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特許7185210ホルダー交換式バーチカルローダー及びこのバーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】ホルダー交換式バーチカルローダー及びこのバーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/02 20060101AFI20221130BHJP
   B29C 31/08 20060101ALI20221130BHJP
   B29C 35/02 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
B29C33/02
B29C31/08
B29C35/02
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022148681
(22)【出願日】2022-09-20
【審査請求日】2022-09-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520469239
【氏名又は名称】株式会社インダストリー
(73)【特許権者】
【識別番号】712013903
【氏名又は名称】林 柾夫
(74)【代理人】
【識別番号】100137899
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 広文
(72)【発明者】
【氏名】大矢 浩史
(72)【発明者】
【氏名】林 柾夫
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-146108(JP,A)
【文献】特開平10-151630(JP,A)
【文献】特開平10-315239(JP,A)
【文献】特開2012-086405(JP,A)
【文献】特開2014-141099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 31/00-31/10
B29C 33/00-33/76
B29C 35/00-35/18
B29D 30/00-30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生タイヤの上部ビードを爪によって把持離脱する円環状の上部ホルダーと、上部ホルダー用支柱に沿って前記上部ホルダーを昇降回動させる上部ホルダー用アームと、を備えたバーチカルローダーであって、
前記上部ホルダーに備えた第一着脱部材と、前記上部ホルダー用アームに備えた第二着脱部材と、が挿入又は脱離されることによって、生タイヤのインチ(リム径)サイズに合わせて前記上部ホルダーが前記上部ホルダー用アームから着脱自在とすることを特徴とした、ホルダー交換式バーチカルローダー。
【請求項2】
生タイヤの下部ビードを爪によって把持離脱する円環状の下部ホルダーと、下部ホルダー用支柱に沿って前記下部ホルダーを昇降回動させる下部ホルダー用アームと、をさらに備えたバーチカルローダーであって、
前記下部ホルダーに備えた第一着脱部材と、前記下部ホルダー用アームに備えた第二着脱部材と、が挿入又は脱離されることによって、生タイヤのインチ(リム径)サイズに合わせて前記下部ホルダーが前記下部ホルダー用アームから着脱自在とすることを特徴とした、請求項1に記載のホルダー交換式バーチカルローダー。
【請求項3】
前記上部ホルダー及び前記下部ホルダーは、非傾斜放射状に複数のスライド溝が穿設され、内側に溝を備えた爪スライド用盤と、傾斜放射状に複数のガイド溝が穿設され、前記溝内で回動自在となる爪開閉用盤と、を備え、
前記爪スライド用盤には、伸縮動するロッドが装着された複数のシリンダーを備え、
各前記シリンダーの各前記ロッドの先端に装着した各爪が、前記爪スライド用盤の前記スライド溝、前記爪開閉用盤の前記ガイド溝の軸方向に挿通し、
各前記ロッドの伸縮動に伴い各前記爪も、前記爪スライド用盤の前記スライド溝内、前記爪開閉用盤の前記ガイド溝内を往復動し、前記爪の往復動に伴い前記爪開閉用盤が回動し、回動する前記爪開閉用盤により各前記爪の動きの均等化を図ることを特徴とした、請求項2に記載のホルダー交換式バーチカルローダー。
【請求項4】
前記上部ホルダー及び前記下部ホルダーは、さらに、非傾斜放射状に複数のスライド溝が穿設され、前記爪スライド用盤を開放側から封止する爪開閉用盤押え盤と、を備え、
各前記シリンダーの各前記ロッドの先端に装着した各爪が、前記爪スライド用盤の前記スライド溝、前記爪開閉用盤の前記ガイド溝、前記爪開閉用盤押え盤の前記スライド溝の軸方向に挿通し、
各前記ロッドの伸縮動に伴い各前記爪も、前記爪スライド用盤の前記スライド溝内、前記爪開閉用盤の前記ガイド溝内、前記爪開閉用盤押え盤の前記スライド溝内を往復動し、前記爪の往復動に伴い前記爪開閉用盤が回動し、回動する前記爪開閉用盤により各前記爪の動きの均等化を図ることを特徴とした、請求項3に記載のホルダー交換式バーチカルローダー。
【請求項5】
前記下部ホルダーは、縦方向に分離結合可能な一対の第1下部ホルダー及び第2下部ホルダーで構成され、
前記下部ホルダー用アームは、一対の第1下部ホルダー用アーム及び第2下部ホルダー用アームで構成され、
前記下部ホルダー用支柱には、第1下部ブラケットを介して前記第1下部ホルダー用アーム及び前記第1下部ホルダーが昇降回動可能に装着され、第2下部ブラケットを介して前記第2下部ホルダー用アーム及び前記第2下部ホルダーが昇降回動可能に装着され、
一対の前記第1下部ホルダー用アーム及び前記第2下部ホルダー用アームは、前記第1下部ホルダー用アームと前記第2下部ホルダー用アームの間に備えた伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを利用して前記下部ホルダー用支柱を基点に平面視扇状に拡開、又は、縮閉できることを特徴とした、請求項2に記載のホルダー交換式バーチカルローダー。
【請求項6】
前記下部ホルダーは、縦方向に分離結合可能な一対の第1下部ホルダー及び第2下部ホルダーで構成され、
前記下部ホルダー用アームは、一対の第1下部ホルダー用アーム及び第2下部ホルダー用アームで構成され、
前記下部ホルダー用支柱には、第1下部ブラケットを介して前記第1下部ホルダー用アーム及び前記第1下部ホルダーが昇降回動可能に装着され、第2下部ブラケットを介して前記第2下部ホルダー用アーム及び前記第2下部ホルダーが昇降回動可能に装着され、
一対の前記第1下部ホルダー用アーム及び前記第2下部ホルダー用アームは、前記第1下部ホルダー用アームと前記第2下部ホルダー用アームの間に備えた伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを利用して前記下部ホルダー用支柱を基点に平面視扇状に拡開、又は、縮閉できることを特徴とした、請求項3に記載のホルダー交換式バーチカルローダー。
【請求項7】
前記下部ホルダーは、縦方向に分離結合可能な一対の第1下部ホルダー及び第2下部ホルダーで構成され、
前記下部ホルダー用アームは、一対の第1下部ホルダー用アーム及び第2下部ホルダー用アームで構成され、
前記下部ホルダー用支柱には、第1下部ブラケットを介して前記第1下部ホルダー用アーム及び前記第1下部ホルダーが昇降回動可能に装着され、第2下部ブラケットを介して前記第2下部ホルダー用アーム及び前記第2下部ホルダーが昇降回動可能に装着され、
一対の前記第1下部ホルダー用アーム及び前記第2下部ホルダー用アームは、前記第1下部ホルダー用アームと前記第2下部ホルダー用アームの間に備えた伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを利用して前記下部ホルダー用支柱を基点に平面視扇状に拡開、又は、縮閉できることを特徴とした、請求項4に記載のホルダー交換式バーチカルローダー。
【請求項8】
前記第1下部ブラケットには、伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを備え、前記ロッドの先端に前記第1下部ホルダー用アームを連結し、前記ロッドの伸縮動により前記第1下部ホルダー用アームは前記第1下部ブラケットを基点として回動させることができ、
前記第2下部ブラケットには、伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを備え、前記ロッドの先端に第2下部ホルダーを連結し、前記ロッドの伸縮動により前記第2下部ホルダー用アームは前記第2下部ブラケットを基点として回動させることができることを特徴とした、請求項5に記載のホルダー交換式バーチカルローダー。
【請求項9】
前記第1下部ブラケットには、伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを備え、前記ロッドの先端に前記第1下部ホルダー用アームを連結し、前記ロッドの伸縮動により前記第1下部ホルダー用アームは前記第1下部ブラケットを基点として回動させることができ、
前記第2下部ブラケットには、伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを備え、前記ロッドの先端に第2下部ホルダーを連結し、前記ロッドの伸縮動により前記第2下部ホルダー用アームは前記第2下部ブラケットを基点として回動させることができることを特徴とした、請求項6に記載のホルダー交換式バーチカルローダー。
