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特許7185407行動記録支援方法、コンピュータプログラム、記憶媒体、および通信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】行動記録支援方法、コンピュータプログラム、記憶媒体、および通信装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/333 20210101AFI20221130BHJP
   A61B 5/24 20210101ALI20221130BHJP
   A61B 5/332 20210101ALI20221130BHJP
【FI】
A61B5/333
A61B5/24
A61B5/332
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018036669
(22)【出願日】2018-03-01
(65)【公開番号】P2019150255
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 智
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-512608(JP,A)
【文献】特表2013-531832(JP,A)
【文献】特開2007-244531(JP,A)
【文献】国際公開第2016/113162(WO,A1)
【文献】特開2015-064891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/0538
A61B 5/06-5/398
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に携帯されて当該被検者の生体情報を取得する検査装置、および当該検査装置と無線通信可能な通信装置を含む行動記録支援システムにおいて実行される行動記録支援方法であって、
イベントの入力を前記通信装置により受け付けるステップと、
前記入力に応じて、前記イベントの登録指示を前記通信装置から前記検査装置へ送信するステップと、
前記登録指示に応じて、前記イベントの発生を識別するための識別情報を、前記検査装置により生成するステップと、
を含んでおり、
前記イベントは、前記被検者によりなされる行動記録に係る所定の行動と、当該行動記録中に自覚される動悸や胸痛を含む前記被検者の身体的異常の少なくとも一方を含んでおり、
前記通信装置により受け付け可能な前記イベントの種別は、ユーザによる定義、編集、および変更の少なくとも一つが可能とされている、
行動記録支援方法。
【請求項2】
前記イベントに係る詳細情報の入力を前記通信装置により受け付けるステップと、
前記詳細情報を前記通信装置から前記検査装置へ送信するステップと、
前記検査装置において前記識別情報と関連付けて前記詳細情報を記録するステップと、を含んでいる、
請求項1に記載の行動記録支援方法。
【請求項3】
前記識別情報を前記検査装置から前記通信装置へ送信するステップと、
前記識別情報と関連付けて前記詳細情報を前記通信装置から前記検査装置へ送信するステップと、
を含んでいる、
請求項2に記載の行動記録支援方法。
【請求項4】
被検者に携帯されて当該被検者の生体情報を取得する検査装置と無線通信可能な通信装置により実行される行動記録支援方法であって
イベントの入力を受け付けるステップと、
前記イベントの発生を識別するための識別情報を前記検査装置が生成する契機となる前記イベントの登録指示を前記検査装置へ送信するステップと、
を含んでおり、
前記イベントは、前記被検者によりなされる行動記録に係る所定の行動と、当該行動記録中に自覚される動悸や胸痛を含む前記被検者の身体的異常の少なくとも一方を含んでおり、
前記通信装置により受け付け可能な前記イベントの種別は、ユーザによる定義、編集、および変更の少なくとも一つが可能とされている、
行動記録支援方法。
【請求項5】
前記イベントに係る詳細情報の入力を受け付けるステップと、
前記詳細情報を前記検査装置へ送信するステップと、
を含んでいる、
請求項4に記載の行動記録支援方法。
【請求項6】
前記検査装置から前記識別情報を受信するステップと、
前記識別情報と関連付けて前記詳細情報を前記検査装置へ送信するステップと、
を含んでいる、
請求項5に記載の行動記録支援方法。
【請求項7】
前記被検者の属性を示す属性情報、前記被検者の行動履歴を示す履歴情報、センサから取得したセンサ情報、および時刻情報の少なくとも一つに基づいて、前記被検者の行動の推測行なうステップと、
前記詳細情報の入力の受け付けに先立ち、前記推測結果を前記被検者に提示するステップと
含んでいる、
請求項5または6に記載の行動記録支援方法。
【請求項8】
受け付け可能な前記イベントの種別の選択肢を提示するステップを含んでおり、
前記推測結果として、前記選択肢に含まれる前記イベントの種別の数が増減する、
請求項7に記載の行動記録支援方法。
【請求項9】
受け付け可能な前記イベントの種別の選択肢を提示するステップを含んでおり、
前記推測結果として、前記選択肢に含まれるイベントの種別の提示順序が変更される、請求項7に記載の行動記録支援方法。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか一項に記載の行動記録支援方法を前記通信装置と前記検査装置に実行させる、
コンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項4から9のいずれか一項に記載の行動記録支援方法を前記通信装置に実行させる、
コンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項10または11に記載のコンピュータプログラムを記憶している、
記憶媒体。
【請求項13】
請求項4から9のいずれか一項に記載の行動記録支援方法を実行する少なくとも一つのプロセッサを備えている、
通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被検者に携帯されて当該被検者の生体情報を取得する検査装置、および当該検査装置と無線通信可能な通信装置を含む行動記録支援システムにおいて少なくとも一つのプロセッサにより実行される行動記録支援方法に関連する。また、本開示は、当該行動記録支援方法を少なくとも一つのプロセッサに実行させるプログラム、および当該プログラムを記憶する記憶媒体に関連する。さらに、本開示は、当該行動記録支援方法を実行するための通信装置と検査装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
不整脈を発見するために、被検者の心電図を長期間にわたって収集する検査がある。特許文献1は、そのような検査に使用される検査装置の一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-299293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被検者が医療従事者の管理下にない間も検査は継続される。その間、当該被検者は、行動記録を義務付けられる。具体的には、起床、運動、食事、入浴、排便、就寝などの行動に加え、胸痛を自覚した日時が所定の用紙に手書きで記録される。後日、医療従事者は、当該記録を参照しつつ検査装置により取得された生体情報を確認することによって、被検者の行動と生体情報の関連性について分析する。
【0005】
しかしながら、そのような逐次の手書き記録は被検者にとって手間であり、時と場所によっては記録が困難な場合もあるので、行動記録の失念や誤りが生じることがある。そのような記録の不備は、医療従事者による正確な分析を妨げる一因になりうる。
【0006】
本開示の目的は、長期検査中の行動記録における被検者の負担を軽減するとともに、医療従事者による検査結果の分析を支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示の一態様は、被検者に携帯されて当該被検者の生体情報を取得する検査装置、および当該検査装置と無線通信可能な通信装置を含む行動記録支援システムにおいて少なくとも一つのプロセッサにより実行される行動記録支援方法であって、
イベントの入力を前記通信装置により受け付けるステップと、
前記入力に応じて、前記イベントの登録指示を前記通信装置から前記検査装置へ送信するステップと、
前記登録指示に応じて、前記イベントの発生を識別するための識別情報を、前記検査装置により生成するステップと、
を含んでおり、
前記通信装置により受け付け可能な前記イベントの種別は、ユーザによる定義、編集、および変更の少なくとも一つが可能とされている。
【0008】
後日、医療従事者は、識別情報と生体情報とを対比することにより、イベントと生体情報の関連性について分析する。上記のような構成によれば、通信装置における簡易な操作を通じて、イベント発生を識別するための識別情報を検査装置に生成させることが可能である。よって、所定の用紙に手書きで記録を行なう場合と比較して、長期検査における行動記録に係る被検者の負担を大幅に軽減できる。また、イベント発生から識別情報の生成までの経過時間を短縮できるので、医療従事者による検査結果の分析精度を向上できる。さらに、通信装置によって受け付け可能なイベントの種別は、ユーザによる定義、編集、および変更の少なくとも一つが可能とされているので、被検者の属性や生活習慣に応じた構成が可能な柔軟性と自由度の高いイベント入力ユーザインターフェースを提供できる。このことによっても、行動記録に係る被検者の負担を軽減できるとともに、医療従事者による検査結果の分析を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る行動記録支援システムの構成を示している。
図2】上記の行動記録支援システムにおける携帯型心電図記録器と通信装置の機能構成を示している。
図3】上記の行動記録支援システムにおいて行なわれる行動記録支援方法の第一の例を示している。
図4図3の行動記録支援方法に係るユーザインターフェースの例を示している。
図5図3の行動記録支援方法に係るユーザインターフェースの例を示している。
図6】上記の行動記録支援システムにおいて行なわれる行動記録支援方法の第二の例を示している。
図7図6の行動記録支援方法に係るユーザインターフェースの例を示している。
図8】上記の行動記録支援システムにおいて行なわれる行動記録支援方法の第三の例を示している。
図9図8の行動記録支援方法に係るユーザインターフェースの例を示している。
