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特許7185367インプラントバッグの異常感知装置及びインプラントバッグの異常感知システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】インプラントバッグの異常感知装置及びインプラントバッグの異常感知システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/12 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
A61F2/12
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022124585
(22)【出願日】2022-08-04
【審査請求日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0131279
(32)【優先日】2021-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520367164
【氏名又は名称】キム ジェホン
【氏名又は名称原語表記】Kim, Jae Hong
【住所又は居所原語表記】THE W clinic, 9th F, 596, Gangnam-daero, Gangnam-gu, Seoul, 06038, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェホン
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0077241(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0038367(US,A1)
【文献】特開2005-291122(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0029368(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0012372(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に挿入するインプラントバッグに設けられた少なくとも一つ以上のセンサーモジュールから前記インプラントバッグに加わる圧力を表す圧力信号を受信するためのセンサー信号受信部と、
所定の基準圧力値第1許容値、及び第2許容値を格納するための格納部と、
前記センサー信号受信部が受信した前記圧力信号が示す圧力値と前記格納部に格納された前記基準圧力値との差を前記第1許容値と比較することにより前記インプラントバッグの異常を判断するための異常判断部と、
を備え、
前記センサー信号受信部は、所定の周期で、またはユーザーの操作に応じて前記センサーモジュールから第1圧力信号を受信し、
前記異常判断部は、前記第1圧力信号が表す第1圧力値と前記基準圧力値を比較し、
前記第1圧力値と前記基準圧力値の差の絶対値が前記第1許容値より大きい場合に、前記センサー信号受信部は、所定の第1時間が経過した後に前記センサーモジュールから第2圧力信号を受信し、
前記異常判断部は、前記第2圧力信号が表す第2圧力値と前記基準圧力値を比較し、前記第2圧力値と前記基準圧力値の差の絶対値が前記第1許容値より大きいと、前記第1圧力値と前記第2圧力値の差の絶対値と前記第2許容値をさらに比較し、前記第1圧力値と前記第2圧力値の差の絶対値が前記第2許容値より小さいと、前記インプラントバッグの異常を判断する、
インプラントバッグの異常感知装置。
【請求項2】
前記センサー信号受信部は、所定の周期で前記センサーモジュールから第1圧力信号を受信する場合、前記第1圧力値が前記基準圧力値より大きいと、前記周期によらず前記第1時間が経過した後に前記センサーモジュールから第2圧力信号を受信し、ユーザーの操作によって前記センサーモジュールから第1圧力信号を受信する場合、前記第1圧力値が前記基準圧力値より大きいと、前記ユーザーの操作によらず前記第1時間が経過した後に前記センサーモジュールから第2圧力信号を受信する、
請求項1に記載のインプラントバッグの異常感知装置。
【請求項3】
前記センサーモジュールは複数のセンサーモジュールを含み、
前記格納部は、前記複数のセンサーモジュールに対し、前記第1許容値を互いに異なるように設定して格納する、
請求項1に記載のインプラントバッグの異常感知装置。
【請求項4】
前記センサーモジュールは複数のセンサーモジュールを含み、
前記格納部は、前記複数のセンサーモジュールのうち何れか一つのセンサーモジュールに対し、前記第1許容値を他のセンサーモジュールとは異なるように設定して格納する、
請求項1に記載のインプラントバッグの異常感知装置。
【請求項5】
人体に挿入するインプラントバッグに設けられた少なくとも一つ以上のセンサーモジュールから前記インプラントバッグに加わる圧力を表す圧力信号を受信するためのセンサー信号受信部と、
所定の第1許容値及び第2許容値を格納するための格納部と、
前記センサー信号受信部が受信した前記圧力信号と前記格納部に格納された前記第1許容値に基づいて前記インプラントバッグの異常を判断するための異常判断部と、
を備え、
前記センサー信号受信部は、所定の周期で、またはユーザーの操作に応じて前記センサーモジュールから第1圧力信号を受信し、
前記異常判断部は、前記第1圧力信号の以前の圧力信号と前記第1圧力信号の差を表す第1変化量と前記第1許容値を比較し、前記第1変化量が前記第1許容値より大きいと、前記センサー信号受信部は、所定の第1時間が経過した後に前記センサーモジュールから第2圧力信号を受信し前記第1圧力信号と前記第2圧力信号の差を表す第2変化量と前記第1許容値を比較し、前記第2変化量が前記第1許容値より大きいと、前記第1変化量と前記第2変化量の差の絶対値と前記第2許容値をさらに比較し、前記第1変化量と前記第2変化量の差の絶対値が前記第2許容値より小さいと、前記インプラントバッグの異常を判断する、
インプラントバッグの異常感知装置。
【請求項6】
前記センサー信号受信部は、所定の周期で前記センサーモジュールから第1圧力信号を受信する場合、前記第1変化量が前記第1許容値より大きいと、前記周期によらず前記第1時間が経過した後に前記センサーモジュールから前記第2圧力信号を受信し、ユーザーの操作によって前記センサーモジュールから第1圧力信号を受信する場合、前記第1変化量が前記第1許容値より大きいと、前記ユーザーの操作によらず前記第1時間が経過した後に前記センサーモジュールから前記第2圧力信号を受信する、
請求項に記載のインプラントバッグの異常感知装置。
【請求項7】
前記センサーモジュールは複数のセンサーモジュールを含み、
前記格納部は、前記複数のセンサーモジュールに対し、前記第1許容値を互いに異なるように設定して格納する、
請求項に記載のインプラントバッグの異常感知装置。
【請求項8】
前記センサーモジュールは複数のセンサーモジュールを含み、
前記格納部は、前記複数のセンサーモジュールのうち何れか一つのセンサーモジュールに対し、前記第1許容値を他のセンサーモジュールとは異なるように設定して格納する、
請求項に記載のインプラントバッグの異常感知装置。
【請求項9】
前記センサー信号受信部は、少なくとも一つ以上の前記センサーモジュールから心拍、脈拍、体温、血圧、呼吸数、血糖のうち少なくとも一つ以上を表す生体信号をさらに受信し、
前記格納部は、前記センサー信号受信部が受信した前記生体信号をさらに格納する、
請求項1ないし請求項の何れか一項に記載のインプラントバッグの異常感知装置。
【請求項10】
人体に挿入するインプラントバッグに設けられた少なくとも一つ以上のセンサーモジュールから前記インプラントバッグに加わる圧力を表す圧力信号を受信して外部に送信するためのユーザー端末と、
