IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベー・ブラウン・アヴィトゥム・アー・ゲーの特許一覧

特許7185429血液処理装置の改良構造を有する体外血液処理のための装置
<>
  • 特許-血液処理装置の改良構造を有する体外血液処理のための装置 図1
  • 特許-血液処理装置の改良構造を有する体外血液処理のための装置 図2
  • 特許-血液処理装置の改良構造を有する体外血液処理のための装置 図3
  • 特許-血液処理装置の改良構造を有する体外血液処理のための装置 図4
  • 特許-血液処理装置の改良構造を有する体外血液処理のための装置 図5
  • 特許-血液処理装置の改良構造を有する体外血液処理のための装置 図6
  • 特許-血液処理装置の改良構造を有する体外血液処理のための装置 図7
  • 特許-血液処理装置の改良構造を有する体外血液処理のための装置 図8
  • 特許-血液処理装置の改良構造を有する体外血液処理のための装置 図9
  • 特許-血液処理装置の改良構造を有する体外血液処理のための装置 図10
  • 特許-血液処理装置の改良構造を有する体外血液処理のための装置 図11
  • 特許-血液処理装置の改良構造を有する体外血液処理のための装置 図12
  • 特許-血液処理装置の改良構造を有する体外血液処理のための装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】血液処理装置の改良構造を有する体外血液処理のための装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
A61M1/16 155
A61M1/16 165
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018122940
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2019048032
(43)【公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】10 2017 114 528.1
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517289480
【氏名又は名称】ベー・ブラウン・アヴィトゥム・アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】B. BRAUN AVITUM AG
【住所又は居所原語表記】SCHWARZENBERGER WEG 73‐79, 34212 MELSUNGEN, BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】カイ‐ウーヴェ・リッター
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-332221(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0074565(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0022894(US,A1)
【文献】特開2010-193997(JP,A)
【文献】特開2007-007292(JP,A)
【文献】特開2016-087436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外血液処理のための装置であって、
処理液のための内部流体システムを有し、
前記内部流体システムは、実質的に筒状のフィルタエレメントを当該内部流体システムに接続して処理液を前記フィルタエレメントに流すための少なくとも二つの液体コネクタを有し、そして
前記装置は、更に、前記フィルタエレメントが前記内部流体システムの前記液体コネクタと体外血液ラインとに、意図される状態で接続することを可能にするべく前記フィルタエレメントを交換可能に保持するための土台を有するものにおいて、
前記フィルタエレメントを保持するための前記土台は、前記フィルタエレメントの円筒長手軸心が実質的に水平にアラインメントされるように構成されており
