(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】コンプレッサ
(51)【国際特許分類】
F04B 41/00 20060101AFI20221130BHJP
B01D 46/52 20060101ALI20221130BHJP
B08B 5/02 20060101ALI20221130BHJP
F04B 37/16 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
F04B41/00 Z
B01D46/52 Z
B08B5/02 Z
F04B37/16 E
(21)【出願番号】P 2017139023
(22)【出願日】2017-07-18
【審査請求日】2020-06-17
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名:社内展示会 並び 新社屋内覧会、展示日:平成29年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】石垣 洋二
(72)【発明者】
【氏名】田中 悟
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】冨永 達朗
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-313457(JP,A)
【文献】米国特許第5230723(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0044660(US,A1)
【文献】特開2005-226639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 41/00
B01D 46/52
B08B 5/02
F04B 37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の上部の側面に設けられた開口部に配置され、空気から微粒子を除去するエアフィルタと、
前記エアフィルタを通過した空気を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機と共に前記筐体の下部に配置され、前記圧縮機を駆動するモータと、
前記エアフィルタと前記圧縮機と前記モータとを収容する直方体の筐体と、
を備え、
前記エアフィルタは、前記圧縮機に対して、上下方向から外れた位置に設けられていると共に、前記上下方向に直交する水平方向から外れた位置に設けられ、
前記エアフィルタを通過した空気を前記圧縮機に導く配管に導入する吸引部を備え、前記吸引部は、下底が開口した錐台の形状を有し、該下底に前記エアフィルタが位置するように配置されると共に、前記吸引部の下部
の錐体面と、当該吸引部の下に配置した前記圧縮機を配管で繋ぐことで、前記筐体の奥行を小さくしたことを特徴とするコンプレッサ。
【請求項2】
前記エアフィルタは、メッシュから構成される1次フィルタと、該1次フィルタの下流に配置され、不織布から構成される2次フィルタと、該2次フィルタの下流に配置され、蛇腹折りにされたHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタから構成される3次フィルタと、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプレッサに関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄後の水切りやワークに付着したゴミやホコリを除去するエアブロー装置には、コンプレッサから排出する圧縮空気が用いられている。例えば、特許文献1は、圧縮空気を供給するブロアを本体ハウジング内に設置した除水機を開示している。
【0003】
圧縮空気で洗浄後の水切りやワークに付着したゴミやホコリを除去した後、ワーク等に圧縮空気に含まれていた微粒子が付着しないことが望まれている。このため、コンプレッサが排出する圧縮空気は、微粒子を含んでいないことが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンプレッサが排出する圧縮空気に微粒子が含まれないように、微粒子を除去するフィルタを備えると、コンプレッサのサイズが大きくなり、設置するために大きい床面積が必要となるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、微粒子を取り除いた圧縮空気を排出し、狭い面積の床に配置できるコンプレッサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るコンプレッサは、
筐体の上部の側面に設けられた開口部に配置され、空気から微粒子を除去するエアフィルタと、
前記エアフィルタを通過した空気を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機と共に前記筐体の下部に配置され、前記圧縮機を駆動するモータと、
前記エアフィルタと前記圧縮機と前記モータとを収容する直方体の筐体と、