【請求項10】
前記第1下部ブラケットには、伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを備え、前記ロッドの先端に前記第1下部ホルダー用アームを連結し、前記ロッドの伸縮動により前記第1下部ホルダー用アームは前記第1下部ブラケットを基点として回動させることができ、
前記第2下部ブラケットには、伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを備え、前記ロッドの先端に第2下部ホルダーを連結し、前記ロッドの伸縮動により前記第2下部ホルダー用アームは前記第2下部ブラケットを基点として回動させることができることを特徴とした、請求項7に記載のホルダー交換式バーチカルローダー。
【請求項11】
生タイヤの前記上部ビードを前記上部ホルダーの前記爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの前記下部ビードを前記下部ホルダーの前記爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項2に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法。
【請求項12】
生タイヤの前記上部ビードを前記上部ホルダーの前記爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの前記下部ビードを前記下部ホルダーの前記爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項3に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法。
【請求項13】
生タイヤの前記上部ビードを前記上部ホルダーの前記爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの前記下部ビードを前記下部ホルダーの前記爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項4に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法。
【請求項14】
生タイヤの前記上部ビードを前記上部ホルダーの前記爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの前記下部ビードを前記下部ホルダーの前記爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項5に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法。
【請求項15】
生タイヤの前記上部ビードを前記上部ホルダーの前記爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの前記下部ビードを前記下部ホルダーの前記爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項6に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法。
【請求項16】
生タイヤの前記上部ビードを前記上部ホルダーの前記爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの前記下部ビードを前記下部ホルダーの前記爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項7に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法。
【請求項17】
生タイヤの前記上部ビードを前記上部ホルダーの前記爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの前記下部ビードを前記下部ホルダーの前記爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項8に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法。
【請求項18】
生タイヤの前記上部ビードを前記上部ホルダーの前記爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの前記下部ビードを前記下部ホルダーの前記爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項9に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法。
【請求項19】
生タイヤの前記上部ビードを前記上部ホルダーの前記爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの前記下部ビードを前記下部ホルダーの前記爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項10に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの製造において未加硫タイヤ(生タイヤ)をタイヤ加硫用装置に供給するバーチカルローダー、より具体的には、生タイヤを加硫成形(製造)する際、生タイヤを把持離脱するホルダーを、タイヤのインチ毎に交換可能とするホルダー交換式バーチカルローダー及びこのバーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの製造工程、具体的には、未加硫の生タイヤの加硫成型は、ブラダーと呼ばれるゴム製の袋体を生タイヤの内面に挿入し、このブラダーに蒸気等を圧入して膨張させることで、加硫装置の加硫金型内に生タイヤを圧入成型(シェーピング)することによって行われている。生タイヤをシェーピングする場合には、加硫装置に生タイヤを供給する必要があるが、その際バーチカルローダーによって行われている。このバーチカルローダーは、生タイヤの上部ビードを把持して加硫装置に供給するものであるが、加硫する生タイヤのインチ(リム径)サイズが異なる場合、生タイヤの上部ビードを把持する爪等の構成物品の位置を生タイヤのサイズに合わせて変更する必要がある。このような生タイヤを把持する爪等の構成物品の位置を変更する文献として特許文献1や特許文献2が存在する。
【0003】
特許文献1では、タイヤ把持具が、一端にシューが固定され、かつ半径方向に滑動可能な複数のラックと、該各ラックと噛合うピニオンと、該ピニオンと同軸に固定されたチェーンホイールと、該チェーンホイールに掛け渡されたチェーンと、前記ラックの内の1本を半径方向に移動させる駆動手段とをそれぞれ備えている。すなわち、各シューをピニオン・ラック機構のラックの一端に取付け、各ピニオン軸に取付けたチェーンホイールにチェーンを掛け渡して、各シューのピッチ円の拡縮移動を同期させる構成としている。これにより、処理タイヤのサイズ変更への対応が簡単かつ短時間で実施できる。
【0004】
特許文献2は、受台に横積された生タイヤを掴み持って、加硫機等に装填するための生タイヤの掴み装置で、生タイヤのビード部を掴む開閉自在なフック爪を有するチャック機構を備えている。このチャック機構は、支持軸19の下部に支持円板20を備え、該支持円板20の下面に、等角度間隔の8箇所にブラケツトリング21でガイド軸22,…,22を支承すると共に、該ガイド軸22,…,22にスライドボス33,…,33を介してフック爪23,…,23を放射方向に滑動自在に支持する一方、該フック爪23,…,23に枢着したローラ軸24,…,24を、支持円板20とブラケツトリング21との間に回転自在に配置したカム円板25の傾斜カム溝26,…,26に嵌合して、上記支持円板20の上面にピン27で枢着した開閉用シリンダ28のピストンロツド29を、長溝30を介してカム円板25に固定した調節部材31にピンで連結する構造である。そして、生タイヤ1のビード部1aのサイズが12インチであれば、開閉用シリンダ28のピストンロッド29を調節部材31の連結孔34aにピン32で連結し、13インチであれば連結孔34bに連結し、14インチであれば連結孔34cに連結するだけで、開閉用シリンダ28の開方向のストロークを調節できる。
【0005】
【文献】特開平10-315239号公報
【文献】実開昭58-18724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係る発明では、タイヤを把持するタイヤ把持具は着脱自在の構成ではないため、生タイヤを把持する場合、生タイヤのインチサイズに合わせて爪の位置を可変(リム径調整作業)する必要があるため、作業が煩雑化する場合がある。
【0007】
特許文献2に係る発明では、生タイヤのビード部を掴む開閉自在なフック爪を有するチャック機構は着脱自在の構成ではないため、生タイヤを把持する場合、生タイヤのインチサイズに合わせて爪の位置を可変(リム径調整作業)する必要があるため、作業が煩雑化する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、生タイヤを加硫成形する際、従来のような生タイヤのインチサイズに合わせて爪等を伸縮調整して生タイヤを把持離脱する構造を採用せず、生タイヤを把持離脱するホルダー自体をタイヤのインチのサイズに合わせて交換することができることを特徴とした、ホルダー交換式バーチカルローダー及びこのバーチカルローダーを使用する方法を提供する。