前記フィルタエレメントが、充填中に前記フィルタエレメントのガス抜きを助けるために前記液体コネクタの少なくとも1つが上方を向く第1の向きと、前記フィルタエレメントからの液体の排出を容易にするために前記液体コネクタの1つが下方を向く第2の向きとの間で取り付け中に前記円筒長手軸心を中心に回転可能であり、かつ、液体がほぼ完全に排出されるか吸い込まれることが可能であることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記土台は、前記フィルタエレメントのための少なくとも1つの実質的に水平にアラインメントされた接触面を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記土台は、水平軸心回りに装置上で、水平に対して約±5度の角度範囲αで揺動可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記土台は、水平軸心回りに装置上で、水平に対して約±2度の角度範囲αで揺動可能であることを特徴とする請求項3に記載の装置
【請求項5】
前記土台は、水平軸心回りに装置上で、水平に対して約±1度の角度範囲αで揺動可能であることを特徴とする請求項3に記載の装置
【請求項6】
前記土台は、水平軸心回りに装置上で、水平に対して約±0.5度の角度範囲αで揺動可能であることを特徴とする請求項3に記載の装置
【請求項7】
前記土台は、水平に対して前記角度範囲αで揺動駆動するための駆動装置に接続されていることを特徴とする請求項3~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記土台は、バネ要素によって、揺動方向に、又は当該揺動方向に対向する方向にプレストレスが与えられていることを特徴とする請求項3~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記土台は、フィルタエレメントを保持するための少なくとも1つのクランプ装置を有することを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
更に、実質的に円筒状の交換可能フィルタエレメントを有する請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記フィルタエレメントは、その二つの端部のそれぞれに、血液コネクタと処理液コネクタを有することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
更に、前記内部流体システムの前記液体コネクタを、前記フィルタエレメントの血液コネクタと処理液コネクタとに接続するフレキシブルライン部を有する請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記内部流体システムの前記液体コネクタは、前記フレキシブルライン部に接続されるか、もしくは接続可能であり、前記内部流体システムの前記液体コネクタが、そのような方法で前記フィルタエレメントに対して配置され、および各ケースにおける前記フィルタエレメントに接続される前記フレキシブルライン部の長さは、前記内部流体システムの洗浄中においては、前記内部流体システムに対する前記フィルタエレメントの意図する接続および/又は前記液体コネクタ同士の意図する接続が確保されるが、前記内部流体システムに対する前記フィルタエレメントの不適切な接続、及び/又は、前記内部流体システムの洗浄中における、前記液体コネクタ同士の不適切な接続が、前記フレキシブルライン部の不十分な長さによって不可能となるように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記フィルタエレメントが透析器である請求項1~13のいずれか一項に記載の装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
明細書
本発明は、体外血液処理のための装置、特に、透析装置に関し、処理液のための内部流体システムを有し、当該内部流体システムは、実質的に筒状のフィルタエレメントを前記内部流体システムに接続して処理液を前記フィルタエレメントに流すための少なくとも二つの液体コネクタを有する。前記装置は、更に、前記フィルタエレメントが前記内部流体システムの前記液体コネクタと体外血液ラインとに、意図される状態で接続することを可能にするべく前記フィルタエレメントを交換可能に保持するための土台を有する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、体外血液処理のための装置が一般的に知られている。これらの装置又は機械は、恒久的使用のために設計され、通常、単一使用品(一回使用品、使い捨て品)として設計され意図される交換可能な血液処理ユニットを備えている。