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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/56 20060101AFI20221130BHJP
   A47C 7/74 20060101ALN20221130BHJP
【FI】
B60N2/56
A47C7/74 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021065470
(22)【出願日】2021-04-07
(62)【分割の表示】P 2019126498の分割
【原出願日】2015-04-03
(65)【公開番号】P2021151862
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2014081976
(32)【優先日】2014-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】小林 祥生
(72)【発明者】
【氏名】島崎 隼人
(72)【発明者】
【氏名】大島 一浩
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特許第6867600(JP,B2)
【文献】特開平10-103059(JP,A)
【文献】米国特許第06048024(US,A)
【文献】特開2006-102329(JP,A)
【文献】特開2003-165325(JP,A)
【文献】特表2008-529872(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0088064(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/56
A47C 7/74
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のサイドフレームと、
前記左右一対のサイドフレームを連結するパンフレームと、
前記左右一対のサイドフレームを連結する連結パイプと、
内部に通気路を有するシート本体と、
ロワと
前記ブロワと前記通気路とをつなぐダクトと、
前記シート本体の下方に配置され、前記ブロワを前記シート本体に固定するためのブラケットと、を備えた乗物用シートであって、
前記ブロワは、前記シート本体を挟んで乗員とは反対側に配置され
記ブラケットは、上側に延出する延出部が設けられたベース部と、前記ベース部から上側に凹む凹部と、を有し、
前記ベース部は、前記ブロワが固定された第1の固定部と第2の固定部とを有し、
前記延出部は、前記パンフレームに固定され、
前記凹部には前記連結パイプの一部が入り込
前後方向において、前記凹部は、前記第1の固定部と、前記第2の固定部の間に位置することを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
上下方向から見て、前記連結パイプは、前記ブロワと重なっていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記第1の固定部および前記第2の固定部は、前記連結パイプよりも下に位置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記凹部は、左右に開放していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート本体から空気を送風可能に構成された乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートクッションから着座者に空気を送風可能に構成された空調機能を有する車両用シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。この車両用シートは、シートクッションの下にブロワ(ファン)が設けられ、ブロワの吸い込み口から吸い込んだ空気をシートクッションから送り出すように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-66571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、ブロワの吸い込み口が下側を向いているので、車両のフロアに落ちている埃等の異物を吸い込み口から吸い込むおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、埃等の異物が吸い込み口に入るのを抑制した乗物用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の乗物用シートは、吹出口につながった通気路を有するシート本体と、吸い込み口から吸い込んだ空気を前記通気路に送り込むブロワとを備えた乗物用シートであって、前記ブロワは、前記シート本体を挟んで乗員とは反対側に配置され、前記吸い込み口は、前記シート本体側を向いている。
【0007】
このような構成によれば、ブロワの吸い込み口がシート本体側を向いているので、埃等の異物が吸い込み口に入るのを抑制することができる。
【0008】
前記した乗物用シートは、前記シート本体の前記吸い込み口と対向する位置に配置され、前記ブロワを前記シート本体に固定するためのブラケットを備える構成とすることができる。
【0009】
このような構成によれば、ブラケットにより、異物が吸い込み口に入るのを抑制することができる。
【0010】
前記した構成において、前記ブラケットは、前記吸い込み口と対向する凹部を有する構成とすることができる。
【0011】
このような構成によれば、吸い込み口とブラケットの間に空間ができるので、吸い込み口から空気を吸い込みやすくできる。また、このように構成することで、ブラケットの剛性を高くすることができる。
【0012】
前記したブラケットが凹部を有する構成において、前記凹部は、左右に開放している構成とすることができる。
【0013】
このような構成によれば、吸い込み口の左右から空気を吸い込みやすくできる。
【0014】