図10】上記の行動記録支援システムにおいて行なわれる行動記録支援方法の第四の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例を以下詳細に説明する。
【0011】
図1に示されるように、一実施形態に係る行動記録支援システム1は、携帯型心電図記録器2(以下、単に心電図記録器2と記す)を含んでいる。心電図記録器2は、被検者Sに携帯される。換言すると、心電図記録器2は、被検者Sが携帯可能な寸法と重量を有するように構成されている。心電図記録器2は、検査装置の一例である。
【0012】
図1に示されるように、被検者Sの胸部には複数の電極Eが装着および固定される。各電極Eは、装着された身体部位の生体電位を検出する。図2に示されるように、心電図記録器2は、インターフェース20を備えている。各電極Eを通じて検出された生体電位に対応する信号は、インターフェース20に入力される。インターフェース20は、入力された信号を後段の処理に必要な心電図データに変換する回路を含んでいる。当該回路としては、A/D変換回路、フィルタ回路などが例示されうる。すなわち、心電図データは、被検者Sの心電図に対応するデジタルデータである。心電図データは、生体情報の一例である。
【0013】
図1に示される例においては、複数の電極Eが心電図記録器2に有線接続されている。しかしながら、各電極Eを通じて検出された生体電位に対応する信号は、無線通信を介してインターフェース20に入力されてもよい。あるいは、心電図記録器2に複数の電極Eが内蔵された構成も採用されうる。この場合、心電図記録器2は、被検者Sの胸部に装着および固定される。
【0014】
図2に示されるように、心電図記録器2は、記録部21を備えている。記録部21は、心電図データを記録するためのストレージを備えるように構成されている。ストレージの例としては、半導体メモリやハードディスクドライブなどが例示されうる。
【0015】
図1に示されるように、行動記録支援システム1は、通信装置3を含んでいる。通信装置3は、被検者Sが携帯可能な寸法と重量を有するように構成されている。通信装置3としては、スマートフォンやタブレット端末などが例示されうる。
【0016】
したがって、図2に示されるように、通信装置3は、表示部31と通信部32を備えている。表示部31は、タッチ操作入力を受け付け可能な液晶ディスプレイパネルや有機ELディスプレイパネルなどを備えるように構成されうる。通信部32は、少なくとも心電図記録器2との無線通信が可能である通信インターフェースを備えるように構成されうる。よって、心電図記録器2は、通信部22を備えている。通信部22は、少なくとも通信装置3との無線通信が可能である通信インターフェースを備えている。
【0017】
通信部22および通信部32を構成しうる通信インターフェースとしては、RFID(Radio Frequency Identification)、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)やWi-Fiなどの規格に準拠した通信インターフェースが例示されうる。
【0018】
心電図記録器2は、制御部23を備えている。制御部23は、プロセッサを備えている。プロセッサは、後述する行動記録支援方法の少なくとも一部を実行するように構成されている。プロセッサの機能は、メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されてもよいし、マイクロコントローラ、FPGA、ASICなどの専用集積回路によって実現されてもよい。
【0019】
心電図記録器2において、インターフェース20、記録部21、通信部22、および制御部23は、通信バス24を介して相互に信号やデータのやり取りが可能とされている。
【0020】
通信装置3は、制御部33を備えている。制御部33は、プロセッサを備えている。プロセッサは、後述する行動記録支援方法の少なくとも一部を実行するように構成されている。プロセッサの機能は、メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されてもよいし、マイクロコントローラ、FPGA、ASICなどの専用集積回路によって実現されてもよい。
【0021】
通信装置3は、記憶部34を備えている。記憶部34は、種々のデータを記憶するためのストレージを備えるように構成されている。ストレージの例としては、半導体メモリやハードディスクドライブなどが例示されうる。
【0022】
通信装置3において、表示部31、通信部32、制御部33、および記憶部34は、通信バス35を介して相互に信号やデータのやり取りが可能とされている。
【0023】
図3は、上記のように構成された行動記録支援システム1において行なわれる行動記録支援方法の第一の例を示している。心電図記録器2において実行される処理は、制御部23の制御下において行なわれる。通信装置3において実行される処理は、制御部33の制御下において行なわれる。
【0024】
心電図記録器2は、複数の電極Eが所定の身体部位に装着・固定された状態で、被検者Sにより携帯される。被検者Sは、医療従事者の管理下にない間、通信装置3を用いた行動記録を行なうように指導される。具体的には、起床、運動、食事、入浴、排便、就寝などの所定の行動がなされた日時に加え、動悸や胸痛などの異常を自覚した日時が記録される。所定の行動がなされることと、異常の自覚を「イベントの発生」と総称する。
