(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G16H 40/60 20180101AFI20221130BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
G16H40/60
A61B5/055 390
(21)【出願番号】P 2018173905
(22)【出願日】2018-09-18
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 隆尋
(72)【発明者】
【氏名】田平 圭司
【審査官】佐伯 憲太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-022440(JP,A)
【文献】特開2015-056785(JP,A)
【文献】特表2015-503153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の検査に係る医用画像診断装置で使用された撮像条件及び前記第1の検査の実績に係る実績情報と、前記第1の検査とは異なる第2の検査に係る医用画像診断装置で使用された撮像条件及び前記第2の検査の実績に係る実績情報とを取得する取得部と、
前記取得部で取得された前記実績情報を前記第1の検査と前記第2の検査とで比較し、前記第2の検査の検査効率が前記第1の検査の検査効率よりも良好となる場合に、前記取得部で取得された前記撮像条件又は前記実績情報に基づき、前記第1の検査の検査効率を向上させるための方策を推奨アクションとして導出する導出部と、
を備え
、
前記導出部は、前記第1の検査と前記第2の検査とで前記撮像条件が相違する場合、前記第2の検査の撮像条件に含まれた相違する項目の設定内容に基づいて、前記推奨アクションを導出する、情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の検査は、第1の医用画像診断装置で行われる検査であり、
前記第2の検査は、前記第1の医用画像診断装置と同一種別で、且つ前記第1の医用画像診断装置とは異なる第2の医用画像診断装置で行われる検査である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の検査及び前記第2の検査は、同一の医用画像診断装置において、互いに異なる操作者によって実行される検査である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記導出部は、前記第1の検査に係る医用画像診断装置の前記撮像条件に設定されたソフトウェアリソースの代替品を前記推奨アクションとして導出する、請求項1~3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記導出部は、前記第1の検査に係る医用画像診断装置の前記撮像条件に設定されたハードウェアリソースの代替品を前記推奨アクションとして導出する、請求項1~3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記導出部は、前記第2の検査に係る医用画像診断装置の前記撮像条件に基づいて、前記第1の検査に係る医用画像診断装置の前記撮像条件の変更内容を前記推奨アクションとして導出する、請求項1~3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記導出部は、前記第1の検査に係る医用画像診断装置の前記実績情報に基づいて、前記第1の検査が行われていない空き時間を算出し、前記空き時間で実行することが可能な検査内容を前記推奨アクションとして導出する、請求項1~3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記導出部は、前記第1の検査に係る医用画像診断装置の前記撮像条件に設定されたリソースのセッティングに係る手順を前記推奨アクションとして導出する、請求項1~3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記第1の検査及び前記第2の検査に係る医用画像診断装置について、前記医用画像診断装置で撮像された撮像部位、撮像方法、前記撮像で使用されたリソースの何れか又は全てを前記撮像条件として取得する、請求項1~3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1の検査及び前記第2の検査に係る医用画像診断装置は、磁気共鳴イメージング装置であり、
前記取得部は、前記磁気共鳴イメージング装置で実行されたパルスシーケンスの実行順序及び前記パルスシーケンスの種別を前記撮像方法として取得する、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記取得部は、前記第1の検査及び前記第2の検査に係る医用画像診断装置の各々について、前記医用画像診断装置の操作者が操作に要した操作時間、前記医用画像診断装置が被検体の撮像に要した撮像時間、前記被検体の検査を開始してから終了までの検査時間、前記医用画像診断装置が所定期間内に実行した検査件数、及び前記医用画像診断装置が所定期間内で検査に利用された稼働時間の何れか又は全てを前記実績情報として取得する、請求項1~3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記取得部は、前記第1の検査及び前記第2の検査に係る医用画像診断装置の各々を操作する操作者を撮像した画像に基づき計測された前記医用画像診断装置のセッティングに係るセッティング時間を前記実績情報として取得する、請求項1~3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
第1の検査に係る医用画像診断装置で使用された撮像条件及び前記第1の検査の実績に係る実績情報と、前記第1の検査とは異なる第2の検査に係る医用画像診断装置で使用された撮像条件及び前記第2の検査の実績に係る実績情報とを取得し、
