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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20221130BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20221130BHJP
   F21V 14/06 20060101ALI20221130BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20221130BHJP
   F21V 19/02 20060101ALI20221130BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20221130BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20221130BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221130BHJP
【FI】
F21S2/00 355
F21S2/00 330
F21V5/04 350
F21V14/06
F21V8/00 300
F21V19/02 200
F21V17/00 200
G03F7/20 501
F21Y115:10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021004793
(22)【出願日】2021-01-15
(62)【分割の表示】P 2016009241の分割
【原出願日】2016-01-20
(65)【公開番号】P2021073652
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松島 竹夫
(72)【発明者】
【氏名】尾前 靖
(72)【発明者】
【氏名】多田 元典
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-170175(JP,A)
【文献】特開2001-051201(JP,A)
【文献】特開2014-102367(JP,A)
【文献】特開2012-118122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 5/04
F21V 14/06
F21V 8/00
F21V 19/02
F21V 17/00
G03F 7/20
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLED素子が所定の平面上に配置された光源部と、
前記複数のLED素子のそれぞれに対応して配置された複数のコリメートレンズを含み、前記光源部の前記複数のLED素子から射出された光をそれぞれコリメートする第一光学系と、
前記第一光学系から射出された複数の光を集光する第二光学系とを備え、
前記光源部と前記第一光学系の少なくとも一方に、前記光源部と前記第一光学系との相対的な位置関係を調整して前記第二光学系による集光位置を補正するための調整機構が備えられており、
前記調整機構は、前記光源部と前記第一光学系の少なくとも一方を、前記所定の平面に平行な平面を構成する2方向と、前記所定の平面に平行な平面上における回転方向の合計3方向に移動可能に構成されている ことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記調整機構は、前記所定の平面に直交する方向から見て、前記複数のLED素子が配置されている領域よりも外側の位置にのみ配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記複数のLED素子は、前記所定の平面に直交する方向から見て、最も外側に位置する前記複数のLED素子によって囲まれる領域の内側において、実質的に等間隔で配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記光源部が収容されたLEDボードと、
前記第一光学系が収容されたレンズホルダと、を備え、
前記LEDボードと前記レンズホルダの少なくとも一方に、前記光源部と前記第一光学系との相対的な位置関係を調整する調整機構が設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項5】
入射面が前記第二光学系の焦点位置に配置されたインテグレータ光学系を備え、
前記調整機構は、前記光源部と前記第一光学系との相対的な位置関係を調整することで、前記インテグレータ光学系の前記入射面上における前記第二光学系による集光位置を補正可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記調整機構が前記LEDボードに付設されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の光源装置。
【請求項7】
前記調整機構が前記レンズホルダに付設されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の光源装置。
