(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】シート材の画像処理装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20221130BHJP
G01N 21/898 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
G01N21/892 A
G01N21/898 A
(21)【出願番号】P 2018214013
(22)【出願日】2018-11-14
【審査請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】597090907
【氏名又は名称】東都フォルダー工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 祐介
(72)【発明者】
【氏名】西尾 貴志
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-128822(JP,A)
【文献】特開2009-285109(JP,A)
【文献】特開2000-329701(JP,A)
【文献】特開2011-242330(JP,A)
【文献】特開2010-099235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色系と濃色系のシート材を
ランダムに搬送する搬送部と、
白色の検査台と、
前記シート材の搬送方向と交差する方向に前記白色の検査台と互いに並列に延在する黒色の検査台と、
前記
白色の検査台
及び前記黒色の検査台の上を通過する前記シート材を撮像して画像を得る撮像部と、
得られた前記画像から前記白色の検査台
又は前記黒色の検査台と前記シート材との明度差に基づいて前記シート材の領域を検出し、シート材画像を得るシート材画像取得部と、
を備えたシート材の画像処理装置。
【請求項2】
前記シート材画像に基づいて前記シート材の欠陥を検出する検査部をさらに備える、請求項
1に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃色系シート材を含むシート材の画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リネンサプライ業界では、タオル(バスタオル、フェイスタオル)、シーツ等の大量の洗濯物が処理される。この洗濯物は、使用された結果、穴が開いたり汚れが付着した場合には人によってチェックされて不良品として除外される。また、この洗濯物のチェックを自動化することが試みられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、処理するほとんどの洗濯物が白色系であるため、これらのタオル、シーツ等の布片(シート材)について黒色の検査台を用いて、得られた画像から黒色の検査台色以外の領域を布片領域とすることが行われている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-329701号公報
【文献】特開2014-202700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、近年、ホテル業界等のニーズ多様化により、白色系だけでなく、茶、紺、黒色等の濃色系のシート材を扱うことが増えてきている。白色系と濃色系のシート材が混在した状況で、濃色系のシート材について、シート材の領域を検出しようとした場合には、黒色の検査台との明度差があまりないため誤検出するおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、濃色系のシート材について、シート材の領域の誤検出を抑制できる画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るシート材の画像処理装置は、シート材を搬送する搬送部と、
白色の検査台と、
前記検査台の上を通過する前記シート材を撮像して画像を得る撮像部と、
得られた前記画像から前記白色の検査台と前記シート材との明度差に基づいて前記シート材の領域を検出し、シート材画像を得るシート材画像取得部と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るシート材の画像処理装置によれば、濃色系のシート材について、シート材の領域の誤検出を抑制できる。これにより、色の濃淡が異なるシート材がランダムに搬送されてくる場合でも、すべての種類のシート材の正確な検査が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る画像処理装置の構成を示す平面図である。