【0025】
イベントが発生すると(STEP1)、被検者Sは、通信装置3に対してイベントの入力操作を行なう。図4の(A)は、通信装置3の表示部31に表示されるイベント登録画面の一例を示している。表示部31には、「入浴」、「胸痛」、「食事」、および「トイレ」のイベントボタン画像が表示されている。例えば入浴後の被検者Sは、イベントの入力操作として、「入浴」イベントボタンをタッチ操作する。被検者Sによる「入浴」の発声が通信装置3によって音声認識されることで「入浴」イベントボタン画像の操作が有効とされてもよい。通信装置3は、被検者Sによるイベントの入力を受け付ける(STEP2)。
【0026】
イベントの入力が確定されると、通信装置3は、通信部32を介して心電図記録器2へイベント登録指示を送信する(STEP3)。心電図記録器2は、通信部22を介して当該イベント登録指示を受信する(STEP4)。
【0027】
心電図記録器2は、受信したイベント登録指示に応じて、識別情報を生成する(STEP5)。生成された識別情報は、記録部21に記録されうる。すなわち、イベント登録指示は、識別情報の生成の契機となる。識別情報は、イベント登録指示に係るイベントの発生を識別するための情報である。本例において、識別情報は、イベント登録指示の受信日時や「入浴」というイベント名を含みうる。
【0028】
通信装置3によって受け付け可能なイベントの種別は、ユーザによる定義、編集、および変更の少なくとも一つが可能とされている。ユーザは、少なくとも医療従事者と被検者Sを含む。
【0029】
例えば、図4の(A)において表示部31に表示されているイベントボタン画像の種別、数、順序などは、ユーザの属性や生活習慣に応じて変更可能である。「属性」とは、性別、年齢、職業、病歴などを含む概念である。例えば、「トイレ」イベントボタン画像に代えて「運動」イベントボタン画像が表示されてもよい。「運動」を示すイベントボタン画像に代えて、「スポーツ」イベントボタン画像と「階段昇降」イベントボタン画像が個別に定義されてもよい。より操作頻度の高いイベントボタン画像のみが初期画面に表示され、その他のイベントボタン画像がスクロール操作によって画面内に現れる構成とされてもよい。すなわち、イベント入力に係るユーザインターフェースは、イベントの発生に係る必要最低限の情報を心電図記録器2へ伝達できるように、ユーザによって設定可能である。
【0030】
後日、医療従事者は、識別情報と記録部21に記録された心電図データとを対比することにより、イベントと心電図データの関連性について分析する。上記のような構成によれば、通信装置3における簡易な操作を通じて、イベント発生を識別するための識別情報を心電図記録器2に生成させることが可能である。よって、所定の用紙に手書きで記録を行なう場合と比較して、長期検査における行動記録に係る被検者Sの負担を大幅に軽減できる。また、イベント発生から識別情報の生成までの経過時間を短縮できるので、医療従事者による検査結果の分析精度を向上できる。さらに、通信装置3によって受け付け可能なイベントの種別は、ユーザによる定義、編集、および変更の少なくとも一つが可能とされているので、被検者Sの属性や生活習慣に応じた構成が可能な柔軟性と自由度の高いイベント入力ユーザインターフェースを提供できる。このことによっても、行動記録に係る被検者Sの負担を軽減できるとともに、医療従事者による検査結果の分析を支援できる。
【0031】
図4の(B)に示されるように、通信装置3の表示部31は、詳細情報入力画面を表示しうる。詳細情報入力画面は、STEP1において発生したイベントの詳細に係る情報を入力するための画面である。本例においては、詳細情報入力画面は、イベントの詳細の説明を入力するためのテキストボックスを含んでいる。図3に示されるように、被検者Sは、詳細情報の入力を開始する(STEP6)。例えば図4の(B)に示されるように、被検者Sは、先に登録された「入浴」イベントの詳細として、「サウナに30分入る」という説明をテキストボックスに入力する。
【0032】
図3に示されるように、詳細情報の入力は、上記のテキスト入力に加えてあるいは代えて、音声録音と映像録画の少なくとも一方を介して行なわれてもよい。
【0033】
被検者Sが詳細情報の入力を終えると(STEP7)、通信装置3は、詳細情報の入力を受け付ける(STEP8)。
【0034】
例えば詳細情報入力画面に表示されている「詳細情報送信」ボタン画像を被検者Sが操作すると、通信装置3は、テキストデータ、音声データ、および映像データの少なくとも一つを含む詳細情報を、通信部32を介して心電図記録器2へ送信する(STEP9)。心電図記録器2は、通信部22を介して当該詳細情報を受信する(STEP10)。
【0035】
心電図記録器2は、受信した詳細情報を、STEP5で生成された識別情報と関連付けて記録部21に記録する(STEP11)。
【0036】
このような構成によれば、被検者Sは、イベントの発生に基づいて心電図記録器2に識別情報を生成させた後、時間的余裕をもって当該イベントの詳細を補足説明する情報を入力できる。所定の用紙に手書きで記録を行なう場合と比較して、被検者Sは、より自由度の高い詳細情報の入力を許容される。後日、医療従事者は、記録部21に記録された心電図データと詳細情報を対比することにより、被検者Sの行動と心電図データの関連性についてより具体的な情報を得ることができる。したがって、長期検査における行動記録に係る被検者Sの負担を軽減できるだけでなく、医療従事者による検査結果の分析をより強く支援できる。
