(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】反射光分布測定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/55 20140101AFI20221130BHJP
【FI】
G01N21/55
(21)【出願番号】P 2021139043
(22)【出願日】2021-08-27
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(73)【特許権者】
【識別番号】592004404
【氏名又は名称】中央精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】井上 信一
(72)【発明者】
【氏名】津村 徳道
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 美範
(72)【発明者】
【氏名】星 武幸
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-24988(JP,U)
【文献】特開昭52-26848(JP,A)
【文献】特開2009-109414(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0080357(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/958
G01M 11/00 - G01M 11/08
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
点光源の点像から収束光を生成し、前記収束光を被測定球面の焦点に集光するように前記被測定球面へ照射する投光側光学系と、
前記被測定球面で反射した平行光を受光側コリメータレンズで受光して結像させ点像に戻す受光側光学系と、
前記結像した点像の光量分布を測定する測定部と、
を備えた反射光分布測定装置。
【請求項2】
前記投光側光学系は、前記収束光が集光する集光点を光軸方向に自在に変えられる機能を有する、
請求項1記載の反射光分布測定装置。
【請求項3】
前記投光側光学系は、投光側コリメータレンズと、前記投光側コリメータレンズ及び前記点光源の少なくとも一方を光軸方向に移動自在に支持する投光側支持体と、を有する、
請求項2記載の反射光分布測定装置。
【請求項4】
前記被測定球面を光軸方向に移動自在に支持する被測定側支持体を、
更に備えた請求項1乃至3のいずれか一つに記載の反射光分布測定装置。
【請求項5】
前記被測定球面の焦点から前記被測定球面までの距離を測定する測距部を、
更に備えた請求項1乃至4のいずれか一つに記載の反射光分布測定装置。
【請求項6】
投光側光学系によって、点光源の点像から収束光を生成し、前記収束光を被測定球面の焦点に集光するように前記被測定球面へ照射し、
受光側光学系によって、前記被測定球面で反射した平行光をコリメータレンズで受光して結像させ点像に戻し、
測定部によって、前記結像した点像の光量分布を測定する、
反射光分布測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定面から戻ってきた反射光について光量分布などを測定する反射光分布測定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定面の角度を測定するオートコリメータは、平行光を投光し被測定面で反射した反射光をコリメータ光学系で点像とし、その点像の位置から被測定面の角度を測定する構成である。その被測定面には、平面でかつ鏡面反射の強い物体、一般的にはミラーが使われている。
【0003】
また、コリメータ光学系を用いて、物体の反射光の角度分布であるBRDF(Bidirectional Reflectance Distribution Function)を測定する技術は、本発明者により開示されている(特許文献1)。
【0004】
このBRDFとは、双方向反射率分布関数とも呼ばれる反射モデルの一つであり、反射表面上の点において、光がある方向から入射したとき他の方向へどれだけ反射されるか、を表す関数である。コンピュータグラフィックスの分野において、物体表面の質感を向上させるために、BRDFの情報は今後ますます重要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許5204723号公報「点像の鏡面反射光分布測定方法および測定装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、コリメータ光学系を用いて物体のBRDFを測定する技術では、平面に対しては高精度な測定結果が得られるものの、曲面に対しては測定精度が落ちるという問題があった。特にコンピュータグラフィックスで表示したい対象(例えば工業製品や美術品等)は曲面で構成されている場合が多いため、曲面でも高精度にBRDFを測定できる技術が待望されている。
