定値に応じて、AT、CZおよびARTの少なくとも1つへの突入確率が変化してもよい。設定値に応じて、AT、CZおよびARTの性能が変化してもよい。
【0148】
スロットマシン1の機種の仕様によっては、有利区間が最大1500ゲームに至る前や、遊技者の出玉の獲得枚数が2400枚に至るよりも前に、ATなどである有利遊技状態や有利区間が任意のタイミングにて終了することがあってもよい。
【0149】
前記実施形態では、遊技機がATタイプのスロットマシンである場合を例示した。しかし、遊技機は、ARTタイプのスロットマシンなど、AT機以外であっても実現できる。
【0150】
前記実施形態では、遊技者によるストップスイッチ40の操作態様に応じて出玉に関する恩恵が異なる特定役には、正解押し順が報知される押し順役およびはずし可能役が含まれている。しかし、特定役は、正解押し順が報知される押し順役およびはずし可能役のいずれか一方であってもよい。さらには、特定役は、一般遊技状態中の押し順役などの、正解押し順が報知されない状態における押し順役を含んでいてもよい。また、特定役には、操作態様に応じてペナルティボーナスを入賞させる役が含まれていてもよい。つまり、役の中には、ストップスイッチ40の操作態様(押し順又は操作タイミング)に応じてペナルティボーナスに入賞し得る役がある。そのような役が特定役であってもよい。
【0151】
前記実施形態では、押し順役の正解押し順が報知されるのはAT状態に限定されない。一般遊技状態においても押し順役の正解押し順が報知されてもよい。例えば、遊技区間が有利区間における一般遊技状態(例えば、CZ)においては、押し順役の正解押し順が報知され得る。その場合、特定役には、一般遊技状態において正解押し順が報知される押し順役が含まれてもよい。
【0152】
図7の内部抽せんテーブルT1は一例に過ぎない。例えば、正解押し順が異なる「中段ベル」と「ベルこぼし目」とが同時に当せんしているが、正解押し順が異なる「中段ベル」と「チェリー」とが同時に当せんしていてもよい。
【0153】
あるいは、正解押し順が報知される押し順役が当せんした場合に、該押し順役の不正解押し順が正解押し順となる別の押し順役が同時に当せんしていなくてもよい。例えば、正解押し順が「左中右」の中段ベルが当せんした場合に、押し順が「左右中」、「中左右」、「中右左」、「右左中」および「右中左」の場合には純はずれとなっていてもよい。
【0154】
また、内部抽せんテーブルT1において、複数のストップスイッチ40の操作タイミングが所定タイミングである場合に入賞するが、所定タイミングでない場合には非入賞となる全ての役が、第2示唆条件における特定役としてのはずし可能役に設定されていなくてもよい。例えば、「共通ベル」、「チェリー」および「スイカ」の一部だけが第2示唆条件における特定役として設定されてもよい。また、「共通ベル」、「チェリー」等の小役だけでなく、「一種BB」、「RB」等の特別役も第2示唆条件における特定役として設定されてもよい。
【0155】
第2示唆条件における不利操作の判定回数は、5回に限定されるものではない。判定回数は1回であってもよいし、5回以外の複数回であってもよい。
【0156】
さらには、第2示唆条件における判定回数は、変動してもよい。例えば、判定回数は、設定値に応じて変化してもよい。あるいは、判定回数は、電源投入後からの総ゲーム数に応じて変化(例えば、総ゲーム数に応じて判定回数が減少していく)してもよい。
【0157】
また、第2示唆条件は、不利操作回数が判定回数に達することに、示唆実行抽せんに当せんすることが追加されてもよい。例えば、不利操作回数が判定回数に達すると、演出制御部630は、示唆演出を実行するか否かを決定する示唆実行抽せんを行ってもよい。そして、示唆実行抽せんに当せんした場合に、演出制御部630は、示唆演出を実行してもよい。
