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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20221130BHJP
   D06F 58/22 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
D06F58/02 N
D06F58/22
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018198141
(22)【出願日】2018-10-22
(65)【公開番号】P2020065591
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 聡司
(72)【発明者】
【氏名】竹村 ゆい
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-046887(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1727560(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
D06F 58/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に弾性的に支持された外槽と、
前記外槽内に回転可能に配置され、洗濯物が収容される内槽と、
ヒータと送風ファンとが配置され、前記送風ファンの動作により発生し前記ヒータにより温められた風を前記外槽との間で循環させる循環風路と、
前記循環風路に設けられ、挿入口を有するフィルタ室と、
フィルタ室に装着されるフィルタユニットと、を備え、
前記フィルタユニットは、
前記挿入口を通じて出し入れ可能に前記フィルタ室に収容され、前記循環風路内を循環する風に含まれる異物を捕捉するフィルタ部と、
所定の成分を放出可能な処理剤を保持し、前記フィルタ部と一体化された状態で前記フィルタ室に収容される処理剤保持部と、を含み、
前記処理剤保持部は、前記処理剤が収容される収容部と、当該収容部内へ風を入れるための通風口と、当該通風口を覆うフィルタ材とを含む、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯乾燥機において、
前記処理剤保持部は、前記フィルタ室から取り出された状態において、前記フィルタ部と離別可能である、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯乾燥機において、
一面に開口部を有し、当該開口部が前記フィルタ部により開閉可能に覆われるケース部を備え、
前記処理剤保持部は、前記開口部を通じて前記ケース部内に収容されることにより前記フィルタ部と一体化され、前記ケース部から取り出されることにより前記フィルタ部と離別される、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項4】
筐体内に弾性的に支持された外槽と、
前記外槽内に回転可能に配置され、洗濯物が収容される内槽と、
ヒータと送風ファンとが配置され、前記送風ファンの動作により発生し前記ヒータにより温められた風を前記外槽との間で循環させる循環風路と、
前記循環風路に設けられ、挿入口を有するフィルタ室と、
フィルタ室に装着されるフィルタユニットと、を備え、
前記フィルタユニットは、
前記挿入口を通じて出し入れ可能に前記フィルタ室に収容され、前記循環風路内を循環する風に含まれる異物を捕捉するフィルタ部と、
一面に開口部を有し、当該開口部が前記フィルタ部により開閉可能に覆われるケース部と、
所定の成分を放出可能な処理剤を保持し、前記開口部を通じて前記ケース部内に収容されることにより前記フィルタ部と一体化された状態で前記フィルタ室に収容される処理剤保持部と、を含み、
前記処理剤保持部は、前記フィルタ室から取り出された状態において、前記ケース部から取り出されることにより前記フィルタ部と離別可能である、
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯乾燥機の一つであるドラム式洗濯乾燥機において、ドラムが配置された水槽との間で温風を循環させる循環経路の一部であるダクト内に、芳香発生体を収容したケースと紫外線ランプとが配置される構成とされたものが、特許文献1に記載されている。
【0003】