取得された前記実績情報を前記第1の検査と前記第2の検査とで比較し、
前記第2の検査の検査効率が前記第1の検査の検査効率よりも良好となる場合に、取得された前記撮像条件又は前記実績情報に基づいて、前記第1の検査の検査効率を向上させるための方策を推奨アクションとして導出
し、
前記第1の検査と前記第2の検査とで前記撮像条件が相違する場合、前記第2の検査の撮像条件に含まれた相違する項目の設定内容に基づいて、前記推奨アクションを導出する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院等の医療機関では、医用画像診断装置を用いて被検体の検査が行われている。係る医用画像診断装置は、設置されている医療機関や操作者によって様々な撮像条件が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、医用画像診断装置の検査効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る情報処理装置は、取得部と、導出部とを備える。取得部は、第1の検査に係る医用画像診断装置で使用された撮像条件及び前記第1の検査の実績に係る実績情報と、前記第1の検査とは異なる第2の検査に係る医用画像診断装置で使用された撮像条件及び前記第2の検査の実績に係る実績情報とを取得する。導出部は、前記取得部で取得された前記実績情報を前記第1の検査と前記第2の検査とで比較し、前記第2の検査の検査効率が前記第1の検査の検査効率よりも良好となる場合に、前記取得部で取得された前記撮像条件又は前記実績情報に基づき、前記第1の検査の検査効率を向上させるための方策を推奨アクションとして導出する。また、導出部は、前記第1の検査と前記第2の検査とで前記撮像条件が相違する場合、前記第2の検査の撮像条件に含まれた相違する項目の設定内容に基づいて、前記推奨アクションを導出する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る医用画像診断装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るデータベースのデータ構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の情報処理装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、情報処理装置及び情報処理方法の実施形態について詳細に説明する。
【0008】
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、情報処理システム1は、複数の医療機関システム10と、情報提供サーバ20とを有する。ここで、医療機関システム10と情報提供サーバ20とは、インターネット等のネットワークN1を介して通信可能に接続される。
【0009】
医療機関システム10は、例えば、病院等の医療機関に設けられた院内システムである。医療機関システム10は、一又は複数の医用画像診断装置11と、サーバ装置15とを有する。ここで、医用画像診断装置11とサーバ装置15とは、医療機関内に設けられたネットワークN2を介して通信可能に接続される。また、ネットワークN1とネットワークN2とは、ルーター等の通信装置を介して通信が可能であるとする。
【0010】
医用画像診断装置11は、被検体を撮像して得られた医用画像により、当該被検体の検査(診断)を行うための装置である。例えば、医用画像診断装置11は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、超音波診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置等である。
【0011】
図2は、医用画像診断装置11の構成例を示す図である。ここで、
図2は、医用画像診断装置11の一例として、MRI装置11aの構成例を示している。
【0012】
図2に示すように、MRI装置11aは、磁石架台111と、寝台121とを備えている。磁石架台111は、静磁場磁石112と、傾斜磁場コイルユニット115と、RFコイル116とを備えている。なお、磁石架台111の内部構成については、縦断面図にて示されている。
【0013】
傾斜磁場コイルユニット115には、メインコイル113と、シールドコイル114とが含まれている。また、MRI装置11aは、傾斜磁場電源131と、送信回路132と、受信回路133と、寝台制御回路134と、シーケンス制御回路135と、コンピュータ141とを備えている。なお、MRI装置11aに、被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、
図1に示す構成は一例に過ぎない。例えば、シーケンス制御回路135及びコンピュータ141内の各部は、適宜統合若しくは分離して構成されてもよい。
【0014】
静磁場磁石112は、概略円筒形状をなしており、被検体Pの撮像領域を含むボア(静磁場磁石112の円筒内部の空間)内に静磁場を発生させる。静磁場磁石112は超伝導磁石でも永久磁石でもよい。
【0015】
傾斜磁場コイルユニット115も概略円筒形状をなし、静磁場磁石112の内側に防振ゴム等の支持構造により保持されている。傾斜磁場コイルユニット115は、傾斜磁場電源131から供給される電流により互いに直交する方向に傾斜磁場を印加(発生)するメインコイル113と、メインコイル113の漏洩磁場をキャンセルするシールドコイル114とを有している。
【0016】
寝台121は、被検体Pが載置される天板122を備え、寝台制御回路134による制御の下、天板122を、被検体Pが載置された状態で、傾斜磁場コイルユニット115の空洞(撮像口)内へ挿入する。寝台制御回路134は、コンピュータ141による制御の下、寝台121を駆動して天板122を長手方向及び上下方向へ移動する。
【0017】