前記ユーザー端末から前記圧力信号を受信し、受信した前記圧力信号に基づいて前記インプラントバッグの異常を判断するための遠隔サーバーと、
を備え、
前記ユーザー端末は、
前記センサーモジュールから前記インプラントバッグに加わる圧力を表す圧力信号を受信するためのセンサー信号受信部と、
前記センサー信号受信部が受信した前記圧力信号を前記遠隔サーバーに送信するための信号送信部と、
を含み、
前記遠隔サーバーは、
前記ユーザー端末から前記圧力信号を受信するための信号受信部と、
所定の基準圧力値第1許容値、及び第2許容値を格納するための格納部と、
前記ユーザー端末から受信した前記圧力信号が示す圧力値と前記格納部に格納された前記基準圧力値との差を前記第1許容値と比較することにより前記インプラントバッグの異常を判断するための異常判断部と、
を含み、
前記信号受信部は、所定の周期で、またはユーザーの操作に応じて前記センサーモジュールからの第1圧力信号を受信し、
前記異常判断部は、前記第1圧力信号が表す第1圧力値と前記基準圧力値を比較し、前記第1圧力値と前記基準圧力値の差の絶対値が前記第1許容値より大きい場合に、前記信号受信部は、所定の第1時間が経過した後に前記センサーモジュールからの第2圧力信号を受信し前記第2圧力信号が表す第2圧力値と前記基準圧力値を比較し、前記第2圧力値と前記基準圧力値の差の絶対値が前記第1許容値より大きいと、前記第1圧力値と前記第2圧力値の差の絶対値と前記第2許容値をさらに比較し、前記第1圧力値と前記第2圧力値の差の絶対値が前記第2許容値より小さいと、前記インプラントバッグの異常を判断する、
インプラントバッグの異常感知システム。
【請求項11】
人体に挿入するインプラントバッグに設けられた少なくとも一つ以上のセンサーモジュールから前記インプラントバッグに加わる圧力を表す圧力信号を受信し、外部に送信するためのユーザー端末と、
前記ユーザー端末から前記圧力信号を受信し、受信した前記圧力信号に基づいて前記インプラントバッグの異常を判断するための遠隔サーバーと、
を備え、
前記ユーザー端末は、
前記センサーモジュールから前記インプラントバッグに加わる圧力を表す圧力信号を受信するためのセンサー信号受信部と、
前記センサー信号受信部が受信した前記圧力信号を前記遠隔サーバーに送信するための信号送信部と、
を含み、
前記遠隔サーバーは、
前記ユーザー端末から前記圧力信号を受信するための信号受信部と、
所定の第1許容値及び第2許容値を格納するための格納部と、
前記ユーザー端末から受信した前記圧力信号と前記格納部に格納された前記第1許容値に基づいて前記インプラントバッグの異常を判断するための異常判断部と、
を含み、
前記信号受信部は、所定の周期で、またはユーザーの操作に応じて前記センサーモジュールからの第1圧力信号を受信し、
前記異常判断部は、前記第1圧力信号の以前の圧力信号と前記第1圧力信号の差を表す第1変化量と前記第1許容値を比較し、前記第1変化量が前記第1許容値より大きい場合に、前記信号受信部は、所定の第1時間が経過した後に前記センサーモジュールから第2圧力信号を受信し前記第1圧力信号と前記第2圧力信号の差を表す第2変化量と前記第1許容値を比較し、前記第2変化量が前記第1許容値より大きいと、前記第1変化量と前記第2変化量の差の絶対値と前記第2許容値をさらに比較し、前記第1変化量と前記第2変化量の差の絶対値が前記第2許容値より小さいと、前記インプラントバッグの異常を判断する、
インプラントバッグの異常感知システム。
【請求項12】
前記センサー信号受信部は、少なくとも一つ以上の前記センサーモジュールから心拍、脈拍、体温、血圧、呼吸数、血糖のうち少なくとも一つ以上を表す生体信号をさらに受信し、
前記信号送信部は、前記センサー信号受信部が受信した前記生体信号を前記遠隔サーバーに送信し、
前記信号受信部は、前記ユーザー端末から前記生体信号を受信し、
前記格納部は、前記ユーザー端末から受信した前記生体信号をさらに格納する、
請求項10または請求項11に記載のインプラントバッグの異常感知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラントバッグの異常感知装置及びインプラントバッグの異常感知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
美しくてボリューム感のある胸はほとんどの女性の共通する願いである。インプラントバッグ(以下、単に「インプラント」と言う場合もある)を用いた豊胸手術は、このような女性たちの願いを叶わせる簡単ながら効果的な方法の一つである。
【0003】
インプラントバッグを用いた豊胸手術は、胸にインプラントバッグが入るスペースを確保し、確保されたスペースにインプラントバッグを入れて胸のボリュームを増やす方法である。
【0004】
このようなインプラントバッグは、多くの場合凝集力の強いシリコンであるコーヒーシヴゲル(Cohesive Gel)で製造されている。コーヒーシヴゲルは、従来のシリコンゲルの短所を補い、外皮が丈夫で、手術後の形が自然に形成される長所をもっている(特許文献1-3参照)。
【0005】
インプラントバッグを用いた豊胸手術後に発生する最も多い副作用はインプラントバッグの破損と拘縮である。
【0006】
インプラントバッグが破損してシリコン成分が長い時間体内に残留すると乳腺組織に浸透して授乳をしづらくなり、乳癌の検診に障害を与える恐れがある。さらに、破損によってシリコンが脇のリンパ腺に浸透する場合もあるが、この場合浸透したシリコンの不完全な除去及び除去後のリンパ浮腫、全身へのシリコンの拡散現象などが起こる恐れがある。
【0007】
拘縮は、インプラントバッグを取り囲み新たに形成された被膜が厚くなることで発生する現象を言い、手術後の初期2年以内に主に発生し、最も多い副作用の一つである。拘縮が発生すると、形の変形と痛みを伴い、ひどい場合にはインプラントバッグを除去して被膜を除去する再手術を受けることもある。
【0008】
インプラントバッグを挿入した後に発生する二つの代表的な副作用を診断するためには患者が来院して医者の診察と共に超音波やMRIのような映像医学的検査を実施し、正確な診断を受ける必要がある。特に症状がなくても、豊胸手術後には毎年超音波検査を受けるのが患者への勧告となっている。
【0009】
このようなインプラントバッグの異常を感知するために、例えば、特許文献4にはインプラントの破裂を外部からセンシングする技術が公開されている。
【0010】
しかし、単純にインプラントバッグにセンサーを設けてセンサーからの異常信号を受信してインプラントバッグの異常を判断すると、偽陽性率(破裂がないのにあると判断)と偽陰性率(破裂があるのにないと判断)の可能性を排除できない。
【0011】
特に、例えば豊胸用インプラントの場合、異常があるのにもかかわらず異常がないと判断するのも大きい問題であるが、異常がないのに異常があると判断してしまうと、インプラントバッグの挿入部位を切開して正常なインプラントバッグを除去して新しいインプラントバッグを挿入するようなより大きい問題をもたらすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】韓国特許公報10-0849356
【文献】韓国特許公報10-1966979
【文献】日本公表特許公報2010-534551
【文献】米国特許公報2009-0012372
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、施術後にインプラントバッグの異常を効果的に感知し、偽陽性率及び偽陰性率を低減するためのインプラントバッグの異常感知装置を提供することを一つの目的とする。
【0014】
さらに、施術後にインプラントバッグの異常を効果的に感知し、偽陽性率及び偽陰性率を低減するためのインプラントバッグの異常感知システムを提供することをもう一つの目的とする。
【0015】