【0009】
請求項1の発明は、生タイヤの上部ビードを爪によって把持離脱する円環状の上部ホルダーと、上部ホルダー用支柱に沿って上部ホルダーを昇降回動させる上部ホルダー用アームと、を備えたバーチカルローダーであって、
上部ホルダーに備えた第一着脱部材と、上部ホルダー用アームに備えた第二着脱部材と、が挿入又は脱離されることによって、生タイヤのインチ(リム径)サイズに合わせて上部ホルダーが上部ホルダー用アームから着脱自在とすることを特徴とした、ホルダー交換式バーチカルローダーである。
【0010】
請求項2の発明は、生タイヤの下部ビードを爪によって把持離脱する円環状の下部ホルダーと、下部ホルダー用支柱に沿って下部ホルダーを昇降回動させる下部ホルダー用アームと、をさらに備えたバーチカルローダーであって、
下部ホルダーに備えた第一着脱部材と、下部ホルダー用アームに備えた第二着脱部材と、が挿入又は脱離されることによって、生タイヤのインチ(リム径)サイズに合わせて下部ホルダーが下部ホルダー用アームから着脱自在とすることを特徴とした、請求項1に記載のホルダー交換式バーチカルローダーである。
【0011】
請求項3の発明は、上部ホルダー及び下部ホルダーは、非傾斜放射状に複数のスライド溝が穿設され、内側に溝を備えた爪スライド用盤と、傾斜放射状に複数のガイド溝が穿設され、溝内で回動自在となる爪開閉用盤と、を備え、
爪スライド用盤には、伸縮動するロッドが装着された複数のシリンダーを備え、
各シリンダーの各ロッドの先端に装着した各爪が、爪スライド用盤のスライド溝、爪開閉用盤のガイド溝の軸方向に挿通し、
各ロッドの伸縮動に伴い各爪も、爪スライド用盤のスライド溝内、爪開閉用盤のガイド溝内を往復動し、爪の往復動に伴い爪開閉用盤が回動し、回動する爪開閉用盤により各爪の動きの均等化を図ることを特徴とした、請求項2に記載のホルダー交換式バーチカルローダーである。
【0012】
請求項4の発明は、上部ホルダー及び下部ホルダーは、さらに、非傾斜放射状に複数のスライド溝が穿設され、爪スライド用盤を開放側から封止する爪開閉用盤押え盤と、を備え、
各シリンダーの各ロッドの先端に装着した各爪が、爪スライド用盤のスライド溝、爪開閉用盤のガイド溝、爪開閉用盤押え盤のスライド溝の軸方向に挿通し、各ロッドの伸縮動に伴い各爪も、爪スライド用盤のスライド溝内、爪開閉用盤のガイド溝内、爪開閉用盤押え盤のスライド溝内を往復動し、爪の往復動に伴い爪開閉用盤が回動し、回動する爪開閉用盤により各爪の動きの均等化を図ることを特徴とした、請求項3に記載のホルダー交換式バーチカルローダーである。
【0013】
請求項5の発明は、下部ホルダーは、縦方向に分離結合可能な一対の第1下部ホルダー及び第2下部ホルダーで構成され、下部ホルダー用アームは、一対の第1下部ホルダー用アーム及び第2下部ホルダー用アームで構成され、下部ホルダー用支柱には、第1下部ブラケットを介して第1下部ホルダー用アーム及び第1下部ホルダーが昇降回動可能に装着され、第2下部ブラケットを介して第2下部ホルダー用アーム及び第2下部ホルダーが昇降回動可能に装着され、一対の第1下部ホルダー用アーム及び第2下部ホルダー用アームは、第1下部ホルダー用アームと第2下部ホルダー用アームの間に備えた伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを利用して下部ホルダー用支柱を基点に平面視扇状に拡開、又は、縮閉できることを特徴とした、請求項2に記載のホルダー交換式バーチカルローダーである。
【0014】
請求項6の発明は、下部ホルダーは、縦方向に分離結合可能な一対の第1下部ホルダー及び第2下部ホルダーで構成され、下部ホルダー用アームは、一対の第1下部ホルダー用アーム及び第2下部ホルダー用アームで構成され、下部ホルダー用支柱には、第1下部ブラケットを介して第1下部ホルダー用アーム及び第1下部ホルダーが昇降回動可能に装着され、第2下部ブラケットを介して第2下部ホルダー用アーム及び第2下部ホルダーが昇降回動可能に装着され、一対の第1下部ホルダー用アーム及び第2下部ホルダー用アームは、第1下部ホルダー用アームと第2下部ホルダー用アームの間に備えた伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを利用して下部ホルダー用支柱を基点に平面視扇状に拡開、又は、縮閉できることを特徴とした、請求項3に記載のホルダー交換式バーチカルローダーである。
【0015】
請求項7の発明は、下部ホルダーは、縦方向に分離結合可能な一対の第1下部ホルダー及び第2下部ホルダーで構成され、下部ホルダー用アームは、一対の第1下部ホルダー用アーム及び第2下部ホルダー用アームで構成され、下部ホルダー用支柱には、第1下部ブラケットを介して第1下部ホルダー用アーム及び第1下部ホルダーが昇降回動可能に装着され、第2下部ブラケットを介して第2下部ホルダー用アーム及び第2下部ホルダーが昇降回動可能に装着され、一対の第1下部ホルダー用アーム及び第2下部ホルダー用アームは、第1下部ホルダー用アームと第2下部ホルダー用アームの間に備えた伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを利用して下部ホルダー用支柱を基点に平面視扇状に拡開、又は、縮閉できることを特徴とした、請求項4に記載のホルダー交換式バーチカルローダーである。
【0016】
請求項8の発明は、第1下部ブラケットには、伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを備え、ロッドの先端に第1下部ホルダー用アームを連結し、ロッドの伸縮動により第1下部ホルダー用アームは第1下部ブラケットを基点として回動させることができ、第2下部ブラケットには、伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを備え、ロッドの先端に第2下部ホルダーを連結し、ロッドの伸縮動により第2下部ホルダー用アームは第2下部ブラケットを基点として回動させることができることを特徴とした、請求項5に記載のホルダー交換式バーチカルローダーである。
【0017】
請求項9の発明は、第1下部ブラケットには、伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを備え、ロッドの先端に第1下部ホルダー用アームを連結し、ロッドの伸縮動により第1下部ホルダー用アームは第1下部ブラケットを基点として回動させることができ、第2下部ブラケットには、伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを備え、ロッドの先端に第2下部ホルダーを連結し、ロッドの伸縮動により第2下部ホルダー用アームは第2下部ブラケットを基点として回動させることができることを特徴とした、請求項6に記載のホルダー交換式バーチカルローダーである。
【0018】
請求項10の発明は、第1下部ブラケットには、伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを備え、ロッドの先端に第1下部ホルダー用アームを連結し、ロッドの伸縮動により第1下部ホルダー用アームは第1下部ブラケットを基点として回動させることができ、第2下部ブラケットには、伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを備え、ロッドの先端に第2下部ホルダーを連結し、ロッドの伸縮動により第2下部ホルダー用アームは第2下部ブラケットを基点として回動させることができることを特徴とした、請求項7に記載のホルダー交換式バーチカルローダーである。
【0019】
請求項11の発明は、生タイヤの上部ビードを上部ホルダーの爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの下部ビードを下部ホルダーの爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項2に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法である。
【0020】
請求項12の発明は、生タイヤの上部ビードを上部ホルダーの爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの下部ビードを下部ホルダーの爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項3に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法である。
【0021】
請求項13の発明は、生タイヤの上部ビードを上部ホルダーの爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの下部ビードを下部ホルダーの爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項4に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法である。