このような血液処理ユニットの具体例がフィルタエレメント、特に透析器、である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、前記血液処理ユニットは実質的に円筒状の形状を有する。図1~6に図示されているもののような、体外血液処理のための公知の装置において、血液処理のための血液処理ユニットは、実質的に垂直な操作位置で装置上に配設されるか、配設されていて、その内部流体システムと体外血液ラインとに流体接続されるか、流体接続可能に構成されている。実質的に垂直な操作位置とは、円筒状血液処理ユニットの、その円筒の長手軸心が実質的に垂直にアラインメントされるような位置のことをいう。この血液処理ユニットを公知の装置上に保持するために、それは土台を備え、これは、例えば、それらの間に、血液処理ユニットを、その円筒長手軸心を実質的に垂直な位置にした状態で挿入してクランプによって保持可能とする二つのクランプジョー又はアーム、として構成される。前記土台と前記血液処理ユニットとは、血液処理ユニットの挿入と取り外しとが単純で簡単なように互いマッチングされている。しかしながら、血液処理ユニットが土台内でスリップすることがあり装置に対する所望の意図した位置が必ずしも確保されないという欠点が特にある。そのような位置の変化にも拘らず安全でトラブルの無い処置を確保するために、前記装置の血液処理ユニットと内部流体システムは、長いフレキシブルなホースセグメントによって互いに流体接続される。これにより、ホースセグメントが内部流体システムおよび/又は血液処理ユニットから不意に外れることは防止されるが、長いホースセグメントは、その内部に保持される処理液と、体外血液ライン内に保持される血液との両方において、不要な温度損失をもたらす。更に、長いホースセグメントは、オペレータにとって理解が困難な装置内の状況を導き、その結果、接続ミスや少なくともより困難な使用状況が発生しうる。
【0004】
上述した従来技術に基づき、本発明は、上述した欠点を解消する、特に、体外血液処理のための装置を、一方においては血液処理ユニットの安全かつ簡単な交換を可能としながら、他方で、血液処理ユニットを、装置上で確実に位置保持可能とし、血液処理ユニットに接続されたホースライン中における温度変化、特に温度損失を、回避、又は、少なくとも可能な限り最小限にとどめることが可能となるように構成するという課題に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この課題は、以下の要素を有する、体外血液処理のための装置、特に、透析装置によって達成される。即ち、この装置は、処理液、特に透析液のための内部流体システムを有し、当該内部流体システムは、実質的に筒状のフィルタエレメント、具体的には透析器、を前記内部流体システムに接続して処理液を前記フィルタエレメントに流すための少なくとも二つの液体コネクタを有する。前記装置は、更に、前記フィルタエレメントが前記内部流体システムの前記液体コネクタと体外血液ラインとに、意図される状態で接続することを可能にするべく前記フィルタエレメントを交換可能に保持するための土台を有し、ここで、前記フィルタエレメントを保持するための前記土台は、前記円筒長手軸心が実質的に水平にアラインメントされるように構成されている。前記装置は、更に、前記体外血液ラインの静脈コネクタと動脈コネクタとの間で前記フィルタエレメントを通して血液を輸送するための血液ポンプを備えることができる。
【0006】
尚、ここで、前記「内部流体システム」とは、流体搬送ライン部分中の、好ましくはハウジングに固定され、かつ、前記透析器に直接接続されるホースライン(一方通行構成)が接続されるそれらコネクタの上流側又下流側に配置される部分のことを指すことに注意する必要があります。
【0007】
前記装置上に配設可能な又は配設されるフィルタエレメントの具体例は従来式の透析器、例えば、チューブバンドル透析器、である。前記フィルタエレメントは、好ましくは、実質的に円筒形状を有する。それは、円筒状中央部分の端部の両側に配設されたエンドキャップと、前記中央部分の両軸方向端部領域に位置する処理液/透析液と血液用のコネクタ、とを備えることができる。本発明による前記装置は、前記フィルタエレメントを受け入れるように設定又は、そのために適したように構成することができ、或いは、それを備えるものとすることも可能である。或いは、それは、前記実質的に円筒状の交換可能なフィルタエレメントを、特に、透析器の形で、備えることも可能である。前記フィルタエレメントは、その両端部(円筒の端面に隣接)のそれぞれに、血液コネクタと処理液コネクタ、具体的には、血液入口、血液出口、処理液入口、処理液出口、を備えることができる。前記血液入口と血液出口は前記フィルタエレメントの両側に位置する。前記処理液位置口と処理液出口も、前記フィルタエレメントの両側に位置する。前記フィルタエレメントは、並流モード、および/又は、好ましくは向流モード、で作動可能である。本発明の意味における実質的に円筒状のフィルタエレメントは、更に、円形から逸脱する断面形状、例えば、楕円断面形状、又は正方形或いは多角形断面形状、更には、矩形断面形状、を有するフィルタエレメントも特に含む。