【
図2】
図1の画像処理装置の鉛直方向とシート材の搬送方向とに垂直な方向から見た撮像光学系の構成を示す概略図である。
【
図3】実施の形態1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図4A】白色の検査台を用いて濃色系のシート材の領域を検出する場合を示す概略平面図である。
【
図4B】白色の検査台及び黒色の検査台を用いて白色系のシート材及び濃色系のシート材の領域を検出する場合を示す概略平面図である。
【
図5A】
図4Aの白色の検査台を用いて濃色系のシート材の領域を検出し、シート材画像を取得するシート材画像取得方法のフローチャートである。
【
図5B】
図4Bの黒色の検査台及び白色の検査台を用いて濃色系のシート材及び白色系のシート材の領域を検出し、シート材画像を取得するシート材画像取得方法のフローチャートである。
【
図6A】実施の形態2に係る画像処理方法における検査方法において検出した濃色系のシート材の穴を示す概略平面図である。
【
図7A】シート材の汚れ、穴が黒色の検査台の上にある場合に得られる画像を示す概略平面図である。
【
図7B】シート材の汚れ、穴が白色の検査台の上にある場合に得られる画像を示す概略平面図である。
【
図8】実施の形態2に係る画像処理方法におけるシート材の欠陥の検出方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の態様に係るシート材の画像処理装置は、シート材を搬送する搬送部と、
白色の検査台と、
前記検査台の上を通過する前記シート材を撮像して画像を得る撮像部と、
得られた前記画像から前記白色の検査台と前記シート材との明度差に基づいて前記シート材の領域を検出し、シート材画像を得るシート材画像取得部と、
を備える。
【0011】
第2の態様に係るシート材の画像処理装置は、上記第1の態様において、前記検査台は、前記シート材の搬送方向と交差する方向に前記白色の検査台と互いに並列に延在する黒色の検査台をさらに有し、前記シート材画像取得部は、得られた前記画像から前記白色の検査台又は前記黒色の検査台と前記シート材との明度差に基づいて前記シート材の領域を検出し、シート材画像を得てもよい。
【0012】
第3の態様に係るシート材の画像処理装置は、上記第1又は第2の態様において、前記シート材画像に基づいて前記シート材の欠陥を検出する検査部をさらに備えてもよい。
【0013】
以下、実施の形態に係るシート材の画像処理装置及びシート材の画像処理方法について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0014】
(実施の形態1)
<シート材の画像処理装置>
図1は、実施の形態1に係る画像処理装置10の構成を示す平面図である。
図2は、
図1の画像処理装置の鉛直方向とシート材の搬送方向とに垂直な方向から見た撮像光学系の構成を示す概略図である。
図3は、実施の形態1に係る画像処理装置10の構成を示すブロック図である。なお、図では、便宜上、シート材1の搬送方向をX方向、シート材の搬送方向に垂直な幅方向をY方向、鉛直上方をZ方向として示している。
【0015】
実施の形態1に係るシート材の画像処理装置10は、シート材1を搬送する搬送部11と、シート材がその上を通過する白色の検査台12と、検査台の上を通過する前記シート材を撮像して画像を得る撮像部14と、シート材画像を得るシート材画像取得部35aと、を備える。シート材画像取得部35aでは、得られた画像から白色の検査台12とシート材1との明度差に基づいてシート材の領域を検出し、シート材画像を得る。
これによって、濃色系のシート材であっても白色の検査台との明度差が大きいので、シート材の領域の誤検出を抑制できる。
【0016】
以下に、この画像処理装置10を構成する構成部材について説明する。
【0017】
<搬送部>
搬送部11によってシート材1を検査台12に搬送する。図では、便宜上、この搬送方向をX方向としている。搬送部11は、例えば、ベルトコンベアを用いることができる。
【0018】
<検査台>
検査台12は、
図4Aに示すように白色の検査台を用いることができる、また、
図4Bに示すように、搬送方向(X方向)と交差する方向(Y方向)に互いに並列に延在する黒色の検査台12aと白色の検査台12bとを有する検査台を用いることができる。
【0019】
<光源部>
光源部13には、例えば、ランプ、LED等の通常の光源であれば使用できる。好ましくは拡散光を照射する拡散照明がよい。
【0020】