【請求項8】
前記インテグレータ光学系は、前記入射面から入射された光を、内側面で反射を繰り返させながら射出面へと導く導光部材で構成されていることを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【請求項9】
前記インテグレータ光学系は、複数のレンズがマトリクス状に配置されたフライアイレンズで構成されていることを特徴とする請求項5に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置に関し、特に、複数のLED素子を備えた光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光を活用した光処理技術が多様な分野で利用されている。例えば、光を用いた微細加工に露光装置が利用されている。近年では、露光技術は種々の分野で展開されており、微細加工の中でも比較的大きなパターンの作製や三次元的な微細加工に利用されている。より具体的には、例えばLEDの電極パターンの作製や、加速度センサーに代表されるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の製造工程などに露光技術が利用されている。
【0003】
これらの光処理技術において、光源としては、以前から輝度の高い放電ランプが用いられていた。しかし、近年の固体光源技術の進歩に伴い、複数のLED素子が配置されたものを光源として利用することが検討されている。このような技術として、例えば特許文献1には、複数のLED素子からなるユニットを光源とし、この光源とマスクの間にフライアイレンズが配置された露光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-335953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光源をランプで構成した光源装置と比較して、光源をLED素子で構成する場合には放射光束が少ない。このため、高い光出力を実現する光源装置を構成するためには、複数のLED素子からの射出光をできる限り集める必要がある。このとき、複数のLED素子と、その後の光学系との間に位置ずれが生じると、光を利用する目的とする光学系に対して十分な光量の光を導くことができない。このような位置ずれは、程度の多少こそあれ、不可避的に発生する。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、複数のLED素子を備えた光源装置であって、位置ずれに伴う照度の低下を抑制することのできる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光源装置は、
複数のLED素子が配置された光源部と、
前記光源部から射出された光をそれぞれコリメートする第一光学系と、
前記第一光学系から射出された複数の光を集光する第二光学系とを備え、
前記光源部と前記第一光学系の少なくとも一方に、前記光源部と前記第一光学系との相対的な位置関係を調整するための調整機構が備えられていることを特徴とする。
【0008】
前述したように、一つのLED素子から射出される光は、ランプに比べて輝度が小さい。このため、例えば露光装置など、多くの光を必要とする用途の光源に利用されることを想定した場合には、なるべく輝度を落とすことなく、多くのLED素子の光を集めることが重要となる。
【0009】
上記構成によれば、複数のLED素子から射出された光を、第一光学系においてコリメートした後に、集光している。これにより、各LED素子からの射出光を、集光位置で結像させることができる。また、各LED素子からの射出光は、コリメートレンズ(第一光学系)の配置を調整することで射出された光束同士の間隔を狭めることができ、非発光領域の少ない光源が構成される。これにより、輝度の高い光源装置が実現される。
【0010】
そして、このような構成において、仮に光源部と第一光学系との間に、位置ずれが生じた場合、第二光学系の後段に導かれる光量が減少することが想定される。具体的には、例えば、各LED素子と、これに対応するコリメートレンズ(第一光学系)との間の位置関係に、個々にずれが生じていると、第二光学系の集光位置がずれてしまい、第二光学系の後段に効率よく光を導くことが難しくなる。この結果、第二光学系の後段に導かれる光量が減少し、例えば露光装置として利用する場合には露光面に対する照度が低下する。
【0011】
上記の構成によれば、光源部と第一光学系との相対的な位置関係を調整する調整機構が備えられている。このため、光源部に含まれる各LED素子と、これに対応するコリメートレンズ(第一光学系)との間に位置ずれが生じた状態で光源装置が設置された場合であっても、調整機構を介して調整することで、第二光学系による集光位置のずれを補正することができ、第二光学系の後段に効率的に光が導かれる。
【0012】
前記複数のLED素子は、所定の平面上に配置されており、
前記調整機構は、前記所定の平面に平行な方向に関して、前記光源部と前記第一光学系との相対的な位置関係を調整可能に構成されているものとしても構わない。
【0013】
