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  • 特許-ボールジョイント 図1
  • 特許-ボールジョイント 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】ボールジョイント
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/06 20060101AFI20221130BHJP
   B60G 7/02 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
F16C11/06 Z
B60G7/02
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019196484
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2021071137
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】519184930
【氏名又は名称】株式会社ソミックマネージメントホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】市川 久
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-522910(JP,A)
【文献】特開2000-230539(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0086347(US,A1)
【文献】国際公開第2010/137181(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/06
B60G 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内室及びこの内室と連通する開口部を有する受け側部材と、
この受け側部材の内室に収容されたシート部材と、
このシート部材に回動可能に保持されたボール部及び前記開口部から前記受け側部材の外方に突出する軸部を有するボール側部材と、
前記開口部を覆って前記受け側部材と前記ボール側部材の軸部とに亘り取り付けられるカバー部材と、
前記ボール側部材のボール部と前記シート部材との間に介在される第一の潤滑剤と、
この第一の潤滑剤よりも摩擦係数が大きく、前記カバー部材の内方に封入される第二の潤滑剤と
前記第二の潤滑剤を前記シート部材と前記ボール側部材の前記ボール部との間に引き込む引き込み部と、
を備えることを特徴とするボールジョイント
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール側部材のボール部とシート部材との間に介在される潤滑剤を備えるボールジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両の操舵装置、あるいは懸架装置において、ステアリングからのタイヤを走行方向に向ける力を伝達する役割、あるいはタイヤが路面から受ける衝撃を吸収する役割として、継手装置(軸受装置)であるボールジョイントが使用されている。
【0003】
車両の操舵フィーリング性や走行安定性を維持するために、ボールジョイントの性能(特性)は常に一定あることが望ましいものの、様々な要因から性能を一定に保つことは困難である。
【0004】
低下する性能の一例としては、摺動トルクの低下がある。摺動トルクの低下の主な要因としては、ボールスタッドのボール部が揺動や回転を繰り返すことにより、ボール部を保持するベアリングシートが劣化摩耗すること等が挙げられる。
【0005】
摺動トルクに影響を与える因子として、摩擦係数、つまりボール部の外周面とベアリングシートの保持面との間の摩擦がある。この摩擦係数をコントロールするために、潤滑剤であるグリースが用いられる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-145996号公報(第5-7頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来から、潤滑性を保持するためにグリースが使用されている。近年においては、初期の走行安定性の向上に加え、摺動トルクの低下に対応するためのグリース、すなわち揺動や回転を繰り返しても摺動トルクの低下量を抑制するようなグリースが開発されてきている。
【0008】
しかしながら、そのようなグリースは一般的に高価でコスト増となる。また、摺動トルクの低下幅を従来と比較して抑制されているものの、低下自体を止めることはできない。
【0009】
