(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】鳥害防止具
(51)【国際特許分類】
H02G 7/00 20060101AFI20221130BHJP
A01M 29/32 20110101ALI20221130BHJP
【FI】
H02G7/00
A01M29/32
(21)【出願番号】P 2018178127
(22)【出願日】2018-09-21
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115382
【氏名又は名称】ヨツギ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】山川 卓司
(72)【発明者】
【氏名】池側 勝己
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-074955(JP,A)
【文献】特開2012-213303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00
A01M 29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥害防止用索条を、架空電線に沿って張架された状態で該架空電線に保持するために用いられる鳥害防止具であって、
架空電線に取付けられる電線取付け部と、
前記電線取付け部に一端部が連なり、前記電線取付け部から延びる支持部と、前記電線取付け部近傍に設けられ、前記支持部の長手方向に垂直に延びる軸線を有する軸部と、を備えた第1把持部材と、
前記第1把持部材の軸部の軸線まわりに角変位可能に該軸部に連結された第2把持部材であって、前記第1把持部材との間に鳥害防止用索条を挟み込んで角変位させることによって、前記第1把持部材の支持部に前記鳥害防止用索条を押し付ける押圧部を有する第2把持部材と、を備え、
前記第1把持部材は、前記支持部から前記第2把持部材に近接する方向に延びる少なくとも1つの爪部を有
し、
前記第1把持部材の爪部は、第1爪部と、第1爪部と電線取付け部との間に設けられた第2爪部とを含み、
前記第2爪部の側面に対向する前記第2把持部材の押圧部の側面には、前記第2爪部と当接して前記軸部まわりの角変位位置を、前記軸部の軸線の方向から見て第2把持部材の押圧部と前記第1把持部材の第1爪部とが重なる位置に制限する凸部が設けられていることを特徴とする鳥害防止具。
【請求項2】
前記第2把持部材の押圧部を前記第1把持部材に押し付けた状態で前記軸部の軸線の方向から見たとき、前記爪部近傍に、前記第1把持部材の支持部に向かって立ち上がる段差部が、前記第2把持部材の押圧部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鳥害防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空電線などに、鳥が飛来して止まることを防ぐため、ワイヤ、テグスなどの線状体から成る索条を、電線に沿って平行に保持する鳥害防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の鳥害防止具は、電力線に固定される電力線固定部と電力線固定部から電力線に対して垂直な方向に延設された延設部を備え、電力線固定部によって鳥害防止具を電線に固定し、延設部に設けられた切欠きや溝などにワイヤ、テグスなどの索条を引っ掛けて索条を固定する鳥害防止具が知られている(たとえば、特許文献1,2を参照)。
【0003】
鳥害防止具を電力線に沿って複数個所定の間隔で固定し、それぞれの鳥害防止具に索条を引っ掛けて、電力線と平行に索条を設置することによって鳥が電力線に止まることを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-38451号公報
【文献】特開2012-213303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の鳥害防止具を電力線に取付けて、索条を設置する場合、高所において、索条を延設部の溝の入り口に位置決めして溝の奥に移動させる作業が繁雑であるので、鳥害防止具を電力線に取り付ける作業時間が長くなり、作業効率が悪かった。
【0006】
