(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】無線通信システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04W 28/08 20090101AFI20221130BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20221130BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20221130BHJP
H04W 24/02 20090101ALI20221130BHJP
【FI】
H04W28/08
H04W84/18
H04W4/38
H04W24/02
(21)【出願番号】P 2019036683
(22)【出願日】2019-02-28
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】趙 欧
(72)【発明者】
【氏名】廖 偉舜
(72)【発明者】
【氏名】石津 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】児島 史秀
【審査官】桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/212620(WO,A1)
【文献】特開2008-227612(JP,A)
【文献】特開2015-70573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデバイスと、上記デバイスから少なくとも信号が送信されるゲートウェイとを有する無線通信システムにおいて、
上記各デバイスに対して付すべきポイントを増減させることで管理する管理手段と、
上記各デバイスについて、自らの信号の送信のみを行うエンドデバイス(ED)と、自らの信号の送信又は他のEDから送信されてきた信号を中継するバーチャルゲートウェイ(VGW)との何れかを割り当てる割当手段とを備え、
上記管理手段は、上記EDが自らの信号の送信を行うにつれて上記ポイントを増加させるとともに、上記VGWが信号を中継するにつれて上記ポイントを減少させ、
上記割当手段は、上記ポイントが第1の閾値以上となった上記デバイスを上記VGWとして割り当て、上記ポイントが上記第1の閾値よりも低い第2の閾値以下となった上記デバイスを上記EDとして割り当てること
を特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
上記EDから信号の送信を試みる上記ゲートウェイにおける複数の候補についてそれぞれ当該EDからの伝搬特性H
E2Gを求め、そのうち最大の伝搬特性H
E2GMAXを示すゲートウェイを選択GWとして選択するとともに、上記VGWとして動作するデバイスの複数の候補への上記EDからの伝搬特性H
E2Vを求め、そのうち最大の伝搬特性H
E2VMAXを有するVGWを仮選択VGWとして選択し、上記仮選択VGWから上記選択GWへの伝搬特性H
V2Gを求め、
上記EDは、伝搬特性H
E2VMAX>伝搬特性H
E2GMAX且つ伝搬特性H
V2G>伝搬特性H
E2GMAXである場合に、上記仮選択VGWを選択VGWとし、これを中継させて上記選択GWに信号を送信すること
を特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
上記EDは、伝搬特性H
E2VMAX>伝搬特性H
E2GMAX且つ伝搬特性H
V2G>伝搬特性H
E2GMAXでない場合には、上記仮選択VGWを候補から排除した上で、改めて上記VGWとして動作するデバイスの複数の候補への上記EDからの伝搬特性H
E2Vを求めることで仮選択VGWの選択を行うことを繰り返し実行すること
を特徴とする請求項2記載の無線通信システム。
【請求項4】
上記割当手段は、上記第1の閾値、上記第2の閾値を、上記VGW又はEDのバッテリー残量、外部電源の有無の何れか1以上に基づき変動させること
を特徴とする請求項1~3のうち何れか1項記載の無線通信システム。
【請求項5】
上記割当手段は、上記第1の閾値、上記第2の閾値を、時系列的に変動させること
を特徴とする請求項1~3のうち何れか1項記載の無線通信システム。
【請求項6】
複数のデバイスと、上記デバイスから少なくとも信号が送信されるゲートウェイとを有する無線通信システムにおいて実行される無線通信方法において、
上記各デバイスに対して付すべきポイントを増減させることで管理する管理ステップと、
上記各デバイスについて、自らの信号の送信のみを行うエンドデバイス(ED)と、自らの信号の送信又は他のEDから送信されてきた信号を中継するバーチャルゲートウェイ(VGW)との何れかを割り当てる割当ステップとを有し、
上記管理ステップでは、上記EDが自らの信号の送信を行うにつれてこれに付される上記ポイントを増加せるとともに、上記VGWが信号を中継するにつれてこれに付される上記ポイントを減少させ、
上記割当ステップでは、上記ポイントが第1の閾値以上となった上記デバイスを上記VGWとして割り当て、上記ポイントが上記第1の閾値よりも低い第2の閾値以下となった上記デバイスを上記EDとして割り当てること
を特徴とする無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のデバイスと、上記デバイスから少なくとも信号が送信されるゲートウェイとを有する無線通信システム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年において、IoT(Internet of Things)の普及に伴い必要なデバイス(各種IoTセンサや無線通信端末等)が増加し、デバイス間の信号伝送がますます複雑になってきている。このような背景の下で、低消費電力、低電送レートで、しかも通信範囲を広域にわたりカバー可能な特定小電力無線(LPWA)技術が近年において広く注目されている。
