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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/92 20060101AFI20221130BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20221130BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20221130BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20221130BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20221130BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20221130BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/06
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/46
A61Q5/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018141281
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020015701
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】戸松 彩理
(72)【発明者】
【氏名】土居 亮介
(72)【発明者】
【氏名】倉島 巧
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-270066(JP,A)
【文献】特許第5224740(JP,B2)
【文献】特許第5761838(JP,B2)
【文献】特開2000-143454(JP,A)
【文献】特開2014-193825(JP,A)
【文献】特開2012-246446(JP,A)
【文献】特開2008-303178(JP,A)
【文献】特開2013-040107(JP,A)
【文献】特開2002-154937(JP,A)
【文献】特開2007-015935(JP,A)
【文献】米国特許第08679467(US,B1)
【文献】国際公開第2010/116950(WO,A1)
【文献】特表2013-525561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)15~24質量%の揮発性油分
(B)25℃、1気圧で液状の不揮発性油分;及び、
(C)25℃で固体または半固体の油性成分(但し、高級アルコールを除く;以下、固形油分とする)を含み、
高級アルコール、水及び界面活性剤を更に含み、
前記(A)揮発性油分と前記(B)不揮発性油分の質量比(A/B)が1.0~3.0であり、
前記(A)揮発性油分と前記(B)不揮発性油分の合計配合量(A+B)が24.0質量%以上40.0質量%未満であり、
(B)不揮発性油分と(C)固形油分との質量比(B/C)が0.5~1.5であり、
(B)不揮発性油分と(C)固形油分の合計配合量(B+C)が20.0質量%以上30.0質量%以下であり、
(A)揮発性油分と(B)不揮発性油分及び(C)固形油分の合計配合量(A+B+C)が35.0質量%以上50.0質量%以下であり、
前記(A)揮発性油分が揮発性シリコーン油を含まないことを特徴とする乳化型毛髪化粧料。
【請求項2】
(C)固形油分がキャンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナウバロウの1種または2種以上を含む、請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
(C)固形油分がキャンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックスを含み、パラフィンワックス、又は、カルナウバロウをさらに含む、請求項2に記載の毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪化粧料に関する。さらに詳しくは、ヘアセット性と使用性に優れたワックス状の毛髪化粧料、特にヘアスタイリング剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪仕上げ用化粧料の中で、特に整髪性を重視したヘアスタイリング剤(整髪剤)として、固形又は半固形あるいは粘性液状の油脂類を用いるタイプ、高分子樹脂を用いるタイプ、及び粘性のある保湿剤を用いるタイプ等が従来から知られている。ヘアワックスと呼ばれるヘアスタイリング剤は、固形油分による整髪力、つやを利用するものであり、ナチュラルなセット力及び再整髪が可能という特徴を持つ。
【0003】
例えば、特許文献1には、固形油分である(A)カルナウバロウ及び(B)キャンデリラロウを主成分とし、(C)脂肪酸エステル型を含む非イオン性界面活性剤、(D)特定の脂肪酸及び/または脂肪酸エステル、及び(E)揮発性油剤を配合したヘアワックスが開示され、カルナウバロウの整髪性を損なうことなく乳化安定性を向上させたとされている。
特許文献2には、(A)ポリアクリル酸Na及び/又は高重合度ポリエチレングリコール、(B)植物由来及び/又は植物油脂の半固形油分、(C)キャンデリラロウ、(D)不揮発性油分(D1)と揮発性油分(D2)を含む液状油分を所定量含有し、(C)と(D)の質量比を特定範囲とした毛髪化粧料が開示され、髪に塗布する際ののびが良く、べたつきが少なく、油っぽくなく自然なツヤを与え、整髪性にも優れるとされている。