【0008】
前記土台は、更に、ブラケットをも意味しうる。前記装置は、そのそれぞれが一つのフィルタエレメント用、或いは複数のフィルタエレメント用である、単数又は複数の土台を備えうる。本発明によれば、前記土台は、フィルタエレメントが、実質的に水平に受け入れ、保持/アラインメントされるように、即ち、それが、外見上この土台上、又は、当該土台内に、載置され、少なくとも下方から支持されるように、構成される。このようにすることで、前記フィルタエレメントは、前記土台内において変位不能で、かつ、前記装置上に重力によって配置することが可能である。上述した従来技術と比較して、本発明によれば、装置上でのフィルタエレメントのより安定的な位置配置と取り付けが可能となる。従って、前記フィルタエレメントを前記内部流体システムに接続する前記ライン部分、例えば、ホース部分を、従来技術よりも短く、特に、可能な限り短くすることが可能となる。なぜなら、装置上でのフィルタエレメントの位置誤差或いは位置変化を補償する必要がなくなるからである。ライン部分の長さの減少によって、その内部を流れる液体(透析液、血液)の温度変動、特に、その冷却を最小化、或いは、回避することさえも可能となる。ライン部分が短いことのもう一つの利点は、オペレータが装置をより良く見ることが可能となって、例えば、ラインのループやクラッタ、を防止することが可能となることである。
【0009】
本発明の意味における実施的に水平な位置とは、更に、正確な水平位置から、小さな角度で逸脱した位置、或いは傾斜した位置、も含む。ここで小角度とは、具体的には、フィルタエレメント内の処理液および/又は血液が好ましい方向で流れ良好に除去されることを可能にしつつ、かつ、フィルタエレメントの位置的に安定的な受け入れを確保するのに十分な角度のことをいう。前記フィルタエレメントの傾斜は、常に、10度未満である。
【0010】
本発明の好適な実施例は従属請求項にクレームされており、それらについては以下、より詳細に説明する。
【0011】
好ましくは、前記内部流体システムは、処理液コネクタ、特に、透析液コネクタ、として構成される液体コネクタと、洗浄コネクタ、とを有する。特に、前記内部流体システムは、処理/透析液の供給用のコネクタと、処理/透析液の排出用のコネクタと、少なくとも二つの洗浄コネクタ、を有することができる。前記コネクタのすくなくとも一つ又は全部は、クイックリリースカップリング、例えば、ハンセンコネクタ又はルアロックコネクタ、の形態で設けることができる。特に、前記コネクタは、前記装置のハウジング、特に、ハウジングフロントにしっかりと一体化することができる。特に有利な実施例に依れば、前記コネクタのそれぞれは、自動閉じ機構を備えるカップリングを有することができ、これにより、前記内部流体システムは、漏れ無くシールされて、前記フィルタエレメントが接続されない時に汚れに対して保護することが可能で、処理液の不要な漏れを回避することが可能である。
【0012】
本発明の一実施例は、前記土台が前記フィルタエレメントのための少なくとも1つの実質的に水平にアラインメントされた接触面を有することを特徴とする。当該接触面は、特に、支持表面および/又はクランプ面、として構成することができる。
【0013】
前記土台は、フィルタエレメントを保持するための少なくとも1つのクランプ装置を備えるか、もしくは、クランプ装置の形態で構成することができる。特に、それは、それらの間に前記フィルタエレメントのための取り付け空間が形成される、二つの対向する、好ましくは、バネ弾性クランプアーム又はクランプジョー、を備えることができる。これらクランプアーム又はクランプジョーは、例えば、プラスチック、ステンレス鋼、から形成することができる。それらは、好ましくは、前記フィルタエレメントの外輪郭にマッチする内輪郭を有する。それらはまた、前記フィルタエレメントの周部の一部を取り囲み、それによって、フィルタエレメントが意図されたように確実に位置保持されることを保証する。
【0014】