を備え、
前記エアフィルタは、前記圧縮機に対して、上下方向から外れた位置に設けられていると共に、前記上下方向に直交する水平方向から外れた位置に設けられ、
前記エアフィルタを通過した空気を前記圧縮機に導く配管に導入する吸引部を備え、前記吸引部は、下底が開口した錐台の形状を有し、該下底に前記エアフィルタが位置するように配置されると共に、前記吸引部の下部の錐体面と、当該吸引部の下に配置した前記圧縮機を配管で繋ぐことで、前記筐体の奥行を小さくしたことを特徴とする。
【0010】
前記エアフィルタは、メッシュから構成される1次フィルタと、該1次フィルタの下流に配置され、不織布から構成される2次フィルタと、該2次フィルタの下流に配置され、蛇腹折りにされたHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタから構成される3次フィルタと、を有するとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、モータおよび圧縮機の上部にエアフィルタを配置することで、微粒子を取り除いた圧縮空気を排出し、狭い面積の床に配置できるコンプレッサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係るエアブロー装置を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るコンプレッサを示す正面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るコンプレッサを示す上面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るコンプレッサを示す側面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るコンプレッサを示す背面図である。
【
図6】(A)は、本発明の実施の形態に係るコンプレッサを示す上面外観図であり、(B)は、本発明の実施の形態に係るコンプレッサを示す左面外観図であり、(C)は、本発明の実施の形態に係るコンプレッサを示す正面外観図であり、(D)は、本発明の実施の形態に係るコンプレッサを示す右面外観図であり、(E)は、本発明の実施の形態に係るコンプレッサを示す背面外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態に係るエアブロー装置およびコンプレッサを図面を参照しながら説明する。
【0016】
本実施の形態に係るエアブロー装置1は、
図1に示すように、コンプレッサ100と、コンプレッサ100から送られた圧縮空気を吹き出すノズル200と、を備える。
【0017】
ノズル200は、複数設けられ、エア分配器210にフレキシブル配管220を介して取り付けられている。ノズル200から吹き出した圧縮空気は、洗浄後の水切りやワークに付着した切削クズなどを除去する。エア分配器210は、固定台230に固定され、コンプレッサ100から送られた圧縮空気をそれぞれのノズル200に分配する。フレキシブル配管220は、手で自由に曲げることができ、曲げた状態のままの形状を維持できるものである。エア分配器210には、配管240の一端が取り付けられている。配管240の他端は、後述するコンプレッサ100の排出口150に取り付けられている。
【0018】
コンプレッサ100は、
図2~
図6に示すように、空気を圧縮する圧縮機(ブロア)110と、圧縮機110を駆動するモータ120と、空気からゴミ、塵埃などを取り除くエアフィルタ130と、エアフィルタ130が配置される吸引部140と、圧縮機110で圧縮された空気を排出する排出口150と、吸引部140から圧縮機110に空気を導く第1の配管160と、圧縮機110から排出口に空気を導く第2の配管170と、モータ120を制御する制御部300と、上記各構成を格納する筐体400と、を備える。
【0019】
圧縮機110は、遠心圧縮機から構成され、エアフィルタ130を通過した空気を圧縮し、圧縮した空気を排出口150から排出する。圧縮機110は、羽根車により径方向外向(遠心方向)に空気を送り、送られた空気をディフューザで減速させることにより、空気を圧縮する。
【0020】
モータ120は、電気により圧縮機110を駆動するものであり、圧縮機110と共に筐体400の下部に配置される。モータ120は、単層交流直流モータ、三相交流直流モータ等から構成され、1.5~3.7kWの出力を有することが好ましい。例えば、1.5kWのモータ120を用いて圧縮機110を駆動すると、2.0m3/minのエア流量を得ることができる。
【0021】
エアフィルタ130は、筐体400の正面の上半分に設けられた開口部に配置され、空気からゴミ、塵埃、微粒子などを取り除くものである。エアフィルタ130は、
図3~
