IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社岡村製作所の特許一覧

<>
  • 特許-ブース装置 図1
  • 特許-ブース装置 図2
  • 特許-ブース装置 図3
  • 特許-ブース装置 図4
  • 特許-ブース装置 図5
  • 特許-ブース装置 図6
  • 特許-ブース装置 図7
  • 特許-ブース装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】ブース装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
E04H1/12 302Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018207777
(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公開番号】P2020070700
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】土山 和功
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亜子
(72)【発明者】
【氏名】西原 誉人
(72)【発明者】
【氏名】鞠子 憲太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡村 信治
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-360422(JP,A)
【文献】特開2000-096722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12-1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面に沿って側方に延びる横板部、及び該横板部の一方の端部から床面まで延びる縦板部を有する正面視逆L字状の正面壁体と、前記縦板部の内側面から奥行方向に延びる側面壁体と、前記横板部の下端面と前記側面壁体の上端面とに亘って奥行方向に延びる上面壁体と、により内部に空間を形成し、
前記側面壁体と前記上面壁体の奥端部に亘って配置され、背面側を閉塞する背面壁体を更に備え、
奥行方向の前後にそれぞれ左右一対の支柱が床面から天井面まで延びて配置され、左右一対の前記支柱は、それぞれ横杆部材により左右に連結され、かつ前後の前記支柱同士も横杆部材により連結されており、
前後の前記支柱同士を連結する前記横杆部材と、後方の前記支柱同士を左右に連結する前記横杆部材とには、前記側面壁体の上端面及び前記背面壁体の上端面に沿って延びる横目地部材がそれぞれ固定されており、
前記上面壁体は、前記横目地部材に左右と背面側の側縁が載置されて支持され、
前記横板部は、前方の前記支柱の上端部前面にそれぞれ取付けられ、その後方に前記上面壁体の前方側の側縁が配置されていることを特徴とするブース装置。
【請求項2】
前記ブース装置は、数の前記支柱と、前記支柱が露出しないように該支柱の周囲を囲って取付けられる複数のパネル部材と、により形成されていることを特徴とする請求項に記載のブース装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立した空間を形成するブース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス、会議室、ショールーム、店舗等の室内を所定の区画に仕切り、所望の小区画のレイアウトを実現する際には、複数のパネル部材を左右または前後等の所定の方向に連設して室内を左右または前後方向に区画する工法が用いられている。また、複数のパネル部材を利用した装置として、複数のパネル部材により周囲を囲うように配置して独立性の高い内部空間を形成するブース装置も利用されつつある。
【0003】
