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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】薬剤取出装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20221130BHJP
   A61J 3/06 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
B65B69/00 A
A61J3/06 T
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018190062
(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公開番号】P2020059514
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】森下 広
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-200659(JP,A)
【文献】特開2005-247406(JP,A)
【文献】特開平01-124539(JP,A)
【文献】特開平03-133869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 69/00
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収容する収容体から前記薬剤を取り出す薬剤取出装置であって、
前記収容体は、
前記薬剤を収容する凹部を有し、前記凹部が開口部を有する、シート状の底部と、
前記底部に貼り合わされ、前記開口部を閉塞する、シート状の蓋部と、を備え、
前記薬剤取出装置は、
前記開口部の内周に沿って、前記蓋部に切り込みを入れる切込部と、
前記切込部が前記蓋部に切り込みを入れることで前記開口部の内側に形成される切込片を、前記開口部が開放されるように、前記開口部から離れる方向に移動させる開操作を行う開操作部と、を備え
前記開操作部は、
前記切込片を吸着によって保持する保持部を備え、
前記保持部によって前記切込片を保持した状態で、前記切込片を、前記開口部の開口方向に交差する方向であって、前記開口部が開放されるように離れる方向に移動させる、薬剤取出装置。
【請求項2】
前記切込部は、前記開口部の内周に沿って、その内周の一部を残して、前記蓋部に切り込みを入れる、請求項に記載の薬剤取出装置。
【請求項3】
前記開操作部は、前記切込部が前記蓋部に切り込みを入れるのに先だって、前記切込片となる部分を、前記保持部によって予め保持し、
前記切込部は、前記切込片となる部分が前記保持部によって保持された状態において、前記開口部の内周に沿って、その内周の全周にわたって、前記蓋部に切り込みを入れる、請求項に記載の薬剤取出装置。
【請求項4】
前記開口部を下方に向けた状態において、前記薬剤を、前記凹部から前記開口部を通して下方に落下させる、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の薬剤取出装置。
【請求項5】
前記開口部を下方に向けた状態において、前記切込部によって前記蓋部に切り込みを入れ、さらに前記開操作部によって前記切込片を開操作する、請求項に記載の薬剤取出装置。
【請求項6】
前記薬剤を保持した状態で、前記薬剤を、前記凹部から前記開口部を通して取り出す取出部をさらに備え、
前記開口部を上方に向けた状態において、前記切込部によって前記蓋部に切り込みを入れ、前記開操作部によって前記切込片を開操作し、さらに前記取出部によって前記凹部から前記開口部を通して前記薬剤を取り出す、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の薬剤取出装置。
【請求項7】
前記切込片を収容する切込片収容部をさらに備え、
前記開操作部は、前記切込片を開操作した後に、前記切込片を前記切込片収容部に入れる、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の薬剤取出装置。
【請求項8】
薬剤を収容する収容体から前記薬剤を取り出す薬剤取出装置であって、
前記収容体は、
前記薬剤を収容する凹部を有し、前記凹部が開口部を有する、シート状の底部と、
前記底部に貼り合わされ、前記開口部を閉塞する、シート状の蓋部と、を備え、
前記薬剤取出装置は、
前記開口部の内周に沿って、前記蓋部に切り込みを入れる切込部を備え、