前記した構成において、前記ブラケットは、一対のベース部と、前記一対のベース部の間で前記吸い込み口と対向し、前記一対のベース部より前記ブロワから離れて配置された対向部と、前記対向部の前後端と前記一対のベース部をつなぐ一対の接続部と、を有し、前記接続部は、壁からなり、左右方向において前記吸い込み口が配置された範囲の外側まで延びている構成とすることができる。
【0015】
このような構成によれば、壁からなる接続部により、吸い込み口に前後方向から異物が入るのを抑制することができる。
【0016】
前記した構成において、前記ブラケットは、一対のベース部と、前記一対のベース部の間で前記吸い込み口と対向し、前記一対のベース部より前記ブロワから離れて配置された対向部と、前記対向部と前記一対のベース部をつなぐ一対の接続部と、前記ベース部から前記ブロワ側に突出して設けられた、前記ブロワを取り付けるための取付部と、を有し、前記ベース部は、前記ブロワから離間している構成としてもよい。
【0017】
このような構成によれば、ブロワとベース部の間の間隔を広くできるので、吸い込み口から空気をより吸い込みやすくできる。
【0018】
前記した凹部が左右に開放した構成において、前記シート本体は、左右に離間して配置された一対のサイドフレームと、前記一対のサイドフレームを連結する連結部材とを有し、前記連結部材の少なくとも一部は、前記凹部に入り込んでいる構成とすることができる。
【0019】
このような構成によれば、連結部材が凹部に入り込んでいるので、大きな異物が吸い込み口に入るのを抑制することができる。
【0020】
前記した構成において、前記シート本体は、左右に離間して配置された一対のサイドフレームと、前記一対のサイドフレームを前側で連結するパンフレームとを有し、前記ブラケットは、前記パンフレームに取り付けられている構成としてもよい。
【0021】
前記した構成において、前記ブラケットは、前記吸い込み口に対向する部分に貫通孔が形成されている構成としてもよい。
【0022】
このような構成によれば、貫通孔を通して空気を吸い込みやすくすることができる。
【0023】
前記した乗物用シートが、前記ブロワを前記シート本体に固定するためのブラケットを備える場合、前記ブラケットは、樹脂で作られており、前記ブロワが固定される基部と、前記基部から乗員とは反対側に突出し、前記ブロワの周囲の少なくとも一部に配置された第1壁とを有する構成とすることができる。
【0024】
このような構成によれば、第1壁により、ブロワを保護することができる。また、ブラケットが樹脂で作られているので、ブラケットの軽量化を図ることができる。
【0025】
前記した構成において、前記ブラケットは、前記基部から乗員側に突出する第2壁を有し、前記基部には、前記吸い込み口に対応した孔が形成されている構成とすることができる。
【0026】
このような構成によれば、基部の乗員側から孔を介して空気を吸い込み口に吸い込ませることができる。また、例えば、シートクッションにブラケットを配置する場合、第2壁を孔の周囲の少なくとも一部に配置することで、第2壁により、吸い込み口に異物が入るのを抑制することができる。
【0027】
前記した構成において、前記ブラケットには、ハーネス部材が固定される穴が設けられている構成とすることができる。
【0028】
このような構成によれば、ハーネス部材をブラケットに容易に固定しやすくなる。また、ハーネス部材を固定するブラケットが樹脂で作られているので、ハーネス部材がブラケットに擦れた場合でもハーネス部材が断線するのを抑制することができる。
【0029】
前記した構成において、前記ブラケットは、前記ブロワと係合するとともに前記ブロワを固定するための締結部材が締結される第1ボス、第2ボスおよび第3ボスを有し、前記ブロワは、前記第1ボスと嵌合して前記ブロワの位置を決める円形の第1係合孔と、前記第2ボスと係合して長手方向に直交する方向の位置を決める長円形の第2係合孔と、前記第3ボスと遊びをもって係合する第3係合孔と、を有する構成とすることができる。
【0030】
このような構成によれば、第1ボスと第1係合孔によって、ブラケットに対するブロワの位置を決めることができるとともに、第2ボスと第2係合孔によって、ブラケットに対するブロワの姿勢を決めることができる。また、第2係合孔が長円形であり、第3係合孔が第3ボスに対して遊びをもって係合することにより、ブロワの各ボスの位置に製造誤差があっても、ブロワを容易に正規の位置に組み付けることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、吸い込み口がシート本体側を向いているので、埃等の異物が吸い込み口に入るのを抑制することができる。
【0032】
本発明によれば、ブラケットを配置することで、異物が吸い込み口に入るのを抑制することができる。
【0033】
本発明によれば、ブラケットが凹部を有することで、吸い込み口から空気を吸い込みやすくできるとともにブラケットの取付の剛性を高くすることができる。
【0034】
本発明によれば、凹部の左右を開放することで、吸い込み口の左右から空気を吸い込みやすくできる。
【0035】
本発明によれば、ブラケットに接続部を設けることで、吸い込み口に前後方向から異物が入るのを抑制することができる。
【0036】
本発明によれば、ブラケットのベース部を吸い込み口から離間させることで、吸い込み口から空気をより吸い込みやすくできる。
【0037】
本発明によれば、ブラケットの凹部に連結部材を入り込ませることで、異物が吸い込み口に入るのを抑制することができる。
【0038】
本発明によれば、ブラケットに貫通孔を設けることで、貫通孔から空気を吸い込みやすくすることができる。
【0039】
本発明によれば、第1壁により、ブロワを保護することができる。また、ブラケットが樹脂で作られているので、ブラケットの軽量化を図ることができる。
【0040】
本発明によれば、基部の乗員側から孔を介して空気を吸い込み口に吸い込ませることができる。また、例えば、シートクッションにブラケットを配置する場合、第2壁を孔の周囲の少なくとも一部に配置することで、第2壁により、吸い込み口に異物が入るのを抑制することができる。
【0041】
本発明によれば、ハーネス部材をブラケットに容易に固定しやすくなる。また、ハーネス部材を固定するブラケットが樹脂で作られているので、ハーネス部材がブラケットに擦れた場合でもハーネス部材が断線するのを抑制することができる。