RFコイル116は、傾斜磁場コイルユニット115の内側に配置され、送信回路132からRFパルスの供給を受けて高周波磁場を発生する。また、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号を受信し、受信した磁気共鳴信号を受信回路133へ出力する。なお、RFコイル116は、送信コイルと受信コイルとに分かれて構成されるものでもよい。
【0018】
受信回路133は、RFコイル116から出力される磁気共鳴信号を検出し、検出された磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴データを生成する。具体的には、受信回路133は、RFコイル116で受信された磁気共鳴信号をデジタル変換することによって磁気共鳴データを生成する。また、受信回路133は、生成された磁気共鳴データをシーケンス制御回路135へ送信する。
【0019】
シーケンス制御回路135は、コンピュータ141から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源131、送信回路132及び受信回路133を駆動することによって、パルスシーケンスを実行し、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源131がメインコイル113に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信回路132がRFコイル116に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信回路133が磁気共鳴信号を検出するタイミング等がパルスシーケンスとして定義される。例えば、シーケンス制御回路135は、プロセッサにより実現される。
【0020】
さらに、シーケンス制御回路135は、傾斜磁場電源131、送信回路132及び受信回路133を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路133から磁気共鳴データを受信すると、受信した磁気共鳴データをコンピュータ141へ転送する。
【0021】
コンピュータ141は、MRI装置11aの全体制御や、画像の生成等を行う。コンピュータ141は、記憶回路142、入力装置143、ディスプレイ144、通信回路145及び処理回路146を備える。
【0022】
また、送信回路132、受信回路133及び寝台制御回路134等も同様に、上記のプロセッサ等の電子回路により構成される。
【0023】
処理回路146は、シーケンス情報をシーケンス制御回路135へ送信し、シーケンス制御回路135から磁気共鳴データを受信する。また、磁気共鳴データを受信すると、インタフェース機能136を有する処理回路146は、受信した磁気共鳴データを記憶回路142に格納する。記憶回路142に格納された磁気共鳴データは、k空間に配置される。この結果、記憶回路142は、k空間データを記憶する。
【0024】
記憶回路142は、処理回路146によって受信された磁気共鳴データや、処理回路146によってk空間に配置されたk空間データや、処理回路146によって生成された画像データ等を記憶する。また、記憶回路142は、処理回路146により実行される各種のアプリケーションプログラム(以下、アプリケーション)や各種の設定情報を記憶する。具体的には、記憶回路142は、撮像範囲の位置決めを支援するアプリケーションや、磁気共鳴データの信号処理に係るアプリケーション等を記憶する。例えば、記憶回路142は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等で実現される。
【0025】
入力装置143は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力装置143は、例えば、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。入力装置143は、入力を受け付けるインタフェースである。ディスプレイ144は、処理回路146による制御の下、撮像条件の設定や調整に係る入力を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、処理回路146によって生成された画像等を表示する。ディスプレイ144は、例えば、液晶表示器等の表示デバイスである。
【0026】
通信回路145は、自己の医療機関システム10に設けられたネットワークN2を介してサーバ装置15等の外部装置と通信を行う。通信回路145は、例えば、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等の通信インタフェースである。
【0027】
処理回路146は、MRI装置11aの全体制御を行い、撮像や画像の生成、画像の表示等を制御する。例えば、処理回路146は、撮像条件(撮像パラメータ等)の入力をGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成する。また、処理回路146は、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路135へ送信する。処理回路146は、k空間データを記憶回路142から読み出し、読み出したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、画像を生成する。
【0028】
また、処理回路146は、MRI装置11aでの検査時に使用された撮像条件や、検査の実績に係る実績情報を記憶回路142に記憶(記録)する。
【0029】
具体的には、処理回路146は、MRI装置11aで検査が行われる毎に、当該検査で用いられた撮像条件を記憶回路142に記録する。例えば、処理回路146は、検査内容に対応する撮像部位や、パルスシーケンスの実行順序及びパルスシーケンスの種別等の撮像方法を撮像条件として記録する。
【0030】
また、処理回路146は、MRI装置11aが備える所定のリソースについて、検査が行われる毎に当該検査で使用されたリソースの種別、バージョン等を撮像条件として記録する。ここで、リソースは、ハードウェアリソースであってもよいし、ソフトウェアリソースであってもよい。例えば、処理回路146は、検査時に使用されたRFコイル116の種別を撮像条件として記録する。また、処理回路146は、検査時に使用されたアプリケーションの種別やバージョンを撮像条件として記録する。