例えば、特許文献1のように、四隅に支柱を配置し、支柱間にパネル部材を配置してなるブース装置が知られている。このブース装置は、側方の4面のうち1面に出入口用の扉が形成されており、扉を閉塞することにより、4面がパネル部材及び扉により囲われた独立性の高い内部空間を形成できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-110387号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のブース装置にあっては、側壁が連続して4面形成されているため、独立性の高い内部空間を形成できるが、該内部空間が室内の天井面に連続しているため、室内の天井面が高い場合には、内部空間が上方に亘って大きく形成されてしまい、落ち着きのある内部空間を形成できない虞があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、落ち着きのある内部空間を形成できるブース装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のブース装置は、
天井面に沿って側方に延びる横板部、及び該横板部の一方の端部から床面まで延びる縦板部を有する正面視逆L字状の正面壁体と、前記縦板部の内側面から奥行方向に延びる側面壁体と、前記横板部の下端面と前記側面壁体の上端面とに亘って奥行方向に延びる上面壁体と、により内部に空間を形成し、
前記側面壁体と前記上面壁体の奥端部に亘って配置され、背面側を閉塞する背面壁体を更に備え、
奥行方向の前後にそれぞれ左右一対の支柱が床面から天井面まで延びて配置され、左右一対の前記支柱は、それぞれ横杆部材により左右に連結され、かつ前後の前記支柱同士も横杆部材により連結されており、
前後の前記支柱同士を連結する前記横杆部材と、後方の前記支柱同士を左右に連結する前記横杆部材とには、前記側面壁体の上端面及び前記背面壁体の上端面に沿って延びる横目地部材がそれぞれ固定されており、
前記上面壁体は、前記横目地部材に左右と背面側の側縁が載置されて支持され、
前記横板部は、前方の前記支柱の上端部前面にそれぞれ取付けられ、その後方に前記上面壁体の前方側の側縁が配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、例えば、部屋の壁に側面壁体の上面壁体側の面が対向するようにブース装置を配置する、または一対の側面壁体を有するブース装置を構成することで、正面壁体から延設される側面壁体及び上面壁体を利用した簡単な構造により、室内の壁面や天井面とは独立した落ち着きのある内部空間を形成できる。また、正面壁体は、上下方向に幅を有する横板部と、左右方向に幅を有する縦板部と、により存在感があり、該正面壁体の内側に内部空間が形成されるので、内部空間の独立性を強調することができる。
【0012】
前記ブース装置は、数の前記支柱と、前記支柱が露出しないように該支柱の周囲を囲って取付けられる複数のパネル部材と、により形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、簡便な構成により自立するブース装置を構成することができるとともに、支柱が外部から露見しないので美観に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例におけるブース装置を示す斜視図である。
図2】間仕切パネル装置の分解斜視図である。
図3】ブース装置の下部構造を示す斜視図である。
図4図3の分解斜視図である。
図5】上部構造を分解して示すブース装置の斜視図である。
図6】ブース装置の側断面図である。
図7】(a)はブース装置の縦板部近傍の構造を示す上面断面図、(b)はブース装置の背面壁体と間仕切パネル装置との連結部分の構造を示す上面断面図である。
図8】ブース装置の配置の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るブース装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例
【0015】
実施例に係るブース装置につき、図1から図7を参照して説明する。以下、図6の紙面左側をブース装置の正面側(前方側)とし、紙面手前側をブース装置の右側として説明する。
【0016】