本発明の目的は、電力線に沿って容易に索条を設置でき、作業効率を向上させることができる鳥害防止具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、鳥害防止用索条を、架空電線に沿って張架された状態で該架空電線に保持するために用いられる鳥害防止具であって、
架空電線に取付けられる電線取付け部と、
前記電線取付け部に一端部が連なり、前記電線取付け部から延びる支持部と、前記電線取付け部近傍に設けられ、前記支持部の長手方向に垂直に延びる軸線を有する軸部と、を備えた第1把持部材と、
前記第1把持部材の軸部の軸線まわりに角変位可能に該軸部に連結された第2把持部材であって、前記第1把持部材との間に鳥害防止用索条を挟み込んで角変位させることによって、前記第1把持部材の支持部に前記鳥害防止用索条を押し付ける押圧部を有する第2把持部材と、を備え、
前記第1把持部材は、前記支持部から前記第2把持部材に近接する方向に延びる少なくとも1つの爪部を有し、
前記第1把持部材の爪部は、第1爪部と、第1爪部と電線取付け部との間に設けられた第2爪部とを含み、
前記第2爪部の側面に対向する前記第2把持部材の押圧部の側面には、前記第2爪部と当接して前記軸部まわりの角変位位置を、前記軸部の軸線の方向から見て第2把持部材の押圧部と前記第1把持部材の第1爪部とが重なる位置に制限する凸部が設けられていることを特徴とする鳥害防止具である。
【0008】
また、本発明は、前記第2把持部材の押圧部を前記第1把持部材に押し付けた状態で前記軸部の軸線の方向から見たとき、前記爪部近傍に、前記第1把持部材の支持部に向かって立ち上がる段差部が、前記第2把持部材の押圧部に設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記第1把持部材の爪部は、第1爪部と、第1爪部と電線取付け部との間に設けられた第2爪部とを含み、前記第2爪部の側面に対向する前記第2把持部材の押圧部の側面には、前記第2爪部と当接して前記軸部まわりの角変位位置を、前記軸部の軸線の方向から見て第2把持部材の押圧部と前記第1把持部材の第1爪部とが重なる位置に制限する凸部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1把持部材と、前記第1把持部材の支持部に鳥害防止用索条を押し付ける押圧部を有する第2把持部材と、第1把持部材の支持部から第2把持部材に向かって延びる少なくとも1つの爪部材を有し、爪部材に鳥害防止用索条を掛けて、第1把持部材と第2把持部材の押圧部とで挟み込むことによって、電線から所定の間隔をもって、鳥害防止用索条を配設することができるので、鳥害防止用索条の配設作業が簡単になり、作業効率を向上させることができる。
また、第2爪部の側面に対向する第2把持部材の押圧部の側面に、軸部まわりの角変位位置を、軸部の軸線の方向から見て第2把持部材の押圧部と前記第1把持部材の第1爪部とが重なる位置に制限するように第2爪部と当接する凸部を設けたので、鳥害防止具の第1爪部によって鳥害防止用索条を挟み込む場合に、鳥害防止用索条を誤って第1爪部で確実に係止できるので、鳥害防止用索条の配設作業が簡単になり、作業効率を向上させることができる。
【0011】
また、本発明によれば、第2把持部材の押圧部を第1把持部材に押し付けた状態で前記軸部の軸線の方向から見たとき、第2把持部材の押圧部に1把持部材の支持部に向かって立ち上がる段差部が爪部近傍に設けることによって、段差部と爪部との間に鳥害防止用索条を上下方向から挟みこむように保持できるので、鳥害防止用索条を鳥害防止具に容易に取付けることでき、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態の鳥害防止具を示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態の鳥害防止具を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態の鳥害防止具を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態の鳥害防止具が鳥害防止用索条を挟持している状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態の鳥害防止具を示す部分正面図である。
【
図6】本発明の一実施形態の鳥害防止具を示す部分正面図である。
【
図7】本発明の一実施形態の鳥害防止具を示す部分正面図である。
【
