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特許7185180画像処理装置、および、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】画像処理装置、および、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 109
B41J2/01 305
B41J2/01 213
B41J2/01 451
B41J2/01 107
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018180845
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2020049762
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001058
【氏名又は名称】鳳国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森川 彰太
(72)【発明者】
【氏名】久野 雅司
(72)【発明者】
【氏名】荒金 覚
(72)【発明者】
【氏名】古畑 義治
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 真
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-019089(JP,A)
【文献】特開2017-056676(JP,A)
【文献】特開2002-103720(JP,A)
【文献】特開平06-238916(JP,A)
【文献】特開平09-011494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する複数個のノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドに前記インクを供給するインク供給部と、印刷媒体に対して主走査方向に沿って前記印刷ヘッドを移動させる主走査を実行する主走査部と、前記印刷ヘッドに対して前記主走査方向と交差する副走査方向に沿って前記印刷媒体を移動させる副走査を実行する副走査部と、を備える印刷実行部のための画像処理装置であって、
画像データを取得する取得部と、
前記画像データを用いて、前記主走査部に前記主走査を行わせつつ前記印刷ヘッドに前記インクを吐出させることによって部分画像の少なくとも一部を印刷する部分印刷と、前記副走査部に前記副走査を実行させることと、を複数回実行することで前記印刷実行部に印刷を行わせる印刷制御部であって、前記部分画像は、印刷画像の前記主走査方向の一端から他端まで延びる帯状の画像であり、前記副走査は、一の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、一の前記部分画像の次に印刷される他の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、の間に実行される、前記印刷制御部と、
前記部分画像に対応する部分画像データを用いて、前記部分画像のうちの前記一端から前記主走査方向の特定位置までの部分を印刷する際に用いられる前記インクの使用量に関する指標値を算出する算出部と、
前記指標値と閾値との比較に基づいて前記インクの使用量が基準以上であると判断される場合に、前記部分画像のうちの前記特定位置よりも前記一端側に、前記部分画像のうちの前記一端を含み前記他端を含まない第1部分を決定する部分決定部と、
を備え、
前記印刷制御部は、
前記部分画像ごとに判断される特定条件であって、前記部分印刷にて前記インク供給部から前記印刷ヘッドへの前記インクの供給が遅れ得ることを示す条件であり、前記指標値と前記閾値との比較に基づいて前記インクの使用量が基準以上であると判断される場合に満たされる条件である前記特定条件が満たされない第1の場合には、前記部分画像を1回の前記部分印刷にて印刷させ、
前記特定条件が満たされる第2の場合には、前記部分画像のうちの前記第1部分を印刷する第1の部分印刷と、前記部分画像のうちの前記主走査方向の前記他端を含み前記一端を含まない第2部分を印刷する第2の部分印刷と、を含む複数回の前記部分印刷にて前記部分画像を印刷させる、画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記第1の部分印刷は、前記主走査方向に沿う第1方向の前記主走査にて行われる前記部分印刷であり、
前記第2の部分印刷は、前記主走査方向に沿う第2方向であって前記第1方向とは反対の方向である前記第2方向の前記主走査にて行われる前記部分印刷である、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像処理装置であって、
前記部分画像は、前記第1部分と前記第2部分との間に位置する第3部分を含み、
前記印刷制御部は、前記第2の場合には、前記第3部分を前記第1の部分印刷と前記第2の部分印刷との両方にて印刷させる、画像処理装置。
【請求項4】
インクを吐出する複数個のノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドに前記インクを供給するインク供給部と、印刷媒体に対して主走査方向に沿って前記印刷ヘッドを移動させる主走査を実行する主走査部と、前記印刷ヘッドと対向する位置において前記印刷媒体を波状に変形させた状態で保持する保持部を備え、前記印刷ヘッドに対して前記主走査方向と交差する副走査方向に沿って前記印刷媒体を移動させる副走査を実行する副走査部であって、前記波状に変形された前記印刷媒体は、前記副走査方向に沿って延び前記主走査方向に並ぶ複数個の山部を含み、前記保持部は、前記副走査方向に沿って延び前記主走査方向に並ぶ複数個の支持部であって、前記複数個の山部のそれぞれを前記印刷ヘッドが位置する側とは反対側から支持する、前記複数個の支持部を備える、前記副走査部と、を備える印刷実行部のための画像処理装置であって、
画像データを取得する取得部と、
前記画像データを用いて、前記主走査部に前記主走査を行わせつつ前記印刷ヘッドに前記インクを吐出させることによって部分画像の少なくとも一部を印刷する部分印刷と、前記副走査部に前記副走査を実行させることと、を複数回実行することで前記印刷実行部に印刷を行わせる印刷制御部であって、前記部分画像は、印刷画像の前記主走査方向の一端から他端まで延びる帯状の画像であり、前記副走査は、一の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、一の前記部分画像の次に印刷される他の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、の間に実行される、前記印刷制御部と、
を備え、
前記印刷制御部は、
前記部分画像ごとに判断される特定条件であって前記部分印刷にて前記インク供給部から前記印刷ヘッドへの前記インクの供給が遅れ得ることを示す前記特定条件が満たされない第1の場合には、前記部分画像を1回の前記部分印刷にて印刷させ、
前記特定条件が満たされる第2の場合には、前記部分画像のうちの前記主走査方向の前記一端を含み前記他端を含まない第1部分を印刷する第1の部分印刷と、前記部分画像のうちの前記主走査方向の前記他端を含み前記一端を含まない第2部分を印刷する第2の部分印刷と、を含む複数回の前記部分印刷にて前記部分画像を印刷させ、
前記画像処理装置は、さらに、前記特定条件が満たされる場合に、前記部分画像において、前記第1部分の前記一端とは反対側の端と、前記第2部分の前記他端とは反対側の端と、のうちの少なくとも一方を、前記印刷媒体の前記複数個の山部のうちの1つと対応する位置に決定する位置決定部を備える、画像処理装置。
【請求項5】
インクを吐出する複数個のノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドに前記インクを供給するインク供給部と、印刷媒体に対して主走査方向に沿って前記印刷ヘッドを移動させる主走査を実行する主走査部と、前記印刷ヘッドに対して前記主走査方向と交差する副走査方向に沿って前記印刷媒体を移動させる副走査を実行する副走査部と、を備える印刷実行部のための画像処理装置であって、
画像データを取得する取得部と、
前記画像データを用いて、前記主走査部に前記主走査を行わせつつ前記印刷ヘッドに前記インクを吐出させることによって部分画像の少なくとも一部を印刷する部分印刷と、前記副走査部に前記副走査を実行させることと、を複数回実行することで前記印刷実行部に印刷を行わせる印刷制御部であって、前記部分画像は、印刷画像の前記主走査方向の一端から他端まで延びる帯状の画像であり、前記副走査は、一の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、一の前記部分画像の次に印刷される他の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、の間に実行される、前記印刷制御部と、
を備え、
前記印刷制御部は、
前記部分画像ごとに判断される特定条件であって前記部分印刷にて前記インク供給部から前記印刷ヘッドへの前記インクの供給が遅れ得ることを示す前記特定条件が満たされない第1の場合には、前記部分画像を1回の前記部分印刷にて印刷させ、
前記特定条件が満たされる第2の場合には、前記部分画像のうちの前記主走査方向の前記一端を含み前記他端を含まない第1部分を印刷する第1の部分印刷と、前記部分画像のうちの前記主走査方向の前記他端を含み前記一端を含まない第2部分を印刷する第2の部分印刷と、を含む複数回の前記部分印刷にて前記部分画像を印刷させ、
前記印刷画像は、第1の部分画像と、前記第1の部分画像に対して前記副走査方向に隣接する第2の部分画像と、を含む複数の前記部分画像を含み、
前記印刷制御部は、前記第1の部分画像について前記特定条件が満たされ、かつ、前記第2の部分画像について前記特定条件が満たされる場合に、前記第1の部分画像の前記第2部分を印刷する前記第2の部分印刷と、前記第2の部分画像の前記第1部分を印刷する前記第1の部分印刷と、を、前記主走査方向に沿う第2方向の主走査にて実行させ、
前記印刷制御部は、前記第1の部分画像の前記第2部分を印刷する前記第2の部分印刷と、前記第2の部分画像の前記第1部分を印刷する前記第1の部分印刷と、の間に、前記第2方向の反対方向の前記主走査を実行させない、画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
前記印刷制御部は、前記第1の部分画像の前記第2部分を印刷する前記第2の部分印刷と、前記第2の部分画像の前記第1部分を印刷する前記第1の部分印刷と、の間に、前記印刷ヘッドの移動を停止させる停止期間を設け、前記停止期間に前記副走査を実行させる、画像処理装置。
【請求項7】
インクを吐出する複数個のノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドに前記インクを供給するインク供給部と、印刷媒体に対して主走査方向に沿って前記印刷ヘッドを移動させる主走査を実行する主走査部と、前記印刷ヘッドに対して前記主走査方向と交差する副走査方向に沿って前記印刷媒体を移動させる副走査を実行する副走査部と、を備える印刷実行部のための画像処理装置であって、
画像データを取得する取得部と、
前記画像データを用いて、前記主走査部に前記主走査を行わせつつ前記印刷ヘッドに前記インクを吐出させることによって部分画像の少なくとも一部を印刷する部分印刷と、前記副走査部に前記副走査を実行させることと、を複数回実行することで前記印刷実行部に印刷を行わせる印刷制御部であって、前記部分画像は、印刷画像の前記主走査方向の一端から他端まで延びる帯状の画像であり、前記副走査は、一の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、一の前記部分画像の次に印刷される他の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、の間に実行される、前記印刷制御部と、
を備え、
前記印刷制御部は、