前記切込部によって前記蓋部に切り込みを入れたうえで、前記凹部を押し潰すことなく、前記薬剤によって切込片を押すことで、前記切込片を、前記開口部の開口方向に交差する方向であって、前記開口部が開放されるように離れる方向に移動させ、前記凹部から前記開口部を通して前記薬剤を取り出す、薬剤取出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を収容する収容体から前記薬剤を取り出す薬剤取出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の薬剤取出装置として、特許文献1または特許文献2に記載されたものがある。これらは、収容体であるPTPシートにおいて、錠剤等の固形の薬剤を収納するポケット部(凹部)を押圧することで、そのポケット部から薬剤を取り出すよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2013/176186号
【文献】特開2005-247406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、前記従来の薬剤取出装置を用いた場合、薬剤師等が、薬剤を取り出した後のPTPシートの取り扱いに困ることがある。それは、薬剤の取り出しに伴ってPTPシートが反る等して歪んでしまうからである。
【0005】
具体的に述べると、一部の薬剤を取り出した後のPTPシートは、一旦、薬局における棚等に収納されることがある。このとき、PTPシートが歪んでいると、そのPTPシートは、収納しにくい。
【0006】
また、一部の薬剤を取り出した後のPTPシートは、薬剤を取り出した部分を取り除いたうえで別の機会に患者に提供されることがある。このとき、PTPシートが歪んでいると、見た目が悪いため、薬剤師等においてそのPTPシートを患者に提供することがためらわれる。
【0007】
このように、薬剤の取り出しに伴ってPTPシートが歪むと、種々の問題が発生する。
【0008】
そこで本発明は前記問題に対応すべく、収容体を歪ませることなく、収容体から薬剤を取り出すことができる薬剤取出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、薬剤を収容する収容体から前記薬剤を取り出す薬剤取出装置であって、前記収容体は、前記薬剤を収容する凹部を有し、前記凹部が開口部を有する、シート状の底部と、前記底部に貼り合わされ、前記開口部を閉塞する、シート状の蓋部と、を備え、前記薬剤取出装置は、前記開口部の内周に沿って、前記蓋部に切り込みを入れる切込部と、前記切込部が前記蓋部に切り込みを入れることで前記開口部の内側に形成される切込片を、前記開口部が開放されるように、前記開口部から離れる方向に移動させる開操作を行う開操作部と、を備える、薬剤取出装置である。
【0010】
これによると、切込片が開操作部によって開口部から離れる方向に移動させられる。このため、凹部を押し潰すことを要さずに開口部を開放し、開放された開口部を通して凹部から薬剤を取り出すことができる。そのため、薬剤の取り出しに伴う凹部の歪みを防止でき、また凹部を含む底部全体の歪みも防止できる。したがって、薬剤を取り出した後の収容体の取り扱いが容易になる。
【0011】
また、前記開操作部は、前記切込片を保持する保持部を備え、前記保持部によって前記切込片を保持した状態で、前記切込片を開操作することができる。
【0012】
これによると、切込部により形成された切込片が、凹部から取り出された薬剤についていくことを防止できる。
【0013】
また、前記切込部は、前記開口部の内周に沿って、その内周の一部を残して、前記蓋部に切り込みを入れることができる。
【0014】
これによると、蓋部に切り込みを入れたときに切込片がどこかに行ってしまう、ということを防止できる。
【0015】
また、前記開操作部は、前記切込部が前記蓋部に切り込みを入れるのに先だって、前記切込片となる部分を、前記保持部によって予め保持し、前記切込部は、前記切込片となる部分が前記保持部によって保持された状態において、前記開口部の内周に沿って、その内周の全周にわたって、前記蓋部に切り込みを入れることができる。
【0016】
これによると、蓋部に切り込みを入れたときに切込片がどこかに行ってしまう、ということを防止できる。
【0017】
また、前記保持部は、前記切込片を吸着によって保持することができる。
【0018】
これによると、切込片を確実に保持できる。
【0019】
また、前記開口部を下方に向けた状態において、前記薬剤を、前記凹部から前記開口部を通して下方に落下させることができる。
【0020】
これによると、薬剤を凹部から取り出すための構成を別途に設ける必要がない。したがって、構成が簡単になる。
【0021】