【0022】
請求項14の発明は、生タイヤの上部ビードを上部ホルダーの爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの下部ビードを下部ホルダーの爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項5に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法である。
【0023】
請求項15の発明は、生タイヤの上部ビードを上部ホルダーの爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの下部ビードを下部ホルダーの爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項6に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法である。
【0024】
請求項16の発明は、生タイヤの上部ビードを上部ホルダーの爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの下部ビードを下部ホルダーの爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項7に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法である。
【0025】
請求項17の発明は、生タイヤの上部ビードを上部ホルダーの爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの下部ビードを下部ホルダーの爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項8に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法である。
【0026】
請求項18の発明は、生タイヤの上部ビードを上部ホルダーの爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの下部ビードを下部ホルダーの爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項9に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法である。
【0027】
請求項19の発明は、生タイヤの上部ビードを上部ホルダーの爪によって把持しながら及び/又は生タイヤの下部ビードを下部ホルダーの爪によって把持しながらシェーピングを行うことを特徴とした、請求項10に記載のホルダー交換式バーチカルローダーを使用した生タイヤシェーピング方法である。
【発明の効果】
【0028】
請求項1の発明によれば、生タイヤのインチ(リム径)サイズに合わせた上部ホルダー自体が着脱自在で、容易に交換することができるため、生タイヤのインチサイズに合わせて爪の位置を可変(リム径調整作業)する必要がなく、作業が簡素化される。また、バーチカルローダー自体の軽量化、材料費の削減、取扱性の向上を図ることができる。
【0029】
請求項2の発明によれば、生タイヤのインチ(リム径)サイズに合わせた上部ホルダー自体及び下部ホルダー自体が着脱自在で、ワンタッチで容易に交換することができるため、生タイヤのインチサイズに合わせて爪の位置を可変(リム径調整作業)する必要がなく、作業が簡素化される。また、バーチカルローダー自体の軽量化、材料費の削減、取扱性の向上を図ることができる。
【0030】
請求項3及び請求項4の発明によれば、シリンダーロッドの伸縮動にばらつきがあったとしても、爪開閉用盤により各爪の動きが制御され、各爪が均等に往復動することとなり、生タイヤのビード部を均等に把持離脱することができる。
【0031】
請求項5~請求項7の発明によれば、生タイヤのシェーピング後、下部ホルダーが元の位置に帰還する際にタイヤに当接することなく上昇することができる。
【0032】
請求項8~請求項10の発明によれば、生タイヤのシェーピング後、下部ホルダーが元の位置に帰還する際に加硫機、金型等に当接することなく上昇することができる。
【0033】
請求項11から請求項19の発明によれば、生タイヤの上部ビードを上部ホルダーの爪で把持し、また、生タイヤの下部ビードを上部ホルダーの爪で把持した状態でシェーピングを行うため、シェーピング時の生タイヤの動きによる金型とブラダーとのズレが大幅に減少できることから、タイヤの品質向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】ホルダー交換式バーチカルローダーの主要部分の一部透視した側面図である。
図2】上部ホルダーの平面図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4】上部ホルダーの分解平面図である。a―1は爪スライド用盤の平面図、a―2は爪開閉用盤の平面図、a―3は爪開閉用盤押え盤の平面図である。b―1はa―1のX-X断面図、b―2はa―2のY-Y断面図、b―3はa―3のZ-Z断面図である。
図5】下部ホルダーの平面図である。
図6図5のA-A断面図である。
図7】下部ホルダーの分解平面図である。a―1は爪スライド用盤の平面図、a―2は爪開閉用盤の平面図、a―3は爪開閉用盤押え盤の平面図である。b―1はa―1のX-X断面図、b―2はa―2のY-Y断面図、b―3はa―3のZ-Z断面図である。
図8】上部ホルダーと上部ホルダー用アームとの接続前の状態を表した一部透視した側面図である
図9】上部ホルダー用支柱に挿通された上部ホルダー用アームの正面図である。
図10】下部ホルダーと下部ホルダー用アームとの接続前の状態を表した一部透視した側面図である
図11】下部ホルダーと下部ホルダー用アームとの接続構造を表した平面図である。
図12】下部ホルダーと下部ホルダー用アームとの接続構造を表した一部透視した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明はホルダー交換式バーチカルローダー1及びこのホルダー交換式バーチカルローダー1を使用した生タイヤTのシェーピング方法である。以下、まず、ホルダー交換式バーチカルローダー1について、次に、このホルダー交換式バーチカルローダー1を使用したシェーピング方法について、各図に基づいて実施形態を説明する。
【0036】
周知のとおりバーチカルローダーは、タイヤの製造において未加硫タイヤ(生タイヤT)をタイヤ加硫用装置(加硫金型内)に供給するための装置である。一般的なタイヤ加硫用装置の構成としては、主に、ゴム袋状のブラダーBL、タイヤ軸方向に延びるセンターポストCP、ブラダーBLの上端部を把持する上部クランプとブラダーBLの下端部を把持する下部クランプで支持されるブラダーBLの長手方向の高さ調整及び上昇下降を中心機構によって行うブラダー調整装置、ブラダーBL内に流体を供給する供給手段(不図示)と、加硫機の下金型に固定されている下部ビードリング(不図示)及び加硫機の上金型に固定されている上部ビードリング(不図示)と、を備えている。なお、タイヤ加硫用装置は、スタンディングポスト方式のものを想定しているが、他の方式(バグウェル方式、ローリング方式等)であってもよい。
【0037】
本発明のホルダー交換式バーチカルローダー1は、生タイヤTのインチ(リム径)サイズに合わせた上部ホルダー7や下部ホルダー57をワンタッチで交換することができることをその特徴の一つとしている。
【0038】
本発明に係るホルダー交換式バーチカルローダー1の主な構成物品としては、図1で図示するように、生タイヤTの上部ビードTBを爪92によって把持離脱する円環状の上部ホルダー7、上部ホルダー用支柱3に沿って上部ホルダー7を昇降回動させる上部ホルダー用アーム5、生タイヤTの下部ビードBBを爪92によって把持離脱する円環状の下部ホルダー57、下部ホルダー用支柱53に沿って下部ホルダー57を昇降回動させる下部ホルダー用アーム55とを備えている。このような構成から本発明は、ホルダー交換式、すなわち、生タイヤTのインチ(リム径)サイズに合わせた上部ホルダー7を上部ホルダー用アーム5から着脱自在で交換でき、また、下部ホルダー57を下部ホルダー用アーム55から着脱自在に交換できるものである。
【0039】
上部ホルダー7は、生タイヤTの上部ビードTBを把持離脱するものであるため、上部ビードTBに沿うような一定の円弧状に形成されており、ブラダーBLが挿通される穴7aが穿設されている(図2等参照)。
【0040】
上部ホルダー7は主に3つの部材で構成されている。具体的には、縦断面略門型の環状で形成された爪スライド用盤10、この爪スライド用盤10の内側の溝12内で回動自在となる爪開閉用盤20、そして、爪スライド用盤10を開放側から封止する爪開閉用盤押え盤30が組み合わさって1つの上部ホルダー7を構成している(図3図4参照)。なお、爪スライド用盤10と爪開閉用盤20と爪開閉用盤押え盤30の3つの部材で上部ホルダー7を構成する実施形態の他、後述するように爪スライド用盤10と爪開閉用盤20の2つの部材で上部ホルダー7を構成する実施形態も考えられるが、以下主に3つの部材で上部ホルダー7を構成する実施形態について説明する。2つの部材で上部ホルダー7を構成する実施形態の爪スライド用盤10、爪開閉用盤20は、3つの部材で上部ホルダー7を構成する実施形態の爪スライド用盤10、爪開閉用盤20とは、それぞれ構造が相違する部分がある。