<撮像部>
撮像部14は、
図2に示すように、光源部13a、13bと同じ上方に配置される。また、撮像部14は、光源部13a、13bに対して正反射位置にはなく、拡散反射光による画像を得ることができる。撮像部14によって、シート材1の画像を得ることができる。
撮像部14は、ラインカメラ又はエリアカメラを用いることができる。また、撮像部14は、例えば、CCD、CMOS等の撮像素子と、撮像素子を制御する撮像制御手段とを含んでもよい。
【0021】
<制御部(コンピュータ装置)>
制御部30は、例えば、コンピュータ装置である。このコンピュータ装置としては、汎用的なコンピュータ装置を用いることができ、例えば、
図3に示すように、処理部31、記憶部32、表示部33を含む。なお、さらに、入力装置、記憶装置、インタフェース等を含んでもよい。
制御部30によって、搬送部11と、光源部13と、撮像部14と、を制御する。
【0022】
<処理部>
処理部31は、例えば、中央処理演算子(CPU)、マイクロコンピュータ、又は、コンピュータで実行可能な命令を実行できる処理装置であればよい。
【0023】
<記憶部>
記憶部32は、例えば、ROM、EEPROM、RAM、フラッシュSSD、ハードディスク、USBメモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の少なくとも一つであってもよい。
記憶部32には、プログラム35を含む。なお、制御部30がネットワークに接続されている場合には、必要に応じてプログラム35をネットワークからダウンロードしてもよい。
【0024】
<プログラム>
プログラム35には、シート材画像取得部35aを含んでいればよい。シート材画像取得部35aは、実行時には、記憶部32から読み出されて処理部31にて実行される。このシート材画像取得部35aによって、得られた画像から白色の検査台12とシート材1との明度差に基づいてシート材の領域を検出し、シート材画像を得ることができる。
【0025】
<シート材画像取得部>
図4Aは、白色の検査台12を用いて濃色系のシート材1の領域を検出する場合を示す概略平面図である。
図4Bは、黒色の検査台12a及び白色の検査台12bを用いて濃色系のシート材1a及び白色系のシート材1bの領域を検出する場合を示す概略平面図である。
図5Aは、
図4Aの白色の検査台12を用いて濃色系のシート材1の領域を検出し、シート材画像を取得するシート材画像取得方法のフローチャートである。
図5Bは、黒色の検査台12a及び白色の検査台12bを用いて濃色系のシート材1a及び白色系のシート材1bの領域を検出し、シート材画像を取得するシート材画像取得方法のフローチャートである。
【0026】
まず、
図4Aの白色の検査台12のみを用いて濃色系のシート材1の領域を検出し、シート材画像を取得する方法について説明する。
(1)白色の検査台の上のシート材について得られた画像について、搬送方向と交差する方向について、明度の変化を得る(S01)。
(2)次に、得られた画像において、搬送方向と交差する方向について、明度が白色に対応する値(例えば画像が8bitの場合は250付近)から急激に低下する領域と、その逆の変化(濃色から白色への急激な変化)がある領域との両方を白色の検査台12とシート材1aとの境界と判定し、その両境界の間をシート材の領域として検出する。ここでは、例えば、黒色の明度を10とし、白色の明度を250としている。つまり、白色の検査台12の明度は、およそ250となり、濃色系のシート材1aの領域は、明度が250よりもむしろ10に近いと考えられる。
以上によって、シート材画像を得ることができる。この場合、白色の検査台12を用いているので、濃色系のシート材であっても誤検出を抑制できる。
【0027】
次に、
図4Bの白色の検査台12bと黒色の検査台12aとを用いて、濃色系のシート材1a及び白色系のシート材1bの領域を検出し、シート材画像を取得する方法について説明する。
(1)黒色の検査台の上のシート材について得られた画像において、搬送方向と交差する方向について、明度の変化を得る(S11)。
(2)次に、得られた画像において、搬送方向と交差する方向について、明度が黒色に対応する10付近から急激に増加する領域と、その逆の変化がある領域との両方を黒色の検査台12aとシート材1a、1bとの境界と判定し、その両境界の間をシート材の領域として検出する(S12)。なお、白色系のシート材1bの場合には、黒色の検査台12aとの明度差が大きくなるので、シート材の領域を検出しやすい。一方、濃色系のシート材1aの場合には、黒色の検査台12aとの明度差は小さく、シート材の領域の検出は難しい場合がある。