【0031】
また、処理回路146は、MRI装置11aで検査が行われる毎に、当該検査の実績に係る実績情報を第1の実績情報として記録する。例えば、処理回路146は、操作者がMRI装置11a(GUI)の操作に要した時間(以下、操作時間)を計測し、第1の実績情報として記録する。係る操作は、例えば、撮像範囲の位置決めに係る操作等、特定の操作に限定してもよい。また、処理回路146は、MRI装置11aが被検体Pの撮像に要した時間(以下、撮像時間)を計測し、第1の実績情報として記録する。また、処理回路146は、被検体Pの検査を開始してから終了までの時間を(以下、検査時間)を計測し、第1の実績情報として記録する。また、処理回路146は、検査を担当したMRI装置11aの操作者を特定可能な情報(操作者ID)を第1の実績情報に含めて記録する。なお、撮像条件と第1の実績情報とは検査が行われる毎に対応付けて記録されるものとする。
【0032】
また、第1の実績情報の他の例として、RFコイル116のセッティング等、ハードウェアリソースのセッティングに要した時間(以下、セッティング時間)を記録してもよい。この場合、セッティング時間の計測方法は特に問わないものとする。例えば、検査室内やMRI装置11aを撮像する撮像装置で得られた画像(動画像)から操作者の位置や動きを検出することで、ハードウェアリソースのセッティング時間を計測する形態としてもよい。なお、セッティング時間の計測は、処理回路146や医用画像診断装置11とは別体の装置が行ってもよい。
【0033】
また、処理回路146は、予め定められた期間毎に、当該期間内に行われた検査の実績に係る実績情報を第2の実績情報として記録する。例えば、処理回路146は、MRI装置11aを用いて行われた検査件数を所定期間毎(例えば、日毎)に集計し、第2の実績情報として記録する。また、例えば、処理回路146は、MRI装置11aが実際に使用された正味の稼働時間(実働時間)を所定期間毎(例えば、日毎)に集計し、第2の実績情報として記録する。
【0034】
そして、処理回路146は、記憶回路142に記録した撮像条件及び実績情報(第1の実績情報、第2の実績情報)を所定のタイミングでサーバ装置15に送信する。なお、
図2では、MRI装置11aを例に説明したが、他の装置種別の医用画像診断装置11であっても、MRI装置11aと同様に、医用画像診断装置11の特性に応じた撮像条件及び実績情報(第1の実績情報及び第2の実績情報)の記録を行うものとする。
【0035】
図1に戻り、サーバ装置15は、医用画像診断装置11の各々で記録された撮像条件及び実績情報を記憶し管理する装置である。具体的には、サーバ装置15は、医用画像診断装置11から撮像条件や実績情報を受信すると、受信した撮像条件や実績情報を、送信元の医用画像診断装置11を識別する識別子(装置ID)と、医用画像診断装置11の装置種別を示す情報と対応付けてデータベース等に保存する。
【0036】
また、サーバ装置15は、医用画像診断装置11の各々で記録された撮像条件及び実績情報を情報提供サーバ20に提供する。例えば、サーバ装置15は、予め定められた時間毎に医用画像診断装置11の各々から取得した撮像条件及び実績情報を情報提供サーバ20に送信する。また、例えば、サーバ装置15は、情報提供サーバ20からの要求に応じて、医用画像診断装置11の各々又は特定の医用画像診断装置11から取得した撮像条件及び実績情報を情報提供サーバ20に送信する。
【0037】
ここで、サーバ装置15は、取得元の医用画像診断装置11を示す装置IDや装置種別等とともに、自己の医療機関システム10を識別するサイトIDを付加して撮像条件及び実績情報を送信する。なお、第1の実績情報と第2の実績情報とは異なるタイミングで送信してもよいが、第1の実績情報については、対応する撮像条件とともに送信を行うものとする。
【0038】
情報提供サーバ20は、情報処理装置の一例である。情報提供サーバ20は、例えばサーバ装置やワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。また、情報提供サーバ20は、ネットワーク接続された複数のコンピュータ機器の協働(例えばクラウドコンピューティング等)によって実現されてもよい。
【0039】
図3は、情報提供サーバ20の構成例を示す図である。
図3に示すように、情報提供サーバ20は、通信インタフェース21と、記憶回路22と、処理回路23とを備える。
【0040】
通信インタフェース21は、医療機関システム10との間で行われる通信を制御する。具体的には、通信インタフェース21は、処理回路23の制御の下、医療機関システム10の各々との間で各種データの送受信を行う。通信インタフェース21は、例えば、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0041】
記憶回路22は、処理回路23が実行する各種のプログラムや、情報提供サーバ20の動作に関する各種の設定情報等を記憶する。また、記憶回路22は、医療機関システム10の各々から取得された撮像条件及び実績情報(第1の実績情報、第2の実績情報)を格納するためのデータベース221(
図4参照)を記憶する。なお、記憶回路22は、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0042】
処理回路23は、情報提供サーバ20の動作を制御する。処理回路23は、例えば、プロセッサによって実現される。また、処理回路23は、収集機能231、取得機能232と、導出機能233と、出力機能234とを機能部として備える。
【0043】
収集機能231は、医用画像診断装置11の各々で記録された撮像条件及び実績情報を収集する。具体的には、収集機能231は、医療機関システム10の各々に設置されたサーバ装置15にアクセスし、サーバ装置15に保持された撮像条件及び実績情報を収集する。収集機能231は、収集した撮像条件及び実績情報を、取得元の医療機関システム10を示すサイトID、取得元の医用画像診断装置11の装置種別、取得元の医用画像診断装置11を示す装置ID等と対応付けて、データベース221に格納する。