本発明の解決課題は以上で言及されたものに限定されず、言及されていない他の解決課題は下記の記載から当該技術分野における通常の知識を有した者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の少なくとも一つの実施例においては、人体に挿入するインプラントバッグに設けられた少なくとも一つ以上のセンサーモジュールから前記インプラントバッグに加わる圧力を表す圧力信号を受信するためのセンサー信号受信部と、所定の基準圧力値及び第1許容値を格納するための格納部と、前記センサー信号受信部が受信した前記圧力信号が示す圧力値と前記格納部に格納された前記基準圧力値との差を前記第1許容値と比較することにより前記インプラントバッグの異常を判断するための異常判断部と、を備え、前記センサー信号受信部は、所定の周期で、またはユーザーの操作に応じて前記センサーモジュールから第1圧力信号を受信し、前記異常判断部は、前記第1圧力信号が表す第1圧力値と前記基準圧力値を比較し、前記第1圧力値と前記基準圧力値の差の絶対値が前記第1許容値より大きい場合に、前記センサー信号受信部は、所定の第1時間が経過した後に前記センサーモジュールから第2圧力信号を受信し、前記異常判断部は、前記第2圧力信号が表す第2圧力値と前記基準圧力値を比較し、前記第2圧力値と前記基準圧力値の差の絶対値が前記第1許容値より大きいと、前記インプラントバッグの異常を判断する、インプラントバッグの異常感知装置を提供する。
【0017】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記格納部は、第2許容値をさらに格納し、前記異常判断部は、前記第2圧力値が前記基準圧力値より大きいと、前記第1圧力値と前記第2圧力値の差の絶対値と前記第2許容値をさらに比較し、前記第1圧力値と前記第2圧力値の差の絶対値が前記第2許容値より小さいと、前記インプラントバッグの異常を判断する。
【0018】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記センサー信号受信部は、所定の周期で前記センサーモジュールから第1圧力信号を受信する場合、前記第1圧力値が前記基準圧力値より大きいと、前記周期によらず前記第1時間が経過した後に前記センサーモジュールから第2圧力信号を受信し、ユーザーの操作によって前記センサーモジュールから第1圧力信号を受信する場合、前記第1圧力値が前記基準圧力値より大きいと、前記ユーザーの操作によらず前記第1時間が経過した後に前記センサーモジュールから第2圧力信号を受信する。
【0019】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記センサーモジュールは複数のセンサーモジュールを含み、前記格納部は、前記複数のセンサーモジュールに対し、前記第1許容値を互いに異なるように設定して格納する。
【0020】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記センサーモジュールは複数のセンサーモジュールを含み、前記格納部は、前記複数のセンサーモジュールのうち何れか一つのセンサーモジュールに対し、前記第1許容値を他のセンサーモジュールとは異なるように設定して格納する。
【0021】
本発明の少なくとも一つの実施例においては、人体に挿入するインプラントバッグに設けられた少なくとも一つ以上のセンサーモジュールから前記インプラントバッグに加わる圧力を表す圧力信号を受信するためのセンサー信号受信部と、所定の第1許容値を格納するための格納部と、前記センサー信号受信部が受信した前記圧力信号と前記格納部に格納された前記第1許容値に基づいて前記インプラントバッグの異常を判断するための異常判断部と、を備え、前記センサー信号受信部は、所定の周期で、またはユーザーの操作に応じて前記センサーモジュールから第1圧力信号を受信し、前記異常判断部は、前記第1圧力信号の以前の圧力信号と前記第1圧力信号の差を表す第1変化量と前記第1許容値を比較し、前記第1変化量が前記第1許容値より大きいと、前記センサー信号受信部は、所定の第1時間が経過した後に前記センサーモジュールから第2圧力信号を受信し、前記異常判断部は、前記第1圧力信号と前記第2圧力信号の差を表す第2変化量と前記第1許容値を比較し、前記第2変化量が前記第1許容値より大きいと、前記インプラントバッグの異常を判断する、インプラントバッグの異常感知装置を提供する。
【0022】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記格納部は、所定の第2許容値をさらに格納し、前記異常判断部は、前記第2変化量が前記第1許容値より大きいと、前記第1変化量と前記第2変化量の差の絶対値と前記第2許容値をさらに比較し、前記第1変化量と前記第2変化量の差の絶対値が前記第2許容値より小さいと、前記インプラントバッグの異常を判断する。
【0023】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記センサー信号受信部は、所定の周期で前記センサーモジュールから第1圧力信号を受信する場合、前記第1変化量が前記第1許容値より大きいと、前記周期によらず前記第1時間が経過した後に前記センサーモジュールから前記第2圧力信号を受信し、ユーザーの操作によって前記センサーモジュールから第1圧力信号を受信する場合、前記第1変化量が前記第1許容値より大きいと、前記ユーザーの操作によらず前記第1時間が経過した後に前記センサーモジュールから前記第2圧力信号を受信する。
【0024】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記センサーモジュールは複数のセンサーモジュールを含み、前記格納部は、前記複数のセンサーモジュールに対し、前記第1許容値を互いに異なるように設定して格納する。
【0025】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記センサーモジュールは複数のセンサーモジュールを含み、前記格納部は、前記複数のセンサーモジュールのうち何れか一つのセンサーモジュールに対し、前記第1許容値を他のセンサーモジュールとは異なるように設定して格納する。
【0026】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記センサー信号受信部は、少なくとも一つ以上の前記センサーモジュールから心拍、脈拍、体温、血圧、呼吸数、血糖のうち少なくとも一つ以上を表す生体信号をさらに受信し、前記格納部は、前記センサー信号受信部が受信した前記生体信号をさらに格納する。
【0027】
本発明の少なくとも一つの実施例においては、人体に挿入するインプラントバッグに設けられた少なくとも一つ以上のセンサーモジュールから前記インプラントバッグに加わる圧力を表す圧力信号を受信して外部に送信するためのユーザー端末と、前記ユーザー端末から前記圧力信号を受信し、受信した前記圧力信号に基づいて前記インプラントバッグの異常を判断するための遠隔サーバーと、を備え、前記ユーザー端末は、前記センサーモジュールから前記インプラントバッグに加わる圧力を表す圧力信号を受信するためのセンサー信号受信部と、前記センサー信号受信部が受信した前記圧力信号を前記遠隔サーバーに送信するための信号送信部と、を含み、前記遠隔サーバーは、前記ユーザー端末から前記圧力信号を受信するための信号受信部と、所定の基準圧力値及び第1許容値を格納するための格納部と、前記ユーザー端末から受信した前記圧力信号が示す圧力値と前記格納部に格納された前記基準圧力値との差を前記第1許容値と比較することにより前記インプラントバッグの異常を判断するための異常判断部と、を含み、前記信号受信部は、所定の周期で、またはユーザーの操作に応じて前記センサーモジュールからの第1圧力信号を受信し、前記異常判断部は、前記第1圧力信号が表す第1圧力値と前記基準圧力値を比較し、前記第1圧力値と前記基準圧力値の差の絶対値が前記第1許容値より大きい場合に、前記信号受信部は、所定の第1時間が経過した後に前記センサーモジュールからの第2圧力信号を受信し、前記異常判断部は、前記第2圧力信号が表す第2圧力値と前記基準圧力値を比較し、前記第2圧力値と前記基準圧力値の差の絶対値が前記第1許容値より大きいと、前記インプラントバッグの異常を判断する、インプラントバッグの異常感知システムを提供する。