或いは、前記土台は、実質的にフォーク形状にすることができる。特に、それは、二つの上向きで、対向するフォークアームを備えることができ、これらアーム間に、前記フィルタエレメントのための、好ましくは上向きに開口する受け入れ空間が形成される。前記フィルタエレメントは、そのようなフォーク形状の土台に対しては特に取り付けが容易であり、そうでありながらも、装置に対して常に規定の位置に設置される。
【0015】
本発明の意味において、前記土台は、好ましくは、長さおよび/又は断面幅/径の異なるフィルタエレメントをその中に収納し保持することが可能となるように構成される。本発明によれば、これは、具体的には、その開口に向けて連続的に拡大する幅を有する、片面における土台開口を提供すること、或いは、対応する形状のバネ弾性クランプアーム又はクランプジョー、を提供することによって達成される。
【0016】
好ましくは、前記土台は、その中で、前記フィルタエレメントが装置上の所定の位置で保持されながら、かつ、その長手軸心の周りでは回転することが可能となるように構成される。このように構成することで、前記フィルタエレメントは、前記土台内の様々な回転位置に配置することが可能となる。例えば、それを、その液体コネクタのうちの少なくとも1つが、上に向いて充填中のフィルタエレメントの通気を補助するように配置することができる。更に、前記フィルタエレメントは、その液体コネクタのうちの少なくとも1つが、下向きとなるように排出用に回転、位置決めすることができ、それにより、フィルタエレメントからの液体の排出が容易となり、および/又は、液体が大きく排出、又は完全に吸引されるようにすることが可能となる。その長手軸心周りでの回転に関する位置の如何に関わらず、前記フィルタエレメントは、本発明によれば、それに対して下から作用する前記土台によって、常に、装置に対する固定位置に保持される。
【0017】
一実施例によれば、前記土台は、前記装置上で揺動、特に、水平軸心周りで、揺動可能に構成される。この軸心は、好ましくは、前記フィルタエレメントの前記長手軸心に対して実質的に直交してアラインメントされる。前記土台が揺動可能な角度範囲は、例えば、約±5度、好ましくは、約±2度、より好ましくは、約±1度、そして最も好ましくは、約±0.5度、とすることができる。前記土台は、水平から一方向のみ、又は両方向に揺動可能とすることができ、ここで水平は0度の揺動角度として定義される。前記フィルタエレメントの前記実質的に水平に配置される長手軸心の前記傾斜角度は、揺動土台等の手段によって調節することができ、それによって、前記フィルタエレメントの流れ特性を変化させる。例えば、それは、充填および/又は排出用に傾斜させたり、処理中に水平に配置することができる。
【0018】
前記土台は、更に、前記透析器を垂直位置にすることも可能にする。これは、水平位置での液体の充填或いは水平位置での治療をサポートしない透析器が使用される場合に必要となるかもしれない。
【0019】
前記土台は、更に、それを水平周りで揺動するべく駆動する駆動装置に接続することも可能である。このようにすることで、前記フィルタエレメントの傾斜ホジショニングを自動化、および機械制御することができる。更に、前記土台は、前記水平周りでの回転方向に、或いは、それに対向する方向に、前もって負荷を加えること(プリロード)も可能である。これは、特に、バネ要素、等によって達成することができる。例えば、前記プリロードは、前記フィルタエレメントが、傾斜位置から水平に戻るようなやり方で作動することができ、その結果、当該フィルタエレメントがもはや傾斜位置へと付勢されなくなった途端に、この非傾斜位置が好ましくは想定される。
【0020】
本発明の一実施例において、前記装置は、前記内部流体システムの前記液体コネクタを前記血液コネクタと前記フィルタエレメントの前記処理液コネクタとに接続するためのフレキシブル導管部分を備えることができる。前記内部流体システムの前記液体コネクタは、前記フレキシブルライン部に接続、又は接続可能とすることができる。このようなフレキシブルライン部又はセグメントは、体外血液処理の分野においてそれ自身公知のホースラインの形態をとることができる。
【0021】