【0041】
上部ホルダー7を構成する3つの部材の組合せに関しては、爪開閉用盤押え盤30で爪スライド用盤10を封止すると、爪スライド用盤10の内側の溝12と爪開閉用盤押え盤30との間にクリアランス8ができるが、このクリアランス8に爪開閉用盤20が回動自在に配置される(図3参照)。
【0042】
爪スライド用盤10は、ブラダーBLが挿通される穴10aが穿設された縦断面略門型(図4のa―1のX-X断面であるb―1参照)の環状である。内側に溝12を備えた門型の環状で形成されているため、一対の環状の柱部13、13と一対の柱部13、13に架設する環状の梁部14で構成される。
【0043】
環状の梁部14には、生タイヤTの上部ビードTBを把持離脱する爪92が移動するための長穴状の複数のスライド溝15が爪スライド用盤10の中心方向に向けて等間隔で穿設されている。換言すると、爪スライド用盤10(環状の梁部14)上には、非傾斜放射状に長穴状のスライド溝15が複数穿設されている。このスライド溝15は、生タイヤTの上部ビードTBを把持離脱する爪92の数に合わせて形成される。平面視した状態の上部ホルダー7の図4のa―1では、スライド溝15は一例として8個穿設されているが、6個でもよいことは勿論である。
【0044】
爪スライド用盤10の一対の環状の柱部13、13の底面13aには、爪開閉用盤押え盤30を取り付けるためのボルト締結用の雌ネジ溝が螺刻された雌ネジ孔13bが穿設している(図4のb―1参照)。この雌ネジ孔13bは、各スライド溝15との間に等間隔に穿設するのが望ましい。
【0045】
爪開閉用盤20は、ブラダーBLが挿通される穴20aが穿設された環状部材である(図4のa―2参照)。換言すると、中央に穴20aが穿設された円盤状の部材である。
【0046】
図4のa―2で図示したとおり、爪スライド用盤10の内側の溝12と爪開閉用盤押え盤30との間のクリアランス8に回動自在に配置されるものである爪開閉用盤20には、爪92が可動するための長穴状のガイド溝25が等間隔で複数穿設されている。換言すると、爪開閉用盤20上には、傾斜放射状に長穴状のガイド溝25が複数穿設されている。このガイド溝25は、爪スライド用盤10のスライド溝15と同様に、生タイヤTの上部ビードTBを把持離脱する爪92の数に合わせて形成され、爪スライド用盤10のスライド溝15と略同形状である。
【0047】
爪開閉用盤20に穿設された複数のガイド溝25は爪スライド用盤10のスライド溝15と同数以上となる。平面視した状態の爪開閉用盤20の図4のa―2ではガイド溝25は、爪スライド用盤10のスライド溝15と同数の8個穿設されている。
【0048】
ガイド溝25は、爪開閉用盤20の中心に対して傾斜して穿設されている。したがって、爪スライド用盤10の内側の溝12に爪開閉用盤20を配置した場合、爪スライド用盤10のスライド溝15と爪開閉用盤20のガイド溝25が一部においては重合するが、その全てが重合することはない(図2参照)。
【0049】
爪開閉用盤押え盤30も爪開閉用盤20と同様に、ブラダーBLが挿通される穴30aが穿設された環状部材である(図4のa―3参照)。換言すると、中央に穴30aが穿設された円盤状の部材である。
【0050】
爪開閉用盤押え盤30には、生タイヤTの上部ビードTBを把持離脱する爪92が移動するための長穴状の複数のスライド溝35が爪開閉用盤押え盤30の中心方向に向けて等間隔で穿設されている。換言すると、爪開閉用盤押え盤30上には、非傾斜放射状に長穴状のスライド溝35が複数穿設されている。このスライド溝35も、生タイヤTの上部ビードTBを把持離脱する爪92の数に合わせて形成される。平面視した状態の爪開閉用盤押え盤30の図4のc―1ではスライド溝は8個穿設されている。爪スライド用盤10のスライド溝15や爪開閉用盤20のガイド溝25と略同形状である。
【0051】
爪開閉用盤押え盤30には、爪スライド用盤10に取り付けるためのボルト用の通し孔33を穿設している。ボルト用の通し孔33は、爪スライド用盤10の雌ネジ孔13bと相対する位置に穿設する。
【0052】
爪スライド用盤10と爪開閉用盤押え盤30は、爪スライド用盤10のスライド溝15と爪開閉用盤押え盤30のスライド溝35が重合するようにしてボルト140等の締結具によって締結する。なお、爪開閉用盤押え盤30の外径と爪スライド用盤10の外径は略同径が望ましく、また、爪スライド用盤10の幅W2と爪開閉用盤押え盤30の幅W2は略同じが望ましい(図4のa―1及びa―3の幅W2参照)。
【0053】
図3では、爪スライド用盤10の一対の環状の柱部13、13との間内(溝12)、即ち、幅W1に爪開閉用盤20が収まり、爪スライド用盤10と爪開閉用盤押え盤30がボルト140等の締結具によって固定された状態を図示している。各溝15、25、35に関しては上述のとおり、爪スライド用盤10のスライド溝15と爪開閉用盤押え盤30のスライド溝35は先端9aから後端9zにかけて完全に重合するが、その間の爪開閉用盤20のガイド溝25は、爪スライド用盤10のスライド溝15や爪開閉用盤押え盤30のスライド溝35と完全には重合しない状態(一部重合状態となっているが)となっている。
【0054】
生タイヤTの上部ビードTBを把持離脱する爪92を往復動させ、これにより、爪スライド用盤10の内側の溝12と爪開閉用盤押え盤との間のクリアランス8に配置されている爪開閉用盤20を回動(押動)させるシリンダー90について説明する。
【0055】
この伸縮動するロッド91が装着されたシリンダー90は、複動片ロッド式で、作動流体に圧縮空気を使用するエアー駆動式で、シリンダー90のロッド91のストロークは約40mmから50mmで、小型軽量(約500グラム)のものが望ましい。
【0056】
そして、ロッド91の先端に爪92を装着している。爪92の先端側には切欠き92aが備えられており、この切欠き92a等を利用して生タイヤTの上部ビードTBを把持離脱する(図3参照)。そして、上部ホルダー7を構成する爪スライド用盤10の適所(スライド溝15の後端9z側の外周面等)にシリンダー90を備え、ロッド91が伸縮動することにより爪92も往復動する。
【0057】
ロッド91の先端に装着した爪92は、上から順に、爪スライド用盤10のスライド溝15、爪開閉用盤20のガイド溝25、爪開閉用盤押え盤30のスライド溝35の軸方向に挿通(連挿)する形で配置されている。そして、ロッド91の伸縮に伴い爪92が、爪スライド用盤10のスライド溝15内、爪開閉用盤20のガイド溝25内、爪開閉用盤押え盤30のスライド溝35内を長手方向に往復動する。そして、爪92の往復動に伴い、固定されていないフリーの状態の爪開閉用盤20が爪92によって押動され、爪スライド用盤10の内側の溝12と爪開閉用盤押え盤30との間のクリアランス28で回動する。
【0058】
すなわち、スライド溝15、35同士が重合する爪スライド用盤10と爪開閉用盤押え盤30は一体固定されているが、爪スライド用盤10と爪開閉用盤押え盤30の間に配置されている爪開閉用盤20は、回動自在となっている。そして、回動しない固定側の爪スライド用盤10のスライド溝15や爪開閉用盤押え盤30のスライド溝35は、爪スライド用盤10や爪開閉用盤押え盤30に対して中心方向に向かって穿設されているが、回動側の爪開閉用盤20のガイド溝25は、爪開閉用盤20の中心方向に対して傾斜方向に穿設されているため、爪92の往復動に伴い、爪開閉用盤20が押動され回動することとなる。
【0059】
具体的には、シリンダー90内にエアーが圧入されることによるロッド91の伸動により爪92が往動し、これにより爪開閉用盤20が時計回りに押動(回動)され、また、ロッド91の縮動により爪92が復動し、これにより爪開閉用盤20が反時計回りに回動(回動)する(図2の矢印参照)。なお、不図示のエアーポンプから圧縮空気がシリンダー90内に圧入されることによりロッド91が伸縮動するが、エアーポンプからの圧縮空気は、上部ホルダー用アーム5の流路5bから上部ホルダー7の流路7bを通ってシリンダー90に圧入される(図8参照)。下部ホルダー57の場合も同様に、エアーポンプからの圧縮空気は、第2下部ホルダー用アーム55bの流路55cから第2下部ホルダー57a2の流路57cを通ってシリンダー90に圧入される(図10参照)。また、第1下部ホルダー用アーム55aの流路(不図示)から第2下部ホルダー57a2の流路(不図示)を通ってシリンダー90に圧入される。
【0060】
各シリンダー90はそれぞれ別体であるため、各ロッド91の動きも別となる。仮にロッド91の伸縮動にばらつきがあったとしても、爪開閉用盤20により爪92の動きが制御され、各爪92が均等に伸縮することとなり、生タイヤTの上部ビードTBを均等に把持離脱することができる。すなわち、回動可能な爪開閉用盤20により各爪92の動きの均等化を図ることができる。
【0061】
なお、各爪92は、スライド溝15、ガイド溝25、スライド溝35の各溝の先端9aと後端9zとの間限定で往復動するため、爪開閉用盤20も、各溝の先端9aから後端9z間の長さに相応する範囲限定で回動する。