【0037】
心電図記録器2は、STEP5において生成された識別情報を、詳細情報の受信に先立ち通信部22を介して通信装置3へ送信するように構成されうる(STEP12)。通信装置3は、通信部32を介して当該識別信号を受信する(STEP13)。
【0038】
この場合、通信装置3は、STEP8で受け付けた詳細情報を、STEP13で受信した識別情報と関連付けて心電図記録器2へ送信するように構成されうる(STEP9)。心電図記録器2は、識別情報と関連付けられた状態で詳細情報を受信し(STEP10)、受信した識別情報および詳細情報を記録部21に記録する(STEP11)。
【0039】
このような構成によれば、識別情報と詳細情報の関連付けに係る処理が通信装置3に委ねられるので、心電図記録器2の制御部23における処理負荷を軽減できる。これにより、心電図記録器2の電力消費が抑制され、電池持続時間を延長できる。
【0040】
図5の(A)は、イベント入力の受け付け時において通信装置3の表示部31に表示されるイベント登録画面の別例を示している。本例に係るイベント登録画面は、図4の(A)に示される具体的なイベント種別を示すボタン画像に代えて、「イベント登録」ボタン画像のみを表示している。
【0041】
例えば被検者Sが運動時に胸痛を感じた場合、イベントの入力操作として、「イベント登録」ボタン画像がタッチ操作される。あるいは、被検者Sによる「イベント登録」の発声が通信装置3によって音声認識されることで「イベント登録」ボタン画像の操作が有効とされてもよい。
【0042】
図3に示されるように、通信装置3は、被検者Sによるイベントの入力を受け付ける(STEP2)。通信装置3は、通信部32を介して心電図記録器2へイベント登録指示を送信する(STEP3)。心電図記録器2は、通信部22を介して当該イベント登録指示を受信する(STEP4)。心電図記録器2は、受信したイベント登録指示に応じて、識別情報を生成する(STEP5)。生成された識別情報は、記録部21に記録されうる。この場合、識別情報は、イベント登録指示の受信日時を含みうる。
【0043】
図5の(B)は、通信装置3の表示部31に表示される詳細情報入力画面の別例を示している。本例においては、図4の(B)に示されるテキストボックスに加えて、イベント種別を選択するためのドロップダウンリストが表示されている。図3に示されるように、被検者Sは、詳細情報の入力を開始する(STEP6)。例えば図5の(B)に示されるように、被検者Sは、発生したイベントの種別として「運動」を選択し、補足情報として「ジョギング中に胸痛を覚えた」という説明をテキストボックスに入力する。
【0044】
図3に示されるように、被検者Sが詳細情報の入力を終えると(STEP7)、通信装置3は、詳細情報の入力を受け付ける(STEP8)。前述のように、詳細情報の入力は、上記のテキスト入力に加えてあるいは代えて、音声録音と映像録画の少なくとも一方を介して行なわれうる。
【0045】
通信装置3は、テキストデータ、音声データ、および映像データの少なくとも一つを含む詳細情報を、通信部32を介して心電図記録器2へ送信する(STEP9)。心電図記録器2は、通信部22を介して当該詳細情報を受信する(STEP10)。心電図記録器2は、受信した詳細情報を、STEP5で生成された識別情報と関連付けて記録部21に記録する(STEP11)。
【0046】
本例は、詳細情報の入力を前提とする場合に有効なユーザインターフェースを提供できる。すなわち、被検者Sは、「イベント登録」ボタン画像を操作するという単純な行為のみで、イベントが発生したという事実を心電図記録器2に通知できる。被検者Sは、心電図記録器2に識別情報を生成させた後、時間的余裕をもって当該イベントの詳細を補足説明する情報を入力できる。本例は、発生したイベントが緊急性を有する場合(胸痛や動悸の自覚など)において特に有効である。
【0047】
図6は、行動記録支援システム1において行なわれる行動記録支援方法の第二の例を示している。第一の例と実質的に同じ処理については、同一のステップ番号を付与している。第一の例と同様に、心電図記録器2において実行される処理は、制御部23の制御下において行なわれる。通信装置3において実行される処理は、制御部33の制御下において行なわれる。
【0048】
イベントが発生すると(STEP1)、被検者Sは、心電図記録器2に対してイベントの登録指示を入力する。例えば、心電図記録器2に設けられた物理的ボタンが操作されることにより、心電図記録器2による登録指示の受け付けがなされる(STEP4)。
【0049】
心電図記録器2は、受信したイベント登録指示に応じて、識別情報を生成する(STEP5)。識別情報は、イベント登録指示の受信日時を示す時刻情報を含む。
【0050】
少なくとも一度の登録指示の受け付け(STEP4)と識別情報の生成(STEP5)が行なわれた後、被検者Sは、通信装置3に対して詳細情報の登録指示を入力する(STEP21)。例えば、通信装置3の表示部31に表示された「詳細情報の登録」ボタン画像がタッチ操作されることにより、通信装置3は、詳細情報の登録指示を受け付ける(STEP22)。
【0051】