【0007】
そこで、本発明の目的は、被測定面が曲面である場合にも高精度にBRDF等を測定できる反射光分布測定装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記従来技術において曲面の測定精度が落ちる理由について、実験及び考察を繰り返したところ、照射された平行光が曲面で反射して広がってしまい、反射光が平行光にならないことをつきとめた。本発明はこの知見に基づきなされたものである。
【0009】
すなわち、本発明に係る反射光分布測定装置は、
点光源の点像から収束光を生成し、前記収束光を被測定球面の焦点に集光するように前記被測定球面へ照射する投光側光学系と、
前記被測定球面で反射した平行光を受光側コリメータレンズで受光して結像させ点像に戻す受光側光学系と、
前記結像した点像の光量分布を測定する測定部と、
を備えた装置である。
【0010】
そして、本発明に係る反射光分布測定方法は、
投光側光学系によって、点光源の点像から収束光を生成し、前記収束光を被測定球面の焦点に集光するように前記被測定球面へ照射し、
受光側光学系によって、前記被測定球面で反射した平行光をコリメータレンズで受光して結像させ点像に戻し、
測定部によって、前記結像した点像の光量分布を測定する、
方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被測定面を曲面から球面に近似し、収束光を被測定球面の焦点に集光するように被測定球面へ照射することにより、被測定球面からの反射光が平行光になるので、コリメータレンズで精度よく点像に戻すことができ、被測定面が曲面である場合にも高精度にBRDF等を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1の反射光分布測定装置を示す構成図である。
【
図2】
図1の一部を拡大して示す部分拡大図である。
【
図3】光軸方向の原点から点光源までの距離と投光側コリメータレンズから収束光の集光点までの距離(光路長)との関係について、一例を示すグラフである。
【
図4】実施形態1における凸面の測定原理を示す概念図である。
【
図5】実施形態1における凹面の測定原理を示す概念図である。
【
図6】実施形態2の反射光分布測定装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について説明する。
【0014】
<実施形態1>
図1は、実施形態1の反射光分布測定装置を示す構成図である。
図2は、
図1の一部を拡大して示す部分拡大図である。以下、
図1及び
図2に基づき説明する。
【0015】
本実施形態1の反射光分布測定装置11は、投光側光学系20と受光側光学系30と測定部40とを備えている。投光側光学系20は、点光源21の点像から収束光22を生成し、収束光22を被測定球面50の焦点51に集光(収束)するように被測定球面50へ照射する。受光側光学系30は、被測定球面50で反射した平行光31を受光側コリメータレンズ32で受光して結像させ点像に戻す。測定部40は、結像した点像の光量分布を測定する。なお、
図2では、収束光22及び平行光31を、被測定球面50よりもかなり拡大して示している。
【0016】
投光側光学系20は、投光側コリメータレンズ23と、投光側コリメータレンズ23及び点光源21の少なくとも一方を光軸方向xに移動自在に支持する投光側支持体24と、を有する。これにより、投光側光学系20は、収束光22が集光する集光点27を光軸方向xに自在に変えられる機能を実現している。
図2では、集光点27を焦点51に一致させた状態を示している。
【0017】
なお、本実施形態1では、点光源21のみを光軸方向xに移動自在に支持する投光側支持体24を例示している。投光側光学系20は、投光側コリメータレンズ23の代わりに凹面鏡などを用いて構成してもよい。また、例えば可変焦点レンズ又は電気光学レンズなどを用いて、収束光22が集光する集光点27を光軸方向xに電気的に変えるようにしてもよい。
【0018】
投光側光学系20は、点光源21、投光側コリメータレンズ23及び投光側支持体24の他に、絞り板25及びハーフミラー26を有している。点光源21は、発光ダイオード又は半導体レーザなどの光源21aと、光源21aの出射側に設けられたピンホール板21bとからなる。この構成によって、点光源21から点像が得られる。投光側支持体24は、例えば図示しないステージ、送りねじ及びパルスモータなどを有し、ステージ上の点光源21の位置を送りねじ及びパルスモータによって光軸方向xに自在に変えられる。なお、パルスモータの代わりに、手動によって送りねじを回転させるようにしてもよい。