【0028】
本発明の少なくとも一つの実施例においては、人体に挿入するインプラントバッグに設けられた少なくとも一つ以上のセンサーモジュールから前記インプラントバッグに加わる圧力を表す圧力信号を受信し、外部に送信するためのユーザー端末と、前記ユーザー端末から前記圧力信号を受信し、受信した前記圧力信号に基づいて前記インプラントバッグの異常を判断するための遠隔サーバーと、を備え、前記ユーザー端末は、前記センサーモジュールから前記インプラントバッグに加わる圧力を表す圧力信号を受信するためのセンサー信号受信部と、前記センサー信号受信部が受信した前記圧力信号を前記遠隔サーバーに送信するための信号送信部と、を含み、前記遠隔サーバーは、前記ユーザー端末から前記圧力信号を受信するための信号受信部と、所定の第1許容値を格納するための格納部と、前記ユーザー端末から受信した前記圧力信号と前記格納部に格納された前記第1許容値に基づいて前記インプラントバッグの異常を判断するための異常判断部と、を含み、前記信号受信部は、所定の周期で、またはユーザーの操作に応じて前記センサーモジュールからの第1圧力信号を受信し、前記異常判断部は、前記第1圧力信号の以前の圧力信号と前記第1圧力信号の差を表す第1変化量と前記第1許容値を比較し、前記第1変化量が前記第1許容値より大きい場合に、前記信号受信部は、所定の第1時間が経過した後に前記センサーモジュールから第2圧力信号を受信し、前記異常判断部は、前記第1圧力信号と前記第2圧力信号の差を表す第2変化量と前記第1許容値を比較し、前記第2変化量が前記第1許容値より大きいと、前記インプラントバッグの異常を判断する、インプラントバッグの異常感知システムを提供する。
【0029】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記センサー信号受信部は、少なくとも一つ以上の前記センサーモジュールから心拍、脈拍、体温、血圧、呼吸数、血糖のうち少なくとも一つ以上を表す生体信号をさらに受信し、前記信号送信部は、前記センサー信号受信部が受信した前記生体信号を前記遠隔サーバーに送信し、前記信号受信部は、前記ユーザー端末から前記生体信号を受信し、前記格納部は、前記ユーザー端末から受信した前記生体信号をさらに格納する。
【0030】
本発明の少なくとも一つの実施例においては、人体に挿入するインプラントバッグに設けられた複数のセンサーモジュールからそれぞれ前記インプラントバッグに加わる圧力を表す圧力信号を受信するためのセンサー信号受信部と、前記複数のセンサーモジュールに対してそれぞれ所定の基準圧力値を格納するための格納部と、前記複数のセンサーモジュールに対してそれぞれ受信した前記圧力信号が示す圧力値と前記複数のセンサーモジュールに対してそれぞれ前記格納部に格納された前記基準圧力値に基づいて前記インプラントバッグの異常を判断するための異常判断部と、を備え、前記格納部は、前記複数のセンサーモジュールに対し、前記基準圧力値を互いに異なるように設定して格納する、インプラントバッグの異常感知装置を提供する。
【0031】
本明細書でそれぞれの実施例は互いに独立的に記載されている場合であっても、それぞれの実施例は相互組合せが可能であり、組合せによる実施例も本発明の権利範囲に含まれる。
【0032】
上述した要約は単に説明のためのものであり、如何なる形でも限定を意図するものではない。上述した説明様態、実施例、及び特徴に加え、追加の様態、実施例、及び特徴が図面及び詳細な説明を参照することで明確になるはずである。
【発明の効果】
【0033】
本発明の少なくとも一つの実施例によれば、施術後にインプラントバッグの異常を効果的に感知し、偽陽性率及び偽陰性率を低減するためのインプラントバッグの異常感知装置を提供できるという効果を奏する。
【0034】
さらに、本発明の少なくとも一つの実施例によれば、施術後にインプラントバッグの異常を効果的に感知し、偽陽性率及び偽陰性率を低減するためのインプラントバッグの異常感知システムを提供できるという効果を奏する。
【0035】
本発明の効果は以上で言及されたものなどに限定されず、言及されていない他の効果は下記の記載から当該技術分野における通常の知識を有した者に明確に理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグの異常感知装置及びインプラントバッグの異常感知システムの模式図である。
図2】本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグの異常感知装置の機能ブロック図である。
図3】本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグの異常感知装置を用いたインプラントバッグの異常感知方法を説明するためのフローチャートである。
図4】本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグの異常感知装置を用いたインプラントバッグの異常感知方法を説明するためのフローチャートである。
図5】本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグの異常感知システムにおいてインプラントバッグの異常感知装置の機能ブロック図である。
図6】本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグの異常感知システムにおいてインプラントバッグの異常感知サーバーの機能ブロック図である。
図7】本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグの一例としてセンサーパッチを有する豊胸用インプラントバッグの模式図である。
図8A】本発明の少なくとも一つの実施例に係るセンサー内蔵パッチの模式図である。
図8B】本発明の少なくとも一つの実施例に係るセンサー内蔵パッチの模式図である。
図9】本発明の少なくとも一つの実施例に係るセンサーモジュールの分解斜視図である。
図10A】本発明の少なくとも一つの実施例において胸に挿入したインプラントバッグに加わる圧力を説明するための模式図である。
図10B】本発明の少なくとも一つの実施例において胸に挿入したインプラントバッグに加わる圧力によるセンサー内蔵パッチの装着例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付図面を参照し、本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグの異常感知装置及びインプラントバッグの異常感知システムについて詳しく説明する。
【0038】
図1は、本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグの異常感知装置100及びインプラントバッグの異常感知システムの模式図である。図2は、本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグの異常感知装置100の機能ブロック図である。
【0039】
本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグの異常感知システムは、人体に挿入するインプラントバッグ200に設けられた少なくとも一つ以上のセンサーモジュール210からインプラントバッグ200に加わる圧力を表す圧力信号を受信し、インプラントバッグ200の異常を感知するためのインプラントバッグの異常感知装置100及びインプラントバッグの異常感知装置100と遠隔で接続し、インプラントバッグの異常感知装置100から各種のデータを受信し、格納するための遠隔サーバー300で構成される。
【0040】
