(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】清掃具
(51)【国際特許分類】
A47K 11/10 20060101AFI20221130BHJP
A47L 13/10 20060101ALI20221130BHJP
A47L 13/20 20060101ALI20221130BHJP
A47L 13/46 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
A47K11/10
A47L13/10 D
A47L13/20 B
A47L13/46
(21)【出願番号】P 2018163082
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 悠介
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-271645(JP,A)
【文献】特開2005-087680(JP,A)
【文献】実開昭55-001464(JP,U)
【文献】特開2010-154886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 11/00-11/12
A47L 13/10
A47L 13/16
A47L 13/20
A47L 13/46
A47L 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃部と、該清掃部を着脱自在に取り付け可能とした把持部とから成る清掃具であって、
前記清掃部は、基部と、該基部の下部に設けられた摺擦材と、前記基部の上部に設けられた係止部とを備え、
前記把持部は、下端部に前記係止部を係止する受部と、該受部から上方に延在する空胴部と、前記受部と前記空胴部との間に設けられ前記清掃部の係止部を係止する係止孔と、前記空胴部の内部に移動自在に設けられ、押し出しにより前記係止部との係止を解除する押出部とを備え
、
前記係止部は側方に張り出す係止鍔から頂部に向けて傾斜部により先細りとした形状をしており、前記係止鍔が前記係止孔に引っ掛かるように係止することより、前記清掃部が前記把持部に一体化して取り付けられており、
前記頂部と前記係止鍔との間の前記傾斜部の外側に、段差状の段差部を設けたことを特徴とする清掃具。
【請求項2】
清掃部と、該清掃部を着脱自在に取り付け可能とした把持部とから成る清掃具であって、
前記清掃部は、基部と、該基部の下部に設けられた摺擦材と、前記基部の上部に設けられた係止部とを備え、
前記把持部は、下端部に前記係止部を係止する受部と、該受部から上方に延在する空胴部と、前記受部と前記空胴部との間に設けられ前記清掃部の係止部を係止する係止孔と、前記空胴部の内部に移動自在に設けられ、押し出しにより前記係止部との係止を解除する押出部とを備え、
前記係止部は側方に張り出す係止鍔から頂部に向けて傾斜部により先細りとした形状をしており、前記係止鍔が前記係止孔に引っ掛かるように係止することより、前記清掃部が前記把持部に一体化して取り付けられており、
前記押出部の下端には、前記傾斜部を外側から押圧する筒部が設けられていることを特徴とする清掃具。
【請求項3】
清掃部と、該清掃部を着脱自在に取り付け可能とした把持部とから成る清掃具であって、
前記清掃部は、基部と、該基部の下部に設けられた摺擦材と、前記基部の上部に設けられた係止部とを備え、
前記把持部は、下端部に前記係止部を係止する受部と、該受部から上方に延在する空胴部と、前記受部と前記空胴部との間に設けられ前記清掃部の係止部を係止する係止孔と、前記空胴部の内部に移動自在に設けられ、押し出しにより前記係止部との係止を解除する押出部とを備え、
前記係止部は側方に張り出す係止鍔から頂部に向けて傾斜部により先細りとした形状をしており、前記係止鍔が前記係止孔に引っ掛かるように係止することより、前記清掃部が前記把持部に一体化して取り付けられており、
前記押出部の下端には、前記頂部と当接する押圧部が設けられていることを特徴とする清掃具。
【請求項4】
前記清掃部を前記把持部に取り付ける際には、前記係止部、前記基部を前記把持部の受部内に押し込み、前記係止部を前記把持部の係止孔に係止し、
前記把持部に取り付けた前記清掃部を取り外す際には、前記押出部の上端を押圧して前記清掃部の前記係止部の前記係止孔に対する係止を解除して、前記清掃部を前記把持部から押し外すことを特徴とする請求項1
~3の何れか1項に記載の清掃具。
【請求項5】
