(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】写真フィルム、マイクロフィルム等の情報を撮影できるネガフィルム、ポジフィルムを使用した情報認識用具およびそれを使用した認識票、迷子札、タグ等の情報提供器具
(51)【国際特許分類】
G09F 3/00 20060101AFI20221130BHJP
A01K 11/00 20060101ALI20221130BHJP
G09F 3/14 20060101ALI20221130BHJP
B42D 25/23 20140101ALI20221130BHJP
G09F 3/18 20060101ALI20221130BHJP
A44C 25/00 20060101ALI20221130BHJP
A44C 5/00 20060101ALI20221130BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
G09F3/00 S
A01K11/00 A
G09F3/14 Z
B42D25/23
G09F3/18 Z
A44C25/00 A
A44C5/00 Z
G03B21/00 D
(21)【出願番号】P 2018217200
(22)【出願日】2018-11-20
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】518353348
【氏名又は名称】竹内 常雄
(72)【発明者】
【氏名】竹内 常雄
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-079778(JP,U)
【文献】登録実用新案第3016679(JP,U)
【文献】特開平11-052484(JP,A)
【文献】特開2003-038056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/00 -27/00
B42D 1/00 -25/485
A44C 1/00 -27/00
G03B 21/00 -21/10
G03B 21/12 -21/13
G03B 21/134-21/30
G03B 33/00 -33/16
A01K 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影により画像や情報を保持することができる写真フィルムやマイクロフィルム等の様々なフィルムに(a)ニックネーム等の積極的に伝えたい情報、不特定多数に知られても問題ない、あるいは軽微な問題しか生じない情報について、フィルムに文字情報として撮影し、それがネガフィルムあるいはポジフィルム上にて直接目視で確認できる文字の大きさで撮影されている第一の記録領域、(b)個人情報や病歴、名前、住所等の特定の人にしか知られたくない情報、緊急時には必要な情報だが、平時には伏せておきたい情報、重要な情報、センシティブな情報について、フィルムに文字情報を撮影し、それがネガフィルムあるいはポジフィルム上にて直接目視にては確認できないほど文字が小さく撮影されているが、ルーペ等の拡大手段を用いることで文字を確認することができる第二の記録領域の二つの記録領域を持ち、それに加えて(c)フィルムに前記までの文字情報に関連した画像を撮影し、ネガフィルム、ポジフィルム上に撮影されている第三の記録領域を必要に応じて持つことにより、人や動物、物の情報認識用具、認識票、医療識別票、本人確認資料、迷子札、個体識別票、識別用タグ、タグ、識別票、荷札等の情報提供器具として使用することができることを特徴とする方法。
【請求項2】
撮影により画像や情報を保持することができる写真フィルムやマイクロフィルム等の様々なフィルムに(a)ニックネーム等の積極的に伝えたい情報、不特定多数に知られても問題ない、あるいは軽微な問題しか生じない情報について、フィルムに文字情報として撮影し、それがネガフィルムあるいはポジフィルム上にて直接目視で確認できる文字の大きさで撮影されている第一の記録領域、(b)個人情報や病歴、名前、住所等の特定の人にしか知られたくない情報、緊急時には必要な情報だが、平時には伏せておきたい情報、重要な情報、センシティブな情報について、フィルムに文字情報を撮影し、それがネガフィルムあるいはポジフィルム上にて直接目視にては確認できないほど文字が小さく撮影されているが、ルーペ等の拡大手段を用いることで文字を確認することができる第二の記録領域の二つの記録領域を持ち、それに加えて、(c)フィルムに前記までの文字情報に関連した画像を撮影し、ネガフィルム、ポジフィルム上に撮影されている第三の記録領域を必要に応じて持つことにより、人や動物、物の情報認識用具、認識票、医療識別票、本人確認資料、迷子札、個体識別票、識別用タグ、タグ、識別票、荷札等の情報提供器具。