芳香発生体は、脂肪族炭化水素系物質を吸収した多数個のビーズ状の固形体から構成される。乾燥工程時に、紫外線ランプから紫外線が芳香発生体に照射されると、日向干しの香り成分に相当する脂肪族炭化水素の酸化物質が生成される。日向干しの香りが温風とともに水槽内に供給され、ドラム内の洗濯物に日向干しの香りが付与される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-29579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のドラム式洗濯乾燥機では、ケースがダクトの内壁部に着脱可能に取り付けられているので、寿命等により芳香発生体を交換する際、ケースを内壁部から取り外すことができる。しかしながら、特許文献1には、ケースをダクトの外部に取り出せるようにするための構成について、具体的な記載がない。たとえば、ケースは吹出口の近くに位置しているものの、吹出口からダクト内に手を入れてケースを着脱することは現実的であるとは考えられない。よって、上記のような洗濯乾燥機では、ユーザが、如何にして実際に、芳香発生体を容易に交換できるようにするかが問題となり得る。
【0006】
そこで、本発明は、外槽との間で温風を循環させる循環風路内に、芳香、抗菌などのための処理剤を、補充、交換等が容易となるように配置でき得る洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る洗濯乾燥機は、筐体内に弾性的に支持された外槽と、前記外槽内に回転可能に配置され、洗濯物が収容される内槽と、ヒータと送風ファンとが配置され、前記送風ファンの動作により発生し前記ヒータにより温められた風を前記外槽との間で循環させる循環風路と、前記循環風路に設けられ、挿入口を有するフィルタ室と、フィルタ室に装着されるフィルタユニットと、を備える。ここで、前記フィルタユニットは、前記挿入口を通じて出し入れ可能に前記フィルタ室に収容され、前記循環風路内を循環する風に含まれる異物を捕捉するフィルタ部と、所定の成分を放出可能な処理剤を保持し、前記フィルタ部と一体化された状態で前記フィルタ室に収容される処理剤保持部と、を含む。前記処理剤保持部は、前記処理剤が収容される収容部と、当該収容部内へ風を入れるための通風口と、当該通風口を覆うフィルタ材とを含む。
【0008】
たとえば、処理剤として、芳香成分を放出可能な芳香剤、抗菌成分を放出可能な抗菌剤などを挙げることができる。
【0009】
上記の構成によれば、ユーザは、フィルタユニットをフィルタ室から取り外すことにより、処理剤の補充、交換などを容易に行うことができる。さらに、処理剤保持部を風が通過する際に、その風に含まれる異物をフィルタ材により捕捉することができる。よって、フィルタユニットでの異物の捕捉効率が向上する。
【0010】
本態様に係る洗濯乾燥機において、前記処理剤保持部は、前記フィルタ室から取り出された状態において、前記フィルタ部と離別可能であるような構成とされ得る。
【0011】
より具体的には、一面に開口部を有し、当該開口部が前記フィルタ部により開閉可能に覆われるケース部が備えられ得る。この場合、前記処理剤保持部は、前記開口部を通じて前記ケース部内に収容されることにより前記フィルタ部と一体化され、前記ケース部から取り出されることにより前記フィルタ部と離別される。
【0012】
上記の構成によれば、処理剤保持部に対して処理剤の補充などが行われるときにフィルタ部が邪魔にならず、また、フィルタ部の清掃が行われるときに処理剤保持部が邪魔にならない。
【0013】
本発明の第2の態様に係る洗濯乾燥機は、筐体内に弾性的に支持された外槽と、前記外槽内に回転可能に配置され、洗濯物が収容される内槽と、ヒータと送風ファンとが配置され、前記送風ファンの動作により発生し前記ヒータにより温められた風を前記外槽との間で循環させる循環風路と、前記循環風路に設けられ、挿入口を有するフィルタ室と、フィルタ室に装着されるフィルタユニットと、を備える。前記フィルタユニットは、前記挿入口を通じて出し入れ可能に前記フィルタ室に収容され、前記循環風路内を循環する風に含まれる異物を捕捉するフィルタ部と、一面に開口部を有し、当該開口部が前記フィルタ部により開閉可能に覆われるケース部と、所定の成分を放出可能な処理剤を保持し、前記開口部を通じて前記ケース部内に収容されることにより前記フィルタ部と一体化された状態で前記フィルタ室に収容される処理剤保持部と、を含む。前記処理剤保持部は、前記フィルタ室から取り出された状態において、前記ケース部から取り出されることにより前記フィルタ部と離別可能である。