【0019】
受光側光学系30は、受光側コリメータレンズ32の他に、ハーフミラー26を有している。ハーフミラー26は、投光側光学系20と受光側光学系30との共用部品である。
【0020】
測定部40は、CCDセンサ又はCMOSセンサなどの二次元イメージセンサ41を有する。二次元イメージセンサ41の受光面は、受光側コリメータレンズ32の焦点に位置する。二次元イメージセンサ41の受光面に結像された点像は、二次元座標上のフォトセルごとの光量(すなわち光量分布)として電気信号に変換され、コンピュータへ出力されたり、ディスプレイなどに拡大表示されたりする。そのコンピュータには、入力した光量分布に基づき被測定球面50の変角光度及び偏角光度を算出する機能、及び、光量分布の半値幅が最小となるように投光側支持体24を制御する機能を、コンピュータプログラムによって実現してもよい。
【0021】
図1及び
図2では、被測定球面50が凸面の場合を示している。被測定球面50は、実際の物体表面の曲面を球面に近似したものである。
図2において、被測定球面50から焦点51までの距離が焦点距離rであり、被測定球面50から被測定球面50の中心52までの距離が曲率半径Rである。焦点51は幾何光学で定義される焦点であり、焦点51に向かう光線は被測定球面50で反射して光軸に平行な光線となる。中心52は、被測定球面50を外表面の一部とする球体の中心である。焦点51及び中心52は光軸上に位置する。幾何光学の分野において、曲率半径Rと焦点距離rはR=2rの関係にあることが知られている。
【0022】
図3は、光軸方向xの原点x0から点光源21までの距離Xと投光側コリメータレンズ23から収束光22の集光点27までの距離(光路長)Yとの関係について、一例を示すグラフである。以下、
図1及び
図2に
図3を加えて、反射光分布測定装置11の動作の一例を説明する。ここで、原点x0はコリメータレンズ23の焦点位置である。点光源21の位置は、ピンホール板21bのピンホール位置である。したがって、原点x0から点光源21までの距離Xは、点光源21の移動量である。距離Xが0.0のとき、点光源21はコリメータレンズ23の焦点位置であり、収束光22の焦点位置は無限大となり、これは平行光である。
【0023】
まず、反射光分布測定装置11に対向する定位置に、被測定球面50を設置する。反射光分布測定装置11をオンにすると、点光源21から点像が出射される。点像は投光側コリメータレンズ23で収束光22に変換され、収束光22はハーフミラー26で反射して被測定球面50へ向かう。
図2に示すように、収束光22の集光点27が被測定球面50の焦点51に一致すれば、幾何光学で説明されるとおり、収束光22は被測定球面50で反射して平行光31になる。平行光31は、ハーフミラー26及び受光側コリメータレンズ32を透過し、二次元イメージセンサ41の受光面に点像として結像される。このとき、二次元イメージセンサ41で測定された光量分布の半値幅が最小になれば、収束光22の集光点27が被測定球面50の焦点51に完全に一致したことになる。
【0024】
収束光22の集光点27が被測定球面50の焦点51に一致しない場合は、収束光22は被測定球面50で反射しても広がってしまい平行光31にはならない。そのため、二次元イメージセンサ41の受光面にはぼやけた像しか映らないので、光量分布の半値幅も大きくなる。この場合は、光量分布の半値幅が最小となるまで、投光側支持体24によって点光源21を光軸方向xに少しずつ移動させる。
【0025】
図3において、横軸は光軸方向xの原点x0から点光源21までの距離X、縦軸は投光側コリメータレンズ23から収束光22の集光点27までの距離(光路長)Y、実線は計算値、▲は実測値である。ここで、点光源21が投光側コリメータレンズ23から離れる方向を、光軸方向xの正方向とする。
図3に示すように、点光源21を光軸方向xの正方向へ移動させるほど(距離Xが大きくなるほど)、収束光22の集光点27は投光側コリメータレンズ23に近づく(距離Yは小さくなる)。
【0026】
本実施形態1では、光軸方向xの原点x0を、投光側コリメータレンズ23の焦点位置としている。そのため、点光源21のピンホール板21bが原点x0に位置するときは、点光源21の点像が投光側コリメータレンズ23で収束光ではなく平行光になる。このとき、平面(被測定球面50の曲率半径Rが無限大)に対して、BRDF等の測定が可能となる。点光源21を原点x0から光軸方向xの正方向へ少しずつ移動させると(距離Xを少しずつ大きくすると)、収束光22の集光点27は無限遠から投光側コリメータレンズ23側へ少しずつ近づく(距離Yが少しずつ小さくなる)。換言すると、点光源21を原点x0から光軸方向xの正方向へ少しずつ移動させると、測定対象となる被測定球面50の曲率半径Rが無限大から少しずつ小さくなる。もちろん、これとは逆に、距離Xを少しずつ小さくすることにより、距離Yを少しずつ大きくするようにしてもよい。