本発明の少なくとも一つの実施例において、インプラントバッグの異常感知装置100は、インプラントバッグ200に設けられた少なくとも一つ以上のセンサーモジュール210からインプラントバッグ200に加わる圧力を表す圧力信号を受信し、これに基づいてインプラントバッグ200の異常を判断して判断信号を出力し、受信した圧力信号及び異常判断信号を含む、各種のデータを遠隔サーバー300に送信して遠隔サーバー300に格納するように構成することができる。
【0041】
図2に示すように、本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグの異常感知装置100は、人体に挿入するインプラントバッグ200に設けられた少なくとも一つ以上のセンサーモジュール210に無線で電力を送信するための無線電力送信部110、センサーモジュール210からインプラントバッグ200に加わる圧力を表す圧力信号を受信するためのセンサー信号受信部120、所定の基準圧力値及び第1許容値を格納するための格納部130、センサー信号受信部120が受信した圧力信号と格納部130に格納された基準圧力値及び第1許容値に基づいてインプラントバッグの異常を判断するための異常判断部140、異常判断部140が圧力信号と基準圧力値及び第1許容値に基づいて判断したインプラントバッグ200の異常を表す判断信号を出力するための判断信号出力部150、これら各部を制御するための制御部160、及び制御部160を介してこれら各部に電源を供給するための電源部170で構成される。
【0042】
本発明の少なくとも一つの実施例において、制御部160は、センサー信号受信部120を介して、所定の周期で、またはユーザーの任意の操作に応じてセンサーモジュール210から第1圧力信号を受信し、異常判断部140を介して、第1圧力信号が表す第1圧力値と基準圧力値を比較し、第1圧力値と基準圧力値の差の絶対値が第1許容値より大きいと、センサー信号受信部120を介して、所定の第1時間が経過した後にセンサーモジュール210から第2圧力信号を受信し、異常判断部140を介して、第2圧力信号が表す第2圧力値と基準圧力値を比較し、第2圧力値と基準圧力値の差の絶対値が第1許容値より大きいと、判断信号出力部150を介して、インプラントバッグ200の異常を表す判断信号を出力するように構成される。
【0043】
図3は、このようなインプラントバッグの異常感知装置100によるインプラントバッグ200の異常を判断する過程を説明するためのフローチャートである。
【0044】
以下の説明で、それぞれの動作はプロセッサー内にプログラムモジュールとして構築された制御部160がそれぞれの該当する機能モジュール及びハードウェア構成を制御することで実現される。
【0045】
ステップS310で、所定の設定周期によってまたはユーザーの任意の操作によってインプラントバッグのセンサー(センサーモジュール)から圧力信号を受信する。
【0046】
その後、受信した圧力信号からインプラントバッグに加わる圧力値(第1圧力値)を算出する(ステップS315)。算出された第1圧力値は、格納された基準圧力値と比較される(ステップS320)。
【0047】
本発明の少なくとも一つの実施例において、基準圧力値は、施術後に所定の安定時間が経過した後の実際の圧力値を測定して格納部に格納される。基準圧力値は、一定の期間が経過すると再度測定してアップデートすることができる。
【0048】
即ち、基準圧力値は、正常な状態でインプラントバッグに加わる圧力を意味し、受信した圧力信号が表す圧力値が基準圧力値より一定量以上大きいかまたは小さいと、インプラントバッグに拘縮や破裂などの異常が発生したものと判定することができる。
【0049】
算出された第1圧力値と格納された基準圧力値の比較の結果、第1圧力値と基準圧力値の差の絶対値が格納された第1許容値より大きいと(ステップS325 Yes)、所定の第1時間が経過した後にセンサーモジュールから第2圧力信号を受信する(ステップS330)。
【0050】
受信した第2圧力信号からインプラントバッグに加わる圧力値(第2圧力値)を算出する(ステップS335)。算出された第2圧力値は、格納された基準圧力値と比較される(ステップS340)。
【0051】
算出された第2圧力値と格納された基準圧力値の比較の結果、第2圧力値と基準圧力値の差の絶対値が格納された第1許容値より大きいと(ステップS345 Yes)、インプラントバッグの異常を表す判断信号を出力する(ステップS360)。
【0052】
インプラントバッグには、大きいまたは小さい圧力が随時加わり得るので、一回の測定で異常を判断すると偽陽性率または偽陰性率の可能性が常に内在していると言える。
【0053】
例えば、ステップS325で算出された第1圧力値と格納された基準圧力値の比較の結果、第1圧力値と基準圧力値の差の絶対値が格納された第1許容値より大きい場合、即ちインプラントバッグのセンサーに異常な圧力が加わっていると判断された場合、このような異常な圧力が一時的な現象なのかまたは持続する現象なのかを判断する必要がある。
【0054】
このために、本発明の少なくとも一つの実施例においては、一度算出された第1圧力値と格納された基準圧力値の比較の結果、第1圧力値と基準圧力値の差の絶対値が格納された第1許容値より大きいと、所定の第1時間が経過した後にセンサーモジュールから第2圧力信号を再度受信する。
【0055】
本発明の少なくとも一つの実施例において、制御部は、所定の周期でセンサーモジュールから第1圧力信号を受信する場合、第1圧力値が基準圧力値より大きいと、設定周期を無視して(即ち、設定周期によらず)第1時間が経過した後にセンサーモジュールから第2圧力信号を受信する。
【0056】
本発明の少なくとも一つの実施例において、制御部は、ユーザーの任意の操作に応じてセンサーモジュールから第1圧力信号を受信する場合、第1圧力値が基準圧力値より大きいと、ユーザーの操作を無視して(即ち、ユーザーの操作によらず)第1時間が経過した後にセンサーモジュールから第2圧力信号を受信する。
【0057】
ここで第1時間は、インプラントバッグのセンサーに異常な圧力が一時的に加わっているのかまたは持続的に加わっているのかを判断するための時間であり、所定の周期より短くまたは長く設定することができる。
【0058】
本発明の少なくとも一つの実施例において、所定の時間がt1に設定されている場合、t1を所定の整数で割って得られた時間を第1時間として設定することができる。
【0059】
例えば、t1が12時間に設定されている場合、t1を6で割った値である2時間を第1時間として設定し(6分法)、t1を5で割った値である2.4時間を第1時間として設定し(5分法)、t1を4で割った値である3時間を第1時間として設定し(4分法)、t1を3で割った値である4時間を第1時間として設定し(3分法)、t1を2で割った値である6時間を第1時間として設定することができる(2分法)。
【0060】
本発明の少なくとも一つの実施例において、所定の整数は、t1の設定値によって6以上の値に設定することもでき、この値が大きいほど第1時間の間隔を短く設定し、この値が小さいほど第1時間の間隔を長く設定することになる。
【0061】
偽陽性率と偽陰性率の可能性をさらに低めるために、本発明の少なくとも一つの実施例において、算出された第2圧力値と格納された基準圧力値の比較の結果、第2圧力値と基準圧力値の差の絶対値が格納された第1許容値より大きいと(ステップS345 Yes)、第1圧力値と第2圧力値を比較する(ステップS350)。
【0062】
第1圧力値と第2圧力値の比較の結果、第1圧力値と第2圧力値の差の絶対値が第2許容値より小さいと(ステップS355 No)、インプラントバッグの異常を表す判断信号を出力する(ステップS360)。
【0063】
ここで、第1圧力値と第2圧力値を比較するのは、第1時間前後の圧力値に大きい差がある場合は、一時的に加わる圧力である可能性が高く、第1時間前後の圧力値が第2許容値以内でそれほど大きい差がない場合は、第1時間の間に持続的に異常な圧力が加わっていることを意味するので、インプラントバッグに異常が発生したと判断することができるからである。