前記部分画像ごとに判断される特定条件であって前記部分印刷にて前記インク供給部から前記印刷ヘッドへの前記インクの供給が遅れ得ることを示す前記特定条件が満たされない第1の場合には、前記部分画像を1回の前記部分印刷にて印刷させ、
前記特定条件が満たされる第2の場合には、前記部分画像のうちの前記主走査方向の前記一端を含み前記他端を含まない第1部分を印刷する第1の部分印刷と、前記部分画像のうちの前記主走査方向の前記他端を含み前記一端を含まない第2部分を印刷する第2の部分印刷と、を含む複数回の前記部分印刷にて前記部分画像を印刷させ、
前記印刷画像は、第1の部分画像と、前記第1の部分画像に対して前記副走査方向に隣接する第2の部分画像と、を含む複数の前記部分画像を含み、
前記印刷制御部は、前記第1の部分画像について前記特定条件が満たされ、かつ、前記第2の部分画像について前記特定条件が満たされず、かつ、前記第2の部分画像の前記他端を含む特定領域に印刷すべきオブジェクトがない場合に、前記第1の部分画像の前記第2部分を印刷する前記第2の部分印刷と、前記第2の部分画像を印刷する前記1回の部分印刷と、を、前記主走査方向に沿う第2方向の主走査にて実行させ、
前記印刷制御部は、前記第1の部分画像の前記第2部分を印刷する前記第2の部分印刷と、前記第2の部分画像を印刷する前記1回の部分印刷と、の間に、前記第2方向の反対方向の前記主走査を実行させない、画像処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像処理装置であって、
前記印刷制御部は、前記第1の部分画像の前記第2部分を印刷する前記第2の部分印刷と、前記第2の部分画像を印刷する前記1回の部分印刷と、の間に、前記印刷ヘッドの移動を停止させる停止期間を設け、前記停止期間に前記副走査を実行させる、画像処理装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の画像処理装置と、前記印刷実行部と、を備える、印刷装置。
【請求項10】
インクを吐出する複数個のノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドに前記インクを供給するインク供給部と、印刷媒体に対して主走査方向に沿って前記印刷ヘッドを移動させる主走査を実行する主走査部と、前記印刷ヘッドに対して前記主走査方向と交差する副走査方向に沿って前記印刷媒体を移動させる副走査を実行する副走査部と、を備える印刷実行部のためのコンピュータプログラムであって、
画像データを取得する取得機能と、
前記画像データを用いて、前記主走査部に前記主走査を行わせつつ前記印刷ヘッドに前記インクを吐出させることによって部分画像の少なくとも一部を印刷する部分印刷と、前記副走査部に前記副走査を実行させることと、を複数回実行することで前記印刷実行部に印刷を行わせる印刷制御機能であって、前記部分画像は、印刷画像の前記主走査方向の一端から他端まで延びる帯状の画像であり、前記副走査は、一の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、一の前記部分画像の次に印刷される他の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、の間に実行される、前記印刷制御機能と、
前記部分画像に対応する部分画像データを用いて、前記部分画像のうちの前記一端から前記主走査方向の特定位置までの部分を印刷する際に用いられる前記インクの使用量に関する指標値を算出する算出機能と、
前記指標値と閾値との比較に基づいて前記インクの使用量が基準以上であると判断される場合に、前記部分画像のうちの前記特定位置よりも前記一端側に、前記部分画像のうちの前記一端を含み前記他端を含まない第1部分を決定する部分決定機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記印刷制御機能は、
前記部分画像ごとに判断される特定条件であって、前記部分印刷にて前記インク供給部から前記印刷ヘッドへの前記インクの供給が遅れ得ることを示す条件であり、前記指標値と前記閾値との比較に基づいて前記インクの使用量が基準以上であると判断される場合に満たされる条件である前記特定条件が満たされない第1の場合には、前記部分画像を1回の前記部分印刷にて印刷させ、
前記特定条件が満たされる第2の場合には、前記部分画像のうちの前記第1部分を印刷する第1の部分印刷と、前記部分画像のうちの前記主走査方向の前記他端を含み前記一端を含まない第2部分を印刷する第2の部分印刷と、を含む複数回の前記部分印刷にて前記部分画像を印刷させる、コンピュータプログラム。
【請求項11】
インクを吐出する複数個のノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドに前記インクを供給するインク供給部と、印刷媒体に対して主走査方向に沿って前記印刷ヘッドを移動させる主走査を実行する主走査部と、前記印刷ヘッドと対向する位置において前記印刷媒体を波状に変形させた状態で保持する保持部を備え、前記印刷ヘッドに対して前記主走査方向と交差する副走査方向に沿って前記印刷媒体を移動させる副走査を実行する副走査部であって、前記波状に変形された前記印刷媒体は、前記副走査方向に沿って延び前記主走査方向に並ぶ複数個の山部を含み、前記保持部は、前記副走査方向に沿って延び前記主走査方向に並ぶ複数個の支持部であって、前記複数個の山部のそれぞれを前記印刷ヘッドが位置する側とは反対側から支持する、前記複数個の支持部を備える、前記副走査部と、を備える印刷実行部のためのコンピュータプログラムであって、
画像データを取得する取得機能と、
前記画像データを用いて、前記主走査部に前記主走査を行わせつつ前記印刷ヘッドに前記インクを吐出させることによって部分画像の少なくとも一部を印刷する部分印刷と、前記副走査部に前記副走査を実行させることと、を複数回実行することで前記印刷実行部に印刷を行わせる印刷制御機能であって、前記部分画像は、印刷画像の前記主走査方向の一端から他端まで延びる帯状の画像であり、前記副走査は、一の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、一の前記部分画像の次に印刷される他の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、の間に実行される、前記印刷制御機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記印刷制御機能は、
前記部分画像ごとに判断される特定条件であって前記部分印刷にて前記インク供給部から前記印刷ヘッドへの前記インクの供給が遅れ得ることを示す前記特定条件が満たされない第1の場合には、前記部分画像を1回の前記部分印刷にて印刷させ、
前記特定条件が満たされる第2の場合には、前記部分画像のうちの前記主走査方向の前記一端を含み前記他端を含まない第1部分を印刷する第1の部分印刷と、前記部分画像のうちの前記主走査方向の前記他端を含み前記一端を含まない第2部分を印刷する第2の部分印刷と、を含む複数回の前記部分印刷にて前記部分画像を印刷させ、
前記コンピュータプログラムは、さらに、前記特定条件が満たされる場合に、前記部分画像において、前記第1部分の前記一端とは反対側の端と、前記第2部分の前記他端とは反対側の端と、のうちの少なくとも一方を、前記印刷媒体の前記複数個の山部のうちの1つと対応する位置に決定する位置決定機能をコンピュータに実現させる、コンピュータプログラム。
【請求項12】
インクを吐出する複数個のノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドに前記インクを供給するインク供給部と、印刷媒体に対して主走査方向に沿って前記印刷ヘッドを移動させる主走査を実行する主走査部と、前記印刷ヘッドに対して前記主走査方向と交差する副走査方向に沿って前記印刷媒体を移動させる副走査を実行する副走査部と、を備える印刷実行部のためのコンピュータプログラムであって、
画像データを取得する取得機能と、
前記画像データを用いて、前記主走査部に前記主走査を行わせつつ前記印刷ヘッドに前記インクを吐出させることによって部分画像の少なくとも一部を印刷する部分印刷と、前記副走査部に前記副走査を実行させることと、を複数回実行することで前記印刷実行部に印刷を行わせる印刷制御機能であって、前記部分画像は、印刷画像の前記主走査方向の一端から他端まで延びる帯状の画像であり、前記副走査は、一の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、一の前記部分画像の次に印刷される他の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、の間に実行される、前記印刷制御機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記印刷制御機能は、
前記部分画像ごとに判断される特定条件であって前記部分印刷にて前記インク供給部から前記印刷ヘッドへの前記インクの供給が遅れ得ることを示す前記特定条件が満たされない第1の場合には、前記部分画像を1回の前記部分印刷にて印刷させ、
前記特定条件が満たされる第2の場合には、前記部分画像のうちの前記主走査方向の前記一端を含み前記他端を含まない第1部分を印刷する第1の部分印刷と、前記部分画像のうちの前記主走査方向の前記他端を含み前記一端を含まない第2部分を印刷する第2の部分印刷と、を含む複数回の前記部分印刷にて前記部分画像を印刷させ、
前記印刷画像は、第1の部分画像と、前記第1の部分画像に対して前記副走査方向に隣接する第2の部分画像と、を含む複数の前記部分画像を含み、
前記印刷制御機能は、前記第1の部分画像について前記特定条件が満たされ、かつ、前記第2の部分画像について前記特定条件が満たされる場合に、前記第1の部分画像の前記第2部分を印刷する前記第2の部分印刷と、前記第2の部分画像の前記第1部分を印刷する前記第1の部分印刷と、を、前記主走査方向に沿う第2方向の主走査にて実行させ、
前記印刷制御機能は、前記第1の部分画像の前記第2部分を印刷する前記第2の部分印刷と、前記第2の部分画像の前記第1部分を印刷する前記第1の部分印刷と、の間に、前記第2方向の反対方向の前記主走査を実行させない、コンピュータプログラム。
【請求項13】
インクを吐出する複数個のノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドに前記インクを供給するインク供給部と、印刷媒体に対して主走査方向に沿って前記印刷ヘッドを移動させる主走査を実行する主走査部と、前記印刷ヘッドに対して前記主走査方向と交差する副走査方向に沿って前記印刷媒体を移動させる副走査を実行する副走査部と、を備える印刷実行部のためのコンピュータプログラムであって、
画像データを取得する取得機能と、
前記画像データを用いて、前記主走査部に前記主走査を行わせつつ前記印刷ヘッドに前記インクを吐出させることによって部分画像の少なくとも一部を印刷する部分印刷と、前記副走査部に前記副走査を実行させることと、を複数回実行することで前記印刷実行部に印刷を行わせる印刷制御機能であって、前記部分画像は、印刷画像の前記主走査方向の一端から他端まで延びる帯状の画像であり、前記副走査は、一の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、一の前記部分画像の次に印刷される他の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、の間に実行される、前記印刷制御機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記印刷制御機能は、
前記部分画像ごとに判断される特定条件であって前記部分印刷にて前記インク供給部から前記印刷ヘッドへの前記インクの供給が遅れ得ることを示す前記特定条件が満たされない第1の場合には、前記部分画像を1回の前記部分印刷にて印刷させ、
前記特定条件が満たされる第2の場合には、前記部分画像のうちの前記主走査方向の前記一端を含み前記他端を含まない第1部分を印刷する第1の部分印刷と、前記部分画像のうちの前記主走査方向の前記他端を含み前記一端を含まない第2部分を印刷する第2の部分印刷と、を含む複数回の前記部分印刷にて前記部分画像を印刷させ、