【0003】
中でもLoRa技術を活用したスター型トポロジーのLoRaWAN(LoRa Wide Area Network)は、伝送レートを追求することなく、低い消費電力で広いエリアをカバーする無線通信方式である。一方、LoRaよりも伝送ルートを重視するWi-SUN技術もメッシュ型トポロジーを採用するFAN(Field Area Network)構成により、マルチホップで長距離通信を行うことができる。
【0004】
これらのLPWA技術は、一般的なIoTアプリケーションにおいては、十分に活用が可能であるが、例えばスマートシティのような非常に多くのセンサが利用される環境においては、デバイス間の信号衝突や、ビル等の障害物による遮蔽等の問題が新たに生じるため、通信パフォーマンスをより向上させる観点から、解決しなければならない問題が多々あるのが現状である。
【0005】
このため、従来において、LoRa技術についてデバイス数の激増に伴う伝送品質の劣化を防止する観点から、デバイスのパラメータを最適化すると共に、多数の受信アンテナを利用することで伝送品質を向上させる技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。また非特許文献2を通じて、大量のゲートウェイを配置した高密度のLoRaWANに関する技術も提案されており、信号の受信確率の向上、及び伝送特性に対する効果についてシミュレーションによる検証が行われている。
【0006】
一方、既存のWi-SUNのFANと同様に、スター型トポロジーのLoRaWANの代わり、LoRa技術を利用するメッシュ型のネットワークが提案されている((例えば、非特許文献3参照。)。非特許文献3の技術には、ネットワークのコストを増加させることなく、マルチホップによって信号の受信確率等の通信パフォーマンスを向上させるための技術も開示されている。
【0007】
Wi-SUNのFANにおいても、また上述したマルチホップにより無線通信するLoRaネットワークと同様に、メッシュ型ネットワーク構造の導入検討が進んでいる(例えば、非特許文献4参照。)。特に電波の伝搬特性が優れたデバイスを中継器として選択し、他のデバイスによる信号の伝送を中継することでシステム全体の消費電力の低減を図る技術が提案されている。しかしながら、この中継器として機能するデバイスは自らの信号の送信のみならず、他のデバイスから送られてきた信号を送信する中継も行わなければならない。このため、中継器として機能するデバイスは、他のデバイスよりもより高い電力を消耗することとなり、チャネルの状況によっては、早期に電源切れの状態に陥る恐れもある。しかも電波の伝搬特性が優れたデバイスが決して中継器としての機能を望んでいない場合もある。このような中継器の役割を担うデバイス間の不公平性は、メッシュ型トポロジーの弱点にも直結する問題でもあり、デバイスの電力に強く依存するLoRaやWi-SUNのようなLPWA無線システムにおいても、解決すべき課題となっている。
【0008】
近年において、メッシュ型トポロジーにおいて、各デバイスに対してなるべく均等な確率で中継器の役割を担わせる方法も提案されている(非特許文献5参照。)。この非特許文献5の開示技術によればバッテリー残量や伝搬状況を考慮に入れ、中継器の役割を担うデバイス間の公平性を保証するアルゴリズムが提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】A. Hoeller, R. D. Souza, O. L. A. Lopez, H. Alves, M. D. N. Neto, and G. Brante, "Analysis and Performance Optimization of LoRa Networks With Time and Antenna Diversity", IEEE Access, vol. 6, pp. 32820-32829, March 2018.
【文献】M. Slabicki, G. Premsankar, and M. D. Francesco, "Adaptive Configuration of LoRa Networks for Dense IoT Deployments", IEEE/IFIP Network Operations and Management Symposium, pp. 1-8, Taipei, Taiwan, July 2018.
【文献】H. C. Lee, and K. H. Ke, "Monitoring of Large-Area IoT Sensors Using a LoRa Wireless Mesh Network System: Design and Evaluation", IEEE Transactions on Instrumentation and Measurement, vol. 67, no. 9, pp. 2177-2187, Sept. 2018.
【文献】O. Zhao, L. Shan, K. Temma, K. Hattori, H. B. Li, F. Kojima, and F. Adachi, "Power consumption analysis for user cooperation aided traffic forwarding over frequency selective fading channels," in 2017 20th International Symposium on Wireless Personal Multimedia Communications (WPMC), (Yogyakarta, Indonesia), pp. 487493, IEEE, December 2017.