図1に示されるように、ブース装置1は、主に室内のオフィス空間やショールーム等の空間に独立性の高い空間を区画するために設置されるものであり、例えば、ミーティングスペースとして活用される。本実施例では、ブース装置1と、室内の空間を区分けする間仕切パネル装置10と、を組合わせ、室内の空間を利用目的に合わせて所望の形状に区画している。
【0017】
先ず、間仕切パネル装置10について説明する。図2に示されるように、間仕切パネル装置10は、主に、左右方向に複数立設された支柱2と、これら支柱2の間に高さ方向に複数架けられた中間部材3と、笠木レール5、巾木レール6、中間部材3により形成される枠に支持される複数のパネル部材4とにより構成されている。
【0018】
支柱2は、アルミ材の押し出し加工により製作された上下方向に延びる長尺部材であり、天井面Rに沿って左右方向に延びる笠木レール5と、床面Fに沿って左右方向に延びる巾木レール6と、の間に立設されている。支柱2の上端には、取付金具11が取付けられており、取付金具11を介して笠木レール5に取付けられている。また、支柱2の下端は、巾木レール6を上方から被覆する横フレーム9に接続されており、この横フレーム9と巾木レール6との間には、横フレーム9の高さを調整可能な高さ調整装置12が左右方向に離間して複数配置されている。なお、支柱2は、薄肉鋼板を曲げ加工することにより製作されていてもよい。
【0019】
また、支柱2の前面2a及び後面2bには、取付部材7が支柱2の長手方向に沿って所定間隔毎に取付けられており、取付部材7に対してビスやフック等の図示しない連結部材によりパネル部材4が取付けられている。
【0020】
中間部材3は、薄肉鋼板を曲げ加工することにより製作された左右方向に延びる長尺部材であり、支柱2の前面2a及び後面2bに上下に離間して2つ取付けられている。本実施例1の中間部材3は、上下に連結される3つの分割部材3A,3B,3Cから構成されている。尚、ここでは、前側の中間部材3について説明する。
【0021】
中間部材3において上段に位置する分割部材3Aは、上方に開口する上向きコ字状を成し、底部3aと、底部3aの前端から立ち上がる前片部3bと、底部3aの後端から立ち上がる後片部3cと、から構成されており、前片部3bは、後片部3cよりも上下方向に短寸に形成されている。尚、下段に位置する分割部材3Bは、分割部材3Aを天地反転させた形状であるため、各部位に同一符号を付して説明を省略する。
【0022】
中段に位置する分割部材3Cは、平板状を成し、上面に分割部材3Aの底部3aが溶接固定され、下面に分割部材3Bの底部3aが溶接固定されている。尚、分割部材3A,3Bは、分割部材3Cの後端側の辺に沿って固定されており、分割部材3Cの前端側は、分割部材3A,3Bの前片部3bよりも前方側に張り出している。
【0023】
このように形成された中間部材3は、分割部材3A,3Bの後片部3c,3cが支柱2の前面2aにビスなどで固定されている。また、分割部材3Cの前端部には、パネル部材4の下端が載置されるようになっており、パネル部材4を支持できるようになっている。すなわち、上下に連設されるパネル部材4の間には、分割部材3Cにより横目地10aが形成されている(図1参照)。尚、パネル部材4の裏面側の上下端部には、図示しないフックが設けられており、分割部材3A,3Bの前片部3b,3bに上方向または下方向から係止されるようになっている。
【0024】
パネル部材4は、薄肉鋼板を曲げ加工することにより成形された正面視矩形状の表面材と、該表面材の裏面に取付けられた断熱材と、から構成されている。本実施例では、支柱2の前面2a及び後面2bに上下3段ずつ取付けられている。
【0025】
具体的には、上段のパネル部材4は、左右の支柱2と、笠木レール5と、上側の中間部材3と、で形成される矩形枠に取付けられており、中段のパネル部材4は、左右の支柱2と、上下の中間部材3と、で形成される矩形枠に取付けられており、下段のパネル部材4は、左右の支柱2と、巾木レール6と、下側の中間部材3と、で形成される矩形枠に取付けられている。
【0026】
前後に配置される上段のパネル部材4,4の上端部の間には、上段のパネル部材4,4の前後方向の距離を保持する介在部材8が配設されており、上段のパネル部材4,4の上端部同士が近接することを防止している。また、下段のパネル部材4,4の下端部の間には、横フレーム9が配置されており、下段のパネル部材4,4の下端部同士が近接することを防止している。