【0064】
他には、例えば一定の時間測定した圧力値の平均値を取ってインプラントバッグの異常を判定することも可能であるが、平均値を取るためには一定の時間圧力を測定し続けるかまたは少なくとも数回の測定をしなければならないので、消費電力の面で不利である。
【0065】
このように、本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグの異常感知装置100は、施術後にインプラントバッグの異常を効果的にかつ効率的に感知し、偽陽性率と偽陰性率を最小化することができる。
【0066】
図4は、インプラントバッグの異常感知装置100を用いてインプラントバッグ200の異常を判断する過程の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0067】
ステップS410で、所定の設定周期によってまたはユーザーの任意の操作によってインプラントバッグのセンサー(センサーモジュール)から圧力信号(第1圧力信号)を受信する。
【0068】
その後、受信した第1圧力信号の以前の圧力信号と第1圧力信号の差を表す第1変化量を算出する(ステップS415)。算出された第1変化量は格納された第1許容値と比較される(ステップS420)。
【0069】
算出された第1変化量と格納された第1許容値の比較の結果、第1変化量が第1許容値より大きいと(ステップS425 Yes)、所定の第1時間が経過した後にセンサーモジュールから第2圧力信号を受信する(ステップS430)。
【0070】
受信した第2圧力信号と第1圧力信号の差を表す第2変化量を算出する(ステップS435)。算出された第2変化量は格納された第1許容値と比較される(ステップS440)。
【0071】
算出された第2変化量と格納された第1許容値の比較の結果、第2変化量が第1許容値より大きいと(ステップS445 Yes)、インプラントバッグの異常を表す判断信号を出力する(ステップS460)。
【0072】
インプラントバッグには、大きいまたは小さい圧力が随時加わり得るので、一回の測定で異常を判断すると偽陽性率または偽陰性率の可能性が常に内在していると言える。
【0073】
例えば、ステップS425で算出された第1変化量と格納された第1許容値の比較の結果、第1変化量が第1許容値より大きい場合、即ちインプラントバッグのセンサーに異常な圧力が加わっていると判断される場合、このような異常な圧力が一時的な現象なのかまたは持続する現象なのかを判断する必要がある。
【0074】
このために、本発明の少なくとも一つの実施例において、一度算出された第1変化量と格納された第1許容値の比較の結果、第1変化量が第1許容値より大きいと、所定の第1時間が経過した後にセンサーモジュールから第2圧力信号を再度受信する。
【0075】
本発明の少なくとも一つの実施例において、制御部は、所定の周期でセンサーモジュールから第1圧力信号を受信する場合、第1変化量が第1許容値より大きいと、設定周期によらず、第1時間が経過した後にセンサーモジュールから第2圧力信号を受信する。
【0076】
本発明の少なくとも一つの実施例において、制御部は、ユーザーの任意の操作に応じてセンサーモジュールから第1圧力信号を受信する場合、第1変化量が第1許容値より大きいと、ユーザーの操作によらず、第1時間が経過した後にセンサーモジュールから第2圧力信号を受信する。
【0077】
ここで第1時間は、インプラントバッグのセンサーに異常な圧力が一時的に加わっているのかまたは持続的に加わっているのかを判断するための時間であり、所定の周期より短くまたは長く設定することができる。
【0078】
本発明の少なくとも一つの実施例において、所定の時間がt1に設定されている場合、t1を所定の整数で割って得られた時間を第1時間として設定することができる。
【0079】
例えば、t1が12時間に設定されている場合、t1を6で割った値である2時間を第1時間として設定し(6分法)、t1を5で割った値である2.4時間を第1時間として設定し(5分法)、t1を4で割った値である3時間を第1時間として設定し(4分法)、t1を3で割った値である4時間を第1時間として設定し(3分法)、t1を2で割った値である6時間を第1時間として設定することができる(2分法)。
【0080】
本発明の少なくとも一つの実施例において、所定の整数は、t1の設定値によって6以上の値に設定することもでき、この値が大きいほど第1時間の間隔を短く設定し、この値が小さいほど第1時間の間隔を長く設定することになる。
【0081】
偽陽性率と偽陰性率の可能性をさらに低めるために、本発明の少なくとも一つの実施例において、算出された第2変化量と格納された第1許容値の比較の結果、第2変化量が第1許容値より大きいと(ステップS445 Yes)、第1変化量と第2変化量を比較する(ステップS450)。
【0082】
第1変化量と第2変化量の比較の結果、第1変化量と第2変化量の差の絶対値が第2許容値より小さいと(ステップS455 No)、インプラントバッグの異常を表す判断信号を出力する(ステップS460)。
【0083】
ここで、第1変化量と第2変化量を比較するのは、第1時間前後の圧力値に大きい差がある場合は、一時的に加わる圧力である可能性が高く、第1時間前後の圧力値が第2許容値以内でそれほど大きい差がない場合は、第1時間の間に持続的に異常な圧力が加わっていることを意味するので、インプラントバッグに異常が発生したと判断することができるからである。
【0084】
このように、本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグの異常感知装置100は、施術後にインプラントバッグの異常を効果的にかつ効率的に感知し、偽陽性率と偽陰性率を最小化することができる。
【0085】
本発明の少なくとも一つの実施例において、センサー信号受信部120は、センサーモジュール210から心拍、脈拍、体温、血圧、呼吸数、血糖のうち少なくとも一つ以上を表す生体信号をさらに受信し、格納部130は、センサー信号受信部120が受信した生体信号をさらに格納する。
【0086】
本発明の少なくとも一つの実施例において、制御部160は、判断信号出力部150を介して圧力信号及び判断信号を始め生体信号を含む各種のデータを格納部130に格納するか、または遠隔サーバー300に送信して遠隔サーバー300に格納するように構成することができる。
【0087】
図5は、本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグ異常感知システムにおいてインプラントバッグの異常感知装置500の機能ブロック図である。図6は本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグ異常感知システムにおいてインプラントバッグ異常感知サーバー600の機能ブロック図である。
【0088】
本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグ異常感知システムは、人体に挿入するインプラントバッグに設けられた少なくとも一つ以上のセンサーモジュールからインプラントバッグに加わる圧力を表す圧力信号を受信し、外部に送信するためのインプラントバッグの異常感知装置(ユーザー端末)500及びユーザー端末500から圧力信号を受信し、受信した圧力信号に基づいてインプラントバッグの異常を判断するためのインプラントバッグ異常感知サーバー(以下、「遠隔サーバー」または単に「サーバー」と称する場合もある)600で構成される。
【0089】
本発明の少なくとも一つの実施例において、ユーザー端末500は、センサーモジュール210に無線で電力を送信するための無線電力送信部510、センサーモジュール210からインプラントバッグ200に加わる圧力を表す圧力信号を受信するためのセンサー信号受信部520、センサー信号受信部520が受信した圧力信号を遠隔サーバー600に送信するための信号送信部530、各部を制御するための端末制御部540、及び端末制御部540を介して各部に電源を供給するための端末電源部550を含む。