【文献】N. Ayub and V. Rakocevic, "Fair battery power consumption algorithms for relay nodes in rural wireless networks," in 2017 International Conference on Wireless Networks and Mobile Communications (WINCOM), (Rabat, Morocco), pp. 1?6, IEEE, November 2017.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した非特許文献5の開示技術によれば、中継器の役割を担わせるデバイスを選択する上で、各デバイスの過去の通信パフォーマンスを参照することを特段行っていない。実際に各デバイスが中継器の役割を本当に担えるのか、精度よく判別するためには、過去の通信パフォーマンスを十分に考慮することで、その判別において客観性を持たせることができるが、かかる技術については従来において特段提案されていないのが現状であった。
【0011】
また中継器の役割を担うデバイスを切り替える上でもゲートウェイを介することなくデバイス間で自律的に実行する必要があった、その理由として、ゲートウェイの判断で中継器の役割を担うデバイスの切り替えを行おうとした場合、ゲートウェイが各デバイスから様々な信号を取得する必要が生じ、通信の効率化を図ることができないためである。
【0012】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、複数のデバイスと、上記デバイスから少なくとも信号が送信されるゲートウェイとを有する無線通信システム及び方法において、特に中継器の役割を担うデバイスの選択に対して、より公平性を持たせ、その公平性を持たせる上での各種コントロールの精度を向上させることでシステム全体の消費電力の低減につなげることができ、これらの選択動作をデバイス間で自律的に実行することで通信効率を向上させることが可能な無線通信システム及び方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明を適用した無線通信システムは、複数のデバイスと、上記デバイスから少なくとも信号が送信されるゲートウェイとを有する無線通信システムにおいて、上記各デバイスに対して付すべきポイントを増減させることで管理する管理手段と、上記各デバイスについて、自らの信号の送信のみを行うエンドデバイス(ED)と、自らの信号の送信又は他のEDから送信されてきた信号を中継するバーチャルゲートウェイ(VGW)との何れかを割り当てる割当手段とを備え、上記管理手段は、上記EDが自らの信号の送信を行うにつれて上記ポイントを増加させるとともに、上記VGWが信号を中継するにつれて上記ポイントを減少させ、上記割当手段は、上記ポイントが第1の閾値以上となった上記デバイスを上記VGWとして割り当て、上記ポイントが上記第1の閾値よりも低い第2の閾値以下となった上記デバイスを上記EDとして割り当てることを特徴とする。
【0014】
本発明を適用した無線通信方法は、複数のデバイスと、上記デバイスから少なくとも信号が送信されるゲートウェイとを有する無線通信システムにおいて実行される無線通信方法において、上記各デバイスに対して付すべきポイントを増減させることで管理する管理ステップと、上記各デバイスについて、自らの信号の送信のみを行うエンドデバイス(ED)と、自らの信号の送信又は他のEDから送信されてきた信号を中継するバーチャルゲートウェイ(VGW)との何れかを割り当てる割当ステップとを有し、上記管理ステップでは、上記EDが自らの信号の送信を行うにつれてこれに付される上記ポイントを増加せるとともに、上記VGWが信号を中継するにつれてこれに付される上記ポイントを減少させ、上記割当ステップでは、上記ポイントが第1の閾値以上となった上記デバイスを上記VGWとして割り当て、上記ポイントが上記第1の閾値よりも低い第2の閾値以下となった上記デバイスを上記EDとして割り当てることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上述した構成からなる本発明によれば、過去から現在までの各デバイス3におけるED、VGWにおける通信パフォーマンスや動作履歴が反映されたポイントを閾値ThE2V、ThV2Eとの関係において比較する。これにより、過去から現在までの各デバイスにおけるED、VGWにおける通信パフォーマンスや動作履歴を参照した上で、EDやVGWの切り替えの判断を行うことが可能となる。このため、特に中継器(VGW)の役割を担うデバイスの選択に対して、より公平性を持たせることができる。つまり一のデバイスのみが集中してVGWの役割を担うことがなくなり、電源がロスしてしまうのを防止でき、ひいては他のデバイス間における公平性を担保することができる。また本発明では、その公平性を持たせる上での各種コントロールの精度を向上させることができ、一のデバイスにVGWが集中しないことで、システム全体の消費電力をより低減させることも可能となる。
【0016】