図4に示すように、1次フィルタ131と、1次フィルタ131の下流に配置された2次フィルタ132と、2次フィルタ132の下流に配置された3次フィルタ133と、を有する。1次フィルタ131は、目開き1.0mmのメッシュから構成され、空気からゴミなどを除去する。2次フィルタ132は、不織布から構成され、おもに1μm以上の塵埃を除去する。3次フィルタ133は、蛇腹折りにされたHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタから構成され、2次フィルタ132を通過した微粒子を除去する。3次フィルタ133の上流に2次フィルタ132が配置されていることで、3次フィルタ133が目詰まりしにくくなる。3次フィルタ133は、蛇腹折りにされることで、HEPAフィルタの面積が大きくなり、フィルタを通過する空気の圧力損失を小さくできる。
【0022】
吸引部140は、上底141が閉口し下底142が開口した角錐台の形状を有し、エアフィルタ130を通過した空気を第1の配管160に導入する。吸引部140は、下底142にエアフィルタ130が位置するように配置される。吸引部140の錐体面143には、第1の配管160が取り付けられる。吸引部140の内面には、防音シート144が貼り付けられている。吸引部140が角錐台の形状を有し、錐体面143に第1の配管160が取り付けられることで、筐体400の奥行きを小さくすることができる。
【0023】
排出口150は、筐体400の天板に配置され、圧縮機110により圧縮された空気を排出する。排出口150には、圧縮した空気を導く配管240などが取り付けられる。
【0024】
第1の配管160は、その一端部が吸引部140に取り付けられ、その他端部が圧縮機110の吸気口に取り付けられ、吸引部140から圧縮機110に空気を導く。第2の配管170は、その一端部が圧縮機110の排気口に取り付けられ、その他端部が排出口150に取り付けられ、圧縮機110から排出口150に圧縮した空気を導く。
【0025】
制御部300は、インバータ、又は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、タイマから構成され、モータ120のON、OFFを制御する。制御部300は、ユーザの操作に応じて、モータ120をONまたはOFFしてもよい。制御部300は、設定された時刻にモータ120をONまたはOFFしてもよい。例えば、制御部300は、8時00分にモータ120をONし、17時00分にモータ120をOFFする。また、制御部300は、設定された期間が経過すると、モータ120をOFFしてもよい。例えば、制御部300は、モータ120をONしてから3時間が経過した後、モータ120をOFFする。
制御部300がモータ120をONすると、モータ120は、圧縮機110を駆動する。これにより、圧縮機110はエアフィルタ130を介して吸引した空気を圧縮し、排出口150から圧縮空気を排出する。
【0026】
筐体400は、上述した圧縮機110から第2の配管170および制御部300の各構成を収容する。筐体400は、
図6(A)~
図6(E)に示すように、垂直方向の長さHが奥行きDおよび幅方向の長さWより長い直方体形状を有する。奥行きの長さDは、幅方向の長さWより小さい。筐体400の正面の上部には、開口部が設けられ、エアフィルタ130が取り付けられている。
【0027】
上記構成を有するコンプレッサ100は、筐体の上部にエアフィルタ130が取り付けられ、筐体の下部に圧縮機110およびモータ120が配置される。このため、コンプレッサ100は微粒子を取り除いた圧縮空気を排出し、狭い面積の床に配置できる。また、吸引部140が角錐台の形状を有し、錐体面143に第1の配管160が取り付けられることで、筐体400の奥行きを小さくすることができる。また、排出口150が、筐体400の天板に配置されるため、作業者や荷物の運搬の邪魔にならず、またコンプレッサ100の背面や側面を壁と隙間を空けずに配置することができる。これに対して、排出口150が、筐体400の側面に配置されると、作業者や運搬される荷物が引っかかり危険である。ノズル200はフレキシブル配管220を介して取り付けられ、フレキシブル配管220は手で自由に曲げることができ、曲げた状態のまま形状を維持できる。このため、ノズル200から圧縮空気を吹き出す向きを自由に変えることができる。
【0028】
(変形例)
上述の実施の形態では、吸引部140が角錐台の形状を有する場合について説明したが、吸引部140は、錐台形状を有するものであれば特に限定されない。例えば、吸引部140は、円錐台の形状を有してもよい。また、錐台形状の下底と上底は平行でなくてもよい。
【0029】
上述の実施の形態では、ノズル200が複数設けられる例について説明したが、ノズル200は、1つ設けられてもよい。
【0030】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0031】
1 エアブロー装置
100 コンプレッサ
110 圧縮機
120 モータ
130 エアフィルタ
131 1次フィルタ
132 2次フィルタ
133 3次フィルタ
140 吸引部
141 上底
142 下底
143 錐体面
144 防音シート
150 排出口
160 第1の配管
170 第2の配管
200 ノズル
210 エア分配器
220 フレキシブル配管
230 固定台
240 配管
300 制御部
400 筐体