【0090】
本発明の少なくとも一つの実施例において、遠隔サーバー600は、ユーザー端末500から圧力信号を受信するための信号受信部610、所定の基準圧力値及び第1許容値を格納するための格納部620、ユーザー端末500から受信した圧力信号と格納部620に格納された基準圧力値及び第1許容値に基づいてインプラントバッグ200の異常を判断するための異常判断部630、異常判断部630が圧力信号と基準圧力値及び第1許容値に基づいて判断したインプラントバッグ200の異常を表す判断信号を出力するための判断信号出力部640、各部を制御するためのサーバー制御部650、及びサーバー制御部650を介して各部に電源を供給するためのサーバー電源部660を含む。
【0091】
本発明の少なくとも一つの実施例において、サーバー制御部650は、端末制御部540を介して、所定の周期で、またはユーザーの任意の操作に応じてセンサーモジュール210から第1圧力信号を受信し、異常判断部630を介して、第1圧力信号が表す第1圧力値と基準圧力値を比較し、第1圧力値と基準圧力値の差の絶対値が第1許容値より大きいと、端末制御部540を介して、所定の第1時間が経過した後にセンサーモジュール210から第2圧力信号を受信し、異常判断部630を介して、第2圧力信号が表す第2圧力値と基準圧力値を比較し、第2圧力値と基準圧力値の差の絶対値が第1許容値より大きいと、判断信号出力部640を介して、インプラントバッグ200の異常を表す判断信号を出力する。
【0092】
本発明の少なくとも一つの実施例において、遠隔サーバー600は、ユーザー端末500から圧力信号を受信するための信号受信部610、所定の第1許容値を格納するための格納部620、ユーザー端末500から受信した圧力信号と格納部620に格納された第1許容値に基づいてインプラントバッグ200の異常を判断するための異常判断部630、異常判断部630が圧力信号と第1許容値に基づいて判断したインプラントバッグ200の異常を表す判断信号を出力するための判断信号出力部640、各部を制御するためのサーバー制御部650、及びサーバー制御部650を介して各部に電源を供給するためのサーバー電源部660を含む。
【0093】
本発明の少なくとも一つの実施例において、サーバー制御部650は、端末制御部540を介して、所定の周期で、またはユーザーの任意の操作に応じてセンサーモジュール210から第1圧力信号を受信し、異常判断部630を介して、第1圧力信号の以前の圧力信号と第1圧力信号の差を表す第1変化量と第1許容値を比較し、第1変化量が第1許容値より大きいと、端末制御部540を介して、所定の第1時間が経過した後にセンサーモジュール210から第2圧力信号を受信し、異常判断部630を介して、第1圧力信号と第2圧力信号の差を表す第2変化量と第1許容値を比較し、第2変化量が第1許容値より大きいと、判断信号出力部640を介して、インプラントバッグ200の異常を表す判断信号を出力する。
【0094】
本発明の少なくとも一つの実施例において、センサー信号受信部520は、センサーモジュール210から心拍、脈拍、体温、血圧、呼吸数、血糖のうち少なくとも一つ以上を表す生体信号をさらに受信し、信号送信部530は、センサー信号受信部520が受信した生体信号を単独でまたは圧力信号及び判断信号と共に外部に送信する。
【0095】
このように、図5に示すユーザー端末500は、センサーモジュール210から圧力信号を受信し、格納したりインプラントバッグの異常を判断したりしないでそのまま遠隔サーバー600に転送するので、構造をシンプルにすることができる。
【0096】
ユーザー端末500から転送された圧力信号は、遠隔サーバー600に格納され、遠隔サーバー600でインプラントバッグの異常を判断し、ユーザー端末500から生体信号を送信する場合はこれを受信し、遠隔サーバー600に格納する。
【0097】
図7は本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグの一例としてセンサーパッチを含むインプラントバッグ200の模式図である。
【0098】
本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグ200は、例えば、シリコン材質で製造し、胸や尻などの成形に用いられるインプラントバッグで、体内に挿入することで一定の形を作って維持する。
【0099】
本明細書では豊胸手術に用いられるインプラントバッグを例に挙げて説明しているが、本発明の少なくとも一つの実施例に係る圧力センサーを備えるインプラントバッグ用のパッチこれを含むインプラントバッグ、及びインプラントバッグの異常感知装置は、シェルの内部にゲル状態の充填剤を注入し、特定の目的で体内に挿入するほとんどのインプラントバッグに適用することができる。
【0100】
図7に示すように、本発明の少なくとも一つの実施例に係るインプラントバッグ200は、アナトミカル型またはラウンド型の外皮を形成するシェル201、シェル201の内部に注入(充填)されたゲル状態の充填剤であるシリコンゲル、及びシリコンゲルを注入するための注入口を封止するパッチ202で構成される。
【0101】
本発明の少なくとも一つの実施例に係るパッチ202は、インプラントバッグ200に加わる圧力を感知する圧力センサーを含む。
【0102】
図8A及び図8Bは、本発明の少なくとも一つの実施例に係る圧力センサーを備えたパッチの模式図である。
【0103】
図8Aに示すパッチは、ゲル状態の充填剤が注入されたインプラントバッグ200に付着または配置時にインプラントバッグ200の内側を向く第1面を形成する第1(内側)バリア202-1、第1バリア202-1に接して第1面の反対面である第2面(インプラントバッグ200の外側を向く面)を形成する第2(外側)バリア202-2、及び第1バリア202-1の表面(第1面)に配置されたセンサーモジュール210を備える。
【0104】
図8Bに示すパッチは、第1バリア202-1と第2バリア202-2の間にセンサーモジュール210が配置される。
【0105】
図8A及び図8Bでは説明の便宜のため、パッチ202の第1バリア202-1と第2バリア202-2を分けて示しているが、パッチ202は第1バリア202-1と第2バリア202-2が当接する状態の単一部材で第1バリア202-1はパッチ202の内側面、第2バリア202-2はパッチ202の外側面を構成すると言える。
【0106】
図9は、本発明の少なくとも一つの実施例に係るセンサーモジュール210の分解斜視図である。
【0107】
図9に示すように、センサーモジュール210は、二枚の保護フィルム910、930の間に基板920を挟んだフィルムの形態で、基板920にはインプラントバッグに加わる圧力を感知するための少なくとも一つ以上の圧力センサー923、圧力センサー923が感知した圧力信号を外部に送信するためのコントローラ922、及び外部から無線で電力を受信してコントローラ922に電力を供給するための無線電力受信部921で構成される。
【0108】
圧力センサー923は、所定の圧力や力が加えられるとこれに比例する信号を生成する素子で、加えられる圧力または力によって屈折するダイアフラム(Diaphram)センサー、二つの導体板の間に導電性ポリマーを挿入して導体板を介して導電性ポリマーに力が加えられると導電性ポリマーの抵抗が変化するForce Sensing Resistor (FSR)、圧力が加えられると電圧が発生する圧電素子(Piezoelectric Element)などを用いて構成することができる。
【0109】
圧力センサーの代わりに、インプラントバッグのシェルの張力の変化を感知するテンションセンサーを用いることも可能であるが、このような張力の変化もインプラントバッグの破損または拘縮による圧力の変化に比例する物理量であるので、本明細書ではテンションセンサーも圧力センサーの一種とみなす。