【0062】
なお、上部ホルダー7を構成する爪スライド用盤10の適所(スライド溝15の後端9z側の外周面等)に備えるこのシリンダー90は、ロッド91に装着された爪92を、爪スライド用盤10の各スライド溝15、爪開閉用盤20の各ガイド溝25、爪開閉用盤押え盤30の各スライド溝35内で往復動させるものであるため、各溝の数に相応すべく複数個備えられていることは勿論である。
【0063】
上部ホルダー7は、上部ホルダー用アーム5にワンタッチで着脱自在とするものである。上部ホルダー用アーム5と上部ホルダー7との着脱構造としては、周知のカプラ方式等を採用することが望ましいが、その他、周知の種々の着脱構造を適宜採用してもよい。
【0064】
ここでは、上部ホルダー7と上部ホルダー用アーム5の接続構造の一例として、カプラを利用した着脱構造について説明する(図8参照)。
【0065】
カプラは、プラグとソケットに大別されるが、本実施形態ではプラグは第一脱着部材110とし、ソケットは第二脱着部材120として説明し、第一脱着部材110と、第二脱着部材120と、が挿入又は脱離されることによって上部ホルダー用アーム5に上部ホルダー7を着脱自在とする。また、上部ホルダー7はその外周面から第一脱着部材110が突設し、この第一脱着部材110を介して上部ホルダー用アーム5側の第二脱着部材120に接続される例、すなわち、上部ホルダー7が挿入する側で、上部ホルダー用アーム5が挿入される側として説明しているが、上部ホルダー用アーム5が挿入する側で、上部ホルダー7が挿入される側であってもよい。
【0066】
第二脱着部材120に挿入する第一脱着部材110は、第一脱着部材本体113と、第一脱着部材本体113の先端から突設する突部117で構成される。また、第一脱着部材本体113には、外周の長手方向(挿入方向)に案内部115を備える。
【0067】
第一脱着部材110が挿入される第二脱着部材120は、第一脱着部材本体113の先端の突部117が挿入される第1穴部121が穿設された第二脱着部材本体123と、第二脱着部材本体123の先端に接続される第2穴部132が穿設された筒体130とで構成され、ボルト140等の締結具で第二脱着部材本体123と筒体130が接続される。
【0068】
第二脱着部材本体123と筒体130の接続構造の一例について説明する。第二脱着部材本体123の先端側の外周にはフランジ127が備えられている。また、筒体130の後端側の外周にはフランジ137が備えられている。そして、両フランジ123、137には、それぞれボルト140挿通用の穴127a、137aが穿設されており、両穴127a、137aにボルト140を挿通し、ナット141を利用して第二脱着部材本体123と筒体130を接続する。締結する数は問わないが、3か所位で締結するのが望ましい。
【0069】
筒体130は、文字通り貫通穴である第1穴部121が穿設された筒状の部材であり、内周の長手方向(挿入方向)には、第一脱着部材本体113の外周の長手方向(挿入方向)に備えた案内部115が嵌入される案内溝135を備えている。なお、第二脱着部材本体123は、本願発明では、上部ホルダー用アーム5の先端側に備えられている。
【0070】
このように、第二脱着部材120は、第一脱着部材110の第一脱着部材本体113が挿入される第2穴部132(筒体130)、第一脱着部材110の突部117が挿入される第1穴部121(上部ホルダー用アーム5)で構成されており、内径がそれぞれ相違する第1穴部121と第2穴部132が連通している。なお、筒体130を使用しない構成であってもよい。すなわち、第一脱着部材110の第一脱着部材本体113が挿入される第2穴部132及び第一脱着部材110の突部117が挿入される第1穴部121が上部ホルダー用アーム5に穿設される構成であってもよい。
【0071】
上部ホルダー7のセンターCT1と加硫機のセンターポストCPとのセンターCT2は同一になる様設計する必要があるが、上部ホルダー用アーム5自体が全インチ共用(仮に12インチ~19インチ)とした時は、上部ホルダー7から突設する第一脱着部材110の長さL1を長短することで上部ホルダー7のセンターCT1と加硫機のセンターポストCPとのセンターCT2を同一とすることとなる。具体的には、第一脱着部材本体113の長手方向の長さL1を調節することによって行われる。したがって、第一脱着部材本体113の長手方向の長さL1は、生タイヤTのインチ(リム径)サイズによって相違することとなる。
【0072】
上部ホルダー用アーム5と接続する為の上部ホルダー7の第一脱着部材110の長さとしては12インチ用が最も長く、1インチアップする毎に12.7mm短くなり、故に19インチ用では12インチ用対比、長さL1を87.5mm短くし上部ホルダー7のセンターCT1と加硫機のセンターポストCPとのセンターCT2が同一になる様設計される。すなわち、上部ホルダー7の軸心(センターCT1)の位置とセンターポストCPのセンターCT2の位置を合わせる必要があるため、上部ホルダー用アーム5自体の長さが一定の場合、上部ホルダー7の第一脱着部材本体113の長さL1を生タイヤTのインチ(リム径)サイズに合わせて適宜設計変更(長短)することとなる。
【0073】
第一脱着部材本体113の外周の長手方向に備えられた案内部115は、上部ホルダー用アーム5に対する上部ホルダー7の回転を防止することを目的とするものであるため、この目的を達成することができれば、長さL2は生タイヤTのインチ(リム径)サイズによって相違することなく、共通の長さとしてもよい。
【0074】
上部ホルダー用支柱3には、上部ブラケット5aを介して上部ホルダー用アーム5が昇降回動可能に装着される。すなわち、上部ホルダー用支柱3に上部ブラケット5aが昇降回動自在に挿通され、上部ブラケット5aに上部ホルダー用アーム5が固定され、この上部ホルダー用アーム5に上部ホルダー7が着脱自在に接続される。
【0075】
本発明に係るホルダー交換式バーチカルローダー1は、上部ホルダー7を交換式とする構成に加え、下部ホルダー57についても交換式とする構成としている。
【0076】
この下部ホルダー57は、生タイヤTの下部ビードBBを把持離脱するものであり、基本的には、上部ホルダー7と同様の構成を採用している。よって、縦断面略門型の環状で形成された爪スライド用盤60、爪スライド用盤60と爪開閉用盤押え盤80のクリアランス58内で回動自在となる爪開閉用盤70、爪スライド用盤60を下方から封止する爪開閉用盤押え盤80の3つの部材が組み合わさって1つの下部ホルダー57を構成している実施形態の他、爪スライド用盤60と爪開閉用盤70の2つの部材で下部ホルダー57を構成する実施形態も考えられる。そして、接続構造によって、下部ホルダー57が下部ホルダー用アーム55にワンタッチで着脱自在とするものである。上部ホルダー7と同様に構成についての説明や図面は割愛する場合がある。
【0077】
下部ホルダー57が上部ホルダー7と相違する点としては、上部ホルダー7自体縦方向に分離できない一体の構成であるのに対し、下部ホルダー57は下部ホルダー57自体縦方向に分離結合可能な構成である点である。下部ホルダー57を縦方向に2分割、望ましくは均等分割できることによって、一対である第1下部ホルダー57a1及び第2下部ホルダー57a2に分けることができる。図5で図示したように、第一脱着部材110と第一脱着部材110の間から分離することができる。
【0078】
このように、下部ホルダー57が分離結合可能な構成であるため、下部ホルダー57を構成する構成物品、下部ホルダー57を支える構成物品についても一対の構成となる(図7等参照)。
【0079】
したがって、下部ホルダー57を構成する構成物品である、爪スライド用盤60、爪開閉用盤70、爪開閉用盤押え盤80も、それぞれ分離結合可能な一対の構成物品で構成されている。具体的には、爪スライド用盤60は第1爪スライド用盤60a1及び第2爪スライド用盤60a2で、爪開閉用盤70は第1爪開閉用盤70a1及び第2爪開閉用盤70a2で、爪開閉用盤押え盤80は第1爪開閉用押え盤80a1及び第2爪開閉用抑え盤80a2で構成される。図7にあるように、分離結合線SBを境に分離され、また、結合される。
【0080】
また、下部ホルダー57を支える下部ホルダー用アーム55も一対で構成される。具体的には、第1下部ホルダー57a1が装着される第1下部ホルダー用アーム55a、第2下部ホルダー57a2が装着される第2下部ホルダー用アーム55bである。
【0081】
下部ホルダー用支柱53には、下部ホルダー57用のブラケットを介して下部ホルダー用アーム55が装着される。この下部ホルダー57用のブラケットも一対で構成される。具体的には、第1下部ホルダー用アーム55aが固定される第1下部ブラケット55a1、第2下部ホルダー用アーム55bが固定される第2下部ブラケット55b1である(図11等参照)。
【0082】
以上のとおり、下部ホルダー用支柱53には、第1下部ブラケット55a1を介して第1下部ホルダー用アーム55a及び第1下部ホルダー57a1が昇降回動可能に装着され、第2下部ブラケット55b1を介して第2下部ホルダー用アーム55b及び第2下部ホルダー57a2が昇降回動可能に装着される。すなわち、下部ホルダー用支柱53に第1下部ブラケット55a1が昇降回動自在に挿通され、第1下部ブラケット55a1に第1下部ホルダー用アーム55aが固定され、この第1下部ホルダー用アーム55aに第1下部ホルダー57a1が着脱自在に接続される。また、下部ホルダー用支柱53に第2下部ブラケット55b1が昇降回動自在に挿通され、この第2下部ブラケット55b1に第2下部ホルダー用アーム55bが固定され、第2下部ホルダー用アーム55bに第2下部ホルダー57a2が着脱自在に接続される。