【請求項3】
請求項2に記載のフィルムからなる情報提供器具の両面から透明な板状の物体で挟み込み、フィルムを傷や熱、紫外線等のフィルムの寿命を短くするものから守り、かつ人、動物、物への携帯や装着が容易になるものであり、そのまま外部の光源によりスクリーンや壁などに撮影された情報を投影したり、カメラによる画像拡大、コピー機による拡大コピー、ルーペによる目視等で撮影された情報を読み取ることができることを特徴とする人や動物、物の情報認識用具、認識票、医療識別票、本人確認資料、迷子札、個体識別票、識別用タグ、タグ、識別票、荷札等の情報提供器具。
【請求項4】
請求項2に記載のフィルムからなる情報提供器具をケースに格納することにより、フィルムを傷や熱、紫外線等のフィルムの寿命を短くするものから守り、かつ人、動物、物への携帯や装着が容易になるものであり、そのまま外部の光源によりスクリーンや壁などに撮影された情報を投影したり、カメラによる画像拡大、コピー機による拡大コピー、ルーペによる目視等で撮影された情報を読み取ることができることを特徴とする人や動物、物の情報認識用具、認識票、医療識別票、本人確認資料、迷子札、個体識別票、識別用タグ、タグ、識別票、荷札等の情報提供器具。
【請求項5】
請求項2に記載のフィルムからなる情報提供器具をペンダント、腕輪、首輪等の装飾具に装着することによりフィルム記載の情報を携帯できることを特徴とする人や動物、物の情報認識用具、認識票、医療識別票、本人確認資料、迷子札、個体識別票、識別用タグ、タグ、識別票、荷札等の情報提供器具。
【請求項6】
請求項2に記載のフィルムからなる情報提供器具を免許証やマイナンバーカードのようなカードとして使用できることを特徴とする人や動物、物の情報認識用具、認識票、医療識別票、本人確認資料、迷子札、個体識別票、識別用タグ、タグ、識別票、荷札等の情報提供器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は写真フィルム、マイクロフィルム等の情報を撮影できるネガフィルム、ポジフィルムを使用した情報認識用具および、それを使用した認識票、迷子札、タグ等の情報提供器具に関する。
【背景技術】
【0002】
認識票や迷子札、タグ等のような情報提供器具は人間や動物または物品に装着し、それを見たものに適切な情報を提供する役割がある。自衛隊で使われているドッグタグ、IDタグのように金属を彫ったり刻印したものや、迷子札のように手書きのもの、紙に印刷したもの、タグのようにバーコードを印刷したもの等が使用されている。また、特許物件1のような二次元コード、特許物件2のような、電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信によって情報をやりとりするしくみを利用したもの、特許文献3のような電話が掛けられる器具も考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実登3122869公報
【文献】特開2004-171368公報
【文献】特開2002-306009公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
情報提供器具は金属を彫ったり刻印したものや手書きのもの、印刷したものが使用されている。しかしながらこのような方法だと提供できる情報量が少ないため、それを着けている人間や動物または物品が重要な情報を伝えられず不利な状況になることも考えられる。特許文献1、特許文献2、特許文献3のようにIT技術を使用する方法もあるが、ITの世界は進歩が早いため現在の仕組みがいつまでスタンダードであるのか不安が残る。また、読み取るために機器が必要で、インターネット等の外部環境にも依存するため、接続障害が起これば役に立たなくなる。
【0005】
また、現在数多く使用されているUSBメモリ、光ディスク等のデータ記憶装置を情報提供器具として使用する方法も考えられるが、これもIT技術なので前記と同じ問題がある。そこに保存されている電子データを閲覧するためには、出力するパソコンやディスプレイといったハードウェア、さらにそれを処理して表示するためのソフトウェアが必要であり、それらすべてが一定の規格に沿って動作することで閲覧が可能となる。しかもその規格がいつまで使用できるか不安が残る。また、USBメモリ、光ディスク等のデータ記憶装置に保存されているデータは、永久にその内容が保存される保証がない。そしてデータが壊れていて、もはや役に立たなくなっても外から確認する手段がない。これらを踏まえて、以下の条件を満たすものを情報提供器具として使用したい。