また、前記調整機構は、前記所定の平面に平行な平面上において、前記光源部又は前記第一光学系の少なくとも一方を回転可能に構成されているものとしても構わない。
【0014】
また、具体的な態様として、前記光源部が収容されたLEDボードを有し、前記調整機構が前記LEDボードに付設されているものとしても構わないし、前記第一光学系が収容されたレンズホルダを有し、前記調整機構が前記レンズホルダに付設されているものとしても構わない。
【0015】
また、上記の構成において、入射面が前記第二光学系の焦点位置に配置されたインテグレータ光学系を備えるものとしても構わない。
【0016】
LED素子から射出される光は、ランプと比べると放射光束が少ない。このため、例えば露光用の光源装置として使用するためには、複数のLED素子からの射出光をできる限り集める必要がある。このためには、光源として配置されるLED素子の個数を増やす必要がある。
【0017】
ところで、LED素子は、電源供給のための配線パターンが不可欠であるため、LED素子自体を完全に密接して配置することができない。つまり、複数のLED素子を配置するに際しては、隣接するLED素子同士に一定の間隔を空けざるを得ない。この間隔を形成する領域は、光を射出しない領域(非発光領域)を構成する。このため、単に複数のLED素子を配置し、各LED素子からの射出光を集光したとしても、非発光領域が不可避的に生じてしまう。よって、複数のLED素子から射出された光を単に集光しただけでは、照射面での輝度の低下を招いてしまう。
【0018】
上記構成によれば、複数のLED素子から射出された光を、第一光学系においてコリメートした後に、集光している。これにより、各LED素子からの射出光を、集光位置で結像させることができる。また、各LED素子からの射出光は、コリメートレンズ(第一光学系)の配置を調整することで、射出された光束同士の間隔を狭めることができ、非発光領域の少ない光源が構成される。これにより、輝度の高い光源装置が実現される。
【0019】
また、前記インテグレータ光学系は、前記入射面から入射された光を、内側面で反射を繰り返させながら射出面へと導く導光部材で構成されるものとしても構わない。
【0020】
この構成によれば、導光部材の入射面に対して、放射強度の高い光が集光されるため、導光部材の射出面から、輝度が高く照度分布が均一化された光を射出することができる。なお、導光部材としては、例えばロッドインテグレータやライトトンネルで構成することができる。
【0021】
また、前記インテグレータ光学系は、複数のレンズがマトリクス状に配置されたフライアイレンズで構成されるものとしても構わない。
【0022】
フライアイレンズによって、照射面における照度分布を均一化させることができる。これにより、輝度が高く照度分布が均一化された光源装置が実現できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、複数のLED素子を備えた光源装置において、光学系とLED素子との間の位置ずれが生じた場合であっても、位置ずれに伴う輝度や照度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】光源装置の光学系の一例を模式的に示す図面である。
図2】光源部と第一光学系との配置関係の一例を模式的に示す図面である。
図3】光源部と第一光学系との配置関係の一例を模式的に示す図面である。
図4】光源部と第一光学系との配置関係の一例を模式的に示す図面である。
図5A】位置調整前における、ロッドインテグレータの入射面における像を模式的に示す図面である。
図5B】第一段階の調整を行った後の、ロッドインテグレータの入射面における像を模式的に示す図面である。
図5C】第二段階の調整を行った後の、ロッドインテグレータの入射面における像を模式的に示す図面である。
図5D】第三段階の調整を行った後の、ロッドインテグレータの入射面における像を模式的に示す図面である。
図6A】光源部と第一光学系との配置関係の一例を模式的に示す図面である。
図6B】光源部と第一光学系との配置関係の一例を模式的に示す図面である。
図7】光源装置の光学系の一例を模式的に示す図面である。
図8】露光装置の構成の一例を模式的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の光源装置につき、図面を参照して説明する。なお、各図における寸法比は、実際の寸法比と必ずしも一致していない。
【0026】
図1は、光源装置の光学系の一例を模式的に示す図面である。光源装置1は、光源部2と、第一光学系5と、第二光学系7と、インテグレータ光学系8とを備える。なお、本実施形態における光源装置1では、光源部2がLEDボード22に収容されており、第一光学系5がレンズホルダ23に収容されている。図1には図示されていないが、このLEDボード22とレンズホルダ23とは、相互間の相対的な位置関係を調整することができるように構成されている。具体的な構成の一例は後述される。
【0027】
光源部2は、複数のLED素子3を含む。本実施形態では、一例として複数のLED素子3は、所定の平面上に配置されている。ただし、本発明において、複数のLED素子3の配置態様は、どのようなものであっても構わない。