前記内部流体システムの前記液体コネクタを前記フィルタエレメントに対して配置する場合、前記フィルタエレメントに接続される前記フレキシブルライン部の長さは、フィルタエレメントの意図される接続は確保されるが、フィルタエレメントの不適切な接続は、フレキシブルライン部の長さが不十分であるために、不可能となるように構成すると特に有利である。或いは、又は、それに加えて、前記内部流体システムの前記液体コネクタを、フィルタエレメントに対してそのように配置する場合、それぞれの場合における、前記フィルタエレメントに接続される前記フレキシブルライン部の長さは、前記内部流体システムの洗浄中、これら液体コネクタの互いの意図される接続が確保されるものでありながら、内部流体システムの洗浄中の、これら液体コネクタの互いの不適切な接続は、前記フレキシブルライン部の長さが不十分であるために、不可能となるように構成すると特に有利である。これによって、有利な方法で、前記装置の運転安全性が増大し、装置上のフィルタエレメントの接続ミスによって起こり得る処理ミスが回避される。例えば、前記内部流体システムの前記処理液コネクタは、好ましくは、前記装置の前記ハウジングフロントに配置することができる。更に、洗浄コネクタは、前記装置の前記ハウジングフロントに配置することができる。好ましくは、前記内部流体システムの前記処理液コネクタは、前記フィルタエレメントの対応のコネクタの近傍に配置される。前記洗浄コネクタは、好ましくは、前記内部流体システムの前記処理液コネクタの近傍で、かつ、相対的に離間して配置される。洗浄プロセス中における、前記洗浄コネクタとこれらに流体接続された前記処理液コネクタとの間の距離が、二つの洗浄コネクタ間の距離よりも短いと、特に有利である。好ましくは、前記洗浄コネクタは、これらを互いに誤って接続することが不可能なように、即ち、洗浄コネクタを処理液コネクタに誤って接続することができないように互いから大きく離間している。又、このためには、前記フィルタエレメントに対する前記内部流体システムと、前記内部流体システムの前記処理液コネクタに対する前記内部流体システムの前記洗浄コネクタとの、前記流体接続用の前記ラインセグメントの長さが、誤った接続を確立することが不可能となるように、即ち、これらのラインセグメントが十分に短いものとなるように、構成することが不可欠である。例えば、前記ラインセグメントは、約10cmと約30cmの間の任意の長さを有すものとすることができる。
【0022】
以上要約すると、本発明によって特に以下の利点と改良を達成することが可能であるということができる。
【0023】
―取扱いの大幅な改善。透析器はフロントにカチッと配置され、それ以後スリップすることがない。
―透析器の片手セットアップが可能である。
―血液ラインが非常に短く、従って、ホース中の血液の量が減る。
―生体適合性の改善。
―血液ホースのコスト削減。
―透析器土台の非常に単純で費用効果の高い設計が可能である。
―DFラインでの温度/エネルギーの損失が少ない
―透析器の温度精度の改善
―消毒時間の短縮
―室内加熱の減少
―エネルギ節約
【0024】
以下、添付の図面に図示される例示的非限定的具体例を使用して、本発明および従来技術の例についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、体外血液処理のための公知の装置の図である。
図2図2は、体外血液処理のための別の公知の装置の図である。
図3図3は、体外血液処理のための別の公知の装置の図である。
図4図4は、体外血液処理のための別の公知の装置の図である。
図5図5は、体外血液処理のための別の公知の装置の図である。
図6図6は、体外血液処理のための別の公知の装置の図である。
図7図7は、本発明による装置のハウジングフロントの概略図である。
図8図8は、治療又はプライミング処理中に取り込まれるフィルタエレメントを有する本発明による装置の部分概略図である。
図9図9は、排出中に受け取られるフィルタエレメントを有する本発明による装置の部分概略図である。
図10図10は、消毒中の、本発明による装置の部分概略図である。
図11図11は、本発明の文脈の前記装置上の液体コネクタの第1配置を含む、受け入れられたフィルタエレメントを備える本発明による装置の部分概略図である。
図12図12は、本発明の文脈の前記装置上の液体コネクタの第2配置を含む、受け入れられたフィルタエレメントを備える本発明による装置の部分概略図である。
図13図13は、本発明の文脈の前記装置上の液体コネクタの第3配置を含む、受け入れられたフィルタエレメントを備える本発明による装置の部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1~6は、それぞれ、これらの図には図示されていない内部流体システム上に流体接続され、かつ交換可能に配設された、透析器2として構成される交換可能に配置されたフィルタエレメント2を備える、体外血液処理用の装置1の具体例としての従来技術の透析機械1を図示している。図示されているすべての公知装置1において、前記透析器2は、それぞれのケースにおいて、土台3によって前記装置1のハウジング4上に、図面奥行き方向に延出するその長手軸心5が実質的に垂直にアラインメントされるように、実質的に垂直に配置されている。