【0027】
次に、ブース装置1について説明する。図1に示されるように、ブース装置1は、左右の間仕切パネル装置10の間に配置されており、室内空間とは独立した内部空間Zを有し、内部空間Zには、テーブル13や椅子14が配置されている。このブース装置1は、下部構造1Aと上部構造1Bとを備えている。
【0028】
図3に示されるように、ブース装置1の下部構造1Aは、床面Fから天井面Rまで延びる8本の支柱2A~2Hと、支柱2A~2Hの周囲を囲うように取付けられる5種類のパネル部材4A~4Eと、から主に構成されており、上面視において前方に開口する略コ字形状を成している。尚、本実施例では、支柱2A~2Hは断面視矩形状を成す形態を例示するが、断面視コ字状などであってもよい。
【0029】
具体的には、図3及び図4に示されるように、支柱2A~2Dは、下部構造1Aの外側の四隅に配置され、支柱2E~2Hは、下部構造1Aの内側の四隅に配置されている。尚、支柱2A~2Hの上下端には、笠木レール5及び巾木レール6が配設されている(図6参照)。
【0030】
外側の四隅に配置された支柱2A,2C間、支柱2B,2D間は、横杆部材15Aにより連結されており、支柱2C,2D間は、横杆部材15Bにより連結されている。また、下部構造1Aの内側の四隅に配置された支柱2E,2G間、支柱2F,2H間は、横杆部材15Cにより連結されており、支柱2G,2H間は、横杆部材15Dにより連結されている。また、前方に配置される支柱2A,2E間、支柱2B,2F間は、横杆部材15Eにより連結されており、支柱2E,2F間は、横杆部材15Fにより連結されている。
【0031】
横杆部材15A~15Eは、各支柱2A~2Hの上端よりも下方の位置、下端よりも上方の位置に2本ずつ設けられている。また、横杆部材15Fは、上段に設置される横杆部材15A~15Eよりも若干高い位置で支柱2E,2F間に設けられている(図6参照)。
【0032】
パネル部材4Aは、支柱2A,2C及び横杆部材15Aにより構成された上段の矩形枠及び下段のコ字状枠と、支柱2B,2D及び横杆部材15Aにより構成された上段の矩形枠及び下段のコ字状枠と、に取付けられており、下部構造1Aの外側の側面部を構成している。パネル部材4Bは、支柱2C,2D及び横杆部材15Bにより構成された上段の矩形枠及び下段のコ字状枠に付けられており、下部構造1Aの外側の背面部を構成している。パネル部材4Cは、支柱2E,2G及び横杆部材15Cにより構成された上段の矩形枠及び下段のコ字状枠と、支柱2F,2H及び横杆部材15Cにより構成された上段の矩形枠及び下段のコ字状枠と、に取付けられており、下部構造1Aの内側の側面部を構成している。パネル部材4Dは、支柱2G,2H及び横杆部材15Dにより構成された上段の矩形枠及び下段のコ字状枠に付けられており、下部構造1Aの内側の背面部を構成している。パネル部材4Eは、支柱2A,2E及び横杆部材15Eにより構成された上段の矩形枠及び下段のコ字状枠と、支柱2B,2F及び横杆部材15Eにより構成された上段の矩形枠及び下段のコ字状枠と、に取付けられており、下部構造1Aの正面部を構成している。
【0033】
図5に示されるように、ブース装置1の上部構造1Bは、2本の横杆部材15Cと横杆部材15Dと横杆部材15Fとで構成される矩形枠に取付けられる上面視矩形状のパネル部材4Fと、支柱2A,2Bの上端部前面に取付けられるパネル部材4Gと、支柱2A,2C及び支柱2B,2Dの上端部外側面に取付けられるパネル部材4Hと、支柱2C,2Dの上端部背面に取付けられるパネル部材4Jと、から主に構成されている。パネル部材4G,4H,4Jは、パネル部材4E,4A,4Bの上端から笠木レール5に亘って面一をなすように延びている(図6参照)。
【0034】
図1に戻って、ブース装置1の内部空間Zは、パネル部材4Cとパネル部材4Dとパネル部材4Fにより囲われた空間であり、その正面は、パネル部材4G及びパネル部材4Eにより縁取られている。すなわち、パネル部材4Cはブース装置1の側面壁体、パネル部材4Dはブース装置1の背面壁体、パネル部材4Fはブース装置1の上面壁体、パネル部材4G及びパネル部材4Eはブース装置1の正面壁体として機能している。また、パネル部材4Gは正面壁体の横板部、パネル部材4Eは正面壁体の縦板部として機能しており、1つのパネル部材4Gと2つのパネル部材4Eにより正面壁体が構成され正面視において下向きコ字状に形成されている。