図8】本発明の一実施形態の鳥害防止具を示す部分正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る鳥害防止具1を示す正面図であり、鳥害防止具1を架空電線に取付けた状態で、架空電線の軸方向から見た図である。また、
図2、
図3は本発明の一実施形態に係る鳥害防止具を示す斜視図である。本実施形態の鳥害防止具1は、架空電線である電線Cに取付けられる電線取付け部10と、電線取付け部10に連なり、電線取付け部10の保持具本体11の接続部11aから延びる支持部21と、電線取付け部10近傍に設けられ、支持部21の長手方向に垂直に延びる軸線L2方向に延びる軸部22を備えた第1把持部材20と、第1把持部材20の軸部22に連結され、軸線L2まわりに角変位可能な第2把持部材30とを備えている。
【0015】
電線取付け部10は、正面視においてC字状の保持具本体11と、保持具本体11の第1把持部材20に近い側の端部11b近傍に形成された軸部12と、軸部12の軸線L1まわりに角変位可能に連結される保持具蓋体13とを含む。軸線L1とL2とは平行である。保持具本体11の底部11dに底部11dを貫通するねじ孔11eが設けられている。ねじ孔11eにはボルト14が螺合されている。ボルト14は、一端部に電線支持部15が設けられており、また、他端部に操作部16が設けられている。操作部16を回動させることで、電線支持部15が上下方向に移動し、電線Cを挟み込んで固定することができる。また、作業性を高めるために、保持具本体11の一部に、グリップ11gが形成されている。
【0016】
鳥害防止具1を電線Cに取付けるためには、電線支持部15を下げた状態で、保持具蓋体13を軸線L1まわりに回動させて、隙間を作り、電線支持部15上に電線Cが載置されるように、鳥害防止具1を電線Cに引っ掛ける。次に、保持具蓋体13が保持具本体11の端部11cに係合するように移動させてから、操作部16を操作して電線支持部15を上方に移動させる。このとき保持具蓋体13は、端部11cから外れないようにロックされる。
【0017】
次に、間接活線用の挟持用工具によって、グリップ11gを握って、鳥害防止具1を電線C上に沿って鳥害防止用索条Wが張架される位置まで移動させ、第1把持部材20と第2把持部材30とによって、鳥害防止用索条Wを挟み込んで固定する。次に操作部16を間接活線用の挟持用工具によって操作して電線支持部15をさらに上方に移動させて、電線支持部15と保持具本体11の電線当接部11fとで電線Cを挟持することで、鳥害防止具1を電線Cに固定することができる。
【0018】
第1把持部材20の支持部21は、電線取付け部10の接続部11aから底部11d方とは反対の方向に延びている。第1把持部材20は、電線取付け部10の接続部11aに嵌合されるなどして固定されていてもよい。また、第1把持部材20は、電線取付け部10と一体的に形成されていてもよい。接続部11a近傍の支持部21には、軸部22が設けられ、第2把持部材30が軸部22の軸線L2まわりに角変位可能に配設されている。第2把持部材30の回動部32は、軸部22に回動可能に係合している。回動部32から、第2把持部材30の支持部31が軸線L2の半径方向に延びるように設けられている。第1把持部材20と第2把持部材30との間に鳥害防止用索条Wを挟みこんで軸線L1まわりに角変位させることによって、鳥害防止用索条Wを鳥害防止具1に固定することができる。
【0019】
第1把持部材20および第2把持部材30は、耐候性および電気絶縁性の高い熱可塑性合成樹脂から成り、たとえば射出成形によって形成される。耐候性および電気絶縁性の高い熱可塑性合成樹脂としては、たとえば、ポリカーボネート、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)、AES(Acrylonitrile Ethylene Styrene)のいずれかを好適に用いることができる。
【0020】
第1把持部材20において、電線取付け部10とは反対側の支持部21の一端部には、支持部21を貫通する係合孔23が設けられている。係合孔23の電線取付け部10側の周縁には、係合片24が設けられている。また、第1把持部材20は、係合孔23の電線取付け部10とは反対側の周縁から突出する掛合部25を有している。
【0021】