【0044】
図4は、データベース221のデータ構成の一例を示す図である。ここで、
図4(a)は、撮像条件及び第1の実績情報を格納する領域のデータ構成例を示すものである。また、
図4(b)は、第2の実績情報を格納する領域のデータ構成例を示すものである。
【0045】
データベース221は、
図4(a)に示すように、サイトID、装置ID及び装置種別と対応付けて、検査毎に記録された撮像条件及び第1の実績情報(操作者ID、操作時間、撮像時間、検査時間、セッティング時間)を記憶する。サイトIDは、医療機関システム10の各々を識別することが可能な識別子である。装置種別は、MRI装置やX線診断装置等の装置種別を示すものである。装置IDは、医用画像診断装置11の各々を識別することが可能な識別子である。また、データベース221は、
図4(b)に示すように、サイトID、装置ID及び装置種別と対応付けて、第2の実績情報(検査件数、稼働時間)を記憶する。
【0046】
図3に戻り、取得機能232は、取得部の一例である。取得機能232は、第1の検査に係る医用画像診断装置11で使用された撮像条件及び第1の検査の実績に係る実績情報と、第1の検査とは異なる第2の検査に係る医用画像診断装置11で使用された撮像条件及び第2の検査の実績に係る実績情報とを取得する。具体的には、取得機能232は、データベース221から、第1の検査及び第2の検査のそれぞれに係る撮像条件及び実績情を取得する。
【0047】
例えば、第1の検査は、第1の医用画像診断装置で行われる検査であり、第2の検査は、第1の医用画像診断装置とは異なる第2の医用画像診断装置で行われる検査である。ここで、第1の医用画像診断装置は、比較元となる一の医用画像診断装置11(装置ID)に対応し、第2の医用画像診断装置は、第1の医用画像診断装置との比較先となる医用画像診断装置11(装置ID)に対応する。
【0048】
第1の医用画像診断装置の選定方法は特に問わず、種々の方法を採用することが可能である。例えば、第1の医用画像診断装置は、医療機関システム10から指定されてもよい。また、第1の医用画像診断装置は、予め定められたルールで、医療機関システム10の各々に属する医用画像診断装置11を順次選択したものであってもよい。また、第2の医用画像診断装置の選定方法も特に問わず、第1の医用画像診断装置と同様、種々の方法を採用することが可能である。例えば、第2の医用画像診断装置は、第1の医用画像診断装置が属する医療機関システム10とは異なる他の医療機関システム10に属する、第1の医用画像診断装置と装置種別が同一の医用画像診断装置11を順次選択したものであってもよい。
【0049】
また、例えば、第1の検査及び第2の検査は、同一の医用画像診断装置11(装置ID)において、互いに異なる操作者(第1の操作者、第2の操作者)により実行された検査であってもよい。ここで、第1の操作者は、比較元となる一の操作者の操作者IDに対応し、第2の操作者は、比較先となる操作者の操作者IDに対応する。
【0050】
第1の操作者及び第2の操作者の選択方法は特に問わず、種々の方法を採用することが可能である。例えば、第1の操作者(操作者ID)が医療機関システム10から指定された場合、第1の操作者と同一の医用画像診断装置11(装置ID)に対応付けられた他の操作者の操作者IDを第2の操作者として順次選択してもよい。
【0051】
なお、第1の検査及び第2の検査について取得する第1の実績情報は、検査内容が同一又は類似するものであるとする。また、第1の検査又は第2の検査の各々に、複数の撮像条件及び実績情報が格納されている場合には、取得機能232は、全ての撮像条件及び実績情報を取得してもよいし、一部の撮像条件及び実績情報を取得してもよい。後者の場合、例えば最も直近に格納された撮像条件及び実績情報を取得する形態とてもよいし、所定の個数分や所定期間分(1ヶ月分等)の撮像条件及び実績情報を取得する形態としてもよい。
【0052】
導出機能233は、導出部の一例である。導出機能233は、取得機能232が取得した撮像条件及び実績情報を第1の検査と第2の検査とで比較し、両検査における検査効率の優劣を判定する。ここで、検査効率は、実績情報に含まれる時間数や検査件数等の実績値に基づいた、検査の効率性を表す指標値である。具体的には、時間数が小さいほど検査効率が良好であり、また検査件数が大きいほど検査効率が良好であるとする。
【0053】
導出機能233は、第1の実績情報に含まれた操作時間、撮像時間、検査時間、セッティング時間等の実績値を、第1の検査と第2の検査とで比較する。そして、導出機能233は、実績値の比較結果に基づいて両検査の検査効率の優劣を判定する。なお、第1の実績情報の比較は、対応する撮像条件に含まれた検査内容(撮像部位)が同一又は類似するものについて行うものとする。また、検査効率は、操作時間、撮像時間、検査時間、セッティング時間等の項目の単位で個別に判定してもよいし、トータルの時間で判定してもよい。また、第1の検査と第2の検査との各々について、第1の実績情報が複数取得された場合には平均値や中央値を算出する等、統計的手法を用いて検査効率を判定してもよい。
【0054】
導出機能233は、第1の検査と第2の検査とについて第1の実績情報を比較した結果、第1の検査よりも第2の検査の検査効率の方が良好となる場合、第1の検査の検査効率を向上させるための方策を推奨アクションとして導出する。
【0055】
ここで、推奨アクションの導出方法は特に問わず、種々の方法を採用することが可能である。例えば、導出機能233は、撮像条件に含まれる項目について、第1の検査と第2の検査とで設定内容が相違するものが存在する場合、第2の検査の撮像条件に含まれた該当する項目の設定内容に基づいて推奨アクションとを導出する。なお、第1の実績情報を第1の検査と第2の検査とで比較した結果、第2の検査の方の検査効率が良好となった第1の実績情報の項目に関係する撮像条件を、推奨アクションの導出対象とすることが好ましい。
