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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】印刷ジョブ管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20221130BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
G06F3/12 356
G06F3/12 319
G06F3/12 373
B41J29/38 204
B41J29/38 801
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018121928
(22)【出願日】2018-06-27
(65)【公開番号】P2020004008
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128451
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】野口 芳史
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-102568(JP,A)
【文献】特開2007-76008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
H04N 1/00
B41J 29/00 - 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが印刷装置を用いて印刷処理を行った際、該印刷処理の対象の印刷ジョブの終了履歴の情報を前記ユーザと対応付けて記憶する終了履歴記憶部と、
前記終了履歴の情報に対応付けられたユーザによる前記終了履歴の情報に対する付加情報の入力を受け付ける付加情報入力受付部と、
新たな印刷ジョブの入力に応じて、該新たに入力された印刷ジョブと前記終了履歴記憶部に記憶された終了履歴の情報に含まれる印刷ジョブとを比較して、前記新たに入力された印刷ジョブと同じ印刷ジョブであって、かつ前記付加情報が付加された印刷ジョブが、前記終了履歴印刷ジョブの中に存在するか否かを判定する印刷ジョブ判定部と、
前記印刷ジョブ判定部によって前記新たに入力された印刷ジョブと同じ印刷ジョブであって、かつ前記付加情報が付加された印刷ジョブが存在すると判定された際、前記同じ印刷ジョブに付加された前記付加情報を提示する付加情報提示部と、
前記付加情報の提示後、前記新たに入力された印刷ジョブの印刷処理の継続に関する情報の入力を受け付ける継続情報受付部とを備えた印刷ジョブ管理装置。
【請求項2】
前記印刷ジョブ判定部が、前記終了履歴記憶部に記憶されている終了履歴の印刷ジョブのうち、前記付加情報が付加されている印刷ジョブを抽出し、該抽出した印刷ジョブと前記新たに入力された印刷ジョブとを比較する請求項1記載の印刷ジョブ管理装置。
【請求項3】
前記継続情報受付部が、前記印刷処理の継続に関する情報として、前記印刷処理に関する印刷条件の変更の入力を受け付ける請求項1または2記載の印刷ジョブ管理装置。
【請求項4】
前記印刷ジョブ判定部が、印刷ジョブの名前および更新日時を比較する請求項1から3いずれか1項記載の印刷ジョブ管理装置。
【請求項5】
前記付加情報提示部が、前記新たに入力された印刷ジョブの印刷部数を表示させる請求項1から4いずれか1項記載の印刷ジョブ管理装置。
【請求項6】
前記付加情報提示部が、前記新たに入力された印刷ジョブの印刷指示が行われた際にのみ前記付加情報を提示する請求項1から5いずれか1項記載の印刷ジョブ管理装置。
【請求項7】
前記終了履歴記憶部に記憶される印刷ジョブは予め設定された期間を経過した時点で削除される請求項1から6いずれか1項記載の印刷ジョブ管理装置。
【請求項8】