【0083】
第1下部ブラケット55a1は、軸方向に一対の挿筒部55a1a、55a1aと、これら一対の挿筒部55a1a、55a1aに架設される固定部55a1bとからなる(図12参照)。一対の挿筒部55a1a、55a1aを下部ホルダー用支柱53に挿通し、固定部55a1bに第1下部ホルダー用アーム55aが固定される。具体的には、固定部55a1bには支軸55a1cが突設し(図11参照)、この支軸55a1cにベアリング(不図示)を介して第1下部ホルダー用アーム55aが回動自在に固定されている。すなわち、第1下部ブラケット55a1の支軸55a1cを基点として第1下部ホルダー用アーム55aを回動させることができる。第2下部ブラケット55b1も同様に、軸方向に一対の挿筒部55b1a、55b1aと、これら一対の挿筒部55b1a、55b1aに架設される固定部55b1bとからなる。一対の挿筒部55b1a、55b1aを下部ホルダー用支柱53に挿通し、固定部55b1bに第2下部ホルダー用アーム55bが固定される。具体的には、固定部55b1bには支軸55b1cが突設し(図11参照)、この支軸55b1cにベアリング(不図示)を介して第2下部ホルダー用アーム55bが回動自在に固定されている。すなわち、第2下部ブラケット55b1の支軸55b1cを基点として第2下部ホルダー用アーム55bを回動させることができる。
【0084】
第1下部ブラケット55a1の固定部55a1bの長さと第2下部ブラケット55b1の固定部55b1bの長さを相違させることにより、第2下部ブラケット55b1の一対の挿筒部57a、57aの間に第1下部ブラケット55a1が配置できる。このような構成により、1本の下部ホルダー用支柱53に、第1下部ホルダー用アーム55aと第2下部ホルダー用アーム55bを併置させることができる(図12参照)。
【0085】
生タイヤTのシェーピング後、下部ホルダー57を上昇させることによって下部ホルダー57を元の位置に帰還するが、タイヤの外径よりも下部ホルダー57の内径のほうが小径であるため、下部ホルダー57を上昇させるためには、タイヤの外周に当接させないよう下部ホルダー57を分割(分離)してから上昇させる必要がある。具体的には、下記のような構成を採用する。
【0086】
下部ホルダー57を構成する第1下部ホルダー57a1と第2下部ホルダー57a2を分離させるためには、シリンダー93を使用するが、この伸縮動するロッド94が装着されたシリンダー93は、復動両ロッド式が望ましい。また、作動流体に圧縮空気を使用するエアー駆動式で、シリンダー93のロッド94のストロークは約40mmから50mmで、小型軽量(約500グラム)のものが望ましい。具体的には、一方のロッド94の先端を第1下部ブラケット55a1の固定部56a1bに連結し、他方のロッド94の先端を第2下部ブラケット55b1の固定部55b1bに連結し、両ロッド94、94の伸縮によって第1下部ホルダー57a1と第2下部ホルダー57a2を拡開又は縮閉させることができる。具体的には、第1下部ホルダー用アーム55aと第2下部ホルダー用アーム55bの間に備えた伸縮動するロッドが装着されたシリンダーを利用して、両ロッド94、94の伸動により、第1下部ホルダー57a1と第2下部ホルダー57a2が下部ホルダー用支柱53を基点として扇状に拡開し、又、両ロッド94、94の縮動により、第1下部ホルダー57a1と第2下部ホルダー57a2が下部ホルダー用支柱53を基点として縮閉し併置する(図11の矢印参照)。
【0087】
また、第1下部ホルダー57a1と第2下部ホルダー57a2を扇状に拡開したのみの状態で上昇しても、第1下部ホルダー57a1や第2下部ホルダー57a2の外周が金型や加硫機の構成部分に接触する場合があるため、第1下部ホルダー57a1と第2下部ホルダー57a2の外周が他の部材に当接させないよう、第1下部ホルダー57a1と第2下部ホルダー57a2を回動させてから上昇させる必要がある。具体的には、下記のような構成を採用する。
【0088】
下部ホルダー用アーム55を回動させるため、上部ホルダー7を構成する爪スライド用盤10や下部ホルダー57を構成する爪スライド用盤60に備えたシリンダー90と同様の復動片ロッド式のシリンダー95を利用することが望ましい。そして、具体的には、第1下部ブラケット55a1にシリンダー95を備え、ロッド96の先端に第1下部ホルダー用アーム55aを連結する。また、第2下部ホルダー用アーム55bを回動させるため、第2下部ブラケット55b1にシリンダー95を備え、ロッド96の先端に第2下部ホルダー用アーム55bを連結する。これら第1下部ホルダー用アーム55a、第2下部ホルダー用アーム55bの回動は、時計回りでも反時計回りでもよい。シリンダー95を備える位置によって回動する向きを変えることができるため、加硫機、金型等の形状、構造によって適宜選択することができる(図12の矢印参照)。
【0089】
次に、このホルダー交換式バーチカルローダー1を使用した生タイヤTのシェーピング方法について説明する。本発明のホルダー交換式バーチカルローダー1で、生タイヤ置台に載置されている生タイヤTを加硫機(金型)の所定位置にセットすることによって、その後、生タイヤTのシェーピングが行われる。
【0090】
上部ホルダー7及び下部ホルダー57の開始位置としては、加硫機前方に設置されている生タイヤ置台の上方となる。この位置で上部ホルダー7及び下部ホルダー57が待機することとなる。
【0091】
生タイヤ置台に載置された生タイヤTの上部ビードTBを上部ホルダー7の各爪92で把持する。具体的には、ロッド91の伸動に伴い、爪スライド用盤10のスライド溝15、爪開閉用盤20のガイド溝25、爪開閉用盤押え盤30のスライド溝35に連挿されている各爪92が、スライド溝15、ガイド溝25、スライド溝35の後端9zから先端9aにかけて爪開閉用盤20を押動しながら往動するが、先端9aに可動した各爪92によって生タイヤTの上部ビードTBを把持することができる。各シリンダー90の各ロッド91の伸動にばらつきがあったとしても爪開閉用盤20によって各爪92が均等に往動することとなり、生タイヤTの上部ビードTBを均等に把持離脱することができる。
【0092】
次に、下部ホルダー57で生タイヤTの下部ビードBBを把持するため、この生タイヤTを持ち上げる。具体的には、上部ホルダー用支柱3に沿って、生タイヤTを把持した上部ホルダー7が装着した上部ホルダー用アーム5を昇動させることによって生タイヤTを持ち上げることができる。
【0093】
下部ホルダー用支柱53に沿って、下部ホルダー57が装着した下部ホルダー用アーム55を昇動させ、生タイヤTの下部ビードBBを下部ホルダー57の各爪92で把持する。具体的には、ロッド94の伸動に伴い、爪スライド用盤60のスライド溝65、爪開閉用盤70のガイド溝75、爪開閉用盤押え盤80のスライド溝85に連挿されている各爪が、スライド溝65、ガイド溝75、スライド溝85の後端59zから先端59aにかけて爪開閉用盤70を押動しながら往動するが、先端59aに可動した各爪92によって生タイヤTの下部ビードBBを把持することができる。ここでも、各シリンダー90の各ロッド91の伸動にばらつきがあったとしても爪開閉用盤70によって各爪92が均等に往動することとなり、生タイヤTの下部ビードBBを均等に把持離脱することができる。
【0094】
そして、上部ホルダー7及び下部ホルダー57の各爪92で生タイヤTを把持した状態で、生タイヤTをシェーピング位置まで降下させる。具体的には、生タイヤTが降下することによって、生タイヤTの下部開口からブラダーBLや金型にセットされるが、ブラダーBLに対して適正な位置及び高さにセットされる必要がある。
【0095】
生タイヤTの上部ビードTBを上部ホルダー7の各爪92で把持した状態及び生タイヤTの下部ビードBBを下部ホルダー57の各爪92で把持した状態で生タイヤTをシェーピングする。これでシェーピングが完了する。
【0096】
シェーピング完了後は、下部ホルダー57の各爪92をタイヤから離脱させる。具体的には、ロッド91の縮動に伴い、爪スライド用盤60のスライド溝65、爪開閉用盤70のガイド溝75、爪開閉用盤押え盤80のスライド溝85に連挿されている各爪92が、スライド溝65、ガイド溝75、スライド溝85の先端59aから後端59zにかけて爪開閉用盤70を押動しながら可動するが、後端59zに可動した各爪92がタイヤの下部ビードBBから離脱する。
【0097】
次に、第1下部ホルダー用アーム55aと第2下部ホルダー用アーム55bの開き動作が行われる。すなわち、復動両ロッド式のシリンダー93の両ロッド94、94が伸動することによって第1下部ホルダー用アーム55aと第2下部ホルダー用アーム55bが下部ホルダー用支柱53を基点として扇状に拡開する。具体的には、一方のロッド94の伸動により第1下部ホルダー用アーム55aが時計回りに回動し、他方のロッド94の伸動により第2下部ホルダー用アーム55bが半時計回りに回動する(図11の矢印参照)。
【0098】