【0035】
このように、ブース装置1には、該ブース装置1の正面壁体(パネル部材4G及びパネル部材4E)から直交して奥行き方向に延設されるパネル部材4C,4Fと、パネル部材4C,4Fに直交して内部空間Zの背面側に配置され上下方向に延設されるパネル部材4Dと、を利用した簡単な構造により、室内の壁面や天井面とは独立した落ち着きのある内部空間Zを形成できる。具体的には、パネル部材4C,4Dにより側面及び背面を区画して周囲の視線を遮ることができるとともに、パネル部材4Fにより室内の天井面Rよりも低い位置に内部空間Zの天井部を構成できるため、プライバシーが確保され、且つ落ち着いた内部空間Zを構成できる。
【0036】
また、天井面に沿って左右方向に延びるパネル部材4Gは、上下方向に幅を有するとともに、上下方向に延びるパネル部材4Eは、左右方向に幅を有することから、パネル部材4G,4Eにより構成される正面壁体は、正面から見て存在感があり、内部空間Zは、パネル部材4G,4Eにより縁取られているので、該内部空間Zの独立性が強調される。尚、パネル部材4Gの上下幅は、パネル部材4Eの左右幅よりも広く形成されているので、パネル部材4Fが低い位置にあることを強調でき、落ち着いた内部空間Zを構成できるとともに、パネル部材4F,4G,4H,4Jにより囲まれた空間を有効活用できる。例えば、パネル部材4F,4G,4H,4Jで囲まれた空間に照明装置や音響装置等を配置することができる。また、パネル部材4Eの左右幅は、支柱2の左右幅よりも幅広であり、好ましくは、2本の支柱2よりも幅広に形成されている。これによれば、パネル部材4Eの左右両端に配置されるパネル部材4A,4Cの左右の離間幅を大きくとることができるので、パネル部材4A,4C,4Eで囲まれた空間を有効活用することができる。例えば、パネル部材4A,4C,4Eで囲まれた空間に照明装置や音響装置等を配置することができる。
【0037】
また、ブース装置1は、床面Fから天井面Rまで延びる複数の支柱2A~2Hと、支柱2A~2Hが露出しないように該支柱2A~2Hの周囲を囲って取付けられる複数のパネル部材4A~4Jと、により形成されている。すなわち、間仕切パネル装置10を構成する部材と同じ部材を利用して自立するブース装置1を構成することができるとともに、支柱2A~2Hが外部から露見しないので美観に優れる。また、各パネル部材4A~4Jが支柱2A~2Hに支持されて自立しているので、ブース装置1の設置位置が室内の壁際等に限定されず自由な位置に設置することができる。また、支柱やパネル部材の数量やサイズ、配置を変更することで、ブース装置の形状を自由に構成できる。
【0038】
また、図1図3図6に示されるように、上下に連設されるパネル部材4A~4Jの間には、横目地41が形成されている。図6に示されるように、横杆部材15A~15Eにおけるパネル部材側の面には、横目地部材16または横目地部材17が固着されており、横目地部材16または横目地部材17を介してパネル部材4A~4Jが上下に連設されることで横目地41が形成されている。
【0039】
横目地部材16は、上段の横杆部材15C,15Dに取付けられ、パネル部材4F(上面壁体)と上段のパネル部材4C(側面壁体)との間、パネル部材4F(上面壁体)とパネル部材4D(背面壁体)との間に横目地41を形成するものである。また、横目地部材17は、上下段の横杆部材15A,15Bと下段の横杆部材15C,15Dに取付けられ、上下に連設される上記以外のパネル部材の間に横目地41を形成するものである。
【0040】
先ず、横目地部材16について図6に基づいて説明する。尚、ここでは、パネル部材4Fとパネル部材4Dとの間に横目地41を形成する横目地部材16を例に挙げ説明する。
【0041】