【0014】
上記の構成によれば、ユーザは、フィルタユニットをフィルタ室から取り外すことにより、処理剤の補充、交換などを容易に行うことができる。さらに、処理剤保持部に対して処理剤の補充などが行われるときにフィルタ部が邪魔にならず、また、フィルタ部の清掃が行われるときに処理剤保持部が邪魔にならない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、外槽との間で温風を循環させる循環風路内に、芳香、抗菌などのための処理剤を、補充、交換等が容易となるように配置でき得る洗濯乾燥機を提供することができる。
【0016】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施の形態に係る、全自動洗濯乾燥機の側面断面図である。
図2図2は、実施の形態に係る、全自動洗濯乾燥機の上部の背面斜視図である。
図3図3は、実施の形態に係る、乾燥装置の斜視図である。
図4図4(a)および(b)は、実施の形態に係る、温風発生ユニットの斜視図である。
図5図5は、実施の形態に係る、風路ユニットと、風路ユニットから取り外されたフィルタユニットの斜視図である。
図6図6(a)は、実施の形態に係る、上風路部材が除かれた状態の風路ユニットの斜視図であり、図6(b)は、実施の形態に係る、裏返された状態の上風路部材の斜視図である。
図7図7は、実施の形態に係る、温風発生ユニットの中央部の位置で切断された乾燥装置の背面断面図である。
図8図8は、実施の形態に係る、下部排気風路および上部排気風路の位置で切断された乾燥装置の要部の背面断面図である。
図9図9は、実施の形態に係る、ケース部から処理剤保持部が取り出された状態のフィルタユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る、全自動洗濯乾燥機1の側面断面図である。図2は、本実施の形態に係る、全自動洗濯乾燥機1の上部の背面斜視図である。
【0020】
全自動洗濯乾燥機1は、外観を構成する筐体10を備える。筐体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、洗濯物を投入するための外側投入口14が形成される。外側投入口14は、開閉自在な上蓋15により覆われる。上面板12の前部には、内部に制御部16が配置される。
【0021】
筐体10内には、外槽20が、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20は、上面が開放されたほぼ円筒状の外槽本体20aと、外槽本体20aの上面を覆う外槽カバー20bとで構成される。外槽カバー20bには、外側投入口14に対応する位置に、洗濯物を投入するための内側投入口22が形成される。内側投入口22は、外槽蓋23により開閉可能に覆われる。
【0022】
外槽20内には、上面が開放されたほぼ円筒状の洗濯脱水槽24が配される。洗濯脱水槽24の内周面には、全周に亘って多数の脱水孔24aが形成される。洗濯脱水槽24の上部には、バランスリング25が設けられる。洗濯脱水槽24の底部には、パルセータ26が配される。パルセータ26の表面には、放射状に複数の羽根26aが設けられる。なお、洗濯脱水槽24は、本発明の内槽に相当する。
【0023】
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽24およびパルセータ26を駆動するトルクを発生させる駆動ユニット30が配される。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32とを含む。伝達機構部32は、クラッチ機構を有し、当該クラッチ機構による切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ26のみに伝達してパルセータ26のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ26および洗濯脱水槽24に伝達してパルセータ26および洗濯脱水槽24を一体的に回転させる。
【0024】
外槽20の外底部には、排水口部20cが形成される。排水口部20cには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、洗濯脱水槽24および外槽20に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