【0004】
特許文献3には、(a)特定の長鎖アシルスルホン酸塩型陰イオン性界面活性剤、(b)高級脂肪族アルコール、(c)(c-1)融点55℃以上のワックス類及び/又は(c-2)特定の整髪樹脂、並びに(c-3)無水ケイ酸、および(d)水、(e)液状油分を含む水中油型乳化型整髪料が開示され、のび、べたつきのなさ、整髪力に優れ、きしみ感がないとされている。
特許文献4には、(A)植物由来及び/又は植物油脂の半固形油分、(B)キャンデリラロウ、(C)常温で液状の油分、(D)特定の両性界面活性剤および/又は半極性界面活性剤(D1)と、高級脂肪酸(D2)との複合体を含む乳化型整髪料が開示され、塗布時ののびが良くべたつきが少なく、油っぽさがなく、整髪性及びヘアスタイルキープ性に優れるとされている。
【0005】
特許文献5には、(A)フィッシャー・トロプシュワックス、(B)非イオン性界面活性剤、(C)水、(D)高級脂肪酸、(E)揮発性油剤、および(F)粉体を配合した整髪用化粧料が開示され、経時的な凝集・析出が生じず安定であり、毛髪へのなじみや延展性が良好であると記載されている。
【0006】
このように、ヘアワックスの使用性等を改良するための様々な試みがされているが、整髪力(セット力)を向上させるために固形油分を増量すると、塗布時ののびが悪くなり乾きが早いために、一般的な消費者にとって十分なヘアスタイリングが困難になり、また、液状油分を増量してのびを改善すると、十分なヘアスタイリングはできるが、乾きが遅いためにヘアスタイルが決まらず、油分によるべたつきを感じるといった問題があった。
【0007】
【文献】特許第5224740号公報
【文献】特許第5080285号公報
【文献】特許第5761838号公報
【文献】特許第5215002号公報
【文献】特許第5574624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、塗布時の伸びに優れ、べたつきを生じないのみならず、使用者が好みのヘアスタイリングを施すのに十分な余裕を与えるような塗布後の乾き性を有し、なおかつ、自然な風合いを保ちつつ優れたセット力を発揮する毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意研究の結果、(A)揮発性油分、(B)不揮発性油分、(C)固形油分(但し高級アルコールを除く)を含み、(A)揮発性油分と(B)不揮発性油分の質量比(A/B)と、(A)揮発性油分と(B)不揮発性油分の合計配合量(A+B)を特定の範囲とすることにより、塗布時の伸び、セット力が良好であり、髪のべたつきがなく、塗布後の適度な乾きが得られる毛髪化粧料を見出した。
【0010】
すなわち本発明は、
(A)揮発性油分
(B)不揮発性油分
(C)固形油分(但し、高級アルコールを除く)を含み、
前記(A)揮発性油分と前記(B)不揮発性油分の質量比(A/B)が1.0~3.0であり、前記(A)揮発性油分と前記(B)不揮発性油分の合計配合量(A+B)が24.0質量%以上40.0質量%未満であることを特徴とする毛髪化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の毛髪化粧料は、髪への塗布時の伸びが良好でべたつかず、適度な時間をもって乾くので十分なヘアスタイリングが可能となる。さらに、セット力に優れるとともにべたつかず、自然な風合いのヘアスタイルが保持される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の発明を実施するための形態について説明する。
本発明の毛髪化粧料は、
(A)揮発性油分
(B)不揮発性油分
(C)固形油分(但し、高級アルコールを除く)を含み、
前記(A)揮発性油分と前記(B)不揮発性油分の質量比(A/B)が1.0~3.0であり、前記(A)揮発性油分と前記(B)不揮発性油分の合計配合量(A+B)が24.0質量%以上40.0質量%未満であり、前記(A)揮発性油分が揮発性シリコーン油を含まないことを特徴とする毛髪化粧料である。
【0013】
<(A)揮発性油分>
本発明の化粧料に配合される揮発性油分(A成分)としては、揮発性炭化水素油を用いるのが好ましい。
揮発性炭化水素油は、従来から化粧料等に使用されている常温(25℃)で揮発性を有する炭化水素油(例えば、常圧での沸点が250℃以下のもの)であれば特に限定されない。具体例としては、炭素数8~16のイソパラフィン、例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン、並びに水添ポリイソブテン等を挙げることができる。
【0014】
本発明の毛髪化粧料における揮発性油分(A成分)は、シクロペンタシロキサン等の揮発性シリコーン油を含有しないのが好ましい。本発明の毛髪化粧料は、揮発性油分の寄与によって適度な乾き性を発揮することにより十分なヘアスタイリングを行えることを特徴の一つとしているが、揮発性シリコーン油は揮発性炭化水素油より揮発時間が遅く、髪に塗布した後に乾くまでの時間が長くなりすぎるためである。また、ヘアドライアー等を使用して揮発性シリコーン油が蒸発すると、近傍にある石油ファンヒーターの不具合が誘発されるという報告もある。そのため、本発明の毛髪化粧料は、揮発性シリコーン油を含まない態様を包含し、その態様では上記したような問題が生じない。
【0015】
(A)揮発性油分の配合量は5.0~30.0質量%が好ましく、より好ましくは10.0~27.0質量%であり、さらに好ましくは15.0~24.0質量%である。
【0016】
<(B)不揮発性油分>