【0042】
本発明によれば、ブロワの位置と姿勢を容易に決めることができ、ブロワの各ボスの位置に製造誤差があっても、ブロワを容易に正規の位置に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】第1実施形態に係る車両用シートの斜視図である。
図2】車両用シートに内蔵されるシートフレームの斜視図である。
図3】シートクッションフレームとシートクッションパッドを下から見た図である。
図4】シートクッションフレームの前側の分解斜視図である。
図5】ブラケットを下から見た斜視図である。
図6】ブロワが取り付けられたブラケットを前から見た図(a)と、右側から見た図(b)である。
図7】変形例1に係るブラケットを下から見た斜視図(a)と、ブロワが取り付けられたブラケットを右側から見た図(b)である。
図8】変形例2に係るブラケットを下から見た斜視図である。
図9】第2実施形態に係るシートクッションフレームとシートクッションパッドを下から見た図である。
図10図9のシートクッションフレームの前側の分解斜視図である。
図11図9のブラケットを下から見た斜視図である。
図12図9のX-X断面図(a)と、図9のY-Y断面図(b)である。
図13】車両用モータ駆動装置の構成を示す図である。
図14】比較部に入力される電圧を示す図(a)と、比較部の出力を示す図(b)と、比較例における比較部の出力を示す図(c)である。
図15】比較例に係る車両用モータ駆動装置の構成を示す図である。
図16】変形例に係る車両用モータ駆動装置の構成を示す図である。
図17】変形例におけるブロワ風量をHi、Low間で切り替えたときの入力電圧の変動の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、乗物用シートの一例としての車両用シートSの全体構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分を詳細に説明することとする。
【0045】
図1に示すように、車両用シートSは、自動車の運転席に使用されるシートであり、シート本体の一例としてのシートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを主に備えている。なお、以下の説明において、前後、左右、上下は、車両用シートSに座る乗員を基準として用いる。
【0046】
シートクッションS1およびシートバックS2には、図2に示すように、シートフレームFが内蔵されている。シートフレームFは、シートクッションS1のフレームを構成するシートクッションフレームF1と、シートバックS2のフレームを構成するシートバックフレームF2とから主に構成されている。
【0047】
シートクッションS1は、図1に示すように、シートクッションフレームF1に、ウレタンフォームなどのクッション材からなるシートクッションパッド1と、合成皮革や布地などからなる表皮材2を被せることで構成されている。
【0048】
シートクッションフレームF1は、図2に示すように、左右一対のサイドフレーム10と、各サイドフレーム10の前部を連結するパンフレーム30と、各サイドフレーム10の前端部及び後端部を連結する円筒状の連結部材の一例としての連結パイプ40(図3も参照)とを主に備えている。
【0049】
左右のサイドフレーム10は、前後方向に延びる金属製のフレームであり、左右に離間して配置されている。パンフレーム30は、金属板をプレス成形してなり、中央部が下方に凹んだ形状に形成されている。
【0050】
また、パンフレーム30と後側の連結パイプ40の間には、4つのSバネ20が架設されている。Sバネ20は、前後方向に延びる長尺状のバネであり、左右方向で複数回屈曲するように形成されている。
【0051】
シートクッションパッド1は、図1に示すように、内部に形成された通気路1Aと上面に形成された複数の送風口1Bを有し、ブロワ100から通気路1A内に送り込まれた空気を矢印で示すように送風口1Bから乗員に向けて送風可能に構成されている。
【0052】
また、図3に示すように、パンフレーム30の下、つまり、シートクッションパッド1を挟んで乗員とは反対側には、ブロワ100及びブラケット200が設けられている。
【0053】
ブロワ100は、ダクト1Cを介して通気路1Aに向けて空気を送り込むための送風機であり、筐体110と、モータ120と、ファン130とを備えている。
【0054】
筐体110は、図3図4に示すように、円筒状に形成された円筒部111と、円筒部111の前部から左側に突出し、ダクト1Cに接続された吹出部112とを備えている。円筒部111には、吸い込み口113が形成され、吹出部112には、吹出口114が形成されている。
【0055】
吸い込み口113は、ファン130の回転により筐体110の内部に空気を吸い込むための開口であり、上側(パンフレーム30側)を向くように円筒部111の上面に円形に形成されている。
【0056】
吸い込み口113は、図3に示すように、円筒部111の上面のやや左寄りに形成されている。詳しくは、吸い込み口113は、円筒部111の内周とファン130の外周の距離が、円筒部111の中央左側の位置を始点として、図示時計回り方向の下流側に行くにつれ、徐々に大きくなるような位置に配置されている。これにより、ファン130から出た空気の吹出口114(吹出部112)に向かうまでの通風路115が徐々に広がるように形成されている。
【0057】
また、吸い込み口113は、図4に示すように、吸い込み口113を覆うような網状、格子状等のカバー部材が配置されておらず、剥き出しとなっている。別の言い方をすると、吸い込み口113は、単一の開口からなっている。
【0058】
吹出口114は、吸い込み口113から吸い込んだ空気を吹き出すための開口であり、吹出部112の左面に形成されている。これにより、吹出口114は、ダクト1Cを介して通気路1Aとつながっている。
【0059】
また、筐体110は、円筒部111の外周面から突出する3つの突出部116を有している。突出部116は、円筒部111の前側右部分に1つ、後側の左右両端部分に各1つの合計3つ設けられ、上下に貫通した穴116Aが設けられている。