そのため、摺動トルクの低下を抑制しつつ、コスト増を招かないようにすることが望まれている。このような課題は、車両用のボールジョイント以外でも同様に生じる。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、コスト増を抑制しつつ摺動トルクを安定化できるボールジョイントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載のボールジョイントは、内室及びこの内室と連通する開口部を有する受け側部材と、この受け側部材の内室に収容されたシート部材と、このシート部材に回動可能に保持されたボール部及び前記開口部から前記受け側部材の外方に突出する軸部を有するボール側部材と、前記開口部を覆って前記受け側部材と前記ボール側部材の軸部とに亘り取り付けられるカバー部材と、前記ボール側部材のボール部と前記シート部材との間に介在される第一の潤滑剤と、この第一の潤滑剤よりも摩擦係数が大きく、前記カバー部材の内方に封入される第二の潤滑剤と、前記第二の潤滑剤を前記シート部材と前記ボール側部材の前記ボール部との間に引き込む引き込み部と、を備えるものである
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のボールジョイントによれば、ボール部の回動に伴うシート部材の摩耗劣化による経時的な摺動トルクの低下が、このボール部の回動に伴う第二の潤滑剤のボール部とシート部材との間への引き込み部からの引き込みによって相殺されるので、引き込み部の形状や数、位置等の設計によって、第二の潤滑剤の引き込み量を容易に制御できるので、摺動トルクの経時変化を容易に制御でき、比較的高価な第一の潤滑剤をボール側部材のボール部とシート部材との間とカバー部材の内方との双方に使用する場合と比較して、コスト増を抑制しつつ、摺動トルクを安定化できる
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態のボールジョイントを示す断面図である。
図2】同上ボールジョイントの各潤滑剤による使用時間と摺動トルクとの関係を模式的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1において、10はボールジョイントを示す。本実施の形態において、ボールジョイント10は、自動車用の操舵装置のタイロッドエンドの端部に備えられるアウターボールジョイント(OBJ)を例に挙げて説明する。以下、本実施の形態では、図1に示す状態を基準として上下方向を説明するが、ボールジョイント10の設置状態により上下方向は異なる。
【0016】
ボールジョイント10は、受け側部材であるハウジング12と、シート部材であるベアリングシート13と、ボール側部材であるボールスタッド14と、カバー部材であるダストカバー15と、を備えている。
【0017】
ハウジング12は、ソケット等とも呼ばれるもので、有底円筒状に形成されている。ハウジング12は、例えば全体が金属製でもよいし、一部が金属製、残りの他部が樹脂製等でもよい。ハウジング12は、上下方向に沿って軸線を有している。本実施の形態では、ハウジング12の軸線の一端側を上側、軸線の他端側を下側として説明する。ハウジング12の内部には、ベアリングシート13を収容する内室20が形成されている。また、ハウジング12の上部には、内室20と連通する開口部21が形成されている。内室20は、開口部21すなわち上部に向かい徐々に縮径されるように形成されている。また、開口部21は、内室20とは反対側すなわち上部に向かい徐々に拡径されるように形成され、ボールスタッド14の揺動範囲を拡げ、ボールスタッド14の揺動時のボールスタッド14との干渉を避けようになっている。
【0018】
本実施の形態において、ハウジング12は、上端部に開口部21を有する円筒状の受け側部材本体部であるハウジング本体部23と、ハウジング本体部23とは別体でハウジング本体部23の下端部を閉塞する閉塞部であるプラグ24とを有しているが、これに限られず、有底円筒状に一体形成されていてもよい。また、本実施の形態において、ハウジング12(ハウジング本体部23)の外部には、軸直方向に沿って延びるタイロッドエンドの腕部(リンク部)25が形成されているが、この腕部25は必須のものではない。
【0019】
ベアリングシート13は、ボールシート等とも呼ばれるもので、円筒状に形成されている。ベアリングシート13は、例えば耐摩耗性に優れ弾性率が高い合成樹脂等により形成されている。ベアリングシート13は、ハウジング12と同軸状または略同軸状に配置される。ベアリングシート13の外周面は、内室20の内周面に接している。そのため、ベアリングシート13は、上部に向かって徐々に縮径された状態でハウジング12の内室20に保持される。
【0020】
ベアリングシート13は、少なくとも上部に、一方のシート開口部30を備えている。一方のシート開口部30は、ハウジング12の開口部21と連通する。また、本実施の形態において、ベアリングシート13は、下部に、他方のシート開口部31を備えている。他方のシート開口部31は、ハウジング12の内室20に対して離れて位置する。他方のシート開口部31とハウジング12(プラグ24)との間には、空間部S1が形成される。空間部S1は、ハウジング12の底部(プラグ24)から、他方のシート開口部31までを含む。また、ベアリングシート13の内周面は、球面状に湾曲され、後述するボールスタッド14のボール部40との摺接面となる。なお、ベアリングシート13の内周面には、溝部、凹部、凸部等が必要に応じて形成されていてもよい。
【0021】
本実施の形態において、ベアリングシート13は、第一の部材33と、第二の部材34と、からなる、いわゆる2ピースタイプのものを例に挙げて説明する。これに限られず、ベアリングシート13は、全体が一体に形成された1ピースタイプのものでもよい。