本発明で用いられる不揮発性油分(B成分)は、常温(25℃)・常圧(1気圧)で揮発性を示さない油分(例えば、常圧での沸点が約250℃以上の油分)であって、常温・常圧で流動性を示す液状油分を意味する。
【0017】
不揮発性液状油分には、例えば、炭化水素油、動植物油等の液状油脂、エステル油、高分子量のポリオキシアルキレングリコールなどが含まれる。 具体例としては、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、キョウニン油、シナモン油、ホホバ油、ブドウ油、アルモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、米胚芽油、米ヌカ油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、月見草油、卵黄油、肝油等の動植物油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル等の液状油脂;エチルヘキサン酸セチル等のオクタン酸エステル、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスチル等のイソオクタン酸エステル、ラウリン酸ヘキシル等のラウリン酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のミリスチン酸エステル、パルミチン酸オクチル等のパルミチン酸エステル、ステアリン酸イソセチル等のステアリン酸エステル、イソステアリン酸イソプロピル等のイソステアリン酸エステル、イソパルミチン酸オクチル等のイソパルミチン酸エステル、オレイン酸イソデシル等のオレイン酸エステル、アジピン酸ジイソプロピル等のアジピン酸ジエステル、セバシン酸ジエチル等のセバシン酸ジエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油;ミネラルオイル、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;ポリオキシブチレンポリオキシプロピレングリコール等が挙げられる。不揮発性シリコーン油としては、メチルポリシロキサン、高分子量のジメチルポリシロキサン(例えば、6cS)等が挙げられる。なかでもミネラルオイル、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスチル、エチルヘキサン酸セチルが好適に用いられる。これらの不揮発性油分は1種単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いるのが乳化安定性(相溶性)の点で好ましい。
【0018】
(B)不揮発性油分の配合量は5.0~30.0質量%であることが好ましく、より好ましくは6.0~25.0質量%であり、さらに好ましくは7.0~20.0質量%である。
【0019】
本発明においては、(A)揮発性油分と(B)不揮発性油分の質量比(A/B)を1.0~3.0の範囲内とすることによって所望の特性を発揮する。この質量比(A/B)は、より好ましくは1.0~2.0、特に好ましくは、1.0~1.5である。A/Bが1.0未満では、乾きが遅くなり、塗布時の伸びが悪く、若干のべたつきを生じる、A/Bが3.0を超えると、乾きが早くなりすぎる傾向がある。
【0020】
また、本発明では、(A)揮発性油分と(B)不揮発性油分の合計配合量(A+B)が24.0質量%以上40.0質量%未満であることを要する。この合計配合量は、より好ましくは25.0質量%以上38.0質量%未満であり、特に好ましくは26.0質量%以上36.0質量%未満である。(A)揮発性油分と(B)不揮発性油分の合計配合量(A+B)が24.0質量%未満では伸びが悪く、乾きも不十分でべたつきを生じる。40.0質量%以上になると、乾きが悪くなる傾向がある。
【0021】
<(C)固形油分>
本発明において用いられる(C)固形油分は、常温(25℃)で固体または半固体の油性成分であれば特に限定されず、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、ビーズワックス、バリコワックス、ポリエチレンワックス、シリコンワックス、カルナウバロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、ホホバロウ、ラノリン、セラックロウ、鯨ロウ、モクロウ、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、カカオ脂、硬化ヒマシ油、硬化油、水添パーム油、パーム油、硬化ヤシ油、ポリエチレン末、ワセリン、各種の水添加動植物油脂、脂肪酸モノカルボン酸ラノリンアルコールエステル等が挙げられる。特に、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバロウ、キャンデリラロウが好適に用いられる。 上記の固形油分は、1種単独でまたは2種以上を組合せて本発明において用いることができる。
【0022】
なお、ステアリルアルコールやベヘニルアルコール等の常温で固体の高級アルコールは、一般的には固形油分に分類されることがあるが、本発明における(C)成分である固形油分には高級アルコールは含まれない。但し、本発明に係る毛髪化粧料が、必須成分である(C)固形油分としてではなく、他の任意成分として高級アルコールを含有することを排除するものではない。
【0023】
(C) 固形油分の配合量は、5.0~30.0質量%が好ましく、より好ましくは、6.0~25.0質量%であり、さらに好ましくは7.0~20.0質量%である。
【0024】