・従来より多くの情報を提供できること。
・情報の読み取りに特殊な機械を必要としないこと。
・技術の移り変わりにより、情報が読めなくなることがないこと。
・情報の経年劣化が少ないこと。
・器具の装着が苦にならず、常時保持できること。
・情報が容易に壊れないこと。
・装着対象の持病のような重要だが容易に提供できない情報、センシティブな情報を提供でき、かつその情報は通常時は容易に読み取ることができないが、必要に応じて読み取ることが可能となっていること。
・情報が容易に改ざん、変更がなされないこと。
・情報が壊れたり、読めなくなったりしたら、すぐにその状態が分かること。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するため、撮影により画像や情報を保持することができる様々なフィルムを使用する。写真フィルムやマイクロフィルム等のネガフィルムあるいはポジフィルムを情報提供器具として使用する。そのままで使用してもよいが、そのままでは衝撃や熱に弱いので、フィルムをアクリルや耐熱ガラス等の透明な板状の物質に挟んだり、あるいは板状や筒状の容器に入れて使用することがより好ましい。このようなものを認識票、迷子札、タグ等の情報提供器具として使用する。また、フィルムを本願発明にて使用するときは、情報提供器具として使用するためにコマごと、あるいは情報が撮影されている範囲ごとに切って使用すれば、取り扱いやすい大きさとなり好ましい。フィルムのサイズとしては、一般的には縦35mmや、マイクロフィルムではあれば16mmのサイズが使用できるので、それほど大きくならず、身に着けることが苦にならない。以下、順に課題解決方法につき記述する。
【0007】
・従来より多くの情報を提供できることという課題については、フィルム、特にマイクロフィルムはもともと大量の情報をコンパクトに保存するために開発されたものであるので、紙を使用した場合に比べてもより多くの情報を提供できる。そのため自国の言語だけでなく、英語等の他言語の情報も提供できる。
【0008】
・情報の読み取りに特殊な機械を必要としないこと、
・技術の移り変わりにより、情報が読めなくなることがないことという課題については、通常写真フィルム等は現像、マイクロフィルムは専用機械にて閲覧する。しかしながら、撮影時に提供したい情報を大きい文字にしておけばフィルム内の情報を目視にて確認することができる。この場合は特殊な機器を必要とせず、IT技術を使用した場合に問題となる技術の進歩と陳腐化が情報取得の障害となることがない。
【0009】
・情報の経年劣化が少ないことという課題については、モノクロマイクロフィルムのPET(ポリエステル)ベースのものであれば、適切な保存環境内で500年の寿命が期待できると考えられている。写真フィルムのモノクロフィルムであってもPET(ポリエステル)ベースのものならば、長期間保存できると考えられている。
【0010】
・装着が苦にならず、常時保持できること、・情報が容易に壊れないことという課題については、本願発明はフィルムをそのまま使用することもできるが、アクリルや耐熱ガラス等の透明な板状の物質に挟む、あるいは板状や筒状の容器に入れてキーホルダーとしたり、首輪や腕輪等の装着器具の一部を構成することもできる。このため、装着が苦にならず容易に壊れないようにすることが可能である。
【0011】
・装着対象の持病のような重要だが容易に提供できない情報、センシティブな情報を提供でき、かつその情報は通常時は容易に読み取ることができないが、必要に応じて読み取ることが可能となっていることという課題については、そのような情報はフィルムに小さい文字で撮影しておくことで回避できる。フィルムに大きい文字で撮影されているならば、目視してその情報を確認することができるが、小さい文字ならば、一見して確認することができない。記述する情報の重要度に応じて文字の大きさを変えることができる。ではこのような小さい文字の読み取り方については、現像したり、マイクロフィルムを読む専用の機器で読むのが通常の方法であるが、フィルムなのでコピー機にて拡大コピーをする、画素数の多いデジカメで画像を撮り拡大する、ルーペにて拡大して目視する等の方法により、確認することができる。これにより、必要時には伝えたいが容易に見られたくないという相反する情報を保存することができる。また、フィルムは磁気データではないので、キャッシュカードのように非接触によるスキャンにより重要な情報が洩れる恐れもない。必ず手に取って処理しなければ内容を確認することができない。