【0027】
図7は、本発明による装置1のハウジング4のフロント6上でのフィルタエレメント/透析器2の配置を示す概略立体図である。この図は、より良好な配置のための、水平方向Xと垂直方向Zを図示している。前記ハウジングフロント6は、ユーザ/オペレータと機械との間のインターフェースとしてのような、一種の操作面又は操作空間を形成する。前記透析器2の他に、血液ポンプ7、ヘパリンポンプ8、濃縮物レセプタクル9、一つ又は二つの空気センサ10、ヘマトクリットセンサ11および静脈ホース遮断クランプ(SAKV)、そして場合により、動脈ホース遮断クランプ(SAKA)12が前記フロントにおいてユーザがアクセス可能である。図7は、又、動脈コネクタ14と静脈コネクタ15とを含む体外血液ライン13も図示している。図7に示されているように、前記体外血液ライン13は、ここでは、蠕動ポンプ(ペリスタルティックポンプ)7として構成されている前記血液ポンプ7に挿入され、それによって、この血液ポンプ7は、前記動脈コネクタ14から静脈コネクタ15へと血液を輸送する。前記ヘパリンポンプ8は、ヘパリンライン16を介して前記体外血液ライン13に流体接続されている。更に、気泡トラップ17、二つの動脈圧力センサ18、そして静脈圧力センサ19が前記血液ライン13に組み込まれている。
【0028】
前記装置1の内部流体システム(図7には図示せず)は、前記ハウジングフロント6の後ろに配置され隠れている。処理/透析液の供給のための処理液コネクタ20、処理/透析液の排出のための処理液コネクタ21、そして二つの洗浄コネクタ22,23が前記ハウジングフロント6に組み込まれ設置されている。前記フィルタエレメント2のための土台24も、その近傍に配置されている。当該土台は、クランプ装置として構成され、第1クランプアーム25と第2クランプアーム26とを有し、これらアームは、その間に前記フィルタエレメント2のための取り付け空間を形成する。前記クランプアーム25,26は、それぞれ、プラスチック製であって、前記フィルタエレメント2に面する、保持、接触、又は支持する面38と、前記フィルタエレメント2の長手軸心5を横断する方向にバネ弾性特性とを備えた、鉤爪状端部を有する。前記接触面38は、前記円筒の長手軸心5に対して実質的に平行にアラインメントされている。これにより、前記フィルタエレメント2は、それ自身公知のように、弾性変形により、両クランプアーム25,26の間の受け入れ空間に挿入されることができ、それによって、それらの弾性変形によって前記鉤爪状端部に保持される。
【0029】
図7は、前記土台24に配置され保持された前記フィルタエレメント2の前記長手軸心5が実質的に水平にアラインメントされていることをはっきりと図示している。前記支持面38上、又はその支持面38における前記クランプアーム25,26の鉤爪状端部での前記土台により、それはその円筒長手軸心5周りで回転することができる。更に、前記土台24は前記長手軸心5に対して直交するとともに、図7においてその紙面に対して直交する揺動軸心の周りの傾斜角度範囲αで回転可能である。前記傾斜角度αは、水平周りで約±5度、好ましくは、水平周りで約±2度、好ましくは、水平周りで約±1度、最も好ましくは、水平周りで約±0.5度、の角度範囲内であり、ここで、前記長手軸心5の傾斜角度0度が水平に対して正確にアラインメントされているものとする。
【0030】
前記フィルタエレメント2は、実質的に円筒形状を有し、円筒状中央部31を有し、その両端部にはエンドキャップ32,33が配置され、これらが血液入口34と血液出口35とを形成している。透析液入口28が前記中央部31の左側軸心方向端部に形成され、透析液出口30が前記中央部31の右側軸心方向端部に形成されている。
【0031】
図8図13は、透析装置1を、フィルタエレメントとしての透析器2と処理液としての透析液と共に使用する例に関して説明されるが、他の処理用途も本発明の分野に含まれる。
【0032】