【0060】
図3に示すように、モータ120は、DC(Direct Current)ブラシレスモータ等のようなファン130を回転駆動するための駆動源であり、筐体110の内部に設けられている。
【0061】
ファン130は、モータ120の出力軸に接続されており、筐体110の内部、詳しくは、筐体110の吸い込み口113の縁に沿った位置に設けられている。このようにファン130が配置されることで、ブロワ100は、ファン130の回転により吸い込み口113から吸い込んだ空気が通風路115の中を図示時計回り方向に流れて、吹出口114に達するように構成されている。
【0062】
ブラケット200は、ブロワ100をパンフレーム30に固定するための板金部材であり、パンフレーム30の吸い込み口113と対向する位置に配置されている。
【0063】
ブラケット200は、図4図5に示すように、吸い込み口113の前後両端側に対応する位置に配置された一対のベース部210と、一対のベース部210の間で吸い込み口113と対向する位置に配置された対向部220と、対向部220と一対のベース部210の間に配置された接続部230とを有している。
【0064】
一対のベース部210は、ブロワ100を取り付けるための溶接ナット211が前側のベース部210Aに1つ、後側のベース部210Bに2つの合計3つ設けられている。溶接ナット211は、ベース部210の上面において、ブロワ100の突出部116に対応する位置に配置されている。これにより、ブロワ100は、突出部116の穴116Aを挿通されたボルトを溶接ナット211にはめることでブラケット200のベース部210の下面に固定される。
【0065】
また、前側のベース部210Aは、左端の前側において、上側に延出する延出部212が設けられている。延出部212は、上端を左に折り曲げた屈曲部212Aを有している。
【0066】
対向部220は、上述した屈曲部212Aとともにパンフレーム30に溶接等により固定される部分であり、図6(a),(b)に示すように、上下の位置が屈曲部212Aと略同じ位置になるように一対のベース部210よりもブロワ100から離れて配置されている。
【0067】
一対の接続部230は、対向部220の前後端と一対のベース部210をつなぐ壁である。一対の接続部230は、ベース部210から立ち上がっており、左右方向において吸い込み口113が配置された範囲の外側まで延びている。これにより、前後方向から異物が吸い込み口113に向けて移動してきても、接続部230が当該異物を遮断するようになっている。
【0068】
また、ブラケット200は、前述した対向部220および接続部230により、上側に凹む凹部240が形成されている。これにより、吸い込み口113とブラケット200の間に空間ができるようになっている。
【0069】
また、凹部240は、左右に開放しており、前側の連結パイプ40の一部が入り込むような位置に設けられている。これにより、連結パイプ40が吸い込み口113の上側の空間に配置され、凹部240内の流路を適度に狭めるので、連結パイプ40が左右方向から移動してくる大きな異物が入らないようになっている。
【0070】
次に、ブロワ100及びブラケット200の取付方法について説明する。
ブラケット200の対向部220の上面及び屈曲部212Aを溶接等によりパンフレーム30に固定する。ブラケット200をパンフレーム30に固定したら、凹部240の部分に前側の連結パイプ40を入り込ませ、パンフレーム30をサイドフレーム10に配置する。そして、ブロワ100の突出部116の穴116Aにボルトを挿通し、ブラケット200の溶接ナット211にはめ込んでブロワ100をブラケット200に固定する。
【0071】
以上のように構成された車両用シートSの作用効果について説明する。
ブロワ100内に設けられたファン130が回転すると、吸い込み口113から空気がブロワ100内に吸い込まれ、通風路115を通って、吹出口114に達する。その後、空気は、通気路1Aに送り込まれ、送風口1Bから送風される。ここで、従来の構成のように、ブロワの吸い込み口が下側を向いていると、車両のフロアに落ちている埃等を吸い込みやすくなる。
【0072】
しかし、本実施形態では、ブロワ100の吸い込み口113が上側を向いているので、吸い込み口113から埃等を吸い込むのを抑制することができる。また、吸い込み口113とブラケット200が対向することにより、吸い込み口113に異物が入るのを抑制することができる。
【0073】
また、吸い込み口113とブラケット200の間に空間ができるので、吸い込み口113から空気を吸い込みやすくできる。また、ブラケット200が凹部240を有した構成であるので、ブラケット200の剛性を高くすることができる。
【0074】
凹部240が左右に開放しているので、吸い込み口113の左右から空気を吸い込みやすくできる。
【0075】
接続部230前後方向からの異物を遮断するので、前後方向から異物が吸い込み口113に入るのを抑制することができる。
【0076】
連結パイプ40が左右方向からの異物を遮断するので、左右方向から大きな異物が吸い込み口113に入るのを抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態では、吸い込み口113が剥き出しになっているが、吸い込み口113を上側に向かせ、前後左右からの異物を遮断するように構成することで、カバー部材を別に設けなくても、異物が吸い込み口113に入るのを抑制することができる。
【0078】
また、第1実施形態では、ベース部210の下面にブロワ100が固定された構成であったが、本発明はこれに限定されず、例えば、図7(a),(b)に示すように、ベース部210がブロワ100から離間している構成であってもよい。
【0079】
この構成におけるブラケット200は、一対のベース部210から突出し、ブロワ100を取り付けるための取付部213が前側に1つ、後側に2つの合計3つ設けられている。前側の取付部213は、ベース部210から上方に延出した後、前側に屈曲して形成され、後側の取付部213は、ベース部210から上方に延出した後、後側に屈曲して形成されている。取付部213は、それぞれの屈曲した部分が、ブロワ100の突出部116に対応する位置になるように配置されている。