また、本発明においては、上りデータ通信においてゲートウェイにおいて正しく復調することができる信号の割合を増加させることが可能となる。更に本発明においては、デバイス3をEDとVGWの間で自律的に切り替えることが可能となり、無線伝送特性の向上を図ることができ、システム全体の消費電力の低減も実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明を適用した無線通信システムの全体像を示す図である。
【
図2】デバイスをVGW(virtual gateway)か、ED(end device)に分類する例を示す図である。
【
図3】ゲートウェイ(GW)やVGWの選択方法について説明するための図である。
【
図4】各デバイスに付されたポイントを閾値(Th
E2V、Th
V2E)との関係で比較する例について説明するための図である。
【
図5】時系列的に変動する閾値Th
E2V,n,t、Th
V2E,n,tの例を示す図である。
【
図6】本発明を適用した無線通信システムの実施例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した無線通信システムを実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
本発明を適用した無線通信システム1は、
図1に示すようにゲートウェイ(GW)2と、デバイス3とを備えている。無線通信システム1は、ゲートウェイ2と、デバイス3との間で、互いに信号を送受信することにより双方向に無線通信可能に構成されている。無線通信システム1は、例えば、LoRa技術を活用したスター型トポロジーのLoRaWAN(LoRa Wide Area Network)に基づいて通信する無線通信ネットワークや、メッシュ型トポロジーを採用するWi-SUNのFAN(Field Area Network)等の無線通信規格に基づく無線通信ネットワークも含む。この無線通信システム1は、これらの無線通信規格に限定されるものではなく、通信範囲を広域にわたりカバー可能な他の特定小電力無線(LPWA)のシステムにも適用可能である。また、無線通信システム1は、他のいかなる無線通信システムに対しても適用可能である。
【0020】
無線通信システム1は、図示の例では、そのネットワーク構成が1対複数のスター型であるものを例示している。無線通信システム1は、この他にも、ツリー型、メッシュ型等のいかなるネットワーク構成でもよい。
【0021】
ゲートウェイ2は、いわゆる基地局としての役割を担うものであり、無線通信ネットワーク内のデバイス3との間において無線アクセスポイントとしての役割を果たし、インターネット等を始めとした公衆通信網との間においてインターフェースとしての役割を果たすものである。即ち、ゲートウェイ2は、これを介してデバイス3がインターネット等を始めとした公衆通信網との間で信号の送受信を行うことを可能とするための中継手段を担うものである。ゲートウェイ2は、センサ端末、リモートコントローラ、携帯電話機、スマートフォン、ウェアラブル端末、タブレット型端末、PC、その他電子機器等、後述するデバイス3を構成するようなハードウェアからゲートウェイとして設定されたものも含む。
【0022】
デバイス3は、例えば、センサ端末、リモートコントローラ、携帯電話機、スマートフォン、ウェアラブル端末、タブレット型端末、PC、その他電子機器である。このデバイス3は、ゲートウェイ2に対して信号を無線通信により送信する。以下、このデバイス3からゲートウェイ2側に対して信号を送信することを上りデータ送信という。またゲートウェイ2からデバイス3側に対して信号を送信することを下りデータ送信という。
【0023】
無線通信システム1では、上りデータ通信、下りデータ通信の両方が行われることが前提であるが、本発明においては、これらのうち上りデータ通信に着目したものである。
【0024】
デバイス3は、ゲートウェイ2に対する上りデータ通信リンクに応じて、
図2に示すようなVGW(virtual gateway)か、ED(end device)に分類されることになる。
図2(a)に示すように、デバイス3a~3cからゲートウェイ2に対して直接上りデータ通信を行う場合において、これらのデバイス3a~3cをEDとする。このEDとして割り当てられるデバイス3a~3cは、送信すべき信号を変調し、ゲートウェイ2へ直接送ることとなる。
【0025】
一方、
図2(b)に示すように、デバイス3cから直接ゲートウェイ2へ上りデータ通信が行われる場合以外に、デバイス3bにより生成された信号をデバイス3aを経由してゲートウェイ2へ上りデータ通信が行われる場合もある。かかる場合には、デバイス3aはデバイス3bにより生成されて送信されてきた信号を中継してゲートウェイ2へと送信する、いわば中継機能を担うわけだが、この中継機能を担うデバイス3aをVGWという。VGWを担うデバイス3は、基本的にはEDと同様の機能を担うものであり、自ら生成した信号を上りデータ通信する。これに加えて、VGWを担うデバイス3は、中継機能を担う関係上、他のデバイス3から送信されてきた信号を復調する機能をも備えるため、いわばゲートウェイとしての役割も担うことになる。このため、VGWを担うデバイス3は仮想的なゲートウェイと考えることもできる。