詳細情報の登録指示を受け付けた通信装置3は、通信部32を介して心電図記録器2へ識別情報要求を送信する(STEP23)。心電図記録器2は、通信部22を介して当該識別情報要求を受信する(STEP24)。
【0052】
心電図記録器2は、STEP4とSTEP5を通じて生成された少なくとも一つのイベントに対応する識別情報を、通信部22を介して通信装置3へ送信する(STEP25)。通信装置3は、通信部32を介して当該識別情報を受信する(STEP26)。
【0053】
通信装置3は、受信した識別情報に基づいて、詳細情報の入力を支援するためのユーザインターフェースの生成と提示を行なう(STEP27)。図7の(A)は、そのような入力支援ユーザインターフェースの一例を示している。本例においては、STEP22において詳細情報の登録指示が受け付けられるまでに4回のイベント登録指示がなされている。入力支援ユーザインターフェースは、登録イベントリストを含んでいる。登録イベントリストは、各イベント登録指示が心電図記録器2に受信された日時を示す識別情報に基づいて生成されている。
【0054】
被検者Sが登録イベントリストに含まれている複数のイベントから一つを選択すると、図7の(B)に示される詳細情報入力用のユーザインターフェースが表示部31に表示される。本例においては、「No.1」のイベントが選択された結果、イベント種別を選択するためのドロップダウンリストと補足情報を入力するためのテキストボックスが表示されている。
【0055】
図6に示されるように、被検者Sは、詳細情報の入力を開始する(STEP6)。例えば図7の(B)に示されるように、被検者Sは、発生したイベントの種別として「運動」を選択し、補足情報として「20分間のウォーキング」という説明をテキストボックスに入力する。
【0056】
図6に示されるように、被検者が詳細情報の入力を終えると(STEP7)、通信装置3は、詳細情報の入力を受け付ける(STEP8)。第一の例と同様に、詳細情報の入力は、上記のテキスト入力に加えてあるいは代えて、音声録音と映像録画の少なくとも一方を介して行なわれうる。
【0057】
通信装置3は、テキストデータ、音声データ、および映像データの少なくとも一つを含む詳細情報を、通信部32を介して心電図記録器2へ送信する(STEP9)。心電図記録器2は、通信部22を介して当該詳細情報を受信する(STEP10)。心電図記録器2は、受信した詳細情報を、STEP5で生成された識別情報と関連付けて記録部21に記録する(STEP11)。
【0058】
図7の(A)の登録イベントリストに表示された残りの各イベントについても、上述したSTEP6からSTEP11に係る処理が繰り返される。これにより、STEP22において通信装置3によって詳細情報の登録指示が受け付けられる前に心電図記録器2によって受け付けられた全てのイベントについて、詳細情報が記録部21に記録される。
【0059】
このような構成によれば、行動記録を行なうにあたって被検者Sが常に通信装置3を携帯している必要がない。被検者Sは、常に携帯されている心電図記録器2に対して簡易な操作を行なうのみで、発生したイベントに係る詳細情報と関連付けられる識別情報を心電図記録器2に生成させることが可能である。すなわち、被検者Sは、イベントの発生から識別情報の生成までの経過時間を短縮可能でありながら、識別情報を生成するために常に通信装置3を携帯する必要がない。被検者Sは、心電図記録器2に識別情報を生成させた後、時間的余裕をもって当該イベントの詳細を補足説明する情報を入力できる。よって、行動記録に係る被検者Sの負担を軽減できるとともに、医療従事者による検査結果の分析を支援できる。
【0060】
図8は、行動記録支援システム1において行なわれる行動記録支援方法の第三の例を示している。第一の例と実質的に同じ処理については、同一のステップ番号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。第一の例と同様に、心電図記録器2において実行される処理は、制御部23の制御下において行なわれる。通信装置3において実行される処理は、制御部33の制御下において行なわれる。
【0061】
本例は、詳細情報の入力が行なわれる場合において入力支援ユーザインターフェースが提供されうる点において第一の例と相違する。具体的には、通信装置3は、被検者Sの属性情報、被検者Sの履歴情報、およびセンサ情報の少なくとも一つに基づいて被検者Sの行動を推測し、推測結果を入力支援ユーザインターフェースとして表示しうる(STEP31)。
【0062】
属性情報とは、被検者Sの属性を示す情報である。属性としては、性別、年齢、職業、病歴などが例示されうる。属性情報は、医療従事者または被検者S自身によって通信装置3に入力され、記憶部34に保存される。属性情報は、心電図記録器2における所定の記憶領域に保存されてもよい。この場合、通信装置3は、通信部22と通信部32を介して心電図記録器2から属性情報を取得する。
【0063】
履歴情報とは、被検者Sの行動履歴を示す情報である。履歴情報は、過去に通信装置が受け付けたイベント入力や詳細情報入力に基づいて生成される。履歴情報には、少なくとも発生したイベントの種別が発生日時と関連付けられて含まれる。履歴情報は、例えばイベント登録指示や詳細情報の心電図記録器2への送信時において、記憶部34に保存される。心電図記録器2の記録部21に記録されている識別情報や詳細情報もまた、履歴情報になりうる。よって、通信装置3は、通信部22と通信部32を介して、これらの情報を履歴情報として心電図記録器2から取得しうる。