前記摺擦材は前記基部から斜め下方に配置された取付板を覆うように取り付けられていることを特徴とする請求項1
~4の何れか1項に記載の清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ等の清掃に好適に使用できる清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
隅々までも清掃可能なトイレ用清掃ブラシとして、例えば特許文献1の便器清掃用具が知られている。この便器清掃用具は、器内の便鉢を接触清掃する清掃部と、清掃部を取り付ける柄部とから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、トイレ用清掃ブラシの清掃部の後端には、柄部の被嵌合孔に嵌まり込む嵌合部を備えており、この嵌合部が被嵌合孔から不用意に外れることを防止するために、嵌合部の股部が被嵌合孔の掛止受部に掛け止まる構造が採用されている。
【0005】
特許文献1便器清掃用具は、清掃部を交換することが不可能な構造であり、ブラシに汚物が付着した状態で保管を行う場合もある。この場合には衛生上の問題が生ずる。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、清掃により汚れが付着した清掃部を把持部から簡便にワンタッチで取り外して廃棄し、新たな清掃部を把持部に容易に取り付け可能な清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る清掃具は、清掃部と、該清掃部を着脱自在に取り付け可能とした把持部とから成る清掃具であって、前記清掃部は、基部と、該基部の下部に設けられた摺擦材と、前記基部の上部に設けられた係止部とを備え、前記把持部は、下端部に前記係止部を係止する受部と、該受部から上方に延在する空胴部と、前記受部と前記空胴部との間に設けられ前記清掃部の係止部を係止する係止孔と、前記空胴部の内部に移動自在に設けられ、押し出しにより前記係止部との係止を解除する押出部とを備え、前記係止部は側方に張り出す係止鍔から頂部に向けて傾斜部により先細りとした形状をしており、前記係止鍔が前記係止孔に引っ掛かるように係止することより、前記清掃部が前記把持部に一体化して取り付けられており、前記頂部と前記係止鍔との間の前記傾斜部の外側に、段差状の段差部を設けたことを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明に係る清掃具は、清掃部と、該清掃部を着脱自在に取り付け可能とした把持部とから成る清掃具であって、前記清掃部は、基部と、該基部の下部に設けられた摺擦材と、前記基部の上部に設けられた係止部とを備え、前記把持部は、下端部に前記係止部を係止する受部と、該受部から上方に延在する空胴部と、前記受部と前記空胴部との間に設けられ前記清掃部の係止部を係止する係止孔と、前記空胴部の内部に移動自在に設けられ、押し出しにより前記係止部との係止を解除する押出部とを備え、前記係止部は側方に張り出す係止鍔から頂部に向けて傾斜部により先細りとした形状をしており、前記係止鍔が前記係止孔に引っ掛かるように係止することより、前記清掃部が前記把持部に一体化して取り付けられており、前記押出部の下端には、前記傾斜部を外側から押圧する筒部が設けられていることを特徴とする。
更に、上記目的を達成するための本発明に係る清掃具は、清掃部と、該清掃部を着脱自在に取り付け可能とした把持部とから成る清掃具であって、前記清掃部は、基部と、該基部の下部に設けられた摺擦材と、前記基部の上部に設けられた係止部とを備え、前記把持部は、下端部に前記係止部を係止する受部と、該受部から上方に延在する空胴部と、前記受部と前記空胴部との間に設けられ前記清掃部の係止部を係止する係止孔と、前記空胴部の内部に移動自在に設けられ、押し出しにより前記係止部との係止を解除する押出部とを備え、前記係止部は側方に張り出す係止鍔から頂部に向けて傾斜部により先細りとした形状をしており、前記係止鍔が前記係止孔に引っ掛かるように係止することより、前記清掃部が前記把持部に一体化して取り付けられており、前記押出部の下端には、前記頂部と当接する押圧部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る清掃具によれば、清掃部は使い捨てとされ、汚れた清掃部に触れることなく、指押部を押圧することで、ワンタッチで新しい清掃部を交換することができ、衛生的である。
【0009】