【0022】
第一の部材33は、両端部が開口された円筒状に形成され、主としてボールスタッド14のボール部40の上側を保持する部分である。本実施の形態において、第一の部材33の外周面は、ハウジング12の内室20の内周面と密着している。また、第一の部材33は、ハウジング12の内室20の上端部から下端部に亘り配置されている。第一の部材33の上端部に一方のシート開口部30が形成されている。第一の部材33の下端部は、ハウジング12の底部(プラグ24)に対し、接触していてもよいし離れていてもよい。
【0023】
第二の部材34は、両端部が開口された円筒状に形成され、主としてボールスタッド14のボール部40の下側を保持する部分である。第二の部材34は、第一の部材33よりも両端方向の長さが短く形成されている。第二の部材34は、第一の部材33の内部に少なくとも一部が配置されている。本実施の形態において、第二の部材34は、上部が第一の部材33の内部に配置され、下部が第一の部材33から僅かに下方に突出している。第二の部材34の上部には、空間部S2が形成されている。また、第二の部材34の下端部に他方のシート開口部31が形成されている。第二の部材34の下端部は、ハウジング12の底部(プラグ24)に対し、接触していてもよいし離れていてもよい。
【0024】
ボールスタッド14は、球状のボール部40を一端部に備え、ボール部40から他端部に、軸状の軸部であるスタッド部41が連結されている。ボールスタッド14は、例えば鋼鉄等により形成されている。なお、ボールスタッド14の位置関係は、ボールスタッド14がハウジング12及びベアリングシート13に対し揺動または回動していない状態、つまり中立位置を基準として説明する。
【0025】
ボール部40は、外周面の一部がベアリングシート13に摺動または回動可能に保持される。本実施の形態のボール部40は、外周面のうち、少なくとも赤道位置Eを含む軸方向の所定領域がベアリングシート13により保持される。赤道位置Eとは、ボール部40において、ボールスタッド14の一端他端方向である軸方向に対して交差または直交する断面で見て、最も径寸法が大きい外周面の位置をいう。
【0026】
ボール部40の外周面とベアリングシート13の内周面との間には、ボール部40の摺動トルクを設定する第一の潤滑剤(グリース)G1が介在されている。第一の潤滑剤G1は、摺動グリースとも呼び得るもので、ボールジョイント10の初期状態からボール部40の外周面とベアリングシート13の内周面との間にある。第一の潤滑剤G1は、相対的に摩擦係数が小さく、経時的なトルク低下が少ない潤滑剤である。第一の潤滑剤G1は、ボール部40の外周面またはベアリングシート13の内周面に、ボール部40の組み付け前に予め塗布されていてもよいし、ボール部40を組み付けた後に注入されてもよい。
【0027】
スタッド部41は、外部の被接続部材に接続されて荷重が加わる部分である。スタッド部41は、ボール部40と一体に成形してもよいし、ボール部40と別体で成形された後、ボール部40に溶接等により一体化されてもよい。
【0028】
ダストカバー15は、ダストシール、あるいはブーツ等とも呼ばれ、ハウジング12の開口部21を覆ってハウジング12とボールスタッド14のスタッド部41とに亘り取り付けられる。ダストカバー15は、ボールスタッド14の揺動に拘らずハウジング12の開口部21を覆い、ハウジング12あるいはベアリングシート13の内部への水分及び塵埃等の侵入を阻止する。ダストカバー15は、例えば合成樹脂により略円筒状に形成されている。また、ダストカバー15は、径寸法よりも軸寸法が小さい、扁平な形状となっている。ダストカバー15は、円筒状のカバー本体部50と、ハウジング12に固定される第一の固定部51と、ボールスタッド14に固定される第二の固定部52とを一体に備えている。
【0029】
カバー本体部50は、ボールスタッド14のスタッド部41の揺動時のダストカバー15の変形分を吸収する部分である。本実施の形態において、カバー本体部50は、両端部の中間の位置が径方向に膨出するように形成されている。
【0030】
第一の固定部51は、ダストカバー15とハウジング12の外周との隙間を閉塞する部分である。第一の固定部51は、ハウジング12に形成されたカバー取付部55に嵌合されている。カバー取付部55は、ハウジング12の上端側の外周、すなわち開口部21の外周の位置に溝状に形成されている。また、第一の固定部51は、固定部材である円環状のクリップ56により外周側から締め付けられてカバー取付部55に保持されている。これに限られず、ダストカバー15は、クリップ56を使用せずにカバー取付部55に圧入されて保持される圧入タイプのものでもよい。
【0031】
第二の固定部52は、ダストカバー15とボールスタッド14のスタッド部41の外周との隙間を閉塞する部分である。第二の固定部52は、ボールスタッド14のスタッド部41の基端側、つまりボール部40側の外周の位置に圧接されている。第二の固定部52は、第一の固定部51よりも径寸法が小さく形成されている。
【0032】