【0064】
図2に示されるように、心電図記録器2は、電極Eとは別のセンサSRと接続されうる。センサSRとしては、温度センサ、加速度センサなどが例示されうる。電極Eもまたセンサの一例である。心電図記録器2とセンサSRの間での信号やデータの通信は、有線通信によりなされてもよいし、無線通信によりなされてもよい。センサSRは、心電図記録器2に内蔵されてもよい。
【0065】
センサ情報は、電極EとセンサSRの少なくとも一方から取得される情報である。例えば、電極Eからは被検者Sの心拍数などの情報が得られる。温度センサからは被検者Sの体温や外気温などの情報が得られる。加速度センサからは、被検者Sの体動に係る情報が得られる。センサSRまたはセンサSRを備えた機器が無線通信機能を有している場合、センサ情報は、心電図記録器2を介することなく通信装置3により取得されてもよい。
【0066】
図9の(A)は、被検者Sの属性情報と履歴情報の少なくとも一方を用いて生成された詳細情報入力画面の一例を示している。本例に係る詳細情報入力画面は、イベント種別を選択するためのドロップダウンリストと補足情報を入力するためにテキストボックスを含んでいる。ドロップダウンリストは、イベントの種別の選択肢の一例である。
【0067】
このドロップダウンリストは、被検者Sの属性情報と履歴情報の少なくとも一方に基づいて、初期状態から変更されている。例えば、被検者Sが40代男性の会社員であり、平日は電車で勤務先に通勤しているという情報が、属性情報や履歴情報から取得されうる。この場合、通信装置3は、当該情報に基づいて被検者Sの行動を推測し、選択される可能性が低い「運動」というイベント種別を非表示にする。本例においては、「通勤(電車)」、「階段」、「会議」といった被検者Sが選択する可能性の高いイベント種別が、推測結果としてドロップダウンリストに表示されている。
【0068】
あるいは、初期状態のドロップダウンリストに含まれているイベント種別の表示順序が、属性情報と履歴情報の少なくとも一方に基づいて変更されてもよい。例えば、初期状態では「運動」が「会議」よりもリストの上位に表示されている場合、上記の属性情報や履歴情報に基づいて、「会議」が「運動」よりもリストの上位に表示されるように変更がなされうる。
【0069】
上記のようにドロップダウンリストに表示される受け付け可能なイベント種別の数が減らされたり、表示の優先順位が変更されたりすることにより、被検者Sは、入力を所望するイベント種別をより容易に選択肢から見つけることができる。これにより、行動記録に係る被検者Sの負担をさらに軽減できる。なお上述の例では、ドロップダウンリストに表示されるイベント種別の数が減らされる例を説明したが必ずしもこれに限られず、属性情報や履歴情報の内容によってはイベント種別が増加するようになってもよい。
【0070】
通信装置3が保持している時刻情報に基づいて、上記の推測結果が変更されうる。一例として時刻情報が週末の朝を示している場合、上記の「通勤(電車)」よりも「運動」の優先順位が高められうる。別例として時刻情報が深夜を示している場合、「入浴」や「就寝」といったイベント種別の優先順位が高められうる。
【0071】
このような構成によれば、提示される推測結果の精度が高まり、行動記録に係る被検者Sの負担をさらに軽減できる。
【0072】
図9の(B)は、センサ情報を用いて生成された詳細情報入力画面の一例を示している。本例に係る詳細情報入力画面は、センサ情報に基づく推測結果に係るダイアログを含んでいる。
【0073】
例えば、加速度センサが、10時32分から11時10分までの間、被検者Sの比較的大きな体動を検出した場合、通信装置3は、その検出結果を示すセンサ情報に基づいて、被検者Sが何らかの運動を行なっていたと推測する。その結果、「10時32分~11時10分まで運動をしていましたか?」というダイアログとともに、「ランニング」、「ウォーキング」、「その他激しい運動」、および「その他軽い運動」というイベント種別を含むドロップダウンリストが表示部31に表示されている。
【0074】
このような構成によっても、被検者Sは、入力を所望するイベント種別をより容易に選択肢から見つけることができる。これにより、行動記録に係る被検者Sの負担をさらに軽減できる。
【0075】
通信装置3が保持している時刻情報に基づいて、上記の推測結果が変更されうる。一例として時刻情報が平日の朝を示している場合、体動を示すセンサ情報に基づいて「階段」などのイベント種別が追加されうる。別例として時刻情報が深夜を示している場合、体温上昇を示すセンサ情報に基づいて「入浴」などのイベント種別が追加されうる。
【0076】
このような構成によれば、提示される推測結果の精度が高まり、行動記録に係る被検者Sの負担をさらに軽減できる。
【0077】
推測結果に誤りがあった場合や、提示された選択肢に所望のイベント種別が含まれていなかった場合、被検者Sは、正しい詳細情報を入力する。推測結果と入力された詳細情報の一致または不一致は、通信装置3の制御部33が保有する学習アルゴリズムにフィードバックされ、次回の推測結果に反映される。学習アルゴリズムは、通信装置3がネットワークを通じて接続可能な外部サーバが保有していてもよい。
【0078】