【0025】
筐体10内の後部には、外槽20の上方に乾燥装置50と給水装置60とが配置される。乾燥装置50と給水装置60は、胴体部11の上面後部に配置された固定板17に取り付けられ、上面板12により覆われる。
【0026】
乾燥装置50は、洗濯脱水槽24内に収容された洗濯物を乾燥させる。乾燥装置50はヒータと送風ファンが配置された循環風路50aを含み、循環風路50aが、吸気ダクト71および排気ダクト72によって外槽20の内部と接続される。吸気ダクト71および排気ダクト72は、フレキシブルなダクトであり、ゴム等の弾性材料で形成され、中間部分に図示しない蛇腹部を有する。ヒータおよび送風ファンの動作により生成した温風が、循環風路50aから排出され、吸気ダクト71を通じて外槽20内に導入される。さらに、外槽20から排出された温風が、排気ダクト72を通じて循環風路50a内に導入される。こうして、循環風路50aと外槽20との間で温風が循環する。
【0027】
給水装置60は、外部に露出する給水口61が、水栓から延びる図示しない外部給水ホースに接続される。給水装置60は給水バルブおよび洗剤容器を含み、給水バルブが開放されることにより、水栓からの水道水が洗剤容器内に収容された洗剤とともに外槽20内に供給される。給水装置60は、風呂水ポンプを含んでいてもよい。
【0028】
次に、乾燥装置50の構成にいて、図3ないし図9を参照し、詳細に説明する。
【0029】
図3は、本実施の形態に係る、乾燥装置50の斜視図である。図4(a)および(b)は、本実施の形態に係る、温風発生ユニット51の斜視図であり、図4(b)は、上ケーシング110bが除かれた状態を示す。図5は、本実施の形態に係る、風路ユニット52と、風路ユニット52から取り外されたフィルタユニット53の斜視図である。図6(a)は、本実施の形態に係る、上風路部材52bが除かれた状態の風路ユニット52の斜視図であり、図6(b)は、本実施の形態に係る、裏返された状態の上風路部材52bの斜視図である。図7は、本実施の形態に係る、温風発生ユニット51の中央部の位置で切断された乾燥装置50の背面断面図である。図8は、本実施の形態に係る、下部排気風路230および上部排気風路240の位置で切断された乾燥装置50の要部の背面断面図である。図9は、本実施の形態に係る、ケース部320から処理剤保持部340が取り出された状態のフィルタユニット53の斜視図である。なお、図3では、乾燥装置50を構成する排気カバー部54が一体形成された上面板12の一部が斜視断面図で描かれており、排気カバー部54の輪郭が破線により示されている。
【0030】
図3に示すように、乾燥装置50は、温風発生ユニット51と、風路ユニット52と、フィルタユニット53と、排気カバー部54とを含む。排気カバー部54は、上面板12の一部として形成される。フィルタユニット53が装着された風路ユニット52と温風発生ユニット51とが結合されて一体化され、固定板17に取り付けられた後、胴体部11に上面板12が取り付けられると、乾燥装置50が完成する。
【0031】
図4(a)、(b)および図7を参照し、温風発生ユニット51は、ケーシング110と、送風ファン120と、ヒータ130とを含み、送風ファン120およびヒータ130の動作により温風を発生させる。ケーシング110は、上面が開口する下ケーシング110aと、下面が開口する上ケーシング110bとを結合することにより形成される。ケーシング110は、ファン室111と、ファン室111から延びる吐出風路112とを含む。ケーシング110の天面には、ファン室111に繋がる吸込口113が形成され、ケーシング110の底面には、吐出風路112に繋がる吐出口114が形成される。吐出口114は下方に突出し、吸気ダクト71の上端部に接続される。また、ケーシング110の天面には、ファン室111の出口付近に繋がる内部排気口115が形成される。
【0032】
送風ファン120は、たとえば、遠心ファンであり、ブロワ121と、ブロワ121を回転させるためのブロワモータ122とを含む。ブロワ121は、ファン室111内に吸込口113と対面するように配置され、ブロワモータ122は、ケーシング110の外底面に配置される。ヒータ130は、たとえば、半導体ヒータであり、吐出風路112内における吐出口114の手前位置に配置される。
【0033】