また、前記開口部を下方に向けた状態において、前記切込部によって前記蓋部に切り込みを入れ、さらに前記開操作部によって前記切込片を開操作することができる。
【0022】
これによると、薬剤を、効率よく、取り出すことができる。
【0023】
また、前記薬剤を保持した状態で、前記薬剤を、前記凹部から前記開口部を通して取り出す取出部をさらに備え、前記開口部を上方に向けた状態において、前記切込部によって前記蓋部に切り込みを入れ、前記開操作部によって前記切込片を開操作し、さらに前記取出部によって前記凹部から前記開口部を通して前記薬剤を取り出すことができる。
【0024】
これによると、薬剤を、より確実に取り出すことができる。
【0025】
また、前記切込片を収容する切込片収容部をさらに備え、前記開操作部は、前記切込片を開操作した後に、前記切込片を前記切込片収容部に入れることができる。
【0026】
これによると、切込片が散らかることを防止できる。
【0027】
また、本発明は、薬剤を収容する収容体から前記薬剤を取り出す薬剤取出装置であって、前記収容体は、前記薬剤を収容する凹部を有し、前記凹部が開口部を有する、シート状の底部と、前記底部に貼り合わされ、前記開口部を閉塞する、シート状の蓋部と、を備え、前記薬剤取出装置は、前記開口部の内周に沿って、前記蓋部に切り込みを入れる切込部を備え、前記切込部によって前記蓋部に切り込みを入れたうえで、前記凹部を押し潰すことなく、前記凹部から前記開口部を通して前記薬剤を取り出す、薬剤取出装置である。
【0028】
これによると、凹部を押し潰すことを要さずに開口部を通して凹部から薬剤を取り出すことができる。そのため、薬剤の取り出しに伴う凹部の歪みを防止でき、また凹部を含む底部全体の歪みも防止できる。したがって薬剤を取り出した後の収容体の取り扱いが容易になる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、収容体を歪ませることなく、収容体から薬剤を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態に係る薬剤取出装置が対象とする、薬剤が収容された状態の収容体(PTPシート)を示し、(a)は平面視の概略図、(b)は一つの凹部と蓋部との組み合わせを示す、(a)のI-I矢視での要部拡大断面の概略図である。
図2】前記薬剤取出装置における切込部及び開操作部と収容体(PTPシート)との関係を示す概略図である。
図3】前記薬剤取出装置における切込部の形状の一例を示す斜視図である。
図4】(a)は前記薬剤取出装置による収容体(PTPシート)における開口部の開放要領の一例を示す概略図であり、(b)は蓋部に入れられた切り込みの形状例を示す、要部底面視の概略図である。
図5】(a)は前記薬剤取出装置による収容体(PTPシート)における開口部の開放要領の他の一例を示す概略図であり、(b)は蓋部に入れられた切り込みの形状例を示す、要部底面視の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明につき、一実施形態を取り上げて説明を行う。まず、収容体Pについて説明する。収容体Pは、一般に「PTP」と呼ばれる包装体であって、底部P1と蓋部P2とを備える。底部P1は、図1(a)及び図1(b)に示すように、薬剤Mを収容する複数の凹部P11…P11を有し、各凹部P11が開口部P111を有する、シート状の部分である。収容体Pに収容される薬剤Mとしては、固形の薬剤、詳しくは、少なくとも凹部P11への収納状態で一定の形態が保たれている薬剤であって、錠剤またはカプセル剤(カプセル剤は錠剤の概念に含まれることもある)が例示できる。図示のように、例えば一つの凹部P11に一つの薬剤Mが収容される。ただし、これに限定されず、一つの凹部P11に複数の薬剤Mが収容されることもある。
【0032】
底部P1において、各凹部P11の周囲は平板状である平板部P12とされている。この平板部P12には必要により、ミシン目等の切断補助手段P13が形成されている。開口部P111は平板部P12において開口している。底部P1には、例えば熱可塑性プラスチック製のシートが用いられ、真空成型等により複数の凹部P11…P11が形成されている。凹部P11は、収容される薬剤Mの形状に対応した形状で形成される。
【0033】
蓋部P2は、底部P1に貼り合わされて凹部P11の開口部P111を閉塞する、シート状の部分である。蓋部P2には、例えばアルミ製やプラスチック製のシートが用いられる。1枚の底部P1には1枚の蓋部P2が接着剤を用いたり溶着されたりして貼り合わされている。つまり、複数の凹部P11…P11における開口部P111は1枚の蓋部P2によってまとめて閉塞されている。蓋部P2は、患者等の指先や爪で容易に破れる程度の強度とされていて、蓋部P2を破ったり切り取ったりすることにより、凹部P11に収容された薬剤Mを収容体Pの外部に取り出すことができる。