本発明において、(B)不揮発性油分と(C) 固形油分の質量比(B/C)は0.5~1.5とするのが好ましい。より好ましくは0.6~1.4、さらにより好ましくは0.7~1.3である。質量比(B/C)が0.5未満では、セット力は得られるがべたつきがあり、伸び及び乾き具合も不十分になる。質量比が1.5を超えると、セット力が不十分になる。
【0025】
本発明では、(B)不揮発性油分と(C)固形油分との合計配合量(B+C)を20.0質量%以上30.0質量%以下とするのが好ましく、より好ましくは21.0質量%以上29.0質量%以下、特に好ましくは22.0質量%以上28.0質量%以下である。(B)不揮発性油分と(C)固形油分の合計配合量(B+C)が20.0質量%未満では十分なセット力が得られず、30.0質量%を超えるとべたつきを生じ、乾き具合も不良となる。
【0026】
本発明においては、(A)揮発性油分、(B)不揮発性油分、及び(C) 固形油分の合計配合量(A+B+C)を35.0質量%以上50.0質量%以下とするのが好ましく、より好ましくは36.0質量%以上46.0質量%以下、特に好ましくは37.0質量%以上42.0質量%以下である。(A)揮発性油分と(B)不揮発性油分、及び(C)固形油分の合計配合量(A+B+C)が35.0質量%未満では、セット力の不足、乾き具合の不良、あるいはべたつきといった問題を生じることがある。
【0027】
(D)粉末
本発明の毛髪化粧料では自然な風合いを保ちながら、セット力を向上させるため、粉末を配合することもできる。例えば、シリカ、カオリン、粘土鉱物などが挙げられる。(D)粉末の配合量は0.1~10.0質量%であり、好ましくは、0.5~7.0質量%、より好ましくは1.0~5.0質量%である。(D)粉末の配合量は0.1質量%未満では、粉末配合による効果が得られず、10.0質量%を超えるとマット感が強くなり、ツヤが低下する傾向がある。
【0028】
本発明の毛髪化粧料には、上記の成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、毛髪化粧料、特に整髪料に通常用いられる成分を任意に配合することができる。このような任意成分としては、例えば、高級アルコール、界面活性剤、保湿剤、分散剤、防腐剤、薬剤、紫外線吸収剤、増粘剤等が挙げられる。
【0029】
本発明の毛髪化粧料は、ヘアワックス、ヘアクリーム等の剤型に好適に応用できるが、ワックス状のヘアスタイリング剤(整髪料)として用いると発明の効果が最も発揮される。
【0030】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限り、質量%で示す。
【0031】
実施例の説明に先立ち本発明で用いた効果試験方法について説明する。
<効果試験方法>
5名の専門パネルによる使用性試験を行った。評価項目は、塗布時の伸び、セット力、乾き、及び髪のべたつきであり、下記の評価点基準に基づいて評価した。専門パネル5名各人の評価点を合計し、下記基準に基づいて評価した。なお、「乾き」は、乾燥の速度がヘアスタイリングを行うのに最適である(ヘアスタイリング剤が適度な時間で乾燥し、ヘアスタイルが決まる)という観点で評価した。
【0032】
(評価点基準)
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
【0033】
(評価基準)
◎:合計点が20点以上である。
○:合計点が15点以上20点未満である。
△:合計点が10点以上15点未満である。
×:合計点が10点未満である。
【0034】
下記の表1~4に示す処方で毛髪化粧料を調製し、塗布時の伸び、セット力、乾き、及び髪のべたつきについて、上記した基準で評価した。その結果を併せて表1~4に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
表1及び2に示した実施例1~8においては、(A)揮発性油分、(B)不揮発性油分の質量比(A/B)、及び(A)揮発性油分と(B)不揮発性油分の合計配合量(A+B)が所定の範囲内になるように配合された本発明の毛髪化粧料は、塗布時の伸び、セット力、乾き、髪のべたつきの全てが良好であることが示された。
【0040】
表3に示した結果から明らかなように、(A)揮発性油分としてシリコーン油のみを配合した比較例1は、塗布後の乾きが不十分であり髪のべたつきを生じた。(A)揮発性油分、(B)不揮発性油分の質量比(A/B)が1.0未満の毛髪化粧料では、塗布時の伸びが不良で、髪のべたつきを生じ、塗布後の乾きが不十分であった(比較例2)。(A)揮発性油分と(B)不揮発性油分の合計配合量(A+B)が20.0質量%未満の場合にはセット力は良好であったが、塗布時の伸び、塗布後の乾き、髪のべたつきの抑制が不十分であった(比較例3)。一方、(A)揮発性油分、(B)不揮発性油分の質量比(A/B)が3.0を超える毛髪化粧料では髪のべたつきが増し、塗布後の乾きが不十分であった(比較例4)。また、(A)揮発性油分と(B)不揮発性油分の合計配合量(A+B)が40.0質量%以上となる場合には髪のべたつきが生じ、塗布後の乾きが不十分であった(比較例5)。
【0041】
表4に示す結果からは、(B)不揮発性油分と(C)固形油分との質量比(B/C)が0.5未満の場合は、セット力は上がるが、塗布後の乾きが低下し、早く、狙ったヘアスタイルを作ることができない傾向がある(比較例6)。一方、(B)不揮発性油分と(C)固形油分との質量比(B/C)が1.5を超える場合はセット力が不足する場合がある(比較例7)。(B)不揮発性油分と(C)固形油分の合計配合量(B+C)が20.0質量%未満の場合はセット力が低下し(比較例8)、30.0質量%を超える場合は塗布後の乾きが不十分で髪のべたつきを生じる(比較例9)場合があることが示された。