【0012】
・容易に改ざん、変更がなされないことという課題については、フィルムの内容を変更するためには、フィルムを作り直さなければならず、紙のように手で文字を付け加えたり、修正液で修正することはできないので、この課題はクリアできる。もちろん書いた後で消すことのできるボールペンを使うこともできない。
【0013】
・壊れたり、読めなくなったりしたら、すぐにその状態が分かることという課題については、マイクロフィルムはUSBメモリ、光ディスク等に保存されているデータとは違い、その内容が壊れていれば、目視で確認できるため、この課題はクリアできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本願発明の器具の例としての認識票、ドッグタグまたはIDタグ
【
図2】本願発明の器具の例として板状のケースに入れて使用する認識票
【
図3】本願発明の器具の例として筒状のケースに入れて使用する認識票
【
図4】本願発明の器具の例として動物の首輪、迷子札
【
図5】上記動物の首輪、迷子札にプロジェクター機能を持たせた器具
【
図8】本願発明の請求項1の器具の例としてのマイナンバーカード
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願発明では撮影により画像や情報を保持することができる様々なフィルムを使用する。本願発明の認識票、迷子札、タグ等の情報提供器具を使用する場合、まずこの発明に合わせた形で情報をフィルムに撮影しなくてはならない。フィルムは写真フィルム、映画フィルム等様々なものが販売されているが、耐久性を考慮すると、長期保存に有利とされるPET(ポリエステル)ベースのモノクロマイクロフィルムを使用することがより好ましい。ここからは実施例として特に断り書きがなければPET(ポリエステル)ベースのモノクロマイクロフィルムを使用したこととして次々と説明を記述する。耐久性がそこまで必要とされないならば、通常の写真フィルム等でも同様に本願発明を実施することができる。
【0016】
まず、マイクロフィルムを撮影する。マイクロフィルム16mmのロールフィルム1コマにA4用紙1枚を撮影することを前提とすると、誰が読んでも不都合なく、すぐに提供したい情報は目視で読める程度の大きさが必要となる。そのような文字を記入する場合、撮影方法等の条件により異なるがA4用紙の資料にフォントをMSゴシックであれば70ポイント以上での記述が好ましい。万人においそれと確認されたくない重要な情報、センシティブな情報等の場合はMSゴシックであれば34ポイント以下での記述が好ましい。この場合、目視では文字を読み取ることはできなくなるが、現像する、マイクロフィルムの専用機械で読み取る、コピー機にて拡大コピーをする、画素数の多いデジカメで画像を撮り拡大する、ルーペにて拡大して目視する等の方法により確認することができる。なお、前記に示したフォント文字の大きさは、撮影方法や確認する人間によってもフィルムの見え方が異なるため、試作段階で複数人にて文字の大きさを確認することが好ましい。
【0017】
次に撮影したマイクロフィルムを切断する。マイクロフィルムのサイズは35mmと16mm等があり、リールに巻かれているロールフィルムが代表的なものである。情報提供器具として使用するためには必要なコマを切り出して使用する。また、コマにこだわらず、コマ内の必要な個所のみ切り取り使用することもできる。
【0018】
マイクロフィルムをそのまま使ってもよいが、マイクロフィルムを衝撃から保護し、携帯、装着し易いようにするためには、アクリルや耐熱ガラス等の透明な板状の物質に挟んだり(2)、あるいはマイクロフィルムを板状(7)(8)や筒状(9)(10)の小さな容器に入れたりして保護することが好ましい。そして、フィルムの特性を考えると、完全に密封されていることが好ましい。金属を使用する場合は耐腐食性のもの、腐食防止加工したものを使用するのが好ましい。木製材料のものや、塩素化樹脂、可塑剤の多い樹脂によって仕上げたものは使用しないことが好ましい。これをキーホルダーや腕輪、足輪、ネックレス、首輪、タグ等として認識票、迷子札、タグ等の情報提供器具の用途にて使用できるようにする。
【実施例1】
【0019】