図5ないし図8を参照し、風路ユニット52は、吸気風路210と、フィルタ室220と、下部排気風路230とを含む。これら吸気風路210、フィルタ室220および下部排気風路230は、上面が開口する下風路部材52aと、下面が開口する上風路部材52bとを結合することにより一体的に形成される。
【0034】
風路ユニット52には、上風路部材52bの上面の外側に、上面が開口する風路構成部52cが形成される。風路構成部52cの上面が排気カバー部54で覆われることにより、下部排気風路230に繋がる上部排気風路240が形成される。
【0035】
吸気風路210は、左右方向に長く上下方向に扁平な形状を有する。吸気風路210には、右端部の底面に風路出口211が形成される。風路出口211は、温風発生ユニット51の吸込口113に繋がる。
【0036】
フィルタ室220は、吸気風路210の左端部の下方に設けられ、前後方向にやや長いほぼ直方体の箱状を有する。フィルタ室220の前面には、フィルタユニット53を挿入するための挿入口221が形成される。フィルタ室220の底面には、下方に突出する導入口222が形成される。導入口222は、円筒状を有し、排気ダクト72の上端部に接続される。また、フィルタ室220の底面には導入口222の前方に、外気を取り入れるための外気吸気口223が形成される。フィルタ室220は、天面に形成された導出口224を介して吸気風路210と連通する。
【0037】
吸気風路210およびフィルタ室220は、温風発生ユニット51のケーシング110とともに循環風路50aを構成する。
【0038】
下部排気風路230は、左右方向に長い形状を有し、下風路部材52aに形成された下区画壁52a1と上風路部材52bに形成された上区画壁52b1とにより吸気風路210と区画される。下部排気風路230には、中間部分に、開口231aを有する仕切壁231が設けられる。また、下部排気風路230の底面には、温風発生ユニット51側の端部に導入口232が形成される。導入口232は、温風発生ユニット51の内部排気口115に繋がる。下部排気風路230の天面には、温風発生ユニット51側と反対側の端部に導出口233が形成される。
【0039】
下部排気風路230には、仕切壁231の開口231aを開閉するための排気弁ユニット250が設けられる。図6(a)に示すように、排気弁ユニット250は、開口231aを閉鎖するフラップ251と、フラップ251の回転軸251aに連結されるモータ252とを含む。モータ252の回転が回転軸251aに伝達されることにより、フラップ251が開口231aを閉鎖する位置と開放する位置とに切り替えられる。
【0040】
上部排気風路240は、左右方向に長い形状を有し、下部排気風路230の上方に位置して導出口233に繋がる。排気カバー部54が上部排気風路240の天面を構成する。上部排気風路240の天面には、導出口233と反対側の端部寄りに、前後および左右に並ぶ複数の長孔からなる外部排気口241が設けられる。
【0041】
図5および図9を参照し、フィルタユニット53は、フィルタ部310と、ケース部320と、前面パネル部330と、処理剤保持部340と、を備える。
【0042】
フィルタ部310は、通風口311を有するほぼ長方形状の枠体312と、通風口311を覆うフィルタ材313とを含む。枠体312の後端部には、左右両側に円形の孔314aを有する軸受部314が設けられる。また、枠体312の前側には、左右両側に方形の孔315aを有する係合部315が設けられる。通風口311は、枠体312の長手方向に走る1本の桟316aと枠体312の短手方向に走る3本の桟316bとにより8つの領域に区画される。フィルタ材313は、メッシュ地のシートからなる。
【0043】
ケース部320は、上下方向に扁平な長方形の箱状を有し、上面が開口する。ケース部320の底面には、フィルタ室220の導入口222に繋がる内気入口321と、フィルタ室220の外気吸気口223に繋がる外気入口322とが形成される。ケース部320の後端部には、左右両側に円形の軸323が設けられる。また、ケース部320の前側には、左右両側に爪部324が設けられる。さらに、ケース部320の前後左右の側面には、ほぼ中央の高さ位置に全周に亘って段差が設けられ、その段差により段差面325が形成される。
【0044】
枠体312の左右両側の軸受部314の孔314aにケース部320の左右両側の軸323が挿入されることにより、フィルタ部310とケース部320とが連結される。フィルタ部310はケース部320の軸323を中心に回動でき、ケース部320の開口部320aがフィルタ部310により開閉可能に覆われる。ケース部320の開口部320aがフィルタ部310により閉じられると、爪部324が係合部315の孔315aと係合する。これにより、フィルタ部310が開く方向に回動しづらくなる。