【0026】
図2(b)に示す例では、またEDとして割り当てられるデバイス3bは、VGWとして割り当てられたデバイス3aに信号を上りデータ通信する場合もあれば、同じくEDとして割り当てられるデバイス3cは、送信すべき信号を変調し、ゲートウェイ2へ直接送信する。このため、EDとして割り当てられるデバイス3は、自ら生成した上りデータ通信のための信号を、VGWとして割り当てられたデバイス3に送る場合もあれば、ゲートウェイ2に直接送信する場合もある。
【0027】
ちなみに、このデバイス3におけるEDとVGWの割り当ては、随時変更が行われることが前提となる。
図2(a)に示すようにVGWが設けられることなく、全てのデバイス3がEDとして自ら生成した上りデータ通信のための信号をゲートウェイ2に直接送信する場合や、
図2(b)に示すように、デバイス3aがVGWとして割り当てられ、デバイス3b、3cがEDとなる場合に、随時変更が行われることがありえる。またVGWとして割り当てられるデバイス3aが随時固定されるものではない。EDが割り当てられたデバイス3b、3cもVGWとなりえる場合もあり、またVGWとして割り当てられるデバイス3aがEDとなりえる場合もある。かかる場合には、新たにEDとなったデバイス3が、新たにVGWとなったデバイス3に自ら生成した信号を中継させてゲートウェイへ上りデータ通信することとなる。
【0028】
次に、本発明を適用した無線通信システム1の動作について説明をする。この無線通信システム1における動作では、各デバイス3から上りデータ通信を行う上で、一部のデバイス3がVGWとして、他のEDのデバイス3から送信されてくる信号を中継することで、システム全体の消費電力の低減を図る。このとき、デバイス3について、VGWとEDの何れかへの割り当てを行う際に、ゲートウェイ2が主導で行うのではなく、あくまでデバイス3間で自律的に行う。
【0029】
先ずゲートウェイ2の選択を行う。かかる場合には
図3に示すように、EDのデバイス3から信号の送信を試みるゲートウェイ2における複数の候補(GW
1、GW
2、GW
3、GW
4、・・・、GW
n)について、それぞれEDのデバイス3からこれらの各候補に向けた伝搬特性H
E2Gを求める。この伝搬特性は、EDのデバイス3から各候補(GW
1、GW
2、GW
3、GW
4、・・・、GW
n)への無線信号の電波を伝搬させる上での減衰量等に基づくものであってもよく、この数値が大きいほど伝搬特性が優れており、減衰が少ないものと考えることができる。またこの伝搬特性は、送信されてくる信号のパワー、振幅に基づくものであってもよい。
図3の例において伝搬特性H
E2Gは、GW
1が6、GW
2が9、GW
3が3、GW
4が5とされている。
【0030】
これらの伝搬特性H
E2Gからなるゲートウェイ2の候補の中から、伝搬特性が最も大きいGWを選択する。この
図3の例では、GW
2の伝搬特性が最大の伝搬特性H
E2GMAXを示す。この最大の伝搬特性H
E2GMAXを示すGW
2を上りデータ通信をするゲートウェイ2として選択する。この選択されたGW
2を、選択GWとする。
【0031】
次に、VGWとして動作するデバイスの複数の候補(VGW
1、VGW
2、VGW
3、VGW
4、・・・、VGW
n)に着目する。これらのVGWとして動作する各候補(VGW
1、VGW
2、VGW
3、VGW
4、・・・、VGW
n)へのEDのデバイス3からの伝搬特性H
E2Vをそれぞれ求める。
図3の例において伝搬特性H
E2Vは、VGW
1が7、VGW
2が6、VGW
3が11、VGW
4が4とされている。
【0032】
これらの伝搬特性H
E2VからなるVGWの候補の中から、伝搬特性が最も大きいVGWを仮選択VGWとして選択する。この
図3の例では、VGW
3の伝搬特性が最大の伝搬特性H
E2VMAXを示す。次に、この仮選択VGWから選択GWへの伝搬特性H
V2Gを求める。
伝搬特性H
E2VMAX>伝搬特性H
E2GMAX且つH
V2G>H
E2GMAXである場合には、仮選択VGWを選択VGWとして中継させて上記選択GWに信号を送信する。
図3の例では、伝搬特性H
E2VMAX>伝搬特性H
E2GMAXであり、H
V2Gが10で、H
E2GMAX(=9)よりも大きいことから、H
V2G>H
E2GMAXであるため、上記関係が成り立つ。かかる場合には、仮選択VGWとして選択したVGW
3を選択VGWとして特定する。
【0033】
一方、伝搬特性HE2VMAX>伝搬特性HE2GMAX且つHV2G>HE2GMAXでない場合には、仮選択VGWの選択を排除し、改めてVGWの候補の中から仮選択VGWの選択を上述した方法に基づいて試みる。
なお、上述した処理動作を繰り返した結果、VGWとして動作するデバイス3の候補が空になり、選択VGWを決めることができない場合には、EDは、選択VGWに対して直接信号を送信する。
【0034】