自衛隊等のドッグタグ、IDタグ等の認識票として使用する場合を例にあげる。通常これらのタグは金属を彫ったり刻印して性、名、認識番号、血液型、宗教等の情報を保持させている。本願発明を使用すれば、これらの情報の他に、万人には知られたくないが、万が一の時に知らせる必要がある重要な情報、センシティブな情報を保持することができる。また、マイクロフィルムにより情報量が多くなるので、自国語以外の英語等の情報を記述することもできる。
【0020】
図1はドッグタグ、IDタグのひとつの例としてマイクロフィルム(1)の裏表両面を透明な耐熱耐衝撃ガラスで挟んで保護し、首からかけて使用できるよう穴をあけて紐(5)を通しているものである(2)。通常のドッグタグ、IDタグと一緒に紐(5)に通して使用することもできる。その他の例として、
図2はマイクロフィルム(1)を板状の容器(8)に入れて蓋(7)をして密閉し、首からかけて使用できるよう紐(5)を通した例である。この例のマイクロフィルム(1)は本人の画像(6)も使用している。カラーフィルムを使用することもできるが、その場合は一般的にモノクロフィルムより劣化が早くなる。
図3はマイクロフィルム(1)を丸めて筒状の容器(10)に入れて蓋(9)をして密閉し、首からかけて使用できるよう紐(5)を通したものである。
【0021】
マイクロフィルムには性、名、認識番号のようなドッグタグ、IDタグに記載されている情報は直接目視できる程度の文字の大きさになるよう撮影(3)し、万人には知られたくないが、必要な時に知らせる必要がある重要な情報、センシティブな持病等の情報は文字を小さくして拡大しないと判別できないように撮影(4)することができる。ドッグタグを本人ではなく他人が確認するような状況下では、本人が喋れない状態にあることも想定される。本願発明のドッグタグ、IDタグを使用すれば、そのような情報もマイクロフィルムを拡大することで確認できるので、本人のために薬品を用意するなど必要な処置をとってもらうことができる。
【実施例2】
【0022】
飼育されている動物の首輪につける迷子札を例にあげる。通常首輪に多くの情報を持たせようとするならば、首輪から迷子札をぶら下げて連絡先や名前を書くこととなる。しかし、この方法はその動物の身体が大きければそれほど気にならないかもしれないが、小型犬や猫のような小型の動物に装着した場合、情報を多く記述しようと考え大きい迷子札を使用すると、大きく重くなり動物自体がそれを嫌がる可能性がある。そして首輪の見た目、ファッション性も損なってしまう。首輪自体に連絡先を記入できるものもあるが、小型犬や猫のような小型の動物では記入領域が狭く、どうしても情報が少なくなる。
【0023】
本願発明の情報提供器具を動物の首輪に使用した場合、首輪を大きくすることなくファッション性も損なうことなく数多くの情報を持たせることができる。電話番号、飼い主あるいは担当者の名前はもちろん、住所、持病の治療状況等を記述できる。また、自国の言葉だけでなく、英語等の他言語でも記述することができる。また、モノクロ写真の動物画像を使用することができるし、フィルムの耐用年数はモノクロフィルムより短くなるが、カラーフィルムにて動物画像を使用することもできる。もし、何らかの事故で動物から首輪が外れてしまった場合、このモノクロ、カラーの動物画像により発見した人がどのような特徴の動物の首輪だったのか判断することができる。
【0024】
図4は本願発明による首輪(11)の例である。名前や連絡先、飼主の名前については、直接目視できる大きい字で撮影(12)されており、誰にでも確認できるようになっている。それに対して、住所や動物の持病については、目視できない小さい字で撮影(13)されており、ルーペ等で拡大しないと内容を確認することができない。
【0025】
図5は
図4のマイクロフィルムの表面を透明な耐熱ガラスで保護し、フィルムの後方にLEDライト等を使用した小型プロジェクターの機能を持たせた器具(14)である。単体で机等の面に画像を投影できるので、簡単にマイクロフィルムの情報を確認でき便利である。マイクロフィルムを直接見ても目視できないほど小さい字で撮影(13)されている情報でも、投影されて拡大されれば中身を目視することができる(16)。なお、このように使用する場合、マイクロフィルムの向きを裏表変えられるような仕組みとするか、あらかじめ投影することを考えてマイクロフィルムを組み込んでおかなければならない。
【実施例3】
【0026】
本願発明を子供や老人の腕輪の迷子札として使用する場合を例にあげる。