【0028】
第一光学系5は、複数のLED素子3から射出された光をそれぞれコリメートする光学系であり、各LED素子3に対応して複数のコリメートレンズ6が配置されて構成されている。
【0029】
第二光学系7は、第一光学系5から射出された光を、第二光学系7の焦点7fに集光する光学系である。
【0030】
本実施形態では、インテグレータ光学系8がロッドインテグレータ9によって構成されている。ロッドインテグレータ9は、その入射面9aが、第二光学系7の焦点7fの位置になるように配置されている。ただし、本明細書では、「焦点位置に配置する」とは、完全に焦点の位置に一致する場合の他、焦点距離に対して光軸11に平行な方向に±10%の距離だけ移動した位置を含む概念であるものとする。なお、図1における光軸11とは、インテグレータ光学系8の入射面、すなわちロッドインテグレータ9の入射面9aに対して直交する軸としている。
【0031】
ロッドインテグレータ9は、入射面9aに入射された光を、側面で全反射を繰り返させながら射出面9bへと導くことで、射出面9bにおける光の照度分布を均一化する機能を有する導光部材(光ガイド)の一例である。このような導光部材は、例えば、ガラスや樹脂などの光透過性の材料からなる柱状部材、内面が反射鏡で構成された中空部材等で構成される。後者の構成のものは、特にライトトンネルと称されることがある。なお、導光部材は、その内部において、光軸に平行な方向に複数の光路が分割されて構成されていても構わない。
【0032】
図2図3、及び図4は、それぞれ光源部2と第一光学系5との配置関係の一例を示す図面である。図2に示す例では、光源部2が収容されたLEDボード22と、第一光学系5が収容されたレンズホルダ23とが、ネジ等で一体的に保持されている。なお、図2では、ネジとは別に設けられたクランピングスクリュー41が図示されている。このクランピングスクリュー41が、調整機構の一例である。
【0033】
図3は、図2の内部をLEDボード22側から見たときの模式的な平面図の一例である。また、図4は、図2の内部を模式的に示した斜視図である。この例では、LEDボード22とレンズホルダ23とが、3本のクランピングスクリュー41と、2本のボールプランジャ42とで位置関係の調整が可能に構成されている。なお、図4では、図示の都合上、クランピングスクリュー41の一部と、ボールプランジャ42とが図示されていない。
【0034】
ボールプランジャ42には、バネが内蔵されている。LEDボード22とレンズホルダ23との間のネジ止めを少し緩めた状態で、3箇所のクランピングスクリュー41を押し引きすると、ボールプランジャ42の先端の剛球が移動する。この移動により、LEDボード22とレンズホルダ23の相対的な位置関係を調整することができる。具体的には、図3に示すような、X方向の移動、Y方向の移動、及びθ方向の回転移動が可能である。なお、ここでいうX方向とY方向とで構成される平面(XY平面)上に、複数のLED素子3が配置されている。
【0035】
実際に、光源部2を構成する複数のLED素子3を点灯させた状態で、調整機構(この例ではクランピングスクリュー41)を操作して、LEDボード22とレンズホルダ23の相対的な位置関係を調整しながら、ロッドインテグレータの入射面9aにおける像を測定した。図5A図5Dの各図は、各時点における像の写真を、模式的に図示したものである。各図において、基準となる領域を符号61で示し、像として現れている領域を符号60で示している。また、像60の中心となる位置を符号62で示している。ここでは、光源部2が、80mm□の領域内に85個のLED素子3が配置されて構成されているものとした。
【0036】
一例として、クランピングスクリュー41は、1周させることで0.4mm前後方向に移動し、1/4周させることで0.1mm移動させることができる。また、図3に示したように、同一の辺上に設けられている2つのクランピングスクリュー41を相対的に移動させることで、LEDボード22に対してレンズホルダ23を回転させることができる。一例として、上記2つのクランピングスクリュー41の間隔を60nmとすると、80mm□の光源部2を1°回転させるためには、上記2つのクランピングスクリュー41の相対的な位置関係を約1mm、(2周半)ずらすことで実現できる。このとき、上記2つのクランピングスクリュー41のうちの、一方のクランピングスクリュー41のみを前進又は後退させることで、相対的な位置関係をずらすものとしても構わないし、一方を前進させ、他方を後退させることで、相対的な位置関係をずらすものとしても構わない。
【0037】
図5Aは例えば初期時に対応する。図5Aによれば、像の中心62が基準領域61の中心Oからずれていることが分かる。また、像60が円形状を示しており、像60がぼやけていることから、各LED素子3からの光がほぼ同一の箇所に集光されている状態とまではいえないことが分かる。このような状況は、光源部2と第一光学系3との間で位置ずれが生じていることを示唆するものである。
【0038】