さらには第1下部ホルダー用アーム55aと第2下部ホルダー用アーム55bの回転動作が行われる。すなわち、復動片ロッド式のシリンダー95のロッド96の伸動により、第1下部ホルダー用アーム55aが第1下部ブラケット55a1の支軸55a1cを基点として半時計回り(又は時計回り)に回動する。また、復動片ロッド式のシリンダー95の伸動により第2下部ホルダー用アーム55bが、第2下部ブラケット55b1の支軸55b1cを基点として時計回り(又は反時計回り)に回動する(図12の矢印参照)。
【0099】
第1下部ホルダー57a1が接続された第1下部ホルダー用アーム55a及び第2下部ホルダー57a2が接続された第2下部ホルダー用アーム55bの開き動作及び回転動作により、第1下部ホルダー57a1と第2下部ホルダー57a2がタイヤの外周に当たらないようになるため、下部ホルダー用支柱53に沿って第1下部ホルダー57a1が接続された第1下部ホルダー用アーム55a及び第2下部ホルダー57a2が接続された第2下部ホルダー用アーム55bを上昇させることができ、下部ホルダー57が元の位置まで帰還する。
【0100】
そして、上部ホルダー7が上部ホルダー用支柱3に沿って上昇し、元の位置まで帰還する。
【0101】
以上のような本発明であるホルダー交換式バーチカルローダー1を使用した工程を経て、生タイヤTをシェーピングする。
【0102】
本発明は、生タイヤTの上部ビードTB及び下部ビードBBの両方を把持した状態でシェーピングが可能な事から、シェーピング時の生タイヤTの動きによる、金型(モールド)とブラダーBLとのズレに関して、従来のバーチカルローダーに比べて大幅に減少される。これにより、タイヤ品質の向上(ゲージバラツキ減少とユニフォミティーの向上)が図れる。この点も本願発明の大きな特徴の一つとしている。
【0103】
本発明は、生タイヤTの上部ビードTB及び下部ビードBBの両方を把持しながら精度良いシェーピング作業をする事を主目的とするが、従来のバーチカルローダー同様片持ち(生タイヤTの上部ビードTBのみ保持する上部ホルダー7のみ設置又は使用)状態でのシェーピングも可能である。よって、従来のバーチカルローダーとの置換が充分可能である。本発明であるホルダー交換式バーチカルローダー1が生タイヤTの上部ビードTBのみ保持する片持ちの場合であっても、当然に作業性やシェーピング性能(生タイヤTのモールドに対するセンター合わせ精度)も大幅に改善される。
【0104】
以上、各実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施形態に記載の技術、又は、その他の公知や周知の技術を組み合わせるようにしてもよい。
【0105】
上部ホルダー7は、爪スライド用盤10と爪開閉用盤20と開閉用盤押え盤30の3つの部材を備えた構成で、また、下部ホルダー57は、爪スライド用盤60と爪開閉用盤70と開閉用盤押え盤80の3つの部材を備えた構成で説明しているが、本発明の効果を奏すれば、爪スライド用盤10、60及び爪開閉用盤20、70の2つの部材でも上部ホルダー7及び下部ホルダー57を構成できる。図示しないが、上部ホルダー7においては、例えば、爪スライド用盤10の下方の内周面に環状の溝を形成し、爪スライド用盤10の内側に配置する爪開閉用盤20を下端開放の円筒状とし、爪スライド用盤10の環状の溝に爪開閉用盤20の下端を摺動自在に配置することによって、爪スライド用盤10の環状凹溝内において爪開閉用盤20が回動させる実施形態も挙げられる。下部ホルダー57においては、例えば、爪スライド用盤60の下方の内周面に環状の溝を形成し、爪スライド用盤60の内側に配置する爪開閉用盤20を下端開放の円筒状とし、爪スライド用盤10の環状の溝に爪開閉用盤70の下端を摺動自在に配置することによって、爪スライド用盤60の環状凹溝内において爪開閉用盤70が回動させる実施形態も挙げられる。このように、上部ホルダー7及び下部ホルダー57が2つの部材で構成されている場合、3つの部材で構成されている場合に比べて部品点数を抑えることができ、簡素な構造とすることができる。
【0106】
上部ホルダー用支柱3に沿って上部ホルダー7を昇降回動させる上部ホルダー用アーム5は、上部ブラケット5aを介してなくてもよい。また、下部ホルダー用支柱53に沿って下部ホルダー57を昇降回動させる下部ホルダー用アーム55(第1下部ホルダー用アーム55a、第2下部ホルダー用アーム55b)は、第1下部ブラケット55a1や第2下部ブラケット55b1を介してなくてもよい。
【0107】
シリンダー90等は、作動流体に油圧(油圧シリンダー)を採用することができるし、また、作動流体に水圧(水圧シリンダー)を採用することができる。また、シリンダー90等の構造や設置箇所等は記載された内容に拘泥されないため、本発明の効果を奏する限り適宜設計変更することがきる。
【0108】
上部ホルダー用支柱3に沿って上部ホルダー7を昇降回動させることができれば、上部ホルダー用支柱3や上部ホルダー用アーム5等はどのような構造のものでもよい。また、下部ホルダー用支柱53に沿って下部ホルダー57を昇降回動させることができれば、下部ホルダー用支柱53や下部ホルダー用アーム55等はどのような構造のものでもよい。
【0109】
上部ホルダー用支柱3と下部ホルダー用支柱53との位置関係は、図1では、上部ホルダー用支柱3が奥側に、そして下部ホルダー用支柱53が手前側に配置されているが、生タイヤ置台の形状や生タイヤTの置き方(上部ホルダー7や下部ホルダー57による生タイヤTの掴み方)により、上部ホルダー用支柱3と下部ホルダー用支柱53との位置関係の変更が可能である。上部ホルダー7と下部ホルダー57が共に配置されている構成であっても、上部ホルダー7のみ使用する場合と、上部ホルダー7と下部ホルダー57の両方使用する場合等が有り、このような用途の使い分けを想定するなら、奥側が上部ホルダー用支柱3、手前側が下部ホルダー用支柱53とする位置関係が望ましい。したがって、各ホルダーの用途によって上部ホルダー用支柱3と下部ホルダー用支柱53との位置関係は変わってくる。
【0110】
各図において各実施形態を図示したが、図を分かりやすくする等のために、一部構成を省略、簡略化した部分があるため、本発明は図示した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0111】
1:ホルダー交換式バーチカルローダー
3:上部ホルダー用支柱
5:上部ホルダー用アーム
5a:上部ブラケット
5b:流路
7:上部ホルダー
7a:穴
7b:流路
8:クリアランス
9a:先端
9z:後端
10:爪スライド用盤
10a:穴
12:溝
13:柱部
13a:底面
13b:雌ネジ孔
14:梁部
15:スライド溝
20:爪開閉用盤
20a:穴
25:ガイド溝
30:爪開閉用盤押え盤
30a:穴
33:通し孔
35:スライド溝
53:下部ホルダー用支柱
55:下部ホルダー用アーム
55a:第1下部ホルダー用アーム
55a1:第1下部ブラケット
55a1a:挿筒部
55a1b:固定部
55a1c:支軸
55b:第2下部ホルダー用アーム
55b1:第2下部ブラケット
55b1a:挿筒部
55b1b:固定部
55b1c:支軸
55c:流路
57:下部ホルダー
57a:穴
57a1:第1下部ホルダー
57a2:第2下部ホルダー
57c:流路
58:クリアランス
60:爪スライド用盤
60a:穴
60a1:第1爪スライド用盤
60a2:第2爪スライド用盤
63:柱部
64:梁部
65:スライド溝
70:爪開閉用盤
70a:穴
70a1:第1爪開閉用盤
70a2:第2爪開閉用盤
75:ガイド溝
80:爪開閉用盤押え盤
80a:穴
80a1:第1爪開閉用盤押え盤
80a2:第2爪開閉用盤押え盤
85:スライド溝
90:シリンダー
91:ロッド
92:爪
92a:切欠き
93:シリンダー
94:ロッド
95:シリンダー
96:ロッド
110:第一脱着部材
113:第一脱着部材本体
115:案内部
117:凸部
120:第二脱着部材
121:第1穴部
123:第二脱着部材本体
127:フランジ
127a:穴
130:筒体
132:第2穴部
135:案内溝
137:フランジ
137a:穴
140:ボルト
141:ナット
T:生タイヤ
TB:上部ビード
BB:下部ビード
BL:ブラダー
CP:センターポスト
CT1:センター
CT2:センター
W1:幅
W2:幅
L1:長さ
L2:長さ
SB:分離結合線




【要約】
【課題】 生タイヤを加硫成形する際、従来のような生タイヤのインチサイズに合わせてフック等を伸縮調整して生タイヤを把持離脱する構造を採用せず、生タイヤを把持離脱するホルダー自体をタイヤのインチのサイズに合わせて交換することができる。
【構成】 生タイヤの上部ビードを爪によって把持離脱する円環状の上部ホルダーと、上部ホルダー用支柱に沿って上部ホルダーを昇降回動させる上部ホルダー用アームと、を備えたバーチカルローダーであって、上部ホルダーに備えた第一着脱部材と、上部ホルダー用アームに備えた第二着脱部材と、が挿入又は脱離されることによって、生タイヤのインチ(リム径)サイズに合わせて上部ホルダーが上部ホルダー用アームから着脱自在とすることを特徴とした、ホルダー交換式バーチカルローダー及びこのバーチカルローダーを使用したシェーピング方法である。
【選択図】図1


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12