横目地部材16は、上段の横杆部材15Dの前面に沿って左右方向に延びる基部16aと、基部16aの上下中央部から前方へ延びる水平片部16bと、水平片部16bの前端よりも後方側の位置から下方に延出する垂下片部16cと、を備えている。基部16aは、上段の横杆部材15Dの前面にボルトなどの連結部材や溶接等により固着されている。パネル部材4Fは、その後端側の側縁が基部16a及び水平片部16bにより形成された段部に載置支持されている。一方、パネル部材4Dは、その上端側の側縁が水平片部16b及び垂下片部16cにより形成された段部に嵌合されている。
【0042】
すなわち、水平片部16bは、パネル部材4Dの上端面に沿って延びており、パネル部材4Fとパネル部材4Dとで上下方向に狭持されるようになっており、水平片部16bの板厚によりパネル部材4Fとパネル部材4Dとの間に横目地41が形成される。尚、垂下片部16cの前面から水平片部16bの前端面までの距離は、パネル部材4Dの板厚よりも短く形成されているため、水平片部16bがパネル部材4Dの前面よりも奥側に配置されることとなり、パネル部材4Fとパネル部材4Dとの間に形成される影により横目地41を強調することができる。また、パネル部材4Fとパネル部材4Cとの間にも横目地41が形成される。すなわち、パネル部材4Fとパネル部材4Dとの間に形成される横目地41とパネル部材4Fとパネル部材4Cとの間に形成される横目地41とが同じ高さ位置で連続的に連なっているため、内部空間Zに横方向の広がりを視覚的に演出でき、落ち着いた空間を演出できる。
【0043】
また、パネル部材4Fは、上段の各横杆部材15C,15Dに取付けられる横目地部材16によりパネル部材4Fの左右の側縁と内部空間Zの背面側の側縁とが載置支持されるので、安定的に支持されるようになっている。また、パネル部材4Fの前方側の側縁は、横杆部材15Fの下方に配置されているとともに、その前方側にパネル部材4Gが配置されるので、外力によるパネル部材4Fの浮き上がりや前方側への抜け出しが防止される。また、パネル部材4Fの内部空間Zの背面側の端面は横目地部材16の基部16aに接触している。すなわち、パネル部材4Fは、横目地部材16と横杆部材15Fにより前後の2点で支持されているので、パネル部材4Fを安定的に支持することができる。
【0044】
次に、横目地部材17について図6に基づいて説明する。尚、ここでは、上下段のパネル部材4Dの間に横目地41を形成する横目地部材17を例に挙げ説明する。
【0045】
横目地部材17は、下段の横杆部材15Bの前面に沿って左右方向に延びる基部17aと、基部17aの上下中央部から前方へ延びる水平片部17bと、水平片部17bの前端よりも後方側の位置から上方及び下方に延出する垂直片部17c,17dと、を備えている。基部17aは、下段の横杆部材15Bの前面にボルトなどの連結部材や溶接等により固着されている。上段のパネル部材4Dは、その下端側の側縁が水平片部17bと垂直片部17cとで形成された段部に載置支持されている。一方、下段のパネル部材4Dは、その上端側の側縁が水平片部17b及び垂直片部17dとで形成された段部に嵌合されている。
【0046】
すなわち、水平片部17bは、上下段のパネル部材4Dにより上下方向に狭持されるようになっており、水平片部17bの板厚により上下段のパネル部材4Dの間に横目地41が形成される。尚、垂直片部17c,17dの前面から水平片部17bの前端面までの距離は、パネル部材4Dの板厚よりも短く形成されているため、水平片部17bがパネル部材4Dの前面よりも奥側に配置されることとなり、上下段のパネル部材4Dの間に形成される影により横目地41を強調することができる。
【0047】
また、図1に戻って、各横目地41は、ブース装置1の外形に沿って無端状を成すように左右方向に連続して形成されているので、ブース装置1のデザイン性が向上するとともに、内部空間Zに横方向の広がりを視覚的に演出できる。さらに、ブース装置1の横目地41は、間仕切パネル装置10の横目地10aと連続するようになっているため、ブース装置1と間仕切パネル装置10との連続性が向上し、見栄えが良い。
【0048】
また、横目地部材16,17を上下に連設されるパネル部材間に介在させるだけで横目地41を形成することができるので、横目地41を形成する作業が簡便である。
【0049】