図5Bは、図5Aの状態から、調整機構を操作することで、LEDボード22に対してレンズホルダ23を1°回転移動させた後に、測定された結果である。図5Bに示される像60は、光源部2の形状に対応した矩形形状を示しており、図5Aの状態と比較して像がはっきりと映し出されていることが分かる。これにより、LED素子3の中心と、対応するコリメートレンズ6の光軸とが、図5Aの状態よりも接近したことが分かる。
【0039】
図5Cは、図5Bの状態から、更に調整機構を操作することで、LEDボード22に対してレンズホルダ23をX方向に0.2mm移動させた後に、測定された結果である。また、図5Dは、図5Cの状態から、更に調整機構を操作することで、LEDボード22に対してレンズホルダ23をY方向に0.2mm移動させた後に、測定された結果である。。図5Bの状態と比較して、図5Cの状態では像60の中心62の位置が基準領域61の中心Oに近づいており、図5Dの状態では、この像60の中心60が、更に基準領域61の中心Oに近づいている。
【0040】
このように、調整機構を操作することで、複数のLED素子3から射出された光をほぼ一点に集めることができるようになると共に、その集光位置を調整することが可能となる。特に、ロッドインテグレータ9の光入射面9aの中心箇所に、集光位置を移動させることで、ロッドインテグレータ9の光射出面9b上に照度の高い光を導くことができる。
【0041】
なお、本実施形態では、調整機構としてクランピングスクリュー41を用いる場合について説明したが、調整機構はこの構成に限られない。例えば、図6Aに示すようにカム44を用いるものとしても構わないし、ピン45を用いるものとしても構わない。図6Aの構成においては、カム44の回転軸をレンズホルダ23又はLEDボード22に取り付けるものとして構わない。また、図6Bの構成においては、ピン45のベース部をレンズホルダ23又はLEDボード22に取り付けるものとして構わない。
【0042】
[別実施形態]
以下、別実施形態について説明する。
【0043】
〈1〉図7に示すように、インテグレータ光学系8がフライアイレンズ10で構成されていても構わない。この場合においても、フライアイレンズ10の入射面には高輝度の光が集光され、フライアイレンズ10からは高輝度の光が射出される。なお、上述した別の構成において、インテグレータ光学系8をフライアイレンズ10で構成しても構わない。
【0044】
〈2〉上述した光源装置1は、露光装置やプロジェクタ用の光源として利用することができる。図8は、光源装置1を含む露光装置の構成を模式的に示す図面である。
【0045】
露光装置19は、インテグレータ光学系8の後段に投影光学系15及びマスク16を備え、必要に応じて投影レンズ17を備える。投影光学系15によって投影される位置にマスク16を設置し、マスク16の後段にマスク16のパターン像を焼き付ける対象となる感光性基板18を設置する。この状態で、光源部2から光が射出されると、この光が第二光学系7によって集光された後、ロッドインテグレータ9で照度分布が均一化された光として、投影光学系15に照射される。投影光学系15は、この光を、マスク16のパターン像を直接又は投影レンズ17を介して感光性基板18上に投影する。
【0046】
光源装置1が露光装置19に用いられる場合、LED素子3として紫外光発光素子が用いられることが多い。このように、LED素子3から射出される光が紫外光の場合、像を視認することができない。このような場合には、インテグレータ光学系8の光入射面(ロッドインテグレータ9の光入射面9a)に蛍光体を塗布したプレートを配置させて、前記蛍光体を紫外光で励起させることで像を可視化させた状態とした上で、調整機構(クランピングスクリュー41等)を操作することで、LEDボード22及びレンズホルダ23の相対的な位置関係を調整するものとしても構わない。
【0047】
〈3〉上述した実施形態では、LEDボード22に対してレンズホルダ23を、X方向、Y方向、及びXY平面上の回転方向にそれぞれ移動させることができるものとした。しかし、これらのうちの少なくとも一の方向に移動可能に構成されていても構わないし、更に別の方向(例えばXY平面に直交する方向など)に移動可能に構成されていても構わない。また、レンズホルダ23に対してLEDボード22が移動可能に構成されていても構わない。
【0048】
〈4〉上述した各実施形態において、光源装置1が、光路を変更する目的で、反射光学系等の光学系を適宜追加して備えるものとしても構わない。
【符号の説明】
【0049】
1 : 光源装置
2 : 光源部
3 : LED素子
5 : 第一光学系
6 : コリメートレンズ
7 : 第二光学系
7f : 第二光学系の焦点
8 : インテグレータ光学系
9 : ロッドインテグレータ
9a : ロッドインテグレータの入射面
9b : ロッドインテグレータの射出面
10 : フライアイレンズ
11 : 光軸
15 : 投影光学系
16 : マスク
17 : 投影レンズ
18 : 感光性基板
19 : 露光装置
22 : LEDボード
23 : レンズホルダ
41 : クランピングスクリュー
42 : ボールプランジャ
44 : カム
45 : ピン
60 : 像
61 : 基準領域
62 : 像の中心
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7
図8