また、押圧部を押圧しなければ、清掃部が把持部から外れることのない構造であるため、清掃時に清掃部が把持部から不用意に外れることはない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】清掃部を把持部に取り付けた状態の実施例の斜視図である。
【
図2】清掃部が把持部から外れている状態の斜視図である。
【
図3】清掃部を把持部に取り付けた状態の正面から見た断面図である。
【
図4】清掃部を把持部に取り付けた状態の側面から見た断面図である。
【
図5】清掃部が把持部から外れている状態の正面から見た断面図である。
【
図6】清掃部が把持部から外れている状態の側面から見た断面図である。
【
図7】押出部を押し出して清掃部を把持部から押し出す状態の側面から見た断面図である。
【
図8】押出部を押し出す途中の清掃部の係止部の状態を示す説明図である。
【
図9】押出部を押し出す途中の清掃部の係止部の状態を示す説明図である。
【
図10】押出部を押し出した際の清掃部の係止部の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
実施例の清掃具1は、被清掃物である便器内に対して、清掃を行う清掃部2と、この清掃部2を取り付け可能とする把持部3とから構成されている。
図1は清掃部を把持部3に取り付けた状態の斜視図、
図2は清掃部2が把持部3から外されている状態の斜視図を示しており、図示するように使い捨てである清掃部2は把持部3に対して着脱自在とされている。
【0012】
図3及び
図4は、
図1に対応する正面から見た断面図及び側面から見た断面図であり、
図5及び
図6は、
図2に対応する正面から見た断面図及び側面から見た断面図である。
【0013】
清掃部2は、合成樹脂材から成り、断面楕円形で上方に向けて側部の幅が狭くなるテーパ状の基部2aが主体とされ、摺擦材2bを取り付けた取付板2cが、基部2aの下部から稍々斜め下方に配置されている。この取付板2cは、テーパ状となる基部2aを正面とした場合に、手前側に傾斜するように配置されている。
【0014】
取付板2cに取り付ける摺擦材2bは、例えば比較的硬質の化学繊維毛を固めたマット状とされ、摺擦による清掃機能を有している。
【0015】
摺擦材2bは2つ折りにして取付板2cを覆うように、取付板2cに対し接着され、取付板2cの周縁では摺擦材2b同士が接着されている。なお、取付板2cの両面には、摺擦材2bの接着効果を高めるために複数個の凹部2dが形成されている。また、摺擦材2bとして、樹脂製のブラシ材や、研磨剤や洗剤を含有する不織布等、適宜の清掃部材を採用することができる。
【0016】
また、基部2aの上部から、把持部3に対する係止部2eが上方に向けて突出されている。この係止部2eは幅の狭い板状部材が弾性を有する先細りのループ状に形成されており、中間部の両側に側方に張り出す係止鍔2fが形成されている。
【0017】
そして、係止部2eは係止鍔2fの外縁から頂部2gに向けて、傾斜部2hにより先細りとした形状とされており、頂部2gと係止鍔2fとの間の傾斜部2hの外側には、段差状の段差部2iが設けられている。
【0018】
把持部3では、下端部に清掃部2のテーパ状の基部2aと合致する逆テーパ状の形状を有する受部3aが設けられ、この受部3aの上方に断面略C字状の空胴部3bが延在している。なお、空胴部3bは断面略C字状としているが、断面ロ字状の筒状等、空洞の形状であれば適宜の形状を採用することができる。
【0019】
空胴部3bの上端には、側面をL字状に切り欠いた切欠部3kが形成されている。そして、空胴部3b内には、棒状の押出部3cが空胴部3bに沿って移動自在に挿入されている。
【0020】
この空胴部3b内には、ばね取付部3dが空胴部3bの中心軸に向けて立設されており、押出部3c側にもばね取付部3eが押出部3cの中心軸に向けて立設されている。
【0021】
これらのばね取付部3d、3e間には、圧縮ばね3fが配置されており、この圧縮ばね3fの反発力により押出部3cは常時、空胴部3b内において清掃部2と反対方向に付勢されている。
【0022】
また、受部3aと空胴部3bとの境界部には、清掃部2の係止部2eの係止鍔2fが潜り抜けて係止するための係止孔3gが設けられている。この係止孔3gの水平断面の形状は矩形状をしている。
【0023】
更に、押出部3cの下端には、清掃部2の係止部2eの外側から押圧する筒部3hと、この筒部3hの内側であって係止部2eを押す押圧部3iとが設けられている。筒部3hが傾斜部2hを内側に押し込み、押圧部3iが係止部2eの頂部2gに接して下方に押すようにされている。