【0110】
本発明の少なくとも一つの実施例において、センサーモジュール210は、無線電力受信部921が無線で受信した電力を格納するバッテリー924をさらに備える。
【0111】
即ち、本発明の少なくとも一つの実施例に係るセンサーモジュール210は、バッテリー無しで外部から無線で電力を受信するときにのみ動作する形態でもよいし、バッテリーを備えて無線で電力を充電してバッテリーの電力が放電するまで常時動作する形態でも良い。
【0112】
本発明の少なくとも一つの実施例において、センサーモジュール210は、心拍、脈拍、体温、血圧、呼吸数、血糖を測定するためのセンサーのうち少なくとも一つ以上をさらに含む。
【0113】
図10Aは、胸に挿入したインプラントバッグ200に加わる圧力を説明するための模式図である。図10Bは、胸に挿入したインプラントバッグ200に加わる圧力による圧力センサー内蔵パッチの装着例を示す模式図である。
【0114】
図10Aに示すように、胸にインプラントバッグ200を挿入すると、特定の外圧が加えられない状態で、人体の外側から加えられる圧力A、人体の内側から加えられる圧力B、及び重力による圧力Cがインプラントバッグ200に作用する。
【0115】
通常、インプラントバッグのシェル(外皮)は内部にシリコンゲルが注入され、インプラントバッグの底(Bの付近)に位置するパッチによって封止し、一定の張力と膨張力を維持する。しかし、インプラントバッグの一部が破損(破裂)したりA側の皮膚に拘縮が発生したりすると、A、B、及びCの部位に加わる圧力が変化する。
【0116】
最近広く使用されるコーヒーシヴゲル(Cohesive Gel)インプラントバッグの場合、施術後に一部が破損しても特別な症状のない破裂(Silent Rupture)がほとんどを占める。コーヒーシヴゲルは、インプラントバッグが破損してもゲル状態を維持するからである。
【0117】
インプラントバッグの破損(破裂)の診断は、現在Magnetic Resonance Imaging (MRI)の映像を用いる検査が最も正確な方法である。しかし、MRI検査もある程度の偽陽性率(破損がなくてもあると判断)と偽陰性率(破損があってもないと判断)を示す上に、費用の面でも負担になり得る。
【0118】
人体は体内に異物が入ると周辺に被膜を形成するが、このような被膜が形成し過ぎて硬くなるのを拘縮と言う。
【0119】
胸にインプラントバッグが挿入されると、血液中の血小板が活性化し、Transforming Growth Factor β (TGF-β)という物質を分泌する。TGF-βは、炎症が発生するインプラントバッグ周囲の単核球(Monocyte)を呼び集める役割をする。単核球は白血球の一種で、炎症部位でマクロファージ(Macrophage)に分化して再びTGF-βを分泌する。これは結局炎症部位の繊維化(Fibroblast)を起こし、これによって合成されたコラーゲンが拘縮を発生させる。
【0120】
図10Aに示すように、胸にインプラントバッグを挿入すると、特定の外圧が加えられない状態では人体の外側から加えられる圧力A、人体の内側から加えられる圧力B、及び重力による圧力Cがインプラントバッグ200に加えられる。従って、A、B、及びCの部位の少なくとも一か所以上にパッチを配置することで、インプラントバッグに異常(破損や拘縮による異常)が発生した場合に圧力の変化を感知してユーザーにインプラントバッグの異常を知らせることができる。
【0121】
図10Bに示すように、Aの位置にはセンサーモジュール210-1が配置されたパッチを付着し、Bの位置にはセンサーモジュール210-2が配置されたパッチを付着し、Cの位置にはセンサーモジュール210-3が配置されたパッチを付着することができる。
【0122】
本発明の少なくとも一つの実施例において、インプラントバッグの異常感知装置及びインプラントバッグの異常感知システムは、例えば、インプラントバッグの複数の位置(例えば図10Aに示すA、B、C)に関連付けて、それぞれの基準圧力値及び第1許容値を格納部(メモリ)に格納する。
【0123】
本発明の少なくとも一つの実施例において、インプラントバッグの異常感知装置及びインプラントバッグの異常感知システムは、例えば、複数の位置に設けられたセンサーモジュールから受信した複数の圧力信号のいずれかと、それぞれの位置に関連付けてメモリに格納された初期圧力との差が所定の値を超えるとインプラントバッグの異常を出力してもよい。
【0124】
本発明の少なくとも一つの実施例において、インプラントバッグの異常感知装置及びインプラントバッグの異常感知システムは、一つのセンサーモジュールから受信した圧力信号に異常があると判定するための第1許容値を、複数のセンサーモジュールから受信した圧力信号に異常があると判定するための第1許容値よりも大きくしてもよい。
【0125】
このような構成を介して、異常の度合いが大きい場合には一箇所に異常があるだけでも異常が発生したことを出力し、異常の度合いが小さく、一箇所の異常であれば許容される範囲である場合に異常が発生したことを出力しないので、必要以上に異常の発生を出力することを防げる。
【0126】
本発明の少なくとも一つの実施例において、インプラントバッグの異常感知装置及びインプラントバッグの異常感知システムは、複数の位置ごとに異なる第1許容値を用いて異常の有無を判定してもよい。
【0127】
本発明の少なくとも一つの実施例において、インプラントバッグの異常感知装置及びインプラントバッグの異常感知システムは、例えばインプラントバッグの下部(例えば図10Aにおける位置C)の第1許容値を、他の位置の第1許容値よりも小さくまたは大きく設定する。
【0128】
このような構成を介して、位置による圧力の変化の傾向の違いを考慮して、位置に適した異常の判定を行うことができる。
【0129】
以上のように、本発明の少なくとも一つの実施例によれば、患者は手術の直後からまたは手術後一定時間が経過してもインプラントバッグの状態をリアルタイムで迅速かつ容易に感知することができ、漠然な恐れをもって病院に行かなくても良いので、より質の良い暮らしができる。さらに、病院に行く必要性をより早くて正確に認知するのに大きな助けになる。
【0130】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0131】
100:インプラントバッグの異常感知装置
110:無線電力送信部
120:センサー信号受信部
130:格納部
140:異常判断部
150:判断信号出力部
160:制御部
170:電源部
200:インプラントバッグ
201:シェル
202:パッチ
210:センサーモジュール
300:サーバー
510:無線電力送信部
520:センサー信号受信部
530:信号送信部
540:端末制御部
550:端末電源部
610:信号受信部
620:格納部
630:異常判断部
640:判断信号出力部
650:サーバー制御部
660:サーバー電源部
【要約】      (修正有)
【課題】施術後にインプラントバッグの異常を効果的に感知し、偽陽性率及び偽陰性率を低減するための手段を提供する。
【解決手段】インプラントバッグの異常感知装置は、人体に挿入するインプラントバッグに設けられた少なくとも一つ以上のセンサーモジュールからインプラントバッグに加わる圧力を表す圧力信号を受信するためのセンサー信号受信部、センサーモジュールから第1圧力信号を受信し、異常判断部は、第1圧力信号が表す第1圧力値と基準圧力値を比較し、第1圧力値と基準圧力値の差の絶対値が第1許容値より大きい場合に、センサー信号受信部は、所定の第1時間が経過した後にセンサーモジュールから第2圧力信号を受信し、異常判断部は、第2圧力信号が表す第2圧力値と基準圧力値を比較し、第2圧力値と基準圧力値の差の絶対値が第1許容値より大きいと、インプラントバッグの異常を判断する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B