【0027】
投光側支持体24は、被測定球面50の焦点51から被測定球面50までの距離(焦点距離r)を測定する測距部としても動作する。定位置に被測定球面50を設置したとき、投光側コリメータレンズ23から被測定球面50までの距離Y0は既知である。このとき、投光側支持体24の操作時に距離Xを測定しておけば、距離Xに対応する距離Yが
図3から求められる。距離Yは投光側コリメータレンズ23から収束光22の集光点27(すなわち焦点51)までの距離であるから、r=Y-Y0となる。したがって、R=2rの関係から曲率半径Rが得られる。距離Xは、例えば、電気信号として出力することにより、又は、目盛りを読み取ることにより、測定可能である。なお、曲率半径Rを測定しない場合は、距離Y0が不要であるから、定位置ではなく任意の位置に被測定球面50を設置してもよい。
【0028】
図4は、実施形態1における凸面の測定原理を示す概念図である。
図5は、実施形態1における凹面の測定原理を示す概念図である。以下、
図1及び
図2に
図4及び
図5を加えて説明する。
【0029】
図4は被測定球面50が凸面の場合である。被測定球面50の焦点51及び中心52は被測定物「内」の光軸上に位置する。
図4では、焦点51を集光点27に一致させた状態を示している。
図5は被測定球面60が凹面の場合である。被測定球面60の焦点61及び中心62は、被測定物「外」の光軸上に位置する。中心62は、被測定球面60を内表面の一部とする球体の中心である。
図5では、焦点61を集光点27に一致させた状態を示している。凸面も凹面も、収束光22をそれぞれ被測定球面50,60の焦点51,61に集光するように被測定球面50,60へ照射する、という点では同じである。そのため、収束光22は、被測定球面50,60のどちらで反射しても、平行光31になる。よって、被測定球面60が凹面の場合でも、被測定球面50が凸面の場合と同様に、BRDF等を測定可能である。
【0030】
図4からわかるように、収束光22が焦点51に集光する前に被測定球面50(凸面)で反射して平行光31になるとき、その光束は光軸に垂直な面において上下左右反転しない。しかし、
図5からわかるように、収束光22が焦点61に集光した後に被測定球面60(凹面)で反射して平行光31になるとき、その光束は光軸に垂直な面において焦点61を境に上下左右反転する。この違いを利用して、被測定球面が凸面であるか凹面であるかを判定できる。例えば、光軸に垂直な直線に対して、点像(チャート像)を非対称とすればよい。
【0031】
次に、反射光分布測定装置11の効果について説明する。
【0032】
(1)反射光分布測定装置11によれば、被測定面を曲面から球面に近似し、収束光22を被測定球面50の焦点51に集光するように被測定球面50へ照射することにより、被測定球面50からの反射光が平行光31になるので、受光側コリメータレンズ32で精度よく点像に戻すことができ、被測定面が曲面(被測定球面50)である場合にも高精度にBRDF等を測定できる。
【0033】
(2)投光側光学系20において収束光22が集光する集光点27を光軸方向xに自在に変えられる機能を有する場合は、広範囲の位置にある焦点51にも収束光22を集光できるので、広範囲の焦点距離rを持つ被測定球面50に対しても高精度にBRDF等を測定できる。
【0034】
(3)投光側光学系20において投光側コリメータレンズ23及び点光源21の少なくとも一方を光軸方向xに移動自在に支持する投光側支持体24を有する場合は、投光側コリメータレンズ23の焦点位置に点光源21を置くこともできるので、平面から曲面(凸面及び凹面)までの多様な被測定面に対しても高精度にBRDF等を測定できる。また、平面から曲面(凸面及び凹面)までの多様な被測定面の角度を測定できるオートコリメータとしても、利用可能である。
【0035】
(4)被測定球面50の焦点51から被測定球面50までの距離(焦点距離r)を測定する測距部を備えた場合は、焦点距離rを二倍すれば曲率半径Rを求められることから、BRDF等と同時に曲率半径Rも測定できる。しかも、曲率半径Rそのものを測定する場合に比べて半分の距離を測定すればよいので、曲率半径Rの測定を簡易化できる。
【0036】
(5)反射光分布測定装置11の動作を方法の発明として捉えると、次の工程を含む反射光分布測定方法となる。
投光側光学系20によって、点光源21の点像から収束光22を生成し、収束光22を被測定球面50の焦点51に集光するように被測定球面50へ照射する工程。