【0024】
なお、押圧部3iは突片形状を有しているが、必ずしも突片形状にする必要はなく、更には係止部2eの頂部2gを押圧部3iによって押し出さない構造にしてもよい。この場合は筒部3hによる押圧のみで係止部2eを押し出すことになる。
【0025】
また、押出部3cの上端には、頂面が平面状の指押部3jが形成されており、そして、空胴部3b内に押出部3cを挿入した際に、切欠部3kから指押部3jを押圧可能としている。
【0026】
清掃部2を把持部3に組付けるには、清掃部2の係止部2e、基部2aを把持部3の受部3a内に押し込む。傾斜部2hを有する先細りの係止部2eは、傾斜部2hが係止孔3gによりすぼめられる。
【0027】
これにより、係止鍔2f同士の間隙が小さくなり、係止孔3gを潜り抜けると、係止部2eの弾発力により係止鍔2f同士の間隔が拡がり、係止鍔2fが係止孔3gの上側に係止して下方に抜け出なくなる。このように、係止鍔2fが係止孔3gに引っ掛かるように係止することより、基部2aは受部3aとテーパ部同士が合致し、清掃部2は把持部3と結合して一体となる。
【0028】
このようにして、清掃部2を単に押し込むだけで把持部3に結合した清掃具1では、把持部3に加えた力は、そのまま清掃部2に伝達されることになる。従って、片手で把持部3を把持し、清掃部2の摺擦材2bをトイレなどの清掃すべき個所に当接して、摺擦することにより汚れを落とすことができる。
【0029】
特に、摺擦材2bは取付板2cにより把持部3に対し斜め前方に傾斜しているので、水平面を摺擦材2bにより摺擦する場合でも、把持部3を斜め方向にして使用できるので、操作が容易になる。
【0030】
清掃により摺擦材2bに汚れが多く付着すると清掃効果が低下するので、新しい清掃部2に交換する必要がある。このときに、
図7に示すように、把持部3の押出部3cを指押部3jにより、圧縮ばね3fの付勢力に抗して下方に押し出す。
【0031】
図8は押出部3cを押し出す途中の清掃部2の係止部2eの状態を示す説明図であり、
図9は
図8の状態から更に押出部3cを押し出す途中の清掃部2の係止部2eの状態を示す説明図であり、
図10は押出部3cを押し出した際の清掃部2の係止部2eの状態を示す説明図である。
【0032】
先ず、指押部3jを親指で押圧すると、押出部3cの先端の筒部3hが清掃部2の係止部2eの傾斜部2hに接触しながら、両側から傾斜部2hを挟み込むようにして係止部2eが下方に移動を開始する。
【0033】
そして、
図8に示すように筒部3hが段差部2iに引っ掛かった状態になる。この状態になると親指に多少の負荷が発生する。この負荷に抗して更に親指に力を加えることで、
図9に示すように段差部2iに筒部3hが乗り上げ、この乗り上げによって係止鍔2f同士の間隙を狭めることなる。同時に、押圧部3iが頂部2gに当接した状態となる。
【0034】
更に、指押部3jを押圧することで、押圧部3iにより頂部2gが押し出されることなる。この押し出しにより、係止鍔2fの同士の間隙を更に狭めて、
図10に示すように係止鍔2fが係止孔3gから下方に抜け出て係止が解除した状態となる。
【0035】
このようにして、清掃部2が把持部3から分離する。上述のように段差部2iに筒部3hが引っ掛かる構造にすることで、
図8において押圧力が段差部2iに蓄積し、
図10の係止が解除された際に、勢い良く把持部3から清掃部2が飛び出すことになる。この飛び出しにより、ごみ箱等の奥に不衛生である清掃部2を放出することが可能となる。
【0036】
ここで、指を指押部3jから離すと、押出部3cは圧縮ばね3fの付勢力により元の位置に戻るので、把持部3への新たな清掃部2の取り付けが可能となる。
【0037】
このように、清掃部2に触れることなく、指押部3jを押圧することで、ワンタッチで清掃部2を破棄することが可能である。そして、使用する度に清掃部2を交換することで衛生的に清掃具1を使用することができる。
【0038】
また、指押部3jを押圧しなければ、清掃部2が把持部3から外れることのない構造であるため、清掃時に清掃部2が把持部3から不用意に外れることもない。
【符号の説明】
【0039】
1 清掃具
2 清掃部
2a 基部
2b 摺擦材
2c 取付板
2e 係止部
2f 係止鍔
2g 頂部
2h 傾斜部
2i 段差部
3 把持部
3a 受部
3b 空胴部
3c 押出部
3g 係止孔