前記付加情報が付加されていない印刷ジョブの前記終了履歴記憶部における保存期間よりも、前記付加情報が付加された印刷ジョブの前記終了履歴記憶部における保存期間が長い請求項1から7いずれか1項記載の印刷ジョブ管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユーザが印刷ジョブに関する情報を共有することができる印刷ジョブ管理装置に関し、特に、終了履歴の印刷ジョブの情報を共有することができる印刷ジョブ管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワーク上に接続された印刷装置を複数のユーザが利用して印刷処理を行う印刷システムが提案されている。このような印刷システムにおいては、たとえば各ユーザがコンピュータを用いて印刷装置にログインし、コンピュータから印刷装置に対して印刷ジョブを出力して印刷処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-351634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述したような印刷システムにおいて、たとえば同一の配布物を他のユーザが既に印刷していることを知らずに、必要以上の部数を重複して印刷してしまうことがある。また、印刷後に印刷物を見て目的に合わない印刷物であることが判明したり、他者からの指摘により目的の作業に使えないことが判明したりして、印刷物を無駄にしてしまうことがあった。
【0005】
このような無駄な印刷はなくすことが望ましいが、従来、このような無駄な印刷をなくすための手段を備えた印刷システムは知られていなかった。
【0006】
たとえば特許文献1では、同一のユーザによる重複印刷を防止する方法が提案されているが、特許文献1に記載の方法では、他のユーザが同じ印刷ジョブを印刷することは全く想定されておらず、上述した他のユーザによる重複印刷の問題を解決することはできない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、同一の印刷ジョブの無駄な重複印刷や目的に合わない印刷物の無駄な印刷を回避することができる印刷ジョブ管理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の印刷ジョブ管理装置は、ユーザが印刷装置を用いて印刷処理を行った際、その印刷処理の対象の印刷ジョブの終了履歴の情報をユーザと対応付けて記憶する終了履歴記憶部と、終了履歴の情報に対応付けられたユーザによる終了履歴の情報に対する付加情報の入力を受け付ける付加情報入力受付部と、終了履歴記憶部に記憶された終了履歴の印刷ジョブと新たに入力された印刷ジョブとを比較して、新たに入力された印刷ジョブと同じ印刷ジョブであって、かつ付加情報が付加された印刷ジョブが、終了履歴の印刷ジョブの中に存在するか否かを判定する印刷ジョブ判定部と、印刷ジョブ判定部によって新たに入力された印刷ジョブと同じ印刷ジョブであって、かつ付加情報が付加された印刷ジョブが存在すると判定された際、同じ印刷ジョブに付加された付加情報を提示する付加情報提示部と、付加情報の提示後、新たに入力された印刷ジョブの印刷処理の継続に関する情報の入力を受け付ける継続情報受付部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の印刷ジョブ管理装置によれば、既に印刷処理を行った終了履歴の印刷ジョブに対する付加情報の入力を受け付ける。そして、新たに入力された印刷ジョブと終了履歴の印刷ジョブとを比較して、新たに入力された印刷ジョブと同じ印刷ジョブであって、かつ付加情報が付加された印刷ジョブが、終了履歴の印刷ジョブの中に存在する場合には、その同じ印刷ジョブに付加された付加情報を提示する。
【0010】
この付加情報に提示により、以前に終了履歴の印刷ジョブが印刷された際における印刷物の状況を把握することができる。そして、その印刷物の状況に応じて、新たに入力された印刷ジョブの印刷処理の継続に関する情報の入力を受け付けるので、印刷物の状況によって印刷処理を継続したり、中止したりすることができ、無駄な印刷を回避することができる。すなわち、同一の印刷ジョブの無駄な重複印刷や目的に合わない印刷物の無駄な印刷を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の印刷ジョブ管理装置の一実施形態を用いた印刷システムの構成を示すブロック図
図2】本発明の印刷ジョブ管理装置の一実施形態である印刷ジョブ管理部の構成を示すブロック図
図3】ユーザの識別情報とそのユーザの所属の情報とを対応付けたテーブルの一例を示す図
図4】終了履歴のリスト表示の一例を示す図
図5】終了履歴の印刷ジョブに対してコメントを付加する処理を説明するためのフローチャート
図6】コメント入力画面の一例を示す図
図7】コメント入力画面のその他の例を示す図
図8】コメント表示画面の一例を示す図
図9】コメント表示画面のその他の例を示す図
図10】コメント表示画面のその他の例を示す図