(3)次いで、白色の検査台の上のシート材について得られた画像について、搬送方向と交差する方向について、明度の変化を得る(S13)。
(4)次に、得られた画像において、搬送方向と交差する方向について、明度が白色に対応する250付近から急激に増加する領域と、その逆の変化がある領域との両方を白色の検査台12bとシート材1a、1bとの境界と判定し、その両境界の間をシート材1a、1bの領域として検出する(S14)。この場合には、濃色系のシート材1aの場合には、白色の検査台12bとの明度差が大きくなるので、シート材の領域を検出しやすい。一方、白色系のシート材1bの場合には、白色の検査台12bとの明度差は小さく、シート材の領域の検出は難しい場合がある。
以上によって、色の濃淡が異なるシート材が混在している場合でも、濃色系のシート材1a及び白色系のシート材1bのいずれについてもシート材の領域を検出し、シート材画像を取得することができる。
【0028】
なお、必要に応じて検査部35bを含んでいてもよい。検査部35bによって、例えば、シート材画像取得部によって得られたシート材画像に基づいて、シート材の欠陥を検査する。シート材の欠陥としては、例えば、穴、汚れ等である。この検査部35bも、実行時には、記憶部32から読み出されて処理部31にて実行される。
【0029】
<表示部>
表示部33は、例えば、シート材画像取得部35aによって得られた画像を表示できればよい。
【0030】
(実施の形態2)
図6A、
図6Bは、実施の形態2に係る画像処理方法における検査方法において検出した濃色系のシート材1の穴3を示す概略平面図である。
図6Bは、
図6Aの拡大平面図である。
図7Aは、シート材1の汚れ2,4、穴3が黒色の検査台12aの上にある場合に得られる画像を示す概略平面図である。
図7Bは、シート材1の汚れ2、4、穴3が白色の検査台12bの上にある場合に得られる画像を示す概略平面図である。
【0031】
シート材1における欠陥としては、例えば、汚れ、穴(破れ)がある。また、汚れには、
図7A及び
図7Bに示すような白色系汚れ2と黒色系汚れ4とがある。従来の単一色の検査台の場合には得られる画像も1つであり、汚れと穴との区別が難しかったという課題があった。
【0032】
実施の形態2に係る画像処理方法では、黒色の検査台12aの上のシート材1a、1bについて得られた画像と、白色の検査台12bの上のシート材1a、1bについて得られた画像とを対比することによって、シート材の欠陥が汚れ2、4であるか、穴(破れ)3であるかを判定し、さらに、汚れについても白色系汚れ2又は黒色系汚れ4のいずれであるかを判定できる。
【0033】
図8は、実施の形態2に係る画像処理方法におけるシート材の欠陥の検出方法のフローチャートである。
(1)シート材画像の中、つまり、検査台との境界の内側で、シート材1a、1bの平均明度と異なる領域2、3、4について、欠陥であるとして検出する(S21)。
(2)黒色の検査台12aの上のシート材1a、1bについて得られたシート材画像と、白色の検査台12bの上のシート材1a、1bについて得られたシート材画像と、を対比する(S22)。
(3)上記欠陥2、3、4のうち、黒色の検査台12aで得られたシート材画像と白色の検査台12bで得られたシート材画像とで明度が大きく変化している欠陥を、穴(破れ)3として検出する(S23)。これは、穴の場合には、検査台12a、12bの色をそのまま反映するためである。つまり、それ以外の欠陥2、4は、検査台12a、12bによって明度が変化せず、穴ではなく、汚れであるとされる。
(4)汚れとされた欠陥2、4について、それぞれ明度に基づいて、明度の高い欠陥を白色系汚れ2とし、明度の低い欠陥を黒色系汚れ4として検出する(S24)。
以上によって、黒色の検査台12aと白色の検査台12bとを併用することによって、欠陥2、3、4を、汚れ2、4であるか、穴(破れ)3であるかを判定し、さらに、汚れについても白色系汚れ2又は黒色系汚れ4のいずれであるかを判定できる。
【0034】
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係るシート材の画像処理装置によれば、濃色系のシート材について、シート材の領域の誤検出を抑制できる。
【符号の説明】
【0036】
1、1a、1b シート材
2 白色系汚れ
3 穴(破れ)
4 黒色系汚れ
10 画像処理装置
11 搬送部
12、12a、12b 検査台
13、13a、13b 光源部
14、14a、14b、14c 撮像部
30 制御部(コンピュータ装置)
31 処理部
32 記憶部
33 表示部
35 プログラム
35a シート材画像取得部
35b 検査部