【0080】
このような取付部213にブロワ100を取り付けると、ブロワ100がベース部210から離間して配置される。これにより、ブロワ100とベース部210の間隔Xを広くできるので、吸い込み口113からより空気を吸い込みやすくすることができる。
【0081】
また、ブラケット200は、例えば、図8に示すように、吸い込み口113に対向する部分に貫通孔250が形成された構成であってもよい。
【0082】
この構成における貫通孔250は、ブラケット200の吸い込み口113に対向する部分のうち、後側の部分に形成されている。詳しくは、貫通孔250は、ブラケット200の対向部220の前後方向中央部分から、後側の接続部230Bを跨いで後側のベース部210Bの前後方向中央部分までの範囲に形成されている。なお、貫通孔250は、どのような形状であってもよい。また、貫通孔250は、複数設けられていてもよい。
【0083】
このような構成によれば、貫通孔250から空気を吸い込み口113に吸い込みやすくすることができる。
【0084】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、先に説明した実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して説明を省略することとする。
【0085】
図9に示すように、この形態におけるブロワ300およびブラケット400は、パンフレーム30の連結パイプ40の下に配置されている。ブロワ300は、第1実施形態のブロワ100と同様に、筐体310と、モータ120と、ファン130とを備えている。
【0086】
筐体310は、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂により構成され、第1実施形態のブロワ100と同様に、円筒部311と、吹出部312とを備えている。図9および図10に示すように、円筒部311の上面には、吸い込み口313が形成されている。吹出部312は、円筒部311の後部から後側に突出しており、後面に吹出口314が形成されている(図12(a)参照)。なお、筐体310の材料は、特に限定されず、PBT以外の材料で構成されていてもよい。
【0087】
また、円筒部311の外周には、外側に突出して設けられた3つの取付部316,317,318が形成されている。取付部316は、円筒部311の右前方に突出し、取付部317は、円筒部311の略後方に突出し、取付部318は、円筒部311の左前方に突出している。取付部316には、円形の第1係合孔316Aが形成され、取付部317には、前後に長い長円形の第2係合孔317Aが形成され、取付部318には、第1係合孔316Aよりも大きい円形の第3係合孔318Aが形成されている。
【0088】
第1係合孔316A、第2係合孔317Aおよび第3係合孔318Aは、締結部材の一例としてのタッピングボルトB1が挿通することで、ブロワ300をブラケット400に固定するための部分である。
【0089】
第1係合孔316Aは、後述する第1ボス416と嵌合して第1係合孔316Aの位置にブロワ300の位置を決めることができるように形成されている。第2係合孔317Aは、後述する第2ボス417と係合して、第2係合孔317Aの長手方向に直交する方向、つまり、略左右方向の位置を決め、ブロワ300の姿勢を決めることができるように形成されている。第3係合孔318Aは、第1係合孔316Aよりも一回り大きいので、後述する第3ボス418に対して前後左右に遊びを持って係合するように形成されている。
【0090】
ダクト320は、例えば、オレフィン系エラストマー(TPO)をブロー成形することで製造され、ブロワ300と通気路1Aを接続している。なお、ダクト320の材料は、特に限定されず、TPO以外の材料で製造されていてもよい。
【0091】
ダクト320は、前後方向に延びる第1延在部321と、第1延在部321の後端から上方に延びて、上端が通気路1Aに繋がる第2延在部322とを有している。図12(a)に示すように、第1延在部321の前端部は、吹出口314の内側に嵌合するように形成された嵌合部321Aとなっている。この嵌合部321Aが吹出口314に嵌合することで、吹出口314は、ダクト320を介して通気路1Aと繋がっている。
【0092】
図10および図11に示すように、ブラケット400は、例えば、PP(ポリプロピレン)等の樹脂を射出成形することにより製造され、基部410と、第1壁420と、第2壁430とを備えている。なお、ブラケット400の材料は、特に限定されず、PP以外の材料で製造されていてもよい。
【0093】
基部410は、ブロワ300が固定される部分であり、略矩形状に形成されている。基部410は、ブロワ300の吸い込み口313に対応した位置に、円形の孔411が形成されている(図12(b)も参照)。基部410の前端部の左右中央には、下面から上に凹む凹部412が形成されている。
【0094】
第1壁420は、基部410から乗員とは反対側、つまり、下方に突出しており、基部410の前端に位置する前壁421と、基部410の左右の側端に位置する一対の側壁422とを有している。
【0095】
前壁421は、基部410の前端の左右方向の全範囲に形成されており、一対の側壁422は、前壁421の左右両端から前後方向に延び、基部410の左右両端の前後方向の全範囲に形成されている。前壁421および一対の側壁422は、基部410の孔411、つまり、ブロワ300の周囲に配置されている。
【0096】
第2壁430は、基部410の前端から乗員側、つまり、上方に突出しており、孔411よりも前側に位置している(図12(a),(b)も参照)。第2壁430は、基部410の前端の左右方向の全範囲に形成されている。
【0097】
基部410には、ブロワ300を取り付けるための第1ボス416、第2ボス417および第3ボス418が下面から下方に突出して設けられている。各ボス416,417,418は、円筒形状であり、下端面にタッピングボルトB1が係合する穴416A,417A,418Aが形成されている。各ボス416,417,418は、全て同じ形状であり、それぞれ第1係合孔316A、第2係合孔317Aおよび第3係合孔318Aに対応した位置に配置されている。