【0034】
本実施形態の薬剤取出装置1は、前記収容体Pを取扱いの対象としており、主に切込部2、開操作部3、切込片収容部4を備える。
【0035】
切込部2は、収容体Pにおける開口部P111の内周に沿って、蓋部P2に切り込み(切り込み線)P21を入れる部分である。切込部2は、図2に示すように収容体Pに対し、蓋部P2に対向するように配置される。このとき、収容体Pはチャック機構等の図示しない位置保持手段によって、切込部2の動作に支障しない程度に不動に位置保持されている。切込部2は、例えば、図3に示すように円筒状であって、軸方向の一端側が軸方向に対して斜め方向に傾斜した刃部21が形成されている。このように構成された切込部2を蓋部P2に貫通させることにより、刃部21によって蓋部P2に切り込みP21を入れることができる。切込部2が蓋部P2に切り込みP21を入れることで、図4(a)または図5(a)に示すように、開口部P111の底面視における径方向内側に切込片P22が形成される。切り込みP21は、図4(b)に示すように周方向の全周に入れることもできるが、図5(b)に示すように、周方向の一部について入れないこともできる。後者のように、切込部2が、開口部P111の内周に沿って、その内周の一部である非切込部P23を残して、前記蓋部P2に切り込みP21を入れることにより、蓋部P2に切り込みP21を入れたときに、蓋部P2における他の部分から分離した切込片P22がどこかに行ってしまうことを防止でき、これによって切込片P22が薬剤Mに混入する等の不都合を防止できる。
【0036】
開操作部3は、切込部2により蓋部P2に形成された切込片P22を、収容体Pにおける開口部P111が薬剤Mの通過の支障にならないよう開放されるように、開口部P111から離れる方向に移動させる開操作を行う部分である。ここで、開口部P111から離れる方向は、凹部P11の内方に向かう方向とは反対の方向(図2における下方)である。このように、本実施形態で行われる開操作は、開操作部3が直接的に(凹部P11を押し潰すことが前提となるような間接的なものではなく)切込片P22を移動させる操作である。患者等が手で凹部P11を押し潰して薬剤Mを取り出す場合は、凹部P11を変形させてしまう。これに対して、本実施形態で行われる開操作では、凹部P11を変形させることがない。開操作部3は、例えば、空気吸引により切込片P22を吸着して保持できる吸着パッドを用いることができる。開操作部3は、例えば、図2に示すように筒状である切込部2の内部に配置することができる。開操作部3は、図2に示す状態から切込部2の内部から脱出した状態となり、更に図4(a)または図5(a)に示すような収容体Pに対して傾斜した状態とできるように、図示しない移動機構に接続されている。また開操作部3は、空気吸引を行うための真空ポンプ等に配管等を介して接続されている。
【0037】
図2に示すように、収容体Pにおける開口部P111を下方に向けた状態において、蓋部P2に切り込みP21が入ることで、図4(a)または図5(a)に矢印を示したように、薬剤Mを、凹部P11から開口部P111を通して下方に落下させることができる。こうすることにより、薬剤Mを摘む等して凹部P11から取り出すための構成を別途に設ける必要がない。したがって、薬剤取出装置1の構成が簡単になる。より詳しくは、収容体Pにおける開口部P111を下方に向けた状態において、切込部2によって蓋部P2に切り込みP21を入れ、さらに(開口部P111を下方に向けた状態を維持したままで)開操作部3によって前記切込片P22を開操作することができる。こうすることにより、薬剤Mを、効率よく取り出すことができる。
【0038】
開操作部3は更に、切込片P22を保持する保持部31を備える。開操作部3は、保持部31によって切込片P22を保持した状態で、切込片P22を開操作する。本実施形態の吸着パッドは、この保持部31も兼ねている。このように開操作部3が保持部31を備えたことにより、切込片P22が、凹部P11から取り出された薬剤Mについていくことを防止でき、これによって患者等による切込片P22の誤飲を招くことを防止できる。また、保持部31が切込片P22を吸着によって保持するよう構成することで、切込片P22を確実に保持できる。
【0039】