図11図1に示す印刷システムを用いた印刷処理の流れを説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の印刷ジョブ管理装置の一実施形態を用いた印刷システムについて詳細に説明する。図1は、本実施形態の印刷システム1の概略構成図である。
【0013】
本実施形態の印刷システム1は、図1に示すように、複数の印刷ジョブ出力装置10と、印刷装置20とを備えている。複数の印刷ジョブ出力装置10と印刷装置20とは、有線または無線LAN(Local Area Network)などのネットワーク回線もしくはインターネット回線などの通信回線Nを介して接続される。なお、図1においては、3台の印刷ジョブ出力装置10が通信回線Nを介して印刷装置20に接続されているが、印刷ジョブ出力装置10の数はこれに限らず、少なくとも1台の印刷ジョブ出力装置10が印刷装置20に接続されていればよく、4台以上の印刷ジョブ出力装置10を印刷装置20に接続するようにしてもよい。
【0014】
各印刷ジョブ出力装置10においては、印刷装置20のIP(Internet Protocol)アドレスが設定されており、このIPアドレスによって各印刷ジョブ出力装置10が印刷装置20を認識し、接続可能に構成されている。また、印刷装置20には、印刷装置20を使用可能なユーザの識別情報が記憶されている。ユーザは、各印刷ジョブ出力装置10のモニタに表示されたログイン画面に自身の識別情報(ID)およびパスワードを設定入力することによって印刷装置20にログインし、これにより印刷装置20による印刷処理が可能となる。また、ユーザは、印刷装置20にログインした後、各印刷ジョブ出力装置10のモニタにおいてコンソール画面を表示させ、そのコンソール画面上において、印刷ジョブの状態(印刷中、待機中など)および印刷装置20の消耗品の状態(インク、印刷用紙の残量など)を確認したり、印刷装置20における種々の設定が可能に構成されている。
【0015】
印刷ジョブ出力装置10は、たとえば印刷装置20のプリンタドライバがインストールされたコンピュータから構成される。印刷ジョブ出力装置10においては、ユーザによって任意のアプリケーションを用いるなどして、印刷処理対象の画像データが生成される。そして、印刷装置20において印刷処理を行う際には、印刷ジョブ出力装置10にインストールされたプリンタドライバが起動され、そのプリンタドライバ上において、種々の印刷条件が設定される。印刷条件としては、たとえば片面印刷または両面印刷、印刷枚数、印刷部数、印刷濃度および印刷媒体の種類などがある。
【0016】
印刷ジョブ出力装置10は、プリンタドライバ上で種々の印刷条件の設定入力を受け付けた後、印刷指示の入力を受け付け、ユーザによって生成された画像データと設定入力された印刷条件に基づいて、PDL(Page Description Language)形式の印刷ジョブを生成して印刷装置20に出力する。
【0017】
印刷装置20は、印刷ジョブ出力装置10から出力された印刷ジョブに基づいて、紙やフィルムなどといったシート状の印刷媒体に対して印刷処理を行う。印刷装置20としては、たとえばインクジェット印刷装置、レーザ印刷装置および孔版印刷装置などを用いることができる。
【0018】
印刷装置20は、図1に示すように、制御部21、印刷処理部22および操作パネル23を備えている。
【0019】
制御部21は、印刷装置20全体を制御して印刷処理を実行するものであり、CPU(Central Processing Unit)並びに半導体メモリおよびハードディスクなどの記憶媒体を備えている。具体的には、制御部21は、印刷ジョブ管理部30および画像処理部31を備えている。なお、印刷ジョブ管理部30は、本発明の印刷ジョブ管理装置の一実施形態に相当するものである。
【0020】
印刷ジョブ管理部30は、図2に示すように、ユーザ情報記憶部32、終了履歴記憶部33、付加情報入力受付部34、印刷ジョブ判定部35、付加情報提示部36および継続情報受付部37を備えている。制御部21の記憶媒体には、印刷ジョブ管理プログラムがインストールされており、この印刷ジョブ管理プログラムがCPUによって実行されることにより、印刷ジョブ管理部30の各部が機能する。なお、印刷ジョブ管理部30の付加情報入力受付部34、印刷ジョブ判定部35、付加情報提示部36および継続情報受付部37については、プログラムとして構成するようにしてもよいし、一部をハードウェアによって実現するようにしてもよい。
【0021】