前記印刷画像は、第1の部分画像と、前記第1の部分画像に対して前記副走査方向に隣接する第2の部分画像と、を含む複数の前記部分画像を含み、
前記印刷制御機能は、前記第1の部分画像について前記特定条件が満たされ、かつ、前記第2の部分画像について前記特定条件が満たされず、かつ、前記第2の部分画像の前記他端を含む特定領域に印刷すべきオブジェクトがない場合に、前記第1の部分画像の前記第2部分を印刷する前記第2の部分印刷と、前記第2の部分画像を印刷する前記1回の部分印刷と、を、前記主走査方向に沿う第2方向の主走査にて実行させ、
前記印刷制御機能は、前記第1の部分画像の前記第2部分を印刷する前記第2の部分印刷と、前記第2の部分画像を印刷する前記1回の部分印刷と、の間に、前記第2方向の反対方向の前記主走査を実行させない、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、複数種類のドットを印刷媒体上に形成可能である印刷実行部のための画像処理に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷ヘッドのノズルからインクを吐出して画像を印刷するプリンタが知られている。これらのプリンタにおいて、例えば、インクの温度が比較的低い場合には、インクの粘度が高くなるために、インクの収容部から印刷ヘッドへのインクの供給の遅れが発生しやすくなる。インクの供給の遅れが発生すると、印刷画像の色が薄くなるなどにより画質が低下する。
【0003】
特許文献1には、バンド内でカウントされたドットの連続吐出数が、印刷ヘッドの温度に応じた閾値より大きい場合には、バンドを印刷するパス数を増加させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-66550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術では、バンドを印刷するパス数を増加させる具体的な手段については開示されていない。
【0006】
本明細書は、インクの供給の遅れを抑制できる新たな技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示された技術は、以下の適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]インクを吐出する複数個のノズルを有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドに前記インクを供給するインク供給部と、印刷媒体に対して主走査方向に沿って前記印刷ヘッドを移動させる主走査を実行する主走査部と、前記印刷ヘッドに対して前記主走査方向と交差する副走査方向に沿って前記印刷媒体を移動させる副走査を実行する副走査部と、を備える印刷実行部のための画像処理装置であって、画像データを取得する取得部と、前記画像データを用いて、前記主走査部に前記主走査を行わせつつ前記印刷ヘッドに前記インクを吐出させることによって部分画像の少なくとも一部を印刷する部分印刷と、前記副走査部に前記副走査を実行させることと、を複数回実行することで前記印刷実行部に印刷を行わせる印刷制御部であって、前記部分画像は、印刷画像の前記主走査方向の一端から他端まで延びる帯状の画像であり、前記副走査は、一の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、一の前記部分画像の次に印刷される他の前記部分画像を印刷する前記部分印刷と、の間に実行される、前記印刷制御部と、を備え、前記印刷制御部は、前記部分画像ごとに判断される特定条件であって前記部分印刷にて前記インク供給部から前記印刷ヘッドへの前記インクの供給が遅れ得ることを示す前記特定条件が満たされない第1の場合には、前記部分画像を1回の前記部分印刷にて印刷させ、前記特定条件が満たされる第2の場合には、前記部分画像のうちの前記主走査方向の前記一端を含み前記他端を含まない第1部分を印刷する第1の部分印刷、前記部分画像のうちの前記主走査方向の前記他端を含み前記一端を含まない第2部分を印刷する第2の部分印刷と、を含む複数回の前記部分印刷にて前記部分画像を印刷させる、画像処理装置。
【0009】
上記構成によれば、印刷制御部は、部分印刷にてインク供給部から印刷ヘッドへのインクの供給が遅れ得ることを示す特定条件が満たされない第2の場合には、部分画像を1回の部分印刷にて印刷され、特定条件が満たされる第2の場合には、部分画像のうちの一端を含み他端を含まない第1部分を第1の部分印刷にて印刷させ、他端を含み一端を含まない第2部分を第2の部分印刷にて印刷させる。この結果、第2の場合に、インクの供給の遅れを抑制できる。
[適用例2]
適用例1に記載の画像処理装置であって、
前記第1の部分印刷は、前記主走査方向に沿う第1方向の前記主走査にて行われる前記部分印刷であり、
前記第2の部分印刷は、前記主走査方向に沿う第2方向であって前記第1方向とは反対の方向である前記第2方向の前記主走査にて行われる前記部分印刷である、画像処理装置。
[適用例3]
適用例1または2に記載の画像処理装置であって、
前記部分画像は、前記第1部分と前記第2部分との間に位置する第3部分を含み、
前記印刷制御部は、前記第2の場合には、前記第3部分を前記第1の部分印刷と前記第2の部分印刷との両方にて印刷させる、画像処理装置。
[適用例4]
適用例1~3のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記部分画像に対応する部分画像データを用いて、前記部分画像のうちの前記一端から前記主走査方向の特定位置までの部分を印刷する際に用いられる前記インクの使用量に関する指標値を算出する算出部を備え、
前記指標値と閾値との比較に基づいて前記インクの使用量が基準以上であると判断される場合に、前記特定条件が満たされると判断され、
前記画像処理装置は、さらに、前記指標値と閾値との比較に基づいて前記インクの使用量が基準以上であると判断される場合に、前記部分画像のうちの前記特定位置よりも前記一端側に、前記第1部分を決定する部分決定部を備える、画像処理装置。
[適用例5]
適用例1~4のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記副走査部は、前記印刷ヘッドと対向する位置において前記印刷媒体を波状に変形させた状態で保持する保持部を備え、
前記波状に変形された前記印刷媒体は、前記副走査方向に沿って延び前記主走査方向に並ぶ複数個の山部を含み、
前記保持部は、前記副走査方向に沿って延び前記主走査方向に並ぶ複数個の支持部であって、前記複数個の山部のそれぞれを前記印刷ヘッドが位置する側とは反対側から支持する、前記複数個の支持部を備え、
前記画像処理装置は、さらに、前記特定条件が満たされる場合に、前記部分画像において、前記第1部分の前記一端とは反対側の端と、前記第2部分の前記他端とは反対側の端と、のうちの少なくとも一方を、前記印刷媒体の前記複数個の山部のうちの1つと対応する位置に決定する位置決定部を備える、画像処理装置。
[適用例6]
適用例1~5のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記印刷制御部は、第1の前記部分画像について前記特定条件が満たされ、かつ、前記第1の部分画像に対して前記副走査方向に隣接する第2の前記部分画像について前記特定条件が満たされる場合に、前記第1の部分画像の前記第2部分を印刷する前記第2の部分印刷と、前記第2の部分画像の前記第1部分を印刷する前記第1の部分印刷と、を、前記主走査方向に沿う第2方向の主走査にて実行させ、
前記印刷制御部は、前記第1の部分画像の前記第2部分を印刷する前記第2の部分印刷と、前記第2の部分画像の前記第1部分を印刷する前記第1の部分印刷と、の間に、前記第2方向の反対方向の前記主走査を実行させない、画像処理装置。
[適用例7]
適用例6に記載の画像処理装置であって、
前記印刷制御部は、前記第1の部分画像の前記第1部分を印刷する前記第1の部分印刷と、前記第2の部分画像の前記第2部分を印刷する前記第2の部分印刷と、の間に、前記印刷ヘッドの移動を停止させる停止期間を設け、前記停止期間に前記副走査を実行させる、画像処理装置。
[適用例8]
適用例1~5のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記印刷制御部は、第1の前記部分画像について前記特定条件が満たされ、かつ、前記第1の部分画像に対して前記副走査方向に隣接する第2の前記部分画像について前記特定条件が満たされず、かつ、前記第2の部分画像の前記他端を含む特定領域に印刷すべきオブジェクトがない場合に、前記第1の部分画像の前記第2部分を印刷する前記第2の部分印刷と、前記第2の部分画像を印刷する前記1回の部分印刷と、を、前記主走査方向に沿う第2方向の主走査にて実行させ、
前記印刷制御部は、前記第1の部分画像の前記第2部分を印刷する前記第2の部分印刷と、前記第2の部分画像を印刷する前記1回の部分印刷と、の間に、前記第1方向の反対方向の前記主走査を実行させない、画像処理装置。
[適用例9]
適用例8に記載の画像処理装置であって、
前記印刷制御部は、前記第1の部分画像の前記第2部分を印刷する前記第2の部分印刷と、前記第2の部分画像を印刷する前記1回の部分印刷と、の間に、前記印刷ヘッドの移動を停止させる停止期間を設け、前記停止期間に前記副走査を実行させる、画像処理装置。
[適用例10]
適用例1~9のいずれかに記載の画像処理装置と、前記印刷実行部と、を備える、印刷装置。
【0010】
なお、本明細書に開示された技術は、種々の形態で実現可能であり、例えば、印刷装置、印刷実行部の制御方法、印刷方法、これらの装置および方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例のプリンタ200の構成を示すブロック図である。
図2】印刷機構100の概略構成を示す図である。
図3】-Z側から見た印刷ヘッド110の構成を示す図である。
図4】搬送部140の概略構成を示す図である。
図5】印刷機構100の動作の説明図である。
図6】実施例の画像処理のフローチャートである。
図7】実施例の画像処理のフローチャートである。
図8】実施例の画像処理のフローチャートである。
図9】実施例の画像処理のフローチャートである。
図10】閾値テーブルTTの一例を示す図である。
図11】特定条件判定処理のフローチャートである。
図12】部分画像に設定されるブロックを説明する図である。
図13】部分印刷の一例を説明する図である。
図14】部分印刷の一例を説明する図である。
図15】部分印刷の一例を説明する図である。
図16】部分印刷の一例を説明する図である。
図17】部分印刷の一例を説明する図である。
図18】変形例の分割位置の決定の説明図である。
図19】変形例の分割位置の決定の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
A.実施例:
A-1:プリンタ200の構成
次に、実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、実施例のプリンタ200の構成を示すブロック図である。
【0013】
プリンタ200は、例えば、印刷機構100と、プリンタ200のコントローラとしてのCPU210と、ハードディスクドライブなどの不揮発性記憶装置220と、RAMなどの揮発性記憶装置230と、ユーザによる操作を取得するためのボタンやタッチパネルなどの操作部260と、液晶ディスプレイなどの表示部270と、通信部280と、を備えている。通信部280は、ネットワークNWに接続するための有線または無線のインタフェースを含む。プリンタ200は、通信部280を介して、外部装置、例えば、端末装置300と通信可能に接続される。
【0014】