本発明では、このようにして、選択GW、選択VGWを決定するメカニズムに加えて、デバイス3につき、以下に説明するVGWとEDの切り替え方法を提案するものである。このデバイス3におけるVGWとEDの切り替えは、先ず全てのデバイス3に対してポイントを付して管理することを前提とする。このポイントを付した管理は、各デバイス3側において行うようにしてもよい。この切り替え方法を実行するに当たり、先ず初期化を行うことでそれぞれのEDからなるデバイス3a~3cにつきポイントを0に設定する。
【0035】
このとき、EDが割り当てられたデバイス3は、自らの信号を送信し、その信号が正しく復調された場合には、自らのポイントに+αを加算する。
【0036】
また、VGWが割り当てられたデバイス3は、他のEDとしてのデバイス3から送られてきた信号を受信し、復調した場合には、自らのポイントに-2αを加算する。またVGWが割り当てられたデバイス3は、他のEDとしてのデバイス3から送信されてきた信号をゲートウェイ2へ送信し、これが正しく復調されたものであれば、自らのポイントに+αを加算する。一方、VGWが割り当てられたデバイス3は、自ら生成した信号をゲートウェイ2へ送信する場合には、自らのポイントを特段増減させることはしない。
【0037】
このようなポイントの増減ルールをまとめると、以下の表1に示す規則として具現化される。上りデータ通信の場合において、EDが割り当てられたデバイス3は、自ら生成した信号を送信し、正しく復調される毎にポイントは+α加算されることとなる。VGWが割り当てられたデバイス3は、他のEDのデバイス3において生成された信号を受信する毎に-2α加算され、更にこれをゲートウェイ2へ送信し、正しく復調される毎に+α加算する。その結果、他のEDのデバイス3から送信されてきた信号の中継を成功させる都度、ポイントは、-αずつ減少していくこととなる。一方、このVGWが割り当てられたデバイス3は、自ら生成した信号をゲートウェイ2に送信しても特段ポイントの増減が無くなる。
【0038】
VGWとしてのデバイス3は、自ら生成した信号を送信してゲートウェイ2において正しく復調されても、ポイントは特段増加することはない。つまりEDとしてのデバイス3は、自ら生成した信号を送信するほどポイントが増加し、VGWに変化しやすくなるのに対して、VGWとしてのデバイス3は、自ら生成した信号をいくら送信してもポイントは増加することなく、中継する都度ポイントが減少し、EDに変化しやすくなる。
【0039】
【0040】
このようにして各デバイス3に付され、しかも増減するポイントを常に監視し、閾値(Th
E2V、Th
V2E)と比較する。この閾値(Th
E2V、Th
V2E)の関係は、
図4に示すように、Th
E2V>Th
V2Eの関係になっていることが前提である。
【0041】
このような閾値Th
E2V、Th
V2Eと各デバイス3に付されているポイントとを比較した結果、ポイントが閾値Th
E2V以上の場合には、デバイス3をVGWとしての役割を担わせる。一方、ポイントが閾値Th
V2E以下の場合には、デバイス3をEDとしての役割を担わせる。つまり
図4(a)に示すように、元々VGWとして動作していたデバイス3aが他のEDのデバイス3が生成した信号の中継して正確に復調する都度、ポイントがαずつ減少していく。その結果、このデバイス3aは、VGWとして役割を果たすほど、ポイントは徐々に低下していく。一方、EDとして動作していたデバイス3b、3cが、自ら生成した信号を送信して正確に復調される都度、ポイントがαずつ増加していく。その結果、このデバイス3b、3cは、EDとしての役割を果たすほど、ポイントは徐々に増加していく。
【0042】
これらの処理動作が繰り返される結果、
図4(b)に示すように、今までVGWとして動作していたデバイス3aのポイントが減少して、Th
V2E以下となり、今後EDとして動作することとなる。また、今までEDとして動作していたデバイス3bのポイントが増加して、Th
E2V以上となり、今後VGWとして動作することとなる。
【0043】
このようにしてデバイス3間におけるVGWとEDの割り当て、切り替えを行っていくこととなる。このポイントは過去から現在までの各デバイス3におけるED、VGWにおける通信パフォーマンスや動作履歴が反映されたものとなっている。このため、このようなポイントを閾値ThE2V、ThV2Eとの関係において比較することで、過去から現在までの各デバイス3におけるED、VGWにおける通信パフォーマンスや動作履歴を参照した上で、EDやVGWの切り替えの判断を行うことが可能となる。これにより、特に中継器(VGW)の役割を担うデバイスの選択に対して、より公平性を持たせることができる。つまり一のデバイス3のみが集中してVGWの役割を担うことがなくなり、電源がロスしてしまうのを防止でき、ひいては他のデバイス3間における公平性を担保することができる。また本発明では、その公平性を持たせる上での各種コントロールの精度を向上させることができ、一のデバイス3にVGWが集中しないことで、システム全体の消費電力をより低減させることも可能となる。
【0044】
また、本発明においては、上りデータ通信においてゲートウェイ2において正しく復調することができる信号の割合を増加させることが可能となる。更に本発明においては、デバイス3をEDとVGWの間で自律的に切り替えることが可能となり、無線伝送特性の向上を図ることができ、システム全体の消費電力の低減も実現することができる。