【0045】
前面パネル部330は、ケース部320の前方に設けられ、前面視において長方形状を有する。前面パネル部330には、前面に取っ手331が形成され、後面にパッキン332を取り付けられる。パッキン332は、フィルタユニット53がフィルタ室220に装着された状態において、挿入口221と前面パネル部330の後面との間をシールする。
【0046】
処理剤保持部340は、上下方向に扁平な長方形の箱状を有し、上面が開口する。処理剤保持部340の底面は、ほぼ全体が通風口341として開口する。通風口341は、フィルタ材342により覆われる。フィルタ材342は、メッシュ地のシートからなる。処理剤保持部340の内部は、処理剤Pを収容するための収容部343となる。収容部343は、その長手方向に延びる1つの仕切壁344aと、その短手方向に延びる3つの仕切壁344bとにより8つの領域に区画される。
【0047】
処理剤Pは、たとえば、ビーズ状の揮発性の芳香剤である。あるいは、処理剤Pは、たとえば、ビーズ状の抗菌剤である。抗菌剤は、溶解性のガラス部材に銀を練り込んだイオンビーズとすることができる。適量の処理剤Pが、処理剤保持部340の収容部343の各領域に収容される。
【0048】
フィルタ室220の挿入口221は、上面板12の外側投入口14内に臨む。ユーザは、上蓋15が開放された状態で、外部から挿入口221を通じてフィルタユニット53、即ち、一体化されたフィルタ部310と処理剤保持部340を、フィルタ室220内に出し入れすることができる。ユーザは、フィルタユニット53をフィルタ室220に挿入する前に、収容部343内に処理剤Pが入れられた処理剤保持部340を、開口部320aを通じてケース部320内に収容する。処理剤保持部340は段差面325に載置され、処理剤保持部340の底面とケース部320の底面との間に隙間、即ち空間が設けられる。このように、ケース部320内に処理剤保持部340が収容されることにより、フィルタ部310と処理剤保持部340とが一体化された状態となる。
【0049】
全自動洗濯乾燥機1では、各種運転コースの洗濯運転、洗濯乾燥運転または乾燥運転が行われる。洗濯運転は、洗濯のみを行う運転であり、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。洗濯乾燥運転は、洗濯から乾燥までを連続的に行う運転であり、最終脱水工程に続いて乾燥工程が実行される。乾燥運転は、乾燥のみを行う運転であり、乾燥工程のみが実行される。
【0050】
洗い工程およびすすぎ工程では、洗濯脱水槽24内に水が溜められた状態で、パルセータ26が右方向および左方向に回転する。パルセータ26の回転により洗濯脱水槽24内に水流が発生する。洗い工程では、発生した水流と水に含まれる洗剤とにより洗濯物が洗われる。すすぎ工程では、発生した水流により洗濯物がすすがれる。
【0051】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽24およびパルセータ26が一体となって高速回転する。洗濯脱水槽24に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0052】
乾燥工程では、最初に内気循環乾燥工程が行われ、それに続いて外気導入乾燥工程が行われる。内気循環乾燥工程では、下部排気風路230内において開口231aがフラップ251により閉鎖される(図8参照)。これにより、下部排気風路230および上部排気風路240を通じた排気が行えない状態となる。温風発生ユニット51内において、送風ファン120およびヒータ130が動作する。送風ファン120が動作してブロワ121が回転すると、図7の矢印に示すように、吸込口113からケーシング110内に空気が吸い込まれ、ファン室111内で風が発生する。発生した風は、吐出風路112を流れてヒータ130によって加熱され、温風となって吐出口114から排出される。吐出口114から排出された温風は、吸気ダクト71を通じて外槽20内に供給される。
【0053】
外槽20内に供給された温風は、洗濯脱水槽24内を流れる。洗濯脱水槽24内では、一定の時間毎に、パルセータ26が右回転および左回転する。洗濯脱水槽24内の洗濯物は、パルセータ26により撹拌されつつ、洗濯脱水槽24内を流れる温風に接触する。洗濯脱水槽24内を流れた温風は、外槽20内から排気ダクト72を通じて排出され、図7の矢印に示すように、導入口222、フィルタ室220および吸気風路210を通って、再び吸込口113からケーシング110内に吸い込まれる。