揮発性記憶装置230は、CPU210が処理を行う際に生成される種々の中間データを一時的に格納するバッファ領域231を提供する。不揮発性記憶装置220には、コンピュータプログラムPGと閾値テーブルTTとが格納されている。コンピュータプログラムPGは、本実施例では、プリンタ200を制御するための制御プログラムである。コンピュータプログラムPGと閾値テーブルTTとは、プリンタ200の出荷時に不揮発性記憶装置220に格納されて提供され得る。これに代えて、コンピュータプログラムPGと閾値テーブルTTは、サーバからダウンロードされる形態で提供されても良く、DVD-ROMなどに格納される形態で提供されてもよい。CPU210は、コンピュータプログラムPGを実行することにより、例えば、後述する画像処理を実行する。これによって、CPU210は、印刷機構100を制御して印刷媒体(例えば、用紙)上に画像を印刷する。閾値テーブルTTについては後述する。
【0015】
印刷機構100は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のそれぞれのインク(液滴)を用いてドットを用紙M上に形成可能であり、これによってカラー印刷を行う。印刷機構100は、印刷ヘッド110とヘッド駆動部120と主走査部130と搬送部140とインク供給部150と温度センサ170とを備えている。
【0016】
図2は、印刷機構100の概略構成を示す図である。図2に示すように、主走査部130は、キャリッジ133と、摺動軸134と、ベルト135と、複数個のプーリ136、137と、を備えている。キャリッジ133は、印刷ヘッド110を搭載する。摺動軸134は、キャリッジ133を主走査方向(図2のX軸方向)に沿って往復動可能に保持する。ベルト135は、プーリ136、137に巻き掛けられ、一部がキャリッジ133に固定されている。プーリ136は、図示しない主走査モータの動力によって回転する。主走査モータがプーリ136を回転させると、キャリッジ133が摺動軸134に沿って移動する。これによって、用紙Mに対して主走査方向に沿って印刷ヘッド110を往復動させる主走査が実現される。
【0017】
インク供給部150は、印刷ヘッド110にインクを供給する。インク供給部150は、カートリッジ装着部151と、チューブ152と、バッファタンク153と、を備えている。カートリッジ装着部151には、内部にインクが収容された容器である複数個のインクカートリッジKC、CC、MC、YCが着脱可能に装着され、これらのインクカートリッジからインクが供給される。バッファタンク153は、キャリッジ133において、印刷ヘッド110の上方に配置され、印刷ヘッド110に供給すべきインクをCMYKのインクごとに一時的に収容する。チューブ152は、カートリッジ装着部151とバッファタンク153との間を接続するインクの流路となる可撓性の管である。各インクカートリッジ内のインクは、カートリッジ装着部151、チューブ152、バッファタンク153を介して、印刷ヘッド110に供給される。バッファタンク153には、インクに混入した異物を除去するためのフィルタ(図示省略)が設けられている。
【0018】
図3は、-Z側から見た印刷ヘッド110の構成を示す図である。図3に示すように、印刷ヘッド110のノズル形成面111は、搬送部140によって搬送される用紙Mと対向する面である。ノズル形成面111には、複数のノズルNZからなる複数のノズル列、すなわち、上述したC、M、Y、Kの各インクを吐出するノズル列NC、NM、NY、NKが形成されている。各ノズル列は、複数個のノズルNZを含んでいる。複数個のノズルNZは、搬送方向(+Y方向)の位置が互いに異なり、搬送方向に沿って所定のノズル間隔NTで並ぶ。ノズル間隔NTは、複数のノズルNZの中で搬送方向に隣り合う2個のノズルNZ間の搬送方向の長さである。これらのノズル列を構成するノズルのうち、最も上流側(-Y側)に位置するノズルNZを、最上流ノズルNZuとも呼ぶ。また、これらのノズルのうち、最も下流側(+Y側)に位置するノズルNZを、最下流ノズルNZdと呼ぶ。最上流ノズルNZuから最下流ノズルNZdまでの搬送方向の長さに、さらに、ノズル間隔NTを加えた長さを、ノズル長Dとも呼ぶ。
【0019】
ノズル列NC、NM、NY、NKの主走査方向の位置は、互いに異なり、副走査方向の位置は、互いに重複している。例えば、図3の例では、Yインクを吐出するノズル列NYの+X方向に、ノズル列NMが配置されている。
【0020】
各ノズルNZは、印刷ヘッド110の内部に形成されたインク流路(図示省略)を介してバッファタンク153に接続されている。印刷ヘッド110の内部の各インク流路に沿ってインクを吐出させるためのアクチュエータ(図示省略、本実施例では、圧電素子)が設けられている。
【0021】
ヘッド駆動部120(図1)は、主走査部130による主走査中にCPU210から供給される印刷データに従って印刷ヘッド110内の各アクチュエータを駆動する。これによって、搬送部140によって搬送される用紙M上に印刷ヘッド110のノズルNZからインクが吐出されて、ドットが形成される。ヘッド駆動部120の構成については、後述する。ヘッド駆動部120は、アクチュエータに供給する駆動電圧を変更することで、複数種類のサイズのドットを用紙M上に形成できる。具体的には、ヘッド駆動部120は、小さい順に、「小」、「中」、「大」、「特大」の4種類のサイズのドットを形成できる。
【0022】
温度センサ170は、測温抵抗体などを含む公知の温度センサであり、プリンタ200の印刷ヘッド110の近傍に設置される。温度センサ170は、プリンタ200の印刷ヘッド110の温度を示す信号を出力する。
【0023】
搬送部140は、用紙Mを保持しつつ、搬送方向(図2の+Y方向)に用紙Mを搬送する。図4は、搬送部140の概略構成を示す図である。図4(A)に示すように、搬送部140は、用紙台141と、用紙を保持して搬送するための上流ローラ対147と、下流ローラ対148と、複数個の押さえ部材146と、を備えている。
【0024】
上流ローラ対147は、印刷ヘッド110よりも搬送方向の上流側(-Y側)に設けられ、下流ローラ対148は、印刷ヘッド110よりも搬送方向の下流側(+Y側)に設けられている。上流ローラ対147は、図示しない搬送モータによって駆動される駆動ローラ147aと、駆動ローラ147aの回転に従って回転する従動ローラ147bと、を含む。同様に、下流ローラ対148は、駆動ローラ148aと従動ローラ148bと、を含む。なお、従動ローラに代えて、板部材を採用し、駆動ローラと板部材とによって用紙を保持する構成を採用しても良い。
【0025】
用紙台141は、上流ローラ対147と、下流ローラ対148と、の間の位置であって、かつ、印刷ヘッド110のノズル形成面111と対向する位置に配置されている。複数個の押さえ部材146は、上流ローラ対147と、印刷ヘッド110と、の間に配置されている。
【0026】
図4(B)、図4(C)には、用紙台141と複数個の押さえ部材146との斜視図が示されている。図4(B)は、用紙Mが支持されていない状態を示し、図4(C)は、用紙Mが支持された状態を示している。用紙台141は、複数個の高支持部材142と、複数個の低支持部材143と、平板144と、備えている。
【0027】
平板144は、主走査方向(X方向)と搬送方向(+Y方向)とにほぼ平行な板部材である。平板144の-Y側の端部は、上流ローラ対147の近傍に位置している。平板144の+Y側の端部は、下流ローラ対148の近傍に位置している。
【0028】
複数個の高支持部材142と複数個の低支持部材143は、平板144上に、X方向に沿って交互に並んでいる。すなわち、各低支持部材143は、該低支持部材に隣接する2個の高支持部材142の間に配置されている。各高支持部材142は、Y方向に沿って延びるリブである。各高支持部材142の-Y側の端部は、平板144の-Y側の端部に位置している。各高支持部材142の+Y側の端部は、平板144のY方向の中央部に位置している。各低支持部材143のY方向の両端の位置は、高支持部材142のY方向の両端の位置と同じである。
【0029】
複数個の押さえ部材146は、複数個の低支持部材143の+Z側の位置に配置されている。複数個の押さえ部材146のX方向の位置は、複数個の低支持部材143のX方向の位置と同じである。すなわち、各押さえ部材146のX方向の位置は、該押さえ部材に隣接する2個の高支持部材142の間に位置している。複数個の押さえ部材146は、+Y方向に向かうほど低支持部材143に近づくように傾斜した板部材である。複数個の押さえ部材146の+Y側の端部は、印刷ヘッド110の-Y側の端部と、上流ローラ対147と、の間に位置している。
【0030】
複数個の高支持部材142と複数個の低支持部材143と複数個の押さえ部材146は、下流ローラ対148よりも上流ローラ対147に近い位置に配置されており、上流ローラ対147と下流ローラ対148との間のうち、上流ローラ対147側に設けられていると言うことができる。
【0031】
図4(C)に示すように、用紙Mの搬送時には、複数個の高支持部材142と、複数個の低支持部材143は、印刷面とは反対側の面Mb側から、用紙Mを支持し、複数個の押さえ部材146は、印刷面Ma側から、用紙Mを支持する。このように、複数個の高支持部材142と、複数個の低支持部材143と、複数個の押さえ部材146と、は、印刷ヘッド110のノズル形成面111と対向する位置において用紙MをX方向に沿って波状に変形させた状態で保持する(図4(C))。そして、用紙Mは、波状に変形された状態で、搬送方向(+Y方向)に搬送される。用紙Mを波状に変形させると、Y方向に沿った変形に対する用紙Mの剛性を高めることができる。この結果、用紙MがY方向に沿って反るように変形して、用紙Mが用紙台141から印刷ヘッド110側へ浮き上がることや、用紙Mが用紙台141側へ垂れさがることを抑制することができる。用紙Mが浮き上がると、あるいは、用紙Mが垂れさがると、ドットの形成位置のずれによって、印刷画像の画質低下、例えば、バンディングによる画質低下が引き起こされ得る。また、用紙Mが浮き上がると、印刷ヘッド110に用紙が接触して、用紙Mが汚れ得る。
【0032】
ここで、波状に変形された用紙Mは、搬送方向(Y方向)に沿って延び、主走査方向(X方向)に並ぶ複数個の山部PPを含む(図4(C))。上述した複数個の高支持部材142は、前記複数個の山部PPのそれぞれを印刷ヘッド110が位置する側とは反対側から支持する。さらに、波状に変形された用紙Mは、搬送方向(Y方向)に沿って延び、主走査方向(X方向)に並ぶ複数個の谷部VPを含む(図4(C))。複数個の山部PPと複数個の谷部VPとは、X方向に交互に配置される。上述した複数個の低支持部材143は、前記複数個の谷部VPのそれぞれを印刷ヘッド110が位置する側とは反対側から支持する。なお、図4では、図の煩雑を避けるために高支持部材142および山部PPの個数は5個であるが、実際には、さらに、多数(本実施例では9個)の高支持部材142および山部PPが存在する。低支持部材143、押さえ部材146、谷部VPについても同様である。
【0033】
A-2.印刷の概要
CPU210は、主走査部130に主走査を行わせつつ、印刷ヘッド110にインクを吐出させて用紙Mにドットを形成する部分印刷と、搬送部140による副走査(用紙Mの搬送)と、を交互に複数回実行することで、用紙Mに印刷画像を印刷する。
【0034】
図5は、印刷機構100の動作の説明図である。図5には、用紙Mに、印刷される印刷画像OIが図示されている。印刷画像OIは、複数個の部分画像PI1~PI5を含んでいる。各部分画像は、原則として1回の部分印刷によって印刷される画像である。ただし、詳細は後述するが1個の部分画像が2回の部分印刷によって印刷される場合がある。部分印刷の印刷方向は、往路方向と復路方向とのいずれかである。すなわち、部分印刷は、往路方向(図5の+X方向)の主走査を行いつつドットを形成する往路印刷と、復路方向(図5の-X方向)の主走査を行いつつドットを形成する復路印刷と、のいずれかである。
【0035】
図5にて部分画像内には、+X方向または-X方向の少なくとも1本の矢印が付されている。+X方向の1本の矢印が付された部分画像PI1、PI4は、1回の往路印刷によって印刷される往路部分画像である。-X方向の1本の矢印が付された部分画像PI2、PI5は、1回の復路印刷によって印刷される復路部分画像である。ハッチングされた部分画像PI3は、+X方向と-X方向の2本の矢印が付されている。部分画像PI3は、1回の往路印刷と1回の復路印刷とから成る2回の部分印刷によって印刷される往復部分画像である。