腕輪を大きくすることなくファッション性も損なうことなく数多くの情報を持たせることができる。氏名、電話番号あるいは緊急連絡先はもちろん、住所、持病の治療状況等を記述できる。また、自国の言葉だけでなく、英語等の他言語でも記述することができる。また、本人画像としてモノクロ写真を使用することができるし、耐用年数はモノクロフィルムより短いが、カラーフィルムで写真を使用することもできる。もし、何らかの事故で腕輪が外れてしまった場合、このモノクロ、カラー写真により発見した人がどのような特徴の方だったのか確かめることができる。
【0027】
図6は本願発明による腕輪(17)の例である。氏名、電話番号、緊急連絡先については、直接目視できる大きい字で撮影(18)されており、誰にでも確認できるようになっている。それに対して、住所や持病については、目視できない小さい字で撮影(19)されており、ルーペ等で拡大しないと内容を確認することができない。また、本人画像(20)を配置している。
【実施例4】
【0028】
本願発明を荷札として使用する場合を例にあげる。宛先は発送に必要なため常に確認できる状況でなければならず、差出人は個人情報保護のためなるべく秘匿したい場合を考えると
図7のような実施例となる。荷札(21)のなかの宛先情報は直接目視できる文字で撮影(22)し、差出人情報は拡大しないと判別できない文字で撮影(23)することにより、目的を達成することができる。
【実施例5】
【0029】
本願発明をマイナンバーカードとして使用する場合を例にあげる。
図8はマイナンバーカード(24)として使用した実施例である。この例では目視にて元の色を正確に確認できるポジフィルムを想定している。また、マイクロフィルムではなく、普通のフィルムより大きいキャッシュカードサイズのフィルムを想定している。マイナンバーカード(24)には本人確認のため、知らせなければならない情報および、特定の人、会社にしか知らせてはいけない情報が同時に記載されているため、この相反する情報をどのように扱うかが問題となる。本願発明によりこの相反する情報を同時に提供することができる。キャッシュカードサイズのポジフィルムに氏名、住所、生年月日等の本人確認のために使用する情報は直接目視できる大きさの文字で撮影し(25)、性別、臓器提供の意思、個人番号等の万人に知らせたくない情報については、目視できないほどの小さな文字で撮影しておく(26)。小さな文字はルーペ等で拡大する、プロジェクターで写す等の処理を経て拡大しないと判別できないようになっており、通常の等倍コピーではこの文字は判別できない。最後に本人確認のためのの画像情報を撮影する(27)。これにより、マイナンバーカードとして相反する情報を同時に持つという目的を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
世の中の情報技術の進化は目を見張るばかりで、クラウドストレージシステムが個人でも手軽に利用でき、大量の情報に世界中からアクセスすることができる。しかし、それらの仕組みが無くなった、あるいは使えなくなった時どのようにすれば良いか。自分と他人を守るためにどのようなことができるか考えることは重要である。また、写真フィルム、マイクロフィルムのような既存の技術を見直すことも必要であり、これらに新たな価値を見出すことで、技術が失われることを防ぎ、未来に継承していくことができると考える。
【符号の説明】
【0031】
1…マイクロフィルム
2…耐熱耐衝撃ガラスにてマイクロフィルムを挟んだ認識票
3…万人が確認できる情報が撮影されたマイクロフィルムの領域
4…秘匿情報が撮影されたマイクロフィルムの領域
5…紐
6…本人画像
7…板状の密閉容器の蓋
8…板状の密閉容器
9…筒状の密閉容器の蓋
10…筒状の密閉容器
11…本願発明の器具 実施例2 動物の首輪の迷子札
12…万人が確認できる情報が撮影されたマイクロフィルムの領域
13…秘匿情報が撮影されたマイクロフィルムの領域
14…プロジェクター機能を備えた(11)の首輪
15…投影されたマイクロフィルム内の万人が確認できる情報
16…投影されたマイクロフィルム内の秘匿情報
17…本願発明の器具 実施例3 人間の腕輪の迷子札
18…万人が確認できる情報が撮影されたマイクロフィルムの領域
19…秘匿情報が撮影されたマイクロフィルムの領域
20…本人画像
21…本願発明の器具 実施例4 荷札
22…万人が確認できる情報が撮影されたマイクロフィルムの領域
23…秘匿情報が撮影されたマイクロフィルムの領域
24…本願発明の器具 実施例5 マイナンバーカード
25…万人が確認できる情報が撮影されたマイクロフィルムの領域
26…秘匿情報が撮影されたマイクロフィルムの領域
27…本人画像