【0054】
内気循環乾燥工程では、下部排気風路230および上部排気風路240を通じた排気が行えないため、外気吸気口223を通じた外気の取り込みがほとんど行われず、循環風路50aと外槽20との間で温風が循環し、これによって、洗濯脱水槽24内の温度が速やかに上昇する。
【0055】
外槽20から排出された温風には、パルセータ26での撹拌等でよって洗濯物から出たリント等の異物が混入する。温風はフィルタ室220内でフィルタユニット53における処理剤保持部340のフィルタ材342とフィルタ部310のフィルタ材313を通過し、温風に含まれた異物がこれらフィルタ材342、313で捕捉される。
【0056】
洗濯脱水槽24内の温度上昇が進み、洗濯物から水分が蒸発して温風に水分が多く含まれるようになると、外気導入乾燥工程に切り替えられる。外気導入乾燥工程への切替えは、乾燥工程が開始されてからの時間経過に基づいて行われてもよいし、温度センサで検出された外槽20内の温度や湿度センサで検出された外槽20内の湿度に基づいて行われてもよい。
【0057】
外気導入乾燥工程では、図8の破線矢印のように、下部排気風路230内でフラップ251が開いて開口231aが開放される。これにより、下部排気風路230および上部排気風路240を通じた排気が行えることで、外気吸気口223から外気が取り込める状態となる。この状態において、送風ファン120およびヒータ130が動作する。外気吸気口223から取り込まれた外気は、フィルタ室220を通り、導入口222から取り込まれた温風と混合されながら吸気風路210へと流れ、外気が混合された温風がケーシング110内へと吸い込まれる。このとき、外気は、フィルタ室220内で処理剤保持部340のフィルタ材342とフィルタ部310のフィルタ材313を通過し、外気に含まれた埃等の異物がこれらフィルタ材342、313で捕捉される。
【0058】
外気導入乾燥工程では、外気が取り込まれる分、外槽20内に供給される温風の流量が多くなるため、外槽20内の水分を多く含んだ温風の一部が、下部排気風路230および上部排気風路240を通じて筐体10の外部に排出されるようになる。即ち、図8の実線矢印に示すように、循環風路50aを流れる外槽20内の温風の一部が、内部排気口115から排出され、導入口232を通じて下部排気風路230内に排出される。下部排気風路230内に排出された温風は、下部排気風路230と上部排気風路240とを順次流れ、外部排気口241から筐体10の外部へ排出される。
【0059】
こうして、外気導入乾燥工程が行われることにより、洗濯物から蒸発した水分が、効果的に外槽20内から筐体10の外に排出され、外槽20内が除湿されやすくなるため、洗濯物の乾燥が促進される。なお、外槽20からの温風の一部は、循環風路50aを流れてヒータ130で再加熱されるので、引き続き外槽20内の温度が高い状態に維持される。外気導入乾燥工程が終了すると、乾燥工程が終了する。
【0060】
乾燥工程において、フィルタ室220を通る温風は、処理剤保持部340に保持された処理剤Pと接触する。処理剤Pから所定の成分が放出されて温風に混合され、所定の成分が含まれた温風が外槽20内へ供給される。
【0061】
処理剤Pが芳香剤である場合、芳香剤から揮発した芳香成分が温風に混合され、芳香成分が含まれた温風が外槽20内へ供給される。洗濯脱水槽24内の洗濯物に芳香成分が付着し、洗濯物が香り付けされる。
【0062】
また、処理剤Pが抗菌剤である場合、温風に含まれる水分に反応してガラス部材から銀イオン成分、即ち抗菌成分が溶出し、温風に混合される。抗菌成分が含まれた温風が外槽20内へ供給され、洗濯脱水槽24内の洗濯物に抗菌成分が付着し、洗濯物に防カビ効果が付与される。さらには、循環風路50aの内壁面、外槽20の内壁面、洗濯脱水槽24の内外の壁面にも抗菌成分が付着し、これらに壁面に防カビ効果が付与される。
【0063】
なお、フィルタユニット53では、処理剤保持部340の底面とケース部320の底面との間に空間が設けられている。これにより、導入口222から導入された風が空間で拡がって収容部343の広い領域に行き渡りやすくなるので、導入口222の真上の処理剤Pだけが集中的に消費されることが抑制される。
【0064】