【0045】
なお、閾値ThE2V、ThV2Eは、デバイス3のバッテリー残量、外部電源の有無の何れか1以上に基づき変動させるようにしてもよい。例えば、バッテリー残量が豊富である場合や外部電源が有る場合、ThV2Eを低めに設定し直す。これにより、VGWとして機能するデバイス3は、EDになかなか戻れなくなるが、逆にバッテリー残量が豊富であり、或いは外部電源が有ることから、VGWとして機能し続けても電源がロスすることが無くなる。逆にあえてVGWとしてEDからの信号を中継する役割を継続し続けることでシステムの伝送特性を向上させることもできる。
【0046】
一方、バッテリー残量が少ない場合や外部電源が無い場合、閾値ThE2Vを高めに設定し直す。これにより、EDとして機能するデバイス3は、VGWになかなか置き換われなくなる、逆にバッテリー残量が少なく、或いは外部電源が無いことから、VGWに置き換わってもすぐに電源がロスしてしまうことにもなるから、あえてEDをそのまま継続させる方が、システムの伝送特性の面においては好適となる。ちなみに、これらバッテリー残量や外部電源に基づいた閾値ThE2V、ThV2Eの変動を行う場合、これらバッテリー残量や外部電源の有無をセンシングするためのセンサと、そのセンサによるセンシングデータを分析する分析部が別途も受けられることが前提となる。
【0047】
なお、このEDとVGWの割り当てのルールは、表1に示すものに限定されない。つまり、EDが自らの信号の送信を行うにつれてポイントを増加させ、VGWが信号を中継するにつれてポイントを減少させるのであれば、いかなるルールに基づくものであってもよいことは勿論である。
【0048】
ちなみに、上述した閾値ThE2V、ThV2Eは、常時固定されている場合に限定されるものではなく、時系列的に変動するものとされていてもよい。また、この閾値ThE2V、ThV2Eの変動は、ED、VGW毎にそれぞれ独立して変動するものであってもよい。
【0049】
図5は、時系列的に変動する閾値Th
E2V,n,t、Th
V2E,n,tの例を示している。ここでnは各ED、VGW毎に割り当てられたインデックスであり、tは横軸の時間を表している。あるEDのポイントに着目したとき、このEDのポイントが変化する過程において、閾値Th
E2V、Th
V2Eが時系列的に変化し、VGWにならないケースを示している。また、この変化するポイントがあるVGWに着目したものであるとき、このVGWのポイントが変化する過程で、閾値Th
E2V、Th
V2Eが時系列的に変化し、EDにならないケースと考えることもできる。
【0050】
この閾値ThE2V、ThV2Eの時系列的な変化は、ランダムに変化するものであってもよいし、各デバイス5毎に変化パターンが予め決定されるものであってもよい。更に各デバイスのポイントの変化傾向に基づいて、時系列的に変化させるようにしてもよい。
【0051】
図5に示すように、EDが自ら生成した信号を送信する都度、またVGWが他のEDにより生成された信号を送信する都度、+α増加するのに対して、VGWが他のEDにより生成された信号を受信する都度、-2α減少する。この-2α減少するスピードは、+α増加するスピードよりも急激である。つまり、ポイントの増加率(速さ)を規定しているのがαである。このαについては更にkという変数を乗算してもよく、そのポイントの変化速度をkαとして捉えるようにしてもよい。αが一定の場合、kが大きいほどVGWからEDへの変化が早くなる。αとkはデバイス3間で同一としてもよいし、互いに異ならせるようにしてもよい。
【実施例1】
【0052】
以下、本発明を適用した無線通信システム1の実施例について説明をする。
図6は、この時間軸をベースにした処理動作の実施例を示している。本実施例においてデバイス3は、デバイス3a~3cからなると共に、一のゲートウェイ2によりネットワークが構成されていることが前提となる。このデバイス3a~3cは、VGWにもなりえることは勿論である。当初は、このデバイス3a~3cは何れもEDが割り当てられているものとする。
【0053】
先ずステップS11において、デバイス3cは、ゲートウェイ2に対して信号としてのData3,1を送信する。このData3,1がゲートウェイ2へ送信され、ゲートウェイ2において正しく復調された場合、デバイス3cはポイントが+α増加することとなる。
【0054】
次にステップS12において、デバイス3cは、ゲートウェイ2に対して信号としてのData3,2を送信する。このData3,2がゲートウェイ2へ送信され、ゲートウェイ2において正しく復調された場合、デバイス3cはポイントが+α増加することとなり、トータルでポイントが2αとなる。ここで閾値ThE2Vが2αであると仮定したとき、デバイス3cのポイントが2αであることから、デバイス3cは今後VGWとして機能し始めることとなる。
【0055】