【0098】
また、基部410には、各ボス416,417,418の外周面と前壁421または側壁422とを繋ぐリブ(符号省略)が設けられている。各リブは、基部410からの突出量が同じになっており、ブロワ300の各取付部316,317,318が当接することでブロワ300の上下方向の位置を決めることが可能となっている。
【0099】
また、基部410は、後端部において、側壁422よりも左右外側に延出する一対の固定部413を有している。左側の固定部413には、左端から下方に延びる延出部414が設けられている。
【0100】
また、前述した凹部412の底壁には、第1固定孔412Aが形成され、左側の固定部413には、第2固定孔413Aが形成され、右側の固定部413には、第3固定孔413Bが形成されている。各固定孔412A,413A,413Bは、タッピングボルトB2が挿通されて、ブラケット400をパンフレーム30に固定するための部分である。
【0101】
第1固定孔412Aは、パンフレーム30の図示しないボスと嵌合して第1固定孔412Aの位置におけるブラケット400の位置を決める円形の孔となっている。第2固定孔413Aは、左右に長い長円形の孔であり、パンフレーム30の図示しないボスと係合することで、長円の長手方向に直交する前後方向の位置を決め、ブラケット400のシートクッションフレームF1に対する姿勢を決めることができるようになっている。第3固定孔413Bは、第1固定孔412Aおよび第2固定孔413Aよりも大きい長円形の孔であり、パンフレーム30の図示しないボスに対して前後左右に遊びを持って係合するようになっている。
【0102】
また、第1壁420や、延出部414には、左右に貫通する穴440が形成されている。穴440は、ブロワ300のハーネス部材や、その他の電装部品のハーネス部材を支持するクリップを固定可能な穴となっている。
【0103】
次に、ブロワ300およびブラケット400の取付方法について説明する。
図10に示すように、まず、ブラケット400の各固定孔412A,413A,413Bを、パンフレーム30の各孔に対応したボスに係合させ、各タッピングボルトB2をパンフレーム30の、各孔に対応するボスの穴に挿入する。これにより、ブラケット400がパンフレーム30に固定される。
【0104】
図9および図12(a)に示すように、ダクト320の嵌合部321Aをブロワ300の吹出口314に嵌合させ、第2延在部322の上端を通気路1Aに繋がる開口部に挿入する。そして、図9および図10に示すように、ブロワ300の各係合孔316A,317A,318Aを、ブラケット400の各ボス416,417、418に係合させ、各タッピングボルトB1をブラケット400の各ボス416,417,418の穴に挿入する。これにより、ブロワ300がブラケット400に取り付けられる。
【0105】
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
第1壁420がブロワ300の周囲に配置されているので、第1壁420によりブロワ300を保護することができる。また、ブラケット400が樹脂で作られているので、ブラケット400の軽量化を図ることができるとともに、設計自由度を向上させることができる。
【0106】
基部410の吸い込み口313に対応した位置に孔411が形成されているので、基部410の上側から空気を吸い込み口313に吸い込ませることができる。また、第2壁430が孔411、つまり、吸い込み口313の周囲に位置するので、図12(b)に示すように、ブラケット400の周囲の空気は、一度上に流れてシートクッションパッド1に近づいた後、吸い込み口313へ向けて下へ流れる。つまり、ブラケット400の周囲の空気は、第2壁430をのり越えて吸い込み口313に入る。このように第2壁430があることで、ブラケット400とシートクッションパッド1の間における異物の浸入経路が狭くなるので、第2壁がない構成と比較して、吸い込み口313に異物が入るのを抑制することができる。
【0107】
ブラケット400に穴440が形成されているので、ハーネス部材をブラケット400に容易に固定しやすくなる。また、ハーネス部材を固定するブラケット400が樹脂で作られているので、ハーネス部材がブラケットに擦れた場合でもハーネス部材が断線やショート等の不具合を抑制することができる。
【0108】
第1ボス416と第1係合孔316Aの嵌合によって、ブラケット400に対するブロワ300の位置を決めることができるとともに、第2ボス417と第2係合孔317Aの係合によって、ブラケット400に対するブロワ300の姿勢を決めることができる。また、第2係合孔317Aが長円形であり、第3係合孔318Aが第3ボス418に対して遊びをもって係合することにより、ブラケット400の各ボス416,417,418の位置に製造誤差があっても、ブロワ300を容易に正規の位置に組み付けることができる。
【0109】
ここで、前述した第1実施形態及び第2実施形態のブロワ100,300(第1実施形態のみ図示)のモータ120を駆動するための車両用モータ駆動装置500について説明する。
【0110】
図13に示すように、車両用モータ駆動装置500は、車両に搭載された電源の一例としてのバッテリー電源VBから電力が供給され、モータ120と、入力電圧生成部520と、駆動部530とを備えている。モータ120及び駆動部530は、ブロワ100内に設けられている。
【0111】
モータ120は、DC(Direct Current)ブラシレスモータ等のようなファン130を回転駆動するための駆動源である。
【0112】
入力電圧生成部520は、駆動部530に入力する入力電圧V11を生成する部分であり、抵抗列521と、スイッチ部522とを有している。
【0113】
抵抗列521は、バッテリー電源VBとグランドの間において、3つの抵抗521A,521B,521Cがバッテリー電源VB側から順に直列接続されて構成されている。なお、抵抗521A,521B,521Cは、互いに同じ抵抗値としてもよいし、異なる抵抗値としてもよい。
【0114】