そして、ダストカバー15の内方には、ハウジング12の上端部及びボールスタッド14のスタッド部41との間に空間部S3が形成されている。空間部S3には、第二の潤滑剤(グリース)G2が封入されている。本実施の形態において、第二の潤滑剤G2は、空間部S3に充填されている。第二の潤滑剤G2は、封入グリースとも呼び得るもので、初期状態では空間部S3に位置し、ボールスタッド14の揺動・回動の繰り返しにより経時的にボール部40の外周面とベアリングシート13の内周面との間に引き込まれていく潤滑剤である。第二の潤滑剤G2は、第一の潤滑剤G1と異なる摩擦係数を有する潤滑剤である。本実施の形態において、第二の潤滑剤G2は、相対的に摩擦係数が大きく、第一の潤滑剤G1よりも経時的なトルク低下が相対的に大きい潤滑剤である。第二の潤滑剤G2は、第一の潤滑剤G1よりも摩擦係数が大きい。この第二の潤滑剤G2をボール部40の外周面とベアリングシート13の内周面との間へとより引き込みやすくするために、ベアリングシート13に引き込み部58が設けられていてもよい。引き込み部58は、空間部S3に臨むベアリングシート13の端部に形成されている。引き込み部58は、好ましくは一方のシート開口部30に位置して形成されている。引き込み部58としては、例えば溝や隙間、あるいはそれらの組み合わせ等が用いられる。
【0033】
次に、一実施の形態の動作を説明する。
【0034】
ボールジョイント10は、使用初期状態(耐久前)では、ボール部40の外周面とベアリングシート13の内周面との間には摩擦係数が相対的に小さい第一の潤滑剤G1のみが存在する状態である。
【0035】
経時変化でスタッド部41に荷重が加わってボールスタッド14がボール部40を中心として揺動・回動を繰り返すにしたがい、ベアリングシート13の内周面が劣化摩耗することで摺動トルクが低下していく一方、摩擦係数が相対的に大きい第二の潤滑剤G2が空間部G3からボール部40の外周面とベアリングシート13の内周面との間に引き込まれ第一の潤滑剤G1と徐々に混ざっていくことで、摺動トルクが上昇していく。つまり、これらベアリングシート13の内周面の摩耗劣化による摺動トルクの低下と第二の潤滑剤G2の引き込みによる摺動トルクの上昇との変化分、すなわち低下分と上昇分とが打ち消しあうことで、摺動トルクの低下が抑制され、略一定に保たれる。
【0036】
この作用を、図2に模式的に示す。第一の潤滑剤G1による摺動トルクT(G1)は経時的に徐々に低下していくものの、第二の潤滑剤G2による摺動トルクT(G2)により相殺されることで、これらが合成された摺動トルクTが長期に亘り略一定に維持される。
【0037】
そして、第一の潤滑剤G1による摺動トルクT(G1)及び第二の潤滑剤G2による摺動トルクT(G2)がそれぞれ一定以上低下すると、摺動トルクTは経時的に徐々に低下していく。これに伴い、ボールジョイント10は、徐々に本実施の形態の効果を得にくくなっていく。
【0038】
このように、一実施の形態によれば、ボールスタッド14のボール部40とベアリングシート13との間に介在される第一の潤滑剤G1とは別個に、ダストカバー15の内方に第一の潤滑剤G1よりも摩擦係数が大きい第二の潤滑剤G2を封入することで、ボール部40の回動に伴うベアリングシート13の摩耗劣化による経時的な摺動トルクの低下が、このボール部40の回動に伴う第二の潤滑剤G2のボール部40とベアリングシート13との間への引き込みによって相殺されるので、一般的に比較的高価な第一の潤滑剤G1をボールスタッド14のボール部40とベアリングシート13との間とダストカバー15の内方との双方に使用する場合と比較して、コスト増を抑制しつつ、摺動トルクを安定化できる。
【0039】
また、第二の潤滑剤G2をベアリングシート13とボールスタッド14のボール部40との間に引き込む引き込み部58を設けることで、第二の潤滑剤G2をボールスタッド14のボール部40とベアリングシート13との間に引き込み部58から容易に引き込むことができるとともに、引き込み部58の形状や数、位置等の設計によって、第二の潤滑剤G2の引き込み量を容易に制御できるので、摺動トルクの経時変化を容易に制御できる。
【0040】
特に、操舵装置のタイロッドエンドの端部に備えられるアウターボールジョイントの場合、車体側からの衝撃が加わりボールスタッド14の回動が大きく生じるため、第二の潤滑剤G2をボール部40とベアリングシート13との間に効果的に引き込むことができる。
【0041】
なお、上記一実施の形態において、ボールジョイント10は、ボール部40を上側、スタッド部41を下側として配置される倒立型のもの等でもよい。
【0042】
また、ボールジョイント10は、自動車用または車両用に限られず、その他の任意の機器に用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、例えば自動車等の車両の操舵装置用や懸架装置用のボールジョイントとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0044】
10 ボールジョイント
12 受け側部材であるハウジング
13 シート部材であるベアリングシート
14 ボール側部材であるボールスタッド
15 カバー部材であるダストカバー
20 内室
21 開口部
40 ボール部
41 軸部であるスタッド部
58 引き込み部
G1 第一の潤滑剤
G2 第二の潤滑剤
図1
図2