ユーザ情報記憶部32は、半導体メモリやハードディスクなどの記憶媒体から構成され、印刷装置20を使用可能なユーザの識別情報およびその識別情報に対応付けられたパスワードを記憶する。印刷ジョブ管理部30は、上述した印刷ジョブ出力装置10において入力されたユーザの識別情報(ID)およびパスワードの入力を受け付け、その受け付けたユーザの識別情報およびパスワードと、ユーザ情報記憶部32に予め記憶されたユーザの識別情報およびパスワードとを照合し、ユーザのログインを許可するか否かを判定する。
【0022】
また、ユーザ情報記憶部32は、ユーザの識別情報をそのユーザの所属の情報と対応づけて記憶する。具体的には、ユーザ情報記憶部32は、ユーザの識別情報とそのユーザの所属の情報を、図3に示すようなテーブルとして記憶する。なお、ユーザの所属の情報については、印刷ジョブ出力装置10において設定入力され、ユーザの所属に変更があった場合には、印刷ジョブ出力装置10において変更後の所属が設定入力され、ユーザ情報記憶部32における所属の情報が変更される。なお、ユーザの所属については、後述する印刷装置20の操作パネル23において設定入力および変更を受け付けるようにしてもよい。
【0023】
終了履歴記憶部33は、半導体メモリやハードディスクなどの記憶媒体から構成され、印刷装置20にログインしたユーザが印刷処理を行った際、その印刷処理対象の印刷ジョブの終了履歴の情報をユーザと対応付けて記憶する。終了履歴記憶部33に記憶された印刷ジョブの終了履歴は、印刷ジョブ管理部30によって印刷ジョブ出力装置10に出力され、印刷ジョブ出力装置10のモニタに表示される。印刷ジョブの終了履歴は、モニタにリスト表示されるが、この際、印刷装置20にログインしているユーザの終了履歴のみが表示される。
【0024】
図4は、終了履歴のリスト表示の一例を示す図である。図4は、印刷ジョブ出力装置10のモニタに表示されるコンソール画面であり、「終了(履歴)」ボタンをユーザ(Aさん)が選択することによって、図4に示すような、Aさんの印刷ジョブの終了履歴がリスト表示される。終了履歴のリスト表示においては、印刷ジョブの名前(文書名/ジョブ名)、ユーザの名前(オーナー)、印刷部数または印刷枚数、および印刷処理が行われた日時などが表示される。
【0025】
付加情報入力受付部34は、終了履歴の情報に対応付けられたユーザによる終了履歴の情報に対する付加情報の入力を受け付ける。以下、図5に示すフローチャートを参照しながら、終了履歴の印刷ジョブに対して、付加情報としてユーザのコメントを付加する処理について説明する。なお、本明細書において、付加情報とは、印刷終了したジョブに関して付加する情報であって、そのジョブと同一のジョブを印刷する人が印刷前に知ることで役に立つような情報のことを言うものとする。
【0026】
まず、ユーザは、印刷ジョブ出力装置10のモニタにログイン画面を表示させ、ログイン画面に識別情報(ID)およびパスワードを入力し、印刷装置20にログインする(S10)。次に、ユーザは、表示されたコンソール画面で終了履歴のボタンを選択し(S12)、これによりユーザの終了履歴がリスト表示される。次に、図4に示す終了履歴のリスト表示において、ユーザによって、コメントを付加する印刷ジョブが選択される(S14)。そして、付加情報入力受付部34は、図4に示す「コメント入力ON」ボタンが選択されると(S16)、印刷ジョブ出力装置10のモニタにコメント入力画面を表示させる(S18)。
【0027】
図6および図7は、コメント入力画面の一例を示す図である。ユーザは、印刷ジョブ出力装置10が有するキーボードやマウスなどの入力デバイスを用いて、図6および図7に示すコメント入力画面に対してコメントを入力する(S20)。たとえば終了履歴の印刷ジョブの中に機密情報が含まれる場合には、後で同じ印刷ジョブを印刷するユーザに対して機密情報が含まれることを報知し、不用意に印刷を行わないように促すため、図6に示すように「機密情報有り」とのコメントが入力される。
【0028】
また、たとえばユーザが終了履歴の印刷ジョブを印刷した結果、その画質が低く、展示会用には適していないと判断した場合には、後で同じ印刷ジョブを印刷するユーザに対して展示会使用には不向きであることを報知し、無駄な印刷を行わないように促すため、図7に示すように、「低画質により展示会使用に不向き」とのコメントが入力される。
【0029】
なお、コメント入力画面に入力されるコメントは上記の例に限らず、後で同じ印刷ジョブを印刷するユーザに対して報知すべき種々の任意の内容が入力される。
【0030】