次にステップS13において、デバイス3aが自ら生成した信号について上りデータ通信を試みる。このとき、デバイス3aからゲートウェイ2へ直接信号を送信する経路と、デバイス3aから、新たにVGWとして機能し始めたデバイス3cを中継させてゲートウェイ2へ信号を送信する経路がある。このステップS13においては、デバイス3aは、GW、VGW(デバイス3c)の選択を、上述したように伝搬特性HE2Gや伝搬特性HE2Vや伝搬特性HV2Gを参照しつつ実行するようにしてもよい。この選択においては、結局のところ伝搬特性HE2VMAX>伝搬特性HE2GMAX且つ伝搬特性HV2G>伝搬特性HE2GMAXを満たすVGWが無かったことから、選択GWに対して直接信号を送信することとする。そして、このデバイス3aは,ゲートウェイ2に対してData1,2を送信する。Data1,2がゲートウェイ2において正しく復調された場合には、このデバイス3aにおけるポイントに+α増加させる。
【0056】
次にステップS14において、デバイス3bが自ら生成した信号について上りデータ通信を試みる。このとき、デバイス3bからゲートウェイ2へ直接信号を送信する経路と、デバイス3bから、新たにVGWとして機能し始めたデバイス3cを中継させてゲートウェイ2へ信号を送信する経路がある。このステップS14においては、デバイス3bは、GW、VGW(デバイス3c)の選択を、上述したように伝搬特性HE2Gや伝搬特性HE2Vや伝搬特性HV2Gを参照しつつ実行した結果、デバイス3bからVGW(デバイス3c)を中継させてゲートウェイ2に対してData2,2を送信することとする。Data2,2がVGW(デバイス3c)において正しく復調された場合には、このデバイス3bにおけるポイントに+α増加させる。
【0057】
ステップS14と同時にステップS15も進行し、ステップS14においてデバイス3bから送信されたData2,2をVGW(デバイス3c)が受信してこれを復調する。デバイス3cは、自らのポイントから2α減少させる。その結果、デバイス3cのポイントは、既存の2αから新たに2α減少させることから、0となる。
【0058】
次にステップS16に移行し、デバイス3aは自ら生成したData
1,3の上りデータ通信を試みる。しかしながら、このステップS16においてデバイス3aが自ら生成したData
1,3を送るタイミングにおいて、デバイス3cはVGWとしてData
2,2の中継、送信を行っているため、Data
1,3を受信することができない。このため、デバイス3aは、ゲートウェイ2を構成するGW(GW
1、GW
2、GW
3、GW
4、・・・、GW
n)の中から最適なGWを選択し、これに対して直接Data
1,3を送信する。このGWの選択は、
図3に示したように計測したH
E2Gに基づいて選択するようにしてもよいし、ランダムに選択するようにしてもよい。
【0059】
次にステップS17に移行し、デバイス3cは、Data2,2をゲートウェイ2へ送信し、ゲートウェイ2側において正しく復調されたことを確認した後、自らに付されているポイントを+α増加させる。その結果、デバイス3cのポイントは、既存の0から新たにα増加させることから+αとなる。
【0060】
次にステップS18に移行し、デバイス3cは、デバイス3bより、VGWとして選択された結果、当該デバイス3bにより生成されたData2,3を受信し、これを復調する。その結果、デバイス3cは、現状のポイント+αから2α減少することになり、-αとなる。
【0061】
ステップS19では、自ら生成したData3,3をゲートウェイ2に送信しようとしたが、ちょうどそのタイミングにおいてData2,3を受信している場合には、当該Data2,3の受信が完了した後に行う。このステップS19では、Data2,3の受信が完了し、Data3,3のゲートウェイ2への送信を行う。VGWとしてのデバイス3c自ら生成したData3,3を送信してゲートウェイ2において正しく復調されても、ポイントは特段増加することは無い。
【0062】
ステップS20では、VGWとしてのデバイス3c自ら生成したData3,3の送信を優先して行う。
【0063】
ステップS21では、デバイス3bは自ら生成したData
2,4の上りデータ通信を試みる。このタイミングにおいては、デバイス3cは、先に受信したData
2,3をゲートウェイ2へ送信をしているため、他の信号を受信することができない。従って、デバイス3bは、ゲートウェイ2を構成するGW(GW
1、GW
2、GW
3、GW
4、・・・、GW
n)の中から最適なGWを選択し、これに対して直接Data
2,4を送信する。このGWの選択は、
図3に示したように計測したH
E2Gに基づいて選択するようにしてもよいし、ランダムに選択するようにしてもよい。
【0064】
ステップS22では、デバイス3cは、先に受信したData2,3をゲートウェイ2へ送信を完了し、このData2,3は、ゲートウェイ2において正しく復調される。このため、デバイス3cは自らに付されているポイント-αに+αを追加し、合計0ポイントとする。またデバイス3cは、自ら生成したData3,4をゲートウェイ2に送信する。
【0065】
ステップS23において、ThV2E=0であると仮定したとき、デバイス3cのポイントが0になっているため、デバイス3cは、VGWからEDに戻る。
【符号の説明】
【0066】
1 無線通信システム
2 ゲートウェイ
3 デバイス