【0036】
図5に示すように、本実施例の印刷は、原則として、往路印刷と復路印刷とが交互に実行される双方向印刷である。双方向印刷は、例えば、往路印刷のみが繰り返し実行される片方向印刷よりも印刷時間を短縮できる。片方向印刷では、往路印刷の後、再度、往路印刷を行うために、部分印刷を行うことなく、印刷ヘッド110を復路方向に移動させる必要があるが、双方向印刷では、その必要がないためである。
【0037】
図5において、1個の部分画像(例えば、部分画像PI1)から、-Y方向に隣接する他の部分画像(例えば、部分画像PI2)に向かう-Y方向の矢印は、用紙Mの搬送(副走査)に対応している。すなわち、図5において-Y方向の矢印は、用紙Mが搬送されることによって、図5に図示される用紙Mに対して印刷ヘッド110が-Y方向に移動することを示す。図5に示すように、本実施例の印刷は、原則として、いわゆる1パス印刷であり、各部分画像の搬送方向の長さ、および、1回の用紙Mの搬送量は、ノズル長Dである。ただし、上述した部分画像PI3のように、特定の場合に、2回の部分印刷によって印刷される場合がある(詳細は後述)。
【0038】
ここで、印刷時に、インクがノズルNZから吐出されると、インクが吐出された分、バッファタンク153(図2)内のインクが減少するので、バッファタンク153内に負圧が発生する。該負圧によって、カートリッジ装着部151、チューブ152を介して、インクカートリッジからバッファタンク153へインクが供給される。印刷のために短い時間内に複数個のノズルNZからインクが大量に吐出されると、バッファタンク153へのインクの供給の遅れが発生し得る。このようなインクの供給の遅れが発生すると、アクチュエータを駆動しても、インクがノズルNZから吐出されない不具合、あるいは、想定より少量しか吐出されない不具合が発生する。このような不具合が発生すると、印刷画像OIにおいて、色が薄くなり、画質が低下する。
【0039】
インクの供給の遅れは、インクの流動性が低下すると、発生しやすい。例えば、プリンタ200(印刷機構100)の印刷ヘッド110の温度(以下、ヘッド温度Thとも呼ぶ)が低いほど、インクの供給の遅れが発生しやすい。ヘッド温度Thが低いほどインクの粘度が増大するので、インクの流動性が低下するためである。ここで、累積インク使用量TAは、プリンタ200の製造時から現在まで特定のインク(C、M、Y、Kのいずれか)の累積の使用量を示す指標値である。累積インク使用量TAが大きいほど、特定のインクの供給の遅れが発生しやすい。累積インク使用量TAが大きいほど、インク内の異物を除去するためのフィルタにおける異物の堆積量が増大するので、インクの流路抵抗が増大してインクの流動性が低下するためである。また、パスインク使用量PAは、1回の部分印刷において部分画像の印刷に用いられる特定のインクの使用量を示す指標値である。パスインク使用量PAが大きいほど、特定のインクの供給の遅れが発生しやすい。短時間で特定のインクが使用されるため、特定のインクの供給が追いつかなくなりやすいためである。
【0040】
以下に説明する画像処理では、インクの供給の遅れを抑制するための工夫がなされている。具体的には、インクの供給の遅れが発生しやすいことを示す特定条件が満たされる特定の部分画像(図5の例では、部分画像PI3)を印刷する場合には、上述したように2回の部分印刷によって該特定の部分画像が印刷される。これによって、特定の部分画像が1回の部分印刷で印刷される場合よりも、1回当たりの部分印刷で使用されるインク量を低減できる。したがって、特定の部分画像が印刷される際に短時間で多量のインクが使用されることを抑制できるので、特定の部分画像が印刷される際にインクの供給の遅れが発生することを抑制することができる。
【0041】
A-3.画像処理
図6図9は、実施例の画像処理のフローチャートである。図10は、閾値テーブルTTの一例を示す図である。プリンタ200のCPU210は、例えば、端末装置300(図1)から印刷指示を受信した場合に、画像処理を開始する。これに代えて、CPU210は、操作部260を介して、ユーザから印刷指示を取得した場合に画像処理を開始しても良い。印刷指示には、印刷すべき画像を示す画像データの指定が含まれる。
【0042】
S100では、CPU210は、搬送部140を制御して、図示しない印刷トレイから1枚の用紙Mを、所定の初期位置まで搬送させる。
【0043】
S105では、CPU210は、温度センサ170からの信号に基づいて、プリンタ200の印刷ヘッド110のヘッド温度Thを取得する。
【0044】
S110では、CPU210は、不揮発性記憶装置220から印刷に用いられる各インクの累積インク使用量TAを取得する。累積インク使用量TAは、不揮発性記憶装置220の所定領域に、CMYKの各インクについて、それぞれ記録されている。CPU210は、印刷を実行する度に、例えば、印刷で形成されたドット数に基づいて各色のインクの使用量を算出して、累積インク使用量TAを更新している。本ステップでは、例えば、モノクロ印刷の場合には、Kインクの累積インク使用量TAが取得され、カラー印刷の場合には、CMYKの各インクの累積インク使用量TAが取得される。
【0045】
S115では、CPU210は、ヘッド温度Thと累積インク使用量TAとに基づいて、図10の閾値テーブルTTから、印刷に用いられる各インクに対応する判定閾値JT(単位は%)を取得する。閾値テーブルTTには、ヘッド温度Thと累積インク使用量TAとの組み合わせに対して、対応する判定閾値JTが記録されている。例えば、図10(A)の例では、取得されたヘッド温度Thが、予め定められた「中」の範囲内であり、かつ、特定のインクについて取得された累積インク使用量TAが、予め定められた「大」の範囲内である場合には、特定のインクに対応する判定閾値JTとして、「75%」が取得される。モノクロ印刷の場合には、Kインクに対応する判定閾値JTが取得され、カラー印刷の場合には、CMYKの全てのインクに対応する1個の判定閾値JTが取得される。
【0046】
S120では、CPU210は、画像データのうち、印刷画像OIの複数個の部分画像PI1~PI5にうちの注目部分画像に対応するドットデータを、注目ドットデータとして取得して、バッファ領域331に格納する。ドットデータは、本実施例では、色成分ごと、かつ、画素ごとに、ドットの形成状態を示すデータである。ドットの形成状態は、例えば、「ドット有り」と「ドット無し」とのうちのいずれかである。これに代えて、ドットの形成状態は、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」、「ドット無し」のいずれかであってもよい。なお、変形例では、CPU210は、揮発性記憶装置230に格納された画像データを用いて、注目ドットデータを生成することによって、注目ドットデータを取得しても良い。例えば、画像データのうち、注目部分画像に対応するデータに対して、色変換処理やハーフトーン処理を含む画像処理を実行して、注目ドットデータが生成される。なお、注目部分画像を印刷する部分印刷を注目部分印刷とも呼ぶ。
【0047】
S125では、CPU210は、注目ドットデータを用いて、注目部分画像について特定条件判定処理を実行する。特定条件判定処理は、処理対象の部分画像(例えば、注目部分画像)がインクの供給の遅れが発生しやすいことを示す特定条件を満たすか否かを判定し、処理対象の部分画像が特定条件を満たす場合には、併せて注目部分画像の分割位置を決定する処理である。分割位置は、2回の部分印刷で処理対象の部分画像を印刷すべき場合に、処理対象の部分画像を分割する位置である。
【0048】
図11は、特定条件判定処理のフローチャートである。図12は、部分画像に設定されるブロックを説明する図である。S300では、CPU210は、処理対象の部分画像を複数個のブロックBLに分割する。例えば、図12に示す部分画像PI2は、主走査方向(X方向)に並ぶ10個の矩形のブロックBLに分割されている。互いに隣接する2個のブロックBLの境界BDは、部分画像PI2を含む印刷画像OIが用紙Mに印刷される際に、上述したように波状に変形される用紙Mの各山部PPに対応する位置に設定される。換言すれば、部分画像PI1の9個の境界BDのX方向の位置は、印刷時に、9個の高支持部材142(図4(C))に支持される用紙M上の位置にそれぞれ対応している。
【0049】
S305では、CPU210は、処理対象の部分画像に設定された10個のブロックBLから、1個の注目ブロックを選択する。注目ブロックは、処理対象の部分画像を印刷する最初の部分印刷の印刷方向(往路方向(+X方向)または復路方向(ーX方向))の上流側から選択される。例えば、図12の例では、処理対象の部分画像PI2の直前に印刷された部分画像PI1の印刷方向は、復路方向であるとする。この場合には、処理対象の部分画像PI2を印刷する最初の部分印刷の印刷方向は往路方向になるので、注目ブロックは、往路方向の上流側(-X側)から順次に選択される。すなわち、この場合には、最初の注目ブロックは、-X側の端に位置するブロックBLaである(図12)。以下では、往路方向の上流側(-X側)を、単に、上流側とも呼び、往路方向の下流側(+X側)を、単に、下流側とも呼ぶ。
【0050】
S310では、CPU210は、印刷に使用される各インクについて注目ブロック内のドット画素の個数(ドット数Dpとも呼ぶ)を算出する。ドット画素は、注目ドットデータにおいてドットの形成を示す値を有する画素である。モノクロ印刷の場合には、Kインクに対応するドット数Dpが算出され、カラー印刷の場合には、CMYKの各インクに対応する4個のドット数Dpが算出される。
【0051】
S320では、CPU210は、注目ブロックのドット数Dpを、既に処理済みのブロックの合計ドット数Dtに加算して、合計ドット数Dtを更新する。例えば、注目ブロックが図12のブロックBLcである場合には、3個のブロックBLa~BLcの合計のドット数が、新たな合計ドット数Dtとして算出される。ドット数Dtが大きいほど、パスインク使用量PAが大きくなるので、合計ドット数Dtは、パスインク使用量PAを示す指標値である。モノクロ印刷の場合には、Kインクに対応する合計ドット数Dtが算出され、カラー印刷の場合には、CMYKの各インクに対応する4個の合計ドット数Dtが算出される。
【0052】
S330では、CPU210は、印刷に用いられる少なくとも1個のインクの合計ドット数Dtが基準数Tvよりも大きいか否かを判断する。基準数Tvは、図6のS115にて取得された判定閾値JT(単位は%)に対応する処理対象の部分画像の画素数である。例えば、処理対象の部分画像の総画素数Ptである場合に、基準数Tvは、総画素数Ptに判定閾値JTを乗じて100で除した数である(Tv=(JT×Pt)/100)。合計ドット数Dtが基準数Tvよりも大きい場合には、短時間の間に多量のインクが吐出されるので、インクの供給の遅れが発生し得る。
【0053】
印刷に用いられる少なくとも1個のインクについて、合計ドット数Dtが基準数Tvよりも大きい場合には(S330:YES)、S340にて、処理対象の部分画像は、特定条件を満たすと判断する。S350では、CPU210は、現在の注目ブロックと、直前の注目ブロック(直前ブロックとも呼ぶ)と、の間の境界BDを、分割位置DPとして決定して、特定条件判定処理を終了する。例えば、図12のブロックBLeが注目ブロックである場合には、ブロックBLdとブロックBLeとの間の境界BDdが、分割位置DPとして決定される。
【0054】
印刷に用いられる全てのインクについて、合計ドット数Dtが基準数Tv以下である場合には(S330:NO)、S370にて、CPU210は、処理対象の部分画像は、特定条件を満たさないと判断して、特定条件判定処理を終了する。
【0055】
特定条件判定処理が終了されると、図6のS130にて、特定条件判定処理にて特定条件が満たされると判断されたか否かが判断される。特定条件が満たされると判断された場合には(S130:YES)、インクの供給が遅れ得るので、インクの供給の遅れを抑制するために、注目部分画像は2回の部分印刷にて印刷される。例えば、図12の部分画像PI2が注目部分印刷である場合には、部分画像PI2のうちの第1部分FPが先の部分印刷にて印刷され、第2部分SPが後の部分印刷にて印刷される。そして、第1部分FPと第2部分SPとの間に位置する中間部分MPは、2回の部分印刷の両方にて印刷される。第1部分FPは、例えば、印刷方向(図12の例では往路方向(+X方向))の上流端(図12の左端)から、分割位置DPよりも一ブロック分だけ上流側の位置までの部分である。第2部分SPは、例えば、分割位置DPから印刷方向の下流端(図12の右端)までの部分である。