また、図6および図7に示すように、付加情報入力受付部34は、コメント入力画面において、コメント入力欄の他に、選択された印刷ジョブの名前(ジョブ名/文書名)、その印刷ジョブの印刷処理を行ったユーザの氏名(氏名)およびそのユーザの所属(グループ名)を表示させる。
【0031】
図6および図7に示すコメント入力画面において、「OK」ボタンが押されると、付加情報入力受付部34は、コメント入力欄に入力されたコメントを受け付け、終了履歴の印刷ジョブと対応づけて記憶する(S22)。
【0032】
なお、終了履歴の印刷ジョブに付加されたコメントは一旦記憶された後、再びその印刷ジョブのコメントを付加したユーザによって読み出し、編集、修正を可能としてもよい。
【0033】
次に、印刷ジョブ判定部35は、印刷ジョブ出力装置10から出力されて印刷装置20に新たに入力された印刷ジョブと、終了履歴記憶部33に記憶された終了履歴の印刷ジョブとを比較して、新たに入力された印刷ジョブと同じ印刷ジョブであって、かつ上述した付加情報としてのコメントが付加された印刷ジョブが、終了履歴記憶部33に記憶された終了履歴の印刷ジョブの中に存在するか否かを判定する。
【0034】
本実施形態の印刷ジョブ判定部35は、具体的には、まず、終了履歴記憶部33に記憶されている終了履歴の印刷ジョブのうち、付加情報としてのコメントが付加されている印刷ジョブを抽出する。コメントが付加されている印刷ジョブの抽出方法については、たとえば終了履歴の印刷ジョブに対してフラグを設け、コメントが付加された印刷ジョブについてはフラグを「1」とし、コメントが付加されていない印刷ジョブについてはフラグを「0」とすればよい。または、終了履歴の印刷ジョブのヘッダー情報として、コメントの有無の情報を設けるようにしてもよい。
【0035】
次に、印刷ジョブ判定部35は、抽出したコメントが付加された印刷ジョブと、新たに入力された印刷ジョブとを比較する。本実施形態では、終了履歴記憶部33に記憶された全ての印刷ジョブとの比較を行うのではなく、コメントが付加された印刷ジョブについてのみ比較を行うようにしたので、比較処理の負荷を軽減することができ、高速に処理することができる。
【0036】
具体的には、印刷ジョブ判定部35は、コメントが付加された印刷ジョブの名前および更新日時と、新たに入力された印刷ジョブの名前および更新日時とを比較し、これらが同一であるか否かを判定することによって、同一の印刷ジョブであるか否かを判定する。
【0037】
印刷ジョブの更新日時を比較するのは、印刷ジョブのバージョンが同じであるかを比較するためであり、これにより同一の印刷ジョブの判定精度を上げることができる。なお、印刷ジョブが同一であるか否かの判定方法については、これに限らず、印刷ジョブの名前だけを比較するようにしてもよいし、その他の印刷ジョブの情報を比較する方法を用いるようにしてもよい。
【0038】
付加情報提示部36は、印刷ジョブ判定部35において、新たに入力された印刷ジョブと同じ印刷ジョブであって、かつコメントが付加された印刷ジョブが存在すると判定された際、その同じ印刷ジョブに付加されたコメントを提示する。
【0039】
具体的には、付加情報提示部36は、終了履歴の印刷ジョブのうち、新たに入力された印刷ジョブと同一の印刷ジョブが存在する場合には、その同一の印刷ジョブに付加されたコメントを印刷ジョブ出力装置10に出力し、印刷ジョブ出力装置10のモニタに表示させる。
【0040】
図8図10は、印刷ジョブ出力装置10のモニタに表示されるコメント表示画面の一例を示す図である。付加情報提示部36は、図8図10に示すように、コメント表示画面において、ユーザによって付加されたコメントを表示させる。図8に示す例では、コメントとして「機密情報有り」が表示されている。このコメントによって、後に同じ印刷ジョブを印刷する他のユーザに対して、機密情報が含まれていることを報知することができ、不用意に印刷してしまうのを防止することができる。
【0041】
また、図9に示す例では、コメントとして「低画質により展示会使用に不向き」が表示されている。このコメントによって、後に同じ印刷ジョブを印刷する他のユーザに対して、展示会用には不向きであることを報知することができ、無駄な印刷を回避することができる。また、印刷条件の変更を促すことができる。
【0042】