第2把持部材30は、回動部32とは反対側の支持部31の端部から突出する係合爪33を有している。第1把持部材20と、第2把持部材30との間に鳥害防止用索条Wを挟みこんだ状態で、第2把持部材30を軸部22の軸線L2まわりに回動させて、係合爪33を第1把持部材20の係合孔23に押し込み、係合爪33を係合片24に係合させる。第1把持部材20と、第2把持部材30と閉じた状態で固定することによって、鳥害防止用索条Wを鳥害防止具1に固定することができる。
【0022】
係合爪33が係合片24に係合した状態から、第1把持部材20と第2把持部材30とが開いた状態にするには、挟持用工具などによって、係合爪33と掛合部25とを挟み込んで、係合爪33を掛合部25に近接する方向に変位させることによって、係合爪33の係合片24への係合状態を容易に解除し、鳥害防止具1の取り外し作業、位置の調整などを容易に行うことができ、解除作業を容易化することができる。
【0023】
第1把持部材20は、前記支持部21から前記第2把持部材30に近接する方向に延びる爪部である、第1爪部26と第2爪部27とを有している。第2爪部27は、第1爪部26と、電線取付け部10との間に設けられている。第1爪部26および第2爪部27を選択的に用いることによって、電線Cと、鳥害防止用索条Wとの間隔を所定の間隔に設定することができる。すなわち、電線Cと鳥害防止用索条Wとの間隔を大きくしたい場合には、鳥害防止用索条Wを第1爪部26に係合させる。また、電線Cと鳥害防止用索条Wとの間隔を小さくしたい場合には、鳥害防止用索条Wを第2爪部27に係合させる。電線Cと鳥害防止用索条Wとの間隔は、対象となる鳥の種類、または習性などによって適切に定められる。
【0024】
第2把持部材30は、第1把持部材20の支持部21に鳥害防止用索条Wを押し付けるための一対の側壁を備えた押圧部34を有している。押圧部34は、支持部31から第1把持部材20の支持部21側に突出した部分として形成されている。第2把持部材30の押圧部34を第1把持部材20に押し付けた状態で軸部22の軸線L2の方向に見たとき、第1把持部材20に向かって突出した部分である段差部35,36が設けられている。すなわち、第2把持部材30の押圧部34を第1把持部材20に押し付けた状態で軸部22の軸線L2の方向から見たとき、第1爪部26近傍に、第1把持部材20の支持部21に向かって立ち上がる段差部35が設けられている。また、第2把持部材30の押圧部34を第1把持部材20に押し付けた状態で軸部22の軸線L2の方向から見たとき、第2爪部27近傍に、第1把持部材20の支持部21に向かって立ち上がる段差部36が設けられている。
【0025】
図4は、本発明の一実施形態の鳥害防止具1が鳥害防止用索条Wを挟持している状態を示す断面図であり、第1把持部材20の長手方向に垂直な断面を模式的に示したものである。鳥害防止用索条Wは、第1把持部材20の支持部21と第2把持部材30の押圧部34の間に挟持され、水平方向に動かないように保持されている。また、鳥害防止用索条Wは、第1把持部材20の第1爪部26上に位置するとともに、段差部35の下側に位置しているので、上下方向に動かないように保持されている。このように、支持部21の内壁と押圧部34の壁と、第1爪部26の上面と、段差部35の下面によって、挟み込むことによって、鳥害防止用索条Wを確実に鳥害防止具1に固定することができる。
【0026】
また、鳥害防止用索条Wを第2爪部27によって挟持する場合には、鳥害防止用索条Wを支持部21の内壁と押圧部34の壁と、第2爪部27の上面と、段差部36の下面によって挟み込むことによって、鳥害防止用索条Wを確実に鳥害防止具1に固定することができる。
【0027】
図5~8は、本発明の一実施形態の鳥害防止具1を示す部分正面図である。
図5は、第1把持部材20を第2爪部27が第2把持部材30の凸部37に当接する状態まで第2把持部材30を開いた状態を示す図であり、
図6は、第1把持部材20と第2把持部材30とを閉じて、鳥害防止用索条Wを第1爪部26の位置に挟みこんだ状態を示す図であり、
図7は、第1把持部材20と第2把持部材30とを最大に開いた状態を示す図であり、
図8は、第1把持部材20と第2把持部材30とを閉じて、鳥害防止用索条Wを第2爪部27の位置に挟みこんだ状態を示す図である。
【0028】
第2把持部材30の支持部31には、凸部37が設けられており、
図6、
図8に示されるような第1把持部材20と第2把持部材30が閉じた状態から、第2把持部材30を第1把持部材20から離反する方向に開くように軸線L2まわりに回動させると、まず、
図5に示されるように第2把持部材30は各第2爪部27が弾性的に当接して、第2把持部材30を