【0056】
具体的には、先ず、S135にて、CPU210は、マスク処理を実行する。例えば、マスク処理は、予め記憶されたマスクデータ(図示省略)を用いて、中間部分MP内の複数個の画素を、2回の部分印刷のいずれか一方に割り当てる処理である。マスクデータは、中間部分MPに対応する二値データであり、先の部分印刷に割り当てるべき画素と、後の部分印刷に割り当てるべき画素と、を規定するデータである。例えば、中間部分MPにおいて、先の部分印刷に割り当てるべき画素および後の部分印刷に割り当てるべき画素は、中間部分MPの全体に分散して配置される。例えば、第1部分FPに近いほど先の部分印刷に割り当てられる画素の割合が高くされ、第2部分SPに近いほど後の部分印刷に割り当てられる画素の割合が高くされる。
【0057】
S140では、CPU210は、注目部分画像のうちの上流部分を印刷機構100に印刷させる。すなわち、CPU210は、ヘッド駆動部120と主走査部130とを制御して先の部分印刷を実行させ、第1部分FPと、中間部分MPのうちの先の部分印刷に割り当てられた画素と、に対応するドットを、用紙M上に形成させる。
【0058】
図13図17は、部分印刷の一例を説明する図である。図13にて、部分画像PI2上のX方向に沿う各矢印は、1回の部分印刷で行われる主走査を示している。矢印のうち、実線の部分は、ドットの形成が行われる区間を示し、破線の部分は、ドットの形成が行われない区間を示す。図13の矢印AR1は、部分画像PI2を印刷する先の部分印刷を示している。矢印AR1に示すように、図13の例では、先の部分印刷は、往路方向の印刷であり、部分画像PI2の第1部分FPと中間部分MPの一部とを印刷する。
【0059】
S145では、CPU210は、次の部分画像について、特定条件判定処理を実行する。すなわち、注目部分画像(例えば、図13の部分画像PI2)に対して搬送方向の上流側(図13の-Y側)に隣接する部分画像(例えば、図12の部分画像PI3)を、処理対象の部分画像として、上述した特定条件判定処理(図11)が実行される。この結果、次の部分画像が特定条件を満たすか否かが判定されるとともに、次の部分画像が特定条件を満たす場合には、次の部分画像の分割位置DPnが決定される。
【0060】
特定条件判定処理が終了されると、S150にて、特定条件判定処理にて、次の部分画像について特定条件が満たされると判断されたか否かが判断される。特定条件が満たされると判断された場合には(S150:YES)、次の部分画像を印刷する際にインクの供給が遅れ得るので、次の部分画像は2回の部分印刷にて印刷される。例えば、図13の部分画像PI3が次の部分印刷である場合には、部分画像PI3のうちの第1部分FPnと第2部分SPnとが異なる部分印刷にて印刷される。そして、第1部分FPnと第2部分SPnとの間に位置する中間部分MPnは、2回の部分印刷の両方にて印刷される。
【0061】
具体的には、先ず、S155にて、CPU210は、注目部分画像の下流部分とともに、次の部分画像の上流部分を印刷できるか否かを判断する。注目部分画像の下流部分は、例えば、図13の部分画像PI2の例では、第2部分SPと、中間部分MPのうちの後の部分印刷に割り当てられた画素と、を含む。次の部分画像の上流部分は、図13の部分画像PI3の例では、第1部分FPnと、中間部分MPnのうち、先の部分印刷に割り当てられるべき画素とを含む。次の部分画像(例えば、図13の部分画像PI3)のうち、注目部分画像(例えば、図13の部分画像PI2)の下流部分の左端LPよりも1ブロック分だけ左側の位置から右端までの領域IAaは、注目部分画像の下流部分とともに印刷できない領域である。領域IAa内に、次の部分画像の上流部分(第1部分FPnと中間部分MPn)の少なくとも一部が含まれない場合には、注目部分画像の下流部分とともに、次の部分画像の上流部分を印刷できると判断される。図13の例では、次の部分画像(部分画像PI3)の第1部分FPnの一部と中間部分MPnとは、領域IAa内に位置しているので、注目部分画像の下流部分とともに、次の部分画像の上流部分を印刷できないと判断される。
【0062】
注目部分画像の下流部分とともに、次の部分画像の上流部分を印刷できない場合には(S155:NO)、S160にて、CPU210は、注目部分画像(例えば、図13の部分画像PI2)のうちの下流部分を印刷機構100に印刷させる。すなわち、CPU210は、ヘッド駆動部120と主走査部130とを制御して後の部分印刷を実行させ、第2部分SPと、中間部分MPのうちの先の部分印刷に割り当てられた画素と、に対応するドットを、用紙M上に形成させる。図13の矢印AR2は、部分画像PI2を印刷する後の部分印刷を示している。矢印AR2に示すように、図13の例では、後の部分印刷は、復路方向の印刷であり、部分画像PI2の第2部分SPと中間部分MPの一部とを印刷する。
【0063】
以上の説明から解るように、注目部分印刷が2回の部分印刷で印刷される場合には、注目部分画像の上流部分を印刷する部分印刷と、注目部分画像の下流部分を印刷する部分画像と、の間に、用紙Mの搬送は行われない。
【0064】
S162では、CPU210は、搬送部140を制御して用紙Mを所定量(具体的には、ノズル長D分)だけ搬送させる。例えば、図13のY方向に沿う矢印AR3は、本ステップの用紙Mの搬送に対応している。
【0065】
S165では、CPU210は、全ての部分画像が印刷されたか否かを判断する。換言すれば、印刷画像OIの印刷が完了したか否かを判断する。全ての部分画像が印刷された場合には(S165:YES)、CPU210は、画像処理を終了する。未印刷の部分画像がある場合には(S165:NO)、CPU210は、S120に戻る。
【0066】
図6のS130にて、注目部分画像について特定条件が満たされないと判断された場合には(S130:NO)、注目部分画像は、1回の部分印刷にて印刷される。具体的には、図7のS170では、図6のS145と同様に、CPU210は、次の部分画像について、特定条件判定処理を実行する。図14の例では、部分画像PI2bは、特定条件を満たさない。部分画像PI2bが注目部分画像である場合には、本ステップにて、次の部分画像PI3b(図14)が特定条件を満たすか否かが判定されるとともに、次の部分画像PI3bが特定条件を満たす場合には、次の部分画像の分割位置DPnが決定される。図14の例では、部分画像PI3bは特定条件を満たすと判断され、分割位置DPnが決定されるものとする。
【0067】
次の部分画像について特定条件が満たされると判断された場合には(S175:YES)、S180にて、CPU210は、注目部分画像とともに、次の部分画像の下流部分を印刷できるか否かを判断する。注目部分画像のうち、次の部分画像(例えば、図13の部分画像PI3b)の下流部分の左端LPよりも1ブロック分だけ左側の位置から右端までの領域を、領域IAbとする。注目部分画像の印刷すべきオブジェクト(例えば、図14の部分画像PI2bのオブジェクトOBb)が、領域IAb内に存在しない場合には、注目部分画像とともに、次の部分画像の下流部分を印刷できると判断される。図14の例では、領域IAb内にオブジェクトOBbが存在しないので、部分画像PI2bとともに、次の部分画像PI3bの下流部分を印刷できると判断される。
【0068】
注目部分画像とともに次の部分画像の下流部分を印刷できると判断された場合には(S180:YES)、S195にて、CPU210は、次の部分画像のドットデータを取得する。S200では、CPU210は、次の部分画像のドットデータを用いてマスク処理を実行する。例えば、これによって、次の部分画像の中間部分MPn内の複数個の画素は、2回の部分印刷のいずれか一方に割り当てられる。
【0069】
S205では、CPU210は、注目部分画像と次の部分画像の下流部分とを、印刷機構100に印刷させる。例えば、図14にて矢印AR4で示すように、CPU210は、注目部分画像である部分画像PI2bを往路方向で印刷させ、部分画像PI2bの印刷(オブジェクトOBbの印刷)が終了した時点で、往路方向の主走査を一時的に停止させる。そして、図14にて矢印AR5で示すように、CPU210は、用紙Mをノズル長D分だけ搬送させる。そして、図14にて矢印AR6で示すように、CPU210は、往路方向の主走査を再開させ、次の部分画像PI3bの下流部分(中間部分MPnのうちのマスク処理にて割り当てられた画素と第2部分SPn)を往路方向で印刷させる。このように、CPU210は、注目部分画像の印刷と、次の部分画像の下流部分の印刷と、の間に、復路方向の主走査を実行させない。この結果、過度に印刷速度が低下することを抑制できる。
【0070】
ここで、次の部分画像の下流部分の左端LPと、領域IAbの左端と、の間に、1ブロック分の区間を設けているのは、用紙Mの搬送後に、次の部分画像の下流部分を印刷するために主走査を再開する際に、印刷ヘッド110を印刷に適した速度まで加速させるために、ある程度の距離が必要であるためである。変形例としては、注目部分画像の印刷と、次の部分画像の下流部分の印刷と、の間に、主走査を停止することなく、用紙Mの搬送が行われても良い。この場合には、用紙Mの搬送中は、印刷ヘッド110が移動しているにも拘わらずに印刷ができないので、用紙Mの搬送中の印刷ヘッド110の移動距離を考慮して、次の部分画像の下流部分の左端LPと、領域IAbの左端と、の間に、X方向の所定の長さの区間が設けられる。
【0071】
S210では、CPU210は、次の部分画像の上流部分を、印刷機構100に印刷させる。次の部分画像の上流部分は、次の部分画像の下流部分の印刷方向とは反対の印刷方向で印刷される。例えば、図14にて矢印AR7で示すように、CPU210は、次の部分画像PI3bの上流部分(中間部分MPnのうちのマスク処理にて割り当てられた画素と第1部分FPn)を復路方向で印刷させる。S210の後は、処理は、図6のS162に進められる。
【0072】
次の部分画像について特定条件が満たされないと判断された場合には(S175:NO)、および、注目部分画像とともに次の部分画像の下流部分を印刷できないと判断された場合には(S180:NO)、CPU210は、S190に処理を進める。S190では、CPU210は、通常の1回の部分印刷で注目部分画像を印刷機構100に印刷させる。例えば、直前の部分印刷が復路印刷である場合には、注目部分画像は、1回の往路印刷で印刷される。S190の後は、処理は、図6のS162に進められる。
【0073】
図6のS150にて、次の部分画像について特定条件が満たされないと判断された場合には(S150:NO)、次の部分画像は、1回の部分印刷にて印刷される。この場合には、図8のS215では、CPU210は、注目部分画像の下流部分とともに、次の部分画像の全体を印刷できるか否かを判断する。注目部分画像の下流部分は、例えば、図15の部分画像PI2cの例では、第2部分SPと、中間部分MPのうちの後の部分印刷に割り当てられた画素と、を含む。次の部分画像(例えば、図15の部分画像PI3c)のうち、注目部分画像(例えば、図15の部分画像PI2c)の下流部分の左端LPよりも1ブロック分だけ左側の位置から右端までの領域IAcは、注目部分画像の下流部分とともに印刷できない領域である。次の部分画像の印刷すべきオブジェクト(例えば、図15の部分画像PI3cのオブジェクトOBc)が、領域IAcに含まれない場合には、注目部分画像の下流部分とともに、次の部分画像の全体が印刷できると判断される。図15の例では、領域IAc内にオブジェクトOBcが存在しないので、部分画像PI2cの下流部分とともに、次の部分画像PI3cの全体を印刷できると判断される。
【0074】
注目部分画像の下流部分とともに次の部分画像の全体を印刷できると判断された場合には(S215:YES)、S225にて、CPU210は、次の部分画像のドットデータを取得する。
【0075】