また、図10に示す例では、コメントとして「Rev1.2 9/29に100部印刷済 E」が表示されている。図10に示すコメントにおける「Rev1.2」はバージョン情報であり、「9/29」は印刷処理を行った日時であり、「E」は印刷処理を行ったユーザの名前である。このコメントによって、後に同じ印刷ジョブを印刷する他のユーザに対して、既に印刷した部数を報知することができ、同じ印刷ジョブを無駄に印刷してしまうのを防止することができる。また、図10に示すように、バージョン情報(Rev1.2)をコメントとして記入しておくことで、誤って同じ名前の印刷ジョブであって、校正前の印刷ジョブを印刷してしまうのを回避することができる。
【0043】
また、付加情報提示部36は、コメント表示画面において、コメントの他に、印刷ジョブの名前(ジョブ名/文書名)、コメントを付加したユーザの名前(氏名)、そのユーザの所属(グループ)を表示させる。付加情報提示部36は、終了履歴記憶部33から印刷ジョブの名前およびコメントを付加したユーザの名前を自動的に取得し、ユーザ情報記憶部32から、その印刷ジョブに対応付けて記憶されたユーザの所属の情報を自動的に取得して表示させる。このようにコメントを付加したユーザの名前および所属を表示させることによって、後に同じ印刷ジョブを印刷する他のユーザが、以前にどこの所属の誰が同じ印刷ジョブを印刷したかを把握することができる。
【0044】
また、コメント表示画面の右隅には、新たに入力された印刷ジョブの印刷部数(部数8)が表示される。このように新たに入力された印刷ジョブの印刷部数または印刷枚数などをコメント表示画面に表示させることによって、コメント内に記載された既に印刷済みの印刷部数(100部)と合わせて参照することができ、さらに継続して印刷処理を進める必要があるか否かの判断材料とすることができる。
【0045】
なお、コメント表示画面に表示する内容は、上記の項目に限らず、その他の項目を表示させるようにしてもよい。具体的には、たとえば印刷ジョブに含まれるその他の印刷条件をコメント表示画面に表示させるようにしてもよい。
【0046】
また、付加情報提示部36は、新たに入力された印刷ジョブと同じ印刷ジョブであって、かつコメントが付加された印刷ジョブが複数存在する場合には、その複数の印刷ジョブのそれぞれに付加されたコメントをモニタに表示させる。これにより、ユーザは、同じ印刷ジョブに付加されたコメントを全て確認することができ、その後の印刷処理の判断を適切に行うことができる。たとえばコメントとして印刷部数が表示されている場合には、各コメントの印刷部数を加算した印刷部数を把握することができる。
【0047】
なお、付加情報提示部36は、コメントの表示の有無を切り替え可能に構成されている。すなわち、付加情報提示部36によるコメント表示は、ユーザの要求に応じてオフにすることができる。これにより、コメント表示が煩わしいと考えるユーザに対しては、コメント表示することなく、印刷処理をスムーズに進めることができる。コメント表示の有無の切り替えについては、たとえばモニタに表示されたコンソール画面上で行えるようにすればよい。
【0048】
また、付加情報提示部36によるコメント表示は、上述したように新たな印刷ジョブの印刷指示が行われた際にのみ実施される。たとえば印刷指示前に他のユーザによってコメントを参照可能とした場合、セキュリティ上の問題があるからである。
【0049】
次に、継続情報受付部37は、上述したように付加情報提示部36によってコメントが提示された際、新たに入力された印刷ジョブの印刷処理の継続に関する情報の入力を受け付ける。継続情報受付部37は、具体的には、図8に示すように、コメント表示画面において、「継続」ボタン、「中止」ボタンおよび「変更」ボタンを表示させる。そして、継続情報受付部37は、ユーザによって「継続」ボタンが選択された場合には、その情報を受け付けて、新たに入力された印刷ジョブの印刷処理を継続させる。また、ユーザによって「中止」ボタンが選択された場合には、その情報を受け付けて、新たに入力された印刷ジョブの印刷処理を中止させる。
【0050】
また、継続情報受付部37は、「変更」ボタンが選択された場合には、新たに入力された印刷ジョブの印刷条件の変更を受け付け、その変更後の印刷条件で印刷処理を継続させる。ユーザは、印刷条件の変更として、たとえばコメント表示画面のコメントの印刷部数(印刷枚数)に応じて、新たに入力された印刷ジョブの印刷部数(印刷枚数)を増減させる。また、ユーザは、画質の低下についてコメントされている場合には、たとえば印刷濃度または解像度を変更することによって、画質を向上させる。なお、印刷条件の変更としては、これらに限らず、印刷装置20の機能に応じて適宜その他の変更を受け付けることができる。このように印刷条件の変更を受け付けることによって、これまでの操作を無駄にすることなく、適切な印刷処理を継続して行うことができる。