スイッチ部522は、乗員がブロワ100のON、OFFとブロワ100のON時における風量をHi、Mid、Lowの各レベルに切り替えるための部分である。スイッチ部522は、抵抗列521のバッテリー電源VB側の接続部分P1と、抵抗521Aと抵抗521Bの間の接続部分P2と、抵抗521Bと抵抗521Cの間の接続部分P3と、抵抗列521のグランド側の接続部分P4のいずれか1つを、入力電圧生成部520の出力部523と選択的に接続するように構成されている。このようにスイッチ部522において選択された各接続部分における電圧が、駆動部530における入力電圧V11として出力部523から駆動部530に出力される。
【0115】
なお、本実施形態では、スイッチ部522が接続部分P1に接続されたとき、ブロワ100の風量がHi出力となり、接続部分P2に接続されたとき、ブロワ100の風量がMid出力となり、接続部分P3に接続されたとき、ブロワ100の風量がLow出力となる。また、スイッチ部522が接続部分P4に接続されたとき、ブロワ100はOFFとなる。
【0116】
駆動部530は、入力電圧生成部520からの入力電圧V11が直接入力され、入力電圧V11の大きさに応じた回転速度でモータ120を駆動する部分である。駆動部530は、参照電圧生成部531と、三角波生成部532と、バッファ部533と、比較部534と、駆動信号出力部535とを有している。
【0117】
参照電圧生成部531は、参照電圧V21を生成する部分であり、バッテリー電源VBとグランドの間に直列接続された2つの抵抗531A,531Bから構成されている。参照電圧生成部531は、抵抗531Aと抵抗531Bの間の電圧を参照電圧V21として三角波生成部532に出力するように構成されている。なお、抵抗531A,531Bは、互いに同じ抵抗値としてもよいし、異なる抵抗値としてもよい。
【0118】
ここで、前述した入力電圧生成部520と参照電圧生成部531は、バッテリー電源VBとグランドの間の電圧を直列接続された複数の抵抗により分圧することで入力電圧V11と参照電圧V21を生成している。そのため、バッテリー電源VBが電圧変動すると、入力電圧V11及び参照電圧V21がバッテリー電源VBの電圧変動に連動して電圧変動するようになっている。
【0119】
三角波生成部532は、参照電圧V21に応じた振幅の三角波V22を生成する部分であり、当該三角波V22を比較部534に出力するように構成されている(図14(a)参照)。
【0120】
バッファ部533は、入力電圧V11をバッファ電圧V12に調整して比較部534に出力する部分であり、入力電圧V11が入力されるアンプ533Aと、アンプ533Aの出力とグランドの間に直列接続された2つの抵抗533B,533Cとから構成されている。バッファ部533は、抵抗533Bと抵抗533Cの間の電圧をバッファ電圧V12として比較部534に出力するように構成されている。
【0121】
比較部534は、入力電圧V11と参照電圧V21、詳しくは、バッファ電圧V12と三角波V22の大小関係を比較して、入力電圧V11の大きさに応じたパルス幅のパルス信号Vpを駆動信号出力部535に出力するように構成されている。なお、本実施形態における比較部534は、バッファ電圧V12が大きいと判定したとき、ハイ電圧を出力し、三角波V22が大きいと判定したとき、ロー電圧を出力するように設定されている(図14(a),(b)参照)が、それぞれが逆の出力となるように設定してもよい。
【0122】
駆動信号出力部535は、パルス信号Vpのデューティ比に応じた回転速度でモータ120を駆動するための駆動信号をモータ120に出力するように構成されている。
【0123】
以上のように構成された本実施形態における車両用モータ駆動装置500の作用効果について説明する。
バッテリー電源VBが変動しない状態において、入力電圧生成部520における抵抗列521のいずれかの接続部分をスイッチ部522により選択する。例えば、スイッチ部522により接続部分P1を選択すると、接続部分P1の電圧に相当する入力電圧V11がバッファ部533に入力され、図14(a)に示すように、バッファ電圧V12(破線表示)が比較部534に入力される。比較部534は、参照電圧V21から三角波生成部532により生成された三角波V22(破線表示)とバッファ電圧V12の大小関係を比較して、図14(b)に示すようなパルス信号Vpを駆動信号出力部535に出力する。
【0124】
そして、駆動信号出力部535の当該パルス信号Vpに対応した駆動信号により、モータ120が回転して、ファン130がそれに伴い回転駆動し、ブロワ100から通気路1Aに空気が送り込まれる。また、スイッチ部522により接続部分P2又はP3を選択することで、比較部534がそれぞれの入力電圧V11に対応したパルス幅のパルス信号Vpを出力するので、そのパルス信号Vpのデューティ比に応じた回転速度でモータ120が駆動する。すなわち、スイッチ部522により接続部分P1,P2,P3を切り替えることで、パルス信号Vpのパルス幅を制御するいわゆるPWM(Pulse Width Modulation)制御によりモータ120の回転速度を変動させることができる。
【0125】
このように、スイッチ部522で入力電圧V11を複数段階に切り替えることによりモータ120の回転速度を決定することができるので、アナログ回路のみを用いた簡易な構成によりブロワ100の風量を調節することができる。そのため、デジタル制御をするためのECUを設ける必要がなくなり、車両用シートS及び車両用モータ駆動装置500における部品点数を削減することができる。
【0126】
ところで、バッテリー電源VBは、使用状況等により電圧が低下する。そのため、例えば、図15に示すように、図13における参照電圧生成部531に代えて、基準電圧生成部540を有する構成の場合、バッテリー電源VBの電圧が変動しても、基準電圧生成部540から出力される基準電圧V23が一定であるので、三角波生成部532の三角波V22がバッテリー電源VBの電圧変動前と変わらずに一定となる(図14(a)の破線参照)。
【0127】