【0056】
例えば、第1の実績情報に含まれた操作時間について第2の検査の検査方法の方が良好となる場合、導出機能233は、操作時間の短縮化に関係する、第2の検査の撮像条件を抽出する。具体的には、導出機能233は、第2の検査の撮像条件に設定されたアプリケーション(位置決めアプリケーション等)の種別(バージョン)を抽出し、当該アプリケーションの導入を促す推奨アクションを導出する。
【0057】
また、例えば、第1の実績情報に含まれた撮像時間について第2の検査の検査効率の方が良好となる場合、導出機能233は、撮像時間の短縮化に関係する、第2の検査の撮像条件に基づき、撮像条件の変更内容を導出する。具体的には、導出機能233は、第2の検査の撮像条件に設定された撮像時間の短縮化に関係する設定内容(パルスシーケンスの実行順序、種別等)を抽出し、抽出した設定内容への変更を促す推奨アクションを導出する。
【0058】
また、推奨アクションは、第2の検査の撮像条件から直接抽出されるものに限らない。例えば、第1の実績情報に含まれた検査時間やセッティング時間について第2の検査の検査効率の方が良好となる場合、導出機能233は、検査やセッティングをより簡単に進めるための方法や手順を推奨アクションとして導出してもよい。例えば、医用画像診断装置11の装置種別がMRI装置11aの場合、導出機能233は、第1の検査の撮像条件に設定されたリソース(RFコイル116等)に基づき、当該リソースのセッティング作業をより簡単に進めるための方法や手順を推奨アクションとして導出する。なお、推奨アクションとして導出される方法や手順は、記憶回路22等の予め記憶されていてもよいし、第1の検査や第2の検査の撮像条件から動的に導出されるものであってもよい。
【0059】
また、推奨アクションは、医用画像診断装置11が備えるリソースについて、より効率的に検査を行うことが可能な代替品(代替リソース)を提案するものであってもよい。ここで、代替リソースは、医用画像診断装置11が備える既存のリソース(ソフトウェアリソース、ハードウェアリソース)の交換対象や更新対象に限らず、新規のリソースをも含む概念である。
【0060】
この場合、例えば、導出機能233は、RFコイル116やアプリケーション等の各リソース(種別、バージョン等)と、当該リソースのスペック(仕様、性能等)とを対応付けたデータテーブル等に基づき、第1の検査の撮像条件に設定されたリソースのスペックを特定する。そして、導出機能233は、特定したスペックよりも高スペックなリソース(代替リソース)を選定し、選定した代替リソースの導入を提案する推奨アクションを導出する。
【0061】
例えば、操作時間について第2の検査の検査効率の方が良好となる場合、導出機能233は、より高速に位置合わせを行うことが可能なアプリケーションを推奨アクションとして導出する。また、例えば、撮像時間について第2の検査の検査効率の方が良好となる場合、導出機能233は、より高速に撮像することが可能なアプリケーションや、より高速にパラレルイメージングを実行することが可能な、エレメント数やチャネル数がより多いRFコイルを抽出し、これらリソースの使用を促す推奨アクションを導出する。
【0062】
なお、導出機能233は、選定した代替リソースのスペック等から、代替リソースを導入した場合の利点(例えば、検査効率の向上量や費用対効果)を推定し、推定した利点を推奨アクションに含めてもよい。
【0063】
また、導出機能233は、第2の実績情報に含まれる検査件数、稼働時間等の各実績値について、第1の実績情報と同様に、第1の検査と第2の検査とで比較を行う。そして、導出機能233は、第1の検査と第2の検査とで検査効率の優劣を判定し、判定結果に応じた推奨アクションを導出する。なお、第2の実績情報の比較は、装置種別が同一のものについて行うものとする。また、第1の検査と第2の検査との各々について、第2の実績情報が複数取得された場合には各項目の時間の平均値や中央値を算出する等、統計的手法を用いて検査効率を判定してもよい。
【0064】
例えば、稼働時間について第2の検査の検査効率の方が良好となる場合、導出機能233は、第1の検査及び第2の検査の第2の実績情報に含まれた稼働時間の差分を算出することで、第1の検査で使用された医用画像診断装置11の非稼働時間(空き時間)を算出する。そして、導出機能233は、空き時間の有効利用や省電力化を提案する推奨アクションを導出する。
【0065】
この場合、例えば、導出機能233は、第2の検査の第1の実績情報を参照し、その第1の実績情報含まれた検査内容や検査時間等から、空き時間で実行することが可能な検査内容を抽出する。そして、導出機能233は、抽出した検査内容を空き時間に実行することを提案する推奨アクションを導出する。なお、導出機能233は、第1の検査の第1の実績情報に含まれた検査内容とは異なる検査内容を導出することが好ましい。
【0066】
また、他の例としては、導出機能233は、医用画像診断装置11の空き時間に医用画像診断装置11を省電力状態に移行させること提案する推奨アクションや、省電力状態への移行制御を行うアプリケーションの導入を促す推奨アクションを導出してもよい。
【0067】
また、例えば、検査件数について第2の検査の検査効率の方が良好となる場合、導出機能233は、上述した第1の実績情報についての導出方法と同様に、検査の効率化を図るための方法や手順、代替リソースの導入を促す推奨アクションを導出することができる。
【0068】
なお、導出する推奨アクションの個数は特に問わないものとする。例えば、推奨アクションの個数が閾値を超えるような場合には、実績情報に含まれる項目の各々に設定した優先度に基づき、導出する推奨アクションの個数を制限する形態としてもよい。また、医療機関システム10等から、推奨アクションの導出対象となる実績情報の項目や、その優先度が指示された場合には、その指示内容に基づき推奨アクションを導出する形態としてもよい。また、単一の第1の検査に対し複数の第2の検査を順次比較するような場合には、第2の検査の各々から推奨アクションを個別に導出してもよいし、第2の検査の各々から導出した推奨アクションを統合してもよい。また、推奨アクションの導出は、第1の実施情報及び第2の実施情報の各々について個別に行ってもよいし一度に行ってもよい。