図8は、治療またはプライミング処理中の本発明によって組み込まれたフィルタエレメントの略図を示している。透析液供給用の透析液コネクタ20と、透析液排出用の透析液コネクタ21と、前記二つの洗浄コネクタ22,23とが、それぞれ、前記フィルタエレメント2の近傍かつ上方に配置されている。図示されているように、前記二つの洗浄コネクタ22、23は、前記内部材流体システムの一部を構成するライン37によって内部で流体接続されている。前記透析液供給用透析液コネクタ20は、第1ライン部/接続ホース/ホースセグメント27によってフィルタエレメント2の前記透析液入口28に流体接続されている。前記透析液排出用透析液コネクタ21は、第2ライン部/接続ホース/ホースセグメント29によってフィルタエレメント2の前記透析液出口30に流体接続されている。ホースセグメント27、29は、クイックリリースカップリング36によって、それぞれの液体コネクタ20、21に取り付けられている。前記透析液供給用透析液コネクタ20、前記透析液排出用透析液コネクタ21、および前記二つの洗浄コネクタ22、23の、それぞれの長さと配置とは、前記ホースセグメント27が、前記透析液コネクタ20を前記洗浄コネクタ22に接続することのみが可能で、この透析液コネクタ20を前記洗浄コネクタ23には接続することができないように構成されている。同様に、前記ホースセグメント29は、前記透析液コネクタ21を前記洗浄コネクタ23に接続することのみが可能で、この透析液コネクタ21を前記洗浄コネクタ22には接続することができない。図8において、透析液は、フィルタエレメント2を、左側から右側に流れ、血液は右側から左側に流れる、即ち、向流作動である。
【0033】
図9は、前記フィルタエレメントを空にする時の略図である。前記フィルタエレメント2は、図8に記載したように、装置の内部流体システムに流体接続されている。但し、図8の図示と比較して、それは、その長手軸心5周りで約180度回転しており、それにより、透析液入口28と透析液出口30とが下向きになって、フィルタエレメント2からの透析液の流出、従って、その排出、を容易にしている。
【0034】
図10は、前記内部流体システムの消毒中の本発明による装置の略図である。前記フィルタエレメント2は内部流体システムから接続解除され、前記土台24から取り外されている。前記ホースセグメント27は洗浄コネクタ22に取り付けられ、それによって後者が透析液コネクタ20に接続されている。前記ホースセグメント29が、洗浄コネクタ23に取り付けられ、それによって後者が透析液コネクタ21に接続されている。
【0035】
図11,12および13は、それぞれ、フィルタエレメント2に対する、装置上の液体コネクタの配置を示す模式図である。図11の実施例において、前記透析液コネクタ20および21と前記洗浄コネクタ22,23との両方が、図8にも図示されているように、前記土台24の上方に配置されている。図12は、前記透析液コネクタ20および21と洗浄コネクタ22,23との両方が土台24の下方に配置される別の構成を図示している。これら両方の変形例において、前記洗浄コネクタ22,23は、透析液コネクタ20と21との間に位置している。図13は、別の変形例を示しており、ここでは、前記透析液コネクタ20、21および洗浄コネクタ22,23との両方が土台24の上方に配置されているが、図11の構成と異なり、前記洗浄コネクタ22,23が、外側に配置され、透析コネクタ20,21が洗浄コネクタ22,23の間の内部に配置されている。すべての実施例は、図8を参照して上述したように、ホースセグメント27,29の誤った接続が不可能である点において共通している。
【符号の説明】
【0036】
1:体外血液処理のための装置、透析機械
2:フィルタエレメント、透析器
3:土台、ブラケット
4:ハウジング
5:長手軸心
6:ハウジングフロント、フロント
7:血液ポンプ
8:ヘパリンポンプ
9:濃縮物レセプタクル
10: 空気センサ
11: ヘマトクリットセンサ
12: 静脈ホース遮断クランプ
12a:動脈ホース遮断クランプ(その後の番号)
13: 体外血液ライン
14: 動脈コネクタ
15: 静脈コネクタ
16: ヘパリン導管
17: 気泡トラップ
18: 動脈圧力センサ
19:静脈圧力センサ
20:処理液コネクタ、供給
21: 処理液コネクタ、排出
22: 洗浄コネクタ
23: 洗浄コネクタ
24: 土台
25: 第1クランプアーム
26: 第2クランプアーム
27: ラインセグメント、ホースセグメント、接続ホース
28: 透析液入口
29: ラインセグメント、ホースセグメント、接続ホース
30: 透析液出口
31: 中央部
32: エンドキャップ
33: エンドキャップ
34: 血液入口
35: 血液出口
36: クイックリリースカップリング
37: 接続ライン
38: 接触面、支持面、保持面
α: 土台の傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13