次いで、支柱2A~2Hに対するパネル部材4A~4Jの取付態様について図7に基づいて説明する。尚、ここでは、支柱2A,2Eに対するパネル部材4A,4C,4Eの取付態様と、支柱2C近傍のパネル部材4A,4B及び間仕切パネル装置10のパネル部材4の取付態様について説明する。
【0050】
図7(a)に示されるように、支柱2Aの前方右側の角部には、取付部材71が取付けられている。この取付部材71は、支柱2Aの右側面に対して平行に延びる支持部71aと、支柱2Aの前面に対して平行に延びる支持部71bと、を備えている。取付部材71が支柱2Aの角部に取付けられた状態にあっては、支持部71aが支柱2Aの右側面よりも右方に位置し、支持部71bが支柱2Aの前面よりも前方に位置するようになっている。また、支柱2Eの前方左側の角部にも取付部材71が取付けられているが、支柱2Aに取付けられる取付部材71と同一構成であるため、説明を省略する。
【0051】
パネル部材4A,4Cが左右の取付部材71の支持部71aに所定の連結部材20により接続されているとともに、パネル部材4Eが左右の取付部材71の支持部71bに亘って連結部材20により接続されている。形状やサイズの異なる取付部材71を用意しておけば、ブース装置1の大きさや形状を適宜変更することができる。例えば、左右のパネル部材の間隔が異なるパネル部材を前後に連設することができる。尚、本実施例の連結部材20は、取付部材側とパネル部材側にフックを有するフック部材を想定しているが、ビスやボルトナット等であってもよい。
【0052】
また、図7(b)に示されるように、支柱2Cの後方右側の角部には、取付部材71が取付けられており、支持部71aにはパネル部材4Aが取付けられ、支持部71bにはパネル部材4Bが取付けられている。また、パネル部材4Bの右側には、間仕切パネル装置10のパネル部材4が連続するように配置されており、パネル部材4B及びパネル部材4の背面側には、間仕切パネル装置10の支柱2が配置されている。この支柱2の前面には、断面矩形状の取付部材72が固定されており、取付部材72の前面左側には、連結部材20によりパネル部材4Bの右端縁が取付けられており、取付部材72の前面右側には、連結部材20によりパネル部材4の左端縁が取付けられている。
【0053】
このように、間仕切パネル装置10を構成する部材と同じ部材を利用して自立するブース装置1を簡便に構成することができるとともに、ブース装置1と間仕切パネル装置10とを組合わせることにより室内空間を自由に区画できる。
【0054】
また、ブース装置の配置に関する変形例として次のようなものもある。図8に示されるように、ブース装置1’は、室内の角部を構成する一方の側壁W1に沿って配置され、間仕切パネル装置10は、室内の角部を構成する他方の側壁W2に沿って配置されており、ブース装置1’と間仕切パネル装置10とは、室内の角部に配置され2つの小部屋に区画する区画装置30を介して連設されている。尚、間仕切パネル装置10は、室内側にのみパネル部材4が配置されており、側壁W2側にはパネル部材4が配置されていない。間仕切パネル装置10の支柱2は、室内側のパネル部材4よりも側壁W2側に配置されているので、露見しないようになっており見栄えが良い。また、ブース装置1’はパネル部材4B,4Jの構成も省略されている。
【0055】
区画装置30は、側壁W1及び側壁W2に沿って配置される壁部(図示略)と、ブース装置1’側に配置される壁部31と、正面側(側壁W2に沿って配置される壁部と壁部31との間)に配置される壁部32と、前記壁部及び壁部31,32により囲まれた空間を左右に区画する壁部(図示略)と、を備えている。各壁部は、床面から天井面まで延びているとともに、床面から天井面まで延びる複数の支柱(図示略)により支持されている。本変形例では、壁部31がブース装置1’の内部空間Zを構成する側面壁体として機能している。尚、本変形例の壁部31は、上下3枚のパネル部材31a,31b,31cから構成されており、パネル部材31aは、ブース装置1’のパネル部材4Gと上下同一幅を成し、パネル部材31b,31cは、パネル部材4Dと上下同一幅を成している。パネル部材31a,31b,31cの間には、ブース装置1’の横目地41と連続する横目地38が形成されている。
【0056】