【0069】
[出力機能]
出力機能234は、導出機能233で導出された推奨アクションを外部装置等に出力する。具体的には、出力機能234は、通信インタフェース21を介して、導出機能233が導出した推奨アクションを、第1の検査に係る医用画像診断装置11や当該医用画像診断装置11が属する医療機関システム10に出力(送信)する。
【0070】
これにより、推奨アクションを受信した医療機関システム10では、情報提供サーバ20から提供された推奨アクションに基づき、医用画像診断装置11の撮像条件の見直しや設定変更を行うことで検査効率の向上を図ることができる。また、推奨アクションを受信した医療機関システム10では、情報提供サーバ20から提供された推奨アクションに基づき、既存のリソースの更新や代替リソースの新規導入を行うことで検査効率の向上を図ることができる。
【0071】
また、情報提供サーバ20は、医療機関システム10に対し推奨アクションを提供することで、医療機関システム10全体の検査効率の向上を図ることができる。また、情報提供サーバ20は、医療機関システム10に対し代替リソースの導入を提案する推奨アクションを提供することで代替リソースの導入機会の増加を図ることができる。
【0072】
なお、推奨アクションの出力先は、上記例に限らないものとする。例えば、情報提供サーバ20が表示デバイスを備える場合、出力機能234は、推奨アクションを表示デバイスに表示出力させてもよい。
【0073】
次に、
図5を参照して、情報提供サーバ20の動作例について説明する。
図5は、情報提供サーバ20で実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、本処理の前提として、医用画像診断装置11の各々で記録された撮像条件及び実績情報は、収集機能231の機能により、データベース221に格納済であるとする。
【0074】
まず、取得機能232は、医療機関システム10の何れかから、推奨アクションを要請する要請情報を受け付けるまで待機する(ステップS11;No)。
【0075】
ここで、要請情報は、例えば、第1の検査に係る医用画像診断装置11や操作者を指示するための指示内容(装置ID、操作者ID)を含む。なお、要請情報に第1の検査に係る指示内容が含まれない場合には、例えば、取得機能232は、送信元の医療機関システム10に属する医用画像診断装置11の各々を、第1の検査に係る第1の医用画像診断装置に順次選択する形態としてもよい。
【0076】
取得機能232は、医療機関システム10の何れかから要請情報を受け付けると(ステップS11;Yes)、その要請情報に含まれた指示内容に基づき、データベース221から、第1の検査及び第2の検査のそれぞれに係る医用画像診断装置11の撮像条件及び実績情報(第1の実績情報、第2の実績情報)を取得する(ステップS12)。
【0077】
続いて、導出機能233は、ステップS12で取得された第1の実績情報を第1の検査と第2の検査とで比較し(ステップS13)、第2の検査の検査効率が第1の検査よりも良好となる項目が存在するか否かを判定する(ステップS14)。
【0078】
ここで、第2の検査の検査効率が第1の検査よりも良好となる項目が存在すると判定した場合(ステップS14;Yes)、導出機能233は、該当する項目に応じた推奨アクションを導出し(ステップS15)、ステップS16に移行する。
【0079】
また、ステップS14において、第2の検査の検査効率が第1の検査よりも良好となる項目が存在しないと判定した場合には(ステップS14;No)、ステップS16に直ちに移行する。
【0080】
続いて、導出機能233は、ステップS12で取得された第2の実績情報を第1の検査と第2の検査とで比較し(ステップS16)、第2の検査の検査効率が第1の検査よりも良好となる項目が存在するか否かを判定する(ステップS17)。
【0081】
ここで、第2の検査の検査効率が第1の検査よりも良好となる項目が存在すると判定した場合(ステップS17;Yes)、導出機能233は、該当する項目に応じた推奨アクションを導出し(ステップS18)、ステップS19に移行する。また、ステップS17において、第2の検査の検査効率が第1の検査よりも良好となる項目が存在しないと判定した場合には(ステップS17;No)、ステップS19に直ちに移行する。なお、ステップS15とステップS18とで導出する推奨アクションの内容は、重複しないよう排他制御することが好ましい。
【0082】
続いて、出力機能234は、導出機能233が導出した推奨アクションを、要請情報を送信した医療機関システム10に向けて出力(送信)する(ステップS19)。なお、導出機能233が推奨アクションを導出していない場合には、出力機能234は、検査効率が良好である旨を示した推奨アクションを出力するものとする。
【0083】
ここで、上述したステップS11、S12の処理は、例えば、処理回路23が取得機能232に対応する所定のプログラムを記憶回路22から読み出して実行することにより実現される。また、上述したステップS13~S18の処理は、例えば、処理回路23が導出機能233に対応する所定のプログラムを記憶回路22から読み出して実行することにより実現される。また、上述したステップS19の処理は、例えば、処理回路23が出力機能234に対応する所定のプログラムを記憶回路22から読み出して実行することにより実現される。
【0084】
上述したように、本実施形態では、第1の検査に係る医用画像診断装置11で使用された撮像条件及び実績情報と、第2の検査に係る医用画像診断装置11で使用された撮像条件及び実績情報とを取得する。また、本実施形態では、取得した実績情報を第1の検査と第2の検査とで比較し、第2の検査の検査効率が第1の検査の検査効率よりも良好となる場合に、取得した撮像条件又は実績情報に基づき、第1の検査の検査効率を向上させるための方策を推奨アクションとして導出する。これにより、本実施形態では、医用画像診断装置11の検査効率の向上を図ることができる。