具体的に、基準電圧生成部540は、バッテリー電源VBに一端が接続された抵抗541と、抵抗541の他端にカソードが接続され、グランドにアノードが接続されたツェナーダイオード542とから構成されている。基準電圧生成部540は、抵抗541とツェナーダイオード542の接続点における電圧が基準電圧V23として三角波生成部532に入力されている。このような基準電圧生成部540は、バッテリー電源VBが電圧変動しても、ツェナーダイオード542のカソード側にツェナー電圧以上の電圧が印加されるようにすることで、カソードからアノードに向けて電流が流れるいわゆるツェナー効果により、一定の基準電圧V23を出力するようになっている。
【0128】
ここで、三角波V22が一定であっても、入力電圧V11は、バッテリー電源VBの電圧変動により変動するので、バッファ電圧V12は低下する(図14(a)の実線参照)。そして、比較部534は、図14(c)に示すように、図14(b)のパルス幅よりも小さいパルス幅のパルス信号Vpを出力してしまい、モータ120の回転速度が低下して、ブロワ100の風量をHiに設定しても、それより風量が小さくなってしまう。
【0129】
しかし、本実施形態では、バッテリー電源VBの電圧が変動したとき、入力電圧V11及び参照電圧V21がバッテリー電源VBの電圧変動に応じて変動するので、バッファ電圧V12及び三角波V22が図14(a)の破線の状態から実線の状態に変動する。このときの比較部534の出力は、図14(b)に示すように、バッテリー電源VBの変動前と略同じ出力となる。そのため、バッテリー電源VBの電圧変動の影響を抑制することができるので、バッテリー電源VBの電圧変動によるモータ120の回転速度への影響を小さくすることができる。
【0130】
以上、車両用モータ駆動装置500の一実施形態について説明したが、車両用モータ駆動装置500の具体的な構成については、適宜変更が可能である。
【0131】
前記実施形態では、バッファ部533からのバッファ電圧V12が比較部534に直接入力された構成であったが、図16に示すように、バッファ部533と比較部534の間にコンデンサ550を備えた構成であってもよい。
【0132】
具体的に、コンデンサ550は、バッファ部533と比較部534の間に一端が接続され、グランドに他端が接続されている。なお、コンデンサ550は、入力電圧生成部520と比較部534の間に一端が接続されていればよく、例えば、入力電圧生成部520とバッファ部533の間に一端が接続されていてもよい。
【0133】
ここで、例えば、入力電圧生成部520のスイッチ部522において、ブロワ100の風量をHiからLowに切り替えてモータ120の回転速度が小さいときに、再度ブロワ100の風量をHiに切り替えると、図17に示すように、比較部534への入力電圧(バッファ電圧V12)が破線に示すようにV(ブロワ100の風量がLow時の入力電圧)からV(ブロワ100の風量がHi時の入力電圧)に向けて急に変動するので、モータ120の回転速度が急に大きくなってしまう。しかし、図16の構成では、コンデンサ550により、比較部534への入力電圧を徐々に大きくなるように変動させることができるので、モータ120の回転速度が急に大きくなるように変動するのを抑制することができる。
【0134】
また、比較部534への入力電圧が徐々に変動するので、モータ120の回転速度も徐々に変動する。そのため、ブロワ100の風量も徐々に変動するので、乗員が違和感を覚えるのを抑制することができる。
【0135】
前記実施形態では、入力電圧生成部520が3つの抵抗からなる抵抗列521を有していたが、本発明はこれに限定されず、2つの抵抗からなる抵抗列でもよいし、4つ以上の抵抗からなる抵抗列でもよい。
【0136】
前記実施形態では、車両用モータ駆動装置500がファン130を駆動するためのモータ120に適用されていたが、本発明はこれに限定されず、ファン以外の他の装置を駆動するためのモータに適用されてもよい。
【0137】
前記実施形態では、シート本体の一例としてシートクッションS1を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、シートバックS2であってもよい。この場合、シートバックS2の後にブロワが設けられる。ブロワの吸い込み口は、シートバックS2側(前側)を向いている。
【0138】
前記実施形態では、ブラケットが吸い込み口に対向していたが、本発明はこれに限定されず、吸い込み口に対向していなくてもよい。
【0139】
前記実施形態では、ブロワがブラケットに固定されていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、パンフレーム30に直接固定されていてもよいし、ブラケット以外の部材に固定されていてもよい。
【0140】
前記第1実施形態では、ブラケット200が凹部240を有していたが、本発明はこれに限定されず、凹部240を有していなくてもよい。
【0141】
前記第1実施形態では、凹部240は、左右に開放した構成であったが、本発明はこれに限定されず、左右に開放していない構成であってもよい。
【0142】
前記第1実施形態では、接続部230が吸い込み口113の左右外側まで延びていたが、本発明はこれに限定されず、左右外側まで延びていなくてもよい。
【0143】
前記第1実施形態では、前側の連結パイプ40が凹部240に入り込んだ構成であったが、本発明はこれに限定されず、凹部240に入り込んでいない構成であってもよい。
【0144】
前記実施形態では、ブラケットは、パンフレーム30に取り付けられていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、Sバネ20等のパンフレーム30以外の部分に取り付けられていてもよい。
【0145】
前記実施形態では、乗物用シートとして、自動車で使用される車両用シートSを例示したが、本発明はこれに限定されず、その他の乗物用シート、例えば、鉄道車両、船舶、航空機などで使用されるシートに適用することもできる。
【符号の説明】
【0146】
1 シートクッションパッド
1A 通気路
10 サイドフレーム
30 パンフレーム
40 連結パイプ
100 ブロワ
113 吸い込み口
114 吹出口
130 ファン
200 ブラケット
210 ベース部
220 対向部
230 接続部
240 凹部
S1 シートクッション
S 車両用シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17