また、不利操作回数の初期値は変更可能であってもよい。例えば、設定値が変更されたときに不利操作回数の初期値が変動してもよい。例えば、設定値の変更は営業時間外に行われる。設定値が変更された場合、営業開始時(即ち、朝一)には不利操作回数の初期値がゼロ以外の値であり得る。例えば、不利操作回数の初期値が「3」となっている場合、不利操作回数の判定回数が「5」であれば、遊技者は営業開始時から不利操作を2回行うことによって、不利操作回数が判定回数に達する。つまり、営業開始時には示唆演出に遭遇しやすくなっている可能性があり、スロットマシン1の稼働促進につながる。さらに、そのときの示唆演出で高い設定値であることが示唆されると、遊技者はそのスロットマシン1から離れにくくなる。つまり、遊技者が営業開始時から長時間遊技することになるので、スロットマシン1の稼働がさらに促進される。
【0158】
図8の示唆抽せんテーブルT2は、一例に過ぎない。例えば、示唆演出の選択肢として、第1演出~第5演出以外の演出を含んでいてもよい。示唆演出ごとの振分率も任意に設定され得る。示唆演出は、示唆抽せんテーブルT2を用いた演出に限定されない。
また、不利操作回数の総回数が増加するほど、設定値を推測しやすい示唆演出が出現しやすくなってもよい。例えば、不利操作回数の総回数が増加するほど設定値を推測しやすい示唆演出の振分率が高くなるように、示唆抽せんテーブルT2における複数の示唆演出の振分率が変更されてもよい。あるいは、不利操作回数の総回数に応じて、示唆抽せんテーブルT2における複数の示唆演出(即ち、示唆演出の選択肢)が変更されてもよい。つまり、不利操作回数の総回数が増加すると、設定値がより推測しやすい示唆演出が示唆抽せんの選択肢に含まれるようになる。例えば、不利操作回数の総回数が20回までは、示唆抽せんの選択肢は、現在の設定値が偶数であることを示唆する演出と現在の設定値が偶数であることを示唆する演出とであり、不利操作回数の総回数が50回までは、示唆抽せんの選択肢は、現在の設定値が4又は6であることを示唆する演出と現在の設定値が3又は5であることを示唆する演出とであり、不利操作回数の総回数が50回を超えると、示唆抽せんの選択肢は、現在の設定値が6であることを示唆する演出と現在の設定値が5であることを示唆する演出とであってもよい。
【0159】
示唆演出には、画像によるものの他、回転リール20の回転を停止した際に、リール窓200を介して視認できる図柄が特殊な図柄となることなどが、更に含まれてもよい。
【0160】
また、スロットマシン1は、第1示唆演出を実行しなくてもよい。つまり、スロットマシン1は、第1示唆演出の機能を有さず、第2示唆演出だけを実行してもよい。
【0161】
示唆機能報知部103は、LEDランプに限定されない。示唆機能報知部103は、示唆演出の機能がオンおよびオフの何れであるかを報知できる限り、任意の構成を採用し得る。例えば、示唆機能報知部103は、液晶画面3であってもよい。その場合、示唆演出の機能がオンおよびオフの何れであるかを報知する画像が液晶画面3に表示される。
メイン制御部61は、示唆決定部618及び示唆切替部619として機能している。これに代えて、サブ制御部63が示唆決定部618として機能してもよい。同様に、サブ制御部63が示唆切替部619として機能してもよい。
また、示唆切替部619が第2示唆演出の機能をオフに設定している場合、示唆決定部618は、第2示唆演出を実行するか否かの決定に加えて、第1示唆演出を実行するか否かの決定も行わないようにしてもよい。
【0162】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0163】
1 スロットマシン(遊技機)
20 回転リール
43 レバー(スタートスイッチ)
40 ストップスイッチ
103 示唆機能報知部
610 内部抽せん部
615 遊技進行制御部(設定部)
618 示唆決定部(演出制御部)
619 示唆切替部
630 演出制御部(演出制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9