受光側光学系30によって、被測定球面50で反射した平行光31を受光側コリメータレンズ32で受光して結像させ点像に戻す工程。
測定部40によって、結像した点像の光量分布を測定する工程。
この反射光分布測定方法も、反射光分布測定装置11と同等の作用及び効果を奏する。
【0037】
<実施形態2>
図6は、実施形態2の反射光分布測定装置を示す構成図である。以下、
図2及び
図6に基づき説明する。本実施形態2では、実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0038】
本実施形態2の反射光分布測定装置12は、投光側支持体24(
図1)の代わりに、被測定球面50を光軸方向xに移動自在に支持する被測定側支持体70を備える点で、実施形態1と異なる。被測定側支持体70は、投光側支持体24(
図1)と同様、例えば図示しないステージ、送りねじ及びパルスモータなどを有し、ステージ上の被測定物(被測定球面50)の位置を送りねじ及びパルスモータによって光軸方向xに自在に変えられる。本実施形態2における投光側光学系80では、点光源21が動かないように固定されている。すなわち、収束光22の集光点27の位置は固定されている。また、投光側光学系80は、投光側支持体24(
図1)と同様、被測定球面50の焦点51から被測定球面50までの距離(焦点距離r)を測定する測距部として、動作するようにしてもよい。なお、光軸方向xの正方向は、被測定球面50が投光側光学系80に近づく方向とする。
【0039】
次に、反射光分布測定装置12の動作の一例を説明する。例えば、収束光22の集光点27の位置(固定)を原点x0とし、原点x0に被測定球面50を設置する。この場合、反射光分布測定装置12をオンにすると、収束光22の集光点27が被測定球面50の焦点51に一致しないため、被測定球面50からの反射光は平行光31にはならない。そこで、二次元イメージセンサ41で測定される光量分布の半値幅が最小となるまで、被測定側支持体70によって被測定球面50を光軸方向xに少しずつ移動させる。つまり、被測定球面50が収束光22の集光点27(固定)に一致する位置から、被測定球面50の焦点51が収束光22の集光点27(固定)に一致する位置まで、被測定球面50を光軸方向xの正方向へ移動させる。このとき、
図5に示すように、被測定球面60が凹面である場合は移動方向が逆になる。そして、その移動距離が焦点距離rに相当するので、焦点距離rを二倍することによって曲率半径Rも求められる。なお、曲率半径Rを測定しない場合は、被測定球面50の移動距離(焦点距離r)の測定が不要になるので、原点x0ではなく任意の位置に被測定球面50を設置してもよい。
【0040】
反射光分布測定装置12によれば、収束光22が集光する集光点27を光軸方向xに自在に変えられる機能を投光側光学系80に設けなくてよいので、投光側光学系80を簡素化できる。その結果、既存のオートコリメータを、僅かな変更を加えるだけで反射光分布測定装置12に利用できる。反射光分布測定装置12のその他の作用及び効果は、実施形態1の反射光分布測定装置11(
図1)のそれらと同様である。なお、反射光分布測定装置12は、被測定側支持体70及び投光側支持体24(
図1)の両方を備えるようにしてもよい。
【0041】
<その他>
以上、上記実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができ、そのように変更された技術も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
11,12反射光分布測定装置
20,80 投光側光学系
21 点光源
21a 光源
21b ピンホール板
22 収束光
23 投光側コリメータレンズ
24 投光側支持体
25 絞り板
26 ハーフミラー
27 集光点
30 受光側光学系
31 平行光
32 受光側コリメータレンズ
40 測定部
41 二次元イメージセンサ
50,60 被測定球面
51,61 焦点
52,62 中心
70 被測定側支持体
x 光軸方向
x0 原点
r 焦点距離
R 曲率半径
X,Y,Y0 距離
【要約】
【課題】 被測定面が曲面である場合にも高精度にBRDF等を測定できる反射光分布測定装置及び方法を提供する。
【解決手段】 反射光分布測定装置11は、投光側光学系20と受光側光学系30と測定部40とを備えている。投光側光学系20は、点光源21の点像から収束光22を生成し、収束光22を被測定球面50の焦点51に集光するように被測定球面50へ照射する。受光側光学系30は、被測定球面50で反射した平行光31を受光側コリメータレンズ32で受光して結像させ点像に戻す。測定部40は、結像した点像の光量分布を測定する。
【選択図】
図1