開操作部3は、切込部2が蓋部P2に切り込みP21を入れるのに先だって、蓋部P2において後に切込片P22となる部分を、保持部31によって予め保持し、切込部2は、前記保持された状態において、開口部P111の内周に沿って、その内周の全周にわたって、前記蓋部P2に切り込みP21を入れることができる。このようにすることで、図4(a)(b)に示すように、蓋部P2に全周にわたって切り込みP21を入れたときに、蓋部P2における他の部分から分離した切込片P22がどこかに行ってしまうことを防止でき、これによって切込片P22が薬剤Mに混入する等の不都合を防止できる。
【0040】
切込片収容部4は、切込片P22を収容する部分であり、例えば、図4(a)に示す容器状のものとして実施できる。開操作部3は、切込片P22を開操作した後に、切込片P22を切込片収容部4に入れることで、切込片P22が散らかってしまうことを防止でき、これによって切込片P22が薬剤Mに混入してしまうことを防止できる。切込片P22は、図4(a)(b)に示す全周切り込みの場合にはそのまま切込片収容部4に収容される。そして、図5(a)(b)に示す全周切り込みでない場合には、非切込部P23を切断することで、蓋部P2の他の部分から切込片P22を分離した上で切込片収容部4に収容される。
【0041】
以上のように構成された本実施形態の薬剤取出装置1では、切込片P22が開操作部3によって開口部P111から離れる方向に移動させられる。このため、例えば手作業で薬剤Mを取り出す時のように凹部P11を押し潰すことを要さずに開口部P111を開放し、開放された開口部P111を通して凹部P11から薬剤Mを取り出すことができる。そのため、薬剤Mの取り出しに伴う凹部P11の歪みを防止でき、また凹部P11を含む底部P1全体の歪みも防止できる。したがって、歪んだ収容体Pを取り扱わなくできるので、薬剤Mを取り出した後の収容体Pの取り扱いが容易になる点で有利である。
【0042】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0043】
例えば、薬剤取出装置は単独で設けてもよいし、例えば、分包装置等の他の装置に組み込むこともできる。
【0044】
また、切込部2の形状は前記実施形態のような筒状に限定されず、例えば、蓋部P2に対向する位置に刃部を備えた平板状(ナイフ状)とされていてもよい。この場合、切込部2に駆動手段が接続され、当該駆動手段により切込部2を、収容体Pにおける開口部P111の内周に沿って移動させることにより、蓋部P2に切り込みP21を入れることができる。この場合、凹部P11の外面に沿って周方向に移動する倣い機構を設けておき、この倣い機構と切込部2とを連動させることで、切込部2を開口部P111の内周に沿って移動させることもできる。また、凹部P11の形状を制御部に予め記憶させ、制御部の制御で切込部2を凹部P11の形状に対応した軌跡で移動させることもできる。また、切込部2の形状を筒状とする場合であっても、図3に示す円筒状に限定されず、種々の形状とすることができる。
【0045】
また、開操作部3は、前記実施形態では、空気吸引により切込片P22を吸着して保持できる吸着パッドを用いていた。ただしこれに限定されず、把持、針等による引っ掛け、粘着、静電気等の種々の手段により切込片P22を保持することもできる。また、空気吸引とは逆に、空気吐出により切込片P22を移動させるように構成することもできる。
【0046】
また、薬剤取出装置は、薬剤Mを保持した状態で、薬剤Mを凹部P11から開口部P111を通して取り出す取出部をさらに備えていてもよい(図示しない)。この取出部は、薬剤Mを、吸着によって保持してもよく、あるいは、把持によって保持してもよい。このような取出部を備えている薬剤取出装置では、開口部P111を上方に向けた状態において、切込部2によって蓋部P2に切り込みP21を入れ、開操作部3によって切込片P22を開操作し、さらに取出部によって凹部P11から開口部P111を通して薬剤Mを取り出すようにすればよい。このような構成にすることで、薬剤Mを、より確実に取り出すことができる。
【0047】
また、薬剤取出装置は、切込部2によって蓋部P2に切り込みP21を入れたうえで、凹部P11を押し潰すことなく、凹部P11から開口部P111を通して、薬剤Mを取り出すものであればよい。開操作部3による開操作に代えて、薬剤Mによって切込片P22を押すことで、切込片P22を移動させてもよい。この場合、薬剤Mの自重による落下を利用してもよい。あるいは、収容体Pを振動させたり、収容体Pに衝撃を与えたりすることで、薬剤Mを動かし、この薬剤Mの動きを利用してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 薬剤取出装置
2 切込部
3 開操作部
31 保持部
4 切込片収容部
P 収容体
P1 底部
P11 凹部
P111 開口部
P2 蓋部
P21 切り込み
P22 切込片
M 薬剤
図1
図2
図3
図4
図5