また、壁部31の前端には、上面視略L字状のガラスパネル33が配置されている。また、壁部32は、左右に離間して配置されるガラス製の扉部材34,35と、扉部材34,35の間に配置されるガラスパネル36と、扉部材35と側壁W2に沿って配置される壁部との間に配置されるガラスパネル37と、から構成されている。ガラスパネル36は、区画装置30を左右に区画する前記壁部の前端に配置されており、扉部材35,36は、区画装置30の左右の空間(小部屋)にそれぞれ対応して配置されている。
【0057】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0058】
例えば、前記実施例では、ブース装置1の正面壁体がパネル部材4G及びパネル部材4Eにより正面視下向きコ字状を成す形態を説明したが、正面壁体は、パネル部材4Gと少なくとも一方のパネル部材4Eとを有していればよい。例えば、正面壁体がパネル部材4Gと一方のパネル部材4Eとで正面視逆L字状に形成される場合、パネル部材4Gにおける一方のパネル部材4Eとは反対側の端部が任意の壁部(室内の側壁等)に接するようにブース装置を配置することで、任意の壁部とパネル部材4C,4D,4Fとにより独立した内部空間を形成できる。
【0059】
また、前記実施例では、パネル部材4Dがブース装置1の背面壁体を構成する形態を例示したが、これに限られず、少なくとも一方の側面壁体と上面壁体とを有していれば、背面壁体の構成を省略してもよい。
【0060】
また、前記実施例では、正面が開口するようにブース装置1が形成されていたが、例えば、ブース装置1の前面に扉などを設置してプライバシー性を向上させるようにしてもよい。また、前記実施例では、パネル部材が薄肉鋼板を曲げ加工することにより成形された正面視矩形状の表面材と、該表面材の裏面に取付けられた断熱材と、から構成されている形態を例示したが、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置をパネル部材としてもよいし、ガラスパネル等の透光性を有する部材により構成されていてもよい。
【0061】
また、前記実施例では、各パネル部材4A~4Jを複数の支柱2A~2Hの周囲に固定してブース装置1を構成していたが、例えば、正面壁体、側面壁体、上面壁体を一体的に連結したパネル構造体を一本の支柱に対して支持させるようにしてもよい。また、正面壁体、側面壁体、上面壁体を一体的に連結したパネル構造体が自立可能であれば支柱の構成を省略してもよい。
【0062】
また、前記実施例では、横目地部材16,17は、横杆部材15A~15Cに取付けられる形態を例示したが、横目地部材と横杆部材とが一体的に形成されていてもよい。また、横目地部材16,17は、横杆部材15A~15Cに沿って横方向に延設される形態を例示したが、横方向に複数分割されていてもよい。
【0063】
また、前記実施例では、ブース装置1と間仕切パネル装置10とを組合わせて室内を区画する形態を例示したが、ブース装置1を単体で室内に配置してもよい。
【0064】
また、前記実施例では、別個に設けられたブース装置1と間仕切パネル装置10とが組合わされる形態を例示したが、例えば、ブース装置1のパネル部材を間仕切パネル装置10のパネル部材として利用してもよいし、間仕切パネル装置10のパネル部材をブース装置1のパネル部材として利用してもよい。すなわち、ブース装置1と間仕切パネル装置10とに渡ってパネル部材が配設されていてもよい。
【0065】
また、前記実施例では、ブース装置1の一面にパネル部材が上下3段連設される形態を例示したが、これに限られず、ブース装置1の一面に対して1枚のパネル部材が取付けられる形態であってもよいし、ブース装置1の一面に対してパネル部材が上下2段、または4段以上連設されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 ブース装置
1A 下部構造
1B 上部構造
2,2A~2H 支柱
4,4A~4J パネル部材
10 間仕切パネル装置
10a 横目地
15A~15D 横杆部材
16,17 横目地部材
41 横目地
71,72 取付部材
72 取付部材
Z 内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8