【0051】
図1に戻り、画像処理部31は、印刷ジョブ管理部30において印刷処理を継続すると判定された印刷ジョブに対して種々の処理を施して、印刷処理部22を駆動するための印刷データを生成する。具体的には、たとえば印刷処理部22が、インクジェットヘッドにより印刷処理を行う場合には、画像処理部31は、まず、印刷ジョブに対してRIP(Raster Image Processor)処理を施してRGB形式の画像データを生成する。
【0052】
次いで、画像処理部31は、色変換テーブルなどを用いてRGB形式の画像データをCMYK形式の画像データに変換し、そのCMYK形式の画像データに対してハーフトーン処理を施して、各色のドロップデータを印刷データとして生成する。ハーフトーン処理としては、誤差拡散処理やディザマスク処理が用いられる。なお、印刷処理部22がレーザ印刷処理または孔版印刷処理を行う場合には、これらの印刷方式に応じた処理が印刷ジョブに対して施される。
【0053】
印刷処理部22は、画像処理部31から出力された印刷データに基づいて、印刷媒体に対して印刷処理を施す。印刷処理部22は、たとえば印刷媒体を搬送する搬送部および搬送部によって搬送された印刷媒体に対してインクを吐出するインクジェットヘッドなどを備える。
【0054】
操作パネル23は、たとえば液晶ディスプレイを有するタッチパネルから構成され、印刷処理に関する種々の設定入力およびユーザによる種々の指示入力を受け付ける。
【0055】
次に、本実施形態の印刷システム1を用いた印刷処理の流れについて、図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0056】
まず、印刷ジョブ出力装置10において印刷ジョブが作成された後、印刷装置20へのログイン画面がモニタに表示される。そして、ユーザによってログイン画面上において識別情報(ID)およびパスワードが設定入力され、ユーザ情報記憶部32に記憶された識別(ID)およびパスワードと照合されてログインが許可される(S30)。
【0057】
次に、印刷ジョブ出力装置10のプリンタドライバにおいて、ユーザにより印刷指示が入力されると、印刷ジョブ出力装置10から印刷装置20に印刷ジョブが出力され、印刷装置20の印刷ジョブ管理部30に入力される(S32)。
【0058】
そして、印刷ジョブ管理部30は、新たな印刷ジョブの入力を受け付けると、終了履歴記憶部33に記憶された印刷ジョブであって、コメントが付加された印刷ジョブを抽出し、その抽出した印刷ジョブと新たに入力された印刷ジョブとを比較し、抽出した印刷ジョブの中に、新たに入力された印刷ジョブと同一の印刷ジョブが存在するか否かを判定する(S34)。
【0059】
抽出された印刷ジョブの中に、新たに入力された印刷ジョブと同一の印刷ジョブが存在すると判定された場合には(S34,YES)、その同一の印刷ジョブに付加されたコメントが印刷ジョブ出力装置10のモニタに表示される(S36)。
【0060】
そして、ユーザは、モニタに表示されたコメントを参照し、継続して印刷処理を行うか否かを判断し、継続して印刷処理を行う場合には(S38,YES)、コメント表示画面における「継続」ボタンを選択し、これにより新たな入力された印刷ジョブについて印刷処理が開始される(S40)。一方、ユーザは、モニタに表示されたコメントを参照した結果、印刷処理が不要と判断した場合には(S42,中止)、コメント表示画面における「中止」ボタンを選択し、そのまま処理を終了する。また、ユーザは、モニタに表示されたコメントを参照した結果、印刷条件を変更して印刷処理を行うと判断した場合には(S42,印刷条件の変更)、コメント表示画面における「変更」ボタンを選択する。ユーザによって「変更」ボタンが選択された場合には、モニタに印刷条件の変更を受け付ける画面が表示され、ユーザによって変更後の印刷条件が設定入力される(S44)。そして、その後、ユーザによって「継続」ボタンが選択されると、変更後の印刷条件に基づいて、新たな入力された印刷ジョブについて印刷処理が開始される(S40)。
【0061】
また、S44において、抽出された印刷ジョブの中に、新たに入力された印刷ジョブと同一の印刷ジョブが存在しないと判定された場合には(S44,NO)、コメント表示されることなく、そのまま印刷処理が開始される(S40)。
【0062】