S230では、CPU210は、注目部分画像の下流部分と次の部分画像の全体とを、印刷機構100に印刷させる。例えば、図15にて矢印AR7で示すように、CPU210は、注目部分画像である部分画像PI2cの下流部分を復路方向で印刷させ、部分画像PI2cの下流部分の印刷が終了した時点で、復路方向の主走査を一時的に停止させる。そして、図15にて矢印AR8で示すように、CPU210は、用紙Mをノズル長D分だけ搬送させる。そして、図15にて矢印AR9で示すように、CPU210は、復路方向の主走査を再開させ、次の部分画像PI3cの全体(オブジェクトOBc)を復路方向で印刷させる。このように、CPU210は、注目部分画像の下流部分の印刷と、次の部分画像の印刷と、の間に、往路方向の主走査を実行させない。この結果、過度に印刷速度が低下することを抑制できる。S230の後は、処理は、図6のS162に進められる。
【0076】
注目部分画像の下流部分とともに次の部分画像の全体を印刷できないと判断された場合には(S215:NO)、S220にて、注目部分画像の下流部分のみを印刷する。例えば、図16の例では、次の部分画像PI3dの印刷すべきオブジェクトOBd1、OBd2の一部が、領域IAd内に位置しているので、注目部分画像である部分画像PI2dの下流部分とともに、次の部分画像PI3dの全体が印刷できないと判断される。この例では、図16にて矢印AR10で示すように、CPU210は、部分画像PI2dの下流部分のみを復路印刷で印刷させる。S220の後は、処理は、図6のS162に進められる。図16の例では、この後、図16にて矢印AR11で示すように、用紙Mの搬送が行われ(図6のS162)、図16にて矢印AR12で示すように、次の部分画像PI3dの全体は、1回の往路印刷で印刷される(図7のS190)。
【0077】
図6のS155にて、注目部分画像の下流部分とともに、特定条件を満たす次の部分画像の上流部分を印刷可能であると判断される場合には(S155:YES)、図9のS235に処理が進められる。注目部分画像の下流部分とともに次の部分画像の上流部分の印刷が行われる。注目部分画像の下流部分は、例えば、図17の部分画像PI2eの例では、第2部分SPと、中間部分MPのうちの後の部分印刷に割り当てられた画素と、を含む。次の部分画像の上流部分は、図17の部分画像PI3eの例では、第1部分FPnと、中間部分MPnのうち、先の部分印刷に割り当てられるべき画素とを含む。次の部分画像(例えば、図17の部分画像PI3e)のうち、注目部分画像(例えば、図17の部分画像PI2e)の下流部分の左端LPよりも1ブロック分だけ左側の位置から右端までの領域IAeは、注目部分画像の下流部分とともに印刷できない領域である。この例では、領域IAe内に、次の部分画像の上流部分(第1部分FPnと中間部分MPn)が含まれないので、注目部分画像の下流部分とともに、次の部分画像の上流部分を印刷できると判断される。
【0078】
図9のS235では、CPU210は、次の部分画像のドットデータを取得する。S240では、CPU210は、次の部分画像のドットデータを用いてマスク処理を実行する。例えば、これによって、次の部分画像の中間部分MPn内の複数個の画素は、2回の部分印刷のいずれか一方に割り当てられる。
【0079】
S245では、CPU210は、注目部分画像の下流部分と、次の部分画像の上流部分とを、印刷機構100に印刷させる。例えば、図17にて矢印AR13で示すように、CPU210は、部分画像PI2eの下流部分(中間部分MPのうちのマスク処理にて割り当てられた画素と第2部分SP)を復路印刷で印刷させ、該下流部分の印刷が終了した時点で、復路方向の主走査を一時的に停止させる。そして、図17にて矢印AR14で示すように、CPU210は、用紙Mをノズル長D分だけ搬送させる。そして、図17にて矢印AR15で示すように、CPU210は、復路方向の主走査を再開させ、次の部分画像PI3eの上流部分(中間部分MPnのうちのマスク処理にて割り当てられた画素と第1部分FPn)を復路方向で印刷させる。このように、CPU210は、注目部分画像の下流部分の印刷と、次の部分画像の上流部分の印刷と、の間に、往路方向の主走査を実行させない。この結果、過度に印刷速度が低下することを抑制できる。
【0080】
S250では、CPU210は、次の部分画像の下流部分を、印刷機構100に印刷させる。例えば、図17にて矢印AR16で示すように、CPU210は、部分画像PI3eの下流部分(中間部分MPnのうちのマスク処理にて割り当てられた画素と第2部分SPn)と、を往路印刷で印刷させる。S250の後は、処理は、図6のS162に進められる。
【0081】
以上説明した本実施例によれば、印刷画像OIの主走査方向の一端から他端まで延びる帯状の部分画像ごとに判断される特定条件が注目部分画像について満たされない場合には(図6のS130にてNO)、CPU210は、注目部分画像を1回の部分印刷にて印刷させる(図7のS190、S205)。特定条件が満たされる場合には(図6のS130にてYES)、注目部分画像のうちの主走査方向の一端(例えば、図13の左端)を含み他端(例えば、図13の右端)を含まない第1部分FPを先の部分印刷にて印刷させ、注目部分画像のうちの主走査方向の他端(例えば、図13の右端)を含み一端(例えば、図13の左端)を含まない第2部分SPを後の部分印刷にて印刷させる。
【0082】
このように、注目部分印刷にてインク供給部150から印刷ヘッド110へのインクの供給が遅れ得ることを示す特定条件が満たされる第2の場合には、注目部分画像が2回の部分印刷にて印刷される。この結果、特定条件が満たされる場合に、インクの供給の遅れを抑制できる。
【0083】
さらに、本実施例によれば、特定条件が満たされる場合に注目部分印刷を印刷する2回の部分印刷の一方は、往路方向の主走査にて行われる部分印刷であり、他方は、復路方向の主走査にて行われる部分印刷である(図13等)。この結果、2回の部分印刷が同じ方向の主走査にて行われる場合よりも印刷速度を速くすることができる。したがって、特定条件が満たされる場合であっても過度に印刷速度が低下することを抑制できる。
【0084】
さらに、本実施例によれば、注目部分画像のうち、第1部分FPと第2部分SPとの間に位置する中間部分MP(図12図13等)は、特定条件が満たされる場合には、2回の部分印刷の両方にて印刷される。この結果、例えば、一方の部分印刷にて形成されるドットの位置が、他方の部分印刷にて形成されるドットの位置に対して、ずれること(ドットの位置ずれとも呼ぶ)が生じた場合であっても、第1部分FPと第2部分SPとの間の境界が目立つ不具合を抑制することができる。
【0085】
さらに、本実施例によれば、注目ブロックのインクの使用量の指標値であるドット数Dpが算出され(図11のS310)、その時点までに処理されたブロックの合計ドット数Dtが算出される(図11のS320)。すなわち、注目ドットデータを用いて、注目部分画像のうちの一端(例えば、図12の左端)から主走査方向の特定位置(例えば、注目ブロックの右端)までの部分を印刷する際に用いられるインクの使用量に関する指標値として、合計ドット数Dtが算出される。そして、合計ドット数Dtと閾値(基準数Tv)との比較に基づいてインクの使用量が基準以上であると判断される場合に(図11のS330にてYES)、特定条件が満たされると判断される(図11のS340)。この結果、特定条件が満たされるか否かを、一部のドットデータを用いて効率良く判断できる。
【0086】
さらに、本実施例によれば、特定条件が満たされると判断される場合に、注目部分画像のうちの特定位置(注目ブロックの右端)をよりも一端側(図12の左側)に、分割位置DPが決定される(図11のS350、図12)。その結果、特定位置(注目ブロックの右端)をよりも一端側(図12の左側)に第1部分FPが決定される。したがって、ドット数Dtに基づいて、第1部分FP、ひいては、第2部分SPを適切に決定することができる。このために、インクの供給の遅れを適切に抑制できる。
【0087】
さらに、本実施例によれば、特定条件が満たされる場合に、注目部分画像において、第1部分FPの一端とは反対側の端(図12の右端)と、第2部分SPの他端とは反対側の端(図12の左端)と、は、ブロックBLの境界BDの位置に決定される。すなわち、これらの端は、用紙Mの複数個の山部PPのうちの1つと対応する位置に決定される。この結果、第1部分FPと第2部分SPとの間の境界が目立つ不具合を抑制することができる。用紙Mの山部PPは、高支持部材142によって、印刷ヘッド110が位置する側とは反対側から支持されている(図4(C))。このために、搬送中の用紙Mの山部PPのZ方向の位置は、支持部材142、143によって支持されていない部分よりも精度良く保持される。したがって、印刷中に用紙Mの山部PPと印刷ヘッド110のノズル形成面111との間の距離は、用紙Mの他の部分とノズル形成面111との間の距離よりも変化し難い。このために、用紙Mの山部PPでは、上述したドット位置のずれが発生しがたいため、第1部分FPと第2部分SPとの間の境界が目立つ不具合を抑制することができる。
【0088】
なお、変形例としては、ブロックBLの境界BDの位置、第1部分FPの右端、第2部分SPの左端)は、それぞれ、用紙Mの複数個の谷部VP(図4(C))のいずれかに対応する位置に決定されても良い。用紙Mの谷部VPは、低支持部材143によって、印刷ヘッド110が位置する側とは反対側から支持されている(図4(C))ので、山部PPと同様に、支持部材142、143によって支持されていない部分よりも精度良く保持されためである。
【0089】
さらに、本実施例によれば、部分画像PI2e(図17)について特定条件が満たされ、かつ、部分画像PI2eに対して副走査方向に隣接する部分画像PI3e(図17)について特定条件が満たされる場合において、部分画像PI3eの第1部分FPnを印刷する部分印刷(図17の矢印AR15)と、部分画像PI2eの第2部分SPを印刷する部分印刷(図17の矢印AR13)と、を、同じ復路方向の主走査にて実行させ得る(図9のS245)。そして、これら2回の部分印刷の間に、往路方向の主走査を実行させない。したがって、ともに復路方向の主走査で行われる部分画像PI2eの第2部分SPの印刷と、部分画像PI3eの第1部分FPnの印刷と、の間に、往路方向の主走査が実行されないので、特定条件が満たされる場合であっても印刷速度が過度に低下することを抑制できる。
【0090】
さらに、本実施例によれば、部分画像PI2eの第2部分SPの印刷と、部分画像PI3eの第1部分FPnの印刷と、の間に、印刷ヘッドの移動(主走査)を停止させる停止期間を設ける。したがって、用紙Mの搬送(例えば、図17の矢印AR14)を実行する時間を確保できる。
【0091】
さらに、本実施例によれば、部分画像PI3b(図14)について前記特定条件が満たされ、かつ、部分画像PI3bに対して副走査方向に隣接する部分画像PI2b(図14)について特定条件が満たされず、かつ、部分画像PI2bの一端(図14の右端)を含む特定領域IAbに印刷すべきオブジェクトがない場合に、部分画像PI3bの第2部分SPnを印刷する部分印刷(図14の矢印AR5)と、部分画像PI2bを印刷する1回の部分印刷(図14の矢印AR4)と、を、往路方向にて実行させる。そして、これらの2回の部分印刷の間に、復路方向の主走査を実行させない。したがって、ともに往路方向の主走査で行われる部分画像PI3bの第2部分SPnの印刷と、部分画像PI2bの印刷と、の間に、復路方向の主走査が実行されないので、特定条件が満たされる場合であっても印刷速度が過度に低下することを抑制できる。
【0092】
さらに、本実施例によれば、部分画像PI3bの第2部分SPnの印刷と、部分画像PI2bの印刷と、の間に、印刷ヘッドの移動(主走査)を停止させる停止期間を設ける。したがって、用紙Mの搬送(例えば、図14の矢印AR5)を実行する時間を確保できる。
【0093】
さらに、上記実施例では、プリンタ200のCPU210が図6図9の画像処理を実行するので、例えば、端末装置300の処理(例えば、端末装置300にインストールされたドライバの処理)に依存することなく、プリンタ200だけでインクの供給の遅れを抑制することができる。
【0094】
B.変形例