使用により処理剤Pが消失したり、成分を放出しにくくなったりした場合、ユーザは、フィルタユニット53をフィルタ室220から取り外し、ケース部320内から処理剤保持部340を取り出して、処理剤Pの補充、交換などを行う。この際、ユーザは、併せてフィルタ材313、342の清掃を行うこともできる。また、ユーザは、フィルタ材313、342の清掃を目的としてフィルタユニット53をフィルタ室220から取り外したときにも、併せて処理剤Pの補充、交換などを行える。
【0065】
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、所定の成分を放出可能な処理剤Pを保持し、フィルタ部310と一体化された状態でフィルタ室220に収容される処理剤保持部340が、フィルタユニット53に備えられる。よって、ユーザは、フィルタユニット53をフィルタ室220から取り外すことにより、処理剤Pの補充、交換などを容易に行うことができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、処理剤保持部340は、フィルタ室220から取り出された状態において、フィルタ部310と離別可能である。よって、処理剤保持部340に対して処理剤Pの補充などが行われるときにフィルタ部310が邪魔にならず、また、フィルタ部310の清掃が行われるときに処理剤保持部340が邪魔にならない。
【0067】
さらに、本実施の形態によれば、処理剤保持部340の通風口341がフィルタ材342により覆われているので、処理剤保持部340を風が通過する際に、その風に含まれる異物をフィルタ材342により捕捉することができる。よって、フィルタユニット53での異物の捕捉効率が向上する。
【0068】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0069】
たとえば、上記実施の形態では、処理剤保持部340がフィルタ部310と離別可能となるように構成された。しかしながら、処理剤保持部340がケース部320と一体に形成されることにより、処理剤保持部340がフィルタ部310と離別できない構成が採られてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、処理剤保持部340の底面に、ほぼ底面全体に亘る通風口341が形成され、この通風口341がフィルタ材342で覆われた。しかしながら、たとえば、通風口341をビーズ状の処理剤Pよりも少し小さな多数の孔により構成することにより、処理剤保持部340にフィルタ材342が設けられない構成が採られてもよい。
【0071】
さらに、上記実施の形態では、ビーズ状の処理剤Pが、そのまま処理剤保持部340に保持される構成が採られた。しかしながら、ビーズ状の処理剤Pが、通気性を有する袋体に入れられて処理剤保持部340に保持されるような構成が採られてもよい。また、処理剤Pは、ビーズ状でなくてもよく、処理剤保持部340で保持できれば、如何なるサイズ、形状のものであってもよい。
【0072】
さらに、上記実施の形態において、抗菌剤である処理剤Pが用いられる場合に、最終脱水工程の後に抗菌工程が行われる洗濯運転コースが設けられてもよい。この場合、抗菌工程では、制御部16により送風ファン120が動作され、循環風路50aと外槽20との間で風が循環する。この際、ヒータ130が動作されることにより風が温められてもよい。抗菌工程では、風に混合された抗菌成分が、循環風路50aの内壁面、外槽20の内壁面、洗濯脱水槽24の内外の壁面に付着し、これらに壁面に防カビ効果が付与される。
【0073】
さらに、上記実施の形態では、いわゆる渦巻き式の洗濯機に衣類の乾燥機能が搭載された全自動洗濯乾燥機1に本発明が適用された例が示された。しかしながら、外槽内に横軸型のドラムを配置したドラム式洗濯機に衣類の乾燥機能が搭載されたドラム式洗濯乾燥機に本発明を適用することもできる。
【0074】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 全自動洗濯乾燥機(洗濯乾燥機)
10 筐体
20 外槽
24 洗濯脱水槽(内槽)
50 乾燥装置
50a 循環風路
53 フィルタユニット
120 送風ファン
130 ヒータ
220 フィルタ室
221 挿入口
310 フィルタ部
320 ケース部
320a 開口部
340 処理剤保持部
341 通風口
342 フィルタ材
343 収容部
P 処理剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9