【0085】
上述した実施形態は、情報提供サーバ20が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0086】
(変形例1)
上述した実施形態では、情報提供サーバ20は、医療機関システム10からの要請に応じて推奨アクションを導出する例を説明したが、推奨アクションの導出を開始するトリガは、これに限らないものとする。
【0087】
例えば、情報提供サーバ20は、医療機関システム10の医用画像診断装置11から、検査予定の検査内容が通知されたことを条件に、推奨アクションを導出する形態としてもよい。この場合、取得機能232は、通知された医用画像診断装置11の装置IDを第1の医用画像診断装置に設定し、第1の医用画像診断装置に対応付けられた撮像条件及び第1の実績情報の中から、通知された検査内容と同一又は類似する検査内容を含む第1の実績情報と当該第1の実績情報に対応する撮像条件とを取得する。また、取得機能232は、第1の医用画像診断装置と同一の装置種別の、他の医療機関システム10に属する医用画像診断装置11を第2の医用画像診断装置に設定し、第2の医用画像診断装置に対応付けられた撮像条件及び第1の実績情報の中から、通知された検査内容と同一又は類似する検査内容を含んだ第1の実績情報と当該第1の実績情報に対応する撮像条件とを取得する。そして、導出機能233は、取得機能232が取得した撮像条件及び第1の実績情報について推奨アクションを導出し、導出した推奨アクションを通知元の医用画像診断装置11に出力する。
【0088】
また、情報提供サーバ20は、医療機関システム10の医用画像診断装置11から、検査予定の検査内容が通知されたことを条件に、上述した処理により予め導出しておいた該当する検査内容の推奨アクションを、通知元の医用画像診断装置11に出力する形態としてもよい。
【0089】
これにより、医用画像診断装置11の操作者は、検査予定の検査内容について、情報提供サーバ20から提供された推奨アクションに従い撮像条件の変更やリソースの交換等を行うことで、検査効率の向上を容易に図ることができる。
【0090】
(変形例2)
上述した実施形態では、第1の実績情報及び第2の実績情報に基づき、推奨アクションを一度に導出する形態を説明したが、第1の実績情報及び第2の実績情報の各々から推奨アクションを個別に導出する形態としてもよい。例えば、情報提供サーバ20は、第1の実績情報に係る推奨アクションを医療機関システム10からの要請(要請情報)に応じて導出し、第2の実績情報に係る推奨アクションを所定期間(例えば1ヶ月毎)に自動で導出する形態としてもよい。
【0091】
(変形例3)
上述した実施形態では、医療機関システム10の外部に情報提供サーバ20を設けた例を説明したが、医療機関システム10内に情報提供サーバ20を設ける形態としてもよい。この場合、サーバ装置15が、情報提供サーバ20の各機能部(収集機能231、取得機能232、導出機能233及び出力機能234)を備えることで、情報提供サーバ20として機能する形態としてもよい。この場合、情報提供サーバ20は、自己の医療機関システム10に所属する医用画像診断装置11を、第1の検査に係る医用画像診断装置11に設定して推奨アクションの導出を行うものとする。
【0092】
(変形例4)
上述した実施形態では、情報提供サーバ20は、医療機関システム10の各々に設けられたサーバ装置15を介して撮像条件及び実績情報を取得する例を説明したが、取得方法はこれに限らないものとする。例えば、情報提供サーバ20の収集機能231又は取得機能232が、医用画像診断装置11の各々から撮像条件及び実績情報を収集や取得する形態としてもよい。なお、取得機能232が、医用画像診断装置11の各々から撮像条件及び実績情報を直接取得する場合には、情報提供サーバ20から収集機能231及びデータベース221を取り除く構成としてもよい。
【0093】
(変形例5)
また、上述した各実施形態では、本明細書における収集部、取得部、導出部及び出力部を、それぞれ、処理回路23の収集機能231、取得機能232、導出機能233及び出力機能234によって実現する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本明細書における収集部、取得部、導出部及び出力部は、実施形態で述べた収集機能231、取得機能232、導出機能233及び出力機能234によって実現する他にも、ハードウェアのみ、又は、ハードウェアとソフトウェアとの混合によって同機能を実現するものであってもよい。
【0094】
なお、上述した説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで、機能を実現する。なお、記憶回路22にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合は、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。また、本実施形態のプロセッサは、単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0095】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に保存され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0096】
以上説明した少なくとも1つの実施形態(変形例)によれば、医用画像診断装置11の検査効率の向上を図ることができる。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0098】
1 情報処理システム
10 画像診断システム
11 医用画像診断装置
11a MRI装置
15 サーバ装置
20 情報提供サーバ
231 収集機能
232 取得機能
233 導出機能
234 出力機能