(1)上記実施例では、特定条件を満たすために注目部分画像が2回の部分印刷で印刷される場合に、当該2回の部分印刷の一方は往路印刷であり、他方は復路印刷である。これに代えて、当該2回の部分印刷の両方が往路印刷であっても良い。この場合について、図12の部分画像PI2が注目部分画像であるとして説明する。1回目の往路印刷によって、第1部分FPと中間部分MPの一部とに対応するドットが形成されて、印刷ヘッド110は、分割位置DPの近傍で停止される。そして、所定の停止期間の後に、復路方向の主走査が行われて、印刷ヘッド110は、中間部分MPの右端よりも所定量だけ右側の位置まで戻される。その後、往路方向の主走査が再度行われて、第2部分SPと中間部分MPの一部とに対応するドットが形成される。
【0095】
(2)上記実施例では、特定条件を満たす場合には、注目部分画像が2回の部分印刷で印刷される。これに代えて、特定条件を満たす場合には、注目部分画像が3回以上の部分印刷で印刷されても良い。例えば、注目部分画像の印刷に使用されるインク量の指標値が第1基準以上第2基準未満のインク量を示す場合には、注目部分画像が2回の部分印刷で印刷され、該指標値が第3基準以上のインク量を示す場合には、注目部分画像が3回の部分印刷で印刷されても良い。注目部分画像が3回の部分印刷で印刷される場合には、例えば、注目部分画像は3個の部分(例えば、右端側の部分と左端側の部分と中央部分)に分割され、3個の部分がそれぞれ異なる部分印刷で印刷される。
【0096】
(3)上記実施例では、注目部分画像が特定条件を満たす場合に、ブロックごとに算出されるドット数Dpに基づいて、注目部分画像の分割位置DPが決定される(図11のS350)。これに代えて、他の方法で分割位置DPが決定されても良い。
【0097】
図18は、変形例の分割位置の決定の説明図である。この例では、分割位置は、直前に印刷される部分画像を考慮して決定される。図18の部分画像PI3fが注目部分画像であるとして説明する。部分画像PI3fは特定条件を満たし、かつ、直前に印刷される部分画像PI2fは、特定条件を満たさない。部分画像PI2fは、往路方向(+X方向)に印刷されるものとする。この場合に、CPU210は、直前の部分画像PI2fのオブジェクトOBfの位置に基づいて印刷終了位置EPを特定する。そして、CPU210は、印刷終了位置EPから所定長SLだけ往路方向の下流側の位置を、部分画像PI3fの分割位置DPvとして決定する。所定長SLは、例えば、一度停止した印刷ヘッド110を再度移動させる場合に印刷ヘッド110を加速させるために必要な距離に基づいて決定される。CPU210は、分割位置DPvに基づいて、部分画像PI3fの第1部分FPと第2部分SPと中間部分MPとを決定する。
【0098】
この場合には、部分画像PI2fと部分画像PI3fとの印刷は、以下のように行われる。図18にて矢印ARaで示すように、CPU210は、部分画像PI2fを往路方向で印刷させ、部分画像PI2fの印刷が終了すると印刷終了位置EPで、往路方向の主走査を一時的に停止させる。そして、図18にて矢印ARbで示すように、CPU210は、用紙Mをノズル長D分だけ搬送させる。そして、図18にて矢印ARcで示すように、CPU210は、往路方向の主走査を再開させ、部分画像PI3fの下流部分(中間部分MPの一部と第2部分SP)を往路方向で印刷させる。さらに、図18にて矢印ARdで示すように、CPU210は、部分画像PI3fの上流部分(中間部分MPの一部と第1部分FP)を復路方向で印刷させる。
【0099】
なお、例えば、部分画像PI2fの全体にオブジェクトOBfが配置されている場合には、上記方法では、分割位置DPvが決定できない場合がある。この場合には、分割位置DPvは、例えば、予め定められた位置(例えば、主走査方向の中心の位置)に決定される。そして、部分画像PI2fが往路方向で印刷された後に、部分画像PI3fの下流部分が復路方向で印刷される。さらに、その後に、部分画像PI3fの上流部分が往路方向で印刷される。
【0100】
図19は、変形例の分割位置の決定の説明図である。この例では、分割位置は、直後に印刷される部分画像を考慮して決定される。図19の部分画像PI2gが注目部分画像であるとして説明する。部分画像PI2gは特定条件を満たし、かつ、直後に印刷される部分画像PI3gは、特定条件を満たさない。部分画像PI2gは、先に行われる往路方向の部分印刷と後に行われる復路方向の部分印刷とで印刷されるものとする。この場合に、CPU210は、直後の部分画像PI2gのオブジェクトOBgの位置に基づいて印刷開始位置PSPを特定する。そして、CPU210は、第2部分SPから所定長SLだけ復路方向の上流側の位置を、部分画像PI2gの分割位置DPvとして決定する。CPU210は、分割位置DPvに基づいて、部分画像PI2gの第1部分FPと第2部分SPと中間部分MPとを決定する。
【0101】
この場合には、部分画像PI2gと部分画像PI3gとの印刷は、以下のように行われる。図19にて矢印ARdで示すように、CPU210は、部分画像PI2gの上流部分(中間部分MPの一部と第1部分FP)を往路方向で印刷させる。その後、図19にて矢印AReで示すように、CPU210は、部分画像PI2gの下流部分(中間部分MPの一部と第2部分SP)を復路方向で印刷させ、印刷開始位置PSPよりも上流側で復路方向の主走査を一時的に停止させる。そして、図19にて矢印ARfで示すように、CPU210は、用紙Mをノズル長D分だけ搬送させる。そして、図19にて矢印ARdで示すように、CPU210は、復路方向の主走査を再開させ、部分画像PI3gを復路方向で印刷させる。
【0102】
なお、例えば、部分画像PI3gの全体にオブジェクトOBgが配置されている場合には、上記方法では、分割位置DPvが決定できない場合がある。この場合には、分割位置DPvは、例えば、予め定められた位置(例えば、主走査方向の中心の位置)に決定される。
【0103】
(4)上記実施例では、注目部分画像を2回の部分印刷で印刷する場合に、第1部分FPと第2部分SPとの間に中間部分MPを設けているが、中間部分MPを設けなくても良い。この場合には、CPU210は、2回の部分印刷のうちの一方で第1部分FPを印刷させ、他方で第2部分SPを印刷させる。
【0104】
(5)上記実施例の搬送部140の構成は一例である。例えば、搬送部140は、用紙Mを波状に変形させた状態で保持して、用紙Mを搬送している。これに代えて、搬送部140は、用紙Mを波状に変形させることなく、平坦な状態で用紙Mを搬送しても良い。
【0105】
(6)上記実施例の画像処理は、一例であり、適宜に変更され得る。例えば、画像処理は、よりシンプルな処理であっても良い。例えば、画像処理において、注目部分画像を印刷する際に、次の部分画像を考慮する処理は、全て省略されても良い。この場合には、例えば、図6のS145~S155と、図7図9の処理が省略される。そして、図6のS130にて、注目部分画像が特定条件を満たさないと判断される場合には(S130:NO)、図7のS190と同様に、注目部分画像は、1回の部分印刷で印刷される。そして、その後、処理は、図6のS162に進められる。
【0106】
(7)上記各実施例では、インクの供給の遅れが発生し得るか否かを示す条件は、ヘッド温度Thと累積インク使用量TAとドット数Dpとを用いて判断されているが、これに限られない。例えば、ヘッド温度Thとドット数Dpのみを用いて判断されても良い。この場合には、例えば、図10の閾値テーブルTTには、3種のヘッド温度Th(低、中、高)に対応する3個の判定閾値JTのみが規定されていれば良い。また、累積インク使用量TAとドット数Dpのみを用いて判断されても良い。この場合には、閾値テーブルTTには、3種の累積インク使用量TA(小、中、大)に対応する3個の判定閾値JTのみが規定されていれば良い。
【0107】
(8)また、ドット数Dpに代えて、インクの使用量に関する別の指標値が採用されても良い。例えば、別の指標値は、注目ブロック内のCMYK画像データが取得可能である場合には、CMYK画像データの各インクに対応する成分値の積算値であっても良い。CMYK画像データは、各画素の色をCMYK値で示す画像データである。CMYK値は、C、M、Y、Kの各インクの濃度を256階調の階調値で示す成分値を含む。また、累積インク使用量TAに代えて、累積インク使用量に関する別の指標値が採用されても良い。例えば、別の指標値は、累積印刷枚数であっても良いし、インクカートリッジの累積交換回数であっても良い。累積印刷枚数や累積交換回数が大きいほど、累積インク使用量TAが大きいと言えるので、累積印刷枚数は、累積インク使用量TAに関する指標値である、と言うことができる。
【0108】
(9)上記実施例の印刷機構100では、搬送部140が用紙Mを搬送することによって、印刷ヘッド110に対して用紙Mを搬送方向に相対的に移動させる副走査が行われる。これに代えて、副走査は、固定された用紙Mに対して、印刷ヘッド110を搬送方向と反対方向に移動させることによって、行われてもよい。
【0109】
(10)印刷媒体として、用紙Mに代えて、他の媒体、例えば、OHP用のフィルム、CD-ROM、DVD-ROMが採用されても良い。
【0110】
(11)上記各実施例では、図6図9の画像処理を実行する装置は、プリンタ200のCPU210である。これに代えて、画像処理を実行する装置は、他の種類の装置、例えば、端末装置300であっても良い。この場合には、例えば、端末装置300は、ドライバプログラムを実行することによってプリンタドライバとして動作し、該プリンタドライバとしての機能の一部として印刷実行部としてのプリンタ200を制御して、画像処理を実行させる。この場合には、端末装置300は、例えば、用紙Mの搬送を、用紙Mの搬送量を示す情報を含む搬送コマンドをプリンタ200に送信することによって実現する。また、この場合には、端末装置300は、図6のS105やS110において、ヘッド温度Thや累積インク使用量TAを、プリンタ200から取得する。また、端末装置300は、部分印刷を、例えば、印刷データを含む部分印刷コマンドを、プリンタ200に送信することによって実現する。
【0111】
以上の説明から解るように、上記実施例では、印刷機構100が印刷実行部の例であり、本変形例のように端末装置300が画像処理を実行する場合には、印刷を実行するプリンタ200の全体が印刷実行部の例である。
【0112】
(12)図6図9の画像処理を実行する装置は、例えば、プリンタ200や端末装置300から画像データを取得して、該画像データを用いて上述した搬送コマンドや部分印刷コマンドを生成し、これらのコマンドをプリンタ200に送信するサーバであっても良い。このようなサーバは、ネットワークを介して互いに通信可能な複数個の計算機であっても良い。
【0113】
(13)上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図6図9の画像処理のうち、一部の処理は、CPU210の指示に従って動作する専用のハードウェア回路(例えば、ASIC)によって実現されてもよい。
【0114】
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0115】
100…印刷機構、110…印刷ヘッド、111…ノズル形成面、120…ヘッド駆動部、130…主走査部、133…キャリッジ、134…摺動軸、135…ベルト、136…プーリ、140…搬送部、141…用紙台、142…高支持部材、143…低支持部材、144…平板、146…押さえ部材、147…上流ローラ対、147a…駆動ローラ、147b…従動ローラ、148…下流ローラ対、148a…駆動ローラ、148b…従動ローラ、150…インク供給部、151…カートリッジ装着部、152…チューブ、153…バッファタンク、170…温度センサ、200…プリンタ、210…CPU、220…不揮発性記憶装置、230…揮発性記憶装置、231…バッファ領域、260…操作部、270…表示部、280…通信部、300…端末装置、331…バッファ領域、M…用紙、D…ノズル長、PG…コンピュータプログラム、OI…印刷画像、BL…ブロック、TT…閾値テーブル、NW…ネットワーク
図1
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