なお、上記実施形態においては、ログイン画面、コンソール画面、印刷ジョブの終了履歴、コメント入力画面およびコメント表示画面を印刷ジョブ出力装置10のモニタに表示させるようにしたが、印刷装置20の操作パネル23にこれらを表示させるようにしてもよい。この際、ユーザは、印刷装置20の操作パネル23に表示されたログイン画面において、識別情報(ID)およびパスワードを設定入力して印刷装置20にログインする。そして、操作パネル23に表示されたコンソール画面上において終了履歴を選択し、終了履歴の印刷ジョブの中からコメントを付加する印刷ジョブを選択し、コメント入力画面においてコメントを設定入力する。
【0063】
そして、ユーザが、印刷装置20の操作パネル23において、新たな印刷ジョブの印刷指示を入力した際に、上述した印刷ジョブ判定部35における判定を行い、終了履歴の印刷ジョブの中に同一の印刷ジョブであって、コメントが付加された印刷ジョブが存在する場合に、その終了履歴の印刷ジョブに付加されたコメントをコメント表示画面とともに表示させる。なお、コメント表示画面は、操作パネル23ではなく、印刷ジョブ出力装置10のモニタに表示させるようにしてもよい。
【0064】
印刷装置20の操作パネル23において新たな印刷ジョブの印刷指示を入力する場合としては、たとえば印刷装置20のハードディスクなどの記憶媒体にボックス保存された印刷ジョブを読み出して印刷する場合やUSB(Universal Serial Bus)メモリを印刷装置20に接続し、そのUSBメモリに保存された印刷ジョブを読み出して印刷する場合などがある。また、印刷ジョブ出力装置10から出力された印刷ジョブであって、印刷可能なユーザを限定したセキュリティジョブを印刷装置20において印刷する場合にも、印刷装置20の操作パネル23においてユーザ認証が行われ、印刷指示が入力される。
【0065】
また、上記実施形態において、終了履歴記憶部33に記憶される印刷ジョブは予め設定された期間を経過した時点で削除するようにしてもよい。その場合、コメントが付加されていない印刷ジョブの保存期間よりもコメントが付加された印刷ジョブの保存期間を長く設定することが好ましい。なお、この保存期間の設定については、管理者権限を有するユーザのみが行えるようにすることが好ましい。
【0066】
また、上記実施形態の印刷システム1においては、印刷ジョブ管理部30を印刷装置20内に設けるようにしたが、印刷ジョブ管理部30の全部または一部を印刷ジョブ出力装置10または印刷装置20とは異なる装置であって、通信回線Nに接続されたその他の装置に設けるようにしてもよい。
【0067】
本発明の印刷ジョブ管理装置に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記)
【0068】
上記本発明の印刷ジョブ管理装置においては、印刷装置を使用可能なユーザの識別情報を記憶するユーザ情報記憶部を有することができ、ユーザ情報記憶部は、ユーザの情報を該ユーザの所属の情報と対応付けて記憶し、付加情報提示部は、付加情報とともに、ユーザの情報およびユーザの所属の情報を提示することができる。
【0069】
また、上記本発明の印刷ジョブ管理装置において、印刷ジョブ判定部は、終了履歴記憶部に記憶されている終了履歴の印刷ジョブのうち、付加情報が付加されている印刷ジョブを抽出し、その抽出した印刷ジョブと新たに入力された印刷ジョブとを比較することができる。
【0070】
また、上記本発明の印刷ジョブ管理装置において、付加情報提示部は、付加情報の提示の有無を切り替えることができる。
【0071】
また、上記本発明の印刷ジョブ管理装置において、付加情報提示部は、新たに入力された印刷ジョブと同じ印刷ジョブであると判定された印刷ジョブが複数存在する場合には、その複数の印刷ジョブに付加された複数の付加情報を提示することができる。
【0072】
また、上記本発明の印刷ジョブ管理装置において、継続情報受付部は、印刷処理の継続に関する情報として、印刷処理に関する印刷条件の変更の入力を受け付けることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 印刷システム
10 印刷ジョブ出力装置
20 印刷装置
21 制御部
22 印刷処理部
23 操作パネル
30 印刷ジョブ管理部
31 画像処理部
32 ユーザ情報記憶部
33 終了履歴記憶部
34 付加情報入力受付部
35 印刷ジョブ判定部
36 付加情報提示部
37 継続情報受付部
N 通信回線
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