このような構成によれば、学習を重ねるに連れて提示される推測結果の精度が向上し、行動記録に係る被検者Sの負担をさらに軽減できる。
【0079】
詳細情報入力画面の内容(推測結果)は、時刻情報のみに基づいて変更されてもよい。
【0080】
本例においては、心電図記録器2において生成された識別情報は、通信装置3へ送信されていない。しかしながら、図6を参照して説明した第二の例のように、心電図記録器2と通信装置3の間で識別情報の送受信がなされてもよい。すなわち、図6におけるSTEP23~STEP26が組み合わせられうる。
【0081】
図10は、行動記録支援システム1において行なわれる行動記録支援方法の第四の例を示している。本例においては、心電図記録器2における識別情報の生成は行なわれず、被検者Sの属性情報、履歴情報、およびセンサ情報の少なくとも一つに基づく被検者Sの行動の推測と、推測結果の確認を通じた行動情報の入力が行なわれる。
【0082】
具体的には、通信装置3において、被検者Sの属性情報、履歴情報、およびセンサ情報の少なくとも一つが取得される(STEP41)。属性情報、履歴情報、およびセンサ情報の所在、および各情報の取得手法については、第三の例と同様である。
【0083】
被検者Sが通信装置3に対して行動情報の登録指示を行なうと(STEP42)、通信装置3は、取得した被検者Sの属性情報、履歴情報、およびセンサ情報の少なくとも一つに基づいて、被検者Sの行動を推測し(STEP43)、推測結果を表示部31に表示する(STEP44)。推測結果は、図9の(A)や図9の(B)に示されるようなユーザインターフェースを通じて提示される。第三の例と同様に、推測結果は、時刻情報に応じて変更されうる。
【0084】
図10に示されるように、被検者Sは、推測結果を確認しながら、行動情報の入力を開始する(STEP45)。具体的には、発生したイベント種別のドロップダウンリストを通じた選択や、補足情報のテキストボックスへの入力が行なわれる。行動情報の入力は、テキスト入力に加えてあるいは代えて、音声録音と映像録画の少なくとも一方を介して行なわれうる。
【0085】
被検者Sが行動情報の入力を終えると(STEP46)、通信装置3は、行動記録の入力を受け付ける(STEP47)。所定の操作に応じて、通信装置3は、テキストデータ、音声データ、および映像データの少なくとも一つを含む行動情報を、通信部32を介して心電図記録器2へ送信する(STEP48)。心電図記録器2は、通信部22を介して当該行動情報を受信する(STEP49)。心電図記録器2は、受信した行動情報を、記録部21に記録する(STEP50)。
【0086】
上記のような構成によれば、通信装置3における簡易な操作を通じて、被検者Sの行動情報を記録できる。よって、所定の用紙に手書きで記録を行なう場合と比較して、長期検査における行動記録に係る被検者Sの負担を大幅に軽減できる。また、イベント発生から行動記録までの経過時間を短縮できるので、医療従事者による検査結果の分析精度を向上できる。さらに、被検者Sの属性情報、履歴情報、およびセンサ情報の少なくとも一つに基づく行動推測結果の確認を通じて行動情報の入力がなされるので、被検者Sの属性や生活習慣に応じた構成が可能な柔軟性と自由度の高い行動記録ユーザインターフェースを提供できる。例えば、上述の例では行動推測結果が表示され、その行動推測結果に基づいた入力用のユーザインターフェースが提供される。このことによっても、行動記録に係る被検者Sの負担を軽減できるとともに、医療従事者による検査結果の分析を支援できる。
【0087】
上記の行動記録支援方法は、心電図記録器2のプロセッサと通信装置3のプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。当該プログラムは、各プロセッサと協働するメモリに予め組み込まれていてもよいし、当該プログラムを記憶している記憶媒体から読み出してもよい。そのような記憶媒体は、SDカードやUSBメモリのような可搬型記憶媒体として提供されてもよいし、通信装置3が通信ネットワークを介して接続可能なサーバ装置が備える記憶媒体であってもよい。
【0088】
上記の実施形態は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本開示の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0089】
上記の実施形態においては、被検者Sの行動情報を入力するための選択肢の提示が視覚的に行なわれている。しかしながら、選択肢に係るイベントの種別が読み上げられるなどにより、選択肢が聴覚的に提示されてもよい。
【0090】
上記の実施形態においては、複数の電極Eからの信号が心電図記録器2のインターフェース20に入力されている。しかしながら、単一の電極Eからの信号がインターフェース20に入力される構成も採用されうる。
【0091】
上記の実施形態においては、検査装置として心電図記録器2が例示されている。しかしながら、被検者Sに携帯されて長期間にわたり被検者Sの生体情報を取得するように構成された検査装置であれば、行動記録支援システム1を構成しうる。
【符号の説明】
【0092】
1:行動記録支援システム、2:携帯型心電図記録器、23:制御部、3:通信装置、33:制御部、S:被検者、SR:センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10