図5の位置に保持することができる。第2把持部材30をさらに開く方向に回動させると、第2爪部27が軸線L2の方向に広がるように弾性変形して、凸部37を乗り越えて移動し、
図7に示すように第2把持部材30のピン38が第1把持部材20の支持片28に当接し、第2把持部材30が第1把持部材20に対して全開した状態になる。凸部37によって、第1把持部材20と第2把持部材30との開く状態を、
図5に示すような状態または
図7に示すような状態のいずれかに保持しやすくなる。
【0029】
第1爪部26を基準として鳥害防止用索条Wを固定する場合には、
図5に示すように第2把持部材30の凸部37が第1爪部26に当接する位置まで開く。この状態で、鳥害防止用索条Wを
図5の矢印で示すように、第1把持部材20と第2把持部材30の間に挿通させ、第1爪部26に鳥害防止用索条Wが当接するようにする。このとき、軸線L1,L2の方向から見て、第1爪部26と第2把持部材30とが重なっているので、鳥害防止用索条Wが第1爪部26よりも下方に移動することはない。次に、鳥害防止用索条Wを第1爪部26に当接させながら第1把持部材20と第2把持部材30とを閉じることによって、
図6に示すように、鳥害防止用索条Wを第1爪部26に対応する部分に固定することができる。
【0030】
作業者は、第1把持部材20と第2把持部材30とを開いた状態で、鳥害防止用索条Wが、鳥害防止具1に対して、
図5の矢印m1に示されるように移動して第1爪部26に当接させることによって、簡単に鳥害防止具1と鳥害防止用索条Wとを位置決めすることができるので作業効率を改善することができる。
【0031】
第2爪部27を基準として鳥害防止用索条Wを固定する場合には、
図7に示すように、位置まで第2把持部材30を回動させる。たとえば、
図5に示されるように、第1把持部材20と第2把持部材30とがあまり開いておらず、第2爪部27に凸部37が当接している状態から第2把持部材30を第1把持部材20から離れるように回動させる場合には、
図5の状態から第2爪部27が凸部37を乗り越えるように、第2把持部材30に力を加えて回動させて、正面から見て第1爪部26が、凸部37を乗り越えた位置まで回動させる。
【0032】
次に、鳥害防止用索条Wを第1把持部材20と第2把持部材30の間に挿通させて第2爪部27に鳥害防止用索条Wが当接するようにする。このとき、正面から見て第1爪部26と第2把持部材30との間に隙間があるので、鳥害防止用索条Wを
図7の矢印m2で示すような経路を通過させて、第2爪部27の位置決めすることができる。次に、鳥害防止用索条Wを第2爪部27に当接させながら第1把持部材20と第2把持部材30とを閉じることによって、鳥害防止用索条Wを第2爪部27に対応する位置で鳥害防止具1に固定することができる。
【0033】
このように、第1爪部26を基準として鳥害防止用索条Wを固定する場合には、第1爪部26と凸部37が当接した位置で、第2把持部材30を保持することができ、鳥害防止用索条Wが第1爪部26の位置で確実に位置決めすることができ、第2爪部27まで、鳥害防止用索条Wが移動することはない。また、第2爪部27の位置に鳥害防止用索条Wを固定する場合には、ピン38を第1把持部材20の支持片28当接するように押し付けることで、第2把持部材30を第1把持部材20のほうに回動することを阻止することができるので、鳥害防止用索条Wを第2爪部27に挿入しやすくなる。
【0034】
したがって、第2把持部材30の押圧部34の側面に第2爪部27と当接して軸部22まわりの角変位位置を、軸部22の軸線の方向から見て第2把持部材30の押圧部34と第1把持部材20の第1爪部26とが重なる位置に制限する凸部37を設けることによって、第1把持部材20と第2把持部材30との開く状態を、
図5に示すような状態または
図7に示すような状態のいずれかに保持しやすくなり、鳥害防止用索条Wの位置決めが行いやすくなるので、作業効率を高めることができる。
【0035】
以上のように、実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良等が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 鳥害防止具
10 電線取付け部
20 第1把持部材
21 支持部
22 軸部
26 第1爪部
27 第2爪部
30 第2把持部材
34 押圧部
35, 36 段差部
37 凸部
C 電線
W 鳥害防止用索条